JP2018049002A - 試料ホルダーおよびx線分析方法 - Google Patents

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裕太 窪内
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Abstract

【課題】セパレータを挟んで正極と負極を積層した電池要素を密封したラミネートセルのin−situX線分析に用いられる試料ホルダーにおいて、X線の入射光軸が試料台に対して傾きをもつ場合でも、S/N比が良好な分析データが得られるようにする。【解決手段】ラミネートセルを両側から挟んで支持する第1支持部材および第2支持部材と、これらの支持部材を押さえる押さえ手段と、を備える試料ホルダーである。第1支持部材は、試料ホルダーの取付基準面が形成されたベース部と、取付基準面に対して所定の角度で傾いてベース部から立ち上がる立ち上がり部とを有し、立ち上がり部の一方の主面が支持面で、この支持面内にX線透過用孔が形成されており、第2支持部材は、立ち上がり部と対向する向きで第1支持部材に取り付けられるとともに、立ち上がり部と対向する側の主面がラミネートセルを支持するための支持面で、この支持面内にX線透過用孔が形成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、充放電過程における二次電池の電子状態や構造変化などを測定するために用いて好適なX線分析用の試料ホルダー、およびX線分析方法に関する。
二次電池のなかでも、特にリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、作動電圧が高い電池として知られている。このため、リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータといった携帯型の電子機器のほか、ハイブリッド自動車や電気自動車の電源などに広く用いられている。
一般に、リチウムイオン二次電池は、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極活物質を主要構成成分とする負極と、正極と負極を分離するセパレータと、非水系電解質などから構成されている。これらの構成材料は、金属缶やアルミラミネートフィルムなどの外装材で封止されている。外装材に金属缶を用いたものはハードパック型と呼ばれ、アルミラミネートフィルムを用いたものはソフトパック型またはラミネートセルとも呼ばれている。
電池材料の開発においては、電池材料を評価するためにX線分析が利用されている。X線分析、特にX線回折(X−ray Diffraction:以下、XRD)測定は、結晶構造、構成元素それぞれの価数や局所構造(配位数、原子間距離)といった情報を与える分析手法であり、電池材料の評価に広く利用されている。
電池材料のX線分析は、ex−situX線分析とin−situX線分析に大別される。ex−situX線分析は、充放電を行った電池セルを分解し、正極などの構成材料を取り出してX線分析を行うものである。in−situX線分析は、電池を分解せずに充放電を行ったままX線分析を行うものである。リチウムイオン二次電池などの非水系電解質を用いる二次電池の場合、ex−situX線分析では、電池の外装材の中から正極などの構成材料を取り出して大気中に暴露すると、正極中の正極活物質の状態が変化してしまう場合がある。このため近年では、実際の電池反応に近い状態を評価できるin−situX線分析が主流になりつつある。
in−situX線分析に関しては、たとえば特許文献1に記載されているように、電池要素を含むラミネートセルを一対の支持部材により両側から挟んで支持し、かつ、一対の支持部材が離間しないように一対の支持部材を押さえ手段で押さえて、ラミネートセルのX線分析を行う技術が知られている。
特開2015−117973号公報
上記特許文献1に記載の技術では、セパレータを挟んで正極と負極を積層した電池要素を密封したラミネートセルのin−situX線分析において、ラミネートセル内に充放電の繰り返しによってガスが発生する場合でも、ラミネートセルの膨らみを抑制することができる。したがって、ラミネートセル内で正極と負極の電気的な接続状態を良好に維持し、ラミネートセルの充放電の状態を正しく反映した分析データを得ることができる。
ただし、上記特許文献1に記載の技術には、下記のとおり、更に改善すべき点があることを本発明者は見出した。
特許文献1に記載の技術では、一対の支持部材を備える試料ホルダーをX線分析装置の試料台に取り付けることにより、試料台の上にラミネートセルを垂直に立てて支持するようになっている。このため、たとえばX線分析装置の仕様等により、試料台に向かうX線の光軸(以下、「入射光軸」という。)が、試料台に対して斜めに傾いて設定されている場合は、試料台と平行に設定されている場合に比べて、ラミネートセルに入射するX線の侵入深さが深くなり、X線のエネルギー損失の割合が多くなってしまう。その結果、回折ピークの強度が低下し、回折X線のS/N比(signal-noise ratio)が悪化するおそれがある。
本発明の目的は、セパレータを挟んで正極と負極を積層した電池要素を密封したラミネートセルのin−situX線分析に用いられる試料ホルダーにおいて、ラミネートセル内に充放電の繰り返しによってガスが発生する場合でも、ラミネートセルの膨らみを抑制して正極と負極の電気的な接続状態を良好に維持し、かつ、X線の入射光軸が試料台に対して傾きをもつ場合でも、S/N比が良好な分析データを得ることができる試料ホルダー、およびX線分析方法を提供することにある。
(第1の態様)
本発明の第1の態様は、
セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料ホルダーであって、
前記ラミネートセルを両側から挟んで支持する第1支持部材および第2支持部材と、
前記第1支持部材および前記第2支持部材を互いに離間しないように押さえる押さえ手段と、を備え、
前記第1支持部材は、前記試料ホルダーの取付基準面が形成されたベース部と、前記取付基準面に対して所定の角度で傾いて前記ベース部から立ち上がる立ち上がり部とを有し、前記立ち上がり部の一方の主面が前記ラミネートセルを支持するための支持面になっていて、この支持面内にX線透過用孔が形成されており、
前記第2支持部材は、前記立ち上がり部と対向する向きで前記第1支持部材に取り付けられるとともに、前記立ち上がり部と対向する側の主面が前記ラミネートセルを支持するための支持面になっていて、この支持面内にX線透過用孔が形成されている
ことを特徴とする試料ホルダーである。
(第2の態様)
本発明の第2の態様は、
前記立ち上がり部の支持面内に形成されたX線透過用孔は、前記支持面から遠ざかるにつれて孔の大きさが拡大するように、前記ベース部から遠い側の孔内面が前記支持面に対してテーパー状に傾いて形成されている
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の試料ホルダーである。
(第3の態様)
本発明の第3の態様は、
前記取付基準面に対する前記立ち上がり部の傾き角度を調整可能な傾き調整機構を備える
ことを特徴とする上記第1または第2の態様に記載の試料ホルダーである。
(第4の態様)
本発明の第4の態様は、
前記傾き調整機構は、前記ベース部上で前記立ち上がり部の傾き角度が変化する方向に前記立ち上がり部を回動可能に支持する回動支持部と、前記立ち上がり部の傾き角度が所定の角度となるように前記立ち上がり部の姿勢を保持する姿勢保持部と、を備える
ことを特徴とする上記第3の態様に記載の試料ホルダーである。
(第5の態様)
本発明の第5の態様は、
前記傾き調整機構は、前記立ち上がり部の傾き角度を目視確認するための目印を有する ことを特徴とする上記第3または第4の態様に記載の試料ホルダーである。
(第6の態様)
本発明の第6の態様は、
セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に際して、
前記ラミネートセルを第1支持部材および第2支持部材により両側から挟んで支持するとともに、前記第1支持部材および前記第2支持部材を互いに離間しないように押さえ、かつ、前記X線の入射光軸の傾き角度に合わせて前記ラミネートセルを所定の角度で傾けて支持することにより、前記ラミネートセルの主面にX線を垂直に入射させる
ことを特徴とするX線分析方法である。
本発明によれば、セパレータを挟んで正極と負極を積層した電池要素を密封したラミネートセルのin−situX線分析に用いられる試料ホルダーにおいて、ラミネートセル内に充放電の繰り返しによってガスが発生する場合でも、ラミネートセルの膨らみを抑制して正極と負極の電気的な接続状態を良好に維持し、かつ、X線の入射光軸が試料台に対して傾きをもつ場合でも、S/N比が良好な分析データを得ることができる。
X線分析装置の一例として透過型のX線回折測定装置の構成例を示す概略図である。 X線分析の対象試料の一例となるラミネートセルの構成を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る試料ホルダーの一構成例を説明する側断面図である。 第1支持部材を正面から見た図である。 第1支持部材を正面側から見た斜視図である。 第1支持部材を背面側から見た斜視図である。 第2支持部材を正面から見た図である。 第2支持部材を正面側から見た斜視図である。 押さえ手段の具体的な構成例を説明する図(その1)である。 押さえ手段の具体的な構成例を説明する図(その2)である。 本発明の他の実施形態に係る試料ホルダーの構成例を説明する部分側断面図である。 試料ホルダーを正面から見たときの傾き調整機構の構成を示す部分断面図である。 傾き調整機構に目印を設けた態様を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施形態においては、次の順序で説明を行う。
1.X線分析装置の構成
2.ラミネートセルの構成
3.試料ホルダーの構成
4.X線分析方法
5.実施形態の効果
6.他の実施形態
7.変形例等
<1.X線分析装置の構成>
図1はX線分析装置の一例として透過型のX線回折測定装置の構成例を示す概略図である。
X線回折測定装置は、X線源1と、モノクロメータ2と、試料台3と、X線検出器4とを備える。X線源1は、X線を出射するものである。X線源1としては、たとえば銅のターゲットに電子を衝突させてX線を発生させる銅管球を用いることができる。モノクロメータ2は、X線源1が発生するX線から所定の波長成分を除去するものである。モノクロメータ2としては、たとえばヨハンソン型モノクロメータを用いることができる。X線源1として銅管球を用いた場合は、モノクロメータ2によってCukα2線を除去(分離)することができる。試料台3は、X線分析の対象となる試料を保持する試料ホルダーを取り付ける部分となる。試料ホルダーは試料台3の上面に取り付けられる。試料台3の上面は、平面視四角形に形成されるとともに、水平に配置されている。本実施形態においては、後述するラミネートセルを試料とする。X線検出器4は、試料で回折したX線の強度を検出するものである。図中の「2θ」は、X線の回折角を示している。以降の説明では、試料で回折したX線を「回折X線」ともいう。
上記構成からなるX線回折測定装置においては、試料台3に試料ホルダーを用いた試料をセットした後、X線源1からX線を出射する。X線源1から出射されたX線はモノクロメータ2を経由して試料に入射する。その際、X線検出器4は図中矢印方向に一定の間隔で移動(掃引)しながらX線の強度を検出する。これにより、試料のX線回折プロファイルを求めることができる。X線回折プロファイルは、縦軸にX線の強度、横軸にX線の回折角(2θ)をとったグラブで表されるものである。
このようなX線回折測定において、X線源1が出射するX線には、波長の近いCukα1線とCukα2線が含まれる。このため、X線源1で発生させたX線を、たとえば結晶性の高い試料に入射してX線の強度をX線検出器4で検出すると、回折X線プロファイルにおいて、Cukα1線の回折ピークとCukα2線の回折ピークが回折角の近似した位置に現れてしまう。これに対して、モノクロメータ2はX線からCukα2線を除去して試料に入射させる。このため、X線検出器4の検出結果に基づくX線回折プロファイルには、Cukα2線の回折ピークを除いたCukα1線の回折ピークのみが現れる。したがって、Cukα1線の回折ピークとCukα2線の回折ピークの重なりを避けることができる。
ただし、モノクロメータ2でCukα2線を除去するには、X線源1からモノクロメータ2に向けてX線を斜めに入射する必要があり、これによってモノクロメータ2から試料台3に向かうX線も斜めに進行する。このため、X線源1で発生させたX線をモノクロメータ2を経由して試料に入射させようとすると、モノクロメータ2から試料台3に向かうX線の入射光軸が斜めに傾いてしまう。ここで記述する「斜め」とは、モノクロメータ2から試料台3に向かうX線の入射光軸が、水平に配置された試料台3の上面に対して傾きをもつことをいう。本実施形態に係る試料ホルダーは、X線の入射光軸の傾きに応じてラミネートセルを適切な角度で支持し得る構成になっている。試料ホルダーの具体的な構成は後で詳しく述べる。
<2.ラミネートセルの構成>
図2はX線分析の対象試料の一例となるラミネートセルの構成を示す概略断面図である。図2ではラミネートセルの幅方向(図の奥行き方向)の中心部を縦方向に断面した状態を示している。
図示したラミネートセル10は、正極11と、負極12と、セパレータ13とを有する電池要素14を備える。正極11は、ラミネートセル10の正面方向(図の左右方向)から見て矩形のシート状に形成されている。正極11の片面には正極活物質層15が形成されている。正極活物質層15は、たとえば、ニッケル酸リチウムと、導電助剤と、結着剤とを用いて、塗膜形成されている。負極12は、正極11と同様に、ラミネートセル10の正面方向から見て矩形のシート状に形成されている。負極12の片面には負極活物質層16が形成されている。負極活物質層16は、たとえば、グラファイトと、結着剤とを用いて、塗膜形成されている。セパレータ13は、上記正極11および負極12と同様に、ラミネートセル10の正面方向から見て矩形のシート状に形成されている。電池要素14は、セパレータ13を間に挟んで正極11と負極12を積層した構造になっている。電池要素14の積層構造においては、正極11の正極活物質層15と負極12の負極活物質層16とが、セパレータ13を介して対向する状態に配置されている。
また、電池要素14は、図示しない電解液とともにラミネートフィルム17によって密封されている。ただし、正極11につながる端子(不図示)と負極12につながる端子(不図示)は、それぞれ充放電のための端子(不図示)を接続するために、ラミネートフィルム17の外側に引き出される。ラミネートフィルム17は、ラミネートセル10の正面方向から見て矩形の袋状に形成されている。ラミネートフィルム17の内部には、非水系電解液からなる適量の電解液が注入されている。これにより、ラミネートセル10は、ラミネートシート型のリチウムイオン二次電池を構成している。また、ラミネートセル10は、X線分析を行うにあたって、できるだけ多くのX線を透過するように、正極11、負極12およびセパレータ13をそれぞれ単一のシートで構成した薄板状の構造になっている。なお、図2においては、説明の便宜上、ラミネートセル10の厚みを見かけ上厚く表現しているが、実際の厚みは1mm程度である。
<3.試料ホルダーの構成>
図3は本発明の実施形態に係る試料ホルダーの一構成例を説明する側断面図である。
図示した試料ホルダー20は、上述したラミネートセル10を試料としてX線分析を行う際に用いられるものである。ここで記述する「X線分析」とは、ラミネートセル10にX線を入射して分析データを得るin−situX線分析をいう。また、「in−situX線分析」とは、リチウムイオン二次電池を構成するラミネートセル10を分解することなくX線分析を行うことをいう。
試料ホルダー20は、ラミネートセル10を両側から挟んで支持する第1支持部材21および第2支持部材22と、第1支持部材21および第2支持部材22が互いに離間しないように第1支持部材21および第2支持部材22を押さえる押さえ手段23と、を備えている。第1支持部材21および第2支持部材22は、機械的には高い剛性を有し、電気的には絶縁性を有し、光学的には高い光透過性を有する材料によって構成されている。ここで記述する「高い剛性」とは、第1支持部材21および第2支持部材22でラミネートセル10を挟んで支持した場合に、ラミネートセル10内でのガスの発生に伴う圧力に屈して変形しない程度の剛性をいう。また、「高い光透過性」とは、第1支持部材21および第2支持部材22をそれぞれ厚み方向の一方から他方を透かして見たときに、他方側に存在する物を目視で確認できる程度の光透過性をいう。上記の性質を満足する第1支持部材21および第2支持部材22の構成材料としては、好ましくはアクリル樹脂を挙げることができる。なお、図3では押さえ手段23を抽象的に示し、その具体的な構成はあとで説明する。
(第1支持部材)
図4は第1支持部材を正面から見た図であり、図5は第1支持部材を正面側から見た斜視図であり、図6は第1支持部材を背面側から見た斜視図である。なお、図1における第1支持部材の断面は、図4のA−A位置での断面を示している。また、以降の説明では図4の左右方向を第1支持部材21の幅方向という。
第1支持部材21は、試料台3に固定されるものであって、ベース部24と、立ち上がり部25と、一対の脚部26と、を有する。ベース部24、立ち上がり部25および脚部26は、一体構造になっている。ベース部24は、試料台3の上面の平面視形状に対応して平面視四角形(正方形、長方形など)の板状に形成されている。ベース部24には、第1支持部材21を試料台3に固定するための固定用孔27が4つ設けられている。試料台3の上面には、ベース部24の4つの固定用孔27に対応して4つのネジ孔(不図示)が設けられている。ベース部24の一方の主面である、ベース部24の下面は、試料ホルダー20の取付基準面28を形成している。
第1支持部材21を試料台3に固定する場合は、ベース部24の取付基準面28を試料台3の上面に載置する。そして、ベース部24の4つの固定用孔27にそれぞれボルト(不図示)を挿入するとともに、挿入したボルトを試料台3のネジ孔に螺合して締め付ける。これにより、試料台3の上面とベース部24の取付基準面28とをボルトの締め付け力により密着させ、第1支持部材21を試料台3に固定することができる。
立ち上がり部25は、ベース部24の他方の主面である、ベース部24の上面から斜めに立ち上がっている。立ち上がり部25は板状に形成されている。立ち上がり部25の基端部(下端部)は他の部分よりも厚みが大きくなっている。立ち上がり部25の一方の主面は、ラミネートセル10を押さえるための支持面31になっている。
立ち上がり部25は、ベース部24の取付基準面28に対して所定の角度で傾いており、これと同じ傾斜角で支持面31も傾いている。取付基準面28に対して立ち上がり部25(支持面31)が傾いているとは、取付基準面28に対する立ち上がり部25の傾き角度θbが、0°超90°未満、好ましくは10°以上80°以下、より好ましくは15°以上75°以下、さらに好ましくは20°以上70°未満の場合をいう。ここで記述する「所定の角度」は、図1に示すように試料台3の上を斜めに通過しようとするX線の入射光軸Jに対して立ち上がり部25の支持面31が垂直(直角)の向きで配置されるよう、X線の入射光軸Jの傾き角に対応して設定される角度である。たとえば、試料台3の上面に対してX線の入射光軸Jがθa=30°の傾きを有する場合は、ベース部24の取付基準面28を基準とした立ち上がり部25の傾き角度θbを60°に設定する。これにより、X線の入射光軸Jに対して立ち上がり部25の支持面31が垂直の向きで配置される。取付基準面28に対する立ち上がり部25の傾き角θbは、立ち上がり部25の支持面31で規定される。
なお、本記実施形態においては、試料台3の上を通過するX線の傾き角度θaが30°である場合を想定したが、X線の傾き角度θaは30°に限らず、他の角度であってもよい。たとえば、X線の傾き角度θaが45°であれば、これに対応して立ち上がり部25の傾き角度θbを45°に設定することにより、ラミネートセル10に垂直にX線を入射させることができる。
立ち上がり部25にはX線透過用孔32が設けられている。X線透過用孔32は、X線を透過させるために設けられたものである。X線透過用孔32は、立ち上がり部25を厚み方向に貫通するように、支持面31内に1つ形成されている。X線透過用孔32は、正面方向から見て横長の長方形に形成されるとともに、立ち上がり部25の中央部に形成されている。X線透過用孔32は、2つの孔内面32a,32bを有している。2つの孔内面32a,32bは、立ち上がり部25の幅方向と直交する方向で互いに対向している。孔内面32aは、孔内面32bよりもベース部24から遠い側に配置されている。また、孔内面32aは支持面31に対してテーパー状に傾いて形成され、孔内面32bは支持面31に対して垂直に形成されている。これにより、X線透過用孔32は、支持面31から遠ざかるにつれて孔の大きさが所定の方向に拡大するように形成されている。ここで記述する「所定の方向」とは、上記図1に示すX線の回折角(2θ)の方向をいう。また、孔内面32bに対する孔内面32aの傾き角度θcは、試料で回折したX線がX線透過用孔32に干渉しないよう、たとえば60°に設定されている。傾き角度θcは、試料となるラミネートセル10で回折したX線の強度をX線検出器4で測定する際の測定範囲に応じて適宜設定または変更することが可能である。
立ち上がり部25には4つの連結用孔33が設けられている。連結用孔33は、第1支持部材21および第2支持部材22を互いに連結するために設けられたものである。連結用孔33は、立ち上がり部25を厚み方向に貫通するように設けられている。また、連結用孔33は、第1支持部材21に対する第2支持部材22の取付位置に対応して、立ち上がり部25の幅方向の両端部に2つずつ設けられている。
一対の脚部26は、ベース部24から立ち上がる立ち上がり部25を支持するものである。一対の脚部26は、第1支持部材21の幅方向の一方と他方に分けて配置されている。一対の脚部26の間隔は、X線透過用孔32を透過したX線との干渉を避けるために、X線透過用孔32の長手寸法と同じ寸法に設定されている。各々の脚部26は、ベース部24の上面から垂直に起立している。また、各々の脚部26の上端部は立ち上がり部25の上端部につながっている。これにより、第1支持部材21を幅方向の一方から見ると、ベース部24、立ち上がり部25および脚部26が、直角三角形に配置されている(図3参照)。
ここで、試料台3の上面とベース部24の取付基準面28が、たとえば互いに同一寸法の長方形であって、試料台3上面の中心点から直上に所定の寸法Lh(図3参照)だけ離れた位置PをX線が通過するものとすると、第1支持部材21は上記の位置Pを中心(基点)として設計されている。たとえば、立ち上がり部25の支持面31においては、上記の位置Pを中心にX線透過用孔32が開口するよう、X線透過用孔32の位置および寸法が設定されている。また、立ち上がり部25の支持面31においては、上記の位置Pから各々の連結用孔33までの距離が等しくなるように、4つの連結用孔33の位置が設定されている。
(第2支持部材)
図7は第2支持部材を正面から見た図であり、図8は第2支持部材を正面側から見た斜視図である。なお、図1における第2支持部材22の断面は、図7のB−B位置での断面を示している。
第2支持部材22は、第1支持部材21の立ち上がり部25との間にラミネートセル10を挟んで支持するものである。第2支持部材22は、正面視矩形の板状に形成されている。第2支持部材22の一方の主面は、ラミネートセル10を押さえるための支持面36になっている。また、第2支持部材22にはX線透過用孔37が設けられている。X線透過用孔37は、第2支持部材22を厚み方向に貫通するように、支持面36内に1つ形成されている。X線透過用孔37は、正面方向から見て横長の長方形に形成されるとともに、第2支持部材22の中央部に形成されている。X線透過用孔37の大きさは、第2支持部材22の2つの主面でそれぞれ同一になっている。
X線透過用孔32,37を横長の長方形に形成した理由は、試料のX線分析に用いるX線の断面形状に適合させるためである。本実施形態では、断面形状が線状(横長形状)のX線を用いて試料のX線分析を行う場合を想定し、X線の断面形状にあわせてX線透過用孔32,37の形状をそれぞれ横長の長方形にしている。X線の断面形状を線状とした場合は、点状の断面形状とする場合に比べてX線の断面積が大きくなる。このため、X線検出器4で検出されるX線の強度が相対的に大きくなり、S/N比が向上する。
第2支持部材22には4つの連結用孔38が設けられている。連結用孔38は、第2支持部材22を厚み方向に貫通する状態で、第2支持部材22の四隅に1つずつ設けられている。4つの連結用孔38は、上記第1支持部材21の立ち上がり部25に形成された4つの連結用孔33に対応して設けられたものである。このため、4つの連結用孔38の位置関係は、4つの連結用孔33の位置関係と同じになっている。
(窓部材)
上記構成からなる第1支持部材21および第2支持部材22には、それぞれ窓部材41,42が貼り付けられている。窓部材41は第1支持部材21の支持面31にX線透過用孔32の開口を塞ぐように貼り付けられ、窓部材42は第2支持部材22の支持面36にX線透過用孔37の開口を塞ぐように貼り付けられている。窓部材41,42は、それぞれX線を透過する性質を有する。また、窓部材41,42は、第1支持部材21および第2支持部材22でラミネートセル10を挟んだ場合に、ラミネートセル10に直接、接触する。
各々の窓部材41,42は、互いに同じ材料を用いて、同じ形状および寸法に形成されている。さらに記述すると、窓部材41,42は、第2支持部材22よりも薄く、かつ、第2支持部材22よりも幅寸法(短手寸法)が小さい平面視矩形のシート状に形成されている。また、窓部材41,42は、所定のX線透過率と剛性とを併せ持つ材料、好ましくは、炭素繊維強化プラスチックで構成されている。
(押さえ手段)
押さえ手段23は、第1支持部材21および第2支持部材22によってラミネートセル10を挟んで支持する場合に、それらが離間しないように第1支持部材21および第2支持部材22を押さえるものである。押さえ手段23は、第1支持部材21および第2支持部材22の各X線透過用孔32,37を通るX線と干渉しないように、X線透過用孔32,37の形成部位以外の箇所で第1支持部材21と第2支持部材22を押さえる。
押さえ手段23の具体的な構成としては、たとえば、ネジとナットを用いた締め付け機構を採用することができる。より具体的には、第1支持部材21に設けられた4つの連結用孔33と、第2支持部材22に設けられた4つの連結用孔38とを互いに位置合わせする。そして、図9に示すように、対応する連結用孔33,38にネジ45を挿入するとともに、ネジ45にナット46を螺合させて締め付ける。これにより、第1支持部材21および第2支持部材22を互いに離間しないように押さえることができる。
なお、押さえ手段23は、ネジ45とナット46を用いた締め付け機構以外にも、たとえば図10に示すように、一対の加圧子47a,47bを有するクランプ機構を用いて構成することも可能である。
一対の加圧子47a,47bは、たとえばクランプ機構が備えるネジ式の操作棒(不図示)を回転操作することにより、互いに接近又は離間する方向に移動可能になっている。この構成においては、第1支持部材21の立ち上がり部25と第2支持部材22との間にラミネートセル10を挟んで支持するときに、クランプ機構の操作棒を適宜回転操作することにより、立ち上がり部25と第2支持部材22を一対の加圧子47a,47bでクランプする。実際にクランプする場所は、4つの連結用孔33,38の孔位置よりもX線透過用孔32,37に近い場所、たとえば、試料ホルダー20の幅方向でX線透過用孔32,37を間に挟む左右両側の位置に設定するとよい。これにより、第1支持部材21および第2支持部材22を互いに離間しないように押さえることができる。
なお、押さえ手段23は、ネジ45とナット46を用いた締め付け機構のみ、あるいは、一対の加圧子47a,47bを有するクランプ機構のみによって構成してもよいし、締め付け機構とクランプ機構を併用して構成してもよい。in−situX線分析において、充放電の繰り返しによるラミネートセル10の膨らみをより効果的に抑制するうえでは、締め付け機構とクランプ機構を併用して押さえ手段23を構成することが好ましい。
<4.X線分析方法>
次に、本発明の実施形態に係る試料ホルダーを用いたX線分析方法について説明する。本実施形態においては、X線分析方法の一例として、あらかじめ決められた測定条件にしたがってラミネートセル10の充放電を繰り返し行うとともに、この充放電を行ったまま、ラミネートセル10にX線を照射し、そこで回折したX線の強度を測定することにより、ラミネートセル10のX線回折プロファイルに関する分析データを得る方法について説明する。
まず、試料台3の上に試料ホルダー20をセットするとともに、試料ホルダー20にラミネートセル10をセットする。これらの作業は、どちらを先に行ってもかまわない。
試料台3の上に試料ホルダー20をセットする場合は、第1支持部材21のベース部24の取付基準面28を試料台3の上面に載置した後、ベース部24の4つの固定用孔27にそれぞれボルト(不図示)を挿入し、かつ、挿入したボルトを試料台3のネジ孔に螺合して締め付ける。これにより、試料台3の上面とベース部24の取付基準面28とをボルトの締め付け力により密着させ、第1支持部材21を試料台3に固定することができる。
試料ホルダー20にラミネートセル10をセットする場合は、まず、第1支持部材21の立ち上がり部25と第2支持部材22との間にラミネートセル10を挟む。これにより、立ち上がり部25の支持面31に貼り付けられている窓部材41は、ラミネートセル10の一方の主面に接触し、第2支持部材22の支持面36に貼り付けられている窓部材42は、ラミネートセル10の他方の主面に接触する。
次に、第2支持部材22の四隅に設けられた4つの連結用孔38とこれに対応して第1支持部材21の立ち上がり部25に設けられた4つの連結用孔33にそれぞれネジ45とナット46を取り付けて適度な力で締め付ける。また、第2支持部材22と立ち上がり部25を一対の加圧子47a,47bで両側から挟んでクランプする。これにより、第2支持部材22と立ち上がり部25との間に挟んだラミネートセル10を、ネジ45とナット46による締め付け力および一対の加圧子47a,47bによるクランプ力で両側から押さえ込むことができる。したがって、後述する充放電の繰り返しによってラミネートセル10内にガスが発生しても、ラミネートセル10の膨らみを抑制することができる。
次に、ラミネートセル10の外側に引き出されている端子Tに、充放電のための端子を接続する。次に、あらかじめ決められた条件でラミネートセル10の充放電を開始し、以後、充放電を繰り返す。そして、充放電期間中にラミネートセル10にX線を照射して分析データを得る。その際、X線源1から出射されたX線は、上記図1に示すようにモノクロメータ2を経由して試料台3の上に達する。試料台3の上に達したX線は、X線透過用孔37と窓部材42を順に透過してラミネートセル10に入射する。このとき、モノクロメータ2から試料台3の上に達するX線の入射光軸は上記θaの傾き角度を有し、ラミネートセル10は第1支持部材21の立ち上がり部25と同じ傾き角度θbで支持される。このため、たとえばX線の傾き角度θaが30°であるとすると、立ち上がり部25の傾き角度θbを60°の条件で試料ホルダー20を構成することにより、ラミネートセル10の主面に垂直にX線を入射させることができる。したがって、試料台3の上にラミネートセル10を垂直に立てて支持する場合に比べて、ラミネートセルに入射するX線の侵入深さが浅くなり、X線のエネルギー損失の割合が少なくなる。
一方、ラミネートセル10で回折したX線は、窓部材41とX線透過用孔32を順に透過した後、X線検出器4で検出される。X線検出器4は、上記図1に示す矢印方向に一定間隔で移動しながら各々の回折角(2θ)に対応する位置で回折X線を取り込み、X線の強度を検出する。これにより、ラミネートセル10のX線回折プロファイルを示す分析データを得ることができる。
本実施形態では、X線透過用孔32の大きさが、孔内面32aの傾き角度θcにしたがって回折角(2θ)の方向に拡大している。このため、ラミネートセル10で回折したX線を、第1支持部材21の立ち上がり部25に干渉させることなく、X線検出器4で検出することができる。また、立ち上がり部25のX線透過用孔32を透過したX線は、一対の脚部26の間を通過してX線検出器4に向かう。このため、ラミネートセル10で回折したX線を、第1支持部材21の脚部26に干渉させることなく、X線検出器4で検出することができる。
上記X線回折測定に基づく分析データによれば、たとえば、リチウムイオン二次電池の充放電にともなう正極活物質の結晶構造の変化(結晶の面間隔の変化など)を、六方晶(003)ピークの低角側へのシフト等により把握し、これに基づいて電池材料の評価を行うことが可能となる。ちなみに、リチウムイオン二次電池を構成するラミネートセル10を対象にX線回折測定を行うと、これによって得られるX線回折プロファイルでは2θ=60°の範囲内に主たるピークが現れる。このため、電池材料の評価を適切に行うには、X線回折測定によって2θ=60°の範囲内の分析データが得られれば十分である。
<5.実施形態の効果>
本発明の実施形態においては、試料台3の上をX線が斜めに通過する場合でも、X線の傾き角度に対応する角度で第1支持部材21の立ち上がり部25を傾けた構成とし、この立ち上がり部25の支持面31と第2支持部材22の支持面36との間にラミネートセル10を挟んで押さえ手段23により押さえることにより、ラミネートセル10の主面に垂直にX線を入射させることができる。このため、試料台3の上にラミネートセル10を垂直に立てて支持する場合に比べて、X線のエネルギー損失の割合が少なくなる。したがって、X線の入射光軸が試料台3に対して傾きをもつ場合でも、回折ピークの強度が高く、S/N比が良好な分析データを得ることが可能となる。また、充放電の繰り返しによってラミネートセル10内にガスが発生しても、ラミネートセル10の両面を第1支持部材21と第2支持部材22によって押さえているため、ラミネートセル10の膨らみを抑制して正極と負極の電気的な接続状態を良好に維持することができる。このため、ラミネートセル10の充放電の状態を正しく反映した分析データを得ることが可能となる。
また、本発明の実施形態においては、立ち上がり部25の支持面31内に形成されたX線透過用孔32の孔内面32aを支持面31に対してテーパー状に傾けて形成することにより、X線透過用孔32の大きさを支持面31から遠ざかるにつれて拡大させた構成を採用している。このため、X線回折測定を行う場合に、ラミネートセル10で回折したX線を立ち上がり部25に干渉させることなくX線検出器4で検出することができる。したがって、X線回折測定に際して精度の高い分析データを得ることが可能となる。
<6.他の実施形態>
図11は本発明の他の実施形態に係る試料ホルダーの構成例を説明する部分側断面図である。
本実施形態においては、先述した実施形態に係る試料ホルダーと同様の部分に同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図示した試料ホルダー20は、先述した実施形態(図3)と比較して第1支持部材21の構成が異なる。第1支持部材21は、ベース部24と、立ち上がり部25と、傾き調整機構50と、を備える。ベース部24と立ち上がり部25は、互いに別体構造になっている。「別体構造」とは、一体構造と反対の意味、すなわち別々の構造という意味である。したがって、別体構造であるベース部24と立ち上がり部25は、構造的に一体につながっておらず、たとえばネジ等の連結用部品を取り外すことで分離可能な構造になっている。
(傾き調整機構)
傾き調整機構50は、試料ホルダー20を正面(図11の左側)から見たときに左右両側に設けられるもので、取付基準面28に対する立ち上がり部25の傾き角度θb(図3参照)を調整可能な機構である。図12は試料ホルダーを正面から見たときの傾き調整機構の構成を示す部分断面図である。傾き調整機構50は、立ち上がり部25を回動可能に支持する回動支持部52と、立ち上がり部25の姿勢を保持する姿勢保持部53と、を備える。回動支持部52および姿勢保持部53は、いずれも固定部51を用いて構成されている。
(固定部)
固定部51は、ベース部24の上面に固定されている。ベース部24に固定部51を固定する手段としては、ベース部24と固定部51を一体構造とする、あるいは接着、ネジ等で固定する、などの手段を採用することが可能である。固定部51は、板状に形成されるとともに、ベース部24の上面から垂直に起立するように配置されている。
(回動支持部)
回動支持部52は、ベース部24上で立ち上がり部25の傾き角度が変化する方向に立ち上がり部25を回動可能に支持するもので、固定部51に取り付けられた軸部材によって構成されている。回動支持部52を構成する軸部材は、円形の断面形状を有するピン状の部材であって、たとえば固定部51に圧入、接着等によって固定されている。回動支持部52の軸方向(長さ方向)の一端側は、固定部51の内側の面から横方向に突出し、その突出部分が立ち上がり部25の下端部に嵌合されている。立ち上がり部25の下端部には、回動支持部52の外径に対応した内径を有する孔25aが形成されている。回動支持部52は、立ち上がり部25の孔25aに嵌合されている。これにより、立ち上がり部25は、回動支持部52を構成するピン状部材の軸を中心に回動可能(時計回りおよび反時計回りの両方向に回転可能)に支持されている。なお、回動支持部52は、立ち上がり部25を回動可能に支持するものであれば、他の構成を採用してもよい。
(姿勢保持部)
姿勢保持部53は、立ち上がり部25の傾き角度が所定の角度となるように立ち上がり部25の姿勢を保持する。所定の角度に関しては、先述したとおりである。立ち上がり部25の姿勢とは、回動支持部52の軸を中心に立ち上がり部25を所定の角度に傾けるときの姿勢であって、たとえば取付基準面28に対する立ち上がり部25の傾き角度θbを60°とする場合は、θc=60°の条件を満たす立ち上がり部25の姿勢をいう。また、立ち上がり部25の姿勢を保持するとは、立ち上がり部25の姿勢が変化しないように、立ち上がり部25を固定状態に維持することをいう。このため、立ち上がり部25の姿勢を保持した場合は、立ち上がり部25の傾き角度が一定に保たれる。
姿勢保持部53は、固定部51の長孔54に挿入された調整用ネジ55と、2つの座金56,57と、を有する。固定部51の長孔54は、試料ホルダー20を側面から見たときに円弧状に形成されている。長孔54の円弧の中心は、回動支持部52の軸中心に存在する。調整用ネジ55は、頭部55aと、ネジ部55bと、を有する。調整用ネジ55のネジ部55bは、立ち上がり部25に設けられたネジ孔25bに螺合されている。座金56は、調整用ネジ55の頭部55aと固定部51との間に配置されている。座金57は、固定部51と立ち上がり部25との間に配置されている。
上記構成からなる姿勢保持部53においては、調整用ネジ55を締め付けたり緩めたりすることにより、立ち上がり部25の姿勢を保持したり傾き角度を変えたりすることができる。具体的には、調整用ネジ55を締め付けた状態にすると、その締め付け力によって2つの座金56,57が強く挟み込まれ、回動支持部52の軸を中心とした立ち上がり部25の回動動作が規制(阻止)される。このため、立ち上がり部25の姿勢を保持することができる。また、調整用ネジ55を緩めた状態にすると、2つの座金56,57の挟み込みが解除され、回動支持部52の軸を中心とした立ち上がり部25の回動動作が許容される。このため、長孔54の円弧長方向に調整用ネジ55を動かすことにより、立ち上がり部25を図13の矢印方向に回動させ、立ち上がり部25の傾き角度を任意に変えることができる。ちなみに、上記図3に示すように、立ち上がり部25の傾き角度をθbと規定する場合、回動支持部52の直上位置を長孔54が横切るように、長孔54の円弧長を長く確保することにより、傾き角度θbを90°未満、90°、90°超のいずれにも設定することが可能となる。
傾き調整機構50は、図13に示すように、立ち上がり部25の傾き角度を目視確認するための目印60〜63を有する。各々の目印60〜63は、たとえば図示のように三角形に形成される。また、目印60〜63は、たとえば、印刷、シール貼り、凹凸による刻印などの手法によって形成される。目印60は、立ち上がり部25の側端面に設けられている。目印61〜63は、固定部51の外側の面に設けられている。目印61〜63は、それぞれに異なる立ち上がり部25の傾き角度に対応した位置に設けられている。たとえば、目印61は、立ち上がり部25の傾き角度=60°に対応した位置に設けられている。また、目印62は、立ち上がり部25の傾き角度=45°に対応した位置に設けられ、目印63は、立ち上がり部25の傾き角度=30°に対応した位置に設けられている。このため、立ち上がり部25の傾き角度を60°に設定したい場合は、立ち上がり部25の目印60を目印61の位置に合わせ、45°に設定した場合は目印62の位置に合わせ、30°に設定する場合は目印63の位置に合わせて、調整用ネジ55を締め付ければよい。
なお、各々の目印60〜63の形状は、立ち上がり部25の傾き角度を目視確認できるものであれば、どのような形状であってもよい。また、目印60〜63の色を変えてもよいし、立ち上がり部25の傾き角度を表す数字を各々の目印61〜63の近傍に付加してもよい。また、固定部51に設ける目印の数は1つでも複数でもよいし、目印として目盛り(不図示)を設けてもよい。
本発明の他の実施形態に係る試料ホルダー20においては、ベース部24の取付基準面28に対し、立ち上がり部25の傾き角度を調整可能な傾き調整機構50を備えた構成を採用している。このため、X線の入射光軸が試料台3に対して傾きをもつ場合に、入射光軸の傾きに応じて立ち上がり部25の傾き角度を調整することができる。これにより、たとえば、試料台3に向かうX線の入射光軸の傾きが異なる場合でも、1つの試料ホルダー20で対応することが可能となる。
また、傾き調整機構50に目印60〜63を設けることにより、立ち上がり部25の傾き角度を目視確認によって精度良く設定することが可能となる。
<7.変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記実施形態においては、X線透過用孔32の孔内面32a,32bのうち、一方の孔内面32aだけを支持面31に対してテーパー状に傾けて形成したが、これに限らず、孔内面32a,32bの両方をテーパー状に傾けて形成してもかまわない。また、第2支持部材22に形成されたX線透過用孔37についても、支持面36から遠ざかるにつれて孔の大きさが拡大するように、孔内面をテーパー状に傾けて形成してもかまわない。
また、先述した実施形態においては、第1支持部材21の立ち上がり部25を一対の脚部26で支持する構成を採用したが、第1支持部材21の構成材料の特性等により立ち上がり部25が高い剛性を有する場合は、一対の脚部26を設ける必要はない。すなわち、一対の脚部26は必要に応じて設ければよい。また、立ち上がり部25を支持するための形状は、一対の脚部26のような形状に限らず、種々の形状を採用することが可能である。
また、上記実施形態においては、第1支持部材21および第2支持部材22に、それぞれ窓部材41,42を貼り付けた構成を採用しているが、これに限らず、窓部材41,42は必要に応じて使用すればよい。
また、上記実施形態においては、試料のX線分析に用いるX線の断面形状が線状である場合を想定してX線透過用孔32,37の形状を長方形にしたが、試料のX線分析に用いるX線の断面形状が異なる形状(たとえば、円形など)になる場合は、それにあわせてX線透過用孔32,37の形状を変えればよい。
1…X線源
2…モノクロメータ
3…試料台
4…X線検出器
10…ラミネートセル
20…試料ホルダー
21…第1支持部材
22…第2支持部材
23…押さえ手段
24…ベース部
25…立ち上がり部
26…脚部
28…取付基準面
31,36…支持面
32,37…X線透過用孔
45…ネジ
46…ナット
47a,47b…加圧子
50…傾き調整機構
51…固定部
52…回動支持部
53…姿勢保持部
60〜63…目印

Claims (6)

  1. セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料ホルダーであって、
    前記ラミネートセルを両側から挟んで支持する第1支持部材および第2支持部材と、
    前記第1支持部材および前記第2支持部材を互いに離間しないように押さえる押さえ手段と、を備え、
    前記第1支持部材は、前記試料ホルダーの取付基準面が形成されたベース部と、前記取付基準面に対して所定の角度で傾いて前記ベース部から立ち上がる立ち上がり部とを有し、前記立ち上がり部の一方の主面が前記ラミネートセルを支持するための支持面になっていて、この支持面内にX線透過用孔が形成されており、
    前記第2支持部材は、前記立ち上がり部と対向する向きで前記第1支持部材に取り付けられるとともに、前記立ち上がり部と対向する側の主面が前記ラミネートセルを支持するための支持面になっていて、この支持面内にX線透過用孔が形成されている
    ことを特徴とする試料ホルダー。
  2. 前記立ち上がり部の支持面内に形成されたX線透過用孔は、前記支持面から遠ざかるにつれて孔の大きさが拡大するように、前記ベース部から遠い側の孔内面が前記支持面に対してテーパー状に傾いて形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の試料ホルダー。
  3. 前記取付基準面に対する前記立ち上がり部の傾き角度を調整可能な傾き調整機構を備える
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の試料ホルダー。
  4. 前記傾き調整機構は、前記ベース部上で前記立ち上がり部の傾き角度が変化する方向に前記立ち上がり部を回動可能に支持する回動支持部と、前記立ち上がり部の傾き角度が所定の角度となるように前記立ち上がり部の姿勢を保持する姿勢保持部と、を備える
    ことを特徴とする請求項3に記載の試料ホルダー。
  5. 前記傾き調整機構は、前記立ち上がり部の傾き角度を目視確認するための目印を有する ことを特徴とする請求項3または4に記載の試料ホルダー。
  6. セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に際して、
    前記ラミネートセルを第1支持部材および第2支持部材により両側から挟んで支持するとともに、前記第1支持部材および前記第2支持部材を互いに離間しないように押さえ、かつ、前記X線の入射光軸の傾き角度に合わせて前記ラミネートセルを所定の角度で傾けて支持することにより、前記ラミネートセルの主面にX線を垂直に入射させる
    ことを特徴とするX線分析方法。
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