JP2018048230A - シート、フィルムおよび容器 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]以下の(I)および(II)を満たす熱可塑性樹脂組成物を含む、シート。
(I)10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる、15℃における貯蔵弾性率と40℃における貯蔵弾性率との比率G’@15℃/G’@40℃が、50以上
(II)JIS K7126−1に準拠し、試験温度40℃および試験湿度0%RHの条件で、酸素透過度(酸素透過係数、単位:cm3・mm/(m2・24h・atm))が、500以上
[2]前記熱可塑性樹脂組成物の、10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる損失正接tanδがピーク値となる温度は、20℃以上40℃以下である、[1]に記載のシート。
[3]前記熱可塑性樹脂組成物の、10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる損失正接tanδのピーク値は、0.5以上5.0以下である、[1]または[2]に記載のシート。
[4]前記熱可塑性組成物の、JIS K7127に準拠して引張速度200mm/分で伸張させた時の引張破断伸びが400%以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載のシート。
[5]前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、無機フィラー(B)と、を含有する組成物である、[1]〜[4]のいずれかに記載のシート。
[6]前記熱可塑性樹脂組成物は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)、および4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンから導かれる構成単位(ii)を含み、任意に非共役ポリエンから導かれる構成単位(iii)を含んでもよい4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体であって、構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%としたときに、構成単位(i)を55〜90モル%、構成単位(ii)を10〜45モル%、構成単位(iii)を0〜10モル%含む、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)を50質量%以上99質量%以下含有し、無機フィラー(B)を1質量%以上50質量%以下含有する組成物である、[1]〜[5]のいずれかに記載のシート。
[7]以下の(I)および(II)を満たす熱可塑性樹脂組成物を含む、フィルム。
(I)10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる、15℃における貯蔵弾性率と40℃における貯蔵弾性率との比率G’@15℃/G’@40℃が、50以上
(II)JIS K7126−1に準拠し、試験温度40℃および試験湿度0%RHの条件で、酸素透過度(酸素透過係数、単位:cm3・mm/(m2・24h・atm))が、500以上
[8][1]〜[6]のいずれかに記載のシートまたは[7]に記載のフィルムを含む容器。
[9]少なくとも胴部に前記シートを含む、[8]に記載の容器。
(I)10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる、15℃における貯蔵弾性率と40℃における貯蔵弾性率との比率G’@15℃/G’@40℃が、50以上
(II)JIS K7126−1に準拠し、試験温度40℃および試験湿度0%RHの条件で、酸素透過度(酸素透過係数、単位:cm3・mm/(m2・24h・atm))が、500以上
上記貯蔵弾性率の比率(G’@15℃/G’@40℃)が50以上である熱可塑性樹脂は、より低い温度での状態に比べて、加温時に、分子の流動性が十分に高まって気体状物質が通過できる多数の細孔が生じるため、気体状物質を透過させやすくなる。一方で上記熱可塑性樹脂は、通常時は分子の流動性が低く、上記細孔が生じにくいため、気体状物質を透過させにくい。そのため、上記貯蔵弾性率の比率(G’@15℃/G’@40℃)が上記範囲である熱可塑性樹脂組成物は、容器としたときに、加温時に容器内部の気体状物質を拡散させ、常温では容器内部の気体状物質の拡散を抑制する。上記観点からは、熱可塑性樹脂組成物の上記貯蔵弾性率の比率(G’@15℃/G’@40℃)は50以上800以下であることが好ましく、80以上600以下であることがより好ましい。上記貯蔵弾性率の比率(G’@15℃/G’@40℃)に特に上限はないが、800以下であることが好ましい。
1−1−1.4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の構成
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)および4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンから導かれる構成単位(ii)を含む。4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、任意に、非共役ポリエンから導かれる構成単位(iii)を含んでもよい。4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、1種単独で、または2種類以上を組み合せて用いることができる。
要件(a);
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]は、0.1dL/g以上5.0dL/g以下であることが好ましく、0.5dL/g以上4.0dL/g以下であることがより好ましく、0.5dL/g以上3.5dL/g以下であるさらに好ましい。上記極限粘度[η]が上記範囲である4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、シートまたはフィルム状の熱可塑性樹脂組成物への成形が容易である。
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(分子量分布:Mw/Mn)は、1.0以上3.5であることが好ましく、1.2以上3.0以下であることがより好ましく、1.5以上2.8以下であることがさらに好ましい。上記Mw/Mnが上記範囲である4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、低分子量、低立体規則性ポリマーによる成形性の低下が生じにくく、シートまたはフィルム状の熱可塑性樹脂組成物への成形が容易である。
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)のASTM D 1505に準拠して測定される密度は、830kg/m3以上870kg/m3以下であることが好ましく、830kg/m3以上865kg/m3以下であることがより好ましく、830kg/m3以上855kg/m3以下であることがさらに好ましい。上記密度が上記範囲である4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、軽量であるため、持ち運びや取扱いが容易な容器を製造しやすい。
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、上記構成単位(i)〜構成単位(iii)を導くモノマーを、マグネシウム担持型チタン触媒またはメタロセン触媒などの適当な触媒の存在下で重合させて,製造することができる。重合は、溶解重合および懸濁重合などを含む液相重合法、ならびに気相重合法などから適宜選択して行うことができる。
無機フィラー(B)は、熱可塑性樹脂組成物に添加される無機化合物であればよい。無機フィラー(B)の例には、カーボンブラックまたはグラファイトもしくはシランカップリング剤などにより表面処理が施されたカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカ(煙霧質シリカ、沈降性シリカ、珪藻土および石英などを含む)、アルミナ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化チタン、三酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化バリウムおよび酸化カルシウムなどを含む酸化物系フィラー、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどを含む水酸化物系フィラー、珪酸アルミニウム(クレー)、珪酸マグネシウム(タルク)、マイカ、珪酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズなどを含む珪酸塩系フィラー、珪藻土および石灰岩などを含む堆積岩系フィラー、モンモリロン石(モンモリロンナイト)、マグネシアンモンモリロン石、テツモンモリロン石、テツマグネシアンモンモリロン石、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノントロン石、アルミニアンノントロナイト、サポー石(サポナイト)、アルミニアンサポー石、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、およびベントナイトなどを含む粘土鉱物系フィラー、フェライト、鉄およびコバルトなどを含む磁性系フィラー、銀、金、銅およびこれらの合金などを含む導電性フィラー、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、シリコンカーバイト、窒化ボロンなどが含まれる。
上記熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物は、公知の方法で製造することができる。たとえば、4MP1系組成物は、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)中に無機フィラー(B)を略均一に分散させて、製造することができる。たとえば、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)、無機フィラー(B)およびその他の添加剤をロールミル、バンバリーミキサーまたは押出機などによって溶融混錬すればよい。容器の製造を容易にする観点からは、上記熱可塑性樹脂組成物は、シートまたはフィルム状に成形してもよい。
容器は、少なくとも部分的に上記熱可塑性樹脂から形成されればよい。容器の全体が上記熱可塑性樹脂組成物から形成されるときは、容器を一体的に成形できるため容器の製造が容易である。なお、容器の一部が別の材料からなるときは、それぞれの部分を別個に成形し、接着剤、熱融着または超音波融着などによって接合させて、容器を製造してもよい。
共重合体中の4−メチル−1−ペンテン及びプロピレン(炭素数3のα−オレフィン)の含有率(モル%)は、13C−NMRにより測定した。測定条件は、下記のとおりである。
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
共重合体の極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中、135℃で測定した。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
共重合体の重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。測定条件は、下記のとおりである。
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
共重合体のメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定した。単位は、g/10min)である。
共重合体の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定した。
共重合体の融点(Tm)は、測定装置として示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル(株)製)を用いて測定した。
約5mgの共重合体を測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱した。共重合体を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行なった。この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を共重合体の融点(Tm)とした。
動的粘弾性の測定では、厚さ3mmのプレスシートを測定試料として用い、さらに動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出した。ANTONPaar社製MCR301を用いて、10rad/sの周波数で−40〜150℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、0〜40℃の範囲でガラス転移温度に起因する損失正接(tanδ)がピーク値(最大値)となる際の温度(以下「ピーク値温度」ともいう。)、およびその際の損失正接(tanδ)の値を測定した。
厚みが200μmのシートを、幅25mm×長さ100mmのダンベル状に切断したものを試験片として用いた。
JIS K7127(1999)に準拠し、引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/min、及び温度23℃の条件で、試験片の引張弾性率(YM)(単位:MPa)、引張破断伸び(EL)(単位:%)、および引張破断強度(TS)(単位:MPa)を測定した。
厚みが100μmのフィルムを、幅30mm×長さ30mmの形状に切断したものを試験片として用いた。JIS K7126−1に準拠し、差圧法ガス透過率測定装置(東洋精機製作所製)を用いて、試験温度23℃及び試験湿度0%RHの条件で、フィルムの測定面積を5cm2にして測定した。フィルムの測定面積は、中央部に直径25mmの孔を開けたモダンコトロール社製の粘着剤付きアルミマスクを2枚用意し、この2枚のマスクで、測定対象のフィルムを挟み込むように積層し、調整した。詳細には、フィルムを中央部の孔が2枚のマスクで重なるように配置している。
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn−ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4−メチル−1−ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
国際公開第2006/054613号の比較例7において、4−メチル−1−ペンテンと1−デセンとの割合を変更することによって、共重合体A−3を得た。
共重合体A−1 100質量部を、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を230℃、ダイス温度を230℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み200μmで押し出し、キャスト成形することにより、実施例1のフィルムを得た。
共重合体A−1 40質量部と、共重合体A−2 60質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2のフィルム(厚み:200μm)を得た。
共重合体A−1 40質量部と、共重合体A−2 60質量部と、炭酸カルシウムB−1 30質量部を二軸押出機(サーモプラスチックス(株)製)で混合し、得られた組成物のペレットを実施例1と同様の方法により成形して、実施例3のフィルム(厚み:200μm)を得た。
共重合体A−3 100質量部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により成形して、比較例1のフィルム(厚み:200μm)を得た。
Claims (9)
- 以下の(I)および(II)を満たす熱可塑性樹脂組成物を含む、シート。
(I)10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる、15℃における貯蔵弾性率と40℃における貯蔵弾性率との比率G’@15℃/G’@40℃が、50以上
(II)JIS K7126−1に準拠し、試験温度40℃および試験湿度0%RHの条件で、酸素透過度(酸素透過係数、単位:cm3・mm/(m2・24h・atm))が、500以上 - 前記熱可塑性樹脂組成物の、10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる損失正接tanδがピーク値となる温度は、20℃以上40℃以下である、請求項1に記載のシート。
- 前記熱可塑性樹脂組成物の、10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる損失正接tanδのピーク値は、0.5以上5.0以下である、請求項1または2に記載のシート。
- 前記熱可塑性組成物の、JIS K7127に準拠して引張速度200mm/分で伸張させた時の引張破断伸びが400%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート。
- 前記熱可塑性樹脂組成物は、
熱可塑性樹脂(A)と、無機フィラー(B)と、を含有する組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート。 - 前記熱可塑性樹脂組成物は、
4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)および
4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンから導かれる構成単位(ii)を含み、
任意に非共役ポリエンから導かれる構成単位(iii)を含んでもよい
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体であって、
構成単位(i)、(ii)および(iii)の合計を100モル%としたときに、
構成単位(i)を55〜90モル%、
構成単位(ii)を10〜45モル%、
構成単位(iii)を0〜10モル%含む、
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)を50質量%以上99質量%以下含有し、
無機フィラー(B)を1質量%以上50質量%以下含有する
組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート。 - 以下の(I)および(II)を満たす熱可塑性樹脂組成物を含む、フィルム。
(I)10rad/sの周波数で動的粘弾性測定して得られる、15℃における貯蔵弾性率と40℃における貯蔵弾性率との比率G’@15℃/G’@40℃が、50以上
(II)JIS K7126−1に準拠し、試験温度40℃および試験湿度0%RHの条件で、酸素透過度(酸素透過係数、単位:cm3・mm/(m2・24h・atm))が、500以上 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のシートまたは請求項7に記載のフィルムを含む、容器。
- 少なくとも胴部に前記シートを含む、請求項8に記載の容器。
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