WO2018221130A1 - 印刷装置、乾燥制御方法、及び乾燥制御装置 - Google Patents

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Abstract

水性ニスを塗布した後の印刷物をスタックする集積部におけるブロッキングの発生を抑制し得る印刷装置、乾燥制御方法、及び乾燥制御装置を提供する。処理液を媒体へ付与する処理液付与部、水性インクを用いて画像を形成する画像形成部(40)、画像が形成された媒体に乾燥処理を施すインク乾燥部(50)、乾燥処理が施された媒体に光沢向上剤が添加された定量の水性ニスを付与するニス付与部(60)、及びインク乾燥部の処理条件を導出するインク乾燥条件導出部(108)を備え、インク乾燥条件導出部は、水性ニスの光沢値の増加分を表す光沢増加分に応じて高くしたインク乾燥部の加熱温度の導出、及び光沢増加分に応じて長くしたインク乾燥部の加熱期間の導出の少なくともいずれかを行う。

Description

印刷装置、乾燥制御方法、及び乾燥制御装置
 本発明は印刷装置、乾燥制御方法、及び乾燥制御装置に係り、特に水性インクを用いて画像が形成された用紙の乾燥処理に関する。
 印刷物の表面加工としてニスコートが知られている。ニスコートはニスを用いて印刷物の画像表面をコーティングする技術である。ニスコートは、例えば、画像の表面に光沢を与えて印刷物に高級感を与えたり、画像表面の耐擦性、及び耐薬品性の少なくともいずれかを向上させたりすることを目的として行われる。
 特許文献1は、画像形成後の用紙の画像表面に水性ニスを塗布する機能を備えたインクジェット記録装置が記載されている。
 特許文献2は、画像形成後の用紙に後処理液を付与するインクジェット記録装置が記載されている。特許文献2に記載の後処理液は、画像が形成された印刷物の耐擦過性、及び光沢度、並びに耐水性、耐光性、及び耐ガス性などの保存安定性等を向上させることができる。
特開2016-107419号公報 特開2015-174331号公報
 水性インクを用いて用紙に画像を形成し、その後に画像表面に水性ニスを塗布する場合、水性ニス塗布後の印刷物をスタックする集積部においてブロッキングが発生するという問題がある。
 ブロッキングの問題は、インクジェット方式を用いて画像を形成する印刷装置に限らず、版を用いて画像を形成する有版式の印刷装置など様々な画像形成方式の印刷装置について共通する課題である。水性インクを用いるインクジェット記録装置は、用紙に付与される水分量が多くなるため、上記の課題が特に顕著である。
 特許文献1に示されているとおり、ニスコートの方式には、インライン方式、オフライン方式、及びオンライン方式がある。この課題は、インライン塗布方式を用いて水性ニスを塗布する場合に顕著である。
 特許文献1にはニスの種類に応じて光沢が異なる旨の記載があるものの、高光沢とブロッキング性能との両立に関する言及はない。特許文献1に記載の発明では、ニスの塗布なし、水性ニスの塗布、及びUVニスの塗布に応じた乾燥強度の調整をしているが、特許文献1には、同じ種類の水性ニスであり光沢度が異なるニスについての乾燥条件の制御に関する言及はない。
 特許文献2は、用紙の光沢度に応じて後処理液の付与量を決めること、及び後処理液の付与量に応じてインク、及び後処理液の乾燥強度を決めることを開示しているが、光沢度が違うニスを一定の量で塗布する場合の乾燥条件の制御に関する開示はない。
 また、特許文献2に記載の発明は、インクと後処理液とを一括して乾燥させているので、後処理液にインクの溶剤が多量に浸透し、ブロッキング性能が顕著に悪化する懸念がある。更に、後処理液の付与量を増加させた場合、後処理液の乾燥強度を強めることになる。そうすると、用紙を集積する集積部における温度が高温度化し、更なるブロッキング性能の悪化が懸念される。
 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、水性ニスを塗布した後の印刷物をスタックする集積部におけるブロッキングの発生を抑制し得る印刷装置、乾燥制御方法、及び乾燥制御装置を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
 第1態様に係る印刷装置は、インクに含有される色材成分を凝集、又は不溶化させる処理液を媒体へ付与する処理液付与部と、処理液付与部を用いて処理液が付与された媒体に、水性インクを用いて画像を形成する画像形成部と、画像形成部を用いて画像が形成された媒体に乾燥処理を施すインク乾燥部と、インク乾燥部を用いて乾燥処理が施された媒体に、光沢向上剤が添加された定量の水性ニスを付与するニス付与部と、インク乾燥部の処理条件を導出するインク乾燥条件導出部と、を備え、インク乾燥条件導出部は、光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加する水性ニスの光沢値の増加分を表す光沢増加分の情報を取得し、取得した光沢増加分に応じて高くしたインク乾燥部の加熱温度の導出、及び取得した光沢増加分に応じて長くしたインク乾燥部の加熱期間の導出の少なくともいずれかを行う印刷装置である。
 第1態様によれば、インクに含有される色材成分を凝集、又は不溶化させる処理液付与した媒体へ水性インクを用いて画像形成を行い、光沢向上剤が添加された定量のニスを付与する場合に、ニスの付与前のインク乾燥処理において、水性ニスの光沢増加分に応じて高くしたインク乾燥処理部の加熱温度の導出、及び水性ニスの光沢増加分に応じて長くしたインク乾燥処理部の加熱期間の導出の少なくともいずれかが行われる。これにより、目標の光沢の確保、及び媒体をスタックする際のブロッキングの抑制の両立が可能となる。
 光沢値は、光沢度計を用いて測定された測定値を適用し得る。光沢値は、媒体の白地の測定値を適用し得る。光沢値の測定は、予め決められた媒体を用いる態様が好ましい。光沢値は処理液が非付与の媒体を用いて測定してもよい。
 光沢増加分と光沢向上剤の添加量との関係を準備しておき、光沢向上剤の添加量を用いて光沢増加分を導出してもよい。
 定量のニスは、光沢向上剤の添加量を増加させた場合に、光沢向上剤の添加量の増加に応じて媒体へのニスの付与量を増加させずに、媒体へのニスの付与量が一定量に保たれていることを表す。
 光沢増加分に応じて高くしたインク乾燥部の加熱温度の例として、光沢増加分の値が0の場合と比較して、光沢増加分の値が5の場合の加熱温度を高くすること、及び光沢増加分の値が5の場合と比較して、光沢増加分の値が10の場合の加熱温度を高くすることなどが挙げられる。
 光沢増加分に応じて長くしたインク乾燥部の加熱期間の一例として、光沢増加分の値が0の場合と比較して、光沢増加分の値が5の場合の加熱期間を長くすること、光沢増加分の値が5の場合と比較して、光沢増加分の値が10の場合の加熱期間を長くすることなどが挙げられる。
 第2態様は、第1態様の印刷装置において、インク乾燥条件導出部は、インクの粘度をηミリパスカル秒とし、インク乾燥処理の加熱期間をt秒として、光沢度計を用いて測定された光沢値から導出した光沢増加分が10を超え15以下の場合に、インクの粘度ηを満たす温度をインク乾燥部の加熱温度として導出し、t≧2.2355×e0.2056×ηを満たすインク乾燥部の加熱期間tを導出する構成としてもよい。
 第2態様によれば、光沢増加分が10を超え15以下の場合について、インクの粘度に応じて加熱温度、及び加熱期間の導出が可能である。
 光沢増加分は、光沢値の測定値の増加分を適用し得る。光沢値の測定値の単位がグロスユニットの場合、光沢増加分の単位はグロスユニットとなる。
 第3態様は、第2態様の印刷装置において、インク乾燥条件導出部は、光沢増加分が5を超え10以下の場合に、インクの粘度ηを満たす温度をインク乾燥部の加熱温度として導出し、t≧0.5095×e0.3028×ηを満たすインク乾燥部の加熱期間tを導出する構成としてもよい。
 第3態様によれば、光沢増加分が5を超え10以下の場合について、インクの粘度に応じて加熱温度、及び加熱期間の導出が可能である。
 第4態様は、第2態様又は第3態様の印刷装置において、インク乾燥条件導出部は、光沢増加分が0を超え5以下の場合に、インクの粘度ηを満たす温度をインク乾燥部の加熱温度として導出し、t≧0.3578×e0.2113×ηを満たすインク乾燥部の加熱期間tを導出する構成としてもよい。
 第4態様によれば、光沢増加分が0を超え5以下の場合について、インクの粘度に応じて加熱温度、及び加熱期間の導出が可能である。
 第2態様から第4態様の光沢増加分の例として、光沢度計を用いて測定された光沢値から導出された値が挙げられる。光沢度計を用いて測定された光沢値の単位はグロスユニットである。同様に、光沢度計を用いて測定された光沢値から導出された光沢増加分の単位はグロスユニットである。
 第5態様は、第2態様から第4態様のいずれか一態様の印刷装置において、インクの粘度ηとインク乾燥部の加熱期間tとの関係を規定した関数を記憶するテーブル記憶部を備えた構成としてもよい。
 第5態様によれば、インクの粘度ηとインク乾燥部の加熱期間tとの関係を規定した関数を用いて、インクの粘度ηの情報からインク乾燥部の加熱期間tの導出が可能である。
 第6態様は、第2態様から第5態様のいずれか一態様の印刷装置において、インク乾燥条件導出部は、印刷枚数の減少に応じて加熱温度を下げてインクの粘度ηを大きくするか、又は印刷枚数の減少に応じて短縮した加熱期間tを導出する構成としてもよい。
 第6態様によれば、印刷枚数の減少に応じて、インク乾燥部の処理条件の緩和が可能である。
 第7態様は、第6態様の印刷装置において、印刷枚数の情報を含む印刷情報を取得する印刷情報取得部を備えた構成としてもよい。
 第7態様によれば、印刷枚数の情報の取得が可能である。
 第8態様は、第2態様から第5態様のいずれか一態様の印刷装置において、インク乾燥条件導出部は、目標とする印刷物の仕上がり光沢値の減少に応じて加熱温度を下げてインクの粘度ηを大きくするか、又は目標とする印刷物の仕上がり光沢値の減少に応じて短縮した加熱期間tを導出する構成としてもよい。
 第8態様によれば、目標とする印刷物の仕上がり光沢値の減少に応じて、インク乾燥部の処理条件の緩和が可能である。
 第9態様は、第8態様の印刷装置において、印刷物の目標とする仕上がり光沢値の情報を含む印刷情報を取得する印刷情報取得部を備えた構成としてもよい。
 第9態様によれば、印刷物の目標とする仕上がり光沢値の情報の取得が可能である。
 第10態様は、第2態様から第5態様のいずれか一態様の印刷装置において、ニス付与部を用いて水性ニスが付与された媒体に、ブロッキング抑止効果を持つパウダーを付与するパウダー付与部を備え、インク乾燥条件導出部は、パウダー付与部を用いて付与されるパウダーの付与量の増加に応じて加熱温度を下げてインクの粘度ηを大きくするか、又はパウダーの付与量の増加に応じて短縮された加熱期間tを導出する構成としてもよい。
 第10態様によれば、パウダーの付与量の増加に応じて、インク乾燥部の処理条件の緩和が可能である。
 第11態様は、第1態様から第10態様のいずれか一態様の印刷装置において、光沢増加分の情報を含むニス情報を取得するニス情報取得部を備えた構成としてもよい。
 第11態様によれば、光沢増加分の情報の取得が可能である。
 第12態様は、第1態様から第11態様のいずれか一態様の印刷装置において、インクの粘度の情報を含むインク情報を取得するインク情報取得部を備え、インク乾燥条件導出部は、インクの粘度とインクの粘度を実現する温度との関係を規定したテーブルを用いて、インク乾燥部の加熱温度を導出する構成としてもよい。
 第12態様によれば、インクの粘度に基づいて、インク乾燥処理部の加熱温度の導出が可能である。
 第13態様は、第12態様の印刷装置において、テーブルを記憶するテーブル記憶部を備えた構成としてもよい。
 第13態様によれば、インクの粘度とインクの粘度を実現する温度との関係を規定したテーブルの記憶が可能である。
 第14態様は、第13態様の印刷装置において、テーブル記憶部は、インクの種類に応じた複数の前記テーブルが記憶される構成としてもよい。
 第14態様によれば、粘度が異なる複数の種類のインクのそれぞれについて、インクの粘度からインク乾燥処理部の加熱温度の導出が可能である。
 第15態様は、第12態様から第14態様のいずれか一態様の印刷装置において、インク情報取得部は、インクの粘度の情報として、インク溶剤に含まれる水以外の成分物質のうち、最も含有率が高い物質である主溶剤の粘度の情報を取得する構成としてもよい。
 第15態様によれば、インクの主溶剤の粘度の情報を用いて、インク乾燥処理部の加熱温度、及び加熱期間の導出が可能である。
 第16態様は、第1態様の印刷装置において、インク乾燥条件導出部は、インク乾燥部の条件に応じて決められたインク乾燥部の加熱温度から実現されるインクの粘度を導出し、導出したインクの粘度を用いてインク乾燥部の加熱期間を導出する構成としてもよい。
 第16態様によれば、インク乾燥部の条件に応じて決められたインク乾燥部の加熱温度に基づいて、インク乾燥部の加熱期間の導出が可能である。
 第17態様は、第1態様の印刷装置において、インク乾燥条件導出部は、インク乾燥部の条件に応じて決められたインク乾燥部の加熱期間から決められるインクの粘度に応じて、インク乾燥部の加熱温度を導出する構成としてもよい。
 第17態様によれば、インク乾燥部の条件に応じて決められたインク乾燥部の加熱温度に基づいて、インク乾燥部の加熱期間の導出が可能である。
 第18態様は、第1態様から第17態様のいずれか一態様の印刷装置において、画像形成部は、インクジェットヘッドを備えた構成としてもよい。
 第18態様によれば、インクジェット方式の印刷装置において水性ニスが使用される場合に、目標の光沢の確保、及び媒体をスタックする際のブロッキングの抑制の両立が可能となる。
 第19態様に係る乾燥制御方法は、インクに含有される色材成分を凝集、又は不溶化させる処理液を媒体へ付与する処理液付与工程と、処理液付与工程において処理液が付与された媒体に、水性インクを用いて画像を形成する画像形成工程と、画像形成工程において画像が形成された媒体に乾燥処理を施すインク乾燥工程と、インク乾燥工程において乾燥処理が施された媒体に、光沢向上剤が添加された定量の水性ニスを付与するニス付与工程と、インク乾燥工程の処理条件を導出するインク乾燥条件導出工程と、を含み、インク乾燥条件導出工程は、光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加する水性ニスの光沢値の増加分を表す光沢増加分の情報を取得し、取得した光沢増加分に応じて高くしたインク乾燥工程における加熱温度の導出、及び取得した光沢増加分に応じて長くしたインク乾燥工程における加熱期間の導出の少なくともいずれかを行う乾燥制御方法である。
 第19態様によれば、第1態様と同様の効果を得ることができる。
 第19態様において、第2態様から第18態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、印刷装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う乾燥制御方法の構成要素として把握することができる。
 第20態様に係る乾燥制御装置は、インクに含有される色材成分を凝集、又は不溶化させる処理液が付与され、処理液が付与された後に水性インクを用いて画像が形成された媒体に対して、光沢向上剤が添加された定量の水性ニスを付与する前のインク乾燥処理を制御する乾燥制御装置であって、インク乾燥処理の条件を導出するインク乾燥条件導出部を備え、インク乾燥条件導出部は、光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加する水性ニスの光沢値の増加分を表す光沢増加分の情報を取得し、取得した光沢増加分に応じて高くしたインク乾燥処理における加熱温度の導出、及び取得した光沢増加分に応じて長くしたインク乾燥処理における加熱期間の導出の少なくともいずれかを行う乾燥制御装置である。
 第20態様によれば、第1態様と同様の効果を得ることができる。
 第20態様において、第2態様から第18態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、印刷装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う乾燥制御装置の構成要素として把握することができる。
 本発明によれば、インクに含有される色材成分を凝集、又は不溶化させる処理液付与した媒体へ水性インクを用いて画像形成を行い、光沢向上剤が添加された定量のニスを付与する場合に、ニスの付与前のインク乾燥処理において、水性ニスの光沢増加分に応じて高くしたインク乾燥処理部の加熱温度の導出、及び水性ニスの光沢増加分に応じて長くしたインク乾燥処理部の加熱期間の導出の少なくともいずれかが行われる。これにより、目標の光沢の確保、及び媒体をスタックする際のブロッキングの抑制の両立が可能となる。
図1はインクジェット印刷装置の一例を示す全体構成図である。 図2はべたつきの挙動を表すグラフである。 図3は白地光沢とべたつきとの関係を示すグラフである。 図4は溶剤粘度の温度依存性を示すグラフである。 図5は光沢増加分が15の場合の溶剤粘度と加熱期間との関係を示すグラフである。 図6は光沢増加分が10の場合の溶剤粘度と加熱期間との関係を示すグラフである。 図7は光沢増加分が5の場合の溶剤粘度と加熱期間との関係を示すグラフである。 図8は図5に示したグラフを基に導出したブロッキング性能の境界条件を示すグラフである。 図9は図6に示したグラフを基に導出したブロッキング性能の境界条件を示すグラフである。 図10は図7に示したグラフを基に導出したブロッキング性能の境界条件を示すグラフである。 図11は図1に示したインクジェット印刷装置における乾燥制御方法を実現するハードウェア構成の構成例を示すブロック図である。 図12は図11に示した制御装置における処理の例を示すフローチャートである。 図13はインクジェット印刷装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。 図14は図13に示した制御装置が実現する機能のブロック図である。 図15はニスコートを実施する印刷の処理手順を示すフローチャートである。
 以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
 [インクジェット記録装置の説明]
 〈全体構成〉
 図1は、印刷装置の一例である、インクジェット印刷装置の一例を示す全体構成図である。インクジェット印刷装置1は、インライン方式を適用してニスコートが可能な印刷装置として構成される。インクジェット印刷装置1は、給紙部10と、処理液塗布部20と、処理液乾燥部30と、画像形成部40と、インク乾燥部50と、ニス塗布部60と、ニス後処理部70と、集積部80と、を備える。
 〈給紙部〉
 給紙部10は、枚葉紙である用紙Pを一枚ずつ給紙する。給紙部10は、給紙装置11と、フィーダーボード12と、給紙ドラム13と、を備える。用紙Pは、給紙装置11の給紙台の上に、用紙束の状態で載置される。用紙Pの種類は、特に限定されないが、例えば、上質紙、コート紙、及びアート紙などの汎用の印刷用紙を用いることができる。汎用の印刷用紙とは、いわゆるインクジェット専用紙ではなく、オフセット印刷などの接触式の印刷においても一般的に使用される塗工紙、若しくは非塗工紙をいい、セルロースを主体とした用紙を指す。
 給紙装置11は、給紙台の上に積まれた用紙Pを用紙束の上から順に一枚ずつ、一定の給紙期間間隔で引き上げてフィーダーボード12へと給紙する。フィーダーボード12は、給紙装置11から受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送して、給紙ドラム13に受け渡す。
 給紙ドラム13は、フィーダーボード12から受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送して、処理液塗布ドラム21に受け渡す。給紙ドラム13は、そのドラム周面に図示せぬグリッパーを備える。給紙ドラム13は、図示せぬグリッパーを用いて用紙Pの先端を把持して回転し、用紙Pをドラム周面に巻き掛けて搬送する。
 〈処理液塗布部〉
 処理液塗布部20は、用紙Pに処理液を塗布する。なお、塗布は付与の一例である。本実施形態の処理液は、画像形成部40において使用されるインク中の色材成分を凝集させる凝集剤を含む液体である。凝集剤としては、インク組成物のペーハーを変化させることができる化合物であってもよいし、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類であってもよい。ペーハーを低下させ得る化合物としては、水溶性の高い酸性物質が好適に挙げられる。酸性物質は、一種単独で用いてもよく、また、二種以上を併用してもよい。ペーハーは、pH、水素イオン指数、及び水素イオン濃度指数と同義である。
 このような処理液を用紙Pに塗布して印刷を行う場合、汎用の印刷用紙を使用しても、インクの広がり、及びインクの移動の少なくともいずれか一方が抑制され、高品質な画像の形成が可能になる。処理液は、前処理液、プレコート液、又はプレコンディショニング液などの用語で呼ばれる場合がある。溶剤中に色材成分を溶解させたインクが用いられる場合、溶剤中に溶解した色材成分を不溶化させる処理液が適用される。
 処理液塗布部20は、処理液塗布ドラム21と、処理液塗布装置22と、を備える。処理液塗布ドラム21は、給紙ドラム13から受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送して、処理液乾燥ドラム31に受け渡す。処理液塗布ドラム21は、そのドラム周面に図示せぬグリッパーを備える。処理液塗布ドラム21は、図示せぬグリッパーを用いて用紙Pの先端を把持して回転し、用紙Pをドラム周面に巻き掛けて搬送する。処理液塗布部20は処理液付与部の一例である。
 処理液塗布装置22は、処理液塗布ドラム21を用いて搬送される用紙Pの第一面に処理液を塗布する。用紙Pの第一面は、インクを用いて画像が形成される画像形成面に相当する。画像形成面は印刷面と同義である。用紙Pの第一面と反対側の面を第二面という。本実施形態の処理液塗布装置22は、ローラー塗布方式により、処理液を用紙Pに塗布する。すなわち、処理液塗布装置22は、塗布ローラーを含み、周面に処理液が付与された塗布ローラーを用紙Pの印刷面に押し当てて、用紙Pに処理液を塗布する。なお、処理液塗布装置22の塗布方式は、特に限定されるものではなく、ローラー塗布方式に代えて、インクジェット方式、又はスプレイ方式などの他の塗布方式を採用してもよい。
 〈処理液乾燥部〉
 処理液乾燥部30は、用紙Pに塗布された処理液を乾燥させる。処理液乾燥部30は、処理液乾燥ドラム31と、第一用紙ガイド32と、ドライヤー33と、を備える。
 処理液乾燥ドラム31は、処理液塗布ドラム21から受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送して、画像形成ドラム41に受け渡す。処理液乾燥ドラム31は、そのドラム周面に図示せぬグリッパーを備える。給紙ドラム13は、図示せぬグリッパーを用いて用紙Pの先端を把持して回転し、用紙Pをドラム周面に巻き掛けて搬送する。
 第一用紙ガイド32は、処理液乾燥ドラム31における用紙Pの搬送経路に沿って配置され、用紙Pの搬送をガイドする。用紙Pは、第一用紙ガイド32の上を摺動しながら搬送される。
 ドライヤー33は、処理液乾燥ドラム31を用いて搬送される用紙Pの第一面に熱風を吹き付けて、処理液が塗布された用紙Pの第一面を加熱する。ドライヤー33は、処理液乾燥ドラム31の内側に配置される。ドライヤー33は、例えば、ハロゲンヒーター、又は赤外線ヒーター等の熱源と、その熱源を用いて熱せられた気体を送風する送風手段と、を備える。熱源を用いて熱せられる気体は、例えば空気である。空気に代えて、又は空気に加えて他の気体を用いてもよい。
 送風手段として、例えば、ファン若しくはブロアを用いることができる。ドライヤー33がヒーターと送風手段とを含んで構成される場合、ヒーターの点灯本数、及び点灯デューティー比の少なくともいずれか一方の調整により、加熱強度を制御することができる。
 用紙Pは、処理液乾燥ドラム31を用いて搬送される過程で第一面にドライヤー33からの熱風が吹き付けられる。これにより、用紙Pの処理液塗布面である第一面が加熱され、用紙Pに塗布された処理液の溶媒成分が乾燥除去される。この結果、用紙Pの第一面にインク凝集層が形成される。インク凝集層とは、処理液中に含まれるインク凝集剤の層をいう。処理液乾燥部30を用いて、処理液中の水分が蒸発し、処理液のインク凝集剤の薄膜層であるインク凝集層が用紙Pの第一面に形成される。
 〈画像形成部〉
 画像形成部40は、インクジェット方式を用いて用紙Pの第一面に画像を形成する。画像形成部40は、画像形成ドラム41と、用紙押さえローラー42と、インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kと、スキャナー44と、を備える。以下、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはブラックを表すことがある。
 画像形成ドラム41は、処理液乾燥ドラム31から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送し、第一チェーンデリバリー51に受け渡す。画像形成ドラム41は、周面に備えられた図示せぬグリッパーを用いて用紙Pの先端を把持して回転し、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
 画像形成ドラム41の周面には、用紙吸着のための図示せぬ吸引穴が多数形成されており、吸引穴に発生させた負圧を用いて用紙Pが画像形成ドラム41の周面に吸着保持される。なお、画像形成ドラム41は、負圧吸引を用いて用紙Pを吸着固定する構成に限らず、例えば、静電吸着により用紙Pを吸着保持する構成とすることもできる。
 用紙押さえローラー42は、用紙Pを画像形成ドラム41の周面に押し付けて、画像形成ドラム41の周面に密着させる。
 インクジェットヘッド43Cは、シアンのインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド43Mは、マゼンタのインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド43Yは、イエローのインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド43Kは、ブラックのインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。
 インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kのそれぞれには、対応する色のインク供給源である、図示せぬインクタンクから図示せぬ配管経路を介して、インクが供給される。インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kの各々は、ライン型のインクジェットヘッドで構成される。すなわち、インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kは、最大の用紙幅の描画可能範囲に対応する長さにわたってノズルが配列されたノズル列を有するラインヘッドで構成される。
 図1には示さないが、インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kの各々のノズル面には、インクの吐出口である複数個のノズルが二次元配列されている。ノズル面とは、ノズルが形成されている吐出面をいい、インク吐出面、又はノズル形成面などの用語と同義である。二次元配列された複数個のノズルのノズル配列を二次元ノズル配列という。
 インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kの各々は、複数個のヘッドモジュールを用紙幅方向に繋ぎ合わせて構成することができる。ここでいう用紙幅は、用紙Pの搬送方向と直交する方向の用紙の全長を指す。インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kの各々は、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向に関して、用紙Pの全記録領域を、一回の走査で規定の記録解像度による画像記録が可能なノズル列を有するライン型の記録ヘッドである。このような記録ヘッドはフルライン型の記録ヘッド、又はページワイドヘッドとも呼ばれる。
 二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッドの場合、二次元ノズル配列における各ノズルをノズル列方向に沿って並ぶように投影した投影ノズル列は、ノズル列方向について、最大の記録解像度を達成するノズル密度で各ノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。投影ノズル列は、二次元ノズル配列における各ノズルをノズル列方向に沿って正射影したノズル列と同義である。
 概ね等間隔とは、インクジェット印刷装置で記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差、及び着弾干渉による媒体上での液滴の移動の少なくともいずれか一方を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も、等間隔の概念に含まれる。投影ノズル列は実質的なノズル列に相当する。投影ノズル列を考慮すると、ノズル列方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、各ノズルにノズル位置を表すノズル番号を対応付けることができる。
 インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kの各々におけるノズルの配列形態は限定されず、様々なノズル配列の形態を採用することができる。例えば、マトリクス状の二次元配列の形態に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、及びV字状配列を繰り返し単位とするW字状などのような折れ線状のノズル配列なども可能である。
 インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kは、用紙Pの搬送経路上に一定の間隔をもって配置される。インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kは、用紙Pの搬送方向と直交する方向に延在するように設置される。用紙Pの搬送方向と直交する方向は、画像形成ドラム41の回転軸と平行な方向である。
 画像形成ドラム41を用いて搬送される用紙Pに向けて、インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kのうち少なくとも一つのヘッドからインクの液滴が吐出され、吐出された液滴が用紙Pに付着することにより、用紙Pに画像が形成される。
 本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの4色のインクを用いる構成を例示したが、インク色及び色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、及び特色インクなどを追加してもよい。例えば、ライトシアン、及びライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成、並びに緑色、又はオレンジ色などの特色のインクを吐出するインクジェットヘッドなどを追加する構成なども可能である。また、各色のインクジェットヘッドの配置順序も特に限定はない。
 スキャナー44は、インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kを用いて用紙Pに形成された画像を光学的に読み取り、その読取画像を示す電子画像データを生成する装置である。スキャナー44は、用紙P上に記録された画像を撮像して画像情報を示す電気信号に変換する撮像デバイスを含む。撮像デバイスとしてカラーCCDリニアイメージセンサを用いることができる。CCDは、Charge-Coupled Deviceの省略語であり、電荷結合素子を指す。なお、カラーCCDリニアイメージセンサに代えて、カラーCMOSリニアイメージセンサを用いることもできる。CMOSは、Complementary Metal Oxide Semiconductorの省略語であり、相補型金属酸化膜半導体を指す。
 スキャナー44は、撮像デバイスの他、読み取り対象を照明する照明光学系及び撮像デバイスから得られる信号を処理してデジタル画像データを生成する信号処理回路を含んでもよい。
 スキャナー44は、インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kのうち、用紙Pの搬送方向に対して最下流に位置するインクジェットヘッド43Kの下流側に配置される。スキャナー44は、画像形成ドラム41による用紙Pの搬送中に用紙P上の画像の読み取りを行う。
 インクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kの少なくとも一つを用いて画像が形成された用紙Pは、スキャナー44の読取領域を通過する際に、用紙P上の画像が読み取られる。用紙Pに形成される画像としては、印刷ジョブで指定される印刷対象の画像の他、ノズルごとの吐出状態を検査するための不良ノズル検知パターン、印刷濃度補正用テストパターン、印刷濃度ムラ補正用テストパターン、及びその他の各種のテストパターンの少なくともいずれかが含まれ得る。
 スキャナー44を用いて読み取られた読取画像のデータを基に、印刷画像の検査が行われ、画質異常の有無が判断される。また、スキャナー44を用いて読み取られた読取画像のデータを基に、印刷画像の濃度やインクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kの吐出不良などの情報を得ることができる。
 〈インク乾燥部〉
 インク乾燥部50は、画像形成後の用紙Pを加熱して、インクを乾燥させる。インク乾燥部50は、第一チェーンデリバリー51と、第二用紙ガイド52と、第一加熱装置53と、を備える。
 第一チェーンデリバリー51は、画像形成ドラム41から受け取った用紙Pを用紙Pの搬送経路に沿って搬送して、ニス塗布ドラム61に受け渡す。第一チェーンデリバリー51は、一定の走行経路に沿って走行する一対の無端状のチェーンを備え、その一対のチェーンに掛け渡された図示せぬグリッパーを用いて用紙Pの先端を把持して、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。
 第二用紙ガイド52は、第一チェーンデリバリー51を用いて搬送される用紙Pの走行をガイドする。第二用紙ガイド52は、中空のボード形状を有し、用紙Pの搬送経路に沿って平坦なガイド面を有する。用紙Pは、第二用紙ガイド52のガイド面の上を摺動しながら搬送される。第二用紙ガイド52のガイド面は、図示せぬ多数の吸引穴を備える。用紙Pは、吸引穴から吸引されながら、第二用紙ガイド52のガイド面上を摺動する。これにより、用紙Pに張力を与えながら用紙Pを搬送できる。
 第二用紙ガイド52に代わり、用紙Pの後端を吸着支持する搬送ベルトを備えてもよい。搬送ベルトは、第一チェーンデリバリー51と概ね同期して走行し、用紙Sを搬送ベルトの走行方向に沿って搬送する。
 第一加熱装置53は、第一チェーンデリバリー51を用いて搬送される用紙Pの画像表面を加熱して、インクを乾燥させる。第一加熱装置53は、例えば、棒状のヒーターを用紙Pの搬送方向に沿って一定の間隔で複数本配置して構成される。各ヒーターは、用紙Pの搬送方向と直交して配置される。ヒーターには、例えば、ハロゲンヒーターや赤外線ヒーターが使用される。第一加熱装置53は、ファン又はブロアなどの送風手段を含んでいてもよい。第一加熱装置53は、ヒーターの点灯本数、及び点灯デューティー比の少なくともいずれかの変更によって、乾燥させる強さの度合を示す乾燥強度が調節される。
 用紙Pは、第一チェーンデリバリー51を用いて搬送される過程で第一加熱装置53を用いて画像表面が加熱され、インクが乾燥される。
 インクジェット印刷装置1は、インク乾燥部50におけるインク乾燥条件を適切に制御するために、第一温度検出部56を備える。第一温度検出部56は、第一加熱装置53を用いて乾燥処理が施された用紙Pの温度を検出する。第一温度検出部56を用いて検出される用紙Pの温度は、例えば、用紙Pの表面温度である。第一温度検出部56には、非接触式の温度センサを用いることができる。
 第一温度検出部56は、第一加熱装置53よりも用紙搬送経路の下流側、かつ、ニス塗布部60に用紙Pを受け渡す手前の位置に配置される。第一温度検出部56を用いて検出される温度情報に基づき、第一加熱装置53の動作が制御される。
 〈ニス塗布部〉
 ニス塗布部60は、画像形成後の用紙Pの画像表面にニスを塗布する。本実施形態で用いるニスは水性ニスである。水性ニスとは、水溶性のニスである。ニス塗布部60は、ニス塗布ドラム61と、ニスコーター90と、を備える。
 ニス塗布ドラム61は、第一チェーンデリバリー51から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送し、第二チェーンデリバリー71に受け渡す。ニス塗布ドラム61は、ドラム周面に備えられた図示せぬグリッパーを用いて用紙Pの先端を把持して回転し、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
 ニスコーター90の構成例として、ニス槽、汲み上げローラー、計量ブレード、一つ以上の中間転写ローラー、及びニス塗布ローラーを備える構成が挙げられる。ニスコーター90の構成は特に限定されず、ドクターチャンバーとニス塗布ローラーとを備えた構成であってもよい。ニスコーター90は、目標とする光沢を実現し得る光沢向上剤が添加されたニスが供給される。なお、ニスコーター90は光沢向上剤が非添加のニスが供給され得る。光沢向上剤が添加されたニスの詳細は後述する。
 画像形成後の用紙Pをニスコートする場合、用紙Pは、ニス塗布ドラム61に搬送される過程で画像形成面にニス塗布ローラーが押圧当接されて、画像形成面にニスが塗布される。ニス塗布部60はニス付与部の一例である。
 〈ニス後処理部〉
 ニス後処理部70は、ニス塗布部60で用紙Pの画像表面に塗布されたニスの後処理を行う。水性ニスが使用される場合は、ニスの後処理として、加熱乾燥処理が施される。ここでいう加熱乾燥処理は、ニスが塗布された用紙Pの画像表面を加熱して、ニスを乾燥させる処理、すなわち、ニス中の水分又は溶剤を揮発させる処理である。これにより、ニス層の表面のべたつきを抑制し、ブロッキングの発生を抑制する。
 ニス後処理部70は、第二チェーンデリバリー71と、第三用紙ガイド72と、第二加熱装置70Aとを備える。
 第二チェーンデリバリー71は、ニス塗布ドラム61から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送し、排紙位置で排紙する。第二チェーンデリバリー71は、一定の走行経路に沿って走行する一対の無端状のチェーンを備え、その一対のチェーンに掛け渡された図示せぬグリッパーを用いて用紙Pの先端を把持して、用紙Pを一定の搬送経路に沿って搬送する。
 第三用紙ガイド72は、第二チェーンデリバリー71を用いて搬送される用紙Pの走行をガイドする。第三用紙ガイド72は、中空のボード形状を有し、用紙Pの搬送経路に沿って平坦なガイド面を有する。用紙Pは、第三用紙ガイド72のガイド面の上を摺動しながら搬送される。第三用紙ガイド72のガイド面は、図示せぬ多数の吸引穴を備える。用紙Pは、吸引穴から吸引されながら、ガイド面上を摺動する。これにより、用紙Pに張力を与えながら用紙Pを搬送できる。
 第二加熱装置70Aは、第二チェーンデリバリー71を用いて搬送される用紙Pの画像表面を加熱して、画像表面に塗布されたニスを乾燥させる。第二加熱装置70Aは、第一加熱装置53と同様の構成が適用可能である。
 水性ニスが塗布された用紙Pは、第二チェーンデリバリー71を用いて搬送される過程で第二加熱装置70Aを用いて画像表面が加熱され、塗布されたニスが乾燥される。
 ニス後処理部70は、用紙Pに塗布されたニスを冷却する図示せぬ冷却処理部を備えていてもよい。冷却処理部の構成例として、送風ファンが備えられる構成が挙げられる。ニスに対して冷却処理が施されることで、ニスの粘度を上昇させることができる。ニスの粘度を上昇させることで、インクの溶剤がニス中に混入されることが抑制され、ニスのべたつきの抑制が可能となる。
 インクジェット印刷装置1は、ニス後処理部70におけるニス乾燥条件を適切に制御するために、第二温度検出部94を備える。第二温度検出部94は、第二加熱装置70Aを用いてニスの後処理が施された後の用紙Pの温度を検出する。第二温度検出部94を用いて検出される用紙Pの温度は、例えば、用紙Pの表面温度である。第二温度検出部94には、非接触式の温度センサを用いることができる。
 第二温度検出部94は、第二加熱装置70Aよりも用紙搬送経路の下流側、かつ、集積部80の手前の位置に配置される。第二温度検出部94を用いて検出される温度情報に基づき、第二加熱装置70Aの動作が制御される。
 〈集積部〉
 集積部80は、排紙される用紙Pをスタックする。集積部80は、集積装置81を備える。集積装置81は、定められた排紙位置で第二チェーンデリバリー71から開放される用紙Pを受け取り、排紙台の上に用紙Pを積み重ねて回収する。
 〈パウダー噴霧部〉
 インクジェット印刷装置1は、パウダー噴霧部96を備える。パウダー噴霧部96は、集積部80にスタックされる用紙Pにパウダーを噴霧する。パウダーは、ブロッキング抑止効果を持つ粉末である。パウダーとして、印刷分野において使用されているブロッキング防止パウダーを用いることが可能である。
 パウダーはブロッキング防止剤と呼ばれる場合がある。パウダーは、無機粒子、又は有機粒子のいずれであってもよい。パウダーの例として、シリコーン樹脂をコーティングした澱粉、シリカ、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、及び金属酸化物からなる群から選ばれる材料の粒子が好ましい。
 アクリル系樹脂の例として、ポリメチルアクリレート、及びポリメチルメタアクリレートが挙げられる。スチレン系樹脂の例として、ポリスチレンが挙げられる。金属酸化物の例として、酸化チタン、酸化マグネシウム、及び酸化アルミニウムが挙げられる。
 インクジェット方式の画像形成に用いられるインクは、インクジェット方式以外の印刷方式において用いられるインクに比べて水の含有量が高い。したがって、インクジェット印刷装置1において、印刷物の耐擦性を高め、かつ、画像における画像欠陥の発生を防ぐためには、パウダーは疎水性であることが好ましい。例えば、シリコーン系樹脂でコーティング処理した澱粉などの疎水処理されているパウダーが更に好ましい。
 図1に示されたパウダー噴霧部96は、用紙Pの搬送経路において第二温度検出部94よりも用紙Pの搬送方向の下流側の位置に配置される。パウダー噴霧部96は、集積部80にスタックされる前の用紙Pに、又は、集積部80に載せた後の用紙Pにパウダーを噴霧する。
 パウダー噴霧部96には、印刷分野においてパウダーの付与部として用いられているパウダースプレーノズルを適用可能である。パウダー噴霧部96は、ブロワー式、又は電子噴霧式などの方式が適用可能である。パウダー噴霧部96はパウダー付与部の一例である。
 [集積部におけるブロッキングの問題]
 用紙を集積する集積部におけるブロッキングの問題について説明する。集積部におけるブロッキングは、スタッカーブロッキングと呼ばれることがある。以下の説明におけるブロッキングは、特に説明がない場合はスタッカーブロッキングを示している。
 集積部におけるブロッキングの発生は、特に、図1に示したインライン塗布方式を適用して、ニスを塗布する場合に顕著である。一方、ニスに高光沢が求められる場合、光沢向上剤をニスに添加して光沢性能を向上させる場合がある。しかし、光沢向上剤のニスへの添加は、ブロッキングを悪化させる要因となり得る。なお、光沢向上剤は、水溶性樹脂、及び中和剤が含まれる液体である。
 画像の滲み等を抑制して、所望の画像品質を確保することを目的として、インクの色材成分を凝集させる処理液を用紙に塗布する場合、処理液に含まれる酸と水性ニスに含まれるラテックスとが凝集反応を発現して、光沢が低下してしまうという問題がある。
 処理液を使用した場合の光沢低下の問題は、特に用紙の非画像部において顕著である。用紙の非画像部とは、用紙におけるインクが付与されない領域である。用紙の非画像部は用紙の白地と表現される場合がある。
 処理液を用紙に塗布する場合には、中和剤を含む光沢向上剤をニスに添加して、処理液に含まれる酸と水性ニスに含まれるラテックスとの凝集反応を抑制し得る。しかし、光沢向上剤の添加に起因して、上述のとおり、集積部80におけるブロッキングが悪化する。
 光沢向上剤の添加に起因するブロッキングの悪化の原因は以下のとおりである。インク溶剤、及びニスへ中和剤が混入した場合、インク溶剤単独へ中和剤が混入した場合と比較して、ニス表面のべたつきの増加が大きくなる。
 図2はべたつきの挙動を表すグラフである。図2に示したグラフは、ニスのみの場合、ニスにインク溶剤が混入した場合、ニスに中和剤が混入した場合、及びニスに中和剤、及びインク溶剤が混入した場合における、べたつき評価値の違いを表している。ここでいう、べたつき評価値とは、ニスの表面に発生するべたつきの状態を表す指標値である。べたつき評価値が相対的に大きい場合はニス表面のべたつきが大きく、べたつき評価値が相対的に小さい場合はニス表面のべたつきが小さいことを示す。以下、ニスのべたつき、又はべたつきは、ニス表面のべたつきを表すこととする。
 図2に示したグラフの横軸は液体の種類である。図2に示したグラフの縦軸はべたつき評価値である。べたつき評価値が相対的に小さい場合はブロッキングが発生しにくい。一方、べたつき評価値が相対的に大きい場合はブロッキングが発生しやすい。
 図2に示すように、符号G21を付したデータが表すニスに中和剤とインク溶剤とが混入した場合は、符号G22を付したデータが表すニスにインク溶剤が単独で混入した場合と比較して、ニス表面のべたつきの増加が大きくなる。
 すなわち、符号G24を付したデータが表すニスに中和剤が混入した場合のべたつき評価値からの、符号G21を付したデータが表すニスに中和剤とインク溶剤とが混入した場合のべたつき評価値の増加分は、符号G23を付したデータが表すニスのみのべたつき評価値からの、符号G22を付したデータが表すニスにインク溶剤が単独で混入した場合のべたつき評価値の増加分よりも大きい。
 ニス表面のべたつきの増加が大きくなるため、中和剤を添加した場合は中和剤を添加しない場合よりもブロッキングが悪化する。
 図3は白地光沢とべたつきとの関係を示すグラフである。図3に示したグラフの横軸は白地光沢である。図3に示したグラフの縦軸はニス表面のべたつき評価値である。
 白地光沢は、用紙の白地における光沢の測定値であり、光沢値を用いて表される。図3に示した白地光沢は、処理液が付与されていない用紙の白地における光沢値である。
 図3に示した白地光沢は、ニスに添加される光沢向上剤の添加量を一定量ずつ増加させた場合の、光沢向上剤の添加量ごとの光沢値である。光沢値は光沢度計の測定値を適用した。なお、光沢値は光沢度と同義である。本実施形態では、光沢値の測定は予め定められた用紙を使用した。
 図3に示したニスのべたつき評価値は、図2に示したニスのべたつき評価値を適用可能である。図3に示したグラフの縦軸のスケールは、図2に示したグラフの縦軸のスケールと一致していてもよいし、不一致でもよい。
 図3に符号G31を付した曲線が示すように、光沢値を上げることを目的としてニスに添加する光沢向上剤の添加量を増加させた場合、光沢向上剤の添加量の増加に応じて、ニスのべたつきが増加してしまう。
 一方、ブロッキングの抑制を目的として、ニスに添加する光沢向上剤の添加量を減少させた場合、光沢向上剤の添加量の減少に応じて、光沢値が低下してしまう。
 以下に、用紙に画像が形成され、画像が形成された用紙に乾燥処理が施された後に水性ニスが塗布される場合において、ブロッキングの抑制と、目標とする画像の光沢の実現とを両立し得る乾燥制御方法について説明する。
 [乾燥制御方法の詳細な説明]
 〈概要〉
 光沢向上剤を含有する水性ニスを塗布する場合、光沢向上剤を含有しない水性ニスを塗布する場合と比較して、インク乾燥処理における加熱期間の長期間化を実施する。具体的には、インク膜表面の膜面温度を一定以上に保持する期間を長めにとる。
 または、光沢向上剤を含有する水性ニスを塗布する場合、光沢向上剤を含有しない水性ニスを塗布する場合と比較して、インク乾燥処理における加熱温度の高温度化を実施する。具体的には、一定期間維持されるインク膜表面の膜面温度を上昇させる。
 インク乾燥処理における加熱期間の長期間化、及びインク乾燥処理における加熱温度の高温度化を併用してもよい。すなわち、インク乾燥処理における加熱期間の高温度化、及びインク乾燥処理における加熱温度の高温度化の少なくともいずれか一方を実施する。
 インク膜は、用紙に形成されたインクから構成される用紙表面のインクの膜である。インク膜の膜面温度はインク膜の表面温度である。一定以上の温度はインク乾燥処理における加熱温度を示す。一定期間はインク乾燥処理における加熱期間を示す。
 換言すると、インク乾燥処理における加熱温度は、目標のインクの粘度を実現するインクの到達温度である。インク乾燥処理における加熱期間は、加熱温度が維持される期間である。
 光沢向上剤を含まないニスを使用する場合と比較して、光沢向上剤を含むニスを使用する場合は、インク乾燥処理における加熱期間を長めに設定することに起因して、ニスを塗布する前にインク膜中に残存するインク溶剤を用紙へ浸透させ、インク膜中に残存するインク溶剤の量を減少させる。これにより、ニスを塗布した際にニスに混入するインク溶剤の量を削減できる。結果として、ニス表面のべたつきの増加が抑えられ、ブロッキングを抑制しうる。また、ニスに含有する光沢向上剤が作用して、目標の光沢を確保し得る。
 インク膜中に残存したインク溶剤を用紙層に浸透させる手段を、以下の式1を用いて表されるLucas-Washburnの式から考察する。用紙層とは、インクの浸透が可能な浸透性を有する用紙における、インクを吸収可能な用紙の層を意味する。
 l={r×γ×cosθ×tA/(2×η)}1/2 …式1
 ここで、上記の式1におけるlは用紙の浸透深さ、rは用紙の毛管半径、γは液体の表面張力、θは用紙に対する液体の接触角、ηはインク溶剤の粘度、tAは期間を表す。水性インクの場合、インク溶剤の粘度はインクの粘度としてもよい。インク溶剤はインク溶媒と同義である。
 インク溶剤の用紙への浸透量をVとした場合、浸透量Vは用紙の浸透深さlに比例するので、用紙の浸透深さlを相対的に大きくすると、相対的に多くのインク溶剤を用紙へ浸透させることができる。期間tAを相対的に大きくする場合、インク溶剤の粘度ηを相対的に小さくする場合、及び期間tAを相対的に大きくし、かつ、インク溶剤の粘度ηを相対的に小さくする場合に、用紙の浸透深さlを相対的に大きくすることが可能である。
 〈溶剤粘度の温度依存性〉
 図4は溶剤粘度の温度依存性を示すグラフである。溶剤粘度はインク溶剤の粘度である。本明細書における溶剤粘度、インク溶剤の粘度、及びインクの粘度は相互に読み替えが可能である。図4にはインク溶剤としてプロピレングリコールを含有するインクの場合、及びインク溶剤としてジプロピレングリコールを含有するインクの場合における、溶剤粘度の温度依存性を示す。
 図4の横軸はインクの温度である。温度の単位は℃である。図4の縦軸は溶剤粘度を表している。溶剤粘度の単位はミリパスカル秒である。なお、ミリパスカル秒は、10-3パスカル秒である。
 符号G41を付した曲線は、プロピレングリコールを含有するインクにおける溶剤粘度の温度依存性を表す。符号G42を付した曲線はジプロピレングリコールを含有するインクにおける溶剤粘度の温度依存性を表す。
 プロピレングリコールを含有するインクの場合、及びジプロピレングリコールを含有するインクの場合は、いずれも相対的に温度を高くした場合に、相対的に溶剤粘度が低くなる。そうすると、インクの温度を高温に維持するほどインク溶剤は用紙へ浸透しやすくなる。
 インク溶剤の種類が異なる場合、インクの温度を同一としても、インク溶剤の分子量の差に起因して溶剤粘度は異なる。例えば、図4に示すように、ジプロピレングリコールを含有するインクは、プロピレングリコールを含有するインクと比較して同じ温度でも粘度が高い。そうすると、ジプロピレングリコールを含有するインクは、プロピレングリコールを含有するインクと同程度の粘度を実現する場合、プロピレングリコールを含有するインクと比較して高温を維持する必要がある。
 例えば、プロピレングリコールを含有するインクにおいて、30ミリパスカル秒の粘度を実現する温度が約36℃であるのに対して、ジプロピレングリコールを含有するインクにおいて、30ミリパスカル秒の粘度を実現する温度は約45℃である。
 〈溶剤粘度の加熱期間依存性〉
 インク溶剤を用紙へ浸透させる場合、インク乾燥処理の加熱期間をより長くするインク乾燥処理の長期間化を行う。そうすると、より多くのインク溶剤を用紙へ浸透させることが可能となる。
 用紙にインクが付与されてから、用紙へのニスの塗布が開始されるまでの期間、インクの温度をより高温に維持するインク乾燥処理の高温度化を行う。更に、インクの高温をより長期間維持する。そうすると、より多くのインク溶剤を用紙へ浸透させることができ、ニスの塗布を開始する際のインク膜中のインク溶剤の残量を低減化が可能となる。
 〈ニス条件、及びインク乾燥処理条件〉
 次に、目標の高光沢、及びブロッキングの抑制の両立を実現するニス条件、及びインク乾燥処理条件について説明する。
 ニス条件は、光沢増加分の条件が含まれる。光沢増加分は、光沢向上剤が非添加のニスを塗布した場合の光沢値からの、光沢向上剤を添加したニスを塗布した場合の光沢値の増加分である。光沢増加分は光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加する。光沢増加分の単位はグロスユニットである。
 インク乾燥条件は、溶剤粘度、又は溶剤粘度を実現するインク乾燥処理の加熱温度が含まれる。インク乾燥条件は、インク乾燥処理の加熱期間が含まれる。
 光沢増加分が異なる三水準について、溶剤粘度、加熱期間、及びブロッキング性能の関係を実験から導出し、実験結果に基づいてニス条件、及びインク乾燥処理条件を導出した。
 ブロッキング性能とは、集積部におけるブロッキングが発生するか否かの観点から評価した印刷装置の性能、又はインク乾燥処理部の性能である。ブロッキング性能は、ブロッキングが発生せずに、印刷物を連続して積載することが可能な枚数を指標とした。
 実験に使用した素材、及び光沢向上剤は、以下の表1とおりである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 水性ニスは、DICグラフィック社製、HYDLITH2012-R1を使用した。HYDLITH2012-R1は製品名である。光沢向上剤は、ANGLE CHEMICAL CAMPANY製、AMPを使用した。AMPは商品名である。AMPの化学名は2-アミノ-2メチル-1-プロパノールである。
 インクの主溶剤はプロピレングリコールである。インクの主溶剤とは、インク溶剤に含まれる水以外の成分物質のうち、最も含有率が高い物質である。処理液は富士フイルム社製C-FJ-CP3を使用した。C-FJ-CP3は製品名である。
 表2には、光沢増加分と光沢向上剤の添加量との関係を示す。光沢向上剤の添加量は、ニスの体積を100パーセントとした場合の、ニスに添加される光沢向上剤の体積の比率を用いて表した。添加量は添加率と読み替えが可能である。光沢値の単位は、後述する光沢値の単位と同様にグロスユニットである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2における光沢増加分プラス5は、光沢向上剤を2.5パーセント添加したニスを使用して実現した。光沢増加分プラス10は、表1に記載の光沢向上剤を5.0パーセント添加したニスを使用して実現した。光沢増加分プラス15は、表1に記載の光沢向上剤を7.5パーセント添加したニスを使用して実現した。表2の光沢増加分プラス5は光沢度計の測定値が5グロスユニット増加したことを表す。光沢増加分プラス10、及び光沢増加分プラス15も同様である。
 用紙は、北越紀州製紙社製、NEW-DV310gmsを使用した。310gmsは米坪を表す。米坪とは紙の厚さを表す単位である。米坪は1平方メートルあたりの紙の重量を表した単位である。米坪はメートル坪量と呼ばれることがある。
 処理液の塗布量は、1.5グラム毎平方メートルであり、定量である。ニスの塗布量は3.0グラム毎平方メートルであり、定量である。ここで、塗布量はウエット塗布量である。ウエット塗布量は、塗布後の用紙の質量から塗布前の用紙の質量を減算して求められる。
 表3には、用紙にニスのみを塗布した場合の光沢向上剤の添加量と光沢値との関係を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3に示した光沢値は、光沢度計の測定値である。光沢値の単位はグロスユニットである。光沢度計の測定値は、用紙搬送方向の光沢値の測定値と、用紙幅方向の光沢値の測定値との平均値である。用紙搬送方向は、図1に示したインクジェット印刷装置1における用紙Pの搬送方向である。光沢度計は、BYK社製、micro-TRIGlossを用いた。光沢値の測定値は、測定角度が60度の測定値を採用した。
 光沢値は、複数回の測定における代表値を適用してもよい。その場合の代表値は、平均値を用いる。
 表3における光沢向上剤の添加量が0パーセントは光沢向上剤が非添加のニスを塗布した場合を表している。光沢向上剤の添加量が0パーセントの場合の光沢値は55グロスユニットである。光沢向上剤の添加量が2.5パーセントの場合の光沢値は60グロスユニットである。光沢向上剤の添加量が5.0パーセントの場合の光沢値は65グロスユニットである。光沢向上剤の添加量が7.5パーセントの場合の光沢値は70グロスユニットである。なお、表3に示した光沢値は上記の表1に記載のニス、及び光沢向上剤を使用した場合の値である。光沢値は、ニスの種類、及び光沢向上剤の種類に応じて表3に示した値以外の値となり得る。
 上記の表2に示した光沢向上剤の添加量が異なる三種類のニスを準備した。処理液を塗布した用紙に画像を形成する。画像は、シアンインクを用いた100パーセントべた画像である。100パーセントべた画像は用紙のインク被覆率が100パーセントのべた画像である。なお、画像の種類はシアンインクを用いた100パーセントべた画像に限定されず、任意の画像を使用し得る。
 画像が形成された用紙にインク乾燥処理を施す。インク乾燥処理が施された用紙にニスを塗布する。ニスが塗布された用紙にニス乾燥処理を施す。ニス乾燥処理は35℃の空気を送風した。送風に用いられる空気の温度は常温を適用してもよい。常温は装置の環境温度を適用してもよい。常温の例として30℃以上40℃以下の任意の温度が挙げられる。
 ニス乾燥処理を施した後の用紙を積載する。ブロッキングが発生せずに積載された用紙の枚数を測定する。上記の表2に示した三水準のニスについて上記の実験を実施する。
 表4には、ブロッキング性能のランク、及びランクごとの到達枚数を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表4はブロッキングが発生せずに積載可能な用紙の枚数がAからEの五段階で表されている。表2に示した光沢向上剤の添加量が異なる三つの水準の水準ごとに、ブロッキングが発生せずに連続して積載が可能な用紙の枚数、溶剤粘度、及びインク乾燥処理の加熱期間を測定した。
 表5、及び表6には、光沢増加分がプラス15の場合の実験結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5における溶剤粘度ηは、加熱温度Tにおける溶剤粘度である。例えば、加熱温度Tが40℃の場合、溶剤粘度ηは25.0ミリパスカル秒である。表5における加熱温度は、インク乾燥処理の処理温度に相当する。表5における加熱期間は、インク乾燥処理の処理期間に相当する。
 表6は、表5において、表4のランクBの到達枚数に該当する溶剤粘度ηと加熱期間tとの組み合わせを示した。ランクBに該当する溶剤粘度ηと加熱期間tとの組み合わせが二種類以上の場合は、加熱期間tが最も短くなる溶剤粘度ηと加熱期間tとの組み合わせを抽出した。表6の溶剤粘度欄に記載したかっこ内の温度値は、溶剤粘度を実現する加熱温度の値である。表8、表10、表12、表14、及び表16についても同様である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 表4のランクAに記載した到達枚数、及びランクBに記載した到達枚数を目標とするブロッキング性能と規定した場合、表6に示した溶剤粘度ηと加熱期間tとの組み合わせは、光沢増加分がプラス15の場合のインク乾燥条件と規定することが可能である。また、溶剤粘度ηを実現する加熱温度Tは、光沢増加分がプラス15の場合のインク乾燥条件と規定することが可能である。
 溶剤粘度ηに対応する加熱期間t以上の期間を、インク乾燥処理における加熱期間として設定する。例えば、溶剤粘度ηが7.6ミリパスカル秒の場合、加熱期間tを10.0秒以上に設定する。これにより、目標のブロッキング性能を満足することが可能である。
 表7、及び表8には、光沢増加分がプラス10の場合の実験結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 表7、及び表8における溶剤粘度η、加熱温度T、及び加熱期間tは、それぞれ、表5、及び表6における溶剤粘度η、加熱温度T、及び加熱期間tと同様である。ここでの説明は省略する。
 光沢増加分がプラス15の場合と同様に、表4のランクAに記載した到達枚数、及びランクBに記載した到達枚数を目標とするブロッキング性能と規定した場合、表8に示した溶剤粘度ηと加熱期間tとの組み合わせは、光沢増加分がプラス10の場合のインク乾燥条件と規定することが可能である。また、溶剤粘度ηを実現する加熱温度Tは、光沢増加分がプラス10の場合のインク乾燥条件と規定することが可能である。
 表9、及び表10には、光沢増加分がプラス5の場合の実験結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 表9、及び表10における溶剤粘度η、加熱温度T、及び加熱期間tは、それぞれ、表5、及び表6における溶剤粘度η、加熱温度T、及び加熱期間tと同様である。ここでの説明は省略する。
 光沢増加分がプラス15の場合、及び光沢増加分がプラス10の場合と同様に、表4のランクAに記載した到達枚数、及びランクBに記載した到達枚数を目標とするブロッキング性能と規定した場合、表8に示した溶剤粘度ηと加熱期間tとの組み合わせは、光沢増加分がプラス5の場合のインク乾燥条件と規定することが可能である。また、溶剤粘度ηを実現する加熱温度Tは、光沢増加分がプラス5の場合のインク乾燥条件と規定することが可能である。
 表5、表7、及び表9に示したように、溶剤粘度が小さいほど、加熱温度が高いほど、又は加熱期間が長いほど、ブロッキング性能は向上する。また、光沢増加分が高いニスは、光沢増加分が低いニスと同等のブロッキング性能を得ようとする場合、より高温の加熱温度、及びより長い加熱期間が必要となる。
 また、加熱温度の上限が制限され、ある粘度以下に溶剤粘度を下げられない場合は、加熱期間をより長くすることで、目標とするブロッキング性能を満足し得る。加熱期間の上限が制限され、ある期間以上に加熱期間を長くすることができない場合は、加熱温度をより高くし、溶剤粘度をより小さくすることで、目標とするブロッキング性能を満足し得る。
 表11から表16には、インクの主溶剤をプロピレングリコールからジプロピレングリコールへ変更した場合の実験結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
 表11から表16に示したインクの主溶剤がジプロピレングリコールの場合の実験結果を、表5から表10に示したインクの主溶剤がプロピレングリコールの場合の実験結果と比較する。
 インクの主溶剤がジプロピレングリコールの場合に、インクの主溶剤がプロピレングリコールの場合と同等のブロッキング性能を得るためには、インクの主溶剤がプロピレングリコールの場合と同等の粘度になるまで、インク膜を加熱する必要がある。
 そして、インクの主溶剤がジプロピレングリコールの場合は、インクの主溶剤がプロピレングリコールの場合と比較して、10℃から15℃程度高いインク膜の加熱温度が必要になる。
 図5は光沢増加分が15の場合における、溶剤粘度と加熱期間との関係を示すグラフである。図5の横軸は溶剤粘度ηである。図5の縦軸は加熱期間tである。図5に符号G51を付した曲線は、インクの主溶剤がプロピレングリコールの場合の溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係を示す。図5に符号G52を付した曲線は、インクの主溶剤がジプロピレングリコールの場合の溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係を示す。
 図5に示すように、溶剤粘度ηが概ね同じになるように加熱温度が調整された場合は、インクの主溶剤の種類に関わらず、溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係は概ね同じとなる。
 図6は光沢増加分が10の場合の溶剤粘度と加熱期間との関係を示すグラフである。図6の横軸は溶剤粘度ηである。図6の縦軸は加熱期間tである。図6に符号G61を付した曲線は、インクの主溶剤がプロピレングリコールの場合の溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係を示す。図6に符号G62を付した曲線は、インクの主溶剤がジプロピレングリコールの場合の溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係を示す。
 図6に示すように、光沢増加分が10の場合についても、溶剤粘度ηが概ね同じになるように加熱温度が調整された場合は、インクの主溶剤の種類に関わらず、溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係は概ね同じとなる。
 図7は光沢増加分が5の場合の溶剤粘度と加熱期間との関係を示すグラフである。図7の横軸は溶剤粘度ηである。図7の縦軸は加熱期間tである。図7に符号G71を付した曲線は、インクの主溶剤がプロピレングリコールの場合の溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係を示す。図7に符号G72を付した曲線は、インクの主溶剤がジプロピレングリコールの場合の溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係を示す。
 図7に示すように、光沢増加分が5の場合についても、溶剤粘度ηが概ね同じになるように加熱温度が調整された場合は、インクの主溶剤の種類に関わらず、溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係は概ね同じとなる。
 図8は図5に示したグラフを基に導出したブロッキング性能の境界条件を示すグラフである。図8の横軸は溶剤粘度ηである。図8の縦軸は加熱期間tである。図8に示した曲線G81は、図5に示したインクの主溶剤がプロピレングリコールの場合のデータ、及びインクの主溶剤がジプロピレングリコールの場合のデータを曲線補間して得られた近似曲線である。図9に示した曲線G91、及び図10に示した曲線G101も同様である。
 図8の曲線G81を境界として区分される領域のうち、溶剤粘度ηが低い側であり、加熱期間tが長い側の領域は、目標のブロッキング性能を満たす領域である。一方、曲線G81を境界として区分される領域のうち、溶剤粘度ηが高い側であり、加熱期間tが短い側の領域は、目標のブロッキング性能を満たしていない領域である。
 図8のブロッキングgood領域は、目標のブロッキング性能を満たす領域を意味する。図9、及び図10のブロッキングgood領域も同様である。図8のブロッキングbad領域は、目標のブロッキング性能を満たしていない領域を意味する。図9、及び図10のブロッキングbad領域も同様である。
 図8に図示した曲線G81は、以下の式2を用いて表される。
 t=2.2355×e0.2056×η1 …式2
 ここで、eは自然対数の底である。
 上記の式2に示すように、加熱期間tは、溶剤粘度ηをパラメータとする関数として表される。以下の式3、及び式4についても同様である。上記の式2の決定係数Rは0.9811である。
 決定係数Rは近似式がどれほど当てはまっているかを表す指標であり、0以上1.0以下の値である。一般に決定係数Rが0.8以上の場合に近似式が非常によく当てはまっているといえる。上記の式2はR=0.9811であり、非常によく当てはまっているといえる。
 図8に示したブロッキングgood領域は、t≧2.2355×e0.2056×η1を満たす加熱期間tを含む領域である。
 図9は図6に示したグラフを基に導出したブロッキング性能の境界条件を示すグラフである。図9の横軸は溶剤粘度ηである。図9の縦軸は加熱期間tである。図9に図示した曲線G91は、以下の式3を用いて表される。なお、以下の式3の決定係数Rは0.9837である。
 t=0.5095×e0.3028×η2 …式3
 図9に示したブロッキングgood領域は、t≧0.5095×e0.3028×η2を満たす加熱期間tを含む領域である。
 図10は図7に示したグラフを基に導出したブロッキング性能の境界条件を示すグラフである。図10の横軸は溶剤粘度ηである。図10の縦軸は加熱期間tである。図10に図示した曲線G101は、以下の式4を用いて表される。なお、以下の式4の決定係数Rは0.9710である。
 t=0.3578×e0.2113×η3 …式4
 図10に示したブロッキングgood領域は、t≧0.3578×e0.2113×η3を満たす加熱期間tを含む領域である。
 図8から図10に示したブロッキングgood領域となるように、溶剤粘度η、及び加熱期間tが設定された場合、目標のブロッキング性能を満足することが可能である。また、溶剤粘度ηは、表5、表7、及び表9、並びに、表11、表13、及び表15に示した溶剤粘度ηと加熱温度Tとの関係から導出可能である。
 すなわち、加熱温度T、及びインク溶剤の種類の情報を用いて溶剤粘度ηを導出する。以下の式5を用いて溶剤粘度ηに対応する加熱期間tを算出することが可能である。
 t=A×eB×η …式5
 なお、上記の式5におけるA、及びBは、溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係を表す曲線を用いて決められる定数である。溶剤粘度ηと加熱期間tとの関係を表す曲線の例として、図8に示した曲線G81が挙げられる。
 なお、上記の式5における溶剤粘度ηは、上記式1の溶剤粘度η、上記式2の溶剤粘度η、及び上記式3の溶剤粘度ηの総称である。上記式1の溶剤粘度η、上記式2の溶剤粘度η、及び上記式3の溶剤粘度ηは、溶剤粘度ηと置き換えてもよい。同様に、加熱期間tは、上記式1の加熱期間t、上記式2の加熱期間t、及び上記式3の加熱期間tの総称である。上記式1の加熱期間t、上記式2の加熱期間t、及び上記式3の加熱期間tは、加熱期間tと置き換えてもよい。
 本実施形態では、ニス塗布量を3.0グラム毎平方メートルとしたが、ニス塗布量は実用上のニス塗布量の範囲の任意の塗布量を適用可能である。例えば、ニスの塗布量が2.0グラム毎平方メートル以上、6.0グラム毎平方メートル以下の任意の値を適用可能である。
 その理由は、以下のとおりである。用紙へのインクの付与量と比較して、用紙へのニスの塗布量は極めて少量である。ニスの塗布量が上記の範囲で変動したとしても、インク溶剤の媒体への浸透を促進、又は阻害する要因にはなり得ない。
 したがって、本実施形態に示したニスの塗布量が3.0グラム毎平方メートルの場合のインク乾燥処理条件は、実用上のニスの塗布量の範囲である2.0グラム毎平方メートル以上6.0グラム毎平方メートル以下の範囲における、任意の塗布量にも適用可能と考えられる。なお、実用上のニスの塗布量の範囲は、ニスの種類等の条件に応じて適宜決め得る。
 同様に、処理液の塗布量は、実用上の塗布液の塗布量の範囲の任意の塗布量としても、インク溶剤の媒体への浸透を促進、又は阻害する要因にはなり得ないと考えられる。処理液の塗布量は1.5グラム毎平方メートルに限定されず、用紙の種類、インクの種類、及びインクの付与量等の画像形成条件において決められる範囲の任意の塗布量を適用してもよい。
 光沢増加分がプラス10を超えプラス15未満の場合は、光沢増加分がプラス15の場合の式2を適用可能である。また、光沢増加分がプラス5を超えプラス10未満の場合は、光沢増加分がプラス10の場合の式3を適用可能である。更に、光沢増加分がプラス0を超えプラス5未満の場合は、光沢増加分がプラス5の場合の式4を適用可能である。
 もちろん、光沢増加分がプラス10を超えプラス15未満の各光沢値について、溶剤粘度ηをパラメータとする加熱期間tの関数を作成してもよい。光沢増加分がプラス0を超えプラス5未満の場合、及び光沢増加分がプラス5を超えプラス10未満の場合も同様である。
 〈乾燥制御方法の作用効果〉
 以上説明した乾燥制御方法によれば、インクを凝集させる処理液、及び水性インクを用いて画像が形成された用紙のインク乾燥処理において、水性ニスに含有する光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加する光沢増加分の情報を取得し、光沢増加分に基づいて目標とするブロッキング性能を満たすように、溶剤粘度、及び加熱期間が決められる。
 これにより、光沢増加分の増加に応じて、予め定められている加熱温度の初期値よりも加熱温度を上昇させる処理、及び光沢増加分の増加に応じて、予め定められている加熱期間の初期値よりも加熱期間を長くする処理が可能となり、目標とする光沢値の実現、及び目標とするブロッキング性能の実現の両立が可能である。
 実現される光沢が異なる複数の光沢増加分について、溶剤粘度をパラメータとする加熱期間を表す関数を準備しておく。光沢増加分をインデックスとして、溶剤粘度をパラメータとする加熱期間を表す関数を選択し、選択した関数を用いて溶剤粘度に対応する加熱期間を導出し得る。関数に代わり、テーブルを準備してもよい。
 加熱温度の初期値は、光沢向上剤が非添加の場合の加熱温度としてもよい。また、加熱期間の初期値は、光沢向上剤が非添加の場合の加熱期間としてもよい。加熱温度の初期値、及び加熱期間の初期値は、ニスの種類、及びインクの種類などの条件に応じて変更してもよい。
 本実施形態では、インクを乾燥させるプロセスと、ニスを乾燥させるプロセスとを分離している。インク、及びニスを一括して乾燥させるプロセスは、ニスにインク溶剤が多量に浸透し、集積部におけるブロッキング性能が顕著に悪化する懸念がある。更に、ニスの塗布量を増加した場合、ニスの乾燥強度を強めることになる。そうすると、集積部の温度が高温度化し、更なるブロッキング性能の悪化が懸念される。
 インクを乾燥させるプロセスと、ニスを乾燥させるプロセスとを分離させる場合、ニスへのインク溶剤の浸透の抑制に起因してブロッキング性能の悪化が抑制される。また、集積部の温度の高温度化が抑制される。
 [乾燥制御方法を実現するハードウェア構成の構成例]
 図11は図1に示したインクジェット印刷装置における乾燥制御方法を実現するハードウェア構成の構成例を示すブロック図である。図1に示したインクジェット印刷装置1は、印刷装置本体1Aと、制御装置100とを含む印刷システムである。
 印刷装置本体1Aは、図1で説明したインクジェット印刷装置1の機械構造体を指す。印刷装置本体1Aは、用紙Pの搬送部5、給紙部10、画像形成部40、インク乾燥部50、ニス塗布部60、及び集積部80を含む。
 図11に示した搬送部5は、給紙部10から集積部80に至るインクジェット印刷装置1の全体としての用紙Pの搬送経路を構成する搬送機構を指す。搬送部5は、図1に示したフィーダーボード12、給紙ドラム13、処理液塗布ドラム21、処理液乾燥ドラム31、画像形成ドラム41、第一チェーンデリバリー51、ニス塗布ドラム61、及び第二チェーンデリバリー71を含む。なお、図11では記載が省略されているが、印刷装置本体1Aは、図1に示した処理液塗布部20、処理液乾燥部30、インク乾燥部50、ニス後処理部70、及びパウダー噴霧部96を含む。
 制御装置100は、インクジェット印刷装置1の全体の動作を制御する。制御装置100は、コンピューターのハードウェア、及びソフトウェアの組み合わせによって実現することができる。制御装置100は、一台、又は複数台のコンピューターを用いて実現することが可能である。
 制御装置100は、ニス情報取得部102と、インク情報取得部104と、印刷情報取得部106と、インク乾燥条件導出部108と、テーブル記憶部110と、インク乾燥制御部215とを備える。
 ニス情報取得部102は、光沢増加分の情報を含むニスに関する情報を取得する。ニス情報取得部102は、オペレータが入力した光沢増加分の情報を取得してもよいし、光沢値を測定した測定結果に基づく光沢増加分の情報を取得してもよい。
 インク情報取得部104は、溶剤粘度の情報を取得する。インク情報取得部104は、オペレータが入力した溶剤粘度の情報を取得してもよいし、粘度計を用いて溶剤粘度を測定した測定値を取得してもよい。
 インク情報取得部104は、溶剤粘度とインク乾燥処理における加熱温度との関係を表すテーブルから、加熱温度をインデックスとして溶剤粘度を読み出してもよい。溶剤粘度とインク乾燥処理における加熱温度との関係を表すテーブルの一例として表5、及び表7等に示した溶剤粘度とインク乾燥処理における加熱温度との関係が挙げられる。溶剤の種類ごとに、溶剤粘度とインク乾燥処理における加熱温度との関係を表すテーブルを複数備えてもよい。溶剤の種類はインクの種類と読み替えてもよい。
 印刷情報取得部106は、一ジョブにおける印刷枚数の情報、及び印刷物の目標とする仕上がり光沢値の情報を取得する。印刷情報取得部106は、オペレータが入力した情報を取得してもよい。
 インク乾燥条件導出部108は、目標とする光沢、及び目標とするブロッキング性能に基づいて、インク乾燥条件を導出する。インク乾燥条件は、インク乾燥処理における加熱温度の情報、及び加熱期間の情報が含まれる。
 テーブル記憶部110は、テーブル114のデータを記憶しておく記憶装置である。テーブル114の例として、式2から式5を用いて表された溶剤粘度をパラメータとする加熱期間を表す関数が挙げられる。
 インク乾燥制御部215は、インク乾燥条件導出部108を用いて導出された加熱温度、及び加熱期間を用いて、インク乾燥部50の動作を制御する。インク乾燥制御部215は、光沢向上剤が添加された定量ニスが使用される場合、光沢向上剤が非添加のニスが使用される場合よりも、乾燥温度を上昇させるか、及び加熱期間を長くするか、少なくともいずれかを行う。ニスの塗布量は、光沢向上剤の添加量を増加させた場合に、光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加させずに一定量に保たれている。
 図11に示した制御装置100は、インク乾燥条件を制御する乾燥制御装置として構成し得る。すなわち、図1に示したインクジェット印刷装置1は、インク乾燥部50の制御を行う乾燥制御装置を備え得る。
 [乾燥制御方法のフローチャート]
 図12は図11に示した制御装置における処理の例を示すフローチャートである。図12に示したフローチャートは、図11に示したインク乾燥部50におけるインク乾燥処理条件を設定する手順を示している。
 ニス情報取得工程S10において、図11に示したニス情報取得部102は、光沢増加分の情報を含むニス情報を取得する。ニス情報取得部102を用いて取得したニス情報は、ニス情報取得部102からインク乾燥条件導出部108へ送信される。
 図12のインク情報取得工程S12において、図11に示したインク情報取得部104は、溶剤粘度の情報を含むインク情報を取得する。インク情報取得部104を用いて取得されたインク情報は、インク情報取得部104からインク乾燥条件導出部108へ送信される。
 図12の印刷情報取得工程S14において、図11に示した印刷情報取得部106は、一ジョブにおける印刷枚数の情報を含む印刷情報を取得する。印刷情報取得部106を用いて取得された印刷情報は、印刷情報取得部106からインク乾燥条件導出部108へ送信される。
 図12のインク乾燥条件導出工程S16において、図11に示したインク乾燥条件導出部108は、光沢増加分の情報、溶剤粘度の情報、及び1ジョブにおける印刷枚数の条件を用いて、目標とするブロッキング性能を満たすインク乾燥処理における加熱温度、及びインク乾燥処理における加熱期間を導出する。
 図12のインク乾燥条件導出工程S16において導出されたインク乾燥条件は、図11に示したインク乾燥制御部215を用いたインク乾燥制御におけるパラメータとして設定される。
 インク乾燥条件導出部108は、予め定められた加熱温度の初期値、及び加熱期間の初期値を、新たに導出された加熱温度、及び加熱期間に更新する。インク乾燥部50は、更新された加熱温度、及び加熱期間に基づいて、インク乾燥処理を実行し得る。
 [インク乾燥条件の変更]
 〈印刷枚数、仕上がり光沢に応じたインク乾燥条件の変更〉
 表17には、12種類の水準における光沢増加分、加熱温度、溶剤粘度、加熱期間、光沢値、及びブロッキング性能のランクを示す。表17における光沢値は処理液が付与されている用紙にニスを塗布して測定した光沢値である。表17のブロッキング性能ランクは、表4に示したブロッキング性能ランクに相当する。
 表17における光沢値は処理液が付与された用紙に、ニスを塗布して測定した光沢値である。処理液とニスとの凝集に起因して、処理液を付与した場合は処理液を非付与の場合よりも光沢値が低下する。例えば、光沢増加分がプラス5の場合、処理液を非付与の場合の光沢値が60に対して、処理液が付与された場合の光沢値は33に減少する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
 表18には、仕上がり白地光沢の目標値、及び印刷枚数に応じたブロッキング性能の判定結果を示す。表18の水準は、表17の水準に相当する。仕上がり白地光沢の目標値は、処理液を塗布した用紙の白地における光沢値の目標値を意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
 上記の表18における+は、仕上がり白地光沢の目標値を満たし、かつ、目標とするブロッキング性能を満たす場合を表している。表18における-は、仕上がり白地光沢の目標値を満たしていないか、又は目標のブロッキング性能を満たしていない場合を表している。
 表18における仕上がり光沢の目標値が30の場合は、表17に示すように光沢増加分をプラス5とすればよい。また、表18における仕上がり光沢の目標値が55の場合、表17に示すように光沢増加分をプラス15とすればよい。
 ユーザが求める光沢感、及び一ジョブにおける印刷枚数は、ユーザの要求に応じて異なる。ここでいうユーザが求める光沢感は、目標とする光沢を意味する。省エネルギーの観点から、印刷装置に求められる性能に応じたインク乾燥条件を設定することが好ましい。
 例えば、目標の仕上がり光沢を示す光沢値が55であり、印刷枚数が100枚の条件の場合、表17に示した水準3のインク乾燥条件である、加熱温度Tが77℃、加熱期間が2秒は適切なインク乾燥条件である。目標の仕上がり光沢を示す光沢値は目標の仕上がり光沢値に相当する。
 目標の仕上がり光沢を示す光沢値が55であり、印刷枚数が100枚の条件の場合、表17の水準2のインク乾燥条件である、加熱温度Tが73℃、加熱期間が2秒では、乾燥性能が不足する。一方、表17の水準12のインク乾燥条件である、加熱温度Tが100℃、加熱期間が6秒は、印刷枚数が2000枚の場合に対応し得るので、乾燥性能が過剰である。
 そこで、一ジョブの印刷枚数が、予め定められたブロッキング性能を表す到達枚数未満の場合は、加熱温度の低温度化、又は加熱期間の短縮化、若しくは、加熱温度の低温度化、及び加熱期間の短縮化が可能である。加熱温度の低温度化は溶剤粘度の高粘度化と同義である。
 仕上がり光沢の緩和に応じて、加熱温度の低温度化、又は加熱期間の短縮、若しくは、加熱温度の低温度化、及び加熱期間の短縮が可能である。例えば、水準1である、加熱温度Tが73℃、加熱期間が2秒は、仕上がり白地光沢の目標値が55の場合は、印刷枚数が100枚であるが、仕上がり白地光沢の目標値を30に緩和した場合、印刷枚数は1000枚となる。
 〈パウダー噴霧〉
 ニスの塗布後に、用紙のニス塗布面にパウダーを噴霧する場合、ブロッキング性能は大幅に改善される。
 表19には、パウダーを噴霧した場合の実験結果を示す。表19を導出した実験は、表5、表7に示した実験結果を導出した実験と同様である。パウダーの噴霧量は一枚の用紙あたり0.03グラムである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000019
 表20には、パウダーの噴霧量が一枚の用紙あたり0.06グラムの場合の実験結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
 表19、及び表20に示すように、パウダーの噴霧量が多いほど、溶剤粘度が高い側、又は加熱期間が短い側に、目標とするブロッキング性能を満足する加熱条件が広がっている。
 すなわち、パウダーの噴霧量に応じて、加熱温度の低温度化、又は加熱期間の短縮化、若しくは、加熱温度の低温度化、及び加熱期間の短縮化が可能である。パウダーの噴霧量は、パウダーの非噴霧を表す、用紙一枚あたりのパウダーの噴霧量が0グラムの場合が含まれる。
 [変形例の作用効果]
 変形例に係る乾燥処理方法によれば、一ジョブの印刷枚数、仕上がり光沢の目標値の緩和、及びパウダーの噴霧量の少なくともいずれかに応じて、加熱温度の降下、又は加熱期間の短縮、若しくは、溶剤粘度の低粘度化、及び加熱期間の短縮が可能である。
 インク乾燥条件導出部108は、インク乾燥部50の条件に応じて決められた加熱温度からインク粘度を導出し、導出されたインク粘度からインク乾燥部50の加熱期間を導出してもよい。インク乾燥部50の条件の例として、インク乾燥部50の乾燥能力が挙げられる。
 例えば、インク乾燥部50の乾燥能力として加熱温度の上限値が決められている場合、又は加熱温度が固定されている場合、加熱温度からインク粘度を導出してもよい。そして、導出されたインク粘度から加熱期間を導出してもよい。
 また、インク乾燥部50の乾燥能力として加熱期間の上限値が決められている場合、又は加熱期間が固定されている場合、加熱期間からインク粘度を導出してもよい。そして、導出されたインク粘度から加熱温度を導出してもよい。
 [インクジェット印刷装置の制御系]
 図13はインクジェット印刷装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。制御装置100は、CPU、RAM、及びROM等を備える。制御装置100には、通信部201、操作部202、表示部203、及び記憶部204が接続されている。
 なお、CPUは、中央処理装置を表す英語表記Central Processing Unitの省略語である。RAMは、Random Access Memoryの省略語である。ROMは、Read Only Memoryの省略語である。
 通信部201は、図示せぬホストコンピュータ等の外部機器との間でデータの送受信を行う。通信部201は、公知の通信インターフェースを含んで構成される。操作部202は、操作ボタン、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の操作部材、若しくは音声入力装置を含んで構成される。
 操作部202は、操作部材の適宜の組み合わせからなる入力装置を含んでいてもよい。操作部202は、操作部材、及び音声入力装置の適宜の組み合わせからなる入力装置を含んでいてもよい。制御装置100は、操作部202から入力された情報に応じて各種処理を実行する。
 表示部203は、液晶パネル等の表示装置を含んで構成される。表示部203は、制御装置100からの指令に応じて、インクジェット印刷装置の各種設定情報、又は異常情報などの各種情報を表示し得る。表示装置はディスプレイと呼ばれる装置が含まれてもよい。
 操作部202と表示部203とによってユーザインターフェースが構成される。ユーザは、表示部203の画面に表示される内容を見ながら操作部202を使って各種パラメータの設定、及び各種情報の入力、並びに編集が可能である。
 図13に示した記憶部204は、ハードディスク装置等の記憶デバイスを含んで構成される。制御装置100のCPUが実行するプログラムや、制御に必要な各種データは、ROM、及び記憶部204の少なくともいずれか一方に格納される。
 図14は図13に示した制御装置が実現する機能のブロック図である。図14に示した制御装置100は、搬送制御部210、給紙制御部211、処理液塗布制御部212、処理液乾燥制御部213、画像形成制御部214、インク乾燥制御部215、ニス塗布制御部216、ニス後処理制御部217、集積制御部218、パウダー噴霧制御部219、通信制御部220として機能する。
 搬送制御部210は、搬送部5を制御して、用紙Pの搬送を制御する。搬送制御部210は、給紙部10から給紙される用紙Pが一定の速度で搬送されるように、各部に備えられた搬送手段の駆動を制御する。
 給紙制御部211は、給紙部10を制御して、用紙Pの給紙を制御する。給紙制御部211は、給紙台にセットされた用紙Pが一定の給紙期間間隔で順次給紙されるように、給紙部10の構成要素の駆動を制御する。
 処理液塗布制御部212は、処理液塗布部20を制御して、用紙Pへの処理液の塗布を制御する。処理液塗布制御部212は、搬送される用紙Pに所定の厚さで処理液が塗布されるように、処理液塗布部20の構成要素の駆動を制御する。
 処理液乾燥制御部213は、処理液乾燥部30を制御して、用紙Pに塗布された処理液の乾燥を制御する。処理液乾燥制御部213は、用紙Pに塗布された処理液が乾燥するように、処理液乾燥部30の構成要素の駆動を制御する。
 画像形成制御部214は、画像形成部40を制御して、用紙Pに対する画像の形成を制御する。画像形成制御部214は、搬送される用紙Pに、画像が形成されるように、画像形成部40の構成要素の駆動を制御する。
 インク乾燥制御部215は、インク乾燥部50を制御して、インクの乾燥を制御する。インク乾燥制御部215は、画像形成部40によって用紙Pに付与されたインクが乾燥するように、インク乾燥部50の構成要素の駆動を制御する。
 ニス塗布制御部216は、ニス塗布部60を制御して、画像形成後の用紙Pへのニスの塗布を制御する。ニスコートを実施する場合、ニス塗布制御部216は、用紙Pに一定の厚さでニスが塗布されるように、ニス塗布部60の構成要素の駆動を制御する。
 ニス後処理制御部217は、ニス後処理部70を制御して、用紙Pに塗布されたニスの後処理を制御する。ニス後処理制御部217は、ニスコートに使用したニスの種類に応じた処理が行われるように、ニス後処理部70の構成要素の駆動を制御する。
 集積制御部218は、集積部80を制御して、用紙Pの集積を制御する。集積制御部218は、順次排紙される用紙Pが束状に集積されるように、集積部80の構成要素の駆動を制御する。
 また、制御装置100は、通信制御部220、画像処理部230、ニス情報取得部102、インク情報取得部104、印刷情報取得部106、インク乾燥条件導出部108、テーブル記憶部110、及び表示制御部242として機能する。
 通信制御部220は、図示せぬ外部機器との間の通信を制御する。画像処理部230は、印刷対象として取得した画像の画像データを処理して、インクジェット印刷装置1の画像形成部40を用いて画像形成可能な画像形成用のデータである、各インク色のドット配置データに変換する。
 画像処理部230は、色変換処理、濃度補正処理、及びハーフトーン処理などの各種の信号処理を行う。画像形成の際には、画像処理部230によって生成されたドット配置データに基づいて、画像形成部40におけるインクジェットヘッド43C、インクジェットヘッド43M、インクジェットヘッド43Y、及びインクジェットヘッド43Kのインク吐出動作が制御される。
 図14に示したニス情報取得部102、インク情報取得部104、印刷情報取得部106、インク乾燥条件導出部108、テーブル記憶部110、及びインク乾燥制御部215は、図11に図示されており、既に説明がされているので、ここでの説明は省略する。
 インクジェット印刷装置1は、第一温度検出部56を用いて検出された用紙Pの温度情報に基づき、インク乾燥部50がフィードバック制御される。すなわち、第一温度検出部56を用いて検出された用紙Pの温度情報は、インク乾燥制御部215へ送られる。インク乾燥制御部215は、第一温度検出部56を介して取得した用紙Pの温度情報に基づきインク乾燥条件を変更する。インク乾燥条件の設定には、インク乾燥条件の初期設定、及び予め設定されているインク乾燥条件の変更が含まれる。
 ニス後処理条件設定部238は、使用するニスの種類、及びインクの種類に基づき、ニス後処理条件を設定する。ニス後処理制御部217は、ニス後処理条件設定部238を用いて設定されたニス後処理条件に基づきニス後処理部70の動作を制御する。
 インクジェット印刷装置1は、第二温度検出部94が用いて検出された用紙Pの温度情報に基づき、ニス後処理部70がフィードバック制御される。すなわち、第二温度検出部94を用いて検出された用紙Pの温度情報は、ニス後処理条件設定部238へ送られる。
 ニス後処理条件設定部238は、第二温度検出部94を用いて検出された用紙Pの温度情報に基づきニス後処理条件を変更する。ニス後処理条件の設定には、ニス後処理条件の初期設定、及び予め設定されているニス後処理条件の変更が含まれる。
 テーブル記憶部110は、記憶部204の記憶領域の一部であってもよい。また、テーブル記憶部110は、RAMの記憶領域の一部であってもよい。
 表示制御部242は、表示部203の表示内容を制御する。表示制御部242は、表示部203に表示させるための表示用信号を生成し、生成した表示用信号を表示部203に供給する。
 図11、及び図14に示した制御装置100の搬送制御部210、給紙制御部211、処理液塗布制御部212、処理液乾燥制御部213、画像形成制御部214、インク乾燥制御部215、ニス塗布制御部216、ニス後処理制御部217、集積制御部218、パウダー噴霧制御部219、通信制御部220、画像処理部230、ニス後処理条件設定部238、ニス情報取得部102、インク情報取得部104、印刷情報取得部106、インク乾燥条件導出部108、テーブル記憶部110、及び表示制御部242といった各種の処理を実行する処理部のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサである。
 なお、処理部は、英語表記を用いてprocessing unitと表現されることがある。プロセッサは、英語表記を用いてprocessorと表現されることがある。
 各種のプロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU、FPGAなどの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるPLD、及びASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。プログラムは、ソフトウェアと同義である。
 なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの省略語である。PLDは、Programmable Logic Deviceの省略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの省略語である。
 一つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの一つで構成されていてもよいし、同種又は異種の二つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、一つの処理部は、複数のFPGA、或いは、CPUとFPGAとの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を一つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を一つのプロセッサで構成する例としては、第一に、クライアントやサーバなどのコンピューターに代表されるように、一つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで一つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第二に、SoCなどに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を一つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを一つ以上用いて構成される。
 更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路である。
 なお、SoCは、システムオンチップの英語表記System On Chipの省略語である。ICは、集積回路を表す英語表記Integrated Circuitの省略語である。電気回路は英語表記を用いてcircuitryと表現されることがある。
 [印刷プロセスの説明]
 図15はニスコートを実施する印刷の処理手順を示すフローチャートである。図15に示すフローチャートは、図12を用いて説明した乾燥制御方法のインク乾燥処理条件が設定された後に開始される印刷処理の手順である。
 印刷が開始される。給紙工程S21において、図13に示した給紙部10から給紙が開始される。給紙部10から給紙された用紙Pは、図15の処理液塗布工程S22において、図13に示した処理液塗布部20を用いて、第一面に処理液が塗布される。処理液塗布工程S22は処理液付与工程の一例である。
 処理液が塗布された用紙Pは、図15の処理液乾燥工程S23において、図13に示した処理液乾燥部30を用いて第一面が加熱されて、処理液が加熱乾燥される。図15の処理液乾燥工程S23を経た用紙Pは、画像形成工程S24において、図13に示した画像形成部40を用いて第一面にインクが打滴されて、画像が形成される。
 画像形成後の用紙Pは、図15のインク乾燥工程S25において、図13に示したインク乾燥部50を用いて画像表面が加熱されて、インクが加熱乾燥される。図15のインク乾燥工程S25を経た用紙Pは、ニス塗布工程S26において、図13に示したニス塗布部60を用いて画像表面にニスが塗布される。ニス塗布工程S26はニス付与工程の一例である。
 ニスが塗布された用紙Pは、図15のニス後処理工程S27において、図13に示したニス後処理部70を用いてニスの加熱乾燥処理を含むニスの後処理が行われる。後処理の内容は、使用するニスの種類に応じて適宜選択される。ニス後処理された用紙Pは、図15の排紙工程S28において、排紙位置で排紙され、集積工程S29において、図13に示した集積部80に集積される。
 [インクジェットヘッドの吐出方式について]
 インクジェットヘッドのイジェクタは、液体を吐出するノズルと、ノズルに通じる圧力室と、圧力室内の液体に吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子と、を含んで構成される。イジェクタのノズルから液滴を吐出させる吐出方式に関して、吐出エネルギーを発生させる手段は、圧電素子に限らず、発熱素子や静電アクチュエータなど、様々な吐出エネルギー発生素子を適用し得る。
 例えば、発熱素子による液体の加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させる方式を採用することができる。インクジェットヘッドの吐出方式に応じて、相応の吐出エネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
 [印刷装置の変形例]
 図1では、印刷装置の一例としてインクジェット印刷装置を説明したが、本実施形態に示した乾燥制御方法、及び乾燥制御装置はインクジェット印刷装置に限らず、オフセット印刷装置、グラビア印刷装置、フレキソ印刷装置、スクリーン印刷装置、又は電子写真装置など、様々な印刷方式の印刷装置に適用することができる。
 図1では、インライン方式でニスコートを行うインクジェット印刷装置を示したが、本実施形態に示した乾燥制御方法、及び乾燥制御装置は、オンライン方式のニスコートを行う印刷システムについても適用することができる。オンライン方式のニスコートとは、印刷装置を用いた画像形成の処理と、ニスコート装置を用いたニスコートの処理とを一連の処理として連続的に行う形態である。
 オンライン方式のニスコートは、例えば、ニスコートの機能を有していない印刷装置と、ニスコート装置とを組み合わせた印刷システムによって実施される。ニスコートの機能を有していない印刷装置は、画像形成後にニスコートを行わずに排紙する印刷装置である。ニスコート装置は、印刷装置と別体に構成されたニス塗布装置であってよい。
 ニスコートの機能を有していない印刷装置とニスコート装置とを直列的に接続した印刷システムは、オンライン方式のニスコートを実施することができる。印刷システムは、印刷装置から排紙された画像形成後の用紙をニスコート装置の給紙部へと自動的に移送するためのベルトコンベアなどの用紙移送装置を含んでいてもよい。
 オンライン方式のニスコートは、画像形成の処理とニスコートの処理とが連続して行われる点でインライン方式のニスコートと共通するが、画像形成の処理とニスコートの処理とが別々の装置を用いて実施される点で相違する。そして、この相違により、ニスコートまでの時間間隔がインライン方式ニスコートよりも長くなる傾向がある。
 また、オンライン方式のニスコートは、印刷装置から排紙される用紙が、そのままニスコート装置に給紙されるため、画像形成後の用紙がニスコート前に集積されない、という点でオフライン方式のニスコートと相違する。
 オンライン方式のニスコートを行う印刷システムの場合、ニスコート装置の排紙部が集積部に相当する。オンライン方式のニスコートを行う印刷システムは、印刷装置の一形態となり得る。
 〈変形例1〉
 上記の実施形態では、シングルパス方式のインクジェット印刷装置を説明したが、例えば、短尺のインクジェットヘッドを往復走査させて画像を形成するマルチスキャン方式のインクジェット印刷装置とすることもできる。
 〈変形例2〉
 上記の実施形態では、いわゆるロールコーターによって用紙にニスを塗布する構成としているが、ニス塗布部の構成は、これに限定されるものではない。例えば、チャンバーコーター等のニスコーターを用いて、用紙にニスを塗布する構成とすることもできる。
 〈変形例3〉
 上記の実施形態では、処理液を用いるインクジェット印刷装置を説明したが、処理液を使用しない印刷装置とすることもできる。
 [媒体について]
 用紙は、画像の形成に用いられる媒体の一例である。用紙という用語は、記録用紙、印刷用紙、印刷媒体、印字媒体、被印刷媒体、画像形成媒体、被画像形成媒体、受像媒体、及び被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものの総称として理解することができる。媒体の材質や形状等は、特に限定されず、シール用紙、樹脂シート、フィルム、布、不織布、及びその他材質や形状を問わず、様々なシート体を用いることができる。
 用紙は、枚葉の媒体に限らず、連続紙などの連続媒体であってもよい。本実施形態に示したインクジェット印刷装置の場合、集積部にスタックされる段階で、一枚ずつ分離された枚葉の媒体となっていればよく、連続媒体から規定のサイズにカットしてから給紙する形態、若しくは、画像形成後に規定のサイズにカットして排紙する形態などであってもよい。
 [用語について]
 印刷装置という用語は、印刷機、プリンタ、印字装置、画像記録装置、画像形成装置、画像出力装置、或いは、描画装置などの用語の概念を含む。また、印刷装置という用語は、複数の装置を組み合わせた印刷システムの概念を含む。
 画像は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像、及び均一濃度画像なども含まれる。均一濃度画像はべた画像と呼ばれることがある。画像は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様、及びその他の各種パターン、若しくはこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。
 印刷という用語は、画像の形成、画像の記録、印字、描画、及びプリントなどの用語の概念を含む。また、印刷という用語は、画像形成後に実施されるニスコートなどの後処理を含んだ概念の用語として用いる場合がある。
 本明細書における直交、又は垂直という用語には、90°未満の角度、又は90°を超える角度をなして交差する態様のうち、実質的に90°の角度をなして交差する場合と同様の作用効果を発生させる態様が含まれる。
 本明細書における平行という用語には、厳密には非平行である態様のうち、平行である場合と概ね同様の作用効果が得られる実質的に平行とみなし得る態様が含まれる。
 本明細書における同一という用語は、厳密には相違する態様のうち、同一と概ね同様の作用効果が得られる実質的な同一とみなし得る態様が含まれる。
 [実施形態及び変形例等の組み合わせについて]
 上述の実施形態で説明した構成や変形例で説明した事項は、適宜組み合わせて用いることができ、また、一部の事項を置き換えることもできる。
 以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。
1 インクジェット印刷装置
1A 印刷装置本体
5 搬送部
10 給紙部
11 給紙装置
12 フィーダーボード
13 給紙ドラム
20 処理液塗布部
21 処理液塗布ドラム
22 処理液塗布装置
30 処理液乾燥部
31 処理液乾燥ドラム
32 第一用紙ガイド
33 ドライヤー
40 画像形成部
41 画像形成ドラム
42 用紙押さえローラー
43C、43M、43Y、43K インクジェットヘッド
44 スキャナー
50 インク乾燥部
51 第一チェーンデリバリー
52 第二用紙ガイド
53 第一加熱装置
56 第一温度検出部
60 ニス塗布部
61 ニス塗布ドラム
70 ニス後処理部
70A 第二加熱装置
71 第二チェーンデリバリー
72 第三用紙ガイド
80 集積部
81 集積装置
90 ニスコーター
94 第二温度検出部
96 パウダー噴霧部
100 制御装置
102 ニス情報取得部
104 インク情報取得部
106 印刷情報取得部
108 インク乾燥条件導出部
110 テーブル記憶部
114 テーブル
201 通信部
202 操作部
203 表示部
204 記憶部
210 搬送制御部
211 給紙制御部
212 処理液塗布制御部
213 処理液乾燥制御部
214 画像形成制御部
215 インク乾燥制御部
216 ニス塗布制御部
217 ニス後処理制御部
218 集積制御部
219 パウダー噴霧制御部
220 通信制御部
230 画像処理部
238 ニス後処理条件設定部
242 表示制御部
G21、G22、G23、G24 データ
G31、G41、G42、G51、G52、G61、G62、G71、G72、G81、G91、G101 曲線
S10からS16 乾燥制御方法の各工程
S21からS29 印刷方法の各工程

Claims (20)

  1.  インクに含有される色材成分を凝集、又は不溶化させる処理液を媒体へ付与する処理液付与部と、
     前記処理液付与部を用いて処理液が付与された媒体に、水性インクを用いて画像を形成する画像形成部と、
     前記画像形成部を用いて画像が形成された媒体に乾燥処理を施すインク乾燥部と、
     前記インク乾燥部を用いて乾燥処理が施された媒体に、光沢向上剤が添加された定量の水性ニスを付与するニス付与部と、
     前記インク乾燥部の処理条件を導出するインク乾燥条件導出部と、
     を備え、
     前記インク乾燥条件導出部は、前記光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加する前記水性ニスの光沢値の増加分を表す光沢増加分の情報を取得し、前記取得した前記光沢増加分に応じて高くした前記インク乾燥部の加熱温度の導出、及び前記取得した前記光沢増加分に応じて長くした前記インク乾燥部の加熱期間の導出の少なくともいずれかを行う印刷装置。
  2.  前記インク乾燥条件導出部は、インクの粘度をηミリパスカル秒とし、インク乾燥処理の加熱期間をt秒として、光沢度計を用いて測定された光沢値から導出した前記光沢増加分が10を超え15以下の場合に、インクの粘度ηを満たす温度を前記インク乾燥部の加熱温度として導出し、t≧2.2355×e0.2056×ηを満たすインク乾燥部の加熱期間tを導出する請求項1に記載の印刷装置。
  3.  前記インク乾燥条件導出部は、前記光沢増加分が5を超え10以下の場合に、インクの粘度ηを満たす温度を前記インク乾燥部の加熱温度として導出し、t≧0.5095×e0.3028×ηを満たすインク乾燥部の加熱期間tを導出する請求項2に記載の印刷装置。
  4.  前記インク乾燥条件導出部は、前記光沢増加分が0を超え5以下の場合に、インクの粘度ηを満たす温度を前記インク乾燥部の加熱温度として導出し、t≧0.3578×e0.2113×ηを満たすインク乾燥部の加熱期間tを導出する請求項2又は3に記載の印刷装置。
  5.  前記インクの粘度ηと前記インク乾燥部の加熱期間tとの関係を規定した関数を記憶するテーブル記憶部を備えた請求項2から4のいずれか一項に記載の印刷装置。
  6.  前記インク乾燥条件導出部は、印刷枚数の減少に応じて前記加熱温度を下げて前記インクの粘度ηを大きくするか、又は印刷枚数の減少に応じて短縮した前記加熱期間tを導出する請求項2から5のいずれか一項に記載の印刷装置。
  7.  前記印刷枚数の情報を含む印刷情報を取得する印刷情報取得部を備えた請求項6に記載の印刷装置。
  8.  前記インク乾燥条件導出部は、目標とする印刷物の仕上がり光沢値の減少に応じて前記加熱温度を下げて前記インクの粘度ηを大きくするか、又は目標とする印刷物の仕上がり光沢値の減少に応じて短縮した前記加熱期間tを導出する請求項2から5のいずれか一項に記載の印刷装置。
  9.  印刷物の前記目標とする仕上がり光沢値の情報を含む印刷情報を取得する印刷情報取得部を備えた請求項8に記載の印刷装置。
  10.  前記ニス付与部を用いて前記水性ニスが付与された媒体に、ブロッキング抑止効果を持つパウダーを付与するパウダー付与部を備え、
     前記インク乾燥条件導出部は、前記パウダー付与部を用いて付与される前記パウダーの付与量の増加に応じて前記加熱温度を下げて前記インクの粘度ηを大きくするか、又は前記パウダーの付与量の増加に応じて短縮された前記加熱期間tを導出する請求項2から5のいずれか一項に記載の印刷装置。
  11.  前記光沢増加分の情報を含むニス情報を取得するニス情報取得部を備えた請求項1から10のいずれか一項に記載の印刷装置。
  12.  前記インクの粘度の情報を含むインク情報を取得するインク情報取得部を備え、
     前記インク乾燥条件導出部は、インクの粘度と前記インクの粘度を実現する温度との関係を規定したテーブルを用いて、前記インク乾燥部の加熱温度を導出する請求項1から11のいずれか一項に記載の印刷装置。
  13.  前記テーブルを記憶するテーブル記憶部を備えた請求項12に記載の印刷装置。
  14.  前記テーブル記憶部は、インクの種類に応じた複数の前記テーブルが記憶される請求項13に記載の印刷装置。
  15.  前記インク情報取得部は、インクの粘度の情報として、インク溶剤に含まれる水以外の成分物質のうち、最も含有率が高い物質である主溶剤の粘度の情報を取得する請求項12から14のいずれか一項に記載の印刷装置。
  16.  前記インク乾燥条件導出部は、前記インク乾燥部の条件に応じて決められた前記インク乾燥部の加熱温度から実現される前記インクの粘度を導出し、前記導出した前記インクの粘度を用いて前記インク乾燥部の加熱期間を導出する請求項1に記載の印刷装置。
  17.  前記インク乾燥条件導出部は、前記インク乾燥部の条件に応じて決められた前記インク乾燥部の加熱期間から決められる前記インクの粘度に応じて、前記インク乾燥部の加熱温度を導出する請求項1に記載の印刷装置。
  18.  前記画像形成部は、インクジェットヘッドを備えた請求項1から17のいずれか一項に記載の印刷装置。
  19.  インクに含有される色材成分を凝集、又は不溶化させる処理液を媒体へ付与する処理液付与工程と、
     前記処理液付与工程において処理液が付与された媒体に、水性インクを用いて画像を形成する画像形成工程と、
     前記画像形成工程において画像が形成された媒体に乾燥処理を施すインク乾燥工程と、
     前記インク乾燥工程において乾燥処理が施された媒体に、光沢向上剤が添加された定量の水性ニスを付与するニス付与工程と、
     前記インク乾燥工程の処理条件を導出するインク乾燥条件導出工程と、
     を含み、
     前記インク乾燥条件導出工程は、前記光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加する前記水性ニスの光沢値の増加分を表す光沢増加分の情報を取得し、前記取得した前記光沢増加分に応じて高くした前記インク乾燥工程における加熱温度の導出、及び前記取得した前記光沢増加分に応じて長くした前記インク乾燥工程における加熱期間の導出の少なくともいずれかを行う乾燥制御方法。
  20.  インクに含有される色材成分を凝集、又は不溶化させる処理液が付与され、前記処理液が付与された後に水性インクを用いて画像が形成された媒体に対して、光沢向上剤が添加された定量の水性ニスを付与する前のインク乾燥処理を制御する乾燥制御装置であって、
     前記インク乾燥処理の条件を導出するインク乾燥条件導出部を備え、
     前記インク乾燥条件導出部は、前記光沢向上剤の添加量の増加に応じて増加する前記水性ニスの光沢値の増加分を表す光沢増加分の情報を取得し、前記取得した前記光沢増加分に応じて高くした前記インク乾燥処理における加熱温度の導出、及び前記取得した前記光沢増加分に応じて長くした前記インク乾燥処理における加熱期間の導出の少なくともいずれかを行う乾燥制御装置。
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