JP2018047618A - 多芯式筆記具 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも細い軸径の多芯式筆記具を提供する。【解決手段】多芯式筆記具1が、軸筒4と、複数のリフィル6と、軸筒4内に配置されたスペーサ20とを具備し、スペーサ20の外周面には、軸線方向に延び且つリフィル6の各々が挿入される複数のガイド溝22が形成されており、ガイド溝22間のスペーサ20の外周面が軸筒4の内周面と係合することによって、スペーサ20が軸筒4に対して取り付けられ、リフィル6の各々を、包囲し且つ後方に付勢する複数のコイルばね8をさらに具備し、ガイド溝22間の前記スペーサ20の外周面には第1突起33が形成され、軸筒4の内周面には第1突起33と係合する第2突起34が形成され、軸筒4を軸線方向から見て、スペーサ20の第1突起33を外接する円に対して少なくとも1つのコイルばね8が内接するように配置される。【選択図】図1
Description
本発明は、複数のリフィルを備えた多芯式筆記具に関する。
複数のリフィルを備え、所望のリフィルを選択的に出没可能な多芯式筆記具が公知である(特許文献1)。特許文献1の多芯式筆記具の軸筒内には、スペーサが配置されている。スペーサには、軸線方向に延びる複数の貫通孔が形成され、複数のリフィルが、各貫通孔に挿入されることによって、周方向に沿って所定間隔毎に離間しながら整列される。
一般に、多芯式筆記具は、複数のリフィルを1つの軸筒内に並列させて配置する必要があることから、1つのリフィルのみを有する筆記具と比較して必然的に軸筒の外径、すなわち軸径が太くなってしまう。
本発明は、従来よりも細い軸径の多芯式筆記具を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、軸筒と、複数のリフィルと、前記軸筒内に配置されたスペーサとを具備し、前記スペーサの外周面には、軸線方向に延び且つ前記リフィルの各々が挿入される複数のガイド溝が形成されており、前記ガイド溝間の前記スペーサの外周面が前記軸筒の内周面と係合することによって、前記スペーサが前記軸筒に対して取り付けられ、前記リフィルの各々を、包囲し且つ後方に付勢する複数のコイルばねをさらに具備し、前記ガイド溝間の前記スペーサの前記外周面には第1突起が形成され、前記軸筒の内周面には前記第1突起と係合する第2突起が形成され、前記軸筒を軸線方向から見て、前記スペーサの前記第1突起を外接する円に対して少なくとも1つの前記コイルばねが内接するように配置される多芯式筆記具が提供される。
また、別の態様によれば、前記係合が、前記スペーサの前記第1突起が前記軸筒の前記第2突起を乗り越えることによって係合が行われる多芯式筆記具が提供される。
本発明の態様によれば、従来よりも細い軸径の多芯式筆記具を提供するという共通の効果を奏する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の実施形態による多芯式筆記具1の縦断面図である。多芯式筆記具1は、前軸2と後軸3とを備え且つ全体として円筒状に形成された軸筒4と、筆記部5を備え且つ軸筒4内に収容された3本のリフィル6と、リフィル6の各々の後端部に前端部が接続された3つのノック部材7と、リフィル6の各々が内部を貫通する3つのコイルばね8と、スペーサ20とを有している。前軸2の前端には、リフィル6の筆記部5を突出させるための孔9が形成されている。
本明細書中では、多芯式筆記具1の軸線方向において、筆記部5側を「前」側と規定し、筆記部5とは反対側を「後」側と規定する。また、「軸線」又は「中心軸線」とは、特に断りのない限り、多芯式筆記具1の中心軸線を意味する。
後軸3の後端部の外周面には軸線方向に延びる3つの窓孔10が、中心軸線周りに等間隔に形成されている。各窓孔10内にはそれぞれノック部材7が配置される。ノック部材7は窓孔10に対応して中心軸線周りに等間隔に配列される。ノック部材7は窓孔10内で軸線方向に沿って前後移動することができる。このノック部材7の前後移動に応じて、軸筒4の前端、すなわち前軸2の孔9からリフィル6の筆記部5が突出したり後退したりする。ここで、筆記部5が軸筒4から突出した状態を筆記状態と称し、筆記部5が軸筒4内に没入した状態を非筆記状態(図1)と称す。
多芯式筆記具1では、公知のノック機構によって、ノック部材7を前方に押圧するノック操作に応じて、筆記状態と非筆記状態とが選択的に切り替えられる。すなわち、後軸3の後端部内周面には、軸線方向に延びる3つのレール11が形成されており、ノック部材7の各々は、各レール11間においてレール11に沿って前後方向にスライド可能に配置されている。ノック部材7及びこれに接続されたリフィル6は、コイルばね8によって後方へ付勢されている。
非筆記状態から筆記状態に切り替えるためには、所望のリフィル6が接続されたノック部材7を、ノック操作によってコイルばね8の付勢力に抗して前方に向かってスライドさせる。ノック部材7をレール11のレール長を越えてスライドさせると、ノック部材7はレール11の先端から離脱する。このとき、ノック部材7は、中心軸線に直交する方向、すなわち径方向に軸筒4内に入り込む。次いで、コイルばね8の付勢力によって、ノック部材7の後端がレール11の先端に係合すると、リフィル6の筆記部5が軸筒4の前端の孔9から突出し、筆記状態が確立される。
他方、筆記状態から非筆記状態に切り替えるためには、筆記状態のリフィル6に対応するノック部材7以外のノック部材7を、ノック操作によってコイルばね8の付勢力に抗して前方に向かってスライドさせる。ノック部材7は、レールに沿ってスライドする過程において、筆記状態にあるノック部材7に衝突し、当該ノック部材7のレール11との係合を解除する。その結果、コイルばね8の付勢力によって、当該ノック部材7に接続されたリフィル6は後退し、非筆記状態が確立される。
図2は、前軸2を外した状態の多芯式筆記具1の斜視図であり、図3は、前軸2及び後軸3を外した状態の多芯式筆記具1の斜視図であり、図4は、スペーサ20の斜視図であり、図5は、図1の線X−Xにおける断面図である。なお、図4(A)は、スペーサ20を前方側からみた斜視図であり、図4(B)は、スペーサ20を後方側から見た斜視図である。
スペーサ20は、例えばABS樹脂等の樹脂材料から射出成形によって一体的に形成される。また、本実施形態において、スペーサ20は、軸筒4、例えば後軸3と別体であるが、一体に形成してもよい。すなわち、「スペーサ」とは、リフィル6間やコイルばね8間、又はそれ以外の2中心柱材が互いに干渉しないように離間させるものであるから、それが別体であっても軸筒の一部、例えば後軸3の内側に一体的に形成されたものであってもよい。
スペーサ20は、中実のスペーサ本体21を有している。本実施形態では、スペーサ本体21は、円柱状であるが、他の柱形状であってもよい。スペーサ本体21の外周面には、軸線方向に延び且つリフィル6の各々が挿入される複数のガイド溝22が形成されている。ガイド溝22は、スペーサ本体21の前端面から後端面に亘り形成されている。本実施形態では、ガイド溝22は、リフィル6の本数に対応して3つであり、これらは中心軸線周りに等間隔に形成されている。ガイド溝22は、対向する平行且つ幅狭な平面部分23が、略半円筒形状の曲面部分24に接続された内面形状を有している(図4)。ガイド溝22の深さは、リフィル6の径よりも僅かばかり大きい程度で、リフィル6がちょうど収まるように設定される。したがって、スペーサ本体21の外径は、各ガイド溝22内に挿入された3本のリフィル6を内接するように設定される。リフィル6は、ガイド溝22に案内されることによって、接続されたノック部材7と共に前後方向に移動可能である。
スペーサ本体21の後端面には、中心軸線に沿って後方に向かって延びる1本の中心柱25が形成されている。また、スペーサ本体21の後端面において、ガイド溝22間の外周縁近傍には、後方に向かって延びる3本の支柱26が形成されている。したがって、スペーサ本体21の後端面において、ガイド溝22の各々の周囲には、中心柱25と2本の支柱26が配置されている。中心柱25及び支柱26は、それぞれ略同一長さに形成されている。スペーサ本体21の後端面のガイド溝22周辺には、円弧状の微小な支持領域27が形成されている(図4(B))。
スペーサ20のスペーサ本体21の後端面とノック部材7との間にはコイルばね8が挟み込まれる。すなわち、コイルばね8の前端は、支持領域27と当接することによって支持されており、コイルばね8の後端は、ノック部材の前端部が挿入されている。ガイド溝22を貫通したリフィル6の後端部は、コイルばね8に包囲されながらノック部材7の前端部に接続されている。これら構成によって、ノック部材7は後方に向かって付勢された状態となり、コイルばね8はノック部材7を前方に押圧する力に対抗する弾発力を生じさせる。
図5に示されるように、コイルばね8の各々は、中心柱25の側面と2本の支柱26の側面と後軸3の内周面とによって包囲され、それによって横断方向の移動について規制されている。すなわち、コイルばね8の周方向への移動については、支柱26の側面に形成された第1規制面28によって規制され、コイルばね8の径方向内方への移動については、中心柱25の側面に形成された第2規制面29によって規制され、コイルばね8の径方向外方への移動については、後軸3の内周面に形成された第3規制面30によって規制されている。第1規制面28及び第2規制面29の各々は、円筒形状のコイルばね8を概ね受容するような形状に湾曲している。第1規制面28、第2規制面29及び第3規制面30の各々は、軸線方向に延びている。
支柱26の各々は、略三角形の横断面形状を有する柱状に形成されている。支柱26の2つの側面は、上述したように第1規制面28を構成し、残りの1面は後軸3の内周面、すなわち後述する第4規制面35に当接している。中心柱25は、多芯式筆記具1が3本のリフィル6を有することから、略三角形の横断面形状を有する柱状に形成されている。中心柱25の3つの側面は、上述したように第2規制面29を構成する。中心柱25は、多芯式筆記具に収容されるリフィル6の数に応じた略多角形の横断面形状を有する柱状に形成される。
スペーサ本体21の中間部分には、環状のリングが嵌められたように、全周に亘る突起状のフランジ部31が形成されている。フランジ部31は、ガイド溝22の各々を架橋するように形成されていることから、ガイド溝22内へのリフィル6の挿入を阻害することはない。フランジ部31よりも前方のスペーサ本体21の外周面、すなわちガイド溝22間の外周面には雄ネジ部32が形成されている。スペーサ20の雄ネジ部32は、前軸2の後端部の内周面に形成された雌ネジ部(図1)と螺合する。他方、フランジ部31よりも後方のスペーサ本体21の外周面、すなわちガイド溝22間の外周面の各々には、周方向に沿って且つ軸線方向に並列して配置された複数の第1突起33が形成されている。ここで、複数の第1突起33に関連し、後軸3について説明する。
図6は、後軸3の縦断面図である。後軸3は、上述したように、3つの窓孔10と、3つのレール11が形成されている。また、コイルばね8が配置される位置に対応する後軸3の内周面には、軸線方向に延びる溝状に、上述した3つの第3規制面30が形成されている。第3規制面30間の各々の前端部寄りの内周面には、周方向に沿って且つ軸線方向に並列して配置された複数の第2突起34が形成されている。第3規制面30間の複数の第2突起34の後方には、軸線方向に延びる第4規制面35が形成されている。
スペーサ20の第1突起33は、後軸3の第2突起34を乗り越えることによって係合が行われる。すなわち、スペーサ20を後軸3に取り付ける場合には、後軸3の前端開口から、スペーサ20の後端部を挿入する。このとき、スペーサ20の第1突起33が後軸3の第2突起34と当接するが、さらに挿入すると、第1突起33及び第2突起34のいずれか一方若しくは両方、又は、スペーサ20及び後軸3のいずれか一方若しくは両方が弾性変形し、第1突起33が軸線方向において第2突起34を乗り越える。その結果、スペーサ20は、軽く引っ張っただけでは、後軸3から抜けない程度に後軸3と係合する。
多芯式筆記具1を組み立てる場合には、まずノック部材7及びコイルばね8を後軸3内に配置し、スペーサ20を後軸3内に挿入する。このとき、フランジ部31の後端面が、後軸3の前端面と当接するまで、スペーサ20を後軸3内に挿入し、係合させる。次いで、スペーサ20のガイド溝22の各々に、リフィル6に挿入する。このとき、リフィル6の後端部がノック部材7の前端部に接続されるまで、リフィル6を奥まで押し込む。次いで、前軸2の雄ネジ部を、後軸3の前端部から露出しているスペーサ20の雄ネジ部32に対して螺合させる。このとき、前軸2の後端面が、スペーサ20のフランジ部31の前端面と当接するまで、前軸2を回転し螺合させることによって、組み立てが完了する。
ここで、特許文献1に記載されているような従来の多芯式筆記具では、新しいリフィルの交換の際に、前軸を外した後軸の前端開口から、スペーサの貫通孔にリフィルを挿入する必要がある。しかしながら、スペーサの貫通孔は前端開口から離間して配置されていることから、使用者は、後軸の前端開口から中を覗き込みながら作業をする必要があり、リフィルの挿入作業が困難である。また、スペーサの貫通孔の内径は、リフィルの外径よりも僅かに大きい程度で非常に小さい孔であることから、覗き込みながら挿入作業をより困難なものにしている。
他方、図2に示され且つ上述したように、多芯式筆記具1では、スペーサ20の前部分が後軸3の前端開口から前方へ突出し、そのため、特許文献1の貫通孔に相当するガイド溝22の前部分が外部に露出している。したがって、リフィル6の交換の際には、まずリフィル6の後端部を、露出したガイド溝22の任意の位置に配置する。次いで、そのままリフィル6を後方へ押し込むことによって、ガイド溝22に沿って案内されながら、リフィル6を容易に後軸3内に挿入することができる。その結果、細い軸筒の中を覗き込み、貫通孔の位置を探し当てるようなことをする必要がなく、リフィル6の交換作業を容易に行うことができる。
なお、本実施形態において、後軸3から前方へ突出するスペーサ20の外周面には、径方向外方へ開口するガイド溝22が形成されているが、ガイド溝22に代えて、特許文献1に記載のように軸線方向に延びる貫通孔を形成してもよい。その場合、スペーサの前端面に貫通孔の入口が形成されることになるが、これも外部に露出していることから、リフィル6を容易に挿入させることができる。
ところで、特許文献1の多芯式筆記具のスペーサの支柱のように、一端が自由端となるように形成された細い梁状部材を樹脂で成型すると、成型後の冷却による熱収縮によって梁状部材が反ってしまい、意図した形状を保つことができない場合がある。これに関し、図7を参照しながら具体的に説明する。
図7は、従来のスペーサ120の支柱126の熱収縮を説明する概略図である。詳細には、図7(A)は、射出成形直後のスペーサ120の支柱126の概略図であり、図7(B)は、冷却されて熱収縮した後のスペーサ120の支柱126の概略図である。図7(A)に示されるように、射出成形直後に平行に成形された隣接する2本の支柱126は、図7(B)に示されるように、熱収縮によってこれら先端が互いに接近する方向に反ってしまう。そのため、これらの間に配置されるコイルばね108と干渉し、ノック操作の不良の原因となる。熱収縮による影響を抑える方法について、図8を参照しながら具体的に説明する。
図8は、上述したスペーサ20の支柱26の熱収縮を説明する概略図である。詳細には、図8(A)は、射出成形直後のスペーサ20の支柱26の概略図であり、図8(B)は、冷却されて熱収縮した後のスペーサ20の支柱26の概略図であり、図8(C)は、スペーサ20を後軸3に取り付けた状態の概略図である。
図8(A)に示されるように、スペーサ20の支柱26は、熱収縮による変形を予め想定して、すなわち、予め理想形状から外れた変形形状に成形される。スペーサ20の支柱26において重要なのは、コイルばね8の伸縮を阻害しない空間を画成することである。したがって、最終的に、コイルばね8に対向する支柱26の面、具体的には上述した第1規制面28が、コイルばね8の軸線方向と平行であることが好ましい。そこでまず、支柱26の第1規制面28が、先端に向かうほど反って、言い換えるとテーパー状に形成する。それによって、隣接する2本の支柱26の先端は、理想形状よりも互いに大きく離間し、拡がっている。
その後、図8(B)に示されるように、支柱26は、熱収縮によってこれら先端が互いに接近する方向に反り、第1規制面28が、コイルばね8の軸線方向と平行になる寸前まで変形する。すなわち、この時点では、隣接する2本の支柱26の先端は、理想形状よりも互いに僅かばかり離間している。そこで、多芯式筆記具1の組み立てのためにスペーサ20を後軸3内に挿入すると、スペーサ20の支柱26の外面は、その挿入の過程において後軸3の第4規制面35上をスライドする。スペーサ20の支柱26の各々の先端は、第4規制面35上のスライドによって、徐々に互いに接近する方向に移動し、支柱26は理想形状に矯正される(図8(C))。すなわち、後軸3、特に第4規制面35が、スペーサ20の支柱26の変形形状を、理想形状に矯正する矯正部材として機能する。
後軸3の第4規制面35は、こうした矯正を可能にするため、スペーサ20の支柱26のテーパー状と相補的な形状面に形成されている。すなわち、第4規制面35は、後軸3の奥の方がより中心軸線に接近するような相補的なテーパー状の面に形成されている。それによって、第4規制面35上をスライドした支柱26の各々の先端は、反った方向と逆方向に押圧され、理想形状に矯正される。よって、この方法によれば、設計どおりに製造された筆記具及び筆記具の製造方法を提供することが可能となる。
なお、上述したような、予め理想形状から外れた変形形状に成形された樹脂成形部材と、樹脂成形部材の変形形状を理想形状に矯正するように形成された矯正部材とを有する構成は、熱収縮をする樹脂成形部材を用いた部材に対して広く適用できる。したがって、本実施形態における支柱26の製造に限定されることなく筆記具全般の部材に適用可能であり、さらにはその他様々な分野、例えば化粧品の分野においても適用可能である。この場合、樹脂成形部材は、梁状部材であることが好ましい。
ところで、特許文献1のような多芯式筆記具において、ノック部材にリフィルが接続された状態では、ノック操作を行うと、リフィルが支柱の役割を果たし、コイルばねは中心軸線に沿って真っ直ぐ圧縮される。一方、リフィルの交換作業中のようにリフィルが無い非筆記状態でノック操作を行うと、コイルばねがその圧縮時にコイルばねの中心軸線に対して蛇行してしまう場合がある。コイルばねが蛇行すると、支柱や隣接するコイルばねに接触し、ノック操作の不良の原因となる。これに関し、図9を参照しながら説明する。
図9は、非筆記状態のスペーサ及びノック部材の関係を示す概略図である。詳細には、図9(A)は、従来のスペーサ120及びノック部材107の関係を示す概略図であり、図9(B)は、上述したスペーサ20及びノック部材7の関係を示す概略図であり、それぞれのコイルばねにリフィルは挿入されていない。
図9(A)を参照すると、コイルばね108は、スペーサ120の中心柱125の側面及び2本の支柱126の側面と図示しない後軸の内周面とによって包囲され、それによって横断方向の移動について規制されている。ところが、中心柱125及び支柱126を越えて、すなわちスペーサ120の後端を越えて後方へ延びるコイルばね108の部分については、その後端部がノック部材107によって支持されているのみである。言い換えると、コイルばね108の当該部分については、ノック部材107のノック部本体136が、コイルばね108の後端から挿入されており、ノック部材107のノック部本体136が挿入されたコイルばね108の部分についてのみ、横断方向の移動が規制されている。
したがって、図9(A)において範囲Lで示されるコイルばね108の部分、すなわち、スペーサ120の後端からノック部本体136の前端までのコイルばね108の部分については、外的な規制はされていない。よって上述したように、コイルばねがその圧縮時にコイルばねの中心軸線に対して蛇行してしまう場合がある。
他方、図9(B)を参照すると、上述したように、コイルばね8は、スペーサ20の中心柱25の側面及び2本の支柱26の側面と後軸3の内周面とによって包囲され、それによって横断方向の移動について規制されている。さらに、中心柱25及び支柱26、又は、ノック部材7のいずれか一方又は両方を延ばすことによって、中心柱25及び支柱26を越えて、すなわちスペーサ20の後端を越えて後方へ延びるコイルばね8の部分が、ノック部材7の接続部によって支持されている。すなわち、ノック部材7の接続部であるノック部本体36がコイルばね8の後端から挿入され、スペーサ20の後端を越えて前方へ延びている。言い換えると、ノック部材7のノック部本体36の前端が、スペーサ20の後端よりも前方に配置されている。したがって、コイルばね8はその全長に亘り、横断方向の移動が規制されていることから、リフィル6が無い非筆記状態でのノック操作を行っても、コイルばね8が蛇行してしまうことはない。
なお、仮に、軸線方向の位置において、ノック部材7のノック部本体36の前端とスペーサ20の後端との間に規制されていないコイルばね8の部分があったとしても、例えばそれがリフィル6の外径程度やコイルばね8の座巻の長さ程度であった場合、コイルばね8自体の剛性によって蛇行が防止される場合がある。したがって、コイルばね8自体の剛性によって蛇行が防止される限りにおいて、ノック部材7のノック部本体36の前端と、すなわちスペーサ20の後端とが軸線方向の位置において近接して配置してもよい。
多芯式筆記具において、軸筒の外径、すなわち軸径を如何に細くするかということ、すなわち細軸化は、一般的な課題である。そこで、本実施形態の多芯式筆記具1において、軸径を細くする構成について、以下説明する。
図10は、コイルばね8の移動可能範囲を示す概略図である。図10(A)から図10(C)の各図において、大きな1つの大円は後軸3、特にその内周面の概略を示し、小さな3つの小円はコイルばね8の概略を示し、各小円周りの破線は、各コイルばね8の移動可能範囲の境界Dを示す。ここで移動可能範囲とは、中心柱25の側面と2本の支柱26の側面と後軸3の内周面、すなわち上述した第3規制面30とによって規制された範囲内でコイルばね8が移動できる範囲をいう。言い換えると、移動可能範囲の境界Dとなるように、第1規制面28、第2規制面29及び第3規制面30の位置及び形状が、そのように設定される。一般に、コイルばねの外径は、圧縮するに従って大きくなる。
図10(A)は、コイルばね8を圧縮したときの最大外径d1を有する円形として、移動可能範囲の境界Dを設定した場合を示す。境界Dをこのように設定すると、後軸3の内径を最小にすることができ、したがって軸径も最小にすることができる。しかしながら、移動可能範囲の境界Dを、コイルばね8が圧縮したときの最大外径を基準に設定してしまうと、クリアランスが全くなくなり、コイルばね8の伸縮時の周囲との抵抗が大きくなり、円滑なコイルばね8の伸縮ができない。
他方、図10(B)は、全ての横断方向に対して十分なクリアランスを確保するような径d2を有する円形として、移動可能範囲の境界Dを設定した場合を示す。境界Dをこのように設定すると、軸径を十分に細くすることができない。
そこで、図10(C)に示されるように、境界Dを設定する。すなわち、境界Dとして、図10(B)を参照しながら上述した径d2の円形の境界Dを、図10(A)を参照しながら上述した距離d1だけ離間した平行線、すなわち径d1の同心円の外接線で画成した形状となるように設定する。より詳細には、2本の平行線の中心軸線側の各々の両端が接するようにコイルばね8の中心が来るように、コイルばね8の各々の位置を決定する。したがって、中心軸線周りには、境界Dの一部によって正三角形が描かれる。仮にリフィル6を4本有する多芯式筆記具1の場合には、正方形となる。後軸3の内径は、こうした境界Dが内接するように決定される。
境界Dを、図10(C)に示されるように設定することによって、コイルばね8の径方向の移動を距離d1に規制しつつ、周方向に十分なクリアランスを確保するよう、距離d2に規制することができる。したがって、円滑なコイルばね8の伸縮を実現しつつ、軸径を十分に細くすることができる。なお、コイルばね8が、軸筒4内において、径方向の移動の方が周方向の移動よりも規制されるように構成する限りにおいて、任意の構成を採用し得る。そのため図10(C)のようなコイルばね8の移動可能範囲の境界Dの形状以外にも、楕円形状又は長穴形状となるように境界Dを設定してもよい。
図11は、スペーサとコイルばねとの関係を示す概略図である。詳細には、図11(A)は、従来のスペーサ120とコイルばね108との関係を示す概略図であり、図11(B)は、上述したスペーサ20とコイルばね8との関係を示す概略図であり、それぞれ軸筒を軸線方向から見た概略図である。
まず、図11(B)を参照すると、上述したように、スペーサ20の外周面には第1突起33が形成されており、後軸3の第2突起34を乗り越えることによって係合が行われ、スペーサ20が後軸3に対して取り付けられる。スペーサ20の第1突起33及び後軸3の第2突起34の各々の高さは略同一であり、軸筒4を軸線方向から見たこの高さ部分、すなわち係合幅を、領域Sで示す。図11(A)に示されたスペーサ120も同様の係合が行われている。
図11(A)を参照すると、3本のコイルばね108は、従来のスペーサ120の外径に包含されるように配置される。すなわち、3本のコイルばね108の各々は、上述した本実施形態と同様に、図示しない中心柱及び3本の支柱によって、従来のスペーサ120の外径に包含されるように規制されている。そのため、軸径は、係合のための突起の高さを含まないスペーサ120の外径と、上述した領域Sで示された係合幅と、後軸103の肉厚とによって決定される。したがって、コイルばね108の配置は、軸径とは無関係であり、軸径を細くすることができない。
他方、図11(B)を参照すると、3本のコイルばね8は、スペーサ20の第1突起33を外接する円に対して内接するように、すなわち、第1突起33の高さ分の領域である領域Sの外周円と内接するように配置される。詳細には、3本のコイルばね8は、上述したように、ここでは図示しない中心柱25及び3本の支柱26によって、スペーサ20の第1突起33を外接する円に対して内接するように規制されている。そのため、図5に示されるように、コイルばね8の各々は、隣接する支柱26よりも径方向外方へ突出するように配置されている。よって軸径は、3本のコイルばね8の外接円又はスペーサ20の第1突起33の外接円の径と、後軸3の肉厚とによって決定され、上述した領域Sで示された係合幅は、軸径を決定するに際して無視することができる。その結果、軸径を十分に細くすることができる。
なお、別の実施形態として、少なくとも1つのコイルばね8が、スペーサ20の第1突起33を外接する円に対して内接するようにしてもよい。また、コイルばね8を、第1突起33を含まないスペーサ20の外径の円に内接するように配置してもよい。本実施形態では、スペーサ20の第1突起33が、後軸3の第2突起34を乗り越える構成であったが、スペーサ20の第1突起33を雄ネジとし、後軸3の第2突起34を雌ネジとし、スペーサ20と後軸3とを螺合によって係合させてもよい。この場合、上述した図11(B)における係合幅の領域Sは、ネジ山の高さに相当する。
こうしたコイルばね8の配置は、上述したようなガイド溝22が形成されたスペーサ20と組み合わせることによって、軸径をより細くすることができる。すなわち、スペーサ20にガイド溝22が形成されていることによって、後述するようにスペーサ20を細くすることができ、コイルばね8の配置による細軸化の効果を発揮する。
図12は、前軸及び後軸の接続部分を示す概略図である。詳細には、図12(A)は、従来の前軸102及び後軸103の接続部分を示す概略図であり、図12(B)は、上述した前軸2及び後軸3の接続部分を示す概略図である。
図12(A)を参照すると、前軸102は、後軸103に対して螺合によって接続されている。すなわち、前軸102の後端部の外周面には雄ネジが形成され、後軸103の前端部の内周面には雌ネジが形成され、これら雌ネジと雄ネジが螺合する。当然のことながら、前軸102の外周面と後軸103の外周面とは、面一に形成される必要があり、且つ、強度も確保する必要がある。そのため、螺合部分の軸筒の肉厚、すなわち図12においては前軸102の後端部の肉厚は、その分だけ、例えば他の部分の肉厚の2倍だけ、厚く形成しなければならない。結果として、軸径も太くなってしまう。仮に、螺合部分の肉厚を、他の部分と同程度にしようとすると、雄ネジ部分の肉厚を薄くするか又は雌ネジ部分の肉厚を薄くする必要がある。その結果、螺合部分の強度が弱くなり、前軸2又は後軸3が割れやすくなってしまう。
他方、図12(B)を参照すると、上述したように、前軸2及び後軸3は、スペーサ20を介して接続される。すなわち、スペーサ20が、前軸2の雌ネジ部と螺合する雄ネジ部32を有していることから前軸2の肉厚を厚くするものでなく、且つ、後軸3の第2突起34と嵌合する第1突起33を有していることから、後軸3の肉厚を厚くするものではない。よって、スペーサ20の前部の外周面及び後部の外周面が、前軸2の内周面及び後軸3の内周面とそれぞれ係合することによって、軸径を細くすることが可能となる。
また、スペーサ20は、外周面に形成されたガイド溝22内にリフィル6を挿入するものであり、特許文献1に記載された多芯式筆記具のように、リフィルが挿入される貫通孔における径方向外側の厚み分、軸径を細くすることができる。すなわち、スペーサ本体21の外径は、各ガイド溝22内に挿入された3本のリフィル6を内接するように設定され、スペーサ20自体が軸径を太くするような構成ではない。さらに、スペーサ20は、そもそも多芯式筆記具1において必至な構成であり、それを利用しようとするものである。よって、スペーサ20を介して前軸2及び後軸3を接続することによって、軸径を細くすることが可能となる。
この細軸化の構成によれば、強度を低下させるような、前軸2又は後軸3の肉厚を薄くすることなく細軸化を実現することができる。なお、前軸2及びスペーサ20の螺合による接続を、後軸3及びスペーサ20の接続のように、互いの突起を乗り越えて係合するような接続にしてもよい。
上述した実施形態では、多芯式筆記具1は、3本のリフィル6を有しているが、2本又は4本以上であってもよく、そのうちの1本を、ボールペン用リフィルの代わりにシャープペンシル又はその他種類のリフィルとしてもよい。また、上述した実施形態では、多芯式筆記具1は、ノック式であったが、前軸又は後軸を、中心軸線周りに回転させることによってリフィルが出没する回転繰り出し式であってもよい。
以上、多芯式筆記具1の様々な特徴的構成について説明してきたが、これら特徴的構成は、独立した構成として又は任意に組み合わせた構成として適用することが可能である。
1 多芯式筆記具
2 前軸
3 後軸
4 軸筒
6 リフィル
7 ノック部材
8 コイルばね
20 スペーサ
22 ガイド溝
25 中心柱
26 支柱
32 雄ネジ部
33 第1突起
34 第2突起
36 ノック部本体
2 前軸
3 後軸
4 軸筒
6 リフィル
7 ノック部材
8 コイルばね
20 スペーサ
22 ガイド溝
25 中心柱
26 支柱
32 雄ネジ部
33 第1突起
34 第2突起
36 ノック部本体
Claims (2)
- 軸筒と、複数のリフィルと、前記軸筒内に配置されたスペーサとを具備し、
前記スペーサの外周面には、軸線方向に延び且つ前記リフィルの各々が挿入される複数のガイド溝が形成されており、
前記ガイド溝間の前記スペーサの外周面が前記軸筒の内周面と係合することによって、前記スペーサが前記軸筒に対して取り付けられ、
前記リフィルの各々を、包囲し且つ後方に付勢する複数のコイルばねをさらに具備し、
前記ガイド溝間の前記スペーサの前記外周面には第1突起が形成され、前記軸筒の内周面には前記第1突起と係合する第2突起が形成され、前記軸筒を軸線方向から見て、前記スペーサの前記第1突起を外接する円に対して少なくとも1つの前記コイルばねが内接するように配置されることを特徴とする多芯式筆記具。 - 前記係合が、前記スペーサの前記第1突起が前記軸筒の前記第2突起を乗り越えることによって係合が行われることを特徴とする請求項1に記載の多芯式筆記具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016184523A JP2018047618A (ja) | 2016-09-21 | 2016-09-21 | 多芯式筆記具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016184523A JP2018047618A (ja) | 2016-09-21 | 2016-09-21 | 多芯式筆記具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018047618A true JP2018047618A (ja) | 2018-03-29 |
Family
ID=61767057
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016184523A Pending JP2018047618A (ja) | 2016-09-21 | 2016-09-21 | 多芯式筆記具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018047618A (ja) |
-
2016
- 2016-09-21 JP JP2016184523A patent/JP2018047618A/ja active Pending
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