JP2018059298A - 腐食防止フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリート構造物の老朽化および水膨れを簡易な工法で抑制できる腐食防止フィルムを提供する。【解決手段】基材1と、基材1の一方の面に配置された無機材料バリア層2a1および金属材料バリア層の少なくとも一方を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層2と、を有する腐食防止フィルム10とする。【選択図】図1

Description

本開示は、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを簡易な工法で抑制できる腐食防止フィルムに関するものである。
コンクリート構造物の老朽化の原因としては、二酸化炭素や塩化ナトリウムの侵入が知られている。
例えば、コンクリート構造物に対して二酸化炭素が侵入した場合には、コンクリートを構成するセメント水和物の炭酸化反応を生じ、鉄筋等の鋼材周辺が中性化することで進行する鋼材の腐食(中性化)や、塩化ナトリウムが侵入した場合には、これにより生じた塩化物イオンによる鋼材表面の不導態皮膜の破壊(塩害)が発生する。
このようなコンクリート構造物の老朽化抑制方法として、様々な方法が知られているが、例えば、塩化物イオンや水等の老朽化因子の侵入を防ぐことを目的とした方法としては、コンクリート構造物表面を、有機系または無機系の表面被覆材料により被覆する表面被覆方法や、有機系または無機系の腐食防止材料をコンクリート内に含浸させる表面含浸工法が知られている。
また、特許文献1では、老朽化抑制方法として、表面被覆方法と共にメッシュシートを併用する方法が記載されている。
さらに、コンクリート構造物内に塩化物イオンが侵入し、例えば、構造物内の鋼材の腐食や、鋼材周辺のコンクリートの剥離等が開始している場合には、老朽化抑制方法として、塩化物イオンが侵入しているコンクリートをはつり取り、その断面欠損部分を断面修復する断面修復工法や、コンクリート構造物表面に陽極材を設置し、コンクリート構造物内の鋼材を陰極として直流電流(防食電流)を流すことで、塩化物イオンを除去する脱塩工法、鋼材の腐食進行を抑制する電気防食工法等が知られている。
特開2011−73933号公報
ところで、老朽化の原因である二酸化炭素の侵入による中性化では、コンクリートを構成する水酸化カルシウムと二酸化炭素とにより炭酸化反応を生じるが、その炭酸化反応の際に、水分が発生する。
しかしながら、表面被覆方法、表面含浸工法や、特許文献1に記載の方法等では、コンクリート構造物表面を覆う表面被覆材料膜等により、例えば、その水分がコンクリート構造物から放出することが妨げられることで水膨れが生じ、コンクリート構造物の内部破損が生じる可能性がある。
また、断面修復工法、脱塩工法、電気防食工等の方法は、大がかりな工事が必要であり、高コストとなるといった問題がある。
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを簡易な工法で抑制できる腐食防止フィルムを提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本開示は、基材と、上記基材の一方の面に配置された無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層と、を有する腐食防止フィルムを提供する。
本開示によれば、腐食防止バリア層として、無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含むことにより、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層を容易に形成可能となる。
また、上記腐食防止フィルムは、基材および腐食防止バリア層を有するフィルム状であるため、コンクリート構造物に貼付する簡易な工法で、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを抑制できる。
本開示においては、上記無機材料バリア層を構成する無機材料が、珪素、珪素アルミニウム合金、ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物の少なくとも1種であることが好ましい。上記無機材料であることにより、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性に優れた腐食防止バリア層の形成が容易となるからである。
本開示においては、上記腐食防止バリア層が、上記無機材料バリア層を含み、さらに、上記無機材料バリア層の表面を覆うオーバーコート層を有することが好ましい。オーバーコート層は、無機材料バリア層に発生したピンホールを安定的に被覆することができ、腐食防止バリア層のバリア性、すなわち、水蒸気透過性と二酸化炭素および塩化ナトリウムのバリア性とに優れた腐食防止バリア層の形成が容易となるからである。
本開示においては、上記金属材料バリア層を構成する金属材料が、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、ニオブ、鉄、およびアルミニウム亜鉛合金であることが好ましい。上記金属材料であることにより、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性に優れた腐食防止バリア層の形成が容易となるからである。
本開示においては、上記腐食防止バリア層の露出面側の面を覆う撥水層を有することが好ましい。上記撥水層を有することにより、本開示の腐食防止フィルムは、水蒸気透過性、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性等を安定的に維持可能となるからである。
本開示は、クラックを有するコンクリート構造物の上記クラックに対して充填剤を充填する充填工程と、上記充填工程後に、上記クラックを覆うように上記コンクリート構造物の表面に腐食防止フィルムを貼付する腐食防止フィルム貼付工程と、を有し、上記コンクリート構造物を修復する施工方法であって、上記腐食防止フィルムは、基材と、上記基材の一方の面に配置された無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層と、を有するものである施工方法を提供する。
本開示によれば、上記腐食防止フィルムを用いることにより、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを容易に抑制可能となる。
本開示は、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを簡易な工法で抑制できる腐食防止フィルムを提供できるという効果を奏する。
本開示の腐食防止フィルムの一例を示す概略断面図である。 本開示の腐食防止フィルムの他の例を示す概略断面図である。 本開示の腐食防止フィルムの他の例を示す概略平面図および断面図である。 本開示の腐食防止フィルムの他の例を示す概略断面図である。 本開示の施工方法の一例を示す工程図である。
本開示は、腐食防止フィルムおよび施工方法に関するものである。
以下、本開示の腐食防止フィルムおよび施工方法について詳細に説明する。
A.腐食防止フィルム
本開示の腐食防止フィルムは、基材と、上記基材の一方の面に配置された無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層と、を有するものである。
このような本開示の腐食防止フィルムについて図面を参照して説明する。
図1は、本開示の腐食防止フィルムの一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本開示の腐食防止フィルム10は、基材1と、上記基材1の一方の面に配置された無機材料バリア層2a1を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層2と、を有するものである。
なお、この例では、腐食防止バリア層2は、バリア層として無機材料バリア層2a1のみを含み、さらに、無機材料バリア層2a1の上記基材1が形成された面を覆うオーバーコート層2bを有するものである。
本開示によれば、腐食防止バリア層として、無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含むことにより、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層を容易に形成可能となる。
また、上記腐食防止バリア層を有することにより、上記腐食防止フィルムは、コンクリート構造物を被覆するように配置されることで、例えば、周辺環境からコンクリート構造物等のコンクリート構造物内への二酸化炭素の侵入および塩化ナトリウム等に起因する塩化物イオンの侵入を抑制できる。
さらに、上記腐食防止バリア層を有することにより、上記腐食防止フィルムは、コンクリート構造物を被覆するように配置されることで、例えば、コンクリート構造物内で発生した水分等を周辺環境に放出可能となり、コンクリート構造物内に水分が蓄積する水膨れの不具合を抑制し、水膨れによるコンクリート構造物の内部破損の発生を抑制できる。
また、上記腐食防止フィルムは、基材および腐食防止バリア層を有するフィルム状であるため、例えば、腐食防止フィルムに含まれる接着層等を介してコンクリート構造物貼付する等の簡易な工法でコンクリート構造物に固定できる。
このようなことから、本開示の腐食防止フィルムは、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを簡易な工法で抑制できる。
本開示の腐食防止フィルムは、基材および腐食防止バリア層を有するものである。
以下、本開示の腐食防止フィルムの各構成について説明する。
1.腐食防止バリア層
上記腐食防止バリア層は、上記基材の一方の面に配置された無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する層である。
上記腐食防止バリア層は、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有するもの、すなわち、水蒸気を透過するとの機能と、二酸化炭素および塩化ナトリウムの透過を妨げる機能と、を同時に有するものである。
ここで、水蒸気透過性を有するとは、コンクリート構造物の水膨れを抑制可能なものであればよく、例えば、水蒸気透過率の下限としては、1g/(m・24h)以上とすることができる。
本開示においては、上記腐食防止バリア層の水蒸気透過率の下限が、5g/(m・24h)以上であることが好ましく、なかでも、10g/(m・24h)以上であることが好ましい。上記水蒸気透過率の下限が上述の範囲であることで、水膨れを安定的に抑制可能となるからである。
また、上記腐食防止バリア層の水蒸気透過率の上限については、コンクリート構造物の水膨れを抑制可能となる観点からは大きいほど好ましいが、例えば、1000g/(m・24h)以下とすることができる。上記水蒸気透過率の上限が上述の範囲であることで、腐食防止バリア層は、材料選択の自由度に優れたものとなるからである。
なお、水蒸気透過率は、JIS K 7129に準拠した方法で得ることができ、例えば、40℃、100%Rhの条件で得ることができる。
また、二酸化炭素のバリア性を有するとは、コンクリート構造物の老朽化を抑制できるものであればよく、例えば、上記腐食防止バリア層の二酸化炭素透過率の上限としては、1.0×10cc/(m・24h・atm)以下とすることができ、1.0×10−1cc/(m・24h・atm)以下であることが好ましく、なかでも、1.0×10−3cc/(m・24h・atm)以下であることが好ましい。上記二酸化炭素透過率の上限が上述の範囲であることで、コンクリート構造物の老朽化を安定的に抑制可能となるからである。
また、上記腐食防止バリア層の二酸化炭素透過率の下限としては、コンクリート構造物の老朽化を抑制する観点からは小さいほど好ましいが、例えば、1.0×10−7cc/(m・24h・atm)以上とすることができる。上記二酸化炭素透過率の下限が上述の範囲であることで、腐食防止バリア層は、材料選択の自由度に優れたものとなるからである。
なお、本開示において二酸化炭素透過率は、JIS K 7126に準拠した方法で得ることができ、例えば、23℃、60%Rhの条件で得ることができる。
塩化ナトリウムのバリア性を有するとは、コンクリート構造物の老朽化を抑制できるものであればよく、例えば、腐食防止バリア層の塩化ナトリウム水蒸気(5質量%)の透過率の上限が、1.0×10g/(m・24h)以下とすることができ、なかでも1.0×10−2g/(m・24h)以下であることが好ましく、特に、1.0×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。上記塩化ナトリウム水蒸気の透過率(以下、食塩水透過率と称する場合がある。)が上述の範囲内であることで、コンクリート構造物の老朽化を安定的に抑制可能となるからである。
また、上記腐食防止バリア層の食塩水透過率の下限としては、コンクリート構造物の老朽化を抑制する観点からは小さいほど好ましいが、例えば、1.0×10−7g/(m・24h)以上とすることができる。上記食塩水透過率の下限が上述の範囲であることで、腐食防止バリア層は、材料選択の自由度に優れたものとなるからである。
なお、本開示において食塩水透過率は、JIS Z 0208の「防湿包装材料の透湿度試験方法」に準拠して、5%塩化ナトリウム水溶液を用いたカップ法で、40℃、湿度90%Rhの条件で得ることができる。
上記腐食防止バリア層は、遮光性を有するものであってもよいが、透明性を有するものであることが好ましい。
ここで、透明であるとは、本開示の腐食防止フィルムを被覆対象であるコンクリート構造物に固定した状態で、コンクリート構造物の表面状態を目視で確認可能なものであればよく、例えば、腐食防止バリア層の全光線透過率が、70%以上であるものとすることができ、なかでも、80%以上であることが好ましく、特に、90%以上であることが好ましい。
なお、全光線透過率については、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
(1)バリア層
上記腐食防止バリア層は、バリア層として、無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含むものである。
上記バリア層は、既に説明した図1および図2(a)に例示するように、無機材料バリア層2a1および金属材料バリア層2a2のいずれか一方のみを含むものであってもよい。
また、上記バリア層は、図2(b)に例示するように、例えば、基材1側から、金属材料バリア層2a2および無機材料バリア層2a1がこの順で積層したもののように、無機材料バリア層2a1および金属材料バリア層2a2の両者を含むものであってもよい。
本開示においては、なかでも、上記バリア層が、無機材料バリア層を含むことが好ましい。上記バリア層として無機材料バリア層を用いることで、上記腐食防止バリア層は、透明性を有するものとすることが容易となるからである。また、無機材料バリア層は、周辺環境の水分、酸素等による影響を受けにくいため、腐食防止バリア層は、そのバリア性等の安定性に優れたものとなるからである。
(a)無機材料バリア層
上記無機材料バリア層は、上記基材の一方の面に配置される層である。
上記無機材料バリア層を構成する無機材料としては、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有するものであればよく、例えば、無機物質ならびに無機物質の酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物を挙げることができ、なかでも、無機物質ならびに無機物質の酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物であることが好ましく、特に、無機物質の酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物を好ましく用いることができる。上記無機材料は、水蒸気透過性と、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性と、に優れた腐食防止バリア層の形成が容易となるからである。
上記無機物質としては、金属以外の無機物を含むものを用いることができる。
上記無機物質としては、具体的には、無機物単体、無機物および金属の合金等を挙げることができる。
なお、無機物および金属の合金としては、無機物および金属の含有量がそれぞれ20質量%以上であるものとすることができる。
本開示においては、上記無機物質が、珪素、珪素アルミニウム合金等であることが好ましく、なかでも、珪素であることが好ましい。
すなわち、本開示においては、上記無機材料が、珪素、珪素アルミニウム合金ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物であることが好ましく、特に、珪素ならびにその酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物であることが好ましい。
上記無機材料であることにより、水蒸気透過性と、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性と、に優れた腐食防止バリア層の形成が容易となるからである。
本開示においては、透明性に優れた無機材料バリア層を得るとの観点からは、上記無機材料が、珪素の酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物であることが好ましい。上記無機材料であることにより、腐食防止バリア層は、透明性を有するものとすることが容易となるからである。
また、上記無機材料としての金属の酸化物、窒化物および酸窒化物としては、具体的には、アルミニウムの酸化物、窒化物および酸窒化物等を挙げることができる。
上記無機材料バリア層の層構造としては、単層構造であってもよく、2層以上が積層した積層構造であってもよい。
また、積層構造である場合、各層を構成する無機材料は同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
さらに、積層構造である場合、各層は、形成方法が同一方法であってもよく、異なる方法であってもよい。
例えば、上記無機材料バリア層は、気相法で形成された蒸着膜層、液相法で形成された湿式膜層がこの順で積層した積層構造を有するものとすることができる。
なお、積層構造であるとは、通常、無機材料バリア層同士が直接接触し、かつ、互いに密着していることをいうものである。また、積層構造である場合の無機材料バリア層は、腐食防止バリア層内において1層の無機材料バリア層とみなされるものである。
上記無機材料バリア層の厚みとしては、所望の水蒸気透過性と、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性と、を有する腐食防止バリア層を形成可能な厚みであればよい。
上記厚みは、無機材料バリア層の構成材料によっても異なるものであるが、例えば、厚みの下限としては、5nm以上とすることができ、その上限としては、200nm以下とすることができる。上記厚みの上限および下限がそれぞれ上述の範囲であることにより、無機材料バリア層は、水蒸気透過性等を容易に調整可能となるからである。
なお、上記厚みは、上記無機材料バリア層が積層構造である場合には、合計の厚みをいうものである。
無機材料バリア層の形成方法としては、所望の平面視形状および厚みの無機材料バリア層を形成可能な方法であれば特に限定されるものではない。
上記形成方法は、具体的には、真空蒸着法、スパッタリング、パルスレーザーアブレーション(PLD)法等の物理気相成長法や、プラズマCVD法等の化学気相成長法等の気相法(ドライプロセス)、ゾルゲル法、液相析出法、スプレー法、パイロゾル法等の液相法(ウェットプロセス)等を用いることができる。
なお、上記形成方法は、無機材料バリア層の平面視形状がパターン状である場合、マスクにより無機材料バリア層を形成しない領域を被覆した状態で、気相法または液相法等を用いて無機材料バリア層を形成する方法を挙げることができる。
(b)金属材料バリア層
上記金属材料バリア層を構成する金属材料としては、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、ニオブ、鉄、およびアルミニウム亜鉛合金等を挙げることができ、なかでも、アルミニウム、亜鉛、クロム等であることが好ましく、特に、アルミニウム、亜鉛等であることが好ましい。上記金属材料であることにより、水蒸気透過性と、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性と、に優れた腐食防止バリア層の形成が容易となるからである。
上記金属材料バリア層の層構造としては、単層構造であってもよく、2層以上が積層した積層構造であってもよい。
また、積層構造である場合、各層を構成する金属材料は同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
なお、積層構造であるとは、通常、金属材料バリア層同士が直接接触し、かつ、互いに密着していることをいうものである。また、積層構造である場合の金属材料バリア層は、腐食防止バリア層内において1層の金属材料バリア層とみなされるものである。
上記金属材料バリア層の厚みとしては、所望の水蒸気透過性と、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性と、を有する腐食防止バリア層を形成可能な厚みであればよい。
上記厚みは、金属材料バリア層の構成材料によっても異なるものであるが、例えば、厚みの下限としては、5nm以上とすることができ、その上限としては、200nm以下とすることができる。上記厚みの上限および下限がそれぞれ上述の範囲であることにより、金属材料バリア層は、水蒸気透過性等を容易に調整可能となるからである。
なお、上記厚みは、上記金属材料バリア層が積層構造である場合には、合計の厚みをいうものである。
金属材料バリア層の形成方法としては、所望の平面視形状および厚みの金属材料バリア層を形成可能な方法であれば特に限定されるものではない。
上記形成方法は、具体的には、上記「(a)無機材料バリア層」の項に記載の気相法(ドライプロセス)等を用いることができる。
なお、上記形成方法は、金属材料バリア層の平面視形状がパターン状である場合、マスクにより金属材料バリア層を形成しない領域を被覆した状態で、気相法を用いて金属材料バリア層を形成する方法を挙げることができる。
(2)オーバーコート層
上記腐食防止バリア層は、バリア層として無機材料バリア層を含む場合、既に説明した図1に示すように、無機材料バリア層2a1の表面を覆うオーバーコート層2bを有するものであってもよい。
本開示においては、上記オーバーコート層を有することにより、例えば、無機材料バリア層に発生したピンホールを安定的に被覆することができる結果、無機材料バリア層のバリア性低下を抑制可能となり、例えば、腐食防止バリア層のバリア性、すなわち、水蒸気透過性と二酸化炭素および塩化ナトリウムのバリア性とに優れた腐食防止バリア層の形成が容易となるからである。
上記オーバーコート層としては、無機材料バリア層に発生したピンホールを被覆し、水蒸気透過性と二酸化炭素および塩化ナトリウムのバリア性とに優れた腐食防止バリア層を形成可能なものであればよい。
このようなオーバーコート層としては、例えば、金属アルコキシドおよび水溶性高分子をシランカップリング剤等と混合し、ゾルゲル法等により重縮合されて形成された有機−無機複合層を挙げることができる。
また、上記オーバーコート層としては、ポリビニルアルコール(PVA)、もしくはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)の単独、またはこれらの混合物、あるいは、これらに芳香族酸エステル、芳香族ポリアミド、金属塩等の架橋剤を添加するか、もしくは無機フィラーの添加により架橋構造を持たせた層、ポリアミド、PVA、もしくはEVOH等の樹脂中に1nm〜100nm程度の超微粒子である層状珪酸塩(モンモリロナイト等の粘土鉱物)を分散させた層、カルドポリマーを用いて形成されたカルドポリマー層等の有機樹脂層等を挙げることができる。
なお、これらの有機−無機複合層および有機樹脂層については、公知のものを使用することができ、その構成材料および形成方法等については、例えば、それぞれ、特開2014−148081号公報のオーバーコート層、特開2005−324406号公報に記載の有機樹脂層の構成材料および形成方法等と同様のものとすることができる。
上記オーバーコート層の厚みとしては、無機材料バリア層に発生したピンホールを被覆し、無機材料バリア層のバリア性低下を抑制可能なものであればよい。
上記厚みは、オーバーコート層の構成材料によっても異なるものであるが、例えば、その厚みの下限としては、0.05μm以上とすることができ、厚みの上限としては、10μm以下とすることができる。上記厚みの上限および下限がそれぞれ上述の範囲であることにより、例えば、無機材料バリア層に発生したピンホールを安定的に被覆することができるからである。
なお、上記厚みは、オーバーコート層が積層構造である場合には、合計の厚みをいうものである。
上記オーバーコート層の平面視形状としては、無機材料バリア層の表面を覆うものであればよいが、なかでも本開示においては、無機材料バリア層の表面の全面を覆う形状であることが好ましい。上記形状であることにより、例えば、無機材料バリア層に発生したピンホールを安定的に被覆することができるからである。
上記オーバーコート層の厚み方向の形成位置としては、無機材料バリア層に発生したピンホールを被覆し、無機材料バリア層のバリア性低下を抑制可能なものであればよいが、無機材料バリア層の基材が形成された面であることが好ましい。上記形成位置が、基材が形成された面であることで、無機材料バリア層のピンホールを安定的に被覆できるからである。また、上記形成位置が、基材が形成された面であることで、適宜オーバーコート層の構成材料や形成条件を調整することで、応力緩和層として作用し、基材のカール防止を図ることができるからである。
また、上記オーバーコート層の厚み方向の形成位置は、無機材料バリア層に直接接しない位置でもよいが、無機材料バリア層に直接接する位置であることが好ましい。無機材料バリア層のピンホールを安定的に被覆できるからである。
また、上記オーバーコート層は、腐食防止バリア層内に2層以上の無機材料バリア層を有する場合には、いずれかの無機材料バリア層に対して形成されるものであればよく、全ての無機材料バリア層に対して形成されるものでも、腐食防止バリア層の基材が形成された面とは反対側である最表面側に配置される無機材料バリア層に対してのみ形成されるものであってもよい。
(3)腐食防止バリア層
上記腐食防止バリア層は、バリア層として無機材料バリア層または金属材料バリア層の少なくとも1層を有するものであるが、必要に応じて2層以上有するものであってもよい。
ここで、無機材料バリア層同士または金属材料バリア層同士が直接接触し、互いに密着している場合は、積層構造を有する1層の無機材料バリア層または金属材料バリア層とみなすものである。
したがって、上記無機材料バリア層の含有数が2以上である場合、厚み方向に隣接する無機材料バリア層同士は、通常、無機材料バリア層以外の他の層を介して密着されるものである。
このような厚み方向に隣接する無機材料バリア層同士を隔てる他の層としては、例えば、オーバーコート層、金属材料バリア層等を挙げることができる。
また、厚み方向に隣接する金属材料バリア層同士を隔てる他の層としては、例えば、オーバーコート層、無機材料バリア層等を挙げることができる。
より具体的には、腐食防止バリア層は、基材側からオーバーコート層および無機材料バリア層が交互に繰り返して積層されたものや、金属材料バリア層、オーバーコート層および無機材料バリア層がこの順で交互に積層されたもの等とすることができる。
なお、既に説明した図2(b)は、腐食防止バリア層2が、2層以上のバリア層を有する例を示すものである。
2.基材
上記基材は、腐食防止バリア層を支持するものである。
また、上記基材は、腐食防止バリア層に含まれる無機材料バリア層または金属材料バリア層と直接接するもの、すなわち、無機材料バリア層または金属材料バリア層が基材表面に対して気相法等を用いて形成されたものとすることができる。
上記基材は、通常、水蒸気透過性を有するものである。
このような基材の水蒸気透過性については、上記「1.腐食防止バリア層」の項に記載の水蒸気透過率と同様とすることができる。
上記基材は、遮光性を有するものであってもよいが、本開示の腐食防止フィルムを被覆対象であるコンクリート構造物に固定した状態で、コンクリート構造物の表面状態を目視で確認可能とする観点からは、透明性を有することが好ましい。
なお、透明性を有する基材の全光線透過率については、上記「1.腐食防止バリア層」の項に記載の全光線透過率と同様とすることができる。
上記基材の構成材料としては、腐食防止バリア層を安定的に支持可能であり、被覆対象であるコンクリート構造物から放出される水蒸気を透過可能なものであればよく、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、アクリル等の樹脂材料を挙げることができる。
本開示においては、なかでも、上記構成材料が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリノルボルネン系樹脂、アクリルであることが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートであることが好ましい。上記材料は水蒸気透過性に優れるため、本開示の腐食防止フィルムは水蒸気透過性に優れ、水膨れを効果的に抑制可能なものとなるからである。
上記構成材料が樹脂材料である場合、基材としての樹脂基材は、無延伸基材であってもよく、延伸処理がされた一軸延伸樹脂基材、二軸延伸樹脂基材であってもよい。
上記基材は、単層構造であってもよく、2層以上の基材層が積層した積層構造であってもよい。
また、積層構造である場合、各基材層は同一材料の層であってもよく、異なる材料の層であってもよい。
なお、積層構造である場合、各基材層間は、層間接着層により接着されたものとすることができる。
上記基材の厚みとしては、腐食防止バリア層を安定的に支持可能であり、被覆対象であるコンクリート構造物から放出される水蒸気を透過可能なものであればよく、基材の構成材料等によっても異なるものであるが、例えば、その厚みの下限としては、9μm以上とすることができ、厚みの上限としては、2mm以下とすることができる。上記厚みの上限が上述の範囲であることにより、基材は、フレキシブル性を有するものとなるからである。したがって、本開示の腐食防止フィルムが大面積である場合等にはロール状に巻いた状態で保管することが可能となるからである。また、上記上限であることにより、水蒸気透過性に優れた基材とすることができるからである。
また、上記厚みの下限が上述の範囲であることにより、基材は、腐食防止バリア層を安定的に支持可能となるからである。
なお、上記厚みは、基材が積層構造である場合には、合計の厚みをいうものである。
3.その他の構成
本開示の腐食防止フィルムは、基材および腐食防止バリア層を有するものであるが、必要に応じて、本開示の腐食防止フィルムに所望の水蒸気透過性を付与可能な範囲内で、その他の構成を有するものであってもよい。
このようなその他の構成としては、例えば、既に説明した図1および図2や、図3および図4に示すような、上記基材の上記腐食防止バリア層が形成された面とは反対側の面上または上記腐食防止バリア層の上記基材が形成された面とは反対側の面上に配置され、本開示の腐食防止フィルム10をコンクリート構造物に固定する接着層3、既に説明した図2に示すように、上記腐食防止バリア層2の露出面側の面を覆う撥水層4、図3に例示するように、上記腐食防止バリア層2の露出面側の面を覆い、腐食防止バリア層2を保護する保護層5、上記腐食防止バリア層2の少なくとも一方の面上に配置され、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を向上する補助バリア層等を挙げることができる。
なお、上記その他の構成、例えば、保護層、補助バリア層および撥水層は互いに、さらには、基材と、互いに兼ねるものであってもよい。
例えば、既に説明した図2において腐食防止フィルム10に含まれる撥水層4は、保護層、補助バリア層等として使用されるものであってもよい。
また、既に説明した図3において腐食防止フィルム10に含まれる保護層5は、例えば、撥水層、補助バリア層等として使用されるものであってもよい。
さらに、既に説明した図4において腐食防止フィルム10に含まれる基材1は、例えば、撥水層、補助バリア層、保護層等として使用されるものであってもよい。
なお、図3(a)は、本開示の腐食防止フィルムの他の例を示す概略平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A線断面図である。また、図3(a)は、説明の容易のため、腐食防止バリア層および保護層の記載を省略するものである。
また、図4は、本開示の腐食防止フィルムの他の例を示す概略断面図である。
(1)接着層
上記接着層は、上記基材の上記腐食防止バリア層が形成された面とは反対側の面上または上記腐食防止バリア層の上記基材が形成された面とは反対側の面上に配置され、本開示の腐食防止フィルムをコンクリート構造物に固定するものである。
上記接着層を有することにより、本開示の腐食防止フィルムは、コンクリート構造物への貼付の容易なものとすることができる。
上記接着層としては、腐食防止フィルムをコンクリート構造物に固定することができるものであれば特に限定されるものではない。
接着層の材料や形成方法等については、例えば、特開2015−078600号公報、特開2015−087351号公報、特開2015−209633号公報等に記載されたものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
また、接着層の材料としては、作業性の観点から、例えば、国際公開第14/203688号に記載のアクリル樹脂と、エポキシ熱硬化性樹脂と、上記エポキシ熱硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤とを含む粘着剤、国際公開第15/119042号に記載のアクリル系樹脂と上記アクリル系樹脂を硬化させるための光硬化剤とを含む粘着剤等の、仮固定した後に、正しい位置で本固定できるようなリワークできるような粘着剤であってもよい。
上記接着層の構成材料としては、水蒸気透過性に優れた接着層を得るとの観点からは、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤等の従来公知の接着剤、粘着剤等を用いることができる。
このような接着層の水蒸気透過性については、上記「1.腐食防止バリア層」の項に記載の水蒸気透過率と同様とすることができる。なお、接着層の水蒸気透過率については、接着層が硬化性を有するものである場合には、通常、硬化後の接着層の水蒸気透過率を指すものである。
上記接着層の平面視形状としては、本開示の腐食防止フィルムをコンクリート構造物に安定的に固定できるものであればよく、例えば、接着層が水蒸気透過性を有するものである場合には、既に説明した図1に示すように、腐食防止バリア層1の全面を覆う形状とすることができる。
また、上記平面視形状は、既に説明した図3に示すように、腐食防止バリア層2の一部を覆うパターン形状であってもよい。上記平面視形状がパターン形状である場合には、本開示の腐食防止フィルムは、例えば、接着層の構成材料が水蒸気透過性が低い材料である場合でも、被覆対象であるコンクリート構造物から安定的に水分を放出でき、水膨れによる不具合の発生を抑制できるからである。
なお、平面視形状がパターン形状である場合の接着層の形状としては、例えば、既に説明した図3に示すように腐食防止バリア層の外周を覆う枠形状や、ドット形状等とすることができる。
また、平面視形状がパターン形状である場合、腐食防止バリア層の全面積に対する接着層により被覆される面積の割合等については、腐食防止フィルムの種類等に応じて適宜設定することができる。
上記接着層は、その平面視形状が平面視上腐食防止バリア層と重なる場合、遮光性を有するものであってもよいが、バリア層として無機材料バリア層を用いることで、腐食防止バリア層が透明性を有する場合には、本開示の腐食防止フィルムをコンクリート構造物に固定した状態で、コンクリート構造物の表面状態を目視で確認可能とする観点からは、透明性を有することが好ましい。
なお、透明性を有する接着層の全光線透過率については、上記「1.腐食防止バリア層」の項に記載の全光線透過率と同様とすることができる。
また、ここでの接着層の全光線透過率については、本開示の腐食防止フィルムをコンクリート構造物に固定した状態での接着層の全光線透過率とすることができる。
上記接着層の厚み方向の形成箇所としては、上記基材の上記腐食防止バリア層が形成された面とは反対側の面上または上記腐食防止バリア層の上記基材が形成された面とは反対側の面上とすることができ、本開示の腐食防止フィルムの使用方法によって異なるものである。
例えば、上記形成箇所としては、既に説明した図1に示すように、基材1の腐食防止バリア層2が形成された面とは反対側の面上であり、本開示の腐食防止フィルムが基材1および腐食防止バリア層2のうち基材1をコンクリート構造物側に配置して用いるものであってもよく、既に説明した図4に例示するように、腐食防止バリア層2の基材1が形成された面とは反対側の面上であり、本開示の腐食防止フィルムが基材1および腐食防止バリア層2のうち腐食防止バリア層2をコンクリート構造物側に配置して用いるものであってもよい。
(2)撥水層
上記撥水層は、上記腐食防止バリア層の露出面側の面を覆うものである。
また、上記撥水層は、例えば、腐食防止バリア層に含まれる金属材料バリア層の腐食防止、腐食防止フィルムの防汚性の付与等を目的とするものとすることができる。
例えば、撥水層は、腐食防止バリア層への周辺環境化の水分の付着を抑制でき、その結果、腐食防止バリア層の劣化を防止できる。特に、腐食防止バリア層がバリア層として金属材料バリア層を有する場合には、撥水層は、金属材料バリア層が、周辺環境の水分により腐食することを抑制できる。
また、撥水層が本開示の腐食防止フィルムを被覆対象であるコンクリート構造物に固定した際に、上記腐食防止フィルムの露出面側の最表面となる位置に配置されることにより、撥水層は、周辺環境の水や油分等の付着を抑制できる。その結果、上記腐食防止フィルム表面に付着した汚れ等により、腐食防止フィルムが有する水蒸気透過性や、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性の低下を抑制できる。
このようなことから、撥水層を有することにより、上記腐食防止フィルムは、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを安定的に発揮可能となる。
なお、露出面側とは、本開示の腐食防止フィルムを被覆対象であるコンクリート構造物に固定した際に、上記腐食防止フィルムのコンクリート構造物と対向する面とは反対側の表面側をいうものである。例えば、腐食防止フィルムが接着層を有する場合には、露出面側は、腐食防止フィルムの接着層が形成された面とは反対側の面側とすることができる。
上記撥水層の撥水性の程度としては、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを安定的に発揮可能とする観点からは、例えば、上記撥水層の水接触角が、60°以上であるものとすることができる。
本開示においては、上記撥水層の水接触角の下限が100°以上であることが好ましく、特に、120°以上であることが好ましい。また、上記水接触角の上限としては、160°以下とすることができ、なかでも150°以下であることが好ましい。上記水接触角の下限が上述の範囲であることにより、例えば、金属材料バリア層の腐食防止性、腐食防止フィルムの防汚性等を効果的に付与できるからである。
また、上記水接触角の上限が上述の範囲であることにより、例えば、撥水層は、材料選択の自由度に優れたものとなるからである。
上記水接触角は、JIS R3257に規定される静滴法によって測定することができる。具体的には、接触角測定装置(協和界面化学社製、型番CA−Z)を用いて測定することができる。より具体的には、被測定対象物の表面上に、純水を一定量(一滴程度)滴下させ、一定時間(10秒間程度)経過後顕微鏡又はCCDカメラを用いて水滴形状を目視にて観察することにより、物理的に接触角を求めることができる。
上記撥水層は、通常、水蒸気透過性を有するものである。
このような撥水層の水蒸気透過性については、上記「1.腐食防止バリア層」の項に記載の水蒸気透過率と同様とすることができる。
上記撥水層を構成する材料としては、所望の撥水性を有する撥水層を形成可能であり、水蒸気透過性を有するものであればよく、例えば、テトラメトキシシラン等の有機シリコン系材料およびその重合体等である炭素含有基を有する有機金属化合物、ポリエチレン樹脂等の炭化水素化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有化合物、窒素含有化合物等を挙げることができる。
また、上記材料としては、炭化水素を用いること、すなわち、撥水層としてダイアモンドライクカーボン膜(DLC)も用いることができる。
本開示においては、なかでも、上記材料が、有機金属化合物、炭化水素化合物、フッ素含有化合物であることが好ましい。これらの材料は撥水性に優れるからである。
このような有機金属化合物、炭化水素化合物、フッ素含有化合物、窒素含有化合物等については、例えば、特開2015−129995号公報に撥水層を構成する材料として記載される材料を挙げることができる。
上記撥水層の構成材料としては、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
上記撥水層の厚みとしては、所望の撥水性を有する撥水層を形成可能なものであればよく、撥水層の構成材料によっても異なるものであるが、例えば、厚みの下限としては1nm以上とすることができ、厚みの上限としては、1μm以下とすることができる。上記厚みの下限が上述の範囲であることにより、所望の撥水性を有する撥水層を安定的に形成可能とすることができるからである。
また、上記厚みの上限が上述の範囲であることにより、上記腐食防止フィルムは、水蒸気透過性およびコストに優れたものとなるからである。
上記撥水層の平面視形状としては、上記腐食防止フィルムが、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを安定的に発揮可能となる観点からは、腐食防止バリア層に含まれるバリア層の全面を覆う形状であることが好ましい。
上記撥水層の厚み方向の形成位置としては、上記腐食防止バリア層の露出面側の面を覆うものであればよい。上記形成位置は、本開示の腐食防止フィルムの使用方法によって異なるものであり、上記基材の上記腐食防止バリア層が形成された面とは反対側の面上または上記腐食防止バリア層の上記基材が形成された面とは反対側の面上とすることができる。また、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを安定的に発揮可能となる観点からは、上記形成箇所は、本開示の腐食防止フィルムを被覆対象であるコンクリート構造物に固定した際に、上記腐食防止フィルムの露出面側の最表面となる位置であることが好ましい。撥水層は最表面に設けることで、外部からの物質の吸着や透過、侵入を抑える効果が得られる。
既に説明した図2は、本開示の腐食防止フィルム10が基材1および腐食防止バリア層2のうち基材1をコンクリート構造物側に配置して用い、上記撥水層4が、腐食防止バリア層2の基材1が形成された面とは反対側の面上に配置する例を示すものである。
また、既に説明した図4は、本開示の腐食防止フィルム10が基材1および腐食防止バリア層2のうち腐食防止バリア層2をコンクリート構造物側に配置して用い、上記撥水層4が、基材1の腐食防止バリア層2が形成された面とは反対側の面上に配置する例を示すものである。
また、既に説明した図2および図4は、撥水層4の形成箇所が本開示の腐食防止フィルム10を被覆対象であるコンクリート構造物に固定した際に、上記腐食防止フィルム10の露出面側の最表面となる位置である例を示すものである。
上記撥水層の形成方法としては、所望の厚みの撥水層を形成可能な方法であればよく、上記材料の種類によっても異なるものであるが、炭素含有基を有する有機金属化合物、炭化水素化合物、フッ素含有化合物、窒素含有化合物、炭化水素等である場合には、上記「1.腐食防止バリア層」の「(a)無機材料バリア層」の項に記載の気相法や、液相法等を用いることができる。
また、上記形成方法としては、上記材料を溶剤中に分散または溶解した塗工液を塗布し、その塗膜から必要に応じて溶剤を乾燥除去する方法を挙げることができる。
(3)保護層
上記保護層は、上記腐食防止バリア層の露出面側の面を覆い、腐食防止バリア層を保護するものである。
このような保護層の構成材料および厚み等については、水蒸気透過性を有しつつ、腐食防止バリア層を保護可能なものであればよく、例えば、上記「2.基材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
上記保護層の厚み方向の形成箇所としては、上記腐食防止バリア層の露出面側の面を覆い、腐食防止バリア層を保護可能なものであればよく、本開示の腐食防止フィルムの使用方法によって異なるものである。
具体的には、上記形成位置は、既に説明した図3に示すように、本開示の腐食防止フィルム10が基材1および腐食防止バリア層2のうち基材1をコンクリート構造物側に配置して用いる場合には、通常、腐食防止バリア層2の基材1が形成された面とは反対側の面上である。
また、図4に示すように、本開示の腐食防止フィルムが基材および腐食防止バリア層のうち腐食防止バリア層をコンクリート構造物側に配置して用いる場合には、上記保護層5は、基材1が兼ねるものとすることができる。
(4)補助バリア層
上記補助バリア層は、上記腐食防止バリア層の少なくとも一方の面上に配置され、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を向上する層である。
このような補助バリア層の構成材料および厚み等としては、水蒸気透過性を有しつつ、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を向上可能なものであればよく、例えば、上記「2.基材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
また、上記補助バリア層の形成箇所としては、上記腐食防止バリア層の少なくとも一方の面上であればよく、基材の腐食防止バリア層が形成された面とは反対側または腐食防止バリア層の基材が形成された面とは反対側の面上等とすることができる。
(5)その他
上記その他の構成としては、例えば、腐食防止バリア層および基材の間、保護層および腐食防止バリア層の間、撥水層および腐食防止バリア層の間等の各構成間を接着する層間接着層を有するものであってもよい。
上記層間接着層としては、上記各構成間を安定的に接着可能なものであればよく、アクリル系樹脂等の公知の粘着剤を用いて形成された粘着剤層や、2液硬化型接着剤層、紫外線硬化型接着剤層、熱硬化型接着剤層、熱溶融型接着剤層等の公知の接着剤層を用いることができる。
また、上記層間接着層の厚みについては、各構成間を安定的に接着可能なものであればよく、層間接着層の種類等に応じて適宜設定されるものである。
4.腐食防止フィルム
上記腐食防止フィルムは、上述の基材および腐食防止バリア層を有するものであり、それにより、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有するものである。
このような腐食防止フィルムの水蒸気透過率、二酸化炭素透過率および食塩水透過率については、上記「1.腐食防止バリア層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
上記腐食防止フィルムは、腐食防止フィルムを被覆対象であるコンクリート構造物に固定した状態で、コンクリート構造物の表面状態を目視で確認可能とする観点からは、透明性を有することが好ましい。
このような腐食防止フィルムの全光線透過率については、上記「1.腐食防止バリア層」の項に記載の内容と同様とすることができる。
なお、腐食防止フィルムの水蒸気透過率、二酸化炭素透過率、食塩水透過率および全光線透過率は、腐食防止バリア層と平面視上重なる部位のうち最も水蒸気透過率が高くなる箇所での透過率をいうものである。
したがって、腐食防止フィルムの各透過率は、例えば、既に説明した図3では、接着層3と平面視上重ならない箇所で測定されるものとすることができる。
上記腐食防止フィルムの厚みとしては、フィルム状であること、すなわち、フレキシブル性を有し、被覆対象であるコンクリート構造物に対して容易に貼付可能なものであればよく、例えば、その厚みの上限としては、300μm以下とすることができ、なかでも200μm以下であることが好ましく、特に、100μm以下であることが好ましい。上記厚みの上限が上述の範囲であることにより、上記腐食防止フィルムは、コンクリート構造物に貼付容易なものとなるからである。
また、上記厚みの下限については、薄いほど好ましいが、例えば、20μm以上とすることができる。上記厚みの下限が上述の範囲であることにより、上記腐食防止フィルムは、コンクリート構造物に貼付容易なものとなるからである。
なお、腐食防止フィルムの厚みは、腐食防止バリア層と平面視上重なる部位のうち最も厚みが厚い箇所の厚みをいうものである。
上記腐食防止フィルムの形状としては、コンクリート構造物のサイズ等に応じて異なるものであるが、例えば、長尺状とすることができる。
腐食防止フィルムが長尺状である場合、腐食防止フィルムの幅方向の下限としては、例えば、1m以上とすることができ、幅方向の上限としては、例えば、10m以下とすることができる。
また、長尺状の腐食防止フィルムの長手方向の長さについては、幅方向より長いものであればよい。
長尺状の腐食防止フィルムは、例えば、ロール状に巻かれた状態で保管し、使用時にロールから巻き出し、所望のサイズに切断して使用することができる。
本開示の腐食防止フィルムの製造方法としては、上記各構成を所望の精度で積層可能な方法であればよく、例えば、基材を準備し、基材の一方の面に無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含むバリア層を形成するバリア層形成工程を含む方法を挙げることができる。
B.施工方法
次に、本開示の施工方法について説明する。
本開示の施工方法は、クラックを有するコンクリート構造物の上記クラックに対して充填剤を充填する充填工程と、上記充填工程後に、上記クラックを覆うように上記コンクリート構造物の表面に腐食防止フィルムを貼付する腐食防止フィルム貼付工程と、を有し、上記コンクリート構造物を修復する施工方法であって、上記腐食防止フィルムは、基材と、上記基材の一方の面に配置された無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層と、を有するものである。
このような本開示の施工方法を図を参照して説明する。図5は、本開示の施工方法の一例を示す工程図である。図5に例示するように、本開示の施工方法は、クラック21を有するコンクリート構造物20の上記クラック21に対して充填剤11aを充填し(図5(a))、この充填剤の充填物11が形成された上記クラック21を覆うように上記コンクリート構造物20の表面に腐食防止フィルム10を貼付pすることにより(図5(b))、コンクリート補修物30を得る方法であり(図5(c))、上記腐食防止フィルム10は、基材1と、上記基材1の一方の面に配置された無機材料バリア層2a1を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層2と、を有するものである。
なお、図5(a)〜(b)が充填工程であり、図5(b)〜(c)が、腐食防止フィルム貼付工程である。
本開示によれば、上記腐食防止フィルムを用いることにより、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを容易に抑制可能となる。
また、上記充填工程によりコンクリート構造物に生じたクラックを充填材により補修することにより、クラックからの二酸化炭素および塩化ナトリウムの侵入を抑制可能となる。
また、腐食防止フィルムの貼付箇所を平坦化でき、腐食防止フィルムの貼付が容易となる。
したがって、充填工程および腐食防止フィルム貼付工程の両者を有することにより、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを安定的に抑制可能となる。
本開示の施工方法は、充填工程および腐食防止フィルム貼付工程を有するものである。
以下、本開示の施工方法の各工程について詳細に説明する。
1.充填工程
上記充填工程は、クラックを有するコンクリート構造物の上記クラックに対して充填剤を充填する工程である。
コンクリート構造物としては、コンクリートを用いて形成されたものであり、塩化物イオン、二酸化炭素の侵入により老朽化および水膨れを生じる可能性のあるものであればよい。
このようなコンクリート構造物としては、通常、コンクリートと鋼材とを含む社会インフラ設備を挙げることができる。より具体的には、例えば、特開2015−209633号公報に記載の対象構造物を挙げることができる。
充填剤としては、充填時に流動性を有し充填後に固化可能なものであればよく、樹脂系材料、セメント系材料等の公知の補修材料を挙げることができる。
上記樹脂系材料としては、具体的には、アクリル樹脂、発泡エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。
上記セメント系材料としては、ポリマーセメント系スラリー材料、微粒子セメント系スラリー材料、ポリマーセメントモルタル材料等を挙げることができる。
コンクリート構造物のクラックに対して充填剤を充填する方法としては、クラック内に隙間なく充填剤を充填可能な方法であればよく、例えば、コテ、刷毛、ローラー、スプレーガン等を用いて充填する方法を用いることができる。
2.腐食防止フィルム貼付工程
上記腐食防止フィルム貼付工程は、上記充填工程後に、上記クラックを覆うように上記コンクリート構造物の表面に腐食防止フィルムを貼付する工程である。
本工程において、腐食防止フィルムの貼付方法としては、腐食防止フィルムを安定的にコンクリート構造物に固定できる方法であればよく、腐食防止フィルムが接着層を有する場合には、腐食防止フィルムの接着層をコンクリート構造物に接触する方法を挙げることができる。
また、腐食防止フィルムがコンクリート構造物に接着する接着層を有しない場合、貼付方法としては、コンクリート構造物の表面に接着剤を塗布し、その塗膜を介して腐食防止フィルムをコンクリート構造物に接触させる方法を用いることができる。
また、上記接着剤の塗布箇所については、腐食防止フィルムの全面を覆う箇所であってもよいが、接着剤の水蒸気透過性が低い場合には、パターン状であることが好ましい。
なお、接着剤の塗布方法については、上記「1.充填工程」の項に記載の充填方法と同様の方法を用いることができる。
上記接着剤については、コンクリート構造物への補修用シートの接着に用いられる公知の接着剤を用いることができ、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤、ビニルエステル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリマーセメント系接着剤、アクリル系接着剤およびポリオレフィン系接着剤等を用いることができる。
また、上記接着剤としては、上記「A.腐食防止フィルム」の「3.その他の構成」の「(1)接着層」の項に記載の接着層の構成材料と同様の材料を用いるものであってもよい。
本開示においては、接着剤が腐食防止フィルムの全面を覆うように塗布される場合には、上記接着剤の塗膜が、硬化後に水蒸気透過性を有するものであることが好ましい。
なお、このような塗膜の水蒸気透過性については、接着剤の種類および厚み等により調整することができる。
このような硬化後の接着剤の水蒸気透過性については、上記「1.腐食防止バリア層」の項に記載の水蒸気透過率と同様とすることができる。
なお、本工程で用いる腐食防止フィルムについては、上記「A.腐食防止フィルム」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
3.施工方法
上記施工方法は、充填工程および腐食防止フィルム貼付工程を有するものであるが、腐食防止フィルムを必要に応じて、その他の工程を有するものであってもよい。
上記その他の工程としては、コンクリート構造物表面の腐食防止フィルム貼付箇所にプライマー層を形成するプライマー層形成工程、腐食防止フィルムに含まれる接着層、接着剤の塗膜を硬化する硬化工程等を挙げることができる。
上記プライマー層形成工程に用いられるプライマー層の構成材料としては、コンクリート構造物および腐食防止フィルムの間の密着性を向上可能であり、常温硬化性のウレタン系樹脂や、エポキシ系樹脂等の公知のプライマー材料を用いることができる。
本開示においては、なかでも、上記構成材料が、水蒸気透過性を有するプライマー層を形成可能なものであることが好ましい。本開示の効果をより効果的に発揮可能となるからである。
なお、プライマー層の水蒸気透過性については、上記「A.腐食防止フィルム」の「1.腐食防止バリア層」の項に記載の水蒸気透過率と同様とすることができる。
また、プライマー層の形成方法としては、腐食防止フィルムの貼付箇所を覆うように形成可能な方法であればよく、上記「1.充填工程」の項に記載の充填方法と同様の方法を用いることができる。
上記硬化工程における腐食防止フィルムに含まれる接着層、接着剤の塗膜を硬化する硬化方法については、接着層、接着剤の種類等に応じて異なるものであるが、溶剤を乾燥する方法や、紫外線、電子線を照射する方法、加熱する方法等を挙げることができる。
また、上記硬化方法は、1種類のみを用いるものであってもよく、2種類以上を用いるものであってもよい。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
基材として12μm厚のPETフィルム(ユニチカ社、PTM)を用意し、この基材に無機材料バリア層として、プラズマCVD法により、SiOx(x=1.8)膜を50nm形成した。
無機材料バリア層上に、撥水層として、プラズマCVD法によりHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)と酸素ガスを用いて、SiOx(CH)y(x=1.0、y=1.2)膜を20nm形成した。
これにより、腐食防止フィルムを得た。
[評価1]
実施例1で得られた腐食防止フィルムの二酸化炭素透過率は0.5cc/(m・24h・atm)、水蒸気透過率は5g/(m・day)であった。
また、食塩水透過率は、5.8g/(m・day)であった。
この結果、腐食防止フィルムは、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有し、コンクリート構造物に対して貼付された際には、コンクリート構造物の老朽化および水膨れを抑制できることが確認できた。
なお、腐食防止フィルム全体の二酸化炭素透過率、水蒸気透過率および食塩水透過率と、基材の二酸化炭素透過率、水蒸気透過率および食塩水透過率とから、腐食防止バリア層の二酸化炭素透過率、水蒸気透過率および食塩水透過率を求めた。
その結果、腐食防止バリア層の二酸化炭素透過率は、1.0cc/(m・24h・atm)、水蒸気透過率は、28g/(m・day)、食塩水透過率は、8.5g/(m3/day)であった。
[評価2]
実施例1で得られた腐食防止フィルムを熱硬化性のエポキシ系接着材を用いて鉄板に貼り付けた。
次いで、鉄板に貼り付けた腐食防止フィルムに対して、二酸化炭素10%、酸素18%、窒素72%の混合ガス雰囲気下で、5%食塩水を10秒間隔で間欠噴霧させ2000時間経過後の基板状態を確認した。
この結果、鉄板の変色、変形、変質は観察されず、良好な塩分バリア性を示すことがわかった。
[比較例1]
実施例1において、基材に12μm厚のPETフィルムを用いて、バリア層、撥水層を設けないで、基材であるPETフィルムのみからなる腐食防止フィルムを得た。
次いで、得られた腐食防止フィルムを、実施例1と同様に鉄板に貼り付け、[評価2]と同様の評価を行った結果、基材が金属色から茶褐色に変色がみられ、腐食が進行していることがわかった。
[実施例2]
基材として12μm厚のPETフィルム(三菱樹脂社 H100)を用意し、この基材に無機材料バリア層として、PVD法により、AlOx(X=1.4)膜を50nm形成した。
次いで、無機材料バリア層上に、オーバーコート層として、ゾルゲル膜100nmを形成した。
これにより、腐食防止フィルムを得た。
[評価1]
実施例2で得られた腐食防止フィルムの二酸化炭素透過率は0.8cc/(m・24h・atm)、水蒸気透過率は20g/(m・day)であった。
また、食塩水透過率は、3.6g/(m・day)であった。
この結果、腐食防止フィルムは、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有し、コンクリート構造物に対して貼付された際には、コンクリート構造つ物の老朽化および水膨れを抑制できることが確認できた。
なお、腐食防止フィルム全体の二酸化炭素透過率、水蒸気透過率および食塩水透過率と、基材の二酸化炭素透過率、水蒸気透過率および食塩水透過率とから、腐食防止バリア層の二酸化炭素透過率、水蒸気透過率および食塩水透過率を求めた。
その結果、腐食防止バリア層の二酸化炭素透過率は、3cc/(m・24h・atm)、水蒸気透過率は、25g/(m・day)、食塩水透過率は、7.8g/(m3・day)であった。
[評価2]
実施例2で得られた腐食防止フィルムを熱硬化性アクリル系接着剤を用いて鉄板に貼り付けた。
次いで、実施例1の評価2と同様の評価を行ったところ、鉄板の変色、変形、変質は観察されず、良好な塩分バリア性を示すことがわかった。
1 … 基材
2 … 腐食防止バリア層
2a1 … 無機材料バリア層
2a2 … 金属材料バリア層
2b … オーバーコート層
3 … 接着層
4 … 撥水層
5 … 保護層
10 … 腐食防止フィルム
20 … コンクリート構造物

Claims (6)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面に配置された無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層と、
    を有する腐食防止フィルム。
  2. 前記無機材料バリア層を構成する無機材料が、珪素、珪素アルミニウム合金、ならびにこれらの酸化物、窒化物、酸窒化物および酸化炭化物の少なくとも1種である請求項1に記載の腐食防止フィルム。
  3. 前記腐食防止バリア層が、前記無機材料バリア層を含み、さらに、前記無機材料バリア層の表面を覆うオーバーコート層を有する請求項1または請求項2に記載の腐食防止フィルム。
  4. 前記金属材料バリア層を構成する金属材料が、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、ニオブ、鉄、およびアルミニウム亜鉛合金である請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の腐食防止フィルム。
  5. 前記腐食防止フィルムが、前記腐食防止バリア層の露出面側の面を覆う撥水層を有する請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の腐食防止フィルム。
  6. クラックを有するコンクリート構造物の前記クラックに対して充填剤を充填する充填工程と、
    前記充填工程後に、前記クラックを覆うように前記コンクリート構造物の表面に腐食防止フィルムを貼付する腐食防止フィルム貼付工程と、
    を有し、前記コンクリート構造物を修復する施工方法であって、
    前記腐食防止フィルムは、
    基材と、
    前記基材の一方の面に配置された無機材料バリア層および金属材料バリア層の少なくとも一方を含み、水蒸気透過性を有し、二酸化炭素および塩化ナトリウムに対するバリア性を有する腐食防止バリア層と、
    を有するものである施工方法。
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