JP2018051954A - インクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法 - Google Patents

インクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018051954A
JP2018051954A JP2016191283A JP2016191283A JP2018051954A JP 2018051954 A JP2018051954 A JP 2018051954A JP 2016191283 A JP2016191283 A JP 2016191283A JP 2016191283 A JP2016191283 A JP 2016191283A JP 2018051954 A JP2018051954 A JP 2018051954A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dry strength
unit
drying
strength
paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016191283A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6542736B2 (ja
Inventor
洋明 北條
Hiroaki Hojo
洋明 北條
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2016191283A priority Critical patent/JP6542736B2/ja
Priority to EP17193012.6A priority patent/EP3300908B1/en
Priority to US15/716,523 priority patent/US10265972B2/en
Publication of JP2018051954A publication Critical patent/JP2018051954A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6542736B2 publication Critical patent/JP6542736B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0015Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form for treating before, during or after printing or for uniform coating or laminating the copy material before or after printing
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0015Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form for treating before, during or after printing or for uniform coating or laminating the copy material before or after printing
    • B41J11/002Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating
    • B41J11/0021Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating using irradiation
    • B41J11/00212Controlling the irradiation means, e.g. image-based controlling of the irradiation zone or control of the duration or intensity of the irradiation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0015Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form for treating before, during or after printing or for uniform coating or laminating the copy material before or after printing
    • B41J11/002Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating
    • B41J11/0021Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating using irradiation
    • B41J11/00214Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating using irradiation using UV radiation

Abstract

【課題】乾燥強度を適切に設定できるインクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法を提供する。
【解決手段】水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、印刷後の用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、UVニスを用いてインク乾燥後の用紙をニスコートするニスコート部と、を備えたインクジェット印刷装置において、用紙の到達温度が規定範囲内に収まるように、インク乾燥部の乾燥強度を設定する。乾燥強度は、印刷する画像から同じ描画条件の領域を抽出し、その中で占有面積が最大となる描画条件を基準にして設定する。
【選択図】 図13

Description

本発明は、インクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法に係り、特に水性インクを用いて印刷した後、用紙を加熱してインクを乾燥させ、UVニスを塗布してUVニスコートするインクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法に関する。
印刷物に高級感を演出する手法として、ニスコートが知られている。ニスコートとは、印刷物の表面をニス(ワニス)でコーティングすることである。特に、UVニスを使用してニスコートする場合をUVニスコートと呼ぶ。UVニスとは、UV(UV:ultraviolet/紫外線)の照射で硬化するニスのことである。UVニスは、主に重合性モノマーを主成分とし、光開始剤がUVを吸収して、ラジカルを発生させ、重合反応により塗膜を形成する。
特許文献1、2等には、水性インクを用いてインクジェット方式で印刷した後、用紙を加熱してインクを乾燥させ、インラインでUVニスコートするインクジェット印刷装置が記載されている。ここで、水性インクとは、水及び水に可溶な溶媒に染料、顔料などの色材を溶解又は分散させたインクのことをいう。また、インクジェット方式とは、インクを液滴に分離し、画像信号に応じ、メディアに向けて吐出し、色材をメディアに付着させるマーキング方式のことをいう。また、インラインでUVニスコートが可能とは、印刷装置内でUVニスコートが可能なことをいう。
特開2015-164786号公報 特開2016-107419号公報
しかしながら、水性インクを用いてインクジェット方式で印刷された印刷物をUVニスコートする場合、印刷後のインクの乾燥処理時に適切に乾燥強度を設定しないと、印刷物にカール、カックル等の変形が生じたり、ニスの光沢が低下したり、ニスの密着性が低下したり、ブロッキング(重なった用紙同士がくっついてしまう現象)が発生したりする、という欠点がある。具体的には、乾燥強度を強く設定しすぎると、用紙の温度が高くなりすぎ、用紙にカール、カックル等の変形が生じたり、ニスの密着性が低下したりする。一方、乾燥強度を低く設定しすぎると、インク溶剤がUVニスに混入し、ニスの光沢が低下したり、集積時にブロッキングが発生したりする。なお、「カール」とは、用紙の端が浮き上がる現象をいう。「カックル」とは、「コックリング(cockling)」、「波うち」とも称され、用紙表面が細かく皺になる現象をいう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、乾燥強度を適切に設定できるインクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(1)水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、印刷後の用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、インク乾燥部の乾燥強度を設定する乾燥強度設定部であって、用紙の到達温度が規定範囲内に収まる強度に設定する乾燥強度設定部と、UVニス(UV:ultraviolet/紫外線)を用いてインク乾燥後の用紙をニスコートするニスコート部と、を備え、乾燥強度設定部は、用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する領域抽出部と、描画条件ごとの占有面積を算出する描画条件別占有面積算出部と、占有面積が最大となる描画条件を選出する最大占有面積描画条件選出部と、描画条件ごとに定められた補正条件を参照して、最大占有面積描画条件選出部で選出された描画条件に対応する補正条件を求め、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して乾燥強度を算出する乾燥強度算出部と、を備え、乾燥強度算出部で算出された乾燥強度をインク乾燥部の乾燥強度に設定する、インクジェット印刷装置。
本態様によれば、インクを乾燥させる際の乾燥強度が、乾燥強度設定部によって設定される。乾燥強度とは、乾燥させる強さの度合のことである。乾燥強度設定部は、用紙の到達温度が規定範囲内に収まるように、印刷する画像に基づいて乾燥強度を設定する。用紙の到達温度とは、用紙を加熱することによって到達する最高温度のことである。乾燥強度の設定は、次のように行われる。まず、用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する。次に、描画条件ごとの占有面積を算出する。すなわち、同じ描画条件となる領域の総面積を求め、その領域が全体に占める割合を算出する。全体とは、印刷可能領域として設定された領域のことである。次に、占有面積が最大となる描画条件を選出する。次に、描画条件ごとに定められた補正条件を参照して、占有面積が最大となる描画条件に対応する補正条件を求める。そして、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して、乾燥強度を算出する。すなわち、あらかじめ基準となる乾燥強度(基準乾燥強度)を定めておき、その基準となる乾燥強度(基準乾燥強度)を補正して、インク乾燥部に設定する乾燥強度を決定する。その際、占有面積が最大となる描画条件の補正を適用して、乾燥強度を決定する。これにより、描画条件が異なる領域が存在する場合であっても、適切に乾燥強度を設定できる。
(2)乾燥強度設定部は、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する個別乾燥強度算出部と、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する乾燥強度別占有面積算出部と、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する最大占有面積乾燥強度選出部と、乾燥強度算出部で算出された乾燥強度と最大占有面積乾燥強度選出部で選出された乾燥強度とを比較し、乾燥強度算出部で算出された乾燥強度が、最大占有面積乾燥強度選出部で選出された乾燥強度と異なる場合に、インク乾燥部に設定する乾燥強度を最大占有面積乾燥強度選出部で選出された乾燥強度に変更する乾燥強度変更部と、を更に備える(1)のインクジェット印刷装置。
本態様によれば、インク乾燥部に設定すべき乾燥強度として乾燥強度算出部で算出された乾燥強度が、最大の占有面積を有する乾燥強度と異なる場合、インク乾燥部に設定する乾燥強度が変更される。具体的には、次のように変更される。まず、描画条件ごとに乾燥強度を算出する。描画条件ごとの乾燥強度は、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正して算出する。次に、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する。すなわち、乾燥強度が同じ描画条件をまとめて、その占有面積の和を求め、乾燥強度ごとの占有面積を算出する。次に、求めた乾燥強度ごとの占有面積のうち最大の占有面積を有する乾燥強度を選出する。そして、選出した乾燥強度と乾燥強度算出部で算出された乾燥強度とを比較する。乾燥強度算出部で算出された乾燥強度が、選出された乾燥強度と異なる場合、インク乾燥部に設定する乾燥強度を選出された乾燥強度、最大の占有面積を有する乾燥強度に変更する。すなわち、同じ乾燥強度に設定すべきとされる領域のうち最大の占有面積を有する領域の乾燥強度に変更する。これにより、より適切に乾燥強度を設定できる。
(3)水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、印刷後の用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、インク乾燥部の乾燥強度を設定する乾燥強度設定部であって、用紙の到達温度が規定範囲内に収まる強度に設定する乾燥強度設定部と、UVニスを用いてインク乾燥後の用紙をニスコートするニスコート部と、を備え、乾燥強度設定部は、用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する領域抽出部と、描画条件ごとの占有面積を算出する描画条件別占有面積算出部と、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する個別乾燥強度算出部と、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する乾燥強度別占有面積算出部と、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する最大占有面積乾燥強度選出部と、を備え、最大占有面積乾燥強度選出部で選出された乾燥強度をインク乾燥部の乾燥強度に設定する、インクジェット印刷装置。
本態様によれば、インクを乾燥させる際の乾燥強度が、乾燥強度設定部によって設定される。乾燥強度設定部は、用紙の到達温度が規定範囲内に収まるように、印刷する画像に基づいて乾燥強度を設定する。具体的には、次のように設定される。まず、用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する。次に、描画条件ごとの占有面積を算出する。次に、描画条件ごとに乾燥強度を算出する。次に、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する。次に、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する。選出した乾燥強度をインク乾燥部の乾燥強度に設定する。すなわち、同じ乾燥強度に設定すべきとされる領域のうち最大の占有面積を有する領域の乾燥強度に設定する。これにより、適切に乾燥強度を設定できる。
(4)描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最弱の乾燥強度を選出する最弱乾燥強度選出部と、描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最強の乾燥強度を選出する最強乾燥強度選出部と、最弱の乾燥強度又は最強の乾燥強度への変更の指示を受け付ける乾燥強度変更指示受付部と、乾燥強度変更指示受付部が変更の指示を受け付けた場合に、受け付けた指示に従ってインク乾燥部に設定する乾燥強度を強制的に変更する乾燥強度強制変更部と、を更に備える(2)又は(3)のインクジェット印刷装置。
本態様によれば、自動的に設定される乾燥強度を手動で変更できる。この際、最弱又は最強に変更できる。最弱は、描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最弱の乾燥強度である。最強は、描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最強の乾燥強度である。これにより、ユーザーの要望を適切に反映させることができる。たとえば、ニスの密着性を最重要視する場合は、乾燥強度を極力弱くした方がよい。一方、ニスの光沢を最重要視する場合は、乾燥強度を極力強くした方がよい。このように、ユーザーからの指示に応じて、乾燥強度を強制的に変更できることにより、ユーザーの要望を適切に反映させることができる。
(5)インク乾燥部に設定する乾燥強度を表示する設定強度表示部と、インク乾燥部に設定する乾燥強度の補正の指示を受け付ける乾燥強度補正指示受付部と、乾燥強度補正指示受付部が補正の指示を受け付けた場合、受け付けた指示に従ってインク乾燥部に設定する乾燥強度を補正する乾燥強度補正部と、を更に備える(1)から(4)のいずれか一のインクジェット印刷装置。
本態様によれば、インク乾燥部に設定する乾燥強度を手動で補正できる。インク乾燥部に設定する乾燥強度は、設定強度表示部に表示される。ユーザーは、この設定強度表示部の表示を見て、補正の要否を判定できる。
(6)領域抽出部は、一定面積未満の領域を対象から除外して、描画条件が同じ領域を抽出する、(1)から(5)のいずれか一のインクジェット印刷装置。
本態様によれば、描画条件が同じ領域を抽出する際、一定面積未満の領域を抽出対象から除外して抽出する。これにより、処理対象を適切に抽出できる。また、これにより、処理の負荷を低減できる。
(7)インク乾燥部は、用紙を搬送する用紙搬送部と、用紙搬送部によって搬送される用紙の搬送経路上に配置される加熱部と、を備える、(1)から(6)のいずれか一のインクジェット印刷装置。
本態様によれば、インク乾燥部が、用紙搬送部と、加熱部と、を備える。この場合、乾燥強度は、加熱部が用紙を加熱する強度(用紙を加熱する強さの度合)として設定される。
(8)設定された乾燥強度でインク乾燥部を作動させた場合に、用紙の到達温度が規定範囲を超える領域が存在するか否かを判定する判定部と、用紙の到達温度が規定範囲を超える領域が存在する場合、用紙の搬送速度、及び、加熱部による乾燥強度を修正する修正部と、を更に備えた(7)のインクジェット印刷装置。
本態様によれば、設定された乾燥強度でインク乾燥部を作動させた場合に、用紙の到達温度が規定範囲を超える領域が存在するか否かが判定される。規定範囲を超える領域が存在する場合、用紙の搬送速度、及び、加熱部による乾燥強度が修正される。この場合、同等の乾燥量となるように、用紙の搬送速度、及び、加熱部による乾燥強度が修正される。具体的には、用紙の搬送速度が遅くされ、かつ、加熱部による乾燥強度が弱くされる。すなわち、同じ熱量は与えるが、用紙の温度上昇は抑える。これにより、用紙の全体にわたって、到達温度が規定範囲を超えるのを防止できる。
(9)UVニスの光沢の低下を防止でき、かつ、ブロッキングを防止できる温度の下限値をT1、UVニスの密着性の低下を防止でき、かつ、用紙の変形を防止できる温度の上限値をT2とした場合に、用紙の到達温度の規定範囲が、T1以上、かつ、T2以下に設定される、(1)から(8)のいずれか一のインクジェット印刷装置。
本態様によれば、用紙の到達温度が、T1以上、かつ、T2以下に収まるように、インク乾燥部の乾燥強度が設定される。ここで、T1は、UVニスの光沢の低下を防止でき、かつ、ブロッキングを防止できる温度の下限値である。また、T2は、UVニスの密着性の低下を防止でき、かつ、用紙の変形を防止できる温度の上限値である。これにより、UVニスコートする場合において、UVニスの光沢の低下を防止できる。また、ブロッキングを防止でき、かつ、用紙の変形を防止できる。
なお、「UVニスの光沢の低下を防止できる」とは、許容される範囲内で光沢の低下を防止できることを意味する。同様に、「ブロッキングを防止できる」とは、許容される範囲内でブロッキングを防止できることを意味する。また、「UVニスの密着性の低下を防止できる」とは、許容される範囲内で密着性の低下を防止できることを意味する。また、「用紙の変形を防止できる」とは、許容される範囲内で変形を防止できることを意味する。
(10)印刷条件に基づいて基準乾燥強度を設定する基準乾燥強度設定部を更に備える、(1)から(9)のいずれか一のインクジェット印刷装置。
本態様によれば、基準乾燥強度が、印刷条件に基づいて設定される。これにより、より適切に基準乾燥強度を設定できる。たとえば、UVニスの種類、用紙の種類、用紙の厚さ、印刷面の区別等によって、基準乾燥強度が設定される。印刷面の区別とは、表面印刷か裏面印刷かの区別である。
(11)水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、印刷後の用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、UVニスを用いてインク乾燥後の用紙をニスコートするニスコート部と、を備えたインクジェット印刷装置において、インク乾燥部の乾燥強度を設定する乾燥強度設定方法であって、用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する工程と、描画条件ごとの占有面積を算出する工程と、占有面積が最大となる描画条件を選出する工程と、描画条件ごとに定められた補正条件を参照して、占有面積が最大となる描画条件に対応する補正条件を求め、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して乾燥強度を算出する工程と、算出された乾燥強度をインク乾燥部の乾燥強度に設定する工程と、を備え、算出された乾燥強度をインク乾燥部の乾燥強度に設定する、インクジェット印刷装置の乾燥強度設定方法。
本態様によれば、インクを乾燥させる際、用紙の到達温度が規定範囲内に収まるように、乾燥強度が設定される。具体的には、次のように乾燥強度が設定される。まず、用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する。次に、描画条件ごとの占有面積を算出する。すなわち、同じ描画条件となる領域の総面積を求め、その領域が全体に占める割合を算出する。次に、描画条件ごとに定められた補正条件を参照して、占有面積が最大となる描画条件に対応する補正条件を求める。そして、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して、乾燥強度を算出する。すなわち、あらかじめ基準となる乾燥強度(基準乾燥強度)を定めておき、その基準となる乾燥強度(基準乾燥強度)を補正して、インク乾燥部に設定する乾燥強度を決定する。その際、占有面積が最大となる描画条件の補正を適用して、乾燥強度を決定する。これにより、描画条件が異なる領域が存在する場合であっても、適切に乾燥強度を設定できる。
(12)描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する工程と、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する工程と、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する工程と、を更に備え、算出された乾燥強度が、占有面積が最大となる乾燥強度と異なる場合に、インク乾燥部に設定する乾燥強度を占有面積が最大となる乾燥強度に補正する、(11)のインクジェット印刷装置の乾燥強度設定方法。
本態様によれば、インク乾燥部に設定すべき乾燥強度として算出された乾燥強度が、最大の占有面積を有する乾燥強度と異なる場合、インク乾燥部に設定する乾燥強度が変更される。具体的には、次のように変更される。まず、描画条件ごとに乾燥強度を算出する。描画条件ごとの乾燥強度は、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正して算出する。次に、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する。すなわち、乾燥強度が同じ描画条件をまとめて、その占有面積の和を求め、乾燥強度ごとの占有面積を算出する。次に、求めた乾燥強度ごとの占有面積のうち最大の占有面積を有する乾燥強度を選出する。そして、選出した乾燥強度と乾燥強度算出部で算出された乾燥強度とを比較する。乾燥強度算出部で算出された乾燥強度が、選出された乾燥強度と異なる場合、インク乾燥部に設定する乾燥強度を選出された乾燥強度、最大の占有面積を有する乾燥強度に変更する。すなわち、同じ乾燥強度に設定すべきとされる領域のうち最大の占有面積を有する領域の乾燥強度に変更する。これにより、より適切に乾燥強度を設定できる。
(13)水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、印刷後の用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、UVニスを用いてインク乾燥後の用紙をニスコートするニスコート部と、を備えたインクジェット印刷装置において、インク乾燥部の乾燥強度を設定する乾燥強度設定方法であって、用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する工程と、描画条件ごとの占有面積を算出する工程と、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する工程と、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する工程と、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する工程と、を備え、選出された乾燥強度をインク乾燥部の乾燥強度に設定する、インクジェット印刷装置の乾燥強度設定方法。
本態様によれば、インクを乾燥させる際、用紙の到達温度が規定範囲内に収まるように、乾燥強度が設定される。具体的には、次のように設定される。まず、用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する。次に、描画条件ごとの占有面積を算出する。次に、描画条件ごとに乾燥強度を算出する。次に、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する。次に、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する。選出した乾燥強度をインク乾燥部の乾燥強度に設定する。すなわち、同じ乾燥強度に設定すべきとされる領域のうち最大の占有面積を有する領域の乾燥強度に設定する。これにより、適切に乾燥強度を設定できる。
本発明によれば、乾燥強度を適切に設定できる。
インクジェット印刷装置の一実施形態を示す全体構成図 ニスコーターの概略構成図 インクジェット印刷装置の制御系の概略構成を示すブロック図 コンピューターが実現する機能のブロック図 画像処理部が実現する機能のブロック図 乾燥強度設定部が実現する機能のブロック図 印刷する画像の一例を示す図 図7に示す画像の描画条件別の占有面積の算出結果を示す表 基準乾燥強度設定部が提供する機能のブロック図 基準乾燥強度の設定の一例を示す表 色ごとの補正条件を定めたテーブルの一例を示す図 インク量ごとの補正条件を定めたテーブルの一例を示す図 インク乾燥部の乾燥強度の設定手順を示すフローチャート 乾燥強度設定部が実現する機能のブロック図 描画条件ごとの乾燥強度(個別乾燥強度)の算出結果の一例を示す表 乾燥強度ごとの占有面積の算出結果の一例を示す表 インク乾燥部の乾燥強度の設定手順を示すフローチャート 補正機能を備えた乾燥強度設定部のブロック図 インク乾燥部の乾燥強度の設定手順を示すフローチャート 印刷する画像の一例を示す図 図20に示す画像に基づいて抽出、算出等される描画条件、占有面積、個別乾燥強度等の一覧を示す表 乾燥強度の補正に関わる機能のブロック図 乾燥強度の補正処理の手順を示すフローチャート 乾燥強度及び搬送速度の修正に関わる機能のブロック図 ワックスを含むインクを使用して4Cの画像を印刷した場合の実験結果の表 ワックスを含むインクを使用してブルーの画像を印刷した場合の実験結果の表 ワックスを含まないインクを使用して4Cの画像を印刷した場合の実験結果の表 ワックスを含まないインクを使用してブルーの画像を印刷した場合の実験結果の表 4Cの画像を印刷した場合の実験結果 ブルーの画像を印刷した場合の実験結果
以下、添付図面に従って、本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
◆◆第1の実施の形態◆◆
《インクジェット印刷装置の全体構成》
図1は、インクジェット印刷装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図1に示すインクジェット印刷装置1は、枚葉紙である用紙にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを使用し、シングルパスでカラー印刷する枚葉型のカラーインクジェット印刷装置である。特に、本実施の形態のインクジェット印刷装置1は、汎用の印刷用紙に水性インクを使用して印刷する水性カラーインクジェット印刷装置である。また、本実施の形態のインクジェット印刷装置1は、インラインでUVニスコートが可能なインクジェット印刷装置である。
ここで、インクジェット印刷装置とは、インクジェット方式で印刷する印刷装置のことである。インクジェット方式とは、インクを液滴に分離し、画像信号に応じ、メディアに向けて吐出し、色材をメディアに付着させるマーキング方式をいう。
また、シングルパスとは、インクジェットヘッドを一定位置に固定したまま、搬送している用紙に1回で画像の印刷を完成させる方式をいう。シングルパスは、1パスとも称される。
また、汎用の印刷用紙とは、いわゆるインクジェット専用紙ではなく、オフセット印刷機などで一般的に使用されている塗工紙などのセルロースを主体とした用紙をいう。たとえば、アート紙、コート紙、軽量コート紙、キャスト紙、微塗工紙などである。
また、水性インクとは、水及び水に可溶な溶媒に染料、顔料などの色材を溶解又は分散させたインクをいう。
また、インラインでUVニスコートが可能とは、印刷装置内でUVニスコートが可能なことをいう。UVニスコートとは、UVニスを使用してニスコートすることをいう。UVニスとは、UV(UV:ultraviolet/紫外線)の照射で硬化するニスのことをいう。UVニスは、主に重合性モノマーを主成分とし、光開始剤がUVを吸収して、ラジカルを発生させ、重合反応により塗膜を形成する。ニスコートとは、印刷物の表面をニスでコーティングすることをいう。
図1に示すように、インクジェット印刷装置1は、用紙Pを給紙する給紙部10と、用紙Pをプレコートするプレコート部20と、プレコートされた用紙Pを加熱してプレコート液を乾燥させるプレコート液乾燥部30と、プレコート液を乾燥させた用紙Pにインクジェット方式で印刷する印刷部40と、印刷後の用紙Pを加熱してインクを乾燥させるインク乾燥部50と、インクを乾燥させた用紙PをUVニスでニスコートするニスコート部60と、ニスコートされた用紙PにUVを照射してUVニスを硬化させるUV照射部70と、用紙Pを集積する集積部80と、を備える。
〈給紙部〉
給紙部10は、用紙を1枚ずつ給紙する。図1に示すように、給紙部10は、主として、給紙装置11と、フィーダーボード12と、給紙ドラム13と、を備える。
給紙装置11は、束の状態でトレーの上にセットされた用紙Pを上から順に1枚ずつ取り出してフィーダーボード12に供給する。給紙装置11には、安定した給紙を実現するために、図示しないブロアが備えられる。ブロアは、用紙束にエアを吹き当てて、用紙Pを捌く。ブロアから吹き出すエアの風量は調整可能であり、必要に応じて調整される。
フィーダーボード12は、用紙Pの搬送手段であり、給紙装置11から供給される用紙Pを受け取り、給紙ドラム13に搬送する。
給紙ドラム13は、用紙Pの搬送手段であり、フィーダーボード12から用紙Pを受け取り、一定の搬送経路に沿って搬送する。給紙ドラム13は、周面に備えられたグリッパーで用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
給紙部10は、以上のように構成される。用紙Pは、給紙装置11から1枚ずつフィーダーボード12に給紙される。そして、フィーダーボード12によって給紙ドラム13に給送され、給紙ドラム13によってプレコート部20に搬送される。
〈プレコート部〉
プレコート部20は、用紙Pをプレコートする。プレコートは、インク滴を着弾位置に確実に保持するために行われる。このため、プレコート液は、インク滴を着弾位置に保持する機能を有する液体で構成される。具体的には、インク中の色材成分を凝集、不溶化ないし増粘させる機能を備えた液体で構成される。このようなプレコート液を用紙Pに塗布することにより、水性インクを使用して汎用の印刷用紙に画像を印刷する場合であっても、高品位な画像を印刷できる。
図1に示すように、プレコート部20は、用紙Pを搬送するプレコートドラム21と、用紙Pにプレコート液を塗布するプレコート液塗布装置22と、を備えて構成される。
プレコートドラム21は、給紙ドラム13から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。プレコートドラム21は、周面に備えられたグリッパーで用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き掛けて搬送する。
プレコート液塗布装置22は、プレコートドラム21によって搬送される用紙Pの印刷面にプレコート液を塗布する。プレコート液塗布装置22は、プレコート液をローラー塗布する。すなわち、周面にプレコート液が付与された塗布ローラーを用紙Pの印刷面に押し当てて、用紙Pにプレコート液を塗布する。なお、塗布方式については、特に限定されるものではなく、この他、インクジェット方式やスプレイ方式なども採用できる。
プレコート部20は、以上のように構成される。用紙Pは、給紙ドラム13からプレコートドラム21に受け渡される。プレコートドラム21は、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。用紙Pは、その搬送過程でプレコート液塗布装置22によって印刷面にプレコート液が塗布される。
〈プレコート液乾燥部〉
プレコート液乾燥部30は、プレコートされた用紙Pを加熱して、プレコート液を乾燥させる。図1に示すように、プレコート液乾燥部30は、用紙Pを搬送するプレコート液乾燥ドラム31と、用紙Pの搬送をガイドするプレコート液乾燥部用紙ガイド32と、用紙Pに熱風を吹き当てるドライヤー33と、を備える。
プレコート液乾燥ドラム31は、プレコートドラム21から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。プレコート液乾燥ドラム31は、周面に備えられたグリッパーによって用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。
プレコート液乾燥部用紙ガイド32は、プレコート液乾燥ドラム31による用紙Pの搬送をガイドする。プレコート液乾燥部用紙ガイド32は、円弧状のガイド面を有する。用紙Pは、このプレコート液乾燥部用紙ガイド32のガイド面の上を摺動する。
ドライヤー33は、プレコート液乾燥ドラム31によって搬送される用紙Pに熱風を吹き当てて、用紙Pを加熱する。ドライヤー33は、用紙Pに対してプレコート液が塗布された面に熱風を吹き当てる。このため、ドライヤー33は、プレコート液乾燥ドラム31の内側に配置される。ドライヤー33は、たとえば、ハロゲンヒーター、IRヒーター(IR:InfraRed/赤外線)等の熱源、及び、その熱源によって熱せられた空気を送風するファン、ブロワー等の送風手段を備える。ドライヤー33をヒーター及びファンで構成する場合、ヒーターの点灯数、及び/又は、点灯デューティー比によって加熱強度が調節される。
プレコート液乾燥部30は、以上のように構成される。用紙Pは、プレコートドラム21からプレコート液乾燥ドラム31に受け渡される。プレコート液乾燥ドラム31は、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。用紙Pは、その搬送過程でプレコート液が塗布された面にドライヤー33から熱風が吹き付けられる。これにより、用紙Pが加熱され、用紙Pに塗布されたプレコート液の溶媒成分が乾燥除去される。
〈印刷部〉
印刷部40は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用いて用紙Pに画像を印刷する。
図1に示すように、印刷部40は、用紙Pを搬送する印刷ドラム41と、印刷ドラム41によって搬送される用紙Pを印刷ドラム41に押さえ付ける用紙押さえローラー42と、印刷ドラム41によって搬送される用紙Pにシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用いてインクジェット方式で印刷する印刷ユニット43と、用紙Pに印刷された画像を読み取る画像読取装置45と、を備える。
印刷ドラム41は、印刷部40における用紙Pの搬送手段であり、プレコート液乾燥部30のプレコート液乾燥ドラム31から用紙Pを受け取り、インク乾燥部50に搬送する。印刷ドラム41は、周面に備えられたグリッパーで用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。印刷ドラム41には、特に、用紙Pの密着性を確保するため、図示しない吸着機構が備えられる。吸着機構は、負圧を用いる方法、静電気を用いる方法などが採用される。負圧を用いる方法は、ドラムの周面に小さな穴を開けて、ドラムの内側から吸引することにより、用紙をドラムの周面に密着させる。静電気を用いる方法は、ドラムの周面を帯電させることにより、用紙をドラムの周面に密着させる。
用紙押さえローラー42は、印刷ドラム41による用紙Pの搬送経路上に配置される。特に、用紙押さえローラー42は、用紙Pの搬送方向に対して、印刷ユニット43の上流側に配置される。用紙押さえローラー42は、用紙Pの押圧手段であり、印刷ドラム41によって搬送される用紙Pを印刷ドラム41に押し付けて、印刷ドラム41の周面に密着させる。
印刷ユニット43は、印刷ドラム41による用紙Pの搬送経路上に配置される。印刷ユニット43は、シアン(C)のインク液滴を吐出するインクジェットヘッド44Cと、マゼンタ(M)のインク液滴を吐出するインクジェットヘッド44Mと、イエロー(Y)のインク液滴を吐出するインクジェットヘッド44Yと、ブラック(K)のインク液滴を吐出するインクジェットヘッド44Kと、を備える。各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、図示しないキャリッジに搭載されて一体化される。
各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、印刷ドラム41によって搬送される用紙Pに対して、シングルパスで印刷可能なラインヘッドで構成される。
各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、図示しないキャリッジに搭載されることにより、用紙Pの搬送方向に沿って直交して配置される。
また、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、図示しないキャリッジに搭載されることにより、用紙Pの搬送方向に沿って一定の間隔で配置される。図1に示す例では、用紙Pの搬送方向の上流側からシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、グリーン、ブルーの順で各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kが一定の間隔で配置されている。
図示しないキャリッジは、印刷ドラム41の回転軸と平行な方向に移動可能に設けられる。したがって、キャリッジを移動させることにより、印刷ユニット43を印刷ドラム上から退避させることができる。
図示しないキャリッジに搭載された各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、その先端に備えられたノズル面が、印刷ドラム41の周面と対向して配置される。ノズル面には、多数のノズルが配置され、このノズルから用紙Pに向けてインク滴が吐出される。ノズルは、たとえばマトリクス状に配置される。マトリクス状に配置することにより、一列で配置する場合に比べて、ノズルを高密度に配置できる。
各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、ノズルから複数サイズ(体積)のインク滴を吐出できる。本実施の形態では、大滴及び小滴のインク滴を吐出できる。大滴は、たとえば、体積が6.7[pL]の液滴であり、小滴は、たとえば、体積が2.2[pL]の液滴である(pL:ピコリットル、1[L]=1000[cm3])。
画像読取装置45は、印刷ドラム41による用紙Pの搬送経路上に配置される。画像読取装置45は、印刷ユニット43による印刷結果を読み取るため、用紙Pの搬送方向に対して、印刷ユニット43の下流側に配置される。画像読取装置45は、ラインスキャナーで構成され、印刷ドラム41によって搬送される用紙上を一ラインごとに読み取る。
印刷部40は、以上のように構成される。用紙Pは、プレコート液乾燥ドラム31から印刷ドラム41に受け渡される。印刷ドラム41は、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。用紙Pは、その搬送過程でインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kから各色のインクが打滴され、印刷面に画像が印刷される。印刷された画像は、必要に応じて画像読取装置45で読み取られる。
〈インク乾燥部〉
インク乾燥部50は、印刷後の用紙Pを加熱して、インクを乾燥させる。図1に示すように、インク乾燥部50は、用紙Pを搬送するインク乾燥部チェーンデリバリー51と、インク乾燥部チェーンデリバリー51によって搬送される用紙Pをガイドするインク乾燥部用紙ガイド52と、インク乾燥部チェーンデリバリー51によって搬送される用紙Pを加熱する加熱装置53と、を備える。
インク乾燥部チェーンデリバリー51は、印刷ドラム41から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。インク乾燥部チェーンデリバリー51は、用紙搬送部の一例である。インク乾燥部チェーンデリバリー51は、一定の走行経路に沿って走行する一対の無端状のチェーンを備え、その一対のチェーンに掛け渡されたグリッパーによって用紙Pの先端を把持して、用紙Pを搬送する。
インク乾燥部用紙ガイド52は、インク乾燥部チェーンデリバリー51によって搬送される用紙Pの走行をガイドする。インク乾燥部用紙ガイド52は、用紙Pの搬送経路に沿って配置される平坦なガイド面を有する。ガイド面には、多数の吸引穴が備えられる。インク乾燥部チェーンデリバリー51によって搬送される用紙Pは、ガイド面に備えられた吸引穴から吸引されながら、ガイド面上を摺動する。これにより、用紙Pに張力を与えながら搬送できる。
加熱装置53は、インク乾燥部チェーンデリバリー51によって搬送される用紙Pを加熱して、インクを乾燥させる。加熱装置53は、加熱部の一例である。加熱装置53は、たとえば、棒状のヒーターを用紙の搬送方向に沿って一定の間隔で複数本配置して構成される。各ヒーターは、用紙Pの搬送方向と直交して配置される。ヒーターには、たとえば、ハロゲンヒーター、IRヒーター等が使用される。加熱装置53は、ヒーターの点灯本数、及び/又は、点灯デューティー比によって、乾燥強度が調節される。本実施の形態のインクジェット印刷装置1では、ヒーターとしてIRヒーターが使用され、その点灯デューティー比(duty[%])によって乾燥強度が調整される。
乾燥強度とは、乾燥させる強さの度合である。乾燥強度は、たとえば、0から10の間の数値で設定され、1段刻みで設定される。10が最大強度であり、0はOFFである。
後述するように、加熱装置53に設定する乾燥強度は、用紙Pの到達温度が規定範囲内に収まるように設定される。この規定温度は、UVニスの光沢の低下を防止でき、かつ、ブロッキングを防止できる温度の下限値をT1、UVニスの密着性の低下を防止でき、かつ、用紙Pの変形を防止できる温度の上限値をT2とした場合に、T1以上、かつ、T2以下に設定される。これにより、UVニスコートする場合において、UVニスの光沢低下を防止でき、かつ、ブロッキングを防止でき、かつ、用紙Pの変形を防止できる。乾燥強度の設定方法については、後に詳述する。
なお、「UVニスの光沢の低下を防止できる」とは、許容される範囲内で光沢の低下を防止できることを意味する。同様に、「ブロッキングを防止できる」とは、許容される範囲内でブロッキングを防止できることを意味する。また、「UVニスの密着性の低下を防止できる」とは、許容される範囲内で密着性の低下を防止できることを意味する。また、「用紙の変形を防止できる」とは、許容される範囲内で変形を防止できることを意味する。
インク乾燥部50は、以上のように構成される。用紙Pは、印刷ドラム41からインク乾燥部チェーンデリバリー51に受け渡される。インク乾燥部チェーンデリバリー51は、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。用紙Pは、その搬送過程で加熱装置53によって加熱され、インクが乾燥される。すなわち、インクの溶媒成分が乾燥除去される。
〈ニスコート部〉
ニスコート部60は、用紙Pの画像表面にニスを塗布してニスコートする。特に、本実施の形態のインクジェット印刷装置1では、UVニスを塗布してVUニスコートする。図1に示すように、ニスコート部60は、用紙Pを搬送するニスコートドラム61と、ニスコートドラム61によって搬送される用紙Pの画像表面にニスを塗布するニスコーター90と、を備える。
ニスコートドラム61は、インク乾燥部チェーンデリバリー51から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。ニスコートドラム61は、周面に備えられたグリッパーによって用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
図2は、ニスコーターの概略構成図である。ニスコーター90は、主として、ニス槽91と、汲み上げる汲み上げローラー92と、計量ブレード93と、第1の中間転写ローラー94と、第2の中間転写ローラー95と、ニス塗布ローラー96と、を備えて構成される。
ニス槽91は、ニスを貯留する。ニス槽91には、図示しないニス供給装置が接続される。ニスは、このニス供給装置からニス槽91に循環供給される。本実施の形態のインクジェット印刷装置1では、UVニスを塗布するため、ニス槽にはUVニスが供給される。
汲み上げローラー92は、ニス槽91からニスを汲み上げる。汲み上げローラー92は、一部がニス槽91内のニスに浸漬される。汲み上げローラー92は、回転することにより周面にニスを付着させて、ニス槽91からニスを汲み上げる。
計量ブレード93は、汲み上げローラー92の周面から不要なニスを掻き落とすことにより、汲み上げローラー92の周面に付着したニスの厚さを調節する。用紙Pに塗布するニスの厚さは、この計量ブレード93で調節する。
第1の中間転写ローラー94、及び、第2の中間転写ローラー95は、汲み上げローラー92で汲み上げられたニスをニス塗布ローラー96に転写する。第1の中間転写ローラー94は、汲み上げローラー92及び第2の中間転写ローラー95に当接され、第2の中間転写ローラー95は、第1の中間転写ローラー94及びニス塗布ローラー96に当接される。汲み上げローラー92で汲み上げられたニスは、第1の中間転写ローラー94に転写され、第1の中間転写ローラー94から第2の中間転写ローラー95を介してニス塗布ローラー96の周面に転写される。
第1の中間転写ローラー94は、汲み上げローラー92の回転軸を中心に揺動可能に設けられる。第1の中間転写ローラー94は、図示しないアクチュエータに駆動されて、図2に実線で示す当接位置と、図2に破線で示す退避位置との間を移動する。第1の中間転写ローラー94は、当接位置に移動すると、第2の中間転写ローラー95の周面に当接し、退避位置に移動すると、第2の中間転写ローラー95の周面から離間する。第1の中間転写ローラー94の移動を制御することにより、ニス塗布ローラー96に対するニスの供給をON/OFFできる。すなわち、ニスの供給と供給停止とを制御できる。
ニス塗布ローラー96は、ニスコートドラム61によって搬送される用紙Pの画像表面にニスを塗布する。ニス塗布ローラー96は、第2の中間転写ローラー95の回転軸を中心に揺動可能に設けられる。ニス塗布ローラー96は、図示しないアクチュエータに駆動されて、図2に実線で示す塗布位置と、図2に破線で示す離間位置との間を移動する。ニス塗布ローラー96は、塗布位置に移動すると、ニスコートドラム61の周面に押圧当接され、離間位置に移動すると、ニスコートドラム61の周面から離間する。ニス塗布ローラー96の移動を制御することにより、用紙Pに対するニスの塗布をON/OFFできる。すなわち、ニスコートの有無を制御できる。
ニスコート部60は、以上のように構成される。用紙Pは、インク乾燥部チェーンデリバリー51からニスコートドラム61に受け渡される。ニスコートドラム61は、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。
ニスコートする場合、用紙Pは、ニスコートドラム61によって搬送される過程で印刷面にニス塗布ローラー96が押圧当接される。これにより、印刷面にニスが塗布され、ニスコートされる。
ニスコートしない場合、用紙Pはニスコート部60を素通しされる。すなわち、ニス塗布ローラー96が押圧当接されずに搬送される。この場合、ニス塗布ローラー96は離間位置に位置し、第1の中間転写ローラー94は退避位置に位置する。これにより、用紙Pは、ニスコート部60を素通しされる。
〈UV照射部〉
UV照射部70は、ニスコート部60でUVニスが塗布された用紙PにUVを照射して、UVニスを硬化させる。図1に示すように、UV照射部70は、用紙Pを搬送するUV照射部チェーンデリバリー71と、UV照射部チェーンデリバリー71によって搬送される用紙PをガイドするUV照射部用紙ガイド72と、UV照射部チェーンデリバリー71によって搬送される用紙Pの画像表面にUVを照射して、UVニスを硬化させるUV照射装置73と、を備える。
UV照射部チェーンデリバリー71は、ニスコートドラム61から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。UV照射部チェーンデリバリー71は、一定の走行経路に沿って走行する一対の無端状のチェーンを備え、その一対のチェーンに掛け渡されたグリッパーによって用紙Pの先端を把持して、用紙Pを搬送する。
UV照射部用紙ガイド72は、UV照射部チェーンデリバリー71によって搬送される用紙Pの走行をガイドする。UV照射部用紙ガイド72は、用紙Pの搬送経路に沿って配置される平坦なガイド面を有する。ガイド面には、多数の吸引穴が備えられる。UV照射部チェーンデリバリー71によって搬送される用紙Pは、ガイド面に備えられた吸引穴から吸引されながら、ガイド面上を摺動する。これにより、用紙Pに張力を与えながら搬送できる。
UV照射装置73は、UV照射部チェーンデリバリー71によって搬送される用紙Pの画像表面にUVを照射する。UV照射装置73は、複数のUVランプを備える。UVランプは、用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔で配置される。
UV照射部70は、以上のように構成される。用紙Pは、ニスコートドラム61からUV照射部チェーンデリバリー71に受け渡される。UV照射部チェーンデリバリー71は、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。用紙Pは、その搬送過程でUVニスが塗布された面にUV照射装置73からUVが照射される。これにより、塗布されたUVニスが硬化する。
なお、ニスコートなしの場合、用紙PはUV照射部70を素通しされる。すなわち、UV照射装置73がOFFされ、UV照射されずに搬送される。
〈集積部〉
集積部80は、印刷後の用紙Pの回収部であり、順次排紙される用紙Pを積み重ねて回収する。集積部80は、スタッカー81を備える。スタッカー81は、順次排紙される用紙Pをトレーの上に揃えて積み重ねる。
用紙Pは、UV照射部チェーンデリバリー71によって集積部80まで搬送される。UV照射部チェーンデリバリー71は、用紙Pを所定の排紙位置で搬送すると、グリッパーによる把持を解除し、用紙Pをリリースする。集積部80は、UV照射部チェーンデリバリー71からリリースされた用紙Pを受け、トレーの上に積み重ねて回収する。
《インクジェット印刷装置による全体の処理の流れ》
本実施の形態のインクジェット印刷装置1では、プレコート、プレコート液の乾燥、印刷、インクの乾燥、UVニスコート、UV照射の順で用紙Pが処理される。
用紙Pは、給紙部10から1枚ずつ順に一定の給紙間隔で給紙される。給紙部10から給紙された用紙Pは、まず、プレコート部20でプレコート処理される。すなわち、印刷面にプレコート液が塗布する処理が行われる。
プレコート処理された用紙Pは、次に、プレコート液乾燥部30で乾燥処理される。すなわち、印刷面に塗布されたプレコート液を乾燥させる処理が行われる。
プレコート液を乾燥させた用紙Pは、次に、印刷部40で印刷処理される。すなわち、印刷面にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクを打滴して、画像を印刷する処理が行われる。
印刷処理された用紙Pは、次に、インク乾燥部50で乾燥処理される。すなわち、印刷面に打滴されたインクを乾燥させる処理が行われる。この際、用紙Pの到達温度Tが、規定範囲(T1≦T≦T2)に収まるように、乾燥強度が設定されて、乾燥処理が行われる。この点については、後述する。
インクを乾燥させた用紙Pは、次に、ニスコート部60でUVニスコートされる。すなわち、画像表面にUVニスが塗布する処理が行われる。
UVニスコートされた用紙Pは、次に、UV照射部70でUV照射処理が行われる。すなわち、ニスコートされた面にUVが照射されて、UVニスを硬化させる処理が行われる。
UV照射された用紙Pは、順次、集積部80に排紙され、束状に積み重ねられて回収される。
印刷後の用紙Pを乾燥させる際、用紙Pの到達温度Tが規定範囲(T1≦T≦T2)に収まるように、用紙Pを加熱して乾燥させることにより、その後の工程で塗布されるUVニスの光沢性及び密着性を良好に確保できる。また、用紙Pのカール、カックル等の変形及びブロッキングの発生も防止できる。
《インクジェット印刷装置の制御系》
図3は、インクジェット印刷装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
インクジェット印刷装置1の全体の動作は、コンピューター100によって制御される。コンピューター100には、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、インターフェース部101、操作部102、表示部103、記憶部104等が接続される。
インターフェース部101は、外部機器等と接続する手段である。接続方式は、特に限定されず、種々の方式を採用できる。印刷する画像データは、インターフェース部101を介して外部機器等から取得される。
操作部102は、インクジェット印刷装置1を操作する手段である。操作部102は、タッチパネル、マウス、キーボード等の入力デバイスで構成される。
表示部103は、各種情報を表示する手段である。表示部103は、たとえば、液晶モニタ等の表示デバイスで構成される。
記憶部104は、各種情報を記憶する手段である。記憶部104は、たとえば、ハードディスク装置等の記憶デバイスで構成される。コンピューター100が実行するプログラム、制御に必要な各種データ等は、ROM又は記憶部104に格納される。
〈各部の制御〉
図4は、コンピューターが実現する機能のブロック図である。
図4に示すように、コンピューター100は、所定のプログラムを実行することにより、給紙制御部111、プレコート制御部112、プレコート液乾燥制御部113、印刷制御部114、インク乾燥制御部115、ニスコート制御部116、UV照射制御部117、集積制御部118として機能する。
給紙制御部111は、給紙部10を制御して、用紙Pの給紙を制御する。具体的には、用紙Pが一定の速度で順次給紙されるように、給紙部10の各部の動作を制御する。
プレコート制御部112は、プレコート部20を制御して、用紙Pへのプレコート液の塗布を制御する。具体的には、用紙Pに所定の厚さでプレコート液が塗布されるように、プレコート部20の各部の動作を制御する。
プレコート液乾燥制御部113は、プレコート液乾燥部30を制御して、用紙Pに塗布されたプレコート液の乾燥を制御する。具体的には、塗布されたプレコート液が所定の乾燥量で乾燥するように、プレコート液乾燥部30の各部の動作を制御する。
印刷制御部114は、印刷部40を制御して、用紙Pへの印刷を制御する。具体的には、用紙Pに所定の画像が印刷されるように、印刷部40の各部の動作を制御する。
インク乾燥制御部115は、インク乾燥部50を制御して、インクの乾燥を制御する。具体的には、付与されたインクが所定の乾燥量で乾燥するように、インク乾燥部50の各部の動作を制御する。この際、用紙Pの到達温度Tが、規定範囲(T1≦T≦T2)に収まるように、乾燥強度が設定されて、乾燥処理が行われる。この点については、後述する。
ニスコート制御部116は、ニスコート部60を制御して、用紙Pへのニスの塗布を制御する。具体的には、一定の厚さでニスが塗布されるように、ニスコート部60の各部の動作を制御する。ニスコートしない場合は、ニスが塗布されないように、ニスコート部60の各部の動作を制御する。ニスコートする場合に塗布するニスはUVニスである。
UV照射制御部117は、UV照射部70を制御して、用紙PへのUVの照射を制御する。具体的には、UVニスコートされた場合にUV照射部70を動作させて、用紙PにUVを照射する。
集積制御部118は、集積部80を制御して、用紙Pの集積を制御する。具体的には、順次排紙される用紙Pが、束状に積み重ねられて回収されるように、集積部80の各部の動作を制御する。
〈画像処理部〉
図4に示すように、コンピューター100は、所定のプログラムを実行することにより、画像処理部130としても機能する。
画像処理部130は、印刷するために外部機器等から取得した画像データをインクジェット印刷装置1で処理可能な形式のデータ(印刷用データ)に変換する。
図5は、画像処理部が実現する機能のブロック図である。
画像処理部130は、色変換処理部131、及び、ハーフトーン処理部132を備える。
〔色変換処理部〕
色変換処理部131は、印刷するために外部機器等から取得した画像データを印刷部40で使用する各色のインク量データに変換する処理を行う。
外部機器等から取得する画像データは、たとえば、sRGBなどのRGB形式で表現された画像データである。sRGBとは、国際電気標準会議 (IEC:International Electrotechnical Commission) が定めたRGB色空間の規格である。RGBとは、色の表現法の一種で、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの原色を混ぜて幅広い色を再現する加法混合の一種である。RGBは三原色の頭文字である。
印刷部40は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクで印刷する。したがって、色変換処理部131は、画像データをシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインク量データに変換する。
各色のインク量データに変換する処理、すなわち、色変換処理は、たとえば、ルックアップテーブルを参照して行われる。この方式では、入力RGB値に対応する出力インク量の組み合わせをあらかじめ書き込んだルックアップテーブルを用意し、そのルックアップテーブルを参照することで出力インク量を求める。
〔ハーフトーン処理部〕
ハーフトーン処理部132は、色変換処理部131で生成された各色のインク量データをドットのON/OFFで表現されたドット配置データに変換する処理を行う。ハーフトーン処理部132は、色変換処理部131で生成された各色のインク量データをハーフトーン処理することにより、各色のドット配置データに変換する。
ハーフトーン処理部132で生成されるドット配置データが、印刷用データとされる。印刷制御部114は、生成された印刷用データに基づいて、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kを駆動し、用紙Pに画像データが表わす画像を印刷する。
〈乾燥強度設定部〉
図4に示すように、コンピューター100は、所定のプログラムを実行することにより、乾燥強度設定部140としても機能する。
乾燥強度設定部140は、インク乾燥部50の乾燥強度を設定する。この際、加熱による用紙Pの到達温度が、規定範囲内に収まるように乾燥強度を設定する。用紙Pの到達温度とは、用紙Pを加熱することによって到達する最高温度のことである。したがって、たとえば、用紙Pを加熱することによって、用紙Pの温度が100℃まで上昇した場合は、到達温度が100℃となる。規定範囲は、UVニスの光沢の低下を防止でき、かつ、ブロッキングを防止できる温度の下限値をT1、UVニスの密着性の低下を防止でき、かつ、用紙の変形を防止できる温度の上限値をT2とした場合、T1以上、かつ、T2以下である(T1≦T≦T2)。
なお、「UVニスの光沢の低下を防止できる」とは、許容される範囲内で光沢の低下を防止できることを意味する。同様に、「ブロッキングを防止できる」とは、許容される範囲内でブロッキングを防止できることを意味する。また、「UVニスの密着性の低下を防止できる」とは、許容される範囲内で密着性の低下を防止できることを意味する。また、「用紙の変形を防止できる」とは、許容される範囲内で変形を防止できることを意味する。
温度T1は、使用するUVニスの種類、用紙の種類、用紙の厚さ、表面印刷か裏面印刷か等によって変化する。ゆえに、具体的な数値としては定まらず、各条件の組み合わせによって調整する必要がある。
温度T2は、水分の沸点が100℃であるため、100℃未満にすることが望ましい。しかし、用紙の種類によっては、用紙変形しにくい用紙もあるので、100℃以上にすることも可能である。
好ましい用紙Pの到達温度の範囲(用紙の到達温度の規定範囲)については、後に詳述する。
図6は、乾燥強度設定部が実現する機能のブロック図である。
乾燥強度設定部140は、用紙に印刷する画像を解析し、描画条件が同じ領域を抽出する領域抽出部141と、描画条件ごとの占有面積を算出する描画条件別占有面積算出部142と、占有面積が最大となる描画条件を選出する最大占有面積描画条件選出部143と、最大占有面積描画条件選出部143で選出された描画条件に基づいて、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を算出する乾燥強度算出部144と、を備える。
〔領域抽出部〕
領域抽出部141は、用紙に印刷する画像(ここでは、印刷用データ)を解析し、描画条件が同じ領域を抽出する。ここでは、印刷用データを解析して、描画条件が同じ領域を抽出する。描画条件は、色及びインク量で規定される。すなわち、描画条件が同じ領域とは、色及びインク量が同じ領域のことである。したがって、領域抽出部141は、色及びインク量が同じ領域を抽出する。
ここで、色が同じとは、C、M、Y、Kの各濃度階調レベルが同じであることをいう。各色の濃度階調レベルは、慣用的に網点面積率(dot percent)で表現される。網点面積率は、網点階調において、単位面積あたりに占める網点面積の割合をパーセント(%:百分率)で表したものであり、印刷物の濃淡の度合いを表現する。いわゆるベタ印刷の部分は100%、白紙の地の部分は0%、その中間は50%となる。網点面積率は、網%とも称される。したがって、色が同じとは、C、M、Y、Kの各網%が同じであることを意味する。
濃度階調レベルを網%で表現すると、C、M、Y、Kの各濃度階調レベルは、C10、M20、Y30、K40などと表現される。この場合、シアン(C)が10%、マゼンタ(M)が20%、イエロー(Y)が30%、ブラック(K)が40%を意味する。そして、同じ色の領域とは、当該数値が同じ領域を意味する。
厳密には、C、M、Y、Kの各網%が完全に一致する場合が同じ色であるが、同じ色とみなす範囲に一定の幅を持たせてもよい。たとえば、各色の網%を3%刻みで区分けし、同じ区分に入る場合は、同じ網%とみなして、同じ色か否かを判別してもよい。この場合、たとえば、「C10、M20、Y30、K40」と「C11、M22、Y32、K41」は同じ色とみなされる。このように、同じ色とみなす範囲に一定の幅を持たせることにより、演算処理負荷を低減できる。なお、同じ色とみなす数値幅を設定変更できるようにすることがより好ましい。
また、インク量が同じとは、単位面積当たりの平均インク量が同じことを意味する。
抽出する領域の1個単位は、たとえば、同じ描画条件の領域が、X[inch]×Y[inch]の範囲で連続している場合と定める(1[inch]≒25.4[mm])。X及びYは、固定値としてもよいし、ユーザーが任意に設定できる数値としてもよい。X及びYが大きくなるほど、いわゆるベタとして広範囲に視認される画像領域のみが対象となる。また、連続範囲がX[inch]×Y[inch]に到達しない一定面積未満の領域は、抽出対象から外れる。これにより、乾燥強度の設定に及ぼす影響の低い微小な領域を除外でき、後の処理の負荷を低減できる。
図7は、印刷する画像の一例を示す図である。
同図に示す例の場合、同じ描画条件の領域として、領域A1〜領域A6の6つの領域が抽出される。
〔描画条件別占有面積算出部〕
描画条件別占有面積算出部142は、領域抽出部141で抽出された描画条件ごとの占有面積を算出する。描画条件ごとの占有面積であるので、同じ描画条件の領域が複数抽出されている場合は、1つにまとめて占有面積が算出される。すなわち、抽出された領域が非連続(いわゆる飛び地)で2個以上存在する場合は合算し、1個(=1条件)の画像領域とみなして、占有面積を算出する。
図8は、図7に示す画像の描画条件別の占有面積の算出結果を示す表である。
同じ描画条件の領域として抽出された領域A1、A2、A3、A4、A5、A6の各領域の占有面積が、それぞれS1、S2、S3、S4、S5、S6であるとする。
なお、同図において、面積占有率とは、各領域が、用紙Pの印刷可能領域に占める割合である。印刷可能領域とは、印刷部40で印刷できる領域である。通常、用紙Pには、前後左右に余白領域が設定されるので、その余白領域を除いた領域が印刷可能領域とされる。印刷可能領域の面積をS0とすると、面積占有率Rnは、Rn=Sn/S0で算出される(nは領域の番号)。たとえば、領域A1の占有面積R1は、R1=S1/S0で算出される。占有面積の最も大きな領域が、最も大きな占有面積率になる。
なお、抽出対象から除外される領域もあるので、面積占有率の合計は、必ず100%になるとは限らない。
〔最大占有面積描画条件選出部〕
最大占有面積描画条件選出部143は、描画条件別占有面積算出部142で算出される描画条件ごとの占有面積に基づいて、占有面積が最大となる描画条件を選出する。
図7に示す画像の場合、図8に示すように、占有面積が最大となる描画条件は、領域A3の描画条件である。したがって、図7に示す例の場合、最大占有面積描画条件選出部143は、領域A3の描画条件を占有面積が最大となる描画条件として選出する。
なお、占有面積が最大の領域は、面積占有率も最大となるので、面積占有率が最大となる領域を抽出して、占有面積が最大となる描画条件を選出することもできる。
〔乾燥強度算出部〕
乾燥強度算出部144は、最大占有面積描画条件選出部143で選出された描画条件に基づいて、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を算出する。具体的には、描画条件ごとに定められた補正条件を参照して、最大占有面積描画条件選出部143で選出された描画条件に対応する補正条件を求め、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して乾燥強度を算出する。すなわち、占有面積が最大となる描画条件に対応した補正条件で基準となる乾燥強度(基準乾燥強度)を補正し、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を算出する。
**基準乾燥強度**
基準乾燥強度は、所定の画像を所定の印刷条件で印刷した場合に用紙Pの到達温度が規定範囲(T1≦T≦T2)に収まる強度として設定される。印刷条件が変われば、基準乾燥強度も変わる。したがって、印刷条件に応じて基準乾燥強度を設定することが好ましい。
基準乾燥強度の設定は、コンピューター100が行う。コンピューター100は、所定のプログラムを実行することにより、基準乾燥強度設定部150として機能する。
図9は、基準乾燥強度設定部が提供する機能のブロック図である。
基準乾燥強度設定部150は、印刷条件の情報を取得し、取得した印刷条件の情報に基づいて、基準乾燥強度を設定する。
印刷条件は、たとえば、UVニスの種類、用紙の種類、用紙の厚さ(重量)、印刷面の区別等である。なお、印刷面の区別とは、表面印刷か裏面印刷かの区別である。裏面印刷とは、印刷済みの用紙の裏面(印刷されていない方の面)への印刷である。また、表面印刷とは、印刷されていない用紙への印刷である。基準乾燥強度設定部150は、たとえば、ユーザーによって操作部102から入力された情報等を取得して、印刷条件の情報を取得する。
基準乾燥強度設定部150は、あらかじめ印刷条件と基準乾燥強度とを対応づけたテーブルを用意し、そのテーブルを参照して基準乾燥強度を設定する。この他、たとえば、所定の画像を所定の印刷条件で印刷した場合の乾燥強度を標準の乾燥強度として定め、標準の乾燥強度を印刷条件ごとに定められた補正量で補正して、基準乾燥強度を求めるようにしてもよい。
図10は、基準乾燥強度の設定の一例を示す表である。
同図に示す例では、印刷条件として、UVニスの種類、用紙の種類、用紙の厚さ、印刷面の区別情報を取得し、これらの情報に基づいて、基準乾燥強度を設定している。この例では、UVニスの種類が「ニスA」、用紙の種類が「用紙A」、用紙の厚さが0.38[mm]、印刷面の区別が表面印刷であり、基準乾燥強度が8に設定されている。
また、同図に示す例では、画像の描画条件として、色がシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかの色とされ、インク量が3.0[pL]とされている。なお、基準乾燥強度を求める際の画像の描画条件は、これに限定されるものではない。
**補正条件**
乾燥強度算出部144は、基準乾燥強度を占有面積が最大となる描画条件に対応した補正条件で補正して、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を算出する。補正条件は、基準乾燥強度の補正量として規定される。
補正条件は、テーブルで規定され、描画条件ごとに定められる。上記のように、描画条件は、色及びインク量で規定されるので、色ごと、及び、インク量ごとに補正条件が定められる。
図11は、色ごとの補正条件を定めたテーブルの一例を示す図である。なお、同図は、色ごとの補正条件を定めたテーブルの一部であり、典型的な色の例を示している。
図11において、Kはブラック、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Rはレッド、Gはグリーン、Bはブルーである。4Cとは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色を使用した混色である。3Cとは、シアン、マゼンタ及びブラックを使用した混色である。
ブラック(K)、4Cなど黒系の色は、ヒーターの熱の吸収率が高く、乾燥時の温度が上がりやすいので、乾燥強度を弱める方向に補正される。
図12は、インク量ごとの補正条件を定めたテーブルの一例を示す図である。
同図に示すように、基準となるインク量(この例では3.0[pL])に対して、インク量が多くなるほど乾燥強度を強めるように補正量が設定され、インク量が少なくなるほど乾燥強度を弱めるように補正量が設定される。
なお、インク量は、単位面積当たりの平均インク量であり、次式のように定義される。
インク量=[(A×N1)+(B×N2)]/[N0+N1+N2]
ここで、N0は、非吐出のドット数、N1は、小滴の吐出ドット数、N2は、大滴の吐出ドット数である。N1及びN2は、目標画像濃度に対してハーフトーン設計によって決定される。
また、Aは、小滴の滴量[pL]、Bは、大滴の滴量[pL]である。本実施の形態のインクジェット印刷装置1の場合、大滴の滴量が6.7[pL]、小滴の滴量が2.2[pL]である。
インク量の計算は、インクジェット印刷装置の解像度によって異なる。本実施の形態のインクジェット印刷装置では、たとえば、1200[dpi]×1200[dpi]の解像度で実施される(dpi:dot per inch/1インチ当りのドット数)。
また、インク量の計算は、吐出可能な液滴のサイズによって異なる。上記の例は、大滴及び小滴の吐出が可能な場合の例である。なお、大滴、中滴、小滴のように3サイズの液滴が吐出可能な場合であっても、通常の印刷において、大滴を使用しない場合には、大滴の吐出は考慮に入れずに計算される。大滴、中滴、小滴の吐出が可能な場合において、通常の印刷で大滴を使用しない場合とは、たとえば、大滴を不吐出補正、濃度ムラ補正等に使用する場合である。
**演算処理**
乾燥強度算出部144は、補正条件を定めたテーブルを参照して、最大占有面積描画条件選出部143で選出された描画条件に対応する補正条件を求め、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して乾燥強度を算出する。
図7に示す画像の場合、次のように乾燥強度が算出される。
図7に示す画像の場合、占有面積が最大となる描画条件として最大占有面積描画条件選出部143によって選出される描画条件は、領域A3の描画条件である。
乾燥強度算出部144は、領域A3の描画条件の情報を取得し、その描画条件に対応する補正条件を求める。補正条件は、テーブルを参照して取得する。図8によれば、領域A3の描画条件は、色がマゼンタ(M)、インク量が2.0[pL]である。また、図11及び図12によれば、領域A3の描画条件に対応する補正条件は、色に関して補正量:0、インク量に関して補正量:−1である。よって、この場合の補正条件(補正量)は、両者の補正量を足して−1(=[0]+[−1])である。
求めた補正条件で基準乾燥強度を算出する。基準乾燥強度が8であるとすると、求める乾燥強度は、7となる([基準乾燥強度(8)]+[補正量(−1)]=[乾燥強度(7)])。
《乾燥強度設定方法》
図13は、インク乾燥部の乾燥強度の設定手順を示すフローチャートである。
まず、基準乾燥強度を設定するために、印刷条件の情報を取得する(ステップS11)。ここでは、UVニスの種類、用紙の種類、用紙の厚さ、印刷面の区別の情報を取得する。各情報は、操作部102を介してユーザーが入力する。
次に、取得した印刷条件の情報に基づいて、基準乾燥強度を設定する(ステップS12)。基準乾燥強度は、印刷条件として取得した各情報に基づき、テーブルを参照して設定する。
次に、印刷する画像を取得する(ステップS13)。ここでは、印刷用データを取得する。印刷用データは、画像処理部130から取得する。
次に、取得した印刷用データを解析し、描画条件が同じ領域を抽出する(ステップS14)。ここでは、色及びインク量が同じ領域を抽出する。
次に、描画条件ごとの占有面積を算出する(ステップS15)。すなわち、同じ描画条件の領域を1つにまとめて、描画条件ごとの占有面積を算出する。
次に、算出した描画条件ごとの占有面積に基づいて、占有面積が最大となる描画条件を選出する(ステップS16)。
次に、占有面積が最大となる描画条件として選出した描画条件に基づいて、補正条件を取得する(ステップS17)。補正条件は、テーブルを参照して取得する。すなわち、選出した描画条件に対応する補正条件をテーブルから読み出して取得する。
次に、取得した補正条件で基準乾燥強度設定を補正し、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を算出する(ステップS18)。
以上一連の工程でインク乾燥部50に設定する乾燥強度が求められ、用紙Pの到達温度が規定範囲内に収まる強度に設定できる。印刷時、インク乾燥制御部115は、設定された乾燥強度で加熱装置53を作動させて、印刷後の用紙Pを乾燥させる。これにより、用紙Pの到達温度を規定範囲(T1≦T≦T2)に収めて、用紙Pを乾燥させることができる。また、これにより、後の工程で塗布されるUVニスの光沢を良好に確保でき、かつ、密着性も良好に確保できる。また、用紙Pの変形も防止でき、かつ、ブロッキングの発生も防止できる。
《変形例》
占有面積が最大となる描画条件を選出する際、画像によっては、複数の描画条件が選出される場合がある。この場合は、次のように取り扱うことが好ましい。すなわち、選出された複数の描画条件のそれぞれについて、乾燥強度を算出する。算出された乾燥強度が、すべて同じ場合は、算出された乾燥強度をインク乾燥部50の乾燥強度に設定する。一方、算出された乾燥強度が異なる場合、最も強い強度で算出された乾燥強度をインク乾燥部50の乾燥強度に設定する。膜強度を確保した方が、リスクが少ない場合が多いと考えられるからである。
◆◆第2の実施の形態◆◆
上記第1の実施の形態のインクジェット印刷装置では、画像を描画条件ごとに分けた場合に、最も大きな割合を占める領域に合わせて、インク乾燥部50の乾燥強度を設定している。
本実施の形態のインクジェット印刷装置では、同じ乾燥強度に設定すべきとされる領域のうち最大の占有面積を有する領域に合わせて、インク乾燥部50の乾燥強度を設定する。
上記第1の実施の形態のインクジェット印刷装置とは、乾燥強度の設定の仕方が異なるだけであるので、ここでは、乾燥強度の設定に関わる構成についてのみ説明する。
《乾燥強度設定部》
インク乾燥部50の乾燥強度の設定は、乾燥強度設定部140が行う。乾燥強度設定部140の機能は、コンピューターが所定のプログラムを実行することにより実現される。
図14は、乾燥強度設定部が実現する機能のブロック図である。
乾燥強度設定部140は、用紙Pに印刷する画像を解析し、描画条件が同じ領域を抽出する領域抽出部141と、描画条件ごとの占有面積を算出する描画条件別占有面積算出部142と、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する個別乾燥強度算出部145と、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する乾燥強度別占有面積算出部146と、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する最大占有面積乾燥強度選出部147と、を備え、最大占有面積乾燥強度選出部147で選出された乾燥強度をインク乾燥部50の乾燥強度に設定する。
〈領域抽出部〉
領域抽出部141は、用紙Pに印刷する画像を解析し、描画条件が同じ領域を抽出する。領域抽出部141の機能は、上記第1の実施の形態のインクジェット印刷装置における領域抽出部141の機能と同じである。したがって、その説明は省略する。描画条件が同じ領域として抽出される領域は、色及びインク量が同じ領域である。
〈描画条件別占有面積算出部〉
描画条件別占有面積算出部142は、描画条件ごとの占有面積を算出する。描画条件別占有面積算出部142の機能は、上記第1の実施の形態のインクジェット印刷装置における描画条件別占有面積算出部142の機能と同じである。したがって、その説明は省略する。
〈個別乾燥強度算出部〉
個別乾燥強度算出部145は、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する。算出される乾燥強度は、領域抽出部141で領域が抽出された描画条件についてのみである。
乾燥強度の算出手順は、上記第1の実施の形態において、乾燥強度を算出した手順と同じである。上記第1の実施の形態では、占有面積が最大となる描画条件に対応した補正条件で基準乾燥強度を補正して、乾燥強度を算出しているが、ここでは、領域抽出部141で領域が抽出された描画条件ごとに乾燥強度が算出される。
基準乾燥強度の設定も上記第1の実施の形態と同じである。すなわち、印刷条件に応じて基準乾燥強度が設定される。
補正条件も上記第1の実施の形態と同様に、テーブルで規定される。すなわち、色ごとの補正条件(補正量)を定めたテーブルと、インク量ごとに補正条件(補正量)を定めたテーブルが用意される。
個別乾燥強度算出部145は、テーブルを参照して、描画条件ごとに補正条件を求め、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して、描画条件ごとに乾燥強度を求める。描画条件ごとに求めた乾燥強度を「個別乾燥強度」と称する。
図15は、描画条件ごとの乾燥強度(個別乾燥強度)の算出結果の一例を示す表である。
同図に示す表は、図7に示す画像を印刷する場合の個別乾燥強度の算出結果を示している。補正条件は、図11及び図12に示すテーブルから取得したものである。また、基準乾燥強度は「8」としている。
図15によれば、領域A1は個別乾燥強度が「7」、領域A2は個別乾燥強度が「6」、領域A3は個別乾燥強度が「7」、領域A4は個別乾燥強度が「7」、領域A5は個別乾燥強度が「9」、領域A6は個別乾燥強度が「7」に設定される。
〈乾燥強度別占有面積算出部〉
乾燥強度別占有面積算出部146は、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する。すなわち、個別乾燥強度が同じ描画条件の占有面積を足し合わせて、乾燥強度ごとの占有面積を算出する。
図16は、乾燥強度ごとの占有面積の算出結果の一例を示す表である。
個別乾燥強度算出部145の算出結果によれば、領域A1、領域A3、領域A4及び領域A6が、共に同じ乾燥強度(個別乾燥強度)の領域となる。すなわち、すべて個別乾燥強度が「7」の領域である。
領域A2及び領域A5については、同じ個別乾燥強度の領域が存在しない。したがって、領域A2及び領域A5は、それぞれ単独の領域である。
算出された個別乾燥強度は、「6」、「7」及び「9」の3つである。したがって、本例の場合、個別乾燥強度が「6」、「7」、「9」について、その占有面積を算出する。
個別乾燥強度「7」の占有面積は、領域A1、領域A3、領域A4及び領域A6の占有面積を足し合わせたものである。すなわち、「S1+S3+S4+S6」が、個別乾燥強度「7」の占有面積である。
個別乾燥強度「6」の占有面積は、領域A2のみである。したがって、個別乾燥強度「6」の占有面積は、領域A2の占有面積「S2」となる。
個別乾燥強度「9」の占有面積は、領域A5のみである。したがって、個別乾燥強度「9」の占有面積は、領域A5の占有面積「S5」となる。
〈最大占有面積乾燥強度選出部〉
最大占有面積乾燥強度選出部147は、乾燥強度別占有面積算出部146の算出結果に基づいて、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する。
図16によれば、占有面積が最大となる乾燥強度は「7」である。したがって、この場合、乾燥強度「7」が選出される。
この最大占有面積乾燥強度選出部147で選出された乾燥強度が、インク乾燥部50の乾燥強度に設定される。
《乾燥強度設定方法》
図17は、インク乾燥部の乾燥強度の設定手順を示すフローチャートである。
まず、基準乾燥強度を設定するために、印刷条件の情報を取得する(ステップS21)。ここでは、UVニスの種類、用紙の種類、用紙の厚さ、印刷面の区別の情報を取得する。各情報は、操作部102を介してユーザーが入力する。
次に、取得した印刷条件の情報に基づいて、基準乾燥強度を設定する(ステップS22)。基準乾燥強度は、印刷条件として取得した各情報に基づき、テーブルを参照して設定する。
次に、印刷する画像を取得する(ステップS23)。ここでは、印刷用データを取得する。印刷用データは、画像処理部130から取得する。
次に、取得した印刷用データを解析し、描画条件が同じ領域を抽出する(ステップS24)。ここでは、色及びインク量が同じ領域を抽出する。
次に、描画条件ごとの占有面積を算出する(ステップS25)。すなわち、同じ描画条件の領域を1つにまとめて、描画条件ごとの占有面積を算出する。
次に、描画条件ごとに乾燥強度を算出する(ステップS26)。すなわち、個別乾燥強度を算出する。個別乾燥強度は、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正して算出する。補正条件はテーブルを参照して取得する。なお、個別乾燥強度が算出されるのは、領域が抽出された描画条件についてのみである。
次に、描画条件ごとに定められた乾燥強度(個別乾燥強度)に基づいて、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する(ステップS27)。
次に、乾燥強度ごとの占有面積の算出結果に基づいて、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する(ステップS28)。選出された乾燥強度が、インク乾燥部50の乾燥強度に設定される。これにより、最も広い範囲を基準に乾燥強度を設定できる。
印刷時、インク乾燥制御部115は、設定された乾燥強度で加熱装置53を作動させて、印刷後の用紙Pを乾燥させる。これにより、最も広い範囲において、用紙Pの到達温度を規定範囲(T1≦T≦T2)に収めて乾燥させることができる。また、これにより、後の工程で塗布されるUVニスの光沢を良好に確保でき、かつ、密着性も良好に確保できる。また、用紙Pの変形も防止でき、かつ、ブロッキングの発生も防止できる。
◆◆第3の実施の形態◆◆
本実施の形態のインクジェット印刷装置では、上記第1の実施の形態の方法で乾燥強度を求め、求めた乾燥強度を必要に応じて補正する。補正は、次のように行われる。すなわち、上記第2の実施の形態の方法で乾燥強度を求め、求めた乾燥強度が、上記第1の実施の形態の方法で求めた乾燥強度と異なる場合、上記第2の実施の形態の方法で求めた乾燥強度に変更する。
上記第1の実施の形態のインクジェット印刷装置とは、乾燥強度を自動的に補正する機能が更に備えられている点で相違するだけである。したがって、ここでは、乾燥強度を自動的に補正する機能に関わる構成についてのみ説明する。
《乾燥強度設定部》
図18は、補正機能を備えた乾燥強度設定部のブロック図である。
乾燥強度設定部140は、用紙に印刷する画像を解析し、描画条件が同じ領域を抽出する領域抽出部141と、描画条件ごとの占有面積を算出する描画条件別占有面積算出部142と、占有面積が最大となる描画条件を選出する最大占有面積描画条件選出部143と、最大占有面積描画条件選出部143で選出された描画条件に基づいて、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を算出する乾燥強度算出部144と、に加えて、更に、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する個別乾燥強度算出部145と、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する乾燥強度別占有面積算出部146と、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する最大占有面積乾燥強度選出部147と、乾燥強度算出部144で算出された乾燥強度と最大占有面積乾燥強度選出部147で選出された乾燥強度とを比較し、乾燥強度算出部144で算出された乾燥強度が、最大占有面積乾燥強度選出部147で選出された乾燥強度と異なる場合に、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を最大占有面積乾燥強度選出部147で選出された乾燥強度に変更する乾燥強度変更部148と、を備える。
個別乾燥強度算出部145、乾燥強度別占有面積算出部146、及び、最大占有面積乾燥強度選出部147の機能は、上述した第2の実施の形態の乾燥強度設定部に備えられる個別乾燥強度算出部145、乾燥強度別占有面積算出部146、及び、最大占有面積乾燥強度選出部147の機能と同じである。
乾燥強度変更部148は、乾燥強度算出部144で算出された乾燥強度Dxと最大占有面積乾燥強度選出部147で選出された乾燥強度Dyとを比較し、乾燥強度算出部144で算出された乾燥強度Dxが、最大占有面積乾燥強度選出部147で選出された乾燥強度Dyと異なる場合に、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を最大占有面積乾燥強度選出部147で選出された乾燥強度Dyに変更する。
《乾燥強度設定方法》
図19は、インク乾燥部の乾燥強度の設定手順を示すフローチャートである。
まず、基準乾燥強度を設定するために、印刷条件の情報を取得する(ステップS31)。ここでは、UVニスの種類、用紙の種類、用紙の厚さ、印刷面の区別の情報を取得する。各情報は、操作部102を介してユーザーが入力する。
次に、取得した印刷条件の情報に基づいて、基準乾燥強度を設定する(ステップS32)。基準乾燥強度は、印刷条件として取得した各情報に基づき、テーブルを参照して設定する。
次に、印刷する画像を取得する(ステップS33)。ここでは、印刷用データを取得する。印刷用データは、画像処理部130から取得する。
次に、取得した印刷用データを解析し、描画条件が同じ領域を抽出する(ステップS34)。ここでは、色及びインク量が同じ領域を抽出する。
次に、描画条件ごとの占有面積を算出する(ステップS35)。すなわち、同じ描画条件の領域を1つにまとめて、描画条件ごとの占有面積を算出する。
次に、算出した描画条件ごとの占有面積に基づいて、占有面積が最大となる描画条件を選出する(ステップS36)。
次に、占有面積が最大となる描画条件として選出した描画条件に基づいて、補正条件を取得する(ステップS37)。補正条件は、テーブルを参照して取得する。すなわち、選出した描画条件に対応する補正条件をテーブルから読み出して取得する。
次に、取得した補正条件で基準乾燥強度設定を補正し、インク乾燥部50に設定すべき乾燥強度を算出する(ステップS38)。そして、算出した乾燥強度をインク乾燥部50に設定する乾燥強度に仮設定する(ステップS39)。仮設定する乾燥強度をDxとする。
次に、描画条件ごとに乾燥強度を算出する(ステップS41)。すなわち、個別乾燥強度を算出する。個別乾燥強度は、描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正して算出する。
次に、描画条件ごとに定められた乾燥強度(個別乾燥強度)に基づいて、乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する(ステップS42)。
次に、乾燥強度ごとの占有面積の算出結果に基づいて、占有面積が最大となる乾燥強度を選出する(ステップS43)。選出された乾燥強度をDyとする。
次に、仮設定された乾燥強度Dxと、占有面積が最大となる乾燥強度として選出された乾燥強度Dyとを比較し、乾燥強度Dxが乾燥強度Dyと一致するか否かを判定する(ステップS44)。
仮設定された乾燥強度Dxが、乾燥強度Dyと一致する場合、そのまま乾燥強度Dxをインク乾燥部50の乾燥強度として設定する。
一方、仮設定された乾燥強度Dxが、乾燥強度Dyと一致しない場合、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を乾燥強度Dxに変更する(ステップS45)。これにより、最も広い範囲を基準に乾燥強度を設定できる。
印刷時、インク乾燥制御部115は、設定された乾燥強度で加熱装置53を作動させて、印刷後の用紙Pを乾燥させる。これにより、最も広い範囲において、用紙Pの到達温度を規定範囲(T1≦T≦T2)に収めて乾燥させることができる。また、これにより、後の工程で塗布されるUVニスの光沢を良好に確保でき、かつ、密着性も良好に確保できる。また、用紙Pの変形も防止でき、かつ、ブロッキングの発生も防止できる。
《乾燥強度の設定例》
図20は、印刷する画像の一例を示す図である。図21は、図20に示す画像に基づいて抽出、算出等される描画条件、占有面積、個別乾燥強度等の一覧を示す表である。
図20に示す画像は、抽出処理を行うことにより、描画条件が同じ領域として、6つの領域B1〜B6が抽出される。
図21に示すように、第1の領域B1は、色がブラック(K)、インク量が3.4[pL]という描画条件の領域である。第2の領域B2は、色がブラック(K)、インク量が3.3[pL]という描画条件の領域である。第3の領域B3は、色がブラック(K)、インク量が3.2[pL]という描画条件の領域である。第4の領域B4は、色がブラック(K)、インク量が3.1[pL]という描画条件の領域である。第5の領域B5は、色がブラック(K)、インク量が3.0[pL]という描画条件の領域である。第6の領域B6は、色がブルー(B)、インク量が5.0[pL]という描画条件の領域である。
各領域について、個別乾燥強度を求めると、第1の領域B1は「6」、第2の領域B2は「6」、第3の領域B3は「6」、第4の領域B4は「6」、第5の領域B5は「6」、第6の領域B6は「10」と算出される。
最大の占有面積を有する描画条件は、第6の領域B6の描画条件である。したがって、仮の乾燥強度Dxは、第6の領域B6の個別乾燥強度である「10」に設定される。
一方、乾燥強度ごとに占有面積を求めた場合、最大の占有面積を有する乾燥強度Dyは「6」である。
乾燥強度Dxと乾燥強度Dyとを比較すると、乾燥強度Dxは乾燥強度Dyと一致しない。したがって、この場合、乾燥強度がDyに変更される。
◆◆第4の実施の形態◆◆
上記第1から第3の実施の形態のインクジェット印刷装置では、インク乾燥部50に設定する乾燥強度が、印刷する画像に基づいて自動的に設定される。本実施の形態のインクジェット印刷装置は、自動的に設定された乾燥強度をユーザーがマニュアルで補正する機能を有する。
補正機能を有する以外は、上記第1ないし第3の実施の形態のインクジェット印刷装置と同じである。したがって、ここでは自動的に設定された乾燥強度をユーザーがマニュアルで補正する機能についてのみ説明する。
《マニュアル補正機能》
本実施の形態のインクジェット印刷装置は、自動設定された乾燥強度を補正する機能として、ユーザーからの指示に応じて、画像中、最も弱い乾燥強度が要求される領域の乾燥強度に強制的に変更する機能と、ユーザーからの指示に応じて、画像中、最も強い乾燥強度が要求される領域の乾燥強度に強制的に変更する機能と、ユーザーからの指示された乾燥強度に補正する機能と、を有する。
図22は、乾燥強度の補正に関わる機能のブロック図である。
乾燥強度設定部140は、描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最弱の乾燥強度を選出する最弱乾燥強度選出部160と、描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最強の乾燥強度を選出する最強乾燥強度選出部161と、最弱の乾燥強度又は最強の乾燥強度への変更の指示を受け付ける乾燥強度変更指示受付部162と、乾燥強度変更指示受付部162が変更の指示を受け付けた場合に、受け付けた指示に従ってインク乾燥部50に設定する乾燥強度を強制的に変更する乾燥強度強制変更部163と、を更に備える。また、乾燥強度設定部140は、インク乾燥部50に設定する乾燥強度の補正の指示を受け付ける乾燥強度補正指示受付部164と、乾燥強度補正指示受付部164が補正の指示を受け付けた場合に、受け付けた指示に従ってインク乾燥部50に設定する乾燥強度を補正する乾燥強度補正部165と、を更に備える。また、乾燥強度設定部140は、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を表示する設定強度表示部166を更に備える。
〈最弱乾燥強度選出部〉
最弱乾燥強度選出部160は、描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最弱の乾燥強度を選出する。すなわち、印刷する画像の中で最も弱い乾燥強度が要求される領域の乾燥強度を最弱の乾燥強度として求める。描画条件ごとの乾燥強度は、個別乾燥強度として取得されるので、最弱乾燥強度選出部160は、個別乾燥強度の中で最も弱い乾燥強度を選出して、最弱の乾燥強度を選出する。選出した乾燥強度の情報は、乾燥強度強制変更部163に出力される。最弱乾燥強度選出部160の機能は、コンピューター100が、所定のプログラムを実行することにより実現される。
〈最強乾燥強度選出部〉
最強乾燥強度選出部161は、描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最強の乾燥強度を選出する。すなわち、印刷する画像の中で最も強い乾燥強度が要求される領域の乾燥強度を最強の乾燥強度として求める。最強乾燥強度選出部161は、個別乾燥強度の中で最も強い乾燥強度を選出して、最強の乾燥強度を選出する。選出した乾燥強度の情報は、乾燥強度強制変更部163に出力される。最強乾燥強度選出部161の機能は、コンピューター100が、所定のプログラムを実行することにより実現される。
〈乾燥強度変更指示受付部〉
乾燥強度変更指示受付部162は、最弱の乾燥強度又は最強の乾燥強度への変更の指示を受け付ける。乾燥強度変更指示受付部162は、操作部102を介して指示を受け付ける。たとえば、タッチパネルから指示を受け付ける。
〈乾燥強度強制変更部〉
乾燥強度強制変更部163は、乾燥強度変更指示受付部162が変更の指示を受け付けた場合に、受け付けた指示に従ってインク乾燥部50に設定する乾燥強度を強制的に変更する。たとえば、最弱の乾燥強度への変更が指示された場合、自動的に設定された乾燥強度を最弱乾燥強度選出部160で選出された乾燥強度に変更する。また、たとえば、最強の乾燥強度への変更が指示された場合、自動的に設定された乾燥強度を最強乾燥強度選出部161で選出された乾燥強度に変更する。乾燥強度強制変更部163の機能は、コンピューター100が、所定のプログラムを実行することにより実現される。
〈乾燥強度補正指示受付部〉
乾燥強度補正指示受付部164は、インク乾燥部50に設定する乾燥強度の補正の指示を受け付ける。乾燥強度補正指示受付部164は、操作部102を介して指示を受け付ける。たとえば、タッチパネルから指示を受け付ける。補正の指示は、現在設定されている乾燥強度に対する補正量を入力することにより行われる。たとえば、+1、−1等の指示が行われる。
〈乾燥強度補正部〉
乾燥強度補正部165は、乾燥強度補正指示受付部164が補正の指示を受け付けた場合に、受け付けた指示に従ってインク乾燥部50に設定する乾燥強度を補正する。乾燥強度補正部165の機能は、コンピューター100が、所定のプログラムを実行することにより実現される。
〈設定強度表示部〉
設定強度表示部166は、インク乾燥部50に設定する乾燥強度を表示する。設定強度表示部166は、表示部103と兼用できる。また、タッチパネルで構成し、乾燥強度変更指示受付部162及び乾燥強度補正指示受付部164と兼用する構成にすることもできる。
《乾燥強度の補正処理》
図23は、乾燥強度の補正処理の手順を示すフローチャートである。
自動的に設定された乾燥強度は、設定強度表示部166に表示される(ステップS51)。したがって、この設定強度表示部166の表示から現在設定されている乾燥強度を確認できる。
画像中、最も弱い乾燥強度が要求される領域に合わせて乾燥強度を設定する場合、又は、最も強い乾燥強度が要求される領域に合わせて乾燥強度を設定する場合、ユーザーは、操作部102からその指示を行う。また、微調整等する場合も、操作部102からその指示を行う。
まず、強制変更の指示の有無が判定される(ステップS52)。すなわち、最弱の乾燥強度又は最強の乾燥強度への変更の指示の有無が判定される。
強制変更の指示があった場合は、指示された乾燥強度に変更される(ステップS53)。たとえば、最弱の乾燥強度への変更が指示された場合、乾燥強度が最弱乾燥強度選出部160で選出された乾燥強度に変更される。また、最強の乾燥強度への変更が指示された場合、乾燥強度が最強乾燥強度選出部161で選出された乾燥強度に変更される。
強制変更の指示がない場合は、次に、補正の指示の有無が判定される(ステップS54)。補正の指示が合った場合は、指示された補正量で、現在設定されている乾燥強度が補正される(ステップS55)。
以上により、乾燥強度の補正が完了し、印刷時の乾燥強度が最終的に設定される(ステップS56)。
このように、マニュアルによる補正機能を備えることにより、ユーザーの要望に応じた設定にできる。たとえば、UVニスの密着性を最重要視する場合は、乾燥強度を極力弱く設定した方がよく、UVニスの光沢性を最重要視する場合は、乾燥強度を極力強く設定した方がよい。したがって、すべて自動で設定するのではなく、状況に応じて補正できる機能を備えることにより、ユーザーの要望に応じた品質の印刷物を印刷できる。
なお、本実施の形態では、強制変更する機能、及び、補正する機能の双方の機能を備えているが、いずれか一方の機能のみを備える構成であってもよい。
◆◆第5の実施の形態◆◆
画像によっては、設定される乾燥強度で乾燥させると、到達温度が規定範囲を超える領域が発生する場合がある。このような場合は、用紙Pの搬送速度、及び、乾燥強度を調整することで、到達温度が規定範囲を超える領域が発生するのを抑制できる。具体的には、乾燥強度を弱め、かつ、用紙Pの搬送速度を遅くする。この際、変更前と同じ乾燥量が与えられるように、乾燥強度及び搬送速度を設定する。
《構成》
図24は、乾燥強度及び搬送速度の修正に関わる機能のブロック図である。
同図に示すように、本実施の形態のインクジェット印刷装置は、設定された乾燥強度でインク乾燥部50を作動させた場合に、用紙Pの到達温度が規定範囲を超える領域が存在するか否か判定する判定部171と、用紙Pの到達温度が規定範囲を超える領域が存在する場合に、用紙Pの到達温度が規定範囲に収まるように、用紙Pの搬送速度、及び、乾燥強度を修正する修正部172と、を更に備える。各部の機能は、コンピューター100が、所定のプログラムを実行することにより実現される。
〈判定部〉
判定部171は、設定された乾燥強度でインク乾燥部50を作動させた場合に、用紙Pの到達温度が規定範囲を超える領域が存在するか否か判定する。判定部171は、領域抽出部141で抽出された各領域の描画条件の情報、及び、設定された乾燥強度の情報に基づいて、用紙Pの到達温度が規定範囲を超える領域が存在するか否か判定する。たとえば、描画条件ごとに到達温度を推定し、規定範囲を超えるものが存在するか否か判定する。
〈修正部〉
修正部172は、用紙Pの到達温度が規定範囲を超える領域が存在する場合に、用紙Pの到達温度が規定範囲に収まるように、用紙Pの搬送速度、及び、乾燥強度を修正する。この際、修正前の乾燥量と前と同じ乾燥量となるように、乾燥強度及び搬送速度を修正する。具体的には、乾燥強度を弱くし、かつ、搬送速度を遅くする。これにより、用紙Pの到達温度の上昇を抑制できる。
《修正手順》
修正処理は、印刷の開始前に実施される。
まず、判定部171において、現在の設定で乾燥処理した場合に、用紙Pの到達温度が規定範囲を超える領域が存在するか否かが判定される。
用紙Pの到達温度が、規定範囲を超える領域が存在しない場合、そのまま印刷が開始される。
一方、用紙Pの到達温度が規定範囲を超える領域が存在する場合、修正部172で乾燥強度及び搬送速度の修正処理が行われる。すなわち、用紙Pの到達温度が規定範囲に収まるように、用紙Pの搬送速度、及び、乾燥強度を修正される。
これにより、用紙Pの全体にわたって、到達温度が規定範囲を超えるのを防止できる。
◆◆用紙の到達温度の規定範囲◆◆
UVニスは、インク乾燥時における用紙の到達温度が低すぎると、用紙に十分浸透しなかったインクの溶剤がニス膜に混入し、光沢が低下する。光沢の低下は、印刷物の品位を低下させる。また、UVニスは、インクの溶剤が混入すると、硬化不良が生じる。UVニスの硬化不良は、ブロッキングを発生させる。
その一方で、インク乾燥時における用紙の温度を高くしすぎると、用紙の水分が揮発し、用紙にカール、カックルなどの変形が生じる。
これらの不具合の発生を防止するためには、用紙の到達温度が規定範囲に収まるように、乾燥処理する必要がある。この温度範囲は、UVニスの光沢の低下を防止でき、かつ、ブロッキングを防止できる温度の下限値をT1、UVニスの密着性の低下を防止でき、かつ、用紙の変形を防止できる温度の上限値をT2とした場合に、T1以上、かつ、T2以下である(T1≦T≦T2)。
下限値T1は、UVニスの種類、用紙の種類、用紙の厚さ、印刷面の区別などによって変化する。よって、具体的な数値としては定まらず、各条件の組み合わせによって、調整する必要がある。
上限値T2は、水分の沸点が100℃であるため、100℃未満にすることが望ましい。しかし、用紙の種類によっては変形しにくい用紙もあるので、100℃以上に設定することもできる。
なお、ワックスを含むインクは、インク乾燥時の用紙到達温度がワックスの融点を超えると、ワックスがインク膜表面に溶け出し、インク膜とUVニス膜との密着性を低下させる。したがって、インクにワックスを含む場合は、上限値T2をT2aとすることが好ましい。ここて、上限値T2aは、ワックスの融点である。T2aは、当然ワックスの種類によって異なる。また、T2aが、T2を下回る場合は、インク乾燥後の到達温度の上限はワックス融点となる。
《評価》
乾燥強度を変えてインクを乾燥させ、UVニスを塗布し、画像品質に及ぼす影響を確認する実験を行った。
UVニスでニスコートする場合、インク乾燥時の乾燥強度が画像品質に及ぼす影響は、主として、ニスの密着性、ニスの光沢性、及び、保管時のブロッキングである。このため、ニスの密着性、ニスの光沢性、及び、保管時のブロッキング性を評価する実験を行った。また、乾燥強度を変えたときの用紙のカールについても評価した。
〈評価方法〉
〔ニスの密着性についての評価方法〕
50[mm]幅の4Cとブルーのストライプ画像を片面印刷し、画像表面をUVニスでニスコートする。ニス塗布面に幅18[mm]のセロハンテープ(株式会社ニチバン製)を約40[mm]の長さで貼り付ける。貼り付けたセロハンテープを垂直方向に引っ張り、インク層の表面からのニス層の剥離状態を確認して、3段階で評価する。評価基準は、次のとおりである。
A:剥離無し又は紙が破れる
B:部分的に剥離する
C:全面に剥離する
評価Aが、密着性に関して良好と判断できる評価である。評価B及びCは、密着性に関して許容できない評価である。
〔ニスの光沢性についての評価方法〕
50[mm]幅の4Cとブルーのストライプ画像を片面印刷し、画像表面をUVニスでニスコートする。ニス塗布面の光沢を60°の測定角度で測定し、光沢性を3段階で評価する。評価基準は、次のとおりである。
A:70以上
B:56以上69以下
C:55以下
なお、光沢性の測定には、オーウェル株式会社製の光沢計「マイクロ・トリグロス」を使用した。
評価Aが、光沢製に関して良好と判断できる評価である。評価B及びCは、光沢性に関して許容できない評価である。
〔ブロッキング性についての評価方法〕
50[mm]幅の4Cとブルーのストライプ画像を片面印刷し、画像表面をUVニスでニスコートする。印刷された用紙を3.5[cm]×4.0[cm]のサイズでカットする。カットした用紙をサンプルとし、サンプルを10枚重ねてアクリルプレートで挟み込む。この際、各サンプルは、すべてニス塗布面を上にして重ね合わせる。アクリルプレートを水平な台に置き、アクリルプレートの上に7[kg]の錘を置いて加重し、温度50[℃]、湿度80%の環境下で24時間放置する。その後、更に、温度23[℃]、湿度50%の環境で24時間放置する。サンプルを引き剥がし、ブロッキングの発生状況を確認して、3段階で評価する。評価基準は、次のとおりである。
A:ブロッキングの発生無し
B:目視でわずかにブロッキングが発生している
C:目視で明らかにブロッキングが発生している
評価Aが、保管時のブロッキング性に関して良好と判断できる評価である。評価B及びCは、保管時のブロッキング性に関して許容できない評価である。
すなわち、許容範囲の評価である。
〔カールについての評価方法〕
4Cとブルーの全ベタ画像を片面印刷し、画像表面をUVニスでニスコートする。印刷した用紙を1枚、平台に置き、4隅の浮き量を測定し、その平均をカール量として、3段階で評価する。評価基準は、次のとおりである。
A:10[mm]未満
B:10[mm]以上、20[mm]未満
C:20[mm]以上
評価Aが、カールに関して良好と判断できる評価である。評価B及びCは、カールに関して許容できない評価である。
〈実験条件〉
実験に使用した用紙は、北越紀州製紙株式会社製の「newDV 310gsm」である。用紙の厚さは、0.38[mm]である。用紙サイズは、750[mm]×530[mm]である。
実験に使用したUVニスは、株式会社T&K TOKA製の「UV コートニス TG-2」である。
インクには、ワックスを含むインク、及び、ワックスを含まないインクの2種類を使用した。ワックスを含むインクのワックス含有量は2[質量%]である。ワックスの融点は、示差走査熱量測定(DSC:Differential scanning calorimetry)で測定したところ83℃であった。インク量は、4C、ブルーともに4.8[pL]とした。
印刷は、片面印刷とした(表面印刷)。
《実験結果》
図25から図28は、実験結果の表である。ここで、図25は、ワックスを含むインクを使用して4Cの画像を印刷した場合の実験結果である。図26は、ワックスを含むインクを使用してブルーの画像を印刷した場合の実験結果である。図27は、ワックスを含まないインクを使用して4Cの画像を印刷した場合の実験結果である。図28は、ワックスを含まないインクを使用してブルーの画像を印刷した場合の実験結果である。
図25から図28に示すように、用紙の到達温度を一定の範囲(T1≦T≦T2)に収めることで、ニスの密着性、ニスの光沢性を良好に確保でき、かつ、保管時のブロッキングを防止できる。また、カールの発生を防止できる。
なお、図25から図28に示すように、密着性については、濃度が濃いほど低下する。これは、濃度が濃いほど打滴量が多くなり、画像中に含まれるワックス量が多くなるからである。また、黒系の色は、最もインク乾燥時に膜面温度が上がりやすく、インク表面にワックスが偏在しやすい。すなわち、最もUVニスの密着性能が厳しい条件は、黒系の色で打滴量が最も多くなるケースであり、4色のインクを全て使用し、高濃度の黒色を表現する4Cの場合となる。
◆◆乾燥強度及び搬送速度を変えた場合の画像品質の変化◆◆
乾燥強度及び搬送速度を変えた場合の画像品質の変化を確認する実験を行った。
評価方法は、上記と同じである。なお、インクには、ワックスを含むインクを使用した。
図29は、4Cの画像を印刷した場合の実験結果である。図30は、ブルーの画像を印刷した場合の実験結果である。
水準5は、水準3の搬送速度を約半分にし、乾燥強度を半分にした条件である。付与熱量としては、ほぼ同じである。用紙の到達温度が抑えられるので、密着性及びカールが良化していることが確認できる。
水準4と水準6の関係も同様であり、水準4の搬送速度を約半分にし、乾燥強度を半分にした条件が水準6である。この場合も用紙の到達温度が抑えられるので、密着性及びカールが良化していることが確認できる。
したがって、用紙の到達温度が規定範囲を超える領域が発生する場合は、必要に応じて、用紙の搬送速度を下げ、かつ、乾燥強度を下げることで、画像品質の低下を防止できる。
1 インクジェット印刷装置
10 給紙部
11 給紙装置
12 フィーダーボード
13 給紙ドラム
20 プレコート部
21 プレコートドラム
22 プレコート液塗布装置
30 プレコート液乾燥部
31 プレコート液乾燥ドラム
32 プレコート液乾燥部用紙ガイド
33 ドライヤー
40 印刷部
41 印刷ドラム
42 用紙押さえローラー
43 印刷ユニット
44C インクジェットヘッド
44K インクジェットヘッド
44M インクジェットヘッド
44Y インクジェットヘッド
45 画像読取装置
50 インク乾燥部
51 インク乾燥部チェーンデリバリー
52 インク乾燥部用紙ガイド
53 加熱装置
60 ニスコート部
61 ニスコートドラム
70 UV照射部
71 UV照射部チェーンデリバリー
72 UV照射部用紙ガイド
73 UV照射装置
80 集積部
81 スタッカー
90 ニスコーター
91 ニス槽
92 汲み上げローラー
93 計量ブレード
94 第1の中間転写ローラー
95 第2の中間転写ローラー
96 ニス塗布ローラー
100 コンピューター
101 インターフェース部
102 操作部
103 表示部
104 記憶部
111 給紙制御部
112 プレコート制御部
113 プレコート液乾燥制御部
114 印刷制御部
115 インク乾燥制御部
116 ニスコート制御部
117 UV照射制御部
118 集積制御部
130 画像処理部
131 色変換処理部
132 ハーフトーン処理部
140 乾燥強度設定部
141 領域抽出部
142 描画条件別占有面積算出部
143 最大占有面積描画条件選出部
144 乾燥強度算出部
145 個別乾燥強度算出部
146 乾燥強度別占有面積算出部
147 最大占有面積乾燥強度選出部
148 乾燥強度変更部
150 基準乾燥強度設定部
160 最弱乾燥強度選出部
161 最強乾燥強度選出部
162 乾燥強度変更指示受付部
163 乾燥強度強制変更部
164 乾燥強度補正指示受付部
165 乾燥強度補正部
166 設定強度表示部
171 判定部
172 修正部
P 用紙
S11〜S18 インク乾燥部の乾燥強度の設定手順
S21〜S28 インク乾燥部の乾燥強度の設定手順
S31〜S45 インク乾燥部の乾燥強度の設定手順
S51〜S56 乾燥強度の補正処理の手順

Claims (13)

  1. 水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、
    印刷後の前記用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、
    前記インク乾燥部の乾燥強度を設定する乾燥強度設定部であって、前記用紙の到達温度が規定範囲内に収まる強度に設定する乾燥強度設定部と、
    UVニスを用いてインク乾燥後の前記用紙をニスコートするニスコート部と、
    を備え、
    前記乾燥強度設定部は、
    前記用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する領域抽出部と、
    描画条件ごとの占有面積を算出する描画条件別占有面積算出部と、
    占有面積が最大となる描画条件を選出する最大占有面積描画条件選出部と、
    描画条件ごとに定められた補正条件を参照して、前記最大占有面積描画条件選出部で選出された描画条件に対応する補正条件を求め、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して乾燥強度を算出する乾燥強度算出部と、
    を備え、前記乾燥強度算出部で算出された乾燥強度を前記インク乾燥部の乾燥強度に設定する、
    インクジェット印刷装置。
  2. 前記乾燥強度設定部は、
    描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する個別乾燥強度算出部と、
    乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する乾燥強度別占有面積算出部と、
    占有面積が最大となる乾燥強度を選出する最大占有面積乾燥強度選出部と、
    前記乾燥強度算出部で算出された乾燥強度と前記最大占有面積乾燥強度選出部で選出された乾燥強度とを比較し、前記乾燥強度算出部で算出された乾燥強度が、前記最大占有面積乾燥強度選出部で選出された乾燥強度と異なる場合に、前記インク乾燥部に設定する乾燥強度を前記最大占有面積乾燥強度選出部で選出された乾燥強度に変更する乾燥強度変更部と、
    を更に備える請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
  3. 水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、
    印刷後の前記用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、
    前記インク乾燥部の乾燥強度を設定する乾燥強度設定部であって、前記用紙の到達温度が規定範囲内に収まる強度に設定する乾燥強度設定部と、
    UVニスを用いてインク乾燥後の前記用紙をニスコートするニスコート部と、
    を備え、
    前記乾燥強度設定部は、
    前記用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する領域抽出部と、
    描画条件ごとの占有面積を算出する描画条件別占有面積算出部と、
    描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する個別乾燥強度算出部と、
    乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する乾燥強度別占有面積算出部と、
    占有面積が最大となる乾燥強度を選出する最大占有面積乾燥強度選出部と、
    を備え、前記最大占有面積乾燥強度選出部で選出された乾燥強度を前記インク乾燥部の乾燥強度に設定する、
    インクジェット印刷装置。
  4. 描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最弱の乾燥強度を選出する最弱乾燥強度選出部と、
    描画条件ごとに算出された乾燥強度の中で最強の乾燥強度を選出する最強乾燥強度選出部と、
    最弱の乾燥強度又は最強の乾燥強度への変更の指示を受け付ける乾燥強度変更指示受付部と、
    前記乾燥強度変更指示受付部が変更の指示を受け付けた場合に、受け付けた指示に従って前記インク乾燥部に設定する乾燥強度を強制的に変更する乾燥強度強制変更部と、
    を更に備える請求項2又は3に記載のインクジェット印刷装置。
  5. 前記インク乾燥部に設定する乾燥強度を表示する設定強度表示部と、
    前記インク乾燥部に設定する乾燥強度の補正の指示を受け付ける乾燥強度補正指示受付部と、
    前記乾燥強度補正指示受付部が補正の指示を受け付けた場合、受け付けた指示に従って前記インク乾燥部に設定する乾燥強度を補正する乾燥強度補正部と、
    を更に備える請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
  6. 前記領域抽出部は、一定面積未満の領域を対象から除外して、描画条件が同じ領域を抽出する、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
  7. 前記インク乾燥部は、
    前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
    前記用紙搬送部によって搬送される前記用紙の搬送経路上に配置される加熱部と、
    を備える、
    請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
  8. 設定された乾燥強度で前記インク乾燥部を作動させた場合に、前記用紙の到達温度が規定範囲を超える領域が存在するか否かを判定する判定部と、
    前記用紙の到達温度が規定範囲を超える領域が存在する場合、前記用紙の搬送速度、及び、前記加熱部による乾燥強度を修正する修正部と、
    を更に備えた請求項7に記載のインクジェット印刷装置。
  9. UVニスの光沢の低下を防止でき、かつ、ブロッキングを防止できる温度の下限値をT1、UVニスの密着性の低下を防止でき、かつ、前記用紙の変形を防止できる温度の上限値をT2とした場合に、前記用紙の到達温度の規定範囲が、T1以上、かつ、T2以下に設定される、
    請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
  10. 印刷条件に基づいて基準乾燥強度を設定する基準乾燥強度設定部を更に備える、
    請求項1から9のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
  11. 水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、印刷後の前記用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、UVニスを用いてインク乾燥後の前記用紙をニスコートするニスコート部と、を備えたインクジェット印刷装置において、前記インク乾燥部の乾燥強度を設定する乾燥強度設定方法であって、
    前記用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する工程と、
    描画条件ごとの占有面積を算出する工程と、
    占有面積が最大となる描画条件を選出する工程と、
    描画条件ごとに定められた補正条件を参照して、占有面積が最大となる描画条件に対応する補正条件を求め、求めた補正条件で基準乾燥強度を補正して乾燥強度を算出する工程と、
    算出された乾燥強度を前記インク乾燥部の乾燥強度に設定する工程と、
    を備え、算出された乾燥強度を前記インク乾燥部の乾燥強度に設定する、
    インクジェット印刷装置の乾燥強度設定方法。
  12. 描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する工程と、
    乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する工程と、
    占有面積が最大となる乾燥強度を選出する工程と、
    を更に備え、算出された乾燥強度が、占有面積が最大となる乾燥強度と異なる場合に、前記インク乾燥部に設定する乾燥強度を占有面積が最大となる乾燥強度に補正する、
    請求項11に記載のインクジェット印刷装置の乾燥強度設定方法。
  13. 水性インクを用いて用紙にインクジェット方式で印刷する印刷部と、印刷後の前記用紙を加熱して、インクを乾燥させるインク乾燥部と、UVニスを用いてインク乾燥後の前記用紙をニスコートするニスコート部と、を備えたインクジェット印刷装置において、前記インク乾燥部の乾燥強度を設定する乾燥強度設定方法であって、
    前記用紙に印刷する画像を解析し、色及びインク量で規定される描画条件が同じ領域を抽出する工程と、
    描画条件ごとの占有面積を算出する工程と、
    描画条件ごとに定められた補正条件で基準乾燥強度を補正し、描画条件ごとに乾燥強度を算出する工程と、
    乾燥強度が同じ描画条件同士でグループ分けし、乾燥強度ごとに占有面積を算出する工程と、
    占有面積が最大となる乾燥強度を選出する工程と、
    を備え、選出された乾燥強度を前記インク乾燥部の乾燥強度に設定する、
    インクジェット印刷装置の乾燥強度設定方法。
JP2016191283A 2016-09-29 2016-09-29 インクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法 Active JP6542736B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016191283A JP6542736B2 (ja) 2016-09-29 2016-09-29 インクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法
EP17193012.6A EP3300908B1 (en) 2016-09-29 2017-09-25 Ink jet printing apparatus and drying intensity setting method thereof
US15/716,523 US10265972B2 (en) 2016-09-29 2017-09-27 Ink jet printing apparatus and drying intensity setting method thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016191283A JP6542736B2 (ja) 2016-09-29 2016-09-29 インクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018051954A true JP2018051954A (ja) 2018-04-05
JP6542736B2 JP6542736B2 (ja) 2019-07-10

Family

ID=59969023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016191283A Active JP6542736B2 (ja) 2016-09-29 2016-09-29 インクジェット印刷装置、及び、その乾燥強度設定方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10265972B2 (ja)
EP (1) EP3300908B1 (ja)
JP (1) JP6542736B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108819469A (zh) * 2018-05-30 2018-11-16 广东知识城运营服务有限公司 一种设有导纸机构的印刷喷墨设备
WO2019245523A1 (en) * 2018-06-18 2019-12-26 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Preventing printing errors due to print media deformations

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010234742A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd インクジェット装置、およびこれを用いたインク定着方法
JP2013208809A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Brother Industries Ltd 液滴吐出装置およびその制御方法
US20140218435A1 (en) * 2013-02-06 2014-08-07 Casey E. Walker Optimization of drying for wet colorants in a printing system
JP2015164786A (ja) * 2014-03-03 2015-09-17 富士フイルム株式会社 画像記録装置及び方法、並びに、ニス塗布装置及び方法
JP2015168115A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 富士ゼロックス株式会社 乾燥装置、画像形成装置およびプログラム
JP2016107419A (ja) * 2014-12-02 2016-06-20 富士フイルム株式会社 インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法、及び、インクジェット印刷システム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007111873A (ja) * 2005-10-18 2007-05-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 印刷機の水性ニス乾燥装置及び印刷機

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010234742A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Mitsubishi Heavy Ind Ltd インクジェット装置、およびこれを用いたインク定着方法
JP2013208809A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Brother Industries Ltd 液滴吐出装置およびその制御方法
US20140218435A1 (en) * 2013-02-06 2014-08-07 Casey E. Walker Optimization of drying for wet colorants in a printing system
JP2015164786A (ja) * 2014-03-03 2015-09-17 富士フイルム株式会社 画像記録装置及び方法、並びに、ニス塗布装置及び方法
JP2015168115A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 富士ゼロックス株式会社 乾燥装置、画像形成装置およびプログラム
JP2016107419A (ja) * 2014-12-02 2016-06-20 富士フイルム株式会社 インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法、及び、インクジェット印刷システム

Also Published As

Publication number Publication date
US20180086108A1 (en) 2018-03-29
EP3300908A1 (en) 2018-04-04
EP3300908B1 (en) 2019-01-23
JP6542736B2 (ja) 2019-07-10
US10265972B2 (en) 2019-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2407310B1 (en) Inkjet recording apparatus
JP5503952B2 (ja) 印刷装置及び印刷制御方法
EP2275271B1 (en) Printed matter seasoning apparatus and method, and inkjet recording apparatus
JP6317664B2 (ja) インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法、及び、インクジェット印刷システム
EP2505369A1 (en) Sheet conveying device and ink jet recording apparatus
JP5956824B2 (ja) 画像形成装置
JP2010184479A (ja) 定着処理装置及びインクジェット記録装置並びに定着処理方法
JP5535833B2 (ja) インクジェット記録方法
EP3300908B1 (en) Ink jet printing apparatus and drying intensity setting method thereof
WO2016051844A1 (ja) 乾燥処理装置、乾燥処理方法、乾燥処理プログラム及び画像形成装置
JP2011201125A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP5480661B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
US8388126B2 (en) Printing paper seasoning apparatus, method of seasoning of printing paper, and inkjet recording apparatus
EP2301758A1 (en) Printing paper seasoning apparatus and method, and inkjet recording apparatus
JP2010208107A (ja) カール抑制方法及びカール抑制装置並びに画像形成装置
WO2014030591A1 (ja) 記録媒体搬送装置及びインクジェット記録装置
JP2010158813A (ja) インクジェット記録方法及び装置
JP2011168022A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2011051215A (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP2013049163A (ja) 画像形成装置
JP6571061B2 (ja) インクジェット印刷装置及び色変換処理装置
JP5363296B2 (ja) 画像形成装置および画像形成方法
WO2018221130A1 (ja) 印刷装置、乾燥制御方法、及び乾燥制御装置
JP5297405B2 (ja) 印刷用紙シーズニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置
JP2010201713A (ja) インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190510

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190613

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6542736

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250