JP2018059106A - 非水性インクジェットインキ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、連続吐出安定性等の印刷性能に優れ、良好な保存安定性を有するとともに、光沢や耐性に優れた印刷物を得ることが可能な、主に塩化ビニル基材への印刷に適した非水性インクジェットインキを提供することを目的とする。
【解決手段】有機溶剤、顔料、及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する非水性インクジェットインキであって、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の重量平均絶対分子量(|Mw|)が20,000〜40,000であり、かつ、前記重量平均絶対分子量と数平均絶対分子量(|Mn|)の比(|Mw|/|Mn|)が1.3以上2.2以下であり、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂が、塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の乳化重合物であることを特徴とする非水性インクジェットインキである。
【選択図】なし

Description

本発明は、連続吐出安定性等の印刷性能に優れ、良好な保存安定性を有するとともに、光沢や耐性に優れた印刷物を得ることが可能な、主に塩化ビニル基材への印刷に適した非水性インクジェットインキに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置の騒音が小さく、操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィスや家庭での出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機として利用され、非水性(溶剤型、UV型)インクジェットインキが塩化ビニル(PVC)、PETなどのプラスチック基材に対して印刷が可能な印刷機が実際に市販されている。
溶剤型の非水性インクジェットインキは主にPVC基材への印刷用途が多く、屋外での使用がメインとなるため印刷物の光沢や耐性が非常に重視される。印刷物の光沢や耐性は主にインキ中のバインダー樹脂に依存し、バインダー樹脂としてはアクリル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(以下、「塩酢ビ樹脂」とも言う)が広く使用されている(特許文献1,2)。特許文献3では、印刷物の耐アルコール性と連続吐出安定性を向上させるために、特定の分子量分布を持つ塩酢ビ樹脂とポリアルキレングリコールジアルキルエーテル溶剤を含むインクジェットインキが開示されている。
特開2005−105126号公報 特開2014−062163号公報 特開2015−067763号公報
しかしながら、印刷物の光沢や耐性を維持したまま、連続吐出安定性やミスト(主たる液滴以外の微小液滴が基材に付着する現象)等の性能、更にはインキの保存安定性を両立させるのは困難だった。なお、連続吐出安定性に係る具体的な現象として、長時間にわたって印刷する際、ノズル詰まりを起こすことで画像にヌケが生じる「ノズル抜け」や、インクジェットインキの液滴が所望の位置に着弾しない「偏向」がある。例えば上記特許文献3では、印刷を続けることで偏向が発生し、連続的に良質な画像を得ることが困難であった。
塩酢ビ樹脂の物性に関与する大きな要因に分子量があるが、従来はポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)での相対分子量が用いられている。しかしながら、このような相対分子量の場合、標準物質であるポリスチレンとの樹脂構造との間に差があることや、カラム吸着の影響により樹脂中の高分子量成分やゲル成分の量を正確に測定できないため、実際の樹脂の状態を反映した値とは言えず、分子量と樹脂物性との関連をみるには不十分であった。
本発明は、前記課題に鑑みたものであり、連続吐出安定性等の印刷性能に優れ、良好な保存安定性を有するとともに、光沢や耐性に優れた印刷物を得ることが可能な、主に塩化ビニル基材への印刷に適した非水性インクジェットインキを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、有機溶剤、顔料、及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する非水性インクジェットインキであって、
前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の重量平均絶対分子量(|Mw|)が20,000〜40,000であり、かつ、前記重量平均絶対分子量と数平均絶対分子量(|Mn|)の比(|Mw|/|Mn|)が1.3以上2.2以下であり、
前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂が、塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の乳化重合物であることを特徴とする非水性インクジェットインキに関する。
更に本発明は、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂が、絶対分子量(|M|)200,000以上の樹脂を含まないか、全樹脂中10%以下含有することを特徴とする上記非水性インクジェットインキに関する。
更に本発明は、有機溶剤が、一般式(a)〜一般式(d)で表される溶剤のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする上記非水性インクジェットインキに関する。
1CO(OR2ZOR3 (a)
4CO(OR5ZOCOR6 (b)
7(OR8ZOR9 (c)
10COOR11 (d)
なお上式中、R2、R5、R8はそれぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基から選択されるいずれかを、R1、R3、R4、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を、R7、R9はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を、R10は2−ヒドロキシエチル基を、R11は炭素数1〜8のアルキル基を、Zは1〜3の整数を表す。
更に本発明は、有機溶剤が、更に含窒素系または含硫黄系またはラクトン系溶剤を含有することを特徴とする上記非水性インクジェットインキに関する。
更に本発明は、更に顔料分散剤を含むことを特徴とする上記非水性インクジェットインキに関する。
本発明により、連続吐出安定性等の印刷性能に優れ、良好な保存安定性を有するとともに、光沢や耐性に優れた印刷物を得ることが可能な、主に塩化ビニル基材への印刷に適した非水性インクジェットインキを提供することが可能となった。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明について説明する。なお本発明において「非水性」とは、意図的に水を添加しないことを意味するものであり、例えば非水性インクジェットインキ全量に対し5重量%以下であれば、原料に含まれる水分や外気の吸湿による水分が含まれても差し支えない。
本発明は、非水性インクジェットインキに用いる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂が塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の乳化重合物であり、その重量平均絶対分子量(|Mw|)が20,000〜40,000であり、かつ、前記重量平均絶対分子量と数平均絶対分子量(|Mn|)の比(|Mw|/|Mn|)が1.3以上2.2以下であることを特徴とする。
従来技術にて説明した通り、溶剤型の非水性インクジェットインキの主な対象基材であるPVC基材に対応するためには、印刷物の光沢や耐性、更にはPVC基材に対する密着性に優れる、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の使用が必須となる。
これら塩酢ビ樹脂を合成する方法として、懸濁重合法や乳化重合法が知られている。
このうち懸濁重合法は、塩化ビニル、酢酸ビニル、及び必要に応じて共重合可能な単量体の混合物(以下、「塩化ビニル系単量体」と記す)に対し、前記塩化ビニル系単量体に可溶な重合開始剤、分散剤、乳化剤、安定化剤等を加え、ホモジナイザー等の分散機によって分散媒中に分散させ、均質化処理した上で重合させる方法である。前記分散媒として主に水を用いること、合成温度を調整しやすいこと、重合体の取出しが容易であることから、工業生産で一般的に使われる重合方法である。しかしながら、分散剤や安定化剤が不溶解分となって生成物に残留しやすく、インクジェットインキに用いた場合、前記不溶解分がインクジェットヘッドに詰まる、あるいは付着することで、連続吐出安定性が悪化してしまう。また得られる重合体の分子量分布が広くなりやすく、やはり連続吐出安定性に悪影響を与えることから、好ましいものではない。
一方で乳化重合法は、塩化ビニル系単量体を、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の乳化剤とともに媒体(水)に加えて乳化させたのち、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤を加えて重合させる方法である。重合反応が高速で進行すること、主な媒体として水を用いること、合成温度を調整しやすいことから、やはり工業生産に向いた合成方法といえる。更に乳化重合法では、懸濁重合法に比べて不溶解分の量が少なく、また連鎖移動剤を併用することで、分子量分布が比較的狭い重合体を得ることができることから、本発明において好適に選択される。
一方、乳化重合法で製造した塩酢ビ樹脂には、全体的に重合度の高いポリマーが得られやすい、といった問題点が存在する。従来より周知の通り、インクジェットインキに含まれる、塩酢ビ樹脂を始めとしたバインダー樹脂の分子量は、連続吐出安定性や、印刷物の光沢や耐性に大きく影響する。すなわちバインダー樹脂の分子量特性を正確に知ることは、前記バインダー樹脂を用いたインクジェットインキの諸特性を把握するために必須不可欠といえる。
上記観点のもと本発明者らが鋭意検討したところ、一般的なポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)法により得られる相対分子量特性が同じ塩酢ビ樹脂であっても、連続吐出安定性の優劣に大きな差が生じることが判明した。更なる調査の結果、連続吐出安定性の優劣が塩酢ビ樹脂の絶対分子量特性に大きく相関していることを突き止めた。
具体的には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の|Mw|が20,000〜40,000であり、かつ、|Mw|/|Mn|が1.3以上2.2以下であることで、連続吐出安定性が極めて優れるだけでなく、印刷物の光沢や耐性、更にはインキの保存安定性が良好なインクジェットインキが得られることが判明した。
本明細書において、重量平均絶対分子量、数平均絶対分子量、及び絶対分子量(|M|)は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー・マルチアングルライトスカッターリング(以降GPC−MALS)法で求められる重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量を表す。具体的には、TSKgelカラム(東ソー社製)、及び多角度光散乱検出器(Wyatt社製、miniDawn TREOS)を装備したGPC(Waters社製、Alliance GPC)を使用し、展開溶媒にTHFを用いることで測定できる値であり、従来のGPC法で得られるポリスチレン換算値(相対値)ではなく、樹脂自身の絶対分子量を求めることができる。
GPC−MALS法では、樹脂構造やカラム吸着の影響を受けることがないため、連続吐出安定性に大きく影響を与える、樹脂中の高分子量成分やゲル成分の量を正確に測定できるものであり、相対分子量の測定結果からは予測できない測定値となる。このように、樹脂の状態を反映した値である絶対分子量は、各種物性との関係について検討するのに特に適した方法である。
なお、本発明者らが調査した限り、市販されている塩酢ビ樹脂の乳化重合品に、上記好適な|Mw|や|Mw|/|Mn|(以下総称して「好適な絶対分子量分布」ともいう)を満たしているものはなく、これらの特性は、本発明において初めて見出されたものである。従来市販されている塩酢ビ樹脂は、一般的なポリスチレン換算のGPC法により相対値である分子量や分子量分布が測定されているものが多く、上記の高分子量成分やゲル成分について認識されず、当該成分が除去されないまま販売されているものと考えられる。
続いて以下に、本実施形態の主要となる各成分について述べる。
〔バインダー樹脂〕
本発明の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の|Mw|は、上記の通り20,000〜40,000である必要があり、20,000〜35,000であることが好ましく、25,000〜30,000であることが特に好ましい。この範囲内であれば連続吐出安定性や印刷物の光沢や耐性、またインキの保存安定性に優れたインクジェットインキを得ることができる。また|Mw|/|Mn|は1.3以上2.2以下である必要があり、1.4以上2.1以下であることがより好ましく、1.5以上2.0以下であることが特に好ましい。この範囲内であればインクジェットインキのノズル抜けを抑制でき、連続吐出安定性を更に高めることができる。
更に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂において、絶対分子量(|M|)200,000以上の樹脂の含有率が、前記共重合体樹脂全量中0〜10重量%であることが好ましく、0〜5重量%であることがより好ましく、0重量%であることが特に好ましい。なお上記において「0重量%」とは、対象となる成分を含まないことを意味する。また、|M|が200,000以上の樹脂の含有率が0重量%であるもののうち、|M|が150,000以上の樹脂を含まないか、前記共重合体樹脂全量中10重量%以下含有することが最も好ましい。高絶対分子量成分の配合量を上記範囲まで減らすことで、連続吐出安定性に極めて優れたインクジェットインキを得ることができる。なお、ある|M|以上の樹脂の含有率は、GPC−MALSで測定される分子量分布のグラフから面積を計算することで算出される。
本発明では、上記の通り、好適な絶対分子量分布を有する樹脂を得るため、乳化重合法により得られる塩酢ビ樹脂を使用する。なお乳化重合においては、末端にイオン性基を有する重合開始剤を用いることが好ましい。また環境負荷低減の観点から、乳化重合の原料として、有機塩素化合物が含まれないことが好ましい。
乳化重合において、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の|Mw|や|Mw|/|Mn|を上記の好適な範囲に収める方法として、例えば連鎖移動剤や乳化剤の種類や量を調整すること、塩化ビニル及び酢酸ビニルの量や比率を調整すること、及び前記の組合せが挙げられる。
具体的には、連鎖移動剤の配合量を、塩化ビニル系単量体全量に対し、例えば1.8〜2.5重量%、好ましくは2.0〜2.3重量%とすることにより、媒体中で形成される乳化物が小さくなり、結果として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の|Mw|や|Mw|/|Mn|が好適なものとなる。
また、塩化ビニル及び酢酸ビニルの比率により好適な絶対分子量分布に収めるべく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂中における酢酸ビニルの割合は、10〜25重量%とすることが好ましく、12〜22重量%とすることがより好ましく、14〜20重量%とすることが更に好ましい。酢酸ビニルの割合を上記範囲内とすることで、|Mw|や|Mw|/|Mn|を好適な範囲内に収められるだけでなく、印刷物の光沢性や耐溶剤性に優れるインクジェットインキを得ることができる。
なお上記の通り、市販の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の乳化重合品には、本発明において好適な絶対分子量分布を有するものはないが、例えば超音波処理装置やメディア分散機等を利用することによって、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体鎖を切断し、市販品であっても好適な絶対分子量分布を有する塩酢ビ樹脂とすることができる。
超音波処理装置を利用する場合、市販の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の乳化重合品を、非水性インクジェットインキに用いる有機溶剤に溶解させた溶液を作製したのち、前記溶液に対し超音波処理を施す方法が好適である。超音波処理前記装置としては、超音波ホモジナイザーが好適に利用される。なお、上記の好適な絶対分子量分布に収めるため、超音波の周波数は10〜30kHzであることが好ましく、また振幅範囲としては20〜60μmであることが好ましい。
上記方法により、本発明に好適な塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を調整する場合、具体的に用いることができる市販品としては、ワッカーケミー社製のVINNOL(登録商標)E15/45、E15/45M、E15/40M、E15/48A、E22/48A、E15/40A TF、E15/45M TF、E15/45TF等が挙げられる。中でも前記絶対分子量分布を好適なものに収めやすく、連続吐出安定性に優れた非水性インクジェットインキを得られる点から、VINNOL E15/45、E15/45M、E15/40M、E15/48A、が好ましく、印刷物の耐性の面も考慮すると、VINNOL E15/45、E15/45TFが特に好ましい。なお、VINNOL E15/45、E15/45TFはともに、乳化重合法で製造され、樹脂全量に対し塩化ビニルを約85重量%、酢酸ビニルを約15重量%含む。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を合成する場合、及び市販品を用いる場合のどちらにおいても、前記樹脂を構成する塩化ビニル系単量体として、塩化ビニル、及び酢酸ビニルの他に、例えばマレイン酸やビニルアルコールを含んでいてもよい。
また本発明の非水性インクジェットインキに含まれる、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の含有量としては、非水性インクジェットインキ全量に対し0.5〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、2〜8重量%が更に好ましい。上記範囲とすることでより高い連続吐出安定性を発揮することができる。
本発明において、基材密着性や塗膜耐性等を向上させる目的で、バインダー樹脂として更に、その他の樹脂を併用ことができる。本発明において使用されるバインダー樹脂としては、インキ塗膜の耐擦性、耐溶剤性、延伸性、光沢性、基材汎用性などの機能を発揮するものであれば制限されるものでない。例えば、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エチレン−酢ビ系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド樹脂等、一般的に使用される樹脂が使用できる。これらバインダー樹脂は、単独で使用しても、2種類以上を併用しても良い。
本発明では、バインダー樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の他に、アクリル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。なおアクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルを重合した樹脂を指す。またスチレン−アクリル系樹脂、及びスチレン−マレイン酸系樹脂とは、前記樹脂の構成成分中50重量%を超えない範囲で、それぞれスチレンやマレイン酸等を含み、残りが(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルにより構成される樹脂である。上記樹脂を構成する成分として好適なものを例示すると、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、マレイン酸などが挙げられる。本発明ではインキ中への樹脂の溶解性や印刷物の耐性の面から、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸ブチルを構成成分とした樹脂であることが好ましく、更にアクリル酸を含む樹脂であることが特に好ましい。なお上記において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも1種であることを意味する。
本発明においてアクリル樹脂を併用する場合、当然ながら、適した絶対分子量分布を有することが好ましい。好適に用いられるアクリル樹脂の重量平均絶対分子量は4,000〜50,000であり、この範囲であれば印刷時にミストを生じることなく、また高い耐性を有する印刷物を得ることが可能となる。より好ましくは10,000〜45,000、更に好ましくは15,000〜40,000である。
また、好適に用いられるアクリル樹脂として、絶対分子量200,000以上の樹脂の含有量が、全アクリル樹脂中10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、まったく含まないことが特に好ましい。
更に、アクリル樹脂の酸価は0〜30mgKOH/gであることが好ましい。この範囲であれば高い耐アルコール性を発揮することが可能である。より好ましくは0〜20mgKOH/g、更に好ましくは0〜15mgKOH/gである。ここで「酸価」とは、アクリル樹脂1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。
アクリル樹脂のガラス転移点は40〜150℃であることが好ましい。この範囲であれば印刷物の耐性が良好であり、フレキシブルな印刷媒体へ印刷した場合にも塗膜のワレなどの不具合が生じにくい。より好ましくは50〜120℃であり、更に好ましくは60〜100℃であり、最も好ましくは70〜90℃である。
アクリル樹脂を併用する場合、非水性インクジェットインキ全量に対する含有量として0.1〜10重量%であることが好ましい。この範囲であればインキの連続吐出安定性に悪影響を与えず、また、ミストも生じることなく印刷が可能であるため好ましい。より好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは1.5〜6重量%である。
またアクリル樹脂の含有量を決定する際は、併用する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の含有量も考慮する必要がある。両者を併用する場合、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の添加量に対する、アクリル樹脂の含有量は、0.01〜1であることが好ましく、0.03〜0.8であることがより好ましく、0.05〜0.6であることが特に好ましい。上記範囲に収めることで、連続吐出安定性、印刷物の耐擦性、光沢を高いレベルで満足することが可能となる。
好適に用いられるアクリル樹脂の具体例としては三菱レイヨン社製のダイヤナール(登録商標)BR−50、BR−52、MB−2539、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、MB−2389、BR−80、BR−82、BR−83、BR−84、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−95、BR−96、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−110、BR−113、MB−2660、MB−2952、MB−3012、MB−3015、MB−7033、BR−115、MB−2478、BR−116、BR−117、BR−118、BR−122、ER−502;
ダウ・ケミカル社製のパラロイド(登録商標)A−11、A−12、A−14、A−21、B−38、B−60、B−64、B−66、B−72、B−82、B−44、B−48N、B−67、B−99N、DM−55;
BASF社製のJONCRYL(登録商標)67、678、586、611、680、682、683、690、819、JDX−C3000、JDXC3080などが挙げられる。
〔有機溶剤〕
本発明の非水性インクジェットインキに含まれる有機溶剤は、下記一般式(a)〜一般式(d)で表される溶剤のいずれか1つ以上を含むことが好ましい。
1CO(OR2ZOR3 (a)
4CO(OR5ZOCOR6 (b)
7(OR8ZOR9 (c)
10COOR11 (d)
上記式中、R2、R5、R8はそれぞれ独立してエチレン基、プロピレン基、ブチレン基から選択されるいずれかを、R1、R3、R4、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を、R7、R9はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を、R10は2−ヒドロキシエチル基を、R11は炭素数1〜8のアルキル基を、Zは1〜3の整数を表す。
上記の中でも、インキの保存安定性、印刷時のミストの低減が可能である点から、(a)及び/または(c)で表される有機溶剤を含むことが好ましく、少なくとも(a)で表される有機溶剤を含むことが特に好ましい。
また、沸点が150〜200℃である有機溶媒を選択し、かつ、その含有量を非水性インクジェットインキ全重量を基準として50〜98重量%とすることが、印刷速度向上の観点から好ましい。
本発明において好適に用いられる、沸点が150〜200℃であり上記式(a)及び/または(c)で表される有機溶剤として、3−メトキシブタノール(沸点158℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、3−メチルメトキシブタノール(沸点174℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル(沸点179℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点171℃)、エチレングリコールブチルエーテルアセテート(沸点192℃)、3−メトキシブチルアセテート(沸点171℃)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート(沸点188℃)等が挙げられる。中でもインキの保存安定性の観点からジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルアセテートが好ましく、エチレングリコールブチルエーテルアセテートを使用することが最も好ましい。
また上記以外の、式(a)〜(d)で表される有機溶剤を例示すると、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル(沸点212℃)、ジエチルグリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル(沸点261℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃)、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート(沸点217℃)、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート(沸点245℃)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点190℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)等となる。
上記有機溶剤は、非水性インクジェットインキ全重量を基準として50〜98重量%含有することが好ましく、より好ましくは60〜95重量%、更に好ましくは65〜90重量%、最も好ましくは70〜85重量%である。
本発明では、上記式で表される有機溶剤に加えて、更に含窒素系または含硫黄系またはラクトン系溶剤を併用することができる。これらの溶剤はいずれも、炭素以外の元素を含む環状構造を有する溶剤であり、使用することで基材に対するインキの浸透性が増し、印刷時の乾燥性や印刷物の耐擦性、耐アルコール性が高まるため好ましい。本発明で使用できる含窒素系または含硫黄系またはラクトン系溶剤として、例えば、
3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン構造を有する溶剤;
2−ピロリドン(γ−ブチロラクタム)、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、γ−バレロラクタム、γ−ヘキサラクタム、γ−ヘプタラクタム、γ−オクタラクタム、γ−ノナラクタム、γ−デカラクタム、γ−ウンデカラクタム、δ−バレロラクタム、δ−ヘキサラクタム、δ−ヘプタラクタム、δ−オクタラクタム、δ−ノナラクタム、δ−デカラクタム、δ−ウンデカラクタム、及びε−カプロラクタム等のラクタム構造を有する溶剤;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、γ−ラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−ヘプタラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、ε−カプロラクトン、及びε−ラクトン等のラクトン構造を有する溶剤
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及び1,2−ブチレンカーボネート等の含酸素系溶剤等が挙げられる。
中でも、基材へのインキの浸透性や印刷時の乾燥性の点から、3−メチル−2−オキサゾリジノン(沸点266℃)、2−ピロリドン(γ−ブチロラクタム)(沸点245℃)、1−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、ε−カプロラクタム(沸点267℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)、γ−バレロラクトン(沸点230℃)、及びε−カプロラクトン(沸点237℃)、プロピレンカーボネート(沸点240℃)等が好ましく、3−メチル−2−オキサゾリジノン(沸点266℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)、及びε−カプロラクトン(沸点237℃)がより好ましく選択される。
含窒素系または含硫黄系またはラクトン系溶剤を使用する場合、その沸点は200℃〜300℃であることが好ましい。前記範囲とすることで、基材への浸透性と、溶剤の揮発性のバランスを取ることができ、印刷時の乾燥性が高く、印刷物の耐性に優れた非水性インクジェットインキを得ることができる。また、含窒素系または含硫黄系またはラクトン系溶剤の沸点をインキ中最も高くすることが好ましい。インキ乾燥時、溶解性の高い含窒素系または含硫黄系またはラクトン系溶剤が最後まで残留し、インクジェットヘッドにおいて非水性インクジェットインキ中の不揮発成分の固化を防ぐことで、ノズル抜けを防止することができる。
含窒素系または含硫黄系またはラクトン系溶剤の配合量はインクジェットインキ全重量を基準として1〜25重量%であることが好ましい。この範囲であれば良好な乾燥性を示し、印刷物の耐性向上が見込めるため好ましい。より好ましくは2〜20重量%、更に好ましくは4〜15重量%、最も好ましくは5〜13重量%である。
本発明ではインキの粘度や吐出性の調整を目的として、上記に記載した以外の溶剤も併用することができる。具体的には、乳酸メチル(沸点144℃)、乳酸エチル(沸点154℃)、乳酸プロピル(沸点170℃)、乳酸ブチル(沸点189℃)、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド(沸点216℃)、N,N−ジブチル−β−ブトキシプロピオンアミド(沸点252℃)等が挙げられる。
〔顔料〕
本発明の非水性インクジェットインキに使用される顔料は、印刷用途及び塗料用途のインキに一般的に使用されるものから、発色性及び耐光性等の必要となる用途に応じて適切に選択することができる。また1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いても良い。
顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料、及び/または有彩色の有機顔料が使用できる。
本発明に好ましく用いられる有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、16、17、20、24、55、74、83、86、87、93、109、110、117、120、125、124、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、170、171、172、174、176、180、185、188、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、64、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、146、147、149、150、168、177、180、185、192、202、206、207、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、245、269、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26、C.I.ピグメントブラック1、6、7等が挙げられる。
これら顔料の、インキ中の含有量は、着色力、保存安定性、インクジェット粘度適性の点から、1〜15重量%が好ましく、1〜8重量%がより好ましい。画像粒状感を低減するため淡色インクを用いる場合は、顔料の含有量を濃色インクの場合の1/10〜1/2とすることが好ましい。
非水性インクジェットインキ中の顔料の平均粒径(D50)は、50〜300nmであることが好ましい。ここでD50が50nm以上では、耐光性と着色力が得られ、300nm以下では、インキ保存安定性や連続吐出安定性が安定になる。なお前記D50は、例えば、非水性インクジェットインキを酢酸エチルで200〜1000倍に希釈し、日機装社製 MICROTRAC UPA150により測定することができる。またD50は、メジアン径を指す。
〔顔料分散剤〕
本発明では、顔料の分散性及びインキの保存安定性を向上させるために、顔料分散剤を使用することが好ましい。顔料分散剤としては、従来既知の化合物を使用することできる。連続吐出安定性やインキの保存安定性の点から、塩基性官能基を有する樹脂型分散剤が好ましい。
顔料分散剤の市販例として、ルーブリゾール社製のソルスパース32000、76400、76500、J200、及びJ180等; ビックケミー社製のDisperbyk−161、162、163、164、165、166、167、及び168等; 味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、PB822等が挙げられる。
顔料分散剤の重量平均分子量(以下Mw)は、5,000〜20,000が好ましく、10,000〜20,000がより好ましい。Mwが5,000以上であれば、インキに使用される有機溶剤中での顔料分散剤自体の安定性が良好のため顔料分散体の安定性が向上する。20,000以下であると、バインダー樹脂との相溶性が良好となりインキ塗膜の白化現象が抑制され、発色性が良好になる。
更に、顔料分散剤は、GPCにより求めた数平均分子量(以下Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1〜2であることが好ましく、Mw/Mnが1〜2であることがより好ましく、1〜1.8が特に好ましい。
Mw/Mnを2以下とすることにより、顔料の粒径のばらつきの少ない顔料分散体を得ることができ、顔料分散体の低粘度化と保存安定性の両立が可能となる。
なお上記MwやMnは、一般的なゲルパーミッションクロマトグラフィー(以下GPC)によりスチレン換算分子量として求めることができる。例えば、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8320GPC)で、展開溶媒にDMFを用いたときのポリスチレン換算分子量で示すことができる。
本発明で好適に用いられる顔料分散剤の酸価(mgKOH/g)は5〜20が好ましく、5〜15がより好ましい。またアミン価(mgKOH/g)は5〜50が好ましく、20〜45がより好ましく、25〜40が特に好ましい。顔料分散剤の酸価、アミン価が上記の範囲内である場合、顔料分散工程において、顔料分散体の粘度がインクジェットインキに相応しい程度の低粘度になるまでの時間が短くなり、更に、インキの保存安定性が良好になるため好ましい。なお上記酸価は、アクリル樹脂の場合と同様に求めることができる。また「アミン価」は、分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
〔顔料誘導体〕
本発明のインキには、顔料誘導体も使用することができる。顔料誘導体は、分散剤と顔料との吸着性を強固にし、保存安定性を良化させる目的で使用される。顔料誘導体としては、有機顔料残基に、スルホン酸基やカルボキシル基等の酸性基を有する化合物が好ましく使用される。
顔料誘導体の含有量は、顔料に対して0.1重量%以上20重量%以下が好ましく、1重量%以上15重量%以下が特に好ましい。ここで0.1重量%以上であると、安定性、発色性が良好になり、20%重量以下であるとインキの粘度が好適な範囲で仕上がり、保存安定性が良好となるため好ましい。
〔添加剤〕
本発明のインキは、印刷適性や印刷物耐性を高めるため、表面調整剤、スリップ剤、可塑剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、防錆剤等の種々の添加剤を使用することができる。
表面調整剤としては、シリコン系、フッ素系、アクリル系、アセチレングリコール系が挙げられ、中でもシリコン系が好ましい。またシリコン系の表面調整剤の中でも、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に有機基を導入した変性ポリシロキサン化合物であることが好ましい。変性の例として、ポリエーテル変性、メチルスチレン変性、アルコール変性、アルキル変性、アラルキル変性、脂肪酸エステル変性、エポキシ変性、アミン変性、アミノ変性、メルカプト変性などが挙げられ、ポリエーテル変性、アラルキル変性であることが、連続吐出安定性等の点で好ましく、アラルキル変性であることが、連続吐出安定性や、インキの乾燥性の点で特に好ましい。
ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物の例として、例えば、信越化学工業株式会社製のKF−353A、KF−354L、KF6017、X−22−6551、AW−3、日信化学工業株式会社製のSAG001、SAG002、SAG003、SAG005、SAG503A、SAG008、SAG010、東レ・ダウコーニング株式会社製の8019ADDITIVE、8029ADDITIVE、8032ADDITIVE、8054ADDITIVE、8526ADDITIVE、8616ADDITIVE、57ADDITIVE、67ADDITIVE、L7001、L7002、L7604、FZ2105、FZ2110、FZ2123、FZ2191、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−300、302、306、307、330、377、エボニックデグサ社製のTEGO Glide 100,110、130、406、410、415、420、432、435、440、450;
が挙げられる、またアラルキル変性ポリシロキサン化合物の例として、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−322、323、信越化学工業(株)社製のKF−410、東レダウコーニング(株)製のSM 7001EX、SM 7002EX等が挙げられる。
上記のとおり、これらの材料の中でも、アラルキル変性ポリシロキサン化合物であるBYK−322、323が特に好ましく用いられる。
表面調整剤の含有量は、非水性インクジェットインキ全重量を基準として、0〜2重量%であることが好ましく、0.001〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.5重量%であることが更に好ましい。
〔記録媒体〕
本発明で用いられる記録媒体については特に限定はなく、軟質PVC、硬質PVC、ポリスチレン、発泡スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、ポリカーボネート等のプラスチック基材やこれらの混合品または変性品、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、ガラス、ステンレス等の金属基材等が挙げられる。中でも、価格や加工性の点から、上記の通り、非吸収性基材である軟質PVCや硬質PVCが好ましく用いられる。
〔インキの製造方法〕
本発明のインキは公知の方法によって製造することができる。具体的に例示すると、まず始めに、単一もしくは混合した有機溶剤、顔料、及び、配合する場合にはバインダー樹脂、分散剤等を混合した後、ペイントシェーカー、サンドミル、ロールミル、メディアレス分散機等によって顔料を分散することで顔料分散体を調整する。得られた顔料分散体に対し、所望のインキ特性を有するように、有機溶剤の残部、バインダー樹脂の残部、その他添加剤(たとえば表面調整剤)を添加し、前記バインダー樹脂を溶解させたのち、フィルター等により粗大粒子を除去することで得ることができる。
〔インクジェットインキの物性〕
本発明の非水性インクジェットインキは、インクジェットヘッドからの吐出性、着弾後のドット形成の信頼性とのバランスの観点から、25℃における表面張力が20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。同様の観点から、25℃における粘度は、2mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましい。
なお、表面張力の測定は、協和界面科学社製 自動表面張力計CBVP−Zを用いて、25℃の環境下で白金プレートをインキで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。粘度の測定は、東機産業社製 TVE25L型粘度計を用いて、25℃環境下で、50rpm時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限りそれぞれ「重量部」、「重量%」を表す。
〔塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂Aの製造〕
撹拌機、温度計、窒素ガス導入口を備えた耐圧容器内を窒素置換したのち、脱イオン水750部、酢酸ビニル290部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20部、連鎖移動剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル20部を添加した。続いて容器内部を減圧にして塩化ビニル700部を添加したのち、撹拌しながら60℃に昇温させた。重合開始剤として過硫酸アンモニウム5部を脱イオン水100部に溶解させた溶液を滴下したのち、容器内部の温度を60〜70℃に保持しながら20時間反応を行ったのち、30℃まで冷却することで重合を終了させた。前記反応溶液に、1M塩化ナトリウム水溶液1800部を少しずつ添加し、得られた沈殿物を濾別した後、脱イオン水による洗浄を3回繰返すことで、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂Aを得た。
〔塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂B〜Kの製造〕
連鎖移動剤の量、塩化ビニルの量、及び酢酸ビニルの量を、下表1に示したものに変える以外は、上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂Aと同様にして、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂B〜Kを製造した。
なお表1には、後述する実施例に用いた、VINNOL E15/45TF(ワッカーケミー社製乳化重合品)、ソルバインCL(日信化学工業製懸濁重合品)についても、そのスペックを記載した。表1において|M|は絶対分子量、|Mw|は重量平均絶対分子量、|Mn|は数平均絶対分子量である。
(顔料分散液の製造例)
顔料としてピグメントブルー15:4を20部、顔料分散樹脂としてソルスパースJ200を7部、エチレングリコールブチルエーテルアセテート73部を混合し、ディスパーで予備分散した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散液を得た。
(実施例1)
表2の配合比になるように、顔料分散液を20部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を5.4部、JONCRYL586(BASF社製スチレン−アクリル共重合樹脂、重量平均絶対分子量4000、ガラス転移点60℃、酸価108mgKOH/g)を1.4部、ダイヤナールBR−113(三菱レイヨン社製アクリル樹脂、重量平均絶対分子量35000、ガラス転移点75℃、酸価3.5mgKOH/g)を0.3部、エチレングリコールブチルエーテルアセテート74.6部、γ−ブチロラクトン7.5部をディスパーで撹拌を行いながら順次投入し、十分に均一になるまで攪拌した。その後、目開き1.0μmのメンブランフィルターで濾過を行い、ヘッドつまりの原因となる粗大粒子を除去し本発明のインクジェットインキを作成した。
(実施例2〜13、比較例1〜6)
下表2の材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜13、比較例1〜6の非水性インクジェットインキを作製した。
なお、表2中で使用した略称は以下の通りである。
・BGAc(エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、沸点192℃)
・GBL(γ−ブチロラクトン、沸点204℃)
・ECL(ε−カプロラクトン、沸点237℃)
(印刷評価)
得られたインクジェットインキを、ワイドフォーマットインクジェットプリンタ(セイコーアイ・インフォテック社製ColorPainter64S)に充填し、ポリ塩化ビニルシート(メタマーク社製MD−5)を印刷媒体として印刷評価を行った。
(連続吐出安定性評価)
印刷媒体へ30m2/hの速度で、10m2ベタ印刷し、ノズルチェックパターンを印刷しノズル抜けの本数を確認した。評価基準は以下のとおりとし、B以上を良好とした。
A:印刷後に0本のノズル抜け
B:印刷後に3本以下のノズル抜け
C:印刷後に7本以下のノズル抜け
D:印刷後に20本以下のノズル抜け
E:印刷後に20本以上のノズル抜け
(偏向評価)
印刷媒体へ30m2/hの速度で、10m2ベタ印刷し、ノズルチェックパターンを印刷し、インクジェットインキの液滴が所望の位置に着弾しているかを確認した。評価基準は以下のとおりとし、B以上を良好とした。
A:顕微鏡観察でもインクジェットインキの液滴のズレが見られない
B:目視ではインクジェットインキの液滴のズレが見られない
C:目視でもインクジェットインキの液滴のズレが見られる
(耐アルコール性評価)
印刷媒体へ4m2/hの速度で単色ベタ印刷を行った印刷物を、エタノール水溶液を浸した綿棒で擦ることにより耐アルコール性の評価を行った。アルコール水溶液の濃度を変え、綿棒へのインキ塗膜の色移りを確認し、以下の基準にて評価を行い、B以上を良好とした。
A:80%エタノール溶液にて綿棒への色移りが生じない
B:60%エタノール溶液にて綿棒への色移りが生じない
C:60%エタノール溶液で綿棒への色移りが生じる
(光沢評価)
印刷媒体へ4m2/hの速度で印刷を行ったベタ印刷物について、光沢度計(BYK社製マイクロトリグロス)を用いて60°光沢度を測定した。評価基準は以下のとおりとし、B以上を良好とした。
A:光沢度70以上
B:光沢度50〜70
C:光沢度30〜50
D:光沢度30未満
(保存安定性評価)
作成したインキの粘度をE型粘度計(東機産業社製TVE−20L)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。このインキを70℃の恒温機に保存し、経時促進させた後、経時前後でのインキの粘度変化を評価した。評価基準は下記のとおりとし、B以上を良好とした。
A:六週間保存後の粘度変化率が±10%未満
B:六週間保存後の粘度変化率が±10〜20%未満
C:六週間保存後の粘度変化率が±20%以上
(評価結果)
以上の評価試験の結果について、上表2に記載した。
表2記載の通り、バインダー樹脂として、重量平均絶対分子量(|Mw|)が20,000〜40,000であり、かつ、前記重量平均絶対分子量と数平均絶対分子量(|Mn|)の比(|Mw|/|Mn|)が1.3以上2.2以下である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を用いたことにより、連続吐出安定性、偏向といった印刷適性に関する評価が良好であり、高い品質の印刷物を得ることができた。一方、比較例では印刷適性、印刷物の品質を満足するインキは得られなかった。

Claims (5)

  1. 有機溶剤、顔料、及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する非水性インクジェットインキであって、
    前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の重量平均絶対分子量(|Mw|)が20,000〜40,000であり、かつ、前記重量平均絶対分子量と数平均絶対分子量(|Mn|)の比(|Mw|/|Mn|)が1.3以上2.2以下であり、
    前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂が、塩化ビニル単量体及び酢酸ビニル単量体の乳化重合物であることを特徴とする非水性インクジェットインキ。
  2. 前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂が、絶対分子量(|M|)200,000以上の樹脂を含まないか、全樹脂中10重量%以下含有することを特徴とする、請求項1記載の非水性インクジェットインキ。
  3. 前記有機溶剤が、一般式(a)〜一般式(d)で表される溶剤のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の非水性インクジェットインキ。
    1CO(OR2ZOR3 (a)
    4CO(OR5ZOCOR6 (b)
    7(OR8ZOR9 (c)
    10COOR11 (d)
    (式中、R2、R5、R8はそれぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基、および、ブチレン基から選択されるいずれか、
    1、R3、R4、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    7、R9はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
    10は2−ヒドロキシエチル基、
    11は炭素数1〜8のアルキル基、
    Zは1〜3の整数を表す。)
  4. 前記有機溶剤が、更に含窒素系または含硫黄系またはラクトン系溶剤を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の非水性インクジェットインキ。
  5. 更に顔料分散剤を含むことを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の非水性インクジェットインキ。
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