本願は、2010年2月4日に提出された米国仮特許出願第61/301,550号の利益を主張するが、当該出願は、その全体について全ての目的のため参照により本願に組み込まれる。
この反応は、多くの場合、コラーゲン及びエラスチンのリシン残基において細胞外で生じる。アリシンのアルデヒド残基は、反応性であり、自発的に他のアリシン及びリシン残基と凝集することができ、結果として、コラーゲン分子の架橋結合を生じてコラーゲン原線維を形成する。
リシルオキシダーゼ型酵素は、ニワトリ、ラット、マウス、ウシ、及びヒトから精製されている。公知のリシルオキシダーゼ型酵素は、約205アミノ酸長であり、タンパク質のカルボキシ末端部分に位置し、酵素の活性部位を含む共通の触媒ドメインを含む。活性部位は、Cu(II)原子と配位する4つのヒスチジン残基を含む保存アミノ酸配列を含む銅結合部位を含む。活性部位はまた、リシン残基とチロシン残基(ラット リシルオキシダーゼでは、314番目のlys及び349番目のtyrに相当し、ヒト リシルオキシダーゼでは、320番目のlys及び355番目のtyrに相当する)の間の分子内共有結合により形成されるリシルチロシルキノン(LTQ)補因子も含む。LTQ補因子を形成するチロシン残基を取り巻く配列はまた、リシルオキシダーゼ型酵素の間でも保存される。触媒ドメインはまた、5つのジスルフィド結合の形成に関与する10個の保存システイン残基をも含む。触媒ドメインはまた、フィブロネクチン(fibronectin)結合ドメインをも含む。最終的に、成長因子及びサイトカインレセプタードメインに類似し、4つのシステイン残基を含むアミノ酸配列が、触媒ドメインに存在する。
単離され、かつ特徴付けられるべきこの酵素のファミリーの最初のメンバーは、リシルオキシダーゼ(EC 1.4.3.13)であった;これはまた、タンパク質‐リシン6‐オキシダーゼ、タンパク質‐L‐リシン:酸素‐6‐オキシドレダクターゼ(脱アミノ化)又はLOXとして周知である。例えば、Harris et al., Biochim. Biophys. Acta 341:332-344 (1974);Rayton et al. J. Biol. Chem. 254:621-626 (1979);Stassen, Biophys. Acta 438:49-60 (1976)を参照されたい。
別のリシルオキシダーゼ型酵素が、その後、発見された。これらのタンパク質は、「LOX様(LOX-like)」又は「LOXL」と称されている。これらの全ては、上記の共通の触媒ドメインを含み、類似の酸化的リシン脱アミノ化酵素(oxidative lysine deaminase)の酵素的活性を有する。これまでのところ、5つの異なったリシルオキシダーゼ型酵素が、ヒトとマウスの両方に存在することが知られている:即ち、LOXタンパク質及び4つのLOXに関連するタンパク質、又はLOX様タンパク質LOXL1(これらはまた、「リシルオキシダーゼ様(lysyl oxidase-like)」、「LOXL」又は「LOL」とも表示される)、LOXL2(これは、「LOR−1」とも表示される)、LOXL3、及びLOXL4である。5つのリシルオキシダーゼ型酵素のそれぞれをコードする遺伝子は、異なった染色体上にある。例えば、Molnar et al. (2003) Biochim Biophys Acta. 1647:220-24;Csiszar (2001) Prog. Nucl. Acid Res. 70:1-32;2001年11月8日に公開されたWO01/83702、及び米国特許第6,300,092号を参照されたい(これらの全ては参照により本願に組み込まれる)。LOXL4といくつかの類似点を有するが、異なる発現パターンを有する、LOXCと呼ばれるLOX様タンパク質は、マウスEC細胞株から単離されている。Ito et al. (2001) J. Biol. Chem. 276:24023-24029。2つのリシルオキシダーゼ型酵素、DmLOXL−1及びDmLOXL−2が、ショウジョウバエから単離されている。
全てのリシルオキシダーゼ型酵素は、共通の触媒ドメインを共有しているが、これらはまた、特にそれらのアミノ末端領域内において、互いに異なる。LOXと比較して、4つのLOXLタンパク質は、アミノ末端伸張を有する。したがって、ヒト前LOX前駆体(preproLOX)(即ち、シグナル配列の切断の前の一次翻訳産物、以下参照)は、417アミノ酸残基を含み;LOXL1は574(アミノ酸残基)を含み、LOXL2は638(アミノ酸残基)を含み、LOXL3は753(アミノ酸残基)を含み、かつLOXL4は756(アミノ酸残基)を含む。
これらのアミノ末端領域の範囲内において、LOXL2、LOXL3及びLOXL4は、スカベンジャーレセプターのシステインに富む(SRCR)ドメインの4つの繰り返しを含む。これらのドメインは、LOX又はLOXL1には存在しない。SRCRドメインは、分泌性のタンパク質、膜貫通型タンパク質又は細胞外マトリックスタンパク質に見られ、いくつかの分泌性の及びレセプタータンパク質におけるリガンド結合を媒介することが知られている。Hoheneste et al. (1999) Nat. Struct. Biol. 6:228-232;Sasaki et al. (1998) EMBO J. 17:1606-1613。このSRCRドメインに加えて、LOXL3は、核局在シグナルをそのアミノ末端領域に含む。プロリンに富むドメインは、LOXL1に特有であると思われる。Molnar et al. (2003) Biochim. Biophys. Acta 1647:220-224。各種のリシルオキシダーゼ型酵素はまた、それらのグリコシル化パターンの点でも異なる。
用語「抗体(antibody)」及び「免疫グロブリン(immunoglobulin)」には、任意のアイソタイプの抗体又は免疫グロブリン、Fab、Fv、scFv及びFdフラグメントを含み、これらに限定されない、抗原に対する特異的結合性を保っている抗体のフラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、並びに抗体及び非抗体タンパク質の抗原結合部位を含む融合タンパク質が含まれる。抗体を、例えば、放射性同位体、検出可能な産物を生成する酵素、蛍光性タンパク質等により、検出可能なように標識してもよい。抗体をさらに、特異的結合対のメンバー、例えばビオチン(ビオチン−アビジン特異的結合対のメンバー)等の他の部分とコンジュゲートさせてもよい。また、抗体を、ポリスチレン製プレート又はビーズ等を含み、これらに限定されない固体支持体と結合させてもよい。また、この用語に含まれるものには、Fab’、Fv、F(ab’)2、及び又は抗原に対する特異的結合を保っている他の抗体フラグメント、並びにモノクローナル抗体がある。抗体は、一価又は二価であってもよい。
「抗体フラグメント(antibody fragment)」は、全長抗体の一部、例えば、全長抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント;二重特異性抗体(diabody);線状抗体(linear antibody)(Zapata et al. Protein Eng. 8(10): 1057-1062 (1995));一本鎖抗体分子;並びに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメントと呼ばれる、それぞれ単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合フラグメントと、容易に結晶化する能力を反映して命名された残りの「Fc」フラグメントを生成する。ペプシン処理によりF(ab’)2フラグメントが得られ、これは2つの抗原結合活性を有し、なお抗原を架橋することができる。
「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。この領域は、堅く非共有結合的に会合している1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体から構成されている。この立体構造においては、それぞれの可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VL二量体の表面に抗原結合部位を形成する。まとめると、6個のCDRによって、抗体に対する抗原結合特異性が付与される。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性は低いが、抗原を認識し結合する能力を有する。
任意の脊椎動物種に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖(light-chain)」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる、2つの明らかに異なるタイプの1つに割当てることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、免疫グロブリンは、異なるクラスに分けることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2)に分けることができる。
用語「二重特異性抗体(diabody)」とは、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体フラグメントをいい、これらのフラグメントには、同じポリペプチド鎖において軽鎖の可変ドメイン(VL)に連結された重鎖の可変ドメイン(VH)が含まれる(VH−VL)。同じ鎖にある2つのドメインの間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、これらのドメインは別の鎖の相補的なドメインと対形成するように向けられ、2つの抗原結合部位が生じる。二重特異性抗体は、例えば、EP404,097;WO93/11161及びHollinger et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)に、より十分に記載されている。
本書で使用される場合、用語「親和性ないし親和力(affinity)」とは、2つの剤の可逆結合についての平衡定数をいい、解離定数(Kd)として表される。特定の抗原に対する抗体の親和性ないし親和力は、関連しないアミノ酸配列に対する抗体の親和性ないし親和力より少なくとも2倍大きく、少なくとも3倍大きく、少なくとも4倍大きく、少なくとも5倍大きく、少なくとも6倍大きく、少なくとも7倍大きく、少なくとも8倍大きく、少なくとも9倍大きく、少なくとも10倍大きく、少なくとも20倍大きく、少なくとも30倍大きく、少なくとも40倍大きく、少なくとも50倍大きく、少なくとも60倍大きく、少なくとも70倍大きく、少なくとも80倍大きく、少なくとも90倍大きく、少なくとも100倍大きく、又は少なくとも1000倍大きいか、或いはそれ以上であり得る。標的タンパク質に対する抗体の親和性ないし親和力は、例えば、約100ナノモル(nM)から約0.1nMまで、約100nMから1ピコモル(pM)、又は約100nMから1フェムトモル(fM)或いはそれ以上であり得る。本書で使用される用語「結合性(avidity)」は、2以上の剤の複合体の希釈後の解離に対する耐性をいう。用語「免疫反応性の(immunoreactive)」及び「優先的に結合する(preferentially binds)」は、抗体及び/又は抗原結合フラグメントに関して、本書で互換的に使用される。
用語「結合(binding)」は、例えば、共有結合、静電結合、疎水結合、イオン結合及び/又は水素結合相互作用による、2分子間の直接的な結合をいい、塩橋及び水橋等の相互作用を含む。本発明に係る抗LOXL2(例えば、抗LOXL2抗体又は抗原結合フラグメント)は、LOXL2ポリペプチド内のエピトープに特異的に結合する。非特異的結合は、約10−7Mよりも低い親和力での結合、例えば、10−6M、10−5M、10−4M等の親和力での結合をいうであろう。
本書で使用される場合、用語「フレームワーク(framework)」は、抗体可変領域に関して使用される場合、抗体の可変領域内のCDR領域の外側の全てのアミノ酸残基を意味することが意図される。可変領域フレームワークは、一般に約100〜120アミノ酸長の間の不連続アミノ酸配列であるが、CDRの外側のアミノ酸のみを参照することが意図される。本書で使用される場合、用語「フレームワーク領域(framework region)」は、これらのCDRによって隔てられるフレームワークの各ドメインを意味することが意図される。
「単離された(isolated)」抗体とは、同定され、分離され、及び/又は、その自然環境の成分から回収されている抗体である。その自然環境の夾雑成分(contaminant componsnt)は、前記抗体の診断又は治療的な使用を妨げるであろう材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性の溶質又は非タンパク質性の溶質(solute)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記抗体は、(1)Lowry法によって決定した場合に95重量%を超える抗体、例えば、99重量%を超える抗体となるように、(2)回転カップ式シークエネーター(spinning cup sequenator)の使用によってN末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るために十分な程度にまで、或いは(3)クマシーブルー染色、又は銀染色を用いて、還元又は非還元条件下でのSDS−PAGEによって均質になるまで、精製されるであろう。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分は存在しないであろうから、組換え細胞中のin situの抗体が含まれる。しかしながら、単離された抗体は、少なくとも1回の精製工程によって調製されるであろう。
用語「保存的なアミノ酸置換(conservative amino acid substitution)」は、一定の共通の特性(properties)に基づいてアミノ酸を分類すること(grouping)をいう。個々のアミノ酸間の共通の特性を定義するための機能的な方法は、相同生物(homologous organisms)の対応タンパク質間のアミノ酸変化の正規化された頻度を分析することである(Schulz, G. E.及びR. H. Schirmer, Principles of Protein Structure, Springer-Verlag)。そのような分析に従って、アミノ酸の群は規定され得るが、群内のアミノ酸は、互いに優先的に交換し、それによって、全体的なタンパク質構造への同様の影響がある(Schulz, G. E.及びR. H. Schirmer, Principles of Protein Structure, Springer-Verlag)。この方法で定義されるアミノ酸の群の例として:
(i)Glu及びAsp、Lys、Arg及びHisからなる、帯電している群;
(ii)Lys、Arg及びHisからなる、正に帯電している群;
(iii)Glu及びAspからなる、負に帯電している群;
(iv)Phe、Tyr及びTrpからなる、芳香族の群;
(v)His及びTrpからなる、窒素環の群;
(vi)Val、Leu及びIleからなる、大きな脂肪族非極性の群;
(vii)Met及びCysからなる、微極性の群;
(viii)Ser、Thr、Asp、Asn、Gly、Ala、Glu、Gln及びProからなる、小残基の群;
(ix)Val、Leu、Ile、Met及びCysからなる、脂肪族の群;並びに
(x)Ser及びThrからなる、小さいヒドロキシルの群
が挙げられる。
「相同性(homology)」又は「同一性(identity)」又は「類似性(similarity)」とは、2つのペプチド間若しくは2つの核酸分子間の配列類似性をいう。相同性及び同一性はそれぞれ、比較目的のために整列され得る各配列の位置を比較することによって決定され得る。比較配列の等位置が、同一塩基又はアミノ酸によって占められる場合、分子はその位置で同一であり;等部位が、類似のアミノ酸残基(例えば立体的性質及び/又は電子的性質において類似した)によって占められる場合、分子はその位置で相同的(類似的)と呼ばれ得る。相同性/類似性又は同一性の割合としての表現は、比較配列により共有される位置での同一的又は類似的アミノ酸の数の関数をいう。「関連性のない(unrelated)」又は「非相同性(nonhomologous)」である配列は、参照配列と40%未満の同一性、又は25%未満の同一性を共有する。2つの配列を比較して、残基(アミノ酸又は核酸)の非存在、又は余分な残基の存在はまた、同一性及び相同性/類似性を減少させる。
用語「相同性(homology)」とは、類似した機能若しくはモチーフを有する遺伝子又はタンパク質を同定するために使用される配列類似性の、数学に基づいた比較を示す。参照アミノ酸(タンパク質)配列(例えば、本書に示された配列)は、例えば他のファミリーメンバー、関連のある配列又は相同体を同定するための公共データベースに対する検索を行うために、「クエリ配列(query sequence)」として使用され得る。かかる検索は、Altschul et al., (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行され得る。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行して、参照核酸に対するヌクレオチド配列相同性を得ることができる。BLASTアミノ酸検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行して、参照アミノ酸配列に対するアミノ酸配列相同性を得ることができる。比較目的のためのギャップアラインメント(gapped alignment)を得るために、Altschul et al., (1997) Nucleic. Acids Res. 25(17):3389-3402に記載されるようにGapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えばXBLAST及びBLAST)のデフォルトパラメータが使用され得る(www.ncbi.nlm.nih.gov参照)。
本書で使用される場合、「同一性(identity)」とは、配列の一致を最大にするために配列を並べる、即ちギャップ及び挿入を考慮する場合、2つ以上の配列の対応する位置での同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基の割合を意味する。同一性は公知の方法で容易に計算し得、これには、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M.編, Oxford University Press, New York, 1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W.編, Academic Press, New York, 1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A. M.,及びGriffin, H. G.編, Humana Press, New Jersey, 1994; ;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;並びにSequence Analysis Primer, Gribskov, M.及びDevereux, J.編, M Stockton Press, New York, 1991;並びにCarillo, H.,及びLipman, D., SIAM J. Applied Math., 48:1073(1988)に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。同一性を決定する方法は、試験される配列間に最大な一致を与えるように設計される。さらに、同一性を決定する方法は、公に入手可能なコンピュータプログラムで実施(codify)される。2つの配列間の同一性を決定するコンピュータプログラム方法としては、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol. 215:403-410(1990)及びAltschul et al. Nuc. Acids Res. 25:3389-3402(1997))が挙げられるが、これに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他の供給源(Blast Manual, Altschul, S., et al., NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894;Altschul, S., et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410(1990))から公に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
用語「実質的に同一の(substantially identical)」は、第1及び第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメイン及び/又は共通の機能活性を有するように、第1のアミノ酸配列が、第2のアミノ酸配列内における整列(align)されたアミノ酸残基に対して(i)同一であるか、或いは(ii)該残基の保守的置換である十分な又は最小限の数のアミノ酸残基を含有するという同一性を意味する。例えば、LOXL2に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する共通の構造ドメインを含むアミノ酸配列は、LOXL2ポリペプチドに対して十分に同一であるか或いは実質的に同一であると称される。ヌクレオチド配列の場合において、本書では、用語「実質的に同一の(substantially identical)」は、第1のヌクレオチド配列が、第1及び第2のヌクレオチド配列が共通の機能活性を有するポリペプチドをコードするか、又は共通のポリペプチド構造ドメイン若しくは共通のポリペプチド機能活性をコードするように、第2の核酸配列内における整列されたヌクレオチドに対して同一である、十分な又は最小限の数のヌクレオチドを含むことをいうのに使用される。
本書で使用される場合、用語「治療(treatment)」、「治療すること(treating)」等は、所望の薬理学的及び/又は生理的効果を得ることをいう。該効果は、疾患又はその徴候を完全又は部分的に予防する点において予防であってよく、並びに/或いは疾患及び/又は該疾患に起因する悪影響に対する部分的又は完全な治癒の点において治療であってよい。本書で使用される場合、「治療(treatment)」は、哺乳動物、例えば、ヒトにおける疾患の任意の治療のことを包含し、(a)疾患に対する素因があってもよいがまだそれを有するとは診断されていない対象において疾患が生じることを予防すること;(b)疾患を抑制する、即ち、その進行を停止させること;並びに(c)疾患を緩和、即ち疾患の退行を引き起こすことを含む。
本書で互換的に使用される「個体(individual)」、「対象(subject)」、「宿主(host)」、及び「患者(patient)」とは、ネズミ科(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ科、ネコ科、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)を含むが、これらに限定されない哺乳動物をいう。
「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」又は「有効量(efficacious amount)」とは、疾患を治療するために哺乳動物又は他の対象に投与したときに、そのような疾患の治療をもたらすのに十分である化合物(例えば、本発明に係る抗体)の量をいう。前記「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」は、抗体、疾患及びその重症度、治療される対象の年齢及び体重等に応じて変動するであろう。
「生物学的サンプル(biological sample)」は、個体から得られる種々のサンプルタイプを包含し、診断又はモニタリングアッセイにおいて使用され得る。該定義は、血液及び他の生物学的起源の液体サンプル、固体組織サンプル(例えば、生検標本若しくは組織培養物又はそれらに由来する細胞及びそれらの子孫)を包含する。該定義は、それらの獲得後に任意の方法で操作された(例えば、試薬での処理、可溶化、又はポリヌクレオチド等の特定の成分についての富化による)サンプルを包含する。該用語「生物学的サンプル(biological sample)」は、臨床サンプルを包含し、細胞培養物、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的流体、及び組織サンプル中の細胞もまた包含する。本願発明をさらに記載する前に、本願発明は、記載されている特定の実施形態に限定されず、それ自体としては、当然、変更してもよいことを理解されたい。本願発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるから、本書で使用されている技術は、特定の実施形態を記載するだけのためのものであって、限定することを意図していないこともまた理解されたい。
値の範囲が提供される場合、各々の中間値は、文脈により明らかに要求されない限り、下限の単位の1/10まで、その範囲の上限と下限との間で、そして、任意の他の値又は中間値は、その記載された範囲において、開示された実施形態の範囲内に含まれるものと理解される。これらのより小さな範囲の上限と下限は、独立して、より小さな範囲に含まれることができ(但し記載された範囲内において任意の限界値が特に除外されうるものとする)、同様に本願発明の範囲内に包含される。その記載された範囲は、限度の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界値のいずれか又は両方を除いた範囲も、本願発明に含まれる。
別段の定めがない限り、本書で使用される全ての技術用語又は科学用語は、本開示が属する技術の当業者に共通に理解されるのと同じ意味を有する。本書に記載されている全ての刊行物は、この刊行物が引用されたことに関する方法及び/又は材料を開示及び記載するために、参照により本書に組み込まれる。
本書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈により明らかに要求されない限り、複数への言及を含むことに注意すべきである。特許請求の範囲は、あらゆる随意選択的要素を排除するよう起草されてもよいことに注意されたい。したがって、このような陳述は、特許請求の範囲の要素(elements)の列挙に関する「単に(solely)」、「のみ(only)」等の排他的用語の使用、又は「消極的(negative)」限定の使用についての先行詞(antecedent basis)としての役割を果たすことを意図する。
本書で議論される刊行物は、本願の出願日よりも前に開示されたために提供されるにすぎない。本書のいかなる内容も、現に請求されている主題が先行発明の効力によりそのような刊行物に先行する権利がないことの承認と解釈されてはならない。さらに、表示された発行日が、実際の発行日とは異なる場合があり、独立に確認する必要がある場合がある。
本願の開示は、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)ポリペプチド結合剤、即ちLOXL2ポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供し;さらに、これを含有する組成物を提供する。前記結合剤は、各種の治療及び診断方法において使用することができ、これも提供される。
本願の開示は、LOXL2エピトープに特異的に結合する単離されたリシルオキシダーゼ様2(LOXL2)結合剤(即ち、及び抗LOXL2抗体)を提供する。ここで、前記LOXL2エピトープは、図1(配列番号1)に示されるアミノ酸配列内のアミノ酸によって規定される。
いくつかの実施形態では、本発明に係る抗LOXL2抗体によって結合されるエピトープは:1)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸303から547内のアミノ酸によって規定され;2)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸303から425内のアミノ酸によって規定され;3)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸325から434内のアミノ酸によって規定され;4)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸303から434内のアミノ酸によって規定され;5)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸426から547内のアミノ酸によって規定され;或いは6)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸435から547内のアミノ酸によって規定される。本発明に係る抗LOXL2抗体によって結合されるエピトープは、配列TPAMGLQKK(配列番号2)内のアミノ酸を含むことができる。
本発明に係る抗LOXL2抗体によって結合されるエピトープは、配列VWGMVCGQNWGIVEAMVVCRQLGLGFASNAFQETWYWHG(配列番号3)内のアミノ酸を含むことができる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る単離されたLOXL2結合剤は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する。いくつかの実施形態では、前記阻害は、非競合的である。いくつかの実施形態では、本発明に係る単離されたLOXL2結合剤は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害しない。いくつかの実施形態では、本発明に係る単離されたLOXL2結合剤は、LOXL2エピトープに特異的に結合するためにAB0023と競合する。いくつかの実施形態では、本発明に係る単離されたLOXL2結合剤は、LOXL2エピトープに特異的に結合するためにAB0023と競合しない。
いくつかの実施形態では、本発明に係る抗LOXL2抗体によって結合されるエピトープは:1)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58から324内のアミノ酸によって規定され;2)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58から159内のアミノ酸によって規定され;3)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58から187内のアミノ酸によって規定され;4)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160から302内のアミノ酸によって規定され;或いは5)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188から302内のアミノ酸によって規定される。これらの実施形態のいくつかでは、前記剤は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する。いくつかの実施形態では、前記阻害は、非競合的である。これらの実施形態のいくつかでは、前記剤は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害しない。
いくつかの実施形態では、本発明に係る抗LOXL2抗体によって結合されるエピトープは:1)図1に示され、かつ配列番号1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸546から744内のアミノ酸によって規定される。これらの実施形態のいくつかでは、前記剤は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する。いくつかの実施形態では、前記阻害は、非競合的である。これらの実施形態のいくつかでは、前記剤は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害しない。
前記実施形態のいずれかにおいて、本発明に係る結合剤は、107M−1〜約1012M−1の親和力でエピトープに結合する。前記実施形態のいずれかにおいて、本発明に係る抗体は、免疫グロブリンの重鎖を含み、前記抗体の重鎖は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のものであり得る。前記実施形態のいずれかにおいて、本発明に係る結合剤は、検出可能に標識され得る。前記実施形態のいずれかにおいて、本発明に係る抗体は、Fv、scFv、Fab、F(ab’)2、又はFab’であり得る。本発明に係る抗体は、ヒト化され得るか、又はキメラであり得る。
前記実施形態のいずれかにおいて、本発明に係る結合剤は、修飾され得る。例えば、本発明に係る結合剤又は本発明に係る抗体は:1)共有結合した非ペプチド合成ポリマーを含み;2)ポリ(エチレングリコール)ポリマーを含み;3)共有結合した脂質又は脂肪酸(モイエティ)を含み;4)共有結合した多糖又は炭水化物モイエティを含み;5)造影剤を含み;6)固体支持体上に固定化され;7)単鎖Fv(scFv)であり;8)多量体化したscFvであり;或いは9)前記抗体に共有又は非共有結合した癌化学療法剤を含む。
本願の開示は、本書に記載されている単離されたLOXL2結合剤を含む組成物と;製薬上許容できる担体又は賦形剤とを含む、LOXL2に関連する状態(症状)を治療するためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、前記LOXL2に関連する状態は、腫瘍、転移、血管新生、又は線維症である。いくつかの実施形態では、前記LOXL2結合剤は、検出可能な標識、治療剤(モイエティ)又はこれらの両方を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、発熱物質を含まない。いくつかの実施形態では、前記組成物は、凍結乾燥される。
本願の開示は、対象のサンプル中のLOXL2のレベルを、前記サンプルを本発明に係る単離されたLOXL2結合剤と接触させることによって、評価することを含み、参照サンプルとの比較においてサンプル中のLOXL2のレベルの変化が前記LOXL2に関連する状態の存在を示す、LOXL2に関連する状態を診断する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記LOXL2に関連する状態は、腫瘍、転移、血管新生、又は線維症である。いくつかの実施形態では、参照サンプルとの比較においてサンプル中のLOXL2のレベルの増加は、腫瘍又はその転移の存在、或いは腫瘍又は転移増殖の増加を示す。いくつかの実施形態では、前記参照サンプルは、初期の時点で対象から取得されたか又は同一タイプの健常な組織から取得されたサンプルであるか、或いは別の個体からのサンプルである。いくつかの実施形態では、前記LOXL2結合剤は、検出可能に標識される。
本願の開示は、サンプル、細胞、又は組織を本発明に係る単離されたLOXL2結合剤、即ち抗LOXL2抗体又はその抗原結合フラグメントと接触させることによって、或いは本開示のLOXL2結合剤を対象に投与することによって、LOXL2活性を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記剤のLOXL2への結合によって、LOXL2の酵素活性が阻害される。いくつかの実施形態では、接触は、インビトロ又はエクスビボで生ずる。いくつかの実施形態では、接触は、インビボで生ずる。いくつかの実施形態では、LOXL2の阻害が、対象における腫瘍増殖及び/又は転移を低減する。いくつかの実施形態では、LOXL2の阻害が、対象における血管新生を低減する。いくつかの実施形態では、LOXL2の阻害が、対象における線維症を低減する。
本願の開示は、本発明に係る抗LOXL2結合剤を投与することを含む、対象における腫瘍の増殖を低減する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、原発性腫瘍又は転移性腫瘍である。いくつかの実施形態では、前記腫瘍は、固形腫瘍である。
本願の開示は、本発明に係る単離された抗LOXL2結合剤を投与することを含む、対象における血管新生を阻害する方法を提供する。
本願の開示は、本発明に係る単離された抗LOXL2結合剤を投与することを含む、対象における線維性疾患を阻害する方法を提供する。
前記治療方法のいずれかにおいて、投与又は接触は、非経口投与によるものとすることができる。前記治療方法のいずれかにおいて、前記方法は、さらに第二の治療剤を共投与することを含むことができる。前記第二の治療剤は、治療生物剤(therapeutic biologic agent)(例えば、抗体)又は化学療法剤であり得る。
本願の開示は、LOXL2レベル及び/又は活性を検出することによって、本発明に係る抗LOXL2結合剤の投与に対する対象の応答をモニタリングする方法を提供する。
前記の方法のいずれかにおいて、前記抗LOXL2結合剤は、検出可能な標識で標識されるか、或いは治療成分(モイエティ)に共有的又は非共有的に結合(conjugate)され得る。
LOXL2結合剤
本願の開示は、一般に本書において「LOXL2ポリペプチド結合剤(LOXL2 polypeptide binding agents)」、「LOXL2結合剤(LOXL2 binding agents)」、又は「抗LOXL2結合剤(anti-LOXL2 binding agents)」と称される、LOXL2ポリペプチドの領域に結合する剤を提供する。抗LOXL2結合剤には、LOXL2の領域に結合する結合剤及びLOXL2酵素活性を阻害する結合剤が含まれる。そのような阻害性結合剤には、競合的阻害剤として又は非競合的阻害剤として作用する剤が含まれる。適当なLOXL2結合剤は、抗LOXL2結合剤(又はその抗原結合フラグメント)である。
本願の開示は、LOXL2に特異的に結合する抗体を提供する。そのような抗体もまた、本書において「抗LOXL2抗体(anti-LOXL2 antibody)」と称される。以下に、より詳細に記載されるように、本発明に係る抗LOXL2抗体は、抗LOXL2の一部内に存在するエピトープに特異的に結合する。
本書で使用される場合、「エピトープ(epitope)」は、LOXL2ポリペプチドと抗LOXL2結合剤との間の結合相互作用を促進するLOXL2ポリペプチド内の連続した又は連続していないアミノ酸残基をいう。抗LOXL2抗体等の抗LOXL2結合剤によって結合されるエピトープには、直鎖状エピトープ(例えば、アミノ酸の連続的な伸長によって形成されるエピトープ)及び立体構造エピトープ(例えば、アミノ酸の連続的でない伸長によって形成されるエピトープ)が含まれる。抗LOXL2抗体等の抗LOXL2結合剤によって特異的に結合されるエピトープはまた、本書において「LOXL2エピトープ(LOXL2 epitope)」と称される。LOXL2エピトープ(例えば、エピトープを規定するLOXL2ポリペプチド内の残基)は、全長約3アミノ酸から約15アミノ酸まで、或いはそれ以上であることが可能であり、例えば、LOXL2エピトープは、全長約3アミノ酸(aa)、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、20aa、30aa、40aa又は50aaであることが可能である。前記されているように、LOXL2エピトープを含むアミノ酸は、連続していてもよいし、又は連続していなくてもよい。
図1に詳述されるように、未処理LOXL2ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端への順で:a)シグナルペプチド;b)本書においてSRCR1と称される、第1のスカベンジャーレセプターのシステインに富む(SRCR)ドメイン;c)本書においてSRCR2と称される、第2のSRCRドメイン;d)本書においてSRCR3と称される、第3のSRCRドメイン;e)本書においてSRCR4と称される、第4のSRCRドメイン;並びにf)触媒ドメインを含む。SRCR1とSRCR2は、28のアミノ酸によって連結され;SRCR2とSRCR3は、22のアミノ酸によって連結され;SRCR3とSRCR4は、9のアミノ酸によって連結される。ここで、連結アミノ酸は、本書において「リンカー(linker)」アミノ酸又は「リンカーズ(linkers)」と称される。成熟した(又は処理された)形態のLOXL2は、SRCR2及びSRCR3間の切断によって未処理の形態から生じ、シグナル配列、SRCR1、及びSRCR2を含むポリペプチドを放出する。したがって、成熟し、処理された形態のLOXL2は、アミノ末端からカルボキシル末端の順で:i)SRCR3;ii)リンカー;iii)SRCR4;iv)リンカー;及びv)触媒ドメインを含む。
LOXL2ポリペプチドは、図1(配列番号1)に示されるアミノ酸配列の、約400アミノ酸(aa)〜約450aa、約450aa〜約500aa、約500aa〜約550aa、約550aa〜約600aa、約600aa〜約650aa、約650aa〜約700aa、約700aa〜約750aa、約750aa〜約774aaの連続的な伸長と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。本書で使用される場合、「LOXL2ポリペプチド(LOXL2 polypeptide)」は、ヒトLOXL2ポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態において、LOXL2ポリペプチドは、図1(配列番号1)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸1〜774と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、LOXL2ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の順で:i)SRCR3;ii)リンカー;iii)SRCR4;iv)リンカー;及びv)触媒ドメインを含み;かつ図1(配列番号1)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸325〜774と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、LOXL2ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の順で:i)SRCR1;ii)リンカー;iii)SRCR2;iv)リンカー;SRCR3;v)リンカー;vi)SRCR4;vii)リンカー;及び触媒ドメインを含み;かつ図1(配列番号1)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜774と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
図1に示されるLOXL2ポリペプチドの未処理かつ成熟した形態は、ヒトLOXL3及びヒトLOXL4の未処理かつ成熟した形態と約55%アミノ酸配列同一性を有する。図1に示されるLOXL2ポリペプチドのSRCR3−4領域は、ヒトLOXL3及びヒトLOXL4のSRCR3−4領域と約58%〜60%アミノ酸配列同一性を有する。図1に示されるLOXL2ポリペプチドのSRCR3領域は、ヒトLOXL3及びヒトLOXL4のSRCR3領域と約64%アミノ酸配列同一性を有する。図1に示されるLOXL2ポリペプチドのSRCR4領域は、ヒトLOXL3及びヒトLOXL4のSRCR4領域と約55%〜57%アミノ酸配列同一性を有する。図1に示されるLOXL2ポリペプチドのSRCR1−2領域は、ヒトLOXL3及びヒトLOXL4のSRCR1−2領域と約45%〜48%アミノ酸配列同一性を有する。図1に示されるLOXL2ポリペプチドのSRCR1領域は、ヒトLOXL3及びヒトLOXL4のSRCR1領域と約57%〜59%アミノ酸配列同一性を有する。図1に示されるLOXL2ポリペプチドのSRCR2領域は、ヒトLOXL3及びヒトLOXL4のSRCR2領域と約39%〜44%アミノ酸配列同一性を有する。図1に示されるLOXL2ポリペプチドの触媒ドメインは、ヒトLOXL3及びヒトLOXL4の触媒ドメインと約65%〜67%アミノ酸配列同一性を有する。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、LOXL2に対して阻害活性を示し、例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、腫瘍増殖及び/又は転移を低減する。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:1)LOXL2の一部内に存在するエピトープに特異的に結合し;2)LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害し;かつ3)腫瘍増殖及び/又は転移を低減する。他の実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:1)LOXL2の一部内に存在するエピトープに特異的に結合するが;LOXL2ポリペプチドの酵素活性を実質的に阻害せず、腫瘍増殖及び/又は転移を実質的に低減しない。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、前記剤の不存在の場合のLOXL2ポリペプチドの酵素活性と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、或いはそれ以上までLOXL2の酵素活性を阻害する。
本発明に係る抗LOXL2抗体は、いくつかの実施形態において、約1nM〜500nM、又は1nM未満の半数阻害濃度(IC50)でLOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体がLOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する、いくつかの実施形態において、前記抗LOXL2抗体は、約1nM〜約10nM、約10nM〜約50nM、約50nM〜約100nM、約100nM〜約150nM、約150nM〜約200nM、約200nM〜約250nM、約250nM〜約300nM、約300nM〜約350nM、約350nM〜約400nM、約400nM〜約450nM、約450nM〜約500nMのIC50で酵素活性を阻害する。本発明に係る抗LOXL2抗体がLOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する、いくつかの実施形態において、前記抗LOXL2抗体は、約1nM未満のIC50で酵素活性を阻害する。
抗LOXL2結合剤がLOXL2の酵素活性を阻害するかどうかは、本書に記載され又は当技術分野において知られている、任意の適当な方法によって評価され得る。本発明に係る抗LOXL2抗体のLOXL2ポリペプチドの酵素活性への効果を測定することにおいて使用するのに適した評価方法の例は、実施例に与えられている。本発明に係る抗LOXL2抗体は、コラーゲン基質(例えば、I型コラーゲン)に働くLOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害することができる。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を実質的に阻害しない。例えば、いくつかの実施形態において、前記抗LOXL2抗体は、検出可能な程度であったとしても、前記抗LOXL2抗体の不存在の場合のLOXL2ポリペプチドの酵素活性と比較して、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満までLOXL2の酵素活性を阻害する。したがって、以下の議論において、本発明に係る抗LOXL2抗体がLOXL2ポリペプチドの酵素活性の「阻害なし(no inhibition)」を示すと言われる場合、或いは本発明に係る抗LOXL2抗体がLOXL2ポリペプチドの酵素活性を「阻害しない(not inhibit)」と言われる場合、前記抗LOXL2抗体は、検出可能な程度であったとしても、前記抗LOXL2抗体の不存在の場合のLOXL2ポリペプチドの酵素活性と比較して、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満まではLOXL2の酵素活性を阻害する。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、腫瘍増殖及び/又は転移を低減する。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、転移の発生率を、前記抗体の不存在下で観察されるものに比較して低減し、さらなる試験では、転移性腫瘍増殖を阻害する。腫瘍阻害は、任意の簡便な測定方法を用いて定量できる。転移の発生率は、相対的な播種性転移(例えば、関与した臓器系の数)及びこれらの部位における相対的な腫瘍量を試験することによって評価され得る。転移性増殖は、必要に応じて、顕微鏡分析又は巨視的分析によって確認され得る。腫瘍転移は、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、或いはそれ以上だけ低減され得る。いくつかの実施形態において、前記抗体は、LOXL2酵素活性を低減しない酵素又は化合物と比べて相対的に評価され得る。試験抗体は、腫瘍接種の時点、原発性腫瘍増殖の確立後、或いは局所及び/又は遠隔転移の確立後に、投与され得る。試験抗体の単一(single)又は多剤投与(multiple administration)は、静脈内投与、腹腔内投与、腫瘍内投与、皮下投与及び皮内投与を含むが、これらに限定されず、任意の簡便な投与形態を用いて与えられ得る。
本発明に係る抗LOXL2抗体は、LOXL2ポリペプチド内のエピトープに結合する高い親和性を示す。例えば、本発明に係る抗体は、少なくとも約10−7M、少なくとも約10−8M、少なくとも約10−9M、少なくとも約10−10M、少なくとも約10−11M、又は少なくとも約10−12Mの、或いは10−12Mよりも大きい親和力でLOXL2ポリペプチド内のエピトープに結合する。本発明に係る抗体は、約10−7M〜約10−8M、約10−8M〜約10−9M、約10−9M〜約10−10M、約10−10M〜約10−11M、又は約10−11M〜約10−12Mの、或いは10−12Mよりも大きい親和力でLOXL2ポリペプチドに(on)存在するエピトープに結合する。
例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、約4℃、25℃、37℃又は42℃の温度で測定して、約100nM以下、約10nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満、約0.1nM未満、約0.01nM未満、又は約0.005nM未満の解離定数(Kd)でLOXL2ポリペプチド(例えば、ヒトLOXL2ポリペプチド)に特異的に結合する。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のものである。いくつかの実施形態において、前記抗体は、その重鎖のアミノ酸241でSerからProへの置換を含む。例えば、Angal et al. (1993) Molec. Immunol. 30:105を参照されたい。
SRCR3−リンカー−SRCR4内のエピトープに結合するLOXL2結合剤
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR3−リンカーSRCR4領域内のエピトープに特異的に結合する。ここで、そのような領域は、「SRCR3−4」と称される。SRCR3−4領域は、配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜547、アミノ酸303〜544、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜547、アミノ酸303〜544、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
本発明に係る抗LOXL2抗体は、いくつかの例では、WO2009/035791及びUS2009/0053224に記載されているAB0023抗体、及び/又はAB0024、即ちWO2009/035791及びUS2009/0053224に記載されている、ヒト フレームワーク(FR)配列を含む前記AB0023抗体に対応するものと結合するために競合するであろう。WO2009/035791及びUS2009/0053224に記載されているAB0023及びAB0024抗体は、それぞれ、本書において「AB0023」及び「AB0024」と称される。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:i)SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合し;かつii)SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合するためAB0023抗体及び/又はAB0024抗体と競合する。AB0023及びAB0024由来のアミノ酸配列は、図6に示されている。
SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合するためAB0023抗体及び/又はAB0024抗体と競合する本発明に係る抗LOXL2抗体は、いくつかの実施形態において、AB0023及びAB0024と同じエピトープに結合するであろう。SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合するためAB0023抗体及び/又はAB0024抗体と競合する本発明に係る抗LOXL2抗体は、いくつかの実施形態において、AB0023及びAB0024によって結合されるエピトープと重複(overlap)するエピトープに結合するであろう。SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合するためAB0023抗体及び/又はAB0024抗体と競合する本発明に係る抗LOXL2抗体は、いくつかの実施形態において、AB0023及びAB0024によって結合されるエピトープと重複しないエピトープに結合するであろう;そのような阻害は、例えば、本発明に係る抗LOXL2がSRCR3−4内のそのエピトープに既に結合されているときのAB0023及びAB0024のそれらのエピトープへの結合の立体障害によるか、或いは抗LOXL2のそのエピトープへの結合によって誘発されるAB0023及びAB0024によって結合されたエピトープにおけるアロステリック変化による。
前記したように、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、LOXL2ポリペプチドの酵素活性を阻害する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合し;b)LOXL2酵素活性を阻害する。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合し;b)LOXL2酵素活性を阻害し;そしてc)SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合するためAB0023抗体及び/又はAB0024抗体と競合する。他の実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合し;b)LOXL2酵素活性を阻害し;そしてc)SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合するためAB0023抗体及び/又はAB0024抗体と競合しない。
ある実施形態において、AB0023抗体及びAB0024抗体は、特異的に除かれる。
他の実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:i)SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合し;ii)SRCR3−4内のエピトープに特異的に結合するためAB0023抗体及び/又はAB0024抗体と競合しない。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、VH及びVL領域を含む。但し、1)前記VH領域は、AB0023重鎖可変領域CDRに対して85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性であるアミノ酸配列を含む1、2、又は3の重鎖可変領域CDRを含み;2)前記VL領域は、AB0023軽鎖可変領域CDRに対して85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性であるアミノ酸配列を含む1、2、又は3個の軽鎖可変領域CDRを含む。
リンカー−SRCR3−リンカー−SRCR4−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体(subject anti-LOXL2 antibody)は、配列番号1のアミノ酸303〜544、アミノ酸303〜545、アミノ酸303〜546、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜544、アミノ酸303〜545、アミノ酸303〜546、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜544、アミノ酸303〜545、アミノ酸303〜546、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する(competes)。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する、又は、iii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜544、アミノ酸303〜545、アミノ酸303〜546、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープへの結合に関してAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜544、アミノ酸303〜545、アミノ酸303〜546、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜544、アミノ酸303〜545、アミノ酸303〜546、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する、ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する、又は、iii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜544、アミノ酸303〜545、アミノ酸303〜546、又はアミノ酸303〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
SRCR3−リンカー−SRCR4−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜545、アミノ酸325〜546、又はアミノ酸325〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜545、アミノ酸325〜546、又はアミノ酸325〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜545、アミノ酸325〜546、又はアミノ酸325〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そしてc)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜545、アミノ酸325〜546、又はアミノ酸325〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜545、アミノ酸325〜546、又はアミノ酸325〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜545、アミノ酸325〜546、又はアミノ酸325〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜544、アミノ酸325〜545、アミノ酸325〜546、又はアミノ酸325〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
リンカー−SRCR3−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR3領域内のエピトープ(SRCR4内ではない)に特異的に結合する。SRCR3領域は、配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そしてc)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そしてb)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜425と、アミノ酸303〜425と、アミノ酸303〜434と、又はアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
リンカー−SRCR3領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸303〜425と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜425と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜425と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体:a)配列番号1のアミノ酸303〜425と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜425と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜425と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し;b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜425と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
SRCR3−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸325〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
リンカー−SRCR3−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸303〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸303〜434と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
リンカー‐SRCR4‐リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸426〜544と、アミノ酸426〜545と、アミノ酸426〜546と、又はアミノ酸426〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸426〜544と、アミノ酸426〜545と、アミノ酸426〜546と、又はアミノ酸426〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸426〜544と、アミノ酸426〜545と、アミノ酸426〜546と、又はアミノ酸426〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3‐4内のエピトープへの結合に関してAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、本発明に係る抗LOXL2抗体は、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸426〜544と、アミノ酸426〜545と、アミノ酸426〜546と、又はアミノ酸426〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸426〜544と、アミノ酸426〜545と、アミノ酸426〜546と、又はアミノ酸426〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸426〜544と、アミノ酸426〜545と、アミノ酸426〜546と、又はアミノ酸426〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープへの結合に関してAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸426〜544と、アミノ酸426〜545と、アミノ酸426〜546と、又はアミノ酸426〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3‐4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
SRCR4−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR4領域内(SRCR3内ではない)のエピトープに特異的に結合する。SRCR4領域は、配列番号1のアミノ酸435〜544、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、又はアミノ酸435〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸435〜544、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、又はアミノ酸435〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸435〜544、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、又はアミノ酸435〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸435〜544、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、又はアミノ酸435〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸435〜544、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、又はアミノ酸435〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸435〜544、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、又はアミノ酸435〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸435〜544、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、又はアミノ酸435〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸435〜544、アミノ酸435〜545、アミノ酸435〜546、又はアミノ酸435〜547と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
SRCR3及びSRCR4の間のリンカー内のエピトープ
ある例において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR3及びSRCR4の間のリンカー領域におけるアミノ酸を含むエピトープに特異的に結合する。SRCR3及びSRCR4の間のリンカー領域は、以下のアミノ酸配列:TPAMGLQKK(配列番号2)と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号2と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号2と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号2と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号2と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号2と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号2と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号2と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
LOXL2のアミノ酸459〜497内のエピトープ
ある例において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR4のアミノ酸459〜497内のエピトープに特異的に結合する。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、アミノ酸配列:VWGMVCGQNWGIVEAMVVCRQLGLGFASNAFQETWYWHG(配列番号3)と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号3と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号3と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
c)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号3と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害し、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
d)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号3と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
e)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号3と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体と競合する。例えば、i)AB0023抗体と同一のエピトープに結合する;ii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複する(overlapping)エピトープに結合する;又はiii)AB0023抗体が結合したエピトープと重複しない(non-overlapping)エピトープに結合する。
f)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号3と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、b)LOXL2の酵素活性を阻害せず、そして、c)SRCR3−4内のエピトープに結合するためAB0023抗体、及び/又は、AB0024抗体とは競合しない。
ある実施形態において、アミノ酸配列:VWGMVCGQNWGIVEAMVVCRQLGLGFASNAFQETWYWHG(配列番号3)内のエピトープに結合する抗体は、特異的に除かれる。
SRCR1−2内のエピトープに結合するLOXL2結合薬剤
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体等のLOXL2結合剤は、SRCR1−リンカー−SRCR2領域(そのような領域は、「SRCR1−2」と称する)内のエピトープに特異的に結合する。SRCR1−2領域は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜302、又は58〜324と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜302、又は58〜324と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
SRCR1−リンカー−SRCR2−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
SRCR1内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR1領域内(SRCR2内ではない)のエピトープに特異的に結合する。SRCR1領域は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜159と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、例えば、ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜159と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜159と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配のアミノ酸58〜159と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
SRCR1−リンカー内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR1−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合する。SRCR1−リンカー領域は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜187と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、例えば、ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜187と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜187と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜187と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
SRCR2内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR1領域内(SRCR2内ではない)のエピトープに特異的に結合する。SRCR2領域は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、例えば、ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
リンカー−SRCR2領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、リンカー‐SRCR2領域内のエピトープに特異的に結合する。リンカー−SRCR2領域は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、例えば、ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
SRCR2−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR2−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合する。SRCR2−リンカー領域は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、例えば、ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜324の少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープと特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸188〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
リンカー−SRCR2−リンカー領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、リンカー−SRCR2−リンカー領域内のエピトープに特異的に結合する。リンカー−SRCR2−リンカー領域は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、例えば、ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸160〜324と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
SRCR1−リンカー−SRCR2領域内のエピトープ
ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、SRCR1−リンカー−SRCR2領域内のエピトープに特異的に結合する。SRCR1−リンカー−SRCR2領域は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、例えば、ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)図1に示されるアミノ酸配列のアミノ酸58〜302と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
触媒ドメイン内のエピトープに結合するLOXL2結合剤
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、LOXL2ポリペプチドの触媒ドメイン内のエピトープに結合する。LOXL2ポリペプチドの触媒ドメインは、配列番号1のアミノ酸546〜774と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。したがって、例えば、ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、配列番号1のアミノ酸546〜774と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合する。
a)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:a)配列番号1のアミノ酸546〜774と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープ特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害する。
b)ある実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は:配列番号1と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列内のエピトープに特異的に結合し、そして、b)LOXL2の酵素活性を阻害しない。
ある実施形態において、配列番号1のチロシン593(Y593)、及び/又はヒスチジン739(H739)を含むエピトープに結合する抗体は、特異的に除かれる。
修飾(Modifications)
本発明に係る抗LOXL2抗体は、以下に記載のように、1つ以上の修飾を含むことができる。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、カルボキシル末端に遊離チオール(−SH)基を含み、遊離チオール基は、第2のポリペプチド(例えば、本発明に係る抗体を含む、別の抗体)、スキャフォールド(scaffold)、担体等に抗体を結合させる(attach)ことに使用することができる。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、1つ以上の非天然に生じるアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、非天然に生じるアミノ酸は、カルボニル基、アセチル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基、又はアルキン基を含む。非天然に生じるアミノ酸の例の開示に関しては、例えば、米国特許7,632,924号を参照されたい。非天然に生じるアミノ酸を含むことは、ポリマー、第2のポリペプチド、スキャフォールド等への連結(linkage)をもたらし得る。例えば、水溶性のポリマーに連結した本発明に係る抗体は、カルボニル基を含む水溶性のポリマー(例えば、PEG)を、アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジド又はセミカルバジド基を含む非天然にコードされるアミノ酸を含む本発明に係る抗体に反応させることによって作製することができる。別の例としては、水溶性のポリマーに連結した本発明に係る抗体は、アルキン含有アミノ酸を含む本発明に係る抗体を、アジド部位(moiety)を含む水溶性のポリマー(例えば、PEG)と反応させることによって作製することができ;いくつかの実施形態において、アジド又はアルキン基は、アミド結合(linkage)を介してPEG分子に連結される。「非天然に生じるアミノ酸(non-naturally occurring amino acid)」とは、20個の通常の(common)アミノ酸の1つではないアミノ酸、又はピロリシン(pyrolysine)若しくはセレノシステインを意味する。用語「非天然に生じるアミノ酸」と同義的に使用され得る他の用語は、「非天然のアミノ酸(non-natural amino acid)」、「非天然のアミノ酸(unnatural amino acid)」、「非天然にコードされるアミノ酸(non-naturally- encoded amino acid)」、及びそれらの種々のハイフン連結バージョン及び非ハイフン連結バージョンである。用語「非天然に生じるアミノ酸」は、天然にコードされるアミノ酸(20個の通常アミノ酸又はピロリシン及びセレノシステインを含むがそれらに限定されない)の修飾(例えば、翻訳後の修飾)によって生じるが、それ自体は翻訳複合体によって成長するポリペプチド鎖に自然に組み込まれないアミノ酸もまた含むが、それに限定されない。そのような非天然に生じるアミノ酸の例は、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−スレオニン、及びO−ホスホチロシンを含むが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、ポリマー(例えば、ポリペプチド以外のポリマー)に連結される(例えば、共有結合的に連結される)。適切なポリマーは、例えば、生体適合性のポリマー、及び水溶性の生体適合性のポリマーを含む。適切なポリマーは、合成ポリマー及び天然に生じるポリマーを含む。適切なポリマーは、例えば、置換された若しくは置換されていない、直鎖状若しくは分枝状鎖のポリアルキレン、ポリアルケニレン若しくはポリオキシアルキレンのポリマー、又は分岐状の若しくは非分枝状の多糖、例えば、ホモ多糖若しくはヘテロ多糖を含む。適切なポリマーは、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般的には、一般名(generic name)EVOH、又は、商標名EVALで知られている);ポリブチルメタクリラート;ポリ(ヒドロキシバレラート);ポリ(L−乳酸);ポリカプロラクトン;ポリ(ラクチド−コ−グリコリド);ポリ(ヒドロキシブチラート);ポリ(ヒドロキシブチラート−コ−バレラート);ポリジオキサノン;ポリオルトエステル;ポリ無水物;ポリ(グリコール酸);ポリ(D,L−乳酸);ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカルボナート));ポリリン酸エステル;ポリリン酸エステルウレタン;ポリ(アミノ酸);シアノアクリラート;ポリ(トリメチレンカルボナート);ポリ(イミノカルボナート);コポリ(エーテル−エステル)(例えば、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(乳酸)(PEO/PLA)コ−ポリマー);ポリアルキレンオキサラート;ポリホスファゼン;フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン及びヒアルロン酸等のバイオ分子;ポリウレタン;シリコン;ポリエステル;ポリオレフィン;ポリイソブチレン及びエチレン−αオレフィンコポリマー;アクリルポリマー及びコポリマー;ポリビニルクロリド等のビニルハライドポリマー及びコポリマー;ポリビニルメチルエーテル等のポリビニルエーテル;ポリビニリデンフルオリド及びポリビニリデンクロリド等のポリビニリデンハライド;ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン;ポリスチレン等のポリビニル芳香族;ポリビニルアセテート等のポリビニルエステル;エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アセトニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、及びエチレン−ビニルアセテートコポリマー等のビニルモノマー同士の及びオレフィンとのコポリマー;ナイロン66及びポリカプロラクタム等のポリアミド;アルキド樹脂;ポリカーボナート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;セルロース;セルロースアセテート;セルロースブチラート;セルロースアセテートブチラート;セロハン;セルロースニトラート;セルロースプロピオナート;セルロースエーテル;アモルファスのテフロン(登録商標);ポリ(エチレングリコール);及びカルボキシメチルセルロースを含む。
適切な合成ポリマーは、置換されていない及び置換された、直線状の又は分枝状の鎖の、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、並びにそれらの誘導体、例えば、メトキシポリ(エチレングリコール)及びその誘導体等の置換されたポリ(エチレングリコール)を含む。適切な天然に生じるポリマーは、例えば、アルブミン、アミロース、デキストラン、グリコーゲン、及びそれらの誘導体を含む。
適切なポリマーは、500Da〜50、000Da、例えば、5、000Daから40、000Daまで、又は、25、000から40、000Daまでの範囲内の平均分子量を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体がポリ(エチレングリコール)(PEG)又はメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーを含む場合に、PEG又はメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーは、約0.5キロダルトン(kDa)から1kDaまで、約1kDaから5kDaまで、5kDaから10kDaまで、10kDaから25kDaまで、25kDaから40kDaまで、又は40kDaから60kDaまでの範囲内の分子量を有することができる。
上記のように、いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、PEGポリマーに共有結合的に連結される。いくつかの実施形態において、本発明に係るscFv多量体は、PEGポリマーに共有結合的に連結される。例えば、Albrecht et al. (2006) J. Immunol. Methods 310:100を参照されたい。タンパク質のペグ化に関する適切な方法及び試薬は、本発明の分野においてよく知られており、例えば、米国特許5,849,860号において見出すことができる。タンパク質への結合に適切なPEGは、一般的に室温で水に可溶であり、一般式R(O−CH2−CH2)nO−Rを有する。ここで、Rは水素又はアルキル若しくはアルカノール基等の保護基であり、nは1〜1000の整数である。Rが保護基である場合、Rは、一般的には1から8個の炭素を有する。
本発明に係る抗体にコンジュゲートしたPEGは直線状であり得る。本発明に係るタンパク質にコンジュゲートしたPEGは、分枝状でもあってもよい。分岐状のPEG誘導体は、例えば、米国特許5,643,575号に記載されたもの、「スターPEG(star-PEG's)」、及びShearwater Polymers, Inc.のカタログ「Polyethylene Glycol Derivatives 1997-1998」に記載されたもの等の複数の腕を持つPEG(multi-armed PEG's)を含む。スターPEGは、例えば、米国特許6,046,305号を含む技術分野において記載される。
本発明に係る抗体は、グリコシル化することができ、例えば、共有結合的に連結した炭水化物又は多糖部位(moiety)を含むことができる。抗体のグリコシル化は、典型的には、N−結合型又はO−結合型の何れかである。N−結合型は、炭水化物成分ないし部位(モイエティ)の、アスパラギン残基の側鎖への結合(attachment)をいう。Xが、プロリンを除く任意のアミノ酸である場合、トリペプチド配列アスパラギン‐X‐セリン及びアスパラギン‐X‐スレオニンが、炭水化物成分ないし部位のアスパラギン側鎖への酵素的結合(enzymatic attachment)のための認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列の何れかの存在は、潜在的なグリコシル化サイトを形成する。O−結合型グリコシル化は、糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース又はキシロースのうちの1つの、ヒドロキシアミノ酸への結合をいい、ヒドロキシアミノ酸については、最も一般的にはセリン又はスレオニンであるが、5‐ヒドロキシプロリン又は5‐ヒドロキシリシンもまた使用してもよい。
抗体へのグリコシル化部位の追加は、上述のトリペプチド配列(N−結合型グリコシル化部位に関する)の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変化させること(altering)によって容易に達成することができる。変化は、元来の抗体の配列(O−結合型グリコシル化部位に関する)への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の添加又はこれによる置換によって作製することもできる。同様に、グリコシル化部位の除去は、抗体の天然のグリコシル化部位内のアミノ酸変化によって達成することができる。
本発明に係る抗体は、いくつかの実施形態において、「放射線不透過性の(radiopaque)」ラベル、例えば、容易に可視化することができるラベル(例えば、X線を使用して)を含むであろう。放射線不透過性の材料は、本発明の分野における通常の知識を有するものによく知られている。最も一般的な放射線不透過性の材料は、ヨウ化物、臭化物又はバリウムの塩を含む。他の放射線不透過性の材料も知られており、これには、有機ビスマス誘導体(例えば、米国特許5,939,045号参照)、放射線不透過性のマルチウレタン(米国特許5,346,981号参照)、有機ビスマス複合体(例えば、米国特許5,256,334号参照)、放射線不透過性のバリウム多量体複合体(例えば、米国特許4,866,132号参照)等が含まれるが、それらに限定されない。
本発明に係る抗体は、例えば、グルタルアルデヒド、ホモ2機能性の(homobifunctional)クロスリンカー、又は、ヘテロ2機能性の(heterobifunctional)クロスリンカーを使用して、第2の成分(moiety)(例えば、脂質、本発明に係る抗体以外のポリペプチド、合成ポリマー、炭水化物等)に、共有結合的に結合され得る。グルタルアルデヒドは、ポリペプチドと、それらのアミノ部位(moieties)を介してクロスリンクする。ホモ2機能性のクロスリンカー(例えば、ホモ2機能性のイミドエステル、ホモ2機能性のN‐ヒドロキシサクシニミジル(NHS)エステル、又はホモ2機能性のスルフヒドリル反応性のクロスリンカー)は、2つ以上の同一の反応性部位(reactive moieties)を含み、クロスリンカーをリンクさせるべきポリペプチドの混合物を含む溶液に添加するワンステップ反応手順において使用され得る。ホモ2機能性のNHSエステル及びイミドエステルは、アミン含有ポリペプチドとクロスリンクする。弱アルカリ性pHにおいて、イミドエステルは第一級アミンのみと反応してイミドアミドを形成し、クロスリンクしたポリペプチドの全体の電荷は影響を受けない。ホモ2機能性のスルフヒドリル反応性のクロスリンカーは、ビスマレイミドヘキサン(bismaleimidhexane [sic, bismaleimidohexane]、BMH)、1,5−ジフルオロ−2,4‐ジニトロベンゼン(DFDNB)、及び1,4‐ジ−(3’,2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド(propinoamido[sic, propionamido])ブタン(DPDPB)を含む。
ヘテロ2機能性のクロスリンカーは、2つ以上の異なる反応性部位(reactive moieties)(例えば、アミン反応性部位とスルフヒドリル−反応性部位)を有し、先ずアミン又はスルフヒドリル反応性部位を介してポリペプチドの1つとクロスリンクして、次に反応していない方の部位を介して他のポリペプチドと反応する。複数のヘテロ2機能性のハロアセチルクロスリンカーは、ピリジルジスルフィドクロスリンカーとして、利用可能である。カルボジイミドは、カルボキシルをアミンにカップリングして、アミド結合を生じさせるヘテロ2機能性のクロスリンキング試薬の古典的な例である。
本発明に係る抗体は、固体支持体に固定することができる。適切な支持体は本発明の分野においてよく知られており、特に、商業的に利用可能なカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラス、並びに/又は、シリコンのチップ及び表面、ニトロセルロースストリップ、ナイロン膜、シート、デュラサイツ(duracytes)、反応トレーのウェル(例えば、マルチ−ウェルプレート)、プラスチックのチューブ等を含む。固体支持体は、例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然の及び改変されたセルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、並びにマグネタイトを含む種々の物質の何れかを含むことができる。本発明に係る抗体を固体支持体に固定するための適切な方法はよく知られており、イオン相互作用、疎水性相互作用、及び共有結合性の相互作用等を含むが、それらに限定されない。固体支持体は、例えば、水性の溶液に可溶又は不溶であり得る。いくつかの実施形態において、適切な固体支持体は、一般的には水性の溶液に不溶である。
本発明に係る抗体は、いくつかの実施形態において検出可能な標識を含むであろう。適切な検出可能な標識は、分光学的な、フォト化学の、生化学的な、免疫化学的な、電気的な、光学的な又は化学的な手段によって検出可能ないずれかの組成物を含む。適切なラベルは、磁気ビーズ(例えば、ダイナビーズ(登録商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質等)、放射標識(例えば、3H、125I、35S、14C、又は32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、及び、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)において一般的に使用される他のもの)、並びに金コロイド又は有色ガラス若しくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)ビーズ等の比色標識を含むが、それらに限定されない。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は造影剤又は放射線同位体を含み、造影剤又は放射線同位体はイメージングにおける使用、例えば、ヒトに対して実行されるイメージング手法に適切なものである。標識の非限定的な例は、123I(ヨウ素)、18F(フッ素)、99Tc(テクネチウム)、111In(インジウム)、及び、67Ga(ガリウム)等の放射線同位体、並びにガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム、及び鉄等の造影剤を含む。放射性のGd同位体(153Gd)も、非ヒトの哺乳類におけるイメージングに利用可能であり、適する。本発明に係る抗体は、標準的な技術を使用して標識することができる。例えば、本発明に係る抗体は、クロラミンT又は1,3,4,6−テトラクロロ−3α,6α−ジフェニルグリコルリル(dephenylglycouril [sic, diphenylglycoluril])を使用してヨウ素化することができる。フッ素付加については、フルオリドイオン置換反応によって本発明に係る抗体にフッ素が付加される。Muller-Gartner, H., TIB Tech., 16:122-130 (1998)、及び、そのような放射線同位体を有するタンパク質の合成の概説(review)に関するSaji, H., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst., 16(2):209-244 (1999)を参照されたい。本発明に係る抗体は、標準的な技術を通じて造影剤で標識することもできる。例えば、本発明に係る抗体は、Gdジエチレントリアミンペンタ酢酸(GdDTPA)又はGdテトラアザシクロドデカンテトラ酢酸(GdDOTA)等の低分子Gdキレートを抗体にコンジュゲートすることによってGdで標識することができる。Caravan et al., Chem. Rev. 99:2293-2352 (1999)、及び、Lauffer et al., J. Magn. Reson. Imaging, 3:11-16 (1985)を参照されたい。本発明に係る抗体は、例えば、ポリリシン−Gdキレートを抗体にコンジュゲートすることによって、Gdで標識することができる。例えば、Curtet et al., Invest. Radiol., 33(10):752-761 (1998)を参照されたい。或いは、本発明に係る抗体は、Gdキレート脂質を含む常磁性のポリマー化リポソームを、アビジン及びビオチン標識化抗体と一緒にインキュベートすることによって、Gdで標識することができる。例えば、Sipkins et al., Nature Med., 4:623-626 (1998)を参照されたい。
本発明に係る抗体に連結することができる適切な蛍光タンパク質は、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質、又はその突然変異体若しくは誘導体(例えば、米国特許6,066,476号;6,020,192号;5,985,577号;5,976,796号;5,968,750号;5,968,738号;5,958,713号;5,919,445号;5,874,304号に記載のもの);例えば、増強GFPを含むが、それらに限定されない。多くのそのようなGFPは商業的に、例えば、Clontech, Inc.から、入手可能である。更なる蛍光タンパク質は、赤色蛍光タンパク質;黄色蛍光タンパク質;及び花虫類由来の種々の蛍光タンパク質並びに有色(colored)タンパク質の何れか(例えば、Matz et al. (1999) Nature Biotechnol. 17:969-973に記載のもの)等を含む。
本発明に係る抗体は、いくつかの実施形態において、融合パートナー(例えば、リガンド;エピトープタグ;ペプチド;抗体以外のタンパク質等)に連結されるであろう(例えば、共有結合的に又は非共有結合的に連結される)。適切な融合パートナーは、下記のペプチド及びポリペプチドを含む。即ち、インビボにおいて増強された安定性(例えば、増強された血清半減期)をもたらすもの;ポリヒスチジン配列、例えば、6His(HHHHHH、配列番号4)等の精製の容易さをもたらすもの;細胞からの融合タンパク質の分泌をもたらすもの;エピトープタグ、例えば、GST、赤血球凝集素(HA;例えば、CYPYDVPDYA;配列番号5)、FLAG(例えば、DYKDDDDK;配列番号6)、c‐myc(例えば、CEQKLISEEDL;配列番号7)等をもたらすもの;検出可能なシグナル、例えば、検出可能な生成物(例えば、β‐ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、β‐グルクロニダーゼ)を生成する酵素、又は、それ自体で検出可能なタンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質等)をもたらすもの;多量体化、例えば、免疫グロブリンのFc部分等の多量体化ドメイン、をもたらすもの等の、ペプチド及びポリペプチドを含む。
融合は、同定又は精製に有用な結合パートナー、例えば、同定又は精製に有用な固形の支持体に固定されたもの等と相互作用することができるペプチド配列を含む親和性ドメインを含んでもよい。ヒスチジン等の連続的な単一のアミノ酸は、タンパク質に融合させたときに、ニッケルセファロース等の樹脂カラムへの高親和性結合による融合タンパク質のワンステップの精製に使用することができる。親和性ドメインの例は、His5(HHHHH)(配列番号8)、Hisx6(HHHHHH)(配列番号4)、C‐myc(EQKLISEEDL)(配列番号7)、Flag(DYKDDDDK)(配列番号6)、Strepタグ(WSHPQFEK)(配列番号9)、赤血球凝集素(例えば、HAタグ(YPYDVPDYA;配列番号10)、グルタチオン‐S‐トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、セルロース結合ドメイン、RYIRS(配列番号11)、Phe‐His‐His‐Thr(配列番号12)、キチン結合ドメイン、S‐ペプチド、T7ペプチド、SH2ドメイン、C‐末端RNAタグ、WEAAAREACCRECCARA(配列番号13)、金属結合ドメイン、例えば、亜鉛結合ドメイン又はカルシウム結合ドメイン、例えばカルシウム結合タンパク質由来のカルシウム結合ドメイン、例えば、カルモジュリン、トロポニンC、カルシニューリンB、ミオシン軽鎖、リカバリン、S‐モジュリン、ビジニン、ビジニン様タンパク質、ニューロカルシン、ヒポカルシン、フリケニン(frequenin)、カルトラクチン(caltractin)、カルパイン大サブユニット、S100タンパク質、パルブアルブミン、カルビンジンD9K、カルビンジンD28K、及び、カルレチニン、インテイン、ビオチン、ストレプトアビジン、MyoD、ロイシンジッパー配列、及びマルトース結合タンパク質を含む。
本発明に係る抗体は、いくつかの実施形態において、内来性の血液脳関門(BBB)受容体に結合するポリペプチドに融合されるであろう。本発明に係る抗体を内来性のBBB受容体に結合するポリペプチドに連結させることは、例えば、本発明に係る抗体の投与を必要とする個体への投与を含む本発明に係る処置方法(下記参照)において、BBBの通過ないし透過(crossing)を促進する。内来性のBBBに結合する適切なポリペプチドは、抗体(例えば、内来性のBBB受容体に特異的に結合するモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント)を含む。適切な内来性のBBB受容体は、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、レプチン受容体、リポタンパク質受容体、及びインスリン‐様成長因子受容体を含むが、それらに限定されない。例えば、米国特許公開2009/0156498号を参照されたい。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、ポリアミン修飾を含む。本発明に係る抗体のポリアミン修飾は、修飾した抗体のBBBにおける透過性を増強する。本発明に係る抗体は、天然に生じる又は合成のいずれかのポリアミンで修飾することができる。例えば、米国特許5,670,477号参照。有用な天然に生じるポリアミンは、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、1,3‐ジアミノプロパン(deaminopropane [sic, diaminopropane])、ノルスペルミジン、syn‐ホモスペルミジン、テルミン(thermine)、サーモスペルミン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン及びカナバルミンを含む。スプトレシン、スペルミジン及びスペルミンは、特に有用である。合成のポリアミンは、実験式CXHYNZを含み、1−6NR若しくはN(R)2部位(moieties)を含む(式中、RはH、(C1−C4)アルキル、フェニル、又はベンジルである)、3−12個の炭素原子の、環状の若しくは非環状の、分枝状若しくは非分枝状の炭化水素鎖であり得る。ポリアミンは、標準的なクロスリンキング方法を使用して、抗体に結合させることができる。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、炭水化物部位を含むように改変される。ここで、前記炭水化物部位は、抗体に共有結合的に連結され得る。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、脂質部位を含むように改変される。ここで、脂質部位は、抗体に共有結合的に連結され得る。適切な脂質部位は、例えば、N-ラウロイル、N-オレオイル等のN-脂肪族アシル基、ドデシルアミン、オレオイルアミン等の脂肪族アミン、C3−C16の長鎖脂肪族の脂質等を含む。例えば、米国特許6,638,513号を参照されたい。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、リポソームに組み込まれる。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOLX2抗体は、治療用の、及び/又は、画像処理用の/検出可能な部位(moiety)にコンジュゲートされるか、又は、連結される。抗体にコンジュゲートする又は連結する方法は、当技術分野において良く知られている。抗体とラベルとの間の会合(associations)は、共有結合性の及び非共有結合性の相互作用を含む、当技術分野において知られている任意の手段を含むが、それらに限定されない。
非限定的な実施形態の1つにおいて、本発明に係る抗LOXL2抗体は、毒素、放射性核種、鉄関連化合物、色素、イメージング試薬、蛍光標識又は癌細胞に送達されるときに有毒であろう化学療法剤と会合され得る。或いは、本発明に係る抗LOXL2抗体は、放射性核種、鉄関連化合物、色素、イメージング剤、又は、ターゲット抗原の免疫検出のための蛍光薬剤等の検出可能な標識と会合され得る。
非限定的な放射標識の例は、32P、33P、43K、52Fe、57Co、64Cu、67Ga、67Cu、68Ga、71Ge、75Br、76Br、77Br、77As、77Br、81Rb/81MKr、87MSr、90Y、97Ru、99Tc、100Pd、101Rh、103Pb、105Rh、109Pd、111Ag、111In、113In、119Sb、121Sn、123I、125I、127Cs、128Ba、129Cs、131I、131Cs、143Pr、153Sm、161Tb、166Ho、169Eu、177Lu、186Re、188Re、189Re、191Os、193Pt、194Ir、197Hg、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi、及び213Biを含む。
非限定的な毒素の例は、例えば、ジフテリアA鎖、ジフテリアトキシンの非結合性アクティブフラグメント、エキソトキシンA鎖(シュードモナス・エルギノーサ由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α‐サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana [sic, Phytolacca americana])タンパク質(PAPI、PAPII及びPAP−S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、トリコテセン、クロストリジウム・パーフリンゲンス・ホスフォリパーゼC(PLC)、ウシ膵臓リボヌクレアーゼ(BPR)、抗ウィルス剤タンパク質(PAP)、アブリン、コブラ毒因子(CVF)、ゲロニン(GEL)、サポリン(SAP)、及び、ビスキュミンを含む。
非限定的な鉄関連化合物の例は、例えば、磁性酸化鉄粒子、第二鉄又は第一鉄粒子、Fe203及びFe304を含む。鉄関連化合物、そして、ポリペプチド、タンパク質及びペプチドを標識する方法は、例えば、米国特許4,101,435号及び4,452,773号、及び米国出願公開20020064502号及び20020136693号において見出すことができる。
ある実施形態において、本発明に係る抗体は、腫瘍細胞に薬剤の送達を局在化させるために、共有結合的に又は非共有結合的にサイトトキシン又は他の細胞増殖を阻害する化合物にカップル(組合せないし結合:couple)され得る。例えば、前記薬剤は、アルキル化剤、酵素阻害剤、増殖阻害剤、溶解剤、DNA‐又はRNA‐合成阻害剤、膜浸透性調節剤、DNA代謝産物、ジクロロエチルスルフィド誘導体、タンパク質生成阻害剤、リボソーム阻害剤、アポトーシス誘導因子、及びニューロトキシンから選択することができる。
ある実施形態において、本発明に係る抗体は、腫瘍のイメージングに有用な薬剤とカップルすることができる。そのような薬剤は、金属;金属キレート剤;ランタニド;ランタニドキレート剤;放射性金属;放射性金属キレート剤;ポジトロン放出核;マイクロバブル(超音波のための);リポソーム;リポソーム又はナノ粒子にマイクロカプセル化した分子;単結晶の鉄オキシドナノ化合物;磁気共鳴イメージング造影剤;光を吸収する、反射する、及び/又は、散乱させる薬剤;コロイドの粒子;近赤外のフルオロフォア等のフルオロフォアを含む。多くの実施形態において、そのような第2の機能/成分は相対的に大きく、例えば、サイズが少なくとも25個の原子質量単位(amu)であろうし、多くの例において、サイズが少なくとも50、100又は250amuであり得る。
ある実施形態において、第2の機能は、金属をキレートするキレート部分(モイエティ)であり、例えば、放射性金属イオン又は常磁性イオンのキレート剤である。更なる実施形態において、それは、放射線療法又はイメージング手法に有用な放射性核種のキレート剤である。キレート剤が金属を配位(coordinate)するような状態は、例えば、Gasnow et al.、米国特許4,831,175号、4,454,106号及び4,472,509号に記載されているが、各文献は、本願に参照によって組み込まれる。本願において「放射性核種(radionuclide)」及び「放射標識(radiolabel)」は、互換的に使用される。
本発明に係る抗LOXL2抗体への追加に適切な放射性核種は、ガンマエミッター、ポジトロンエミッター、オージェ電子エミッター、X線エミッター及び蛍光エミッターを含む。いくつかの実施形態において、β‐又はα‐エミッターが使用される。放射線照射療法におけるトキシンとして有用な放射性核種の例は、32P、33P、43K、52Fe、57Co、64Cu、67Ga、67Cu、68Ga、71Ge、75Br、76Br、77Br、77As、77Br、81Rb/81MKr、87MSr、90Y、97Ru、99Tc、100Pd、101Rh、103Pb、105Rh、109Pd、111Ag、111In、113In、119Sb、121Sn、123I、125I、127Cs、128Ba、129Cs、131I、131Cs、143Pr、153Sm、161Tb、166Ho、169Eu、177Lu、186Re、188Re、189Re、191Os、193Pt、194Ir、197Hg、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi及び213Biを含む。治療上の放射性核種の例は、188Re、186Re、203Pb、212Pb、212Bi、109Pd、64Cu、67Cu、90Y、125I、131I、77Br、211At、97Ru、105Rh、198Au及び199Ag、166Ho又は177Luを含む。
99Tcは、全ての核医学部門において容易に利用可能であり、高価でなく、最小限の照射量を患者にもたらし、そして、理想的な核のイメージング上の特徴を有するので、診断への適用に特に魅力的な放射線同位体である。それは、6時間の半減期を有し、テクネチウムで標識された抗体の早急なターゲッティングが望まれることを意味する。したがって、ある実施形態において、本発明に係る抗体は、テクネチウムのキレート剤を含むように改変される。
更に他の実施形態において、第2の機能は放射線感応剤、例えば、照射に対する細胞の感受性を増加させる部分(moiety)であり得る。放射線感応剤の例は、ニトロイミダゾール、メトロニダゾール及びミソニダゾールを含む(DeVita, V. T. in Harrison's Principles of Internal Medicine, p. 68, McGraw-Hill Book Co., NY, 1983を参照されたい。この文献は引用によって本願に組み込まれる)。活性部分(active moiety)として放射線感応剤を含む改変された抗体は、投与され、標的細胞に局在化する。個体を照射に暴露させると、放射線感応剤は「励起され(excited)」、細胞の死をもたらす。
キレート剤としての役割を果たすことができ、本発明に係る抗体へ誘導体化され得る部分は、広範囲にわたる。例えば、キレート剤は、1,4,7,10‐テトラアザシクロドデカンテトラ酢酸(DOTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)及び1-p-イソチオシアナト-ベンジル-メチル-ジエチレントリアミンペンタ酢酸(ITC−MX)の誘導体であり得る。これらのキレート剤は、典型的には、該キレート剤が本発明に係るアンタゴニストに結合するように使用され得る基を側鎖に有する。そのような基は、例えば、DOTA、DTPA、又は、EDTAを、例えば、アミン基にカップルさせることができるベンジルイソチオシアナートを含む。
1つの実施形態において、キレート部分は「NxSy」キレート部分である。本願に定義されるように、「NxSyキレート」は、金属又は放射性金属を配位結合させることが可能であり、N2S2又はN3Sコアを有し得る2機能的なキレート剤を含む。NxSyキレートの例は、例えば、Fritzberg et al. (1998) PNAS 85: 4024-29、及びWeber et al. (1990) Chem. 1: 431-37、並びにこれらの文献において引用されている参考文献に記載されている。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、化学療法剤を含むように改変され、例えば、化学療法剤が、本発明に係る抗LOXL2抗体に共有結合的に又は非共有結合的に結合(リンク)される。
本発明に係る抗体の改変における使用に適する化学療法的な薬剤(「化学療法剤(chemotherapeutics)」)は、化学合成によって生成される小さな化学物質(small chemical entities)を含む。化学療法剤は、細胞毒性剤及び細胞分裂阻害剤を含む。化学療法剤は、形質転換した状態(transformed state)から分化した状態への逆転等の細胞に対する他の影響を有するもの、又は、細胞の複製を阻害するものを含み得る。使用に適する公知の細胞毒性剤の例は、例えば、Goodman et al., "The Pharmacological Basis of Therapeutics," Sixth Edition, A.B. Gilman et al., eds./Macmillan Publishing Co. New York, 1980に列挙されている。これらは、パクリタキセル及びドセタキセル等のタキサン;メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード及びクロラムブシル等の窒素;チオテパ等のエチレンイミン誘導体;ブスルファン等のアルキルスルホナート;ロムスチン、セムスチン及びストレプトゾシン等のニトロソウレア;ダカルバジン等のトリアゼン;メトトレキサート等の葉酸類似体;フルオロウラシル、シタラビン及びアザリビン等のピリミジン類似体;メルカプトプリン及びチオグアニン等のプリン類似体;ビンブラスチン及びビンクリスチン等のビンカアルカロイド;ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びマイトマイシン等の抗生物質;シスプラチン等の白金配位複合体等の酵素;ヒドロキシ尿素等の置換尿素;プロカルバジン等のメチルヒドラジン誘導体;ミトタン等の副腎皮質抑制剤;副腎皮質ステロイド(プレドニゾン)、プロゲスチン(ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、アセテート及びメゲストロールアセテート)、エストロゲン(ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール)、及びアンドロゲン(テストステロンプロピオナート及びフルオキシメステロン)等のホルモン及びアンタゴニストを含む。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、タンパク質合成に干渉する化学療法剤を含むように改変される。タンパク質合成に干渉する薬剤は、例えば、ピューロマイシン、シクロヘキシミド、及び、リボヌクレアーゼを含む。
現在において癌の処置に使用される化学療法剤のほとんどは、本発明に係る抗体のアミン又はカルボキシル基と直接的に化学的クロスリンキングすることが可能な官能基を有する。例えば、遊離アミノ基がメトトレキサート、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シトシンアラビノシド、ブレオマイシン、フルダラビン、及び、クラドリビンに利用可能であり、その一方では、遊離カルボン酸基がメトトレキサート、メルファラン、及びクロラムブシルに利用可能である。
これらの官能基(即ち遊離アミノ及びカルボキシル基)は、これらの薬剤を、例えば、本発明に係る抗体の遊離アミノ基に直接的にクロスリンクすることが可能な種々のホモ2機能性の及びヘテロ2機能性の化学的クロスリンキング剤(chemical cross-linking agent)の標的である。
本発明に係る抗体の修飾に関して考慮される化学療法剤は、市販の他の化学療法剤も含む。端的に例を挙げると、化学療法剤は、クロマチン機能の阻害剤、DNA傷害剤、代謝拮抗剤(葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体、及び、糖改変類似体等)、DNA合成阻害剤、DNA相互作用剤(挿入剤等)、又はDNA修復阻害剤であり得る。
化学療法剤は、それらの作用のメカニズムによって、例えば、以下の群にカテゴリー分けすることができる:ピリミジン類似体(フロクスウリジン、カペシタビン、及びシタラビン)及びプリン類似体等の代謝拮抗剤/抗癌剤;葉酸アンタゴニスト及び関連阻害剤;ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン)等の天然物、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)等のマイクロチューブル、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン及びナベルビン、エピジポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド)を含む抗増殖性剤/抗有糸分裂剤;DNA傷害剤(アクチノマイシン、アムサクリン、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロフォスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イフォスファミド、メルファラン、メクロレタミン(merchlorehtamine、[sic, mechlorethamine])、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソウレア、プロカルバジン、タキソール、タキソテレ、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミド及びエトポシド;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びマイトマイシン等の抗生物質;酵素(全身に代謝するL‐アスパラギナーゼ、L‐アスパラギン及びそれら自身のアスパラギンを合成する能力を有さない欠乏細胞);抗血小板剤;窒素マスタード、シクロフォスファミド及び類似体、メルファラン、クロラムブシル)、及び(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルニトロソウレア(BCNU)及び類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン‐ダカルバジニン(trazenes-dacarbazinine)(DTIC)等の抗増殖性の/抗有糸分裂のアルキル化の薬剤;葉酸類似体(メトトレキサート)等の抗増殖性の/抗有糸分裂の代謝拮抗剤;白金配位複合体(シスプラチン、オキサリプラチナム(oxiloplatinim[sic, oxaliplatinum])、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似体(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)及びアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝血剤(ヘパリン、合成のヘパリン塩及び他のトロンビンの阻害剤);血栓溶解剤(組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ等)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル;抗移動性剤;抗分泌性剤(ブレフェルジン(breveldin [sic, brefeldin]));免疫抑制剤、タクロリムス、シロリムス、アザチオプリン、ミコフェノラート;化合物(TNP‐470、ゲニステイン)及び成長因子阻害剤(血管内皮成長因子阻害剤、繊維芽細胞成長因子阻害剤);アンジオテンシン受容体ブロッカー、一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ、リツキシマブ);細胞周期阻害剤及び分化誘導因子(トレチノイン);阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン及びミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルペドニゾロン(methylpednisolone)、プレドニゾン、及び、プレニゾロン(prenisolone));成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;機能障害誘導因子、コレラトキシン、リシン、シュードモナスエキソトキシン、ボルデテラ・パータシスアデニラートシクラーゼトキシン、又は、ジフテリアトキシン等のトキシン、及びカスパーゼ活性化因子;並びにクロマチン。化学療法剤の好ましい投与量は、現在処方されている投与量に一致する。
本願において使用される用語「核酸ダメージング治療(nucleic acid damaging treating treatment)」及び「核酸ダメージング剤(nucleic acid damaging agent)」は、直接的に又は間接的に核酸(例えば、DNA、cDNA、ゲノムDNA、mRNA、tRNA又はrRNA)にダメージを与えるいずれかの治療レジメンを意味する。そのような剤の例は、アルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、植物抽出液及び放射線同位体を含む。剤の例はまた、核酸ダメージング剤、例えば、5‐フルオロウラシル(5‐FU)、カペシタビン、S‐1(テガフール、5‐クロロ‐2,4‐ジヒドロキシピリジン及びオキソニン酸)、5‐エチニルウラシル、アラビノシルシトシン(ara‐C)、5‐アザシチジン(5‐AC)、2’,2’‐ジフルオロ‐2’‐デオキシシチジン(dFdC)、プリン代謝拮抗剤(メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン)、ゲムシタビンヒドロクロリド(Gemzar)、ペントスタチン、アロプリノール、2‐フルオロ‐アラビノシル‐アデニン(2F−ara−A)、ヒドロキシ尿素、硫黄マスタード(ビスクロロエチルスルフィド)、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、AZQ、マイトマイシンC、ジアンヒドロガラクチトール、ジブロモデュシトール(dibromoducitol)、アルキルスルホナート(ブスルファン)、ニトロソウレア(BCNU、CCNU、4-メチルCCNU又はACNU)、プロカルバジン、デカルバジン(decarbazine)、レベッカマイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン;ADR)等のアントラサイクリン(anthracyclins [sic anthracycline])、ダウノルビシン(daunorubibcin [sic, daunorubicin])(Cerubicine)、イダルビシン(イダマイシン)及びエピルビシン(Ellence)、ミトキサントロン等のアントラサイクリン類似体、アクチノマイシンD、エピポドフィロトキシン(エトポシド=VP16、テニポシド=VM-26)等の非挿入トポイソメラーゼ阻害剤、ポドフィロトキシン(podophylotoxin [sic, podophyllotoxin])、ブレオマイシン(Bleo)、ペプレオマイシン、白金誘導体を含む核酸付加物を形成する化合物(例えば、シスプラチン(CDDP)、シスプラチンのトランスアナログ、カルボプラチン、イプロプラチン(iproplatin)、テトラプラチン及びオキサリプラチン)、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン(CPT−11)、及びSN‐38も含む。核酸ダメージング治療の特定の例は、照射(例えば、焦点化マイクロ波、紫外線(UV)、赤外線(IR)、又は、α‐、β‐若しくはγ‐照射)及び環境ショック(例えば、高熱(hyperthermia))を含む。
本願において使用される用語「抗増殖性治療(anti-proliferative treatment)」及び「抗増殖性剤(anti-proliferative agent)」は、治療又は薬剤が核酸にダメージを与えるか否かとは無関係に、直接的に又は間接的に細胞、ウィルス、細菌又は他の単細胞の若しくは多細胞の生命体の増殖を阻害するいずれかの治療レジメンを意味する。抗増殖性の薬剤の特定の例は、細胞増殖又はウィルス増殖若しくは複製を阻害する抗腫瘍及び抗ウィルス性の薬剤である。特に、シクロフォスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、プレドニゾロン、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキサート、6‐メルカプトプリン、チオグアニン、シトシンアラビノシド、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、ミトタン、プロカルバジン、ダカルバジン及びジブロモマンニトールを含む。核酸複製エラーを生じさせるか、又は、核酸の複製を阻害する抗増殖性剤は、ヌクレオシド及びヌクレオチド類似体(例えば、AZT又は5‐AZC)等のものである。
別の実施形態において、本発明に係る抗LOXL2抗体は、腫瘍のプレ‐ターゲッティングにおいて利用するための「受容体(receptor)」(ストレプトアビジン等)にコンジュゲートされ得る。ここで、抗体受容体コンジュゲートは患者に投与され、続いて、薬剤洗浄を使用して循環系から非結合のコンジュゲートが除去され、次に、細胞毒性の薬剤(例えば、放射性核種)にコンジュゲートした「リガンド(ligand)」(例えば、アビジン)が投与される。
抗体の製造方法
本発明に係る抗体は、任意の既知の方法、例えば、タンパク質合成のための従来の合成方法;遺伝子組み換えDNA法等により製造することができる。
本発明に係る抗体が単鎖ポリペプチドであるこれらの実施形態に関しては、標準的で化学的なペプチド合成技術を使用して合成できる。ポリペプチドが化学的に合成される場合において、合成は、液相又は固相を介して進行し得る。配列のC末端アミノ酸が不溶性支持体に結合され、その後、アミノ酸の配列的付加が行われる固相ポリペプチド合成(SPPS)は、本発明に係る抗体の化学的な合成の適切な方法の一例である。Fmoc及びBocのようなSPPSの様々な形態は、本発明に係る抗体を合成するために利用できる。固相合成の技術は、Barany and Merrifield, Solid-Phase Peptide Synthesis; pp. 3-284 in The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology. Vol. 2: Special Methods in Peptide Synthesis, Part A., Merrifield, et al. J. Am. Chem. Soc., 85: 2149-2156 (1963); Stewart et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed. Pierce Chem. Co., Rockford, Ill. (1984); and Ganesan A. 2006 Mini Rev. Med Chem. 6:3-10 and Camarero JA et al. 2005 Protein Pept Lett. 12:723-8に記載されている。簡潔に、小さく不溶性の多穴性ビーズが、ペプチド鎖が構築される機能的なユニットで処理される。結合/脱保護のサイクルが繰り返された後、固相に結合しているペプチドの自由N末端アミンが、単一のN末端保護アミノ酸ユニットに結合される。このユニットは、次に、脱保護され、更なるアミノ酸が結合し得る新しいN末端アミンが露出する。ペプチドは、固相上に固定されたままであり、切断される前に、ろ過プロセスを受ける。
標準的な遺伝子組み換え法は、本発明に係る抗体の製造に使用できる。例えば、定常領域に任意に結合する、軽鎖及び重鎖の可変領域をエンコードする核酸が、発現ベクターに挿入される。軽鎖及び重鎖は、同一又は異なる発現ベクターにクローン化することができる。免疫グロブリン鎖をエンコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を保障する発現ベクター(複数)の制御配列に、作用可能に結合される。発現制御配列は、プロモーター(例えば、天然に結合されているプロモーター又は異種のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント、及び転写終結配列を含むが、これらに限定されない。発現制御配列は、真核性の宿主細胞(例えば、COS細胞又はCHO細胞)に形質転換又は形質導入可能なベクターにおける真核性のプロモーター系であり得る。一旦、ベクターが適切な宿主に取り込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベルの発現に適した条件下で維持され、そして、抗体の回収及び精製がなされる。
遺伝子コードの縮重によって、様々な核酸配列は、それぞれの免疫グロブリンアミノ酸配列をエンコードできる。デノボ(de novo)固相DNA合成、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、又は、所望のポリヌクレオチドの以前に調製された変異体の突然変異によって、所望の核酸配列が製造できる。オリゴヌクレオチド媒介突然変異は、標的ポリペプチドDNAの置換、欠損及び挿入変異体を調製するために適切な方法の一例である。Adelman et al., DNA 2:183 (1983)を参照されたい。簡潔に、標的ポリペプチドDNAは、所望の変異をエンコードするオリゴヌクレオチドを単鎖DNA鋳型にハイブリダイズさせることにより変更される。ハイブリダイゼーションの後、オリゴヌクレオチドプライマーが組み込まれ、そして標的ポリペプチドDNA中の選択された変更をエンコードする鋳型の第2の相補鎖(second complementary strand)の全体を合成するために、DNAポリメラーゼが使用される。
適切な発現ベクターは、典型的には、エピソームとして又は、宿主染色体DNAの一体部分として、宿主生命体において複製可能である。一般的に、発現ベクターは、選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性マーカー、ハイグロマイシン耐性マーカー、テトラサイクリン耐性マーカー、カナマイシン耐性マーカー又はネオマイシン耐性マーカー)を含み、所望のDNA配列が形質転換された細胞の検出を可能にする。
大腸菌(Escherichia coli)は、本発明に係る抗体をエンコードするポリヌクレオチドをクローニングするために使用することができる原核性の宿主細胞の一例である。他の使用に適する微生物宿主は、バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)等の桿菌(bacilli)、及びサルモネラ(Salmonella)、セラチア(Serratia)等の他のエンテロバクター科、及び様々なシュードモナス種を含む。これらの原核性の宿主において、あるものはまた、発現ベクターを作成することができ、これは、宿主細胞に適合する発現制御配列を典型的に含むであろう(例えば、複製起点)。また、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ベータ−ラクタマーゼプロモーター系又は、ファージラムダ由来のプロモーター系等の、多くの様々な良く知られたプロモーターが存在するであろう。プロモーターは、典型的に、任意にオペレーター配列によって、発現を制御するであろうし、そして、転写と翻訳の開始及び停止のためのリボソーム結合部位配列等を有するであろう。
酵母等の他の微生物もまた発現に使用できる。サッカロミセス(Saccharomyces)(例えば、S.cerevisiae)及びピチア(Pichia)は、必要であれば、発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製起点、終結配列等を有する適切なベクターを有する適切な酵母宿主細胞の例である。典型的なプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ及び他の解糖酵素を含む。誘導可能な酵母プロモーターは、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムC、並びにマルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素由来のプロモーターを含む。
また微生物に加えて、哺乳類細胞(例えば、インビトロ細胞培養において成長した哺乳類細胞)もまた、本発明に係る抗体の発現及び製造に使用できる。Winnacker, From Genes to Clones, VCH Publishers, N.Y., N.Y. (1987)を参照。適切な哺乳類宿主細胞は、CHO細胞系統、様々なCOS細胞系統、HeLa細胞、ミエローマ細胞系統、及び形質転換B細胞又はハイブリドーマを含む。これらの細胞用の発現ベクターは、複製起点、プロモーター、及びエンハンサー(Queen et al., Immunol. Rev. 89:49 (1986))等の発現制御配列、及びリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位等の、必要なプロセシング情報部位、及び転写終結配列を含むことができる。適切な発現制御配列の例は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルス等に由来するプロモーターである。Co et al., J. Immunol. 148:1149 (1992)を参照されたい。
一旦、(化学的に又は遺伝子組み換え的に)合成された完全な抗体、その二量体(dimers)、個々の軽鎖及び重鎖又は、本発明に係る抗体の他の形態(例えば、scFv等)は、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製、ゲル電気泳動等を含むこの技術分野の標準的な手順に従って精製することができる(一般的に Scopes, Protein Purification (Springer-Verlag, N.Y., (1982)を参照されたい)。本発明に係る抗体は、例えば、少なくとも約80%から85%の純度、少なくとも約85%から90%の純度、少なくとも約90%から95%の純度、又は98%から99%、或いはそれ以上の純度で、例えば、細胞残渣、本発明に係る抗体以外の高分子等の汚染物質を含まないよう、実質的に純粋にできる。
組成物
本願の開示は、本発明に係る抗体を含む組成物を提供する。本発明に係る抗体組成物は、本発明に係る抗体に加えて、1つ以上の、例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSO4等の塩;例えば、トリス緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−トリス[ヒドロキシメチル]メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)等の緩衝剤;可溶化剤;例えば、Tween−20等の非イオン性界面活性剤等の界面活性剤;プロテアーゼ阻害剤;グリセロール等を含むことができる。
本願の開示は、本発明に係る抗体を含む、医薬組成物を含む組成物を提供する。一般的に、組成物は、有効量の本発明に係る抗体を含む。「有効量(effective amount)」は、所望の結果、例えば、癌細胞数、腫瘍サイズ等の減少、癌又は線維症の症状の改善をもたらすのに十分な投与量を意味する。一般的に、所望の結果とは、少なくとも、対照と比較した場合の癌又は線維性障害の症状の減少である。本発明に係る抗体は、以下により詳細に記載されるように、血液脳関門を避けるような方法で送達することができる。本発明に係る抗体は、抗体が血液脳関門を通過することが可能なように、製剤化及び/又は修正することができる。
製剤
本発明に係る方法において、本発明に係る抗体は、所望の治療効果又は診断効果をもたらすことが可能となる任意の簡便な手段を使用して、宿主に投与することができる。したがって、前記剤は、治療的な投与のための様々な製剤に組み込むことができる。さらに詳細には、本発明に係る抗体は、適切な製薬上許容できる担体又は希釈剤と組み合わされて医薬組成物に製剤化することができ、そして、タブレット、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座剤、注射剤、吸入剤(inhalants)及びエアロゾル等の、固体、半固体、液体又はガス状の形態の製剤(preparation)に製剤化され得る。
医薬的な投与形態において、本発明に係る抗体は、その製薬上許容できる塩の形態で投与することができ、又は、それらはまた、単独で、又は他の医薬的に活性な化合物との適切な会合並びに組み合わせで使用され得る。以下の方法及び賦形剤は、単に例示であり、これらに限定されない。
経口製剤として、本発明に係る抗体は、単独で、或いは錠剤、粉剤、顆粒若しくはカプセルを作成するための適当な添加剤と組み合わせて使用することができ、例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、又はポテトスターチ等の従来の添加剤と組み合わせて;結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ又はゼラチン等の結合剤と組み合わせて;コーンスターチ、ポテトスターチ又はナトリウムカルボキシメチルセルロース等の崩壊剤と組み合わせて;タルク又はマグネシウムステアラート等の潤滑剤と組み合わせて;及び、必要に応じて、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤及び香味剤と組み合わせて使用できる。
本発明に係る抗体は、例えば、植物油又は他の類似の油類、合成の脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸又はプロピレングリコールのエステル等の水性若しくは非水性の溶媒に溶解し、懸濁し、又は乳化することにより;及び必要に応じて、可溶化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤及び保存剤等の従来の添加剤と共に、注射用の製剤に製剤化できる。
本発明に係る抗体を含む医薬組成物は、所望の純度を有する抗体を、任意の生理学的に許容できる担体、賦形剤、安定化剤、界面活性剤、緩衝剤及び/又は、等張化剤に混合することにより調製される。許容できる担体、賦形剤及び/又は安定化剤は、使用される投与量及び濃度において、受容者に非毒性であり、さらにリン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン及びクエン酸を含む抗酸化剤;保存剤(エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、p−クロロ−m−クレゾール、メチル又はプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、又はこれらの組み合わせ等);アルギニン、グリシン、オルニチン、リシン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン及びこれらの組み合わせ等のアミノ酸;モノサッカライド、ジサッカライド及び他の炭水化物;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;ゼラチン又は血清アルブミン等のタンパク質;EDTA等のキレート剤;トレハロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N−メチルグルコサミン、ガラクトサミン、及びノイラミン酸等の糖;及び/又は、Tween、Brij・Pluronics、Triton−X又は、ポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
医薬組成物は、液体の形態、凍結乾燥の形態、又は凍結乾燥の形態から元に戻された液体の形態であってもよいが、この場合、凍結乾燥された製剤は、投与前に滅菌溶液で元に戻されるべきである。凍結乾燥された組成物を元に戻すための標準の手順は、純水の容量(典型的には、凍結乾燥時に除かれた容量と等量の容量)を加えて戻す手順である;しかしながら、抗生物質を含む溶液は、非経口投与用の医薬組成物の製造に使用されてもよい;Chen (1992) Drug Dev Ind Pharm 18, 1311-54もまた参照されたい。
本発明に係る医薬組成物における抗体の濃度の例は、約1mg/mLから約200mg/mL又は、約50mg/mLから約200mg/mL、又は約150mg/mLから約200mg/mLの範囲であってもよい。
抗体の水性製剤は、例えば、pHの範囲が、約4.0から約7.0、又は約5.0から約6.0、或いは約5.5であるpH緩衝溶液に調製されてもよい。この範囲内のpHに適する緩衝液の例は、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酢酸緩衝液及び、他の有機酸緩衝液を含む。緩衝液の濃度は、例えば、緩衝液及び製剤の所望の等張性に応じて、約1mMから約100mM、又は約5mMから約50mMであり得る。
製剤の等張性を修正するために、抗体製剤には、等張化剤が含まれ得る。例示される等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン及び、アミノ酸、糖類、及びこれらの組み合わせの群の何れかの成分を含む。いくつかの実施形態において、水性の製剤は等張であるが、高張又は低張の溶液が適することもある。用語「等張(isotonic)」とは、溶液が、それと比較されるいずれかの他の溶液(生理食塩水又は血清等)と同一の等張性を有するものであることを意味する。等張化剤は、約5mMから約350mMの量、例えば、100mMから350nMの量で用いられてもよい。
界面活性剤もまた、製剤化された抗体の凝集を減少させ、及び/又は、製剤における微粒子の形成を最小化し及び/又は吸着を減少させるために、抗体製剤に加えられてもよい。例示される界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン−ポリオキシピロピレンコポリマー(Poloxamer, Pluronic)、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。適切なポリオキシエチレンソルビタン−脂肪酸エステルの例は、ポリソルベート20(商標Tween20(登録商標)を付して販売されている)及び、ポリソルベート80(商標Tween20(登録商標)を付して販売されている)である。適切なポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーの例は、Pluronic(登録商標)F68又はPoloxamer 188(登録商標)の名前を付して販売されているものである。適切なポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、商標Brij(登録商標)を付して販売されているものである。例示の界面活性剤の濃度は、約0.001%から約1%w/vの範囲であってもよい。
凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)はまた、凍結乾燥プロセスの間、不安定な状態から不安定な活性成分(例えば、タンパク質)を保護するために、添加されてもよい。例えば、既知の凍結乾燥保護剤は、糖(グルコース及びスクロースを含む);ポリオール(マンニトール、ソルビトール及びグリセロールを含む);及びアミノ酸(アラニン、グリシン及びグルタミン酸を含む)を含む。凍結乾燥保護剤は、約10mMから500nMの量で含まれ得る。
いくつかの実施形態において、本発明に係る製剤は、本発明に係る抗体、及び1つ以上の上記で特定された剤(例えば、界面活性剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤)を含むが、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、p−クロロ−m−クレゾール、メチル又はプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及びこれらの組み合わせ等の1つ以上の保存剤を実質的に含まない。他の実施形態において、保存剤は、例えば、約0.001から約2%(w/v)の範囲の濃度で製剤に含まれる。
例えば、本発明に係る製剤は、非経口的な投与に適した液体又は凍結乾燥された製剤であり得、約1mg/mLから約200mg/mLの本発明に係る抗体;約0.001%から約1%の少なくとも1つの界面活性剤;約1mMから約100mMの緩衝剤;任意的に、約10mMから約500mMの安定化剤;及び、約5mMから約305mMの等張化剤を含むことができ;そして約4.0から約7.0のpHを有する。
別の例としては、本発明に係る非経口的な製剤は、液体又は凍結乾燥された製剤であり、約1mg/mLから約200mg/mLの本発明に係る抗体;0.04%Tween20w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのスクロースを含み;及び5.5のpHを有する。
別の例としては、本発明に係る非経口的な製剤は、凍結乾燥された製剤を含み、1)15mg/mLの本発明に係る抗体;0.04%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのスクロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、2)75mg/mLの本発明に係る抗体;0.04%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのスクロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、3)75mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのスクロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、4)75mg/mLの本発明に係る抗体;0.04%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのトレハロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、6)75mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのトレハロースを含み;及び5.5のpHを有する。
別の例としては、本発明に係る非経口的な製剤は、液体製剤であり、1)7.5mg/mLの本発明に係る抗体;0.022%Tween20w/v;120mMのL−ヒスチジン;及び250 125mMのスクロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、2)37.5mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;10mMのL−ヒスチジン;及び125mMのスクロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、3)37.5mg/mLの本発明に係る抗体;0.01%のTween 20 w/v;10mMのL−ヒスチジン;及び125mMのスクロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、4)37.5mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;10mMのL−ヒスチジン;125mMのトレハロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、5)37.5mg/mLの本発明に係る抗体;0.01%のTween 20 w/v;10mMのL−ヒスチジン;及び125mMのトレハロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、6)5mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのトレハロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、7)75mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのマンニトールを含み;及び5.5のpHを有する;又は、8)75mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び140mMの塩化ナトリウムを含み;及び5.5のpHを有する;又は、9)150mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのトレハロースを含み;及び5.5のpHを有する;又は、10)150mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び250mMのマンニトールを含み;及び5.5のpHを有する;又は、11)150mg/mLの本発明に係る抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び140mMの塩化ナトリウムを含み;及び5.5のpHを有する;又は、12)10mg/mLの本発明に係る抗体;0.01%のTween 20 w/v;20mMのL−ヒスチジン;及び40mMの塩化ナトリウムを含み;及び5.5のpHを有する。
本発明に係る抗体は、吸入を介して投与されるエアロゾール製剤(aerosol formulation)に利用可能である。本発明に係る抗体は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の、加圧された、許容可能な噴出剤(propellant)に製剤化することができる。
更に、本発明に係る抗体は、乳化基材又は、水溶性基材等の様々な基材と混合することにより、座剤に加工できる。本発明に係る抗体は、座剤を介して、直腸内に投与できる。座剤は、体温で溶けるが室温では固化している、ココアバター、カルボワックス及び、ポリエチレングリコール等のビヒクル(vehicle)を含むことができる。
シロップ、エリキシル剤及び懸濁剤等の経口投与又は直腸投与用の単位投与形態(unit dosage form)が与えられてもよく、この場合、例えば、茶さじ1杯、大さじ1杯、タブレット又は座剤の各投与単位(dosage unit)は、所定の量の本発明に係る抗体(又はその複数)を含む。同様に、注射又は静脈内投与用の単位投与形態は、滅菌水、通常の生理食塩水又は別の製薬上許容できる担体での溶液として組成物中に本発明に係る抗体を含んでもよい。
本書で使用される場合、用語「単位投与形態(unit dosage form)」は、ヒト及び動物の対象の単一の投与量として適切な物理的に別個の単位(unit)を意味し、各単位は、製薬上許容できる希釈剤、担体又はビヒクルと関連して、所望の効果を提供するために十分な量として計算された所定量の本発明に係るLOXL2結合剤を含む。本発明に係るLOXL2結合剤用の仕様(specification)は、使用される特別なLOXL2結合剤及び、達成されるべき効果、及び、宿主における各抗体に関する薬理学に依存し得る。
他の投与形態もまた、本発明に係る方法に使用されるであろう。例として、本発明に係る抗体は、座剤に製剤化することができ、いくつかの場合、エアロゾール及び鼻腔内組成物に製剤化することができる。座剤に関して、ビヒクル組成物は、従来の結合剤及び、ポリアルキレングリコール又はトリグリセリド等の担体を含むであろう。そのような座剤は、約0.5%から約10%(w/w)、例えば、約1%から約2%の範囲で活性成分を含む混合物より形成され得る。
鼻腔内投与製剤は通常、鼻粘膜を刺激する原因とならず、そして、繊毛の機能(ciliary function)を著しく妨げないビヒクルを含むであろう。水、水性の生理食塩水、又は他の既知の物質等の希釈剤を使用できる。経鼻投与製剤はまた、クロロブタノール及び塩化ベンザルコニウムであって、これらに限定されないもの等の保存剤を含んでもよい。界面活性剤が、本発明に係るタンパク質の鼻腔による吸収を促進するために存在していてもよい。
本発明に係る抗体は、注入可能な製剤として投与できる。典型的に、注入可能な組成物は、液体溶液又は懸濁液として調製され;注入前に、液体ビヒクルに溶解する又は懸濁するのに適した固体の形態もまた、調製され得る。製剤はまた、乳化されてもよく、或いは抗体が、リポソームビヒクルで被包されてもよい。
適当な賦形剤ビヒクルは、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノール等、及びそれらの組み合わせである。また、必要に応じて、前記ビヒクルは、少量の、湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤等の補助物質を含んでもよい。そのような投与形態(dosage form)を調製する実際の方法が、当業者に知られており又は明らかになるだろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, 17th edition, 1985を参照されたい。投与される組成物又は製剤は、とにかく、治療されている対象において、所望の状態に達するために十分な本発明に係る抗体の量を含むであろう。
ビヒクル、アジュバンド、担体又は希釈剤等の製薬上許容できる賦形剤は、公衆に容易に利用できる。更に、pH調整剤及びpH緩衝剤、等張性調整剤(tonicity adjusting agent)、安定化剤、及び湿潤剤等の製薬上許容できる補助物質は、公衆に容易に利用できる。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、放出制御製剤に製剤化される。持続放出調製剤は、その技術分野における既知の方法を使用して調製され得る。持続放出調製剤の適切な例としては、マトリックス(基材)が造形品(shaped article)、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態にある抗体を含む、固形疎水性ポリマーの半透過性のマトリックスが挙げられる。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、L−グルタミン酸及びエチル−L−グルタミン酸塩のコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、ヒドロゲル、ポリラクチド、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。生物学的活性の消失の可能性、及び持続的放出調製剤に含まれる抗体の免疫原性の変化の可能性を、適当な添加剤を使用することによって、含水量を制御することによって、及び特別なポリマーマトリックス組成物を開発することによって防いでもよい。
放出制御は、いくつかの拡張された放出投与形態のうちのいずれか一つという意味にとることができる。以下の用語は、放出制御と実質的に同等であると考えてよい:連続的な放出、制御放出、遅延放出、デポー(depot)、段階的放出(徐放)、長期放出、プログラムされた放出、延長放出(prolonged release)、比例放出、遷延放出、貯蔵、遅滞、緩効性放出、分散放出、持続的放出(sustained release)、時間コーティング、タイミング放出(timed release)、遅延作用、延長作用、多層時間作用(layered time action)、長期作用、延長作用、反復作用、緩効作用、持続作用、持続作用性投薬、及び延長放出(extended release)。これらの用語の更なる議論は、Lesczek Krowczynski, Extended-Release Dosage Forms, 1987 (CRC Press, Inc.)に見出すことができる。
様々な制御放出技術が、かなり広い範囲の薬剤投与形態をカバーしている。制御放出技術は、物理的な系及び化学的な系を含むが、これらに限定されない。
物理的な系は、マイクロカプセル化、マクロカプセル化及び膜の系等の速度−制御膜を用いるリザーバー系;中空繊維、超微小孔性セルローストリアセテート並びに多孔性ポリマー基質及びフォーム等の、速度制御膜を用いないリザーバー系;非多孔性、ポリマー又はエラストマーマトリックス(例えば非侵食性、侵食性、環境への薬剤侵入及び分解性)に物理的に溶解した系、及び非多孔性、ポリマー又はエラストマーマトリックス(例えば非侵食性、侵食性、環境への薬剤侵入及び分解性)に物理的に分散した材料を含むモノリシックの系;外側の制御層と化学的に類似又は相違するリザーバー層を含む積層構造;並びに浸透圧ポンプ又はイオン交換樹脂への吸着等の他の物理的方法を含むが、これらに限定されない。
化学的な系は、ポリマーマトリックスの化学的な侵食(例えば、不均一な、又は均一な侵食)、又はポリマーマトリックスの生物学的侵食(例えば、不均一な、又は均一な侵食)を含むが、これらに限定されない。制御放出のための系のカテゴリーの更なる議論は、Agis F. Kydonieus, Controlled Release Technologies: Methods, Theory and Applications, 1980 (CRC Press, Inc.)に見出すことができる。
経口投与用に開発されたいくつかの制御放出薬剤製剤がある。これらは、浸透圧―制御胃腸輸送系;動水圧−制御胃腸輸送系;微小孔性膜透過―制御胃腸輸送装置を含む膜透過−制御胃腸輸送系;胃液−抵抗性腸標的制御放出胃腸輸送装置;ゲル拡散−制御胃腸輸送系;並びに、カチオン及びアニオン薬剤を含む、イオン交換−制御胃腸輸送系を含むがこれらに限定されない。制御放出薬剤輸送系に関する更なる情報は、Yie W. Chien, Novel Drug Delivery Systems, 1992 (Marcel Dekker, Inc.)に見出すことができる。
投与量
適当な投与量は、世話をする医師又は他の資格のある医療関係者により、様々な臨床学的因子に基づいて決定できる。薬学分野に良く知られるように、投与量は、どの患者に対しても、患者の背格好(size)、身体の表面積、年齢、投与される特定の化合物、患者の性別、時間、及び投与経路、健康全般(general health)、及び同時に投与されている他の薬剤を含む多くの因子に依存する。本発明に係る抗体は、1投与当たり、1ng/kg体重と20mg/kg体重の間の量、例えば、0.1mg/kg体重と10mg/kg体重の間、例えば、0.5mg/kg体重と5mg/kg体重の間の量で投与され得るが、下記又は上記の典型的な範囲の投与量は、特に前述の因子を考慮して想定される。投与計画(regimen)が持続注入である場合、投与量は、1分間に、体重1キログラム当たり1μgから10mgの範囲であり得る。
当業者は、投与量レベルを、特定の抗体の機能、症状の重症度及び対象の副作用に対する感受性に応じて変化させることができることを容易に理解するであろう。与えられる化合物の好ましい投与量は、当業者により、様々な手段によって容易に決定できる。
投与経路
本発明に係る抗体は、インビボ及びエクスビボ法、並びに全身性及び局所的な投与経路を含む、薬剤輸送に適した任意の利用可能な方法及び経路を使用して個体に投与される。
従来の、かつ製薬上許容できる投与経路は、鼻腔内、筋肉内、気管内、皮下、皮内、局所適用、静脈内、動脈内、直腸内、経鼻、経口並びにその他の腸内及び非経口の投与経路を含む。投与経路は、組み合わされてもよく、或いは必要であれば、抗体及び/又は所望の効果に依存して調整されてもよい。本発明に係る抗体組成物は、単回投与又は複数回投与で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体組成物は、経口的に投与される。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体組成物は、吸入経路を介して投与される。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体組成物は、鼻腔内に投与される。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体組成物は、局部的に投与される。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体組成物は、頭蓋内に投与される。いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体組成物は、静脈内に投与される。
全身的な経路及び局部的な経路を含め、従来の薬剤の輸送に適した任意の利用可能な従来の方法及び投与経路を用いて薬剤を宿主に投与できる。一般的に、使用が意図される投与経路としては、腸内、非経口、又は吸入経路が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
吸入投与以外の非経口的な投与は、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、髄腔内、胸骨内、及び静脈内の経路、即ち、消化管を経由する以外のいずれかの投与経路を含むが、必ずしもこれらに限定されない。非経口投与は、本発明に係る抗体の全身的な輸送又は局所的な輸送に影響を与えるように行なうことができる。全身性の輸送が望まれる場合、投与は、典型的には、医薬製剤の侵潤性又は全身的に吸収される局所的投与又は粘膜投与を含む。
本発明に係る抗体はまた、腸内投与によって対象へ輸送することもできる。腸内投与経路は、経口輸送及び、直腸輸送(例えば坐剤の使用)を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
「治療(treatment)」は、宿主を苦しめている病的状態に関連する症状を少なくとも改善することを意味し、ここで、改善は、例えば癌等の治療されている間の病的状態及びそれに付随した苦痛に関連したパラメーター、例えば、症状の大きさを少なくとも減少させることに言及する広い意味で使用される。したがって、治療には、宿主がもはや病的状態、又は、少なくともその病的状態を特徴付ける症状に苦しまないよう、病的状態又は少なくともそれに付随した症状が完全に阻害される、例えばそれらが起こらないように防止され、又は阻止され、例えば、終了されることも含まれる。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体は、注射及び/又は輸送により、例えば、脳動脈内の部位又は、直接的に脳組織内に投与される。本発明に係る抗体はまた、例えば、標的部位への微粒子銃輸送(biolistic delivery)によって、標的部位に直接投与され得る。
様々な宿主(ここで、用語「宿主(host)」は、本願において、用語「対象(subject)」、「個体(individual)」及び「患者(patient)」に相互に使用される)が、本発明に係る方法に従って、治療可能である。一般的に、このような宿主は、「哺乳動物(mammals)」又は「哺乳類(mammalian)」である。ここで、これらの用語は、哺乳綱に属する生命体を表すために広範囲に使用され、哺乳綱には、食肉類(例えば、イヌ及びネコ)、齧歯類(例えば、マウス、モルモット及びラット)、及び霊長類(例えば、ヒト;並びにチンパンジー及びサル等の非ヒト霊長類)が含まれる。いくつかの実施形態において、宿主は、ヒトであろう。
治療方法
本願の開示は、血管新生、線維症、腫瘍及び転移に関する疾患を予防し、及び治療するための組成物、キット、方法を更に提供する。
一つの実施形態において、インビボでの対象における腫瘍の浸潤又は転移を治療し或いは予防するために、本発明に係る抗体の有効量を対象に投与することを含む方法が提供される。
別の実施形態において、インビボでの対象における腫瘍の成長を減少させるために、腫瘍成長が少なくとも25%、50%、75%、90%又は95%減少するよう本発明に係る抗体の有効量を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、転移性腫瘍であり得る。
更に別の実施形態において、転移性腫瘍を有する対象の生存の可能性を増加させ又は向上させるために、投与が必要とされる対象に本発明に係る抗体の有効量を投与することを含み、それにより、対象の生存の可能性を、ある一定期間増加させ、又は向上させることを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、対象の生存が、少なくとも10日、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、3年、4年、5年、8年、又は10年、延長する。
組成物は、いずれかの医薬的治療に適用可能な妥当な利益/リスク比で、本願で記載されるような疾患又は障害を阻害することによる所望の治療効果を得るために有効である、治療上有効な量で患者(例えば、ヒト、又は霊長類、齧歯類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等の非ヒト動物等の哺乳動物)に投与され得る。本願の組成物のヒトへの投与のために、組成物は、当業者で知られている方法論を用いて製剤化され得る。治療上有効な量は、臓器又は組織における少なくとも部分的に所望の治療又は予防効果を達成する量である。1つの例において、疾患又は障害の予防及び/又は治療的な処置(treatment)をもたらすのに必要な本発明に係る抗体の量は、それ自身(本質的に)固定されない。投与される本発明に係る抗体の量は、疾患又は障害の種類、疾患又は障害の程度(ないし及ぶ範囲 extensiveness)、及び疾患又は障害を被る哺乳動物の大きさによって異なるだろう。
反応は、患者が疾病の兆候若しくは症状の部分的若しくは完全な緩和、又は低減を経験するときに達成され、特に、制限なしに、生存期間の延長を含む。予測される無進行生存時間は、再発の回数、疾患の段階及び他の因子を含む予後の因子に従って、数カ月から数年で測定され得る。生存期間の延長は、時間制限なしに、少なくとも1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年又はそれ以上の時間を含む。総生存期間もまた数カ月から数年で測定され得る。患者の症状は、静止したままに留まり又は減少し得る。
本願に記載される医薬製剤は、疾患の病因の一部としてコラーゲン架橋形成又は増加した線維症を有する幅広い種類の疾患の予防又は治療に使用され得る。例えば、組成物に関する兆候はまた、線維症を含むことができる。線維症とは、ダメージを受けた組織における創傷治癒プロセスの一部分として生じる、線維化組織の異常な蓄積である。このような組織ダメージは、物理的障害、炎症、感染、毒への暴露、及び他の原因に起因し得る。
併用療法
本発明に係る抗体は、投与を必要とする個体に単独で投与できる(例えば、単剤療法)。しかしながら、本発明に係る抗体はまた、1つ以上の追加の治療的薬剤を使用する併用療法においても投与できる。これらの疾患又は状態を予防又は治療するために、適切な治療薬剤は、例えば、化学療法剤、抗―腫瘍性生物製剤、抗−血管新生剤、及び抗−繊維化剤を含む。
本発明に係る抗体は、いくつかの実施形態において、腫瘍細胞内で、上皮間葉転換(EMT)の進行を遅延させ又は停止でき、又は、間葉上皮転換(MET)を、それほど腫瘍を形成しない状態へと誘導することができ、腫瘍又は疾患に冒された細胞を、化学療法剤、抗腫瘍性生物製剤、抗血管新生剤、及び抗線維化剤の影響をより受け易くさせる。本発明に係る抗体と他の治療剤の相乗的な組み合わせは、腫瘍侵潤及び転移を予防し又は阻害し、腫瘍細胞を治療剤の細胞毒性効果に敏感にさせることにより、初期腫瘍の成長を阻害するのに有用であり、癌の効果的な予防又は治療のためにも有用である。
本願で用いられる「化学療法剤(chemotherapeutic agent)」又は「化学療法の(chemotherapeutic)」(又は、化学療法剤を使用した治療の場合は「化学療法(chemotherapy)」)という用語は、癌の治療において有用な、いずれかの非タンパク質性の(即ち、非ペプチド性の)化合物を包含することを意味する。化学療法剤の例は、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド(triethylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン;アセトゲニン(例えば、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体であるトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びビゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体であるKW-2189及びCBI-TMIを含む);エレウテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシル・マスタード等のナイトロジェン・マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォレムスチン(foremustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン等のニトロソウレア;エネジイン抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシン・ガンマ1I及びカリケアマイシン・ファイI1、例えば、Agnew, Chem. Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)を参照されたい;ダイネマイシンAを含むダイネマイシン(dynemicin);クロドロネート等のビスホスホネート;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質であるエネジイン抗生物質発色団(enediyne antibiotic chromomophores));アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(Adramycin(登録商標))(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗剤(anti-metabolite);デモプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート等の葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗アドレナール(anti-adrenals);フロリン酸(frolinic acid)等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エフロルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシン及びアンサミトシン(ansamitocin)等のメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T−2トキシン、ベルカリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;シトシンアラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオペタ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol Meyers Squibb Oncology, Princeton, N.J.製)及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France製);クロラムブシル;ゲムシタビン(Gemzar(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンのような白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;バンクリスチン(vancristine、[sic.vincristine]);ビノレルビン(Navelbine(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤であるRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluromethylornithine [sic. difluoromethylornithine])(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド;カペシタビン;及び上記のいずれかの製薬上許容できる塩、酸、又は誘導体を含む。また、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標)を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston(登録商標))を含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMs)等の腫瘍でのホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤;例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(Megace(登録商標))、エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(Rivisor(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、及びアナストロゾール(Arimidex(登録商標))等の、副腎におけるエストロゲン生成を調節する酵素であるアロマターゼの阻害剤;及びフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、レウプロリド、及びゴセレリン等の抗アンドロゲン及び上記のいずれかの製薬上許容できる塩、酸、又は誘導体も「化学療法剤」の定義に含まれる。
いくつかの実施形態において、本発明に係る抗体と組み合わされる抗新生物剤は、チロシンキナーゼ阻害剤である。例えば、ZD1893(AstraZeneca K.K製のIressa(登録商標))は、EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼのATP結合部位におけるATPに対する競合作用を示し、そして、チロシンキナーゼの自己リン酸化を阻害することによってチロシンキナーゼ活性を阻害する。
EGFRを備えるシグナル伝達(上皮成長因子(EGF)等のリガンドがEGFRの細胞外ドメインに結合し、続いて、細胞内ドメインのEGFRチロシンキナーゼが活性化し、EGFRの自己リン酸化だけでなく、様々な細胞内標的タンパク質のリン酸化も引き起こされ、続いて、癌細胞表面から核への増殖シグナルが伝達され、その結果、癌細胞の増殖、浸潤、転移、及び血管新生がもたらされるシグナル伝達)をブロックすることにより、結果的に抗癌作用が示される。
EGFRを標的とするモノクローナル抗体であるIMC−C225又はセツキシマブ(Erbitux(登録商標))は、細胞膜表面上のEGFRの受容体部分を認識し、EGFRの自己リン酸化を阻害し、これにより、チロシンキナーゼ活性を阻害する。ハーセプチンは、EGFRと相同なHer2/Neuに対するモノクローナル抗体であり、そして、メシル酸イマチニブ(以前のSTI-571であるGLEEVEC(登録商標))は、BCR−Abl及びc−kitのチロシンキナーゼ活性の両方を阻害できる。ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))は、Rafキナーゼ、PDGF(血小板由来成長因子)、VEGF受容体2&3キナーゼ及びc−Kitの低分子阻害剤である。
本願で使用される場合、腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体は、腫瘍及び白血病細胞により発現される抗原、例えば、腫瘍特異的抗原に対して誘導される抗体である。モノクローナル抗体はまた、完全なヒト抗体及びヒト化抗体を含む。
癌治療のための治療用抗体の他の例は、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標);臨床において、HER2タンパク質の過剰発現は、より侵攻性の疾患及びより不良な予後に関連する);リンパ腫細胞上のCD20に対して生成され、正常及び悪性のCD20+プレB細胞及び成熟B細胞を選択的に減少させるリツキシマブ(RITUXAN(登録商標));Bリンパ球及びTリンパ球上において見られるCD52抗原を特異的に標的とし、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)及びリンパ腫の治療に使用されるモノクローナル抗体である、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標));及びCD33に対する特異的な抗体を化学療法剤(ゾガマイシン:zogamicin)と組み合わせ、及び成人の再発性急性骨髄性白血病の治療に適応される(indicate)、抗体コンジュゲートであるゲムツズマブゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))を含む。
他の実施形態において、癌及び異常であるか又は望ましくない血管新生と関連する他の疾患を治療するために、抗血管新生剤は本発明に係る抗体と組み合わされる。抗血管新生剤の例は、レチノイド酸及びその誘導体、2−メトキシエストラジオール、ANGIOSTATIN(登録商標)、ENDOSTATIN(登録商標)、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ−Iの組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ−2の組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−2、軟骨由来阻害剤、パクリタキセル、血小板第4因子、硫酸プロタミン(clupeine)、硫酸化キチン誘導体(ズワイガニの殻から調製される)、硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(sp-pg)、スタウロスポリン、例えば、プロリン類似体((I−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA)、シスヒドロキシプロリン、d,I−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、α−ジピリジル、β−アミノプロピオニトリルフマラート、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3h)−オキサゾロンを含むマトリックス代謝のモジュレーター;メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン−血清、chimp−3、キモスタチン、β−シクロデキストリンテトラデカスルファート、エポネマイシン;フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、ベータ−1−抗コラゲナーゼ−血清、アルファ2−抗プラスミン、ビスアントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−2−カルボキシフェニル−4−クロロアンスロニル酸二ナトリウム(n-2-carboxyphenyl-4-chloroanthronilic acid disodium)又は「CCA」、サリドマイド;血管新生抑制ステロイド(angiostatic steroid)、カルグボキシナミノルミダゾール(cargboxynaminolmidazole);BB94等のメタロプロテイナーゼ阻害剤を含むがこれらに限定されない。他の抗血管新生剤は、例えば、これらの血管新生性増殖因子:bFGF、aFGF、FGF−5、VEGFアイソフォーム、VEGF−C、HGF/SF、及びAng−1/Ang−2に対するモノクローナル抗体等の抗体を含む。Ferrara N. and Alitalo,K.、「Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors」(1999)、Nature Medicine、5:1359‐1364。他の抗血管新生剤は、VEGF転写の阻害剤を含み得る。
診断方法
本発明に係る抗体は、前癌性細胞(pre-cancerous cell)又は癌細胞を検出するのに使用される。したがって、本願の開示は、テストされる個体から得た生物学的サンプルを本発明に係る抗−LOXL2抗体と接触させ;そして抗LOXL2抗体の、生物学的サンプルのエピトープへの結合を検出することを含む診断方法を提供する。生物学的サンプルは、組織;細胞を含む液体サンプル;又は無(非)細胞サンプルであり得る。本発明に係る検出方法は、生物学的サンプルにおける、LOXL2の存在及び/又はLOXL2のレベルを検出する。正常の対照値よりもLOXL2ポリペプチドの検出されるレベルが高いことは、癌性又は癌性になる前の状態を示す(例えば、細胞を含む生物学的サンプルにおける、癌性又は前癌性細胞の存在を示す)。いくつかの実施形態において、抗LOXL2抗体は、検出可能に標識される。いくつかの実施形態において、抗LOXL2抗体は、不溶性の支持体上に固定される(例えば、試験紙(test strip)、ビーズ、多ウェルプレートのウェル等)。
いくつかの実施形態において、本発明に係る診断方法は、上皮間葉転換を受けているか、又はまさに受ける直前の細胞を検出する。上皮間葉転換(EMT)は、上皮細胞の遺伝子発現/表現型の特徴を有する細胞(即ち、特異的なタンパク質、因子及び分子を発現しているもの)が、発現遺伝子の変更(alteration)、又は変化(change)によって現われる細胞の表現型の変化の結果生ずる、遺伝子又はその発現レベルを変化又は変更するプロセスを言う。EMTは、接触阻害の喪失、増殖制御の変更、及び/又は侵襲性の増強を含むことができる(Christiansen and Rajasekaran, Cancer Res., 66(17): 8319-8326 (2006);及び Thiery et al., Curr. Opin. Cell. Biol., 15: 740-6 (2003))。EMTを示す分子的及び形態的な特徴は、低度の組織学的分化、組織完全性の破壊、及び転移と相関する。EMTは、上皮細胞に、細胞間結合によりそれらに対して与えられる物理的な制約を打破し、運動性の表現型を得る機構をもたらす(Burdsal et al. Development, 118:829-44 (1993);及びNieto et al., Mech, Dev., 105:27-35 (2001))。
EMTのために一般的に用いられる分子マーカーは、N−カドヘリン及びビメンチンの発現上昇、β−カテニンの核局在化、及びE−カドヘリン生成を阻害するSnail1(Snail)、Snail2(Slug)、Twist、EF1/ZEB1、SIP1/ZEB2、及び/又はE47等の転写因子の生成増大を含む。EMT用の表現型マーカーは、遊走能及び三次元的な浸潤能の増大、並びに、アポトーシスに対する耐性を含むが、これらに限定されない。これらのマーカーは、更に、EMTの誘導及び癌性表現型との関連と相関している。本発明に係る診断方法は、LOXL2ポリペプチドの検出に加え、いくつかの実施形態において、1つ以上のSnail1(Snail)、Snai12(Slug)、Twist、EF1/ZEB1、SIP1/ZEB2、及びE47を検出することを含むであろう。
腫瘍の進行する間におけるEMTの発生は、腫瘍細胞が周囲の組織に浸潤し、そして最終的には遠隔の部位に転移する能力を獲得することを可能にする。腫瘍細胞内における遺伝子発現の変化は、上皮又は上皮様の遺伝子発現パターンから間葉又は間葉様の遺伝子発現パターンへの進行を示すことができる。例として、E−カドヘリンの喪失の同定は、転移性癌、並びにEGFR阻害剤及びIGF−R1阻害剤等の癌治療に対する抵抗性と相関する。多くの異なる種類の癌の解析により、循環する腫瘍細胞、又は微小転移(micrometastases)として発見されるこれらの(腫瘍細胞)が、一連のマーカーにおける発現の変化に基づく間葉への転換を裏付けることが明らかになる。これらのマーカーは、EGFR、E−カドヘリン、ErbB3、RAB25、インテグリンベータ6、カドヘリン−2、線維芽細胞増殖因子結合タンパク質1、遠位欠失ホメオボックス1、ZEB1(転写第8因子)、SIP1及びビメンチンを含むが、これらに限定されない。本発明に係る診断方法は、LOXL2ポリペプチドの検出に加え、いくつかの実施形態において、1つ以上のEGFR、E−カドヘリン、ErbB3、RAB25、インテグリンベータ6、カドヘリン−2、線維芽細胞増殖因子結合タンパク質1、遠位欠失ホメオボックス1、ZEB1(転写第8因子)、SIP1及びビメンチンを検出することを含むであろう。
本発明に係る診断方法は、LOXL2ポリペプチドの検出に加え、いくつかの実施形態において、1つ以上のEGFR、E−カドヘリン、ErbB3、RAB25、インテグリンベータ6、カドヘリン−2、線維芽細胞増殖因子結合タンパク質1、遠位欠失ホメオボックス1、ZEB1(転写第8因子)、SIP1、ビメンチン、Snail1(Snail)、Snail2(Slug)、Twist、EF1/ZEB1、SIP1/ZEB2、及びE47を検出することを含むであろう。
腫瘍細胞の上皮又は間葉のバイオマーカーの発現を評価する場合、腫瘍細胞又はこれらの腫瘍細胞により生成されるタンパク質若しくは核酸を含む患者サンプルを、例えば、米国特許出願公開番号第20070065858号において記載される方法に用いることができる。簡潔には、腫瘍細胞サンプル、例えば、患者から得られた腫瘍生検、又は腫瘍由来の材料を含む他の患者サンプル(例えば、血液、血清、尿、又は本願の上記の他の体液若しくは分泌物)中におけるマーカーの量(例えば、絶対量又は濃度)を評価することによって、バイオマーカーの発現レベルを評価することができる。当然ながら、サンプル中におけるマーカー量を評価する前に、細胞サンプルは、様々なよく知られた採取後の調製技術及び保存技術(例えば、核酸及び/又はタンパク質抽出、固定、保存、凍結、限外ろ過、濃縮、蒸留、遠心分離等)に供することができる。同様に、腫瘍生検はまた、採取後の調製技術及び保存技術、例えば、固定に供することができる。
LOXL2は、本発明に係る抗体(例えば、放射線で標識された抗体、発色団で標識された抗体、フルオロフォアにより標識された抗体、又は酵素で標識された抗体)、抗体誘導体(例えば、基質と、又はタンパク質−リガンド対(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン)のタンパク質若しくはリガンドと、コンジュゲートされた抗体)、又は、腫瘍細胞内で通常行なわれる全て若しくは一部分の翻訳後修飾(例えば、グルコシル化、リン酸化、メチル化等)を受けているバイオマーカータンパク質を含むバイオマーカータンパク質、又はそのフラグメントと特異的に結合する抗体フラグメント(例えば、単鎖抗体、単離された抗体の超可変ドメイン等)を使用して検出することができる。
複数のバイオマーカー(例えば、LOXL2及び1つ以上の前述のバイオマーカー)が本発明に係る方法を使用して検出される場合、生物学的サンプルにおける各バイオマーカーのレベルは、単一の反応混合液(即ち、各バイオマーカー用の、異なった蛍光プローブ等の薬剤を使用する)又は1つ以上のバイオマーカーに対応する個々の反応混合液において、正常である対照の値(例えば、同一の形式の非癌性サンプルにおける複数のバイオマーカーのそれぞれの通常のレベルの値)と比較することができる。
正常な(即ち、非癌性の)ヒト組織におけるバイオマーカーの発現のレベルは、様々な手法で評価できる。この発現の正常なレベルは、非癌性であるように見える細胞の部分におけるバイオマーカーの発現のレベルを評価し、続いて、腫瘍細胞の部分における発現のレベルと、発現の正常なレベルとを比較することによって評価できる。本書に記載される方法の所定の性能の結果として、更なる情報が利用できるようになると、バイオマーカーの正常な発現のポピュレーション−平均値が使用できる。或いは、癌に悩まされていない患者から得られる患者サンプル、及び患者において癌の兆候が疑われる前に患者から得られる患者サンプル、及び記録として保存されている患者サンプルからの患者サンプル等におけるバイオマーカーの発現を評価することにより、バイオマーカーの発現の正常レベルを決定できる。
一般的に本発明に係る診断方法は、適切な条件下で、かつLOXL2ポリペプチド(存在する場合)及び抗体を相互作用させ、結合させるのに十分な時間で、バイオマーカー(例えば、LOXL2ポリペプチド)を含み得る生物学的サンプルを本発明に係る抗LOXL2抗体と接触させること、そしてその結果、除去及び/又は検出可能な複合体を形成することを含む。生物学的サンプルに存在し得るLOXL2ポリペプチドと本発明に係る抗LOXL2抗体の間の結合の検出は、様々な手法で行なうことができる。
例えば、そのようなアッセイを行なうための1つの方法は、バイオマーカー又は抗−LOXL2抗体を、(基質と呼ばれる)固相支持体上に固定(anchoring)すること、及び反応の最後において固相上に固定された標的バイオマーカー/抗LOXL2抗体複合体を検出することを含む。そのような方法の1つの実施形態において、バイオマーカーの存在及び/又は濃度を評価されるべき対象からのサンプルは、担体又は固相支持体の上に固定することができる。他の実施形態において、抗LOXL2抗体が固相に固定され、対象からのサンプルがアッセイの非固定成分として、反応に供されるという逆の状態が可能である。
固相にアッセイ成分を固定するためのいくつかの確立された方法が存在する。これらは、ビオチン及びストレプトアビジンのコンジュゲーションを介して不動態化(固定化)されるバイオマーカー又は抗LOXL2抗体を、限定なしで、含む。このようなビオチン化されたアッセイ成分は、当技術分野で知られる技術(例えば、ビオチン化キット, Pierce Chemicals, Rockford, Ill製)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製され、そして、ストレプトアビジンでコートした96ウェルプレート(Pierce Chemical製)のウェル内に固定化される。ある実施形態において、固定化されたアッセイ成分を有する表面は、予め調製し、保存することができる。このようなアッセイに適する他の担体又は固相支持体は、バイオマーカー又はプローブが帰属する分子クラスに結合可能な何れかの材料を含む。よく知られた支持体又は担体は、ガラス、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、デキストラン、アミラーゼ、天然セルロース及び改変セルロース、ポリアクリルアミド、及びマグネタイトを含むが、これらに限定されない。上述の手法によるアッセイを実施するために、第2の成分が固定された固相に非固定の成分が添加される。反応完了後、形成される任意の複合体が固相上に固定化されて残るような条件下において、複合体を形成しなかった成分を(例えば、洗浄により)除去することができる。固相に固定されたLOXL2/抗LOXL2抗体複合体の検出は、本明細書で概括されるいくつかの方法において達成することができる。一実施形態において、抗−LOXL2抗体は、それが非固定のアッセイ成分である場合、本明細書で論じられ、当業者によく知られる検出可能な標識で直接的又は間接的に、アッセイの検出及び読み取りの目的で標識することができる。
上述の通り、いくつかの実施形態において、本発明に係る診断方法は、検出可能に標識される本発明に係る抗LOXL2抗体の使用を含む。本発明に係る抗体に関して、「標識される(labeled)」という用語は、検出可能な物質の抗体への結合(すなわち、物理的に連結すること)により抗体を直接に標識すること、並びに、直接的に標識された他の薬剤との反応性により抗体を間接的に標識すること、を包含することが意図される。間接的な標識の例は、蛍光標識された二次抗体を使用した一次抗体の検出を含む。
腫瘍細胞由来のタンパク質は、当業者に良く知られた技術を使用して単離できる。用いられるタンパク質単離方法は、例えば、Harlow及びLaneに記載された方法等である(Harlow and Lane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)。
サンプルが本発明に係る抗LOXL2抗体に結合するタンパク質を含むかどうかを決定するために、各種のフォーマットが使用される。このようなフォーマットの例は、酵素免疫測定(enzyme immunoassay: EIA)、放射線免疫測定(radioimmunoassay: RIA)、ウェスタンブロット解析、及び酵素結合免疫吸着検定法(enzyme linked immunosorbent assay: ELISA)を含むが、これらに限定されない。当業者は、腫瘍細胞が特異的なバイオマーカー(例えば、LOXL2ポリペプチド)を発現するかどうかを判定するのに用いる既知のタンパク質/抗体検出法を容易に適合させることができる。
1つのフォーマットにおいて、抗体、又は抗体フラグメント若しくは抗体誘導体を、ウェスタンブロット法又は免疫蛍光技術等の方法に使用して、発現タンパク質を検出できる。このような使用では、抗体又はタンパク質を、固体支持体上に固定化することができる。適当な固相支持体又は担体は、抗原又は抗体に結合可能ないずれかの支持体を含む。よく知られた支持体又は担体は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロース及び改変セルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩、及びマグネタイトを含む。当業者は、抗体又は抗原に結合するのに適当な他の多くの担体を知っているであろうし、本発明に係る方法での使用にこのような支持体を適合させることができるであろう。例えば、腫瘍細胞から単離されたタンパク質をポリアクリルアミドゲル電気泳動で泳動し、ニトロセルロース等の固相支持体上に固定化することができる。続いて、支持体を適当な緩衝液で洗浄することができ、そして検出可能に標識される抗体で処理することができる。続いて、緩衝液で固相支持体を2回洗浄して、結合しなかった抗体を除去することができる。続いて、従来の手段により、固体支持体上における結合した標識の量を検出することができる。
ELISAアッセイの場合、特異的な結合対は、免疫型又は非免疫型であり得る。免疫特異的結合対は、抗原−抗体系又はハプテン/抗ハプテン系により例示される。フルオレセイン/抗フルオレセイン(系)、ジニトロフェニル/抗ジニトロフェニル(系)、ビオチン/抗ビオチン(系)、ペプチド/抗ペプチド(系)等を挙げることができる。特異的な結合対の抗体メンバーは、当業者に良く知られる慣用的な方法により作製することができる。このような方法は、特異的な結合対の抗原メンバーで動物を免疫することを含む。特異的な結合対の抗原メンバーが免疫原性でない、例えば、ハプテンである場合、それを担体タンパク質に共有結合させて、それを免疫原性とすることができる。非免疫結合対は、2つの成分が互いに対する天然の親和性を共有するが、抗体ではない系を含む。例示的な非免疫対は、ビオチン−ストレプトアビジン、内性因子−ビタミンB12、葉酸−葉酸結合タンパク質等である。
特異的な結合対のメンバーで抗体を共有結合により標識するのに様々な方法が利用できる。特異的な結合対のメンバーの性質、所望の結合の種類、及び様々な共役化学(conjugation chemistry)に対する抗体の耐性に基づき、方法が選択される。市販の活性誘導体を利用することにより、抗体にビオチンを共有結合させることができる。これらの一部は、タンパク質上のアミン基に結合するビオチン−N−ヒドロキシ−スクシンイミド;カルボジイミド結合を介して炭水化物部位ないし成分(moiety)、アルデヒド、及びカルボキシル基に結合するビオチンヒドラジド;並びにスルフヒドリル基に結合するビオチンマレイミド及びヨードアセチルビオチンである。フルオレセインは、フルオレセインイソチオシアネートを用いて、タンパク質アミン基に結合させることができる。ジニトロフェニル基は、2,4−ジニトロベンゼンスルファート又は2,4−ジニトロフルオロベンゼンを用いてタンパク質アミン基に結合させることができる。他の標準的なコンジュゲーション法を使用して、ジアルデヒド、カルボジイミド結合、ホモ官能性架橋形成、及びヘテロ二官能性架橋形成を含む特異的な結合対のメンバーにモノクローナル抗体を結合させることができる。カルボジイミド結合は、1つの物質上のカルボキシル基を、別の物質上のアミン基に結合させる有効な方法である。市販の薬剤である1−エチル−3−(ジメチル−アミノプロピル)−カルボジイミド(EDAC)を使用することにより、カルボジイミド結合が促進される。
二官能性イミドエステル及び二官能性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを含むホモ二官能性架橋形成剤が市販されており、1つの物質上におけるアミン基を別の物質上におけるアミン基に結合させるのに使用される。ヘテロ二官能性架橋形成剤は、異なる官能基を保有する薬剤である。最も一般的な市販のヘテロ二官能性架橋形成剤は、1つの官能基としてアミン反応性のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを有し、第2の官能基としてスルフヒドリル反応基を有する。最も一般的なスルフヒドリル反応基は、マレイミド、ピリジルジスルフィド、及び活性ハロゲンである。かかる官能基の1つは、光反応性アリールニトレンであり得、これは照射すると様々な基と反応する。
検出可能に標識される抗体又は検出可能に標識される特異的な結合対のメンバーは、レポーターに結合させることにより調製され、放射性同位体、酵素、蛍光発生材料、化学発光材料、又は電気化学材料であり得る。2つの一般的に使用される放射性同位体は、125I及び3Hである。標準的な放射性同位体標識手順は、125Iの場合がクロラミンT法、ラクトペルオキシダーゼ法、及びボルトン−ハンター法を含み、3Hの場合が還元的メチル化を含む。「検出可能に標識された(detectably-labeled)」という用語は、標識の内因的な酵素活性によるか、又は容易に検出できる別の成分の標識に結合することによって容易に検出できる形で標識された分子を意味する。
使用に適する酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラーゼ(ホタル及びウミシイタケルシフェラーゼを含む)、β−ラクタマーゼ、ウレアーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質及びリゾチームを含むが、これらに限定されない。酵素標識化は、抗体の特異的な結合対のメンバーとの結合に関して、上記のジアルデヒド、カルボジイミド結合、ホモ二官能性架橋形成剤、及びヘテロ二官能性架橋形成剤を用いることにより促進される。
選択される標識化法は、酵素及び標識される材料上において利用可能な官能基、並びにコンジュゲーション条件に対する両者のトレランスに依存する。本発明に係る方法で使用される標識化法は、Engvall and Pearlmann, Immunochemistry 8, 871 (1971)、Avrameas and Temynck, Immunochemistry 8, 1175 (1975)、Ishikawa et al., J. Immunoassay 4(3):209-327 (1983)、及びJablonski, Anal. Biochem. 148:199 (1985)により記載されている方法を含む現在使用されている任意の従来の方法の1つであり得るが、これらに限定されない。
標識化は、スペーサー又は他の特異的な結合対のメンバーを使用する等の間接的な方法により達成することができる。この例は、ストレプトアビジン及びビオチン化酵素を逐次又は同時に添加する、非標識ストレプトアビジン及びビオチン化酵素によるビオチン化抗体の検出である。したがって、本発明に係る抗体は、レポーターで直接的に、又は第1の特異的な結合対のメンバーで間接的に、検出可能に標識できる。抗体が第1の特異的な結合対のメンバーに結合される場合、抗体−第1の特異的な結合メンバー複合体を、上述の通りに標識又は非標識の第2の結合対のメンバーと反応させることにより、検出が効果的になされる。
更に、非標識検出抗体は、該非標識抗体を、該非標識抗体に対して特異的な標識抗体と反応させることにより検出することができる。この場合、上記で使用される「検出可能に標識された(detectably-labeled)」とは、非標識抗体に特異的な抗体が結合できるエピトープを含むことを意味すると理解される。このような抗−抗体は、上記で論じられた手法のいずれかを使用して直接的又は間接的に標識することができる。例えば、抗−抗体は、上記で論じられたストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ系と反応させることにより検出されるビオチンに結合させることができる。したがって、1つの実施形態において、ビオチンが利用される。ビオチン化抗体を、次に、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体と反応させる。オルトフェニレンジアミン、4−クロロ−ナフトール、テトラメチルベンジジン(TMB)、ABTS、BTS、又はASAは、発色検出に使用することができる。
本発明に係る方法を実施するための1つの免疫アッセイフォーマットにおいて、従来の技法を用いて捕捉薬剤が支持体表面上に固定されている、順方向サンドイッチアッセイが使用される。アッセイにおいて使用される適当な支持体は、ポリプロピレン、ポリスチレン、置換ポリスチレン、例えば、アミン化若しくはカルボキシル化されたポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルクロリド等の合成ポリマー支持体、ガラスビーズ、アガロース、又はニトロセルロースを含む。
治療及び/又は診断に適当な対象
癌を治療する本発明に係る方法(例えば、腫瘍増殖及び/又は転移を低減させる本発明に係る方法)での治療に適した対象は、癌を有すると診断されている個体;本発明に係る治療レジメン以外の治療レジメンで癌の治療を行なっているが、再発している個体;及び本発明に係る治療レジメン以外の治療レジメンで癌の治療ができない個体、例えば、本発明に係る治療レジメン以外の治療レジメンでの治療に応答できない個体を含む。
繊維性障害を治療する本発明に係る方法での治療に適した対象は、繊維性障害を有すると診断されている個体;本発明に係る治療レジメン以外の治療レジメンで繊維性障害の治療を行なっているが、再発している個体;及び本発明に係る治療レジメン以外の治療レジメンで繊維性障害の治療ができない個体、例えば、本発明に係る治療レジメン以外の治療レジメンでの治療に応答できない個体を含む。
本書に記載される診断アッセイの対象として適当な対象は、癌性細胞又は前癌性細胞の存在を検査されつつある個体;癌の治療が行なわれて、例えば、治療の有効性をモニターするために、治療後に癌性細胞又は前癌性細胞の存在をモニターされつつある個体;及び癌の治療が行なわれて、癌に関して寛解状態であり、そして、寛容後に癌性細胞又は前癌性細胞の存在をモニターされつつある患者を含む。
キット
本願の開示は、本発明に係る治療又は本発明に係る診断方法を行なうためのキットを提供する。
本発明に係るキットは、本発明に係る抗体を含み、そして、1つ以上の追加の試薬を含むことができる。本発明に係るキットにおける本発明に係る抗体は、ヒト化できる。本発明に係るキットは、抗体を標識するための試薬を含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明に係るキットにおける抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、本発明に係るキットにおける抗体は、凍結乾燥される。
いくつかの実施形態において、本発明に係るキットにおける抗体は:a)抗体;及びb)製薬上許容できる賦形剤、を含む組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、例えば、キットを本発明に係る治療方法において使用する場合、本発明に係る抗体を含む組成物は、パイロジェン(発熱物質)フリーである。本発明に係るキットが、本発明に係る治療方法において使用される場合、抗体は、シリンジ内に存在させることができる。抗体は、凍結乾燥状態で供給することができ、使用の前に適切な液体(例えば、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、又は他の緩衝水溶液等の水溶液)に溶解される。
本発明に係るキットが、診断方法において使用される場合、抗体を不溶性支持体に固定させることができる(例えば、ビーズ、試験紙、多ウェルプレートのウェル等)。
キットの他の任意的な成分は、緩衝液;プロテアーゼ阻害剤;検出可能な標識等を含む。キットの様々な成分は、別々の容器(container)に存在してもよく、又は必要に応じて、特定の互換性のある成分は、単一の容器の中に予め組み合わされてもよい。
上述の成分に加えて、本発明に係るキットは、本発明に係る方法を実施するためのキットの成分を使用するための指示書を含むことができる。本発明に係る方法を実施するための指示書は、一般的に、適当な記録媒体上に記録される。例えば、指示書は、紙又はプラスチック等の基材(substrate)に印刷され得る。したがって、指示書は、キット又はその成分の容器にラベルを貼付するときに(即ち、パッケージング又はサブパッケージングに関連して)添付文書としてキット内に存在し得る。他の実施形態において、指示書は、例えば、コンパクトディスク−読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ディスケット等の適当なコンピュータが読み取り可能な記録媒体上にある電子的な保存データファイルとして存在する。更に他の実施形態において、実際の指示書がキットには存在しないが、例えばインターネットを介して、遠隔の情報源から指示書を得る手段が提供される。この実施形態の例は、指示書を閲覧することができ、及び/又は、指示書がダウンロードできるウェブアドレスを含むキットである。指示書と同様に、指示書を得るためのこの手段は、適当な基材に記録される。
以下の実施例は、当業者に、本発明を製造し及び使用する方法の完全な開示及び記述を提供するように示され、発明者がその発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が実施された実験の全て又は唯一のものであることを示すことを意図するものでもない。使用される数(例えば、量、温度等)に関して、精度を保障する努力がなされているが、いくらかの実験上の誤差及び偏差は考慮に入れるべきである。特段の指示のない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、及び圧力は、大気圧又はそれに近いものである。例えば、bp、ベースペア(1又は複数);kb、キロベース(1又は複数);pl、ピコリッター(1又は複数)、s又はsec、秒(1又は複数);min、分(1又は複数);h又はhr、時間(1又は複数);aa、アミノ酸(1又は複数);kbp、キロベースペア(1又は複数);bp、ベースペア(1又は複数);nt、ヌクレオチド(1又は複数);i.m.、筋肉内(筋肉内に);i.p.、腹腔内(腹腔内に);及びs.c.、皮下(皮下に)等、一般的な省略語が使用され得る。
実施例1:ヒトLOXL2タンパク質に対する抗体の生成
全長ヒトLOXL2タンパク質(図1に示されるアミノ酸配列)、SRCR2とSRCR3ドメインの間のインビボ開裂によって生じた、プロセスされたLOXL2のフラグメント、及びLOXL2触媒ドメインを、一連のマウス免疫付加(mouse immunizations)において抗原として使用した。His6精製タグをタンパク質のカルボキシ末端に付加した。抗原(3mgの総タンパク質)として、全長LOXL2を50%及びプロセスされたLOXL2を50%含み、及び、アジュバントとして、アルヒドロゲル(alhydrogel)(Al(OH)3)を含む混合液を使用して、皮下免疫を行なった(proB免疫)。抗原(0.3mgの総タンパク質)として、全長LOXL2を90%及びプロセスされたLOXL2を10%含み、及び、アジュバントとして、TiterMax(登録商標)(TiterMax(登録商標)、Norcross, GA製)を含む混合液を使用して、足蹠免疫(footpad immunization)を行なった(RPDS-1免疫)。二次足蹠免疫には、LOXL2触媒ドメイン(0.3mgの総タンパク質、図1のアミノ酸の546−774部分)を抗原として、TiterMax(登録商標)をアジュバンドとして使用した(RPDS-2免疫)。ELISAにより抗LOXL2抗体に対して陽性を示すマウスからの血清を、単一クローンを得るためのハイブリドーマライブラリの作成に使用した。抗体をクローンから精製し、そして、実施例2に記載されるように、ELISAアッセイを使用して、LOXL2に対する結合をスクリーニングした。
実施例2:LOXL2−結合抗体のELISAアッセイ
Nunc Maxisorp(登録商標)プレート(Thermo Fisher Scientific, Rochester, NY製)を、ホウ酸塩緩衝液中で、4℃で、1μg/mLのLOXL2で終夜コートした(1ウェル当たり100μl)。次の日、プレートをPBST(50mMのリン酸ナトリウム、140mMの塩化ナトリウム、0.05%のTween−20、pH7.4)で3回洗浄し、ウシ血清アルブミン溶液(50mMリン酸ナトリウム中に5%のBSA、pH7.4の140mMの塩化ナトリウム、1ウェル当たり200μL)で1時間、周囲温度でブロックした。プレートを、次に、300μLのPBSTで3回洗浄し、100μl容量の実施例1に記載されたハイブリドーマクローンからの精製抗体の2倍希釈液を、ブロックされたプレートに添加し、そして、周囲温度で1時間インキュベートした。プレートを300μLのPBSTで3回洗浄し、0.5%BSA溶液(50mMリン酸ナトリウム中に0.5%のBSA、pH7.4の140mMの塩化ナトリウム)で1:10000の割合で希釈された、西洋ワサビペルオキシダーゼーコンジュゲートヤギ抗マウス二次抗体(Pierce, Rockford, IL製)、100μLを加え、次に、周囲温度で1時間インキュベートした。
プレートを300μLのPBSTで3回洗浄し、次に、100μLの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を使用して、周囲温度で、適度な青色が発色する(即ち、光学濃度(optical density)が1.0を越えない)まで、発色させた(develop)。次に、反応を、100μLの1Mの塩酸の付加によりクエンチ(ないし停止)した。定量を、SpectraMax(登録商標)M5(Molecular Devices, Sunnyvale, CA製)を使用して、450nmの吸光モード(absorption mode)で行なった。
解離定数を、吸光度値に対応する抗体の濃度をプロットし、以下に示す方程式:
(ここで、PLは、吸光度値に等しく(これは、結合抗体の濃度に比例する)、Lは、抗体の濃度(mM)、B
maxは、最大結合(nM)及び、K
Dは、解離定数(nM)である)にデータを当てはめることにより決定した。
1nM以下のKdを有する抗体を、LOXL2−結合抗体とした。実施例1に記載の3種類の免疫から、LOXL2−結合抗体を発現する72のハイブリドーマクローンを得た。抗体の名前は、抗体が得られた免疫(proB、RPDS-1、又はRPDS-2)を示す接頭語、Mの文字(「モノクローナル(monoclonal)」を意味する)及び数字、を使用して命名した。抗体AB0023は、proBM64に対応し、AB0024は、AB0023のヒト化派生物(derivative)である。本願と同じ出願人によるUS 2009/0053224を参照する。抗体AB0030は、proBM20に対応する。本願と同じ出願人によるUS 2009/0053224を参照する。抗体を、更に、実施例3に記載されるように、LOXL2酵素活性を阻害する能力について特徴付けした。
72の抗体のうちのいくつか(RPDS-1及びRPDS-2免疫由来)を、触媒ドメイン(図1、アミノ酸 546−774部分)のみを含むLOXL2のフラグメントに対して再スクリーニングを行なった。これらのうち、37の抗体は、触媒ドメインの内部に結合することが分かった。これら抗体は、RPDS-1M1、RPDS-1M3、RPDS-1M8、RPDS-1M9、RPDS-1M11、RPDS-1M15、RPDS-1M17、RPDS-1M19、RPDS-1M20(AB0030)、RPDS-1M22、RPDS-1M24、RPDS-1M25、RPDS-1M27、RPDS-1M28、RPDS-1M29、RPDS-1M30、RPDS-1M31、RPDS-1M32、RPDS-2M1、RPDS-2M2、RPDS-2M3、RPDS-2M4、RPDS-2M5、RPDS-2M6、RPDS-2M7、RPDS-2M8、RPDS-2M9、RPDS-2M10、RPDS-2M11、RPDS-2M12、RPDS-2M13、RPDS-2M14、RPDS-2M15、RPDS-2M16、RPDS-2M17、RPDS-2M18、及びRPDS-2M19を含む。
実施例3:LOXL2酵素活性を阻害する抗体のアッセイ
実施例2において特定された72のLOXL2−結合抗体を、更に、LOXL2の酵素活性を阻害する能力についてスクリーニングした。2つの阻害アッセイを採用した。一方は、ジアミノペンタン(DAP)を基質として使用し、他方は、コラーゲンを基質として使用するものである。両アッセイにおいて、LOXL2の酵素活性は、過酸化水素の生成(基質のジアミネーション(deamination)の際にLOXL2により遊離する)を、レゾルフィン(蛍光産物)へのAmplex(登録商標)レッド(Invitrogen, Carlsbad, CA製)の西洋ワサビペルオキシダーゼ触媒変換とカップルさせたアッセイを使用して測定した。
DAPを基質として使用したアッセイにおいて、基質混合液は、pH8.0の50mMホウ酸塩、100μMのAmplex(登録商標)レッド薬剤、1×10−4%の消泡剤204、及び、30mMのジアミノペンタン(DAP)を含んでいた。酵素混合液は、pH8.0の50mMホウ酸塩、2ユニット/mLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP、Sigma, St. Louis MO製)、50nMのLOXL2、及び1×10−4%の消泡剤204を含んでいた。基質としてコラーゲンを使用するアッセイにおいて、基質混合液は、DAPが未添加(lack)であり、1mg/mlのI型コラーゲン(BD Biosciences, San Jose, CA製)を含んでおり、そして、酵素混合液中において、LOXL2の濃度は、100nMまで増加した。供給者の指示に従って、コラーゲンを使用前に重合させ(polymerize)、そして、基質混合液に添加するまで、氷上に置いた。
酵素反応は、50μlの基質混合液を50μlの酵素混合液に添加することにより開始した。アッセイを、37℃で、SpectraMax(登録商標)M5(Molecular Devices, Sunnyvale, CA製)上で、544nmの励起波長及び、590nmの放射波長を用いたキネティックスモード(kinetics mode)で行なった。測定は、30秒間隔で1時間、37℃で行なった。1秒当りの相対蛍光ユニット(RFU)として示されたプログレス曲線の傾斜を線形領域で決定した。
LOXL2−結合抗体によるLOXL2活性の阻害テストを行なうために、実施例2で特定した72の抗体の各抗体の希釈系列を、50μlの酵素混合液中で、LOXL2と共に、周囲温度で1時間インキュベートし、次に、上記の、50μlのDAP基質混合液を添加することにより、反応を開始した。上記のようにデータを回収し、RFU/秒として示される観察された反応速度を、抗体濃度の関数としてプロットした。
IC
50(阻害剤がない場合と比較して、活性が50%減少する結果となる阻害剤の濃度)を、以下の方程式に示され、適用される4つのパラメーターに、これらのデータを当てはめることにより決定した。この方程式において、「y」は、観察された反応速度であり(RFU/秒)、「範囲」は、バックグラウンドの速度を差し引いた、抗体の無い状態における反応速度(RFU/秒)であり(下記参照)、「s」は、反応速度対抗体濃度をプロットすることにより生ずる曲線の傾きであり、「バックグラウンド」は、酵素及び抗体の無い状態における反応速度(RFU/秒)であり、そして「x」は、抗体のナノモーラー濃度である。
どの抗体においても、酵素活性を完全に阻害することは、観察されなかった。それ故、各IC50値は、各抗体で観察される最大の阻害を基にして、見かけのIC50(IC50’)とした。500nM以下のIC50’を有する何れかの抗体は、本願の開示の目的のための、LOXL2活性の阻害剤としてスコアした。
DAPを基質として使用するアッセイにおける阻害活性に関する第一のテストを抗体について行ない、4つの阻害性抗体を特定した(表2)。残りの抗体を、上記のようなコラーゲンを基質として使用するアッセイにより再テストした。コラーゲン基質アッセイを使用することにより、4つの更なる阻害性抗体を特定した。後の試験において、DAP基質アッセイにおいて阻害性である4つの抗体が、コラーゲンを基質として使用したときにも、阻害することも確認した。
これらの基準によって、実施例2において特定した72のLOXL2−結合抗体中、8個が、LOXL2阻害剤と決定した。これらの各抗体の名前及び、見かけのIC50値を表2に示す。
追加の試験は、LOXL2の酵素活性を阻害した抗体のうち、以下のものが触媒ドメインに結合したことを示す:RPDS-2M2、RPDS-2M4、RPDS-1M19、RPDS-1 M20(AB0030)、RPDS-1M27、及びRPDS-1M31。抗体AB0023及び
LOXL2 RPDS M21(RPDS−1M21)は、触媒ドメインの外側に結合した。
[表2]阻害性抗体
表3に示されるように、阻害性抗体AB0030、PRDS−1M19、LOXL2 RPDS M21(RPDS−1M21)、RPDS−1M27、RPDS1−M31、RPDS−2M2及びRPDS−2M4は、ブタベスト条約の条件に従って、Bureau of Microbiology at Health Canada (BMHC, Winnipeg, Manitoba, Canada)に、
2010年2月5日及び2010年3月26日に寄託された。
なお、上記抗体の受託証の発行機関はInternational Depositary Authority of Canada(IDAC)である。
[表3]
これらの寄託は、特許手続きのための微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定及び、ブタペスト条約下の規則に従って行なわれた。寄託の日付から30年間及び、寄託機関により受領された寄託物のサンプルの提供の要請のうち、最も最近の要請の後少なくとも5年間の寄託物の生育可能な培地の維持を保障する。寄託物は、ブタベスト条約の条項に基づいて、BMHCと本願の譲受人(複数)の間の合意に基づき、BMHCから入手することができ、これは、寄託されている材料の公衆への提供可能性に関して寄託者により課せられている制限の全てが、関連した米国特許が付与されたとき、取消不能の条件で除去されることを保障し、関連した米国特許の発行時又はいずれかの米国若しくは外国特許出願の公開時の何れか早い時に、公衆が寄託物の培養物の後代を永久かつ無制限的に入手可能とすることを保証し、35U.S.C.第122条及びそれに従う長官規則(特に参照番号886OG638の37C.F.R.第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許商標庁長官により決定された者に子孫を入手可能とすることを保証するものである。
本願の譲受人(一又は複数)は、寄託した材料の培養物が、適当な条件下で培養された場合に、死滅し、又は失われ、又は破壊された場合には、材料を、通知時に、同一の他のものと速やかに取り替えることに同意する。寄託材料の入手可能性は、特許法に従って、いずれかの政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであると解釈されるべきものではない。
実施例4:ヒトLOXL2に対する抗体の更なるスクリーニング
全長LOXL2に結合するが、LOXL2触媒ドメインを含むフラグメントには結合しない抗体は、それらのエピトープが触媒ドメインの外側に位置するかどうかを決定し、更に特徴付けを行なった。この目的を達成するために、LOXL2の異なったSRCRドメイン及びそれらの介在リンカー配列に相当するポリペプチドを標的として使用し、ELISAアッセイを行なった。各ポリペプチドに含まれるLOXL2アミノ酸配列の部位(図1に示されている)及びポリペプチドの名前は、表4の2番目及び1番目のカラムにそれぞれ示されている。ポリペプチドのアミノ酸配列は、図2に示されている。
これらのアッセイについて、Nuncプレートを、50mMのホウ酸ナトリウムpH8中1μg/mlの標的として使用される特異的なポリペプチドの溶液、100μlで、終夜4℃でコートした。プレートを300μlのPBSTで3回洗浄し、次に、200μlの5%BSA入りPBSを各ウェルに加え、そしてプレートを周囲温度で、1時間、穏やかなロッキングと共にインキュベートした。次にプレートを再び洗浄し、各ウェルを300μlのPBSTで3回洗浄し、そして、抗体(抗体を含むPBST、100μl)をウェルに添加した。抗体を、100nMの固定された濃度又は、10nMから2倍希釈毎で12ポイントの希釈段階(1ウェル当たり100μl又は、1段階当たり100μl)でアッセイした。抗体溶液を添加した後、プレートを1時間、周囲温度で、穏やかにロッキングしながらインキュベートした。プレートに、続いて、各ウェルごとに300μlのPBSTを加えて、3回洗浄した。HRP−コンジュゲートヤギ抗マウス二次抗体(Pierce, Rockford, IL製)を、0.5%BSA入りPBS中で、10000倍希釈し、この溶液100μlを、各ウェルに加え、そして、プレートを周囲温度で1時間インキュベートした。プレートを、各ウェルごと300μlのPBSTで3回洗浄した。次に、プレートに1ウェル当たり100μlのTMBを添加して発色させ(develop)、適度な青色(<1OD)が観察された後、反応を100μlの1Nの塩酸の添加によりクエンチした。色をSpetcraMax(登録商標)M5(Molecular Devices, Sunnyvale, CA製)で、450nmの吸光度を測定することにより定量した。
抗体濃度の関数としての吸光度の値が濃度依存的なシグナルの増加を生じたかどうかについて、抗体は、ポリペプチドに対する結合によってスコアされた。抗体を単一の濃度でテストした場合、結合に関して陽性(ないしはポジティブ)であるとスコアされる抗体と認めるには、抗体が含まれていないウェルより得られる吸光度よりも少なくとも0.5ODユニット以上(高い)吸光度を必要とした。
この解析の結果を表4に示す。1つの抗体(RPDS-1M7)は、SRCR1ドメイン内へ結合が見られたが、この抗体には、阻害性は見られなかった(実施例3を参照)。SRCR2領域に結合する抗体は、得られなかった。SRCR3領域に結合する7つの抗体(RPDS-1M2, RPDS-1M4, RPDS-1M5, RPDS-1M10, RPDS-1M13, RPDS-1M18, RPDS1-1M26)
のうち、どの抗体も阻害性が見られなかった(実施例3を参照)。1つの抗体(
LOXL2 RPDS M21
(RPDS-1M21))が、SRCR3とSRCR4の間の配列(SRCR3/4「リンカー(linler)」)に結合することが明らかになり、阻害性が決定された(実施例3、表2を参照)。SRCR4領域に結合する2つの抗体(RPDS-1M14, AB0023)のうち、1つの抗体(AB0023)に阻害性が見られた(実施例3、表2を参照)。
[表4]
これらの結果は、阻害性抗体がSRCR3とSRCR4(LOXL2 RPDS M21 (RPDS-1M21))の間のリンカー配列及びSRCR4ドメイン(AB0023)内に結合することができることを示す。上で議論された、更なる実験は、阻害性抗体はまた、触媒ドメイン内に結合できることも示した(RPDS-2M2、RPDS-2M4、RPDS-1M19、RPDS-1 M20(AB0030)、RPDS-1M27、及びRPDS-1M31)。
LOXL2由来のSRCR3及びSRCR4の15アミノ酸の長さのオーバーラップと一致するペプチドを合成し(Elim Biopharmaceuticals, Hayward, CA製)、AB0023及びそのヒト化誘導体AB0024に結合する能力をアッセイした。これらペプチドのアミノ酸配列を表5に示す。凍結乾燥されたペプチドを溶解し、PBS+5%アセトニトリルで、10mMの終濃度とした。2mg/mlの抗体の保存溶液をPBS(AB0023)又は、10mMのリン酸ナトリウム、140mMのNaCl(AB0024)で作成した。6マイクロリットルのペプチド溶液を、496μlの抗体溶液に添加し、そして、(AB0023にはPBSを使用して、又はAB0024には10mMのリン酸ナトリウムを使用して)最終容量を1mlとし、60μMのペプチド及び6.6μMの抗体の所要の最終濃度とし、25℃で1時間、室温でインキュベートした。サンプルを、次に、Agilent 1100 SEC−HPLCカラム(Tosoh TSKgel G3000SWx resin)上に注入した。カラムに、PBS+250mMのNaCl、pH7.4(AB0023)又は、10mMのリン酸ナトリウム、250mMのNaCl、pH5.8(AB0024)を、0.5ml/分の速度で注入し(develop)、UV吸収材料のピーク領域(210nm)を測定した。15merのペプチドの分子量は、抗体の分子量と比較して小さいため、抗体−ペプチド複合体の形成によって、どちらの分子の保持時間(retention time)のシフトも生じなかった。それ故、抗体−ペプチド複合体の形成は、自由な(複合体を形成していない)抗体と一致するピーク領域の増加に加え、自由なペプチドと一致するピークの領域に同時に生じる減少によって示された。ケミステーションソフトウェア(Agilent, Palo Alto, CA製)を、ピーク領域の積分に使用した。
この解析の結果(表5の最も右のカラムに要約されている)は、ペプチド3、4及び5が、AB0023に結合可能であることを示した。表には示されていないが、同一の3つのペプチドにまた、AB0024が結合することが示された。これらペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する、LOXL2のSRCR4ドメイン内にある39−アミノ酸の機能的なエピトープを定める:
VWGMVCGQNWGIVEAMVVCRQLGLGFASNAFQETWYWHG
(配列番号3)
[表5]ペプチドマッピング
表5の説明:
ペプチドのアミノ酸配列(一文字コード)は、2番目のカラムに示される。4番目のカラムにおいて、「+」は、ペプチドにAB0023が結合したことを示し、「−」は、結合が観察されなかったことを示す。
実施例6:アラニンスキャニング突然変異(Alanine scanning mutagenesis)
LOXL2のSRCR4ドメインのアラニンスキャニング突然変異を行い、AB0023、AB0024及びM14抗体の結合に関与するLOXL2 SRCR4ドメイン内のアミノ酸残基を特定した。この目的を達成するために、LOXL2のSRCR4ドメイン(配列番号1のアミノ酸435-547部分)をエンコードする配列を含むDNAフラグメントを構成した;シグナル配列、リンカー配列、mycエピトープタグ、及び(His)6精製タグを加え、コンストラクトをクローン化した。SRCR4ドメインにおける、ある特定のアミノ酸が、アラニンに変換されるように、追加のコンストラクトを作成した。AB0023、AB0024及びM14の様々な変異アミノ酸配列に結合する能力をELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)及び、AB0023及びAB0024についてのSEC−HPLC;及び、M14についてのELISAによって決定した。ELISAアッセイを、異なったアラニンスキャニング変異体を標的として使用し、正解に実施例2に記載のとおり行なった。
SPR解析に関して、LOXL2 SRCR4アラニンスキャニング変異体コンストラクトへの抗体の結合は、ProteOn XPR36機器(Bio-Rad, Hercules, CA製)を使用して決定した。タンパク質を、GLCセンサーチップに固定した。製造者の指示に従って調製した、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN−ヒドロキシスルフォスクシンイミド(Sulfo-NHS)が1:1の比率である混合液を、30μL/分の流速で、300秒間、チップ上を通過させ、GLCセンサーチップを活性化した。pH4.5の酢酸緩衝液中1μg/mLの濃度のタンパク質溶液を、次に、30μL/分の流速で、300秒間、チップ上を通過させ、そして、1Mのエタノールアミンを、30μL/分の流速で、300秒間、チップ上を通過させてチップ上の非反応部位をブロックした。参照チャンネル(reference channel)を、同一の手順を用いて、表面に酢酸緩衝液を流すことにより作成した。精製された抗体の希釈液を、100μL/分の流速で、150秒間、表面を通過させ、緩衝液対照をこの希釈段階に加えた。センソグラム(Sensograms)を、ProteOn manager softwareを使用して解析し、データをこのソフトウェア内のLangmuir modelに当てはめた。データは、4つの別々の実験の平均及び標準偏差を示す。
SEC−HPLCを実施例5に記載のように、15マー(15-mer)ペプチドの代わりに異なったSRCR4のアラニンスキャニング変異体を使用して行なった。
これら3つの異なる方法を使用して得られた結果は相互に一致していた。表6は、データを編集したものを示す。
[表6] アラニンスキャニング変異体
表6の説明:
第1のカラムにある数は、図1に示されるLOXL2アミノ酸配列内のアミノ酸残基を参照する。番号の前にある文字は、野生型のタンパク質において、その(番号の)位置にあるアミノ酸(1文字アミノ酸コードで示される)を示す。番号に続く文字は、ある特定の変異における、野生型の残基のアラニンへの変換を示す。残りのカラムは、ある特定の変異ポリペプチドに、AB0023(2番目のカラム)、AB0024(3番目のカラム)又はM14(4番目のカラム)が結合するかどうかを示す。M14は、RPDS−1M14抗体を意味する。「+」は、結合を示し、「+/−」は、弱い結合を示し、「0」は、検出不可能な結合を示し、「ND」は、試験を行っていない(not done)ことを示す。
実施例7:AB0023は、LOXL2に特異的に結合する
リシルオキシダーゼ様タンパク質LOXL3及びLOXL4はまた、4つのSRCRドメインを含み、これらは、LOXL2の4つのSRCRドメインと同一ではないが、いくらかのホモロジーを有する。これらの特異性を評価し、そのエピトープの性質の更なる情報を得るために、AB0023の、LOXL3及びLOXL4のSRCR配列に対する結合をテストした。ELISAアッセイをヒトLOX、LOXL1、LOXL2、LOXL3及びLOXL4を標的として使用して、正確に実施例2に記載のとおり行なった。図3に示される結果は、AB0023が、他の既知のヒトリシルオキシダーゼ型酵素のいずれにも結合しないことを示す。したがって、AB0023は、他のリシルオキシダーゼ型酵素と比較して、LOXL2に対して特異的であり、そして、特に、AB0023は、LOXL3又はLOXL4のどちらのSRCR4ドメインにも結合しない。
LOXL2、LOXL3及びLOXL4由来のSCRC4ドメインのアミノ酸配列のアライメントを図4に示した。LOXL2のSRCR4ドメインとLOXL3及びLOXL4のSRCR4ドメインの間のアミノ酸配列の違いは、AB0023によって認識されるエピトープの更なる定義付けに使用できる。
実施例8:M14は、AB0023及びAB0024に結合するエピトープと異なるエピトープへ結合する
上記の表6は、LOXL2のSRCR4ドメインのアミノ酸(位置)478の、アルギニンからアラニンへの変換によって、AB0023及びAB0024抗体と結合する能力が失われたが、M14抗体と結合する能力は、影響を受けなかったことを示す。これは、M14は、AB0023及びAB0024によって認識されるエピトープと異なるエピトープを認識することを示す。別の試験において、実施例6に記載されるような表面プラズモン共鳴解析によって、AB0023が結合しないF484A変異体に、M14抗体が結合することを決定した。したがって、M14抗体は、SRCR4ドメインにおける第二のエピトープ(これは、AB0023及びAB0024によって認識されるエピトープと異なる)を定義する。
実施例9:触媒ドメインにおけるAB0030エピトープ
AB0030抗体は、ヒトLOXL2触媒ドメイン内に結合し、その酵素活性を阻害する。AB0030のヒト、カニクイザル、ラット及びマウスのLOXL2タンパク質への結合を比較したELISAアッセイは、AB0023が、カニクイザルLOXL2にも結合するが、ラット又はマウスLOXL2に結合しないことを示した。一方において、ヒト及びカニクイザルLOXL2及び、他方において、ラット及びマウスLOXL2の触媒ドメインのアミノ酸配列を比較した場合、配列中に21の残基が異なっていることが明らかになった。図5を参照する。したがって、これらの各アミノ酸が個々に、ヒト配列に対応するように変更されたラットタンパク質の変異体を、ELISA及びSPRによって、AB0030が結合する能力についてアッセイした。
これらの解析の結果により、2箇所の変化が、ラットLOXL2タンパク質におけるAB0030−結合能力を与えていたことが示された(図5中、アスタリスクによって示す)。これらの変化は、マウスの595番目残基の(ヒトY593に対応する)のHからYへの変換、及びマウスの741番目の残基(ヒトH739に対応する)のYからHへの変換であった。したがって、これら2つの残基は、AB0030が結合するエピトープの部分を構成する。
本発明を、その特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の真の趣旨(true spirit)及び発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、均等物による置換が可能であることが、当業者により理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、物質の組成、方法、方法の工程(一又は複数)を本発明の目的、趣旨(spirit)及び範囲に適応するために、多くの変更ないし修正(modifications)を行い得る。全てのそのような変更は、本願に添付の特許請求の範囲内であることが意図される。