JP2004020196A - 伝播線を用いた解析方法及びその装置 - Google Patents

伝播線を用いた解析方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スリット関数を用いた解析方法において、そのスリット関数を光学系に則して正確に求めることにより、試料に関する解析を正確に行うことができるようにする。
【解決手段】X線源と試料との間に入射側スリットを設け、試料とX線検出器との間に出射側スリットを設け、入射側スリットを通して試料にX線を照射したときに試料から再発生するX線を出射側スリットを通してX線検出器によって検出し、その検出値から測定値を演算によって求める解析方法である。この解析方法では、入射側スリット及び出射側スリットが検出値に与える影響を表示する関数であるスリット関数を用いて測定値から真値を演算する。スリット関数は、試料から再発散するX線の強度分布に基づいて決められる。
【選択図】    図25

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線、粒子線等といった伝播線を試料に照射して該試料を解析する解析方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線等といった伝播線を試料に照射して該試料を解析する解析方法は、例えば、特開2001−349849号公報に開示されている。この文献に開示された解析方法では、薄膜の内部に含まれる粒子状物の密度の不均一性を評価するために、シミュレートによって求められたX線散乱曲線と実測によって求められたX線散乱曲線とを比較する。
【0003】
X線散乱曲線をシミュレートする際には、予め、散乱関数I(q)が設定される。この散乱関数I(q)の中には、平均粒径パラメータ“R”、分布広がりパラメータ“M”、直径パラメータ“D”、アスペクト比パラメータ“a”、粒子間最近接距離パラメータ“L”、粒子間相関係数パラメータ“η”、粒子状物の含有率パラメータ“P”、粒子状物の相関距離パラメータ“ξ”等といった、粒子状物の分散状態に関するパラメータがフィッティングパラメータとして1つ又は複数、含まれる。
【0004】
シミュレートによって求められたX線散乱曲線と実測によって求められたX線散乱曲線とを比較したとき、それらの曲線が一致すれば、シミュレートによって求められたX線散乱曲線に含まれるフィッティングパラメータの数値が上記の粒子状物の薄膜内における分布状態を表示するものと判定できる。
【0005】
この解析方法によれば、それ以前に知られていたガス吸着法やX線小角散乱法等を用いた解析方法に比べて、非破壊で短時間に簡単に高精度の解析を行うことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開2001−349849号公報によれば、例えばその[0086]段落に、スリットが有限の長さを持つことに起因する測定誤差を補正するために、実測された散乱関数をスリット関数を用いて補正することが有効であると記載されている。しかしながら、特開2001−349849号公報に開示されたスリット関数は非常に簡単なものであり、実際に使用する光学系に則したスリット補正が正確に行われないかもしれないということが考えられる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、スリット関数を光学系に則して正確に求めることにより、試料に関する解析をより一層正確に行うことができる解析方法及び解析装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記の目的を達成するため、本発明に係る解析方法は、伝播線源と試料との間に入射側スリットを設け、前記試料と検出手段との間に出射側スリットを設け、前記入射側スリットを通して前記試料に伝播線を照射したときに該試料から再発生する伝播線を前記出射側スリットを通して検出手段によって検出し、その検出値から測定値を演算によって求め、前記入射側スリット及び前記出射側スリットが前記の検出値に与える影響を表示する関数であるスリット関数を用いて前記測定値から真値を演算する解析方法において、前記スリット関数は、前記試料から再発散する前記伝播線の強度分布に基づいて決められることを特徴とする。
【0009】
上記のスリット関数は、入射側スリット及び出射側スリットの大きさや、配置位置等がX線等といった伝播線の強度や、分解能等に与える影響を表示する関数である。
【0010】
上記構成の解析方法によれば、試料から再発散する伝播線、例えばX線、の強度分布に基づいてスリット関数を決めるようにしたので、実際に光学系に用いられるスリットに則してスリット関数が決められ、それ故、試料に関する解析を正確に行うことができる。
【0011】
(2) 上記構成の解析方法において、前記伝播線は空間中を伝播することができる物質のことであり、例えば、X線又は粒子線とすることができる。また、粒子線は、例えば、中性子線又は電子線とすることができる。
【0012】
(3) 上記構成の解析方法において、前記スリット関数は、前記試料の長さ方向における前記伝播線が照射される位置を変数として決めることが望ましい。こうすれば、スリット関数が実際の光学系に則して、より一層正確に決められ、それ故、試料に関する解析をより一層正確に行うことができる。
【0013】
(4) 上記構成の解析方法において、前記スリット関数は、前記試料から前記入射スリットを通して前記伝播線源を見込む角度及び前記試料から前記出射側スリットを通して前記検出手段を見込む角度が、試料の長さ方向の位置に応じて変化することに基づいて決めることが望ましい。こうすれば、スリット関数が実際の光学系に則して、より一層正確に決められ、それ故、試料に関する解析をより一層正確に行うことができる。
【0014】
(5) 上記構成の解析方法において、前記スリット関数は、前記試料に対する入射側における前記伝播線の強度分布と、前記試料に対する受光側における前記伝播線の強度分布とのコンボリューションによって決めることが望ましい。こうすれば、スリット関数が実際の光学系に則して、より一層正確に決められ、それ故、試料に関する解析をより一層正確に行うことができる。
【0015】
(6) 以上の構成において、スリット関数とは、光学系に用いられるスリットの大きさやその配置位置がX線強度や分解能に与える影響を関数として示したものである。以下、このスリット関数の求め方について説明する。
【0016】
(i)一般にX線散乱プロファイルは散乱角2θに依存する。そして、同じ散乱角2θを持つ領域は図4に示すように試料Sから円錐状に広がって進行する。この円錐の底辺に相当する部分のリングDは、通常、デバイ(Debye)環と呼ばれている。このデバイ環Dを縦方向、すなわち散乱面に直交する方向、に有限な高さを持つ長方形状のスリットを用いて測定した場合には、図5に示すようなアンブレラ効果が観測される。
【0017】
このアンブレラ効果というのは、デバイ環Dが円錐状に広がって進行することに起因して測定結果に変動が生じることである。具体的には、アンブレラ効果の結果、X線散乱プロファイルは、散乱角2θが90°以下であれば低角度側に広がり、散乱角2θが90°以上であれば高角度側に広がる。
【0018】
例えば、試料に含まれる粒子の粒径を解析する場合においては、小角領域、例えばCuKα線で散乱角が0°〜8°程度の散乱プロファイルを用いるため、X線散乱プロファイルが低角度側に広がるアンブレラ効果が観測される。本発明に関わるスリット補正はこのアンブレラ効果を補正するために行われるものである。
【0019】
(ii)まず、入射X線が点光源であって、入射側に点収束ミラーやピンホールスリットを用いることにより、発散角度の小さいX線が試料に照射される場合に観測されるアンブレラ効果について説明する。図5に示すように、デバイ環Dは散乱角2θが小さい程(すなわち、図5の右側に描かれたもの程)その曲率が大きいため、アンブレラ効果の影響が大きい。特に、散乱体、例えば粒子や空孔が大きい場合、散乱プロファイルは2θの低角度側で特徴付けられるため、このスリット補正が重要である。
【0020】
さて、上記のアンブレラ効果を補正するために、2θ回転軸方向、すなわち散乱面内方向の散乱ベクトルとそれに直交する方向、すなわち縦発散方向の散乱ベクトルに分けて計算を行う。ここで、2θ回転軸方向、すなわち散乱面内方向の散乱ベクトルをq 、それに直交する方向、すなわち縦発散方向の散乱ベクトルをq と定義する。このときに観測される散乱ベクトルの大きさは次式で与えられる。
【0021】
q=√(q +q )………(1)
なお、散乱ベクトルqの一般式は次式で表される。
q=(4π/λ)sin(2θ/2)………(2)
但し、2θ:散乱角、
λ:X線の波長
である。
【0022】
(iii)また、縦発散方向の強度分布がW(q )で与えられると、真の散乱強度Itrue(√(q +q ))に対して、スリット補正を行った後の散乱強度Iobs(q )は次式で表される。
Figure 2004020196
ここで、“∫−∞ ”は、−∞から∞までの積分を表している。
【0023】
上記(3)式によれば、縦発散方向の強度分布、すなわちスリット関数W(q )が与えられ、さらに、実際に測定された散乱強度Iobs(q)が得られれば、真の散乱強度Itrue(√(q +q ))が求められる。このとき、スリット関数W(q )が比較的簡単な関数として与えられるならば、上記(3)式に従った演算により真の散乱強度Itrue(√(q +q ))を求めることができる。
【0024】
また、スリット関数W(q )が複雑になって単純な演算による真の散乱強度Itrue(√(q +q ))の算出が困難な場合には、真の散乱強度Itrue(√(q +q ))に関して適当なモデル関数Imodelを設定し、このImodelを上記(3)式に代入して散乱強度Icalcを求め、この散乱強度Icalcと実測した散乱強度Iobs(q)とが一致しているかどうかを比較し、一致していればそのモデル関数Imodelを真の散乱強度Itrue(√(q +q ))と決定する。
【0025】
一方、比較の結果、計算した散乱強度Icalcと実測した散乱強度Iobs(q)とが一致しなければ、それらが一致するまで、モデル関数Imodelのフィッティングパラメータを別の数値に入れ替えて、上記(3)式の計算及び実測値との比較を繰り返して行う。
【0026】
(iv)次に、入射側縦発散角度及び受光側縦発散角度について説明し、次いで、アンブレラ効果の補正及びスリット関数W(q )の導出について説明する。スリット関数W(q )は、スリットの高さやスリット間距離等といった測定に用いた光学系によって決定される。今、図6に示すような光学系を考える。
【0027】
図6において、入射光学系は、多層膜ミラー11及びスリットコリメーション光学系12を用いている。このため、この光学系では、2θ回転軸方向(すなわち散乱面内方向、すなわち図6の紙面平行方向)の分解能は高く、一方、点光源収束ミラーやピンホールスリットを用いた場合を除けば縦発散角度(すなわち、図6の紙面垂直方向)が大きい。
【0028】
図7に入射光学系によって決まる入射側の縦発散角度とそれに伴うX線照射高さを示す。なお、光学系によって決まる試料位置でのX線照射高さが試料高さよりも高い場合、q 方向の散乱は試料の高さに依存する。一方、光学系によって決まる試料位置でのX線照射高さが試料高さよりも低い場合、q 方向の散乱は光学系によって決まるX線照射高さに依存する。
【0029】
図8に受光光学系によって決まる出射側の縦発散角度とそれに伴うX線出射高さを示す。この受光光学系ではダブルスリットコリメーションを導入しており、そのため、2θ回転軸方向(すなわち、散乱面内方向)の分解能は高いが、縦発散方向の分解能は低い。図8では、光学系と試料位置でのX線照射高さとによって決まる受光側の縦発散角度が示されている。なお、試料高さが試料位置でのX線照射高さよりも小さい場合は、上記の縦発散角度は試料高さによって決まる。
【0030】
(v)次に、試料に対してX線が照射される位置に依存する入射強度と散乱強度との関係、すなわち、フォーカス見込み角度に依存する入射強度と受光見込み角度に依存する散乱強度との関係について説明する。
【0031】
図7及び図8に示したようにライン光源を用いると、縦方向の発散角度が大きい。そのため、試料位置(すなわち、ゴニオメータ中心)におけるX線照射高さは光学系を形成するフォーカスの高さやスリットの高さよりも大きくなる。試料高さ方向のX線入射強度は、その高さ方向の位置からフォーカスを見込む角度に依存する。また、縦発散方向の散乱強度分布も同様にその高さ方向の位置から検出器を見込む角度に依存する。
【0032】
図9において、試料高さの中心位置Y=0では、フォーカスを完全に見込んでいてX線入射強度は最も強い。また、受光側も見込み角度が大きいため、観測される強度も大きい。一方、試料高さ中心Y=0から離れた位置Y=Y1及びY=Y2の所では、その試料位置からフォーカスを見込む角度は小さく、X線入射強度は小さい。また、受光側においても散乱線がスリット高さによって制限されるため、観測される強度も小さい。このように、X線の入射強度や散乱強度は、試料のX線照射位置Yに依存する。
【0033】
(vi)次に、試料におけるX線が照射される位置に依存する縦発散方向の散乱角度について説明する。X線照射位置Yに依存して、フォーカスを見込む角度と検出器を見込む角度とが異なることは上述の通りである。ここでは、この見込み角度が異なることによって生じるX線照射位置Yに依存する散乱角度の縦発散成分について説明する。
【0034】
図10に、X線照射位置が中心、すなわちY=0のときの入射X線強度分布を示した。θN・in maxとθN・in minは、θN・inを基準としたときのフォーカス見込み角度の最大値と最小値である。図11、図12及び図13に、図10に示したθN・inを基準にして、X線照射位置がY=0で、X線がそれぞれθN・in=0、θN・in max及びθN・in minで入射した場合の縦発散方向の散乱角度2θの強度分布を示した。X線が照射位置Y=0にθN・in minからθN・in maxで入射する場合、Y=0での縦発散方向の全X線強度分布は、その角度範囲内で計算されるところの、それぞれの縦発散方向の強度分布の和で与えられる。
【0035】
今、図14(a)に示すように入射側の縦発散角度をθN・inとし、出射側の縦発散角度をθN・OUTとする。このとき、X線照射位置Y=0における縦発散方向の全散乱強度は、図14(b)に示すような縦発散角度θN・inの強度分布(すなわち、入射側X線強度分布)と、図14(c)に示すような縦発散角度θN・OUTの強度分布(すなわち、受光側X線強度分布)とのコンボリューションによって図14(d)のように与えられる。この図14(d)が、X線照射位置Y=0におけるスリット関数W(q ;Y=0)を示している。
【0036】
ここで、コンボリューションとは、データ処理の分野において周知のデータ処理方法であり、例えば、2つの関数m(θ)及びn(θ)があるとき、その一方をθ方向で−∞から+∞へ移動したときの、m(θ)とn(θ)との重なり部分の変化を示す関数のことである。すなわち、m(θ)とn(θ)のコンボリューションは次式によって表される。
【0037】
F(θ)=∫−∞ m(θ’)×n(θ’−θ)dθ’………(4)
ここで、“∫−∞ ”は−∞から∞までの積分を示している。なお、スリット補正では、m(θ)がθin(θ)に相当し、n(θ)がθout(θ)に相当する。
【0038】
(vii)以下、コンボリューションについて簡単に説明する。入射側強度分布と出射側強度分布がそれぞれ図15に示すθin(θ)とθout(θ)であった場合、コンボリューションは、θin(θ)及びθout(θ)のいずれか一方を−∞から+∞まで動かして得られる。その様子を図16から図21に示す。
【0039】
図16では、θinを−8まで動かしたときに重なり合っている面積は“0”なので、コンボリューションは“0”である。図16では、強度“1”を持つ部分が重なっていないので、コンボリューションは未だ“0”である。θinをさらに+∞へ向けて移動させて、図17に示すようにθinを−6まで移動させると、重なり合っている面積は“1”である。
【0040】
θinをさらに+∞へ向けて移動させて、図18に示すようにθinを−5まで移動させると、重なり合っている面積は“2”である。θinをさらに+∞へ向けて移動させて、図19に示すようにθinを−2まで移動させると、重なり合っている面積は“5”である。θinをさらに+∞へ向けて移動させて、図20に示すようにθinを0まで移動させると、重なり合っている面積は“5”である。
【0041】
θinをさらに+∞へ向かって移動させながら、重なり合った部分の面積を重ねて計算してゆくとコンボリューションの結果が得られる。最終的なコンボリューションの結果は図21に示す通りである。
【0042】
(iix)上記(3)式に示したスリット関数W(q )は、全てのX線照射位置Yでのスリット関数W(q ;Y)を足し合わせることによって得られる。例えば、図9のY=Y1でのスリット関数を導出すれば、図22(d)の通りである。また、図9のY=Y2でのスリット関数を算出すれば、図23(d)の通りである。
【0043】
(ix)さて、ここまでY=0、Y=Y1、Y=Y2の3点のスリット関数を計算した。X線照射位置がこの3点だけであるとした場合、スリット関数W(q )はY=0、Y=Y1、Y=Y2でのそれぞれのスリット関数W(q ;Y=Y0)、W(q ;Y=Y1)、W(q ;Y=Y2)の和で与えられる。図24は、X線照射位置をこの3点(Y0,Y1,Y2)として計算されるスリット関数を示している。
【0044】
図24においては、X線照射位置の計算点数が少ないため、スリット関数が十分に表されていないことが分かる。そのため、実用的には、X線照射位置を多数点に分割してスリット関数を導出する。図25はX線照射位置Yを100分割して得られたスリット関数を示している。なお、このスリット関数を求めるのに際して設定した条件は以下の通りである。
【0045】
図9において、高さ関係について、
フィラメント高さH1=10mm
スリットS1の高さS1=10mm
スリットS2の高さS2=10mm
試料Sの高さS=100mm
スリットS3の高さS3=20mm
スリットS4の高さS4=20mm
カウンタのX線取込み窓の高さH2=20mm
【0046】
また、距離関係について、
フォーカス−スリットS1間=161mm
スリットS1−スリットS2間=200mm
スリットS2−試料S間=264mm
試料S−スリットS3間=340mm
スリットS3−スリットS4間=70mm
スリットS4−カウンタ窓間=10mm
【0047】
図25に示すようなスリット関数が与えられれば、上記(3)式にそのスリット関数を代入することにより、アンブレラ効果に影響されない極めて正確な散乱強度を得ることができる。
【0048】
(7) 次に、本発明に係る解析装置は、試料に照射する伝播線を放射する伝播線源と、該伝播線源と試料との間に配設された入射側スリットと、前記試料から再発散する伝播線を検出する検出手段と、前記試料と前記検出器との間に配設された出射側スリットとを有する解析装置において、入力された幾何学的条件に基づいてスリット関数を計算して出力するスリット関数出力手段と、X線散乱強度を計算するためのフィッティングパラメータを含むモデル関数を出力するモデル関数出力手段と、前記スリット関数と前記モデル関数とから計算によって解析用の関数を求める手段と、計算によって求められた前記解析用の関数と実測された関数との一致度を判定し、その一致度を向上させるために、前記モデル関数におけるフィッティングパラメータを最適化する手段とを有することを特徴とする。
【0049】
上記構成の解析装置によれば、スリット関数を出力するスリット関数出力手段を設けたので、実際に光学系に用いられるスリットに則してスリット関数を決めることができ、それ故、試料に関する解析を正確に行うことができる。
【0050】
(8) また、本発明に係る他の解析装置は、試料に照射する伝播線を放射する伝播線源と、該伝播線源と試料との間に配設された入射側スリットと、前記試料から再発散する伝播線を検出する検出手段と、前記試料と前記検出器との間に配設された出射側スリットとを有する解析装置において、前記入射側スリット及び前記出射側スリットに関する幾何学的条件に基づいて計算によって求められたスリット関数を出力するスリット関数出力手段と、X線散乱強度を計算するためのフィッティングパラメータを含むモデル関数を出力するモデル関数出力手段と、前記スリット関数と前記モデル関数とから計算によって解析用の関数を求める手段と、計算によって求められた前記解析用の関数と実測された関数との一致度を判定し、その一致度を向上させるために、前記モデル関数におけるフィッティングパラメータを最適化する手段とを有することを特徴とする。
【0051】
上記構成の解析装置によれば、スリット関数を出力するスリット関数出力手段を設けたので、実際に光学系に用いられるスリットに則してスリット関数を決めることができ、それ故、試料に関する解析を正確に行うことができる。
【0052】
(9) 上記構成の解析装置において、前記伝播線はX線又は粒子線とすることができる。また、該粒子線は中性子線又は電子線とすることができる。
【0053】
(10) 上記構成の解析装置において、前記スリット関数は、前記試料の長さ方向における前記伝播線が照射される位置を変数として決められることが望ましい。こうすれば、スリット関数が実際の光学系に則して、より一層正確に決められ、それ故、試料に関する解析をより一層正確に行うことができる。
【0054】
(11) 上記構成の解析装置において、前記スリット関数は、前記試料から前記入射スリットを通して前記伝播線源を見込む角度及び前記試料から前記出射側スリットを通して前記検出手段を見込む角度が試料の長さ方向の位置に応じて変化することに基づいて決められることが望ましい。こうすれば、スリット関数が実際の光学系に則して、より一層正確に決められ、それ故、試料に関する解析をより一層正確に行うことができる。
【0055】
(12) 上記構成の解析装置において、前記スリット関数は、前記試料に対する入射側における前記伝播線の強度分布と、前記試料に対する受光側における前記伝播線の強度分布とのコンボリューションによって決められることが望ましい。こうすれば、スリット関数が実際の光学系に則して、より一層正確に決められ、それ故、試料に関する解析をより一層正確に行うことができる。
【0056】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、X線回折装置を用いて行われる一般的なX線回折測定に本発明に係る解析方法及び解析装置を適用した場合の実施形態について説明する。
【0057】
図1は、本発明に係る解析装置の一実施形態を機能ブロック図として示している。ここに示した解析装置1は、伝播線としてX線を利用して試料に関する測定を行うX線測定装置2と、そのX線測定装置2の出力信号を処理する処理装置3と、その処理装置3による処理結果を視覚によって確認できる形に表示する出力装置4とを有する。
【0058】
X線測定装置2は、例えば、図6に示すX線測定装置によって構成できる。このX線測定装置2は、試料6に伝播線としてのX線を照射する入射側光学系7と、試料6から再発散するX線を検出する受光側光学系8とを有する。入射側光学系7は、X線を放射するX線源9と、X線源9から放射されたX線の発散を規制する放物面ミラー11と、X線の光路上に配置された第1スリットS1と、X線の光路上であって第1スリットS1の下流側に配置された第2スリットS2とを有する。
【0059】
受光側光学系8は、X線の光路上に配置された第3スリットS3と、その第3スリットS3の下流側に配置された第4スリットS4と、その第4スリットS4の下流側に配置されたX線検出器13とを有する。X線検出器13は、例えば、SC(Scintillation Counter:シンチレーションカウンタ)によって構成される。このSC12は、周知の通り、X線を点状領域で取り込むことのできる、いわゆる0次元カウンタである。
【0060】
X線源9からX線検出器13のX線検出点に至るX線光軸X0を含み図6の紙面と平行な面は回折面又は散乱面と呼ばれる。受光光学系8は、試料6を通って図6の紙面に垂直の方向に延びる軸線X1を中心として上記の回折面内で回転できる。この回転は、通常、2θ回転と呼ばれている。
【0061】
入射側光学系7に含まれるX線源9は、例えば、通電によって発熱して熱電子を放出するフィラメント(図示せず)と、そのフィラメントに対向して配置されたターゲット(図示せず)とを有する。フィラメントから放出された熱電子がターゲットの表面に衝突する領域がX線焦点であり、このX線焦点からX線が放射される。電子が衝突するターゲットの表面は、例えば、Cu(銅)、Mo(モリブデン)等によって形成される。ターゲットの表面がCuによって形成される場合は、CuKα線が強度の強いX線として出射し、主にこのCuKα線が測定のためのX線として利用される。
【0062】
放物面ミラー11は、X線源9から放射されたX線が当たる面が放物面に形成されており、X線源9は、ほぼ、その放物面の幾何学的な焦点位置に配置される。これにより、X線源9から出て発散するX線は放物面ミラー11で反射することにより、その発散が制限されて、ほぼ平行なX線ビームに形成される。但し、平行なX線ビームとなるのは回折面内方向(すなわち、図6の紙面に平行な方向)に関してのことであり、回折面と直角の方向(すなわち、縦発散方向)に関しては、発散成分を有している。
【0063】
放物面ミラー11の放物面は、X線を反射できる材料によって単層状態に形成することもできるし、あるいは、複数の膜材料によって多層状態に形成することもできる。多層状態に形成すれば、多層膜の周期構造に起因して特定X線、例えばCuKα線を効率良く回折でき、それ故、X線の反射強度を強くすることができる。
【0064】
第1スリットS1と第2スリットS2は、いわゆるダブルスリットコリメータ12を構成する。つまり、放物面ミラー11を出たX線は、これらのスリットS1及びS2により、断面径の小さい、より正確な平行ビームに形成される。そして、このX線平行ビームが試料6の所定位置に照射される。
【0065】
試料6にX線が入射したとき、その入射X線と試料6の格子面との間で回折条件が満足されると、試料6から回折線が再発散線として出射する。また、回折面内における2θ方向の小角領域内に散乱線が再発散線として出射することも有る。これらの回折線等は第3スリットS3を通過したものがX線検出器13に取り込まれてカウントされ、その回折線等の強度に対応した信号がX線検出器13の出力端子に出力される。このとき、第4スリットS4は、第3スリットS3の所で発生する不要な散乱線やその他の不要な散乱線がX線検出器13に取り込まれることを防止する。
【0066】
X線検出器13は、回折面内において試料軸線X1を中心として回転、いわゆる2θ回転するので、試料6で発生した回折線等は2θ方向における各角度位置においてカウントされる。この結果、X線検出器13からは2θの各角度位置におけるカウント情報が出力される。
【0067】
X線検出器13からのカウント情報は、図1において、処理装置3へ伝送される。処理装置3は、例えば、X線測定装置2内のX線検出器13(図6参照)に接続された測定データ演算手段16と、スリット関数W(q )を作成して出力するスリット関数出力手段17と、モデル関数Imodelを出力するモデル関数出力手段18と、Icalcを計算するIcalc計算手段19と、そして比較手段21とを有する。
【0068】
測定データ演算手段16は、X線測定装置2内のX線検出器13の出力信号に基づいて回折線図形を演算によって求める。この回折線図形は、例えば、図3に示す曲線Iobsのように、回折角度2θを変数としたときの回折線強度Iの変化を示す関数として求められる。なお、図3のIobsは説明を理解し易くするために模式的に示されたものであって、実際の測定の結果を示すものではないことに留意願いたい。
【0069】
スリット関数出力手段17は、例えば、図25に示すようなスリット関数W(q )を作成して出力する機能要素である。このスリット関数W(q )の作成手法は、その一例を図4〜図24の各図を引用して説明した通りである。なお、スリット関数出力手段17は、作成されたスリット関数W(q )を記憶する記憶手段を含むことが望ましい。この場合の記憶形態は、スリット関数を数式として記憶しても良いし、あるいは、図25における散乱ベクトルq とスリット関数W(q )の値をデータテーブルの形で記憶するものであっても良い。
【0070】
なお、スリット関数出力手段17によってスリット関数W(q )を作成するに当たっては、図6に示すX線測定装置2に関する各種の条件値、例えば、フィラメントサイズ、スリット高さ、スリット間距離等を入力する必要があるが、その入力作業は、例えば、キーボード等といった入力装置を用いて作業者によって行われる。
【0071】
なお、スリット関数出力手段17は、スリット関数W(q )を演算によって求める機能を持つことなく、別の機能手段によって求められたスリット関数W(q )を、単に記憶するだけの機能を果たすものであっても良い。
【0072】
図3に示したような実測された回折線図形Iobsは、真の回折線図形Itrueがスリットの存在によって、例えばアンブレラ効果を受けて変動したものである。図1のモデル関数出力手段18はモデル関数Imodelを作成して出力する機能要素であり、このモデル関数Imodelとは、適切な物理量をパラメータとして上記の真の回折線図形Itrueを予測する関数である。このモデル関数Imodelは、測定の対象である光学系の構造に応じて経験的に又は理論的に、種々に設定できる。
【0073】
calc計算手段19は、上記のモデル関数Imodelに含まれるパラメータに具体的な数値を代入して、該モデル関数Imodelを特定する。また、Icalc計算手段19は、上記(3)式、すなわち
obs(q )=∫−∞ W(q )・Itrue(√(q +q ))dq
の右辺に具体的な関数値を代入して、そのときのIobs(q )の値をIcalcとして決定する。
【0074】
具体的には、Icalc計算手段19は、スリット関数出力手段17によって作成されたスリット関数W(q )を(3)式の右辺のW(q )に代入し、さらに、パラメータに具体的な数値を代入したモデル関数Imodelを(3)式の右辺のItrue(√(q +q ))に代入し、このときに算出されるIobs(q )をIcalcとして決定する。
【0075】
比較手段21は、測定データ演算手段16によって求められた実測の回折線図形データIobsとIcalc計算手段19によって計算された回折線図形Icalcとを比較して、両者が一致しているかどうかを判定する。判定の結果は、出力装置4に表示される。この出力装置4は、例えば、情報を映像として表示するディスプレイや、情報を紙等といった印材上に印刷等によって書き込むプリンタ等によって構成される。
【0076】
図1の処理装置3は、例えば、プログラムによって動作するコンピュータによって構成される。コンピュータは、周知の通り、演算装置、制御装置、記憶装置等によって構成される。演算装置及び制御装置は、一般に、CPU(Central Processing Unit)等といった処理装置によって構成される。また、記憶装置は、一般に、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等といった内部メモリによって構成される。なお、このコンピュータには、必要に応じて、ハードディスク装置、CD−ROM装置、光磁気ディスク装置等といった外部メモリが接続される。また、コンピュータには、必要に応じて、キーボード、マウス等といった入力装置や、ディスプレイ、プリンタ等といった出力装置が接続される。
【0077】
図1に示した測定データ演算手段16、スリット関数出力手段17、モデル関数出力手段18、Icalc計算手段19及び比較手段21は、例えば、コンピュータプログラム(すなわち、ソフトウエア)及びそのソフトウエアに従って作動するコンピュータによって実現される。また、場合によっては、個々の手段を論理回路等といった個別のハードウエアによって構成することもできる。
【0078】
図2は、図1の処理装置3によって実行される制御をフローチャートによって示している。以下、このフローチャートを用いて図1の処理装置3の動作について説明する。
【0079】
ステップS1において、処理装置3のスリット関数出力手段17はスリット関数W(q )を、例えば図25に示す曲線のように設定する。このスリット関数W(q )は、例えばRAM、その他の適宜の記憶媒体上に、例えばデータテーブルとして記憶される。
【0080】
一方、ステップS2において、処理装置3のモデル関数出力手段18はモデル関数Imodelを設定する。このモデル関数Imodelは、上記(3)式すなわち
obs(q )=∫−∞ W(q )・Itrue(√(q +q ))dq
の右辺における
true(√(q +q ))
を、適宜のパラメータを用いて近似する関数である。モデル関数出力手段18はそのモデル関数を設定すると共に、そのモデル関数に含まれるパラメータに具体的な数値を代入してモデル関数Imodelを決定する。
【0081】
次に、ステップS3において、処理装置3のIcalc計算手段19は、ステップS1で設定したスリット関数W(q )及びステップS2で設定したモデル関数Imodelを上記(3)式の右辺に代入して、回折線関数Icalc(q )を計算によって求める。
【0082】
次に、ステップS4において、処理装置3の比較手段21は、測定データ演算手段16によって求められた実測の回折線関数Iobsと、ステップS3で求められたスリット関数W(q )を考慮に入れた計算上の回折線関数Icalcとが一致するか否かを判定する。この判定は、例えば
A=Σ|Iobs −Icalc |/ΣIobs  ………(5)
が収束判定値εよりも小さいか、あるいは大きいかによって判定する。具体的には、Aの値がεよりも小さければ、実測の回折線関数Iobsと計算上の回折線関数Icalcとが一致すると判定して、このときの計算上の回折線関数Ica lcを真の回折線関数Itrueと決定する(ステップS6)。
【0083】
この回折線関数Itrueは、上記(3)式に示したようにスリット関数W(q )を考慮に入れて決められた関数であるので、スリットを用いた場合にアンブレラ効果等に起因して生じる測定誤差が補正された、信頼性の高い正確な回折線図形を表すものである。
【0084】
他方、ステップS4において、上記(5)式のAの値がεよりも大きければ、実測の回折線関数Iobsと計算上の回折線関数Icalcとが不一致であると判定して、つまり計算上の回折線関数Icalcは真の回折線関数を反映していないと判定する。そして、その場合には、ステップS5において、非線形最小二乗法を用いてImodelのパラメータを更新する。
【0085】
次に、制御フローをステップS3へ戻し、パラメータの数値が更新されたモデル関数Imodelについて、再度、Icalcを計算し、さらに、そのIcalcをステップS4で、再度、測定データIobsと比較する。この処理は上記(5)式のAの値がεよりも小さくなるまで繰り返され、これにより、最終的に、真の回折線関数Itrueが求められる。なお、収束判定値εは理想的には“0(ゼロ)”であるが、実際の処理では、例えば10−5〜10−10等といった小さな値として設定される。
【0086】
以上に説明したように、本実施形態に係るX線解析方法及びその装置によれば、試料からのX線の再発散を考慮すると共に、試料の長さ方向に関してX線が照射される位置を考慮してスリット関数W(q )を厳密に計算によって求めたので、スリット関数Wが入射X線の発散のみを考慮して決められていた従来の手法に比べて、真の関数値を非常に正確に求めることができる。
【0087】
また、従来の解析手法では、実測された関数Iobsとスリット関数Wとから真の関数Itrueを計算によって、すなわち解析的に求めることが一般的であったが、この手法では、スリット関数Wが複雑な場合には解くのが困難であった。これに対し、本実施形態では、非線形最小二乗法を用いてImodelをIobsに近づけてゆくことによりItrueを求める手法としたので、確実にItrueを求めることができる。
【0088】
なお、本実施形態の解析手法では、モデル関数Imodel及びスリット関数Wは、解析対象である光学系の構造に応じて任意の関数値として設定することができる。
【0089】
(第2実施形態)
以下、密度が不均一な試料に含まれる粒子状物の密度の不均一性をX線を用いて解析する解析方法及び解析装置に本発明を適用した場合の実施形態について説明する。図26は、その解析装置の一実施形態を機能ブロック図として示している。この実施形態では、試料内に含まれていて該試料の密度の均一性に影響を与える粒子状物の分布状態として、粒子状物の平均粒径及び分布広がりを解析するものとする。
【0090】
ここに示す解析装置31は、X線測定装置32と、処理装置33と、出力装置34とを有する。X線測定装置32は、測定対象である試料のX線反射率曲線及びX線散乱曲線を測定する。試料が薄膜試料である場合には、X線測定装置32内に設けられたゴニオメータによって当該試料を支持し、該ゴニオメータによってX線入射角θin、X線出射角θout、散乱角2θ=θin+θoutを制御しながら測定を行う。
【0091】
反射率曲線の測定はθin=θoutの条件で行う。また、散乱曲線の測定はθin=θout±Δω、θin一定、θoutスキャン、又はθin=θout±Δω、θout一定、θinスキャンの条件で行われる。処理装置33は、臨界角取得手段41、関数記憶手段42、シミュレート手段43、及びフィッティング手段44を有する。臨界角取得手段41は、X線測定装置32によって測定されたX線反射率曲線及び同じくX線測定装置32によって測定されたX線散乱曲線から、臨界角θcを導出する。
【0092】
臨界角θcは処理装置33によって行われる処理の基礎となる散乱関数に含まれる要素である。X線反射率曲線からの臨界角θcの決定は、公知の方法で行うことができる。例えば、X線反射率曲線において反射率(すなわち、反射X線強度)が急激に低下する角度を臨界角θcとすることができる。なお、臨界角θcと数値δと屈折率nとの間には、
θc=√(2δ)
n=1−δ
の関係がある。よって、臨界角θcから数値δを算出するように構成しても良い。
【0093】
関数記憶手段42は、解析処理の基本となる散乱関数やその他の関連する関数を記憶する。シミュレート手段43は、関数記憶手段42からの散乱関数及び臨界角取得手段41からのθc又はδを用いると共に、散乱関数の中に含まれるフィッティングパラメータに適宜の数値を選択して、シミュレートX線散乱曲線を算出する。解析処理の基本となる散乱関数やその他の関連する関数としては、以下の数1〜数6等が考えられる。これらの数式の詳細は後述する。
【0094】
【数1】
Figure 2004020196
【0095】
【数2】
Figure 2004020196
【0096】
【数3】
Figure 2004020196
【0097】
【数4】
Figure 2004020196
【0098】
【数5】
Figure 2004020196
【0099】
【数6】
Figure 2004020196
【0100】
図26のフィッティング手段44は、シミュレート手段43からのシミュレートX線散乱曲線とX線測定装置32によって実測されたX線散乱曲線とをフィッティングする。測定されたX線反射率曲線や、測定されたX線散乱曲線や、θin、θout等といったシミュレーション及びフィッティングに必要なデータ等は、例えば、X線測定装置32から処理装置33へ自動的に送出されること、より具体的には、各データに対応させて臨界角取得手段41、シミュレート手段43、フィッティング手段44へ自動的に送出されることが望ましい。もちろん、手動による入力も可能である。
【0101】
シミュレートX線散乱曲線の算出に上記の数1〜数6等を用いる場合、シミュレート手段43は、θc(又はδ)、θin、θout、λ、μ、d、ρ等を必要とする。このことに関しては、例えば、θin及びθout(又は2θ)はX線測定装置32から自動的に送出される。また、μ、λ、d、ρは手動によって入力したり、予め記憶しておいたり、あるいは、別途算出したりして与えることができる。解析装置31又は処理装置33には、このための入力手段、記憶手段、計算手段等が必要であり、これらの手段とシミュレート手段43とがデータ送受可能に構築されることは言うまでもない。
【0102】
処理装置33は、フィッティング手段44によってシミュレートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線とが一致すると判断されるまで、シミュレート手段43によってフィッティングパラメータを変更しながら、シミュレートX線散乱曲線の算出を繰り返す。両曲線が一致すると、そのときのフィッティングパラメータの数値、例えば粒子状物の平均粒径の数値及び分布広がりの数値、が実際の粒子状物の分布状態として決定される。この解析結果は、出力装置34に視覚によって確認できる状態、例えば映像として表示されたり、紙等といった印材上に印刷によって表示される。
【0103】
また、この解析装置31又は処理装置33による解析結果を薄膜の製造に反映させる場合には、薄膜製造装置やその制御装置等に上記の解析結果を直接に送信できる構成とする。
【0104】
図26に示した処理装置33は、例えば、コンピュータプログラム(すなわち、ソフトウエア)及びそのソフトウエアに従って作動するコンピュータによって実現される。また、場合によっては、その処理装置33内の個々の手段を論理回路等といった個別のハードウエアによって構成することもできる。
【0105】
なお、シミュレート手段43によるフィッティングパラメータの最適値の選択に関しては、シミュレート曲線と実測曲線との一致度が高くなるように最小二乗法等を用いて自動的に選択する機能を付加することで、コンピュータ等により完全自動で解析を行うことができる。もちろん、手動による入力によって行うこともできる。
【0106】
図27は、図26の解析装置31によって実行される解析方法の手順の一実施形態をフローチャートによって示している。この解析方法では、粒子状物が分布した薄膜やバルク体等といった密度が不均一な試料を解析の対象とし、この試料に含まれる粒子状物の分布状態を表すフィッティングパラメータを用いてX線散乱曲線を表す散乱関数を設定し、その散乱関数を用いてシミュレートX線散乱曲線の算出を行う。
【0107】
この散乱関数としては、
(1)粒子状物を図28(a)のような球型モデルによりモデル化した場合の粒子状物の平均粒径を示すフィッティングパラメータ“R”及び粒子状物の分布広がりを示すフィッティングパラメータ“M”を用いた関数や、
(2)粒子状物を図28(b)のような円筒型モデルによりモデル化した場合の粒子状物の直径を示すフィッティングパラメータ“D”及び粒子状物のアスペクト比を示すフィッティングパラメータ“a”を用いた関数や、
(3)粒子状物の最近接距離を示すフィッティングパラメータ“L”及び粒子状物の相関係数を示すフィッティングパラメータ“η”を用いた関数や、
(4)粒子状物の含有率を示すフィッティングパラメータ“P”及び粒子状物の相関距離を示すフィッティングパラメータ“ξ”を用いた関数等が考えられる。
【0108】
いずれの散乱関数においても、X線反射率曲線やX線散乱曲線を必要とし、さらに、それらの曲線から導出される各種の値を必要とする。従って、シミュレーション及びフィッティングの前に、薄膜やバルク体等といった試料に関してX線反射率曲線を求める測定を行い(ステップS11)、さらに同じ試料に関してX線散乱曲線を求める測定を行う(ステップS12)。
【0109】
ステップS11において、X線反射率曲線は、X線入射角θin=X線出射角θoutの条件(つまり、鏡面反射)にて測定する。ここで、X線入射角θinとは、密度が不均一な試料の表面でのX線入射角度である。また、X線出射角度θoutとは、密度が不均一な試料の表面でのX線出射角度である。
【0110】
ステップS12において、X線散乱曲線は、例えば、X線入射角θin=X線出射角θout−オフセットΔωの条件、又はX線入射角θin=X線出射角θout+オフセットΔωの条件、又はそれら両条件にて測定する。以下、これらの条件を総称してθin=θout±Δωと呼ぶ。
【0111】
ここで、オフセットΔωとは、θinとθoutとの角度差である。従って、Δω=0°の場合はθin=θoutであり、この場合は鏡面反射となってX線反射率の測定と同じこととなる。X線散乱曲線の測定は、このΔωが0°からわずかにずれた条件、すなわちオフセットした条件において行う。Δωは、0°になるべく近く、且つΔω=0°のときの強い鏡面反射の影響がなるべく少なくなる数値が望ましい。
【0112】
θin=θout±ΔωでのX線散乱曲線の測定は散漫散乱の測定に他ならず、この散漫散乱は試料、すなわち薄膜やバルク体、の内部にける粒子状物の存在に起因するもの、つまり試料の密度不均一性によるものであるため、この実測したX線散乱曲線と後述の各種関数により算出されるシミュレーション散乱曲線とのフィッティングを行うことで、薄膜やバルク体等といった密度が不均一な試料の密度不均一性を的確に解析することができる。
【0113】
また、X線散乱曲線は、X線入射角θinを一定にしてX線出射角θoutをスキャンする条件、又はその逆にX線出射角θoutを一定にしてX線入射角θinをスキャンする条件にて測定しても良い。この場合でも、高精度なシミュレーション及びフィッティングに必要な散漫散乱の測定を的確に行うことができる。
【0114】
解析の際に用いる散乱関数では密度が不均一な試料の臨界角θcを用いるので、ステップS11において測定したX線反射率曲線から直接に臨界角θcを求めておく。このとき、X線反射率曲線からの臨界角θcの決定は、公知の方法で行うことができる。例えば、X線反射率曲線において反射率(すなわち、反射X線強度)が急激に低下する角度が臨界角θcとなる。なお、臨界角θcと数値δと屈折率nとの間には、
θc=√(2δ)、
n=1−δ
の関係がある。
【0115】
一方、密度が不均一な試料を構成する元素が分かれば、該試料の平均密度ρを上記の“δ”から決めることもできる。より具体的には、構成元素jの組成比c、質量数M、原子散乱因子fが分かれば、上記の数1により、試料の平均密度ρが求まる。
【0116】
算出に必要な各数値は密度が不均一な試料の作製時に予測することができる。数1における試料の平均密度ρは、後述のようにして求められる試料内の粒子状物の粒径や分布広がり等と共に、試料の評価及び作製において極めて有効な情報である。
【0117】
以上により、シミュレーション及びフィッティングの前準備を終えた後、ステップS14において、粒子状物の分布状態を示すフィッティングパラメータに従ってX線散乱曲線を表す散乱関数を設定し、当該フィッティングパラメータの数値を任意に選択し、そして、散乱曲線の測定条件と同じ条件にてシミュレートX線散乱曲線の算出を行う。なお、散乱曲線の測定条件と同じ条件とは、例えば、θin=θout±Δωで、θinを一定とし、θoutをスキャンしたり、θin=θout±Δωで、θoutを一定とし、θinをスキャンしたりすることである。
【0118】
より具体的に説明すれば、まず、散乱関数として上記の数2を設定する。この散乱関数は、鏡面反射θin=θoutを除く全てのθin及びθoutにおけるX線散乱曲線を表したものとなっている。この数2で与えられる散乱関数においては、密度不均一散乱形状因子がX線散乱曲線を表す重要な要素となっている。
【0119】
ここで、密度不均一散乱形状因子とは、密度が不均一な試料に含まれる粒子状物の形状をある特定の形状モデルで表し、その形状モデルが試料内においてある状態で分布していることを表すものであり、この因子に従って、粒子状物の分布による影響を的確にとらえたX線散乱曲線を自由度高く、且つ高精度でシミュレートできるのである。なお、密度不均一分布関数を決める{p}は、いくつかの分布関数を決めるパラメータの組があっても良いことを表している。
【0120】
粒子状物の形状モデルとしては、例えば、図28(a)に示すような球型モデルや、図28(b)に示すような円筒型モデルが考えられる。これらを解析対象に応じて適宜に選択することにより、あらゆる粒子状物の形状をモデル化できる。
【0121】
例えば、球型モデルを用いた散乱関数I(√(q +q ))は、上記の数3で与えられる。また、数3において、粒径分布関数は数4で与えられ、粒子形状を表す粒子形状因子は数5で与えられる。なお、数3は、数4及び数5を用いて、例えば数6のように展開できる。
【0122】
この場合、球型モデルでモデル化した粒子状物の平均粒径を示すパラメータ“R”及びその粒子状物の分布広がりを示すパラメータ“M”が、粒子状物の分布状態を示すフィッティングパラメータである。数3又は数6の散乱関数I(√(q +q ))は、これらのフィッティングパラメータ[R,M]の数値を適宜に選択することで、様々な分布状態を表すことができ、その分布状態により影響を受けるX線散乱曲線を表す関数となっている。なお、図28(b)の円筒型モデルを用いる場合には、直径“D”やアスペクト比“a”をフィッティングパラメータとすることができる。
【0123】
上記数4の式は、粒径分布としてのガンマ分布を表した場合のものであるが、もちろん、ガンマ分布以外の粒径分布、例えばガウス分布等を表す粒径分布関数を用いても良いことは言うまでもなく、シミュレート散乱曲線と実測散乱曲線との高精度なフィッティングが実現されるように、適宜に選択することが好ましい。なお、粒子状物の形状モデルとして円筒型モデルを用いる場合には、特開平13−349849号公報に開示されたような散乱関数を用いることができる。
【0124】
上記の各式で用いられている散乱ベクトルqは、粒子状物による屈折効果を考慮したものとなっている。薄膜状態の試料においては、表面における入射X線の屈折効果が測定散乱曲線に重要な影響を及ぼしており、この屈折効果を考慮したシミュレーションを行うことが、密度の不均一性の解析を高精度に行うことにとって必要となる。
【0125】
そこで、本実施形態では、数2で与えられるような屈折効果を的確に考慮した散乱ベクトルqを用いて、シミュレーションに最適な散乱関数としている。具体的には、一般には、散乱ベクトルqは
q=(4πsinθ)/λ
であるが、薄膜状態の場合、粒子状物によるX線散乱の散乱角2θとθin及びθoutとの間に、
2θ=√(θout−2δ)+√(θin−2δ)………(6)
で表される関係があると考え、これを一般式に導入している。X線反射率曲線から取得した臨界角θcは、この散乱ベクトルqにおいて利用される。すなわち、θc=√(2δ)である。
【0126】
以上のように、数3〜数6を適宜に選択して用いる散乱関数は、粒子状物による影響を精密に考慮して、フィッティングパラメータとしての平均粒径パラメータ“R”及び分布広がりパラメータ“M”に従った様々な散乱曲線をシミュレートするものとなっている。従って、パラメータ“R”及び“M”の数値を最適化することで、実測した散乱曲線に極めて一致するシミュレート散乱曲線を算出できる。
【0127】
さて、上記の散乱関数によるシミュレートX線散乱曲線の算出についてさらに説明すると、まず、シミュレートの条件を実際の散乱曲線の測定時と同じ条件に設定する。そして、球型モデルによる散乱関数(すなわち、数3〜数6)を選択した場合には、平均粒径パラメータ“R”及び分布広がりパラメータ“M”の数値を適宜に選択する。そして、上記の(6)式、すなわち、
2θ=√(θout−2δ)+√(θin−2δ)
を適用することにより、θin=θout±Δω、θin一定、θoutスキャン又はθin=θout±Δω、θout一定、θinスキャンの条件における選択値[R,M]のときのX線散乱曲線が得られる。
【0128】
より具体的には、この算出に必要な各種パラメータは、数2〜数6で分かるように、R,M,q,θin,θout,δ,λ,ρである。これらのパラメータのうち、δ,ρは反射率曲線から得られ、qはθin,θout,δ,λから算出でき、R,Mはフィッティングパラメータである。従って、シミュレーションにおいては、反射率曲線を測定するだけで、後は散乱関数を計算すれば、簡単に且つ短時間にシミュレートX線散乱曲線を得ることができる。
【0129】
さて、上述したように散乱関数を用いてシミュレートX線散乱曲線を算出した後は、図27のステップS15において、シミュレートX線散乱曲線と実測したX線散乱曲線とのフィッティングを行う。このフィッティングでは、両曲線の一致度、すなわち両曲線の差を検討する。例えば、両曲線の差は、
=Σi(logI(exp)−logI(cal))……(7)
ここで、I(exp):i番目の測定点の実測データ
(cal):i番目の測定点のシミュレートデータ
で求められる。
【0130】
そして、その一致度すなわち差が許容範囲内であれば、両曲線は一致すると判断し、そうでなければ両曲線は一致しないと判断する。両曲線が一致しないと判断した場合(ステップS16でNO)は、散乱関数における粒子状物の分布状態を表すフィッティングパラメータ[R,M]を変更して(ステップS14)、再度、シミュレートX線散乱曲線を算出し(ステップS14)、実測したX線散乱曲線との一致を判断する(ステップS15)。この処理は、両曲線が一致するまで繰り返して実行される。
【0131】
両曲線が一致すると判断した場合(ステップS16でYES)は、そのときのフィッティングパラメータの選択値が解析対象である試料内の粒子状物の分布状態を示す値となる。すなわち、“R”の数値が粒子状物の平均粒径となり、“M”の数値が粒子状物の分布広がりとなる。なお、フィッティングにおいては、例えば非線形最小二乗法を用いることにより、効率的に各フィッティングパラメータの最適値を求めることができる。
【0132】
以上のように、密度の不均一性を考慮した関数を用いることで、シミュレートX線散乱曲線は実測X線散乱曲線との一致度が高いものとなり、各フィッティングパラメータも実際の粒子状物の分布状態を正確に表すことができる。従って、薄膜やバルク体に関する密度不均一性の解析を高精度に行うことができる。
【0133】
また、本実施形態では、密度が不均一な試料に対して行う測定は反射率測定及び散乱曲線測定だけなので、従来のガス吸着法のように測定時間が長くなったり、ガスが薄膜内に侵入できるか否かというような薄膜の種類の限定もない。また、従来の小角散乱法のように基板上に形成された薄膜を測定のために基板から剥がさなければならないといった不都合もない。従って、密度が不均一である様々な薄膜や、様々なバルク体等に対して、非破壊で且つ短時間で密度の均一性についての解析を行うことができる。
【0134】
さらに、本実施形態では、数3において、スリット関数W(q)を散乱関数に組み入れている。このスリット関数W(q)は、例えば図25に示したような関数を用いることができる。このようなスリット関数W(q)の求め方は、その一例を図4〜図24の各図を引用して説明した通りである。本実施形態のように、スリット関数W(q)を組み入れた散乱関数を用いてシミュレーションを行えば、結果として得られたフィッティングパラメータ“R ”や“M”は、光学系に含まれるスリットのアンブレラ効果が補正された信頼性の高い正確な値となっている。
【0135】
なお、図1に示した解析装置1と図26に示した解析装置31との構成上の関係を説明すれば、図1の測定データ演算手段16は図26のX線測定装置32に含まれる。また、図1のスリット関数出力手段17及びモデル関数出力手段18は図26の関数記憶手段42に含まれるか、あるいは関数記憶手段42に接続される。また、図1のIcalc計算手段19は、図26のシミュレーション手段43に含まれる。また、図1の比較手段21は、図26のフィッティング手段44に含まれる。
【0136】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0137】
例えば、以上の説明では、伝播線としてX線を用いた場合を考えたが、伝播線としてはX線以外に中性子線や電子線等といった粒子線を用いることもできる。この場合、数3の散乱関数は、粒子線の反射率曲線や粒子線の散乱曲線に対してそのまま適用できる。そして、この散乱関数を用いて図27の解析処理を実行することにより、シミュレートされた粒子線散乱曲線と実測した粒子線散乱曲線とを一致させたときのフィッティングパラメータをもって、密度不均一性の高精度な解析を実現できる。
【0138】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、図7〜図25を参照して説明したように、試料から再発散する伝播線、例えばX線、の強度分布に基づいてスリット関数を決めるようにしたので、実際に光学系に用いられるスリットに則してスリット関数が正確に決められ、それ故、試料に関する解析を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る解析装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の装置によって実行される解析方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図1のX線測定装置及び測定データ演算手段によって求められる測定結果を模式的に示すグラフである。
【図4】アンブレラ効果を説明するためにX線光学系を模式的に示す図である。
【図5】アンブレラ効果を説明するためにスリットとデバイ環との相互関係を示す図である。
【図6】図1におけるX線測定装置の一実施形態を示す平面図である。
【図7】スリット関数の求め方を説明するためにX線光学系の入射側の構成の一例を示す図である。
【図8】スリット関数の求め方を説明するためにX線光学系の出射側の構成の一例を示す図である。
【図9】スリット関数の求め方を説明するためのX線光学系の全体を示す図である。
【図10】図9の光学系における入射側の縦発散角度と縦発散成分の入射X線強度分布とを示す図である。
【図11】図9の光学系における、Y=0及び入射X線角度=0°のときの、縦発散成分の散乱角度とX線強度分布とを示す図である。
【図12】図9の光学系における、Y=0及び入射X線角度=θmaxのときの、縦発散成分の散乱角度とX線強度分布とを示す図である。
【図13】図9の光学系における、Y=0及び入射X線角度=θminのときの、縦発散成分の散乱角度とX線強度分布とを示す図である。
【図14】Y=0におけるスリット関数の求め方を模式的に示す図である。
【図15】コンボリューションを説明するためのグラフである。
【図16】コンボリューションを説明するための他のグラフである。
【図17】コンボリューションを説明するためのさらに他のグラフである。
【図18】コンボリューションを説明するためのさらに他のグラフである。
【図19】コンボリューションを説明するためのさらに他のグラフである。
【図20】コンボリューションを説明するためのさらに他のグラフである。
【図21】コンボリューションを説明するためのさらに他のグラフである。
【図22】Y=Y1におけるスリット関数の求め方を模式的に示す図である。
【図23】Y=Y2におけるスリット関数の求め方を模式的に示す図である。
【図24】図14(d)、図22(d)及び図23(d)の3つに基づいて求められるスリット関数を示すグラフである。
【図25】図24のスリット関数を発展させたスリット関数を示すグラフである。
【図26】本発明に係る解析装置の他の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図27】図26の装置によって実行される解析方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図28】図27の解析方法で用いられる粒子状物のモデル形状の一例を示し、(a)は球型モデルを示し、(b)は円筒型モデルを示している。
【符号の説明】
1      解析装置
2      X線測定装置
3      処理装置
4      出力装置
6      試料
7      入射光学系
8      受光光学系
9      X線源
11      放物面ミラー
12      スリットコリメーション光学系
13      X線検出器
16      測定データ演算手段
17      スリット関数出力手段
18      モデル関数出力手段
19      Icalc計算手段
21      比較手段
D      デバイ環
S      試料
S1〜S4  スリット
X0     X線光軸
X1     試料中心軸線
Y      試料位置
ε      収束判定値

Claims (11)

  1. 伝播線源と試料との間に入射側スリットを設け、前記試料と検出手段との間に出射側スリットを設け、
    前記入射側スリットを通して前記試料に伝播線を照射したときに該試料から再発生する伝播線を前記出射側スリットを通して検出手段によって検出し、
    その検出値から測定値を演算によって求め、
    前記入射側スリット及び前記出射側スリットが前記の検出値に与える影響を表示する関数であるスリット関数を用いて前記測定値から真値を演算する解析方法において、
    前記スリット関数は、前記試料から再発散する前記伝播線の強度分布に基づいて決められる
    ことを特徴とする伝播線を用いた解析方法。
  2. 請求項1において、前記伝播線は、X線又は粒子線であり、該粒子線は中性子線又は電子線であることを特徴とする伝播線を用いた解析方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記スリット関数は、前記試料の長さ方向における前記伝播線が照射される位置を変数として決められることを特徴とする伝播線を用いた解析方法。
  4. 請求項1から請求項3の少なくともいずれか1つにおいて、前記スリット関数は、前記試料から前記入射スリットを通して前記伝播線源を見込む角度及び前記試料から前記出射側スリットを通して前記検出手段を見込む角度が試料の長さ方向の位置に応じて変化することに基づいて決められることを特徴とする解析方法。
  5. 請求項1から請求項4の少なくともいずれか1つにおいて、前記スリット関数は、前記試料に対する入射側における前記伝播線の強度分布と、前記試料に対する受光側における前記伝播線の強度分布とのコンボリューションによって決められることを特徴とする伝播線を用いた解析方法。
  6. 試料に照射する伝播線を放射する伝播線源と、該伝播線源と試料との間に配設された入射側スリットと、前記試料から再発散する伝播線を検出する検出手段と、前記試料と前記検出器との間に配設された出射側スリットとを有する解析装置において、
    入力された幾何学的条件に基づいてスリット関数を計算して出力するスリット関数出力手段と、
    X線散乱強度を計算するためのフィッティングパラメータを含むモデル関数を出力するモデル関数出力手段と、
    前記スリット関数と前記モデル関数とから計算によって解析用の関数を求める手段と、
    計算によって求められた前記解析用の関数と実測された関数との一致度を判定し、その一致度を向上させるために、前記モデル関数におけるフィッティングパラメータを最適化する手段と、
    を有することを特徴とする解析装置。
  7. 試料に照射する伝播線を放射する伝播線源と、該伝播線源と試料との間に配設された入射側スリットと、前記試料から再発散する伝播線を検出する検出手段と、前記試料と前記検出器との間に配設された出射側スリットとを有する解析装置において、
    前記入射側スリット及び前記出射側スリットに関する幾何学的条件に基づいて計算によって求められたスリット関数を出力するスリット関数出力手段と、
    X線散乱強度を計算するためのフィッティングパラメータを含むモデル関数を出力するモデル関数出力手段と、
    前記スリット関数と前記モデル関数とから計算によって解析用の関数を求める手段と、
    計算によって求められた前記解析用の関数と実測された関数との一致度を判定し、その一致度を向上させるために、前記モデル関数におけるフィッティングパラメータを最適化する手段と、
    を有することを特徴とする解析装置。
  8. 請求項6又は請求項7において、前記伝播線は、X線又は粒子線であり、該粒子線は中性子線又は電子線であることを特徴とする解析装置。
  9. 請求項6から請求項8の少なくともいずれか1つにおいて、前記スリット関数は、前記試料の長さ方向における前記伝播線が照射される位置を変数として決められることを特徴とする解析装置。
  10. 請求項6から請求項9の少なくともいずれか1つにおいて、
    前記スリット関数は、前記試料から前記入射スリットを通して前記伝播線源を見込む角度及び前記試料から前記出射側スリットを通して前記検出手段を見込む角度が試料の長さ方向の位置に応じて変化することに基づいて決められることを特徴とする解析装置。
  11. 請求項6から請求項10の少なくともいずれか1つにおいて、
    前記スリット関数は、前記試料に対する入射側における前記伝播線の強度分布と、前記試料に対する受光側における前記伝播線の強度分布とのコンボリューションによって決められることを特徴とする解析装置。
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