この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
以下の説明においては、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両右側を示し、矢印Lは車両左側を示し、矢印Uは車両上方を示す。
図1は本実施例の車両用照明装置を搭載した車両の斜視図、図2(a)はサイドスプラッシュガードの下面部の前側開口部への本実施例の車両用照明装置の取り付け状態を示す外観図、図2(b)はサイドスプラッシュガードの下面部の後側開口部への本実施例の車両用照明装置の取り付け状態を示す外観図、図2(c)は前側開口部よりも若干前側部位におけるサイドシルおよびその周辺の要部の前後方向の直交断面である。
但し、図2(a)、(b)は共にサイドスプラッシュガードをサイドシルアウタパネルから取り外して離間した状態で示し、図2(c)は車両用照明装置を取り外した状態を示している。また、本実施例の車両用照明装置は車両の左右両サイドの下部に取り付けられているが同じ構成であるため、車両右サイド側に基づいて説明する。
車両の左右両サイドには、図1、図2(a)、(b)、(c)に示すように、乗降用開口部としてのサイドドア開口110が構成され、該サイドドア開口110の下部には、前後方向に延びるサイドシル100が設けられている。このサイドシル100は、図2(c)に示すように、断面ハット状のインナパネル100aおよびアウタパネル100bを有し、これらインナパネル100aとアウタパネル100bによって車両前後方向に延びる閉断面構造を構成している。さらにサイドシル100は、内部に閉断面空間100Aを有し、該閉断面空間100Aにおいてインナパネル100aおよびアウタパネル100bの間にレインフォースメント100cを有している。これらサイドシル100の各パネル100a,100b,100cはいずれも鋼板製である。
サイドシル100のアウタパネル100bの下部には、サイドスプラッシュガード101(エアロパーツともいう。)が下側から取り付けられている。このサイドスプラッシュガード101は、空気抵抗低減、外観意匠性向上、車体サイドの下部の保護等のため、サイドドア開口110の下辺110aに沿って取り付けられる前後方向に延びる樹脂製の部材である。
サイドスプラッシュガード101は、サイドシル100のアウタパネル100bに取り付けられ、その状態で該サイドスプラッシュガード101の下面部101aとサイドシル100のアウタパネル100bの下面部100dとの間に前後方向に延びる実質的な閉断面(閉断面空間101A)が構成されるとともに、該サイドスプラッシュガード101の下面部101aが路面と対向する。
なお、実質的な閉断面とは、完全に閉塞された内部空間を有する断面だけでなく、工具等を差し込むことができない僅かな隙間を有する断面も含む趣旨である。
図2(a)、(b)に示すように、サイドスプラッシュガード101の下面部101aの前後各側の位置には、略上下方向に貫通形成した開口部114(114f,114r)が設けられている。詳しくは、図2(a)に示すように、サイドドア開口110におけるセンタピラー113(図2(b)参照)よりも前側に構成されたフロントサイド開口111の下辺111aの後側位置には、前側開口部114fが設けられるとともに、図2(b)に示すように、サイドドア開口110におけるセンタピラー113よりも後側に構成されたリヤサイド開口112の下辺112aの前後方向中間位置には、後側開口部114rが設けられている。
サイドスプラッシュガード101の下面部101aの前側開口部114fの縁部と後側開口部114rの縁部には、夫々の開口部114(114f,114r)を塞ぐようにして本実施形態の車両用照明装置1(1f,1r)が取外し可能に取り付けられている。
前側の車両用照明装置1fは、フロントサイド開口111の下部周辺の路面を照らすものであり、フロントサイド開口111から乗降する乗員の足元を照らすものである。
後側の車両用照明装置1rは、リヤサイド開口112の下部周辺の路面を照らすものであり、リヤサイド開口112から乗降する乗員の足元を照らすものである。
また図2(a)、(b)に示すように、サイドシル100のアウタパネル100bの下面部100dには、前後方向に沿って所定間隔を隔てて貫通形成された複数の開口部103…が配設されている。
これら複数の開口部103は車体の電着塗装用の開口部である。すなわち、車体を所定の電着塗装液に浸すことによって開口部103を介してサイドシル100の閉断面空間100Aに電着塗装液を流入さることができる。なお、この電着塗装処理後に加熱乾燥処理を行うことで防錆処理を施すことができる。
また本実施例では、前側開口部114fは、サイドシル100のアウタパネル100bの下面部100dに前後方向に沿って複数配設けた開口部103…のうち、例えば前から4つめの開口部103に対応する位置に形成されており(図2(a)参照)、後側開口部114rは例えば後から5つめの開口部103に対応する位置に形成されている(図2(b)参照)。
但し、サイドスプラッシュガード101の下面部101aの前側開口部114f、後側開口部114rは、上述した本実施例のように共にサイドシル100側に形成した所定の開口部103に対応する位置に形成された実施形態に限らず、サイドスプラッシュガード101の下面部101aにおける、サイドシル100側の開口部103に対してずれた位置に形成された構成を採用してもよい。
車両用照明装置1には、電力供給用や、各種制御信号の送受信用の照明装置側ハーネス29(一対の電線)(図3参照)が延出され、この照明装置側ハーネス29の延出側の先端(車両用照明装置1と反対側の端部)は、図示省略するが、車体内部の電源回路や車内ランプ制御用回路等の適宜の車載電気部品から配索された車体側ハーネス90(図2(c)参照)の端部と接続コネクタを介して接続されている。
詳しくは、図2(c)に示すように、サイドシル100には、上述したサイドシル100のアウタパネル100bの下面部100dに複数形成された開口部103以外の部位にも電着塗装用や作業用の開口部102が適宜、設けられている。これにより、車両床下において車載電気部品からサイドシル100側へ配索された車体側ハーネス90は、サイドシル100の各パネル100a,100b,100cに形成された開口部102,103を介してこれらパネル100a,100b,100cを横切るように配索されるとともにサイドシル100の閉断面空間100Aやサイドスプラッシュガード101の閉断面空間101Aに引き込まれ、図示省略するが該閉断面空間(100A又は101A)において不図示の接続コネクタを介して照明装置側ハーネス29と接続されている。
そして車両用照明装置1は、本実施例においてはサイドドア105(図1参照)によってサイドドア開口110が閉じられてから所定時間後に消灯するなど、基本的に室内ランプ用の照明のON(点灯)/OFF(消灯)動作に連動する制御を採用している。ただし、車両用照明装置1は、このような制御方法に限定されず、例えば、運転席側に設けたコントロールパネル等に設けたスイッチ等の操作により乗員が手動でON/OFF等の設定が可能な構成としてもよい。
以下、車両用照明装置1の構成について図3〜図7を参照しながら説明する。
図3(a)は乗降用開口部下辺の開口縁部に取り付けた状態の実施例の車両用照明装置を斜め上方から見た外観図、図3(b)は乗降用開口部下辺の開口縁部に取り付けた状態の本実施例の車両用照明装置を斜め下方から見た外観図、図4は本実施例の車両用照明装置の分解斜視図、図5(a)は本実施例の車両用照明装置の平面図、図5(b)は本実施例の車両用照明装置の底面図、図6(a)は図5(a)のA−A線矢視図、図6(b)は図5(a)のB−B線の要部の断面図、図6(c)は図5(a)のC−C線の要部の断面図、図7は図6(a)のD−D線の要部の断面図を示す。但し図5(a)はパッキンの図示を省略している。
図3(a)、(b)、図4に示すように、車両用照明装置1は、光源を有する灯体2と、該灯体2と開口部114の縁部114a(以下、「開口縁部114a」という)との間に介在するスリーブ3と、パッキン4を備えている。
スリーブ3は、その径内側に、該スリーブ3に対して灯体2が、中心軸X回りに相対回転可能に嵌め込まれる灯体嵌込み空間Zを有した平面視略円環状に形成されている。
ここで、中心軸Xは、灯体2の平面視での中心部においてスリーブ3への灯体2の嵌込み方向Xu(ここではサイドスプラッシュガード101の下面部101aに直交する方向)に延びる軸であり、スリーブ3に対して灯体2を相対回転させたとき、灯体2が偏心しない回転軸である。なお、本実施例においては、灯体2を灯体嵌込み空間Zに嵌め込んだ状態(以下、「灯体嵌め込み状態」という。)においてスリーブ3と灯体2とは共に平面視での中心部が一致するように同心状に配置されるものとする。また以下の説明において、車両用照明装置1の上方向は中心軸Xの上方向、すなわち嵌込み方向Xuを示し、車両用照明装置1の下方向は中心軸Xの下方向、すなわち抜け方向Xdを示すものとする。
図3(a)、図4、図5(a)に示すように、スリーブ3は、上下方向に偏平な円筒状のベース部31が形成され、その上面の径内縁部には、灯体嵌込み空間Zに嵌め込んだ灯体2をスリーブ3からの抜け方向Xdにおいて係合する第1係合部32と、サイドスプラッシュガード101の車体側部材に貫通形成した開口縁部114aに係合する第2係合部33と、灯体嵌め込み状態においてガイドするガイド突片34とが上方へ向けて突設されている。
図4、図5(a)に示すように、第1係合部32と第2係合部33とは、ベース部31の周方向において交互に且つ3つずつ等分配に配設されている。換言すると、ベース部31の周方向において3つの第1係合部32が等分配に配設され、ベース部31の周方向において隣り合う一対の第1係合部32,32の中間位置に第2係合部33が1つずつ配設されている。これにより、スリーブ3は、第1係合部32と第2係合部33とが、中心軸Xに対して径方向の各側で対面するように配設される。
図6(c)に示すように、第1係合部32は、灯体嵌め込み状態において、灯体2がスリーブ3の周方向における後述する第1回転位置P1(図5(a)(b)参照)にあるとき、灯体2をスリーブ3からの抜け方向Xdにおいて係合可能に径内側へ突出形成している。
具体的には、図4、図6(c)に示すように、第1係合部32は、その上部と下部との中間部分が薄肉に形成されるとともに該中間部分よりも下部が上方程径内側(灯体2側)に迫り出して形成されている。これにより、第1係合部32の中間部分の径外側面には、径内側にくびれたくびれ部32aが形成され、第1係合部32は、主に径外側へ撓み変形可能に径内側へ突出形成されている。また、第1係合部32の上部は、上方に向けて突出形成されており、その上縁面32b及び径内面32cが平坦状に形成されている(図6(c)参照)。
図4、図5(a)、図6(a)、(c)に示すように、第2係合部33は、第1係合部32およびガイド突片34よりも高背に上方に突出形成しており、灯体嵌め込み状態において、その上端が灯体2のラバーブーツ22の上面と略面一となる高さまで上方に突出形成している(図6(a)、(c)参照)。
但し、第2係合部33は、上述したように、灯体嵌め込み状態において、その上端が灯体2のラバーブーツ22の上面と略面一となるまで上方に突出形成する実施形態に限らず、ラバーブーツ22の上面よりもさらに上方に突出形成する構成を採用してもよい。この構成を採用することで、後述するように第2係合部33の上部(後記の迫出し部33b(図6(c)参照))をラバーブーツ22の外周壁部(後記の規制部22a)に当接させることに加えて、第2係合部33におけるラバーブーツ22の上面よりも上方に突出形成した上方突出部分によってラバーブーツ22の上面の外周縁部を上方から係合することが可能となり、灯体嵌め込み状態において、灯体2と、灯体嵌め込み状態におけるスリーブ3との一体性をより高めることができる。
さらに第2係合部33は、径内方向へ撓み変形可能に形成されており、また、該第2係合部33の上部の径外側には、径外側へ突出し、開口縁部114aに係合する係合爪33aが形成されている。一方、第2係合部33の上部の径内側には、灯体嵌め込み状態において灯体2側に設けた後述する規制部22aと対面するまで径内側へ迫り出した迫出し部33bが形成されている。換言すると、この第2係合部33の上部に形成した迫出し部33bは、灯体嵌め込み状態において灯体2側に形成した後述する被係合突起25(図6(c)参照)の上方においてオーバーハングするように、すなわち該被係合突起25と径方向においてオーバーラップするように径内側に迫り出して形成されている(図6(c)、図8(d)参照)。なお、本実施例において第2係合部33は、灯体嵌め込み状態において灯体2側から付勢力を受けずに撓み変形していない立設状態となる。
図4、図5(a)、図6(b)に示すように、ガイド突片34は、ベース部31の周方向において隣り合う第1係合部32と第2係合部33との中間位置に1つずつ配設されており(図5(a)参照)、合計6つのガイド突片34がベース部31の周方向に等分配に配設されている。なお、第1係合部32、第2係合部33およびガイド突片34の夫々の径内面はベース部31の内周面と面一となるように形成されている(図4参照)。ガイド突片34は、灯体2側に設けた後述する被係合突起25の頂部25aと径外側で対向する高さ、すなわち被係合突起25の下縁辺よりも上方に至るまで第1係合部32よりも上方に突出形成されるとともに、略ベース部31に対して垂直上方に略直線状に突出形成されており(図4、図6(b)参照)、灯体2を灯体嵌込み空間Zに嵌め込む際に該灯体2がスリーブ3と中心軸Xにて同心状になるようにガイドするセンタリング機能を有している。
図4、図5(a)、(b)、図6(a)、(b)、(c)に示すように、灯体2は、該灯体2の下部の外面を構成するレンズ21と、上部に備えたラバーブーツ22と、レンズ21とラバーブーツ22とで構成される内部空間23A(図6(b)、(c)参照)に配設される光源ユニットとしてのLED基盤23とを備えている。これらレンズ21とラバーブーツ22とLED基盤23は、中心軸Xに同心状に組み付けられている(図6(b)参照)。
図4、図6(b)、(c)に示すように、レンズ21は、無色透明な樹脂製であり、全体を略有底円筒状に形成するとともに、その下端部には径外方向へ周方向全体が鍔状に突出したフランジ部21hが形成されている。
図3(a)、図4に示すように、レンズ21の外周壁部の上部には、灯体嵌め込み状態において、スリーブ3側の第1係合部32に係合するように該上部よりも下側に形成された後述する凹状外周面27(図6(c)参照)に対して径外方向へ突出する被係合突起25が全周に形成されている。
図6(b)に示すように、被係合突起25は、灯体嵌め込み状態においてその周方向におけるスリーブ3側のガイド突片34との対向部位が、該ガイド突片34に略接触する或いは若干の隙間を有するまで径外側へ突出形成されている。
図4、図6(b)に示すように、被係合突起25は、その下部が上部よりも径外側に突出した頂部25aを有して形成され、該頂部25aよりも上側から下部程径外側へ向けて頂部25aに達するまで徐々に突出している。これにより被係合突起25の径外面には、上縁から下部にかけて下方程径外側へ向けて傾斜した径外方向案内面25bが形成されている。
この径外方向案内面25bは、灯体嵌込み空間Zへの灯体2の下側からの嵌め込みに伴って第1係合部32を径外方向へ付勢しながら案内する面であり、被係合突起25の上縁から下部程径外側へ向けて徐々に傾斜した傾斜面であれば平面、曲面或いは、これら面を連続的に組み合わせて形成することができる。
図6(c)に示すように、被係合突起25の下辺には、灯体嵌め込み状態において、灯体2がスリーブ3の周方向における後述する第1回転位置P1にあるとき、第1係合部32が下側から係合する段部25cが設けられている。
また、図3、図4、図6(b)、(c)に示すように、レンズ21の外周壁部の上下方向中間部は、レンズ21の外周壁部の上下各部よりも径内側へ凹んだ凹状外周面27が形成されている。
上記の段部25cは、レンズ21の外周壁部における被係合突起25よりも下側に形成された凹状外周面27に対して径外側へ段状に立ち上がる面である。
一方、レンズ21の外周壁部の下部26は、凹状外周面27よりも径外側へ突出し、該下部26の下側部分には上述したフランジ部21hが形成されている(図6(b)、(c)参照)。このフランジ部21hを含めたレンズ21の外周壁部の下部26は、灯体嵌め込み状態においてスリーブ3のベース部31の径内縁下部に当接する。
上述により、レンズ21の外周壁部の上部に設けた上記被係合突起25と凹状外周面27との間には、上記段部25c(上側段部25c)が形成されるとともに、レンズ21の外周壁部の下部26と凹状外周面27との間には、図4、図6(b)、(c)に示すように、レンズ21の外周壁部の凹状外周面27に対して径外側へ立ち上がる段部26a(下側段部26a)とが形成されている。
そして図4、図7に示すように、レンズ21の外周壁部の上下方向の中間部には、凹状外周面27と上側段部25cと下側段部26aとによって画成される径外壁側凹部20を有している。
さらに図4、図6(b)、図7に示すように、レンズ21の外周壁部の上下方向の中間部には、凹状外周面27に対して拡径、すなわち径外方向へ隆起した拡径部28が形成されている。この拡径部28は、灯体嵌め込み状態において、スリーブ3の周方向において第1係合部32と一致したとき、後述する図10(b)、図11(a)に示すように、径内側から第1係合部32に当接することで該第1係合部32を径外方向に撓み変形させるものである。
拡径部28は、被係合突起25の頂部25aと略面一になるまで径外側へ隆起している(図4、図6(b)参照)。
なお、拡径部28は、本実施形態においては被係合突起25の頂部25aと略面一になるまで拡径形成しているが、これに限らず、第1係合部32と被係合突起25との係合が解除されるまで第1係合部32を径外方向に撓み変形可能な径まで拡径できる範囲内であれば、例えば、被係合突起25の頂部25aよりも径方向に低く形成してもよい。
拡径部28は、レンズ21の外周壁部の上下方向の中間部おいて周方向に3等分配するように配設されている(図7参照)。
すなわち、拡径部28は、レンズ21の外周壁部の上下方向の中間部に形成された径外壁側凹部20を周方向に分断するように形成されており、径外壁側凹部20の上側段部25cから下側段部26aにかけて形成されている(図6(b)参照)。これにより、レンズ21の外周壁部の上下方向の中間部の周方向において、拡径部28に相当する部位には、凹状外周面27や上下各段部25cが形成されていない。
さらに図7に示すように、拡径部28の周方向の一方の端辺には、レンズ21周方向において凹状外周面27から徐々に径外側に隆起した傾斜状端辺28aが形成されているとともに、拡径部28の周方向の他方の端辺には、凹状外周面27に対して径外側に段状に立ち上がるように隆起した段状端辺28bが形成されている。
本実施例では、図7に示すように、図6(a)中のD−D線矢視で(すなわち底面側から見て)拡径部28の時計回り(Df)側の端辺(正面視した拡径部28の右端辺)が傾斜状端辺28aで形成されているとともに、D−D線矢視で拡径部28の反時計回り(Dr)側の端辺(正面視した拡径部28の左端辺)が段状端辺28bで形成されている。
灯体嵌め込み状態において、灯体2をスリーブ3に対して上記時計回り(Df)に回転させると、スリーブ3の周方向において拡径部28が第1係合部32とずれた位置から一致する際に、拡径部28の傾斜状端辺28aによって第1係合部32は径外方向に徐々に撓み変形するように付勢される。そしてスリーブ3の周方向において拡径部28が第1係合部32と一致するとともに、さらに上記時計回り(Df)に回転すると、第1係合部32が拡径部28を径方向に乗り越えることによって径外方向に撓み変形しない元の姿勢に復帰しつつ、灯体2はスリーブ3に対して回転させることができる。
一方、灯体嵌め込み状態において、灯体2をスリーブ3に対して上記反時計回り(Dr)に回転させると、スリーブ3の周方向において拡径部28が第1係合部32とずれた位置から一致する際に、拡径部28の段状端辺28bが第1係合部32の上記時計回り側の端辺に当接する。これにより、灯体2がスリーブ3に対して上記反時計回りの回転である場合には、第1係合部32が拡径部28を径方向において乗り越えることができず、それ以上灯体2が反時計回り(Dr)に回転することが規制される。
上述したように、拡径部28の周方向の一方側を傾斜状端辺28aとし、拡径部28の周方向の他方側を段状端辺28bとすることで、灯体2がスリーブ3の周方向における一方向の回動方向のみによって第1係合部32の拡径を許容するため、不用意に灯体2がスリーブ3に対して回動して外れることを規制し、安定した取り付け状態を維持することができる。
ここで、灯体嵌め込み状態において灯体2側の凹状外周面27がスリーブ3側の第1係合部32と周方向において一致する位置(姿勢)にあるとき、該位置を第1回転位置P1(第1回転姿勢)に設定するとともに、該灯体2側の拡径部28がスリーブ3側の第1係合部32と周方向において一致する位置(姿勢)にあるとき、該位置を第2回転位置P2(第2回転姿勢)に設定する。なお、図7は、灯体2が第1回転位置P1にあるときの一例を示し、図10(b)は、灯体2が第2回転位置P2にあるときの一例を示す。
要するに、被係合突起25の上側段部25cは、灯体2が、スリーブ3の周方向における第1回転位置P1にあるとき、灯体2側の第1係合部32と対向する部位に設けられたものであり、被係合突起25と第1係合部32とが係合する(図6(c)参照)。
一方、拡径部28は、灯体2が、スリーブ3の周方向における第2回転位置P2にあるとき、灯体2側の第1係合部32と対向する部位に設けられたものであり、第1係合部32が径外方向に撓み変形するように付勢して該第1係合部32と被係合突起25との係合を解除する(図10(b)、図11(a)参照)。
続いてレンズ21の下部構成を中心に説明する。図3(b)、図5(b)、図6(b)、(c)に示すように、レンズ21の下面であって、フランジ部21hよりも径内側には、径外側から中心軸Xへ向けて徐々に下方へ膨出したドーム状のレンズ面21fが形成されている。さらにレンズ21の下部には、レンズ面21fから上方へ凹んだ複数の凹部21gが形成されている(図3(b)、図6(c)参照)。この凹部21gは、ラジオペンチ等の工具200の先端突状部200a(図9(a)参照)を差し込んで係合可能な底面視略正円とした穴形状で形成されており、それぞれ同じ大きさ(深さおよび径)で形成されている。
さらに本実施例では図5(b)に示すように、レンズ面21fには底面視で中心軸Xを中心とする略正円形状に形成されているため、レンズ面21fは実質的に中心軸Xに対して点対称の形状としている。
さらに複数の凹部21gについても、レンズ面21fの中心軸Xに対して点対称に配設されている。本実施例においては、レンズ21下部に6つの凹部21gがレンズ面21fの周方向に等分配されており、レンズ21の下部において中心軸Xに対して点対称に配設されている。また、これら6つの凹部21gは、底面視でレンズ21の面における、後述するLED23aよりも径外側位置に配設されている(図6(c)参照)。
また図5(a)、図6(b)に示すように、レンズ21の上部の径方向の中心部には下方へ向けて凹んだ凹状部21aが形成され、該凹状部21aの底面21aaには、基盤配置凹状部21bと該基盤配置凹状部21bの底面中央部からさらに凹んだ光源配置凹状部21cとで形成されている。
基盤配置凹状部21bは、凹状部21aの底面21aaの中央部において、平面視で略正方形状のLED基盤23に対応して平面視で略正方形状に形成されるとともに(図5(a)参照)、LED基盤23の厚みに対応する深さで形成されている(図6(b)、図11(a)参照)。すなわち、基盤配置凹状部21bの底面は、凹状部21aの底面21aaからさらにLED基盤23の厚み相当分だけ一段深く形成され、LED基盤23の受け座21dとして形成されている(図5(a)、図11(a)参照)。
光源配置凹状部21cは、平面視で基盤配置凹状部21bに略内接する径を有する正円形状に形成され(図5(a)参照)、基盤配置凹状部21bの底面(受け座21d)からLED23aを配置可能な深さでさらに一段深く形成されている(図6(b)、図11(a)参照)。
これらレンズ21に形成された凹状部21a、基盤配置凹状部21bおよび光源配置凹状部21cは中心軸Xを中心とする同心状に形成されている(図5(a)参照)。
そして図6(b)、(c)に示すように、LED基盤23は、光源としてのLED23aが平面視で中心位置に搭載されており、このLED23aを搭載した面が下面になるように受け座21d(図5(a)参照)に支持された状態で基盤配置凹状部21bに配置されている。このときLED23aは、その平面視中心部が底面視で中心軸X上に位置するように光源配置凹状部21cに配置されている(図6(b)参照)。
さらに図6(b)に示すように、凹状部21aに引き込んだ照明装置側ハーネス29を構成する一対の電線における先端側の絶縁被覆を剥がした心線先端部29aを、LED基盤23上の所定の箇所に該心線先端部29aが下面から突き出すように半田を介して接続し、これにより照明装置側ハーネス29とLED23aとが電気的に接続されている。
このように、基盤配置凹状部21bにLED基盤23を配置するとともに光源配置凹状部21cにLED23aを配置した状態で内部空間23Aにおける凹状部21aの底面側相当部分に、絶縁性を有する充填材24を充填し、該充填材24によってLED基盤23を照明装置側ハーネス29の先端側ごと上方から封止している。
一方、レンズ21の上部に備えたラバーブーツ22は、図3(a)、図4に示すように、ゴム等のラバー部材(弾性部材)によってレンズ21よりも低背であるとともに上面が平坦な略円錐台形状で形成され、図6(a)、(b)に示すように、レンズ21の上部の外周縁部に嵌合するとともに、該嵌合部分を不図示の接着剤を介して接着している。これによりラバーブーツ22とレンズ21とは、中心軸Xを中心とする同心状としてレンズ21と一体化している。このラバーブーツ22によってレンズ21の凹状部21aの上方開口は閉塞され、内部空間23Aが構成される。
また図3(a)、図4、図5(a)、図6(a)、(c)に示すように、このラバーブーツ22の外周壁部は、灯体嵌め込み状態においてスリーブ3側の第2係合部33が径内方向へ撓み変形することを規制する規制部22aが形成されている。詳しくは、規制部22aは、灯体嵌め込み状態において第2係合部33の迫出し部33bに径内側から対面しており、径内方向へ撓み変形した第2係合部33の迫出し部33bに当接して該第2係合部33が径内方向へ撓み変形しないように規制するものである。
図4、図5(a)、図6(c)に示すように、ラバーブーツ22の周方向の所定部位には、径方向の中心部周辺から径外側へ上面に対して凹んだ凹状部22bが形成されている。この凹状部22bは、径外側に向けて開放するよう径方向外端まで切り欠いた切欠き状に形成されている。そして、一対の電線から成る照明装置側ハーネス29がラバーブーツ22の凹状部22bの径内側の縦壁部22d(図6(c)参照)から灯体2の径外側に延出されている。なお、照明装置側ハーネス29のラバーブーツ22からの延出部分は、凹状部22b内を通過するように配索された状態で凹状部22b内に充填された接着剤22cによって封止(固定)されている。
また図3(a)、図5(a)に示すように、本実施例では、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2(図10(a)参照)になったとき、灯体2がそれ以上回転しないように位置決めする位置決め手段51(回転規制)を設けている。
具体的に、この位置決め手段51は、照明装置側ハーネス29の側方部位51aと第2係合部33の上部の側方部位51bとで形成しており、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2になったとき、これら51a,51bが互いに当接し合うことで、それ以上、灯体2がスリーブ3に対して相対回転しないように位置決めするものである。
さらに本実施例では、図3(b)、図5(b)に示すように、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2(図9(b)参照)になったことを作業者に目視により案内する案内手段52を設けている。
具体的に、この案内手段52は、1つの灯体側案内ライン52aと3つのスリーブ側案内ライン52bとで形成されている。
灯体側案内ライン52aは、灯体2のレンズ面21fの凹部21gよりも径外側であって灯体2の周方向に3等分配に配設された3つの拡径部28のうち、任意の1つの拡径部28に対応する部位に、塗料等によって付された径方向に延びる直線状のラインである。
スリーブ側案内ライン52bは、スリーブ3のベース部31の下面であって、スリーブ3の周方向に3等分配に配設された3つの第1係合部32の夫々に対応する部位に、塗料等によって付された径方向に延びる直線状のラインである。
この案内手段52は、灯体側案内ライン52aと、3つのスリーブ側案内ライン52bのうちの任意の1つの灯体側案内ライン52aとが、灯体2がスリーブ3に対して第1回転位置P1にあるとき、灯体2の周方向に一致しないのに対して、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2になったとき、灯体2の周方向に一致する、すなわちスリーブ側案内ライン52bと任意の1つの灯体側案内ライン52aとが径方向に一直線上に延びることで、作業者に灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2になったことを案内表示するものである。
続いて上述した本実施形態の車両用照明装置1をサイドスプラッシュガード101の下面部101aの開口縁部114aに取り付ける手順について図8を参照しながら説明する。なお、取付け前の車両用照明装置1は灯体2とスリーブ3とパッキン4とが互いに分離した状態であるものとする。
図8(a)、(b)、(c)、(d)は本実施例の車両用照明装置の車体の開口縁部への取付手順の説明図である。但し、図8(a)は図5(a)のC−C線上側片断面に相当する断面図、図8(b)は図5(a)のC−C線下側片断面に相当する断面図、図8(c)は中心軸に対して紙面左側が図5(a)のB−B線左側片断面に相当する断面図であり、中心軸に対して紙面右側が図5(a)のC−C線下側片断面に相当する断面図であり、図8(d)は図5(a)のC−C線矢視断面に相当する断面図である。
まず図示省略するが、照明装置側ハーネス29をスリーブ3の平面視内側に貫通形成された灯体嵌込み空間Z(図4参照)と、パッキン4の径内側に形成された貫通孔4a(同図参照)とにこの順で挿通させておく。そして、車体側から延びる車体側ハーネス90の端部をサイドスプラッシュガード101の開口部114を通じて該サイドスプラッシュガード101の閉断面空間101Aの外側(下方)へ少し引き出す等して、該車体側ハーネス90の端部と灯体2から延びる照明装置側ハーネス29の端部とを接続コネクタを介して接続する。
その後、パッキン4とスリーブ3とをこの順で開口部114に下側から臨ませ、パッキン4を開口縁部114aの下面に配置した状態とする。スリーブ3は、開口部114に下側から臨ませた状態において第2係合部33が開口縁部114aよりも径外側へ突出しているため、該第2係合部33を開口縁部114aに当接させる等して径内側に撓ませることにより(図8(a)の仮想線で示した第2係合部33参照)、ベース部31がパッキン4を介して開口縁部114aの下面に近接または当接した状態となるまで嵌め込む。
これにより図8(a)に示すように、スリーブ3は、第2係合部33の係合爪33aが開口縁部114aに上側から係合し、ベース部31と第2係合部33によって開口縁部114aとパッキン4とを上下両側から挟み込むようにして開口縁部114aに取り付けられる。
続いて図8(b)に示すように、灯体2を、開口縁部114aに、すなわちスリーブ3の径内側に形成された灯体嵌込み空間Zに、下側から嵌め込んでいく。なお、図示省略するがこのとき、灯体2を開口部114に下側から臨ませながら照明装置側ハーネス29と車体側ハーネス90とを図外の接続コネクタを含めて開口部114を介して閉断面空間101Aへ収容していく。
灯体2を灯体嵌込み空間Zに嵌め込み時に、図8(c)に示すように、該灯体2側の被係合突起25等の外周壁部がスリーブ3側のガイド突片34に当接することによって、スリーブ3と中心軸Xを中心とする同心状になるようにガイドすることができる。
また、スリーブ3側の第1係合部32は、その上部が径内側(灯体2側)に迫り出しているため(図8(b)参照)、灯体2を灯体嵌込み空間Zへ嵌め込む際に、灯体2側の全周に形成した被係合突起25に有する径外方向案内面25bが当接する。それに伴って図8(c)に示すように、灯体2の灯体嵌込み空間Zへのさらなる嵌め込みによって、第1係合部32は、径外方向案内面25bに当接しながら径外方向へ付勢され、径外方向へ撓むことで灯体2の嵌め込みを許容する。
さらに灯体2を灯体嵌込み空間Zへ嵌め込むと、第1係合部32は、被係合突起25の径外方向案内面25bによる径外方向への付勢が解除され、元の形状に復元するに伴って径内側へ変形して図7、図8(d)に示すように、灯体2側の径外壁側凹部20内に入り込むとともに、その上縁面32bが上側段部25cに係合する。
詳しくは、図8(d)に示すように第1係合部32は、灯体嵌め込み状態において、その上縁面32bが被係合突起25の上側段部25cに圧接状態(つまり第1係合部32が突張り状態)で係合される。
なお、本実施例では、このような第1係合部32と被係合突起25(の上側段部25c)とが係合状態において、第1係合部32の上部の径内面32cが凹状外周面27に当接した状態となるが、当接してもしなくてもよい。
以上により、灯体2は灯体嵌込み空間Zへ嵌め込まれ、スリーブ3を介して開口縁部114aに取り付いた状態となる。
灯体2が灯体嵌込み空間Zへ嵌め込まれた状態において、ラバーブーツ22の外周壁部に形成した規制部22aは、スリーブ3側の第2係合部33に径内側から対面し、該第2係合部33が径内方向へ撓み変形しないように規制する(図8(d)参照)。
上述により、灯体2を灯体嵌込み空間Zから真下Xdに引き抜こうとしても第1係合部32が被係合突起25の上側段部25cに係合した状態であるため、灯体2が灯体嵌込み空間Zから抜けることがなく、第2係合部33が灯体2側の規制部22aによって径内側への変形が規制されているため、不用意に径内側へ撓むことでスリーブ3が開口縁部114aから外れることがない。
また、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)に示すように、車両用照明装置1を開口縁部114aに取り付けた状態において、車両用照明装置1は開口部114を塞ぐように取り付けられるため、開口部114を通じてサイドスプラッシュガード101の下面部101aよりも上方の閉断面空間101A側へアクセス不能な取り付け態様になる。さらに図3(b)に示すように、車両用照明装置1を開口縁部114aに取り付けた状態において、車両用照明装置1は、車両用照明装置1のレンズ面21fのみが下方で対向する路面を照射可能にサイドスプラッシュガード101の下面部101aに対して略面一に露出した取り付け態様となる。
次に上述した本実施形態の車両用照明装置1をサイドスプラッシュガード101の下面部101aの開口縁部114aから取り外す手順について図9(a)、(b)、図10(a)、(b)、図11(a)、(b)を参照しながら説明する。
図9(a)、(b)は本実施例の車両用照明装置の車体の開口縁部からの取外し手順の説明図であって、図9(a)は図5(a)のC−C線に相当する断面図、図9(b)は車両用照明装置を底面視して示した作用説明図、図10(a)、(b)は本実施例の車両用照明装置の車体の開口縁部からの取外し手順の説明図であって、図10(a)は車両用照明装置を平面視して示した作用説明図、図10(b)は図6(a)のD−D線の要部の断面図に相当する作用説明図である。
図9(a)に示すように、ラジオペンチ等の工具200の一対(2本一組)の先端突状部200aを、レンズ21下部において中心軸Xに対して点対称に配設された複数の凹部21gのうち、対角線上に有する任意の一対の凹部21gに対して1つの凹部21gにつき1本ずつ嵌め込む。
これにより、先端突状部200a部は、凹部21gの例えば内周面に係合(当接)された状態となる。
先端突状部200aを凹部21gに係合した状態で工具200を底面視で時計回りに回動させると、図9(b)中の矢印Dfに示すように、灯体嵌込み空間Zへ嵌め込まれた灯体2をスリーブ3に対して中心軸X回りに底面視で時計回りに回転させることができる。なお、図9(b)中の複数の凹部21gのうち、ドットを付した凹部21g,21gが先端突状部200aを嵌め込んだ凹部を示すものとする。
やがて灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2になったとき、図10(a)に示すように、照明装置側ハーネス29の側方部位51aが第2係合部33の上部の側方部位51bに当接し、それ以上の灯体2のスリーブ3に対する回転が位置決め(回転規制)される。
さらにこのとき、灯体側案内ライン52aとスリーブ側案内ライン52bとが灯体2の周方向において一致した状態となる(図9(b)参照)。
すなわち作業者は、灯体嵌め込み状態において灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2になったこと、すなわち第1係合部32と拡径部28との相対回転位置関係を目視等により認識できないが、位置決め手段51(回転規制手段)により、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2になったとき、それ以上、灯体2がスリーブ3に対して回転しないように位置決め(回転規制)することができる。
それとともに、上記案内手段52により、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2になったことを開口部114の下側から作業者が目視により容易に認識することができる。
また、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2になる直前においては、拡径部28の傾斜状端辺28aによって第1係合部32は径外方向に徐々に付勢されていき、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2に位置すると、図10(b)、図11(a)に示すように、拡径部28によって第1係合部32は径外方向に撓み変形し、該第1係合部32と、被係合突起25の上側段部25cとの係合が解除された状態となる。
これにより、図11(b)に示すように、灯体2がスリーブ3に対して第1回転位置P1に達した状態で作業者が、工具200の一対の先端突状部200aによって灯体2の凹部21gを摘まみながら灯体2を灯体嵌込み空間Zから下方へ引張ることにより、被係合突起25が第1係合部32に引掛かることなく、灯体2を灯体嵌込み空間Zから下方向Xdへスムーズに引き抜くようにして取り外すことができる。
灯体2を灯体嵌込み空間Zからから取り外すことでスリーブ3側の第2係合部33が径内側へ撓み変形しないように規制していた灯体2側の規制部22aによる規制が解除されるため(図8(a)参照)、そのまま開口縁部114aに取り付けられたスリーブ3を下側から引き抜く等によって、第2係合部33を径内側へ容易に撓み変形させて該第2係合部33の開口縁部114aへの係合が解除され、スリーブ3をパッキン4とともに開口縁部114aから取り外すことができる。
上述した本実施例の車両用照明装置1は、車体側部に構成された乗降用開口部としてのサイドドア開口110の下方に位置し、サイドシル100のアウタパネル100bとの間に実質的な閉断面空間101Aを有する閉断面構造を構成するサイドスプラッシュガード101における路面と対向する下面部101a(対向面部)に形成された開口部114の縁部114aに取り付けられ、サイドドア開口110の下辺110a周辺を照らす車両用照明装置であって(図1、図2(a)、(b)、(c)参照)、LED23a(光源)を有する灯体2と、灯体2と開口縁部114aとの間に介在するスリーブ3とを備え、スリーブ3の径内側に、該スリーブ3に対して灯体2が、嵌込み方向Xuに延びる中心軸X(所定の軸)回りに相対回転可能に嵌め込まれる灯体嵌込み空間Zを有し(図4、図8(a)、(b)参照)、スリーブ3と灯体2との間に、灯体2がスリーブ3に対して第1回転位置P1にあるとき灯体2をスリーブ3からの抜け方向Xdにおいて係合する係合手段としての第1係合部32および被係合突起25と(図3(a)、図4、図5(a)、図6(a)、(c)、図8(d)参照)、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2にあるとき係合手段による係合を解除する係合解除手段としての拡径部28とが設けられたものである(図4、図6(b)、図7、図10(b)、図11(a)、(b)参照)。
上記構成によれば、車体の閉断面構造、すなわち、サイドシル100とともに閉断面構造を構成するサイドスプラッシュガード101に取り付けた灯体2であっても取り外しが容易であり、取外し作業性やメンテナンス性を高めることができる。
詳しくは、閉断面構造はその内部に工具や手を差し込んで灯体2の取外し作業を行うことが制限されるが、このような閉断面構造に灯体2を取り付けても該閉閉断面構造の外側(下側)から容易に取り外すことができる。
この発明の態様として、係合手段は、灯体2側に係合する第1係合部32(係合部)と、該第1係合部32に係合する被係合突起25(被係合部)とで構成され、係合解除手段は、第1回転位置P1から第2回転位置P2への灯体2の回転に伴って被係合突起25との係合が解除されるまで第1係合部32を径外方向に撓み変形させる拡径部28により構成され、第1係合部32はスリーブ3側に設けられるとともに、被係合突起25は、灯体2の周方向における、該灯体2が第1回転位置P1にあるとき第1係合部32と対向する部位に設けられ(図6(c)、図7参照)、拡径部28は、灯体2の周方向における、該灯体2が第2回転位置P2にあるとき第1係合部32と当接する部位に設けられたものである(図10(a)、図11(a)参照)。
上記構成によれば、灯体2を第1回転位置P1から第2回転位置P2へ回転させるだけで拡径部28によって第1係合部32と被係合突起25との係合を解除することができ、灯体2をスリーブ3から容易に取り外すことができる。
またこの発明の態様として、灯体2の下部には、該下部の外面を構成するレンズ21が設けられており、該レンズ21には複数の凹部21gが形成されたものである(図3(b)、図5(b)、図6(c)参照)。
上記構成によれば、閉断面空間101Aを上方に有するサイドスプラッシュガード101の下方から灯体2を回転させ易くすることができる。また、灯体2の取外し作業に用いる工具を閉断面空間101Aに差し込むスペースを形成する必要がないため、灯体寸法を犠牲にすることがない。
またこの発明の態様として、光源としてのLED23aは、平面視で灯体2の中心軸X上に配置され、レンズ21は実質的に中心軸Xに対して点対称の形状であり、複数の凹部21gはレンズ21において中心軸Xに対して点対称に配列されたものである(図3(b)、図5(b)参照)。
上記構成によれば、車両用照明装置1と路面の位置が比較的近い位置関係となるが、その場合に懸念される、凹部21gに起因した路面への照射光形状の歪を最小化できる。
すなわち、凹部21gに起因した路面への照射光形状の歪(陰影)が生じても、複数の凹部21gを点対称に配列することでレンズ21の照射領域において夫々の歪を緩和することができる。
また複数の凹部21gは、上述したように、レンズ21において中心軸Xに対して点対称に配列することで、該凹部21gをレンズ21の周方向において偶数箇所配設することができつつレンズ21における中心軸Xに対して両側に配設することができるため、ラジオペンチ等の工具200の一対の先端突状部200aの夫々を凹部21gに引掛けてレンズ21を中心軸X回りに回転させ易い配置とすることができる。
またこの発明の態様として、被係合部を、灯体2の外周壁部から径外方向へ突出する被係合突起25により形成し、被係合突起25の下縁辺には、第1係合部32が下側から係合する上側段部25cが設けられ、被係合突起25の上側段部25cよりも上側部位に、灯体嵌込み空間Zへの灯体2の下側からの嵌め込みに伴って第1係合部32を径外方向へ案内する径外方向案内面25bが形成されたものである(図3(a)、図4、図5(a)、図6(b)、図8(a)、(b)参照)。
上記構成によれば、灯体嵌込み空間Zへの灯体2の下側からの嵌め込みに伴って第1係合部32を被係合突起25の上側段部25cに係合させることができるため、サイドスプラッシュガード101の下面部101aに形成された開口部114の下側から灯体2を嵌め込むだけで該灯体2をスリーブ3を介して開口縁部114aに容易に取り付けることができる。
従って、サイドスプラッシュガード101の下面部101aの上方は、閉断面空間101Aを有するため、該下面部101aの上方からの開口縁部114aへの灯体2の着脱作業が制限されるが、このような状況においても、下面部101aの下側からの開口縁部114aに対する灯体2の着脱作業、すなわち取外し作業だけでなく取付け作業についても容易に行うことができる。
またこの発明の態様として、スリーブ3に、開口縁部114aに係合する第2係合部33が設けられ、第2係合部33は、径内方向へ撓み変形可能に形成され(図8(a)参照)、第2係合部33の径内方向への撓み変形を規制する規制部22aが灯体2の外周壁部に設けられたものである(図3(a)、図4、図5(a)、図6(a)、(c)、図8(a)、(d)参照)。
上記構成によれば、灯体2を灯体嵌込み空間Zに嵌め込んだ状態においては第2係合部33が径内方向への撓み変形しないように規制部22aによって規制することができるため、第2係合部33と開口縁部114aとの係合が不測に解除されることを防ぐことができ、車両走行中に車体が振動しても強固な取り付け状態を保つことができる。
しかも、別途、規制部材を備えるよりも灯体2自体に規制部22aを設けることで無駄がなく、また、灯体2に設けた規制部22aによって、開口縁部114aとの係合が解除されないように第2係合部33を規制することで、ひいては第1係合部32と、灯体2に設けた被係合突起25との係合状態も高めることができるため、相互に補完するようにして灯体2の開口縁部114aへの取り付け性を高めることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の対向面部は、本実施例のサイドスプラッシュガード101の下面部101aに対応し、以下同様に、
光源はLED23aに対応し、
段部25cは上側段部25cに対応し、
所定の軸は中心軸Xに対応し、
乗降用開口部はサイドドア開口111に対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、本発明の車両用照明装置は、開口縁部114aとの間に介在するパッキン4を採用することで、シール性を高めることができるとともにスペーサの機能も果たすため、パッキン4を備えた構成とすることは好ましいが、パッキン4は必須ではなく、開口縁部114aの厚みや、取り付け箇所のシール性の必要性等に応じてパッキン4を採用しなくてもよい。
また本発明の車両用照明装置は、本実施例のようにサイドスプラッシュガード101の開口部114に取り付けるに限らず、例えば、サイドスプラッシュガード101を備えていない車両においては、サイドシル100のアウタパネル100bの電着塗装用の開口部103等他の開口部に取り付けてもよい。
すなわち、車体に設けられた閉断面構造は鋼板製の車体構造体としてのサイドシル100とし、本発明の車両用照明装置を取り付ける開口部は、当該車体の電着塗装用の開口部103とすることができる。
上記構成によれば、車体の電着塗装用の開口部103を利用して灯体2を取り付けることができるため、灯体2を車体構造体に取り付けるための開口部を該車体構造体に形成する作業を省くことができ、また、別途、灯体2を取付け用の開口部を形成することがないため、閉断面構造の剛性も確保することができる。しかも、車体の電着塗装用の開口部103を利用して灯体2を取り付けることで該電着塗装用の開口部103を車両用照明装置1(灯体2およびスリーブ3)によって塞ぐことができるため、電着塗装用の開口部103を塞ぐためのシール作業やシール部材も省くことができる。
なお、サイドシル100のアウタパネル100bに形成した複数の開口部103のうち車両用照明装置1が取り付けられない開口部103については、図示省略するが、適宜、該開口部103を閉塞するパネル状の閉塞部材を取り付けることによって閉塞することができる。
また、係合手段は、灯体2が第1回転位置P1にあるとき係合部としての第1係合部32と被係合部としての被係合突起25が係合する構成であれば、上述したように、係合部をスリーブ3側に設けるとともに被係合部を灯体2側に設けた構成に限定せず、係合部を灯体2側に設けるとともに被係合部をスリーブ3側に設けた構成とする等、係合部と被係合部とは、互いに対となるように適宜、灯体2側とスリーブ3側との少なくとも一方側に設けることができる。
また、係合解除手段は、灯体2が第2回転位置P2にあるとき係合部との係合を解除する構成であれば、上述したように、灯体2側に設けた拡径部28により、スリーブ3側の第1係合部32を径外方向に撓み変形させる構成に限定しない。例えば、図示省略するが、係合部を灯体2側に設け、拡径部および被係合部をスリーブ3側に設けた構成を採用した場合には、灯体2がスリーブ3に対して第2回転位置P2にあるとき、径内方向に突出する拡径部が係合部に径外側から当接することで被係合部との係合が解除されるまで該係合部を径内方向に撓み変形させる構成とすることができる。
また上述したように、拡径部28における底面視で時計回り(Df)側の端辺が傾斜状端辺28aで形成するとともに、拡径部28における底面視で反時計回り(Dr)側の端辺が段状端辺28bで形成したが(図7参照)、この実施例に限らず、図示省略するが、拡径部28における底面視で時計回り(Df)側の端辺が段状端辺で形成するとともに、拡径部28における底面視で反時計回り(Dr)側の端辺が傾斜状端辺で形成してもよい。この構成を採用する場合には、ラジオペンチ等の工具200の一対の先端突状部200aを凹部21gに係合した状態で工具200を底面視で反時計回り(図7中のDr方向)に回動させる以外は、上述した取り外し手順と同じ要領で車両用照明装置1を開口縁部114aから取り外すことができる。
また本実施例では、位置決め手段51と案内手段52とを共に備えた実施形態としたが、これに限らず、いずれか一方のみ設けてもよく、また位置決め手段51と案内手段52との双方を備えていない実施形態も排除するものではない。
また、案内手段52としては、塗料等で施した上述したような直線状の灯体側案内ライン52aおよびスリーブ側案内ライン52bに限定せず、例えば、矢印、曲線等の図柄、文字等の表示手段、或いは、凹凸形状など、作業者の視覚や触覚に訴えることで作業者に灯体2が第2回転位置P2になったこと或いは第1回転位置P1になったことを案内する手段であれば特に限定しない。