JP7191813B2 - 急性心不全に罹患している対象におけるうっ血を評価するためのアドレノメデュリン - Google Patents
急性心不全に罹患している対象におけるうっ血を評価するためのアドレノメデュリン Download PDFInfo
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Description
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)うっ血の治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象における治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ための方法であり、
ここで、前記対象は、新規発症AHFまたは急性非代償性HFまたは急性非代償性慢性HFのいずれかである急性心不全に罹患している対象であるか、あるいは、ここで、前記対象は、慢性心不全の兆候/症状の悪化がある慢性心不全に罹患している対象であり、かつ、ここで、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片の計測が、うっ血の早期代用マーカーとして使用される方法である。
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)うっ血の治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象におけるうっ血の治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ための方法であり、
ここで、前記対象は、新規発症AHFまたは急性非代償性HFまたは急性非代償性慢性HFのいずれかである急性心不全に罹患している対象であるか、あるいは、ここで、前記対象は、慢性心不全の兆候/症状の悪化がある慢性心不全に罹患している対象であり、かつ、ここで、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片が、うっ血の早期代用マーカーとして使用される方法であって、以下の:
・前記対象から得られた体液中のプロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片のレベルを測定し;そして、
a)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、前記対象におけるうっ血の範囲と相関があるか、またはうっ血を診断し、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルがうっ血またはうっ血の範囲を示唆するか、または
b)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、前記対象におけるうっ血の治療法または治療介入の必要性または成功と相関があり、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入の成功を予測し、および、ここで、特定の閾値を上回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入の必要性を示唆するか、または
c)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血の予測と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、うっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血を予測し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を予測するか、または、
d)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、治療法または治療介入後の残留うっ血を示唆し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を示唆するか、または
e)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、退院の決定の評価と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、対象を退院させることはできないことを意味し、かつ、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、対象を退院させてもよいことを意味すること、を含み、
ここで、前記プロ-アドレノメデュリンまたは断片が、配列番号1によるプロ-アドレノメデュリン、または配列番号2によるPAMP、または配列番号3によるMR-proADM、または配列番号4によるADM-NH2、または配列番号5によるADM-Gly、または配列番号6によるCT-proADMを含む群から選択される方法である。
成熟ADM、bio-ADMおよびADM-NH2は、本出願中を通じて同じ意味で使用される、配列番号4による分子である。
急性心不全に罹患している対象、および/または悪化の兆候を示す心不全に罹患している対象、および/または心不全もしくは急性心不全の症状がある対象におけるうっ血の治療法または治療介入は、利尿剤の投与、循環作動薬の投与、血管拡張薬の投与、限外濾過、特に利尿剤を含む群から選択され得る。
急性心不全または心不全に伴ううっ血の早期かつ的確な代替物は、それらの濃度および/または免疫反応レベルがうっ血の範囲、特に実際のうっ血の範囲を反映することを意味する。
「慢性」という用語は、長い期間を指す。慢性心不全とは、通常、症状の治療によって安定が保たれた長期にわたる状態である(安定した慢性HF)。
(i)身体の要求を満足する十分な血流を供給する心臓の能力を損なう構造上の欠陥または機能不全の存在、
(ii)容積過負荷(肺性および/または全身性うっ血が現れる)および/または深刻な心拍出量減少(低血圧、腎臓機能不全および/またはショック症候群が現れる)の不存在、
を特徴とし、かつ、ここで、前記患者が、緊急治療法または治療調節の必要がなく、また入院加療を必要としない。
(i)身体の要求を満足する十分な血流を供給する心臓の能力を損なう構造上の欠陥または機能不全の存在、
(ii)容積過負荷(肺性および/または全身性うっ血が現れる)および/または深刻な心拍出量減少(低血圧、腎臓機能不全および/またはショック症候群が現れる)、
を特徴とし、かつ、ここで、前記患者が、緊急治療法の必要がなく、また入院加療を必要としないが、治療調節を必要とする。
(i)身体の要求を満足する十分な血流を供給する心臓の能力を損なう構造上の欠陥または機能不全の存在、
(ii)容積過負荷(肺性および/または全身性うっ血が現れる)および/または深刻な心拍出量減少(低血圧、腎臓機能不全および/またはショック症候群が現れる)、
を特徴とし、かつ、ここで、前記患者が、緊急治療法または治療調節の必要とし、また入院加療を必要とする。
HFにおけるうっ血は、例えば呼吸困難、ラ音、および/または浮腫などのHFの兆候および症状に関連した高い左心室拡張期血圧と規定される。うっ血に関連するこれらの兆候および症状は、HFに関連した入院加療の主要な理由である。
a)対象におけるうっ血を量的および質的に診断し、そして、対象におけるうっ血の範囲を評価または観察し、
b)うっ血の治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象における治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価すること、
を可能にする方法であり、
ここで、前記対象は、急性心不全に罹患している対象、および/または兆候の悪化を示す心不全に罹患している対象、および/または心不全もしくは急性心不全の症状を有する対象である。
以前に強調したように、臨床的代替物は、うっ血の検出に関して最適を下回る予測値を有する。本発明に示された実施例のうちの1つの分析(PROTECT試験)において、我々は、精度を高めるために3つの最も強力なうっ血の臨床的代替物(すなわち、JVP、末梢浮腫、および起座呼吸)を組み合わせて、以下に提示されたスキームを使用して複合臨床うっ血スコア(CCS)を開発した:
次に、以下のアルゴリズムが、うっ血のグレード重症度に利用された:
CCS=0、臨床的うっ血なし
CCS 1~3、軽度の臨床的うっ血
CCS 4~5、中程度の臨床的うっ血
CCS ≧6、重度の臨床的うっ血
本発明の一態様において、残留うっ血は、7日目までのJVP、起座呼吸、および浮腫の評価に基づいて、CCS≧2と規定される。
・利尿反応:40mgの利尿剤用量あたりの4日目までの体重減少と規定される。
・血液濃度:0(ベースラインと比較して、4日目までにヘモグロビンレベルに減弱があるかまたは変化がない場合)または1(ベースラインと比較して、4日目までにヘモグロビンレベルの増大がある場合)とコードされる。
・重度の残留うっ血:7日目までにJVP、起座呼吸、および浮腫評価に基づいてCCS≧2と規定される。
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)うっ血の治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象におけるうっ血の治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ための方法であって、
ここで、前記対象は、急性心不全に罹患している対象、および/または兆候の悪化を示す心不全に罹患している対象、および/または心不全もしくは急性心不全の症状を有する対象であり、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片を、うっ血の早期代用マーカーとして使用することによって:
a)前記免疫反応性検体のレベルが、前記対象におけるうっ血の範囲と相関があるか、またはうっ血を診断し、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルがうっ血またはうっ血の範囲を示唆するか、または
b)前記免疫反応性検体のレベルが、前記対象におけるうっ血の治療法または治療介入の必要性または成功と相関があり、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入の成功を予測し、および、ここで、特定の閾値を上回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入の必要性を示唆するか、または
c)前記免疫反応性検体のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血の予測と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、うっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血を予測し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、治療法後のうっ血緩和を予測するか、または、
d)前記免疫反応性検体のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、治療法または治療介入後の残留うっ血を示唆し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を示唆するか、または
e)前記免疫反応性検体のレベルが、退院の決定の評価と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、対象を退院させることはできないことを意味し、かつ、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、対象を退院させてもよいことを意味すること、を含み、
ここで、前記プロ-アドレノメデュリンまたは断片が、配列番号1によるプロ-アドレノメデュリン、または配列番号2によるPAMP、または配列番号3によるMR-proADM、または配列番号4によるADM-NH2、または配列番号5によるADM-Gly、または配列番号6によるCT-proADMを含む群から選択される、方法。
a)うっ血のグレードに関する群、または
b)うっ血の治療法または治療介入に対して非応答体、および/または応答体、および/または不十分な応答体、または
c)うっ血緩和群またはうっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血群、
に層別化される方法である。
配列番号1(proADM):164個のアミノ酸(preproADMの22~185)
本発明の内容は、前記プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片のレベルが、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片に対するバインダーを使用することによって測定される、本発明による方法である。
本発明による体液は、特定の一実施形態において、血液サンプルである。血液サンプルは、全血、血清および血漿を含む群から選択され得る。本発明の具体的な実施形態において、前記サンプルは、ヒトクエン酸血漿、ヘパリン血漿およびEDTA血漿を含む群から選択される。
本発明の内容は、前記サンプルが、病院への入院時または退院前に採取される方法である。
本発明の内容は、前記方法が、前記対象をうっ血グレード群に層別化するのに使用される、本発明による方法である。
本発明の内容は、前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、急性心不全または心不全に罹患している対象における死亡または有害事象のリスクと相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、死亡または有害事象の高いリスクを予測する、本発明による方法である。
本発明の具体的な実施形態において、アッセイは、proADMおよび/または少なくとも5個のアミノ酸を有するそれらの断片のレベルを決定するために使用され、ここで斯かるアッセイは、サンドイッチアッセイ、好ましくは完全に自動化されたアッセイである。
本発明の具体的な実施形態において、該2種のバインダーの少なくとも1種は、検出されるために標識されている。
好ましい実施形態において、該標識は、化学発光標識、酵素標識、蛍光標識、放射性ヨウ素標識を含む群から選択される。
本発明の文脈において、蛍光ベースのアッセイは、色素の使用を含み、これは例えば、FAM(5-または6-カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、IRD-700/800、CY3、CY5、CY3.5、CY5.5、Cy7などのシアニン色素、キサンテン、6-カルボキシ-2’,4’,7’,4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’7’-ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、5-カルボキシローダミン-6G(R6G5)、6-カルボキシローダミン-6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIPY TMRなどのBODIPY色素、オレゴングリーン、ウンベリフェロンなどのクマリン、Hoechst 33258などのベンズイミド;フェナントリジン、例えばテキサスレッド、Yakima Yellow、Alexa Fluor、PET、臭化エチジウム、アクリジニウム色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素および同類のものを含む群から選択され得る。
酵素標識は、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチンキナーゼ(CPK)、アルカリホスファターゼ、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)、酸性ホスファターゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼなどであることができる。
本発明の具体的な実施形態において、該2種のバインダーの少なくとも1種は、固相に結合されている。
本発明の具体的な実施形態において、前記閾値が、血漿MR-proADMの閾値範囲内にあって、すなわち、0.5~1.5nmol/L、好ましくは0.7~1nmol/L、最も好ましくは0.8nmol/Lの閾値が適用される。
本発明の具体的な実施形態において、前記閾値が、血漿CT-proADMの閾値範囲内にあって、すなわち、85~350pmol/L、好ましくは100~250pmol/L、最も好ましくは150pmol/Lの閾値が適用される。
普通の健常対象(n=200)の血漿CT-proADM濃度の中央値は、77.6pmol/L(最低46.6pmol/L、最高136.2pmol/L)であり、95%パーセンタイル値が、113.8pmol/Lであった(EP 2 111 552 B1)。
本発明の具体的な実施形態において、血漿MR-proADMの閾値は、健常集団の濃度中央値の5倍であり、好ましくは濃度中央値の4倍であり、より好ましくは濃度中央値の3倍であり、最も好ましくは濃度中央値の2倍である。
本発明の具体的な実施形態において、血漿CT-proADMの閾値は、健常集団の濃度中央値の5倍であり、好ましくは濃度中央値の4倍であり、より好ましくは濃度中央値の3倍であり、最も好ましくは濃度中央値の2倍である。
Balb/cマウスを、0および14日目に、ADM-100μgペプチド-BSA-複合体(完全フロイントアジュバント100μl中に乳化された)、ならびに21および28日目に50μg(不完全フロイントアジュバント100μl中)により免役化した。動物は、融合実験の3日前に、1回腹腔注射および1回静脈内注射として投与される、食塩水100μl中に溶解した該複合体50μgを、受け取った。
ヒトナイーブ抗体遺伝子ライブラリーHAL7/8を、アドレノメデュリンペプチドに対する組み換え一本鎖F-可変ドメイン(scFv)の単離のために、使用した。この抗体遺伝子ライブラリーを、アドレノメデュリンペプチド配列へ2種の異なるスペーサーにより連結されたビオチンタグを含むペプチドの使用を含む、パニング戦略によりスクリーニングした。非特異的に結合された抗原およびストレプトアビジン結合された抗原を使用するパニングラウンド混合物を使用し、非特異的バインダーのバックグラウンドを最小化した。パニングの第3ラウンドから溶離されたファージを使用し、モノクローナルscFv発現している大腸菌株を作製した。これらのクローン性株の培養物からの上清を、抗原ELISA試験に直接使用した(Hust et al. 2011. Journal of Biotechnology 152: 159-170; Schutte et al. 2009. PLoS One 4, e6625を参照)。
1.
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)うっ血の治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象におけるうっ血の治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ための方法であり、
ここで、前記対象は、新規発症AHFまたは急性非代償性HFまたは急性非代償性慢性HFのいずれかである急性心不全に罹患している対象であるか、あるいは、ここで、前記対象は、慢性心不全の兆候/症状の悪化がある慢性心不全に罹患している対象であり、かつ、ここで、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片が、うっ血の早期代用マーカーとして使用される方法であって、以下の:
a)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、前記対象におけるうっ血の範囲と相関があるか、またはうっ血を診断し、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルがうっ血またはうっ血の範囲を示唆するか、または
b)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、前記対象におけるうっ血の治療法または治療介入の成功と相関があり、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入の成功を予測し、および、ここで、特定の閾値を上回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入の必要性を示唆するか、または
c)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血の予測と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、うっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血を予測し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を予測するか、または、
d)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、治療法または治療介入後の残留うっ血を示唆し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を示唆するか、または
e)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、退院の決定の評価と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、対象を退院させることはできないことを意味し、かつ、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、対象を退院させてもよいことを意味すること、を含み、
ここで、前記プロ-アドレノメデュリンまたは断片が、配列番号1によるプロ-アドレノメデュリン、または配列番号2によるPAMP、または配列番号3によるMR-proADM、または配列番号4による成熟ADM-NH2、または配列番号5によるADM-Gly、または配列番号6によるCT-proADMを含む群から選択される、方法。
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)うっ血の治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象におけるうっ血の治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ための方法であり、
ここで、前記対象は、新規発症AHFまたは急性非代償性HFまたは急性非代償性慢性HFのいずれかである急性心不全に罹患している対象であるか、あるいは、ここで、前記対象は、慢性心不全の兆候/症状の悪化がある慢性心不全に罹患している対象であり、かつ、ここで、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片が、うっ血の早期代用マーカーとして使用される方法であって、以下の:
a)前記免疫反応性検体のレベルが、前記対象におけるうっ血の範囲と相関があるか、またはうっ血を診断し、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルがうっ血またはうっ血の範囲を示唆するか、または
b)前記免疫反応性検体のレベルが、前記対象におけるうっ血の治療法または治療介入の成功と相関があり、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、治療法または治療介入の成功を予測し、および、ここで、特定の閾値を上回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入の必要性を示唆するか、または
c)前記免疫反応性検体のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血の予測と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、うっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血を予測し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、治療法後のうっ血緩和を予測するか、または、
d)前記免疫反応性検体のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、治療法または治療介入後の残留うっ血を示唆し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を示唆するか、または
e)前記免疫反応性検体のレベルが、退院の決定の評価と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、対象を退院させることはできないことを意味し、かつ、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、対象を退院させることはできないことを意味すること、を含み、
ここで、前記プロ-アドレノメデュリンまたは断片が、配列番号1によるプロ-アドレノメデュリン、または配列番号2によるPAMP、または配列番号3によるMR-proADM、または配列番号4によるADM-NH2、または配列番号5によるADM-Gly、または配列番号6によるCT-proADMを含む群から選択される、方法。
前記うっ血の範囲が、うっ血スコア、特に臨床的うっ血スコアとして表される、項目1または2に記載の方法。
前記対象が、以下の:
a)うっ血のグレードに関する群、または
b)うっ血の治療法または治療介入に対して非応答体、および/または応答体、および/または不十分な応答体、または
c)うっ血緩和群またはうっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血群、
に層別化される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
前記断片が、配列番号3によるMR-proADMまたは配列番号4によるADM-NH2から選択され得る、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
前記プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片のレベルが、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片に対するバインダーを使用することによって測定される、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
前記バインダーが、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片に結合する抗体、抗体フラグメントまたは非Ig足場を含む群から選択される、項目6に記載の方法。
前記閾値が、閾値範囲内にあり、すなわち、配列番号4による血漿ADM-NH2の閾値範囲が50~100pg/mlであり、血漿MR-proADMの閾値範囲が0.5~1.5nmol/Lであり、および血漿CT-proADMの閾値範囲が85~350pmol/Lである、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
前記プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片の測定が、1人の患者において複数回実施される、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
前記サンプルが、病院への入院時または退院前に採取される、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
前記モニタリングが、得られた予防的および/または治療学的な測定値に対して前記対象の応答を評価するために実施される、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
前記方法が、前記対象をうっ血グレード群に層別化するのに使用される、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベル、あるいは、前記免疫反応性検体のレベルが、急性心不全、すなわち、新規発症AHF、急性非代償性HF、または急性非代償性慢性HFのいずれかに罹患している対象における死亡または有害事象のリスクと相関があるか、あるいは、ここで、前記対象が、慢性心不全の兆候/症状の悪化がある慢性心不全に罹患している対象であり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、死亡または有害事象の高いリスクを予測する、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
前記Pro-アドレノメデュリンまたはその断片のレベル、あるいは、前記免疫反応性検体のレベルが、治療法または治療介入のガイダンスに使用され、ここで、前記Pro-アドレノメデュリンまたは断片のレベルが特定の閾値を上回る場合には、ここで、治療法または治療介入が示唆され、かつ、ここで、前記Pro-アドレノメデュリンまたは断片のレベルが特定の閾値を下回る場合には、治療法または治療介入が示唆されない、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
前記Pro-アドレノメデュリンまたはその断片のレベル、あるいは、前記免疫反応性検体のレベルが、治療法または治療介入の必要性を決定するのに使用される、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
前記治療介入または治療法が、利尿剤の投与、循環作動薬の投与、血管拡張薬の投与、限外濾過を含む群から選択される、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象における治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ための試薬、医療薬またはキットの製造におけるバインダーの使用であり、
ここで、前記対象は、新規発症AHFまたは急性非代償性HFまたは急性非代償性慢性HFのいずれかである急性心不全に罹患している対象であるか、あるいは、ここで、前記対象は、慢性心不全の兆候/症状の悪化がある慢性心不全に罹患している対象であり、ならびに、ここで、前記バインダーが、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片に結合し、そして、前記対象から得られた体液サンプル中のプロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片のレベルを決定でき、かつ、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片が、うっ血の早期代用マーカーとして使用され;そして、ここで、
b)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、前記対象における治療法または治療介入の成功と相関があり、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、治療法または治療介入の成功を予測し、および、ここで、特定の閾値を上回るレベルが、治療法または治療介入の必要性を示唆するか、または
c)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血の予測と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、うっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血を予測し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を予測するか、または、
d)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、治療法または治療介入後の残留うっ血を示唆し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を示唆するか、または
e)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、退院の決定の評価と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、対象を退院させることはできないことを意味し、かつ、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、対象を退院させてもよいことを意味すること、を含み、
ここで、前記プロ-アドレノメデュリンまたは断片が、配列番号1によるプロ-アドレノメデュリン、または配列番号2によるPAMP、または配列番号3によるMR-proADM、または配列番号4によるADM-NH2、または配列番号5によるADM-Gly、または配列番号6によるCT-proADMを含む群から選択される、試薬、医療薬またはキットの製造におけるバインダーの使用。
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)うっ血の治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象におけるうっ血の治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ための試薬、医療薬またはキットの製造における少なくとも1つのバインダーの使用であり、
b)前記免疫反応性検体のレベルが、前記対象における治療法または治療介入の成功と相関があり、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、治療法または治療介入の成功を予測し、および、ここで、特定の閾値を上回るレベルが、治療法または治療介入の必要性を示唆するか、または
c)前記免疫反応性検体のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血の予測と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、うっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血を予測し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、治療法後のうっ血緩和を予測するか、または、
d)前記免疫反応性検体のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、治療法または治療介入後の残留うっ血を示唆し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を示唆するか、または
e)前記免疫反応性検体のレベルが、退院の決定の評価と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、対象を退院させることはできないことを意味し、かつ、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、対象を退院させてもよいことを意味すること、を含み、
ここで、前記プロ-アドレノメデュリンまたは断片が、配列番号1によるプロ-アドレノメデュリン、または配列番号2によるPAMP、または配列番号3によるMR-proADM、または配列番号4によるADM-NH2、または配列番号5によるADM-Gly、または配列番号6によるCT-proADMを含む群から選択される、試薬、医療薬またはキットの製造における少なくとも1つのバインダーの使用。
前記うっ血の範囲が、うっ血スコア、特に臨床的うっ血スコアとして表される、項目17または18に記載の使用。
前記対象が、以下の:
a)うっ血のグレードに関する群、または
b)うっ血の治療法または治療介入に対して非応答体、および/または応答体、および/または不十分な応答体、または
c)うっ血緩和群またはうっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血群、
に層別化される、項目17~19のいずれか一項に記載の使用。
前記断片が、配列番号3によるMR-proADMまたは配列番号4による成熟ADM-NH2から選択され得る、項目17~20のいずれか一項に記載の使用。
前記バインダーが、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片に結合する抗体、抗体フラグメントまたは非Ig足場を含む群から選択される、項目17~21のいずれか一項に記載の使用。
前記閾値が、閾値範囲内にあり、すなわち、配列番号4による血漿ADM-NH2の閾値範囲が50~100pg/mlであり、血漿MR-proADMの閾値範囲が0.5~1.5nmol/Lであり、および血漿CT-proADMの閾値範囲が85~350pmol/Lである、項目17~22のいずれか一項に記載の使用。
前記プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片の測定が、1人の対象において複数回実施される、項目17~23のいずれか一項に記載の使用。
前記サンプルが、病院への入院時または退院時に採取される、項目17~24のいずれか一項に記載の使用。
前記モニタリングが、得られた予防的および/または治療学的な測定値に対して前記対象の応答を評価するために実施される、項目17~25のいずれか一項に記載の使用。
前記方法が、前記対象をうっ血グレード群に層別化するのに使用される、項目17~26のいずれか一項に記載の使用。
前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベル、あるいは、前記免疫反応性検体のレベルが、急性心不全または心不全に罹患している対象における死亡または有害事象のリスクと相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、死亡または有害事象の高いリスクを予測する、項目17~27のいずれか一項に記載の使用。
前記Pro-アドレノメデュリンまたはその断片のレベル、あるいは、前記免疫反応性検体のレベルが、治療法または治療介入のガイダンスに使用され、ここで、前記Pro-アドレノメデュリンまたは断片のレベルが特定の閾値を上回る場合には、ここで、治療法または治療介入が示唆され、かつ、ここで、前記Pro-アドレノメデュリンまたは断片のレベルが特定の閾値を下回る場合には、治療法または治療介入が示唆されない、項目17~28のいずれか一項に記載の使用。
前記Pro-アドレノメデュリンまたはその断片のレベル、あるいは、前記免疫反応性検体のレベルが、治療法または治療介入の必要性を決定するのに使用される、項目17~29のいずれか一項に記載の使用。
前記治療介入または治療法が、利尿剤の投与、循環作動薬の投与、血管拡張薬の投与、限外濾過を含む群から選択される、項目17~30のいずれか一項に記載の使用。
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象における治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ためのキット、試薬または医療薬であり、
ここで、前記対象は、新規発症AHFまたは急性非代償性HFまたは急性非代償性慢性HFのいずれかである急性心不全に罹患している対象であるか、あるいは、ここで、前記対象は、慢性心不全の兆候/症状の悪化がある慢性心不全に罹患している対象であり、ならびに、ここで、前記キット、試薬または医療薬が、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片に結合するバインダーを含み、そして、そのバインダーが、前記対象から得られた体液サンプル中のプロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片のレベルを決定でき;そして、ここで、
b)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、前記対象における治療法または治療介入の成功と相関があり、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、治療法または治療介入の成功を予測し、および、ここで、特定の閾値を上回るレベルが、治療法または治療介入の必要性を示唆するか、または
c)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血の予測と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、うっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血を予測し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を予測するか、または、
d)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、治療法または治療介入後の残留うっ血を示唆し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を示唆するか、または
e)前記プロ-アドレノメデュリンまたはその断片のレベルが、退院の決定の評価と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、対象を退院させることはできないことを意味し、かつ、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、対象を退院させてもよいことを意味すること、を含み、
ここで、前記プロ-アドレノメデュリンまたは断片が、配列番号1によるプロ-アドレノメデュリン、または配列番号2によるPAMP、または配列番号3によるMR-proADM、または配列番号4によるADM-NH2、または配列番号5によるADM-Gly、または配列番号6によるCT-proADMを含む群から選択される、キット、試薬または医療薬。
a)対象におけるうっ血を診断するか、またはうっ血の範囲を評価もしくは観察するか、
b)治療法または治療介入の必要性を予測、決定、もしくは観察するか、またはうっ血の治療法または治療介入の成功を予測、決定、もしくは観察するか、または対象における治療法または治療介入の指針となるか、
c)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を予測するか、
d)対象におけるうっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血を評価するか、あるいは、
e)対象の退院の決定を評価する、
ためのキット、試薬または医療薬であり、
b)前記免疫反応性検体のレベルが、前記対象における治療法または治療介入の成功と相関があり、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、治療法または治療介入の成功を予測し、および、ここで、特定の閾値を上回るレベルが、治療法または治療介入の必要性を示唆するか、または
c)前記免疫反応性検体のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血の予測と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、うっ血の治療法または治療介入後の残留うっ血を予測し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を予測するか、または、
d)前記免疫反応性検体のレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和または残留うっ血と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、治療法または治療介入後の残留うっ血を示唆し、それに対して、特定の閾値を下回るレベルが、うっ血の治療法または治療介入後のうっ血緩和を示唆するか、または
e)前記免疫反応性検体のレベルが、退院の決定の評価と相関があり、ここで、特定の閾値を上回る上昇レベルが、対象を退院させることはできないことを意味し、かつ、ここで、特定の閾値を下回るレベルが、対象を退院させてもよいことを意味すること、を含み、
ここで、前記プロ-アドレノメデュリンまたは断片が、配列番号1によるプロ-アドレノメデュリン、または配列番号2によるPAMP、または配列番号3によるMR-proADM、または配列番号4によるADM-NH2、または配列番号5によるADM-Gly、または配列番号6によるCT-proADMを含む群から選択される、キット、試薬または医療薬。
前記断片が、配列番号3によるMR-proADMまたは配列番号4による成熟ADM-NH2から選択され得る、項目32または33に記載のキット、試薬または医療薬。
前記バインダーが、プロ-アドレノメデュリンまたは少なくとも5個のアミノ酸から成るその断片に結合する抗体、抗体フラグメントまたは非Ig足場を含む群から選択される、項目32~34のいずれか一項に記載のキット、試薬または医療薬。
前記閾値が、閾値範囲内にあり、すなわち、配列番号4による血漿ADM-NH2の閾値範囲が50~100pg/mlであり、血漿MR-proADMの閾値範囲が0.5~1.5nmol/Lであり、および血漿CT-proADMの閾値範囲が85~350pmol/Lである、項目32~35のいずれか一項に記載のキット、試薬または医療薬。
抗体の作製およびそれらの親和定数の決定
本発明者らは、bio-ADMのN-末端(NT-ADM)、中央領域(MR-ADM)およびC-末端(CT-ADM)部分に結合するマウスモノクローナル抗体を開発し、かつ、それらの親和定数を決定した(表1)。
ペプチドは、JPT Peptide Technologies GmbH(Berlin, Germany)により供給された。ペプチドは、スルホ-SMCC架橋法を用い、BSAに結合させた。この架橋手順は、製造業者(Thermo Fisher/ Pierce)の指示に従い行った。
マウス抗体の作製
Balb/cマウスを、0および14日目に、100μgペプチド-BSA-複合体(完全フロイントアジュバント100μl中に乳化された)、ならびに21および28日目に50μg(不完全フロイントアジュバント100μl中)により免役化した。動物は、融合実験の3日前に、1回腹腔注射および1回静脈内注射として投与される、食塩水100μl中に溶解した複合体50μgを受け取った。
抗体は、標準抗体産生法(Marx et al, 1997. Monoclonal Antibody Production, ATLA 25, 121)により作製し、およびプロテインAにより精製した。抗体の純度は、SDSゲル電気泳動分析を基に、>95%であった。
抗体のアドレノメデュリンに対する親和性を決定するために、固定化された抗体に対するアドレノメデュリンの結合キネティックスを、Biacore 2000システム(GE Healthcare Europe GmbH, Freiburg, Germany)を使用する、無標識表面プラズモン共鳴により決定した。抗体の可逆性固定化は、製造業者の指示に従い、CM5センサー表面へ、高密度で共有結合された抗-マウスFc抗体を用いて行った(マウス抗体捕獲キット;GE Healthcare)。
抗体(PBS中1mg/ml、pH7.4)100ug(100ul)を、アクリジニウムNHS-エステル(アセトニトリル中1mg/ml、InVent GmbH, Germany)10ulと混合し(EP 0 353 971)、かつ、室温で20分間インキュベーションした。標識したCT-Hを、Bio-Sil(登録商標)SEC 400-5(Bio-Rad Laboratories, Inc., USA)上のゲル-濾過HPLCにより精製した。精製された標識された抗体を、溶液(リン酸カリウム300mmol/L、NaCl 100mmol/L、Na-EDTA 10mmol/L、ウシ血清アルブミン5g/L、pH7.0)中に希釈した。最終濃度は、200μLにつき標識された化合物およそ800.000相対発光量(RLU)(およそ20ng標識抗体)であった。アクリジニウムエステル化学発光を、AutoLumat LB 953(Berthold Technologies GmbH & Co. KG)を用いて測定した。
ポリスチレンチューブ(Greiner Bio-One International AG, Austria)を、抗体((抗体1.5μg/0.3mL、NaCl 100mmol/L、トリス/HCl 50mmol/L、pH7.8)によりコーティングした(室温、18時間)。5%ウシ血清アルブミンでブロックした後、チューブをPBS(pH7.4)で洗浄し、真空乾燥した。
合成ヒトADM(hADM)(Bachem, Switzerland)を、50mMトリス/HCl、250mM NaCl、0.2%Triton X-100、0.5%BSA、20錠/Lプロテアーゼコンプリートプロテアーゼ阻害カクテル錠(Roche AG);pH7.8を用い、線形希釈した。キャリブレーターは、使用まで-20℃で貯蔵した。
高シグナル/ノイズ比を生じる抗体組み合わせの決定
ADM免疫測定:
サンプル(またはキャリブレーター)50ulを、標識された二次抗体(200ul)の添加後、コーティングされたチューブにピペットで入れ、これらのチューブを、室温で2時間インキュベーションした。未結合のトレーサーを、洗浄液(20mM PBS、pH7.4、0.1%TritonX-100)により、5回洗浄(各1ml)することにより除去した。チューブに結合した化学発光を、LB 953(Berthold Technologies GmbH & Co. KG)を用いて測定した。
引き続き、本発明者らは、この抗体-組み合わせを、bio-ADMを計測するためのさらなる研究に使用した。本発明者らは、固相抗体として抗MR-ADMを、および標識抗体として抗CT-ADMを使用した。典型的投与量/シグナル曲線を、図1に示している。本アッセイの分析感度(10回試行の平均、ADM-非含有サンプル+2SD)は、2pg ADM/mlであった。
ヒトアドレノメデュリンの安定性:
ヒトADMを、ヒトクエン酸血漿中に希釈し(n=5、最終濃度10ng ADM/ml)、24℃でインキュベーションした。選択された時点で、アリコートを、-20℃で凍結した。これらのサンプルを解凍した直後に、前述のhADM免疫測定を使用し、hADMを定量した。
キャリブレーター-調製の再現性
本発明者らは、ADMアッセイのためのキャリブレーターの調製において、結果の高い変動性を認めた(平均CV 8.5%、表4を参照)。これは、プラスチックおよびガラスの表面へのhADMの高い吸着のためであるかもしれない(Lewis et al. 1998. Clinical Chemistry 44 (3): 571-577)。この作用は、界面活性剤(最大1%TritonX 100または1%Tween 20)、タンパク質(最大5%BSA)および高イオン強度物質(最大1M NaCl)またはそれらの組み合わせの添加により、わずかだけ低下した。驚くべきことに、余分の抗ADM抗体(10ug/ml)を、キャリブレーター希釈緩衝液に添加した場合、ADMアッセイキャリブレーター-調製物の回収および再現性は、調製間においてCV<1%まで実質的に改善された(表4)。
幸いなことに、N-末端抗体の存在は、MR-およびC-末端抗体の組み合わせにより発生したbio-ADM-シグナルに影響を及ぼさなかった(図1)。
ADMアッセイキャリブレーターを、NT-ADM-抗体10μg/mlを伴うまたは伴わずに、上述のように調製した。変動係数(CV)は、5つの独立した調製試行から得た。キャリブレーターは、上述のADMアッセイを用いて測定した(s/n-r=シグナル対ノイズ比)。全ての下記の試験について、本発明者らは、トレーサー緩衝液中の補充物としてNT-ADM抗体10μg/mlおよびNT-ADM抗体10μg/mlの存在下で調製したキャリブレーターを基にした、ADMアッセイを使用した。
感度
アッセイ感度の目的は、健常対象のADM濃度を完全に対象とすることである。
健常対象(n=100、平均年齢56歳)を、bio-ADMアッセイを用いて測定した。中央値は24.7pg/mlであり、最低値は11pg/mlであり、99パーセンタイル値は43pg/mlであった。アッセイ感度は2pg/mlであったので、全健常対象の100%が、記載のbio-ADMアッセイを用い、検出可能であった。
(PROTECT)
調査集団および計測値
この試験の詳細は、公開されている(Massie et al. 2010. N Engl J Med. 363:1419-1428.; Weatherleyfunctioned al. 2010. J Card Fail. 16:25-35.; Voors et al. 2011. J Am Coll Cardiol. 57:1899-1907)。要するに、腎機能障害(クッククロフト?ゴルト式を有する20~80mL/分の間のクレアチンクリアランスであると見積もられている)を有する2,033人の急性心不全患者を、組み入れ、そして、ロロフィリンまたはプラセボに無作為化した。PROTECT試験のプロトコールは、それぞれの参加施設にて倫理委員会によって承認され、すべての関係者から書面によるインフォームドコンセントを得た。
臨床的うっ血スコア
以前に強調したように、臨床的代替物は、うっ血の検出に関して最適を下回る予測値を有する。この分析において、我々は、精度を高めるために3つの最も強力なうっ血の臨床的代替物(すなわち、JVP、末梢浮腫、および起座呼吸)を組み合わせて、以下に提示されたスキームを使用して複合臨床うっ血スコア(CCS)を開発した:
CCS=0、臨床的うっ血なし
CCS 1~3、軽度の臨床的うっ血
CCS 4~5、中程度の臨床的うっ血
CCS ≧6、重度の臨床的うっ血
・利尿反応:40mgの利尿剤用量あたりの4日目までの体重減少と規定される。
・血液濃度:0(ベースラインと比較して、4日目までにヘモグロビンレベルに減弱があるかまたは変化がない場合)または1(ベースラインと比較して、4日目までにヘモグロビンレベルの増大がある場合)とコードされる。
・重度の残留うっ血:7日目までにJVP、起座呼吸、および浮腫評価に基づいてCCS≧2と規定される。
ベースライン臨床的特徴およびbio-ADMを含めたバイオマーカーを、ベースラインにおける臨床的うっ血の重症度によってまとめた(先に提示したスキーム)。ベースラインにおける臨床的うっ血の重症度と独立に相関したベースライン因子を、多変数論理計算回帰モデルを使用して決定した(CCS変数を、2つのレベル;0=軽度/中程度(CCS<6)および1=重度(CCS≧6)を用いた二元転帰として再コード化した)。
表5では、うっ血の重症度につれてbio-ADM濃度が増大することが実証される。
追加解析を、BIOSTAT調査(BIOlogy Study to TAilored Treatment in Chronic Heart Failure)により実施した。調査は、詳細に記載されている(WWW.BIOSTAT-CHF.EU; Voors et al. 2016. Eur J Heart Fail. Jun;18 (6):716-26)。BIOlogy Study to TAilored Treatment in Chronic Heart Failure(BIOSTAT-CHF)には、欧州諸国11か国から、心不全の悪化の兆候/症状がある2516人の患者が組み入れられ、そしてかれらは、準最適な医学的処置を受けていると考えられた。スコットランドからの別の1738人の患者を、バリデーションコホートに組み入れた。全体的に、両患者コホートともよく一致していた。患者の大部分が、急性心不全のために入院しており、残りは、外来診療所において心不全の悪化の兆候および/または症状が現れていた。患者の約半分が、ニューヨーク心臓協会のクラスIIIに入っており、そして、7%対34%の指数対バリデーションコホートの患者が、保存された駆出分画率を有する心不全に罹患していた。調査設計に従って、すべての患者に利尿剤を使用したが、両コホートの組み入れ基準のため、患者には、最適な、徴候ベースの薬物療法ではなかった。追跡期間において、ガイドライン推奨用量への漸増が奨励された。
患者は、以下の組み入れ基準を満たした:
・新規発症または悪化した心不全の症状を有している≧18歳の年齢であり、
・以下のいずれかによって記録される心機能不全に関する客観的証拠を有しており、
・≦40%ORの左心室駆出分画率、
・それぞれ、>400pg/mLまたは>2000pg/mlのBNPおよび/またはN末端親脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)の血漿中濃度、
・以前に徴候ベースの治療法[アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤/アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)およびβ-ブロッカー]を用いて治療されていないか、あるいは組み入れ時点で、これらの薬物の目標用量の≦50%を受けているか、
・治療医によってACE阻害薬/ARBおよび/またはβ-ブロッカーが開始されるか、または漸増されることが予期される。
ベースラインにおけるバイオマーカー計測値が入手可能であった、トライアルに含まれるすべてのタイプの患者(n=1806)を含めた患者のサブセットを、本発明で分析した。PROTECT調査(実施例6)に類似して、BIOSTAT調査でも同様に、高レベルのbio-ADMが、高い重症度の浮腫と相関した(表11)。
(サブグループ分析PROTECT)
表13は、左室駆出分画率(LVEF)の状態に基づく、bio-ADMレベルと臨床的うっ血との相関に対するPROTECTトライアルに関するデータを示す。駆出分画率に基づく分類法が現在心不全に使用されている中で最も相関のある表現型検査なので、分析を、HFrEF対HFpEFサブグループで実施した。bio-ADMレベルと臨床的うっ血スコアとの相関は、2つのサブグループで同等であった。
LVEFデータは、763人の患者(利用可能なベースラインbio-ADM計測値を有する1572人の患者のうち)においてのみ利用可能であった;これらのうち、545人がHFrEFを有し、102人がHFpEFを有していた。
うっ血のある患者におけるbio-ADMの連続計測値(モニタリング)(PROTECT調査)
うっ血状態に関するbio-ADMレベルを観察するために、PROTECTトライアルに組み込まれた入院AHF患者において、追跡評価中に採取した血漿(2日目および7日目のすべての入手可能なサンプル)から、bio-ADMを計測した。異なった時点でのすべての患者のbio-ADMレベルの中央値を、表14にまとめる。bio-ADMレベルを、7日目の治療成功に基づいて経時的に分析した(先に説明したように複合うっ血スコア[CCS]を利用して、7日目までのうっ血の状態に基づいて規定した)。
図2は、7日目までの重度の残留うっ血がある患者が、高いベースラインレベルのbio-ADMを有し、そして、これらの高レベルが、治療法の7日間の経過後にも維持され、それに対して、ベースラインと比較して下がったレベルが、7日目までに軽度のうっ血のみまたはうっ血が見られない患者において7日目まで観察されたことを示す。
臨床的に評価したうっ血に関するbio-ADMとMR-proADMの予測値の比較分析
a)PROTECT調査
表15には、PROTECTトライアルにおける、ベースライン時の臨床的うっ血の重症度の予測に関するbio-ADMとMR-proADMとの比較分析、ならびに7日目までの重度の残留うっ血の存在が提示される。臨床的うっ血を、先に記載した複合うっ血スコア(CCS)を用いて評価した。ベースライン臨床的うっ血の重症度を、CCSが<6であった場合には、軽度/中程度、そして、CCSが≧6である場合には、重度と等級づけした。次に、ベースラインにおけるbio-ADM、MR-proADMレベルおよび臨床的うっ血の重症度の間の未調整相関および調整相関を、一変量および多変量バイナリ論理計算回帰モデルにより評価した。ボディーマスインデックス、血清アルブミン、総コレステロール、BNP、心房細動の病歴および既往HF入院加療を含めたベースライン多変数モデルを、20.0%の有意水準でベースライン時の臨床的うっ血の重症度と相関した単変量変数を含めたモデル対する後退的選択を実施した後に、多変数解析のために同定した。曲線下面積(AUC)を、bio-ADMおよびMR-proADMに関して計算して、軽度/中程度と重度の臨床的うっ血との間の2つのバイオマーカーの判別値を定量化し、そして、比較した。
表16には、BIOSTATにおけるbio-ADM、MR-proADMレベルおよびベースライン臨床的うっ血の重症度の間の相関が提示される。臨床的うっ血を、わずかに異なったCCS(PROTECTで利用したものとの比較)を利用して評価したが、類似した統計的アプローチを分析に利用した。浮腫、起座呼吸および頸静脈圧を使用することによって、CCSを計算したが、以下の表中に提示したとおり、スコアは0~5の範囲のみに及んだ:
a)GREAT調査
3つの国(英国、仏国およびスイス)の参加大学病院の救急外来への急性呼吸困難を示す任意抽出AHF患者(n=1075)の3つのコホートを採用した。AHFを欧州心臓病学会のガイドラインに従って、利尿剤および/または血管拡張療法の強化を必要とする肺もしくは末梢の浮腫または頸静脈圧の臨床徴候に伴う息切れの進行性の悪化および新規発症と規定した。組み入れは、腎臓機能とは無関係であるが、確定された腎代償療法による末期腎不全に罹患している患者は除いた。これらの調査は、ヘルシンキの宣言書およびそれぞれの研究倫理委員会からの倫理承認を受けた。すべての患者が、書面によるインフォームドコンセントを提出した。
署名入りのインフォームドコンセント後に、静脈血を、横臥患者から採血し、抗凝血物質としてEDTAを入れた予冷チューブ内に回収した。この入院サンプルを得る間隔は、最長4時間(パリ)、1時間(バーゼル)および12時間(レスター)であった。血漿を、単一バッチで-80℃にて分析まで保存した。
患者の特徴を表17にまとめ、そしてバイオマーカー分布を表18にまとめる。経過観察の初年度中に、299人が亡くなった。コホートの1つ(パリ)は、再入院加療の原因に対するデータを有していなかったので、その終点まで除外した。残りの施設は、n=861人の患者に関する経過観察データを有しており、そのうちの345人が、1年以内に亡くなったか、または心不全(HF)のために再入院した。
DiSomma調査
調査集団
これは、集中治療室で実施した予測的な、観察的トライアルであった。我々は、ローマのSant’ Andrea病院の救急外来(ED)からのAHFのために入院した患者を登録した。臨床的うっ血スコア(CCS:末梢浮腫、頸静脈怒張および起座呼吸)、利尿治療およびbio-ADM値を含めた臨床および実験データを、来院時に収集し、そして、退院まで患者を観察し続けた。調査は、ローマのSant’ Andrea病院の倫理委員会によって承認された。すべての患者が、書面によるインフォームドコンセントを提出した。
ADM計測のための血漿サンプルを入院時に得た。
AHFの最終診断を受けた209人の患者を動員した。臨床的うっ血スコアは、168人の患者において入手可能であった。患者の特徴を表17にまとめる。22.6%、38.1%、21.4%、および17.9%の患者が、それぞれ0、1、2および3のCCSを示した。0~2の間のCCSを有する患者と比較して、3のCCSを有する患者および大静脈指数>1(p=0.05)を有する患者においてbio-ADMはより高い結果となり(p=0.01)、(心不全患者にとって死亡および再入院加療の主な原因であると考えられる)うっ血の検出におけるbio-ADMの潜在的役割を示唆した。そのうえ、bio-ADMのより高いレベルは、フロセミド治療の増強、およびたぶんうっ血量に相関する院内死亡率のより高い割合に関係した(それぞれp=0.002およびp<0.001)。
Claims (9)
- 対象におけるうっ血またはうっ血の程度を診断することを補助するための方法であって、
前記対象は、新規発症AHFまたは急性非代償性HFまたは急性非代償性慢性HFのいずれかである急性心不全に罹患しているか、あるいは、前記対象は、慢性心不全の兆候/症状の悪化がある慢性心不全に罹患しており、配列番号4による成熟ADM-NH 2 のレベルが、うっ血の早期代用マーカーとして使用され、
前記対象から得られた血液中の前記成熟ADM-NH 2 のレベルが特定の閾値を上回ることが、前記対象はうっ血を有すると予測することを補助すること、
を含む、方法。 - 前記成熟ADM-NH 2 のアミノ酸配列内の領域に結合する少なくとも1つのバインダーを使用することによって前記成熟ADM-NH 2 のレベルを測定することを含み、
前記成熟ADM-NH 2 のレベルが特定の閾値を上回ることがうっ血を示し、うっ血の治療法の必要性を示し、前記成熟ADM-NH 2 のレベルが特定の閾値を下回ることがうっ血の治療法の成功を示す、請求項1に記載の方法。 - 前記うっ血の程度が、うっ血スコアとして表され、前記うっ血スコアは、前記対象の、3つのパラメーターである頸静脈圧(JVP)、末梢浮腫、および起座呼吸を評価することによって得られる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記うっ血の程度が、臨床的うっ血スコアとして表される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記成熟ADM-NH 2 のレベルが、前記成熟ADM-NH 2 に対するバインダーを使用することによって測定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記バインダーが、前記成熟ADM-NH 2 に結合する抗体、および抗体フラグメントを含む群から選択される、請求項5に記載の方法。
- 配列番号4による血漿成熟ADM-NH2の閾値が50~100pg/mlの範囲から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記成熟ADM-NH 2 の測定が、1人の患者において複数回実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記治療法が、利尿剤の投与、循環作動薬の投与、血管拡張薬の投与、限外濾過を含む群から選択される、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
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