JP2018052492A - 車両用ホイール - Google Patents

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誠 篠田
利夫 永田
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利夫 永田
雅孝 内田
Masataka Uchida
雅孝 内田
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Abstract

【課題】本発明は、従来技術の車両用ホイールに比べ、より外観の質感を高めることの可能な構成の塗膜を有する車両用ホイールを提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の一形態は、切削面である一の表面および前記一の表面に連なる他の表面が形成された基体と、前記一の表面および他の表面の上に形成された塗膜とを有する車両用ホイールであって、前記塗膜は、前記他の表面に塗膜された、少なくとも濃暗色のカラーコートを含むカラー層と、前記他の表面上のカラー層の表面および前記一の表面のいずれの表面の上にも共通するように塗膜された、少なくともめっき調コートを含むめっき調層とを有し、前記一の表面の側の輝度をL1、前記他の表面の側の輝度をL2としたとき、L1−L2が15以上であることを特徴とする車両用ホイールである。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両用ホイール、具体的には切削面である一の表面及びこの一の表面に連なる他の表面が形成された基体と、一の表面および他の表面の上に形成された塗膜とを有する車両用ホイールに関連する発明である。
上記技術分野に関連する発明が、下記特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された車両用ホイールは、「アルミホイールの鋳肌面のみの面上のカチオンあるいはアニオン電着プライマー層と、その上のアクリル系溶剤カラー層と、該アクリル系溶剤カラー層上とアルミホイールの切削面との両方の上に塗布されたアクリル系クリアートップコート層と、からなるアルミホイールの塗膜」を有する、いわゆる切削光輝仕様の車両用ホイールである。また、そのような塗膜を有する車両用ホイールの製造方法として、「アルミホイールの鋳肌面のみの面上にカチオンあるいはアニオン電着プライマー層を、その上にアクリル系溶剤カラー層を塗装し、ファッション面のうちアルミホイール前面を切削し、その後前記アクリル系溶剤カラー層と前面の切削面の両方の上にアクリル系クリアートップコート層を塗装する」ことが開示されている。
かかる特許文献1の車両用ホイールおよびその製造方法によれば、「アルミホイールに要求されるつるつる感、防食性、作業者の切り傷対策、飛び石による塗膜損傷低減、を達成することができる」と記載されている。
近年、大衆車向けのエコノミーな市場でも意匠性が比較的高く大量生産ができる安価な車両用ホイールが求められており、上記特許文献1の塗膜を有する車両用ホイールは、切削光輝仕様とすることで、その要求を満たすことができる可能性がある。一方で、特に高級車向けのプレミアムな市場では、更に高い意匠性を有する車両用ホイールが求められており、外観の質感をより高めることの可能な塗膜を有する車両用ホイールの製造が要請されている。
特開平10−193512号公報
本発明は上記要請に対応するものであり、その目的は、上記従来技術の車両用ホイールに比べ、より外観の質感を高めることの可能な構成の塗膜を有する車両用ホイールを提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明の一形態は、切削面である一の表面および前記一の表面に連なる他の表面が形成された基体と、前記一の表面および他の表面の上に形成された塗膜とを有する車両用ホイールであって、前記塗膜は、前記他の表面に塗膜された、少なくとも濃暗色のカラーコートを含むカラー層と、前記他の表面上のカラー層の表面および前記一の表面のいずれの表面の上にも共通するように塗膜された、少なくともめっき調コートを含むめっき調層とを有し、前記一の表面の側の輝度をL1、前記他の表面の側の輝度をL2としたとき、L1−L2が15以上であることを特徴とする車両用ホイール、である。
なお、前記めっき調層は、前記カラー層を介することなく前記一の表面上に形成されていることが望ましい。
さらに、前記めっき調層は、前記他の表面上のカラー層の表面と前記めっき調コートとの間、および前記一の表面と前記めっき調コートとの間に共通に形成された透光性コートを有することが望ましい。
さらに、前記透光性コートは、透光性カラーコートであっても良い。
加えて、前記カラー層の一方端面が切削されている面であることが望ましい。
さらに加えて、前記車両用ホイールは、デザイン面を有するデザイン部を備え、前記一の表面は、前記デザイン面に形成されていることが望ましい。
上記目的を達成するための本発明の別の形態は、特に上記車両用ホイールを製造するのに好適な製造方法であり、基体を形成する基体形成工程および塗装工程を少なくとも含む車両用ホイールの製造方法であって、前記塗装工程は、前記基体形成工程で形成された基体の表面に少なくともカラーコートを塗膜してカラー層を形成するカラー層形成工程と、前記カラー層形成工程の後に、前記基体の表面の一部である所定の領域を前記カラー層とともに切削して前記基体に切削面である一の表面を形成するとともに、前記カラー層が残存した前記一の表面に連なる他の表面を形成する切削工程と、前記切削工程の後に、前記他の表面上のカラー層の表面および前記一の表面の上に同時に、少なくともめっき調コートを塗膜してめっき調層を形成するめっき調層形成工程を有する車両用ホイールの製造方法、である。
本発明によれば、より外観の質感を高めることの可能な構成の塗膜を有する車両用ホイールを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る車両用ホイールの正面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 図3のC部拡大図である。 図1の車両用ホイールの変形例の図3と同じ部分の拡大図である。 図1の車両用ホイールの製造方法を示すフロー図である。 図6のフロー図に対応した各工程における状態を示す図である。
本発明について、その具体的な実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下説明する実施形態および実験例に限定されず、また、発明の作用効果を奏する限り、同一性の範囲内において適宜変形して実施することができる。
本発明に係る車両用ホイール(以下、単にホイールと言う場合がある。)は、図1〜3にその実施態様の一例を示すように、切削面である一の表面1o及びその一の表面1oに連なる他の表面1p、1qが形成された基体1と、一の表面1oおよび他の表面の1p、1q上に形成された塗膜10とを有する、いわゆる切削光輝仕様のホイールである。そして、本発明に係る塗膜10は、図4に示すように、他の表面1qに塗膜された、少なくともカラーコート10cを含むカラー層10aと、他の表面1q上のカラー層10aの表面および前記一の表面1oのいずれの表面の上にも共通するように塗膜された、少なくともめっき調コート10fを含むめっき調層10bとを有している。つまり、一の表面1oの上に形成された塗膜(以下、第1の塗膜と言う場合がある。)10kおよび他の表面1q上に形成された塗膜(以下、第2の塗膜と言う場合がある。)10Lには共通してめっき調層10bが存在する。一方で、第2の塗膜10Lにはめっき調層10bの下にカラー層10aが存在するが、第1の塗膜10kにはこのカラー層10aが存在せず、めっき調層10bの下に切削面である一の表面1oが存在するのである。すなわち、切削面である一の表面とカラー層の無い第1の塗膜、他の表面とカラー層のある第2の塗膜は、各々一体不可分の関係にある。
なお、図3において符号1p、1qで示す表面は、理解のため、一の表面1oに連なる他の表面を代表的に示したものであり、カラー層10aが形成されるべき他の表面は、直接的または間接的に一の表面1oに連なるよう配置されていればよい。一方で、下記する意匠性を発現するためには、表面1pおよび1qのように、カラー層10aが形成されるべき他の表面は、直接的に一の表面oに連なるよう配置されていることが望ましい。
かかる構成の塗膜10が基体1の表面に形成されたホイールによれば、一の表面1oおよび他の表面1qのいずれの上にも共通するように塗膜されためっき調層10bが存在するので、ホイールの表面に入射した光の一部はめっき調層10bで反射されるとともに、めっき調層10bを透過した光の他部は、一の表面1oにおける切削面および他の表面1qにおけるカラー層10aで反射される。これにより、一の表面1oおよびカラー層10aの色を反映した反射光には、いずれにも、めっき調層10bによるめっき調色の反射光が重畳されることとなり、ホイールを外側から眺めた場合に、視覚的にギラギラとしない深みのある色調でザラザラ感が無く、ホイールを見る角度などで色調が変化する高級感のある外観を呈するホイールが形成される。
さらに、一の表面1oに形成された第1の塗膜10kにはカラー層10aが無く、めっき調層10bのみが存在するが、他の表面1qに形成された第2の塗膜10Lには、当該他の表面1qとめっき調層10bとの間にカラー層10aが存在する。このため、切削面である一の表面1oで反射された反射光は、高輝度で金属光沢の色を有する反射光となり、一方で、カラー層10aで反射された反射光は、一の表面1oで反射した反射光よりも低輝度で、当該カラー層10aの色が反映された反射光となる。このように輝度差や色調差を有する両反射光には、いずれにも、上記したようにめっき調層10bにおける反射光が重畳され視覚されるが、本態様の塗膜10では、一の表面1oと他の表面1qの上に共通するようにめっき調層10bを設けている。このため、めっき調層10bにおける反射光が重畳された後でも、一の表面1oおよび他の表面1qの上のカラー層10aにおける両反射光の上記した輝度差や色調差は一定の割合で維持されることとなる。その結果、ホイールを外側から眺めた場合に、上記のように深みのある色調でかつ見る角度で色調が変化するとともに、一の表面と他の表面との間での輝度差(コントラスト)が大きく深い陰影感を視覚することができる、より質感が高められた高級感のある外観を呈するホイールを構成することができる。
[車両用ホイールの構成]
以下、図1〜5を参照して、本発明に係るホイールの構成について、詳細に説明する。ここで、図1は本発明の一実施形態に係るホイールの正面図、図2は、図1のA−A断面図、図3は、図1のB−B断面図、図4は、図3のC部拡大図、図5は、図1の車両用ホイールの変形例の図3と同じ部分の拡大図である。なお、なお、図2は、図1のA−A断面図であり、中心線Iよりも左側はデザイン部1gを含まない断面、右側はデザイン部1gを含む断面となっている。また、図4および図5は断面図であるが、理解のため塗膜10の部分のハッチングは省略している。なお、図1〜5に示すホイールは、本発明の好ましい一態様を示したものであり、本発明はこれに限定されない。
図1〜3に示すように、本態様のホイールは、基体1および基体1の表面に形成された塗膜10を備えている。そして、基体1は、ハブ部1fおよびハブ部1fの外周面から放射状に形成されたデザイン部1gを備えたディスク部1eを有している。また、基体1は、ディスク部1eが下方(一方)端に内設された略円環形状のリム本体部1bと、リム本体部1bの下方端に配置された第1のフランジ部(いわゆるアウターフランジ)1cと、上方(他方)端に配置された第2のフランジ部(いわゆるインナーフランジ)1dを備えたリム部1aを有しており、各部は、つなぎ目なく一体的に形成されている。なお、リム本体部1bと、ディスク部1eとの連結部、つまりリム本体部1bの下方(一方)部の領域を、「連結部」1nと言う場合がある。また、ハブ部1fの中央に形成された回転軸Iに平行な方向(以下、この方向を回転軸方向と言う場合がある。また、回転軸Iに直行する方向を半径方向、回転軸I周りの方向を円周方向と言う場合がある。)の貫通孔1hは車軸が挿入される貫通孔であり、半径方向においてハブ部1fの外周部に等ピッチで複数個形成された孔部1iは車軸にホイールを固定するためボルト等が挿通される孔部である。
図に示す基体1は、窓部1mを介して円周方向に複数本配置されたスポークがハブ部1fから半径方向に延設されてリム部1aと結合する、スポークを主体として意匠されたスポーク型のデザイン部1gを有する基体であるが、デザイン部の意匠としては、これに限定されない。デザイン部としては、上記スポーク型以外に、例えばスポーク型よりもハブ部がかなり広い範囲で緩やかな面が形成され、リム部とは短めのスポークで連結されているデザイン部中心が略円盤形状のディッシュ型、スポーク型に属するがスポーク数が比較的多くかつ細い点が特徴であるフィン型、スポーク数が多くかつ細く伸びているが、スポークがハブ部とリム部の間で網目のようにメッシュ状となるメッシュ型など、各種意匠のデザイン部が存在する。また、デザイン部1gを構成するスポークの回転軸Iと平行な断面の形状は、図3に示すように、下方底部が凹状に鋳抜かれた鋳抜部が形成され、天井部1jと各々天井部1jの両端から下方に向け折れ曲がるように形成された左側部1kおよび右側部1Lを有する略コの字形状をなしているが、断面形状はこれに限定されず、円周方向および半径方向で部位により肉厚の異なる略V字形状、略U字形状であってもよく、また鋳抜部のない形状であってもよい。
本態様の基体1は、デザイン部1gの表面であるデザイン面1oが、切削加工されてなる切削面であり、第1の塗膜1k(図4参照)が形成される一の表面1oである。具体的には、図3に示すようにデザイン部1gの天井部1jの表部が切削加工されており、切削面であるデザイン面1oを構成している。そして、そのデザイン面1oには、天井部1jの両側に形成された右側部1Lおよび左側部1kの各々の外側面、つまり第2の塗膜1Lが形成される右側面1pおよび左側面1q(いずれも他の表面)が直接的に連なっている。なお、表面1pおよび1q含め他の表面の表面性状は特に限定されず、鋳肌面またはショットブラスト処理がなされたブラスト面などの非切削面でもよく、デザイン面1oと同様に切削面であってもよく、下記する構成の第2の塗膜10Lが形成できればよい。
上記基体1を構成する素材は、例えば鉄(Fe)やチタニウム(Ti)などの金属およびその合金、プラスチックスなどの樹脂などいかなる素材で形成されたものでもよく、下記する構成の塗膜10が形成できればよい。しかしながら、上記のように意匠性が高く、更に軽量化されたホイールを製造するためには、密度に対する比強度や比剛性が高いアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)などを主成分とする軽合金で基体を構成することが望ましい。さらに、工業生産的に見合うコストで意匠性が高いホイールを製造するためには、JIS−AC4CHを代表とするAl−Si−Mg系などのアルミニウム合金などで基体を構成することが望ましい。このアルミニウム合金を原料とし、例えば重力鋳造法、低圧鋳造法または高圧鋳造法その他周知の鋳造方法により、意匠性の高い基体を一体的に形成することができる。
[塗膜]
以下、上記基体1の表面に形成される塗膜10の構成について、図3のC部拡大図である図4を参照しつつ説明する。なお、図3に示すデザイン部1gの右側面(他の表面)1pに形成された塗膜は、左側面1qに形成された第2の塗膜10Lと同様な構成であるので説明を省略する。また、デザイン部1gの表面1o〜1q以外の基体1の表面の塗膜10の構成は特に限定されず、例えばデザイン面1o以外の領域に切削面(一の表面)を設け、その切削面の上に第1の塗膜10kを形成してもよい。しかしながら、ホイールの意匠を主体的に印象づけるデザイン部1gの最表面、つまりデザイン面1oは切削面である一の表面であることが望ましい。さらに、意匠性の観点から、ディスク部1fの表面(図1および2参照)のうちデザイン面1o以外の表面に形成する塗膜は、カラー層10aを有する第2の塗膜10Lと同様な構成とすることが意匠面で望ましい。さらに、工業生産の面からは、基体1の表面のうちデザイン面1o以外の表面全てに形成する塗膜を、第2の塗膜10Lと同様な構成とすれば、より短いリードタイムで低コストにホイールを製造できるので好ましい。
塗膜10を形成する基体1の表面(デザイン面1o含む)は、耐蝕性の面から、塗膜10の塗装前に、脱脂処理や酸洗処理が行われ、その後例えばクロム酸クロムやリン酸クロムを用いたクロメート処理またはTi酸やZr酸を用いたノンクロメート処理などの化成処理が施され、当該表面と塗膜10の間に化成処理されてなる化成被膜が介在していることが望ましい。
図4に示すように、本態様の塗膜10は、デザイン部1gのデザイン面(切削面である一の表面)1oの上に形成された第1の塗膜10kと、その左側面(他の表面)1qの上に形成された第2の塗膜10Lとを有している。そして、第2の塗膜10Lは、カラーコート10cを含むカラー層10aと、カラー層10aの上に形成された、めっき調コート10fを含むめっき調層10bを有している。そして、このめっき調層10bは、デザイン面1oの上に形成された第1の塗膜10kにも共通するように塗膜されている。以下、カラー層10aおよびめっき調層10bの構成について、詳細に説明する。
[カラー層]
カラー層10aに含まれるカラーコート10cは、ポリエステル、エポキシ、アクリル樹脂等を含む溶剤系塗料からなるコート、水性系塗料からなるコート、または粉体系塗料からなるコートいずれでもよい。また、カラーコートは、図4に示すようにカラーコートのみであってもよいが、その変形例である図5に示すように左側面1qの表面に塗膜した着色されたプライマーコートがカラーコート20cであってもよい。カラーコート10cの色は、その反射光がめっき調コート10fの反射光と重畳することによりホイールの外観として視覚される色が、所望の意匠に適合した色となるようにすればよく、赤色、黄色、青色およびそれらの混色その他各種の色を選択することができる。例えば、高級感のあるホイールの外観としてクロムめっき調の色を要請される場合には、カラーコート10cの色は濃暗色である黒色や灰色、特に黒色を基調とした色であることが望ましい。これにより、カラーコート10cとめっき調コート10fとが協働して、深みが増したクロムめっき調の外観を呈するホイールを構成できる。なお、カラーコート10cは、めっき調コート1fとの協働により上記した意匠感を得るためには、透明感が低い、いわゆるソリッドな色であることがより望ましい。塗装後のカラーコート10cの厚みは10〜40μmとすることが望ましい。
例えば基体1がアルミニウム合金鋳造品であり、デザイン部1gの左側面1qが凹凸のある鋳肌である場合には、上記カラーコート10cの下方、つまりデザイン部1gの左表面1qとカラーコート10cとの間には、基体表面の凹凸をならして平坦化し、かつ防蝕性を向上させるための下地層としてプライマーコート10dを設けておくことが好ましい。プライマーコート10dを形成する塗料としては、ポリエステル系、アクリル系、エポキシ系またはウレタン系などの樹脂を含む溶剤系、水性系または粉体系の各種塗料を使用できるが、その塗装方法についてはホイールの製造方法の項で詳述する。なお、プライマーコート10dの厚みは、上記のように鋳肌の凹凸をならす必要がある場合、40〜200μmであることが望ましい。
加えて、本態様のように切削光輝仕様のホイールの場合には、デザイン部1gの左側面(他の表面)1q上のカラー層10aは、上記カラーコート10cの表面に塗膜されたクリヤコート10eを有することが好ましい。デザイン面1oを切削面とするための切削加工の前に、カラーコート10cおよび必要に応じ設けられるプライマーコート1dを覆うクリヤコート10cを設けることにより、その後の切削加工時における、カラーコート10cおよびプライマーコート10dの割れや剥がれが抑制され、意匠性の高いホイールを具現できるからである。すなわち、カラー層10aは、そのデザイン面(切削面である一の表面)1oの方(一方)の露出している端面が、デザイン面1oの切削加工時に同時に切削され、切削された面となっていることが好ましい。
上記クリヤコート10eの色は、カラーコート10cからの反射光を遮るものでなければよく透光性があればよいが、透明であることがより望ましい。クリヤコート10eは、例えば、有機溶剤にポリマーまたはオリゴマーを溶解した溶剤系クリヤ塗料または粉体系クリヤ塗料を使用して形成することが可能である。なお、クリヤコート10eの厚みは、10〜40μmであることが望ましい。
[めっき調層]
上記カラー層10aの表面およびデザイン面1oのいずれの表面の上にも共通するように塗膜されためっき調層10bの有するめっき調コート10fは、めっき調(金属調)の外観を持つコートの全てを含む。めっき調コート10fとは、具体的には、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)またはニッケル(Ni)およびそれらの合金からなるフレーク状の金属箔を顔料として含むメタリック塗料を塗布することにより、あるいはニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)またはクロム(Cr)およびそれらの合金などを蒸着することにより形成されたコートのことを指す。例えば、上記フレーク状の金属箔(以下、単にフレークと言う場合がある。)を含むめっき調コート10fでは、図4に示すように、フレーク10jが存在する部分に入射した光は、このフレーク10jで反射する。一方で、フレーク10jが存在しない部分に入射した光は、めっき調コート10fを透過してカラーコート10cで反射する。これにより、めっき調コート1fで発現されるめっき調(金属調)色にカラーコート10cの色が反映され、両色が重畳された色がホイールの色として視覚されることとなる。
上記しためっき調コート10fの作用をより効果的に実現するためには、めっき調コート10fに含まれるフレークは蒸着した金属薄帯を粉砕したものであること、具体的にはフレークの平均厚みが10Å以上500Å以下で、平均径が3μm以上50μm以下であることが好ましい。さらに、フレークのアスペクト比(フレークの幅/厚さ)は300超〜800であることが好ましく、400〜700であることが更に好ましい。さらに、めっき調コート10fの厚みは0.05〜10μmであることが望ましく、0.1〜3μmであることが更に望ましい。めっき調コート10fの厚みが0.05μm未満の場合には、紫外線がカラーコート10cに到達し易くなり、カラーコート10cが劣化しやすく、めっき調コート10fの厚みが10μmを越えると、高価なメタリック塗料の使用量が増加するとともに形成時間が長くなり得られるホイールのコストが高額となる。
図4に示すように、めっき調コート10fに含まれるフレーク10jの多くは、カラー層10aの表面またはデザイン面1oに沿い平行に並ぶように配向された状態で、めっき調コート10fの中に存在している。このフレークの配向性を高めるため、フレークは、リーフィング化されたアルミニウムフレークであることが好ましい。リーフィング化されたアルミニウムフレークは飽和脂肪酸(例えばステアリン酸)などで被覆することにより得られる。このアルミニウムフレークは、めっき調コート10fの中において高い配向性で配向されるので、より高い輝度感をもった塗膜10が得ることができる。また、フレーク10jとして、アルミニウムをプラスチックフィルムの表面に蒸着後粉砕し、基材を溶解除去することにより作成された蒸着アルミニウムフレークを用いることも同様に好ましい。蒸着アルミニウムフレークは、厚さが非常に薄く、アスペクト比が300を超えるので、配向性が高まるからである。さらに、上記リーフィング化されたアルミフレークと蒸着アルミフレークを同時にフレークとして添加することにより、より高い輝度感を得ることができ好ましい。また、これらの他に、粉砕アルミニウムフレークをフレークとして添加することにより、独特の意匠感を呈するホイールを構成することも可能である。
なお、上記したようにめっき調コート10fの中におけるフレーク10jの配向性は、カラーコート10cとの協働により発現され視覚されるホイールの色に対し大きな影響を与える。このフレーク10jの配向性を高めるため、めっき調層10bは、デザイン部1gの左側面1qの上に形成されたカラー層10aの表面とめっき調コート10fとの間、およびデザイン面1oとめっき調コート10fとの間に共通に形成された透光性コート10gを有することがより望ましい。この透光性コート10gを設けることにより、切削面であるデザイン面1oおよびカラー層10aの表面の凹凸をより平坦化できるので、フレーク10jがより高い配向性で平行に配列し、高意匠化をはかることができる。また、カラー層10aで覆われていないデザイン面1oの耐蝕性を高めることもできる。
なお、透光性コート10gは、カラーコート10cとめっき調コート10fの各々の協働を阻害しないよう、めっき調コート10fを透過したカラーコート10cへの入射光、及びその入射光のカラーコート10cによる反射光が透過できる程度の透光性を有していればよく、透明である必要は必ずしもないが、上記平坦化という目的であるため、透光性コートは透光性プライマーコートであることが望ましい。
ここで、上記透光性コート10gを透光性カラーコートとしてもよい。透光性コートを透光性カラーコートとすることにより、カラーコート10cとめっき調コート10fの両者の色に加え透光性カラーコートの呈する色が協働し、独特の意匠感を呈するホイールを構成することができる。具体的には、例えば透光性カラーコートの色を例えば青色としたホイールを形成し、このホイールのデザイン面1oを第1の塗膜1kを通じて眺めた場合には、切削面からの反射光による金属光沢のある色に透光性カラーコート10gの青色が重畳し、青色がかった金属光沢を有する深みがあるめっき調色が視覚されることとなる。一方で、上記ホイールのデザイン部1gの左側面1qを第2の塗膜1Lを通じて眺めた場合には、カラーコート10cの色に透光性カラーコート10gの青色が重畳した混色に、さらにめっき調コート1fのめっき調食が重畳した色が視覚される。なお、カラーコート10cの色を黒色など濃暗色とした場合には、カラーコート10cの色は、透光性カラーコート10gの色に殆ど影響されず、色を付与しない透光性コートの場合と同様な色が視覚される。このように、透光性コート10gを透光性カラーコートとすることにより、特に、第1の塗膜10kを通じて視覚される切削面であるデザイン面1oの色調を調整することができ、第2の塗膜10Lを通じて視覚される色との組み合わせにより更に高級感を感じさせるホイールを構成することができる。
さらに、ホイールの耐久性(耐候性、耐蝕性)を向上させるためには、めっき調層1bは、上記めっき調コート10fの上にトップクリヤコート10hを有することが望ましい。
なお、上記ホイールにおいて、デザイン面1oの側の輝度をL1、デザイン部1gの左側面1qの側の輝度をL2としたとき、L1−L2が15以上であることが、意匠性の高いホイールを構成するという面では望ましい。その技術的な意義については、実験例の項で詳細に説明する。なお、上記輝度L1およびL2は、ミノルタ製のCR200を使用し、確認した。
[ホイールの製造方法]
以下、図1〜4で説明したホイールの製造方法の一例について、図6および7を参照して説明する。図6は、ホイールの製造方法の各工程のフロー図であり、図7は、図6のフロー図に対応した各工程における状態を示す図である。なお、図7は、図4と同様にデザイン部のみの部分拡大断面図となっている。
上記ホイールを製造するのに好適な本発明に係るホイールの製造方法は、図6に示すように、基体を形成する基体形成工程S1、塗装工程S3を少なくとも含んでいる。なお、図6に示すように、必要に応じ、前加工や化成処理などを含む前処理工程S2や後加工や検査を含む後処理工程を含んでいてもよい。そして、塗装工程S3は、基体形成工程S1で形成された基体の表面に少なくともカラーコートを塗膜してカラー層を形成するカラー層形成工程S31と、カラー層形成工程31の後に、基体の表面の一部である所定の領域をカラー層とともに切削して基体に切削面である一の表面を形成するとともに、カラー層が残存した一の表面に連なる他の表面を形成する切削工程S32と、切削工程S32の後に、他の表面上のカラー層の表面および一の表面の上に同時に、少なくともめっき調コートを塗膜してめっき調層を形成するめっき調層形成工程S33を有している。以下、各工程について順に説明する。
まず、基体形成工程である。基体形成工程では、図7(a)に示すように、鋳肌表面1rを有する基体1が形成される。基体形成工程において、基体を形成する方法は特段限定されず、例えば金属製のホイールの場合、切削加工などで素形材を削り出して基体を形成してもよく、また金属粉末を型の中で焼結する焼結法で形成してもよい。しかしながら、工業生産上効率的にホイールを製造するためには、アルミニウムなど軽合金を主体とした原料を溶融し、基体の形状に対応したキャビティーを有する鋳型内に溶湯を鋳込み、基体を形成する鋳造法を鋳造工程として基体形成工程に適用することが望ましい。なお、基体を構成する軽合金としてアルミニウムを主体とする合金を使用する場合には、例えばJISに定めるAC4CまたはAC4CH材相当のAl−Si−Mg系のアルミニウム合金材料を用いて鋳造を行うことができる。具体的には、Cu0.20質量%以下、Si6.5〜7.5質量%以下、Mg0.25〜0.45質量%以下、Zn,Fe,Mn,Ni,Ti,Pb,Sn,Crは不純物であり総量は0.8質量%以下、残部Alとなる組成のアルミ合金材料を用いることが好ましい。さらに、上記アルミ合金材料より高い剛性を有するとともに十分な変形能を有するホイールを製造することのできる、Si9.0〜11.8質量%、Mg0.20〜0.45質量%、Fe、Cu、Mn、ZnおよびTiの総量を0.1〜1.5質量%、残部Alならびに不可避不純物を含む組成のアルミ合金材料を用いてもよい。
さらに、上記のようにアルミニウム合金材料を使用して鋳造法により基体を形成する場合には、低圧鋳造法を用いることが望ましい。低圧鋳造法は、重力鋳造法や高圧鋳造法に比べ鋳巣などの内部欠陥や表面欠陥が少なく高品質な基体を効率的に形成することができるからである。低圧鋳造法では、金型のキャビティーに開口した湯口を通じて当該キャビティーに溶湯が供給されるが、基体のハブ部を形成するキャビティーとリム部を形成するキャビティーの双方に湯口が開口する、いわゆるマルチゲート方式で溶湯を供給する構成とすることが、溶湯凝固の指向性が安定するのでより望ましい。なお、以下の各工程の説明では、基体は、上記低圧鋳造法により形成されたアルミニウム合金製の基体であることを前提に説明する。また、基体形成工程が鋳造工程の場合には、必要に応じ鋳造後の基体に対し熱処理(例えば溶体化処理や時効処理など)を適宜な条件で行ってもよい。
上記基体形成工程(鋳造工程)の後、塗装工程の前に、必要に応じ前処理工程が行われる。前処理工程としては、例えば基体形成工程が鋳造工程の場合には、鋳造後の基体に残存する湯口部分や鋳バリの除去、鋳肌表面を浄化するためのショットブラストまたはリム部に付けられた余肉の粗加工などの前加工や、下記する塗装工程で形成される塗膜の密着性を向上させるため基体表面を清浄化して油分などを除去する脱脂処理や基体表面に化成膜を形成する化成処理などが含まれる。ここで、化成処理とは、具体的には、例えばクロム酸クロムやリン酸クロムを用いたクロメート処理またはTi酸やZr酸を用いたノンクロメート処理などを含んでいる。
上記基体形成工程、必要に応じ前処理工程を経た後、塗装工程が行われる。この塗装工程は、上記したようにカラー層形成工程、切削工程およびめっき調層形成工程の3つのステップを有している。
基体1の鋳肌表面1rにカラー層10aを形成するカラー層形成工程は、図7(b)に示すように、下層側から上層側に向け順に、プライマーコート10d、カラーコート10cおよびクリヤコート10eを順次塗膜する工程である。下地層であるプライマーコート10dを形成する塗料としては、ポリエステル系、アクリル系、エポキシ系またはウレタン系などの樹脂を含む溶剤系、水性系または粉体系の各種塗料を使用できる。この中でも、水酸基の配向による金属への密着性の良好なエポキシ系粉体塗料(例えばビスフェノールA型などのグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、環状オキシラン型)を用いることが好ましい。さらに、エポキシ系粉体塗料としては、価格及び基体との密着性の点から、特に、酸末端ポリエステル樹脂を硬化剤とするグルシジル基/カルボキシル基架橋型エポキシ樹脂からなり、固形分濃度が高い(40〜60質量%)エポキシ・ポリエステル系粉体塗料が好ましい。エポキシ・ポリエステル/ハイブリッド系粉体塗料を、150〜180℃の温度で、10〜30分間焼付けることにより、平滑でかつ強固な高分子架橋のプライマーコート10dが形成される。
上記プライマーコート10dの上に形成されるカラーコート10cを形成する塗料としては、ポリエステル、エポキシ、アクリル樹脂等を含む溶剤系塗料、水性系塗料または粉体系塗料いずれも使用することができる。カラーコート10cの色は、上記したように所望の意匠に適合した色となるようにすればよく、赤色、黄色、青色およびそれらの混色その他各種の顔料を含む塗料を選択することができる。なお、黒色を基調としたカラーコート10cを形成する溶剤系塗料は、有機顔料、無機顔料、炭素系顔料(例えば、カーボンブラック、グラファイト等)、メタリック粉末などの公知の顔料を適宜塗料に混合することにより得ることができる。さらに、カラーコート10cが溶剤系塗料からなる場合には、環境保護のために溶剤の割合が少ないハイソリッド系のものが好ましく、例えばアクリル樹脂と硬化剤、顔料などがvol%で全体の50%以上のものが好ましい。塗布された塗料は、その後焼き付けられ、カラーコート10cが形成される。
上記カラーコート1cの上に形成されるクリヤコート10eを形成する塗料としては、例えば、有機溶剤にポリマーまたはオリゴマーを溶解した溶剤系クリヤ塗料または粉体系クリヤ塗料を使用して形成することが可能である。溶剤系クリヤ塗料としては、透明性、光沢、耐候性等に優れたアクリル塗料、例えば、固形分濃度が40〜50質量%程度のアクリル溶剤塗料を用いることが好ましい。アクリル塗料としては、アクリル系モノマーとエポキシ基、カルボキシル基、水酸基等の官能性モノマーを溶液重合させて得られる熱硬化性アクリル樹脂が好適に使用される。特に、メラミンを架橋剤とした硬化性アクリル樹脂が使用され、樹脂固形分濃度が40〜50質量%程度のアクリル溶剤塗料を用いることが特に好ましい。クリヤコート10eは、塗布後、130〜180℃の温度で焼付けることにより形成される。
上記カラー層形成工程でカラー層10aが形成された後に、切削工程が行われる。切削工程は、図7(b)において符号Dで示される2点鎖線の直線に沿うように、切削加工により、デザイン部1gの天井部の表部(基体1の表面の一部である所定の領域)をカラー層10aとともに除去する工程である。この切削工程により、図7(c)に示すように、基体1に切削面であるデザイン面(一の表面)1oが形成されるとともに、カラー層10aが残存したデザイン面1oに連なるデザイン部1gの左側面(他の表面)1qが形成される。また、カラー層10aのデザイン面1oの方(一方)の端面も、デザイン面1oとほぼ同じ高さで段差の少ない切削面10iとなる。なお、本態様のカラー層10aは、クリヤコート10cを上層に設けカラーコート10cなどを覆っているので、上記したように切削加工時におけるカラーコート10cなどの割れや剥がれが抑制され、意匠性の高いホイールを具現できる。
上記切削工程の後、めっき調層形成工程が行われる。図7(d)に示すように、切削工程により形成されたデザイン面(一の表面)1oおよびデザイン部1gの左側面(他の表面)1q上のカラー層10aの各々上に同時にめっき調層を形成するめっき調層形成工程は、下層側から上層側に向け順に、透光性コート10g、めっき調コート10fおよびトップクリヤコート10hを順次塗膜する工程である。
まず、上記したようにめっき調コート10fの中におけるフレーク10jの配向性を高めるため、上記したクリヤコート10eと同様な方法で透光性コート10gを形成する。なお、透光性コート10gを透光性カラーコートとする場合には、所望の色を発現できる顔料を塗料の中に含有させればよい。
めっき調コート10fを形成する塗料としては、各種のメタリック塗料を使用することができるが、メタリック塗料に含まれるフレークは蒸着した金属薄帯を粉砕したものであること、具体的にはフレークの平均厚みが10Å以上500Å以下で、平均径が3μm以上50μm以下であることが好ましい。さらに、フレークのアスペクト比(フレークの幅/厚さ)は300超〜800であることが好ましく、400〜700であることが更に好ましい。さらに、フレークの配向性を高めるためには、アルミニウムフレークは飽和脂肪酸(例えばステアリン酸)などで被覆され、リーフィング化されたアルミニウムフレークをメタリック塗料が含むことが好ましい。加えて、アルミニウムをプラスチックフィルムの表面に蒸着後粉砕し、基材を溶解除去することにより作成された蒸着アルミニウムフレークをメタリック塗料が含むことも同様に好ましく、両者を併用するとなお好ましい。また、これらの他に、粉砕アルミニウムフレークをフレークとして添加することもできる。透光性コート1gの上に塗布されたメタリック塗料は、その後焼き付けられ、平行に配列したフレーク10jを含むめっき調コート10fが形成される。
めっき調コート10fの形成後に、ホイールの耐久性(耐候性、耐蝕性)を向上させるためトップクリヤコート10hがめっき調コート10fの上に形成される。トップクリヤコート10hは、上記したクリヤコート10eと同様な方法で形成することができる。
塗装工程が完了後、必要に応じ後処理工程が行われる。後処理工程としては、例えば塗装後の表面洗浄や検査などを挙げることができる。
以上説明した基体形成工程および塗装工程を含む本発明に係るホイールの製造方法の一例により、図7(d)に示すように、基体1のデザイン部1gの左側面(他の表面)1qに塗膜された、少なくともカラーコート10cを含むカラー層10aと、当該左側面1q上のカラー層10aの表面および基体1のデザイン面(一の表面)1oのいずれの表面の上にも共通するように塗膜された、少なくともめっき調コート10fを含むめっき調層10bとを有するホイールが形成される。これにより、デザイン面1oの上にはカラー層10aが無い第1の塗膜1kが、デザイン部1gの左側面1qの上にはカラー層10aが有る第2の塗膜1Lが配置されたホイールを得ることができる。
[実験例]
以下、本発明に係るホイールおよびその製造方法について、その具体的な実験例に基づき説明する。なお、本発明は、その実験例に限定されるものではない。
本発明に係る実験例1のホイールとして、JIS−AC4CHからなる基体を基体形成工程で低圧鋳造法により形成した。基体の表面を脱脂処理および化成処理後、下記する塗料を順次基体の表面に塗布しカラー層を形成した。その後、下記する切削条件でカラー層とともに天井部の上層を切削して除去する切削工程を行った。切削工程後、下記する塗料を順次塗布してめっき調層を形成し、実験例1のホイールを得た。
*カラー層
プライマーコート 塗料:日本ペイント製 ビリューシア粉体プライマー
カラーコート 塗料:日本ペイント製 ベースブラック
クリヤコート 塗料:日本ペイント製 AW2クリヤ
*切削条件
工具 オオクマ製LAW−FIIR
送りピッチ 0.3mm
*めっき調層
透光性コート 塗料:日本ペイント製 AC−1プライマー
めっき調コート 塗料:日本ペイント製 スォードシルバー
トップクリヤコート 塗料:日本ペイント製 AW2クリヤ
上記実験例1のホイールで確認されたデザイン面の輝度L1およびデザイン部の左側面の輝度L2の輝度差(L1−L2)および外観の結果について、表1に示す。なお、外観の結果は、従来例に係る実験例3および4との相対比較であり、複数の観察者の印象に基づく評価である。すなわち、複数の観察者のうち、実施例3との外観との比較で「優れている」と判断した観察者の割合を示している。
本発明に係る実験例2のホイールとして、めっき調層の透光性コートを形成するため日本ペイント製AW700クリヤーブルーを使用した点以外は、上記実験例1と同様な製造条件でホイールを形成した。実験例2のホイールの結果について、表1に示す。
従来例に係る実験例3のホイールとして、上記カラー層のうちプライマーコートおよびカラーコートを形成し、その後切削工程を行なわないで、上記めっき調層のうちめっき調コートおよびトップクリヤコートを形成したホイールを作製した。実験例3のホイールの結果について、表1に示す。
従来例に係る実験例4のホイールとして、実験例1と同様にカラー層を形成し、切削工程を行った後、上記と同様な透光性コートおよびトップクリヤコートを形成したホイールを作製した。このめっき調コートの無い実験例4のホイールの結果について、表1に示す。
Figure 2018052492
実験例1のホイールは、デザイン面の輝度L1およびデザイン部の左側面の輝度L2の輝度差(L1−L2)は実験例4とほぼ同レベルであるが、外観評価において高い評価を得ることができた。さらに、実験例2のホイールは、デザイン面に青みが加わるとともに、デザイン面の輝度L1およびデザイン部の左側面の輝度L2の輝度差(L1−L2)は20となり高い外観評価を得ることができた。
1 基体
1a リム部
1b リム本体部
1c 第1のフランジ部
1d 第2のフランジ部
1e ディスク部
1f ハブ部
1g デザイン部
1o デザイン面(一の表面)
1j 天井部
1k デザイン部の左側部
1L デザイン部の右側部
1p デザイン部の右側面(他の表面)
1q デザイン部の左側面(他の表面)
10 塗膜
10a カラー層
10b めっき調層
10c カラーコート
10d プライマーコート
10e クリヤコート
10f めっき調コート
10g 透光性コート
10h トップクリヤコート
10k 第1の塗膜
10L 第2の塗膜

Claims (2)

  1. 切削面である一の表面および前記一の表面に連なる他の表面が形成された基体と、前記一の表面および他の表面の上に形成された塗膜とを有する車両用ホイールであって、
    前記他の表面に塗膜された、少なくとも濃暗色のカラーコートを含むカラー層と、
    前記他の表面上のカラー層の表面および前記一の表面のいずれの表面の上にも共通するように塗膜された、少なくともめっき調コートを含むめっき調層とを有し、
    前記一の表面の側の輝度をL1、前記他の表面の側の輝度をL2としたとき、L1−L2が15以上である
    ことを特徴とする車両用ホイール。
  2. 前記めっき調層は、前記カラー層を介することなく前記一の表面上に直接形成されている請求項1に記載の車両用ホイール。
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