JP2018059358A - コンクリート構造物の耐震補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】工期を短縮し、補強工事を安全で低コストにすることが可能で耐震性能を向上させることが可能なコンクリート構造物の耐震補強構造を提供することを目的とする。
【解決手段】コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造において、断面コ字形又は断面L字形の本体部の上下に水平に伸びる上下水平補強リブを形成し、本体部の端部にコンクリート柱、コンクリート梁、隣接する構造物のいずれかの表面に接する連接リブを形成した補強部材と、補強部材の外周に配置される高強度繊維シートと、コンクリート構造物に設置され前方に伸びる突出部を有するあと施工アンカーと、コンクリート構造物と補強部材との間の空間に充填される固化材と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造において、断面コ字形又は断面L字形の本体部の上下に水平に伸びる上下水平補強リブを形成し、本体部の端部にコンクリート柱、コンクリート梁、隣接する構造物のいずれかの表面に接する連接リブを形成した補強部材と、補強部材の外周に配置される高強度繊維シートと、コンクリート構造物に設置され前方に伸びる突出部を有するあと施工アンカーと、コンクリート構造物と補強部材との間の空間に充填される固化材と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造に関する。
従来、コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造として、既存コンクリート柱の幅方向に複数の鋼板を組み合わせて構成される枠体を、既存コンクリート柱の補強必要長さにほぼ対応する長さの一対のガイド部材を介して固定し、枠体と既存コンクリート柱の間の空隙にグラウト材を充填して一体化するコンクリート構造物の耐震補強構造が提案されている。
また、コンクリート柱とコンクリート梁の交差部を複数鋼板からなる囲い鋼板で所定間隔をおいて配置し、囲い鋼板の端部をコンクリート梁にアンカーボルトで固定し、コンクリート柱とコンクリート梁の交差部と囲い鋼板の間の空隙にグラウト材を充填して一体化するコンクリート柱とコンクリート梁の交差部の耐震補強構造が提案されている。
しかしながら、従来のコンクリート構造物の耐震補強構造は、補強部材が複数の部材で構成され、補強部材をコンクリート柱やコンクリート梁等の構造物に固定する必要があり補強作業に時間を要するという問題と、固化材を充填してコンクリート構造物と補強部材を一体化する際、補強部材と固化材の一体化が不十分となり耐震性能が向上しないという問題を有していた。
本発明は、従来技術の持つ課題を解決するもので、工期を短縮し、補強工事を安全で低コストにすることが可能で耐震性能を向上させることが可能なコンクリート構造物の耐震補強構造を提供することを目的とする。
本発明のコンクリート構造物の耐震補強構造は、前記課題を解決するために、コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造において、断面コ字形又は断面L字形の本体部の上下に水平に伸びる上下水平補強リブを形成し、本体部の端部にコンクリート柱、コンクリート梁、隣接する構造物のいずれかの表面に接する連接リブを形成した補強部材と、補強部材の外周に配置される高強度繊維シートと、コンクリート構造物に設置され前方に伸びる突出部を有するあと施工アンカーと、コンクリート構造物と補強部材との間の空間に充填される固化材と、を備えることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物の耐震補強構造は、コンクリート構造物と補強部材との間の空間に配筋される軸方向筋と副筋があと施工アンカーの突出部と接触しない状態で配置されることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物の耐震補強構造は、補強部材の断面形状がコ字形の場合、側壁間に挿通される両端に雄ネジを形成したタイロッドと、タイロッドの両端雄ネジに螺着されるナットを備えることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物の耐震補強構造は、補強部材の上下水平補強リブに連結ボルト用孔を形成することを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物の耐震補強構造は、連接リブ上に積層配置される補強プレートを備えることを特徴とする。
コンクリート柱又はコンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造において、断面コ字形又は断面L字形の本体部の上下に水平に伸びる上下水平補強リブを形成し、本体部の端部にコンクリート柱、コンクリート梁、隣接する構造物のいずれかの表面に接する連接リブを形成した補強部材と、補強部材の外周に配置れるさ高強度繊維シートと、コンクリート構造物に設置され前方に伸びる突出部を有するあと施工アンカーと、コンクリート構造物と補強部材との間の空間に充填される固化材と、を備えることで、上下水平補強リブが固化材充填時に作用する側圧に対する強度を向上させ、地震時には隣接した上下水平補強リブ間の摩擦効果が発現し制震効果を得ることができ、連接リブを設けることによりコンクリート構造物への設置を容易にし、高強度線シートが引張強度と地震エネルギー減衰性能を向上させ、あと施工アンカーがコンクリート構造物と固化材との定着性を向上することが可能となり耐震性能に優れたコンクリート構造物の耐震補強構造とすることが可能となる。
コンクリート構造物と補強部材との間の空間に配筋される軸方向筋と副筋があと施工アンカーの突出部と接触しない状態で配置されることで、補強筋とあと施工アンカーの干渉を防止しつつ固化材を介してあと施工アンカーからコンクリート構造物の変位を補強筋に伝達して耐震性能を向上することが可能となる。
補強部材の断面形状がコ字形の場合、側壁間に挿通される両端に雄ネジを形成したタイロッドと、タイロッドの両端雄ネジに螺着されるナットを備えることで、固化材充填時に補強部材に作用する側圧を低減すると共に、補強部材の外部に設置する支保工を低減することが可能となる。
補強部材の上下水平補強リブに連結ボルト用孔を形成することで、補強部材を縦方向又は横方向に連設する作業を容易にすることが可能となる。
連接リブ上に積層配置される補強プレートを備えることで、地震時に連接リブに作用する大きな応力に耐えることが可能となる。
コンクリート構造物と補強部材との間の空間に配筋される軸方向筋と副筋があと施工アンカーの突出部と接触しない状態で配置されることで、補強筋とあと施工アンカーの干渉を防止しつつ固化材を介してあと施工アンカーからコンクリート構造物の変位を補強筋に伝達して耐震性能を向上することが可能となる。
補強部材の断面形状がコ字形の場合、側壁間に挿通される両端に雄ネジを形成したタイロッドと、タイロッドの両端雄ネジに螺着されるナットを備えることで、固化材充填時に補強部材に作用する側圧を低減すると共に、補強部材の外部に設置する支保工を低減することが可能となる。
補強部材の上下水平補強リブに連結ボルト用孔を形成することで、補強部材を縦方向又は横方向に連設する作業を容易にすることが可能となる。
連接リブ上に積層配置される補強プレートを備えることで、地震時に連接リブに作用する大きな応力に耐えることが可能となる。
本発明の実施の形態を図により説明する。図1、図2は、コンクリート柱1の一面側の耐震補強を示す図である。
耐震補強されるコンクリート柱1には、所定高さ毎にあと施工アンカー2が設置される。あと施工アンカー2の突出部2aは、コンクリート柱1の補強のため配筋される軸方向筋3、副筋4と直接接触しないように配置する。
コンクリート柱1の耐震補強のための補強部材5は、コンクリート柱1の一面側に固化材充填のための空間を形成する断面コ字形の本体部5aを有する。断面コ字形の本体部5aの上下に前方に水平に伸びる上水平補強リブ5bと下水平補強リブ5cが形成される。上下水平補強リブ5b、5cには連結ボルト用孔5dが形成される。断面コ字形の本体部5aの側面にはタイロッド挿通孔を形成する。
また、補強部材5の両端から前方に伸びる連接リブ5eが形成される。連接リブ5eは、コンクリート構造物の表面に接し、補強部材5の位置決めとして機能する。図1、図2に示される実施形態では、連接リブ5eは、コンクリート柱1の側面に接するように前方に伸びているが、隣接するコンクリート構造物の配置状態に応じて本体部5aの端部から90度内側又は外側に折り曲げた連接リブ5eとしても良い。連接リブ5eには、地震時、コンクリート柱1を介して大きな応力が作用するので、連接リブ5e上に補強プレート12を溶着の手段で積層配置する。
本体部5aの両端部から前方に伸びる連接リブ5e間の間隔をコンクリート柱1の幅とほぼ同じにし、補強部材5をコンクリート柱1の側面に連接リブ5eが接するように配置することで補強部材5を正確に配置することができる。
本体部5aの外周には、高強度繊維シート6を接着剤を介して配置する。高強度繊維シート6の材料をカーボン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維及びポリアレート繊維のいずれかとすることで、引張強度の大きな材料で高強度繊維シート6を形成することが可能となる。
コンクリート柱1の側面に連接リブ5eが接するように高強度繊維シート6を配置した補強部材5を設置し、補強部材5の断面コ字形の本体部5aの側面に形成したタイロッド挿通孔にタイロッド7を挿入し、タイロッド7の両端に形成した雄ネジにナット8を螺着する。タイロッド7は、固化材充填時に補強部材5に作用する側圧を低減すると共に、補強部材5の外部に設置する支保工を低減することが可能となる。
コンクリート柱1に補強部材5を縦方向に連設する際、補強部材5の上下水平補強リブ5b、5cに形成した連結ボルト用孔に連結ボルト8を挿入してナットを螺着して補強部材5を縦方向に連設する。
補強部材5の配置と補強筋の配筋が終了すると、補強部材5を型枠と支保工で支持し、コンクリート柱1と補強部材5で囲まれた空間にセメントモルタル等の固化材を充填する。固化材を養生して固化させコンクリート柱1と補強部材5を一体化する。
固化材によりコンクリート柱1と一体化された補強部材5は、上下水平補強リブ5b、5cが固化材充填時に作用する側圧に対する強度を向上させ、地震時には隣接した上下水平補強リブ5b、5c間の摩擦効果が発現し制震効果を得ることができ、高強度繊維シート6が引張強度と地震エネルギー減衰性能を向上させ、あと施工アンカー2がコンクリート構造物と固化材との定着性を向上することが可能となり、耐震性能に優れたコンクリート構造物の耐震補強構造とすることができる。
図3、図4は、コンクリート梁9の一面側の耐震補強を示す図である。コンクリート梁9への耐震補強は、図1、図2に示されるコンクリート柱1への耐震補強が縦方向に補強部材5を連設するのに対して、横方向に補強部材5を連設するもので、その他の構成は、前述したコンクリート柱の耐震補強と同様であるので説明を省略する。
図5は、床スラブ10とコンクリート梁9とのコーナー部の耐震補強を示す図である。耐震補強されるコンクリート梁9には、あと施工アンカー2が設置される。あと施工アンカー2の突出部2aは、コンクリート梁9と床スラブ10とのコーナー部の補強のため配筋される軸方向筋3、副筋4と直接接触しないように配置する。
床スラブ10とコンクリート梁9とのコーナー部の耐震補強のための補強部材11は、床スラブ10とコンクリート梁9とのコーナー部に固化材充填のための空間を形成する断面L字形の本体部11aを有する。断面L字形の本体部11aの上下に前方に水平に伸びる上水平補強リブ11bと下水平補強リブ11c(図示せず)が形成される。断面L字形の本体部11aの両端に床スラブ10と接する連接リブ11dとコンクリート梁9に接する連接リブ11eが形成される。
本体部11aの外周には、高強度繊維シート6を接着剤を介して配置する。高強度繊維シート6の材料をカーボン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維及びポリアレート繊維のいずれかとすることで、引張強度の大きな材料で高強度繊維シート6を形成することが可能となる。
床スラブ10とコンクリート梁9とのコーナー部の耐震補強のための補強部材11の連接リブ11d、11eには地震時にコンクリート梁9が大きな応力を受けるので、連接リブ11d、11e上に補強プレート12を溶着等の手段で積層配置し補強する。
床スラブ10とコンクリート梁9とのコーナー部への補強部材11の配置と補強筋の配筋が終了すると、型枠の設置、支保工の組み立てをして、床スラブ10とコンクリート梁9とのコーナー部と補強部材11で囲まれた空間にセメントモルタル等の固化材を充填する。固化材を養生して固化させ床スラブ10とコンクリート梁9とのコーナー部と補強部材11を一体化する。
固化材により床スラブ10とコンクリート梁9とのコーナー部と一体化された補強部材11は、上下水平補強リブ11b、11cが固化材充填時に作用する側圧に対する強度を向上させ、地震時には隣接した上下水平補強リブ11b、11c間の摩擦効果が発現し制震効果を得ることができ、高強度繊維シート6が引張強度と地震エネルギー減衰性能を向上させ、あと施工アンカー2がコンクリート構造物と固化材との定着性を向上することが可能となり、耐震性能に優れたコンクリート構造物の耐震補強構造とすることができる。
図6は、コンクリート柱1とコンクリート梁9の交差部の耐震補強構造を示す図である。この実施形態では、コンクリート柱1の一面側に断面コ字形の本体部5aを有する補強部材5を配置する。補強部材5の連接リブ5eは、内側に90度折り曲げコンクリート柱1の正面に接するように配置する。コンクリート柱1とコンクリート梁9とのコーナー部には、断面L字形の本体部11aを有する補強部材11を配置する。その他の構成は、図1、図2、図5に示される実施形態と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本発明のコンクリート構造物の耐震補強構造によれば、工期を短縮し、補強工事を安全で低コストにすることが可能で耐震性能を向上させることが可能で、上下水平補強リブが固化材充填時に作用する側圧に対する強度を向上させ、地震時には隣接した上下水平補強リブ間の摩擦効果が発現し制震効果を得ることができ、連接リブを設けることによりコンクリート構造物への設置を容易にし、高強度線シートが引張強度と地震エネルギー減衰性能を向上させ、あと施工アンカーがコンクリート構造物と固化材との定着性を向上することが可能となり耐震性能に優れたコンクリート構造物の耐震補強構造とすることが可能となる。
1:コンクリート柱、2:あと施工アンカー、2a:あと施工アンカーの突出部、3:軸方向筋、4:副筋、5:補強部材、5a:本体部、5b:上水平補強リブ、5c:下水平補強リブ、5d:連結ボルト用孔、5e:連接リブ、6:高強度繊維シート、7:タイロッド、8:ナット、9:コンクリート梁、10:床スラブ、11:補強部材、11a:本体部、11b:上水平補強リブ、11c:下水平補強リブ、11d:連接リブ、11e:連接リブ、12:補強プレート
Claims (5)
- コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造において、
断面コ字形又は断面L字形の本体部の上下に水平に伸びる上下水平補強リブを形成し、本体部の端部にコンクリート柱、コンクリート梁、隣接する構造物のいずれかの表面に接する連接リブを形成した補強部材と、
補強部材の外周に配置される高強度繊維シートと、
コンクリート構造物に設置され前方に伸びる突出部を有するあと施工アンカーと、
コンクリート構造物と補強部材との間の空間に充填される固化材と、
を備えることを特徴とするコンクリート構造物の耐震補強構造。 - コンクリート構造物と補強部材との間の空間に配筋される軸方向筋と副筋があと施工アンカーの突出部と接触しない状態で配置されることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の耐震補強構造。
- 補強部材の本体部が断面コ字形の場合、側壁間に挿通される両端に雄ネジを形成したタイロッドと、タイロッドの両端雄ネジに螺着されるナットを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の耐震補強構造。
- 補強部材の上下水平補強リブに連結ボルト用孔を形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の耐震補強構造。
- 連接リブ上に積層配置される補強プレートを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の耐震補強構造。
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---|---|---|---|
JP2016198733A JP2018059358A (ja) | 2016-10-07 | 2016-10-07 | コンクリート構造物の耐震補強構造 |
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Cited By (1)
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CN110284728A (zh) * | 2019-07-19 | 2019-09-27 | 华侨大学 | 一种防冲切破坏的板柱结构楼板加固构造及其施工方法 |
-
2016
- 2016-10-07 JP JP2016198733A patent/JP2018059358A/ja active Pending
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CN110284728A (zh) * | 2019-07-19 | 2019-09-27 | 华侨大学 | 一种防冲切破坏的板柱结构楼板加固构造及其施工方法 |
CN110284728B (zh) * | 2019-07-19 | 2023-12-29 | 华侨大学 | 一种防冲切破坏的板柱结构楼板加固构造及其施工方法 |
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