JP2018049033A - リシルオキシダーゼ様2のアッセイおよびその使用の方法 - Google Patents

リシルオキシダーゼ様2のアッセイおよびその使用の方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リシルオキシダーゼ様2のアッセイおよびその使用の方法を提供する。【解決手段】疾患または状態に対する処置を受けている個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップおよび、該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップを含み、LOXL2の検出レベルが該個体における該疾患または状態の存在もしくは非存在を示すか、あるいは、該個体による、該疾患または状態に対する処置への応答の確度を示す、方法。【選択図】なし

Description

関連出願への相互参照
本願は、2011年6月1日に出願された米国仮特許出願第61/492,210号、2011年10月24日に出願された米国仮特許出願第61/550,895号、および2011年12月21日に出願された米国仮特許出願第61/578,813号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の開示は、あらゆる目的のために本明細書中に参考として援用される。
EFS−WEBを介して提出された配列表に対する参照
USPTO EFS−WEBサーバを介しての配列表の以下の電子的な提出物の全内容は、MPEP§1730 II.B.2(a)(C)において認証され、記載されるように、全ての目的のために、その全体が参照によって本明細書において組み込まれる。配列表は、電子的に提出されたテキストファイル上で以下のように識別される:
背景
リシルオキシダーゼ様2(lysyl oxidase−like 2)(LOXL2)は、細胞外マトリックスのタンパク質である。細胞外LOXL2は、健康な成人組織においてほとんど観察されないが、その発現は、様々な線維症性疾患および腫瘍において誘導される。それは、活性化された線維芽細胞、疾患関連性平滑筋細胞、内皮細胞、および上皮によって分泌される。
要旨
本開示は、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)、たとえばLOXL2ポリペプチドの検出ならびに診断方法、予後判定方法(prognostic method)、および予測方法におけるその使用に関する。たとえば、個体における循環リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチドを検出するおよび/または定量化するためのアッセイなどの、LOXL2を検出するおよび/または定量化するためのアッセイが、提供される。診断適用、予後判定適用、および予測適用におけるそのようなアッセイの方法および使用ならびにそれにおいて使用するためのアッセイデバイスおよびキットもまた、提供される。
個体におけるLOXL2、典型的に循環LOXL2を検出するための方法が、提供される。提供される方法の中には、検出、診断、予測、モニタリング、および予後判定方法がある。いくつかの実施例において、方法が、個体から得られるサンプル、一般に液体サンプルを、LOXL2に対して特異的な抗体と接触させ、かつサンプルに存在するポリペプチド、たとえばLOXL2ポリペプチドへの抗体の結合を検出することによって実行される。いくつかの実施例において、アッセイが、300、250、200、175pg/ml、もしくはそれ未満までの、液体サンプルにおけるLOXL2を検出するまたはわずか300、250、200、175pg/ml、たとえば、わずか約150pg/ml〜約175pg/ml、約125pg/ml〜約150pg/ml、約100pg/ml〜約125pg/ml、約75pg/ml〜約100pg/ml、約50pg/ml〜約75pg/ml、もしくは約40pg/ml〜約50pg/mlの濃度の、サンプルにおけるLOXL2を検出する。
いくつかの実施例において、検出されるLOXL2レベルが、疾患または状態の存在または非存在を示す。いくつかの実施例において、それが、個体がその疾患のための特定の処置に対して応答する確度(likelihood)を示すまたは処置の効力を示す。方法が予後判定方法であるなどのいくつかの実施例において、LOXL2の検出レベルが、疾患または状態についての転帰、イベント、またはエンドポイントの確度を示す。いくつかの態様において、疾患または状態が、循環LOXL2または循環LOXL2の上昇によって特徴付けられるまたはそれと関連する。いくつかの態様において、個体が、疾患または状態を有し、いくつかの態様において、個体が、疾患または状態を有することが疑われる。いくつかの態様において、方法が、個体が疾患または状態を有するかもしくは有していないか、特定の処置に対して応答する可能性があるかもしくはないか、または特定の転帰もしくはイベントを有する可能性があるかもしくはないかまたは処置が有効であったかもしくはなかったかを決定することをさらに含む。
いくつかの実施例において、個体が、疾患または状態に対する処置を受けており、処置前レベルなどの初期の時点で決定されたレベルよりも低いLOXL2の検出レベルが、処置の効力を示す。
サンプルは、典型的に、血液などの液体サンプル、血清もしくは血漿などの血液画分、尿、唾液、痰、または気管支肺胞洗浄液である。
いくつかの実施例において、抗体が、検出可能な標識を含み、例示的な標識は、化学発光剤、微粒子標識、比色剤(colorimetric agent)、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、および放射性同位体を含む。いくつかの実施例において、サンプルに存在するLOXL2が、液体サンプルを、LOXL2に対して特異的な第2の抗体と接触させることによって、不溶性支持体に対して固定され、第2の抗体−LOXL2複合体を形成する。一実施例において、第2の抗体が、不溶性支持体に対して固定される。他の実施例において、第2の抗体−LOXL2複合体が、サンプルを抗体と接触させる前に形成される。固定された抗体は、ポリクローナルであってもモノクローナルであってもよい。いくつかの実施例において、LOXL2が、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤などの、LOXL2の酵素活性を阻害する作用物質(agent)、たとえば、SRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合するものなどの抗LOXL2モノクローナル抗体に結合する場合に、抗体が、LOXL2に結合する。
提供される方法および実施形態に関連する使用のための例示的な抗LOXL2抗体は、たとえば、AB0023、AB0024、配列番号8において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/もしくはCDR3または全配列を有する重鎖ならびに配列番号9において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/もしくはCDR3または全配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体などの、配列番号6、8、10、11、もしくは12において記載されるまたは配列番号6、8、10、11、もしくは12に対して75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、もしくは99%以上の相同性を有するまたは配列番号6、8、10、11、もしくは12において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/もしくはCDR3を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有するならびに/または配列番号7、9、13、もしくは14において記載されるまたは配列番号7に対して75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、もしくは99%以上の相同性を有するまたは配列番号7、9、13、もしくは14において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/もしくはCDR3を有するアミノ酸配列を有する可変軽鎖領域を有する抗体を含む。
いくつかの実施例において、方法が、検出レベルを正常コントロール値と比較するステップをさらに含み、正常コントロール値よりも高い検出レベルが、疾患または状態の存在、個体が疾患もしくは状態に対する処置に応答する確度、または病的転帰の確度を示す。たとえば、いくつかの実施例において、方法が、循環LOXL2の病的レベルを検出する。そのような方法は、検出レベルを、正常コントロール値または他の参照値と比較するステップを含むことができ、正常コントロール値または参照値よりも高い検出レベルが、病態を示す。
個体が、循環リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)の上昇によって特徴付けられるまたはそれと関連する疾患または状態を有するかどうかを決定する、そのような疾患もしくは状態を診断する、またはそのような疾患もしくは状態に関する予測決定もしくは予後判定の決定をなすための方法もまた、提供される。実施例において、そのような方法が、たとえば、上記に記載されるものなどの、本明細書において提供されるアッセイおよび方法に従って、個体由来のサンプル、たとえば液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出することによって実行される。典型的に、正常コントロールレベル、参照レベルよりも高いまたはいくつかの場合において、ベースラインよりも高いLOXL2のレベルは、個体が、循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患を有することを示すまたは特定の転帰の確度もしくは個体が特定の疾患処置に対して応答する確度を予測するなどの、疾患もしくは状態についての予後判定情報もしくは予測情報を示す。
提供される方法のいくつかの態様において、疾患または状態が、線維症またはがんまたはそれと関連する疾患である。例として、肺線維症(特発性肺線維症(IPF)など)、肝線維症、腎線維症、心線維症(cardiac fibrosis)、骨髄線維症、硬変、慢性ウイルス性肝炎、C型肝炎ウイルス(HCV)、およびB型肝炎ウイルス(HBV)を含む。いくつかの態様において、疾患または状態が、特発性肺線維症(IPF)である。
方法は、個体を、肺機能検査、心機能検査、および肝機能検査を含むことができる1つ以上のさらなる診断試験にかけるステップをさらに含むことができる。
線維症性疾患を有する個体が線維症性疾患に対する処置への有益な臨床応答を示す確度を決定するための方法もまた、提供される。そのような方法は、上記に記載される方法によってなどの、たとえば、個体から得られる液体サンプルにおいて、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)の循環レベルを決定するステップを含むことができる。一態様において、正常コントロールレベルよりも高いLOXL2の循環レベルが、個体が線維症性疾患に対する処置への有益な臨床応答を示す確度が増加していることを示す。いくつかの実施例において、報告が、決定された確度に基づいて生成される。いくつかの実施例において、方法が、線維症性疾患について個体を処置するステップをさらに含む。いくつかの実施例において、個体が、METAVIR F1もしくはF2肝線維症などの活動性線維症性疾患および/またはMETAVIR F4肝線維症などの進行期線維症性疾患を有する。
個体におけるリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)の上昇によって特徴付けられる疾患に対する処置の効力を決定するための方法もまた、提供される。いくつかの実施例において、そのような方法が、上記および本明細書において記載される検出方法に従って、疾患に対する処置を受けている個体におけるある時点の循環LOXL2レベルを決定することによって実行される。典型的に、個体から、処置前レベルなどの初期の時点で得られるレベルよりも低い、サンプルにおける循環LOXL2のレベルが、処置の効力を示す。その代わりに、サンプルにおける循環LOXL2のレベルは、最初に増加し、その後、身体によるクリアランスが後続してもよい。
提供される方法の中には、特発性肺線維症(IPF)についての予測および予後判定方法もまた、存在する。いくつかの実施例において、そのような方法が、個体からサンプルを得、かつ本明細書において記載される方法の使用などの、サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出することによって実行される。一般に、LOXL2のレベルは、個体におけるIPF疾患転帰またはイベントの確度を示す。
これらのおよび他の提供される方法はまた、検出レベルを、LOXL2の正常コントロールレベルと比較するステップを含むこともでき、正常コントロールレベルと比較したLOXL2レベルの上昇が、個体におけるIPF疾患転帰またはイベントの発生の確度の増加を示す。提供される方法のいくつかの実施形態において、閾値ベースラインレベルよりも高いLOXL2のレベルが、被験体における負の転帰または死亡率と相関する。一実施例において、サンプルにおける閾値LOXL2レベルが、1ミリリットル(mL)当たり少なくとも800ピコグラム(pg)、少なくとも600pg/ml、少なくとも400pg/ml、または少なくとも200pg/mlである。他の実施例において、サンプルにおける閾値LOXL2レベルが、少なくとも440pg/mlである。一実施例において、方法が、正常コントロールLOXL2レベルまたはベースラインと等しいLOXL2レベルを有する被験体と比較して、個体におけるIPF疾患転帰の確度における、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、または7倍の増加を示す。
IPF疾患転帰およびイベントの中には、IPF疾患増悪(あらゆる原因からの死亡率として定義されるもの、呼吸器系の入院、または肺機能の無条件の減少(categorical decrease)など)、肺機能低下、呼吸器系の入院、移植なしの生存、死、および処置への応答性がある。いくつかの場合において、上記方法により、個体におけるIPFと関連する転帰、イベント、もしくはエンドポイントまたはその確度を予測する。いくつかの場合において、上記方法により、個体臨床分子死亡率指数(Personal Clinical and Molecular Mortality index)(PCMI)もしくはMMP7、ICAM1、IL8、VCAM1、およびS100A12などの1つ以上の他のバイオマーカーのレベルに基づくなどの、他の方法もしくはアッセイによって、そのようなアウトプット、エンドポイント、もしくは確度について「陰性である」と見なされた(または他のそのような方法もしくはアッセイが、その転帰、イベント、エンドポイント、もしくは確度を検出しないもしくは検出することができない)個体におけるその転帰、エンドポイント、または確度を予測する。
予測または予後判定IPF方法は、予測努力肺活量(FVC)のパーセント、予測一酸化炭素拡散能(DLCO)のパーセント、6分間の歩行距離(6MWD)、平均肺動脈圧(mPAP)、最低安静時酸素飽和度(lowest resting oxygen saturation)(SpO2)、複合生理学指数(composite physiologic index)(CPI)、セントジョージ呼吸器質問票スコア(St.
George’s Respiratory Questionnaire score)(SGRQ)、および遷移呼吸困難指数(Transition Dyspnea Index)(TDI)スコア、処置への応答性、およびIPF疾患のバイオマーカーからなる群から選択される、個体におけるIPF疾患重症度または機能的ステータスの量(measure)を検出するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施例において、方法が、予測モデルを使用して、LOXL2レベルおよび/または疾患重症度もしくは機能的ステータスの量を分析するステップをさらに含む。
IPF処置への個体の応答をモニターするまたは個体が処置に応答する確度を決定するための方法もまた、提供される。一実施例において、そのような方法が、IPFに対する処置を受けている個体からサンプルを得、かつサンプルにおけるLOXL2のレベルを検出することによって実行される。典型的に、LOXL2のレベルは、処置への個体の応答性または個体が処置に応答する確度を示す。
いくつかの場合において、方法は、さらに、個体においてIPF処置を開始する、改変する、または中止するステップを含む。いくつかの実施例において、処置が、LOXL2のレベルもしくは相対的なレベルまたは予後判定情報もしくは予測情報などの、方法によって決定される情報に基づいて開始される、改変される、または中止される。いくつかの実施例において、処置が、LOXL2レベルの決定前に開始される。
個体から得られる液体生物学的サンプルにおけるリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチドのレベルを決定するのに使用するためのなどの、提供される方法において使用するためのアッセイデバイスおよびキットもまた、提供される。一実施形態において、そのようなデバイスが、軸流路を定めるマトリックスを含み、マトリックスが、i)流動サンプルを受け入れる流路の上流の端にサンプル受け入れゾーン、ii)流路内に、かつサンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上の試験ゾーンであって、1つ以上の試験ゾーンのそれぞれがLOXL2に特異的な抗体を含み、LOXL2に特異的な抗体のそれぞれが、液体サンプルに存在するLOXL2ポリペプチドに結合し、抗LOXL2抗体/LOXL2複合体を形成することができる、1つ以上の試験ゾーン、およびiii)流路内に、かつサンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上のコントロールゾーンを含む。
1つ以上のコントロールゾーンは、2つの試験ゾーンが存在する場合、試験ゾーンの間に位置することができる。試験ゾーンおよびコントロールゾーンは、任意のコントロールゾーンの上流に位置する試験ゾーンから始まる流路内に交互の様式(alternating format)で位置することができる。一実施例において、1つ以上の抗LOXL2抗体が、試験ゾーン中のマトリックスに固定される。
いくつかの実施例において、デバイスが、LOXL2に特異的な抗体に対して特異的な標識抗体を含む標識ゾーンをさらに含む。一般に、標識抗体は、抗LOXL2抗体/LOXL2複合体に存在する抗LOXL2抗体に結合し、標識抗LOXL2抗体/LOXL2を形成することができ、標識抗体は、液体サンプルの存在下で移動可能(mobilizable)である。標識抗体は、化学発光剤、微粒子標識、比色剤、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、および放射性同位体の中から選択される標識成分を含むことができる。
デバイスについてのいくつかの実施例において、マトリックスが、支持体および必要に応じてカバーを含むハウジング内に位置し、ハウジングが、適用開口部(application aperture)および1つ以上の観察窓(obsevation port)を含有する。提供されるデバイスの中には、試験ストリップおよびディップスティックアッセイデバイスがある。
個体から得られる生物学的サンプルにおけるリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチドのレベルを決定するための、提供されるキットの中には、LOXL2に対して特異的な第1の抗体およびLOXL2に対して特異的な第2の抗体を含むものがある。キットはまた、標準曲線を生成するのに使用される精製LOXL2を含むことができる。一実施例において、キットにおける抗体の少なくとも1つが、化学発光剤、微粒子標識、比色剤、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、および放射性同位体などの、検出可能な標識を含む。
本発明の好ましい実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
a)疾患または状態に対する処置を受けている個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップおよび
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップを含み、
LOXL2の検出レベルが該個体における該疾患または状態の存在もしくは非存在を示すか、あるいは、該個体による、該疾患または状態に対する処置への応答の確度を示す、方法。
(項目2)
a)疾患または状態を有し、かつ疾患または状態に対する処置を受けている個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップおよび
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2を検出するステップを含み、
ここで、検出されたLOXL2のレベルが、該疾患または状態の転帰、イベント、またはエンドポイントの確度を示す、方法。
(項目3)
前記個体において初期の時点で決定されたレベルよりも低い、ステップ(b)において検出されたLOXL2のレベルが、該処置の効力を示す、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
前記初期の時点で決定された前記レベルが、処置前レベルである、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記液体サンプルが、血液、血液画分、尿、唾液、痰、または気管支肺胞洗浄液である、項目1〜4および6〜26のいずれかに記載の方法。
(項目6)
LOXL2に対して特異的な該抗体が、検出可能な標識を含む、項目1〜5および7〜26のいずれかに記載の方法。
(項目7)
項目1〜6および8〜26のいずれかに記載の方法であって、前記液体サンプル中に存在する前記LOXL2を不溶性支持体に固定するステップをさらに含み、ここで、該固定するステップが、該液体サンプルを、LOXL2に対して特異的な第2の抗体と接触させて第2の抗体−LOXL2複合体を形成させることによって実行され、ここで、該第2の抗体が、該不溶性支持体に固定される、方法。
(項目8)
前記固定するステップが、ステップ(a)の前に実行される、項目7に記載の方法。
(項目9)
a)個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップであって、該抗体が、LOXL2が該LOXL2の酵素活性を阻害する作用物質に結合している場合に、該LOXL2に結合することができるステップおよび
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップを含み、
ここで、LOXL2の該検出レベルが、該個体における、該疾患または状態の存在もしくは非存在または該疾患または状態の転帰、イベント、もしくはエンドポイントの確度を示す、方法。
(項目10)
該作用物質が、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤である、項目9に記載の方法。
(項目11)
該アロステリック阻害剤が、抗LOXL2モノクローナル抗体である、項目10に記載の方法
(項目12)
該抗LOXL2モノクローナル抗体が、LOXL2のSRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合する、項目11に記載の方法。
(項目13)
a)個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップと、
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップと、
c)該検出レベルを正常コントロール値と比較するステップであって、正常コントロール値よりも高い検出レベルが、該個体が疾患または状態に対する処置に応答する確度を示す、ステップと、
d)該個体が該疾患または状態に対する該処置に応答する確度を決定するステップとを含む、方法。
(項目14)
前記疾患または状態が、線維症性疾患またはがんである、項目1〜13および15〜26のいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記疾患または状態が、線維症性疾患であり、正常コントロールレベルよりも高いLOXL2の循環レベルが、前記個体が該線維症性疾患に対する処置に有益な臨床応答を示す可能性があることを示す、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記疾患または状態が、肺線維症、肝線維症、腎線維症、心線維症、もしくは骨髄線維症、硬変、慢性ウイルス性肝炎、C型肝炎ウイルス(HCV)、またはB型肝炎ウイルス(HBV)である、項目14または項目15に記載の方法。
(項目17)
前記疾患または状態が、特発性肺線維症(IPF)である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記検出レベルが、前記個体における、IPF疾患転帰、エンドポイント、またはイベントの確度を示す、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記IPF疾患転帰、エンドポイント、またはイベントが、IPF疾患増悪、肺機能低下、呼吸器系の入院、移植なしの生存、死、または処置への応答性である、項目18に記載の方法。
(項目20)
a)IPFを有する個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップおよび
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップを含み、
ここで、該検出レベルが、IPF疾患増悪、肺機能低下、呼吸器系の入院、移植なしの生存、死、または処置への応答性の確度を示す、方法。
(項目21)
項目17〜20のいずれかに記載の方法であって、該方法が、前記個体において、IPF疾患重症度または機能的ステータスの量を検出するステップであって、該量が、予測努力肺活量(FVC)のパーセント、予測一酸化炭素拡散能(DLCO)のパーセント、6分間の歩行距離(6MWD)、平均肺動脈圧(mPAP)、最低安静時酸素飽和度(SpO2)、複合生理学指数(CPI)、セントジョージ呼吸器質問票スコア(SGRQ)、遷移呼吸困難指数(TDI)スコア、処置への応答性、およびIPF疾患のバイオマーカーからなる群から選択されるステップをさらに含む、方法。
(項目22)
予測モデルを使用して、前記LOXL2レベルを分析するステップをさらに含む、項目1〜21および23〜27のいずれかに記載の方法。
(項目23)
a)疾患または状態を有する個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップと、
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップであって、該検出レベルが該個体における該疾患または状態の存在もしくは非存在を示すか、あるいは、該個体による、該疾患または状態に対する処置への応答の確度を示す、ステップと、
c)該液体サンプルにおけるLOXL2の該検出レベルに基づいて該個体における該疾患または状態に対する処置を改変するステップまたは中止するステップとを含む、方法。
(項目24)
a)疾患または状態を有する個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップと、
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップと、
c)該個体を1つ以上のさらなる診断試験にかけるステップとを含む、方法。
(項目25)
前記1つ以上のさらなる診断試験が、肺機能検査または肝機能検査である、項目24に記載の方法。
(項目26)
a)個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップおよび
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップを含み、ここで、該検出レベルが、該個体が活動性線維症性疾患または進行期線維症性疾患を有することを示す、方法。
(項目27)
前記活動性線維症性疾患が、METAVIR F1もしくはF2肝線維症である、または前記進行期線維症性疾患が、METAVIR F4肝線維症である、項目26に記載の方法。
(項目28)
個体から得られる液体生物学的サンプルにおけるリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチドのレベルを決定するのに使用するためのアッセイデバイスであって、該デバイスは、軸流路を定めるマトリックスであって、
i)該流動サンプルを受け入れる該流路の上流の端にサンプル受け入れゾーンと、
ii)該流路内に、かつ該サンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上の試験ゾーンであって、該1つ以上の試験ゾーンのそれぞれがLOXL2に特異的な抗体を含み、該LOXL2に特異的な抗体が、液体サンプル中に存在するLOXL2ポリペプチドに結合して、抗LOXL2抗体/LOXL2複合体を形成することができる、1つ以上の試験ゾーンと、
iii)該流路内に、かつ該サンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上のコントロールゾーンとを含むマトリックスを含む、アッセイデバイス。
(項目29)
前記1つ以上の試験ゾーンが、少なくとも2つの試験ゾーンを含み、前記1つ以上のコントロールゾーンの少なくとも1つが、2つの試験ゾーンの間に位置する、項目28に記載のアッセイデバイス。
(項目30)
前記少なくとも2つの試験ゾーンおよび少なくとも1つのコントロールゾーンが、任意のコントロールゾーンの上流に位置する試験ゾーンから始まる前記流路内に交互の様式で位置する、項目29に記載のアッセイデバイス。
(項目31)
前記1つ以上の試験ゾーンの1つ以上における前記抗LOXL2抗体が、該試験ゾーンにおける前記マトリックスに固定される、項目29または30に記載のアッセイデバイス。
(項目32)
標識ゾーンをさらに含む、項目28〜31のいずれかに記載のアッセイデバイスであって、LOXL2に特異的な抗体に対して特異的な標識抗体を含み、ここで、
該標識抗体が、抗LOXL2抗体/LOXL2複合体に存在する抗LOXL2抗体に結合して、標識抗LOXL2抗体/LOXL2を形成することができ、
該標識抗体が、液体サンプルの存在下で移動可能である、アッセイデバイス。
(項目33)
前記標識抗体が、化学発光剤、微粒子標識、比色剤、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、および放射性同位体からなる群から選択される標識成分を含む、項目32に記載のアッセイデバイス。
(項目34)
前記マトリックスが、支持体および必要に応じてカバーを含むハウジング内に位置し、該ハウジングが、適用開口部および1つ以上の観察窓を含有する、項目28〜33のいずれかに記載のアッセイデバイス。
(項目35)
前記デバイスが、試験ストリップである、項目29〜34のいずれかに記載のアッセイデバイス。
(項目36)
前記デバイスが、ディップスティックアッセイデバイスである、項目29〜35のいずれかに記載のアッセイデバイス。
(項目37)
個体から得られる生物学的サンプルにおけるリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチドのレベルを決定するためのキットであって、
a)LOXL2に対して特異的な第1の抗体および
b)LOXL2に対して特異的な第2の抗体を含む、キット。
(項目38)
標準曲線を生成するのに使用するための精製LOXL2をさらに含む、項目37に記載のキット。
(項目39)
前記抗体の少なくとも1つが、検出可能な標識を含む、項目37または38に記載のキット。
(項目40)
前記検出可能な標識が、化学発光剤、微粒子標識、比色剤、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、および放射性同位体を含む、項目39に記載のキット。
(項目41)
前記接触させるステップおよび検出するステップが、項目28〜36のいずれかに記載のアッセイデバイスまたは項目37〜40に記載のキットを使用して実行される、項目1〜27のいずれかに記載の方法。
(項目42)
LOXL2の前記検出レベルが、約700pg/mlよりも高い、項目1〜27および41のいずれかに記載の方法。
(項目43)
LOXL2の前記検出レベルが、約800pg/mlよりも高い、項目42に記載の方法。
(項目44)
LOXL2の前記検出レベルが、約750pg/mlよりも高い、項目1〜27および41のいずれかに記載の方法。
(項目45)
LOXL2の前記検出レベルがLOXL2の閾値レベルよりも高いことを決定し、それによって前記個体における疾患転帰、エンドポイント、またはイベントの確度を決定するステップをさらに含む、項目1〜27および41のいずれかに記載の方法。
(項目46)
前記閾値量が、約700、750、または800pg/mlである、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記疾患または状態が、原発性胆汁性肝硬変(PBC)または原発性硬化性胆管炎(PSC)である、項目1〜16または22〜25のいずれかに記載の方法。
図1は、慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を有する87人の患者についてのLOXL2血清濃度対Ishak線維症スコアを示す図である。
図2は、肝線維症と診断された患者由来の血清サンプルにおけるLOXL2レベル(pg/ml)を示す図である。
図3は、特発性肺線維症を有する患者由来の血清サンプルにおけるLOXL2レベルを示す図である。
図4は、ヒトLOXL2のアミノ酸配列(配列番号1)を提供する図である。
図5は、ヒト(H)(配列番号2)、マウス(M)(配列番号3)、ラット(R)(配列番号4)、およびカニクイザル(C)(配列番号5)由来のLOXL2タンパク質の触媒ドメインのアミノ酸配列のアライメントを示す図である。ヒトタンパク質のそれと異なるマウス、ラット、およびカニクイザルタンパク質における残基は、下線を引くことによって示す。
図6は、慢性HCV感染症を有する患者由来の肝組織の免疫組織化学的(IHC)染色によって決定される、ヒト線維症肝組織におけるLOXL2の発現を示す図である。左のパネル(5×対物レンズ倍率)において、黒色の矢印は、門脈領域および門脈路への線維性の拡大についてのエリアを示す。白色の矢印は、肝小葉を囲む短い線維性の隔壁についてのエリアを示す。右のパネル(40×対物レンズ倍率)は、肝細胞(H)との境界面の線維性の隔壁(S)において、類洞周囲腔(矢印)内に、および肝実質内の筋線維芽細胞(矢印)において観察されるLOXL2免疫反応性を示す。
図7は、生のECL(電気化学発光)カウントをY軸上にプロットし、LOXL2濃度(nM/L)をX軸上にプロットした、LOXL2イムノアッセイについての標準キャリブレータ曲線を示す図である。精製した組換え完全長LOXL2タンパク質を、プールした正常ヒト血清に添加し、その後、血清中で段階希釈し、キャリブレータ曲線を生成した。データポイントはそれぞれ、3つの反復ウェルの平均値を示し、4つの独立したプレートについての曲線を示す。
図8は、区分けした(binned)ベースラインIshak線維症スコアおよび時間によるLOXL2血清レベルを示す図である。パネルはそれぞれ、Ishak線維症スコア(それぞれ1〜3および5〜6)に従って群分けした患者の2つの群についてのLOXL2濃度(pg/mL)を、示す時点について示す。プロット範囲外のLOXL2濃度を有する3つの域外値(LOXL2濃度=5529、6621、および8845pg/ml)はすべて、5のIshak線維症スコアを有する同じ被験体由来のものであった。 図8は、区分けした(binned)ベースラインIshak線維症スコアおよび時間によるLOXL2血清レベルを示す図である。パネルはそれぞれ、Ishak線維症スコア(それぞれ1〜3および5〜6)に従って群分けした患者の2つの群についてのLOXL2濃度(pg/mL)を、示す時点について示す。プロット範囲外のLOXL2濃度を有する3つの域外値(LOXL2濃度=5529、6621、および8845pg/ml)はすべて、5のIshak線維症スコアを有する同じ被験体由来のものであった。
図9は、Ishak線維症スコア(それぞれ1〜3および5〜6)に従って群分けした患者の2つの群について、4〜30週にわたるLOXL2血清濃度中央値として計算した、被験体内LOXL2血清レベル中央値(median within−subject LOXL2 serum level)を示す図である。平均被験体内変動係数は、22%であった。
図10は、95%信頼区間での、区分けしたベースラインishak線維症スコアによる、経時的な(週間)、LOXL2血清濃度中央値(pg/mL)を示す図である。1人の被験体のみが、研究生検の間の25〜28週にわたってIshak線維症スコアにおける2以上の変化を有した。
図11は、示されるIshakスコア(1〜6)を有する被験体についての、LOXL2の被験体内レベル中央値対ヒアルロン酸(HA)(左のパネル)およびメタロプロテイナーゼ−1の組織阻害剤(TIMP1)(右のパネル)のレベル中央値を示す図である。被験体内発現中央値は、4〜30週にわたって発現中央値として計算した。曲線は、局所重み付き散布図平滑化(locally weighted scatter plot smoothing)を使用して構築した。
図12は、実施例9において記載されるように、ベースラインLOXL2レベル(パネル(a)における非変換LOXL2レベルおよびパネル(b)におけるLog10X変換LOXL2レベルによる)と特発性肺線維症(IPF)重症度および機能的ステータスのベースライン量(baseline measure)との間の相関を実証する散布図マトリックスを示す図である。それぞれのパネルにおいて、第1の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースラインLOXL2レベルを示し、第2の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースライン予測努力肺活量(FVC)を示し、第3の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、予測一酸化炭素拡散能(DLCO)のベースラインパーセントを示し、第4の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースラインの6分間の歩行距離(6MWD)を示し、第5の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースライン複合生理学指数(CPI)を示し、第6の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースラインセントジョージ呼吸器質問票スコアを示し、第7の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースライン遷移呼吸困難指数スコアを示す。LOXL2とIPF重症度のベースライン量およびパフォーマンスステータスとの間の相関は、パネル(a)および(b)の上部の列の暗い色のボックス内で強調する。 図12は、実施例9において記載されるように、ベースラインLOXL2レベル(パネル(a)における非変換LOXL2レベルおよびパネル(b)におけるLog10X変換LOXL2レベルによる)と特発性肺線維症(IPF)重症度および機能的ステータスのベースライン量(baseline measure)との間の相関を実証する散布図マトリックスを示す図である。それぞれのパネルにおいて、第1の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースラインLOXL2レベルを示し、第2の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースライン予測努力肺活量(FVC)を示し、第3の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、予測一酸化炭素拡散能(DLCO)のベースラインパーセントを示し、第4の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースラインの6分間の歩行距離(6MWD)を示し、第5の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースライン複合生理学指数(CPI)を示し、第6の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースラインセントジョージ呼吸器質問票スコアを示し、第7の行および列のxおよびy軸は、それぞれ、ベースライン遷移呼吸困難指数スコアを示す。LOXL2とIPF重症度のベースライン量およびパフォーマンスステータスとの間の相関は、パネル(a)および(b)の上部の列の暗い色のボックス内で強調する。
図13は、疾患増悪(PFS)(パネル(a))ならびにその成分:肺機能低下(パネル(b))、呼吸器系の入院(パネル(c))、および死(パネル(d))に対して、低い(≦800pg/ml)および高い(>800pg/ml)LOXL2レベルを比較するKaplan Meier曲線を示す図である。それぞれのパネルにおいて、上部の、より黒い線は、低い(≦800pg/ml)ベースライン血清LOXL2レベルを有する患者を示し、下部の、より明るい線は、高い(>800pg/ml)ベースラインLOXL2レベルを有する患者を示す。患者はすべて、アンブリセンタンにより処置した。y軸はそれぞれ、所定のイベントを伴わない患者のパーセントを示し(0、25、50、75、および100を軸に沿ってマークする)、X軸はそれぞれ、日における時間を示す(0、100、200、300、400、500、600、700、および800日を軸に沿ってマークする)。 図13は、疾患増悪(PFS)(パネル(a))ならびにその成分:肺機能低下(パネル(b))、呼吸器系の入院(パネル(c))、および死(パネル(d))に対して、低い(≦800pg/ml)および高い(>800pg/ml)LOXL2レベルを比較するKaplan Meier曲線を示す図である。それぞれのパネルにおいて、上部の、より黒い線は、低い(≦800pg/ml)ベースライン血清LOXL2レベルを有する患者を示し、下部の、より明るい線は、高い(>800pg/ml)ベースラインLOXL2レベルを有する患者を示す。患者はすべて、アンブリセンタンにより処置した。y軸はそれぞれ、所定のイベントを伴わない患者のパーセントを示し(0、25、50、75、および100を軸に沿ってマークする)、X軸はそれぞれ、日における時間を示す(0、100、200、300、400、500、600、700、および800日を軸に沿ってマークする)。 図13は、疾患増悪(PFS)(パネル(a))ならびにその成分:肺機能低下(パネル(b))、呼吸器系の入院(パネル(c))、および死(パネル(d))に対して、低い(≦800pg/ml)および高い(>800pg/ml)LOXL2レベルを比較するKaplan Meier曲線を示す図である。それぞれのパネルにおいて、上部の、より黒い線は、低い(≦800pg/ml)ベースライン血清LOXL2レベルを有する患者を示し、下部の、より明るい線は、高い(>800pg/ml)ベースラインLOXL2レベルを有する患者を示す。患者はすべて、アンブリセンタンにより処置した。y軸はそれぞれ、所定のイベントを伴わない患者のパーセントを示し(0、25、50、75、および100を軸に沿ってマークする)、X軸はそれぞれ、日における時間を示す(0、100、200、300、400、500、600、700、および800日を軸に沿ってマークする)。 図13は、疾患増悪(PFS)(パネル(a))ならびにその成分:肺機能低下(パネル(b))、呼吸器系の入院(パネル(c))、および死(パネル(d))に対して、低い(≦800pg/ml)および高い(>800pg/ml)LOXL2レベルを比較するKaplan Meier曲線を示す図である。それぞれのパネルにおいて、上部の、より黒い線は、低い(≦800pg/ml)ベースライン血清LOXL2レベルを有する患者を示し、下部の、より明るい線は、高い(>800pg/ml)ベースラインLOXL2レベルを有する患者を示す。患者はすべて、アンブリセンタンにより処置した。y軸はそれぞれ、所定のイベントを伴わない患者のパーセントを示し(0、25、50、75、および100を軸に沿ってマークする)、X軸はそれぞれ、日における時間を示す(0、100、200、300、400、500、600、700、および800日を軸に沿ってマークする)。
図14は、ARTEMIS−IPF被験体(14A:プラセボおよびアンブリセンタン処置の被験体の組み合わせ;14B:アンブリセンタンのみ)ならびにGAPコホート被験体におけるベースラインLOXL2分布の比較を示す図である。 図14は、ARTEMIS−IPF被験体(14A:プラセボおよびアンブリセンタン処置の被験体の組み合わせ;14B:アンブリセンタンのみ)ならびにGAPコホート被験体におけるベースラインLOXL2分布の比較を示す図である。
図15Aは、GAPコホート研究におけるベースラインの6か月(左上のパネル)、12か月(右上のパネル)、18か月(左下のパネル)、および24か月(右下のパネル)後の、低い血清LOXL2レベル(上の線、≦440pg/ml)対高い(下の線、>440pg/ml)血清LOXL2レベルに従う、すべての原因による死亡率についてのKaplan Meier曲線を示す図である。 図15Bは、ARTEMIS−IPF研究におけるベースラインの6か月(左上のパネル)、12か月(右上のパネル)、18か月(左下のパネル)、および24か月(右下のパネル)後の、低い血清LOXL2レベル(上の線、≦800pg/ml)対高い(下の線、>800pg/ml)血清LOXL2レベルに従う、すべての原因による死亡率についてのKaplan Meier曲線を示す図である。
図16は、被験体の様々な群についての平均血清LOXL2レベル(pg/mL)を示す図である。図16Aは、ベースラインおよび240週目のサンプルについての平均血清LOXL2レベルを示す(対応する被験体のIshak線維症スコア(0、1、2、3、4、5、6、左〜右)に従って群分けした合計162のサンプル(それぞれの81人の被験体について、1回のベースラインおよび1回の240週目)。LOQ=定量化のレベル。図16Bは、ベースラインおよび240週目の、所定のIshakステージ(0、1、2、3、4、5、6、左〜右)を有する被験体についてのベースラインおよび240週目の平均血清LOXL2レベルを示す。図16Cは、1〜3および4〜6の対応するIshakステージを有する患者についてのLOXL2のベースライン、240週目、および全体的な血清レベルを示す。
図17は、所定のレベルの血清LOXL2(pg/mL)を有することが決定された、それぞれの所定のIshakステージ(1、2、3、4、5、6(個々のバー、左〜右)を有する、本研究における被験体のパーセンテージを示す。LOD=検出限界;LOQ=定量化の限界。示すカテゴリーはそれぞれ、その前のカテゴリーの上限値からの範囲であった(extended from the upper limit of the previous category)、たとえば1500=1001〜1500pg/mL。
図18は、個々のCHB被験体についてのベースラインおよび処置後の240週目の血清LOXL2レベル(pg/mL)を示す図である。図18A:持続性の硬変を有する被験体(n=16);図18B:240週目までに硬変の逆転を有する被験体(n=42);図18C:240週目までに線維症のステージ(Ishak)における変化を経験しなかった非硬変被験体;図18D:研究の過程にわたって硬変までの進行を経験した被験体;および図18E:線維症における2ステージ(Ishakスコア)以上の低下を伴う非硬変被験体。LOQ(定量化の限界)=440pg/ml、LOD(検出限界)=180pg/ml。 図18は、個々のCHB被験体についてのベースラインおよび処置後の240週目の血清LOXL2レベル(pg/mL)を示す図である。図18A:持続性の硬変を有する被験体(n=16);図18B:240週目までに硬変の逆転を有する被験体(n=42);図18C:240週目までに線維症のステージ(Ishak)における変化を経験しなかった非硬変被験体;図18D:研究の過程にわたって硬変までの進行を経験した被験体;および図18E:線維症における2ステージ(Ishakスコア)以上の低下を伴う非硬変被験体。LOQ(定量化の限界)=440pg/ml、LOD(検出限界)=180pg/ml。
図19は、所定のベースライン血清LOXL2レベル(<1500、>1500、1500〜3000、<3000、および>3000pg/ml)を有する、240週目に、組織学的改善を示した硬変CHB被験体(「Y」)のパーセンテージならびに同じ所定のベースライン血清LOXL2レベルを有する、240週目に組織学的改善を有しないことが決定された硬変被験体(「N」)のパーセンテージを示す図である。
定義
本明細書において使用される場合、用語「抗体」は、抗原性エピトープに特異的に結合するのに必要な可変領域配列を含む、単離または組換え結合剤を意味する。そのため、抗体は、所望の生物学的活性を示す、たとえば、特異的な標的抗原に結合する、抗体またはその断片の任意の形態である。したがって、それは、最も広い意味で使用され、詳細には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ナノボディ(nanobody)、ダイアボディ、多重特異性抗体(multispecific antibody)(たとえば二重特異性抗体)、ならびにscFv、Fab、およびFabを含むが、これらに限定されない抗体断片を包含する。そのため、用語「ヒト抗体」は、可能な非ヒト相補性決定領域(CDR)領域を除いて、ヒト起源の配列を含有する抗体を指し、Ig分子の全構造が存在することを意味せず、抗体が、ヒトにおいて最小限の免疫原性の効果しか有しないことのみを意味する。
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分、たとえばインタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片;ダイアボディ;線状抗体(Zapataら、Protein Eng. 8(10):1057−1062(1995));単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。抗体のパパイン消化により、それぞれが単一の抗原結合部位を有する、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合性断片および容易に結晶化する能力を反映する名称である、残りの「Fc」断片が生成される。ペプシン処理により、2つの抗原結合部を有し、抗原をなお架橋することができるF(ab’)断片が生成される。
「Fv」は、完全な抗原認識部位および結合部位を含有する抗体断片であり、密接に非共有結合した1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。それぞれの可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、V−V二量体の表面に抗原結合部位を定めるのは、この立体配置においてである。総合的に、6つのCDRは、抗体に対して抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのCDRしか含まない、Fvの半分)でさえ、全結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識し、結合する能力を有する。
「Fab」断片はまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH)をも含有する。Fab断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含む、重鎖CHドメインのカルボキシ末端での少数の残基の追加によって、Fab’断片と異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’についての本明細書における名称である。F(ab’)抗体断片は、それらの間にヒンジシステインを有する、対のFab’断片として最初に生成した。抗体断片の他の化学的カップリングもまた、知られている。
本明細書において使用される場合、用語「生物学的サンプル」は、検出、診断、予後判定、またはモニタリングアッセイにおいて使用することができる、個体から得られる様々なサンプルタイプを指すことができる。液体生物学的サンプルは、たとえば血液、血液画分(たとえば血清もしくは血漿)、尿、唾液、気管支肺胞洗浄液、痰、または脳脊髄液を含むことができる。定義はまた、タンパク質などのある種の成分についての試薬による処理、可溶化、または富化によってなどの、それらを入手した後に任意の方法で操作されたサンプルをも含む。
本明細書において使用される「軸流」は、1つ以上の試験ゾーンおよび/またはコントロールゾーンを含む、特定のマトリックスまたは物質を通る横方向の、垂直方向の、または横断する流れを指す。特定のデバイス、アッセイ、または方法において企図される流れのタイプは、デバイスの構造に従って変更される。理論によって拘束されないが、横方向の、垂直方向の、または横断する流れは、特定のマトリックスの一方の端または側(上流または近位の端)上の流動接触のポイントからこの接触の下流の(または遠位の)エリアまでの、流動サンプルの流れを指してもよい。下流のエリアは、流動接触のポイントからマトリックスの同じ側または反対側にあってもよい。たとえば、本発明のある実施形態の垂直方向のフローデバイスにおいて、軸流は、第1のメンバーから、それを通って(上部から下部に)、第2のメンバーまで、また、そこから吸収剤媒体まで垂直に進んでもよい。さらなる例として、また、当業者らによって十分に理解されるように、たとえばディップスティックとして配置された垂直方向のフローデバイスにおいて、流動サンプルは、文字通りに、デバイスの上の方に流れてもよく、しかしながら、その場合には、デバイスに対する流動サンプルの第1の接触のポイントは、それにもかかわらず、上流の(すなわち近位の)端と考えられ、フローの終結のポイントは、下流の(すなわち遠位の)端と考えられる。
本明細書において使用される場合、用語「上流の」および「下流の」は、軸流との関連において、本開示の代表的なデバイスとの流動サンプルの接触後の、流動サンプルフローの方向を指し、正常動作条件下で、流動サンプルフロー方向は、上流位置から下流位置に流れる。たとえば、流動サンプルがサンプル受け入れゾーンと最初に接触すると、その後、流動サンプルは、標識ゾーンなどを通って下流に流れる。
本発明の実施形態についてさらに記載する前に、本発明が、記載されている特定の実施形態に限定されず、そのため、もちろん、変更されてもよいことが理解されたい。本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を記載する目的のみのためにあり、限定するようには意図されないこともまた、理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈が別段明確に指示しない限り、その範囲の上限値および下限値の間の、下限値の単位の10分の1までのそれぞれの介在値ならびにその明示される範囲における任意の他の明示される値または介在値が、包含されることが理解されたい。これらのより小さな範囲の上限値および下限値は、そのより小さな範囲に独立して含まれてもよく、これらもまた、明示される範囲においてあらゆる明確に除かれる限界値を条件として、包含される。明示される範囲が、一方または両方の限界値を含む場合、それらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除く範囲もまた、含まれる。
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する当技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものに類似するまたはそれと等価であるいかなる方法および材料もまた、本発明の実施形態の実施または試験において使用することができるが、ここでは、好ましい方法および材料が記載される。本明細書において言及されるすべての刊行物は、それに関連して刊行物が引用される方法および/または物質を開示し、記載するために参照によって本明細書において組み込まれる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈が別段明確に指示しない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数形の指示物を含むことに注意しれなければならない。したがって、たとえば、「LOXL2に特異的な抗体」に対する言及は、複数のそのような抗体を含み、「LOXL2ポリペプチド」に対する言及は、当業者に知られている、1つ以上のLOXL2ポリペプチドおよびその等価物に対する言及を含むなどである。本請求項は、あらゆる任意選択のエレメントを除くように選択されてもよいことがさらに留意されたい。そのため、この表現は、請求項のエレメントの記載に関連する「単独で」、「のみ」、などのような排他的な術語の使用または「消極的」限定の使用のための先行詞として果たすように意図される。
明確にするために別々の実施形態の文脈において記載される本発明のある特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが十分に理解されたい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載される様々な提供される特徴はまた、別々にまたは任意の適した下位の組み合わせで提供されてもよい。提供される実施形態の組み合わせはすべて、本開示によって明確に包含され、あたかも、それぞれのおよび全ての組み合わせが個々にかつ明示的に開示されるかのようにまさに本明細書において開示される。さらに、様々な実施形態およびそのエレメントの下位の組み合わせもまたすべて、本開示によって明確に包含され、あたかも、それぞれのおよび全てのそのような下位の組み合わせが個々にかつ明示的に本明細書において開示されるかのようにまさに本明細書において開示される。
本明細書において論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示について単に提供される。本発明が、先の発明によってそのような刊行物に先行する権利を与えられないという承認として解釈されるものは本明細書においてない。さらに、提供される公開の日付は、独立して確認される必要があってもよい実際の公開日付と異なってもよい。
詳細な説明
本開示は、個体におけるLOXL2、一般に、循環リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチドを検出するおよび/または定量化するためのアッセイを提供する。アッセイは、診断および予後判定適用において有用であり、これらもまた、提供される。
リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)は、それがコラーゲンおよび他のマトリックス成分の架橋を実行する、線維症性ヒト肝組織において発現され、堅さの増加、異常な線維芽細胞の活性化、ならびにマトリックスリモデリングおよび線維形成の動的なプロセスをもたらす。Barry−Hamilton V, Spangler R, Marshall Dら、「Allosteric inhibition of lysyl oxidase−like−2 impedes the development of a pathologic microenvironment,」 Nat Med. 2010.16:1009−1017。LOXL2は、C型肝炎感染症1、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)1、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、ウィルソン病(Vadasz Z, Kessler O, Akiri Gら、「Abnormal deposition of collagen around hepatocytes in Wilson’s disease is associated with hepatocyte specific expression of lysyl oxidase and lysyl oxidase like protein−2,」 J Hepatology. 2005.43:499−507)、および硬化性胆管炎のマウスモデルに加えて、原発性胆汁性肝硬変2を含む、多様な病因のヒト疾患由来の線維症性肝組織において発現される。Nakken KE, Nygard S, Haaland Tら 「Multiple inflammatory−, tissue remodelling− and fibrosis genes are differentially transcribed in the livers of Abcb4(− / − )mice harbouring chronic cholangitis,」 Scand J Gastroent. 2007.42:1245−1255。
モノクローナル抗体を使用するLOXL2のアロステリック阻害は、肝線維症および肺線維症のモデルを含む、様々な疾患モデルにおける線維症の阻害において効果的である。LOXL2の阻害は、TGFβシグナル伝達およびいくつかの重要な線維症促進性(pro−fibrotic)メディエータ(たとえばTGF−β1、CTGF、エンドセリン、CXCL12)1のダウンレギュレーションをもたらし、LOXL2は、線維症性疾患において中核となる経路標的である。Mehal WZ, Iredale J, & Friedman SL.、 「Expressway to the core of fibrosis,」 Nat Med. 2011.17:552−553。
肝実質におけるコラーゲンの緩やかな蓄積は、慢性肝疾患の最終的な共通の経路である。線維症のこの進行性の蓄積は、最終的に、肝臓の硬変および末期肝疾患につながり得る。LOXL2は、コラーゲン原線維の架橋を触媒し、線維形成の中核となる調節タンパク質である。LOXL2発現は、病気の肝組織において増加する。
健康な成人組織においてLOXL2発現はほとんどなく、正常な(たとえば非疾患)状態下で、循環LOXL2の量は、低い、または検出不可能である。ある疾患状態下で、循環LOXL2は、上昇する。たとえば、LOXL2は、慢性C型肝炎患者においてなど、慢性肝疾患の患者の血清において上昇し得、より進行型の線維症を有する患者においてレベルがより高い。循環LOXL2の検出は、したがって、個体が、循環LOXL2レベルの上昇をもたらす疾患を有するかどうかを決定するのに有用である。そのような疾患は、線維症およびがんを含む。本開示は、個体が、循環LOXL2レベルの上昇と関連する疾患を有するかどうかを決定するための診断方法を提供する。循環LOXL2の検出を、他の診断方法を用いて追跡調査して、診断を確認するまたは個体が特定の疾患を有する可能性を排除することができる。
循環LOXL2のレベルが、線維症のステージと相関することが分かった。
循環LOXL2のレベルにより、線維症を有する個体に対して線維症に対する処置が適用可能であるかどうかに関して、指標(indication)を提供することができ、また、疾患転帰または処置への応答性などの、特定のエンドポイント、転帰、またはイベントの確度などの、疾患に関する他の予後判定および予測情報を提供することができることもまた、分かった。本開示は、個体が、線維症性疾患に対する処置に応答する確度および/またはそのような転帰、エンドポイント、もしくはイベントの確度を決定するための方法を提供する。
HCV感染症を有する患者の処置の決定は、ますます、肝生検ではなく非侵襲性の血清試験に基づくものとなってきている。しかしながら、血清試験は、完全には最適ではなかった。Castera, L.、 「Invasive and non−invasive methods for the assessment of fibrosis and disease progression in chronic liver disease,」 Best Pract Res Clin Gastroent. 2011.25:291−303を参照されたい。
循環LOXL2を検出するための方法
本開示は、個体における循環LOXL2ポリペプチドを検出するおよび/または定量化するためのアッセイを提供する。実施において、LOXL2は、試験されている個体から得られる液体サンプルにおいて検出され、液体サンプルが、血液または血漿もしくは血清などの血液画分または他の液体サンプルとすることができる。
いくつかの実施形態において、提供される方法およびアッセイが、慢性HCV感染症またはHBV感染症を有する患者においてなど、肝線維症の程度についての非侵襲性の代用の測定に有用である。
LOXL2ポリペプチド
「LOXL2ポリペプチド」は、図4において示されるアミノ酸配列の約100アミノ酸(aa)〜約200aa、約200aa〜約300aa、約300aa〜約400aa、約400aa〜約500aa、約500aa〜約600aa、約600aa〜約700aa、または約700aa〜774aaの隣接ストレッチ(contiguous stretch)に対して、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「LOXL2」はまた、図4において示されるヒトLOXL2アミノ酸配列およびその天然に存在する変異体(多型)をも指す。
図4は、4つのスカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)ドメインを示す、ヒトLOXL2のアミノ酸配列を示す。LOXL2ポリペプチドは、完全長ポリペプチドまたは成熟(切断形態;プロセシングされた形態)LOXL2ポリペプチドとすることができる。予測されるシグナルの切断は、Ala25〜Gln26の間である。プレプロペプチドからのシグナルペプチドの切断により、LOXL2プロペプチドがもたらされる。LOXL2プロペプチドは、SRCR2およびSRCR3の間で(たとえば、図4において示される配列のアミノ酸301および326の間で)切断され、SRCR3、SRCR4、およびリシルオキシダーゼ(触媒)ドメインを含むLOXL2ポリペプチドが残る。
LOXL2ポリペプチドは、酵素的に活性であってもよい。たとえば、LOXL2ポリペプチドは、リシンおよびヒドロキシリシン残基のε−アミノ基の酸化的脱アミノを触媒し、ペプチジル−α−アミノアジピン酸−δ−セミアルデヒド(アリシン)へのペプチジルリシンの変換ならびに化学量論量(stoichiometric quantity)のアンモニアおよび過酸化水素の放出をもたらすことができる。この反応は、ほとんど、多くの場合、細胞外で、たとえば、コラーゲンおよびエラスチン中のリシン残基上で起こる。
いくつかの場合において、対象のLOXL2アッセイを使用して検出されるLOXL2ポリペプチドは、たとえば、SRCR1−2、SRCR3−4、および触媒ドメインを含む、シグナル配列を有していない完全長LOXL2ポリペプチドである。いくつかの実例において、対象のLOXL2アッセイを使用して検出されるLOXL2ポリペプチドは、SRCR3−4ドメインおよび触媒ドメインのみを含む成熟LOXL2ポリペプチド(すなわちシグナル配列およびSRCR1−2を有していない)である。その代わりにまたは成熟LOXL2ポリペプチド(SRCR3−4および触媒ドメイン;シグナル配列およびSRCR1−2ドメインを有していない)の検出に加えて、対象のLOXL2アッセイは、N末端LOXL2断片を検出することができ、このN末端LOXL2断片が、SRCR1−2ドメインを含み、SRCR3−4も触媒ドメインも含まない。
生物学的サンプル
適した液体生物学的サンプルは、全血;血液画分(「血液産物」とも呼ばれる)、適した血液画分は血清および血漿を含むが、これらに限定されない;唾液;尿;気管支肺胞洗浄液;脳脊髄液;痰;などを含むが、これらに限定されない。生物学的サンプルは、新鮮血液もしくは保存血液(たとえば血液バンクの)または血液画分とすることができる。生物学的サンプルは、本開示のアッセイのために特別に得られる液体サンプルまたは本開示のアッセイのために副次試料をとることができる、他の目的のために得られる液体サンプルとすることができる。
一実施例として、生物学的サンプルが、全血とすることができる。全血は、標準的な臨床手順を使用して、被験体から得ることができる。他の実施形態において、生物学的サンプルが、血漿である。血漿は、抗凝固血の遠心分離によって全血サンプルから得ることができる。そのようなプロセスにより、白血球成分のバフィーコートおよび血漿の上清が提供される。他の実施形態において、生物学的サンプルが、血清である。
サンプルは、適切なバッファー溶液中での希釈によって必要に応じて前処理する、ヘパリン処理する、所望の場合、濃縮する、または超遠心分離、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)による分画、もしくは沈降を含むが、これらに限定されない任意の数の方法によって分画することができる。サンプルは、サンプルから1つ以上の非LOXL2タンパク質または他の非LOXL2成分を除去するために、たとえばイムノアフィニティー法によって分画することができ、たとえば、抗アルブミン抗体は、サンプルからアルブミンを除去するために使用することができる。生理学的pHの、ホスフェート、Tris、などのような様々なバッファーのうちの1つを用いる、多くの標準的な水性バッファー溶液のいずれも、使用することができる。
抗LOXL2抗体
対象の方法は、液体サンプル中のLOXL2を固定し、検出するために、LOXL2に対して特異的な抗体を使用する。対象のアッセイ方法において使用される抗体は、LOXL2に対して特異的であり、たとえば、抗体は、LOXL2ポリペプチドに特異的に結合し、特異的な結合は、少なくとも約10−7M、少なくとも約10−8M、少なくとも約10−9M、少なくとも約10−10M、少なくとも約10−11M、もしくは少なくとも約10−12Mの、または10−12Mよりも高い親和性による結合を指す。非特異的結合性は、約10−7M未満の親和性による結合、たとえば10−6M、10−5M、10−4Mなどの親和性による結合を指す。
LOXL2に特異的な抗体は、LOXL2ポリペプチド以外のあらゆる他のリシルオキシダーゼ様ポリペプチドに実質的に結合しない、たとえば、LOXL2に特異的な抗体は、LOXL1、LOXL3およびLOXL4ポリペプチドに実質的に結合しない、またはリシルオキシダーゼ(LOX)ポリペプチドに実質的に結合しない。
いくつかの実施形態において、LOXL2に特異的な抗体が、LOXL2ポリペプチドが液体生物学的サンプル中にある場合、結合するために接触可能なエピトープ(複数可)に結合する、たとえば、LOXL2に特異的な抗体が結合するエピトープ(複数可)は、表面接触可能であるおよび/または液体生物学的サンプル中に存在してもよい、1つ以上の非LOXL2タンパク質によってマスクされない。
対象のアッセイ方法において使用するのに適した抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ナノボディ、ダイアボディ、多重特異性抗体(たとえば二重特異性抗体)、および抗原結合抗体断片を含む。
いくつかの場合において、対象の方法において使用される抗LOXL2抗体は、検出可能な標識を含む。適した検出可能な標識は、磁気ビーズ(たとえばDynabeads(商標))、蛍光色素(たとえばフルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質など)、放射標識(たとえばH、125I、35S、14C、または32P)、酵素(たとえば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において一般に使用される他の酵素)、ならびにコロイド金または着色ガラスもしくはプラスチック(たとえばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの比色標識(colorimetric label)を含むが、これらに限定されない。
抗LOXL2抗体が検出可能な標識を含む場合、抗LOXL2抗体は、標識によって生成するシグナルを検出することによって検出することができる(たとえば、抗LOXL2抗体に結合させた酵素の産物として生成する発色団、発光団など;標識によって直接生成するシグナル;など)。いくつかの場合において、抗LOXL2抗体は、検出可能な標識を含まず、代わりに、抗LOXL2抗体は、検出可能な標識を含む二次抗体を使用して検出される。適した二次抗体は、抗LOXL2抗体の定常領域ドメイン(複数可)におけるエピトープ(複数可)に対して特異的なモノクローナルおよびポリクローナル抗体を含む。二次抗体は、磁気ビーズ(たとえばDynabeads(商標))、蛍光色素(たとえばフルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質など)、放射標識(たとえばH、125I、35S、14C、または32P)、酵素(たとえば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、および一般に酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において使用される他の酵素)、ならびにコロイド金または着色ガラスもしくはプラスチック(たとえばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの比色標識を含むが、これらに限定されない、様々な検出可能な標識のいずれかを含むことができる。MesoScale DiscoveryのSULFO−TAG(商標)標識もまた、検出可能な標識としての使用に適している。SULFO−TAG(商標)標識は、ルテニウム(II)トリス−ビピリジルタグ(tris−bipyridal tag)であり、これは、第一級アミン(たとえばリシン側鎖)とのルテニウム(II)トリス−ビピリジン−(4−メチルスルホン)N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)−エステルの反応を介して、ポリペプチド(たとえば二次抗体)に結合することができる。
いくつかの実例において、対象のアッセイ方法において使用される抗LOXL2抗体は、不溶性支持体に固定される。適した不溶性支持体は、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、セルロース、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、二酸化ケイ素、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、アミロース、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドゲルに埋め込まれたシリカ、アガロース、斑れい岩、磁鉄鉱などを含むが、これらに限定されない様々な物質を含むことができる。不溶性支持体は、様々な様式(たとえば寸法、形状)、たとえば、試験ストリップにおいて使用されるなどのシート;ディップスティックアッセイ様式;マルチウェルプレート(たとえばELISAにおいて使用されるものなど);などのいずれかであってもよい。
LOXL2に特異的な抗体の非限定的な例は、米国特許出願公開第2009/0104201号明細書および米国特許出願公開第2009/0053224号明細書において開示される、LOXL2に特異的な抗体を含む。
いくつかの実例において、適した抗体は、LOXL2 SRCR1ドメインにおけるエピトープに特異的に結合する。いくつかの実例において、適した抗体は、LOXL2 SRCR2ドメインにおけるエピトープに特異的に結合する。いくつかの実例において、適した抗体は、LOXL2 SRCR3ドメインにおけるエピトープに特異的に結合する。いくつかの実例において、適した抗体は、LOXL2 SRCR4ドメインにおけるエピトープに特異的に結合する。いくつかの実例において、適した抗体は、LOXL2触媒ドメインにおけるエピトープに特異的に結合する。図5は、LOXL2触媒ドメインのアミノ酸配列を提供する。いくつかの実例において、適した抗体(たとえばポリクローナル抗体)は、1、2、3、またはそれより多くのLOXL2ドメインにおける複数のエピトープに特異的に結合する。
いくつかの場合において、抗体は、たとえば、SRCR1−2、SRCR3−4、および触媒ドメインを含む、シグナル配列を有していない完全長LOXL2ポリペプチドを検出する。いくつかの実例において、抗体は、SRCR3−4ドメインおよび触媒ドメインのみを含む成熟LOXL2ポリペプチド(すなわちシグナル配列およびSRCR1−2を有していない)を検出する。他の実例において、抗体は、N末端LOXL2断片を検出し、このN末端LOXL2断片が、SRCR1−2ドメインを含み、SRCR3−4も触媒ドメインも含まない。
たとえば、いくつかの実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、SRCR3−リンカー−SRCR4領域内のエピトープに特異的に結合し、そのような領域は、「SRCR3−4」と呼ばれる。SRCR3−4領域は、配列番号1のアミノ酸325〜544と、アミノ酸325〜547と、アミノ酸303〜544と、またはアミノ酸303〜547と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。したがって、たとえば、いくつかの実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、配列番号1のアミノ酸325〜544と、アミノ酸325〜547と、アミノ酸303〜544と、またはアミノ酸303〜547と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、リンカー−SRCR3−リンカー−SRCR4−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合する、たとえば、いくつかの場合において、適した抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸303〜544、アミノ酸303〜545、アミノ酸303〜546、またはアミノ酸303〜547と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。ある実施形態において、対象の抗LOXL2抗体が、SRCR3−リンカー−SRCR4−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合する、たとえば、いくつかの場合において、適した抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜545、アミノ酸325〜546、またはアミノ酸325〜547と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、SRCR3領域内の(かつSRCR4内ではない)エピトープに特異的に結合し、SRCR3領域が、配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、またはアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、リンカー−SRCR3領域内のエピトープに特異的に結合する、たとえば、いくつかの場合において、適した抗LOXL2抗体が、配列番号1のアミノ酸303〜425と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、SRCR3−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合する、たとえば、いくつかの場合において、適した抗LOXL2抗体が、配列番号1のアミノ酸325〜434と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、リンカー−SRCR3−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合する、たとえば、いくつかの場合において、適した抗LOXL2抗体が、配列番号1のアミノ酸303〜434と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、リンカー−SRCR4−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合する、たとえば、いくつかの場合において、適した抗LOXL2抗体が、配列番号1のアミノ酸426〜544、アミノ酸426〜545、アミノ酸426〜546、またはアミノ酸426〜547と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、SRCR4領域内の(かつSRCR3内ではない)エピトープに特異的に結合し、SRCR4領域が、配列番号1のアミノ酸435〜544と、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、またはアミノ酸435〜547と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
いくつかの実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、SRCR1−リンカー−SRCR2領域内のエピトープに特異的に結合し、そのような領域は、「SRCR1−2」と呼ばれる。SRCR1−2領域は、配列番号1(図4)において示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜302または58〜324と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、配列番号1において示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜324と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、SRCR1領域内の(かつSRCR2内ではない)エピトープに特異的に結合し、SRCR1領域が、配列番号1において示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜159と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、SRCR1−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合し、SRCR1−リンカー領域が、配列番号1において示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜187と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。ある実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、SRCR1領域内の(かつSRC2内ではない)エピトープに特異的に結合し、SRCR2領域が、配列番号1において示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜302と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
非限定的な一実施例として、適した抗体が、モノクローナル抗体AB0030であり、これは、LOXL2触媒ドメインにおけるエピトープに特異的に結合する。たとえば、抗体AB0030がproBM20に対応する、米国特許出願公開第2009/0053224号明細書を参照されたい。
いくつかの実施形態において、適した抗体が、LOXL2が、LOXL2酵素活性を阻害する作用物質に結合している場合に、LOXL2に特異的に結合するものである。LOXL2酵素活性を阻害する作用物質は、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤を含む。いくつかの場合において、アロステリック阻害剤は、抗LOXL2モノクローナル抗体、たとえば、LOXL2の「SRCR3−4」ドメイン内のエピトープに結合する、抗LOXL2モノクローナル抗体である。LOXL2酵素活性を阻害し、SRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合するモノクローナル抗体の非限定的な例は、AB0023およびAB0024である;たとえば、米国特許出願公開第2009/0053224号明細書を参照されたい。したがって、いくつかの実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、a)SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合する;ならびにii)SRCR3−4内のエピトープへの結合についてAB0023抗体および/またはAB0024抗体と競合しない。
たとえば、いくつかの実施形態において、抗体が、以下のCDRおよび介在性のフレームワーク領域を有する可変重鎖領域を有する抗体である(AB0023のものに対応する、CDR1、CDR2、およびCDR3の配列に下線を引く):
いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号6に対して75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有する。いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号6において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を有する重鎖可変領域を有する。
いくつかの実施形態において、抗体が、以下のCDRおよび介在性のフレームワーク領域を有する可変軽鎖領域を有する抗体である(AB0023のものに対応する、CDR1、CDR2、およびCDR3の配列に下線を引く):
いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号7に対して75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号7において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を有する軽鎖可変領域を有する。いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号6において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を有する重鎖可変領域ならびに配列番号7において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を有する軽鎖可変領域を有する。
いくつかの実施形態において、抗体が、米国特許出願公開第2009/0053224号明細書(2009年2月26日)において記載されるものなどの、その指定のAB0024ならびに/またはAB0024のCDR(CDR1、CDR2、およびCDR3)を有する重鎖を有するならびに/またはAB0024のCDR(CDR1、CDR2、およびCDR3)を有する軽鎖を有するものなどの、そのような抗体のヒト化バージョンである。
たとえば、一実施形態において、抗体が、以下のCDRおよび介在性のフレームワーク領域を有する可変重鎖領域を有する抗体である(AB0024のものに対応する、CDR1、CDR2、およびCDR3の配列に下線を引く):
いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号8に対して75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有する。いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号8において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を有する重鎖可変領域を有する。
いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号8、
において記載されるアミノ酸配列または配列番号8、10、11、もしくは12に対して、75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、もしくは99%以上の相同性を有するアミノ酸を有する重鎖可変領域ならびに/または配列番号9、
において記載されるアミノ酸配列または配列番号9、13、もしくは14に対して、75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、もしくは99%以上の相同性を有するアミノ酸を有する軽鎖可変領域を有する。
いくつかの実施形態において、抗体が、以下のCDRおよび介在性のフレームワーク領域を有する可変軽鎖領域を有する抗体である(AB0024のものに対応する、CDR1、CDR2、およびCDR3の配列に下線を引く):
いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号9に対して75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する。いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号9において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を有する軽鎖可変領域を有する。いくつかの実施形態において、抗体が、配列番号8において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を有する重鎖可変領域ならびに配列番号9において記載される可変領域配列のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を有する軽鎖可変領域を有する。
作用物質がLOXL2酵素活性を阻害するかどうかは、任意の知られているアッセイを使用して決定することができる。たとえば、LOXL2酵素活性についてのアッセイは、基質としてジアミノペンタン(DAP)を使用してまたは基質としてコラーゲンを使用して実行することができる。両方のアッセイにおいて、LOXL2の酵素活性は、過酸化水素(基質の脱アミノに際してLOXL2によって遊離される)の生成を、Amplex(登録商標)Red(Invitrogen、Carlsbad、CA)のレゾルフィン(蛍光産物)へのホースラディッシュペルオキシダーゼ触媒による変換と共役するアッセイを使用して測定することができる。
いくつかの実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する。他の実施形態において、適した抗LOXL2抗体が、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害しない。
適した抗LOXL2抗体は、たとえば、RPDS−1M1、RPDS−1M3、RPDS−1M8、RPDS−1M9、RPDS−1M11、RPDS−1M15、RPDS−1M17、RPDS−1M19、RPDS−1M20(AB0030)、RPDS−1M22、RPDS−1M24、RPDS−1M25、RPDS−1M27、RPDS−1M28、RPDS−1M29、RPDS−1M30、RPDS−1M31、RPDS−1M32、RPDS−2M1、RPDS−2M2、RPDS−2M3、RPDS−2M4、RPDS−2M5、RPDS−2M6、RPDS−2M7、RPDS−2M8、RPDS−2M9、RPDS−2M10、RPDS−2M11、RPDS−2M12、RPDS−2M13、RPDS−2M14、RPDS−2M15、RPDS−2M16、RPDS−2M17、RPDS−2M18、およびRPDS−2M19を含み、そのような抗体は、米国特許出願第13/021,555号において記載される。モノクローナル抗体RPDS−1M1、RPDS−1M3、RPDS−1M8、RPDS−1M9、RPDS−1M11、RPDS−1M15、RPDS−1M17、RPDS−1M19、RPDS−1M20(AB0030)、RPDS−1M22、RPDS−1M24、RPDS−1M25、RPDS−1M27、RPDS−1M28、RPDS−1M29、RPDS−1M30、RPDS−1M31、RPDS−1M32、RPDS−2M1、RPDS−2M2、RPDS−2M3、RPDS−2M4、RPDS−2M5、RPDS−2M6、RPDS−2M7、RPDS−2M8、RPDS−2M9、RPDS−2M10、RPDS−2M11、RPDS−2M12、RPDS−2M13、RPDS−2M14、RPDS−2M15、RPDS−2M16、RPDS−2M17、RPDS−2M18、およびRPDS−2M19は、LOXL2の触媒ドメイン内に結合する。
アッセイ様式
個体における循環LOXL2を検出するための対象のアッセイは、一般に、a)個体から得られる液体サンプルを、LOXL2に対して特異的な抗体と接触させるステップおよびb)液体サンプル中に存在するLOXL2との抗体の結合を検出するステップを含む。適したアッセイ方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫沈降アッセイ、横方向のまたは軸流アッセイ、質量分析法などを含む。
対象のアッセイ方法は、175pg/ml以下まで、液体サンプル中のLOXL2を検出することができる、たとえば、対象のアッセイ方法は、約150pg/ml〜約175pg/mlまで、約125pg/ml〜約150pg/mlまで、約100pg/ml〜約125pg/mlまで、約75pg/ml〜約100pg/mlまで、約50pg/ml〜約75pg/mlまで、または約40pg/ml〜約50pg/mlまで、液体サンプル中のLOXL2を検出することができる。たとえば、LOXL2が10ng/ml未満の濃度で、たとえば約10ng/ml〜約5ng/ml、約5ng/ml〜約1ng/ml、約1ng/ml〜約500pg/ml、約500pg/ml〜約400pg/ml、約400pg/ml〜約300pg/ml、約300pg/ml〜約200pg/ml、約200pg/ml〜約175pg/ml、約200pg/ml〜約150pg/ml、約150pg/ml〜約100pg/ml、約100pg/ml〜約75pg/ml、約75pg/ml〜約50pg/ml、または約50pg/ml〜約40pg/mlの濃度で液体サンプル中に存在する場合、対象のアッセイ方法は、液体サンプル中のLOXL2を検出することができる。いくつかの場合において、対象のアッセイ方法は、LOXL2が、約175pg/ml〜約5ng/ml(または5ng/mlを超える)の濃度範囲で液体サンプル中に存在する場合、液体サンプル中のLOXL2を検出する。いくつかの場合において、対象のアッセイ方法は、LOXL2が、約40pg/ml〜約5ng/ml(または5ng/mlを超える)の濃度範囲で液体サンプル中に存在する場合、液体サンプル中のLOXL2を検出する。いくつかの場合において、対象のアッセイ方法は、平均バックグラウンド+2.5×SD(バックグラウンドの標準偏差)の検出限界まで、液体サンプル中のLOXL2を検出する。
いくつかの場合において、対象のアッセイ方法が、2つのLOXL2に特異的な抗体の使用を含む。2つのLOXL2に特異的な抗体は両方とも、モノクローナル抗体とすることができる;2つのLOXL2に特異的な抗体は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体とすることができる;またはいくつかの他のそのような組み合わせとすることができる。
たとえば、第1のLOXL2に特異的な抗体は、液体サンプルと接触させ、第1のLOXL2に特異的な抗体は、液体サンプル中に存在するLOXL2と複合体を形成する。第1のLOXL2に特異的な抗体は、不溶性支持体に固定することができ、その結果、第1のLOXL2に特異的な抗体/LOXL2複合体は、不溶性支持体に固定される。その代わりに、第1のLOXL2に特異的な抗体は、溶液中のものとすることができ、第1のLOXL2に特異的な抗体/LOXL2複合体は、不溶性とすることができ、その結果、第1のLOXL2に特異的な抗体/LOXL2複合体は、免疫沈降する。第1のLOXL2に特異的な抗体/LOXL2複合体は、第2のLOXL2に特異的な抗体を使用して検出することができる。いくつかの場合において、第1のLOXL2に特異的な抗体は、ポリクローナル抗体であり、第2のLOXL2に特異的な抗体は、モノクローナル抗体である。
いくつかの実施形態において、対象のアッセイ方法が、個体から得られる液体サンプルと、固定されたLOXL2に特異的な抗体と接触させるステップを含み、固定されたLOXL2に特異的な抗体が、不溶性支持体に固定される。サンプル中に存在するあらゆるLOXL2は、固定されたLOXL2に特異的な抗体に結合し、固定された抗LOXL2/LOXL2複合体を形成する。固定された抗LOXL2/LOXL2複合体は、第2の(非固定)LOXL2に特異的な抗体を使用して検出することができる。第2のLOXL2に特異的な抗体は、検出可能な程度に標識することができる、または検出可能な程度に標識された二次抗体を使用して検出することができる。
したがって、いくつかの実施形態において、個体における循環LOXL2を検出する対象の方法が、a)個体から得られる液体サンプルと、LOXL2に対して特異的な第1の抗体を接触させるステップであって、それにより第1の抗体およびLOXL2が複合体を形成するステップ、b)LOXL2−第1の抗体複合体を、LOXL2に対して特異的な第2の抗体と接触させるステップ、ならびに、c)LOXL2−第1の抗体複合体への第2の抗体の結合を検出するステップを含む。
不溶性支持体は、マルチウェルプレートの1つ以上のウェル、試験ストリップ、ディップスティック様式などとすることができる。上記アッセイ様式のいずれにおいても、1つ以上の洗浄ステップを、非結合成分を除去するために実行することができる。
本開示のアッセイ方法は、個体における循環LOXL2の異常なレベルを検出することができる。たとえば、対象のアッセイ方法は、a)個体から得られる液体サンプルを、LOXL2に対して特異的な抗体と接触させるステップ、b)液体サンプル中に存在するLOXL2との抗体の結合を検出するステップ、およびc)検出レベルを正常コントロール値と比較するステップを含むことができる。正常コントロール値よりも高い検出レベルは、病態(たとえばがんまたは線維症)を示す。
コントロール値
試験被験体から得られる液体サンプルにおけるLOXL2のレベルは、正常コントロール値(複数可)または正常コントロール値の範囲と比較することができる。コントロール値は、コントロール集団、たとえば一般集団またはヒト被験体の選抜集団(select population)から得られる、比較可能なサンプル(たとえば血液、血漿、血清サンプル、または他の液体生物学的サンプル)中のLOXL2のレベルに基づくものとすることができる。たとえば、選抜集団は、明らかに健康な被験体(たとえば、以前に、線維症やがんのいかなるサインや症状をも有したことがない個体)から構成され得る。明らかに健康な個体はまた、一般に、別段疾患の症状を示さない。言いかえれば、そのような個体は、医学の専門家によって検査された場合、健康で、疾患の症状がないものとして特徴付けられることになる。
コントロール値は、様々な形態を取ることができる。コントロール値は、中央値または平均値などの単一のカットオフ値とすることができる。正常コントロール値は、正常コントロール範囲とすることができる。
いくつかの場合において、コントロールの正常値は、対象のアッセイ方法の検出限界未満であり、たとえば、正常値は、約175pg/ml未満、約150pg/ml未満、約100pg/ml未満、約75pg/ml未満、約50pg/ml未満、または約40pg/ml未満とすることができる。
試験被験体
上記に述べられるように、個体から得られる液体サンプルは、対象のLOXL2アッセイを使用して試験される。対象のアッセイを使用して試験するのに適した個体は、これまで疾患を有すると診断されていないが、医師に症状および/または愁訴を示す個体(たとえば診断されていない障害または疾患を有する個体);がんと診断された個体;がんを有することが疑われているが、これまでがんを有すると診断されていない個体;明らかに健康であり、慣用のスクリーニングを受けている個体;線維症を有すると診断された個体;線維症を有することが疑われているが、これまで線維症を有すると診断されていない個体;慢性C型肝炎ウイルス(HCV)などのHCV感染症または慢性B型肝炎ウイルス(HBV)(CHB)などのHBV感染症を有すると診断された個体;ならびにがんまたは線維症性疾患に対する処置を受けている個体を含むが、これらに限定されない。
がん患者
対象のLOXL2アッセイを使用して試験するのに適した個体は、がんを有すると診断された個体を含み、良性腫瘍を有する個体、原発性腫瘍を有する個体、腫瘍転移を有する個体、および非固形腫瘍タイプのがんを有する個体を含む。対象のLOXL2アッセイを使用して試験するのに適した個体は、がんを有するが、これまでがんを有すると診断されていない個体を含む。したがって、対象のLOXL2アッセイを使用して試験するのに適した個体は、癌、肉腫、白血病、およびリンパ腫を含む多種多様のがんを有する個体を含む。
癌は、食道癌、肝細胞癌、基底細胞癌(皮膚がんの形態)、扁平上皮癌(様々な組織)、移行上皮癌を含む膀胱癌(膀胱の悪性新生物)、気管支原性癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、肺の小細胞癌および非小細胞癌を含む肺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、腎細胞癌、上皮内腺管癌(ductal carcinoma in situ)または胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸部癌、子宮癌、精巣癌、骨原性癌(osteogenic carcinoma)、上皮癌、および鼻咽腔癌などを含むが、これらに限定されない。
肉腫は、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、骨原性肉腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜性腫瘍、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、および他の軟部組織肉腫を含むが、これらに限定されない。
固形腫瘍は、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫を含むが、これらに限定されない。
白血病は、a)慢性骨髄増殖性症候群(多能性造血幹細胞の新生物障害);b)急性骨髄性白血病(多能性造血幹細胞または分化能(lineage potential)が限られている造血系細胞の悪性形質転換;c)B細胞CLL、T細胞CLL 前リンパ球性白血病、およびヘアリー細胞白血病を含む慢性リンパ性白血病(CLL;免疫学的に未成熟で、機能的に無能な小リンパ球のクローン増殖);ならびにd)急性リンパ芽球性白血病(リンパ芽球の蓄積によって特徴付けられる)を含むが、これらに限定されない。リンパ腫は、B細胞リンパ腫(たとえばバーキットリンパ腫);ホジキンリンパ腫;などを含むが、これらに限定されない。
良性腫瘍は、たとえば血管腫、肝細胞腺腫、海綿状血管腫、限局性結節性過形成、聴神経腫、神経線維腫、胆管腺腫、胆管嚢胞腺腫(bile duct cystanoma)、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫、中皮腫、奇形腫、粘液腫、結節性再生過形成、トラコーマ、および化膿性肉芽腫を含む。
原発性および転移性腫瘍は、たとえば、肺がん(肺腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、気管支肺胞癌、非小細胞癌、小細胞癌、中皮腫を含むが、これらに限定されない);乳がん(腺管癌、小葉癌、炎症性乳がん、明細胞癌、粘液性癌を含むが、これらに限定されない);結腸直腸がん(結腸がん、直腸がんを含むが、これらに限定されない);肛門がん;膵がん(膵臓腺癌、島細胞癌、神経内分泌腫瘍を含むが、これらに限定されない);前立腺がん;卵巣癌(漿液性腫瘍、類内膜腫瘍、および粘液性嚢胞腺癌を含む卵巣上皮癌または表層上皮性−間質性腫瘍、性索間質腫瘍を含むが、これらに限定されない);肝臓癌および胆管癌(肝細胞癌、胆管癌、血管腫を含むが、これらに限定されない);食道癌(食道腺癌および扁平上皮癌を含むが、これらに限定されない);非ホジキンリンパ腫;膀胱癌;子宮の癌(子宮内膜腺癌、子宮乳頭状漿液性癌(uterine papillary
serous carcinoma)、子宮明細胞癌(uterine clear−cell carcinoma)、子宮肉腫および平滑筋肉腫、ミュラー管混合腫瘍(mixed mullerian tumor)を含むが、これらに限定されない);神経膠腫、膠芽腫、髄芽腫、および他の脳の腫瘍;腎臓がん(腎細胞癌、明細胞癌、ウィルムス腫瘍を含むが、これらに限定されない);頭頸部のがん(扁平上皮癌を含むが、これらに限定されない);胃のがん(胃腺癌(stomach adenocarcinoma)、消化管間質腫瘍を含むが、これらに限定されない);多発性骨髄腫;精巣がん;胚細胞腫瘍;神経内分泌腫瘍;子宮頸がん;胃腸管、乳房、および他の器官のカルチノイド;ならびに印環細胞癌を含む。
いくつかの場合において、がん患者は、現在、がんに対する処置を受けている患者である。いくつかの実例において、処置は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する作用物質の投与を含む。LOXL2酵素活性を阻害する作用物質は、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤を含む。いくつかの場合において、アロステリック阻害剤は、抗LOXL2モノクローナル抗体、たとえば、LOXL2の「SRCR3−4」ドメイン内のエピトープに結合する、抗LOXL2モノクローナル抗体である。LOXL2酵素活性を阻害し、SRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合するモノクローナル抗体の非限定的な例は、AB0023およびAB0024である;たとえば、米国特許出願公開第2009/0053224号明細書を参照されたい。
上皮間葉転換
対象のアッセイ方法を使用して試験するのに適した個体は、上皮細胞の上皮間葉転換(EMT)が起こった個体を含む。対象のアッセイ方法を使用して試験するのに適した個体は、線維形成および線維芽細胞活性化(これらは、腫瘍および線維症性疾患の異常な微小環境を生成する要因と考えられる)が起こった個体を含む。そのような個体は、前がん性細胞を有し得るおよび/またはがん発生の初期にあり得る。
線維症
対象のLOXL2アッセイ方法を使用して試験するのに適した個体は、線維症(線維症性疾患)、たとえば肝線維症、腎線維症、肺線維症、骨髄線維症、心線維症(cardiac fibrosis)、または他のタイプの線維症を有すると診断された個体を含む。対象のLOXL2アッセイ方法を使用して試験するのに適した個体は、線維症性疾患(たとえば肝線維症、腎線維症、肺線維症、骨髄線維症、心線維症、または他のタイプの線維症)を有するが、これまで線維症性疾患を有すると診断されていない個体を含む。
いくつかの場合において、適した試験被験体は、線維症の進行型の形態を有するが、線維症に対する処置レジメンによる処置になお適し得る。たとえば、適した試験被験体は、活動性(末期ではない)線維症を有する被験体を含む。いくつかの場合において、適した試験被験体は、線維症を有し、急速な疾患増悪を経験することが予想され得る被験体である。
いくつかの場合において、対象のLOXL2アッセイを使用して試験されるべき個体は、現在、線維症性疾患に対する処置を受けている個体である。いくつかの実例において、処置は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する作用物質の投与を含む。LOXL2酵素活性を阻害する作用物質は、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤を含む。いくつかの場合において、アロステリック阻害剤は、抗LOXL2モノクローナル抗体、たとえば、LOXL2の「SRCR3−4」ドメイン内のエピトープに結合する、抗LOXL2モノクローナル抗体である。LOXL2酵素活性を阻害し、SRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合するモノクローナル抗体の非限定的な例は、AB0023およびAB0024である;たとえば、米国特許出願公開第2009/0053224号明細書を参照されたい。
肝線維症
肝臓の線維症は、多数の肝疾患の病態に関係する。線維症は、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、アルコール中毒、住血吸虫症、ウイルス性肝炎、胆管閉塞症、毒素に対する曝露、および代謝障害の合併症として起こり得る。未検査のまま放置すると、肝線維症は、硬変(被包性の結節の存在によって決定される)、肝不全、および死に進行する。
肝線維症は、硬変ならびに慢性ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、および自己免疫性肝炎などの関連する状態を含むが、これらに限定されない。
寄生虫およびウイルス感染症(たとえばB型肝炎ウイルス(HBV)、HCV、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、住血吸虫症)のような源(source)由来の肝臓に対する慢性の傷害またはアルコール消費由来の長期間のストレスは、典型的に、肝臓のリモデリングをもたらして、おそらく、損傷エリアを被包し、かつ損傷から残りの肝組織を保護する(Li and Friedman、Gastroenterol. Hepatol. 14:618−633、1999)。肝線維症は、総コラーゲン含有量の3〜10倍の増加および低密度基底膜の高密度マトリックスとの交換を含む、細胞外マトリックスの変化をもたらし、これらにより、肝細胞、肝星細胞、および内皮細胞の代謝機能および合成機能が損なわれる(Girogescu, M.、Non−invasive Biochemical Markers of Liver Fibrosis, J. Gastrointestin. Liver Dis., 15(2):149−159(2006))。
肝線維症の程度および重症度の定量的評価を提供する、多くの標準化されたスコアリングシステムが存在する。これらは、METAVIR、Knodell、Scheuer、Ludwig、およびIshakスコアリングシステムを含む。肝線維症を有する個体は、METAVIR、Knodell、Scheuer、Ludwig、およびIshakスコアリングシステムのいずれかに基づく、肝線維症の任意の程度または重症度を有する個体を含む。
METAVIRスコアリングシステムは、線維症(門脈線維症(portal fibrosis)、小葉中心性線維症(centrilobular fibrosis)、および硬変);壊死(巣状および小葉壊死(piecemeal and lobular necrosis)、好酸性退縮(acidophilic retraction)、ならびに気球状変性);炎症(門脈路(portal tract)炎症、門脈リンパ様集合体(portal lymphoid aggregate)、および門脈炎症の分布);胆管変化;ならびにKnodell指数(門脈周囲の壊死、小葉壊死、門脈炎症、線維症、および全体的な疾患活性のスコア)を含む、肝生検の様々な特徴の分析に基づく。METAVIRシステムにおけるそれぞれのステージの定義は、以下のとおりである:スコア:0、線維症なし;スコア:1、門脈路の放射状の拡大(stellate enlargement)があるが、隔壁形成なし;スコア:2、まれに隔壁形成を伴う門脈路の拡大;スコア:3、硬変を伴わない多数の隔壁;およびスコア:4、硬変。
組織学的活性指数(Histology Activity Index)とも呼ばれるKnodellのスコアリングシステムは、4つのカテゴリーの組織学的特徴におけるスコアに基づいて検体を分類する:I.門脈周囲のおよび/または架橋状壊死;II.小葉内の変性および巣状壊死;III.門脈炎症;ならびにIV.線維症。Knodellステージングシステムにおいて、スコアは、以下のとおりである:スコア:0、線維症なし;スコア:1、軽度の線維症(線維性の門脈の拡大);スコア:2、中程度の線維症;スコア:3、重度の線維症(架橋状線維症);およびスコア:4、硬変。スコアが高いほど、肝組織損傷は重度になる。Knodell(1981)Hepatol. 1:431。
Scheuerスコアリングシステムにおいて、スコアは、以下のとおりである:スコア:0、線維症なし;スコア:1、線維症性門脈路の拡大;スコア:2、門脈周囲または門脈間の(portal−portal)隔壁があるが、無傷の構造;スコア:3、構造に変形があるが、明らかな硬変がない線維症;スコア:4、ほぼ確実なまたは確実な硬変。Scheuer(1991)J. Hepatol. 13:372。
Ishakスコアリングシステムは、Ishak(1995)J. Hepatol.
22:696−699において記載される。ステージ0、線維症なし;ステージ1、短い線維性の隔壁を伴うまたは伴わないいくつかの門脈エリアの線維性の拡大;ステージ2、短い線維性の隔壁を伴うまたは伴わないほとんどの門脈エリアの線維性の拡大;ステージ3、時々の、門脈から門脈への(portal to portal)(P−−P)架橋を伴うほとんどの門脈エリアの線維性の拡大;ステージ4、(P−−P)および門脈から中心部への(portal−central)(P−−C)著しい架橋を伴う門脈エリアの線維性の拡大;ステージ5、時々の、結節を伴う著しい架橋(P−−Pおよび/またはP−−C)(不完全な硬変);ステージ6、ほぼ確実なまたは確実な硬変。
腎線維症
肝線維症のように、腎線維症は、様々な疾患および腎臓に対する傷害から結果として生じ得る。そのような疾患および傷害の例は、慢性腎疾患、メタボリックシンドローム、膀胱尿管逆流、尿細管間質性腎線維症(tubulointerstitial renal fibrosis)、糖尿病(糖尿病性腎症を含む)、ならびに巣状分節状糸球体硬化症および膜性糸球体腎炎、膜性増殖性GNを含むが、これらに限定されない、結果として生ずる糸球体腎炎(GN)を含む。
メタボリックシンドロームは、インスリン抵抗性ならびに中心性または内臓肥満および高血圧などの、糖尿病性の特徴を含む異常状態のクラスターであることが認識されるようになった。ほぼすべての場合において、グルコースの調節異常は、サイトカイン放出の刺激および細胞外マトリックス沈着のアップレギュレーションをもたらす。慢性腎疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、および糸球体腎炎の一因となるさらなる要因は、高脂血症、高血圧、およびタンパク尿を含み、これらはすべて、腎臓に対するさらなる損傷をもたらし、細胞外マトリックス沈着をさらに刺激する。したがって、原発性の原因に関係なく、腎臓に対する傷害は、腎線維症および腎機能の相伴う損失をもたらし得る(Schena, F.およびGesualdo, L.、Pathogenic Mechanisms of Diabetic Nephropathy, J. Am. Soc. Nephrol., 16:S30−33(2005);Whaley−Connell, A.およびSower, J.R.、Chronic Kidney Disease and the Cardiometabolic Syndrome, J. Clin. Hypert., 8(8):546−48(2006))。
肺線維症
肺の線維症は、多くの症候群および疾患を含む。例示的な疾患は、特発性肺線維症(IPF)、特発性間質性肺炎、および急性呼吸促迫症候群(ARDS)を含む。肺線維症はまた、特発性線維化肺胞炎、慢性線維化間質性肺炎(chronic fibrosing interstitial pneumonia)、間質性肺疾患(ILD)、およびびまん性実質性肺疾患(DPLD)をも含むが、これらに限定されない。
上記の疾患を含む、ほとんどの肺線維症の病因は、十分に理解されておらず、しかしながら、すべて、炎症細胞の流入および引き続くコラーゲンに富む細胞外マトリックスの合成および沈着の増大によって特徴付けられる(Chuaら、Am J. Respir. Cell. Mol. Biol., 33:9−13(2005);Tzortzakiら、J. Histochem. & Cytochem., 54(6):693−700(2006);Armstrongら、Am. J. Respir. Crit. Care Med., 160:1910−1915(1999))。
IPFは、肺組織の炎症および最終的に線維症によって特徴付けられるが、これらの2つの症状を分離することができる。IPFの原因は、知られておらず、それは、自己免疫障害からまたは感染症の結果として生じ得る。IPFの症状は、疾患が進行すると主な症状になる呼吸困難(すなわち息切れ)、および乾性咳嗽を含む。死は、低酸素血症、右心不全、心臓発作、肺塞栓症、卒中、または肺感染症から結果として生じ得、これらはすべて、その疾患によって引き起こされ得る。
いくつかの場合において、対象のLOXL2アッセイを使用して試験されるべき個体は、現在、IPFに対する処置を受けている個体である。いくつかの実例において、処置は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する作用物質の投与を含む。LOXL2酵素活性を阻害する作用物質は、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤を含む。いくつかの場合において、アロステリック阻害剤は、抗LOXL2モノクローナル抗体、たとえば、LOXL2の「SRCR3−4」ドメイン内のエピトープに結合する、抗LOXL2モノクローナル抗体である。LOXL2酵素活性を阻害し、SRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合するモノクローナル抗体の非限定的な例は、AB0023およびAB0024である;たとえば、米国特許出願公開第2009/0053224号明細書を参照されたい。
骨髄線維症
原発性骨髄線維症における発病のプロセスは、原発性巨核球増量クローン性骨髄増殖(primary megakaryocyte−weighted clonal myeloproliferation)ならびに骨髄線維症、骨硬化症、新脈管形成、および髄外造血を含む、腫瘍随伴性の間質反応を含む。骨髄反応は、線維性コラーゲンなどの細胞外マトリックスタンパク質の過剰沈着、低細胞性、骨髄線維芽細胞の活性化および動員、過度のサイトカインおよび増殖因子産生、ならびに造血能力の低下をもたらす他の変化を含む。二次性骨髄線維症は、真性赤血球増加症または本態性血小板増加症から結果として生じ得る。
処置を受けている個体
いくつかの場合において、対象のLOXL2アッセイを使用して試験されるべき個体は、現在、線維症性疾患に対するまたはがんに対する処置を受けている個体である。いくつかの実例において、処置は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する作用物質の投与を含む。LOXL2酵素活性を阻害する作用物質は、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤を含む。いくつかの場合において、アロステリック阻害剤は、抗LOXL2モノクローナル抗体、たとえば、LOXL2のSRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合する、抗LOXL2モノクローナル抗体である。LOXL2酵素活性を阻害し、SRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合するモノクローナル抗体の非限定的な例は、AB0023およびAB0024である;たとえば、米国特許出願公開第2009/0053224号明細書を参照されたい。
診断方法
本開示は、循環性LOXL2の上昇などのLOXL2のレベルの上昇と関連するまたはそれによって特徴付けられる疾患および状態を含む、LOXL2と関連する疾患および状態に対する、様々な診断方法を提供する。たとえば、個体が循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患を有するかどうかを決定するための方法が、提供される。そのような疾患または状態の活性または重症度を評価するための方法もまた、提供される。診断方法は、一般に、上記に記載されるように、対象のLOXL2アッセイ方法を使用して、個体における循環LOXL2のレベルを検出するステップを含む。循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患は、がんおよび線維症を含む。
所定のサンプルにおけるLOXL2のレベルは、濃度によって、重量、または本明細書において記載される検出アッセイの他の読み取り値によって表現されてもよい。一態様において、正常コントロールレベルまたは他の参照レベルよりも高い循環LOXL2のレベルが、個体が循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患を有することを示す。たとえば、正常コントロールレベルまたは他の参照レベルよりも、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%高い、または50%超高い循環LOXL2のレベルは、個体が循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患を有することを示すことができる。他の実施例として、約40pg/mlよりも高い、約50pg/mlよりも高い、約75pg/mlよりも高い、約100pg/mlよりも高い、約150pg/mlよりも高い、約175pg/mlよりも高い、約200pg/mlよりも高い、約250pg/mlよりも高い、約300pg/mlよりも高い、約350pg/mlよりも高い、約400pg/mlよりも高い、約450pg/mlよりも高い、約500pg/mlよりも高い、約550pg/mlよりも高い、約600pg/mlよりも高い、約650pg/mlよりも高い、約700pg/mlよりも高い、約750pg/mlよりも高い、または約800pg/mlよりも高い、循環LOXL2のレベルは、個体が、循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患を有することを示すことができる、および/または活動性疾患または特定の活性レベルを示すことによってなどの、疾患または状態についての予後判定情報もしくは予測情報を示すことができる。いくつかの場合において、レベルは、被験体における活発な線維形成を示す。本明細書において使用される場合、用語「正常コントロールレベル」および「参照レベル」は、LOXL2との関連において、サンプル、たとえば試験サンプルにおけるLOXL2レベルを比較する、LOXL2のレベルを指す。一実施例において、正常コントロールレベルまたは参照レベルが、被験体の疾患または状態、たとえばLOXL2関連疾患または状態を有していない個体などの健康な個体由来のサンプルにおいて一般に観察されるレベルである。他の実施例において、それが、それほど活動性でない疾患、比較的よりよい予後判定、または生存もしくは処置への応答性などの、特定の転帰、エンドポイント、もしくはイベントと関連するより好都合な可能性(chance)を有する個体などの、LOXL2関連疾患または状態を有する個体において観察されるレベルである。たとえば、参照レベルまたは正常コントロールレベルは、好ましい転帰、エンドポイント、またはイベントを最終的に示した個体由来のサンプルにおける、ベースラインレベルなどの、特定の時点で観察されるレベルであってもよい。他の実施例において、正常コントロールレベルまたは参照レベルが、アッセイされているサンプルと比較した、異なる時点で、同じ個体から採取されるサンプルにおいて観察されるレベル、例えば、処置前のベースラインレベルまたは疾患増悪における、より初期のレベルもしくは疾患が検出される前のレベルである。他の実施例において、正常レベルまたは参照レベルが、あらかじめ決定された濃度のLOXL2を有するように調製されたサンプルにおけるレベルなどの標準的なレベルまたは単純にあらかじめ決定されたレベルである。本明細書において使用される場合、「ベースライン」は、処置前のまたは疾患増悪をモニタリングする研究の開始前の時点などの、特定のイベントまたは期間前の時点での量、レベル、または特定の変数の測定値(measurement)を指す。したがって、一態様において、LOXL2の参照レベルまたは正常コントロールレベルが、同じ個体または他の個体由来のベースラインレベルなどのベースラインレベルである。
コントロール値
試験被験体から得られる液体サンプルにおけるLOXL2のレベルは、正常コントロール値(複数可)または正常コントロール値の範囲と比較することができる。コントロール値は、コントロール集団、たとえば一般集団またはヒト被験体の選抜集団から得られる、比較可能なサンプル(たとえば血液、血漿、血清サンプル、または他の液体生物学的サンプル)におけるLOXL2のレベルに基づくものとすることができる。たとえば、選抜集団は、明らかに健康な被験体(たとえば、以前に、線維症やがんのいかなるサインや症状をも有したことがない個体)から構成され得る。明らかに健康な個体はまた、一般に、別段疾患の症状を示さない。言いかえれば、そのような個体は、医学の専門家によって検査された場合、健康で、疾患の症状がないものとして特徴付けられることになる。その代わりに、評価される値は、平均値(average value)、平均値(mean value)、もしくは中央値などの他の参照値または特定の疾患もしくは状態を有する被験体の集団について観察される値と比較されてもよい。たとえば、そのような参照値は、その後、たとえば、参照値が得られた全部の患者コホートと比較して、より活動性疾患を有することが決定される、特定の個体について評価されるレベルに対する比較において使用されてもよい。
コントロール値は、様々な形態を取ることができる。コントロール値は、中央値または平均値などの単一のカットオフ値とすることができる。正常コントロール値は、正常コントロール範囲とすることができる。
試験されるべき個体
試験被験体は、上記に列挙される被験体を含む。対象のアッセイを使用して試験するのに適した個体は、これまで疾患を有すると診断されていないが、医師に症状および/または愁訴を示す個体(たとえば診断されていない障害または疾患を有する個体);がんと診断された個体;がんを有することが疑われているが、これまでがんを有すると診断されていない個体;明らかに健康であり、慣用のスクリーニングを受けている個体;線維症を有すると診断された個体;線維症を有することが疑われているが、これまで線維症を有すると診断されていない個体;C型肝炎ウイルス(HCV)またはB型肝炎ウイルス(HBV)感染症を有すると診断された(および必要に応じて、また、HCV感染症またはHBV感染症関連の肝損傷を有するとも診断された)個体;ならびにがんまたは線維症性疾患に対する処置を受けている個体を含むが、これらに限定されない。
いくつかの場合において、試験されるべき個体は、診断されていない障害または疾患を有する個体、たとえば、症状および/または愁訴を示す個体である。対象の診断方法は、そのような個体が線維症性疾患またはがんを有し得るかどうかを決定するために使用することができる。対象の診断方法は鑑別診断の一部とすることができ、いくつかの場合において、たとえば、診断を確認するまたは除外するために、1つ以上の診断試験と共に使用することができる。
報告の生成
対象の診断方法は、個体が線維症性疾患またはがんを有する可能性があるかどうかに関して指標を提供する報告を生成するステップを含むことができる。そのような報告は、さらなる評価に関する勧告、治療剤による処置に関する勧告などのような情報を含むことができる。
対象の報告は、1)サービスプロバイダ情報;2)患者データ;3)LOXL2のレベルに関するデータ;4)追跡調査評価についての勧告;5)治療剤による処置;および6)他の特徴のうちの1つ以上をさらに含むことができる。
さらなる評価
LOXL2のレベルの検出に基づいておよび/または報告に基づいて(上記に記載されるように)、医師または他の資格のある医療関係者は、試験被験体(患者)についてのさらなる評価が必要とされるかどうかを決定することができる。さらなる評価は、たとえば、肺機能試験(たとえば肺線維症が疑われる場合);肝機能検査(たとえば肝線維症が疑われる場合);およびがんについての様々な試験を含むことができ、これらの試験は、疑われるがんのタイプに依存して変更されてもよい。
一実施例として、個体ががんを有することが疑われる場合、がんについての様々な試験のいずれかを実行することができ、そのような試験は、たとえば、がん性細胞の存在についての組織生検の組織化学的分析;腫瘍関連抗原の存在についての試験;などを含む。
他の実施例として、個体が肺線維症性障害(pulmonary fibrotic disorder)を有することが疑われる場合、個体は、肺線維症性障害の症状について評価することができる。肺線維症性障害の症状は、体重の減少、肺重量の増加、肺線維症、異常な肺構造(たとえば「蜂巣」肺)、Ashcroftスコアの増加、肺のコラーゲンレベル増加、CD45/コラーゲン細胞の数の増加、肺胞細胞増殖および拡大、ならびに気管支肺胞洗浄(BAL)液における白血球数の増加を含むが、これらに限定されない。症状はまた、たとえば、以下の分子のうちの1つ以上の肺レベルの増加を含むことができる:LOXL2、α−平滑筋アクチン(α−SMA)、形質転換増殖因子β−1(TGFβ−1)、間質由来因子−1(SDF−1)(たとえばSDF−1α)、エンドセリン−1(ET−1)、およびリン酸化SMAD2。
さらなる実施例として、個体が肝線維症を有することが疑われる場合、個体は、肝機能のマーカーについて評価することができる。肝機能は、血清タンパク質などのタンパク質の合成(たとえばアルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(たとえばアラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5’−ヌクレオシダーゼ、γ−グルタミニルトランスペプチダーゼなど)、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、および胆汁酸の合成;炭水化物代謝、アミノ酸およびアンモニア代謝、ホルモン代謝、ならびに脂質代謝を含むが、これらに限定されない肝臓代謝機能;外因性の薬剤の解毒;内臓および門脈の血行力学を含む血行力学機能;などを含むが、これらに限定されない。たとえば、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のレベルは、標準的なアッセイを使用して測定される。一般に、約45国際単位未満のALTレベルは、正常と考えられる。ALTレベルの上昇は、損なわれた肝機能を示すことができる。機能的肝予備力の定量的試験もまた、肝機能を評価するために使用することができ、そのような試験は、たとえば、インドシアニングリーンクリアランス(ICG)、ガラクトース排泄能(galactose elimination capacity)(GEC)、アミノピリン呼気検査(aminopyrine breath test)(ABT)、アンチピリンクリアランス、モノエチルグリシン−キシリジド(MEG−X)クリアランス、およびカフェインクリアランスを含む。
療法
LOXL2のレベルの検出に基づいておよび/または報告に基づいて(上記に記載されるように)、医師または他の資格のある医療関係者は、適切な治療剤による処置が、たとえば、線維症性疾患を処置するため、がんを処置するためなどに勧められるかどうかを決定することができる。
たとえば、LOXL2の循環レベルおよび必要に応じてさらなる評価(たとえば組織生検の組織化学的分析)に基づいて、早期のがんを有することが決定された個体は、がん化学療法薬レジメンを始めることができるおよび/または放射線療法により処置することができるおよび/またはがんの外科的な除去を受けることができる。
がん化学療法剤(「化学療法剤」)は、細胞傷害性薬剤および細胞増殖抑制性薬剤を含む。化学療法剤は、形質転換状態から分化状態への逆転などの、細胞に対して他の効果を有するものまたは細胞複製を阻害するものを含んでいてもよい。たとえば、知られている細胞傷害性薬物の例は、Goodmanら、「The Pharmacological Basis of Therapeutics,」第6版, A.B. Gilmanら編/Macmillan Publishing Co. New York, 1980において列挙される。これらは、パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサン;メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、およびクロラムブシルなどのナイトロジェン;チオテパなどのエチレンイミン誘導体;ブスルファンなどのスルホン酸アルキル;ロムスチン、セムスチン、およびストレプトゾシンなどのニトロソ尿素;ダカルバジンなどのトリアゼン;メトトレキサートなどの葉酸アナログ;フルオロウラシル、シタラビン、およびアザリビンなどのピリミジンアナログ;メルカプトプリンおよびチオグアニンなどのプリンアナログ;ビンブラスチンおよびビンクリスチンなどのビンカアルカロイド;ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、およびマイトマイシンなどの抗生物質;シスプラチンなどの白金配位錯体(platinum coordination complex)などの金属錯体;ヒドロキシ尿素などの置換尿素;プロカルバジンなどのメチルヒドラジン誘導体;ミトタンなどの副腎皮質抑制薬;副腎皮質ステロイド(adrenocortisteroid)(プレドニゾン)、プロゲスチン(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール)、エストロゲン(ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール)、ならびにアンドロゲン(プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)などの、ホルモンならびにアンタゴニストを含む。
他の実施例として、たとえば、LOXL2の循環レベルおよび必要に応じてさらなる評価(たとえば肺機能試験)に基づいて、IPFを有することが決定された個体は、IPFに対する薬物処置および/またはIPFに対する他の処置により処置することができる。IPFに対する一次処置は、医薬であり、IPFの処置に使用される最も一般的な薬剤は、コルチコステロイド(たとえばプレドニゾン)、ペニシラミン、ならびに様々な抗新生物薬(anti neoplastic)(たとえばシクロホスファミド、アザチオプリン(azathiporene)、クロラムブシル、ビンクリスチン、およびコルヒチン)である。他の処置は、酸素投与および極端な場合は、肺移植を含む。
さらなる実施例として、LOXL2の循環レベルおよび必要に応じてさらなる評価(たとえば、肝機能検査;HCV、HBVによる感染症についての試験など)に基づいて、肝線維症を有することが決定された個体は、たとえば抗ウイルス剤、たとえば、HCVもしくはHBV感染症または他の肝炎ウイルス感染症を処置するのに適した作用物質により処置することができる。たとえば、HCV感染症は、インターフェロン−アルファ(IFN−α)、ビラミジン(viramidine)、リバビリン、レボビリン(levovirin)、HCV NS3阻害剤、HCV NS5B阻害剤、または前述のものの1つ以上の組み合わせにより処置することができる。
処置の効力をモニターするための方法
本開示は、循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患などのLOXL2関連疾患または状態に対する処置の効力をモニターするための方法であって、方法が、一般に、対象のLOXL2アッセイを使用して、ある時点の、個体における循環LOXL2レベルを決定するステップを含む方法を提供する。一態様において、個体から初期の時点で得られるレベルよりも低い、サンプルにおけるLOXL2のレベルにより、処置の効力が示される。他の態様において、コントロールまたは参照サンプルと比較して、より低いレベルにより、処置の効力が示される。他の態様において、LOXL2のレベル、たとえば高レベルのLOXL2が、LOXL2標的療法による処置などの処置に対して個体が好都合に応答することを示す。
たとえば、循環LOXL2レベルは、個体において、第1の時点および第2の時点で決定され、第2の時点が、第1の時点よりも後である。第1の時点は、処置の開始前とすることができ、第2の時点は、処置の間(たとえば処置レジメンが始まった後)とすることができる。第1の時点は、処置の間とすることができ、第2の時点は、処置の間のより後の時間とすることができる。第2の時点は、第1の時点の約1時間〜約1年間後とすることができる、たとえば、第2の時点は、第1の時点の約1時間〜約2時間後、約2時間〜約4時間後、約4時間〜約8時間後、約8時間〜約16時間後、約16時間〜約24時間後、約24時間〜約36時間後、約36時間〜約72時間後、約72時間〜約4日後、約4日〜約1週間後、約1週間〜約2週間後、約2週間〜約1ヶ月後、約1ヶ月〜約3ヶ月後、約3ヶ月〜約6ヶ月後、約6ヶ月〜約1年後、または1年を超える後とすることができる。
したがって、たとえば、いくつかの実施形態において、循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患に対する処置の効力を決定する対象の方法は、a)第1の時点で個体におけるLOXL2の循環レベルを決定するステップ(第1の時点で個体から得られる液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを決定することによって)、b)第2の時点で個体におけるLOXL2の循環レベルを決定するステップ(第2の時点で個体から得られる液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを決定することによって)、ならびに第1および第2の時点からのLOXL2のレベルを比較するステップを含む。
第2の時点での循環LOXL2レベルが、第1の時点での循環LOXL2レベルよりも低い場合、循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患に対する処置が有効であったことが結論付けられてもよく、これらの場合において、処置レジメンを継続する勧告がなされてもよい。第2の時点での循環LOXL2レベルが、第1の時点での循環LOXL2レベルよりも高い場合、循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患に対する処置が有効ではなかったことが結論付けられてもよく、これらの場合において、処置レジメンを中止する、処置レジメンにおいて使用される薬剤の用量を増加させる、投薬の頻度を増加させる、または代わりとなる処置レジメンを施す勧告がなされてもよい。第2の時点での循環LOXL2レベルが、第1の時点での循環LOXL2レベルと有意に異ならない場合、循環LOXL2の上昇によって特徴付けられる疾患に対する処置が有効ではなかったことがまたは処置レジメンを変更するべきであると結論付けられてもよく、これらの場合において、処置レジメンを中止する、処置レジメンにおいて使用される薬剤の用量を増加させる、投薬の頻度を増加させる、または代わりとなる処置レジメンを施す勧告がなされてもよい。
試験被験体
処置の効力をモニターするための対象の方法は、たとえば、がんと診断され、処置を受けている個体;線維症を有すると診断され、線維症に対する処置を受けている個体;HCVまたはHBV感染症を有すると診断され、HCVまたはHBV感染症に対する処置を受けている個体;HCVまたはHBV感染症関連の肝損傷を有すると診断され、HCVまたはHBV感染症および/または肝損傷に対する処置を受けている個体;などを含む、様々な個体のいずれかを試験するために使用することができる。
いくつかの場合において、対象のLOXL2アッセイを使用して試験されるべき個体は、現在、がんに対する処置を受けている個体である。がん化学療法は、様々な細胞傷害性薬物のいずれかとすることができる。そのような細胞傷害性薬物は、パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサン;メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、およびクロラムブシルなどのナイトロジェン;チオテパなどのエチレンイミン誘導体;ブスルファンなどのスルホン酸アルキル;ロムスチン、セムスチン、およびストレプトゾシンなどのニトロソ尿素;ダカルバジンなどのトリアゼン;メトトレキサートなどの葉酸アナログ;フルオロウラシル、シタラビン、およびアザリビンなどのピリミジンアナログ;メルカプトプリンおよびチオグアニンなどのプリンアナログ;ビンブラスチンおよびビンクリスチンなどのビンカアルカロイド;ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、およびマイトマイシンなどの抗生物質;シスプラチンなどの白金配位錯体などの金属錯体;ヒドロキシ尿素などの置換尿素;プロカルバジンなどのメチルヒドラジン誘導体;ミトタンなどの副腎皮質抑制薬;副腎皮質ステロイド(プレドニゾン)、プロゲスチン(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール)、エストロゲン(ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール)、ならびにアンドロゲン(プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)などの、ホルモンならびにアンタゴニストを含む。
いくつかの実例において、がん処置は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する作用物質の投与を含む。LOXL2酵素活性を阻害する作用物質は、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤を含む。いくつかの場合において、アロステリック阻害剤は、抗LOXL2モノクローナル抗体、たとえば、LOXL2の「SRCR3−4」ドメイン内のエピトープに結合する、抗LOXL2モノクローナル抗体である。LOXL2酵素活性を阻害し、SRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合するモノクローナル抗体の非限定的な例は、AB0023およびAB0024である;たとえば、米国特許出願公開第2009/0053224号明細書を参照されたい。
他の実施例として、肝線維症に対する処置を受けているまたは肝線維症をもたらし得る疾患に対する処置を受けている個体は、対象の方法を使用して試験するのに適している。実施例として、HCV感染症に対する処置を受けている個体は、対象の方法を使用して試験するのに適している。たとえば、HCV感染症は、IFN−α、ビラミジン、リバビリン、レボビリン、HCV NS3阻害剤、HCV NS5B阻害剤、または前述のものの1つ以上の組み合わせにより処置することができる。
他の実施例として、IPFに対する処置を受けている個体は、対象の方法を使用して試験するのに適している。IPFを処置するのに一般に使用される薬剤は、たとえば、コルチコステロイド(たとえばプレドニゾン)、ペニシラミン、ならびに様々な抗新生物薬(たとえばシクロホスファミド、アザチオプリン、クロラムブシル、ビンクリスチン、およびコルヒチン)である。
コントロール値
試験被験体から得られる液体サンプルにおけるLOXL2のレベルは、正常コントロール値(複数可)もしくは正常コントロール値の範囲または本明細書において記載される他の参照値と比較することができる。コントロール値は、コントロール集団、たとえば一般集団またはヒト被験体の選抜集団から得られる、比較可能なサンプル(たとえば血液、血漿、血清サンプル、または他の液体生物学的サンプル)におけるLOXL2のレベルに基づくものとすることができる。たとえば、選抜集団は、明らかに健康な被験体、たとえば、以前に、線維症やがんのいかなるサインや症状をも有したことがない個体)から構成され得る。明らかに健康な個体はまた、一般に、別段疾患の症状を示さない。言いかえれば、そのような個体は、医学の専門家によって検査された場合、健康で、疾患の症状がないものとして特徴付けられることになる。
コントロール値は、様々な形態を取ることができる。コントロール値は、中央値または平均値などの単一のカットオフ値とすることができる。正常コントロール値は、正常コントロール範囲とすることができる。いくつかの場合において、コントロールの正常値は、対象のアッセイ方法の検出限界未満、たとえば、約175pg/ml未満、約150pg/ml未満、約125pg/ml未満、約100pg/ml未満、約75pg/ml未満、約50pg/ml未満、または約40pg/ml未満である。
予後判定方法
様々な予後判定および予測方法もまた、提供される。たとえば、本開示は、線維症性疾患を有する個体が線維症性疾患に対する処置への有益な臨床応答を示す確度を決定することを提供する。他の実施例において、方法は、特定の疾患アウトプットもしくはエンドポイントまたは処置への応答性についての確度または危険性を決定する。方法は、一般に、対象のLOXL2アッセイを使用して、個体から得られる液体サンプルにおいてなどの、LOXL2の循環レベルを検出するステップを含む。一態様において、正常コントロールレベルまたは他の参照レベルよりも高いLOXL2のレベルが、個体が線維症性疾患に対する処置への有益な臨床応答を示す、確度の増加を有することを示す。他の態様において、比較的低いレベルが、特定の疾患転帰もしくはエンドポイントを生じることの、比較的より低い確度もしくは危険性または他の予後判定情報を示す。同様に、比較的高いLOXL2レベルは、特定の疾患もしくは状態のアウトプットを生じるまたは特定のエンドポイントに到達する危険性または確度の増加などの、より不良な予後判定を示すことができる。上記に記載されるように、線維症性疾患は、肺線維症、肝線維症、心線維症、および骨髄線維症を含む。いくつかの場合において、たとえば、被験体が線維症性疾患に対する処置への有益な臨床応答を示す可能性があるということを循環LOXL2レベルが示す場合、さらなる対象の方法は、線維症性疾患について個体を処置するステップを含む。
対象のアッセイ方法を使用して試験するのに適した個体は、線維症、たとえば肝線維症、腎線維症、肺線維症、骨髄線維症、心線維症、または他のタイプの線維症を有すると診断された個体を含む。肝線維症は、硬変ならびに慢性ウイルス性肝炎(たとえばHCVまたはHBV感染症から結果として生じる)、NAFLD、ASH、NASH、PBC、胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、および自己免疫性肝炎などの関連する状態を含むが、これらに限定されない。腎線維症は、様々な疾患および傷害から結果として生じ得、そのような疾患および傷害の例は、慢性腎疾患、メタボリックシンドローム、膀胱尿管逆流、尿細管間質性腎線維症、糖尿病(糖尿病性腎症を含む)、ならびに巣状分節状糸球体硬化症および膜性糸球体腎炎、膜性増殖性GNを含むが、これらに限定されない、結果として生ずる糸球体腎炎(GN)を含む。肺の線維症は、多くの症候群および疾患を含み、例示的な疾患は、IPF、特発性間質性肺炎、およびARDSを含む。肺線維症はまた、特発性線維化肺胞炎、慢性線維化間質性肺炎、ILD、およびDPLDをも含むが、これらに限定されない。
いくつかの場合において、適した試験被験体は、線維症の進行型の形態を有するが、線維症に対する処置レジメンによる処置になお適し得る。たとえば、適した試験被験体は、活動性(末期ではない)線維症を有する被験体を含む。いくつかの場合において、適した試験被験体は、線維症を有し、急速な疾患増悪を経験することを予想し得る被験体である。例として、個体は、肝線維症の進行期、たとえばMETAVIR F4を有していてもよく、METAVIR F4線維症および陽性LOXL2(たとえば、対象のLOXL2アッセイを使用して決定するときに、液体サンプルにおけるLOXL2の正常レベルよりも高い)を有する個体は、なお、線維症に対する処置のための候補であり得る。陰性LOXL2(たとえば、対象のLOXL2アッセイを使用して決定するときに、液体サンプルにおけるLOXL2の正常レベル)を有するMETAVIR F4肝線維症患者は、線維症に対する処置のための候補と考えなくてもよい。他の実施例として、初期の肝線維症(たとえばMETAVIR F1またはF2)を有する、LOXL2が上昇した(たとえば、対象のLOXL2アッセイを使用して決定するときに、液体サンプルにおけるLOXL2の正常レベルよりも高い)個体は、線維症に対する処置のための候補と考えることができる。
コントロール値
試験被験体から得られる液体サンプルにおけるLOXL2のレベルは、正常コントロール値(複数可)または正常コントロール値の範囲と比較することができる。コントロール値は、コントロール集団、たとえば一般集団またはヒト被験体の選抜集団から得られる、比較可能なサンプル(たとえば血液、血漿、血清サンプル、または他の液体生物学的サンプル)中のLOXL2のレベルに基づくものとすることができる。たとえば、選抜集団は、明らかに健康な被験体、たとえば、以前に、線維症のいかなるサインも症状も有したことがない個体)から構成され得る。明らかに健康な個体はまた、一般に、別段疾患の症状を示さない。言いかえれば、そのような個体は、医学の専門家によって検査された場合、健康で、疾患の症状がないものとして特徴付けられることになる。
コントロール値は、様々な形態を取ることができる。コントロール値は、中央値または平均値などの単一のカットオフ値とすることができる。正常コントロール値は、正常コントロール範囲とすることができる。いくつかの場合において、コントロールの正常値は、対象のアッセイ方法の検出限界未満、たとえば、約175pg/ml未満、約150pg/ml未満、約125pg/ml未満、約100pg/ml未満、約75pg/ml未満、約50pg/ml未満、または約40pg/ml未満である。
報告の生成
患者が線維症性疾患に対する処置への有益な臨床応答を示す確度は、LOXL2の循環レベルを決定することによって評価される。線維症性疾患に対する処置への有益な臨床応答を示す患者の確度は、報告において提供される。その報告は、患者の応答の確度に関する情報をさらに含み得る。たとえば、対象の方法は、被験体の応答の確度についての評価の結果を提供する報告を生成するまたはアウトプットするステップをさらに含むことができ、この報告を、電子的媒体(たとえばコンピュータモニター上での電子的な表示)の形態でまたは有形媒体(たとえば紙もしくは他の有形媒体に印刷された報告)の形態で提供することができる。
本明細書において記載される「報告」は、対象の確度についての評価およびその結果に関する、関心のある情報を提供する報告エレメントを含む、電子的なまたは有形の文書である。対象の報告は、線維症性疾患を有する患者が、線維症性疾患に対する処置への有益な臨床応答を示す確度に関して、少なくとも1つの、確度についての評価、たとえば指標を含む。対象の報告は、完全にまたは部分的に電子的に生成することができる。対象の報告は、1)試験施設に関する情報;2)サービスプロバイダ情報;3)患者データ;4)サンプルデータ;5)a)指標;b)検査データ、たとえば循環LOXL2レベルを含む様々な情報を含むことができる説明的な報告(interpretive report);および6)他の特徴のうちの1つ以上をさらに含むことができる。
予後判定および予測IPF方法
いくつかの実施形態において、特発性肺線維症(IPF)についての診断方法、予後判定方法、および予測方法が、提供される。本明細書における実施例において示されるように、LOXL2の発現の増加は、正常コントロールサンプルと比較して、IPF患者の血清において検出され、加えて、循環LOXL2レベルの増加は、活動性IPF表現型および様々な疾患転帰の危険性の増加を示す。より高いLOXL2発現はまた、IPF患者の肺組織においても検出される。したがって、IPF疾患活性または活動性IPF表現型のマーカーなどのIPF疾患のマーカーとしてLOXL2を使用する方法が、提供される。したがって、提供される方法のいくつかの実施形態において、LOXL2が、IPFについての診断、予後判定、および/または予測マーカーとして使用される。一態様において、LOXL2レベルが、特定の疾患転帰または処置への応答性の確度などの、線維形成および/または様々なIPFステージ、重症度、もしくは転帰を評価するために使用される。
他の態様において、LOXL2レベルが、活動性疾患または疾患活性のレベルを示す。他の態様において、コントロールサンプルまたは他の参照サンプルと比較してより高いLOXL2レベル、典型的に、血清レベルが、特定の疾患転帰を生じるまたは特定の期間に特定の疾患転帰を生じる危険性を示す。他の態様において、LOXL2レベルが、患者が特定の処置に応答するまたはLOXL2阻害剤による処置もしくは他の処置などの進行中の処置への応答性に関する情報を示す確度を示す。したがって、いくつかの実施形態において、方法が、予測または検出されるLOXL2レベルに基づいて、疾患処置アプローチを開始する、中止する、または変更するステップをさらに含む。
方法を使用して評価するまたは予測する例示的な疾患転帰は、IPF疾患増悪(以下のうちの1つとして定義される複合エンドポイント:あらゆる原因由来の死亡率)、不良な無増悪生存期間(PFS)、呼吸器系の入院、肺機能における減少、たとえば肺機能の無条件の減少(これは、一酸化炭素拡散能(DLCO)における5%の減少を伴う、努力肺活量(FVC)における10%の減少またはFVCにおける5%の減少を伴うDLCOにおける15%の減少として定義されてもよい)、および死を含む。
方法は、一般に、患者サンプルを得るステップおよび/またはサンプルにおけるLOXL2レベルを決定するステップ(たとえば、本明細書において記載される方法を使用して)ならびにこのおよび他の情報に基づいて、様々な統計分析を実行するステップを含む。一実施例において、患者またはサンプルが、高いまたは低いレベルのLOXL2、たとえば、低いまたは高い循環もしくは血清LOXL2レベルを有するかどうかが決定される。この情報は、たとえば、サンプルの集合体などの、所定の集団における、決定されたLOXL2レベルの分布に基づいて、LOXL2レベルを二種類に分け、LOXL2の「低」および「高」レベルについてのカットオフポイントを指定することによって決定することができる。たとえば、高レベルのLOXL2は、1ミリリットル(mL)の血清当たり800ピコグラム(pg)よりも高いまたは約800ピコグラムのLOXL2などの、所定のサンプルにおける、少なくとも特定の濃度のまたは特定の濃度を超えるレベルと見なすことができる。その代わりに、高いLOXL2血清レベルは、集団内のサンプルについてのレベルの分布に基づいてまたはコントロールまたは参照サンプルと比較した特定の倍数変化に基づいて定義されてもよい。
いくつかの態様において、方法は、疾患重症度または機能的ステータスのマーカー、たとえば、予測努力肺活量(FVC)のパーセント、予測一酸化炭素拡散能(DLCO)のパーセント、6分間の歩行距離(6MWD)、平均肺動脈圧(mPAP)、最低安静時酸素飽和度(SpO2)、複合生理学指数(CPI)、セントジョージ呼吸器質問票スコア(SGRQ)、および遷移呼吸困難指数(TDI)スコアなどの、IPF重症度を反映するものなどの、IPFのベースライン量、処置への応答性、ならびに/または疾患もしくは疾患重症度の他のバイオマーカーなどの、他の測定値に関連してLOXL2レベルを決定することによって実行される。したがって、予測モデルおよび方法のいくつかの態様において、LOXL2が、疾患重症度もしくは機能的ステータスおよび/または他のバイオマーカーの量と統合される、IPF疾患転帰のバイオマーカーである。
診断方法、予後判定方法、および予測方法についての統計分析
いくつかの実施例において、統計分析は、LOXL2レベルおよび他の測定量(determinations)に基づいて実行される。一実施例において、LOXL2のレベルが、たとえば、LOXL2の非変換またはlog10x変換レベルを評価するために標準的なヒストグラムを使用して評価される。統計分析は、平均値、たとえば、個々のサンプルおよび/または患者についてのLOXL2発現レベルおよび/またはベースライン変数についての幾何平均または中央値などの、様々な値を決定することならびに様々なサンプルまたは状態の間の標準偏差および倍数変化を計算することならびにたとえば、ベースライン変数およびLOXL2発現レベルの分布を比較するために使用されてもよいstudentのt検定などの、多くのよく知られている検定のいずれかを使用して、発現レベルおよび/または他の変数を比較することを含むことができる。
いくつかの態様において、Pearsonの相関(PC)が、LOXL2発現レベルおよび本明細書において記載されるようなベースラインIPF変数(複数可)などの他の変数の間のなどの、値のペアの間の直線関係(相関)を評価するために使用される(たとえばPC係数を計算することによって)。そのような分析は、個々のペアの変数(実施例9において示されるように、個々のマトリックスのx−およびy−軸上にプロットされる)についてのPC係数を計算することによって、発現パターンにおける分布を直線的に分離するために使用することができる。
予測モデリング
いくつかの実施形態において、予測方法が、統計分析のさらなる使用ならびに予測モデルおよびシステムの使用をさらに含む。いくつかの態様において、そのようなモデルおよびシステムが、LOXL2レベルならびに典型的に、疾患重症度を示す変数および他のバイオマーカーなどの他の情報に基づいて、疾患転帰、エンドポイント、応答性、および/またはイベントを予測するために使用される。たとえば、生存モデルは、LOXL2レベルならびに他の共変数(covariate)および1つ以上のイベント、エンドポイント、または疾患転帰、たとえばIPF転帰(複数可)などの転帰ならびに1つ以上の処置への応答性の間の関係を調査するために使用されてもよく、そのようなモデルは、特定の患者が、イベント、エンドポイント、もしくは転帰を有する確度またはそのような転帰が、特定の時間内に起こる確度を予測するために使用されてもよい。
そのような一実施例において、Cox比例ハザードモデリング、たとえばステップワイズCox比例ハザードモデリングが、LOXL2レベル(ならびに必要に応じて、本明細書において記載されるベースラインIPF変数などの他の共変数および他の疾患バイオマーカーなどの、疾患転帰と関連し得る他の変数)ならびにIPF転帰などの転帰の間の関係を調査するために実行される。よく知られている統計的方法を使用して、ハザード比(HR)が、計算され、共変数、たとえばLOXL2レベルおよび被験体の転帰、エンドポイント、またはイベントの間の関係を示す。したがって、いくつかの態様において、提供される方法が、LOXL2レベルおよび他の共変数についての値に基づいて、個々の患者における、転帰、エンドポイント、および/またはイベント、たとえばIPF疾患転帰を予測するためにそのようなモデルを使用するステップを含む。一実施例において、モデルが、LOXL2レベル(たとえば「高い」LOXL2レベルの存在もしくは非存在)、6MWD、および/またはCPIを含む。
そのようなモデリングにおいて使用されるIPF転帰、イベント、およびエンドポイントは、IPF疾患増悪、肺機能低下、呼吸器系の入院、および死などの、IPF臨床試験または処置レジメンにおいて典型的に特定される任意のエンドポイントなどの、疾患増悪または重症度を示すエンドポイントまたはイベントを含む。いくつかの態様において、疾患増悪が、以下のうちの1つとして定められる複合エンドポイントを示す:あらゆる原因由来の死亡率、呼吸器系の入院、または一酸化炭素の肺拡散能(DLCO)における5%の減少を伴う、努力肺活量(FVC)における10%の減少もしくはFVCにおける5%の減少を伴うDLCOにおける15%の減少として定義される肺機能の無条件の減少。肺機能エンドポイントは、肺機能検査を使用して決定されてもよい。いくつかの実施例において、少なくとも2つの試験が使用され、少なくとも4週間の間隔で、行われる。他の例示的なエンドポイントは、すべての原因の死亡率、移植なしの生存、および死である。転帰は、そのようなエンドポイントに到達する前に経過する時間として定めることができる。
受診者動作特性(ROC)曲線は、システムの感度対特異度を評価するために使用されてもよい。曲線下面積(AUC)は、よく知られている方法を使用して計算される。
予測モデルのいくつかの実施例において、LOXL2が、たとえば、特定の閾値量、たとえば0.05未満のP値に基づいて、たとえば、95%信頼区間などの特定の信頼区間(CI)および信頼レベルで、疾患増悪などの、1つ以上の転帰またはイベントと有意に関連する。ハザード比は、高いLOXL2レベルなどの、所定の共変数について、特定の転帰の危険性における倍数変化を決定するために使用されてもよい。いくつかの態様において、所定のLOXL2レベルが、疾患増悪、入院、肺機能における減少、または本明細書において記載される他の転帰などの、特定の転帰の発生における、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、または7倍の危険性と関連する、たとえば、統計的に有意に関連する。危険性における倍数変化は、たとえば、LOXL2のレベルが上昇していない被験体または「低い」LOXL2レベルを有する被験体などの、正常な被験体に対する比較の点から表現することができる。一実施例において、LOXL2レベル、たとえば「高い」LOXL2レベルが、6MWDおよびCPIなどの他の共変数がモデルに含まれる場合、転帰、たとえば疾患増悪と統計的に有意に関連する。
キットおよびアッセイデバイス
本開示は、循環LOXL2について対象のアッセイを実行するためのキットおよびアッセイデバイスを提供する。
いくつかの実施形態において、対象のキットが、a)LOXL2に対して特異的な第1の抗体;およびb)LOXL2に対して特異的な第2の抗体を含む。いくつかの場合において、第1の抗体が、ポリクローナルLOXL2−特異的抗体であり、第2の抗体が、モノクローナルLOXL2−特異的抗体である。他の場合において、第1の抗体が、モノクローナルLOXL2−特異的抗体であり、第2の抗体が、モノクローナルLOXL2−特異的抗体である。他の場合において、第1の抗体が、ポリクローナルLOXL2−特異的抗体であり、第2の抗体が、ポリクローナルLOXL2−特異的抗体である。第1の抗体および/または第2の抗体が、いくつかの場合において、検出可能な標識を含む。いくつかの場合において、第1の抗体も第2の抗体も、検出可能な標識を含まない。
第1の抗体が、いくつかの実施形態において、不溶性支持体に固定される。その代わりに、不溶性支持体は、キットと共に提供され、ユーザは、不溶性支持体上への第1の抗体の固定を行なう。したがって、いくつかの場合において、対象のキットが、a)LOXL2に対して特異的な第1の抗体;b)LOXL2に対して特異的な第2の抗体;およびc)不溶性支持体を含む。不溶性支持体は、上記に記載されるように、様々な物質および様式のいずれかにおいて提供することができる。たとえば、いくつかの実例において、不溶性支持体が、プラスチックマルチウェルプレート、試験ストリップ、またはディップスティックである。
上記に述べられるように、いくつかの実例において、第1の抗体も第2の抗体も、検出可能な標識を含まない。これらの場合において、検出可能な標識を含み、第2の抗体に結合する第3の抗体が、提供されてもよく、そのような抗体は、一般に、二次抗体と呼ばれる。検出可能な標識は、たとえば化学発光剤、微粒子標識、比色剤、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、または放射性同位体とすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、対象のキットが、a)LOXL2に対して特異的な第1の抗体;b)LOXL2に対して特異的な第2の抗体;およびc)第3の抗体を含み、第3の抗体が、検出可能な標識を含み、第2の抗体に結合する。いくつかの場合において、対象のキットが、a)LOXL2に対して特異的な第1の抗体;b)LOXL2に対して特異的な第2の抗体;c)第3の抗体であって、検出可能な標識を含み、第2の抗体に結合する第3の抗体;ならびにd)不溶性支持体を含む。不溶性支持体は、上記に記載されるように、様々な物質および様式のいずれかにおいて提供することができる。たとえば、いくつかの実例において、不溶性支持体が、プラスチックマルチウェルプレート、試験ストリップ、またはディップスティックである。
対象のキットは、標準曲線を生成するのに使用するための精製LOXL2をさらに含むことができる。
対象のキットは、1つ以上のさらなる成分、たとえばバッファー;プロテアーゼ阻害剤;検出可能な標識;洗浄試薬;ブロッキング剤などをさらに含むことができる。キットの様々な成分は、別々の容器に存在してもよいまたはある適合性の成分は、所望されるように、単一の容器中にあらかじめ組み合わせられていてもよい。
上記の成分に加えて、対象のキットは、対象の方法を実施するためにキットの成分を使用するための指示を含むことができる。対象の方法を実施するための指示は、一般に、適した記録媒体に記録される。たとえば、指示は、紙またはプラスチックなどの基板に印刷されてもよい。そのため、指示は、添付文書としてキット中に、キットまたはその成分の容器の標識に(すなわち、パッケージまたはサブパッケージと関連する)、などに存在してもよい。他の実施形態において、指示は、適したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、たとえば、コンパクトディスクの読み出し専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ディスケットなどに存在する電子的記憶データファイルとして存在する。さらに他の実施形態において、実際の指示が、キットに存在しないが、たとえばインターネットを介して遠隔の供給源から指示を得るための手段が、提供される。この実施形態の例は、指示を調べることができるおよび/または指示をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。指示と同様に、指示を得るためのこの手段は、適した基板に記録される。
アッセイデバイス
本開示は、個体から得られる液体生物学的サンプルにおけるLOXL2の検出において使用するためのアッセイデバイスをさらに提供する。デバイスは、軸流路を定めるマトリックスを含むことができる。
マトリックスは、i)液体サンプルを受け入れる流路の上流の端にサンプル受け入れゾーン;ii)流路内に、かつサンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上の試験ゾーンであって、1つ以上の試験ゾーンのそれぞれが、試験ゾーンのそれぞれにおいて固定されたLOXL2に特異的な抗体を含み、固定された抗LOXL2/LOXL2複合体を形成する、1つ以上の試験ゾーン;およびiii)流路内に、かつサンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上のコントロールゾーンであって、1つ以上のコントロールゾーンが、陽性および/または陰性コントロールを含むことができる、1つ以上のコントロールゾーンを含むことができる。試験ゾーンおよびコントロールゾーンは、任意のコントロールゾーンの上流に位置する試験ゾーンから始まる流路内に交互の様式で位置することができる。
マトリックスは、i)液体サンプルを受け入れる流路の上流の端にサンプル受け入れゾーン;ii)流路内に、かつサンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上の試験ゾーンであって、1つ以上の試験ゾーンのそれぞれが、LOXL2に特異的な抗体を含み、抗LOXL2/LOXL2複合体を形成する、1つ以上の試験ゾーン;およびiii)流路内に、かつサンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上のコントロールゾーンであって、1つ以上のコントロールゾーンが、陽性および/または陰性コントロールを含むことができる、1つ以上のコントロールゾーンを含むことができる。試験ゾーンおよびコントロールゾーンは、任意のコントロールゾーンの上流に位置する試験ゾーンから始まる流路内に交互の様式で位置することができる。いくつかの実施形態において、LOXL2に対して特異的な抗体が、固定されず、抗LOXL2抗体が、サンプル中に存在する任意のLOXL2に結合する場合、抗LOXL2抗体/LOXL2複合体が、移動可能である。たとえば、第1の試験ゾーンにおいて形成される抗LOXL2抗体/LOXL2複合体は、それが、固定された抗LOXL2抗体を含む第2の試験ゾーンに入るように、移動性を持たせることができ、抗LOXL2抗体/LOXL2複合体が、固定された抗LOXL2抗体に結合し、固定された抗LOXL2抗体/LOXL2複合体を形成する。
そのようなアッセイデバイスを使用する際に、いくつかの実施形態において、LOXL2に対して特異的な標識抗体が、液体サンプルが、デバイスのサンプル受け入れゾーンに適用される前に、液体サンプルと最初に混合することができ、そのような混合が、標識抗体/LOXL2複合体をもたらす。これらの実施形態において、標識抗体/LOXL2複合体を含む液体サンプルが、アッセイデバイスのサンプル受け入れゾーンに適用される。液体サンプルが試験ゾーンに到達するまで、液体サンプルは、デバイスに沿って流れる。試験ゾーンに存在する抗体は、標識抗体/LOXL2複合体に存在するLOXL2に結合し、その後、検出することができる。
アッセイデバイスは、LOXL2に対して特異的な標識抗体を含む標識ゾーンをさらに含むことができ、標識抗体が、固定されたLOXL2/抗LOXL2抗体複合体に存在するLOXL2に結合することができ、標識LOXL2/抗LOXL2抗体複合体を形成し、標識抗体が、液体サンプルの存在下で移動可能である。そのようなアッセイデバイスを使用する際に、LOXL2を含み得る液体サンプルは、デバイスのサンプル受け入れゾーンに適用され、標識ゾーンに存在する抗LOXL2抗体は、LOXL2に結合し、標識抗体/LOXL2複合体を形成し、これは、標識抗体のように、移動可能であり、液体サンプルが試験ゾーンに到達するまで、標識抗体/LOXL2複合体は、デバイスに沿って(alone the device)流れる。試験ゾーンに存在する抗LOXL2抗体は、標識抗体/LOXL2複合体に存在するLOXL2に結合し、その後、検出することができる。
その代わりに、アッセイデバイスは、抗LOXL2抗体に対して特異的な標識抗体を含む標識ゾーンを含むことができ、標識抗体が、試験ゾーン(複数可)において形成される任意の抗LOXL2抗体/LOXL2複合体に結合する。いくつかの場合において、標識抗体が、移動可能である。
標識抗体は、化学発光剤、微粒子標識、比色剤、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、または放射性同位体などの標識を含むことができる。
コントロールゾーンは、陽性コントロールゾーンおよび陰性コントロールゾーンを含む。
マトリックスは、一般に、不溶性支持体であり、適した不溶性支持体が、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、セルロース、ニトロセルロース、ナイロンなどを含むが、これらに限定されない。マトリックスは、可撓性とすることができる、または比較的非可撓性とすることができる。マトリックスは、支持体および必要に応じてカバーを含むハウジング内に位置し、ハウジングが、適用開口部および1つ以上の観察窓を含有する。アッセイデバイスは、様々な様式、たとえば試験ストリップ、ディップスティックなどのいずれかとすることができる。
以下の実施例は、本発明者らが本発明と見なすものの範囲を限定するように意図されず、それらは、下記の実験が、実行したすべてのまたはわずかな実験であるということを示すようにも意図されない。使用される数(たとえば量、温度など)に関して正確度を確実にするための努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差については、説明されるはずである。別段示されない限り、一部は、重量による一部とし、分子量は、平均分子量とし、温度は、摂氏度とし、圧力は、大気圧またはその付近とする。標準的な略語、たとえば、bp、塩基対(複数可);kb、キロベース(複数可);pl、ピコリットル(複数可);sまたはsec、秒(複数可);min、分(複数可);hまたはhr、時間(複数可);aa、アミノ酸(複数可);kb、キロベース(複数可);bp、塩基対(複数可);nt、ヌクレオチド(複数可);i.m.、筋肉内(筋肉内に);i.p.、腹腔内(腹腔内に);s.c.、皮下(皮下に);などが、使用されてもよい。
実施例1:ヒト血清または血漿サンプル中のLOXL2を検出するためのイムノアッセイ
材料および方法
抗体
ウサギポリクローナル抗体(「ウサギA」)は、組換え精製完全長LOXL2タンパク質に対して産生され、この抗体は、LOXL2のすべてのドメインにおける複数のエピトープを認識する。マウスモノクローナル抗体、AB0030は、LOXL2の触媒ドメインに結合し、完全長LOXL2タンパク質および成熟LOXL2タンパク質(SRCR2およびSRCR3のドメインの間で切断される)の両方を認識する。
MSDプラットフォームでのLOXL2イムノアッセイ
MesoScale Discovery(MSD)(cat #L15XA−3)からの標準的なシングルスポット非コーティング電極プレートを、リン酸緩衝食塩水(PBS)で調合した3μg/mlウサギ抗ヒトLOXL2ポリクローナル抗体の30μl容量の溶液により、4℃で一晩、コーティングした。コーティングの後に、プレートのウェルは、PBS中5%(w/v)Blocker A(MSD cat#R93AA−1)の溶液の添加によってブロッキングした。ブロッキングステップの後に、プレートは、自動化プレート洗浄機を使用して、0.05% Tween−20非イオン性界面活性剤を含有するPBSで3回洗浄した。試験されるべきヒトサンプル(血清または血漿)は、それらをPBSで1:4(血清1の割合にPBS3の割合)に希釈することによって別々に調製した。その後、サンプルを、プレートのそれぞれのウェルに添加した。サンプルは、室温で、2〜3時間、回転振盪しながら(300〜600rpm)インキュベートした。サンプル結合の後に、プレートは、自動化プレート洗浄機を使用して、0.05% Tween−20界面活性剤を含有するPBSで3回、再度洗浄した。
一次抗体(AB0030)は、LOXL2触媒ドメインに結合するマウス抗ヒトLOXL2モノクローナル抗体である。PBS中の2%(w/v)Blocker A中1μg/ml AB0030の溶液を、それぞれのウェルに添加し、プレートは、その後、室温で、1時間、回転振盪しながら(300〜600rpm)インキュベートした。AB0030結合の後に、プレートは、自動化プレート洗浄機を使用して、0.05% Tween−20界面活性剤を含有するPBSで3回、再度洗浄した。
二次抗体は、SulfoTag色素(MSD cat#R32AC−5)にコンジュゲートされたヤギ抗マウス−IgG分子である。PBS中の2%(w/v)Blocker
A中1μg/ml二次抗体の溶液を、それぞれのウェルに添加し、プレートは、室温で、1時間、回転振盪しながら(300〜600rpm)インキュベートした。二次抗体結合の後に、プレートは、自動化プレート洗浄機を使用して、0.05% Tween−20界面活性剤を含有するPBSで3回洗浄した。
界面活性剤ありの1×Read Buffer T(MSD cat#R92TC−2)を、それぞれのウェルに添加し、その後、MSD SectorImager 2400機器でプレートを即時、測定した。
正常な健康なドナーからプールしたヒト血清または血漿に既知濃度で添加した精製組換えヒトLOXL2タンパク質(R&D Systems)から構成される同じアッセイプレートについてのキャリブレータ曲線に対する比較によって、試験ヒトサンプルに、LOXL2の相対的な定量的値を与えた。キャリブレータ曲線フィッティングおよび未知サンプル補間(interpolation)は、標準的な技術を使用して実行した。
標準的な様式を使用するLOXL2イムノアッセイ
Costar 3922高結合マルチウェルプレートを使用した。ウサギポリクローナル抗体(Ab)(ウサギ「A」)は、CB2コーティングバッファー(Immunochemical Technologies CB2(6248))で0.625μg/mlまで希釈した。希釈ポリクローナルAbを、50μl/ウェルの容量でプレートのウェルに添加し、プレートを4℃で一晩保った。ポリクローナル抗体によりウェルをコーティングした後に、ウェルは、室温(RT)で、1〜3時間、200μl/ウェルのBB1ブロッキング溶液(Immunochemical Technologies 製品#640)によりブロッキングした。ブロッキングの後に、プレートは、ウェル当たり200μlのPBS−T(0.05% Tween 20を含有するPBS)を使用して、3回洗浄した。
25μl HiSpec希釈剤(AbD Serotec BUF049B)を、それぞれのウェルに添加した。等容量の試験血清を、その後、それぞれのウェルに添加し、プレートを2時間、室温で保った。血清サンプルを結合させた後に、プレートを3回洗浄した。
一次抗体(AB0030)を、PBS−T+0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)で5μg/mlまで希釈し、50μlの希釈した一次抗体を、それぞれのウェルに添加した。プレートは、1時間、室温で保ち、その後、PBS−Tにより3回洗浄した。二次抗体(ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ヤギ抗マウス抗体、Jackson Immunoresearch、0.8mg/ml)を、PBS−T+0.5%
BSAで1:10,000に希釈した。50μlの希釈した二次抗体を、それぞれのウェルに添加した。プレートは、1時間、室温で保ち、その後、PBS−Tにより3回洗浄した。
実施例2:慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を有する患者における肝線維症の評価のための血清LOXL2測定値
免疫組織化学的検査(IHC)による線維症性肝組織の分析は、線維芽細胞、新血管系(neovasculature)、炎症細胞、および肝細胞から構成される線維形成境界面(fibrogenic interface)での局所的なLOXL2発現を明らかにし、LOXL2が、活動性線維形成疾患と関連することを示唆した。線維症性肝疾患との血清LOXL2の関係をさらに探索するために、実施例1において記載されるLOXL2に特異的なELISAを使用した。血清サンプルは、肝生検とともに、慢性HCV感染症を有する87人の患者から収集した。LOXL2ならびに確立されたバイオマーカー、ヒアルロン酸(HA)およびメタロプロテイナーゼ−1の組織阻害剤(TIMP1)の血清レベルを、イムノアッセイによって測定し、肝線維症の組織学的ステージを、Ishakスコアリングシステムを使用して、それぞれの生検について評価した。別々に、30人以上の健康なドナーからの血清サンプルもまた、収集し、血清LOXL2レベルについて評価した。血清バイオマーカーと線維症スコアとの間の相関は、線維症スコアによって区分けした(binned)サンプルについて、ANOVA検定およびMann−Whitney U検定を使用して研究した。
結果
結果を図1および2に示す。LOXL2タンパク質は、慢性HCV感染症を有する患者の83%の血清において検出されたが、いかなる正常な健康なドナーからの血清においては検出されなかった。HA、TIMP1、およびLOXL2の血清レベルと線維症のステージとの間に正の相関があった。血清結果は、非感染または健康な個体由来のサンプルにおける低いまたは検出不可能なレベルと比較して、活動性線維症のエリアにおける高レベルのLOXL2タンパク質を明らかにしたIHC分析と一致していた。
実施例3:IPF患者における血清LOXL2
特発性肺線維症(IPF)の診断を有する15人の患者の血清サンプルを、LOXL2について試験した。結果を図3に示す。個々の患者識別番号を示す。試験した15人の患者のうちの10人が陽性であり、他の5人は、検出限界未満であった、そしてその5人は「検出されず」と報告される。年齢が一致する正常被験体もまた、試験し、すべて、血清LOXL2について陰性であった(「検出されず」;検出限界未満)。
実施例4:がん患者における血清LOXL2
がんに対し抗LOXL2(AB0024)抗体により処置している8人のがん患者について研究した。患者識別(「Pt ID」);がん診断;抗LOXL2抗体の用量レベル;無増悪期間;および元の原発性腫瘍または関係するサンプルから単離した固定組織のサンプル(約5μm切片)において免疫組織化学的検査によって検査したLOXL2発現を、下記の表1に提供する。
血液サンプルは、抗LOXL2処置を始めた1日目(サンプルは、抗LOXL2処置前に得た)ならびに抗LOXL2処置を始めた後の29日目および57日目に得た。
結果
LOXL2は、入手可能なすべての時点で、8人の患者のうちの8人の血漿および8人の患者のうちの5人の血清サンプルにおいて検出された。AB0024投与により、LOXL2シグナルは消えなかったまたは阻止されなかった。
実施例5:慢性HCV感染症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)1、およびアルコール性脂肪性肝炎(ASH)を有する患者由来の肝組織におけるLOXL2発現
免疫組織化学的(IHC)染色は、慢性HCV感染症を有する患者由来の肝組織におけるLOXL2発現を実証した。急速凍結した(snap−frozen)ヒト組織サンプルを、Cureline(Burlingame、CA)およびAsterand(Detroit、MI)から得、連続切片を抗LOXL2により染色した。
結果
慢性HCV感染症を有する患者から得られた切片からの結果を図6に示す。この図はこの患者の肝組織におけるLOXL2タンパク質発現を示す。図6の左のパネル(5×対物レンズ倍率)において、黒色の矢印は、門脈領域および門脈路への線維性の拡大についてのエリアを示す。白色の矢印は、肝小葉を囲む短い線維性の隔壁についてのエリアを示す。図6の右のパネル(40×対物レンズ倍率)は、類洞周囲腔(矢印)内の肝細胞(H)との境界面の線維性の隔壁(S)において、および肝実質(矢印)内の筋線維芽細胞において、観察されるLOXL2免疫反応性を示す。結果は、本研究において、LOXL2が、慢性HCV感染症を有する患者の肝組織において発現され、発現が、提供されるアッセイの実施形態によって測定可能であることを示す。他のIHC研究において、健康な肝臓ではなく、NASH、HCV関連性の線維症、およびASHにおける活動性疾患境界面での肝組織におけるLOXL2発現の強力な局在(データ示さず)。
実施例6:ヒト血清マトリックスにおけるLOXL2イムノアッセイについてのキャリブレータ標準物質
実施例1において記載されるLOXL2イムノアッセイ(MesoScale Discoveryプラットフォームで展開したサンドイッチイムノアッセイ)を使用すると、LOXL2は、健康な個体由来の血清において検出されなかった。キャリブレータ曲線を生成するために、精製した組換え完全長LOXL2タンパク質を、プールした正常ヒト血清に添加し、その後、血清で段階希釈を行なった。
結果
結果を図7に示す。データポイントはそれぞれ、3つの反復ウェルの平均値を示し、4つの独立したプレートについての曲線を示す。
表2は、ヒト血清マトリックスにおけるキャリブレータ標準物質の特徴を示す。表2において、検出の下限値(LLOD)は、ブランクウェルの平均値+2.5*標準偏差(stdev)であり(生の値、外挿)、定量の下限値(LLOQ)は、生の測定値に対して相対誤差<30%および変動係数<30%である、最低濃度のキャリブレータ標準物質(the lowest calibrator standard)である。アッセイ内およびアッセイ間の精度は、実試料(incurred sample)を使用して決定した。
実施例7:軽度〜中程度の肝線維症を有する被験体と比較した、肝硬変を有する被験体における血清LOXL2レベルの増加
患者血清サンプルは、臨床試験のプラセボ群に登録された慢性C型肝炎感染症を有する26人の成人から収集した。被験体は、Ishak線維症スコアによって群分けした(1〜3:軽度〜中程度の線維症;5〜6:硬変)。被験体の人口統計学的特徴を、表3に示す。
血清サンプルは、研究のベースラインに関連して6つの時点で採取した:4、8、16、24、26、および30週目。ペアの肝生検(スクリーニングおよび24週目)を、盲検方式で、主要な病理学者(central pathologist)によって評価させた。Manns M、Palmer R、Flisiak Eら、J Hepatology. 2011, 54 Supplement 1:S55−S56を参照されたい。血清LOXL2は、実施例1において記載されるLOXL2イムノアッセイ(MesoScale Discoveryプラットフォームで展開したサンドイッチイムノアッセイ)を使用して測定した。
統計分析のために、被験体は、Ishak線維症スコアによって群分けした(1〜3:軽度〜中程度の線維症;5〜6:硬変)。本研究における被験体は、4のベースラインIshak線維症スコアを有するようには観察されなかった。定量のアッセイ下限値(LLOQ)未満の検出可能なLOXL2を有する血清サンプルをLLOQに設定した。バイオマーカーレベルにおける差異を、記述的にかつグラフで要約した。95%信頼区間(CI)は、群当たりの観察されたサンプルサイズにより、復元抽出法を使用して、中央値の10,000回のブートストラップを通して構築した。P値は、時点内の群を比較する場合には、Wilcoxon順位和検定を使用し、すべての時点にわたって群を比較する場合には、被験体内ランダム要因(within−subject random effect)と共に反復測定線形モデル(repeated measures linear
model)によって計算した。
結果
図8は、区分けしたベースラインIshak線維症スコアおよび時間によるLOXL2血清レベルを示す。パネルはそれぞれ、Ishak線維症スコア(それぞれ1〜3および5〜6)に従って群分けした2つの群の患者についてのLOXL2濃度(pg/mL)を、示す時点(4、8、16、24、26、30週目)について示す。プロット範囲外のLOXL2濃度を有する3つの域外値(LOXL2濃度=5529、6621、および8845pg/ml)はすべて、5のIshak線維症スコアを有する同じ被験体由来のものであった。
図9は、Ishak線維症スコア(それぞれ1〜3および5〜6)に従って群分けした患者の2つの群について、4〜30週目にわたるLOXL2血清濃度中央値として計算した、被験体内LOXL2血清レベル中央値を示す。平均被験体内変動係数は、22%であった。
図10は、95%信頼区間での、区分けしたベースラインishak線維症スコアによる、経時的な(週間)、LOXL2血清濃度中央値(pg/mL)を示す。1人の被験体のみが、研究生検の間の25〜28週にわたってIshak線維症スコアにおける2以上の変化を有した。
表4は、軽度〜中程度の肝線維症を有する被験体と比較した、肝硬変を有する被験体における増加についての統計的有意差を示すp値と共に、それぞれの時点についてのLOXL2濃度中央値(pg/mL)を示す。
これらの結果は、LOXL2タンパク質の血清濃度を測定するための、提供されるイムノアッセイの実施形態の能力を確認するものである。結果はまた、本研究において、血清LOXL2タンパク質レベルが、軽度〜中程度の肝線維症を有する被験体と比較して、肝硬変を有する被験体において有意に増加したことおよびその増加が、提供されるアッセイの実施形態を使用して血清において測定可能であることを実証する。
実施例8:慢性HCV感染症を有する被験体における血清ヒアルロン酸、TIMP1レベルと相関する血清LOXL2レベル
イムノアッセイおよび統計分析は、実施例7におけるように実行した。さらに、ヒアルロン酸(HA)およびTIMP1は、市販のイムノアッセイキットを使用して測定した。バイオマーカー(LOXL2およびHAまたはTIMP1)の間の関連性は、Spearmanの順位相関を使用して評価した。
結果
図11は、示されるIshakスコア(1〜6)を有する被験体についての、LOXL2の被験体内レベル中央値対ヒアルロン酸(HA)(左のパネル)およびメタロプロテイナーゼ−1の組織阻害剤(TIMP1)(右のパネル)のレベル中央値を示す。被験体内発現中央値は、4〜30週目にわたる発現中央値として計算した。曲線は、局所重み付き散布図平滑化を使用して構築した。
これらの結果は、本研究において、提供されるイムノアッセイの実施形態を使用して測定されるように、血清LOXL2レベルが、血清HAおよびTIMP1レベルと相関していたことを実証するものである。
実施例9:IPF患者におけるLOXL2ベースラインレベル
A. ARTEMIS−IPF患者
血清サンプルは、ARTEMIS−IPF治験に参加している被験体から収集した。これは、ランダム化、二重盲検、プラセボコントロール、イベントドリブン試験(event−driven trial)であった。被験体は、ET受容体の選択的なアンタゴニストであるアンブリセンタンまたはプラセボを受けるように2:1の比にランダム化した。この研究は、あまりにも早く終結し、660人の被験体が登録された。
IPF重症度および機能的ステータスを反映するベースライン変数を収集した。ベースライン変数は、予測努力肺活量(FVC)のパーセント、予測一酸化炭素拡散能(DLCO)のパーセント、6分間の歩行距離(6MWD)、平均肺動脈圧(mPAP)、最低安静時酸素飽和度(SpO2)、複合生理学指数(CPI)、セントジョージ呼吸器質問票スコア(SGRQ)、および遷移呼吸困難指数(TDI)スコアを含んだ。mPAPは、右心カテーテル法を介して得、これは、ベースラインにあるすべての研究被験体について必要とされた。CPIは、患者の胸のコンピュータ断層撮影スキャンで認められた線維症の程度を評価するための、FVC、努力呼気一秒量(FEV)、およびDLCOを組み込む検証された多次元のモデルであった。プライマリーエンドポイントは、IPF疾患増悪までの時間とし、複合エンドポイントは、以下のうちの1つとして定義した:あらゆる原因由来の死亡率、呼吸器系の入院、または一酸化炭素の拡散能(DLCO)における5%の減少を伴う、努力肺活量(FVC)における10%の減少もしくはFVCにおける5%の減少を伴うDLCOにおける15%の減少として定義される、肺機能の無条件の減少。肺機能エンドポイントは、少なくとも4週間の間隔で行った2つの肺機能検査によって確認した。
LOXL2のベースラインレベルは、実施例1において記載される抗LOXL2抗体を使用し、MesoScale Discoveryプラットフォームで展開したイムノアッセイを使用して、三連で定量化した。
標準的なヒストグラムは、非変換およびlog10X変換LOXL2ベースラインレベルを評価するために使用した。Studentのt検定は、ベースライン変数の分布を比較するために使用した。Pearsonの相関係数は、LOXL2ベースラインレベルおよびベースライン変数の間の関係を検査するために使用した。ステップワイズCox比例ハザードモデリングは、LOXL2ベースラインレベルおよびIPF転帰の間の関係を検査するために使用した。受診者動作曲線は、曲線下面積を推定するために使用した。
結果
処置を意図したコホートにおける69人の被験体由来の血清サンプルが、分析に利用可能であった。血清サンプルが利用可能でなかったARTEMIS−IPFからの423人の被験体と比較して、IPF重症度または機能的ステータスのベースライン量において統計的有意差はなかった(表5)。しかしながら、69人の被験体の中で、アンブリセンタンおよびプラセボ処置群と比較すると、IPF重症度および機能的ステータスのベースライン量において統計的有意差があった(表6)。アンブリセンタン群における被験体は、より低いベースラインDLCO(p=0.035)、より低いベースライン6MWD(p=0.004)、より高いベースラインmPAP(p=0.016)、より高いベースラインCPI(p=0.05)、およびより高いベースラインSGRQ(p=0.011)を有した。平均ベースラインLOXL2レベルは、アンブリセンタン被験体についてより高かった(p=0.026)。
LOXL2ベースラインレベルの分布の分析は、約88pg/ml未満のLOXL2レベルを有する8人の被験体、約88〜約440pg/mLのLOXL2レベルを有する34人の被験体、および約440pg/mlを超えるLOXL2レベルを有する28人の被験体を示した。LOXL2レベル中央値は、約147pg/ml〜約770pg/mlの四分位数間範囲を有する約325pg/mlであり、最小値が約18pg/mlであり、最大値が約5,400pg/mlであった。
Pearsonの相関係数に基づいて、相関は、LOXL2ベースラインレベルとIPF重症度および機能的ステータスのこれらのベースライン量との間で弱かった。図12は、LOXL2ベースラインレベルとFVC、DLCO、6MWD、CPI、SGRQ、およびTDIとの間の関係を示す散布図マトリックスを示す。LOXL2とベースライン重症度量との間の相関は、パネル(a)および(b)の上部の列の黒いボックス内で強調した。LOXL2と個々のベースライン重症度量との間の相関係数は、以下のとおりであった:−0.21(FCV)、−0.11(DLCO)、0.03(6MWD)、0.10(mPAP)、−0.07(SpO)、0.14(CPI)、0.06(SGRQ)、および−0.05(TDI)。LOXL2ベースラインレベルのLog10X変換により分布が正規化されたが、LOXL2とIPF重症度および機能的ステータスのベースライン量との間の相関は、弱いままであった(図12b)。
大多数のベースラインLOXL2レベルが約800pg/ml未満であったことを考慮して、LOXL2ベースラインレベルを、残りの分析について、≦800pg/ml(「低い」)対>800pg/ml(「高い」)として二種類に分けた。約440pg/mlを超えるLOXL2ベースラインレベルを有する28人の被験体のうち、12人が、約440〜800pg/mLの低いLOXL2ベースラインレベルを有し、低い群に群分けされ、16人が、800pg/mLを超えるLOXL2ベースラインレベルを有し、高い群に群分けされた。
「高い」および「低い」LOXL2ベースラインレベルの群の間の疾患増悪の比較を図13に示す。プラセボ群において「高い」LOXL2ベースライン系(baseline
line)を有する患者が2人しかいなかったので(どちらもいかなるイベントも有しなかった)、図13は、アンブリセンタン群における「低い」および「高い」LOXL2ベースラインレベルのみを比較する。結果は、高いLOXL2ベースラインレベルが、より多くの疾患増悪イベントと関連すること(図13a)、ならびに、高いLOXL2ベースラインレベルが、より多くの肺機能低下イベントと(図13b)、より多くの呼吸器系の入院と(図13c)、およびより多くの死と(図13d)関連することを示した。
さらに、表7において示されるように、Cox比例ハザードモデリングは、高いLOXL2ベースラインレベルの存在が、疾患増悪についての危険性における5倍の増加(ハザード比[HR]4.95、95%信頼区間[CI]1.52〜16.18、p=0.008)、肺機能低下についての危険性における7倍の増加(HR 7.36、95%CI 1.16=46.74、p=0.034)、および呼吸器系の入院についての危険性における5倍の増加(HR 4.85、95%CI 1.09〜21.68、p=0.039)と関連したことを示した。これらの統計モデルはすべて、処置割り付けならびにベースライン6MWDおよびCPIスコアについて調整した(adjusted)。高いベースラインLOXL2レベルは、死についての危険性における有意な増加と有意に関連しなかった(HR 1.59、95%CI 0.24〜10.53、p=0.633)。
サンプルはまた、MMP7、ICAM1、IL8、VCAM1、およびS100A12のレベルについても分析した。これらのタンパク質のどれも、処置転帰と有意に関連しなかった。結果は、高いベースラインLOXL2レベルが、死ではなくIPF疾患増悪についての危険性における5〜7倍の増加と関連したことを示した。
B.GAPコホートIPF患者
血清LOXL2レベルは、第2臨床IPF前向き追跡調査研究における被験体において評価し、これにより、他の肺の病気についての病歴を有しなかった111人のIPF被験体(GAPコホートと見なされる)における疾患増悪を評価した。GAPコホート被験体はすべて、ATS/ERSガイドラインに従ってIPFと診断され、55歳を超える、明確な病因を伴わない患者において、外科的な肺生検または胸膜下の蜂巣変化、牽引性気管支拡張症(traction bronchiectasis)、および最小肺胞充満(minimal alveolar filling)のX線撮影所見によって確認された。肺機能試験は、予測された40〜70%の努力肺活量を明らかにした。被験体は、臨床施設の継続している医療および追跡調査をすべて受けることができた。
最初の訪問時に、参加者はそれぞれ、採血、肺機能試験、6分間の歩行試験(6MWT)、心エコー図、およびCTスキャンならびに患者がどのように感じているかを測定するようにデザインされたいくつかの質問表を受けた。3〜8か月の間隔での追跡調査訪問時に、血液サンプルを収集し、PFT、質問表、および6MWTを繰り返した。FVC、FEV1、およびDLCOの中央値は、それぞれ、65.7±17.5%、76.8±18.7%、および47.3±17.9%の予測値であった。
ARTEMIS−IPF被験体について上記に記載されるように、LOXL2のベースライン血清レベルを定量化した。標準的なヒストグラムは、自然対数の形式でLOXL2ベースライン血清レベルを評価するために使用した。180pg/mlのLLODおよび440pg/mlのLLOQが、実験的に決定された。
GAPコホートについてのLOXL2レベルは、回帰法を使用して、自然対数変換した後にARTEMIS−IPFデータに対して標準化した。結果を図14に示す。
すべての原因による死亡までの時間を評価し、肺移植は、死イベントと見なした(ほとんどの肺移植患者は死亡した)。分類木と回帰木(classification and regression trees)(CART)方法を、ベースライン血清LOXL2レベルの二分化のための最適な閾値またはカットオフポイントを選択するための、不偏のアプローチとして適用した。GAPコホートにおいて、Log(LOXL2)が唯一の変数であった場合、CART分析は、カットオフポイントとして440pg/ml(自然対数目盛で6.08)を選択した。
表8Aは、GAPコホートにおける被験体についてのベースラインおよび人口統計学的特徴を示し、表8Bは、このコホートにおける様々なベースライン値の間の相関を示す。
二種類に分けられたLOXL2レベルとすべての原因による死亡率との間の相関は、ベースラインの6(6)か月、12(12)か月、18(18)か月、および24(24)か月後に、Cox比例ハザードモデリングおよびKaplan−Meier生存プロットを使用して評価した。ベースラインLOXL2レベルと入院および肺機能低下との間の相関は、データが入手可能でなかったので、評価されなかった。
ベースラインLOXL2レベルの分布の分析は、ARTEMIS−IPFコホートについて観察されたものと同様に、より低い領域(the lower spectrum)に向かって非対称の分布を示した。ベースラインLOXL2レベル中央値は、716.5pg/mL(四分位数間範囲358.3pg/ml、1446.6pg/ml)であった。相関は、LOXL2と、ベースラインの人口統計およびIPF重症度についてのベースラインの臨床指標との間で弱かった(相関係数は、年齢について−0.07、FVC −0.03、DLCO −0.28)。疾患重症度のさらなる臨床指標は、さらなる分析に入手可能ではなかった。
結果は、閾値440pg/mlのベースライン血清LOXL2レベルが、すべての原因による死亡率についての危険性と相関していたことを示した。血清における440pg/mlよりも高いベースラインLOXL2レベルの存在は、ベースラインの12、18、および24か月後のより多くの死と関連した(図15AおよびB)。
多変量Cox比例ハザードモデリング(共変数は年齢および性別を含んだ)は、440pg/mlよりも高いベースラインLOXL2レベルの存在が、ベースラインの12、18、および24か月後の死についての危険性における2.3倍の増加と関連することを示唆した(表9AおよびBを参照されたい)。
被験体のサブセットについて、さらなる血清サンプルを前向きに収集した。研究の期間にわたって、2(2)つのサンプルを60人の被験体から収集し、3(3)つのサンプルを42人の被験体から収集し、4(4)つのサンプルを31人の被験体から収集し、5(5)つのサンプルを17人の被験体から収集し、6(6)つのサンプルを12人の被験体から収集し、7(7)つのサンプルを7(7)人の被験体から収集し、8(8)つのサンプルを2(2)人の被験体から収集した。サンプルのどれも、急性増悪と関連して収集されなかった。
血清LOXL2レベルとすべての原因による死亡率との間の関係を評価するために、時間依存性の連続変数としてサンプルのそれぞれにおけるLOXL2レベルを組み込む多変量コックス比例ハザードモデリング(年齢および性別を含む共変数あり)を使用した。経時的に測定した血清LOXL2レベルは、死亡率についての危険性と関連した(p=0.003)。GAPコホートにおいて、本研究の間の任意の時間に採取した血清LOXL2レベルにおけるそれぞれの2.7倍の増加について、死亡率についての危険性は、1.63倍、増加した(95%信頼区間1.19〜2.25)。
表10は、ベースライン後の様々な時間での血清LOXL2レベルによる多変量解析の結果を示す。
GAPコホートの結果は、上記に記載されるARTEMIS−IPF研究のものに類似していた。両方の研究は、閾値レベルよりも高いベースライン血清LOXL2レベルがIPF患者において負の転帰の危険性の増加と関連することを示した。
実施例10:慢性B型肝炎(CHB)を有する患者におけるベースライン血清LOXL2レベル
血清LOXL2レベルは、300mgテノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)による処置の前におよび処置の240週間後の両方で、慢性B型肝炎(CHB)および肝線維症を有する被験体において評価した。肝生検は、TDFによる処置の前におよび処置の240週間後に、CHBを有する348人のヒト被験体から採取した。生検は、線維症の評価のためにIshakスケールを使用して病理学者らによってスコア化した。本研究において、被験体の96.3%が、肝線維症における改善を示したまたは進行なしを示した。生検で証明される硬変を有する、本研究を始めた96人の被験体のうち、74%が、処置の240週間後に硬変の後退を有した。
血清LOXL2レベルを、線維症スコアにおける改善を示したいく人かの被験体を含む、348人の被験体のうち81人について、ベースラインの時点および240週目にELISAによって遡及的に評価した。処置後の240週目に、これらの81人の被験体のうちの42人は、硬変後退を有し、16人は、持続性の硬変を有し、2人は、処置の経過にわたって硬変に進行し、18人は、線維症における変化を伴わない非硬変被験体であり、3人は、Ishakによって測定されるように、線維症における少なくとも2ポイントの低下を伴う非硬変被験体であった。
ベースライン血清LOXL2レベルは、81人のCHB被験体のうちの91%においておよび硬変被験体の97%において上昇した。下記に示されるように、硬変を有する患者(Ishakスコア5または6)は、それほど重度ではない肝線維症を有する患者と比較して、ベースラインにおけるLOXL2血清レベル中央値が上昇していた。この観察は、慢性C型肝炎感染症を有する患者において観察されたLOXL2血清レベルに類似している。さらに、組織学研究は、LOXL2タンパク質が活発な線維形成の部位で集中していることを示した(データ示さず)。これらの結果は、硬変を有する患者がなお肝臓における活発な線維形成を受けていることを示唆する。さらに、240週間の処置の経過にわたって、ベースライン硬変を有する60人の患者の72%は、後退または彼らのIshak線維症スコアの改善を示した。さらに、これらの患者は、ベースラインと比較して、240週目に、より低い血清LOXL2レベル中央値を有した。結果は、全体的な線維症および線維形成の両方が抗ウイルス処置によって低下したことを示唆する。
図16Aは、血清LOXL2レベル(pg/mL)が線維症スコアと相関したことを示し、図16Bおよび16Cは、血清ベースラインLOXL2レベル(pg/mL)が、ベースラインIshak線維症スコアと相関したことを示す。処置後の240週間の時点に、血清LOXL2レベル平均値は低下しており、Ishak線維症スコアともはや相関していなかった。表11もまた参照されたい。
図17において示されるように、1〜3のベースラインIshakステージを有する被験体はすべて、1500pg/ml未満の血清LOXL2レベルを有し、4〜6のベースラインIshakステージを有する被験体の49%は、1500pg/mlを超える血清LOXL2レベルを有した。
81人の被験体のうちの79%は、血清LOXL2レベルにおける低下を経験した。被験体の11%(それぞれ定量限界未満のベースラインレベルを有する)は、LOXL2レベルにおける変化を有しなかった。
図18は、以下の群における個々の被験体についてのベースラインおよび240週目の血清LOXL2レベル(pg/mL)を示す:240週目に持続性の硬変を有する被験体(n=16、図18A);240週目までに硬変の逆転を有する被験体(n=42、図18B);週間240週目までに線維症性のステージ(Ishak)における変化を経験しなかった非硬変被験体(n=18、図18C);本研究の過程にわたって硬変までの進行を経験した被験体(図18D);および240週目までに線維症における2ステージ以上の低下を有する非硬変被験体(図18E)。
表12は、240週目に持続性の硬変を有する被験体、240週目に硬変の逆転を有する被験体、および本研究の過程にわたって線維症性の変化における変化を経験しなかった非硬変被験体(「非硬変、Δなし)におけるベースラインおよび240週目の血清LOXL2レベル(pg/mL)を比較する。
表12において示されるように、硬変被験体のうちの88%が、LOXL2レベルが低下した。さらに、ベースライン血清LOXL2レベルは、240週目に持続性の硬変を有した被験体において最も高いということが決定された。
図19は、所定のベースライン血清LOXL2レベル(<1500、>1500、1500〜3000、<3000、および>3000pg/ml)を有する、240週目に、組織学的改善を有することが決定された硬変被験体(「Y」)のパーセンテージならびに同じ所定のベースライン血清LOXL2レベルを有する、240週目に組織学的改善を有しないことが決定された硬変被験体(「N」)のパーセンテージを示す。示されるように、1500pg/ml未満のベースライン血清LOXL2レベルを有する硬変被験体は、88%の率の後退(regression)を有した。1500pg/ml〜3000pg/mlのベースライン血清LOXL2レベルを有する硬変被験体は、70%の率の後退を有していたが、3000pg/mlを超えるベースライン血清レベルを有する硬変被験体は、わずか29%の率の後退しか有しなかった。したがって、硬変患者の間で、1500pg/ml未満のベースライン血清LOXL2レベルは、88%の後退の確度と関連したが、3000pg/mLを超えるベースライン血清LOXL2レベルは、29%の後退の確度と関連した。
ベースライン血清LOXL2レベルは、ベースライン線維症ステージよりも240週目のIshak線維症ステージとより相関した。これは、高い血清LOXL2レベルが、活発な線維形成を反映したことを示唆する。
この研究の結果は、血清LOXL2レベルが、CHBを有する患者において上昇し、最高の線維症を有する患者において最も高いことを実証し、血清LOXL2と線維症スコアとの間の全般的な相関を実証した。血清LOXL2レベルは、活動性疾患および活発な線維形成を反映した(たとえば、より高いベースラインレベルが240週目の、より高い線維症ステージと関連したことを考慮して)。基礎をなすCHBの処置は、ほとんどの患者においてLOXL2の低下をもたらし、このことは、線維形成のダウンレギュレーションを示唆した。臨床的にうまくいっていた不変の線維症スコアを有する患者においてでさえ、5年後に血清LOXL2が減少した。結果は、活動性疾患のマーカーとしての血清LOXL2レベルを実証し、かつ高いLOXL2が後退の欠如を予測するということを実証する。
本発明が、その特定の実施形態に関して記載されてきたが、様々な変化がなされてもよく、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、等価物が代わりに用いられてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。さらに、本発明の目的、精神、および範囲に、特定の状況、物質、材料の組成、プロセス、プロセスステップ(複数可)を適応させるために多くの変更がなされてもよい。そのような変更はすべて、本明細書に添付される特許請求の範囲内にあることが意図される。
一つの実施形態において、以下の項目が提供される。
(項目1) 疾患または状態を検出する、予測する、またはモニターするための方法であって、
a)個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップおよび
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2のレベルを検出するステップを含み、
ここで、LOXL2の該検出レベルが、該個体における該疾患または状態の存在もしくは非存在あるいは該個体による該疾患または状態に対する処置への応答の確度を示す、方法。
(項目2) 疾患または状態の予後判定方法であって、
a)該疾患または状態を有する個体から得られる液体サンプルを、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)に対して特異的な抗体と接触させるステップおよび
b)該液体サンプル中に存在するLOXL2との該抗体の結合を検出し、それによって、該液体サンプルにおけるLOXL2を検出するステップを含み、
ここで、検出されたLOXL2のレベルが、該疾患または状態の転帰、イベント、またはエンドポイントの確度を示す、方法。
(項目3) 前記個体が、前記疾患または状態に対する処置を受けており、
該個体において初期の時点で決定されたレベルよりも低い、ステップ(b)において検出されたLOXL2のレベルが、該処置の効力を示す、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4) 前記初期の時点で決定された前記レベルが、処置前レベルである、項目3に記載の方法。
(項目5) 前記液体サンプルが、血液、血液画分、尿、唾液、痰、または気管支肺胞洗浄液である、項目1〜4のいずれかに記載の方法。
(項目6) LOXL2に対して特異的な該抗体が、検出可能な標識を含む、項目1〜5のいずれかに記載の方法。
(項目7) 項目1〜6のいずれかに記載の方法であって、前記液体サンプル中に存在する前記LOXL2を不溶性支持体に固定するステップをさらに含み、ここで、該固定するステップが、該液体サンプルを、LOXL2に対して特異的な第2の抗体と接触させて第2の抗体−LOXL2複合体を形成させることによって実行され、ここで、該第2の抗体が、該不溶性支持体に固定される、方法。
(項目8) 前記固定するステップが、ステップ(a)の前に実行される、項目7に記載の方法。
(項目9) ステップ(a)における前記抗体が、LOXL2が該LOXL2の酵素活性を阻害する作用物質に結合している場合に、該LOXL2に結合することができる、項目1〜8のいずれかに記載の方法。
(項目10) 該作用物質が、LOXL2酵素活性のアロステリック阻害剤である、項目9に記載の方法。
(項目11) 該アロステリック阻害剤が、抗LOXL2モノクローナル抗体である、項目10に記載の方法
(項目12) 該抗LOXL2モノクローナル抗体が、LOXL2のSRCR3−4ドメイン内のエピトープに結合する、項目11に記載の方法。
(項目13) 項目1〜12のいずれかに記載の方法であって、c)前記検出レベルを正常コントロール値と比較するステップをさらに含み、ここで、正常コントロール値よりも高い検出レベルが、前記疾患または状態の存在を示すか、あるいは、前記個体が該疾患または状態に対する処置に応答する確度を示す、方法。
(項目14) 前記疾患または状態が、線維症性疾患またはがんである、項目1〜13のいずれかに記載の方法。
(項目15) 前記疾患または状態が、線維症性疾患であり、正常コントロールレベルよりも高いLOXL2の循環レベルが、前記個体が該線維症性疾患に対する処置に有益な臨床応答を示す可能性があることを示す、項目14に記載の方法。
(項目16) 前記疾患または状態が、肺線維症、肝線維症、腎線維症、心線維症、もしくは骨髄線維症、硬変、慢性ウイルス性肝炎、C型肝炎ウイルス(HCV)、またはB型肝炎ウイルス(HBV)である、項目14または項目15に記載の方法。
(項目17) 前記疾患または状態が、特発性肺線維症(IPF)である、項目16に記載の方法。
(項目18) 前記検出レベルが、前記個体における、IPF疾患転帰、エンドポイント、またはイベントの確度を示す、項目17に記載の方法。
(項目19) 前記IPF疾患転帰、エンドポイント、またはイベントが、IPF疾患増悪、肺機能低下、呼吸器系の入院、移植なしの生存、死、または処置への応答性である、項目18に記載の方法。
(項目20) 項目17〜19のいずれかに記載の方法であって、該方法が、前記個体において、IPF疾患重症度または機能的ステータスの量を検出するステップであって、該量が、予測努力肺活量(FVC)のパーセント、予測一酸化炭素拡散能(DLCO)のパーセント、6分間の歩行距離(6MWD)、平均肺動脈圧(mPAP)、最低安静時酸素飽和度(SpO2)、複合生理学指数(CPI)、セントジョージ呼吸器質問票スコア(SGRQ)、遷移呼吸困難指数(TDI)スコア、処置への応答性、およびIPF疾患のバイオマーカーからなる群から選択されるステップをさらに含む、方法。
(項目21) 予測モデルを使用して、前記LOXL2レベルを分析するステップをさらに含む、項目1〜20のいずれかに記載の方法。
(項目22) 前記個体における、前記疾患または状態に対する処置を開始する、改変する、または中止するステップをさらに含む、項目1〜21のいずれかに記載の方法。
(項目23) 前記個体を1つ以上のさらなる診断試験にかけるステップをさらに含む、項目1〜22のいずれかに記載の方法。
(項目24) 前記1つ以上のさらなる診断試験が、肺機能検査または肝機能検査である、項目23に記載の方法。
(項目25) 前記検出レベルが、前記個体が活動性線維症性疾患または進行期線維症性疾患を有することを示す、項目1〜24のいずれかに記載の方法。
(項目26) 前記活動性線維症性疾患が、METAVIR F1もしくはF2肝線維症である、または前記進行期線維症性疾患が、METAVIR F4肝線維症である、項目25に記載の方法。
(項目27) 個体から得られる液体生物学的サンプルにおけるリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチドのレベルを決定するのに使用するためのアッセイデバイスであって、該デバイスが、軸流路を定めるマトリックスであって、
i)流動サンプルを受け入れる該流路の上流の端にサンプル受け入れゾーンと、
ii)該流路内に、かつ該サンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上の試験ゾーンであって、該1つ以上の試験ゾーンのそれぞれがLOXL2に特異的な抗体を含み、ここで、該LOXL2に特異的な抗体のそれぞれが、液体サンプル中に存在するLOXL2ポリペプチドに結合し、抗LOXL2抗体/LOXL2複合体を形成することができる、1つ以上の試験ゾーンと、
iii)該流路内に、かつ該サンプル受け入れゾーンの下流に位置する1つ以上のコントロールゾーンとを含むマトリックスを含む、アッセイデバイス。
(項目28) 前記1つ以上の試験ゾーンが、少なくとも2つの試験ゾーンを含み、前記1つ以上のコントロールゾーンの少なくとも1つが、2つの試験ゾーンの間に位置する、項目27に記載のアッセイデバイス。
(項目29) 前記少なくとも2つの試験ゾーンおよび少なくとも1つのコントロールゾーンが、任意のコントロールゾーンの上流に位置する試験ゾーンから始まる前記流路内に交互の様式で位置する、項目28に記載のアッセイデバイス。
(項目30) 1つ以上の前記抗LOXL2抗体が、前記試験ゾーンにおける前記マトリックスに固定される、項目28または29に記載のアッセイデバイス。
(項目31) 標識ゾーンをさらに含む、項目27〜30のいずれかに記載のアッセイデバイスであって、LOXL2に特異的な抗体に対して特異的な標識抗体を含み、ここで、該標識抗体が、抗LOXL2抗体/LOXL2複合体に存在する抗LOXL2抗体に結合して、標識抗LOXL2抗体/LOXL2を形成することができ、
該標識抗体が、液体サンプルの存在下で移動可能である、アッセイデバイス。
(項目32) 前記標識抗体が、化学発光剤、微粒子標識、比色剤、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、および放射性同位体からなる群から選択される標識成分を含む、項目31に記載のアッセイデバイス。
(項目33) 前記マトリックスが、支持体および必要に応じてカバーを含むハウジング内に位置し、該ハウジングが、適用開口部および1つ以上の観察窓を含有する、項目27〜32のいずれかに記載のアッセイデバイス。
(項目34) 前記デバイスが、試験ストリップである、項目28〜33のいずれかに記載のアッセイデバイス。
(項目35) 前記デバイスが、ディップスティックアッセイデバイスである、項目28〜34のいずれかに記載のアッセイデバイス。
(項目36) 個体から得られる生物学的サンプルにおけるリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチドのレベルを決定するためのキットであって、
a)LOXL2に対して特異的な第1の抗体および
b)LOXL2に対して特異的な第2の抗体を含む、キット。
(項目37) 標準曲線を生成するのに使用するための精製LOXL2をさらに含む、項目36に記載のキット。
(項目38) 前記抗体の少なくとも1つが、検出可能な標識を含む、項目36または項目37に記載のキット。
(項目39) 前記検出可能な標識が、化学発光剤、微粒子標識、比色剤、エネルギー伝達剤、酵素、蛍光剤、および放射性同位体を含む、項目38に記載のキット。
(項目40) 前記接触させるステップおよび検出するステップが、項目27〜35のいずれかに記載のアッセイデバイスまたは項目36〜39に記載のキットを使用して実行される、項目1〜26のいずれかに記載の方法。

Claims (1)

  1. 本願図面に記載の発明。
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