JP7138068B2 - コンクリート構造物の劣化診断ツール - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート構造物の劣化診断ツールに関する。
これまでコンクリート構造物の劣化診断技術について様々な開発がなされてきた。
この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が一般的に知られている。特許文献1には、コンクリート構造物からコンクリートをコアリングして分析する破壊型検査方法が記載されている。
しかしながら、コアリング作業によってコンクリート構造物を部分的に破壊する必要がある。また、より簡便な手法が要求されている。
現在、非壊型検査方法の開発が進められている。例えば、特許文献2には、モルタルパンルをコンクリート構造物に液状のエポキシ系接着剤で取り付けて、それを一定期間後に剥ぎ取って回収し、塩分量を測定することにより、コンクリート構造物が設置されている箇所の塩分量を評価する方法が提案されている。
特開2010-230383号公報 特開2014-105136号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献2に記載のモルタルパネルにおいて、作業性、密着安定性および被着体の劣化防止の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者による検討の結果、劣化診断ツールとして、裏面に密着層を設けたモルタルパネルを用いることで、設置現場での接着剤ペーストの塗布作業が不要となり、コンクリート構造物への設置作業や設置したモルタルパネルの回収作業が容易となることが判明した。
しかしながら、密着層の密着力を過度に高くしてしまうと、回収時において、モルタルパネル自身破損やコンクリート構造物の表面の劣化が生じる恐れがあることが分かった。
このような事情を踏まえて検討を進めた結果、モルタルパネルの単位面積S当たりの質量Wと密着層の剪断密着力Fとを指標とすることで、コンクリート構造物への密着安定性とともに被着体の劣化具合について安定的に評価できることが判明した。このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、F/(W/S)を指標として採用し、この数値範囲を適切に制御することによって、密着安定性および被着体の劣化防止が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
コンクリート構造物のおかれた環境に曝露される主面と、前記コンクリート構造物またはその近傍に存在する構造体に対する貼り付け面となる裏面とを有する、板状のモルタルパネルで構成されるコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
前記モルタルパネルの前記裏面に密着層を備え、
前記裏面の面積をS(cm
前記モルタルパネルの質量をW(g)
下記の手順に従って測定される、前記密着層の23℃における剪断密着力をF1(N/cm)としたとき、
F1/(W/S)が、4.0以上1.0×10以下である、
コンクリート構造物の劣化診断ツールが提供される。
(手順)
SUS304、BA仕上げの2枚のステンレス板を準備し、前記密着層を2枚のステンレス板の間に配置した後、質量2kgの圧着ローラーを用いて、1往復ローラー圧着する。室温24時間養生した後、23℃雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で、前記密着層の剪断密着力(F1)を測定する。
本発明によれば、作業性、密着安定性および被着体の劣化防止に優れたコンクリート構造物の劣化診断ツールが提供される。
(a)は、本実施形態の劣化診断ツールの一例を模式的に示す斜視図、(b)は、図1(a)のA-A矢視の断面図である。 劣化診断ツールを用いたコンクリート構造物の劣化診断方法について説明するための図である。 (a)は、本実施形態の劣化診断ツールの変形例を模式的に表す側面図、(b)は、(a)の裏面側の上面図である。 モルタルパネルの製造に用いる型枠の一例を模式的に示す斜視図である。 劣化診断ツールを包装袋に収容してなるパッケージの一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。なお、本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。従って、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
本実施形態のコンクリート構造物の劣化診断ツールの概要を説明する。
図1(a)は、劣化診断ツールの一例を模式的に示す斜視図、図1(b)は、図1(a)のA-A矢視の断面図である。
図1の劣化診断ツール100は、板状のモルタルパネル10と、モルタルパネル10の裏面14に設けられた密着層20とを備える。
モルタルパネル10は、コンクリート構造物のおかれた環境に曝露される主面12と、コンクリート構造物またはその近傍に存在する構造体に対する貼り付け面となる裏面14とを有する。
密着層20は、その両面が接着可能な接着面で構成され、モルタルパネル10の裏面14に接着する主面22と、構造物に接着可能な裏面24とを有する。
本実施形態の劣化診断ツール100を用いることにより、コンクリート構造物への密着安定性を向上させ、被着体の劣化を抑制できるため、コンクリート構造物の劣化診断を安定的に行うことができる。また、劣化診断時に、劣化診断ツール100の取り付け作業や回収作業が容易となる。
図2は、劣化診断ツールを用いたコンクリート構造物の劣化診断方法について説明するための図である。
劣化診断方法の概要は、例えば、図2のコンクリート構造物200や構造体210の表面に、劣化診断ツール100を貼付固定し、一定の測定期間の後、回収し、分析するものである。
劣化診断は、例えば、道路、鉄道、橋梁、土木構造物、建築物、港湾設備、プラント、および電力施設等の長期間維持管理されるコンクリート構造物を対象とする。海岸付近、湾岸付近、海洋中等の塩害環境に曝露されるコンクリート構造体の劣化度合いについて評価できる。
劣化診断ツール100が設置場所は、コンクリート構造物200の表面や、コンクリート構造物200の近傍に存在する構造体210(例えば、土研式飛散塩分捕集器等)の表面としてもよい。設置面には、曲面や段差、凹凸部分がなく、平坦面がよい。設置面において、劣化診断ツール100を取り付ける前に、水分や汚れを洗浄により除去してもよい。
具体的な設置場所について、コンクリート構造物200が橋である場合について説明すると、コンクリート構造物200として、橋梁の桁202、橋脚床板204、橋脚壁面206等が挙げられる。コンクリート構造物200の近傍に存在する構造体210の壁面に劣化診断ツール100を設置してもよい。あるいは、コンクリート構造物200中のいずれかの部位について、海側と山側とのそれぞれに設置してもよい。調査対象における設置数は、特に限定されないが、複数(例えば、3個以上)としてもよい。
固定期間は、例えば、1ヶ月程度としてもよいが、数ヶ月~1年程度としてもよい。
分析において、環境曝露後における劣化診断ツール100の塩化物イオン量および/または中性化深さを測定し、設置したコンクリート構造物200の劣化度合いについて、精度良く推定できる。
<劣化診断ツール100>
劣化診断ツール100を構成するモルタルパネル10は、板状であれば形状を特に限定せずに使用できるが、裏面14の垂直方向から見たときの形状が、略正方形状または略長方形状としてもよい。ロット間の製造バラツキを抑制できる。
モルタルパネル10の厚みは、例えば、3mm~20mm、好ましくは4mm~15mm、より好ましくは5mm~10mmである。上記下限値以上とすることで、長い測定期間にも使用可能となる。一方、上記上限値以下とすることで、狭い場所にも設置することができるため、実環境に近い状態での評価が可能となる。
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
モルタルパネル10の主面12および裏面14の面積は、例えば、5cm~100cm、好ましくは10cm~50cmとしてもよい。上記下限値以上とすることで、分析精度が向上する。また、製造安定性も高くできる。一方、上記上限値以下とすることで、取扱性が良好となる。
モルタルパネル10の圧縮強度は、例えば、15N/mm~30N/mm、好ましくは16N/mm~28N/mm、より好ましくは17N/mm~25N/mmである。上記下限値以上とすることで、回収時におけるモルタルパネル10の破損を抑制できる。一方、上記上限値以下とすることで、塩化物イオン量の測定などの分析時に、モルタルパネル10を微粉砕しやすくなり、測定サンプルの準備が容易となる。
モルタルパネル10の圧縮強度は、JIS A 1108に準拠して測定される。
モルタルパネル10にける塩化物イオンの見掛けの拡散係数は、例えば、10cm/年以上50cm/年以下、好ましくは20cm/年以上45cm/年以下である。これにより、コンクリート構造物の状態を安定的に評価できる。
モルタルパネル10にける塩化物イオンの見掛けの拡散係数は、JSCE-G 572-2018に準拠して測定される。
モルタルパネル10の裏面14に設置される密着層20は、シート状であればよく、その両面が接着可能な接着面を有する両面テープで構成されてもよい。
密着層20は、粘着剤からなる粘着層を備えてもよい。粘着層は、少なくとも主面22および裏面24のそれぞれに設けられていればよく、単層または複数層で構成されてもよい。密着層20は、複数層の粘着層の間に不織布やアクリルフォームなどの基材を有してもよい。
粘着剤は、公知の粘着材料が用いられるが、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系粘着剤などが用いられる。この中でも、コンクリート構造物への接着性や耐久性の観点から、アクリル系粘着剤が用いられる。
密着層20は、裏面14に対して垂直な方向から見たとき、1個のモルタルパネル10の面内方向において、単体で構成されてもよいが、複数枚で構成されていてもよい。
密着層20の形状は、裏面14に対して垂直な方向から見たとき、モルタルパネル10の外形に沿った形状でもよく、例えば、略正方形状または略長方形状でもよい。
密着層20の厚みは、例えば、0.3mm~3.0mm、好ましくは0.4mm~2.5mm、より好ましくは0.5mm~2.0mmである。上記下限値以上とすることで、長い測定期間にも使用可能となる。一方、上記上限値以下とすることで、狭い場所にも設置することができるため、実環境に近い状態での評価が可能となる。
密着層20は、モルタルパネル10の裏面14の全体を被覆してもよい、部分的に被覆してもよい。すなわち、モルタルパネル10の裏面14に対して垂直な方向から見たときに、裏面14の周縁領域の少なくとも一部に、密着層20が貼り付けされていない部分が形成されていてもよい。さらには、裏面14の周縁領域の全周囲に密着層20が形成されない領域があってもよい。
これにより、コンクリート構造物200に密着層20を介してモルタルパネル10を貼り付けたときに、コンクリート構造物200とモルタルパネル10との間に間隙が形成されるため、モルタルパネル10の引き剥がしが容易となる。よって、劣化診断ツール100の作業性を高めることができる。
モルタルパネル10の裏面14に対して垂直な方向から見たときに、裏面14を被覆する密着層20の被覆面積は、裏面14の全面積に対して、例えば、85%~95%、好ましくは87%~93%である。上記下限値以上とすることで、長い測定期間にも使用可能となる。一方、上記上限値以下とすることで、測定期間経過後、モルタルパネル10の取り外し作業が容易となる。
図3は、劣化診断ツール100の変形例の模式図であり、(a)は、劣化診断ツール100の側面図、(b)は、裏面側の上面図である。
劣化診断ツール100は、密着層20の裏面24に剥離可能な剥離層50を備えてもよい。
裏面24側の密着層20(両面テープ)から剥離層50(カバーフィルム)を剥がすことで、劣化診断ツール100の設置が可能な状態となる。よって、劣化診断ツール100の作業性を高められる。
なお、密着層20の裏面24とは、モルタルパネル10裏面と密着した主面22とは反対側に位置する面である。また、剥離層50により密着層20の接着面を保護することにより、使用の前にかかる接着面(裏面24)が汚染されることを抑制できる。
剥離層50は、公知の材料で構成されるが、例えば、シリコーン処理平面紙(剥離紙)、ポリエステル等で構成されてもよい。
また、劣化診断ツール100において、曝露面である劣化診断ツール100の主面12が露出されていればよく、その他の面、例えば、劣化診断ツール100の側面16に遮蔽層30が設けられてもよい。
例えば、略正方形状または直方形状を有するモルタルパネル10の4つの側面16のすべてに、遮蔽層30が被覆されてもよい。
遮蔽層30は、塩化物イオンまたは二酸化炭素を遮蔽するものであればよく、金属層に粘着材層が積層した金属シールテープ、例えばアルミテープを用いてもよい。側面16の全体がアルミテープで被覆されていてよい。これにより、環境曝露面を1面(主面12)とすることで、安定的な評価が可能な劣化診断ツール100を実現できる。
遮蔽層30には、図3(a)に示すように、ラベル40が形成されていてもよい。ラベル40は、印刷や筆記されたものでもよいが、刻印であってもよい。刻印のラベル40は、長期の測定期間後も認識性に優れる。例えば、アルミテープに刻印を施したものを遮蔽層30に使用できる。
ラベル40は、ロット番号、製造年月日などの各種情報を示すものとしてもよい。あるいは、設置前の初期のモルタルパネル10の質量などの初期情報を含んでもよい。これにより、トレーサビリティ性に優れた劣化診断ツール100となる。
モルタルパネル10は、セメントおよび細骨材を含むモルタル組成物の硬化体で構成されてもよい。
以下、モルタル組成物の原料や添加剤について説明する。
本実施形態に係るモルタル組成物は、原料として、セメント、細骨材、および水を含むものである。
セメントとして、公知の普通セメント、高炉セメントなどを使用できる。
細骨材として、ケイ石系細骨材(硅砂、セメント強さ用標準砂等)、アルミナ質細骨材等を使用できる。ケイ石系骨材やアルミナ質系骨材はセメントや塩化物イオンとほとんど反応しない。このため、モルタルパネルを用いた劣化診断安定性を向上できる。
細骨材には、石灰石系骨材を含まない構成としてもよい。石灰石系骨材を用いると、カルシウムアルミネートモノカーボネート水和物やカルシウムアルミネートヘミカーボネート水和物が生成し、モルタルパネルを用いた劣化診断安定性が低下する恐れがある。
水は、特に限定されないが、水道水、工業用水などを使用してもよい。
水/セメント比(W/C比)は、適度に調整すればよいが、例えば、30%~70%としてもよい。上記下限値以上とすることで、モルタルパネルの緻密さが適度になり、上記上限値以下とすることで、過度なポーラス化を抑制できる。
セメントと細骨材との比率は、例えば、質量比で、1:0.5~1:4としてもよい。細骨材の比率を0.5以上とすることで、均一なモルタルパネルの製造が可能となる。また、モルタルパネルの緻密さを適度に調整できる。一方、細骨材の比率を4以下とすることで、均一なモルタルパネルの製造が可能となり、モルタルパネルを用いた劣化診断安定性を向上できる。
モルタル組成物は、必要に応じて、減水剤、増粘材、消泡剤などの添加剤を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、分散剤、硬化促進剤、遅延剤等の他の添加剤を含んでもよい。
減水剤は、特に限定されないが、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系減水剤、芳香族アミノスルホン酸塩系減水剤、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系減水剤等を使用できる。
ポリアルキルアリルスルホン酸塩系減水剤として、例えば、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びアントラセンスルホン酸ホルマリン縮合物等の塩等が挙げられる。
その他、リグニンスルホン酸塩系減水剤、ポリオール系減水剤、及びオキシカルボン酸塩系減水剤等の一般減水剤を使用してもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
減水剤は、セメント100質量部に対して、例えば、0.05質量部~2.0質量部含まれていてもよい。減水剤を添加することで、モルタルが劣化し、大きくバラツキがあるポーラス構造が形成されることを抑制できる。
増粘剤は、特に限定されないが、メチルセルロース系、ポリエチレングリコールやエチレンオキサイド系、ポリアクリルアマイド等のアクリル系、及びポリビニルアルコール系等が挙げられるが、既に、水中不分離性混和剤として市販されているものを使用できる。増粘剤は、セメント100質量部に対して、例えば、0.05質量部~2.0質量部含まれていてもよい。
消泡剤は、特に限定されないが、オキシアルキレン系消泡剤(ポリエーテル系消泡剤)、シリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、鉱油系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤等を使用できる。消泡剤は、セメント100質量部に対して、例えば、0.05質量部~2.0質量部含まれていてもよい。
減水剤、増粘材および消泡剤の配合比率を適切に制御することで、ポーラス構造のバラツキが抑制されたモルタルパネルを実現することが可能になる。
原料(セメント、水、細骨材)や添加剤、W/C比を調整することで、コンクリートに比べて塩化物イオンの拡散係数が高いモルタルパネルを実現できる。これにより、飛来塩分を効率的に取り込むことが可能となり、短期間での分析や劣化診断が可能となる。
モルタル組成物は、上述の各材料(原料および添加剤)を混合する方法により得ることができる。混合方法は、特に限定されないが、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、予めその一部、或いは全部を混合しておいても差し支えない。材料の混練には混合装置を用いてもよい。混練時の回転速度や混練時間、材料の投入順序を、適宜設定する。
混合装置として、公知の装置を使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、オムニミキサー、プロシェアミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー及びナウターミキサー等が挙げられる。
<モルタルパネルの製造方法>
本実施形態に係るモルタルパネル10は、上記モルタル組成物を硬化することで得られる。
モルタルパネルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、モルタル組成物を型枠内に流し入れる工程、モルタル組成物を硬化養生する工程を含んでもよい。
図4は、モルタルパネルの製造に用いる型枠60の一例を模式的に示す斜視図である。
図4の型枠60は、モルタルパネル成形用型枠であり、型枠60内の成形空間66内にモルタル組成物を充填して、主面12、裏面14および側面16を備えるモルタルパネル10を成型できる。成形空間66は、モルタルパネル10の立体形状に合わせた構造を有してよく、例えば、略正方形や略直方体で構成されていてもよい。
型枠60の成形空間66は、モルタルパネル1枚分の体積で構成されてもよく、複数枚分の体積で構成されてもよい。成形空間66は、複数の仕切り板64で区画されてもよい。区画された個々の成形空間66は、モルタルパネル1枚分の体積で構成される。
型枠60は、金属材料で構成されていてもよく、繰り返し使用時の耐久性や製造安定性の観点から、金属材料として、鋼材を用いてもよい。
型枠60は、1または複数の金属部材で構成されてもよい。複数の金属部材が固定治具により固定されて、型枠60が構成される。固定治具を外すと脱型できるため、脱型が容易となる。
仕切り板64は、型枠60に固定されていればよく、型枠60と一体化して設けられてもよく、取り外し自在の可動板でもよい。型枠60を可動板で構成することで、脱型が容易となる。
上記の型枠60を用いてモルタル組成物の流し込みを行う。モルタルパネル10の側面16の一面に対応する枠を有しない型枠60の上面開口から、モルタル組成物を流し込み、成形空間66を充填させる。上面開口からはみ出たものは、スキージなどの器具を使用して除去してよい。また、上面開口部分のモルタル組成物に平滑処理を施してもよい。
振動装置を用いて型枠60を振動させてもよい。モルタル組成物の流し込み時や、流し込み後に型枠60を振動させてもよい。これにより、ロット間のバラツキを抑制できる。
次に、モルタル組成物が充填された型枠60を養生する。養生方法としては、蒸気養生を行う。
蒸気養生において、加熱時間、昇温・降温速度を適切に調整する。これによって、モルタル組成物を硬化養生する。
蒸気養生の条件を適切に選択するにより、水和反応を十分に進め、使用時に鉱物組成の変化を抑制できる。このため、より細孔が均一化するため、安定した測定が可能な劣化診断ツール100を実現できる。
その後、型枠60の脱型を行い、1個または複数個のモルタルパネル10が得られる。
1個のモルタルバーからダイヤモンドカッターで切断して、複数個のモルタルパネル10を得てもよい。モルタルパネル10におけるロット間のバラツキを抑制する観点から、仕切り板64を用いて、1つの型枠60から複数のモルタルパネル10を成形する手法が好ましい。
得られたモルタルパネル10に密着層20を貼付けて劣化診断ツール100を得る。
劣化診断ツール100は、包装袋に収容して保管してもよい。モルタルパネル10の諸特性のバラツキが少ないものを複数個選別し、それを同じ包装袋に収容してもよい。
図5は、劣化診断ツール100を包装袋310に収容してなるパッケージ300の模式図を示す。
図5のパッケージ300は、1枚または2枚以上の劣化診断ツール100と、劣化診断ツール100を収容する包装袋310とを備えるものである。
包装袋310は、例えば、3枚の劣化診断ツール100を収容してもよい。複数枚の劣化診断ツール100は、包装袋310中で積層した状態で収容されてもよい。モルタルパネル10の間には密着層20の裏面24上に設けられた剥離層50が、緩衝材の機能を発揮し得る。積層することでモルタルパネル10が互いに接触して破損してしまうことを抑制できる。
包装袋310は、アルミラミネートフィルムで構成されたアルミパウチでもよい。アルミラミネートフィルムは、アルミニウム層と樹脂層とが積層されたラミネートフィルムであってもよい。なお、包装袋310は、アルミニウムや樹脂以外にも、ガスバリア性を高め、水蒸気透過率を低くする目的で、他の材料を含んでもよい。
包装袋310の厚みは、特に限定されないが、50μm以上300μm以下であり、より好ましくは80μm以上250μm以下であり、さらに好ましくは100μm以上200μm以下である。上記下限値以上とすることで、包装袋310の機械的強度やガスバリア性を向上できる。上記上限値以下とすることで、包装袋310の取扱性が向上する。
包装袋310の形態としては、例えば、スタンディングパウチ、2方シール、3方シール、4方シール等が用いられる。
包装袋310の内部は、脱気されていてもよく、不活性ガス雰囲気に保たれていてもよい。
包装袋310には、開閉自在なチャック320が設けられていてもよい。包装袋310から取り出した劣化診断ツール100を、測定期間経過後に再度、包装袋310に収容できる。
また、チャック320付きの包装袋310には、表面に筆記可能なシール(ラベル)が設けられていてもよい。これにより、回収時にも、劣化診断ツール100の識別が容易となる。
パッケージ300は、段ボール箱やプラスチックケースなどの箱に梱包される。すなわち、梱包箱は、複数のパッケージ300と、これを収容する箱を備える。これにより、パッケージ300の搬送効率を高めることができる。
梱包箱中、パッケージ300の周囲の少なくとも一部が緩衝材で覆われていてもよい。緩衝材には、公知の緩衝材、例えば、気泡緩衝シートや紙などが使用し得る。
本実施形態のコンクリート構造物の劣化診断ツール100の詳細について説明する。
本発明者の知見によれば、密着層を設けたモルタルパネルを用いることで回収作業が容易となるが、密着層の密着力が過度に高くなると、回収時にモルタルパネル自身破損やコンクリート構造物の表面の劣化が生じる恐れがあり、密着層の密着力が過度に小さくなると、評価の途中でコンクリート構造物の表面からモルタルパネルが剥がれ落ちる恐れがあることが分かった。
そこで、モルタルパネル10の裏面14の面積をS(cm)、モルタルパネル10の質量をW(g)、密着層20の23℃における剪断密着力をF1(N/cm)としたとき、F1/(W/S)を指標とすることで、コンクリート構造物への密着安定性とともに被着体の劣化具合について安定的に評価できることが判明した。
劣化診断ツール100は、F1/(W/S)が、4.0以上1.0×10以下を満たすものである。
劣化診断ツール100のF1/(W/S)の下限は、4.0以上、好ましくは5.0以上、より好ましくは10.0以上である。これにより、劣化診断ツール100の密着安定性を向上できる。一方、劣化診断ツール100のF1/(W/S)の上限は、例えば、1.0×10以下、好ましくは5.0×10以下、より好ましくは3.0×10以下である。これにより、劣化診断ツール100やコンクリート構造物200の表面などの密着層20の被着体の劣化を抑制できる。
また、劣化診断ツール100は、F2/(W/S)が、3.0以上5.0×10以下を満たしてもよい。これにより、夏場などの高温環境に曝露したコンクリート構造物200においても、密着安定性や被着体の劣化抑制が可能となる。
劣化診断ツール100のF2/(W/S)の下限は、3.0以上、好ましくは5.0以上、より好ましくは10.0以上である。これにより、高温環境においても、劣化診断ツール100の密着安定性を向上できる。一方、劣化診断ツール100のF2/(W/S)の上限は、例えば、5.0×10以下、好ましくは3.0×10以下、より好ましくは2.0×10以下である。これにより、高温環境においても、劣化診断ツール100やコンクリート構造物200の表面などの密着層20の被着体の劣化を抑制できる。
密着層20の、23℃における剪断密着力F1、50℃における剪断密着力F2は、以下の手順に従って測定されてもよい。
(手順)
SUS304、BA仕上げの2枚のステンレス板を準備し、密着層20を2枚のステンレス板の間に配置した後、質量2kgの圧着ローラーを用いて、1往復ローラー圧着する。室温24時間養生した後、23℃雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で、密着層20の剪断密着力(F1)を測定する。
50℃雰囲気下とした以外は、F1と同様にして、密着層20の剪断密着力(F2)を測定する。
本実施形態では、たとえばモルタル組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、モルタル組成物の調製方法やモルタルパネルの作製方法等を適切に選択することにより、上記寸法、密度、および圧縮強度を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、減水剤の使用、混練条件、振動条件、養生条件、可動型の仕切り付きの型の使用などを適切に選択すること等が、上記寸法、密度、および圧縮強度を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
<モルタル組成物の調整>
(試験例1)
セメント(デンカ社製、普通セメント)628.0g、減水剤(第一工業製薬社製、セルフロー110P、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系減水剤)2.4g、増粘剤(信越化学工業社製、MH4000P2、メチルセルロース系増粘剤)3.4g、消泡剤(サンノプコ社製、SN デフォーマー 14HP、ポリエーテル系消泡剤)3.4gを秤量し、混合した。これらの混合物に、標準砂((一社)セメント協会、セメント強さ試験用標準砂)1350.0g、水(水道水)376.8gを加え(水/セメント比:60%)、ミキサーを用いて、低速、停止、低速の順で回転条件を変更しながら混練を行い、モルタル組成物Aを得た。
(試験例2)
減水剤を使用せず、回転条件を低速、高速の順に変更した点以外は、上記の試験例1と同様にして、モルタル組成物Bを得た。
<モルタルパネル・劣化診断ツールの作製>
(実施例1)
可動式の仕切り板64で仕切られた複数の成形空間66を備える図4の型枠60を準備する。
テーブルバイブレータを用いて、型枠60を下記の条件で振動させつつ、得られたモルタル組成物Aを、型枠60の成形空間66のそれぞれに流し込んだ。
テーブルバイブレータの振動条件:
・時間:6分
・振動電動機の回転数:2800±50rpm
・振動台:全振幅0.8±0.05mm
25℃、相対湿度85%の恒温恒湿室内に、型枠60を静置し、下記の条件で蒸気養生を行った。
蒸気養生の条件:
・25℃から85℃まで、6時間かけて昇温する。
・85℃を、3時間保持する。
・自然冷却で、25℃まで降温する。
・25℃で1時間静置する。
蒸気養生の後、型枠60の固定治具を取り外し、型枠60を脱型して、板状のモルタルパネルAを得た。モルタルパネルAは、厚み:5.0mm×縦:4.0cm×横:4.0cmの略直方形状、16.00gの質量を有していた。ノギスを用いて寸法を測定し、精密天秤を用いて質量を計量した。
アクリル系粘着両面テープ(3M社製、4485、テープ厚み:0.5mm、片面に剥離紙付き)を、縦:3.8cm×横:3.8cmにカットした。カットしたテープの粘着面を、モルタルパネルAの裏面に図1(a)に示すように貼り付けた。以上より、劣化診断ツールa1を得た。
(実施例2)
アクリル系粘着両面テープ(3M社製、4481MH、テープ厚み:1.0mm、片面に剥離紙付き)を使用した以外は、実施例1と同様にして、劣化診断ツールa2を得た。
(実施例3)
アクリル系粘着両面テープ(3M社製、4425-20、テープ厚み:2.0mm、片面に剥離紙付き)を使用した以外は、実施例1と同様にして、劣化診断ツールa3を得た。
(実施例4)
仕切り板64による仕切り位置を変動させ、型枠60の成形空間66を拡張することにより、得られたモルタルパネルAの厚みを15.00mm、その質量を48.00gとした以外は、実施例1と同様にして、劣化診断ツールa4を得た。
(実施例5)
仕切り板64による仕切り位置を変動させ、型枠60の成形空間66を縮小することにより、得られたモルタルパネルAの厚みを2.00mm、その質量を6.40gとした以外は、実施例1と同様にして、劣化診断ツールa5を得た。
(比較例1)
仕切り板を有さずに一つの成形空間を備える型枠を準備する。
得られたモルタル組成物Bを、振動させずに、型枠の成形空間に流し込んだ。
20℃、相対湿度80%の恒温恒湿室内に、型枠を静置し、下記の条件で蒸気養生を行った。
蒸気養生の条件:
・20℃を、4時間保持する。
・20℃から80℃まで、4時間かけて昇温する。
・80℃を、4時間保持する。
・自然冷却で、20℃まで降温する。
蒸気養生の後、型枠の固定治具を取り外し、型枠を脱型して、モルタルバーを得た。
得られたモルタルバーを、ダイヤモンドカッターにて所定の厚みに切断して、板状のモルタルパネルBを得た。
モルタルパネルBは、厚み:25.0mm×縦:4.0cm×横:4.0cmの略直方形状、80.00gの質量を有していた。ノギスを用いて寸法を測定し、精密天秤を用いて質量を計量した。
アクリル系粘着両面テープ(3M社製、4405、テープ厚み:2.0mm、片面に剥離紙付き)を、縦:3.8cm×横:3.8cmにカットした。カットしたテープの粘着面を、モルタルパネルBの裏面に貼り付けた。以上より、劣化診断ツールb1を得た。
各実施例・比較例の劣化診断ツールについて、質量W(g)、裏面の面積S(cm)、両面テープの23℃における剪断密着力F1、50℃における剪断密着力F2を、表1に示す。
両面テープの23℃における剪断密着力F1、50℃における剪断密着力F2について、以下の手順に準拠して測定した。
(手順)
SUS304、BA仕上げの2枚のステンレス板を準備し、剥離紙を除去した両面テープ(密着層)を2枚のステンレス板の間に配置した後、質量2kgの圧着ローラーを用いて、1往復ローラー圧着する。室温24時間養生した。その後、23℃雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で、両面テープの剪断密着力(F1)を測定した。
同様にして、50℃雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で、両面テープの剪断密着力(F2)を測定した。
Figure 0007138068000001
<密着安定性評価>
各実施例・比較例の劣化診断ツールの両面テープから剥離紙を剥離した後、所定厚みを有する板状の透明性基板(ポリプロピレンフィルム)の表面に、その両面テープの粘着面を貼り付けた。
平面台の平面に、表面とのなす角が90度となるように透明性基板を90度設置した。劣化診断ツールが貼り付けられた面とは反対側の面から透明性基板を観察し、90度設置前後における鉛直方向での両面テープの長さの変形量(mm)の最大値を測定した。また測定を3回行い、その平均値を算出した。
比較例1のモルタルパネルb1において、鉛直方向での両面テープの長さの変形量の最大値は、平均値が大きく、測定毎の測定値のバラツキも大きいことが示された。
これに対して、実施例1~5のモルタルパネルa1~a5においては、鉛直方向での両面テープの長さの変形量の最大値は、平均値が比較的小さく、測定毎の測定値のバラツキも小さいことが示された。また、変形量の平均値は、実施例4、実施例3、実施例2、実施例1、実施例5の順に小さくなった。
<被着体の劣化評価>
(比較例2)
試験例2のモルタル組成物Bの水/セメント比を調整して、モルタルペーストを得た。
比較例1と同様にして、厚み:約5mm×縦:約4cm×横:約4cmの略直方形状のモルタルパネルb2を得た。
このモルタルパネルb2を、モルタルペーストを介してコンクリートパネル構造物の平坦面に貼り付け、該モルタルペーストを硬化させることによって強固に接着させた。その後、コンクリートパネル構造物からモルタルパネルb2を引き剥がし、モルタルペーストの被着体の状態について観察した。
この引き剥がし試験を複数回行った結果、モルタルパネルb2の一部に破損や割れが発生すること、あるいは、コンクリートパネル構造物の表面に剥離が生じることが分かった。
これに対して、実施例1~5劣化診断ツールの両面テープから剥離紙を剥離して、その粘着面を、屋外のコンクリート構造物の平坦面に接着させた後で、引き剥がし操作を行った。この引き剥がし試験を複数回行い、その結果、両面テープは、モルタルパネルとコンクリートパネル構造物の間に板状部材を差し込むことにより、比較的簡単に着脱可能であった。このとき、モルタルパネルの破損や割れ、コンクリートパネル構造物の表面の剥離は観察されなかった。
<劣化診断ツールの作業性>
実施例1~5の劣化診断ツールにおいて、アルミ製シールの粘着面を、モルタルパネルの側面の4面の全体に、図3(b)に示すように貼り付けた。
この劣化診断ツールの両面テープから剥離紙を剥離して、その粘着面を、屋外のコンクリート構造物の平坦面に接着させた。劣化診断ツールを、数ヶ月(1ヶ月以上、1年未満)の間暴露した後、回収して、分析することにより、各モルタルパネル中に含まれる全塩化物イオン量を分析した。実施例1~5の劣化診断ツールは、コンクリート構造物からのモルタルパネルの設置、および回収が容易であり、曝露期間中、安定して設置面に固定されていた。また、各モルタルパネル中の全塩化物イオン量についても、安定的に測定できた。
したがって、各実施例の劣化診断ツールを用いることで、劣化診断ツールを固定した付近のコンクリートの状況を安定的に推定することができる。
10 モルタルパネル
12 主面
14 裏面
16 側面
20 密着層
22 主面
24 裏面
30 遮蔽層
40 ラベル
50 剥離層
60 型枠
64 仕切り板
66 成形空間
100 劣化診断ツール
200 コンクリート構造物
202 桁
204 橋脚床板
210 構造体
300 パッケージ
310 包装袋
320 チャック

Claims (11)

  1. コンクリート構造物のおかれた環境に曝露される主面と、前記コンクリート構造物またはその近傍に存在する構造体に対する貼り付け面となる裏面とを有する、板状のモルタルパネルで構成されるコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記モルタルパネルの前記裏面に密着層を備え、
    前記裏面の面積をS(cm
    前記モルタルパネルの質量をW(g)
    下記の手順に従って測定される、前記密着層の23℃における剪断密着力をF1(N/cm)としたとき、
    F1/(W/S)が、4.0以上1.0×10以下である、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
    (手順)
    SUS304、BA仕上げの2枚のステンレス板を準備し、前記密着層を2枚のステンレス板の間に配置した後、質量2kgの圧着ローラーを用いて、1往復ローラー圧着する。室温24時間養生した後、23℃雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で、前記密着層の剪断密着力(F1)を測定する。
  2. 請求項1に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    下記の手順に従って測定される、前記密着層の50℃における剪断密着力をF2(N/cm
    としたとき、
    F2/(W/S)が、3.0以上5.0×10以下である、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
    (手順)
    SUS304、BA仕上げの2枚のステンレス板を準備し、前記密着層を2枚のステンレス板の間に配置した後、質量2kgの圧着ローラーを用いて、1往復ローラー圧着する。室温24時間養生した後、50℃雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で、前記密着層の剪断密着力(F2)を測定する。
  3. 請求項1または2に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記モルタルパネルの前記裏面に対して垂直な方向から見たときに、前記裏面の周縁領域の少なくとも一部に、前記密着層が貼り付けされていない部分がある、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記モルタルパネルの前記裏面に対して垂直な方向から見たときに、前記裏面を被覆する前記密着層の被覆面積は、前記裏面の全面積に対して、85%以上95%以下である、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記密着層の厚みは、0.3mm以上3.0mm以下である、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記密着層は、粘着剤からなる粘着層を備える、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記モルタルパネル前記裏面と密着した主面とは反対側の、前記密着層の裏面に剥離可能な剥離層を備える、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    JIS A 1108に準拠して測定される、前記モルタルパネルの圧縮強度は、15N/mm以上30N/mm以下である、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記モルタルパネルの厚みは、3mm以上20mm以下である、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記モルタルパネルの側面に、塩化物イオンまたは二酸化炭素を遮蔽する遮蔽層が設けられている、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の劣化診断ツールであって、
    前記モルタルパネルは、セメントおよび細骨材を含むモルタル組成物の硬化体で構成される、
    コンクリート構造物の劣化診断ツール。
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