JP2018054745A - 積層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

積層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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明彦 尾形
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潤 東
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賢輔 大川
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Abstract

【課題】電気特性及び耐摩耗性の両立が可能な積層型電子写真感光体を提供する。【解決手段】積層型電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。感光層は、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を少なくとも含有する電荷輸送層とを含む。電荷発生剤は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニンを含む。正孔輸送剤は、一般式(1)で表される化合物を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、積層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。特許文献1に記載の電子写真感光体は、感光層を備える。感光層は、例えば、化学式(H−A)又は(H−B)で表される化合物を含有する。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
特開2006−008670号公報
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体では、電気特性及び耐摩耗性について未だ改善の余地がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気特性及び耐摩耗性の両立が可能な積層型電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような積層型電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明の積層型電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を少なくとも含有する電荷輸送層とを含む。前記電荷発生剤は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニンを含む。前記正孔輸送剤は、一般式(1)で表される化合物を含む。前記バインダー樹脂の質量に対する前記正孔輸送剤の質量の比率は、0.30以上0.55以下である。
Figure 2018054745
前記一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。aは、1以上3以下の整数を表す。b及びcは、各々独立して、0又は1を表す。d、e、f、g、h及びiは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。dが2以上5以下の整数を表すとき複数のR1は同一でも異なっていてもよい。eが2以上5以下の整数を表すとき複数のR2は同一でも異なっていてもよい。fが2以上5以下の整数を表すとき複数のR3は同一でも異なっていてもよい。gが2以上5以下の整数を表すとき複数のR4は同一でも異なっていてもよい。hが2以上5以下の整数を表すとき複数のR5は同一でも異なっていてもよい。iが2以上5以下の整数を表すとき複数のR6は同一でも異なっていてもよい。
本発明の積層型電子写真感光体の製造方法は、前記正孔輸送剤と前記バインダー樹脂と溶剤とを少なくとも含む電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に塗布し、前記溶剤の少なくとも一部を除去して前記電荷輸送層を形成する電荷輸送層形成工程を含む。前記溶剤が、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン及びo−キシレンのうちの少なくとも1種を含有する。
本発明の積層型電子写真感光体によれば、積層型電子写真感光体の電気特性及び耐摩耗性を両立させることができる。本発明の積層型電子写真感光体の製造方法によれば、電気特性及び耐摩耗性の両立が可能な積層型電子写真感光体を製造することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る積層型電子写真感光体の一例を示す断面図である。 チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例であり、このチタニルフタロシアニンは本発明の実施形態に係る積層型電子写真感光体において用いられる。 化学式(H−2)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る積層型電子写真感光体において用いられる。 化学式(H−4)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る積層型電子写真感光体において用いられる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。更に、反応式(R−1)〜(R−19)で表される反応を各々、反応(R−1)〜(R−19)と記載することがある。一般式(2)〜(7)、(6−1)、(6−2)及び(6−3)で表される化合物を各々、化合物(2)〜(7)、(6−1)、(6−2)及び(6−3)と記載することがある。化学式(2a)、(3a)、(4a)、(5a)、(6a)〜(6c)、(7a)、(8)、(10a)、(10b)、(11a)、(12a)、(12b)、(13a)〜(13e)及び(14a)〜(14e)で表される化合物を各々、化合物(2a)、(3a)、(4a)、(5a)、(6a)〜(6c)、(7a)、(8)、(10a)、(10b)、(11a)、(12a)、(12b)、(13a)〜(13e)及び(14a)〜(14e)と記載することがある。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカン又は炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子は、例えば、フッ素(フルオロ基)、塩素(クロロ基)又は臭素(ブロモ基)である。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換の炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基又はヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例のうち、炭素原子数1以上5以下の基である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例のうち、炭素原子数1以上4以下の基である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例のうち、炭素原子数1以上3以下の基である。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換の炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基又はヘキシルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例のうち、炭素原子数1以上3以下の基である。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンの例は、シクロペンタン、シクロヘキサン又はシクロへプタンである。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基の例は、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基又はシクロへプチリデン基である。
<積層型電子写真感光体>
本実施形態は積層型電子写真感光体(以下、感光体と記載する)に関する。以下、図1を参照して、感光体100の構造について説明する。図1(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本実施形態に係る感光体100の一例を示す断面図である。
図1(a)に示すように、感光体100は、例えば、導電性基体101と感光層102とを備える。感光層102は、電荷発生層102aと電荷輸送層102bとを含む。感光体100には、感光層102として、電荷発生層102aと電荷輸送層102bとが備えられる。
図1(b)に示すように、感光体100においては、導電性基体101上に電荷輸送層102bが設けられ、電荷輸送層102b上に電荷発生層102aが設けられてもよい。ただし、一般に電荷輸送層102bの膜厚は、電荷発生層102aの膜厚に比べ厚いため、電荷輸送層102bは、電荷発生層102aに比べ破損し難い。このため、感光体100の耐摩耗性を向上させるためには、図1(a)に示すように、導電性基体101上に電荷発生層102aが設けられ、電荷発生層102a上に電荷輸送層102bが設けられることが好ましい。
図1(c)に示すように、感光体100は、導電性基体101と感光層102と中間層103(下引き層)とを備えていてもよい。中間層103は、導電性基体101と感光層102との間に備えられる。また、感光層102上には、保護層(不図示)が設けられていてもよい。
以上、図1を参照して、感光体100の構造について説明した。次に、感光体の要素について説明する。
<導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生層は、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)を含有してもよい。電荷発生層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。電荷発生層の厚さは、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。以下、電荷発生剤、ベース樹脂及び添加剤について更に説明する。
(電荷発生剤)
電荷発生剤は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°の27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン(以下、Y型チタニルフタロシアニンと記載することがある)を含む。なお、CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークは、波長1.542ÅのCuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニン結晶は、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°以外に、ピークを有していてもよい。チタニルフタロシアニンは、化学式(CG−1)で表すことができる。
Figure 2018054745
Y型チタニルフタロシアニンは電荷発生効率が高い。また、化合物(1)は、平面構造を有するY型チタニルフタロシアニンと重なり易い構造を有している。化合物(1)とY型チタニルフタロシアニンとの重なる面積が広くなると、Y型チタニルフタロシアニンから化合物(1)へ正孔が効率良く受け渡される。そのため、電荷発生層にY型チタニルフタロシアニンが含有され、電荷輸送層に化合物(1)が含有されることで、感光体の電気特性を向上させることができる。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。
図2は、本実施形態に係る感光体において用いられるチタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例である。図2において、横軸はブラッグ角2θ(°)を示し、縦軸は強度(cps)を示す。図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートから、測定されたチタニルフタロシアニンの結晶型がY型であることを推定できる。
電荷発生剤は、Y型チタニルフアロシアニン結晶のみを実質的に含むことが好ましい。ただし、Y型チタニルフタロシアニン結晶以外に感光体用の電荷発生剤を含んでもよい。このような電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンのような無機光導電材料の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、例えば、フタロシアニン(例えば、X型無金属フタロシアニン(X−H2Pc))、又はフタロシアニン誘導体が挙げられる。フタロシアニン誘導体としては、例えば、Y型チタニルフタロシアニン結晶以外のチタニルフタロシニン(より具体的には、α型チタニルフタロシアニン結晶、又はβ型チタニルフタロシアニン結晶等)、又は酸化チタン以外が配位したフタロシアニン(例えば、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン)が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Y型チタニルフタロシアニンの含有量は、電荷発生剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%以上であることが特に好ましい。
電荷発生剤の含有量は、電荷発生層含有されるベース樹脂100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
(ベース樹脂)
電荷発生剤は、ベース樹脂を含有してもよい。ベース樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエーテル樹脂又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリル酸系樹脂、又はウレタン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのベース樹脂のうち、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。
電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂と異なる樹脂であることが好ましい。その理由は次のとおりである。感光体を製造する際、例えば、感光層は導電性基体上に電荷発生層、電荷発生層上に電荷輸送層が形成される。電荷発生層に、電荷輸送層用塗布液が塗布される。このとき、電荷発生層が、電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。
(添加剤)
電荷発生層に含有される添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。なお、後述する電荷輸送層及び中間層に含有される添加剤の例は、電荷発生層に含有される添加剤の例と同じである。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を少なくとも含有する。電荷輸送層は、電子アクセプター化合物を更に含有してもよい。また、電荷輸送層102bは、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。電荷輸送層の厚さは、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂の質量(MResin)に対する、電荷輸送層に含有される正孔輸送剤の質量(MHTM)の比率(MHTM/MResin)は、0.30以上0.55以下である。比率(MHTM/MResin)が0.55を超えると、正孔輸送剤が可塑剤として作用する傾向があり、感光体の耐摩耗性が低下する。比率(MHTM/MResin)が0.30未満であると、感光体の電気特性が低下する。比率(MHTM/MResin)が0.30以上0.55以下であることで、感光体の電気特性及び耐摩耗性を両立させることができる。なお、正孔輸送剤が化合物(1)に加えて、化合物(1)以外の正孔輸送剤を含む場合には、正孔輸送剤の質量(MHTM)は、化合物(1)の質量と化合物(1)以外の正孔輸送剤の質量との和である。
以下、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び電子アクセプター化合物について更に説明する。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤は、一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある)を含む。化合物(1)は、トリアリールアミンヒドラゾン化合物、すなわちトリアリールアミン構造を含むヒドラゾン化合物である。化合物(1)は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2018054745
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。aは、1以上3以下の整数を表す。b及びcは、各々独立して、0又は1を表す。d、e、f、g、h及びiは、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。dが2以上5以下の整数を表すとき複数のR1は同一でも異なっていてもよい。eが2以上5以下の整数を表すとき複数のR2は同一でも異なっていてもよい。fが2以上5以下の整数を表すとき複数のR3は同一でも異なっていてもよい。gが2以上5以下の整数を表すとき複数のR4は同一でも異なっていてもよい。hが2以上5以下の整数を表すとき複数のR5は同一でも異なっていてもよい。iが2以上5以下の整数を表すとき複数のR6は同一でも異なっていてもよい。
化合物(1)は、感光体の耐摩耗性を向上させつつ、電気特性を向上させることができる。その理由は以下のように推測される。
第一に、化合物(1)は、2個のトリフェニルアミン部位を有する。2個のトリフェニルアミン部位の間には、1個以上3個以下(一般式(1)中のaに相当)の共役結合が存在する。そのため、化合物(1)の分子構造が適度に大きくなる。これにより、感光層中に存在する一の化合物(1)のπ電子雲と、近接する他の化合物(1)のπ電子雲との距離(ホッピング距離)が小さくなる傾向がある。その結果、化合物(1)の間での正孔の移動性が向上し、感光体の電気特性が向上すると考えられる。
第二に、化合物(1)は、化学式「−CH=N−N=」で表される基を2個有する。化学式「−CH=N−N=」で表される基は極性基である。そのため、化合物(1)は感光層を形成するための溶剤に溶解し易い。また、バインダー樹脂が極性基(例えばカルボニル基)を有する場合に、極性基を有する化合物(1)とバインダー樹脂との相溶性が向上すると考えられる。これにより、化合物(1)が均一に分散した感光層が得られ易くなる。その結果、感光体の電気特性が向上すると考えられる。
第三に、化合物(1)は、平面構造を有するY型チタニルフタロシアニンと重なり易い構造を有している。化合物(1)とY型チタニルフタロシアニンとの重なる面積が広くなると、Y型チタニルフタロシアニンから化合物(1)へ正孔が効率良く受け渡される。その結果、感光体の電気特性が向上すると考えられる。
一般式(1)のR1〜R6で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R1〜R6で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、置換基を有してもよい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。置換基の数は特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(1)のR1〜R6で表される炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。R1〜R6で表される炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、置換基を有してもよい。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。置換基の数は特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(1)のR1〜R6で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上14以下の芳香族単環炭化水素基又は炭素原子数6以上14以下の芳香族縮合二環炭化水素基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R1〜R6で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。置換基の数は特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
感光体の電気特性及び耐摩耗性を両立させるためには、R1〜R6は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。
一般式(1)中、aは2又は3を表すことが好ましい。aが2又は3であると、化合物(1)の分子構造が適度に大きくなり、感光層中に存在する一の化合物(1)のπ電子雲と他の化合物(1)のπ電子雲との距離(ホッピング距離)が小さくなる傾向がある。その結果、化合物(1)の間での正孔の移動性が向上し、感光体の電気特性が向上すると考えられる。
感光体の電気特性及び耐摩耗性を両立させるためには、一般式(1)中、d、e、f、g、h及びiは、各々独立して、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。同じ理由から、d及びgは、各々独立して1又は2を表すことがより好ましい。同じ理由から、e、f、h及びiは、各々、0を表すことがより好ましい。
d、e、f、g、h又はiが2以上5以下の整数を表すとき、対応する複数のR1、R2、R3、R4、R5及びR6は同一でも異なっていてもよい。例えば、dが2を表すとき、2個のR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、dが2を表すとき、2個のR1は各々メチル基であってもよいし、2個のR1の一方がメチル基であり他方がメトキシ基であってもよい。
d、e、f、g、h又はiが1以上5以下の整数を表すとき、対応するR1、R2、R3、R4、R5及びR6の置換位置は特に限定されない。R1、R2、R3、R4、R5又はR6は、R1、R2、R3、R4、R5又はR6が結合するフェニル基のパラ位、メタ位又はオルト位の何れに結合してもよい。R1、R2、R3、R4、R5又はR6は、フェニル基のオルト位及び/又はパラ位に結合することが好ましい。
一般式(1)中、下記一般式(1−1)で表される基は、下記一般式(1−2)で表される基と同一であることが好ましい。感光体の電気特性を維持しつつ、反応工程を減らして効率的に化合物(1)を製造できるためである。
Figure 2018054745
一般式(1−1)中、R1、R2、R3、b、d、e及びfは、一般式(1)中のR1、R2、R3、b、d、e及びfと同義である。一般式(1−1)中のR1、R2、R3、b、d、e及びfの好適な例は、一般式(1)中のR1、R2、R3、b、d、e及びfの好適な例と同じである。Y1は、結合部位を表す。
Figure 2018054745
一般式(1−2)中、R4、R5、R6、c、g、h及びiは、一般式(1)中のR4、R5、R6、c、g、h及びiと同義である。一般式(1−2)中のR4、R5、R6、c、g、h及びiの好適な例は、一般式(1)中のR4、R5、R6、c、g、h及びiの好適な例と同じである。Y2は、結合部位を表す。
一般式(1−1)で表される基のY1は、下記一般式(1−3)で表される基のY1と結合する。そして、一般式(1−1)中のY1が結合する窒素原子と、一般式(1−3)中のY1が結合する炭素原子との間に、単結合が形成される。一般式(1−2)で表される基のY2は、一般式(1−3)で表される基のY2と結合する。そして、一般式(1−2)中のY2が結合する窒素原子と、一般式(1−3)中のY2が結合する炭素原子との間に、単結合が形成される。
Figure 2018054745
一般式(1−3)中、aは、一般式(1)中のaと同義である。一般式(1−3)中のaの好適な例は、一般式(1)中のaの好適な例と同じである。Y1及びY2は各々、結合部位を表す。
一般式(1−1)で表される基が一般式(1−2)で表される基と同一である場合、一般式(1)中のR1〜R6及びb〜iは次の関係を有する。一般式(1)中、R1及びR4は、互いに同じ基を表す。R2及びR5は、互いに同じ基を表す。R3及びR6は、互いに同じ基を表す。b及びcは、互いに同じ整数を表す。d及びgは、互いに同じ整数を表す。e及びhは、互いに同じ整数を表す。f及びiは、互いに同じ整数を表す。d及びgが互いに2以上5以下の同じ整数を表すとき、複数のR1は同一でも異なってもよく、複数のR4は同一でも異なってもよい。この場合、一のフェニル基の一の結合位置に結合するR1と、別のフェニル基のこのR1に対応する置換位置に結合するR4とは、同一である。理解を容易にするために一例を挙げて説明する。例えば、一のフェニル基のパラ位に結合するR1と、オルト位に結合するR1とは同一でも異なっていてもよい。この場合、別のフェニル基のパラ位に結合するR4と、オルト位に結合するR4とは同一でも異なっていてもよい。この場合、一のフェニル基のパラ位に結合するR1と、別のフェニル基のパラ位に結合するR4とは同一である。一のフェニル基のオルト位に結合するR1と、別のフェニル基のオルト位に結合するR4とは同一である。e及びhが互いに2以上5以下の同じ整数を表すときも、複数のR2及び複数のR5は同様の関係を有する。f及びiが互いに2以上5以下の同じ整数を表すときも、複数のR3及び複数のR6は同様の関係を有する。
一般式(1−1)で表される基が一般式(1−2)で表される基と同一である場合、一般式(1)中のR2、R3、R5及びR6は互いに同じ基を表し、e、f、h及びiは互いに同じ整数を表すことが好ましい。
一般式(1)中の一般式(1−1)で表される基が一般式(1−2)で表される基と同一である場合、一般式(1)は下記一般式(1’)に相当する。
Figure 2018054745
一般式(1’)中、R1、R2、R3、a、b、d、e及びfは、一般式(1)中のR1、R2、R3、a、b、d、e及びfと同義である。一般式(1’)中のR1、R2、R3、a、b、d、e及びfの好適な例は、一般式(1)中のR1、R2、R3、a、b、d、e及びfの好適な例と同じである。
化合物(1)の具体例としては、下記化学式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)又は(H−5)で表される化合物(以下、化合物(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)又は(H−5)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
感光層の電気特性を更に向上させるためには、化合物(1)としては、化合物(H−1)、(H−2)又は(H−4)が好ましく、化合物(H−4)がより好ましい。
感光層の耐摩耗性を更に向上させるためには、化合物(1)としては、化合物(H−1)又は(H−4)が好ましく、化合物(H−1)がより好ましい。
感光層の耐摩耗性及び電気特性を更に両立させるためには、化合物(1)としては、化合物(H−1)又は(H−4)が好ましい。感光層の耐摩耗性及び電気特性を更に両立させるためには、化合物(1)としては、化合物(H−5)も好ましい。
正孔輸送剤としての化合物(1)の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
電荷輸送層は、化合物(1)に加えて、化合物(1)以外の正孔輸送剤(以下、別の正孔輸送剤と記載することがある)を含有してもよい。別の正孔輸送剤としては、例えば、化合物(1)以外の含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、のジアミン化合物(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。
化合物(1)の含有量は、正孔輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
[化合物(1)の製造方法]
化合物(1)は、例えば、下記の反応(R−1)〜(R−10)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。これらの反応以外に、必要に応じて適宜な工程が含まれてもよい。反応(R−1)〜(R−10)で示す反応式において、R1〜R6及びa〜iは、一般式(1)中のR1〜R6及びa〜iと同義である。Xは、ハロゲン原子を表す。
[化合物(6)の製造]
まず、化合物(6)を製造する。化合物(6)は、下記一般式(6)で表される。化合物(6)は、化合物(1)を製造するための原料である。化合物(6)の製造方法として、化合物(6−1)、(6−2)及び(6−3)の製造方法を例に挙げて説明する。化合物(6−1)、(6−2)及び(6−3)は各々、一般式(6)中のaが1、2及び3である化合物である。
Figure 2018054745
化合物(6−1)は、下記反応(R−1)及び(R−2)に従って製造される。化合物(6−2)は、下記反応(R−1)及び(R−3)に従って製造される。
Figure 2018054745
反応(R−1)では、1モル当量の化合物(2)と1モル当量の亜リン酸トリエチルとを反応させて、1モル当量の化合物(3)を得る。反応(R−1)では、1モルの化合物(2)に対して、1モル以上2.5モル以下の亜リン酸トリエチルを添加することが好ましい。反応(R−1)の反応温度は160℃以上200℃以下であることが好ましい。反応(R−1)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
Figure 2018054745
反応(R−2)では、1モル当量の化合物(3)と1モル当量の化合物(4)とを反応させて、1モル当量の化合物(6−1)を得る。反応(R−2)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。反応(R−2)では、1モルの化合物(3)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(4)を添加することが好ましい。反応(R−2)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましい。反応(R−2)の反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
反応(R−2)は、塩基の存在下で行われてもよい。塩基としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(具体的には、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド)、金属水素化物(具体的には、水素化ナトリウム又は水素化カリウム)又は金属塩(具体的には、n−ブチルリチウム)が挙げられる。これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の添加量は、1モルの化合物(3)に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。
反応(R−2)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又はジオキサン)、ハロゲン化炭化水素(具体的には、塩化メチレン、クロロホルム又はジクロロエタン)又は芳香族炭化水素(具体的には、ベンゼン又はトルエン)が挙げられる。
反応(R−3)では、1モル当量の化合物(3)と1モル当量の化合物(5)とを反応させて、1モル当量の化合物(6−2)を得る。反応(R−3)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。反応(R−3)は、化合物(4)の代わりに化合物(5)を使用する以外は、反応(R−2)と同じ方法で行うことができる。
化合物(6−3)は、下記反応(R−4)及び(R−5)に従って製造される。
Figure 2018054745
反応(R−4)では、1モル当量の化合物(7)と2モル当量の亜リン酸トリエチルとを反応させて、1モル当量の化合物(8)を得る。反応(R−4)では、1モルの化合物(7)に対して、2モル以上5モル以下の亜リン酸トリエチルを添加することが好ましい。反応(R−4)の反応温度は160℃以上200℃以下であることが好ましい。反応(R−4)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
Figure 2018054745
反応(R−5)では、1モル当量の化合物(8)と2モル当量の化合物(4)とを反応させて、1モル当量の化合物(6−3)を得る。反応(R−5)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。反応(R−5)では、1モルの化合物(8)に対して、2モル以上10モル以下の化合物(4)を添加することが好ましい。反応(R−5)は、塩基の存在下で行われてもよい。反応(R−5)は、溶媒中で行われてもよい。反応(R−5)で使用される塩基及び溶媒の例は、反応(R−2)で使用される塩基及び溶媒の例と同じである。反応(R−5)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましい。反応(R−5)の反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
[化合物(12)の製造]
次に、下記反応(R−6)に従って、化合物(12)を製造する。化合物(12)は、化合物(14)を製造するための原料である。
Figure 2018054745
反応(R−6)では、1モル当量の化合物(10)と1モル当量の化合物(11、ジフェニルヒドラジン誘導体の塩酸塩)とを反応させて、1モル当量の化合物(12)を得る。反応(R−6)では、1モルの化合物(10)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(11)を添加することが好ましい。反応(R−6)の反応温度は80℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(R−6)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(R−6)は、触媒の存在下で行われてもよい。触媒としては、例えば、酸触媒が挙げられ、より具体的には、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸又はピリジニウム−p−トルエンスルホン酸が挙げられる。これらの触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒の添加量は、1モルの化合物(10)に対して、少量であり、具体的には0.01モル以上0.5モル以下であることが好ましい。
反応(R−6)は、溶媒中で行われてもよい。反応(R−6)で使用される溶媒の例は、反応(R−2)で使用される溶媒の例と同じである。
[化合物(14)の製造]
次に、下記反応(R−7)に従って、化合物(14)を製造する。化合物(14)は、化合物(1)を製造するための原料である。
Figure 2018054745
反応(R−7)では、1モル当量の化合物(12)と1モル当量の化合物(13)とを反応させて、1モル当量の化合物(14)を得る。反応(R−7)は、カップリング反応である。反応(R−7)では、1モルの化合物(12)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(13)を添加することが好ましい。反応(R−7)の反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応(R−7)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(R−7)では、触媒としてパラジウム化合物を用いてもよい。パラジウム化合物としては、例えば、四価パラジウム化合物、二価パラジウム化合物又はその他のパラジウム化合物が挙げられる。四価パラジウム化合物としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物又はヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物が挙げられる。二価パラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)又はジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)が挙げられる。その他のパラジウム化合物としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。パラジウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。パラジウム化合物の添加量は、1モルの化合物(12)に対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
パラジウム化合物は、配位子を含む構造であってもよい。これにより、反応(R−7)の反応性を向上させ易くなる。配位子としては、例えば、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフリルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル又は2,2’−ビス[(ジフェニルホスフィノ)ジフェニル]エーテルが挙げられる。配位子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。配位子の添加量は、1モルの化合物(12)に対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
反応(R−7)は、塩基の存在下で行われてもよい。これにより、触媒活性を向上できると考えられる。塩基は、無機塩基であってもよいし、有機塩基であってもよい。有機塩基としては、例えば、アルカリ金属アルコシドが挙げられ、具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド又はカリウムtert−ブトキシドが挙げられる。無機塩基としては、例えば、リン酸三カリウム又はフッ化セシウムが挙げられる。1モルの化合物(12)に対して、パラジウム化合物を0.0005モル以上20モル以下添加する場合、塩基の添加量は、1モル以上50モル以下であることが好ましく、1モル以上30モル以下であることがより好ましい。
反応(R−7)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、キシレン(具体的には、o−キシレン)、トルエン、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
[化合物(17)の製造]
次に、下記反応(R−8)に従って、化合物(17)を製造する。化合物(17)は、化合物(19)を製造するための原料である。
Figure 2018054745
反応(R−8)では、1モル当量の化合物(15)と1モル当量の化合物(16、ジフェニルヒドラジン誘導体の塩酸塩)とを反応させて、1モル当量の化合物(17)を得る。反応(R−8)は、化合物(10)の代わりに化合物(15)を使用すること、及び化合物(11)の代わりに化合物(16)を使用すること以外は、反応(R−6)と同じ方法で行うことができる。
[化合物(19)の製造]
次に、下記反応(R−9)に従って、化合物(19)を製造する。化合物(19)は、化合物(1)を製造するための原料である。
Figure 2018054745
反応(R−9)では、1モル当量の化合物(17)と1モル当量の化合物(18)とを反応させて、1モル当量の化合物(19)を得る。反応(R−9)は、カップリング反応である。反応(R−9)は、化合物(12)の代わりに化合物(17)を使用すること、及び化合物(13)の代わりに化合物(18)を使用すること以外は、反応(R−7)と同じ方法で行うことができる。
[化合物(1)の製造]
次に、下記反応(R−10)に従って、目的化合物である化合物(1)を製造する。
Figure 2018054745
反応(R−10)では、1モル当量の化合物(6)と1モル当量の化合物(14)と1モル当量の化合物(19)とを反応させて、1モル当量の化合物(1)を得る。反応(R−10)は、カップリング反応である。反応(R−10)では、1モルの化合物(6)に対して、1モル以上2.5モル以下の化合物(14)及び1モル以上2.5モル以下の化合物(19)を添加することが好ましい。反応(R−10)の反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応(R−10)の反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(R−10)では、触媒としてパラジウム化合物を用いてもよい。パラジウム化合物は、配位子を含む構造であってもよい。反応(R−10)は、塩基の存在下で行われてもよい。反応(R−10)は、溶媒中で行われてもよい。反応(R−10)で使用される触媒、配位子、塩基及び溶媒の例は、反応(R−7)で使用される触媒、配位子、塩基及び溶媒の例と同じである。
なお、一般式(1−1)で表される基が一般式(1−2)で表される基と同一である化合物(1)を製造する場合、化合物(14)と化合物(19)とは同じ化合物になる。この場合、反応(R−10)では、1モル当量の化合物(6)と、2モル当量の化合物(14)又は化合物(19)とを反応させて、1モル当量の化合物(1)を得ればよい。化合物(14)を製造する工程及び化合物(19)を製造する工程の何れかを割愛することができる。
反応(R−10)で得られた反応生成物を、必要に応じて精製することにより、目的化合物である化合物(1)を単離することができる。精製方法としては、公知の方法が適宜採用される。精製は、例えば晶析又はシリカゲルクロマトグラフィーにより行われてもよい。精製に使用する溶媒として、例えば、クロロホルム及びヘキサンの混合溶媒を使用してもよい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート(エポキシ化合物のアクリル酸付加物)又はウレタン−アクリレート(ウレタン化合物のアクリル酸付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのバインダー樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた電荷輸送層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。バインダー樹脂は、一般式(20)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(20)と記載することがある)を含むことがより好ましい。
Figure 2018054745
一般式(20)中、Zは、一般式(20a)、(20b)、(20c)又は(20d)で表される2価の基である。R21、R22、R23及びR24は、各々独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。R23及びR24は互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよい。p+q=1.00であり、0.00<q≦1.00である。
Figure 2018054745
一般式(20a)、(20b)及び(20c)中、R25、R26、R27、R28、R29及びR30は、各々独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
一般式(20)中のR21、R22、R23及びR24が表わすアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。一般式(20)中のR21、R22、R23及びR24が表すアリール基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
一般式(20)中のR23及びR24は互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよい。R23及びR24が互いに結合して表すシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロペンチリデン基又はシクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(20)中のR23及びR24は互いに結合してシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(20)は一般式(20’)に相当する。一般式(20’)中のR21、R22、Z、p及びqは、一般式(20’)中のR21、R22、Z、p及びqと同義である。一般式(20’)中の環Aはシクロアルカンを表す。環Aが表わすシクロアルカンとしては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンが好ましく、シクロペンタン又はシクロヘキサンがより好ましい。
Figure 2018054745
感光体の電気特性及び耐摩耗性を更に向上させるためには、一般式(20)中、R21及びR22は各々水素原子を表し、R23及びR24は各々独立して炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すか、R23及びR24が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましい。
一般式(20a)、(20b)及び(20c)中のR25、R26、R27、R28、R29及びR30が表すアルキル基としては、例えば、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が挙げられる。一般式(20a)、(20b)及び(20c)中のR25、R26、R27、R28、R29及びR30が表すアリール基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
感光体の電気特性及び耐摩耗性を更に向上させるためには、一般式(20a)、(20b)及び(20c)中のR25、R26、R27、R28、R29及びR30は、各々、水素原子を表すことが好ましい。
次に、一般式(20)中のp及びqについて説明する。ポリカーボネート樹脂(20)は、下記一般式(20−1)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(20−1)と記載することがある)と、一般式(20−2)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(20−2)と記載することがある)とから構成される。ポリカーボネート樹脂(20)は、繰り返し単位(20−1)と繰り返し単位(20−2)との共重合体である。なお、一般式(20−1)中のZ、並びに一般式(20−2)中のR21、R22、R23及びR24は、各々、一般式(20)中のZ、R21、R22、R23及びR24と同義である。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
一般式(20)中のpは、ポリカーボネート樹脂(20)における繰返し単位(20−1)と繰返し単位(20−2)との合計個数に対する、繰返し単位(20−1)の個数の比率(モル分率に相当)を表す。一般式(20)中のqは、ポリカーボネート樹脂(20)における繰返し単位(20−1)と繰返し単位(20−2)との合計個数に対する、繰返し単位(20−2)の個数の比率(モル分率に相当)を表す。
一般式(20)中、p及びqは、各々独立して、下記数式(i)及び(ii)を満たす数を表す。qは0.00より大きく1.00以下の数を表す。pとqとの和が1.00であるため、pは0.00以上1.00未満の数を表す。qは0.00ではないため、ポリカーボネート樹脂(20)は、繰り返し単位(20−2)を必ず有する。一方、ポリカーボネート樹脂(20)は、繰り返し単位(20−1)を有していてもよいし、有していなくてもよい。例えば、qが1.00であるときpは0.00であり、ポリカーボネート樹脂(20)は繰り返し単位(20−1)を有していない。
p+q=1.00・・・(i)
0.00<q≦1.00・・・(ii)
感光体の電気特性及び耐摩耗性を更に向上させるためには、数式(ii)は、0.30≦q≦1.00であることが好ましい。感光体の電気特性を向上させつつ耐摩耗性を特に向上させるためには、数式(ii)は、0.35≦q≦0.70であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂(20)は、繰返し単位(20−1)と繰返し単位(20−2)とがランダムに共重合したランダム共重合体であってもよい。或いは、ポリカーボネート樹脂(20)は、繰返し単位(20−1)と繰返し単位(20−2)とが交互に共重合した交互共重合体であってもよい。或いは、ポリカーボネート樹脂(20)は、1以上の繰返し単位(20−1)と、1以上の繰返し単位(20−2)とが周期的に共重合した周期的共重合体であってもよい。或いは、ポリカーボネート樹脂(20)は、複数の繰返し単位(20−1)からなるブロックと、複数の繰返し単位(20−2)からなるブロックとが共重合したブロック共重合体であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(20)は、繰返し単位(20−1)及び繰返し単位(20−2)以外の繰返し単位を有してもよい。繰返し単位(20−1)及び繰返し単位(20−2)の合計含有率は、ポリカーボネート樹脂(20)中の全ての繰返し単位の個数に対して、80個数%以上であることが好ましく、90個数%以上であることがより好ましく、100個数%であることが特に好ましい。ポリカーボネート樹脂(20)は、繰返し単位(20−1)及び繰返し単位(20−2)のみを実質的に有することが好ましい。
感光体の耐摩耗性及び電気特性を向上させるためには、一般式(20)中、Z、q、R21〜R24は、次を表すことが好ましい。Zは、一般式(20a)、(20b)、(20c)又は(20d)で表される2価の基である。R21及びR22は、各々、水素原子を表す。R23及びR24は各々独立して炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。又は、R23及びR24は互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す。0.30≦q≦1.00である。感光体の耐摩耗性及び電気特性を向上させるためには、一般式(20a)、(20b)及び(20c)中、R25、R26、R27、R28、R29及びR30は、各々、水素原子を表すことが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(20)の好適な例は、一般式(21)、(22)、(23)、(24)、(25)又は(26)で表されるポリカーボネート樹脂である。以下、一般式(21)、(22)、(23)、(24)、(25)及び(26)で表されるポリカーボネート樹脂の各々を、ポリカーボネート樹脂(21)、(22)、(23)、(24)、(25)及び(26)と記載することがある。ポリカーボネート樹脂(21)について説明する。
Figure 2018054745
一般式(21)中、p1+q1=1.00であり、0.30≦q1≦0.80である。q1に関し、0.35≦q1≦0.70を満たすことが好ましい。ポリカーボネート樹脂(21)の好適な例は、化学式(Resin−1)、(Resin−8)、(Resin−9)又は(Resin−10)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、各々をポリカーボネート樹脂(Resin−1)、(Resin−8)、(Resin−9)又は(Resin−10)と記載することがある)である。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
次に、ポリカーボネート樹脂(22)について説明する。
Figure 2018054745
一般式(22)中、p2+q2=1.00であり、0.30≦q2≦0.80である。q2に関し、0.35≦q2≦0.70を満たすことが好ましい。ポリカーボネート樹脂(22)の好適な例は、化学式(Resin−2)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−2)と記載することがある)である。
Figure 2018054745
次に、ポリカーボネート樹脂(23)について説明する。
Figure 2018054745
一般式(23)中、p3+q3=1.00であり、0.30≦q3≦0.80である。q3に関し、0.35≦q3≦0.70を満たすことが好ましい。ポリカーボネート樹脂(23)の好適な例は、化学式(Resin−3)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−3)と記載することがある)である。
Figure 2018054745
次に、ポリカーボネート樹脂(24)について説明する。
Figure 2018054745
一般式(24)中、p4+q4=1.00であり、0.30≦q4≦0.80である。q4に関し、0.35≦q4≦0.70を満たすことが好ましい。ポリカーボネート樹脂(24)の好適な例は、化学式(Resin−4)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−4)と記載することがある)である。
Figure 2018054745
次に、ポリカーボネート樹脂(25)について説明する。
Figure 2018054745
一般式(25)中、p5+q5=1.00であり、0.30≦q5≦0.80である。q5に関し、0.35≦q5≦0.70を満たすことが好ましい。ポリカーボネート樹脂(25)の好適な例は、化学式(Resin−5)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−5)と記載することがある)である。
Figure 2018054745
次に、ポリカーボネート樹脂(26)について説明する。
Figure 2018054745
一般式(26)中、p6+q6=1.00であり、0.30≦q6≦0.80である。q6に関し、0.35≦q6≦0.70を満たすことが好ましい。ポリカーボネート樹脂(26)の好適な例は、化学式(Resin−6)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−6)と記載することがある)である。
Figure 2018054745
ポリカーボネート樹脂(20)の別の好適な例としては、化学式(Resin−7)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−7)と記載することがある)が挙げられる。ポリカーボネート樹脂(Resin−7)においては、一般式(20)中のqが1.00である。ポリカーボネート樹脂(Resin−7)は、化学式(Resin−7)中に示される繰り返し単位のみを有する。
Figure 2018054745
感光体の電気特性を更に向上させるためには、ポリカーボネート樹脂(20)としては、ポリカーボネート樹脂(21)が好ましく、一般式(21)中のq1は0.35≦q1≦0.55を満たすことが好ましい。感光体の電気特性を更に向上させるためには、ポリカーボネート樹脂(20)としては、ポリカーボネート樹脂(21)、(25)又は(26)が好ましく、ポリカーボネート樹脂(21)がより好ましい。感光体の電気特性を更に向上させるためには、ポリカーボネート樹脂(20)としては、ポリカーボネート樹脂(Resin−5)、(Resin−6)又は(Resin−8)が好ましく、ポリカーボネート樹脂(Resin−8)がより好ましい。
感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、ポリカーボネート樹脂(20)としては、ポリカーボネート樹脂(22)、(23)、(24)又は(26)が好ましく、ポリカーボネート樹脂(22)又は(26)が好ましい。感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、ポリカーボネート樹脂(20)としては、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜(Resin−6)又は(Resin−8)が好ましく、ポリカーボネート樹脂(Resin−2)、(Resin−3)、(Resin−4)又は(Resin−6)がより好ましく、ポリカーボネート樹脂(Resin−2)又は(Resin−6)が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂(20)の粘度平均分子量は、25,000以上であることが好ましく、25,000以上53,000以下であることがより好ましく、48,000以上53,000以下であることが更に好ましい。ポリカーボネート樹脂(20)の粘度平均分子量が25,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。ポリカーボネート樹脂(20)の粘度平均分子量が53,000以下であると、ポリカーボネート樹脂(20)が電荷輸送層形成用の溶剤に溶解し易くなり、電荷輸送層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、電荷輸送層を形成し易くなる。
ポリカーボネート樹脂(20)の製造方法は、ポリカーボネート樹脂(20)を製造できれば、特に限定されない。ポリカーボネート樹脂(20)の製造方法の一例として、ポリカーボネート樹脂(20)の繰返し単位を構成するためのジオール化合物とホスゲンとを縮重合させる方法(いわゆる、ホスゲン法)が挙げられる。より具体的には、例えば、下記一般式(20−3)で表されるジオール化合物と、下記一般式(20−4)で表されるジオール化合物と、ホスゲンとを、縮重合させる方法が挙げられる。なお、一般式(20−3)中のZ、並びに一般式(20−4)中のR21、R22、R23及びR24は、各々、一般式(20)中のZ、R21、R22、R23及びR24と同義である。ポリカーボネート樹脂(20)の製造方法の別の例として、ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法も挙げられる。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
電荷輸送層は、ポリカーボネート樹脂(20)に加えて、ポリカーボネート樹脂(20)以外のバインダー樹脂(以下、その他のバインダー樹脂と記載することがある)を更に含有してもよい。その他のバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例は、ポリカーボネート樹脂(20)以外のポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂である。熱硬化性樹脂の例は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂である。光硬化性樹脂の例は、エポキシアクリレート(エポキシ化合物のアクリル酸付加物)又はウレタン−アクリレート(ウレタン化合物のアクリル酸付加物)である。これらのバインダー樹脂の1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリカーボネート樹脂(20)の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂(20)のみを実質的に含むことが好ましい。
(電子アクセプター化合物)
電荷輸送層が電子アクセプター化合物を更に含有することで、正孔輸送剤の正孔輸送能を向上させることができる。電子アクセプター化合物の例としては、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。電子輸送剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。電子アクセプター化合物も、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子アクセプター化合物は、ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物を含むことが好ましい。ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物は、一般式(31)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)又は(39)で表される化合物であることが好ましい。以下、一般式(31)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)及び(39)で表される化合物を、各々、化合物(31)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)及び(39)と記載することがある。化合物(31)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)及び(39)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
Figure 2018054745
一般式(31)〜(39)中、R31〜R57は、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1以上5以下のアルキル基;炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基;又は
炭素原子数1以上3以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基を表す。
一般式(31)〜(39)中のR31〜R57が表わすハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
一般式(31)〜(39)中のR31〜R57が表わす炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基又はtert−ペンチル基が好ましい。
一般式(31)〜(39)中のR31〜R57が表わす炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有していてもよい。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基としては、フェニルメトキシ基が好ましい。
一般式(31)〜(39)中のR31〜R57が表わすフェニル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を有してもよい。フェニル基が有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(31)中のR31〜R34は、各々、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はtert−ブチル基を表すことが更に好ましい。化合物(31)の好適な例は、化学式(E−1)又は(E−2)で表される化合物である。以下、化学式(E−1)及び(E−2)で表される化合物を、各々、化合物(E−1)及び(E−2)と記載することがある。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
一般式(32)中のR35〜R38は、各々、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はtert−ブチル基を表すことが更に好ましい。化合物(32)の好適な例は、化学式(E−3)又は(E−4)で表される化合物である。以下、化学式(E−3)及び(E−4)で表される化合物を、各々、化合物(E−3)及び(E−4)と記載することがある。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
一般式(33)中のR39〜R40は、各々、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことが好ましく、1,1−ジメチルプロピル基を表すことがより好ましい。化合物(33)の好適な例は、化学式(E−5)で表される化合物である。以下、化学式(E−5)で表される化合物を、化合物(E−5)と記載することがある。
Figure 2018054745
一般式(34)中のR41〜R42は、各々、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、tert−ブチル基を表すことが更に好ましい。R43〜R47は、各々独立して、水素原子又はハロゲン原子を表すことが好ましく、水素原子又は塩素原子を表すことがより好ましい。R43、R44、R46及びR47は、各々、水素原子を表すことが好ましい。R45は、ハロゲン原子を表すことが好ましく、塩素原子を表すことがより好ましい。化合物(34)の好適な例は、化学式(E−6)で表される化合物である。以下、化学式(E−6)で表される化合物を、化合物(E−6)と記載することがある。
Figure 2018054745
一般式(35)中のR48〜R51は、各々、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、tert−ブチル基を表すことが更に好ましい。化合物(35)の好適な例は、化学式(E−7)で表される化合物である。以下、化学式(E−7)で表される化合物を、化合物(E−7)と記載することがある。
Figure 2018054745
一般式(36)中のR52〜R53は、各々、炭素原子数1以上3以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を1つ又は2つ有するフェニル基を表すことがより好ましく、2−エチル−6−メチルフェニル基を表すことが更に好ましい。化合物(36)の好適な例は、化学式(E−8)で表される化合物である。以下、化学式(E−8)で表される化合物を、化合物(E−8)と記載することがある。
Figure 2018054745
一般式(37)中のR54は、炭素原子数1以上5以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、n−ブチル基を表すことが更に好ましい。化合物(37)の好適な例は、化学式(E−9)で表される化合物である。以下、化学式(E−9)で表される化合物を、化合物(E−9)と記載することがある。
Figure 2018054745
一般式(38)中のR55〜R56は、各々、水素原子を表すことが好ましい。化合物(38)の好適な例は、化学式(E−10)で表される化合物である。以下、化学式(E−10)で表される化合物を、化合物(E−10)と記載することがある。
Figure 2018054745
一般式(39)中のR57は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を表すことが好ましく、フェニル基を有する炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を表すことがより好ましく、フェニルメトキシ基を表すことが更に好ましい。化合物(39)の好適な例は、化学式(E−11)で表される化合物である。以下、化学式(E−11)で表される化合物を、化合物(E−11)と記載することがある。
Figure 2018054745
感光体の電気特性を更に向上させるためには、ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物としては、化合物(31)、(32)、(34)、(35)、(37)、(38)又は(39)が好ましく、化合物(32)、(38)又は(39)がより好ましく、化合物(38)又は(39)が更に好ましい。感光体の電気特性を更に向上させるためには、ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物としては、化合物(E−2)、(E−3)、(E−6)、(E−7)、(E−9)、(E−10)又は(E−11)が好ましく、化合物(E−3)、(E−10)又は(E−11)がより好ましく、化合物(E−10)又は(E−11)が更に好ましい。
感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物としては、化合物(31)〜(38)が好ましく、化合物(31)、(32)、(34)又は(38)がより好ましく、化合物(31)、(32)又は(38)が更に好ましく、化合物(32)が特に好ましい。感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物としては、化合物(E−1)〜(E−10)が好ましく、化合物(E−1)、(E−2)、(E−3)、(E−4)、(E−6)又は(E−10)がより好ましく、化合物(E−2)、(E−4)又は(E−10)が更に好ましく、化合物(E−4)が特に好ましい。
ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物の含有率は、電子アクセプター化合物の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。化合物(31)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)又は(39)の含有率は、電子アクセプター化合物の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
電子アクセプター化合物の含有量は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
感光体の耐摩耗性を向上させつつ、感光体の電気特性を更に向上させるためには、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び電子アクセプター化合物が次に示す組み合わせであることが好ましい。
正孔輸送剤が化合物(H−4)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)である組み合わせ;
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−8)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)である組み合わせ;
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−3)である組み合わせ;
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−10)である組み合わせ;又は
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−11)である組み合わせ。
感光体の耐摩耗性を向上させつつ、感光体の電気特性を特に向上させるためには、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び電子アクセプター化合物が次に示す組み合わせであることが好ましい。
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−10)である組み合わせ;又は
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−11)である組み合わせ。
感光体の電気特性を向上させつつ、感光体の耐摩耗性を更に向上させるためには、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び電子アクセプター化合物が次に示す組み合わせであることが好ましい。
正孔輸送剤が化合物(H−1)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)である組み合わせ;
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−2)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)である組み合わせ;
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−6)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)である組み合わせ;又は
正孔輸送剤が化合物(H−5)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−4)である組み合わせ。
感光体の電気特性を向上させつつ、感光体の耐摩耗性を特に向上させるためには、正孔輸送剤、バインダー樹脂及び電子アクセプター化合物が次に示す組み合わせであることが好ましい。
正孔輸送剤が化合物(H−1)であり、バインダー樹脂が(Resin−1)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)である組み合わせ。
<中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同じである。
<感光体の製造方法>
感光体の製造方法の一例を説明する。感光体の製造方法は、電荷発生層形成工程と、電荷輸送層形成工程とを含む。
(電荷発生層形成工程)
電荷発生層形成工程では、電荷発生層用塗布液を、導電性基体上に塗布し、塗布した電荷発生層用塗布液に含まれる溶剤を除去して電荷発生層を形成する。電荷発生層用塗布液は、例えば、電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニンと、ベース樹脂と、溶剤とを含む。電荷発生層用塗布液は、Y型チタニルフタロシアニン結晶及びベース樹脂を溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷発生層用塗布液には、必要に応じて添加剤を加えてもよい。
(電荷輸送層形成工程)
電荷輸送層形成工程では、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、塗布した電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷輸送層を形成する。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤としての化合物(1)と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤としての化合物(1)と、バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷輸送層用塗布液には、電子アクセプター化合物を更に添加してもよい。電荷輸送層用塗布液には、必要に応じて、添加剤を更に添加してもよい。
電荷発生層用塗布液に含有される溶剤は、それぞれ電荷発生層用塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できれば、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、正孔輸送剤としての化合物(1)と、バインダー樹脂とを均一に溶解又は分散させ易いため、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)及びo−キシレンのうちの少なくとも1種を含む。このような溶剤に対して、化合物(1)とバインダー樹脂とは分散性が優れる。このため、化合物(1)が均一に分散した電荷輸送層用塗布液を調製し易い。このような電荷輸送層用塗布液を用いて電荷輸送層を形成すると、化合物(1)が均一に分散した電荷輸送層が形成され易い。電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤は、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)及びo−キシレンのうちの1種又は2種であることが好ましく、2種であることがより好ましい。2種の溶剤を使用する場合、このような溶剤としては、例えば、THFとトルエンとの混合溶剤、THFと1,4−ジオキサンとの混合溶剤、又はTHFとo−キシレンとの混合溶剤が挙げられる。なお、電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、及びo−キシレン以外に、電荷発生層用塗布液に含有される溶剤に例示した溶剤を更に含んでもよい。
電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、電荷発生層用塗布液に含有される溶剤とは異なることが好ましい。感光体を製造する際、例えば、電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液が塗布される。このとき、電荷発生層は、電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散器を用いることができる。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液は、各成分の分散性、又は形成されるそれぞれの層の表面平滑性を向上させるために、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を塗布する方法としては、例えば、導電性基体上に均一に電荷発生層用塗布液を塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、それぞれ電荷発生層用塗布液中及び電荷輸送層用塗布液中の溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に制限されない。除去する方法としては、例えば、加熱、減圧、又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程、及び/又は保護層を形成する工程を更に含んでいてもよい。中間層を形成する工程、及び保護層を形成する工程では、公知の方法を適宜選択することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<正孔輸送剤の調製>
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(H−1)〜(H−5)の各々を以下の方法で調製した。
(化合物(6a)〜(6c)の製造)
まず、化合物(H−1)〜(H−5)を製造するための原料として、化合物(6a)〜(6c)を製造した。下記反応(R−11)及び(R−12)に従って、化合物(6c)を製造した。下記反応(R−11)及び(R−13)に従って、化合物(6a)を製造した。下記反応(R−14)及び(R−15)に従って、化合物(6b)を製造した。
Figure 2018054745
反応(R−11)では、化合物(2a)と亜リン酸トリエチルとを反応させて、化合物(3a)を得た。詳しくは、容量200mLのフラスコに、化合物(2a)16.1g(0.10モル)と、亜リン酸トリエチル25.0g(0.15モル)とを投入した。フラスコ内容物を、180℃で8時間攪拌した後、室温まで冷却した。続いて、フラスコ内容物に含まれる未反応の亜リン酸トリエチルを減圧留去した。これにより、白色液体である化合物(3a)を得た。化合物(3a)の収量は24.1gであり、化合物(2a)からの化合物(3a)の収率は92mol%であった。
Figure 2018054745
反応(R−12)では、化合物(3a)と化合物(4a)とを反応させて化合物(6c)を得た。反応(R−12)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。詳しくは、反応(R−11)で得られた化合物(3a)13.1g(0.05モル)を、容量500mLの二口フラスコに0℃で加えた。フラスコ内の空気を、アルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内に、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)及び28%ナトリウムメトキシド9.3g(0.05モル)を添加した。フラスコ内容物を30分間攪拌した。続いて、フラスコ内に、化合物(4a)7.0g(0.05モル)の乾燥テトラヒドロフラン(300mL)溶液を添加した。フラスコ内容物を、室温で12時間攪拌した。フラスコ内容物を、イオン交換水に注ぎ、トルエンで抽出した。得られた有機層を、イオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。続いて、有機層に含有される溶媒を留去し、残渣を得た。得られた残渣を、トルエン/メタノール(20mL/100mL)を用いて晶析した。これにより、化合物(6c)を得た。化合物(6c)の収量は9.4gであり、化合物(3a)からの化合物(6c)の収率は75mol%であった。
反応(R−13)では、化合物(3a)と化合物(5a)とを反応させて化合物(6a)を得た。反応(R−13)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。詳しくは、反応(R−11)で得られた化合物(3a)13.1g(0.05モル)を、容量500mLの二口フラスコに0℃で加えた。フラスコ内の空気を、アルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内に、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)及び28%ナトリウムメトキシド9.3g(0.05モル)を添加した。フラスコ内容物を30分間攪拌した。続いて、フラスコ内に、化合物(5a)8.4g(0.05モル)の乾燥テトラヒドロフラン(300mL)溶液を添加した。フラスコ内容物を、室温で12時間攪拌した。フラスコ内容物を、イオン交換水に注ぎ、トルエンで抽出した。得られた有機層を、イオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。続いて、有機層に含有される溶媒を留去し、残渣を得た。得られた残渣を、トルエン/メタノール(20mL/100mL)を用いて晶析した。これにより、白色結晶である化合物(6a)を得た。化合物(6a)の収量は9.6gであり、化合物(3a)からの化合物(6a)の収率は69mol%であった。
Figure 2018054745
反応(R−14)では、化合物(7a)と亜リン酸トリエチルとを反応させて、化合物(8)を得た。詳しくは、容量200mLのフラスコに、化合物(7a)15.2g(0.05モル)と、亜リン酸トリエチル25.0g(0.15モル)とを投入した。フラスコ内容物を、180℃で8時間攪拌した後、室温まで冷却した。続いて、フラスコ内容物に含まれる未反応の亜リン酸トリエチルを減圧留去した。これにより、化合物(8)を得た。化合物(8)の収量は14.5gであり、化合物(7a)からの化合物(8)の収率は88mol%であった。
Figure 2018054745
反応(R−15)では、化合物(8)と化合物(4a)とを反応させて化合物(6b)を得た。反応(R−15)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。詳しくは、反応(R−14)で得られた化合物(8)16.4g(0.05モル)を、容量500mLの二口フラスコに0℃で加えた。フラスコ内の空気を、アルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内に、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)及び28%ナトリウムメトキシド9.3g(0.05モル)を添加した。フラスコ内容物を30分間攪拌した。続いて、フラスコ内に、化合物(4a)14.1g(0.10モル)の乾燥テトラヒドロフラン(300mL)溶液を添加した。フラスコ内容物を、室温で12時間攪拌した。フラスコ内容物を、イオン交換水に注ぎ、トルエンで抽出した。得られた有機層を、イオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。続いて、有機層に含有される溶媒を留去し、残渣を得た。得られた残渣を、トルエン/メタノール(20mL/100mL)を用いて晶析した。これにより、化合物(6b)を得た。化合物(6b)の収量は3.8gであり、化合物(8)からの化合物(6b)の収率は25mol%であった。
(化合物(12a)及び(12b)の製造)
次に、化合物(14a)〜(14e)を製造するための原料として、化合物(12a)及び(12b)を製造した。下記反応(R−16)に従って、化合物(12a)を製造した。下記反応(R−17)に従って、化合物(12b)を製造した。
Figure 2018054745
反応(R−16)では、化合物(10a)と化合物(11a)とを反応させて化合物(12a)を得た。詳しくは、ディーン・スターク管に、化合物(10a)6.3g(0.0450モル)、化合物(11a、ジフェニルヒドラジン塩酸塩)10.0g(0.0450モル)、トルエン(100mL)及びp−トルエンスルホン酸(0.0045モル)を加えた。混合物を、100℃で4時間還流しながら攪拌した。得られた混合物を、イオン交換水に注ぎ、トルエンで抽出した。得られた有機層を、イオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた残渣を、トルエン/メタノール(体積比率1/1)で晶析し、白色結晶である化合物(12a)を得た。化合物(12a)の収量は12.1gであり、化合物(10a)からの化合物(12a)の収率は88mol%であった。
Figure 2018054745
反応(R−17)では、化合物(10b)と化合物(11a)とを反応させて化合物(12b)を得た。反応(R−17)は、化合物(10a)6.3g(0.0450モル)の代わりに化合物(10b)7.5g(0.0450モル)を使用した以外は、反応(R−16)と同じ方法で行った。その結果、化合物(12b)が得られた。化合物(12b)の収量は11.8gであり、化合物(10b)からの化合物(12b)の収率は79mol%であった。
(化合物(14a)〜(14e)の製造)
次に、下記反応(R−18)に従って、化合物(14a)を製造した。
Figure 2018054745
反応(R−18)では、化合物(12a)と化合物(13a)とを反応させて化合物(14a)を得た。以下、化合物(12a)を反応(R−18)の第一原料と、化合物(13a)を反応(R−18)の第二原料と記載することがある。反応(R−18)は、カップリング反応である。詳しくは、三口フラスコに、化合物(12a)6.1g(0.020モル)、トリシクロヘキシルホスフィン0.0662g(1.89×10-4モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.0864g(9.44×10-5モル)、ナトリウムtert−ブトキシド4.0g(0.042モル)、化合物(13a)2.1g(0.020モル)及び蒸留したо−キシレン(500mL)を投入した。フラスコ内の空気をアルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内容物を120℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却した。フラスコ内容物をイオン交換水で3回洗浄し、有機層を得た。有機層に無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加え、乾燥処理及び吸着処理を行った。乾燥処理及び吸着処理後の有機層を減圧留去し、о−キシレンを除去した。これにより、残渣を得た。得られた残渣を、クロロホルム/ヘキサン(体積比率1/1)を用いて晶析した。これにより、反応(R−18)の反応生成物として化合物(14a)が得られた。化合物(14a)の収量は5.1gであり、化合物(12a)からの化合物(14a)の収率は69mol%であった。
以下の点を変更した以外は、化合物(14a)の製造と同じ方法で、化合物(14b)〜(14e)を各々製造した。なお、化合物(14b)〜(14e)の製造において使用される各原料は、化合物(14a)の製造において使用される対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
反応(R−18)の第一原料について、化合物(H−1)の製造では化合物(12a)を使用したが、化合物(14b)〜(14e)の各々の製造では表1に示す第一原料(化合物(12a)又は(12b))を使用した。反応(R−18)の第二原料について、化合物(H−1)の製造では化合物(13a)を使用したが、化合物(14b)〜(14e)の各々の製造では表1に示す第二原料(化合物(13b)、(13c)、(13d)又は(13e))を使用した。その結果、反応(R−18)の反応生成物として、化合物(14a)の代わりに、化合物(14b)、(14c)、(14d)及び(14e)の何れかが得られた。反応(R−18)で得られた化合物(14b)、(14c)、(14d)及び(14e)の収量を表1に示す。また、第一原料(化合物(12a)又は(12b))からの化合物(14b)、(14c)、(14d)及び(14e)の収率を表1に示す。
表1中、化合物(12a)及び(12b)、(13a)〜(13e)、並びに(14a)〜(14e)は、各々、下記化学式(12a)及び(12b)、(13a)〜(13e)、並びに(14a)〜(14e)で表される。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
(化合物(H−1)〜(H−5)の製造)
次に、下記反応(R−19)に従って、化合物(H−1)を製造した。
Figure 2018054745
反応(R−19)では、化合物(6a)と化合物(14a)とを反応させて化合物(H−1)を得た。以下、化合物(6a)を反応(R−19)の第一原料と、化合物(14a)を反応(R−19)の第二原料と記載することがある。反応(R−19)は、カップリング反応である。詳しくは、三口フラスコに、反応(R−13)で得られた化合物(6a)1.40g(0.005モル)、トリシクロヘキシルホスフィン0.0356g(1.02×10-4モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.0465g(5.09×10-5モル)、ナトリウムtert−ブトキシド1.00g(0.010モル)、反応(R−18)で得られた化合物(14a)3.60g(0.010モル)及び蒸留したо−キシレン(200mL)を投入した。フラスコ内の空気をアルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内容物を120℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却した。フラスコ内容物をイオン交換水で3回洗浄し、有機層を得た。有機層に無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加え、乾燥処理及び吸着処理を行った。乾燥処理及び吸着処理後の有機層を減圧留去し、о−キシレンを除去した。これにより、残渣を得た。得られた残渣を、クロロホルム/ヘキサン(体積比率1/1)を用いて晶析した。その結果、化合物(H−1)が得られた。化合物(H−1)の収量は3.2gであり、化合物(6a)からの化合物(H−1)の収率は66mol%であった。
以下の点を変更した以外は、化合物(H−1)の製造と同じ方法で、化合物(H−2)〜(H−5)を各々製造した。なお、化合物(H−2)〜(H−5)の製造において使用される各原料のモル数は、化合物(H−1)の製造において使用される対応する原料のモル数と同じであった。
反応(R−19)の第一原料について、化合物(H−1)の製造では化合物(6a)を使用したが、化合物(H−2)〜(H−5)の各々の製造では表2に示す第一原料(化合物(6a)、(6b)又は(6c))を使用した。反応(R−19)の第二原料について、化合物(H−1)の製造では化合物(14a)を使用したが、化合物(H−2)〜(H−5)の各々の製造では表1に示す第二原料(化合物(14b)、(14c)、(14d)又は(14e))を使用した。その結果、反応(R−19)の反応生成物として、化合物(H−1)の代わりに、化合物(H−2)、(H−3)、(H−4)及び(H−5)の各々が得られた。反応(R−19)で得られた化合物(H−2)、(H−3)、(H−4)及び(H−5)の収量を表2に示す。また、第一原料(化合物(6a)、(6b)又は(6c))からの化合物(H−2)、(H−3)、(H−4)及び(H−5)の収率を表2に示す。
Figure 2018054745
次に、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴分光計)を用いて、製造した化合物(H−1)〜(H−5)の1H−NMRスペクトルを測定した。磁場強度は300MHzに設定した。溶媒として、重水素化クロロホルム(CDCl3)を使用した。内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を使用した。
化合物(H−1)〜(H−5)のうちの代表例として、化合物(H−2)及び(H−4)の1H−NMRスペクトルを、図1及び図2に示す。化合物(H−2)及び(H−4)の1H−NMRスペクトルの化学シフト値を以下に示す。なお、図1及び図2中の1.50ppm付近のピークは、化合物(H−2)及び(H−4)に残る水に由来するピークである。
化合物(H−2):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.35−7.42(m,8H),7.11−7.25(m,22H),6.83−7.06(m,16H),6.72−6.80(m,4H),6.41(d,2H),3.80(s,6H),2.01(s,6H).
化合物(H−4):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.35−7.42(m,8H),7.11−7.24(m,20H),6.82−7.06(m,20H),6.41(d,2H),2.33(s,6H),1.99(s,6H).
1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、化合物(H−2)及び(H−4)が各々得られていることを確認した。他の化合物(H−1)、(H−3)及び(H−5)についても、1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、それぞれ化合物(H−1)、(H−3)及び(H−5)が得られていることを確認した。
<感光体の材料>
感光体の電荷発生層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤を準備した。感光体の電荷輸送層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤、バインダー樹脂及び電子アクセプター化合物を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、Y型チタニルフタロシアニンを準備した。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有していた。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、実施形態に記載の方法で測定した。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、得られた化合物(H−1)〜(H−5)の各々を使用した。また、正孔輸送剤として、下記化学式(H−A)〜(H−E)で表される化合物も準備した。以下、化学式(H−A)〜(H−E)で表される化合物を各々、化合物(H−A)〜(H−E)と記載することがある。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)の各々を準備した。ポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)の粘度平均分子量は、各々、50500、50750、52000、51500、52500、51000、52000、51000、50500及び52000であった。
(電子アクセプター化合物)
電子アクセプター化合物として、実施形態で述べた化合物(E−1)〜(E−11)の各々を準備した。
<感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(P−A1)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々を製造した。
(感光体(P−A1)の製造)
表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、数平均一次粒子径10nm)を準備した。詳しくは、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて更に表面処理したものを準備した。
次に、下引き層を形成した。具体的には、容器内に、表面処理された酸化チタン2質量部、ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66及びナイロン610の四元共重合ポリアミド樹脂)1質量部、メタノール10質量部、ブタノール1質量部及びトルエン1質量部を投入した。容器の内容物を、ビーズミルを用いて5時間混合し、材料を分散させた。これにより、下引き層用塗布液を得た。得られた下引き層用塗布液を5μmのフィルターを用いてろ過した。その後、下引き層用塗布液を、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長246mm)の表面に、ディップコート法を用いて塗布した。続いて、塗布した下引き層用塗布液を、130℃で30分間加熱した。これにより、導電性基体上に下引き層(膜厚2μm)が形成された。
次に、電荷発生層を形成した。具体的には、容器内に、電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン1.5質量部、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製「エスレックBX−5」)1質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル40質量部及びテトラヒドロフラン40質量部を投入した。容器の内容物を、ビーズミルを用いて2時間混合し、材料を分散させた。これにより、電荷発生層用塗布液を得た。次に、得られた電荷発生層用塗布液を3μmのフィルターを用いてろ過した。その後、電荷発生層用塗布液を、導電性基体上に形成された下引き層の上に、ディップコート法を用いて塗布した。続いて、塗布した電荷発生層用塗布液を、50℃で5分間乾燥させた。これにより、下引き層上に、電荷発生層(膜厚0.3μm)が形成された。
次に、電荷輸送層を形成した。具体的には、正孔輸送剤としての化合物(H−1)45質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)100質量部、電子アクセプター化合物としての化合物(ETM−1)2質量部、添加剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製「イルガノックス(登録商標)1010」)0.5質量部、及びテトラヒドロフランとトルエンとの混合溶剤(体積比率:テトラヒドロフラン/トルエン=8/2)700質量部を、容器内に投入した。容器の内容物を混合し、溶剤に材料を溶解させた。これにより、電荷輸送層用塗布液を得た。次に、電荷発生層用塗布液の塗布と同じ方法で、得られた電荷輸送層用塗布液を、形成された電荷発生層上に塗布した。続いて、塗布した電荷輸送層用塗布液を、120℃で40分間乾燥させた。これにより、電荷発生層上に、電荷輸送層(膜厚20μm)が形成された。その結果、感光体(P−1)が得られた。
(感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の製造)
下記(1)〜(5)を変更した以外は、感光体(P−1)の製造と同じ方法で、感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々を製造した。
(1)感光体(P−1)の製造では正孔輸送剤として化合物(H−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々の製造では表3〜表5に示す種類の正孔輸送剤を使用した。
(2)感光体(P−1)の製造では正孔輸送剤を45質量部使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々の製造では表3〜表5に示す量の正孔輸送剤を使用した。これにより、バインダー樹脂の質量に対する正孔輸送剤の質量の比率を、表3〜表5に示す比率に変更した。
(3)感光体(P−1)の製造ではバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(Resin−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々の製造では表3〜表5に示す種類のバインダー樹脂を使用した。
(4)感光体(P−1)の製造では電子アクセプター化合物として化合物(E−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々の製造では表3〜表5に示す種類の電子アクセプター化合物を使用した。
(5)感光体(P−1)の製造では溶剤としてテトラヒドロフランとトルエンとの混合溶剤(体積比率:テトラヒドロフラン/トルエン=8/2)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々の製造では表3〜表5に示す種類の溶剤を使用した。
<電気特性:帯電特性の評価>
感光体(P−A1)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々に対して、帯電能を評価した。帯電能の評価は、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で行った。ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の回転数31rpm及び感光体への流れ込み電流−10μAの条件下で、感光体の表面を帯電させた。測定された表面電位を、帯電電位(V0、単位:−V)とした。測定された感光体の帯電電位(V0)を、表3〜表5に示す。なお、帯電電位(V0)が−1000V以上−600V以下である感光体を、電気特性、特に帯電特性が良好であると評価した。
<電気特性:感度特性の評価>
感光体(P−A1)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の各々に対して、感度を評価した。感度の評価は、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で行った。ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を−600Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、光量0.26μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射が終了してから50ミリ秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位:−V)とした。測定された感光体の感度電位(VL)を、表3に示す。なお、感度電位(VL)の絶対値が80V以下である感光体を、電気特性、特に感度特性が優れていると評価した。
<耐摩耗性の評価>
感光体(P−A1)〜(P−A28)及び(P−B1)〜(P−B8)の電荷輸送層の各々に対して、耐摩耗性を評価した。まず、感光体の製造において調製した電荷輸送層用塗布液を、アルミパイプ(直径78mm)に巻きつけたポリプロピレンシート(厚さ0.3mm)に塗布した。電荷輸送層用塗布液を塗布したポリプロピレンシートを、120℃で40分間乾燥させた。これにより、ポリプロピレンシート上に厚さ20μmの電荷輸送層(評価用シート)が形成された。続けて、ポリプロピレンシートから評価用シートを剥離した。そして、剥離された評価用シートをウィール(テーバー社製「S−36」)に貼り付けて、試験片を得た。得られた試験片の質量(摩耗試験前における試験片の質量)M1を測定した。
次いで、試験片に対して摩耗試験を行った。詳しくは、試験片をロータリーアブレージョンテスタ(株式会社東洋精機製作所製)の回転台に取り付けた。そして、試験片上に荷重750gfの摩耗輪(テーバー社製「CS−10」)を乗せた状態で、回転台を回転速度60rpmで回転させて、1000回転の摩耗試験を行った。続けて、摩耗試験後における試験片の質量M2を測定した。そして、試験前後の試験片の質量変化である摩耗減量(M1−M2)を求めた。求めた摩耗減量を、表3〜表5に示す。なお、摩耗減量が8.0mg未満である感光体を、耐摩耗性が優れていると評価した。
表3〜表5中、HTM、部、樹脂、EA、V0及びVLは、各々、正孔輸送剤、質量部、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂、電子アクセプター化合物、帯電電位及び感度電位を示す。表3〜表5中、HTM/樹脂比率は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂の質量に対する、電荷輸送層に含有される正孔輸送剤の質量の比率を示す。表3〜表5中、THF/トルエン(8/2)、THF/1,4−ジオキサン(8/2)、THF/o−キシレン(8/2)は、各々、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶剤(体積比率:テトラヒドロフラン/トルエン=8/2)、テトラヒドロフランと1,4−ジオキサンとの混合溶剤(体積比率:テトラヒドロフラン/1,4−ジオキサン=8/2)、テトラヒドロフランとo−キシレンとの混合溶剤(体積比率:テトラヒドロフラン/o−キシレン=8/2)を示す。
Figure 2018054745
Figure 2018054745
Figure 2018054745
感光体(P−A1)〜(P−A28)の各々は、導電性基体と感光層とを備えていた。感光層は、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を少なくとも含有する電荷輸送層とを含んでいた。電荷発生剤は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニンを含んでいた。正孔輸送剤は、一般式(1)で表される化合物を含んでいた。詳しくは、正孔輸送剤として、化合物(H−1)〜(H−5)の何れかが電荷輸送層に含有されていた。バインダー樹脂の質量に対する正孔輸送剤の質量の比率は、0.30以上0.55以下であった。そのため、表3及び表4から明らかなように、感光体(P−A1)〜(P−A28)は、感度電位(VL)の絶対値が80V以下であり、電気特性(特に感度特性)が優れていた。また、感光体(P−A1)〜(P−A28)は、摩耗減量が8.0mg未満であり、耐摩耗性に優れていた。
一方、感光体(P−B1)及び(P−B5)〜(P−B8)の電荷輸送層は、正孔輸送剤として、化合物(1)を含有していなかった。詳しくは、感光体(P−B1)及び(P−B5)〜(P−B8)の電荷輸送層の各々は化合物(H−A)〜(H−E)を含有していたが、化合物(H−A)〜(H−E)は一般式(1)で表される化合物ではなかった。そのため、表5から明らかなように、感光体(P−B1)及び(P−B5)〜(P−B8)では、感度電位(VL)の絶対値が80Vより大きく、電気特性(特に感度特性)が劣っていた。
感光体(P−B2)及び(P−B3)においては、バインダー樹脂の質量に対する正孔輸送剤の質量の比率が0.55超であった。そのため、表5から明らかなように、感光体(P−B2)及び(P−B3)の摩耗減量は8.0mg以上であり、耐摩耗性が劣っていた。
感光体(P−B4)においては、バインダー樹脂の質量に対する正孔輸送剤の質量の比率が0.30未満であった。そのため、表5から明らかなように、感光体(P−B4)は、感度電位(VL)の絶対値が80Vより大きく、電気特性(特に感度特性)が劣っていた。
以上のことから、本発明の感光体によれば、電気特性及び耐摩耗性を両立できることが示された。また、本発明の製造方法によれば、電気特性及び耐摩耗性を両立可能な感光体が製造できることが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。
100 積層型電子写真感光体
101 導電性基体
102 感光層
102a 電荷発生層
102b 電荷輸送層
103 中間層

Claims (15)

  1. 導電性基体と感光層とを備え、
    前記感光層は、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を少なくとも含有する電荷輸送層とを含み、
    前記電荷発生剤は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニンを含み、
    前記正孔輸送剤は、一般式(1)で表される化合物を含み、
    前記バインダー樹脂の質量に対する前記正孔輸送剤の質量の比率は、0.30以上0.55以下である、積層型電子写真感光体。
    Figure 2018054745
    前記一般式(1)中、
    1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    aは、1以上3以下の整数を表し
    b及びcは、各々独立して、0又は1を表し、
    d、e、f、g、h及びiは、各々独立して、0以上5以下の整数を表し、dが2以上5以下の整数を表すとき複数のR1は同一でも異なっていてもよく、eが2以上5以下の整数を表すとき複数のR2は同一でも異なっていてもよく、fが2以上5以下の整数を表すとき複数のR3は同一でも異なっていてもよく、gが2以上5以下の整数を表すとき複数のR4は同一でも異なっていてもよく、hが2以上5以下の整数を表すとき複数のR5は同一でも異なっていてもよく、iが2以上5以下の整数を表すとき複数のR6は同一でも異なっていてもよい。
  2. 前記一般式(1)中、一般式(1−1)で表される基は、一般式(1−2)で表される基と同一である、請求項1に記載の積層型電子写真感光体。
    Figure 2018054745
    Figure 2018054745
    前記一般式(1−1)中、
    1、R2及びR3は、各々独立して、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    bは、0又は1を表し、
    d、e及びfは、各々独立して、0以上5以下の整数を表し、dが2以上5以下の整数を表すとき複数のR1は同一でも異なっていてもよく、eが2以上5以下の整数を表すとき複数のR2は同一でも異なっていてもよく、fが2以上5以下の整数を表すとき複数のR3は同一でも異なっていてもよく、
    1は、結合部位を表し、
    前記一般式(1−2)中、
    4、R5及びR6は、各々独立して、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    cは、0又は1を表し、
    g、h及びiは、各々独立して、0以上5以下の整数を表し、gが2以上5以下の整数を表すとき複数のR4は同一でも異なっていてもよく、hが2以上5以下の整数を表すとき複数のR5は同一でも異なっていてもよく、iが2以上5以下の整数を表すとき複数のR6は同一でも異なっていてもよく、
    2は、結合部位を表す。
  3. 前記一般式(1)中、
    1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    d、e、f、g、h及びiは、各々独立して、0以上2以下の整数を表す、請求項1又は2に記載の積層型電子写真感光体。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物は、化学式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)又は(H−5)で表される化合物である、請求項1〜3の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体。
    Figure 2018054745
    Figure 2018054745
    Figure 2018054745
    Figure 2018054745
    Figure 2018054745
  5. 前記一般式(1)で表される化合物は、前記化学式(H−1)又は(H−4)で表される化合物である、請求項4に記載の積層型電子写真感光体。
  6. 前記一般式(1)で表される化合物は、前記化学式(H−5)で表される化合物である、請求項4に記載の積層型電子写真感光体。
  7. 前記バインダー樹脂は、一般式(20)で表されるポリカーボネート樹脂を含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体。
    Figure 2018054745
    前記一般式(20)中、
    Zは、一般式(20a)、(20b)、(20c)又は(20d)で表される2価の基であり、
    21、R22、R23及びR24は、各々独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R23及びR24は互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよく、
    p+q=1.00であり、0.00<q≦1.00である。
    Figure 2018054745
    前記一般式(20a)、(20b)及び(20c)中、R25、R26、R27、R28、R29及びR30は、各々独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
  8. 前記一般式(20)中、
    Zは、前記一般式(20a)、(20b)、(20c)又は(20d)で表される2価の基であり、
    21及びR22は、各々、水素原子を表し、
    23及びR24は各々独立して炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すか、R23及びR24は互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表し、
    0.30≦q≦1.00であり、
    前記一般式(20a)、(20b)及び(20c)中、R25、R26、R27、R28、R29及びR30は、各々、水素原子を表す、請求項7に記載の積層型電子写真感光体。
  9. 前記一般式(20)中、0.35≦q≦0.70である、請求項7又は8に記載の積層型電子写真感光体。
  10. 前記一般式(20)で表されるポリカーボネート樹脂は、一般式(21)、(22)、(23)、(24)、(25)又は(26)で表されるポリカーボネート樹脂である、請求項7〜9の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体。
    Figure 2018054745
    前記一般式(21)中、p1+q1=1.00であり、0.35≦q1≦0.70であり、
    前記一般式(22)中、p2+q2=1.00であり、0.35≦q2≦0.70であり、
    前記一般式(23)中、p3+q3=1.00であり、0.35≦q3≦0.70であり、
    前記一般式(24)中、p4+q4=1.00であり、0.35≦q4≦0.70であり、
    前記一般式(25)中、p5+q5=1.00であり、0.35≦q5≦0.70であり、
    前記一般式(26)中、p6+q6=1.00であり、0.35≦q6≦0.70である。
  11. 前記一般式(20)で表されるポリカーボネート樹脂は、前記一般式(22)又は(26)で表されるポリカーボネート樹脂である、請求項10に記載の積層型電子写真感光体。
  12. 前記一般式(20)で表されるポリカーボネート樹脂は、前記一般式(21)で表されるポリカーボネート樹脂であり、前記一般式(21)中、0.35≦q1≦0.55である、請求項10に記載の積層型電子写真感光体。
  13. 前記電荷輸送層は、電子アクセプター化合物を更に含有し、
    前記電子アクセプター化合物は、ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物を含む、請求項1〜12の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体。
  14. 前記ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する化合物は、一般式(31)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)又は(39)で表される化合物である、請求項13に記載の積層型電子写真感光体。
    Figure 2018054745
    前記一般式(31)〜(39)中、R31〜R57は、各々独立して、
    水素原子、
    ハロゲン原子、
    炭素原子数1以上5以下のアルキル基、
    炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、又は
    炭素原子数1以上3以下のアルキル基若しくは炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を有してもよいフェニル基を表す。
  15. 前記正孔輸送剤と前記バインダー樹脂と溶剤とを少なくとも含む電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層の上に塗布し、前記溶剤の少なくとも一部を除去して前記電荷輸送層を形成する電荷輸送層形成工程を含み、
    前記溶剤が、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン及びo−キシレンのうちの少なくとも1種を含有する、請求項1〜14の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。
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