JP2005048500A - 柱状コンクリート構造物の補強構造及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 塩化ビニルなどを材質とする保護シートを用いた際の様々な不都合を解消できる柱状コンクリート構造物の補強構造及び方法を提供する。
【解決手段】 1.下地処理として、補強対象部分の表面に付いた付着物を除去しコンクリートを平坦化する。2.コンクリート表面にプライマーを塗布して微小孔を塞ぐことで、コンクリートとアラミド繊維シートの接着性を向上させる。3.プライマーの上から含浸接着エポキシ樹脂を塗布する。4.含浸接着エポキシ樹脂の上からアラミド繊維シートを貼り付ける。5.アラミド繊維シートの上から含浸接着エポキシ樹脂を塗布する。6.含浸接着エポキシ樹脂の上から耐候性、特に紫外線に対する耐光性と透湿防水性を有する、好適にはPTFE(四フッ化エチレン)を材質とする保護シート3を被せ、この保護シート3の周りを留めバンド4で締結する。
【選択図】 図1
【解決手段】 1.下地処理として、補強対象部分の表面に付いた付着物を除去しコンクリートを平坦化する。2.コンクリート表面にプライマーを塗布して微小孔を塞ぐことで、コンクリートとアラミド繊維シートの接着性を向上させる。3.プライマーの上から含浸接着エポキシ樹脂を塗布する。4.含浸接着エポキシ樹脂の上からアラミド繊維シートを貼り付ける。5.アラミド繊維シートの上から含浸接着エポキシ樹脂を塗布する。6.含浸接着エポキシ樹脂の上から耐候性、特に紫外線に対する耐光性と透湿防水性を有する、好適にはPTFE(四フッ化エチレン)を材質とする保護シート3を被せ、この保護シート3の周りを留めバンド4で締結する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電柱などの柱状コンクリート構造物の補強構造及び方法に関するものである。
従来において、電柱や橋脚などの柱状コンクリート構造物をFRP(アラミド繊維で補強した樹脂複合体:Fiber-Reinforced Prastic)シートで補強するときに用いられるアラミド繊維は、紫外線に長時間暴露すると変色し、繊維物性が低下する。
FRP用樹脂には一般的に熱硬化性エポキシ系樹脂が使われるが、紫外線による劣化が生じ、樹脂自体の強度を低下させる。また、コンクリート/FRP複合体界面まで劣化が進んだときには、両者の接着性が低下する。また、FRPシート補強の工程は、アラミド繊維シートを被補強体に巻きつけた後、樹脂原料をこのシートの上から塗布し、シート内に含浸させた後硬化させてFRPシートを形成する。また樹脂は接着性を有するため、硬化するときにコンクリートとFRPシートは接着される。さらに、遮光および外力からの保護を目的として、耐光性の高い塗料(フッ素系樹脂系など)の塗布、モルタル吹き付け、複合塗膜などの仕上げが行われていたが、下地となるFRPの硬化を待たなければならず、室温硬化の場合、塗装工程が可能となるまで、数日から数週間待たなければならなかった。そこで、塗装の代わりに保護シートを用いる補強方法が採用されるようになっている。
図3及び4を参照し、既設の電柱などの柱状コンクリート構造物を保護シートを用いて補強する方法を説明する。
図3に示すように、先ず、柱状コンクリート構造物1の外周にFRPシートを形成し、これを保護シート3で覆ってから、最後に留めバンド4を巻き付けて固定する。FRP用樹脂に一般的に用いられる熱硬化性エポキシ系樹脂は、紫外線による劣化が生じ、樹脂自体の強度を低下させる。加えて、アラミド繊維は、紫外線に長時間暴露すると変色し、繊維物性が低下するので、保護シート3は、耐候性、特に紫外線に対する耐光性と、さらに防水性を備えたものが使用される。なお、保護シート3は補強対象部分よりも上下に長いものを使用して補強対象部分が外部に露出しないように覆う。そして、補強対象部分から外れた上下の2箇所において留めバンド4を保護シート3の上から巻いて締結する。また、補強対象部分の1箇所において留めバンド4を保護シート3の上から締結する。
さらに詳しく説明すると、図4に示すように、1.下地処理として、柱状コンクリート構造物1に付いた付着物を除去し表面を平坦化する。2.コンクリート表面の微小孔を塞ぐことで、アラミド繊維シートとの接着性を向上させる。3.含浸接着エポキシ樹脂を塗布する。(アラミド繊維シートに浸透し、コンクリートに接着し、硬化する。)4.アラミド繊維シートを巻き付けるなどして貼り付ける。5.含浸接着エポキシ樹脂を塗布する。(2層以上のアラミド繊維シートを積層する場合は3.から5.を繰り返す。)6.塩化ビニルシートなどの高分子シート(保護シート3)で覆って留めバンド4で締め付ける。なお、保護シート3は、一方の面の全体にわたって凹凸が形成されているものであり、この面を外側に向けることにより、貼り紙を防止することができる。
以上のような従来の補強方法が下記の特許文献1にも記載されている。
特開2003−120046号公報
エポキシ樹脂の様に、低分子量の原料化合物を架橋重合させるような樹脂系を使用する場合、反応熱や太陽光の輻射熱などによって加熱されて、その原料が気化することがある。従来の補強方法では、エポキシ樹脂が十分に硬化していないときに保護シート3を被せると、当該気化成分により、保護シート3が膨潤及び変形し亀裂が生じることがある。また、熱サイクルによっても、保護シート3が伸縮を繰り返して亀裂が生じることがある。そして、その亀裂から水が浸入することになる。また、留めバンド4の締め付けが十分でなく、隙間が生じても、内部に水が浸入することがある。浸入した水は、アラミド繊維シートのピンホールなどの欠陥部分から、アラミド繊維シートとコンクリート界面に到達する可能性がある。この場合、界面の接着部分の化学的結合を破壊し、接着強度を低下させるおそれがある。特にエポキシ樹脂の場合は、水素結合が接着力の重要な要素となり、浸入した水分子により、この結合力が弱くなることが懸念される。また、コンクリートにひびがあると、その水がコンクリート内に浸入し、内部の鉄筋の腐食を進行させることになる。また、保護シートに凹凸加工を行うことによりコストがアップするので加工を不要にしたいと要望されている。また、上記点を解決するにしても、保護シート等には必要な強度を確保し、かつコストを抑えたいと要望されている。
そこで本発明は、上記の従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塩化ビニルなどを材質とする保護シートを用いた際の様々な不都合を解消できる柱状コンクリート構造物の補強構造及び方法を提供することにある。
上記従来の課題を解決するために、請求項1の本発明は、柱状コンクリート構造物の外周側から塗布された樹脂と、該樹脂に外周側から貼り付けられた繊維シートと、該繊維シートに外周側から塗布された樹脂と、該樹脂を外周側から覆う耐光性を有する保護シートとを含む柱状コンクリート構造物の補強構造において、前記保護シートが透湿防水性を有することを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強構造をもって解決手段とする。
請求項1の本発明によれば、保護シートが透湿防水性を有するので、雨や水滴など外部からの水の浸入を防止できる。反対に、内部にたまった水については、それが気化してできる水蒸気を外部に排出できる。さらに、エポキシ樹脂の様に、低分子量の原料化合物を架橋重合させるような樹脂系を使用する場合、反応熱や太陽光の輻射熱などによって加熱されて、その原料が気化した場合でも、その化合物を透過排出できる。
また、請求項2の本発明は、柱状コンクリート構造物の外周側から塗布された樹脂と、該樹脂に外周側から貼り付けられた繊維シートと、該繊維シートに外周側から塗布された樹脂と、該樹脂を外周側から覆う耐光性を有する保護シートとを含む柱状コンクリート構造物の補強構造において、前記保護シートが透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とすることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強構造をもって解決手段とする。
請求項2の本発明によれば、保護シートが透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレンを材質とするので、先ず透湿防水性を有することにより、雨や水滴の内部への浸入を防止でき、また樹脂の成分や水蒸気を外部に排出できる。それに加えて、ポリテトラフルオロエチレンを材質とするので様々な効果が得られる。まず、ポリテトラフルオロエチレンには、材質自体に防水性(撥水性)があるので、保護シートの材質として好適である。また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐薬品性最高、酸・塩基・有機溶剤に侵されない特性を有するので、樹脂の成分による化学反応で、保護シートが膨潤及び変形したり亀裂を生じることがない。また、当該特性を有するので、下地の樹脂が乾燥し完全に硬化する前に保護シートを施工できるので工期を短縮できる。また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐候性最高、特に、紫外線に対する遮蔽性が高いので、エポキシ樹脂の劣化及びそれによるコンクリートの劣化を防止できる。また、ポリテトラフルオロエチレンは、摩擦係数最少という特性を有し、非粘着性なので、シートの表面に貼り紙を防止するための凹凸を設ける必要がない。また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐熱性が高いので、熱サイクルによって保護シートが伸縮して変形したり亀裂を生じることがない。
また、請求項3の本発明は、柱状コンクリート構造物の外周側から塗布された樹脂と、該樹脂に外周側から貼り付けられた繊維シートと、該繊維シートに外周側から塗布された樹脂と、該樹脂を外周側から覆う耐光性を有する保護シートとを含む柱状コンクリート構造物の補強構造において、透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とするPTFEシートと、透湿性を有しポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とするPETシートとを張り合わせたものが前記保護シートであり、PETシートを内周側にして使用されていることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強構造をもって解決手段とする。
請求項3の本発明によれば、透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレンを材質とするPTFEシートと、透湿性を有しポリエチレンテレフタレートを材質とするPETシートとを張り合わせたものが保護シートであり、PETシートを内周側にして使用されているので、先ず、PTFEシートが透湿防水性を有することにより、雨や水滴の内部への浸入を防止でき、また樹脂の成分や水蒸気を外部に排出できる。それに加えて、ポリテトラフルオロエチレンを材質とするので様々な効果が得られる。まず、ポリテトラフルオロエチレンには、材質自体に防水性(撥水性)があるので、保護シートの材質として好適である。また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐薬品性最高、酸・塩基・有機溶剤に侵されない特性を有するので、樹脂の成分による化学反応で、保護シートが膨潤及び変形したり亀裂を生じることがない。また、当該特性を有するので、下地の樹脂が乾燥し完全に硬化する前に保護シートを施工できるので工期を短縮できる。また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐候性最高、特に、紫外線に対する遮蔽性が高いので、エポキシ樹脂の劣化及びそれによるコンクリートの劣化を防止できる。また、ポリテトラフルオロエチレンは、摩擦係数最少という特性を有し、非粘着性なので、シートの表面に貼り紙を防止するための凹凸を設ける必要がない。また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐熱性が高いので、熱サイクルによって保護シートが伸縮して変形したり亀裂を生じることがない。また、PTFEシートが上記特性を有するので、PETシートは透湿性を有し、防水性は要しない。しかも、ポリエチレンテレフタレートとの2層構造にすることで、ポリテトラフルオロエチレンのみで保護シートを構成する場合に比べて、同じ耐候性と防水透湿性、及び強度を得るのにポリテトラフルオロエチレンの量が少なくてすむので、ポリテトラフルオロエチレンは高価であるが保護シートを安価に構成できる。
また、請求項4の本発明は、柱状コンクリート構造物の外周側から塗布された樹脂と、該樹脂に外周側から貼り付けられた繊維シートと、該繊維シートに外周側から塗布された樹脂と、該樹脂を外周側から覆う耐光性を有する保護シートとを含む柱状コンクリート構造物の補強構造において、透湿性を有しポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とするPETシートを挟んだ両側に透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とするPTFEシートを設けたものが前記保護シートであることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強構造をもって解決手段とする。
請求項4の本発明によれば、透湿性を有しポリエチレンテレフタレートを材質とするPETシートを挟んだ両側に透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレンを材質とするPTFEシートを設けたものが保護シートであるので、請求項3の本発明と同様の効果が得られるのに加えて、PTFEシートが内周側に配置され、材質であるポリテトラフルオロエチレンが非粘着性のため、保護シートが内側の樹脂につきにくく取り扱いが容易である。結果として工期短縮に寄与する。
また、請求項5の本発明は、柱状コンクリート構造物の外周側から樹脂を塗布し、該樹脂に外周側から繊維シートを貼り付け、該繊維シートに外周側から樹脂を塗布し、該樹脂を外周側から耐光性を有する保護シートで覆う柱状コンクリート構造物の補強方法において、前記保護シートが透湿防水性を有することを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強方法をもって解決手段とする。
請求項5の本発明によれば、請求項1の本発明と同様の効果が得られる。
また、請求項6の本発明は、柱状コンクリート構造物の外周側から樹脂を塗布し、該樹脂に外周側から繊維シートを貼り付け、該繊維シートに外周側から樹脂を塗布し、該樹脂を外周側から耐光性を有する保護シートで覆う柱状コンクリート構造物の補強方法において、前記保護シートが透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とすることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強方法をもって解決手段とする。
請求項6の本発明によれば、請求項2の本発明と同様の効果が得られる。
また、請求項7の本発明は、柱状コンクリート構造物の外周側から樹脂を塗布し、該樹脂に外周側から繊維シートを貼り付け、該繊維シートに外周側から樹脂を塗布し、該樹脂を外周側から耐光性を有する保護シートで覆う柱状コンクリート構造物の補強方法において、透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とするPTFEシートと、透湿性を有しポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とするPETシートとを張り合わせたものが前記保護シートであり、PETシートを内周側にして使用することを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強方法をもって解決手段とする。
請求項7の本発明によれば、請求項3の本発明と同様の効果が得られる。
また、請求項8の本発明は、柱状コンクリート構造物の外周側から樹脂を塗布し、該樹脂に外周側から繊維シートを貼り付け、該繊維シートに外周側から樹脂を塗布し、該樹脂を外周側から耐光性を有する保護シートで覆う柱状コンクリート構造物の補強方法において、透湿性を有しポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とするPETシートを挟んだ両側に透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とするPTFEシートを設けたものが前記保護シートであることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強方法をもって解決手段とする。
請求項8の本発明によれば、請求項4の本発明と同様の効果が得られる。
本発明によれば、保護シートが透湿防水性を有するので、雨や水滴の内部への浸入を防止でき、また樹脂の成分や水蒸気を外部に排出できるので、塩化ビニルなどを材質とする保護シートを用いた際の様々な不都合を解消できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、柱状コンクリート構造物を補強する各工程における補強構造の断面を示す図である。なお、従来における構成要素と同一のものには同一の符号を付す。例えば断面が直径40〜50cmの円であり、長さが10〜15mの電柱である柱状コンクリート構造物1の地表に近い部分を補強対象部分として補強するため、図1に示すように、1.下地処理として、補強対象部分の表面に付いた付着物を除去しコンクリートを平坦化する。2.コンクリート表面にプライマーを塗布して微小孔を塞ぐことで、コンクリートとアラミド繊維シート2の接着性を向上させる。3.プライマーの上から含浸接着エポキシ樹脂(熱硬化性エポキシ系樹脂)を塗布する。(含浸接着エポキシ樹脂は、次工程のアラミド繊維シートに浸透し、コンクリートに接着し、硬化する。)4.含浸接着エポキシ樹脂の上からアラミド繊維シート2を巻き付けるなどして貼り付ける。5.アラミド繊維シート2の上から含浸接着エポキシ樹脂を塗布する。(2層以上のアラミド繊維シートを積層する場合は3.から5.を繰り返す。)6.含浸接着エポキシ樹脂の上から耐候性、特に紫外線に対する耐光性と透湿防水性を有し、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE(四フッ化エチレン))を材質とする保護シート3を被せ(巻き付け)、この保護シート3の周りを留めバンド4で締結する。
なお、保護シート3は補強対象部分よりも上下に長いものを使用して補強対象部分が外部に露出しないように覆う。そして、補強対象部分から外れた上下の2箇所、つまり保護シート3と柱状コンクリート構造物1とが対向する箇所において留めバンド4を保護シート3の上から巻いて締結する。補強対象部分が長い場合には、補強対象部分の1箇所において留めバンド4を保護シート3の上から巻いて締結する。つまり合計3箇所で留めバンド4を締結する。なお、補強対象部分でない箇所において、保護シート3と柱状コンクリート構造物1とを接着剤や粘着剤で接着してもよい。
保護シート3は、透湿防水性を有するシート、つまり水滴より小さく水蒸気や揮発性有機分子より大きい孔が多数形成されたシートである。防水性がある、つまり水滴より小さい孔が形成されたシートであるので、雨や水滴を内部へ通さず、したがって、アラミド繊維シートの接着強度の低下、及びコンクリートの劣化を防止できる。一方、透湿性がある、つまり揮発性有機分子より大きい孔が形成されたシートであるので、例えば、内部の含浸エポキシ樹脂の成分が気化してもそれが保護シート3の孔を通って外部に蒸発する。その結果、保護シート3が膨潤及び変形したり亀裂を生じることがない。また、万が一水が浸入した場合であっても、水が水蒸気となって外部に蒸発するので、内部を乾燥した状態に維持できる。逆に言えば、保護シート3により補強対象部分を上下の留めバンド4により密閉する必要がなくなる。
また、ポリテトラフルオロエチレンには、材質自体に防水性(撥水性)があるので、保護シート3の材質として好適である。
また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐薬品性最高、酸・塩基・有機溶剤に侵されない特性を有するので、含浸エポキシ樹脂の成分による化学反応で、保護シート3が膨潤及び変形したり亀裂を生じることがない。したがって、亀裂から雨などの進入することがない。また、当該特性を有するので、下地のエポキシ樹脂が乾燥し完全に硬化する前に保護シート3を施工できるので工期を短縮できる。
また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐候性最高、特に、紫外線に対する遮蔽性が高いので、エポキシ樹脂の劣化及びそれによるコンクリートの劣化を防止できる。なお、保護シート3の厚さは、下地の含浸エポキシ樹脂が紫外線で劣化しない程度の厚さにすることが好ましい。保護シート3を十分に厚くできないときは、保護シート3に顔料などを混入させて着色することで紫外線に対する遮蔽性を高められる。顔料はシート内部に取り込まれるため、表面の物性変化がない。
また、ポリテトラフルオロエチレンは、摩擦係数最少という特性を有し、非粘着性なので、シートの表面に貼り紙を防止するための凹凸を設ける必要がない。
また、ポリテトラフルオロエチレンは、耐熱性が高いので、熱サイクルによって保護シート3が伸縮して変形したり亀裂を生じることがない。したがって、亀裂から雨などの浸入することがない。
また、図2に示すように、透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレンを材質とする30μm〜50μm程度の厚さのPTFEシートと、ポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とする0.4mm〜1mm程度の厚さのPETシートとを張り合わせた保護シート3を、PETシートを内周側にして使用してもよい。防水性はPTFEシートにより担保される。そのため、PETシートは透湿性を要し、一方防水性は要しない。つまり、PETシートは水蒸気や揮発性有機分子より大きい孔が多数形成されたシートであればよい。
ポリエチレンテレフタレートは、耐薬品性を備えているが、耐候性がポリテトラフルオロエチレンほど高くないので、カーボンブラック(炭素粉)などを混入させたものを使用して、紫外線に対する遮蔽性を高めるのが好適である。
図2のように、ポリエチレンテレフタレートとの2層構造にすることで、ポリテトラフルオロエチレンのみで保護シート3を構成する場合に比べて、同じ耐候性と防水透湿性、及び強度を得るのにポリテトラフルオロエチレンの量が少なくてすむので、ポリテトラフルオロエチレンは高価であるが保護シート3を安価に構成できる。
また、PETシートを挟んで両側にPTFEシートを設けた3層構造のシートを保護シート3としてもよい。3層構造の場合、いずれにしてもPTFEシートが内周側に配置されるが、ポリテトラフルオロエチレンは非粘着性のため、保護シート3が内側のエポキシ樹脂につきにくく、取り扱いが容易である。結果として工期短縮に寄与する。なお、3層構造の場合であっても、2層構造とした保護シートの場合に得られた効果と同様の効果が得られるのは勿論である。
1 柱状コンクリート構造物
2 アラミド繊維シート
3 保護シート
4 留めバンド
2 アラミド繊維シート
3 保護シート
4 留めバンド
Claims (8)
- 柱状コンクリート構造物の外周側から塗布された樹脂と、該樹脂に外周側から貼り付けられた繊維シートと、該繊維シートに外周側から塗布された樹脂と、該樹脂を外周側から覆う耐光性を有する保護シートとを含む柱状コンクリート構造物の補強構造において、前記保護シートが透湿防水性を有することを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強構造。
- 柱状コンクリート構造物の外周側から塗布された樹脂と、該樹脂に外周側から貼り付けられた繊維シートと、該繊維シートに外周側から塗布された樹脂と、該樹脂を外周側から覆う耐光性を有する保護シートとを含む柱状コンクリート構造物の補強構造において、前記保護シートが透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とすることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強構造。
- 柱状コンクリート構造物の外周側から塗布された樹脂と、該樹脂に外周側から貼り付けられた繊維シートと、該繊維シートに外周側から塗布された樹脂と、該樹脂を外周側から覆う耐光性を有する保護シートとを含む柱状コンクリート構造物の補強構造において、透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とするPTFEシートと、透湿性を有しポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とするPETシートとを張り合わせたものが前記保護シートであり、PETシートを内周側にして使用されていることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強構造。
- 柱状コンクリート構造物の外周側から塗布された樹脂と、該樹脂に外周側から貼り付けられた繊維シートと、該繊維シートに外周側から塗布された樹脂と、該樹脂を外周側から覆う耐光性を有する保護シートとを含む柱状コンクリート構造物の補強構造において、透湿性を有しポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とするPETシートを挟んだ両側に透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とするPTFEシートを設けたものが前記保護シートであることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強構造。
- 柱状コンクリート構造物の外周側から樹脂を塗布し、該樹脂に外周側から繊維シートを貼り付け、該繊維シートに外周側から樹脂を塗布し、該樹脂を外周側から耐光性を有する保護シートで覆う柱状コンクリート構造物の補強方法において、前記保護シートが透湿防水性を有することを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強方法。
- 柱状コンクリート構造物の外周側から樹脂を塗布し、該樹脂に外周側から繊維シートを貼り付け、該繊維シートに外周側から樹脂を塗布し、該樹脂を外周側から耐光性を有する保護シートで覆う柱状コンクリート構造物の補強方法において、前記保護シートが透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とすることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強方法。
- 柱状コンクリート構造物の外周側から樹脂を塗布し、該樹脂に外周側から繊維シートを貼り付け、該繊維シートに外周側から樹脂を塗布し、該樹脂を外周側から耐光性を有する保護シートで覆う柱状コンクリート構造物の補強方法において、透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とするPTFEシートと、透湿性を有しポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とするPETシートとを張り合わせたものが前記保護シートであり、PETシートを内周側にして使用することを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強方法。
- 柱状コンクリート構造物の外周側から樹脂を塗布し、該樹脂に外周側から繊維シートを貼り付け、該繊維シートに外周側から樹脂を塗布し、該樹脂を外周側から耐光性を有する保護シートで覆う柱状コンクリート構造物の補強方法において、透湿性を有しポリエチレンテレフタレート(Poly(ethylene terephthalate):PET)を材質とするPETシートを挟んだ両側に透湿防水性を有しポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)を材質とするPTFEシートを設けたものが前記保護シートであることを特徴とする柱状コンクリート構造物の補強方法。
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