JP2018048652A - 点火装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 点火装置は、点火スイッチにより一次電流を遮断し、二次電流による点火プラグの放電を発生させた後の所定のエネルギ投入期間において、エネルギを投入する。また、点火装置は、点火プラグによる放電開始後のエネルギ投入期間IGWに放電の吹き消えが発生したことを検出する吹き消え検出部を備えている。吹き消え後の再放電が可能な「第1領域」の時刻tboにおいて二次電流I2が吹き消え検出電流閾値Iboを下回ったとき、吹き消え検出部は、吹き消えが発生したと判定し、点火装置は、エネルギ投入部から点火コイルへのエネルギ投入を継続する。こうして、吹き消え後の再放電が可能な期間には、積極的に再放電を行い混合気へのエネルギ供給を継続することができる。
【選択図】図4
Description
そこで、例えば特許文献1に開示された点火装置は、吹き消え発生後の再放電を禁止することで放電繰り返し現象の発生を回避し、点火プラグ電極の消耗を抑制している。
点火コイルは、直流電源から供給される一次電流が流れる一次コイル、及び、点火プラグの電極に接続され、一次電流の通電及び遮断、より詳しくは、通電に続く遮断による二次電圧が発生し二次電流が流れる二次コイルを有する。
点火スイッチは、一次コイルの直流電源と反対側である接地側に接続され、点火信号に従って一次電流の通電と遮断とを切り替える。
吹き消え検出手段は、点火プラグによる放電開始後、放電の「吹き消え」が発生したことを検出する。ここで、「検出」とは、直接的な検出に限らず、吹き消えに関連する情報に基づく間接的な推定を含む。
そこで、第1領域において吹き消えの発生が検出されたとき、エネルギ投入手段によるエネルギ投入を継続する。これにより、吹き消え後の再放電が可能な期間には、積極的に再放電を行うことで混合気へのエネルギ供給を継続する。すなわち、第1領域で吹き消えが発生した場合は、点火プラグ電極の消耗抑制よりも着火性の確保を優先する。
このように、吹き消えの発生時期に応じて再放電の可否を適切に判別し、着火性の確保と点火プラグ電極の消耗の抑制とを両立することができる。
また、二次電流検出手段を備えることで、検出電流に基づくフィードバック制御により二次電流の制御性を向上させることができる。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による点火装置は、車両等に搭載されるエンジンシステムに適用される。以下の実施形態の説明では、特許請求の範囲に記載の「内燃機関」を「エンジン」という。
まず、エンジンシステムの概略構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、エンジンシステム10は火花点火式のエンジン13を備えている。エンジン13は、例えば4気筒等の多気筒エンジンであり、図1では1気筒の断面のみを図示する。以下に説明する構成は、図示しない他の気筒にも同様に設けられている。
なお、図1のエンジンシステム10は、EGR(排気還流)システムを有していないものとする。或いは、EGRシステムを有している場合でも、本実施形態の特徴とは関連性が低いため、図示を省略する。さらに、排気通路に設けられる触媒の図示も省略する。
点火プラグ7は、エンジン13の燃焼室17で所定のギャップを隔てて対向する一対の電極(図2参照)を有し、上記ギャップで絶縁破壊が生じるだけの高電圧が一対の電極間に印加されると放電を発生させる。以下の説明において、「高電圧」とは、点火プラグ7の一対の電極間で放電が発生し得るほどの電圧をいう。
破線矢印で示すように、電子制御ユニット32は、クランク位置センサ35、カム位置センサ36、水温センサ37、スロットル開度センサ38、及び吸気圧センサ39等の各種センサからの検出信号が入力される。電子制御ユニット32は、これらの各種センサからの検出信号に基づき、実線矢印で示すように、スロットル弁14、インジェクタ16、及び点火回路ユニット31等を駆動してエンジン13の運転状態を制御する。
次に、点火装置30の構成について図2を参照して説明する。
図2に示すように、点火装置30は、点火コイル40、点火回路ユニット31、及び、電子制御ユニット32を含む。
一次コイル41は、一端が、一定の直流電圧を供給可能な「直流電源」としてのバッテリ6の正極に接続されており、他端が点火スイッチ45を介して接地されている。以下、一次コイル41のバッテリ6と反対側を「接地側」という。
二次コイル42は、一次コイル41と磁気的に結合されており、一端が点火プラグ7の一対の電極を介して接地されており、他端が整流素子43及び二次電流検出抵抗47を介して接地されている。
整流素子43は、ダイオードで構成されており、二次電流I2を整流する。
点火コイル40は、一次コイル41を流れる電流の変化に応じて電磁誘導の相互誘導作用により二次コイル42に高電圧を発生させ、この高電圧を点火プラグ7に印加する。本実施形態では、1つの点火プラグ7に対し1つの点火コイル40が設けられている。
点火スイッチ45は、ゲートに入力される点火信号IGTに応じてオンオフ動作する。詳しくは、点火スイッチ45は、点火信号IGTの立ち上がり時にオンとなり、点火信号IGTの立ち下がり時にオフとなる。一次コイル41における一次電流I1は、点火スイッチ45により点火信号IGTに従って通電及び遮断が切り替えられる。
エネルギ蓄積コイル52は、一端がバッテリ6に接続され、他端が充電スイッチ53を介して接地されている。充電スイッチ53は、例えばMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)で構成されており、ドレインがエネルギ蓄積コイル52に接続され、ソースが接地され、ゲートがドライバ回路54に接続されている。ドライバ回路54は、充電スイッチ53をオンオフ駆動可能である。
整流素子55は、ダイオードで構成されており、コンデンサ56からエネルギ蓄積コイル52及び充電スイッチ53側への電流の逆流を防止する。
コンデンサ56は、一方の電極が整流素子55を介してエネルギ蓄積コイル52の接地側に接続され、他方の電極が接地されている。コンデンサ56は、DCDCコンバータ51によって昇圧された電圧を蓄電する。
整流素子59は、ダイオードで構成されており、点火コイル40からコンデンサ56への電流の逆流を防止している。
なお、図2では1気筒に対する構成のみを示しているが、現実には、放電スイッチ57以降の構成は気筒数分が並列して設けられており、放電スイッチ57の手前で電流経路が気筒毎に分岐され、コンデンサ56に蓄積されたエネルギが各経路に分配される。
以上が点火回路ユニット31の構成である。
点火信号IGTは、点火スイッチ45のゲート、及び、充電スイッチ用ドライバ回路54に入力される。点火スイッチ45は、点火信号IGTが入力されている期間、オンとなる。ドライバ回路54は、点火信号IGTが入力されている期間、充電スイッチ53のゲートに対し、充電スイッチ53をオンオフ制御する充電スイッチ信号SWcを繰り返し出力する。
また、ドライバ回路58には、目標二次電流I2*を指示するための目標二次電流信号IGAが入力される。
次に、点火装置30の作動について図3のタイムチャートを参照して説明する。図3のタイムチャートは、共通の時間軸を横軸とし、縦軸に上から順に、点火信号IGT、エネルギ投入期間信号IGW、コンデンサ電圧Vdc、一次電流I1、二次電流I2、投入エネルギP、充電スイッチ信号SWc、放電スイッチ信号SWdの時間変化を示している。
ここで、「コンデンサ電圧Vdc」はコンデンサ56に蓄電された電圧を意味する。また、「投入エネルギP」は、コンデンサ56から放出され、一次コイル41の低電圧側端子側から点火コイル40に供給されるエネルギを意味し、1回の点火タイミング中における供給開始(最初の放電スイッチ信号SWdの立ち上がり)からの積算値を示す。
二次電流I2は、目標二次電流I2*を中間値とする制御範囲内で増加と減少とを繰り返す波状の波形となる。図3では、制御範囲の中間値を目標二次電流I2*として図示するが、制御範囲の最大値又は最小値を制御目標値としてもよい。
このようにして、点火信号IGTがHレベルに立ち上がっている時刻t1−t2間に、点火コイル40が充電されるとともに、DCDCコンバータ51の出力によってコンデンサ56にエネルギが蓄積される。このエネルギの蓄積は、時刻t2までに終了する。
このとき、コンデンサ電圧Vdc、すなわちコンデンサ56のエネルギ蓄積量は、充電スイッチ信号SWcのオンデューティ比及びオンオフ回数によって制御可能である。
時刻t2で点火放電を発生させた後にエネルギ投入を行わない場合、二次電流I2は、破線で示すように、時間経過とともに0[A]に近づき、放電を維持できない程度まで減衰すると放電は終了する。このような放電による点火方式を「通常点火」という。
すなわち、放電スイッチ信号SWdがオンになる毎に、コンデンサ56の蓄積エネルギにより一次電流I1が順次追加され、これに対応して、二次電流I2が順次追加される。二次電流I2が所定値になると放電スイッチ57がオフされ一次電流I1への重畳投入が停止し、I2が低下していき所定値になると再度放電スイッチ57がオンされる。これにより、二次電流I2は、目標二次電流I2*に一致するように維持される。
時刻t4でエネルギ投入期間信号IGWがLレベルに立ち下げられると、放電スイッチ信号SWdのオンオフ動作が停止し、一次電流I1、二次電流I2ともにゼロとなる。
一方、周知の多重放電方式のように、一次コイル41のバッテリ6側、或いは二次コイル42の点火プラグ7と反対側から点火コイル40にエネルギを投入する方式を包括して「従来のエネルギ投入制御」という。本出願人が開発したエネルギ投入制御では、従来の方式に比べ、低電圧側からエネルギを投入することで最低限のエネルギを効率良く投入しつつ、点火可能な状態を一定期間持続させることができる。
ここで、図4、図5では、二次電圧V2による放電が開始されたタイミングで二次電流I2が立ち上がることを表すため、図3に対し、時刻t2と時刻t3との時間間隔を誇張して示している。
第1領域では、点火コイル40の誘導性エネルギが比較的多く残存しているため、点火プラグ7の吹き消え後の再放電が可能である。一方、第2領域では、点火コイル40の誘導性エネルギがほとんど消費されており、エネルギを投入しても高電圧にいたらず吹き消え後の再放電をすることができない。
そこで、本実施形態では、吹き消えの発生を検出した場合、エネルギ投入部50からのエネルギ投入を停止し、再放電を回避する。
なお、吹き消え検出電流閾値Iboは固定値としてもよく、エンジン13の運転状態等に応じて可変としてもよい。
第1領域の期間Tは、図6(a)に示すように、エンジン負荷が高いほど、また、図6(b)に示すように、エンジン回転数が高いほど短く設定される。なぜならば、エンジン負荷又は回転数が高い状態ほど、再放電のために点火コイル40に残っているエネルギがより多く必要となり、エネルギ投入開始後の再放電可能な期間が短くなるからである。
点火装置30は、電子制御ユニット32が取得したエンジンの負荷及び回転数の情報に基づいて第1領域の適正な期間Tを算出し、例えば次の燃焼サイクルから吹き消え判定の切替時刻txを変更するようにしてもよい。
(1)本実施形態の点火装置30は、点火プラグ7による放電開始後、放電の吹き消えが発生したことを検出する吹き消え検出部49を備えており、吹き消え後の再放電を実施不能な第2領域において吹き消えの発生が検出されたとき、エネルギ投入部50によるエネルギ投入を停止する。これにより、無駄なエネルギ投入を回避することで、無駄な電力消費や点火プラグ電極の消耗を抑制することができる。
このように、吹き消えの発生時期に応じて再放電の可否を適切に判別し、着火性の確保と点火プラグ電極の消耗の抑制とを両立することができる。
また、二次電流検出抵抗47及び二次電流検出回路48を備えることで、検出電流に基づくフィードバック制御により、二次電流I2の実値を目標二次電流I2*に精度良く一致させることができる。
また、エネルギ投入期間IGW中、二次電流I2は、常に負の値となり、交番電流を用いる他の方式のようにゼロクロスしないため、吹き消えの発生を防止することができる。
(ア)上記実施形態のエネルギ投入部50は、本出願人が開発した「一次コイルの接地側からエネルギ投入する方式」を採用している。この他、本発明の「エネルギ投入手段」として、エネルギ投入期間の途中でエネルギ投入を停止可能な方式であれば、従来の多重放電方式や特開2012−167665号公報に開示された「DCO方式」等の方式を採用してもよい。
二次電流I2を吹き消え検出に用いず、且つ、二次電流I2をフィードバック制御しない(例えばフィードフォワード制御する)場合には、二次電流検出抵抗47及び二次電流検出回路48を備えなくてもよい。
(エ)点火回路ユニット31は、電子制御ユニット32を収容するハウジング内に収容されるか、或いは点火コイル40を収容するハウジング内に収容されてもよい。
点火スイッチ45及びエネルギ投入部50は別々のハウジング内に収容されてもよい。例えば、点火コイル40を収容するハウジング内に点火スイッチ45が収容され、電子制御ユニット32を収容するハウジング内にエネルギ投入部50が収容されてもよい。
(カ)直流電源は、バッテリに限らず、例えば交流電源をスイッチングレギュレータ等によって安定化した直流安定化電源等で構成されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
30 ・・・点火装置、
40 ・・・点火コイル、
41 ・・・一次コイル、 42 ・・・二次コイル、
45 ・・・点火スイッチ、
49 ・・・吹き消え検出部(吹き消え検出手段)、
50 ・・・エネルギ投入部(エネルギ投入手段)、
6 ・・・バッテリ(直流電源)、
7 ・・・点火プラグ。
このように、吹き消えの発生時期に応じて再放電の可否を適切に判別し、着火性の確保と点火プラグ電極の消耗の抑制とを両立することができる。
Claims (4)
- 内燃機関(13)の燃焼室(17)において混合気に点火する点火プラグ(7)の動作を制御する点火装置(30)であって、
直流電源(6)から供給される一次電流が流れる一次コイル(41)、及び、前記点火プラグの電極に接続され、前記一次電流の通電及び遮断による二次電圧が発生し二次電流が流れる二次コイル(42)を有する点火コイル(40)と、
前記一次コイルの前記直流電源と反対側である接地側に接続され、点火信号(IGT)にしたがって前記一次電流の通電と遮断とを切り替える点火スイッチ(45)と、
前記点火スイッチにより前記一次電流を遮断し、前記遮断による二次電圧で前記点火プラグの放電を発生させた後の所定のエネルギ投入期間(IGW)において、エネルギを投入可能なエネルギ投入手段(50)と、
前記点火プラグによる放電開始後、放電の吹き消えが発生したことを検出する吹き消え検出手段(49)と、
を備え、
前記エネルギ投入期間の開始から前記点火プラグの吹き消え後の再放電が可能な時間領域である第1領域において、前記吹き消え検出手段によって吹き消えの発生が検出されたとき、前記エネルギ投入手段によるエネルギ投入を継続することを特徴とする点火装置。 - 前記第1領域が経過した後の第2領域において、前記吹き消え検出手段によって吹き消えの発生が検出されたとき、前記エネルギ投入手段によるエネルギ投入を停止することを特徴とする請求項1に記載の点火装置。
- 前記エネルギ投入期間に前記二次電流を検出する二次電流検出手段(48)を備え、
前記吹き消え検出手段は、
前記二次電流の絶対値が所定の吹き消え検出電流閾値を下回ったとき、吹き消えが発生したと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の点火装置。 - 前記エネルギ投入手段は、前記一次コイルの接地側から前記二次電流と同じ極性で重畳的にエネルギを投入可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の点火装置。
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