JP2018059759A - 塩分濃度センサー - Google Patents

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秀 森戸
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Abstract

【課題】コンクリート構造物の老朽化に対する対処法は、いずれも大掛かりな工事が必要となり、どれも高コストであるという問題がある。そこで、コンクリート構造物の老朽化の原因となる塩化物イオンの濃度を感知する技術を提供する。
【解決手段】塩化ナトリウムを検出するセンサー層と、上記センサー層の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層と、を有する積層体を備え、上記積層体を平面視したときに、上記積層体の中央部がセンサー領域であり、上記センサー領域の外周部が封止領域である塩分濃度センサー。
【選択図】図1

Description

本開示は、例えば、コンクリート構造物やその周辺環境に設置することが可能な塩分濃度センサーに関する。
コンクリート構造物は、通常、構造物の骨組みとなる鉄筋と、上記鉄筋の周囲を覆うコンクリートとで構成される。このような構成を有するコンクリート構造物は、鉄筋の腐食に伴い、周囲を覆うコンクリートにひび割れや剥離等が生じ、老朽化してしまうという問題がある。
コンクリート構造物における鉄筋の腐食は、例えば、コンクリート中に存在する塩化物イオン濃度が高まり、鉄筋を保護している不導体被膜が破壊されて錆が生じることに起因すると考えられる。ここで、コンクリート中に存在する塩化物イオンは、主に、コンクリート構造物の内部に由来するもの、またはコンクリート構造物の外部に由来するものがある。コンクリート構造物の内部に由来する塩化物イオンとしては、例えば、コンクリートの材料となるセメントに海砂が含まれていることで混入した塩化物イオンや、セメントの硬化促進剤として用いられた塩化物イオン等が挙げられる。また、コンクリート構造物の外部に由来する塩化物イオンとしては、例えば、コンクリート構造物が潮風や海水に曝されることでコンクリート中に侵入した塩化物イオンや、コンクリート構造物に凍結防止剤が接触することでコンクリート中に侵入した塩化物イオン等が挙げられる。
上述のようなコンクリート構造物の老朽化に対しては、様々な対処法が提案されている。塩化物イオンが混入したコンクリートを除去し、コンクリートが除去された断面欠損部分を修復する断面修復工法や、コンクリート構造物の表面に陽極材を設置し、コンクリート構造物における鉄筋を陰極として直流電流(防食電流)を流すことで、塩化物イオンを除去する脱塩工法、また、鉄筋の腐食進行を抑制する電気防食工法等が提案されている。
特許4363646号 特開2015−121510号公報
一方、上述したコンクリート構造物の老朽化に対する対処法は、いずれも大掛かりな工事が必要となり、どれも高コストであるという問題がある。そこで、コンクリート構造物の老朽化の原因となる塩化物イオンの濃度を感知する技術の開発が求められている。
例えば、特許文献1、2では、コンクリート構造物に金属片からなる腐食環境センサーを設置し、金属片の色の変化により、コンクリート構造物を劣化させる劣化因子の量や分布を特定するという技術が提案されている。しかしながら、特許文献1、2のように、腐食環境センサーの構成が、金属片が露出した構成であると、金属片に海水や凍結防止剤が直接接触したときに、金属片が直ちに変色してしまい、経時的な塩化物イオン濃度の上昇を感知することが困難であるという問題がある。したがって、コンクリート構造物の設置位置やその周辺環境に応じて、塩化物イオンの感度を調整することが求められる。
また、特許文献1、2に開示された腐食環境センサーは、コンクリート構造物の外部に由来する塩化物イオン濃度を測定するものであり、コンクリート構造物の内部に由来する塩化物イオン濃度を測定するといったものではない。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、コンクリート構造物やその周辺環境に応じて、塩化物イオンに対する感度を調整することができ、コンクリート構造物に侵入する外部由来の塩化物イオン、または内部由来の塩化物イオンの濃度を選択的に感知することが可能な塩分濃度センサー提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本開示は、塩化ナトリウムを検出するセンサー層と、上記センサー層の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層と、を有し、上記センサー層および上記第1調整層を有する積層体を平面視したときに、上記積層体の中央部がセンサー領域であり、上記センサー領域の外周部が封止領域であることを特徴とする塩分濃度センサーを提供する。
本開示によれば、第1調整層を有することにより、コンクリート構造物やその周辺環境に応じて、塩化物イオンに対する感度を調整することができ、コンクリート構造物に侵入する外部由来の塩化物イオン、または内部由来の塩化物イオンの濃度を選択的に感知することが可能な塩分濃度センサーとすることができる。
本開示は、コンクリート構造物やその周辺環境に応じて、塩化物イオンに対する感度を調整することができ、コンクリート構造物に侵入する外部由来の塩化物イオン、または内部由来の塩化物イオンの濃度を選択的に感知することが可能な塩分濃度センサーを提供するという効果を奏する。
本開示の塩分濃度センサーの一例を示す概略斜視図および概略断面図である。 本開示の塩分濃度センサーの他の例を示す概略斜視図および概略断面図である。 本開示の塩分濃度センサーの他の例を示す概略断面図である。 本開示の塩分濃度センサーを説明するための説明図である。 本開示の塩分濃度センサーの他の例を示す概略断面図である。 本開示の塩分濃度センサーの他の例を示す概略斜視図および概略断面図である。
以下、塩分濃度センサーについて説明する。
本開示の塩分濃度センサーは、塩化ナトリウムを検出するセンサー層と、上記センサー層の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層と、を有する積層体を備え、上記積層体を平面視したときに、上記積層体の中央部がセンサー領域であり、上記センサー領域の外周部が封止領域であることを特徴とする装置である。
本開示の塩分濃度センサーについて、図を参照しながら説明する。図1(a)は、本開示の塩分濃度センサーの一例を示す概略斜視図である。また、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。図1(b)に示すように、本開示の塩分濃度センサー100は、塩化ナトリウムを検出するセンサー層1と、センサー層1の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層2aと、を有する積層体10を備える。また、本開示の塩分濃度センサー100は、図1(a)、(b)に示すように、センサー層1および第1調整層2aを有する積層体10を平面視したときに、積層体10の中央部がセンサー領域Sであり、センサー領域Sの外周部が封止領域Fとなる。なお、図1(a)、(b)に示す塩分濃度センサー100は、封止領域Fが封止部材3により構成されている例である。
本開示においては、例えば、コンクリート構造物に侵入する外部由来の塩化物イオン、または内部由来の塩化物イオンの濃度を測定しようとする場合には、コンクリート構造物に塩分濃度センサーを貼合することが好ましい。一方、コンクリート構造物の周辺環境における塩化物イオン濃度を測定しようとする場合には、塩分濃度センサーを独立して設置することが好ましい。このように、本開示では、測定しようとする塩化物イオンに応じて、塩分濃度センサーの使用形態を適宜選択することができる。
以下、塩分濃度センサーについて、コンクリート構造物に貼付して用いる場合を第1実施形態とし、独立して設置する場合を第2実施形態として、それぞれ分けて説明する。
A.第1実施形態
第1実施形態における塩分濃度センサーは、コンクリート構造物に侵入する外部由来の塩化物イオン、または内部由来の塩化物イオンの濃度を測定しようとする場合に、コンクリート構造物に貼合して用いられる。
第1実施形態における塩分濃度センサーについて、図を参照しながら説明する。図2(a)は、本開示の塩分濃度センサーの他の例を示す概略斜視図である。また、図2(b)は、図2(a)のB−B線断面図である。図2(a)、(b)に示すように、本開示の塩分濃度センサー100は、塩化ナトリウムを検出するセンサー層1と、センサー層1の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層2aと、センサー層1の第1調整層2aとは反対側の面に配置された接着層4と、を有していても良い。なお、図2(a)、(b)では、接着層4が、センサー層1の第1調整層2aとは反対側の全面に配置された例を示しているが、本開示においては、接着層4が部分的にパターン状に配置されていても良い。
また、図3は、本開示の塩分濃度センサーの他の例を示す概略断面図である。図3に示すように、本開示の塩分濃度センサー100は、塩化ナトリウムを検出するセンサー層1と、センサー層1の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層2aと、センサー層1の、第1調整層2aとは反対側の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第2調整層2bと、を有していても良い。なお、図3では、接着層4が、第2調整層2bのセンサー層1とは反対側の全面に配置された例を示しているが、本開示においては、接着層4が部分的にパターン状に配置されていても良い。
本開示によれば、第1調整層を有することにより、コンクリート構造物やその周辺環境に応じて、塩化物イオンに対する感度を調整することができ、コンクリート構造物に侵入する外部由来の塩化物イオン、または内部由来の塩化物イオンの濃度を選択的に感知することが可能な塩分濃度センサーとすることができる。具体的には、次のような効果が得られる。
例えば特許文献1、2に開示された腐食環境センサーは、劣化因子を検出する金属片が露出した構成を有する。そのため、腐食環境センサーが、直接海水や凍結防止剤に曝される環境下に配置される場合には、劣化因子を検出する金属片がすぐに酸化して変色してしまい、経時的な劣化因子による影響を測定することが困難であるという問題がある。これに対し、本開示の塩分濃度センサーは、塩化ナトリウムを検出するセンサー層の表面に第1調整層を有することにより、センサー層の塩化物イオンに対する感度を調整することが可能となる。具体的には、まず、センサー層は、酸素や水分により酸化反応が開始して変色する性質を有する。なお、塩化ナトリウムの存在下では、塩化ナトリウムが触媒として働くことで上記酸化反応が促進される傾向にある。本開示においては、このセンサー層の表面に、塩化ナトリウムの透過度を調整することが可能な第1調整層を有することにより、経時的な塩化物イオンによる影響を測定することが可能となる。
また、本開示の塩分濃度センサーは、コンクリート構造物に侵入する外部由来の塩化物イオン、または内部由来の塩化物イオンの濃度を選択的に感知することができる。図4(a)、(b)は、本開示の塩分濃度センサーを説明するための説明図である。本開示の塩分濃度センサーは、図4(a)に示すように、接着層4を介してコンクリート構造物200に貼合することができる。このとき、図4(a)に示すように、コンクリート構造物200側から順に接着層4、センサー層1、第1調整層2aが積層されており、かつ、第1調整層2aの塩化ナトリウムの透過度が極めて低い場合には、外部由来の塩化物イオンの侵入を第1調整層2aにより抑制することが可能となり、コンクリート構造物の内部由来の塩化物イオンの濃度を選択的に測定することが可能となる。すなわち、この場合、第1調整層が塩化ナトリウムに対してバリア性を発揮することとなる。
一方、本開示の塩分濃度センサーは、図4(b)に示すように、接着層4を介してコンクリート構造物200に貼合することができる。このとき、図4(b)に示すように、コンクリート構造物200側から順に接着層4、第2調整層2b、センサー層1、第1調整層2aが積層されており、かつ第2調整層2bの塩化ナトリウムの透過度が第1調整層2aに比べて極めて低い場合には、コンクリート構造物の内部由来の塩化物イオンの侵入を第2調整層2bにより抑制することが可能となり、コンクリート構造物の外部由来の塩化物イオンの濃度を選択的に測定することが可能となる。すなわち、この場合、第2調整層が塩化ナトリウムに対してバリア性を発揮することとなる。
以下、本開示の塩分濃度センサーの各構成について詳細に説明する。
1.第1調整層
第1実施形態における第1調整層は、後述するセンサー層の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する部材である。
第1実施形態における第1調整層は、塩化ナトリウムに対して所定の透過度を有する部材であれば特に限定されない。第1調整層が有する塩化ナトリウムの透過度は、塩分濃度センサーの用途に応じて適宜調整することができる。
例えば、図5(a)に示すように、コンクリート構造物200側から順に、接着層4、センサー層1および第1調整層2aが積層された塩分濃度センサー100である場合には、塩化ナトリウムの透過度が低い第1調整層2aを用いることにより、外部由来の塩化物イオンのセンサー層への侵入を抑制することができる。この場合、センサー層1では、主に、コンクリート構造物200の内部由来の塩化物イオンの濃度を測定することが可能となる。このときの第1調整層が有する塩化ナトリウムの透過度としては、例えば、10g/(m・24h)以下であることが好ましく、中でも2g/(m・24h)以下であることが好ましく、特に、1g/(m・24h)以下であることが好ましい。
一方、図5(b)に示すように、コンクリート構造物200側から順に、接着層4、第2調整層2b、センサー層1および第1調整層2aが積層された塩分濃度センサー100である場合には、時間の経過とともに、所定量の塩化ナトリウムを透過する程度の透過度を有する第1調整層2aを用いることにより、外部由来の塩化物イオンの濃度を測定することができる。なお、この場合、塩化ナトリウムの透過度が低い第2調整層2bを用いることにより、内部由来の塩化物イオンのセンサー層1への侵入を抑制することができる。したがって、センサー層1では、外部由来の塩化物イオンの濃度を選択的に測定することが可能となる。このときの第1調整層が有する塩化ナトリウムの透過度は、塩分濃度センサーの用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、例えば、0.0001g/(m・24h)以上1g/(m・24h)以下の範囲内であることが好ましく、中でも0.01g/(m・24h)以上1g/(m・24h)以下の範囲内であることが好ましく、特に0.1g/(m・24h)以上1g/(m・24h)以下の範囲内であることが好ましい。第1調整層が有する塩化ナトリウムの透過度は、例えば、第1調整層の厚みにより調整することができる。
ここで、上述した「塩化ナトリウムの透過度」とは、塩化ナトリウム水蒸気の透過度とする。塩化ナトリウム水蒸気の透過度は、例えば、JIS Z 0208に準拠する「防湿包装材料の透湿度試験方法」を用いて測定することができる。なお、測定温度は40℃とすることができる。
第1実施形態における第1調整層は、水蒸気に対して所定の透過度を有することが好ましい。第1調整層が水蒸気に対して所定の透過度を有することにより、第1調整層を介してセンサー層に水が浸入することが抑制することができる。したがって、センサー層に水が浸入することによるセンサー層の酸化を抑制し、水によるセンサー層の変色を抑制することができる。よって、センサー層による塩化物イオンの濃度の測定をより高精度に行うことが可能となる。第1調整層が有する水蒸気に対する透過度は、第1実施形態における塩分濃度センサーの用途等に応じて適宜調整することができるが、例えば、10g/(m・24h)以下であることが好ましく、中でも2g/(m・24h)以下であることが好ましく、特に、1g/(m・24h)以下であることが好ましい。
第1調整層が有する水蒸気の透過度は、例えば、第1調整層の厚みや第1調整層の材料等により調整することができる。具体的には、例えば、第1調整層の材料としてSiO(価数:x=1.6以上2.0以下)、AlO(価数:x=1.0以上1.5以下)を用いた場合には、価数により第1調整層の膜質、すなわち第1調整層の膜密度を変更することで、水蒸気の透過度を調整することができる。上述した材料の価数は、大きくなるにつれて第1調整層の透明性が高まり、一方、小さくなるにつれて第1調整層の水蒸気の透過度が高まる傾向にある。
なお、第1調整層が有する水蒸気に対する透過度は、JIS K 7129に準拠した方法を用いて測定することができ、例えば、40℃、100%Rhの条件下で実施することができる。
第1実施形態における第1調整層は、酸素に対して所定の透過度を有することが好ましい。第1調整層が酸素に対して所定の透過度を有することにより、第1調整層を介してセンサー層に酸素が浸入することが抑制することができる。したがって、センサー層に酸素が浸入することによるセンサー層の酸化を抑制し、酸素によるセンサー層の変色を抑制することができる。よって、センサー層による塩化物イオンの濃度の測定をより高精度に行うことが可能となる。第1調整層が有する酸素に対する透過度は、第1実施形態における塩分濃度センサーの用途等に応じて適宜調整することができるが、例えば、10g/(m・24h)以下であることが好ましく、中でも2g/(m・24h)以下であることが好ましく、特に、1g/(m・24h)以下であることが好ましい。第1調整層が有する酸素の透過度は、例えば、第1調整層の厚みにより調整することができる。
なお、第1調整層が有する酸素に対する透過度は、JIS K 7126に準拠した方法で得ることができ、例えば、23℃、60%Rhの条件で得ることができる。
第1調整層は、透明性を有していても良く、透明性を有さなくても良い。第1実施態様においては、例えば、図5(a)、(b)に示すように、第1調整層2aが、後述するセンサー層1よりも視認側に配置される場合には、透明性を有することが好ましい。第1調整層を介してセンサー層を観察することで、塩化物イオンの濃度の測定が可能になるからである。ここで、「透明」とは、第1実施形態における塩分濃度センサーをコンクリート構造物に設置した際に、第1調整層を介してコンクリート構造物を視認することができる程度に透明であることをいう。したがって、第1調整層が透明性を有する場合には、無色透明であっても良く、有色透明であっても良い。例えば、第1調整層の全光線透過率は、70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。
なお、全光線透過率については、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
第1調整層は、例えば、無機材料を含んでいても良い。具体的には、第1調整層は、無機酸化膜、無機窒化膜、ダイアモンドライクカーボン(DLC)膜等の無機膜を含んでいても良い。無機酸化膜としては、例えば、SiO膜、AlO膜、ZnO膜、SnO膜、SiO膜、SiO膜、AlO膜等が挙げられる。また、無機窒化膜としては、例えば、SiN膜、AlN膜等が挙げられる。第1調整層は、単層構造であっても良く、上述した2層以上が積層された積層構造であっても良い。なお、第1調整層が積層構造である場合、上述した塩化物イオンに対する透過度、水蒸気に対する透過度および酸素に対する透過度等の特性は、第1調整層全体としての特性とすることができる。
第1調整層は、上述した無機膜および有機膜を含んでいても良い。具体的には、無機膜と有機膜とを積層して用いても良く、あるいは、無機膜に生じたピンホールを有機膜が埋めるように配置されていても良い。無機膜に有機膜を組み合わせることにより、塩化物イオンに対する透過度、水蒸気に対する透過度および酸素に対する透過度を低下させることができる。第1調整層に用いられる有機膜としては、例えば、透明性を有し、無機膜に発生したピンホールを安定的に被覆可能なものであればよく、金属アルコキシドおよび水溶性高分子をシランカップリング剤等と混合し、ゾルゲル法等により重縮合されて形成された有機−無機複合膜が挙げられる。具体的な有機膜としては、ポリビニルアルコール(PVA)、もしくはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)の単独、またはこれらの混合物、あるいは、これらに芳香族酸エステル、芳香族ポリアミド、金属塩等の架橋剤を添加するか、もしくは無機フィラーの添加により架橋構造を持たせた層、ポリアミド、PVA、もしくはEVOH等の樹脂中に1nm以上100nm以下程度の超微粒子である層状珪酸塩(モンモリロナイト等の粘土鉱物)を分散させた層、カルドポリマーを用いて形成されたカルドポリマー層等の有機樹脂層等が挙げられる。
なお、これらの有機−無機複合膜および有機膜については、公知のものを使用することができ、その構成材料および形成方法等については、例えば、それぞれ、特開2014−148081号公報のオーバーコート層、特開2005−324406号公報に記載の有機樹脂層の構成材料および形成方法等と同様のものとすることができる。
第1実施形態においては、例えば、図5(a)に示すように、コンクリート構造物200から順に、センサー層1および第1調整層2aが積層されており、外部由来の塩化物イオンのセンサー層1への侵入を抑制する場合、第1調整層2aとして、ガラス基材を用いることができる。
第1調整層の厚みは、第1調整層に付与しようとする塩化物イオンに対する透過度、水蒸気に対する透過度および酸素に対する透過度等の特性に応じて適宜調整することができる。例えば、5nm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも50nm以上3μm以下の範囲内であることが好ましく、特に100nm以上2μm以下の範囲内であることが好ましい。なお、第1調整層が積層構造である場合には、第1調整層の総厚みが上記範囲内であることが好ましい。
第1調整層に形成方法としては、所望の第1調整層を形成することができる方法であれば特に限定されないが、例えば、第1調整層に用いられる無機膜は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ALD法等の真空プロセスや、ドライプロセス、ウェットプロセス等により形成することができる。また、第1調整層に用いられる有機膜は、例えば、ドライプロセス、ウェットプロセス等により形成することができる。なお、第1調整層が積層構造である場合には、上述した形成方法を組み合わせて用いることができる。
また、第1調整層は、クラックの発生等の不具合を抑制するために、フレキシブル性を有していても良い。第1調整層にフレキシブル性を付与する方法としては、例えば、第1調整層に対してドーピングする方法が挙げられる。具体的には、第1調整層の材料としてZnOを用いた場合には、第1調整層に対してAlをドーピングする方法が挙げられる。
2.第2調整層
第1実施形態においては、センサー層の、第1調整層とは反対側の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第2調整層を有していても良い。センサー層の一方の面に配置された第1調整層、および他方の面に配置された第2調整層により、センサー層の両面において塩化物イオンに対する感度を調整することが可能となるからである。
第1実施形態における塩分濃度センサーが第2調整層を有する場合であって、塩分濃度センサーをコンクリート構造物に設置した際に、センサー層のコンクリート構造物側の面に第2調整層が配置される場合、第2調整層は、コンクリート内部由来の塩化物イオンがセンサー層まで侵入することを抑制する機能を有することが好ましい。すなわち、第2調整層は、塩化ナトリウムの透過度が極めて低いこと、換言すると、塩化ナトリウムに対するバリア性を有することが好ましい。コンクリート内に侵入する外部由来の塩化物イオンのみを選択的に測定することが可能な塩分濃度センサーとすることができるからである。
なお、第2調整層に関する詳細な説明については、上述した「1.第1調整層」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.センサー層
第1実施形態におけるセンサー層は、塩化ナトリウムを検出する部材である。
第1実施形態において、センサー層により塩化ナトリウムを検出する方法には、センサー層の色の変化を用いた比色法を用いることができる。また、第1実施形態においては、センサー層の色の変化は、目視により確認しても良く、あるいは光学測定を行っても良い。
第1実施形態におけるセンサー層には、塩化ナトリウムの存在下で酸化反応が促進され、色が変化する材料を用いることが好ましい。具体的には、塩化ナトリウムが触媒として機能することで酸化反応が始まり、色が黒から灰色、白色に変化する材料を用いることが好ましい。センサー層は、例えば、酸素欠損型酸化鉄、酸素欠損型酸化チタン、酸素欠損型酸化亜鉛、酸素欠損型酸化セリウム等の酸素欠損型酸化物を含んでいても良い。酸素欠損型酸化物を用いることにより、塩化ナトリウムが存在しない環境下では酸素による酸化反応は進行しにくく、センサー層の変色は起きにくくなる一方、塩化ナトリウムが存在する環境下では、酸素による酸化反応は促進し、センサー層の変色が起きやすくなる。具体的には、銀色から茶色または黒色に変色する。このような原理により、塩化ナトリウムの検出が可能となる。また、センサー層は、例えば、マグネシウム、銀、ニッケル、クロム等の金属材料を含んでいても良い。上記金属材料は、蒸着膜であっても良く、金属箔であっても良い。
なお、以下、上述した材料をセンサー層形成材料と称して説明する場合がある。
第1実施形態におけるセンサー層は、上述したセンサー層形成材料を含むことが好ましい。センサー層形成材料は、例えば、粒子状にして樹脂材料中に分散しても良く、樹脂材料から構成された樹脂層の表面にセンサー層形成材料から構成された層を形成しても良い。すなわち、センサー層形成材料は、粒子状であっても良く、層状であっても良い。
センサー層形成材料が粒子状である場合、樹脂材料中に分散された粒子状のセンサー層形成材料の色の変化により、塩化ナトリウムの濃度を測定することとなる。したがって、センサー層形成材料が粒子状である場合の粒子の大きさは、目視により色の変化を観察することができる程度の大きさであることが好ましい。例えば、1μm以上600μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも1μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましく、特に1μm以上100μm以下の範囲内であることが好ましい。
センサー層形成材料を粒子状にして樹脂材料中に分散する場合、または、樹脂材料から構成された樹脂層の表面にコーティングする場合に用いられる樹脂材料は、所定の透明性を有する材料であることが好ましい。樹脂材料中に分散された粒子状のセンサー層形成材料を目視することができるからである。ここでの「透明」とは、粒子状のセンサー層形成材料の色の変化を確認することができる程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また、厳密な透過率で定義されず、粒子状のセンサー層形成材料の粒子の大きさ等に応じて適宜調整することができる。
センサー層に用いられる樹脂材料は、例えば、電離放射線により硬化する電離放射線硬化型樹脂であることが好ましい。ここで、「電離放射線」とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線又は電子線が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1または2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。なお、上述した「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本開示の1実施態様においては、電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
第1実施形態においては、上述した化合物の他にも、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
また、電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂と併用して使用することもできる。ここで、「溶剤乾燥型樹脂」とは、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂をいう。溶剤乾燥型樹脂を併用することにより、樹脂材料を用いて導電部を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥等の発生を有効に抑制することができる。
このような溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴムまたはエラストマー等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒等の有機溶媒に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
さらに、樹脂材料は、熱硬化性樹脂を含有していても良い。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
また、第1実施形態においては、塩分濃度センサーが第1調整層、センサー層および接着層を有する場合であって、センサー層および接着層が隣接して積層される場合には、センサー層と接着層とが一体として形成されていても良い。この場合、接着層を構成する接着材料中に、粒子状のセンサー層形成材料が分散されていても良く、あるいは、接着層表面にセンサー層形成材料がコーティングされていても良い。なお、接着層については後述するため、ここでの記載は省略する。
センサー層の厚みは、粒子状のセンサー層形成材料を樹脂材料中に分散させる場合には、樹脂材料中におけるセンサー層形成材料の含有量に応じて適宜調整することができる。具体的なセンサー層の厚みは、例えば、1μm以上800μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも1μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましく、特に1μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。
センサー層の形成方法としては、例えば、粒子状のセンサー層形成材料を樹脂材料中に分散させた組成物を、第1調整層の表面にコーティングして硬化させる方法が挙げられる。このとき用いられるコーティング法としては、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられる。また、このとき用いられる硬化法としては、樹脂材料が電離放射線硬化型樹脂である場合には、電離放射線を照射する方法が挙げられる。また、樹脂材料から構成された樹脂層の表面にセンサー層形成材料を蒸着するか、あるいはセンサー層形成材料として金属箔を配置して、樹脂層の表面にセンサー層形成材料から構成された層を積層する方法等が挙げられる。
4.センサー領域
第1実施形態におけるセンサー領域は、センサー層および第1調整層を有する積層体を平面視したときに、積層体の中央部に位置する領域である。
センサー領域は、センサー層の色の変化により塩化ナトリウムを検出することができる領域であることが好ましく、その大きさについては、塩分濃度センサーの構成や用途等に応じて適宜調整することができる。
5.封止領域
第1実施形態における封止領域は、センサー層および第1調整層を有する積層体を平面視したときに、センサー領域の外周部に位置する領域である。
封止領域は、上述したセンサー領域の外周部に位置する領域であり、すなわちセンサー領域以外の領域とすることができる。
第1実施形態においては、例えば、図1(a)、(b)に示すように、封止領域Fが封止部材3により構成されていることが好ましい。
第1実施形態における封止部材は、塩分濃度センサーの端部から水分が侵入するのを抑制するために設けることができる。そのため、封止部材の大きさ等については、塩分濃度センサーの用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。
このような封止部材としては、例えば、塩分濃度センサーの端部を覆うことができる硬化型接着層や、塩分濃度センサーの端部を覆うことができる封止テープが挙げられる。硬化型接着層としては、例えば、熱硬化型接着層、光硬化型接着層が挙げられ、具体的な材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。また、封止テープについては、一般的なものを用いることができるため、ここでの記載は省略する。
第1実施形態における封止部材は、上述した硬化型接着層および封止テープの一方のみを用いても良く、または両方を組み合わせ用いても良い。封止部材の形成方法については、一般的な封止部材の形成方法と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
6.接着層
第1実施形態においては、センサー層の、第1調整層とは反対側の面に配置された接着層を有することが好ましい。塩分濃度センサーをコンクリート構造物に接着して固定することができるからである。
第1実施形態における接着層は、センサー層の表面に配置され、塩分濃度センサーをコンクリート構造物に接着させるために用いられる。したがって、接着層は、塩分濃度センサーをコンクリート構造物に固定させることができる程度の接着性を有することが好ましい。接着層の材料や形成方法等については、例えば、特開2015−078600号公報、特開2015−087351号公報、特開2015−209633号公報等に記載されたものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
第1実施形態における接着層は、センサー層の第1調整層とは反対側の面の全体に配置されていても良く、あるいは、パターン状に配置されていても良い。中でも、接着強度や耐久性等の観点から、接着層は、センサー層の第1調整層とは反対側の面の全体に配置されていることが好ましい。すなわち、接着層が、センサー層の全面に配置されている場合には、次のような不具合の発生を抑制することができる。例えば、センサー層と被接着体との熱膨張係数差が大きい場合であって、高い温度環境下にある場合に、伸び度合いの差異により、センサー層と被接着層とが剥がれやすくなるといった不具合の発生を抑制することができる。
7.その他
第1実施形態における塩分濃度センサーは、他の種類のセンサーと同一平面に配置されたセンサー基材であっても良い。他の種類のセンサーとしては、一般的なセンサーであれば特に限定されないが、例えば、水分センサー、硫化物イオンセンサー、窒素酸化物イオンセンサー等が挙げられる。
また、第1実施形態における塩分濃度センサーは、上述した第1調整層、第2調整層、センサー層、封止部材、接着層の他にも、その他の構成を有していても良い。その他の構成としては、例えば、塩分濃度センサーの最外層に設けられる防汚層、撥水層、撥油層、反射防止層、導電層等が挙げられる。
B.第2実施形態
第2実施形態における塩分濃度センサーは、例えば、コンクリート構造物の周辺環境における塩化物イオンの濃度を測定しようとする場合に、コンクリート構造物の周辺に独立して設置して用いられる。
第2実施形態における塩分濃度センサーについて、図を参照しながら説明する。図6(a)は、本開示の塩分濃度センサーの他の例を示す概略斜視図である。また、図6(b)は、図6(a)のC−C線断面図である。図6(a)、(b)に示すように、本開示の塩分濃度センサー100は、塩化ナトリウムを検出するセンサー層1と、センサー層1の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層2aと、センサー層1の第1調整層2aとは反対側の面に配置された第2調整層2bと、を有していても良い。
また、図3は、本開示の塩分濃度センサーの他の例を示す概略断面図である。図3に示すように、本開示の塩分濃度センサー100は、塩化ナトリウムを検出するセンサー層1と、センサー層1の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層2aと、センサー層1の、第1調整層2aとは反対側の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第2調整層2bと、を有していても良い。
本開示によれば、センサー層の一方の面に配置された第1調整層、および他方の面に配置された第2調整層により、センサー層の両面において塩化物イオンに対する感度を調整することが可能となるからである。第2実施形態においては、第1調整層および第2調整層の特性を同じであっても良く、異なっていても良い。第2実施形態における塩分濃度センサーの用途に応じて適宜選択することができる。なお、具体的な説明については、上述した「A.第1実施形態」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
なお、第2実施形態における塩分濃度センサーを構成する第1調整層、第2調整層、センサー層、封止領域等については、上述した「A.第1実施形態」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例として本開示の塩分濃度センサーを作製した。
[実施例1]
PETフィルム(厚み:100μm、商品名:A4100、東洋紡株式会社)上に、反応性スパッタリング法を用いてSiO(x=1.8)膜(厚み:100nm)を形成し、第1調整層とした。次に、上述した第1調整層の形成工程から真空状態を維持したまま、上記SiO膜上に、スパッタリング法を用いてセンサー層(厚み:50nm)を形成した。なお、センサー層には、黒色を呈する酸素欠損型酸化鉄を用いた。続いて、得られた積層体のセンサー層側の面および側面に、エポキシ系樹脂から構成された封止部材を形成して封止した。最後に、封止部材のセンサー層とは反対側の面に接着層を形成した。このようにして、本開示の塩分濃度センサーを得た。
[実施例2]
PETフィルム(厚み:100μm、商品名:A4100、東洋紡株式会社)上に、反応性スパッタリング法を用いてSiO(x=1.8)膜(厚み:100nm)を形成し、第1調整層とした。次に、上述した第1調整層の形成工程から真空状態を維持したまま、上記SiO膜上に、スパッタリング法を用いてセンサー層(厚み:50nm)を形成した。なお、センサー層には、黒色を呈する酸素欠損型酸化鉄を用いた。続いて、得られた積層体のセンサー層とは反対側の面に、反応性スパッタリング法を用いてSiO(x=1.8)膜(厚み:700nm)を形成し、第2調整層とした。次いで、得られた積層体の第2調整層側の面および側面に、エポキシ系樹脂から構成された封止部材を形成して封止した。最後に、封止部材のセンサー層とは反対側の面に接着層を形成した。このようにして、本開示の塩分濃度センサーを得た。
[結果]
実施例1、2により得られた塩分濃度センサーを、接着層側が接触するように、建築構造物の外部壁面に固定した。なお、建築構造物は、海岸に面しており、塩分を含む風が吹き付けるような場所に建てられている。
実施例1の塩分濃度センサーは、設置から300日が経つにつれ、センサー層が黒色から赤茶色へと変色し、塩分の検出が可能であった。また、実施例2の塩分濃度センサーは、設置から300日が経つにつれ、センサー層の第1調整層側の面は黒色から赤茶色に変色し、一方、センサー層の第2調整層側の面は黒色から茶色に変色し、塩分の検出が可能であった。
1 … センサー層
2a … 第1調整層
2b … 第2調整層
3 … 封止部材
4 … 接着層
10 … 積層体
100… 塩分濃度センサー
200… コンクリート構造物
S … センサー領域
F … 封止領域

Claims (11)

  1. 塩化ナトリウムを検出するセンサー層と、
    前記センサー層の一方の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第1調整層と、
    を有する積層体を備え、
    前記積層体を平面視したときに、前記積層体の中央部がセンサー領域であり、前記センサー領域の外周部が封止領域である塩分濃度センサー。
  2. 前記第1調整層が、無機材料を含む請求項1に記載の塩分濃度センサー。
  3. 前記第1調整層が、無機酸化膜を含む請求項1に記載の塩分濃度センサー。
  4. 前記第1調整層が、無機窒化膜を含む請求項1に記載の塩分濃度センサー。
  5. 前記第1調整層が、無機膜および有機膜を含む請求項1に記載の塩分濃度センサー。
  6. 前記センサー層が、酸素欠損型酸化物を含む請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の塩分濃度センサー。
  7. 前記センサー層が、金属材料を含む請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の塩分濃度センサー。
  8. 前記センサー層が、マグネシウム、銀、ニッケル、クロムのうち、少なくとも一つを含む請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の塩分濃度センサー。
  9. 前記センサー層の、前記第1調整層とは反対側の面に配置された接着層を有する請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の塩分濃度センサー。
  10. 前記センサー層の、前記第1調整層とは反対側の面に配置され、塩化ナトリウムの透過度を調整する第2調整層を有する請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の塩分濃度センサー。
  11. 前記第1調整層の、前記センサー層とは反対側の面に配置された接着層を有する請求項10に記載の塩分濃度センサー。
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