JP6406077B2 - 試料ホルダーおよびx線分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、充放電過程における二次電池の電子状態や構造変化などを測定するために用いて好適なX線分析用の試料ホルダーとこれを用いたX線分析方法に関する。
二次電池のなかでも、特にリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、作動電圧が高い電池として知られている。このため、リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータといった携帯型の電子機器のほか、ハイブリッド自動車や電気自動車の電源などに広く用いられている。
一般に、リチウムイオン二次電池は、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極活物質を主要構成成分とする負極と、正極と負極を分離するセパレータと、非水系電解質などから構成されている。これらの構成材料は、金属缶やアルミラミネートフィルムなどの外装材で封止されている。外装材に金属缶を用いたものはハードパック型と呼ばれ、アルミラミネートフィルムを用いたものはソフトパック型またはラミネートセルとも呼ばれている。
電池材料の開発においては、電池材料を評価するためにX線分析が採用されている。X線分析、特にX線回折(X−ray Diffraction:以下、XRD)測定は、結晶構造、構成元素それぞれの価数や局所構造(配位数、原子間距離)といった情報を与える分析手法であり、電池材料の評価に広く利用されている。
電池材料の上記X線分析の方法は、大別すると、ex−situ測定と、in−situ測定とに分かれる。ex−situ測定は、充放電を行った電池セルを分解し、正極などの構成材料を取り出してX線分析を行うものである。in−situ測定は、電池を分解せずに充放電を行ったままX線分析を行うものである。リチウムイオン二次電池などの非水系電解質を用いる二次電池の場合、ex−situ測定では、電池の外装材の中から正極などの構成材料を取り出して大気中に暴露すると、正極中の正極活物質の状態が変化してしまう場合がある。このため、近年では、実際の電池反応に近い状態を評価できるin−situ測定が主流になりつつある。
in−situでのX線分析に関しては、たとえば非特許文献1に記載されているように、金属ベリリウムを用いたX線分析用の特殊な電気化学セルが開発され、電池材料の評価に利用されている。金属ベリリウムは、導電性があり、かつ、X線の透過率が高いことから、X線を透過する窓部の材料に用いられている。しかしながら、金属ベリリウムを窓部の材料に用いる場合は、(1)ベリリウムの酸化物が毒物であるため取り扱いが難しい、(2)電気化学セルの構造が複雑であるためセルの作製コストが高くなる、といった問題があった。
一方、特許文献1に記載されているように、アルミラミネートフィルムなどで外装した薄板状の電池(ラミネートセル)を対象に、直接、X線分析をする手法も採用されている。ラミネートセルは、正極、負極、外装などが十分に薄いため、X線の透過率が高い。このため、ラミネートセルを分解せずに、そのままX線分析を実施することができる。この手法では、ラミネートセルの取り扱いが簡便であり、かつ、セルの作製コストが低いため、複数のセルを容易に作製できるというメリットがある。
特開平11−230919号公報
M. N. Richard et al, J. Electrochem. Soc. 144, 554, (1997)
しかしながら、従来においては、in−situでのX線分析に際して、単にラミネートセルを試料台の上に立ててX線を透過させていたため、測定条件によっては次のような不具合が生じることがあった。すなわち、全体的に薄くて形状が変化しやすいラミネートセルを用いて、in−situでのX線分析により二次電池の性能を評価する場合に、たとえば、4.8V程度の高い電圧で充放電を繰り返し行うと、測定の途中で充放電が適切に行えなくなることがあった。
そこで本発明者は、測定の途中で充放電が適切に行えなくなったラミネートセルの状態を確認してみた。そうしたところ、測定前にくらべてラミネートセルが全体的に少し膨らんでいることに気づいた。この事実から、本発明者は、高い電圧領域で充放電を行った場合は、電解液の分解や、正極活物質からの酸素の放出などにより、ラミネートセル内にガスが発生し、これにともなう電池内の圧力の上昇によってラミネートセルが膨らみ、その結果、正極と負極の相対的な位置関係が変化したのではないかと考えた。すなわち、本発明者は、ラミネートセルを対象としたin−situでのX線分析において、測定の途中で充放電が適切に行えなくなった原因は、セパレータを間に挟んで近接する正極と負極がガスの発生にともなって分離し、それらの電気的な接続状態が悪化したためである、との考えに基づいて本願発明を想到した。
本発明の主な目的は、ラミネートセルを対象としたX線分析において、ラミネートセル内でガスが発生した場合でも正極と負極の電気的な接続状態を良好に保ち、これによって信頼性の高いX線分析を可能とするX線分析用の試料ホルダーとX線分析方法を提供することにある。
本発明の第1の態様は、
セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料ホルダーであって、
前記ラミネートセルを両側から挟んで支持する一対の支持部材と、
前記ラミネートセルと前記各支持部材との間に窓部材と、
前記一対の支持部材が離間しないように前記一対の支持部材を押さえる押さえ手段とを
備え、
前記一対の支持部材の各々は、前記ラミネートセルの主面と対向するように配置される支持面と、前記X線を透過させるX線透過用孔とを有し、
前記各X線透過用孔は、所定のX線透過率と剛性とを併せ持つ材料で構成された前記各窓部材で塞がれており、
前記一対の支持部材のうち少なくとも一方の支持部材に形成されたX線透過用孔の大きさが、前記支持面から遠ざかるにつれて拡大している、
ことを特徴とする試料ホルダーである。
本発明の第2の態様は、
セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に際して、
前記ラミネートセルを一対の支持部材により両側から挟んで支持し、前記ラミネートセルと前記各支持部材との間に窓部材を配置し、かつ、前記一対の支持部材が離間しないように前記一対の支持部材を押さえるとともに、前記一対の支持部材にそれぞれX線透過用孔を形成し、前記各X線透過用孔を所定のX線透過率と剛性とを併せ持つ材料で構成された前記窓部材によって塞ぎ、かつ、前記一対の支持部材のうち少なくとも一方の支持部材に形成された前記X線透過用孔の大きさを、前記ラミネートセルから遠ざかるにつれて拡大させることにより、当該支持部材とX線との干渉を回避しつつ、前記ラミネートセルのX線分析を行う
ことを特徴とするX線分析方法である。
本発明によれば、ラミネートセルを対象としたX線分析において、ラミネートセル内でガスが発生した場合でも正極と負極の電気的な接続状態を良好に保持することができる。このため、信頼性の高いX線分析を実現することが可能となる。また本発明によれば、ラミネートセル内で回折したX線と支持部材との干渉を避けることができる。
X線分析装置の構成の一例を示す概略図である。 X線分析の対象試料の一例となるラミネートセルの構成を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る試料ホルダーの構成の一例を示す断面図である。 支持部材22aの構造を示すもので、図中(A)は正面図、(B)は(A)のJ−J断面図である。 支持部材22aの構造を示す斜視図である。 支持部材22bの構造を示すもので、図中(A)は正面図、(B)は(A)のK−K断面図である。 支持部材22bの構造を示す斜視図である。 押さえ手段の押さえ箇所を示す図であり、図中(A)は一方の支持部材における押さえ箇所、(B)は他方の支持部材における押さえ箇所を示している。 第1の押さえ手段の構成例を示す図である。 第2の押さえ手段の構成例を示す図である。 第1変形例を示す概略断面図である。 第2変形例を示す概略断面図である。 第2変形例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、本発明者は、上記課題を解決すべく、ラミネートセルを両側から挟んで支持する一対の支持部材を備える試料ホルダーとこれを用いたX線分析方法に係る発明を、特願2013−260482にて提案している。ただし、この先願発明では、X線回折測定を行う場合に、ラミネートセル内で回折したX線が支持部材に干渉することがあった。そこで、本発明者は、先願発明に改良を加えた。
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.X線分析装置の構成
2.ラミネートセルの構成
3.試料ホルダーの構成
4.X線分析方法
5.実施の形態の効果
6.変形例等
<1.X線分析装置の構成>
図1はX線分析装置の構成の一例を示す概略図である。
まず、X線分析では、実験室系X線装置または放射光施設から発生するX線をX線源1に用いることができる。X線源1によるX線の出射方向には、試料台2と、X線検出器4とが順に配置されている。試料台2は、X線分析の対象となる試料3がセットされる部分である。本実施の形態においては、一例として、後述するラミネートセルを試料3とする。X線検出器4は、試料3に入射し、かつ、試料3で回折したX線の強度を検出するものである。図1においては、試料3に入射するX線を「入射X線」、試料3で回折したX線を「回折X線」と表記している。X線検出器4は、図示しない移動機構により、試料3を中心に図中矢印方向(掃引方向)に移動可能になっている。図中の「2θ」は、X線の回折角を示している。
上記構成からなるX線分析装置においては、試料台2に試料3をセットした後、X線源1からX線を出射すると、このX線が試料3に入射する。このとき、X線検出器4を図中矢印方向に一定の間隔で掃引しながら、試料3を透過して回折したX線をX線検出器4に取り込み、そのX線の強度を測定する。これにより、試料3のX線回折プロファイルを求めることができる。X線回折プロファイルは、縦軸にX線の強度、横軸にX線の回折角(2θ)をとったグラブで表されるものである。
<2.ラミネートセルの構成>
図2はX線分析の対象試料の一例となるラミネートセルの構成を示す概略断面図である。図示したラミネートセル10は、正極11と、負極12と、セパレータ13とを含む電池要素14を備えた構成となっている。正極11は、正面視(平面視)矩形のシート状に形成されている。正極11の片面には正極活物質層15が形成されている。正極活物質層15は、たとえば、ニッケル酸リチウムと、導電助剤と、結着剤とを用いて、塗膜形成されている。負極12は、正面視矩形のシート状に形成されている。負極12の片面には負極活物質層16が形成されている。負極活物質層16は、たとえば、グラファイトと、結着剤とを用いて、塗膜形成されている。セパレータ13は、正面視矩形のシート状に形成されている。電池要素14は、セパレータ13を間に挟んで正極11と負極12を積層した構造になっている。この積層構造においては、正極11の正極活物質層15と負極12の負極活物質層16とが、セパレータ13を介して対向する状態に配置されている。
また、電池要素14は、図示しない電解液とともにラミネートフィルム17によって密封されている。ただし、正極11につながる端子(不図示)と負極12につながる端子(不図示)は、それぞれ充放電のための端子(不図示)を接続するために、ラミネートフィルム17の外側に引き出される。ラミネートフィルム17は、正面視矩形の袋状に形成されている。ラミネートフィルム17の内部には、非水系電解液からなる適量の電解液が注入されている。これにより、ラミネートセル10は、ラミネートシート型のリチウムイオン二次電池を構成している。また、ラミネートセル10は、X線分析を行うにあたって、できるだけ多くのX線を透過するように、正極11、負極12およびセパレータ13をそれぞれ単一のシートで構成した薄板状の構造になっている。
<3.試料ホルダーの構成>
図3本発明の実施の形態に係る試料ホルダーの構成の一例を示す断面図である。
図示した試料ホルダー21は、上述したラミネートセル10を試料としてX線分析を行う際に用いられるものである。ここで記述する「X線分析」とは、ラミネートセル10にX線を入射して分析データを得るin−situX線分析をいう。また、「in−situX線分析」とは、リチウムイオン二次電池を構成するラミネートセル10を分解することなくX線分析を行うことをいう。
試料ホルダー21は、大きくは、一対の支持部材22a,22bと、一対の窓部材23a,23bと、押さえ手段24と、を備えた構成となっている。
(支持部材)
一対の支持部材22a,22bは、X線分析の試料となるラミネートセル10を両側から挟んで支持するものである。一対の支持部材22a,22bは、ラミネートセル10を中心として、X線入射側(図3の右側)とX線透過側(図3の左側)に分かれて配置されている。すなわち、一方の支持部材22aはX線入射側に配置され、他方の支持部材22bはX線透過側に配置されている。X線入射側とは、ラミネートセル10にX線が入射してくる側をいい、X線透過側とは、ラミネートセル10からX線が透過していく側をいう。上記図1の場合でいうと、試料3の位置を基準にして、X線源1が配置される側(図1の左側)がX線入射側となり、それと反対側(図1の右側)がX線透過側となる。
各々の支持部材22a,22bは、互いに同じ材料を用いて形成されている。支持部材22aの一方の主面は、ラミネートセル10を押さえる支持面25aとなっている。同様に、支持部材22bの一方の主面は、ラミネートセル10を押さえる支持面25bとなっている。一対の支持部材22a,22bは、支持面25a,25bどうしを対向するように配置される。このため、一対の支持部材22a,22bの間にラミネートセル10を配置した場合は、一方の支持部材22aの支持面25aがラミネートセル10の一方の主面と対向し、かつ、他方の支持部材22bの支持面25bがラミネートセル10の他方の主面と対向するように配置される。
各々の支持部材22a,22bは、機械的には高い剛性を有し、電気的には絶縁性を有し、光学的には高い光透過性を有する材料によって構成されている。ここで記述する「高い剛性」とは、一対の支持部材22a,22bでラミネートセル10を挟んで支持した場合に、ラミネートセル10内でのガスの発生に伴う圧力に屈して変形しない程度の剛性をいう。また、「高い光透過性」とは、支持部材22a,22bの厚み方向の一方から他方を透かして見たときに、他方側に存在する物を目視で確認できる程度の光透過性をいう。上記の性質を満足する支持部材22a,22bの構成材料としては、たとえばアクリル樹脂を挙げることができる。
図4は支持部材22aの構造を示すもので、図中(A)は正面図、(B)は(A)のJ−J断面図である。また、図5は支持部材22aの構造を示す斜視図である。
図示のように、支持部材22aは、正面視矩形の板状に形成されている。支持部材22aにはX線透過用孔26aが設けられている。X線透過用孔26aは、X線を透過させるX線透過部として支持部材22aに設けられたものである。X線透過用孔26aは、支持部材22aを厚み方向(板厚方向)に貫通する状態で、支持部材22aの中央部に一つ形成されている。X線透過用孔26aは、正面視円形に形成されている。また、X線透過用孔26aは、支持部材22aの厚み方向全体にわたって同一の直径(孔径)φ1で形成されている。
また、支持部材22aには4つの連結用孔27aが設けられている。連結用孔27aは、一対の支持部材22a,22bを互いに連結するために設けられたものである。連結用孔27aは、支持部材22aを厚み方向に貫通する状態で、支持部材22aの四隅に一つずつ設けられている。
図6は支持部材22bの構造を示すもので、図中(A)は正面図、(B)は(A)のK−K断面図である。また、図7は支持部材22bの構造を示す斜視図である。
図示のように、支持部材22bは、たとえば上述した支持部材22aと同じ外形寸法および厚み寸法で、正面視長方形の板状に形成されている。支持部材22bにはX線透過用孔26bが設けられている。X線透過用孔26bは、X線を透過させるX線透過部として支持部材22bに設けられたものである。X線透過用孔26bは、支持部材22bを厚み方向に貫通する状態で、支持部材22bの中央部に一つ形成されている。X線透過用孔26bは、正面視円形に形成されている。
また、X線透過用孔26bは、上述したX線透過用孔26aとは異なり、孔の大きさが徐々に拡大した形状になっている。具体的には、X線透過用孔26bの大きさは、支持部材22bの厚み方向において、支持面25bから遠ざかるにつれて徐々に拡大するように、断面円錐台形状に形成されている。X線透過用孔26bの内面は、支持部材22bの厚み方向全体にわたって一様な傾斜をなすテーパー形状になっている。本実施の形態ではX線透過用孔26bが正面視円形に形成されているため、X線透過用孔26bの大きさを直径で規定することができる。X線透過用孔26bの直径は、支持部材22bの一方の主面である支持面25bの開口縁で最小径φ2になっており、それと反対側の主面の開口縁で最大径φ3になっている。これにより、X線透過用孔26bの大きさは、X線入射側からX線透過側に向かって徐々に拡大している。X線透過用孔26bの最小径φ2は、上述したX線透過用孔26aの直径φ1よりも大きく設定されている。また、X線透過用孔26bの中心軸に対する開き角度は、支持部材22bの厚み寸法と、X線透過用孔26bの最小径φ2および最大径φ3と、によって規定することができる。具体的にX線透過用孔26bの開き角度をどの程度にするかは、X線検出器4で測定しようとするX線の回折角の範囲に応じて適宜設定すればよい。
また、支持部材22bには、上述した支持部材22aと同様に、4つの連結用孔27bが設けられている。4つの連結用孔27bの位置関係は、上述した4つの連結用孔27aの位置関係と同じになっている。連結用孔27bは、一対の支持部材22a,22bを互いに連結するために設けられたものである。連結用孔27bは、支持部材22bを厚み方向に貫通する状態で、支持部材22bの四隅に一つずつ設けられている。
(窓部材)
一対の窓部材23a,23bは、上述した一対の支持部材22a,22bでラミネートセル10を挟んだ場合に、ラミネートセル10に直接、接触するものである。各々の窓部材23a,23bは、互いに同じ材料を用いて、同じ形状および寸法に形成されている。さらに記述すると、窓部材23a,23bは、支持部材22a,22bよりも薄く、かつ、支持部材22a,22bよりも幅寸法(短手寸法)が小さい平面視矩形のシート状に形成されている。窓部材23a,23bは、所定のX線透過率と剛性とを併せ持つ材料で構成されている。窓部材23a,23bの材料としては、後述する理由により、炭素繊維強化プラスチックを用いることが好ましい。
一対の窓部材23a,23bは、それぞれに対応する支持部材22a,22bの支持面25a,25bに貼り付けられている。すなわち、一方の窓部材23aは、X線入射側に配置された支持部材22aの支持面25aに貼り付けられ、他方の窓部材23bは、X線透過側に配置された支持部材22bの支持面25bに貼り付けられている。これにより、支持部材22aのX線透過用孔26aの一端は窓部材23aによって塞がれ、支持部材22bのX線透過用孔26bの一端は窓部材23bによって塞がれている。また、一対の支持部材22a,2bの間にラミネートセル10を配置した場合は、一方の支持部材22aに貼り付けられた窓部材23aがラミネートセル10の一方の主面に対向し、かつ、他方の支持部材22bに貼り付けられた窓部材23bがラミネートセル10の他方の主面に対向するように配置される。
ここで、ラミネートセル10の寸法例とこれに対応する支持部材22a,22bおよび窓部材23a,23bの寸法例について記述する。
ラミネートセル10の寸法は、上記正極および負極につながる端子Tの部分を除いて、たとえば、長手寸法=80mm、短手寸法=60mm、厚み寸法=1mmであるとする。そうした場合、支持部材22a,22bをアクリル板で構成するものとすると、この支持部材22a,22bの各部の寸法は、たとえば、長手寸法=100mm、短手寸法=50mm、厚み寸法=10mmに設定することができる。X線透過用孔26a,26bは、たとえば、2θスキャン(試料であるラミネートセル10に対して垂直にX線を照射し、X線検出器4のみを掃引する手法)で測定を行う場合、X線入射側の支持部材22aには、一様な直径(φ1)=5mmのX線透過用孔26aを設け、X線透過側の支持部材22bには、最小径(φ2)=10mm、最大径(φ3)=45mmのX線透過用孔26bを設けることにより、回折角(2θ)=0〜60度の範囲で測定することが可能となる。また、窓部材23a,23bを炭素繊維強化プラスチックフィルムで構成するものとすると、窓部材23a,23bの各部の寸法は、たとえば、長手寸法=80mm、短手寸法=20mm、厚み寸法=0.2mmに設定することができる。
(押さえ手段)
押さえ手段24は、一対の支持部材22a,22bの間にラミネートセル10を挟んで支持する場合に、一対の支持部材22a,22bが離間しないように一対の支持部材22a,22bを押さえるものである。押さえ手段24は、支持部材22a,22bのX線透過用孔26a,26bを通るX線と干渉しないように、X線透過用孔26a,26bの形成部位以外の箇所で一対の支持部材22a,22bを押さえる。ここでは一例として合計6箇所で一対の支持部材22a,22bを押さえる構成について説明する。
押さえ手段24は、図8(A),(B)に示すように、支持部材22a,22bの四隅(P1,P2,P3,P4)を押さえる第1の押さえ手段と、この第1の押さえ手段よりもX線透過用孔26a,26bに近い箇所(P5,P6)を押さえる第2の押さえ手段とによって構成されている。
第1の押さえ手段は、支持部材22a,22bの四隅P1,P2,P3,P4でそれぞれ一対の支持部材22a,22bを結合することにより、一対の支持部材22a,22bを押さえる。第1の押さえ手段は、たとえば図9に示すように、支持部材22a,22bに形成された連結用孔27a,27bに挿入されるネジ30と、このネジ30に螺合するナット31とを用いて構成することができる。この構成においては、ネジ30に螺合するナット31を締め付けることにより、一対の支持部材22a,22bを互いに結合(連結)するように押さえることができる。
第2の押さえ手段は、支持部材22a,22bのX線透過用孔26a,26bの近傍の2箇所P5,P6でそれぞれ一対の支持部材22a,22bを互いに接近する方向に加圧することにより、一対の支持部材22a,22bを押さえる。第2の押さえ手段は、たとえば図10に示すように、一対の加圧子32a,32bを有する締め付け具を用いて構成することができる。X線透過用孔26a,26bの近傍の2箇所P5,P6は、X線透過用孔26a,26bを中心として、支持部材22a,22bの一方と他方に均等な距離を隔てた位置に設定されている。締め付け具は、たとえば、金属によって構成されるものである。一対の加圧子32a,32bは、たとえば締め付け具が備えるネジ式の操作棒を回転操作することにより、互いに接近又は離間する方向に移動可能になっている。この構成においては、締め付け具の操作棒を適宜回転操作して、一対の加圧子32a,32bをそれぞれに対応する支持部材22a,22bの外側の面に接触させ、その状態でさらに操作棒を回転させるように締め付けることにより、一対の加圧子32a,32bによって一対の支持部材22a,22bを加圧するように押さえることができる。
<4.X線分析方法>
次に、本発明の実施の形態に係る試料ホルダーを用いたX線分析方法について説明する。本実施の形態においては、X線分析方法の一例として、あらかじめ決められた測定条件でラミネートセル10の充放電を繰り返し行うとともに、この充放電を行ったまま、ラミネートセル10で回折するX線(回折X線)の強度を測定することにより、ラミネートセル10のX線回折プロファイルに関する分析データを得る方法について説明する。
まず、試料ホルダー21にラミネートセル10をセットする。このとき、一対の窓部材23a,23bをそれぞれに対応するラミネートセル10の主面に接触させるようにして、一対の支持部材22a,22bの間にラミネートセル10を挟む。また、X線入射側に支持部材22aを、X線透過側に支持部材22bを配置する。また、一対の窓部材23a,23bの相対向する面が、それぞれに対応するラミネートセル10の主面の主要部を覆うように、ラミネートセル10と窓部材23a,23bの位置を合わせる。このとき、光透過性を有する材料(典型的には透明な材料)で支持部材22a,22bを構成しておけば、一対の支持部材22a,22bの間にラミネートセル10を挟んだ状態でも、支持部材22a,22bの外側からラミネートセル10と窓部材23a,23bの位置関係を把握することができる。
次に、第1の押さえ手段で一対の支持部材22a,22bを押さえる。具体的には、各々の支持部材22a,22bの四隅P1,P2,P3,P4に、それぞれネジ30とナット31を装着する(図9を参照)。このとき、各々の支持部材22a,22bの四隅にそれぞれにネジ30とナット31を取り付けて仮締めしてから、4つのナット31を徐々に締め付けて本締めする。これにより、一対の支持部材22a,22bの四隅を均等な力で締め付けることができる。また、各々の支持部材22a,22bの支持面25a,25bに貼り付けられた窓部材23a,23bでラミネートセル10全体を挟み込むことができる。なお、ナット31による締め付け力は、少なくとも、一対の支持部材22a,22bの間に挟んだラミネートセル10が落下しない程度の大きさで、かつ、支持部材22a,22bが歪まない程度の大きさとする。
次に、第2の押さえ手段で一対の支持部材22a,22bを押さえる。具体的には、各々の支持部材22a,22bの2箇所P5,P6に、それぞれ一対の加圧子32a,32bを接触させ、その状態で締め付け具の操作棒を回転させて締め付けることにより、一対の加圧子32a,32bで一対の支持部材22a,22bを両側から挟み込む(図10を参照)。その際、支持部材22a,22bのX線透過用孔26a,26bから均等な距離を隔てた位置に加圧子32a,32bを接触させて、一対の支持部材22a,22bを押さえるようにする。また、各々の箇所P5,P6では、それぞれに対応する一対の加圧子32a,32bにより、均等な力で一対の支持部材22a,22bを締め付けるようにする。このとき、支持部材22a,22bの外側の面に、加圧子32a,32bで押さえるべき箇所P5,P6を示す目印を付しておき、この目印の位置に合わせて加圧子32a,32bを接触させる構成としてもよい。
このように試料ホルダー21にラミネートセル10をセットしたら、これをX線分析装置の試料台2に載せてin−situX線分析を行う。このとき、ラミネートセル10の外側に引き出されている端子Tに、充放電のための端子を接続する。そして、あらかじめ決められた条件でラミネートセル10の充放電を繰り返す。また、ラミネートセル10の厚み方向の一方からX線を入射して所望の分析データを得る。その際、X線源1から出射されたX線は、X線入射側に配置された支持部材22aのX線透過用孔26aを通過した後、窓部材23aを通してラミネートセル10に入射する。また、ラミネートセル10を通過したX線は、X線透過側に配置された支持部材22bのX線透過用孔26bに窓部材23bを通して進入する。本実施の形態では、X線透過用孔16bの大きさがラミネートセル10から遠ざかるにしたがって拡大している。このため、ラミネートセル10で回折したX線と支持部材22bとの干渉を回避しつつ、そのX線をX線検出器4に取り込むことができる。X線検出器4は、上記図1に示す矢印方向(掃引方向)に一定間隔で掃引しながら、各々の回折角(2θ)に対応する位置で回折X線を取り込み、そのX線の強度を検出する。これにより、ラミネートセル10のX線回折プロファイルを示す分析データ(測定データ)を得ることができる。
このようなX線回折測定に基づく分析データによれば、たとえば、リチウムイオン二次電池の充放電にともなう正極活物質の結晶構造の変化(結晶の面間隔の変化など)を、六方晶(003)ピークの低角側へのシフト等により把握し、これに基づいて電池材料の評価を行うことが可能となる。ちなみに、リチウムイオン二次電池を構成するラミネートセル10を対象にX線回折測定を行うと、これによって得られるX線回折プロファイルでは2θ=60度以内の範囲に主たるピークが現れる。このため、電池材料の評価を適切に行うには、X線回折測定によって2θ=60度までの分析データが得られれば十分であると思われる。
<5.実施の形態の効果>
本発明の実施の形態によれば、次のような効果が得られる。
最初に、本発明の実施の形態に係る試料ホルダー21を用いてラミネートセル10を支持した場合と、試料ホルダー21を用いずに単にラミネートセル10を立てて支持した場合で、充放電の繰り返しによるX線分析の分析データにどのような違いが生じるかという観点から効果を述べる。
まず、単にラミネートセル10を立てて支持した場合は、たとえば通常の電圧(たとえば、4.2V)よりも高い電圧(たとえば、4.8V)で充放電を繰り返したときに、ラミネートセル10内に発生するガスによって電池内の圧力が上昇し、ラミネートセル10が膨らむ可能性がある。このとき、セパレータ13を間に挟んで近接する正極11と負極12がガスの発生にともなって分離し、それらの電気的な接続状態が悪化すると、ラミネートセル10の充放電が適切に行われなくなる。その結果、ラミネートセル10のX線分析によって得られる分析データが、ラミネートセル10の充放電の状態を正しく反映したものとならず、信頼性の高いX線分析を行うことができなくなる。さらに、上記ガスの発生によってラミネートセル10が膨らんだ場合は、当該セル内の電極等を含めてセル自体の位置が動いてしまって偏心誤差が生じ、回折角が本来の値からずれてしまう。
これに対して、ラミネートセル10を試料ホルダー21で支持した場合は、充放電の繰り返しによってラミネートセル10内にガスが発生しても、ラミネートセル10の両面を一対の支持部材22a,22bによって押さえているため、ラミネートセル10の膨らみが抑制される。したがって、正極11と負極12の相対的な位置関係がほとんど変化せず、両者の電気的な接続状態が良好に保たれる。これにより、測定中にラミネートセル10内にガスが発生するような条件であっても、ラミネートセル10の充放電を適切に行うことができる。したがって、ラミネートセル10のX線分析によって得られる分析データが、ラミネートセル10の充放電の状態を正しく反映したものとなる。その結果、ガス発生後においても、その影響をほとんど受けることなく、信頼性の高いX線分析を行うことが可能となる。また、試料ホルダー21は、低コストで、かつ、簡便に作製することができるため、工業的価値が非常に高いという利点も得られる。
また、本発明の実施の形態においては、一方(X線透過側)の支持部材22bに形成されたX線透過用孔26bの大きさを、支持面25b側から遠ざかるにつれて拡大させている。このため、X線回折測定を行う場合に、ラミネートセル10内で回折したX線と支持部材22bとの干渉を避けることができる。これにより、ラミネートセル10内で回折したX線の強度を極力低下させることなく、そのX線をX線検出器4に取り込むことができる。したがって、X線回折測定に際して精度の高い分析データが得られる。
また、本発明の実施の形態においては、試料ホルダー21の構成上、一対の支持部材22a,22bで直接ラミネートセル10を挟むのではなく、各々の支持部材22a,22bの支持面25a,25bに貼り付けた窓部材23a,23bで直接ラミネートセル10を挟むようにしている。このため、支持部材22a,22bのX線透過用孔26a,26bを塞ぐ窓部材23a,23bがラミネートセル10の主面に接触し、この窓部材23a,23bを介してラミネートセル10が挟み込まれる。したがって、窓部材23a,23bを設けない場合は、ラミネートセル10内で発生したガスがX線透過用孔26の部分に溜まり、ラミネートセル10が局所的に膨れるおそれがあるのに対して、窓部材23a,23bを設けた場合は、そのようなおそれがなくなる。このため、ラミネートセル10の局所的な膨らみにともなう充放電の異常を防止することができる。
また、窓部材23a,23bでラミネートセル10の局所的な膨れを抑制するうえでは、窓部材23a,23bの剛性を高めるために、たとえば、窓部材23a,23bを金属で構成する、あるいは窓部材23a,23bの厚み寸法を大きくする、などの手法が考えられる。しかし、X線分析を行う場合は、窓部材23a,23bにX線を透過させる必要があるため、前述のような手法を採用すると、窓部材23a,23bのX線透過率が著しく低下してしまう。その結果、X線分析そのものが不可能になるおそれがある。そのため、窓部材23a,23bの構成材料としては、X線の透過率が高く、かつ、高い剛性を持つものでなければならない。そのような性質を有する窓部材23a,23bの構成材料としては、上述した炭素繊維強化プラスチックが挙げられる。炭素繊維強化プラスチックは、X線の窓材の一種であるカプトンフィルムと比べた場合、同じ厚みでも高い剛性を有しており、かつ、同等のX線透過率を有する。また、炭素繊維強化プラスチックは、金属ベリリウムのような取り扱い上の難点もない。
窓部材23a,23bの厚み寸法に関しては、X線分析に用いるX線のエネルギーによって適切な寸法が変わってくる。たとえば、一般的なX線分析に用いられる8000eV付近のエネルギーを持つX線を使用し、かつ、窓部材23a,23bを炭素繊維強化プラスチックで構成する場合は、窓部材23a,23bの厚み寸法が0.2mmであることが望ましい。ちなみに、8000eV付近のエネルギーを持つX線を、厚さ0.2mmの炭素繊維強化プラスチック製の窓部材23a,23bに入射したときのX線透過率は80%以上となる。このため、X線透過用孔26a,26bを塞ぐように支持部材22a,22bの支持面25a,25bに窓部材23a,23bを貼り付けた構成にしても、ラミネートセル10のX線分析を行うことが可能である。また、炭素繊維強化プラスチック製の窓部材23a,23bは十分な剛性を有しているため、高電圧での充放電によってガスが発生してもラミネートセル10の膨らみを抑制し、信頼性の高いX線分析を行うことが可能である。
また、本発明の実施の形態においては、支持部材22a,22bの四隅を押さえる第1の押さえ手段(30,31)と、支持部材22a,22bのX線透過用孔26a,26bの近傍を押さえる第2の押さえ手段(32a,32b)とによって、押さえ手段24を構成している。このため、次のような効果が得られる。
すなわち、第1の押さえ手段だけで一対の支持部材22a,22bを押さえた場合は、支持部材22a,22bの四隅P1〜P4から離れた支持部材22a,22bの中央部(X線透過用孔26a,26bが形成されている部分)に十分な押さえ力が作用せず、そこで押さえ力の不足が生じるおそれがある。特に、X線透過用孔26a,26bが形成された部分では、窓部材23a,23bが支持部材22a,22bによって裏打ちされないため、押さえ力の不足が起こりやすくなる。一方、第2の押さえ手段だけで一対の支持部材22a,22bを押さえた場合は、X線透過用孔26a,26bから離れた支持部材22a,22bの四隅に十分な押さえ力が作用せず、そこで押さえ力の不足が生じるおそれがある。
これに対して、第1の押さえ手段と第2の押さえ手段の両方で一対の支持部材22a,22bを同時に押さえた場合は、上述した押さえ力の不足が相互に補われる。このため、一対の支持部材22a,22bを介してラミネートセル10全体をバランス良く押さえることができる。また、支持部材22a,22bを厚くしてその剛性を必要以上に高くしなくても済む。また、第2の押さえ手段による押さえ箇所を、X線透過用孔26a,26bの形成部位から均等な距離を隔てた2箇所P5,P6に設定すれば、X線透過用孔26a,26bの近傍を均一な力でバランス良く押さえることができる。
また、一対の支持部材22a,22bをそれぞれ絶縁性の材料によって構成しておけば、たとえば、充放電のための端子をラミネートセル10に接続する作業中に、万一、この端子が支持部材22a,22bに接触してもショートするおそれがない。このため、作業の安全性を確保することができる。
<6.変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記実施の形態においては、好ましい態様として、押さえ手段24を、第1の押さえ手段(30,31)と第2の押さえ手段(32a,32b)とによって構成したが、これに限らず、第1の押さえ手段又は第2の押さえ手段だけで押さえ手段24を構成してもかまわない。また、第2の押さえ手段による押さえ箇所を2箇所としたが、これに限らず、3箇所以上であってもよい。また、押さえ手段24で一対の支持部材22a,22bを押さえる場合の押さえ力は、ラミネートセル10内にガスが発生した場合でも、一対の支持部材22a,22bの離間を制限し、ラミネートセル10の膨らみを抑制し得る大きさであればよい。
また、上記実施の形態においては、好ましい態様として、一対の支持部材22a,22bの支持面25a,25bにそれぞれ窓部材23a,23bを貼り付け、この窓部材23a,23bを介してラミネートセル10を両側から挟み込む構成としたが、本発明はこれに限らず、一対の支持部材22a,22bの支持面25a,25bで直接、ラミネートセル10を挟み込む構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、X線透過側の支持部材22bに形成されたX線透過用孔26bの大きさを、支持面25bから遠ざかるにつれて拡大させたが、本発明はこれに限らず、図11に示すように、X線入射側の支持部材22aも同様に、X線透過用孔26aの大きさを、支持面25aから遠ざかるにつれて拡大させてもよい。その場合は、X線透過用孔26aとX線透過用孔26bを互いに同一の寸法および形状に設定してもよいし、互いに異なる寸法および形状に設定してもよい。
上記図11に示す構成を採用した場合は、先述した実施の形態(図3)に比べて、X線入射側でX線の入射角度を振ることができるため、より広角にX線回折測定を行うことができる。また、同じ回折角の範囲(たとえば、2θ=60度まで)であれば、X線透過用孔26a,26bの開き角度を相対的に小さくすることができる。
また、各々の支持部材22a,22bの形態としては、たとえば図12および図13に示すように、各々の支持部材22a,22bに取付片28a,28bを一体に設けることにより、各々の支持部材22a,22bをL字形のプレート構造にしてもよい。取付片28a,28bは、上述した試料台2(図1参照)の上に支持部材22a,22bを用いてラミネートセル10をセットするときに、試料台2に据え付けてネジ止め等により固定される部分となる。
また、上記実施の形態においては、支持部材22bのX線透過用孔26bを正面視円形に形成したが、X線検出器4で測定すべき回折角の範囲内で回折X線との干渉を回避し得る形状であれば、どのような形状でX線透過用孔26bを形成してもかまわない。
10…ラミネートセル
21…試料ホルダー
22a,22b…支持部材
23a,23b…窓部材
24…押さえ手段
25a,25b…支持面
26a,26b…X線透過用孔

Claims (4)

  1. セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料ホルダーであって、
    前記ラミネートセルを両側から挟んで支持する一対の支持部材と、
    前記ラミネートセルと前記各支持部材との間に窓部材と、
    前記一対の支持部材が離間しないように前記一対の支持部材を押さえる押さえ手段とを備え、
    前記一対の支持部材の各々は、前記ラミネートセルの主面と対向するように配置される支持面と、前記X線を透過させるX線透過用孔とを有し、
    前記各X線透過用孔は、所定のX線透過率と剛性とを併せ持つ材料で構成された前記各窓部材で塞がれており、
    前記一対の支持部材のうち少なくとも一方の支持部材に形成されたX線透過用孔の大きさが、前記支持面から遠ざかるにつれて拡大している、
    ことを特徴とする試料ホルダー。
  2. 前記少なくとも一方の支持部材に形成されたX線透過用孔は、断面円錐台形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の試料ホルダー。
  3. 前記少なくとも一方の支持部材に形成されたX線透過用孔の内面は、当該支持部材の厚み方向全体にわたって一様な傾斜をなすテーパー形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の試料ホルダー。
  4. セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に際して、
    前記ラミネートセルを一対の支持部材により両側から挟んで支持し、前記ラミネートセルと前記各支持部材との間に窓部材を配置し、かつ、前記一対の支持部材が離間しないように前記一対の支持部材を押さえるとともに、前記一対の支持部材にそれぞれX線透過用孔を形成し、前記各X線透過用孔を所定のX線透過率と剛性とを併せ持つ材料で構成された前記窓部材によって塞ぎ、かつ、前記一対の支持部材のうち少なくとも一方の支持部材に形成された前記X線透過用孔の大きさを、前記ラミネートセルから遠ざかるにつれて拡大させることにより、当該支持部材とX線との干渉を回避しつつ、前記ラミネートセルのX線分析を行う
    ことを特徴とするX線分析方法。
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