JP2018046085A - 炭化珪素のエピタキシャル成長方法 - Google Patents

炭化珪素のエピタキシャル成長方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱CVD法によるSiC薄膜のエピタキシャル成長において、ウェハ内のドーピング密度の均一性を高めることができると共に、同一バッチのウェハ間のばらつきを抑えることができるSiC薄膜の成長方法を提供する。
【解決手段】炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスを用いて、熱CVD法により、反応容器内の炭化珪素単結晶基板上にドーピングされた炭化珪素薄膜を形成する炭化珪素のエピタキシャル成長方法において、前記炭化水素原料ガスが、メタン及びアセチレンからなる群から選ばれた1種又は2種からなるガスAと、エチレン及びエタンからなる群から選ばれた1種又は2種からなるガスBとの混合ガスであり、ガスBに対するガスAの割合が0.1Vol%以上10Vol%以下であることを特徴とする炭化珪素のエピタキシャル成長方法である。
【選択図】図1

Description

この発明は、炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶薄膜を成長させる炭化珪素のエピタキシャル成長方法に関するものである。
炭化珪素(以下、SiCと表記する場合がある)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、物理的、化学的に安定なことから、耐環境性半導体材料として注目されている。また、近年、高周波高耐圧電子デバイス等の基板としてエピタキシャルSiCウェハの需要が高まっている。
SiC単結晶基板(以下、単にSiC基板という場合がある)から電力デバイスや高周波デバイス等を作製する場合には、通常、SiC基板上に熱CVD法(熱化学蒸着法)によってSiC単結晶薄膜(単にSiC薄膜という場合もある)をエピタキシャル成長させたエピタキシャルSiCウェハが用いられる。SiC基板上に更にSiCのエピタキシャル成長膜を形成する理由は、ドーピング密度が制御された層を使ってデバイスを作り込むためである。ドーピング密度制御が不十分であると、デバイス特性が安定しないという問題が引き起こされるため、SiC単結晶薄膜は面内で均一なドーピング密度となるように形成する必要がある。
この熱CVD法を利用する際には、一般に、加熱手段により取り囲まれたエピタキシャル装置の反応容器内のホルダー上にSiC基板を載せて、ホルダーを回転させながら、SiC基板の直上に例えばシランガスやクロロシランガス等の珪素原料ガスとプロパンやメタン等の炭化水素原料ガスとを水素等のキャリアガスと共に供給して、熱分解反応によりSiC基板上にSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる方法が採用されている(例えば非特許文献1参照)。その際SiC基板をホルダーに載せるために、ホルダー表面にSiC基板の厚さ相当の溝を形成しておき、その中にSiC基板を配置してSiC基板を固定搭載し、SiC基板に対して略水平となるように横から上記のような原料ガスを流すのが一般的である。なお、反応容器の一方から供給された炭化水素原料ガスや珪素原料ガスは、SiC基板上を略水平に流れてSiC単結晶薄膜の成長に用いられ、反応容器の他方からは、エピタキシャル成長に使われた後のガスが排気ガスとして排出される。
また、SiCをn型半導体として使うには、ドーピングガスとして窒素を使うのが一般的である。従って、珪素原料ガスと炭化水素原料ガスに加え、窒素ガスも熱CVDの原料ガスとして用いられる。この時、窒素はSiCのCの位置に入るため、炭化水素原料ガスに含まれるCの量と珪素原料ガスに含まれるSiの量の比であるC/Si比によって大きな影響を受け、この比が小さいほど窒素が結晶構造に取り込まれやすくなる(site competitionと呼ばれる効果)ことが知られている。
従って、SiC基板の面内でのSiC単結晶薄膜のドーピング密度が均一になるようにするには、このC/Si比を如何にSiC基板上で均一になるように制御するかが重要である。
上述したような一般的な構成でSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる場合、前記原料ガスが反応容器内のSiC基板上を流れる途中で珪素原子とカーボン原子が1:1の割合で逐次エピタキシャル成長に消費されるため、反応容器内のガス流れの上流側と下流側とでは前記原料ガスのC/Si比は徐々に変化してしまう。例えば、窒素が結晶構造に取り込まれやすくなるように前記原料ガス中のC/Si比を1より小さくして供給した場合、下流に行くに従って前記原料ガス中のC/Si比は徐々に小さくなる。逆に、前記原料ガス中のC/Si比を1より大きくして反応容器内に供給した場合では、前記原料ガス中のC/Siは下流ほど大きくなっていく。
この原理からすれば、前記原料ガス中のC/Si比を1にしてエピタキシャル成長させれば、上流と下流のC/Si比は不変である。しかしながら、前記原料ガス中のC/Si比はエピタキシャル成長条件の重要なパラメータであり、例えば、欠陥密度低減、バンチング低減、ドーピングの面内均一性改善等、エピタキシャルSiCウェハに求められる品質を改善するために、圧力や成長温度なども勘案して、一般には1以外の数値が選ばれる。
そのため、上記のような上流と下流でC/Si比が均一にならない問題に対しては、熱CVD法によるエピタキシャル装置のホルダー自体を回転させることによってガスの上流側と下流側との環境の変化を相殺することが原理的には可能である。しかしながら、実際のエピタキシャル成長では、ホルダーの面内のドーピング密度は不均一であることが広く知られている(例えば非特許文献2参照)。これは、前記原料ガス中のC/Si比の変化以外に原料ガスの上流と下流とで異なった状況が発生していることを示唆している。
Materials Science Forum Vols.45-648(2010),pp77-82 Journal of Crystal Growth Vol.381(2013),pp139-143
本発明は、熱CVD法によるエピタキシャル装置のホルダーを回転させているにもかかわらず、ホルダー面内のドーピング密度の面内均一性が平均化されず、従ってその上に配置されたSiC基板に成長させるSiC単結晶薄膜のドーピング密度の面内均一性が損なわれているという問題を解決するためになされたものである。
前述した問題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、ドーピング密度がSiC基板の面内で均一にならない理由は、反応容器内のガス流れの上流と下流とにおける前記原料ガス中のC/Si比の差異ではなく、別に原因があることを突き止めた。
すなわち、熱CVD法では、1500〜1800℃の雰囲気中に炭化水素原料ガスと珪素原料ガスとドーピングガスとからなる原料ガスを導入して、前記原料ガスのC/Si比をパラメータとして制御しながらSiC基板上にSiC単結晶を析出させているが、従来は、前記原料ガス中のC/Si比は炭化水素原料ガスと珪素原料ガスとがそれぞれ完全に分解していると仮定した上で行ってきた。ここで言う完全に分解とは、炭化水素ガスに関して言えば、炭素を複数含有する化合物から単独の炭素からなる化合物に分解した状態をいう。例えば、カーボン(C)を3つ含むプロパンガスであれば、もともと1モルであったもの(分子)が3モルのカーボン(C)になることを完全分解と言っている。しかしながら、反応容器内のガス流れの上流ではまだ十分に前記原料ガスが加熱されていないため、炭化水素原料ガスの分解が不十分であり、その結果、ガス流れの上流においてC/Si比が小さくなってしまい、窒素がドープされ易い状況となっていた。これが、ホルダーが回転してもSiC基板の面内ドーピング密度が均一化されない原因であると考えられる。
そこで、本発明者らは、炭化水素原料ガスとして用いられる各種炭化水素について、加熱時の分解反応の進行程度の違いに着目して、所定の組み合わせからなる混合ガスを用いるようにすることで、原料ガスの実効的なC/Siが上流と下流とで大きく異なるといった問題を解消でき、SiC基板に成長させるSiC単結晶薄膜のドーピング密度の面内均一性を向上させることができるようになることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスを用いて、熱CVD法により、反応容器内の炭化珪素単結晶基板上にドーピングされた炭化珪素単結晶薄膜を形成する炭化珪素のエピタキシャル成長方法であって、前記炭化水素原料ガスが、メタン及びアセチレンからなる群から選ばれた1種又は2種からなるガスAと、エチレン及びエタンからなる群から選ばれた1種又は2種からなるガスBとの混合ガスであり、ガスBに対するガスAの割合が0.1Vol%以上10Vol%以下であることを特徴とする炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(2)炭化水素原料ガスと珪素原料ガスとのC/Si比は0.5以上1.5以下であることを特徴とする(1)に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(3)炭化珪素単結晶薄膜の成長温度が1500℃以上1800℃以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(4)口径2インチ以上6インチ以下の炭化珪素単結晶基板に成長させる炭化珪素単結晶薄膜の面内ドーピング密度の平均が8E14cm−3以上1E18cm−3以下の範囲であり、かつ当該面内ドーピング密度のばらつき(標準偏差/平均値)が8%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
本発明によれば、炭化水素原料ガスの分解挙動に基づいて各種炭化水素ガスを効率的に混合して供給することで、熱CVD法によるSiC単結晶薄膜の成長における実効的なC/Siが、原料ガスの上流と下流とで大きく異なるような問題を回避でき、エピタキシャル装置におけるホルダー全体にわたってドーピング密度の面内均一性を大幅に改善することができるようになる。そのため、このホルダー上に配置されたSiC基板においてもSiC単結晶薄膜のドーピング密度の面内均一性を向上させることができ、また、複数のSiC基板をホルダー上に配置した場合では、SiC基板間のドーピング密度のばらつきを改善することができる。
図1は、ホルダー周辺でドーピング密度が高くなる原因を説明した図である。 図2は、プロパンガス及びシランガスを原料にしてウェハ上に流した時に、上流から下流に行くに従ってガス成分がどのように変化していくかをシミュレーションした結果であって、Journal of Electrochemical Society, Vol.147(1) (2000),pp164-175のFig.4を引用した図である。 図3は、本発明によるエピタキシャル成長方法を使って、ホルダーの周辺に配置したウェハで得られた面内ドーピング密度の一例である。 図4は、従来の方法によるエピタキシャル成長方法を使って、ホルダーの周辺に配置したウェハで得られた面内ドーピング密度の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、熱CVD法によるエピタキシャル装置のホルダー上にSiC基板を7枚配置し、これを回転させながら、SiC基板に対して略水平となるように横から原料ガスを供給してエピタキシャル成長させたときのドーピングの様子を説明する概略図である。原料ガスの最上流部では、分解速度が遅い炭化水素原料ガスが十分に分解していないために、実効的なC/Si比は小さくなっておりドープがしやすい状況となっている。この影響がホルダー回転による平均化の効果を上回るため、ホルダーが回転してもホルダー周辺部がドープ高となる。結果的に、その上に配置されたSiC基板の面内にもドープ密度のばらつきの影響が出てしまう。
ここで、炭化水素原料ガスの分解が進行していない時に実効的なC/Siが小さくなる理由を、具体的な原料ガスとC/Si比の例を示しながら説明する。すなわち、炭化水素原料ガスとしてプロパン(C)を用い、珪素原料ガスとしてシラン(SiH)を用いて、C/Si比を0.9として成膜する例を取り上げる。プロパンガスの炭素数は3であることから、シランガスとプロパンガスの供給量の比を0.3/1として供給する。このとき、プロパンガスが十分に分解していればCの量は3倍になるためC/Siは(0.3×3)/1=0.9となるが、上流側で炭化水素原料ガスの分解が半分であったとすると、C/Si比は実効的には(0.15×3/1=0.45となり想定していた0.9を大幅に下回ることになる。このように、パラメータとしてのC/Si比を0.9に設定しても、上流では未分解が原因で実効的なC/Si比はこれを下回る結果となる。
前述したように、エピタキシャルSiCウェハを得る際のドーピングガスとして窒素ガスを使う場合、窒素原子(N)はSiCのCの位置に入るため、前記原料ガス中のC/Si比が小さいほど窒素が結晶構造に取り込まれやすくなる(site competition効果)。従って、上述した例で言えば、C/Si比を0.9にしたつもりであっても、最上流のC/Si比は0.45となっており、極端にドープされやすい状況となっている。結果として、ホルダーが回転してもホルダー周囲でドーピング密度が高くなり、中心に向かうほど低下する同心円状の分布となってしまう。なお、n型のSiC単結晶薄膜を形成する場合には窒素を用いるのが一般的であるが、本発明によればガスの上流から下流までC/Si比が安定することから、Al等を用いてp型のSiC単結晶薄膜を形成する場合にも適用することができる。
この問題を回避するためには、例えば、一般に用いられているプロパンを使って予め分解を促進させておいてからSiC基板上に供給することも考えられる。すなわち、原料の炭化水素原料ガスを熱的に、あるいは触媒を使って分解させておく方法であるが、しかしながら、そのためにはこれまで使用されているエピタキシャル装置に大きな変更を加える必要がある。
また、プロパンより分解しやすい炭化水素としてエチレンを使うのも効果的である。しかしながら、最上流から分解を十分に進ませすぎるとカーボン源が絶え間なく膜形成に消費されていくためと考えられるが、下流に行くに従って実効的なC/Si比がずれていき、ホルダー面内でのばらつきが必ずしも改善されないことが分かった。
そこで、本発明らは、装置の変更を加えず、また分解が進みすぎないようにするために、種々の炭化水素原料ガスを混合するという新たな発想のもと、各種炭化水素原料ガスの分解効率を考慮しながら鋭意実験を重ねた。その結果、最適なガスの組み合わせと混合割合を規定することで、既存のエピタキシャル装置の大幅な変更等を行わずに、原料ガスの実効的なC/Siが上流と下流とで大きく異なるといった問題を解消でき、SiC基板に成長させるSiC単結晶薄膜のドーピング密度の面内均一性を向上させることができることを見出した。
すなわち、一般に使用される炭化水素原料ガスであるメタン、エタン、エチレン、アセチレンのうち、分解反応が速い部類に入るエチレン及びエタンのいずれか1種又は2種と、分解反応が遅い部類に入るメタン及びアセチレンのいずれか1種又は2種とを混合した混合ガスを炭化水素原料ガスとして供給するようにする。
ここで、熱CVD法によるSiCのエピタキシャル成長における成長過程のモデリングについて述べられた“Journal of Electrochemical Society, Vol.147(1) (2000),pp164-175”のなかに、反応容器の長さ方向に対する炭化水素原料ガスの分解挙動(モル分率)のシミュレーションが示されており、反応が早いか遅いかは、この参考文献のFig.4を引用した図2に示されたシミュレーション結果から類推することができる。例えば、メタンはプロパンの分解によって容易に生成されるが、その後は全く減少しないことから、メタンは熱的に安定であることが予想される。これを確認するためには、図1に示したような構造でプロパンの代わりにメタンを使ってSiCのエピタキシャル成長を実施し、ドープ密度の分布を判断すればよい。
同様に、アセチレンはメタンと同様に安定であり、エチレンとエタンは分解されやすい炭化水素であることが予想され、エチレン及びエタンは分解反応が比較的速く、メタン及びアセチレンは分解反応が比較的遅いことをいずれも実験的に確認した。そして、各種炭化水素原料ガスの混合割合を変えて、図1のような構成で実際にエピタキシャル成長を実施して、ドーピング密度のばらつきを評価した。
その結果、メタン及びアセチレンからなる群から選ばれた1種又は2種からなるガスAと、エチレン及びエタンからなる群から選ばれた1種又は2種からなるガスBとが、ガスBに対するガスAの流量比(ガスA/ガスB)で0.1〜10%の範囲で混合された混合ガスを炭化水素原料ガスとして用いることが、ドーピング密度のホルダー面内の均一性を実現するのに有効であることが確認された。
また、炭化水素原料ガスと珪素原料ガスとの原料ガスのC/Si比は0.5以上1.5以下であるのがよく、好ましくは0.65以上1.35以下であるのがよい。これは、前述したように、SiC単結晶薄膜の成長の際に、これらの原料ガスに含まれるカーボンと珪素が上流から下流に向かって1:1の割合で消費されていくことを考慮したものであり、C/Siが0.5より小さい場合には下流ではC/Si比が極端に小さくなり、逆に、C/Siが1.5より大きい場合では下流ではC/Si比が極端に大きくなるためである。この影響でホルダーが回転しても平均化が困難になり、また、本発明による効果で上流領域での極端にドーピング密度が高くなる原因を取り除いても、ホルダー面内の均一化が達成できない場合があるからである。なお、ここで言うC/Si比は、使用した炭化水素原料ガスと珪素原料ガスの流量から計算される値(理論値)である。
また、SiC単結晶薄膜の成長温度は1500℃以上1800℃以下であるのがよく、好ましくは1550℃以上1750℃以下であるのがよい。この範囲を超えて成長させると、欠陥の増加、バンチング現象の出現など、エピ品質自体の低下を招くおそれもあるためである。
更に、SiC基板上に成長させるSiC単結晶薄膜の膜厚は3μm以上200μm以下であるのが好ましい。3μm未満と薄い場合にはデバイスを作り込む厚さ方向の領域が狭くなり過ぎて信頼性を確保することが困難になるおそれがあり、反対に200μmを超えて厚い場合には、エピタキシャルSiCウェハのそりが顕著になったり剥離しやすくなるなど、デバイスプロセスへ悪影響を与える可能性がある。
一方で、珪素を含んだ珪素原料ガスは、同様に熱CVD法によるSiC単結晶薄膜の珪素源となるものであれば特に制限はないが、高純度ガスが容易に入手可能な汎用ガスという観点から、例えば、シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化珪素等を挙げることができる。また、これらのガスを組み合わせて使っても差し支えない。例えば、一般に使われているシランは、Si−H結合は然程強くないため分解速度を考慮する必要はない。また、ジシランについてもSi−Si結合が弱いため、同様に分解速度を考慮する必要はない。
本発明によれば、原料ガスの実効的なC/Siが上流と下流とで大きく異なるといった問題を解消でき、SiC基板に成長させるSiC単結晶薄膜のドーピング密度の面内均一性を向上させることができる。好適には、口径2インチから6インチまでのSiC基板上に、ドーピング密度が8E14cm−3以上1E18cm−3の範囲で、面内のばらつき(標準偏差/平均値)が8%以下であるエピタキシャルSiCウェハを得ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の内容に制限されるものではない。
下記の実施例、比較例で使用したエピタキシャル装置は一般的な構造のものであり、反応容器の内部には誘導加熱によって発熱するサセプターが置かれ、その内側にホルダーが配置される。反応容器の外側には、まわりを取り囲むように加熱用誘導コイルが取り付けられており、サセプターを加熱することでホルダー全体を所定の温度まで加熱することができる。また、反応容器の一方からは、ホルダーに対して略水平となるように、炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスが、水素ガス(キャリアガス)と共に横から供給されるようになっており、他方からはエピタキシャル成長に使われた後のガスが排気ガスとして排出されるようになっている。
(実施例1)
図1に示したような7枚のSiC単結晶基板を搭載する構成のホルダーを用いて、ホルダーごと回転させながら、炭化水素原料ガスとしてメタンガス(ガスA)とエチレンガス(ガスB)の混合ガスを使い、炭化珪素のエピタキシャル成長を1650℃で行った。このとき、メタンガスの供給量を0.3cc/分、エチレンガスの供給量を30cc/分となるように水素ガスで希釈して炭化水素原料ガスを供給した。同時に、珪素原料ガスとして、水素で50%に希釈したシランガスを100cc/分で供給し、ドーピングガスとして、水素で10%に希釈した窒素ガスを100cc/分で供給した。キャリアガスの水素ガスはこれらのトータルで100リットル/分の流量となる。また、炭化水素原料ガスおよび珪素原料ガスの流量から求められるC/Si比は、(0.3×1+30×2)/(100×0.5)≒1.21となる。
ここで、ホルダーに載置した7枚のSiC単結晶基板は、いずれも4Hポリタイプを有してオフ角4°の4インチ口径基板であり、それぞれのSi面を成長面とし、水平方向におよそ30rpmでホルダーを回転させながらエピタキシャル成長を実施した。このようにしてSiC基板上におよそ10μmの厚みのSiC単結晶薄膜を有するエピタキシャルSiCウェハを製造した。
得られたエピタキシャルSiCウェハのうち、ホルダーの周辺(円周)側に載置された1枚について、SiC単結晶薄膜のドーピング密度の測定を面内25点で行った。測定は、エピタキシャルSiCウエハの円周を8等分する4本の直径とエピタキシャルSiCウエハの中心点を中心にした3つの同心円(半径r1=15mm、r2=30mm、r3=42mm)とが交わる点、及びエピタキシャルSiCウエハの中心点の合計25点で行い、それぞれの測定点での窒素(N)濃度(ドーピング密度)を求めた。ドーピング密度測定はCV測定装置(フォーディメンジョン社製CVmap92A)を使用した。結果を図3に示す。
面内25点のドーピング密度の平均値は7E15cm−3(7×1015cm-3)であった。また、面内25点のドーピング密度のばらつきは、標準偏差(σ)/平均値として2.8%であり、十分に均一なドーピング密度分布になっていることが確認された。また、この実施例1では、同一ホルダー上で得られた残りのエピタキシャルSiCウェハのうち、中心の1つを挟んでホルダーの反対側に載置された1枚についても同様に面内25点のドーピング密度を測定したところ、平均値は7E15cm−3であり、ドーピング密度のばらつきはσ/平均値で2.9%であった。
(比較例1)
炭化水素原料ガスとしてメタンガスを使用する以外は実施例1と同様にして、炭化珪素のエピタキシャル成長を1650℃で行った。すなわち、メタンガスの供給量が60cc/分となるように水素ガスで希釈して炭化水素原料ガスを供給した。同時に、水素で50%に希釈したシランガスを100cc/分、水素で10%に希釈した窒素ガスを100cc/分で供給した。キャリアガスの水素ガスはこれらのトータルで100リットル/分の流量となる。また、炭化水素原料ガスおよび珪素原料ガスの流量から求められるC/Si比は、(60×1)/(100×0.5)=1.2となる。
得られたエピタキシャルSiCウェハのうちのホルダーの周辺側に配置した1枚について、実施例1と同様にSiC単結晶薄膜のドーピング密度の測定を面内25点で行った。結果を図4に示す。面内25点のドーピング密度の平均値は1E16cm−3であり、面内25点のドーピング密度のばらつきは、図4に示したようにオリフラ側、すなわちホルダーの周辺位置において極端に高いドーピング密度となっており、σ/平均値は10.2%であり、実施例1と比較し極端に悪化した。
(実施例2〜21、比較例2〜3)
炭化水素原料ガスを構成するガスの混合割合、珪素原料ガスの種類、C/Si比、成長温度、ドープ密度(窒素供給量を変化)を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様にして、SiC単結晶基板上に炭化珪素をエピタキシャル成長させた。
得られたエピタキシャルSiCウェハのうちのホルダーの周辺側に配置した1枚について、面内25点のドーピング密度を実施例1と同様にして測定し、平均値を求め、また、ばらつきをσ/平均値で評価した。結果を表1にまとめて示す。
Figure 2018046085
表1から分かるように、本発明に従えば、得られたエピタキシャルSiCウェハのSiC単結晶薄膜のドーピング密度の面内ばらつきが改善されることが確認できた。そのため、本発明によれば、熱CVD法によるSiC薄膜のエピタキシャル成長において、ウェハ内のドーピング密度の均一性を高めることができると共に、同一バッチのウェハ間のばらつきを抑えることができるようになる。
1・・SiC単結晶基板
2・・ホルダー
3・・ガス供給ノズル

Claims (4)

  1. 炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスを用いて、熱CVD法により、反応容器内の炭化珪素単結晶基板上にドーピングされた炭化珪素単結晶薄膜を形成する炭化珪素のエピタキシャル成長方法であって、前記炭化水素原料ガスが、メタン及びアセチレンからなる群から選ばれた1種又は2種からなるガスAと、エチレン及びエタンからなる群から選ばれた1種又は2種からなるガスBとの混合ガスであり、ガスBに対するガスAの割合が0.1Vol%以上10Vol%以下であることを特徴とする炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  2. 炭化水素原料ガスと珪素原料ガスとのC/Si比は0.5以上1.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  3. 炭化珪素単結晶薄膜の成長温度が1500℃以上1800℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
  4. 口径2インチ以上6インチ以下の炭化珪素単結晶基板に成長させる炭化珪素単結晶薄膜の面内ドーピング密度の平均が8E14cm−3以上1E18cm−3以下の範囲であり、かつ当該面内ドーピング密度のばらつき(標準偏差/平均値)が8%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
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