JP2018051816A - インクジェット装置および染色システム - Google Patents
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Abstract
【課題】低解像度のスキャナを用いた場合でも、簡素な工程により迅速に、ノズル列間の印写ドットの位置ずれ量を検出することが可能なインクジェット装置およびそれを用いた染色システムを提供する。【解決手段】インクジェット装置2は、搬送部20と、スキャナ15と、制御部300と、を備える。制御部300は、搬送部20により紙を移動させた状態で、異なるノズル列から、通常印写時のインク量より多いインク量でインクを吐出させる。制御部300は、一のノズル列から吐出されたインクの印写ドットをスキャナ15が読み取ったタイミングにおける紙の搬送距離と、他のノズル列から吐出されたインクの印写ドットをスキャナ15が読み取ったタイミングにおける紙の搬送距離とに基づいて、紙の移動方向におけるノズル列間の印写ドットの位置ずれ量を検出する。【選択図】図6
Description
本発明は、被印刷面にインクを吐出して被印刷面に印写を行うインクジェット装置およびそれを用いた染色システムに関する。
現在、紙面にインクを吐出して印字や描画を行うインクジェット装置が普及している。また、布等の他の被印刷面に描画を行う大型のインクジェット装置も開発されている。この種のインクジェット装置では、複数のヘッドユニットを搭載することにより、広い面積に高解像度で印写が行われる。
この場合、インクジェット装置は、たとえば、複数のノズル列が被印刷面の搬送方向に並ぶように、各ヘッドユニットにノズルが配置される。この構成では、ノズル列間の間隔に応じて、各ノズル列に対するインクの吐出タイミングが制御される。
また、複数のヘッドユニットを被印刷面の搬送方向にずらして配置する構成や、異なる色のインクを吐出するインクジェットヘッドを被印刷面の搬送方向に間隔を開けて配置する構成も用いられ得る。この場合も、各ヘッドユニットおよび各インクジェットヘッドにおいて、各ノズル列におけるインクの吐出タイミングが制御される。
したがって、この種のインクジェット装置では、各ヘッドユニットのノズル列に対するインクの吐出タイミングの制御が重要となる。このために、各ノズル列から吐出されたインクによって被印刷面に印写された印写ドットの位置ずれを、正確に検出する必要がある。
以下の特許文献1には、低解像度のスキャナを用いた場合でも、被印刷面の搬送方向における2つのヘッドモジュール間の位置ずれを検出する方法が記載されている。この方法では、2つのヘッドモジュールの吐出タイミングを変更しながら、2つのヘッドモジュールが重なり合う重複領域(補完領域)とそれ例外の領域(非補完領域)との間の印写濃度の差が検出される。そして、吐出タイミングと濃度の差を2軸とする座標上に、検出された濃度の差がプロットされて近似曲線が求められ、求めた近似曲線において濃度の差が0となる吐出タイミングから、2つのヘッドモジュール間の位置ずれ量が求められる。
上記特許文献1の方法では、近似曲線を求めるために、数種の吐出タイミングと濃度差の組み合わせを取得する必要がある。このため、2つのヘッドモジュールから少なくとも数回インクを吐出する必要があり、位置ずれ量の検出のために、時間を要し、且つ、工程が煩雑になるとの問題があった。
かかる課題に鑑み、本発明は、低解像度のスキャナを用いた場合でも、簡素な工程により迅速に、ノズル列間の印写ドットの位置ずれ量を検出することが可能なインクジェット装置およびそれを用いた染色システムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、ノズルから被印刷面にインクを吐出して印写を行うインクジェット装置に関する。本態様に係るインクジェット装置は、前記ノズルが前記被印刷面の幅方向に並ぶように配置された複数のノズル列と、前記複数のノズル列を横切る方向に前記被印刷面を移動させる搬送部と、前記搬送部により移動された前記被印刷面から前記インクの印写ドットを読み取るスキャナと、制御部と、を備える。ここで、前記複数のノズル列は、前記被印刷面の移動方向に互いにずらされて配置されている。前記制御部は、前記搬送部により前記被印刷面を移動させた状態で、第1のノズル列と第2のノズル列から、通常印写時のインク量より多いインク量でインクを吐出させ、前記第1のノズル列から吐出された前記インクの印写ドットを前記スキャナが読み取ったタイミングにおける前記被印刷面の搬送距離と、前記第2のノズル列から吐出された前記インクの印写ドットを前記スキャナが読み取ったタイミングにおける前記被印刷面の搬送距離とに基づいて、前記被印刷面の移動方向における前記第1のノズル列と前記第2のノズル列との間の前記印写ドットの位置ずれ量を検出する。
第1の態様に係るインクジェット装置によれば、印写ドットの位置ずれ量の検出の際に、通常印写時よりも多いインク量で、第1のノズル列と第2のノズル列からインクが吐出されるため、被印刷面に印写された印写ドットの径が、通常の印写時よりも大きくなる。このため、低解像度のスキャナを用いた場合も、スキャナの検出幅に印写ドットの径を近づけることができ、スキャナの検出幅に印写ドットが全て含まれたときの印写ドットと検出幅との間の隙間を縮めることができる。このため、スキャナからの信号に基づいて、印写ドットがスキャナの検出位置に到達したことをより正確に検出できる。よって、第1のノズル列と第2のノズル列に基づく印写ドットの位置ずれ量を正確に検出できる。また、検出の際には、ノズル列から吐出されるインク量を高めることで足りるため、検出工程を簡素にできる。さらに、必ずしも各ノズル列からインクを複数回吐出させる必要がないため、迅速に、ノズル列間の印写ドットの位置ずれ量を検出できる。
このように、本態様に係るインクジェット装置によれば、低解像度のスキャナを用いた場合でも、簡素な工程により迅速に、ノズル列間の印写ドットの位置ずれ量を検出することができる。
なお、上記において「被印刷面を移動させる」とは、被印刷面をノズル列に対し相対的に移動させることを意味するものであり、被印刷面を移送する形態の他、ノズル列を移動させる形態も含むものである。
本発明の第2の態様は、ノズルから被印刷面にインクを吐出して印写を行うインクジェット装置に関する。本態様に係るインクジェット装置は、前記ノズルが前記被印刷面の幅方向に並ぶように配置された複数のノズル列と、前記複数のノズル列を横切る方向に前記被印刷面を移動させる搬送部と、前記搬送部により移動された前記被印刷面から前記インクの印写ドットを読み取るスキャナと、制御部と、を備える。ここで、前記複数のノズル列は、前記被印刷面の移動方向に互いにずらされて配置されている。前記制御部は、前記搬送部により前記被印刷面を移動させた状態で、第1のノズル列と第2のノズル列において、前記被印刷面の前記幅方向の異なる位置の前記ノズルからインクを吐出させ、前記第1のノズル列から吐出された前記インクの印写ドットを前記スキャナが読み取ったタイミングにおける前記被印刷面の搬送距離と、前記第2のノズル列から吐出された前記インクの印写ドットを前記スキャナが読み取ったタイミングにおける前記被印刷面の搬送距離とに基づいて、前記被印刷面の移動方向における前記第1のノズル列と前記第2のノズル列との間の前記印写ドットの位置ずれ量を検出する。
本態様に係るインクジェット装置によれば、第1のノズル列においてインクを吐出するノズルと、第2のノズル列においてインクを吐出するノズルとが、被印刷面の幅方向に分離しているため、第1のノズル列により印写された印写ドットと第2のノズル列により印写された印写ドットが、被印刷面の幅方向に分離する。このため、分離したそれぞれの印写ドットをスキャナで個別に検出することにより、各ノズル列に基づく印写ドットの位置ずれを円滑に検出できる。特に、第1のノズルと第2のノズルの間隔が小さいために、第1のノズルから吐出されたインクの印写ドットと第2のノズルから吐出されたインクの印写ドットの両方がスキャナの検出幅の範囲に同時に含まれるような場合にも、各印写ドットの範囲をスキャナで分離して検出することにより、各印写ドットがスキャナの検出位置に到達したことを正確に検出できる。よって、第1のノズル列と第2のノズル列との間の印写ドットの位置ずれ量を正確に検出できる。
本発明の第3の態様は、染色システムに関する。本態様に係る染色システムは、第1の態様または第2の態様に係るインクジェット装置と、片面が前記被印刷面となる布地を前記搬送部に供給する布供給部と、前記インクジェット装置により染色された布地を乾燥させる乾燥部と、を備える。
本態様に係る染色システムによれば、第1の態様および第2の態様と同様の効果が奏され得る。
以上のとおり、本発明に係るインクジェット装置および染色システムによれば、低解像度のスキャナを用いた場合でも、簡素な工程により迅速に、ノズル列間の印写ドットの位置ずれ量を検出することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。XY平面は水平面に平行であり、Z軸方向は鉛直方向に平行である。X軸正方向が布地の搬送方向であり、Y軸方向は布地(被印刷面)の幅方向である。
図1(a)は、染色システム1の外観構成を模式的に示す平面図、図1(b)は、染色システム1の外観構成を模式的に示す側面図である。
染色システム1は、インクジェット装置2と、布供給部30と、乾燥部40とを備えている。インクジェット装置2は、第1のインクジェットヘッド11と、第2のインクジェットヘッド12と、第3のインクジェットヘッド13と、第4のインクジェットヘッド14と、スキャナ15と、搬送部20とを備えている。
第1のインクジェットヘッド11〜第4のインクジェットヘッド14は、布地50の搬送方向(X軸正方向)に所定の間隔で配置されている。第1のインクジェットヘッド11〜第4のインクジェットヘッド14は、互いに異なる色のインクを、布地50に向けて吐出する。たとえば、第1のインクジェットヘッド11、第2のインクジェットヘッド12、第3のインクジェットヘッド13および第4のインクジェットヘッド14は、それぞれ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクを吐出する。
スキャナ15は、第4のインクジェットヘッド14から所定の間隔をおいて、第4のインクジェットヘッド14の下流側(X軸正側)に配置されている。スキャナ15は、光で布地50を幅方向(Y軸方向)にスキャンして、第1のインクジェットヘッド11〜第4のインクジェットヘッド14により布地50の上面に印刷された画像を読み取る光学式のスキャナである。スキャナ15は、単一のユニットで構成されてもよく、布地50の幅方向(Y軸方向)に並ぶ複数の走査ユニットを組み合わせて構成されてもよい。
搬送部20は、搬送ベルト21と、ローラ22、23とを備えている。布地50は搬送ベルト21の上面に貼り付いた状態で、搬送ベルト21によってX軸正方向に送られる。搬送部20の構成については、追って、図2を参照して説明する。
布供給部30は、支軸31aを備える設置ユニット31と、フレームに支持されたローラ32〜34とを備えている。一方向に巻き取られた布地50が、回転可能に設置ユニット31の支軸31aにセットされる。設置ユニット31にセットされた布地50の端部が引き出されて、ローラ32、33の上面に掛けられる。布地50の端部がローラ34の下面に掛けられて、搬送ベルト21へと導かれる。布地50の端部は、搬送ベルト21の上面に貼り付けられる。搬送ベルト21の移動に伴い、設置ユニット31から布地50が引き出されて、布地50がX軸正方向に移動する。
乾燥部40は、乾燥機41と、ローラ42、43とを備える。乾燥機41は、ローラ42を介して導入された布地50のインクを乾燥させる。ローラ42は、搬送ベルト21の上面から布地50を剥離させて乾燥機41へと導入させるためのものである。ローラ43は、乾燥機41から搬出された布地50を後方へと案内するためのものである。
図2は、インクジェット装置2の構成を模式的に示す斜視図である。
インクジェット装置2は、第1のインクジェットヘッド11〜第4のインクジェットヘッド14、スキャナ15、搬送ベルト21およびローラ22、23の他に、支柱61、62と、支持部63〜67と、を備える。インクジェット装置2は、布地50にインクを吐出して布地50を染色する。なお、図2では、便宜上、支持部66と第4のインクジェットヘッド14の外形が破線で示されており、第4のインクジェットヘッド14の内部が透視され、第4のインクジェットヘッド14の内部のヘッドブロック100が図示されている。
支柱61、62は、X軸方向に延びた枠部材であり、Y軸方向に互いに離れている。支柱61と支柱62の間には、X軸負側の位置にローラ22が設けられ、X軸正側の位置にローラ23が設けられている。ローラ22、23は、それぞれ、Y軸方向に延びた支軸22a、23aを備えている。支軸22a、23aは、回転可能となるよう支柱61、62に支持されている。また、支軸22a、23aは、図示しないモータによりY軸正方向に見て反時計回りに回転される。
搬送ベルト21は、Y軸方向に所定の幅を有し、ローラ22、23に掛け渡されている。搬送ベルト21の表面には、布地50が滑らないように、粘着剤樹脂が塗布されている。印写が終わると、粘着剤樹脂がベルトから剥離される。支軸22a、23aがモータにより回転されると、ローラ22、23が回転し、搬送ベルト21に設置された布地50がX軸正方向に搬送される。
支持部63〜67は、Y軸方向に延びた枠部材であり、支柱61と支柱62に掛け渡されている。第1のインクジェットヘッド11は、支持部63に設置されており、第2のインクジェットヘッド12は、支持部64に設置されており、第3のインクジェットヘッド13は、支持部65に設置されており、第4のインクジェットヘッド14は、支持部66に設置されている。また、スキャナ15が、支持部67に設置されている。
第1のインクジェットヘッド11と、第2のインクジェットヘッド12と、第3のインクジェットヘッド13と、第4のインクジェットヘッド14と、スキャナ15は、搬送ベルト21によって搬送される布地50に対して対向するように設置されている。第1のインクジェットヘッド11〜第4のインクジェットヘッド14は、それぞれ、6つのヘッドブロック100を備える。第1のインクジェットヘッド11〜第4のインクジェットヘッド14の内部の構成は、互いに同じである。
図3(a)は、ヘッドブロック100の構成を模式的に示す斜視図である。
図3(a)に示すように、ヘッドブロック100は、フレーム101と、6つのヘッドモジュール110と、を備える。ヘッドモジュール110は、フレーム101に形成された矩形の凹部(図示せず)に嵌まるようにフレーム101に設置されている。フレーム101の凹部には、ヘッドブロック100からZ軸正方向にインクを吐出可能とするための開口が形成されている。ヘッドモジュール110は、X軸方向に並んだ4つのヘッドユニット111からなる。
図3(b)は、ヘッドユニット111の下面の構成を模式的に示す平面図である。
図3(b)に示すように、ヘッドユニット111の下面には、インクを吐出するための多数のノズル111aがY軸方向に並ぶように配置されている。ヘッドユニット111の下面には、ノズル111aの列(ノズル列)が4つ配置されている。各ノズル列には、多数のノズル111aが一定間隔で設けられている。各ノズル列のノズル111aの位置は、Y軸方向に互いにずれている。
すなわち、ノズル列Laのノズル111aに対して、ノズル列Lbのノズル111aはY軸正方向に1/2ピッチずれている。また、ノズル列Laのノズル111aに対して、ノズル列Lcのノズル111aはY軸正方向に1/4ピッチずれており、ノズル列Laのノズル111aに対して、ノズル列Ldのノズル111aはY軸正方向に3/4ピッチずれている。後述するインク供給部400(図4参照)から供給されたインクは、ノズル111aから下方向(Z軸正方向)に吐出され、搬送ベルト21上の布地50に印写される。
なお、各ノズル111aの奥方(Z軸負側)には、インクを貯留する圧力室と圧力室内の圧力を変化させる圧力駆動部(圧電体素子)が配置されている。また、ノズル列Lbとノズル列Lcの間の領域の奥方には、インクの流路が配置されている。
図3(c)は、ヘッドブロック100をZ軸負方向から見た場合のヘッドモジュール110の配置構成を模式的に示す図である。
図3(c)に示すように、6つのヘッドモジュール110は、X軸正側のヘッドモジュール110のY軸方向の端部が、X軸負側のヘッドモジュール110のY軸方向の端部と、範囲W1において重なるように配置されている。
図4は、ヘッドモジュール110内に設置された4つのヘッドユニット111のノズルの配置と、当該ヘッドモジュール110で実現される印写ドット200の解像度を模式的に示す図である。
図4に示すように、4つのヘッドユニット111は、ノズル111aの位置が互いにY軸方向にシフトするように配置されている。すなわち、最上段のヘッドユニット111におけるノズル列Laのノズル111aとノズル列Lcのノズル111aとの間のY軸方向のピッチの間に、残り3つのヘッドユニット111のノズル列Laのノズル111aがY軸方向に等間隔で配置されるように、4つのヘッドユニット111が配置されている。
このように、1つのヘッドモジュール110に4つのヘッドユニット111を配置することで、各ヘッドユニット111のノズル列La〜Ldの吐出タイミングを制御することにより、図4の最上段に示すように、インクの印写ドット200をY軸方向に高解像度で並べることができる。
このように配置されたヘッドモジュール110を、図3(a)、(c)に示すように配置してヘッドブロック100が形成され、さらに、このヘッドブロック100が図2および図5に示すように配置される。これにより、各ヘッドユニット111のノズル列La〜Ldの吐出タイミングを制御することによって、図4の最上段に示した印写ドット200群を、さらにY軸方向に延ばすことができる。
図5において、第1〜第4のインクジェットヘッド11〜14にそれぞれ配置された6つのヘッドブロック100は、印写ドット200が図4の最上段と同様のピッチで連続するように、X軸正側のヘッドブロック100のY軸方向の端部と、X軸負側のヘッドブロック100のY軸方向の端部とが重なるように配置されている。
本実施形態では、たとえば、図4の最上段に示した印写ドット200のピッチが、17.6μmとなるよう、ノズル列La〜Ldにおけるノズル111aのピッチが設定される。これにより、1440dpiの解像度の印写ドット200が得られる。
図2に戻り、インクジェット装置2によって布地50を染色する場合、図1(a)、(b)を参照して説明したようにして、布地50が搬送ベルト21上に設置され、ローラ22、23が回転される。これにより搬送ベルト21上の布地50が、各インクジェットヘッドの吐出領域を通過するようにX軸正方向に搬送される。このとき、布地50に対して、第1のインクジェットヘッド11、第2のインクジェットヘッド12、第3のインクジェットヘッド13および第4のインクジェットヘッド14のノズル111aから、適宜、各色のインクが吐出される。
図6は、インクジェット装置2の構成を示すブロック図である。
インクジェット装置2は、第1のインクジェットヘッド11と、第2のインクジェットヘッド12と、第3のインクジェットヘッド13と、第4のインクジェットヘッド14と、スキャナ15と、搬送部20の他、制御部300と、インク供給部400と、インタフェース500と、印刷データ生成部600と、を備える。
搬送部20は、ローラ22、23と、ローラ22、23を回転させるためのモータと、搬送ベルト21の他に、モータの軸に直結され、その回転を検出するためのエンコーダ201を含んでいる。ローラ22には、図示しないギヤ列である減速機を介してモータが接続されている。エンコーダ201は、モータが一定角度回転するごとにパルスを1つ出力する。たとえば、エンコーダ201は、モータ1回転当たり1048576個のパルスを出力する。ここで、総減速比を29/720、駆動ロール径φを350mm、ベルト厚みtを2.3mmとすると、搬送距離の検出分解能は、(29/720)×354.6mm×π/1048676=0.0428μm/パルスと非常に細かいものとなる。実際に搬送距離を検出する場合には、分周回路を用いて、0.5μm/パルス程度に設定する。
エンコーダ201からの出力は、布地50を一定速度で搬送するための制御に用いられる。また、エンコーダ201からの出力は、後述のように、ノズル列La〜Ldから吐出されたインクの印写ドット200の位置ずれ量を検出する際に、印写ドット200がスキャナ15の検出領域に到達したときの搬送距離をカウントするために用いられる。したがって、エンコーダ201の分解能は、印写ドット200の位置ずれ量を高精度に検出可能となるように設定される。
制御部300は、信号処理回路とメモリとを備え、メモリに保持されたプログラムに従って、インクジェット装置2の各部を制御する。制御部300は、印刷データ生成部600から入力された印刷データに基づいて、第1のインクジェットヘッド11〜第4のインクジェットヘッド14と、インク供給部400と、搬送部20と、を制御し、元画像に基づく画像を布地50に印写する。また、制御部300は、ノズル列La〜Ldから吐出されたインクの印写ドット200の位置ずれ量を検出する処理を実行する。この検出処理は、ユーザの指示のもと、布地50に対する印写動作の開始前に行われる。
インク供給部400は、4つのインクジェットヘッドにそれぞれ対応する色のインクを供給するための構成を備える。インタフェース500は、布地50に印写すべき元画像データの入力を受け付け、入力された元画像データを印刷データ生成部600に出力する。印刷データ生成部600は、インタフェース500から入力された元画像データから、シアン、マゼンタ、イエローの布地50上の分布およびインク量を示す印刷データを生成して、制御部300に出力する。
本実施の形態において、スキャナ15として、たとえば、解像度が360dpi程度の低解像度のスキャナが用いられる。スキャナ15の解像度はこれに限られるものではなく、解像度が600dpi程度のスキャナが用いられてもよい。
図7は、ヘッドユニット111内におけるノズル列間の印写ドット200の位置ずれ量を検出する場合のインクの吐出制御を模式的に示す図である。
上記のように、印写ドット200の位置ずれ量の検出工程は、布地50に対する印写動作の開始に先立って行われる。検出工程で検出された位置ずれ量に基づいて、ノズル列La〜Ldの吐出タイミングが補正される。なお、検出工程は、布地50ではなく、紙を用いて行われる。検出工程では、紙が搬送ベルト21に設置される。
ヘッドユニット111に対する位置ずれ量の検出は、ヘッドユニット111内のノズル列La〜Ldから吐出されたインクの印写ドット200が、Y軸方向に並ぶように(図4の最上段参照)、ノズル列La〜Ldの吐出タイミングが制御される。このとき、ノズル列La、Lbから吐出されるインクの印写ドット200a、200bと、ノズル列La、Lbから吐出されるインクの印写ドット200c、200dとが、被印刷面である紙面の幅方向(Y軸方向)に分離されるように、インクの吐出を行うためのノズルが設定される。
たとえば、図7の例では、ヘッドユニット111のY軸方向の中央位置HOに対してY軸負側の範囲では、ノズル列La、Lbのノズル111aからインクを吐出し、ノズル列Lc、Ldのノズル111aからはインクを吐出しないように、吐出対象のノズル111aが設定される。他方、中央位置HOに対してY軸正側の範囲では、ノズル列Lc、Ldのノズル111aからインクを吐出し、ノズル列La、Lbのノズル111aからはインクを吐出しないように、吐出対象のノズル111aが設定される。
このように吐出対象のノズル111aを設定することにより、中央位置HOに対してY軸負側の範囲では、ノズル列La、Lbによる印写ドット200a、200bが印写され、中央位置HOに対してY軸正側の範囲では、ノズル列Lc、Ldによる印写ドット200a、200bが印写される。このとき、ノズル列La〜Ldに対する吐出タイミングが適正であれば、ノズル列La、Lbによる印写ドット200a、200bとノズル列Lc、Ldによる印写ドット200c、200dは、Y軸方向に直線状に並ぶ。
ここで、ノズル列La、Lbは、X軸方向の間隔が小さいため、通常、ノズル列La、Lbから吐出されたインクの印写ドット200a、200bがX軸方向に大きくずれることはない。したがって、印写ドット200a、200bは、略Y軸方向に一列に並ぶ。同様に、ノズル列Lc、Ldもまた、X軸方向の間隔が小さいため、通常、ノズル列Lc、Ldから吐出されたインクの印写ドット200c、200dがX軸方向に大きくずれることはない。したがって、印写ドット200c、200dは、略Y軸方向に一列に並ぶ。
このことから、本実施形態では、ノズル列La、Lbを1つの組とし、ノズル列Lc、Ldを1つの組として、印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dとの間の位置ずれ量が検出される。このため、上記のように、中央位置HOに対してY軸負側は、ノズル列La、Lbの吐出範囲に設定され、中央位置HOに対してY軸正側は、ノズル列Lc、Ldの吐出範囲に設定されている。
一方、ノズル列La、Lbとノズル列Lc、Ldは、X軸方向の間隔が大きいため、ノズル列La、Lbから吐出されたインクの印写ドット200a、200bと、ノズル列Lc、Ldから吐出されたインクの印写ドット200c、200dとの間に、たとえば、図7の上段に示すような位置ずれが起こり得る。この場合、印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dとの間の位置ずれ量D1を検出して、ノズル列La〜Ldに対するインクの吐出タイミングを補正する必要がある。
印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dの位置ずれ量は、スキャナ15の検出信号を用いて検出される。図7において、151は、スキャナ15の検出領域を示している。図7では、便宜上、検出領域151が、左右が閉じた長方形で示されているが、実際は、さらにY軸正負の方向に、スキャナ15の検出領域が延びている。紙が搬送されることにより、印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dが検出領域151に到達し、スキャナ15によって印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dが読み取られる。
図8は、印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dと間の位置ずれ量を検出する検出方法を模式的に示す図である。
中央位置HOに対して検出領域151のY軸負側の範囲は、ノズル列La、Lbに基づく印写ドット200a、200bの検出範囲151aに設定され、中央位置HOに対して検出領域151のY軸正側の範囲は、ノズル列Lc、Ldに基づく印写ドット200c、200dの検出範囲151bに設定される。制御部300は、検出範囲151aにおいてスキャナ15により取得された検出信号に基づいて、当該検出範囲151aにおける印写濃度を取得する。また、制御部300は、検出範囲151bにおいてスキャナ15により取得された検出信号に基づいて、当該検出範囲151bにおける印写濃度を取得する。
検出範囲151a、151bの印写濃度は、紙の搬送距離に応じて、それぞれ、図8の左側のグラフおよび右側のグラフのように変化する。ここで、紙の搬送距離は、紙の搬送開始時以降にエンコーダ201から出力されたパルスのカウント数(エンコーダパルス数)として取得される。エンコーダパルス数は、制御部300が、内部カウンタによって計数する。
紙の搬送が進み、Y軸負側の印写ドット200a、200bがスキャナ15の検出領域151に到達すると、検出範囲151aの印写濃度が立ち上がる。やがて、印写ドット200a、200bが検出領域151に全て含まれると、検出範囲151aの印写濃度が最大となり、その後、印写ドット200a、200bが検出領域151から抜け始めると、検出範囲151aの印写濃度が立ち下がる。印写ドット200a、200bが検出領域151から全て抜けると、検出範囲151aの印写濃度はゼロとなる。
同様に、紙の搬送が進み、Y軸正側の印写ドット200c、200dがスキャナ15の検出領域151に到達すると、検出範囲151bの印写濃度が立ち上がる。やがて、印写ドット200c、200dが検出領域151に全て含まれると、検出範囲151bの印写濃度が最大となり、その後、印写ドット200c、200dが検出領域151から抜け始めると、検出範囲151bの印写濃度が立ち下がる。印写ドット200c、200dが検出領域151から全て抜けると、検出範囲151bの印写濃度はゼロとなる。
図7および図8のように、印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dとの間に、紙の搬送方向(X軸方向)の位置ずれが生じている場合、検出範囲151aの印写濃度の波形(図8の左側のグラフ)が最大となるときのエンコーダパルス数Pabと、検出範囲151bの印写濃度の波形(図8の右側のグラフ)が最大となるときのエンコーダパルス数Pcdとの間に差が生じる。この差は、印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dとの間の位置ずれ量D1に対応する。したがって、エンコーダパルス数Pabとエンコーダパルス数Pcdとの差を求めることにより、印写ドット200a、200bと印写ドット200c、200dとの間の位置ずれ量D1を取得できる。
しかし、上記のように、印写ドット200(印写ドット200a〜200d)の解像度が1440dpiであり、スキャナ15の解像度が360dpiである場合、通常の印写モードでは、図8に示すように、印写ドット200a〜200dの径が、検出領域151のX軸方向の幅(以下、「検出幅」という)よりも小さくなり、印写ドット200a〜200dと検出領域151との間にX軸方向の隙間が生じる。
このため、印写ドット200a、200bが検出領域151に全て含まれた状態で検出領域151を搬送方向(X軸正方向)に移動する期間において、図8左側の濃度波形が最大値を維持する。同様に、印写ドット200c、200dが検出領域151に全て含まれた状態で検出領域151を搬送方向(X軸正方向)に移動する期間において、図8右側の濃度波形が最大値を維持する。このため、これら濃度波形では、印写ドット200a、200bおよび印写ドット200c、200dの位置を精度良く検出することが困難である。
図9(a)〜(d)は、比較例に係る印写ドットがスキャナの検出領域を通過する様子を示す図である。図9(e)は、図9(a)〜(d)のように印写ドットがスキャナの検出領域を通過する場合にスキャナで検出される濃度(相対値)の変化を示すグラフである。
比較例では、印写ドットの大きさが、通常の印写モードで設定される大きさとなっている。通常の印写モードでは、予め設定された解像度、すなわち、本実施の形態では1440dpiで、被印刷面(布地、紙、等)を埋め尽くすのに最適なドット径となるように、印写ドット200の径が設定されている。たとえば、印写ドット200の径は30μm前後に設定される。このときのインクの吐出量は、3pL程度である。
この場合、スキャナ15の検出領域151の検出幅Wdは、印写ドット200a、200bの径よりもかなり大きくなる。このため、図9(e)に示すように、濃度の変化を示すグラフは、最大値が連続する区間が広くなってしまう。
図9(e)では、印写ドット200a、200bが検出領域151に進入する直前の搬送距離が0に設定されている。縦軸は、最大濃度を1として規格化されている。図9(e)は、印写ドット200a、200bと検出領域151とを模式図化した上で、印写ドット200a、200bを搬送方向に所定距離ずつ送ったときに検出領域151に含まれる印写ドットの面積を、目分量で取得してプロットしたものである。図9(e)のTa〜Tdは、それぞれ、印写ドット200a、200bと検出領域151との関係が、図9(a)〜(d)の状態にあるときの搬送距離を示している。
図9(e)に示すように、比較例では、濃度が最大となる区間(Tb〜Tc)が顕著に長くなる。区間(Tb〜Tc)は、約40μmである。このため、仮に、この区間(Tb〜Tc)の中央を印写ドット200a、200bの検出位置として取得した場合は、取得した検出位置に大きな誤差が含まれる可能性が高くなり、検出精度が著しく低下する。
そこで、本実施の形態では、印写ドットの位置ずれを検出する際のインクの吐出量を通常の印写モードで設定される吐出量よりも多く設定し、印写ドット200a〜200dの径を大きくしている。
図10(a)〜(d)は、実施の形態に係る印写ドットがスキャナ15の検出領域151を通過する様子を示す図である。図10(e)は、図10(a)〜(d)のように印写ドットがスキャナ15の検出領域151を通過する場合にスキャナで検出される濃度(相対値)の変化を模式的に示すグラフである。なお、図9(e)と異なり、図10(e)には、濃度変化のグラフが模式的に示されている。
実施の形態では、インクの吐出量が24pLに増量され、これにより、印写ドット200a、200bの径が70μmに増加している。このため、スキャナ15の検出領域151の検出幅Wdに対して、印写ドット200a、200bの大きさがやや小さくなるに留まっている。これにより、図10(e)に示すように、濃度の変化を示すグラフは、最大値が連続する区間(Tb〜Tc)が顕著に狭くなっている。ここでは、区間(Tb〜Tc)は7μm程度である。したがって、区間(Tb〜Tc)の中央を印写ドット200a、200bの検出位置として取得したとしても、取得した検出位置に誤差が略含まれなくなる。よって、印写ドット200a、200bの位置検出の精度を顕著に高めることができる。
なお、印写ドット200a、200bの径は、検出幅Wdに略整合することが好ましい。これにより、濃度波形の最大値が連続する区間(Ta〜Tc)が生じることがなく、濃度波形の最大値は、略1つのピークとして現れるようになる。このため、印写ドット200a、200bの検出位置の検出精度をさらに高めることができる。
ここで、インクの最大吐出量は、印写速度と解像度による制限を受ける。すなわち、印写速度と解像度から、各ノズルの印写周期(吐出周期)が決まり、1周期中に形成可能なインクの吐出波形(ノズル111aからインクを吐出させる圧力駆動部の駆動波形)が決まる。したがって、この吐出波形により実現可能なインクの吐出量が、インクの最大吐出量となる。よって、印写ドットの位置ずれ量の検出時には、印写速度、すなわち、紙の搬送速度を、通常の印写モードよりも低下させて、インクの最大吐出量を増加させることが好ましい。これにより、位置ずれ量の検出時における印写ドット200a、200bの径を、検出幅Wdに略整合させ得る程度まで大きくすることができ、その結果、位置ずれ量の検出精度を高めることができる。
なお、搬送速度を低下させる場合は、安定的に紙を搬送できる範囲で搬送速度を設定する必要がある。したがって、紙の搬送速度は、通常の印写モードにおける布地50の搬送速度からなるべく大きく乖離せず、且つ、印写ドット200を検出領域151の検出幅Wdになるべく近づけることが可能なように、設定することが好ましい。
なお、ここでは、便宜上、図8に示した検出範囲151a、151bのうち、印写ドット200a、200bが通過する検出範囲151aの状態を図9(a)〜(e)および図10(a)〜(e)に図示して、印写ドットの位置検出の方法を説明したが、検出範囲151bについても、上記と同様の方法により、印写ドットの位置検出が行われる。
図11(a)は、印写ドットの位置ずれ量を検出する際に行われるインクの吐出制御を示すフローチャートである。図11(b)は、図11(a)の処理と並行して行われる印写ドットの位置ずれ量の検出処理を示すフローチャートである。
図11(a)を参照して、制御部300は、ノズル列La〜Ldのインクの吐出量を、位置ずれ量の検出時に用いるインクの吐出量に設定する(S11)。具体的には、制御部300は、位置ずれ量検出時の搬送速度において、スキャナ15の検出幅Wdに印写ドット200a〜200dの径を最も近づけ得る吐出波形を、検出時に用いる吐出波形に設定する。
また、制御部300は、図7を参照して説明したように、ノズル列La〜Ldに対して、インクを吐出するノズル111aの範囲を設定する(S12)。具体的には、ヘッドユニット111の中央位置HOに対してY軸負側の範囲はノズル列La、Lbのノズルのみインクを吐出させ、中央位置HOに対してY軸正側の範囲はノズル列Lc、Ldのノズルのみインクを吐出させるように、吐出対象のノズルを設定する。
次に、制御部300は、検出時の搬送速度で搬送ベルト21を駆動して、紙の搬送を開始させる(S13)。これと同時に、制御部300は、エンコーダ201から出力されるパルスのカウントを開始する(S14)。そして、制御部300は、紙がノズル列La〜Ldを通過する間に、印写ドット200a〜200dが直線に並ぶようにタイミング制御を行って、ノズル列La〜Ldからインクを吐出させる(S15)。
図11(b)を参照して、次に、制御部300は、スキャナ15の検出信号に基づいて、ノズル列La、Lbから吐出されたインクの印写ドット200a、200bを検出する(S21)。具体的には、制御部300は、図8に示す検出範囲151aにおけるスキャナ15の検出信号から濃度波形を取得する。そして、制御部300は、取得した濃度波形が最大となる区間の中央位置に対応するエンコーダパルスのカウント値を、ノズル列La、Lbに基づく印写ドット200a、200bの検出位置を示すエンコーダパルス数Pabとして取得する(S22)。
また、ステップS21、S22の処理と並行して、制御部300は、スキャナ15の検出信号に基づいて、ノズル列Lc、Ldから吐出されたインクの印写ドット200c、200dを検出する(S23)。具体的には、制御部300は、図8に示す検出範囲151bにおけるスキャナ15の検出信号から濃度波形を取得する。そして、制御部300は、取得した濃度波形が最大となる区間の中央位置に対応するエンコーダパルスのカウント数を、ノズル列Lc、Ldに基づく印写ドット200c、200dの検出位置を示すエンコーダパルス数Pcdとして取得する(S24)。
制御部300は、こうして取得したエンコーダパルス数Pab、Pcdの差分を、ノズル列La、Lbから吐出したインクの印写ドット200a、200bと、ノズル列Lc、Ldから吐出したインクの印写ドット200c、200dとの間の位置ずれ量D1として取得する(S25)。そして、制御部300は、取得した位置ずれ量D1に基づいて、位置ずれ量D1を解消するように、ノズル列La〜Ldの吐出タイミングを補正する。
なお、上記実施の形態では、1つのヘッドユニット111内に含まれるノズル列La〜Ldを対象に、印写ドット200a〜200dの位置ずれ量を検出したが、1つのヘッドモジュール110を構成する4つのヘッドユニット111を対象に、印写ドット200a〜200dの位置ずれ量を検出するようにしてもよい。
この場合、図12に示すように、スキャナ15の検出領域151が、8つの範囲R1〜R8に区分される。また、各ヘッドユニット111のノズル列La〜Ldにおいて、インクを吐出するノズル111aの範囲が、それぞれ、8つの範囲R1〜R8に対応する範囲に設定される。図12において、太線の長方形で囲われた範囲A1〜A8が、各ヘッドユニット111のノズル列La〜Ldに設定された、インク吐出を行うためのノズル111aの範囲である。
この場合も、上記実施の形態と同様、位置ずれ量の検出時に、制御部300は、計16個の全てのノズル列のノズル111aから吐出されたインクの印写ドット200がY軸方向に一列に並ぶように、ヘッドモジュール110を構成する4つのヘッドユニット111の各ノズル列La〜Ldの吐出タイミングを制御する。また、制御部300は、範囲R1〜R8においてそれぞれ取得されたスキャナ15の検出信号に基づいて、範囲R1〜R8ごとに、濃度波形を取得し、各濃度波形が最大となる区間の中央位置に対応するエンコーダパルスのカウント値を、それぞれ、範囲A1〜A8のノズル111aに基づく印写ドット200の検出位置Pa1〜Pa8として取得する。
この場合、制御部300は、たとえば、検出位置Pa1を基準に検出位置Pa2〜Pa8との差分をそれぞれ求め、求めた差分を検出位置Pa2〜Pa8の位置ずれ量Da1〜Da7として取得する。そして、制御部300は、位置ずれ量Da1〜Da7を解消するように、4つのヘッドユニット111に含まれる計16個のノズル列の吐出タイミングを補正する。
また、制御部300は、同様の位置ずれ量の検出処理および吐出タイミングの補正処理を、図5に示すヘッドブロック100に含まれる残り5つのヘッドモジュール110に対しても同様に行う。さらに、図5に示す第1〜第4のインクジェットヘッド11〜14に含まれる各ヘッドブロック100に対しても、同様の位置ずれ量の検出処理および吐出タイミングの補正処理を行う。
この場合、制御部300は、図5において、搬送方向の最も下流側(X軸正側)で、且つ、Y軸負側に配置されたノズル列La、Lbに基づく印写ドット200の検出位置(以下、「検出基準位置P0」という)を、位置ずれ量を求める場合の基準位置に設定する。すなわち、検出基準位置P0は、図5の左上隅のヘッドモジュール110(第4のインクジェットヘッド14の左上隅に配置されたヘッドモジュール110)上の最上段のヘッドユニット111のノズル列La、Lbに基づく印写ドット200の検出位置である。
制御部300は、第1〜第4のインクジェットヘッド11〜14に含まれる残り全てのノズル列に基づく印写ドット200の検出位置と、検出基準位置P0との差分を各ノズル列に基づく印写ドット200の位置ずれ量として検出する。そして、制御部300が、検出したそれぞれの位置ずれ量に基づいて、全てのノズル列の吐出タイミングを補正する。
この補正処理により、1つのインクジェットヘッドからそれぞれ吐出されるインクの印写ドット200が、被印刷面においてY軸方向に一列に並ぶようになる。また、第1〜第4のインクジェットヘッド11〜14の吐出タイミングを制御することにより、布地50の同じドット位置に、各色のインクを重ねることができる。
<実施形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
印写ドット200の位置ずれ量の検出の際に、通常印写時よりも多いインク量で、ノズル列La、Lbとノズル列Lb、Lcからインクが吐出されるため、紙に印写された印写ドット200a〜200dの径が、通常の印写時よりも大きくなる。このため、低解像度のスキャナ15を用いた場合も、スキャナ15の検出幅Wdに印写ドット200a〜200dの径を近づけることができ、スキャナ15の検出幅Wdに印写ドット200a〜200dが全て含まれたときの印写ドット200a〜200dと検出幅Wdとの間の隙間を縮めることができる。このため、スキャナ15からの信号に基づいて、印写ドット200がスキャナ15の検出位置に到達したことをより正確に検出できる。よって、ノズル列La、Lbとノズル列Lc、Ldに基づく印写マークの位置ずれ量を正確に検出できる。また、検出の際には、ノズル列La〜Ldから吐出されるインク量を高めることで足りるため、検出工程を簡素にできる。さらに、各ノズル列からインクを複数回吐出させる必要がないため、迅速に、ノズル列間の位印写ドットの位置ずれ量を検出できる。
このように、本態様に係るインクジェット装置2によれば、低解像度のスキャナ15を用いた場合でも、簡素な工程により迅速に、ノズル列間の印写ドットの位置ずれ量を検出することができる。
また、位置ずれ量の検出の際に、ノズル111aから吐出されるインクの吐出量が、印写ドット200の径がスキャナ15の検出幅Wdに最も接近する吐出量に設定される。これにより、図10(e)に示すように、濃度波形において最大値が連続する区間(Tb〜Tc)を圧縮でき、あるいは、この区間をなくして略ピークのみの波形とすることができる。これにより、印写ドット200の位置検出の精度を顕著に高めることができる。
また、エンコーダ201から出力される高分解能のパルスを制御部300がカウントすることにより、印写ドット200a〜200dがスキャナ15に検出された時点の紙の搬送距離(検出位置)が取得される。これにより、印写ドット200a〜200dの検出位置を顕著に高い分解能で取得でき、印写ドット200a〜200dの位置ずれの検出精度を顕著に高めることができる。
また、位置ずれ量の検出時に、制御部300は、図7または図12に示すように、各ノズル列においてインクを吐出するノズル111aの範囲を被印刷面である紙の幅方向(Y軸方向)に異ならせて、各ノズル列からインクを吐出させる。これにより、ノズル列ごとに印写ドット200の位置を紙の幅方向(Y軸方向)に分離させることができ、分離したそれぞれの印写ドット200をスキャナで個別に検出することにより、各ノズル列に基づく印写ドット200の位置を円滑に検出できる。
<変更例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何らの制限を受けるものではない。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何らの制限を受けるものではない。
たとえば、上記実施の形態では、ノズル列La、Lbとノズル列Lc、Ldとでインクを吐出させるノズル111aを異ならせて、印写ドットの位置ずれ量を検出したが、位置ずれ量の検出手法は必ずしもこの手法に限定されるものではない。印写ドット200をスキャナ15で検出してノズル列間の印写ドット200の位置ずれ量を検出する手法であれば、他の手法を用いてもよい。この場合も、図10(a)〜(e)を参照して説明したように、インクの吐出量を通常の印写モードより多くすることにより、低解像度のスキャナ15を用いた場合も、各ノズル列から吐出されたインクの印写ドットの位置を正確に検出することができる。
また、上記実施の形態では、ノズル列La、Lbとノズル列Lc、Ldからインクを吐出させたが、インクを吐出させるノズル列は、これに限られるものではない。たとえば、ノズル列Laとノズル列Lcにおいて、インクを吐出させるノズルの範囲を異ならせて、インクを吐出させるようにしてもよい。
なお、上記実施の形態には、布地50に画像を印刷する染色システム1を示したが、本発明は、染色システムに限らず、紙等の他の印刷面に画像を印刷する他の種類のインクジェット装置にも広く適用可能である。この場合、紙等の印刷面は、必ずしも、移送されなくてもよい。たとえば、紙等の印刷面は移送されずに、インクジェットヘッドの方が移動して、印刷面がインクジェットヘッドに対し相対的に移動する構成であってもよい。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … 染色システム
2 … インクジェット装置
11 … 第1のインクジェットヘッド
12 … 第2のインクジェットヘッド
13 … 第3のインクジェットヘッド
14 … 第4のインクジェットヘッド
15 … スキャナ
20 … 搬送部
200 … 制御部
201 … エンコーダ
La〜Ld ノズル列
2 … インクジェット装置
11 … 第1のインクジェットヘッド
12 … 第2のインクジェットヘッド
13 … 第3のインクジェットヘッド
14 … 第4のインクジェットヘッド
15 … スキャナ
20 … 搬送部
200 … 制御部
201 … エンコーダ
La〜Ld ノズル列
Claims (7)
- ノズルから被印刷面にインクを吐出して印写を行うインクジェット装置であって、
前記ノズルが前記被印刷面の幅方向に並ぶように配置された複数のノズル列と、
前記複数のノズル列を横切る方向に前記被印刷面を移動させる搬送部と、
前記搬送部により移動された前記被印刷面から前記インクの印写ドットを読み取るスキャナと、
制御部と、を備え、
前記複数のノズル列は、前記被印刷面の移動方向に互いにずらされて配置され、
前記制御部は、
前記搬送部により前記被印刷面を移動させた状態で、第1のノズル列と第2のノズル列から、通常印写時のインク量より多いインク量でインクを吐出させ、
前記第1のノズル列から吐出された前記インクの印写ドットを前記スキャナが読み取ったタイミングにおける前記被印刷面の搬送距離と、前記第2のノズル列から吐出された前記インクの印写ドットを前記スキャナが読み取ったタイミングにおける前記被印刷面の搬送距離とに基づいて、前記被印刷面の移動方向における前記第1のノズル列と前記第2のノズル列との間の前記印写ドットの位置ずれ量を検出する、
ことを特徴とするインクジェット装置。 - 請求項1に記載のインクジェット装置において、
前記制御部は、前記位置ずれ量の検出の際に、前記ノズルから吐出するインクの吐出量を、前記印写ドットの径が前記スキャナの前記移動方向の検出幅に最も接近する吐出量に設定する、
ことを特徴とするインクジェット装置。 - 請求項1または2に記載のインクジェット装置において、
前記搬送部は、前記被印刷面を移動に応じてパルスを出力するエンコーダを備え、
前記制御部は、前記エンコーダから出力されるパルスをカウントすることにより、前記搬送距離を取得する、
ことを特徴とするインクジェット装置。 - 請求項1ないし3の何れか一項に記載のインクジェット装置において、
複数の前記ノズル列が前記被印刷面の移動方向に所定間隔で並ぶように配置され、
前記制御部は、前記位置ずれ量の検出の際に、前記搬送部により前記被印刷面を移動させた状態で、第1のノズル列と第2のノズル列において、前記被印刷面の前記幅方向の異なる位置の前記ノズルからインクを吐出させる、
ことを特徴とするインクジェット装置。 - 請求項1ないし4の何れか一項に記載のインクジェット装置において、
互いに異なる色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッドを備え、
前記第1のノズル列および前記第2のノズル列は、互いに異なる前記インクジェットヘッドに配置されたノズル列である、
ことを特徴とするインクジェット装置。 - ノズルから被印刷面にインクを吐出して印写を行うインクジェット装置であって、
前記ノズルが前記被印刷面の幅方向に並ぶように配置された複数のノズル列と、
前記複数のノズル列を横切る方向に前記被印刷面を移動させる搬送部と、
前記搬送部により移動された前記被印刷面から前記インクの印写ドットを読み取るスキャナと、
制御部と、を備え、
前記複数のノズル列は、前記被印刷面の移動方向に互いにずらされて配置され、
前記制御部は、
前記搬送部により前記被印刷面を移動させた状態で、第1のノズル列と第2のノズル列において、前記被印刷面の前記幅方向の異なる位置の前記ノズルからインクを吐出させ、
前記第1のノズル列から吐出された前記インクの印写ドットを前記スキャナが読み取ったタイミングにおける前記被印刷面の搬送距離と、前記第2のノズル列から吐出された前記インクの印写ドットを前記スキャナが読み取ったタイミングにおける前記被印刷面の搬送距離とに基づいて、前記被印刷面の移動方向における前記第1のノズル列と前記第2のノズル列との間の前記印写ドットの位置ずれ量を検出する、
ことを特徴とするインクジェット装置。 - 請求項1ないし6の何れか一項に記載のインクジェット装置と、
片面が前記被印刷面となる布地を前記搬送部に供給する布供給部と、
前記インクジェット装置により染色された布地を乾燥させる乾燥部と、を備える、染色システム。
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