JP6221723B2 - X線分析装置及びx線分析方法 - Google Patents
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セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料ホルダーであって、
前記ラミネートセルを両側から挟んで支持する一対の支持部材と、
前記一対の支持部材が離間しないように前記一対の支持部材を押さえる押さえ手段とを備え、
前記一対の支持部材の各々は、前記ラミネートセルの主面全体と対向するように配置される支持面と、前記X線を透過させるX線透過部とを有する
ことを特徴とする試料ホルダーである。
前記X線を透過する性質を有するとともに、前記支持部材の前記支持面に貼り付けられたシート状の窓部材を有し、
前記一対の支持部材は、それぞれ前記窓部材を介して前記ラミネートセルを挟み込むように構成され、
前記X線透過部は、前記支持部材に形成された貫通穴によって構成されている
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の試料ホルダーである。
前記一対の支持部材は、正面視矩形の板状に形成され、
前記押さえ手段は、前記支持部材の四隅を押さえる第1の押さえ手段と、前記第1の押さえ手段よりも前記貫通穴に近い箇所を押さえる第2の押さえ手段とによって構成されている
ことを特徴とする上記第2の態様に記載の試料ホルダーである。
前記窓部材は、炭素繊維強化プラスチックによって構成されている
ことを特徴とする上記第1〜第3の態様のいずれか一つに記載の試料ホルダーである。
前記一対の支持部材は、それぞれ絶縁性の材料によって構成されている
ことを特徴とする上記第1〜第4の態様のいずれか一つに記載の試料ホルダーである。
前記一対の支持部材は、それぞれ光透過性を有する材料によって構成されている
ことを特徴とする上記第1〜第5の態様のいずれか一つに記載の試料ホルダーである。
セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともにラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に際して、
前記ラミネートセルを一対の支持部材により両側から挟んで支持し、かつ、前記一対の支持部材が離間しないように前記一対の支持部材を押さえた状態で、前記ラミネートセルのX線分析を行う
ことを特徴とするX線分析方法である。
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.X線分析装置の構成
2.ラミネートセルの構成
3.試料ホルダーの構成
4.X線分析方法
5.実施の形態の効果
6.変形例等
図1はX線分析装置の構成の一例を示す概略図である。
図1において、モノクロメータ1は、X線分析に用いるX線を単色化するものである。X線分析では、実験室系X線装置または放射光施設から発生するX線を用いることができる。モノクロメータ1で単色化されたX線の出射方向には、入射X線検出器2と、試料台3と、透過X線検出器4とが順に配置されている。試料台3は、X線分析の対象となる試料5がセットされる部分である。本実施の形態においては、後述するラミネートセルを試料5とする。入射X線検出器2は、試料5に入射するX線の強度を検出するものである。透過X線検出器4は、試料5を透過したX線の強度を検出するものである。
図2はX線分析の対象となる試料の一例となるラミネートセルの構成を示す概略断面図である。図示したラミネートセル10は、正極11と、負極12と、セパレータ13とを含む電池要素14を備えた構成となっている。正極11は、正面視(平面視)矩形のシート状に形成されている。正極11の片面には正極活物質層15が形成されている。正極活物質層15は、たとえば、ニッケル酸リチウムと、導電助剤と、結着剤とを用いて、塗膜形成されている。負極12は、正面視矩形のシート状に形成されている。負極12の片面には負極活物質層16が形成されている。負極活物質層16は、たとえば、グラファイトと、結着剤とを用いて、塗膜形成されている。セパレータ13は、正面視矩形のシート状に形成されている。電池要素14は、セパレータ13を間に挟んで正極11と負極12を積層した構造になっている。この積層構造においては、正極11の正極活物質層15と負極12の負極活物質層16とが、セパレータ13を介して対向する状態に配置されている。
図3は本発明の実施の形態に係る試料ホルダーの構成の一例を示す概略図である。
図示した試料ホルダー21は、上述したラミネートセル10を試料としてX線分析を行う際に用いられるものである。ここで記述する「X線分析」とは、ラミネートセル10にX線を入射して分析データを得るin−situX線分析をいう。また、「in−situX線分析」とは、リチウムイオン二次電池を構成するラミネートセル10を分解することなくX線分析を行うことをいう。
一対の支持部材22は、X線分析の試料となるラミネートセル10を両側から挟んで支持するものである。各々の支持部材22は、互いに同じ材料を用いて、同じ形状および寸法に形成されている。具体的に記述すると、支持部材22は、ラミネートセル10よりも一回り大きい正面視矩形の板状に形成されている。支持部材22の一方の主面は、ラミネートセル10を押さえる支持面25となっている。一対の支持部材22は、支持面25どうしを対向するように配置される。このため、一対の支持部材22の間にラミネートセル10を配置した場合は、一方の支持部材22の支持面25がラミネートセル10の一方の主面全体と対向し、かつ、他方の支持部材22の支持面25がラミネートセル10の他方の主面全体と対向するように配置される。
一対の窓部材23は、上述した一対の支持部材22でラミネートセル10を挟んだ場合に、ラミネートセル10に直接、接触するものである。各々の窓部材23は、互いに同じ材料を用いて、同じ形状および寸法に形成されている。さらに記述すると、窓部材23は、支持部材22よりも薄く、かつ、支持部材22よりも一回り小さい平面視矩形のシート状に形成されている。窓部材23は、所定のX線透過率と剛性とを併せ持つ材料で構成されている。窓部材23の材料としては、後述する理由により、炭素繊維強化プラスチックを用いることが好ましい。
ラミネートセル10の寸法は、たとえば、長手寸法=80mm、短手寸法=60mm、厚み寸法=1mmであるとする。そうした場合、支持部材22をアクリル板で構成するものとすると、この支持部材22の各部の寸法は、たとえば、長手寸法=100mm、短手寸法=40mm、厚み寸法=10mm、貫通穴26の直径=5mmに設定することができる。また、窓部材23を炭素繊維強化プラスチックフィルムで構成するものとすると、この窓部材23の各部の寸法は、たとえば、長手寸法=80mm、短手寸法=20mm、厚み寸法=0.2mmに設定することができる。
押さえ手段24は、一対の支持部材22の間にラミネートセル10を挟んで支持する場合に、一対の支持部材22が離間しないように一対の支持部材22を押さえるものである。押さえ手段24は、支持部材22の貫通穴26を通過するX線と干渉しないように、貫通穴26の形成部位以外の箇所で一対の支持部材22を押さえる。ここでは一例として合計6箇所で一対の支持部材22を押さえる構成について説明する。
次に、本発明の実施の形態に係る試料ホルダーを用いたX線分析方法について説明する。本実施の形態においては、X線分析方法の一例として、あらかじめ決められた測定条件でラミネートセル10の充放電を繰り返し行うとともに、この充放電を行ったまま、ラミネートセル10の厚み方向の一方から他方にX線を透過させて、ラミネートセル10のX線吸光度に関する分析データを得る方法について説明する。
本発明の実施の形態によれば、次のような効果が得られる。
最初に、本発明の実施の形態に係る試料ホルダー21を用いてラミネートセル10を支持した場合と、試料ホルダー21を用いずに単にラミネートセル10を立てて支持した場合で、充放電の繰り返しによるX線分析の分析データにどのような違いが生じるかという観点から効果を述べる。
すなわち、第1の押さえ手段だけで一対の支持部材22を押さえた場合は、支持部材22の四隅P1〜P4から離れた支持部材22の中央部(貫通穴26が形成されている部分)に十分な押さえ力が作用せず、そこで押さえ力の不足が生じるおそれがある。特に、貫通穴26が形成された部分では、窓部材23が支持部材22によって裏打ちされないため、押さえ力の不足が起こりやすくなる。一方、第2の押さえ手段だけで一対の支持部材22を押さえた場合は、貫通穴26から離れた支持部材22の四隅に十分な押さえ力が作用せず、そこで押さえ力の不足が生じるおそれがある。
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
21…試料ホルダー
22…支持部材
23…窓部材
24…押さえ手段
25…支持面
26…貫通穴
Claims (7)
- セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともに袋状のラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルからなる試料と、
前記試料となるラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に用いられる試料ホルダーと、を備えるX線分析装置であって、
前記試料ホルダーは、
前記ラミネートセルを両側から挟んで支持する一対の支持部材と、
前記一対の支持部材が離間しないように前記一対の支持部材を押さえる押さえ手段とを備え、
前記一対の支持部材の各々は、前記ラミネートセルの主面全体と対向するように配置される支持面と、前記支持面の一部に形成されて前記X線を透過させるX線透過部とを有し、
前記押さえ手段は、前記ラミネートセルの充放電による膨らみを抑制すべく前記一対の支持部材を押さえるものである
ことを特徴とするX線分析装置。 - 前記X線を透過する性質を有するとともに、前記支持部材の前記支持面に貼り付けられたシート状の窓部材を有し、
前記一対の支持部材は、それぞれ前記窓部材を介して前記ラミネートセルを挟み込むように構成され、
前記X線透過部は、前記支持部材に形成された貫通穴によって構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。 - 前記一対の支持部材は、正面視矩形の板状に形成され、
前記押さえ手段は、前記支持部材の四隅を押さえる第1の押さえ手段と、前記第1の押さえ手段よりも前記貫通穴に近い箇所を押さえる第2の押さえ手段とによって構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のX線分析装置。 - 前記窓部材は、炭素繊維強化プラスチックによって構成されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のX線分析装置。 - 前記一対の支持部材は、それぞれ絶縁性の材料によって構成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線分析装置。 - 前記一対の支持部材は、それぞれアクリル樹脂によって構成されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のX線分析装置。 - セパレータを間に挟んで正極と負極を積層してなる電池要素を、電解液とともに袋状のラミネートフィルムにより密封した薄板状のラミネートセルを試料とし、前記ラミネートセルにX線を照射して分析データを得るin−situX線分析に際して、
前記ラミネートセルの主面全体と対向するように配置される支持面と、前記支持面の一部に形成されて前記X線を透過させるX線透過部とをそれぞれ有する一対の支持部材により前記ラミネートセルを両側から挟んで支持し、かつ、前記一対の支持部材が離間しないように前記一対の支持部材を押さえることにより、前記ラミネートセルの充放電による膨らみを抑制した状態で、前記ラミネートセルのX線分析を行う
ことを特徴とするX線分析方法。
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