JP2018053131A - 合板用接着剤組成物、合板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】合板のホルムアルデヒド放散量を低減できる合板用接着剤組成物、該合板用接着剤組成物を用いた合板およびその製造方法を提供する。【解決手段】ノボラック型フェノール樹脂がレゾール化された二次反応フェノール樹脂と、還元糖とを含む合板用接着剤組成物。少なくとも2枚の木製単板が、前記合板用接着剤組成物により接着された合板。【選択図】なし

Description

本発明は、合板用接着剤組成物、合板およびその製造方法に関する。
従来、合板の製造において木質単板を接着する合板用接着剤として、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤等が使用されている。しかし、これらの接着剤を用いた場合、得られる合板からホルムアルデヒドが放散する問題がある。
このような問題に対し、合板にホルムアルデヒド捕捉剤を含有させることが行われている。ホルムアルデヒド捕捉剤としては、例えば、ヒドラジン系化合物およびカルボン酸化合物を有効成分とするものが提案されている(特許文献1)。
特開2006−28366号公報
しかし、特許文献1のホルムアルデヒド捕捉剤は、高価な有機窒素化合物を使用しており、合板の材料コストが高くなる。また、環境や人体への影響も懸念される。そのため、このようなホルムアルデヒド捕捉剤を使用しなくても、ホルムアルデヒドの放散を抑制できる技術が求められる。
本発明は、合板のホルムアルデヒド放散量を低減できる合板用接着剤組成物、該合板用接着剤組成物を用いた合板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、合板用接着剤において、特定のフェノール樹脂と還元糖とを組み合わせることにより、合板用接着剤としての性能(接着強度)を充分に維持しつつ、合板のホルムアルデヒド放散量を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ノボラック型フェノール樹脂がレゾール化された二次反応フェノール樹脂と、還元糖とを含む合板用接着剤組成物。
[2]前記二次反応フェノール樹脂の重量平均分子量が3,000〜30,000である、[1]に記載の合板用接着剤組成物。
[3]ゲル浸透クロマトグラフィーから算出される、前記二次反応フェノール樹脂全体に対する3核体以下の低分子量成分の割合が、5面積%以下である、[1]または[2]に記載の合板用接着剤組成物。
[4]前記還元糖が、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、キシロース、マルトース、マルトトリオース、四糖以上のオリゴ糖およびデキストリンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の合板用接着剤組成物。
[5]前記還元糖の固形分での含有量が、前記二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して10〜80質量部である、[1]〜[4]のいずれかに記載の合板用接着剤組成物。
[6]少なくとも2枚の木製単板が、[1]〜[5]のいずれかに記載の合板用接着剤組成物により接着された合板。
[7]少なくとも2枚の木製単板を、[1]〜[5]のいずれかに記載の合板用接着剤組成物を介して重ね、熱プレスして合板を得る合板の製造方法。
本発明によれば、合板のホルムアルデヒド放散量を低減できる合板用接着剤組成物、該合板用接着剤組成物を用いた合板およびその製造方法を提供できる。
〔合板用接着剤組成物〕
本発明の合板用接着剤組成物は、ノボラック型フェノール樹脂がレゾール化された二次反応フェノール樹脂と、還元糖とを含む。
<二次反応フェノール樹脂>
二次反応フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂がレゾール化された樹脂である。つまりノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との酸触媒存在下での反応(一次反応、ノボラック型反応)生成物であり、このノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とのアルカリ触媒存在下での反応(二次反応、レゾール型反応)生成物が二次反応フェノール樹脂である。
ノボラック型フェノール樹脂には、2以上のフェノール類の芳香環同士がメチレン基を介して結合したフェノール縮合体が含まれる。二次反応では、前記フェノール縮合体の芳香環にアルデヒド類が付加してメチロール基が生成し、生成したメチロール基の一部が他のフェノール縮合体と反応し、高分子量化する。そのため、二次反応フェノール樹脂には、メチロール基を有し、ノボラック型フェノール樹脂に含まれるフェノール縮合体よりも高分子量のフェノール縮合体が含まれる。
二次反応フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂を経ているため、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下のみで反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂に比べて、3核体以下の低分子量成分の含有量が少なく、樹脂全体の平均分子量が高い傾向がある。
フェノール類は、芳香環および芳香環に結合した水酸基を有する化合物であり、例えば、フェノール、アルキルフェノール類(o,m,pの各クレゾール、o,m,pの各エチルフェノール、キシレノールの各異性体等)、多芳香環フェノール類(α,βの各ナフトール等)、多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ピロガロール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン等)等が挙げられる。これらのフェノール類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、実用的な物質は、フェノール、o,m,pの各クレゾール、キシレノールの各異性体、レゾルシン、カテコールである。
アルデヒド類は、ホルミル基を有する化合物およびその多量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、グリオキザール等が挙げられる。これらのアルデヒド類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、実用的な物質は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドである。
二次反応フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000〜30,000であることが好ましく、6,000〜25,000であることがより好ましく、9,000〜15,000であることが特に好ましい。二次反応フェノール樹脂の重量平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、合板における接着強度がより優れる。二次反応フェノール樹脂の重量平均分子量が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂粘度が十分低く扱いやすい。
二次反応フェノール樹脂の重量平均分子量は、レゾール化前の重量平均分子量、即ち原料であるノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量の2〜5倍程度であることが好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
二次反応フェノール樹脂全体に対する3核体以下の低分子量成分の割合は、5面積%以下であることが好ましく、3面積%以下であることがより好ましい。下限は特に限定されず、0面積%であってもよい。低分子量成分の割合が前記上限値以下であれば、合板における接着強度がより優れる。
3核体以下の低分子量成分の割合(面積%)は、3核体、2核体および1核体の合計の割合であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から算出される。
3核体は、フェノール骨格を3つ有することを意味し、2核体は、フェノール骨格を2つ有することを意味し1核体は、フェノール骨格が一つしかないことを意味する。
3核体以下の低分子量成分の割合は、フェノールとホルマリンの仕込みモル比等により調整できる。
二次反応フェノール樹脂の粘度は、50〜500mPa・sであることが好ましく、100〜300mPa・sであることがより好ましい。前記粘度が前記範囲の下限値以上であれば、合板用接着剤組成物の粘度調整がしやすい。前記粘度が前記範囲の上限値以下であれば、合板の接着強度により優れる。
粘度は、25℃でB型粘度計により測定される値である。
前記粘度は、二次反応フェノール樹脂のレゾール化反応における反応時間等により調整できる。
(二次反応フェノール樹脂の製造方法)
二次反応フェノール樹脂の製造方法としては、ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液にアルデヒド類を添加し、反応(二次反応)させる方法が挙げられる。
ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液は、ノボラック型フェノール樹脂がアルカリ触媒の水溶液に溶解した溶液である。
上記反応では、ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とがアルカリ触媒存在下で反応して二次反応フェノール樹脂が生成し、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液が得られる。
ノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜8,000であることが好ましく、1,500〜6,000であることがより好ましい。ノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量が前記範囲内であれば、二次反応フェノール樹脂の重量平均分子量が前記の好ましい範囲内となりやすい。
アルカリ触媒としては、二次反応を進行させ得るものであれば特に制限はなく、種々のアルカリ性物質を用いることができる。具体例としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ性物質;トリエチルアミン、トリメチルアミン等の第3級アミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)等の環式アミン等の有機アルカリ性物質;等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液において、ノボラック型フェノール樹脂の固形分濃度は、40〜80質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。ノボラック型フェノール樹脂の固形分濃度が前記範囲の下限値以上であれば、生産効率が良好である。ノボラック型フェノール樹脂の固形分濃度が前記範囲の上限値以下であれば、粘度が充分に低く、アルデヒド類を添加して二次反応を行う際の反応均一性を保持しやすい。ノボラック型フェノール樹脂の固形分は、不揮発分である。
アルカリ触媒の濃度は、ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液のpHに応じて適宜設定される。
ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液のpHは、9〜13程度であることが好ましい。pHが前記範囲の下限値以上であれば、ノボラック型フェノール樹脂の溶解性がより優れる。pHが前記範囲の上限値以下であれば、添加するアルカリ触媒が無駄にならない。pHは、25℃における値である。
二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液の製造方法の好ましい例として、以下の(α1)または(α2)の方法が挙げられる。
(α1)フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒および水の存在下で反応(一次反応)させ、ノボラック型フェノール樹脂を含む反応液を得て、該反応液にアルカリ触媒を加えてアルカリ水溶液とし、該アルカリ水溶液にアルデヒド類を添加して反応(二次反応)させる方法。
(α2)フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒および水の存在下で反応(一次反応)させ、ノボラック型フェノール樹脂を含む反応液を得て、該反応液の脱水および未反応フェノール類の除去を行って固体のノボラック型フェノール樹脂を得て、該ノボラック型フェノール樹脂を、アルカリ触媒の水溶液に溶解してアルカリ水溶液とし、該アルカリ水溶液にアルデヒド類を添加して反応(二次反応)させる方法。
以下、各方法についてより詳細に説明する。
「(α1)の方法」
(α1)の方法では、まず、一次反応を行って、ノボラック型フェノール樹脂を含む反応液を得る。
一次反応において、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)は、0.5〜0.9が好ましく、0.6〜0.8がより好ましい。アルデヒド類/フェノール類が前記範囲の下限値以上であれば、レゾール化反応時(二次反応時)のアルデヒド類の量を減らすことができ反応時の発熱をおさえることができる。アルデヒド類/フェノール類が前記範囲の上限値以下であれば、ノボラック反応時(一次反応時)のゲル化を抑制することができる。
酸触媒としては、一次反応が進行するものであれば特に制限はなく、例えば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類、蓚酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛等の有機酸塩類が挙げられる。これらの酸触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸触媒の使用量は、フェノール類100質量部に対して0.05〜2.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。酸触媒の使用量が前記範囲の下限値以上であれば、充分な反応速度が得られる。酸触媒の使用量が前記範囲の上限値以下であれば、反応をコントロールしやすい。
一次反応は、公知の方法により行うことができ、例えば、攪拌機、還流器および温度制御機構を有する反応容器にフェノール類、アルデヒド類、酸触媒および水を仕込み、任意の反応温度に昇温し、任意の反応時間保持する方法が挙げられる。
一次反応の反応温度は、80〜100(還流)℃が好ましく、90〜100(還流)℃がより好ましい。反応温度が前記範囲の下限値以上であれば、充分な反応速度が得られる。反応温度が前記範囲の上限値以下であれば、反応をコントロールしやすい。
一次反応の反応時間は、2〜6時間が好ましく、3〜5時間がより好ましい。
一次反応後、得られた反応液にアルカリ触媒を加えて、ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液を得る。このとき、必要に応じて、濃度調整等の目的で、追加の水を添加してもよい。
反応液に対するアルカリ触媒の添加量は、一次反応に用いたフェノール類に対するアルカリ触媒のモル比(アルカリ触媒/フェノール類)が、0.2〜0.5となる量が好ましく、0.3〜0.4となる量がより好ましい。アルカリ触媒の添加量が前記範囲の下限値以上であれば、二次反応で充分な反応速度が得られる。アルカリ触媒の添加量が前記範囲の上限値以下であれば、反応をコントロールしやすい。
次に、ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液にアルデヒド類を添加して反応(二次反応)させる。これにより、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液が得られる。
二次反応で用いるアルデヒド類は、1種でもよく2種以上でもよい。二次反応で用いるアルデヒド類は、一次反応で用いるアルデヒド類と同じであってもよく異なってもよい。
二次反応におけるアルデヒド類の添加量は、ノボラック型フェノール樹脂中のフェノール環1モル当たり1.0〜2.0モルが好ましく、1.2〜1.8モルがより好ましい。アルデヒド類の添加量が前記範囲の下限値以上であれば、二次反応フェノール樹脂中に充分な量のメチロール基が存在し、また、3核体以下の低分子量成分が充分に低減されるため、合板の接着強度がより優れる。アルデヒド類の添加量が前記範囲の上限値以下であれば、ホルムアルデヒド放散量がより少なくなる。
二次反応におけるアルデヒド類の添加量は、最終的なアルデヒド類/フェノール類のモル比が、1.8〜2.6となる量であることが好ましく、2.0〜2.4となる量であることがより好ましい。
最終的なアルデヒド類/フェノール類のモル比は、一次反応で用いたフェノール類に対する、一次反応および二次反応で用いたアルデヒド類の総量のモル比である。
最終的なアルデヒド類/フェノール類のモル比が前記範囲の下限値以上であれば、二次反応フェノール樹脂中に充分な量のメチロール基が存在し、また、3核体以下の低分子量成分が充分に低減されるため、合板の接着強度がより優れる。最終的なアルデヒド類/フェノール類のモル比が前記範囲の上限値以下であれば、ホルムアルデヒド放散量がより少なくなる。
二次反応は、公知の方法により行うことができ、例えば、攪拌機、還流器および温度制御機構を有する反応容器にノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液、アルデヒド類、必要に応じて追加の水を仕込み、任意の反応温度を任意の反応時間保持する方法が挙げられる。二次反応の開始後、必要に応じて、追加のアルカリ触媒を添加してもよい。
二次反応における最終的なアルカリ触媒/フェノール類のモル比は、0.65〜1.05が好ましく、0.75〜0.95がより好ましい。
最終的なアルカリ触媒/フェノール類のモル比は、一次反応で用いたフェノール類に対する、二次反応で用いたアルカリ触媒の総量のモル比である。
最終的なアルカリ触媒/フェノール類のモル比が前記範囲の下限値以上であれば、大幅に分子量を成長(粘度上昇することなく)させることなく遊離のホルムアルデヒド量を低減できる。最終的なアルカリ触媒/フェノール類のモル比が前記範囲の上限値以下であれば、十分な反応速度を得ることができコントロールしやすい。
二次反応の反応温度は、50〜80℃が好ましく、60〜70℃がより好ましい。反応温度が前記範囲の下限値以上であれば、充分な反応速度が得られる。反応温度が前記範囲の上限値以下であれば、反応をコントロールしやすい。
二次反応の反応時間は、例えば2〜4時間とすることができる。二次反応の反応時間は、未反応のアルデヒド類の残存量が1.0質量%以下となる時間が好ましい。未反応のアルデヒド類の残存量は、塩酸ヒドロキシルアミン法により測定できる。
反応終了後、反応液を冷却する。
このようにして、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液が得られる。
「(α2)の方法」
(α2)の方法では、まず、一次反応を行って、ノボラック型フェノール樹脂を含む反応液を得る。一次反応は、前記(α1)の方法と同様である。
一次反応後、得られた反応液の脱水および未反応フェノール類の除去を行って、固体のノボラック型フェノール樹脂を得る。
脱水および未反応フェノール類の除去は、徐々に加温して水等を除去したのち真空蒸留する等の公知の方法により行うことができる。
固体のノボラック型フェノール樹脂中の未反応フェノール類の含有量は、フェノール樹脂全体に対し、1.0%以下であることが好ましい。未反応フェノール類の割合が前記上限値以下であれば、二次反応フェノール樹脂全体に対する3核体以下の低分子量成分の割合が前記の好ましい上限値以下となりやすい。
未反応フェノール類の含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定される。
次に、固体のノボラック型フェノール樹脂を、アルカリ触媒の水溶液に溶解してアルカリ水溶液とする。
ノボラック型フェノール樹脂の溶解は、公知の方法により行うことができ、例えば、固体のノボラック型フェノール樹脂、アルカリ触媒および水を混合し、加熱する方法が挙げられる。
ノボラック型フェノール樹脂を溶解させる際の加熱温度は、60〜90℃が好ましく、70〜80℃がより好ましい。
アルカリ触媒の使用量は、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対し、5〜30質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。アルカリ触媒の使用量が前記範囲の下限値以上であれば、速やかにノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液を得ることができる。アルカリ触媒の使用量が前記範囲の上限値以下であれば、2次反応をコントロールしやすい。
次に、ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液にアルデヒド類を添加して反応(二次反応)させる。これにより、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液が得られる。
二次反応は、前記(α1)の方法と同様である。
ノボラック型フェノール樹脂の溶解および二次反応を、連続的に行ってもよい。例えば、攪拌機、還流器および温度制御機構を有する反応容器に固体のノボラック型フェノール樹脂、アルカリ触媒、水を仕込み、加熱して前記ノボラック型フェノール樹脂を溶解させ、ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ水溶液を得て、該アルカリ水溶液を所定の反応温度に冷却し、アルデヒド類を添加して二次反応させることで、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液が得られる。
二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液の製造方法としては、(α2)の方法が好ましい。二次反応の前に未反応フェノール類を除去しておくことで、得られる二次反応フェノール樹脂中の3核体以下の低分子量成分の割合を低くできる。
前記(α2)の方法において、一次反応により反応液を得て、該反応液の脱水および未反応フェノール類の除去を行う代わりに、市販の固体のノボラック型フェノール樹脂を用いてもよい。
上記のようにして得られた二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液は、典型的には、そのまま合板用接着剤組成物の調製に用いられる。この場合、合板用接着剤組成物は、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液と還元糖とを含む。
二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液のpHは、9〜13程度であることが好ましい。pHが前記範囲の下限値以上であれば、二次反応フェノール樹脂の溶解性がより優れる。pHが前記範囲の上限値以下であれば、添加するアルカリ触媒が無駄にならない。
二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液の粘度は、50〜500mPa・sが好ましく、100〜300mPa・sがより好ましい。二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液の粘度が前記範囲の下限値以上であれば、合板用接着剤組成物の粘度調整がしやすい。二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液の粘度が前記範囲の上限値以下であれば、合板の接着強度が良好である。
二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液において、二次反応フェノール樹脂の固形分濃度は、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。二次反応フェノール樹脂の固形分濃度が前記範囲内であれば、該アルカリ水溶液の粘度を前記の好ましい範囲内としやすい。
<還元糖>
還元糖としては、特に限定されず、例えば単糖、オリゴ糖、デキストリン等であってよい。
本発明において、「オリゴ糖」は2以上10以下の単糖が結合したものとし、「デキストリン」は一般的なマルトデキストリンの概念も含み、DEが20以下の糖組成物をいう。
単糖としては、例えばグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、キシロース等が挙げられる。
オリゴ糖としては、例えばマルトース、ラクトース、イソマルトース等の二糖;マルトトリオース等の三糖;四糖以上のオリゴ糖(例えばマルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等)等が挙げられる。
これらの還元糖はいずれか1種を単独で用いても2種以上併用してもよい。
還元糖としては、上記の中でも、入手が容易な点で、グルコース、フルクトース、オリゴ糖およびデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、特定還元糖ともいう。)が好ましい。特定還元糖としては、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、キシロース、マルトース、マルトトリオース、四糖以上のオリゴ糖およびデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、グルコース及びフルクトースのいずれか一方または両方が特に好ましい。
還元糖の総質量(100質量%)に対する特定還元糖の割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%が最も好ましい。すなわち、還元糖が特定還元糖のみから構成されていることが最も好ましい。
還元糖として2種以上を併用する場合、合板用接着剤組成物の調製に際して、各還元糖をそれぞれ配合してもよく、2種以上の還元糖を含む原料を用いてもよい。2種以上の還元糖を含む原料としては、例えば、異性化糖(グルコース、フルクトース等を含有)、水飴(グルコース、マルトース等を含有)、デキストリン等が挙げられる。
<その他の成分>
本発明の合板用接着剤組成物は、必要に応じて、二次反応フェノール樹脂および還元糖以外の他の成分をさらに含むことができる。
他の成分としては、特に限定されず、例えば水、アルカリ性物質、還元糖以外の糖質、各種の添加剤等が挙げられる。
アルカリ性物質としては、前記アルカリ触媒と同様のものが挙げられる。水、アルカリ性物質はそれぞれ、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液に由来するものであってもよく、合板用接着剤組成物の調製時に追加で添加されたものであってもよい。
添加剤としては、合板用接着剤組成物の構成成分として公知の成分を適宜用いることができる。具体例としては、硬化促進剤、増粘剤、増量剤等が挙げられる。硬化促進剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。増粘剤としては、小麦粉等の多糖類、増量剤として炭酸カルシウム等が挙げられる。
<合板用接着剤組成物の組成>
本発明の合板用接着剤組成物において、還元糖の固形分での含有量は、二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、10〜80質量部であることが好ましい。還元糖の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、合板のホルムアルデヒド放散量の低減効果がより優れる。還元糖の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、合板の接着強度(常態強度、耐湿強度等)が充分に優れる。
還元糖の含有量、二次反応フェノール樹脂の含有量はそれぞれ固形分量である。
二次反応フェノール樹脂の固形分とは、不揮発分である。不揮発分とは、試料1.5gを100℃で3時間加熱した時の残分である。還元糖の固形分とは、Brix計(例えばアタゴ社製)により測定した固形分であるか、又はカールフィッシャー水分計(例えば平沼産業社製)により測定した水分を除いた残分である。
還元糖が、フルクトース、グルコース等の単糖を主成分とする場合、還元糖の固形分での含有量は、二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、10〜80質量部がさらに好ましく、12〜55質量部が特に好ましい。
主成分とは、還元糖の総質量(固形分)に対する割合が、80質量%以上であることを示す。
単糖類を主成分とする還元糖としては、フルクトースおよびグルコースを含み、フルクトースおよびグルコースの合計質量が総質量に対して90質量%以上の還元糖が好ましい。
還元糖が、マルトース等のオリゴ糖を主成分とする場合、還元糖の固形分での含有量は、二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、20〜80質量部がさらに好ましく、25〜45質量部が特に好ましい。
オリゴ糖を主成分とする還元糖としては、マルトースを含み、マルトースの質量が総質量に対して55質量%以上の還元糖が好ましい。
還元糖が、デキストリンを主成分とする場合、還元糖の含有量は、二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、20〜55質量部がさらに好ましく、24〜45質量部が特に好ましい。
合板用接着剤組成物が硬化促進剤を含む場合、硬化促進剤の含有量は、二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、2〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、十分な硬化促進効果が得られる。硬化促進剤の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、合板接着剤組成物の可使時間を十分確保できる。
合板用接着剤組成物が増粘剤を含む場合、増粘剤の含有量は、二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。増粘剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、合板仮接着時の接着強度を十分維持できる。増粘剤の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、合板に所定量の接着剤組成物を容易に塗り広げることができる。
合板用接着剤組成物が増量剤を含む場合、増量剤の含有量は、二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して、2〜80質量部であることが好ましく、20〜50質量部であることがより好ましい。増量剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、合板接着剤組成物のコストが下げられる。増量剤の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、十分な合板の接着強度が得られる。
合板用接着剤組成物が水を含む場合、水の含有量は、合板用接着剤組成物の固形分濃度に応じて適宜設定される。
合板用接着剤組成物の固形分濃度は、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。
合板用接着剤組成物が水とともにアルカリ性物質を含む場合、アルカリ性物質の含有量は、合板用接着剤組成物がアルカリ性となる量が好ましい。この場合、合板用接着剤組成物のpHは、9〜13程度が好ましい。
合板用接着剤組成物が液状である場合、合板用接着剤組成物の粘度は、500〜5,000mPa・sであることが好ましく、1,000〜3,000mPa・sであることがより好ましい。前記粘度が前記範囲の下限値以上であれば、合板仮接着時の接着強度を十分維持できる。前記粘度が前記範囲の上限値以下であれば、合板に所定量の接着剤組成物を容易に塗り広げることができる。
本発明の合板用接着剤組成物の好ましい一実施形態として、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液および還元糖を含む液状の組成物が挙げられる。
本実施形態の組成物は、典型的には、硬化促進剤および増粘剤をさらに含み、必要に応じて、増量剤等をさらに含むことができる。
本実施形態の組成物中の各成分の含有量、固形分濃度、pH、粘度それぞれの好ましい範囲は前記と同様である。
本発明の合板用接着剤組成物は、前述の各成分を混合することにより調製できる。例えば、二次反応フェノール樹脂のアルカリ水溶液、還元糖、および必要に応じて他の成分を混合することにより合板用接着剤組成物が得られる。
本発明の合板用接着剤組成物は、合板に用いられる。すなわち合板の製造において、少なくとも2枚の木製単板を接着するために用いられる。
<作用効果>
本発明の合板用接着剤組成物にあっては、二次反応フェノール樹脂および還元糖を含むため、合板のホルムアルデヒド放散量を低減できる。また、本発明の合板用接着剤組成物を用いて少なくとも2枚の木製単板を接着した合板は、各木製単板間の接着強度に優れる。
合板用接着剤に還元糖を含有させた場合、還元糖は水溶性であることから、合板が高温高湿にさらされた場合、接着強度が大きく低下することが予測された。しかし、本発明の合板用接着剤組成物にあっては、意外にも、充分な接着強度を維持しつつ、ホルムアルデヒド放散量を低減することができる。
本発明の合板用接着剤組成物が上記効果を奏する理由は明確ではないが、ホルムアルデヒド放散量が低減される理由としては、還元糖がホルムアルデヒドを捕捉するキャッチャー剤として機能することが考えられる。接着強度が優れる理由としては、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒のみで反応させたレゾール型フェノール樹脂に比べて、二次反応フェノール樹脂の方が、3核体以下の低分子量成分が少ないことが考えられる。
〔合板〕
本発明の合板は、少なくとも2枚の木製単板が、前記本発明の合板用接着剤組成物により接着されたものである。
木製単板としては、特に限定されず、合板用の木製単板として公知のものを使用できる。合板を構成する木製単板の枚数は、特に限定されず、例えば2〜9枚とすることができる。
<合板の製造方法>
本発明の合板の製造方法は、接着剤として本発明の合板用接着剤組成物を用いる以外は、公知の合板の製造方法と同様であってよい。
例えば、少なくとも2枚の木製単板を、本発明の合板用接着剤組成物を介して重ね、熱プレスすることで合板を得ることができる。
具体例として、木製単板の積層面に合板用接着剤組成物を塗布し、任意の枚数を重ね合わせ、冷圧をかけて仮接着し、積層体を得て、該積層体に熱圧をかけて合板用接着剤組成物を硬化させて合板を得る方法が挙げられる。
合板用接着剤組成物の塗布量としては、例えば、木製単板の積層面の単位面積当たりの質量として、100〜350g/mが挙げられる。冷圧条件としては、例えば、温度:室温、冷圧時間:10〜60分間、圧力:0.1〜2.0mPaの条件が挙げられる。熱圧条件としては、例えば、温度:110〜140℃、熱圧時間:合板の熱圧後厚さ1mmあたり10〜50秒間、圧力:0.1〜2.0mPaの条件が挙げられる。
熱圧をかけた後、必要に応じて、荷重をかける等の処理を施してもよい。
<作用効果>
本発明の合板にあっては、接着剤として本発明の合板用接着剤組成物を用いているため、ホルムアルデヒド放散量が少ない。例えば合板用接着剤組成物が還元糖を含まない場合に比べて、ホルムアルデヒド放散量を70%以下に低減できる。また、木製単板間の接着強度にも優れる。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下の各例において「部」、「%」は、それぞれ、特に限定のない場合は「質量部」、「質量%」を示す。
各例で用いた材料および測定方法を以下に示す。
<材料>
グルコース:試薬、和光純薬社製、特級。
フルクトース:試薬、和光純薬社製、特級。
75FG:異性化糖(フルクトース、グルコース等を含有)、群栄化学工業社製。固形分濃度75〜77%。固形分全体に対して還元糖を100%含有。還元糖全体に対してフルクトースが42〜46%、グルコースが45〜54%。その他オリゴ糖等を含有。便宜上、固形分は75%として計算し使用した。
マルトース:試薬、和光純薬社製、特級。
KM−55:水飴(グルコース、マルトース、マルトトリオース等を含有)、群栄化学工業社製。固形分濃度75〜78%。固形分全体に対して還元糖を100%含有。還元糖全体に対してグルコースが1〜5%、マルトースが53〜58%、マルトトリオースが15〜25%。その他四糖以上のオリゴ糖等を含有。便宜上、固形分は75%として計算しし使用した。
GLD:水飴(デキストリンであって、四糖以上のオリゴ糖および十一糖以上の多糖類を主に含有)、群栄化学工業社製。固形分濃度65〜69%。固形分全体に対して還元糖を100%含有。還元糖全体に対して四糖以上のオリゴ糖および十一糖以上の多糖類を合計で85%以上含有。便宜上、固形分は67%として計算し使用した。
75FG、KM−55における固形分濃度は、100−水分(%)で算出される値である。GLDにおける固形分濃度は、Brix計により測定される値である。また、固形分は糖質である。
スクロース:試薬、和光純薬社製、特級。
ノボラック型フェノール樹脂:群栄化学工業社製「PSM−4324」。重量平均分子量1,900、未反応フェノール類の含有量1%以下。
<測定方法>
(GPC測定)
フェノール樹脂3gを50gの純水で希釈し、pHを確認しながら、3%硫酸水溶液でpH4.0にした。これをNo.2のろ紙でろ過し、ろ過物を更に100gの純水で洗浄した後、風乾させGPC測定用サンプルとした。
得られたGPC測定用サンプルについて、以下の測定条件でGPC測定を行った。
カラム:TSKgel G3000HXL 7.8×300mm×1本、
TSKgel G2000HXL 7.8×300mm×2本。
カラム温度:40℃。
検出器:RI(示差屈折率検出器)。
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)。
流量:0.8mL/min。
<製造例1>
還流管、撹拌機、温度計を付帯した1Lフラスコにフェノール:100部と、50%ホルマリン:51部(F/Pモル比:0.8)と、30%硫酸:0.33部、水:17.9部を仕込み、還流条件下で4時間反応させた。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液:50部(水酸化ナトリウム/フェノールモル比:0.35)、50%ホルマリン:96部(最終的なF/Pモル比:2.3)、水:34部を添加し、70℃で、粘度が約3000mPa・sまで反応させた。その後、30%水酸化ナトリウム:71部(最終的な水酸化ナトリウム/フェノールモル比:0.85)を添加し、60℃で樹脂中の遊離ホルムアルデヒド量が1.0%以下になるまで反応させ、40℃まで冷却後、固形分濃度調整のため水:30gを添加し、アルカリ水溶液状のフェノール樹脂1を得た。
GPC測定によるフェノール樹脂1の重量平均分子量は12,500であり、3核体以下(RT30分以降)のピーク面積は0.9%であった。また、25℃におけるpHは12.6であり、固形分濃度は42.0%であり、粘度は160mPa・sであった。
F/Pモル比は、フェノールに対するホルムアルデヒドのモル比を示す。RTはGPCチャートにおける溶出時間を示す。粘度はB型粘度計にて測定された値である。
<製造例2>
還流管、撹拌機、温度計を付帯した1Lフラスコに水:81部、30%水酸化ナトリム:44部を仕込み、90℃に加熱した。撹拌しながら少しずつ固体のノボラック型フェノール樹脂(PSM−4324:群栄化学工業社製):100部を添加し溶解させた。その後、60℃まで冷却し、発熱に注意しながら50%ホルマリン:70部を添加し2時間反応させた。その後、40℃以下に冷却し、30%水酸化ナトリウム:62部を添加して、アルカリ水溶液状のフェノール樹脂2を得た。
GPC測定によるフェノール樹脂2の重量平均分子量は4,400であり、3核体以下(RT30分以降)のピーク面積は0.9%であった。また、25℃におけるpHは12.8であり、固形分濃度は43%であり、粘度は130mPa・sであった。
<実施例1〜22、比較例1〜5>
(合板用接着剤組成物の調製)
表1〜4にそれぞれ種類と配合量(部)を示した成分を混合して、実施例1〜22及び比較例1〜5の合板用接着剤組成物を調製した。各合板用接着剤組成物は、25℃にて液状であった。
表1〜4中、糊の倍率は、使用したフェノール樹脂の質量(水分も含む)に対する合板用接着剤組成物の質量の倍率(フェノール樹脂の希釈倍率)を示す。
(合板の作製)
糊液として各例で得た合板用接着剤組成物を使用し、単板は縦300mm×横300mmの2.3mm厚、3.1mm厚の赤松の単板を使用した。3.1mm厚の単板を糊板として両面に糊液を塗り、(1)2.3mm厚、(2)3.1mm厚、(3)2.3mm厚、(4)3.1mm厚、(5)2.3mm厚の単板の順に重ね合わせ、冷圧、熱圧を行い、5plyにて12mm厚の合板を作製した。成形は以下の条件で実施した。
・糊液塗工量:222g/m
・冷圧条件:室温、冷圧時間:40分間、圧力:1mPa。
・熱圧条件:130℃、熱圧時間:6分間(合板の熱圧後厚さ1mmあたり30秒間)、圧力:1mPa。
(評価)
得られた合板について、JAS規格書木材編記載の試験方法に基づき、ホルムアルデヒド放散量、常態強度、耐湿強度(2類および特類:スチーミング繰り返し試験)を測定した。
常態強度および耐湿強度の測定結果を表1〜4に示す。常態強度は1.3MPa以上を良好と判定し、耐湿強度(2類)は0.7MPa以上を良好と判定し、耐湿強度(特類)は0.5MPa以上を良好と判定した。常態強度は1.5MPa以上が好ましく、耐湿強度(2類)は0.9MPa以上が好ましく、耐湿強度(特類)は0.7MPa以上が好ましい。
ホルムアルデヒド放散量については、合板用接着剤組成物が糖質を含まない比較例(例えば表1の場合は比較例1)のホルムアルデヒド放散量の値を100としたときの他の例のホルムアルデヒド放散量の相対値を算出した。その結果を「放散ホルムアルデヒド」として表1〜4に示す。この放散ホルムアルデヒドの値が70以下を良好と判定した。この放散ホルムアルデヒドの値は50以下が好ましい。
なお、上記の測定方法においては、測定時の気温や湿度によって測定値に若干の変動が見られる。そのため、対比を正確に行うために、同じ表に示した例(例えば表1の場合は実施例1〜7及び比較例1〜2)は、ほぼ同じタイミングで測定を行った。
Figure 2018053131
Figure 2018053131
Figure 2018053131
Figure 2018053131
実施例1〜22の合板はそれぞれ、同じ表に示した比較例1、3、4、5(還元糖を含まない以外は合板用接着剤組成物の組成が同じ例)の合板に比べて、放散ホルムアルデヒドが少なかった。また、実施例1〜22の合板の接着強度は、常態強度、耐湿強度(2類、特類)のいずれも良好であった。
一方、還元糖の代わりに非還元糖であるスクロースを用いた比較例2の合板は、比較例1の合板に比べて、放散ホルムアルデヒドが多くなっていた。

Claims (7)

  1. ノボラック型フェノール樹脂がレゾール化された二次反応フェノール樹脂と、還元糖とを含む合板用接着剤組成物。
  2. 前記二次反応フェノール樹脂の重量平均分子量が3,000〜30,000である、請求項1に記載の合板用接着剤組成物。
  3. ゲル浸透クロマトグラフィーから算出される、前記二次反応フェノール樹脂全体に対する3核体以下の低分子量成分の割合が、5面積%以下である、請求項1または2に記載の合板用接着剤組成物。
  4. 前記還元糖が、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、キシロース、マルトース、マルトトリオース、四糖以上のオリゴ糖およびデキストリンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の合板用接着剤組成物。
  5. 前記還元糖の固形分での含有量が、前記二次反応フェノール樹脂の固形分100質量部に対して10〜80質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の合板用接着剤組成物。
  6. 少なくとも2枚の木製単板が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の合板用接着剤組成物により接着された合板。
  7. 少なくとも2枚の木製単板を、請求項1〜5のいずれか一項に記載の合板用接着剤組成物を介して重ね、熱プレスして合板を得る合板の製造方法。
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