JP2018052448A - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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そして、たとえばこのように車両の限界性能の近くで走行が制御されている状況下で、実際には衝突を回避できない場合、運転手の操舵の下で衝突を回避していた場合と比べて、現在の自動車とは異なる状況下で衝突が生じてしまう可能性がある。
たとえば自動運転で急旋回している状況下では、シートに着座した乗員の上体は、シートの着座位置より内側へ移動している可能性がある。そして、このように衝突前にシートの着座位置より内側へ上体が移動していた状況下で衝突が生じると、乗員の上体は、シートの着座位置から大きく内側へ移動してしまうことになる。また、衝突によりシートに設けられたファーサイドエアバッグが展開し始めたとしても、衝突前から上体がシートの着座位置より内側へ移動していることに起因して、衝突の衝撃によりその移動位置から更に内側や前へ倒れてゆく上体を好適に支えることができない可能性がある。たとえば通常の着座位置に上体が位置していることを前提として展開するファーサイドエアバッグの場合、ファーサイドエアバッグが適切に展開し終わる前に上体がシートの内側へ倒れてしまう。
この他にもたとえば、衝突以外のことに気を取られていて衝突に備えていない乗員にあっては、衝突時に、その上体が通常想定される移動範囲を超えて大きく内側へ移動してしまう可能性がある。
よって、たとえば車両の自動運転中においてシートに着座した乗員の上体が衝突前にシートの着座位置から内倒するような場合であっても、この上体の内倒を第一部材18により抑えることができる。
しかも、たとえば急旋回中の衝突検出時には、第一部材18の上部から車幅方向外方へ向かって第二部材19が展開または可動する。よって、頭部が衝突により内側へ更に倒れようとしたとしても、頭部を内側から第二部材19に支えることができる。
図1の自動車1は、車体2を有する。車体2の乗員室3内には、乗員が着座する複数のシート4が配置される。右前のシート4の前には、ハンドル5、図示外のアクセルペダル、ブレーキペダルが配置される。シート4に着座した乗員がハンドル5などを操作することにより、自動車1は前進、停止、後退、右折、左折をする。
また、自動運転では、乗員などの保護のために併せて、たとえば、乗員室3に前向きに配置された前撮像センサ31、乗員室3に後向きに配置された後撮像センサ31、車体2の左右両側に配置された右撮像センサ31および左撮像センサ31を用い、これらのセンサの撮像画像に基づいて、走行する自動車1の周囲環境を観測し、他の自動車1などが接近する場合には衝突を回避する乗員保護制御を実施することが重要である。
しかしながら、たとえば自動運転中の自動車1では、運転手といった乗員の意思と無関係に自動車1の走行状態が制御される。この場合、たとえば衝突を自動的に回避する場合などにおいて、運転手が自動車1を操作する場合と比べて、車両の限界性能の近くで走行するように制御が実施される可能性がある。たとえば衝突直前に、衝突を回避するために、限界性能ぎりぎりの操舵制御を実施して、衝突を回避しようとする可能性がある。
たとえば図2(B)に示すように、自動運転で急旋回している状況下では、シート4に着座した乗員の上体は、シート4の着座位置より内側へ移動している可能性がある。そして、このように衝突前にシート4の着座位置より内側へ上体が移動していた状況下で衝突が生じると、乗員の上体は、シート4の着座位置から大きく内側へ移動してしまうことになる。
この他にもたとえば、衝突以外のことに気を取られていて衝突に備えていない乗員にあっては、衝突時に、その上体が通常想定される移動範囲を超えて大きく内側へ移動してしまう可能性がある。
このように自動車1といった車両では、たとえば自動運転中において現在の自動車1とは異なる乗員保護機能を持たせる必要性があると予想される。
操舵アクチュエータ33は、ハンドル5の替わりに、自動車1を操舵する。ブレーキアクチュエータ34は、ブレーキペダルの替わりに、自動車1を制動する。動力源35は、たとえばガソリンエンジン、電気モータである。自動運転制御部32は、たとえば目的地までの走行経路に従って、操舵アクチュエータ33、ブレーキアクチュエータ34、および動力源35を制御する。また、車外撮像センサ31の画像に基づいて接近物を特定し、接近物との衝突が予想される場合には、それを回避するように操舵アクチュエータ33、ブレーキアクチュエータ34、および動力源35を制御する。
そして、乗員保護制御部13は、たとえば自動車1の走行状態に応じて、乗員保護装置10の動作を制御する。具体的には、フロントエアバッグ装置14および内倒抑制装置17の作動を制御する。
また、乗員保護制御部13は、車外撮像センサ31の画像に基づいて、接近物の有無を判断し、さらに接近物との衝突可能性を判断する。
また、乗員保護制御部13は、Gセンサ12の検出加速度に基づいて、自動車1が急旋回しているか否かを判断する。
また、乗員保護制御部13は、乗員位置センサ11の検出値、または自動運転制御部32からの自動運転制御状況の情報に基づいて、乗員の上体が着座位置から車幅方向中央側である内へ大きく移動しているか否かを判断、又は推定する。なお、乗員保護制御部13は、図2(A)の通常想定される範囲を超えているか否かに基づいて、この移動を判断すればよい。
なお、第一部材18および第二部材19は、クッション性を有するウレタンなどの部材で形成しても、エアバッグで形成してもよい。
また、第一部材18および第二部材19は、この他にもたとえば、少なくとも、急旋回中の衝突検出時、車幅方向に所定値以上の過大な加速度が作用した最中に衝突を検出する時、または自動運転中の転舵制御中の衝突検出時に展開され又は可動されてよい。
よって、たとえば車両の自動運転中においてシートに着座した乗員の上体が衝突前にシートの着座位置から内倒するような場合であっても、この上体の内倒を第一部材18により抑えることができる。
しかも、たとえば急旋回中の衝突検出時には、第一部材18の上部から車幅方向外方へ向かって第二部材19が展開または可動する。よって、頭部が衝突により内側へ更に倒れようとしたとしても、頭部を内側から第二部材19に支えることができる。
2…車体
3…乗員室
4…シート
5…ハンドル
10…乗員保護装置
11…乗員位置センサ
12…Gセンサ
13…乗員保護制御部
14…フロントエアバッグ装置
15…フロントエアバッグ
16…インフレータ
17…内倒抑制装置
18…第一部材
19…第二部材
30…自動運転制御装置
31…撮像センサ
32…自動運転制御部
33…操舵アクチュエータ
34…ブレーキアクチュエータ
35…動力源
Claims (7)
- 車両内で乗員が着座するシートと、
前記シートについての前記車両の車幅方向の内側において、前記シートから内倒した乗員の上体を下から上へ押し上げるように展開または可動する第一部材と、
前記第一部材の上部から前記車幅方向の外方へ向かって展開または可動する第二部材と、
前記第一部材および前記第二部材の展開または可動を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
少なくとも、急旋回中の衝突予測時、前記車幅方向に所定値以上の過大な加速度が作用した最中に衝突を検出または予測する時、または自動運転中の転舵制御中の衝突想定または検出時に、前記第一部材および前記第二部材を展開または可動させる、
車両の乗員保護装置。 - 前記制御部は、
前記第一部材を展開または可動させ、その後に前記第二部材を展開または可動させる、
請求項1記載の車両の乗員保護装置。 - 前記制御部は、
少なくとも、急旋回する時、前記車幅方向に所定値以上の過大な加速度が作用する時、または自動運転中の転舵制御時に、前記第一部材を展開または可動させ、
さらに衝突を検出した時に、前記第二部材を展開または可動させる、
請求項1または2記載の車両の乗員保護装置。 - 前記第一部材は、前記シートに着座した乗員の肩部の高さまで展開または可動して該肩部を支持し、
前記第二部材は、前記シートに着座した乗員の頭部横へ展開または可動して前記頭部を支持する、
請求項1から3のいずれか一項記載の車両の乗員保護装置。 - 前記制御部は、
前記車両についての運転支援を含む自動走行制御中の衝突または急旋回中の衝突の可能性がある場合には、前記第一部材および前記第二部材を展開または可動させ、
それ以外の場合には、前記第一部材および前記第二部材を展開または可動させない、
請求項1から4のいずれか一項記載の車両の乗員保護装置。 - 前記シートに着座した乗員の上体の位置を検出する検出部を有し、
前記制御部は、
前記車両についての運転支援を含む自動走行制御中または急旋回中における前記検出部の検出に基づいて上体の位置を判断し、
前記上体が着座位置より車幅方向の内側へ移動していた場合には、前記第一部材および前記第二部材を展開または可動させ、
前記上体が前記着座位置にある場合には、前記第一部材および前記第二部材を展開または可動させない、
請求項5記載の車両の乗員保護装置。 - 前記制御部は、
前記車両についての運転支援を含む自動走行制御による操舵制御中の衝突の可能性がある場合には、前記第一部材および前記第二部材を展開または可動させ、
それ以外の場合には、前記第一部材および前記第二部材を展開または可動させない、
請求項5または6記載の車両の乗員保護装置。
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