JP2018043972A - ジカルボン酸結晶及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸油量が高いC4ジカルボン酸結晶及びその製造方法の提供。【解決手段】JIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定される吸油量が40mL/100g〜200mL/100gである炭素数4のジカルボン酸結晶。炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、及び(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出させる工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、ジカルボン酸結晶、更には炭素数4のジカルボン酸結晶及びその製造方法に関する。
炭素数4のジカルボン酸(以下、「C4ジカルボン酸」ともいう)は、樹脂原料や食品添加物等として利用される他、入浴剤の原料としても用いられる。入浴剤においてC4ジカルボン酸は主に酸剤として用いられ、入浴剤組成に占める割合は高い。
近年、入浴による保湿効果や温浴効果を高めるために入浴剤に油剤を配合することが一般的になっている。しかし、粒状や錠剤型の入浴剤には油剤を安定に配合することは難しく、その配合量は少ないのが実状である。
C4ジカルボン酸は、工業的には石化原料由来の化学合成又は微生物発酵により製造され、通常、結晶として精製される。C4ジカルボン酸の晶析操作は、主にC4ジカルボン酸結晶の精製度の向上、粒径制御を目的として検討されている。例えば、円筒形羽根車、晶析装置の壁及び回転可能な羽根車軸を含む晶析装置を用いて、界面活性剤、緩衝塩類、酸性塩類、又はそれらの混合物からなる群から選択された、少なくともひとつの添加剤の存在下でジカルボン酸類を結晶化させて高純度で大きな結晶を製造する方法が報告されている(特許文献1)。特許文献1で開示されている界面活性剤は、ポリソルベートのTween20、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル(括弧内の数字はエチレンオキサイド平均付加モル数を表す)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンである。
また、アニオン性高分子電解質を0.05〜200ppmの量で添加して、有機ジカルボン酸を含む溶液から易流動性で貯蔵可能なより大きなジカルボン酸結晶を製造する方法が報告されている(特許文献2)。
また、HLBの高い非イオン性界面活性剤を添加した発酵培地から、コハク酸を晶析する方法が報告されている(特許文献4)。
これら特許文献1、2及び4には、C4ジカルボン酸結晶の吸油性に関する言及はない。
一方、C4ジカルボン酸の吸油性に関して、特許文献3には、発泡性入浴剤組成物に配合するフマル酸等の有機酸を粉砕すると有機酸の吸油能が増大することが開示されている。特許文献3では、液状の非イオン性界面活性剤を用いた有機酸の吸油能測定の結果、平均粒径35μmのフマル酸の吸油能は、平均粒径140μmのフマル酸の吸油能よりも高かったことが示されている。
特表2003−505441号公報 特表2001−511791号公報 特開2012−158588号公報 国際公開第2016/083749号
しかしながら、実際に本発明者が特許文献3のように市販フマル酸を粉砕し、JIS K 5101−13−2(2004)に準拠してその吸油量を測定したところ36.6mL/100gであった(後記比較例6を参照)。市販のC4ジカルボン酸の吸油量は25〜30mL/100g程度であり(後記比較例1〜5を参照)、粉砕C4ジカルボン酸の吸油量はこれを上回るものの、粉砕によっては十分な吸油量は得られなかった。
従って、本発明は、吸油量が高いC4ジカルボン酸結晶及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意研究を行ったところ、界面活性剤と高分子のなかでも、所定の非イオン性界面活性剤、非イオン性高分子、カチオン性高分子及び両性高分子から選ばれる1種以上の存在下においてC4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から晶析して得られるC4ジカルボン酸結晶が従来にはない高い吸油量を有することを見出した。
すなわち、本発明は、JIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定される吸油量が40mL/100g〜200mL/100gである炭素数4のジカルボン酸結晶を提供するものである。
また、本発明は、炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、及び(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出する工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(b1)非イオン性高分子、(b2)カチオン性高分子、及び(b3)両性高分子から選ばれる少なくとも1種の高分子の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出する工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の製造方法を提供するものである。
本発明のC4ジカルボン酸結晶は、高い吸油量を有する。従って、本発明のC4ジカルボン酸結晶は油剤をより多く担持することができ、入浴剤等の原料として好適に利用することができる。また、本発明の方法によれば、C4ジカルボン酸結晶の吸油量を高めることができ、高い吸油量のC4ジカルボン酸結晶が得られる。
〔C4ジカルボン酸結晶〕
本発明のC4ジカルボン酸結晶は、JIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定される吸油量が40mL/100g〜200mL/100gである。本発明におけるC4ジカルボン酸の例としては、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等が挙げられる。好ましくはフマル酸又はコハク酸であり、より好ましくはフマル酸である。また、炭素数4のジカルボン酸又はその塩は、アミノ酸残基を有さない炭素数4のジカルボン酸又はその塩であることが好ましい。
JIS K 5101−13−2(2004)は、煮あまに油法による吸油量の測定法である。測定方法の詳細は実施例に記載した。本明細書においては、「JIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定される吸油量」を、単に「吸油量」ともいう。
本発明のC4ジカルボン酸結晶の吸油量は、40mL/100g〜200mL/100gであるが、好ましくは50mL/100g〜200mL/100g、より好ましくは60mL/100g〜200mL/100g、更に好ましくは70mL/100g〜200mL/100gである。
〔C4ジカルボン酸結晶の製造方法〕
本発明のC4ジカルボン酸結晶は、C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、及び(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の存在下においてC4ジカルボン酸の結晶を析出する工程を含む方法により製造することができる。
また、C4ジカルボン酸結晶は、C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(b1)非イオン性高分子、(b2)カチオン性高分子、及び(b3)両性高分子から選ばれる少なくとも1種の高分子の存在下においてC4ジカルボン酸の結晶を析出する工程を含む方法により製造することができる。
本発明において、(a1)〜(a2)の非イオン性界面活性剤は単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。また、(b1)〜(b3)の高分子は単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。複数を組み合わせる場合は、(a1)〜(a2)の非イオン性界面活性剤と(b1)〜(b3)の高分子を組み合わせて用いてもよい。非イオン性界面活性剤と高分子は、C4ジカルボン酸結晶の析出時に存在していればよく、C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液にこれらを添加するタイミングは特に制限されない。
(C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液)
C4ジカルボン酸(フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等)又はその塩は、特に制限されず、ベンゼンやブタン等の石化原料由来の化学合成、又は微生物発酵により得ることができる。石化原料由来の化学合成の例としては、石化原料の接触気相酸化等により得た無水マレイン酸又はマレイン酸の異性化反応(フマル酸)、還元反応、水素化反応(コハク酸)、水和反応(リンゴ酸)、無水マレイン酸又はマレイン酸のエポキシ化反応により得られるエポキシ酒石酸の水和反応(酒石酸)等が挙げられる。
C4ジカルボン酸又はその塩を生成する微生物としては、リゾプス属菌等の糸状菌が挙げられる。微生物発酵によりC4ジカルボン酸又はその塩を得る場合、C4ジカルボン酸又はその塩を含む培養液からC4ジカルボン酸の結晶を析出してもよい。
(非イオン性界面活性剤のHLB)
本発明において、HLBは親水性−親油性のバランス(Hydrophile−Lipophile Balance)を示す指標であり、小田・寺村らによる無機性値、有機性値から算出される数値である。
無機性値、有機性値から算出されるHLBは、具体的にはHLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10により計算される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定(例えば、甲田善生 著、「有機概念図−基礎と応用−」11頁〜17頁、三共出版 1984年発行 参照)されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のHLBが算出される。一般に非イオン性界面活性剤のHLBは1〜20の数値となる。
尚、2種以上の非イオン性界面活性剤から構成される場合のHLBは、次式のように、各非イオン性界面活性剤のHLBをその配合質量比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
(式中、HLBxは、非イオン性界面活性剤XのHLBを示し、Wxは、HLBxの値を有する非イオン性界面活性剤Xの質量(g)を示す。
(非イオン性界面活性剤)
本発明で用いられる非イオン性界面活性剤は、(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、及び(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
これらの中で、高い吸油量のC4ジカルボン酸を晶析する観点から、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種である。
また、ポリオキシエチレン鎖中のエチレンオキサイド付加モル数は平均値で示され、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、また、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下、更により好ましくは30以下、更により好ましくは25以下、更により好ましくは20以下である。また、非イオン性界面活性剤の脂肪酸部分、アルキル部分及びアルケニル部分の炭素数は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下である。
なお、「ポリオキシエチレン鎖を有する」とは、非イオン性界面活性剤の分子中にエチレンオキサイドが1モル以上付加された構造であることをいう。
(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤のHLBは、高い吸油量のC4ジカルボン酸の結晶を製造する観点から、好ましくは1以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上である。
(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤の種類としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ブチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等が挙げられる。これらの中で、高い吸油量のC4ジカルボン酸の結晶を製造する観点から、好ましくはソルビタン脂肪酸エステル及びアルキルグルコシドから選ばれる少なくとも1種である。
(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤のHLBは、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは13以下である。
(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤のHLBは、好ましくは4以上、15未満、より好ましくは8以上、13以下、更に好ましくは10以上、13以下である。
非イオン性界面活性剤は、商業的に入手したものを使用することができる。
(非イオン性界面活性剤の含有量)
C4ジカルボン酸の結晶を析出する時の非イオン性界面活性剤の濃度は、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中に、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、発泡等の工業的操作性、コストの観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の非イオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上、1.5質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、1質量%以下である。
また、本発明において、C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中のC4ジカルボン酸の含有量(C4ジカルボン酸の含有量とC4ジカルボン酸塩中のC4ジカルボン酸の含有量の和)に対する非イオン性界面活性剤の含有量の比(質量比)は、高い吸油量のC4ジカルボン酸結晶を製造する観点から、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは0.002〜0.3、更に好ましくは0.01〜0.3である。
(高分子)
本発明で用いられる高分子は、(b1)非イオン性高分子、(b2)カチオン性高分子、及び(b3)両性高分子から選ばれる少なくとも1種である。これらの高分子は水溶性であることが好ましい。
(b1)非イオン性高分子としては、水溶性合成高分子、水溶性半合成高分子、水溶性天然高分子のいずれでも良い。非イオン性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、可溶性デンプン、メチルデンプン等)、セルロース系高分子(例えば、メチルセルロース、エチルセルロースといったアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースといったヒドロキシアルキルセルロース等)、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等)、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
非イオン性高分子は、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくはビニル基を有するモノマーを重合させたビニル系高分子やヒドロキシアルキルセルロースであり、より好ましくはポリビニルアルコールやヒドロキシエチルセルロースである。
(b2)カチオン性高分子としては、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム、ポリエチレンイミン系重合体、ジシアンジアミド系高分子、ジアリルアミン系重合体等が挙げられる。
カチオン性高分子は、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくはカチオン化セルロースである。
(b3)両性高分子としては、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−メタクリル酸共重合体、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−メタクリル酸ステアリル共重合体、メタクリル酸エチルベタイン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸ジアルキルアミノエステル重合体、アリルアミン−マレイン酸共重合体、アミノエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、ビニルピリジン−マレイン酸共重合体、メチルアミノエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、ビニルピリジン−イタコン酸共重合体、メチルアリルアミン−イタコン酸共重合体等が挙げられる。
両性高分子は、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくはメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−メタクリル酸ステアリル共重合体である。
(高分子の分子量)
高分子の重量平均分子量は、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは10,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、また、C4ジカルボン酸結晶懸濁液のろ過性、ろ過後のケークの含水率の観点から、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下、更に好ましくは500,000以下である。
高分子の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上、2,000,000以下、より好ましくは10,000以上、1,000,000以下、更に好ましくは30,000以上、500,000以下である。高分子の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。
(高分子の含有量)
C4ジカルボン酸の結晶を析出する時の高分子の濃度は、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中に、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、工業的生産性、コストの観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の高分子の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上、1.5質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、0.5質量%以下である。
また、C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中のC4ジカルボン酸の含有量(C4ジカルボン酸の含有量とC4ジカルボン酸塩をC4ジカルボン酸に換算したときの含有量の和)に対する高分子の含有量の質量比は、高い吸油量のジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは0.002〜0.3である。
(非イオン性界面活性剤及び高分子の含有量)
本発明において、(a1)〜(a2)の非イオン性界面活性剤と(b1)〜(b3)の高分子を組み合わせて用いる場合は、その合計含有量がC4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中に、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、発泡等の工業的操作性、コストの観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の(a1)〜(a2)の非イオン性界面活性剤と(b1)〜(b3)の高分子の合計含有量は、好ましくは0.001質量%以上、10質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上、3質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、2質量%以下である。
(C4ジカルボン酸結晶を析出させる方法)
C4ジカルボン酸結晶を析出させる方法は、特に制限されず、pH調整による析出方法、冷却による析出方法、濃縮による析出方法、反応による析出方法等の操作により行うことができる。
(晶析装置)
C4ジカルボン酸結晶の析出は、撹拌翼を有する反応槽を用いて、撹拌しながら行うことが好ましい。撹拌翼は、いずれの形状でもかまわないが、特に結晶の混合を良好にするため、パドル翼、タービン翼、プロペラ翼、アンカー翼、大翼径パドル翼、マックスブレンド翼であることが好ましい。
撹拌の周速は、高い吸油量のC4ジカルボン酸を均一に晶析させる観点から、好ましくは0.2m/s以上、より好ましくは0.3m/s以上、更に好ましくは0.5m/s以上であり、また、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくは10m/s以下、より好ましくは5m/s以下、更に好ましくは3m/s以下である。
撹拌の周速は、好ましくは0.2m/s以上、10m/s以下、より好ましくは0.3m/s以上、5m/s以下、更に好ましくは0.5m/s以上、3m/s以下である。
(pH調整による析出方法)
pH調整による析出方法は、酸を添加することによりC4ジカルボン酸塩からC4ジカルボン酸を遊離させ、C4ジカルボン酸の濃度を溶解度以上に高めることにより、C4ジカルボン酸を晶析することができる。
pH調整に用いる酸は、C4ジカルボン酸よりpKaが小さい酸であれば特に制限なく用いることができ、特に無機酸が好ましい。無機酸として、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。好ましくは、硫酸、塩酸である。
析出を行う時のpHは、C4ジカルボン酸の回収率の観点から、晶析開始時のpHが9以下、好ましくは6以下に調整するのが好ましく、酸添加により好ましくは2.5以下に調整する。また、反応槽等の腐食性の観点から、pH0.5以上が好ましい。
結晶の析出を行う時のpHは、好ましくは0.5以上、9以下、より好ましくは0.5以上、6以下、更に好ましくは0.5以上、2.5以下である。
酸の添加速度は、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくは0.1mmol−酸/L/min以上、より好ましくは0.3mmol−酸/L/min以上、更に好ましくは1mmol−酸/L/min以上であり、また、C4ジカルボン酸結晶懸濁液のろ過性、ろ過後のC4ジカルボン酸ケークの含水率の観点から、好ましくは10mmol−酸/L/min以下、より好ましくは5mmol−酸/L/min以下、更に好ましくは3mmol−酸/L/min以下、更に好ましくは2mmol−酸/L/min以下である。
酸の添加速度は、好ましくは0.1mmol−酸/L/min以上、10mmol−酸/L/min以下、より好ましくは0.3mmol−酸/L/min以上、5mmol−酸/L/min以下、更に好ましくは0.3mmol−酸/L/min以上、3mmol−酸/L/min以下、更に好ましくは1mmol−酸/L/min以上、2mmol−酸/L/min以下である。
なお、mmol−酸/L/minとは、1分間に反応液中1リットル当たりに混合する酸量を示す。
pH調整による析出を行う時の温度は、特に限定されないが、C4ジカルボン酸の回収率の観点から、低い温度で実施するのが好ましい。晶析温度は、C4ジカルボン酸の回収率の観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下であり、また、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは5℃以上である。
晶析温度は、好ましくは0℃以上、50℃以下、より好ましくは0℃以上、40℃以下、更に好ましくは5℃以上、30℃以下である。
pH調整による析出を行う時のC4ジカルボン酸又はその塩の濃度は、特に限定されないが、C4ジカルボン酸の回収率の観点から、析出開始時の温度における溶解度量、又は、それよりやや少ない量であることが好ましい。具体的には、C4ジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中のC4ジカルボン酸又はその塩の濃度は、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。
pH調整による析出を行う時のC4ジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中のC4ジカルボン酸又はその塩の含有量は、好ましくは1質量%以上、45質量%以下、より好ましくは1質量%以上、40質量%以下、更に好ましくは2質量%以上、20質量%以下である。
(冷却による析出方法)
冷却による析出方法は、C4ジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液を高温から低温に冷却することで、C4ジカルボン酸濃度を溶解度以上に高めることにより、C4ジカルボン酸を晶析することができる。
C4ジカルボン酸は温度が高い場合に溶解度が高い性質を有するため、昇温して溶解している酸濃度を高めてから冷却を行うのが好ましい。
昇温温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは120℃以下である。
昇温温度は、好ましくは60℃以上、120℃以下、より好ましくは70℃以上、120℃以下、更に好ましくは80℃以上、120℃以下である。
冷却温度は、C4ジカルボン酸回収率の観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下であり、また、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上である。
冷却温度は、好ましくは0℃以上、50℃以下、より好ましくは0℃以上、40℃以下、更に好ましくは5℃以上、30℃以下である。
昇温温度から冷却温度に至るまでに要した時間から算出される平均冷却速度は、C4ジカルボン酸の回収率の観点、高い吸油量のC4ジカルボン酸を結晶化させる観点から、好ましくは0.05℃/min以上、より好ましくは0.1℃/min以上であり、また、反応槽への結晶の付着性、C4ジカルボン酸結晶懸濁液のろ過性、ろ過後のC4ジカルボン酸ケークの含水率の観点から、好ましくは20℃/min以下、より好ましくは10℃/min以下、更に好ましくは5℃/min以下であることが好ましい。
昇温温度から冷却温度に至るまでに要した時間から算出される平均冷却速度は、好ましくは0.05℃/min以上、20℃/min以下、より好ましくは0.1℃/min以上、10℃/min以下、更に好ましくは0.1℃/min以上、5℃/min以下である。
冷却による析出方法でのpHは、C4ジカルボン酸の回収率の観点から、晶析開始時のpHが好ましくは4以下、より好ましくは2.5以下に調整する。また、反応槽等の腐食性の観点から、pH0.5以上が好ましい。
冷却による析出を行う時のC4ジカルボン酸又はその塩の濃度は、特に限定されないが、C4ジカルボン酸の回収率の観点から、析出開始時の温度における溶解度量、又は、それよりやや少ない量であることが好ましい。具体的には、C4ジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中のC4ジカルボン酸又はその塩の濃度は、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。
冷却による析出を行う時のC4ジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中のC4ジカルボン酸又はその塩の含有量は、好ましくは1質量%以上、45質量%以下、より好ましくは1質量%以上、40質量%以下、更に好ましくは2質量%以上、20質量%以下である。
(濃縮による析出方法)
濃縮による析出方法は、C4ジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液の溶媒(水)を蒸発させ、濃縮することで、C4ジカルボン酸濃度を溶解度以上に高めることにより、C4ジカルボン酸を晶析することができる。
蒸発時の温度は、特に限定されないが、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下であり、また、好ましくは5℃以上である。
蒸発時の温度は、好ましくは5℃以上、100℃以下、より好ましくは5℃以上、80℃以下である。なお、減圧下で蒸発を行ってもよい。
濃縮による析出を行う時のC4ジカルボン酸又はその塩の濃度は、特に限定されないが、C4ジカルボン酸の各温度の溶解度相当の濃度か、それよりやや少ない濃度に設定されることが好ましい。具体的には、回収率の観点から、C4ジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中のC4ジカルボン酸又はその塩の濃度は、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。
濃縮による析出を行う時のC4ジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中のC4ジカルボン酸又はその塩の含有量は、好ましくは1質量%以上、45質量%以下、より好ましくは1質量%以上、40質量%以下、更に好ましくは2質量%以上、20質量%以下である。
また、濃縮による析出方法でのpHは、C4ジカルボン酸の回収率の観点から、晶析開始時のpHが好ましくは4以下、より好ましくは2.5以下に調整する。また、反応槽等の腐食性の観点から、pH0.5以上が好ましい。
(反応による析出方法)
反応による析出方法は、C4ジカルボン酸の種類によって適宜設定することができる。例えば、フマル酸を析出する場合、マレイン酸又は無水マレイン酸を含有する水溶液中に触媒を添加しフマル酸を生成させることで、フマル酸濃度を溶解度以上に高めることにより、フマル酸を晶析することができる。マレイン酸又は無水マレイン酸を含有する水溶液中のマレイン酸又は無水マレイン酸の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
反応による析出を行う時のマレイン酸又は無水マレイン酸を含有する水溶液中のマレイン酸又は無水マレイン酸の含有量は、好ましくは5質量%以上、70質量%以下、より好ましくは10質量%以上、50質量%以下、更に好ましくは10質量%以上、40質量%以下、更に好ましくは20質量%以上、30質量%以下である。
反応時の温度は、特に限定されないが、好ましくは60℃〜100℃である。
触媒としては、C4ジカルボン酸の生成反応を進行させる触媒であれば特に制限なく用いることができ、例えば、チオ尿素、臭素酸塩、過ホウ素酸塩等が挙げられる。また、反応時に、硫酸や塩酸等の無機酸を添加してもよい。
これらの析出方法は単独で実施してもよいし、複数の方法を組み合わせて実施してもよい。例えば、本発明において、C4ジカルボン酸結晶の析出方法としては、C4ジカルボン酸又はその塩を含む水溶液を80℃以上に昇温し、溶解を確認した後、0.05℃/min以上の平均冷却速度で冷却による析出を行い、30℃に達した後、無機酸を添加しpHを2.5以下に下げること等が考えられる。
(C4ジカルボン酸結晶懸濁液のろ過)
C4ジカルボン酸の結晶は、遠心分離、濾過、デカンテーション等の固液分離操作により分取することができる。結晶の分離操作等は、上記温度範囲で行うことが好ましい。このようにして得られるC4ジカルボン酸結晶を必要に応じて洗浄を行ってもよい。必要に応じて洗浄後、乾燥することによりC4ジカルボン酸結晶を得ることができる。
(C4ジカルボン酸結晶の乾燥)
乾燥は、棚段乾燥機、コニカルドライヤー、パドルドライヤー、ナウターミキサー、流動層乾燥機、真空撹拌乾燥機、ディスクドライヤー等の通常の乾燥機を使用することができる。吸油量が高いC4ジカルボン酸結晶構造を維持するために高いせん断をかけない乾燥方法であることが好ましい。
乾燥温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、また、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下、更に好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。なお、減圧乾燥を行ってもよい。
乾燥後のC4ジカルボン酸結晶は必要に応じて、篩を通す等の処理を行ってもよい。
本発明の方法により得られるC4ジカルボン酸結晶は吸油量が高い。従って、本発明の方法によれば、C4ジカルボン酸結晶の吸油量を向上できる。C4ジカルボン酸結晶の好ましい吸油量は前述したとおりである。
高吸油性のC4ジカルボン酸結晶は、特に限定されず、樹脂原料や食品添加物等として利用できるが、とりわけ保湿効果が期待される油剤をより多く担持することが求められる入浴剤の原料として好適である。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の炭素数4のジカルボン酸結晶、製造方法、或いは向上方法を開示する。
<1>JIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定される吸油量が40mL/100g〜200mL/100gである炭素数4のジカルボン酸結晶。
<2>炭素数4のジカルボン酸結晶の吸油量が、好ましくは50mL/100g〜200mL/100g、より好ましくは60mL/100g〜200mL/100g、更に好ましくは70mL/100g〜200mL/100gである<1>に記載の炭素数4のジカルボン酸結晶。
<3>炭素数4のジカルボン酸結晶が、好ましくはフマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、又はオキサロ酢酸の結晶であり、より好ましくはフマル酸又はコハク酸の結晶であり、更に好ましくはフマル酸の結晶である<1>又は<2>に記載の炭素数4のジカルボン酸結晶。
<4>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、及び(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出する工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の製造方法。
<5>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、及び(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出する工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の吸油量向上方法。
<6>炭素数4のジカルボン酸又はその塩が、好ましくは石化原料由来の化学合成により得られた炭素数4のジカルボン酸又はその塩である<4>又は<5>に記載の方法。
<7>(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤が、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種である<4>〜<6>のいずれか1に記載の方法。
<8>ポリオキシエチレン鎖中のエチレンオキサイド付加モル数が、平均値で、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、また、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下、更により好ましくは30以下、更により好ましくは25以下、更により好ましくは20以下であり、また、好ましくは2以上、60以下、より好ましくは3以上、50以下、更に好ましくは3以上、40以下、更に好ましくは3以上、30以下、更に好ましくは4以上、25以下、更に好ましくは4以上、20以下である<4>〜<7>のいずれか1に記載の方法。
<9>非イオン性界面活性剤の脂肪酸部分、アルキル部分及びアルケニル部分の炭素数が、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下であり、また、好ましくは6以上、24以下、より好ましくは8以上、22以下、更に好ましくは10以上、20以下である<4>〜<8>のいずれか1に記載の方法。
<10>(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤のHLBが、好ましくは1以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上であり、また、好ましくは1以上、10以下、より好ましくは4以上、10以下、更に好ましくは5以上、10以下である<4>〜<9>のいずれか1に記載の方法。
<11>(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤が、好ましくはソルビタン脂肪酸エステル及びアルキルグルコシドから選ばれる少なくとも1種である<4>〜<10>のいずれか1に記載の方法。
<12>(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤のHLBが、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは13以下であり、また、好ましくは4以上、15未満、より好ましくは8以上、13以下、更に好ましくは10以上、13以下である<4>〜<11>のいずれか1に記載の方法。
<13>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の非イオン性界面活性剤の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、また、好ましくは0.001質量%以上、5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上、1.5質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、1質量%以下である<4>〜<12>のいずれか1に記載の方法。
<14>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の炭素数4のジカルボン酸の含有量に対する非イオン性界面活性剤の含有量の比(質量比)が、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは0.002〜0.3、更に好ましくは0.01〜0.3である<4>〜<13>のいずれか1に記載の方法。
<15>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(b1)非イオン性高分子、(b2)カチオン性高分子、及び(b3)両性高分子から選ばれる少なくとも1種の高分子の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出する工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の製造方法。
<16>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(b1)非イオン性高分子、(b2)カチオン性高分子、及び(b3)両性高分子から選ばれる少なくとも1種の高分子の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出する工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の吸油量向上方法。
<17>炭素数4のジカルボン酸又はその塩が、好ましくは石化原料由来の化学合成により得られた炭素数4のジカルボン酸又はその塩である<15>又は<16>に記載の方法。
<18>(b1)非イオン性高分子が、好ましくはデンプン系高分子、セルロース系高分子及びビニル系高分子から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはビニル基を有するモノマーを重合させたビニル系高分子及び/又はセルロース系高分子であり、更に好ましくはポリビニルアルコール及び/又はヒドロキシエチルセルロースである<15>〜<17>のいずれか1に記載の方法。
<19>(b2)カチオン性高分子が、好ましくはカチオン化セルロースである<15>〜<18>のいずれか1に記載の方法。
<20>(b3)両性高分子が、好ましくはメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−メタクリル酸ステアリル共重合体である<15>〜<19>のいずれか1に記載の方法。
<21>高分子の重量平均分子量が、好ましくは3,000以上、より好ましくは10,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、また、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下、更に好ましくは500,000以下であり、また、好ましくは3,000以上、2,000,000以下、より好ましくは10,000以上、1,000,000以下、更に好ましくは30,000以上、500,000以下である<15>〜<20>のいずれか1に記載の方法。
<22>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の高分子の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下であり、また、好ましくは0.001質量%以上、5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上、1.5質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、0.5質量%以下である<15>〜<21>のいずれか1に記載の方法。
<23>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の炭素数4のジカルボン酸の含有量に対する高分子の含有量の質量比が、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは0.002〜0.3である<15>〜<22>のいずれか1に記載の方法。
<24>炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の(a1)〜(a2)の非イオン性界面活性剤と(b1)〜(b3)の高分子の合計含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下であり、また、好ましくは0.001質量%以上、10質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上、3質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上、2質量%以下である<4>〜<23>のいずれか1に記載の方法。
<25>結晶を析出する方法が、pH調整による析出、冷却による析出、濃縮による析出及び反応による析出から選ばれる1以上の方法である<4>〜<24>のいずれか1に記載の方法。
<26>pH調整による結晶の析出を行う時のpHが、好ましくは9以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは2.5以下であり、また、好ましくはpH0.5以上であり、また、好ましくは0.5以上、9以下、より好ましくは0.5以上、6以下、更に好ましくは0.5以上、2.5以下である<25>に記載の方法。
<27>pH調整による結晶の析出を行う時の酸の添加速度が、好ましくは0.1mmol−酸/L/min以上、より好ましくは0.3mmol−酸/L/min以上、更に好ましくは1mmol−酸/L/min以上であり、また、好ましくは10mmol−酸/L/min以下、より好ましくは5mmol−酸/L/min以下、更に好ましくは3mmol−酸/L/min以下、更に好ましくは2mmol−酸/L/min以下であり、また、好ましくは0.1mmol−酸/L/min以上、10mmol−酸/L/min以下、より好ましくは0.3mmol−酸/L/min以上、5mmol−酸/L/min以下、更に好ましくは0.3mmol−酸/L/min以上、3mmol−酸/L/min以下、更に好ましくは1mmol−酸/L/min以上、2mmol−酸/L/min以下である<25>又は<26>に記載の方法。
<28>酸が、好ましくは無機酸であり、より好ましくは塩酸、硝酸、硫酸、及びリン酸から選ばれる1以上であり、更に好ましくは硫酸、又は塩酸である<27>に記載の方法。
<29>pH調整により結晶の析出を行う時の温度が、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下であり、また、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは5℃以上であり、また、好ましくは0℃以上、50℃以下、より好ましくは0℃以上、40℃以下、更に好ましくは5℃以上、30℃以下である<25>〜<28>のいずれか1に記載の方法。
<30>pH調整による結晶の析出を行う時の炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中の炭素数4のジカルボン酸又はその塩の含有量が、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以上、45質量%以下、より好ましくは1質量%以上、40質量%以下、更に好ましくは2質量%以上、20質量%以下である<25>〜<29>のいずれか1に記載の方法。
<31>冷却による結晶の析出が、好ましくは炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液を昇温してから行われる<25>に記載の方法。
<32>昇温温度が、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは120℃以下であり、また、好ましくは60℃以上、120℃以下、より好ましくは70℃以上、120℃以下、更に好ましくは80℃以上、120℃以下である<31>に記載の方法。
<33>冷却温度が、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下であり、また、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上であり、また、好ましくは0℃以上、50℃以下、より好ましくは0℃以上、40℃以下、更に好ましくは5℃以上、30℃以下である<25>、<31>又は<32>に記載の方法。
<34>昇温温度から冷却温度に至るまでに要した時間から算出される平均冷却速度が、好ましくは0.05℃/min以上、より好ましくは0.1℃/min以上であり、また、好ましくは20℃/min以下、より好ましくは10℃/min以下、更に好ましくは5℃/min以下であり、また、好ましくは0.05℃/min以上、20℃/min以下、より好ましくは0.1℃/min以上、10℃/min以下、更に好ましくは0.1℃/min以上、5℃/min以下である<31>〜<33>のいずれか1に記載の方法。
<35>冷却による結晶の析出を行う時のpHが、好ましくは4以下、より好ましくは2.5以下であり、また、好ましくはpH0.5以上であり、また、好ましくは0.5以上、4以下、より好ましくは0.5以上、2.5以下である<25>、<31>〜<34>のいずれか1に記載の方法。
<36>冷却による結晶の析出を行う時の炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中の炭素数4のジカルボン酸又はその塩の含有量が、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以上、45質量%以下、より好ましくは1質量%以上、40質量%以下、更に好ましくは2質量%以上、20質量%以下である<25>、<31>〜<34>のいずれか1に記載の方法。
<37>濃縮による結晶の析出が炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液の溶媒を蒸発させ、次いで濃縮することで行われ、蒸発時の温度が、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下であり、また、好ましくは5℃以上であり、また、好ましくは5℃以上、100℃以下、より好ましくは5℃以上、80℃以下である<25>に記載の方法。
<38>濃縮による結晶の析出を行う時の炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含有する水溶液中の炭素数4のジカルボン酸又はその塩の含有量が、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以上、45質量%以下、より好ましくは1質量%以上、40質量%以下、更に好ましくは2質量%以上、20質量%以下である<25>又は<37>に記載の方法。
<39>濃縮による結晶の析出を行う時のpHが、好ましくは4以下、より好ましくは2.5以下であり、また、好ましくはpH0.5以上であり、また、好ましくは0.5以上、4以下、より好ましくは0.5以上、2.5以下である<25>、<37>又は<38>に記載の方法。
<40>結晶の析出を、炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液を80℃以上に昇温し、溶解を確認した後、0.05℃/min以上の平均冷却速度で冷却による析出を行い、30℃に達した後、無機酸を添加しpHを2.5以下に下げることにより行う<4>〜<39>のいずれか1に記載の方法。
<41>炭素数4のジカルボン酸結晶が、好ましくはフマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、又はオキサロ酢酸の結晶であり、より好ましくはフマル酸又はコハク酸の結晶であり、更に好ましくはフマル酸結晶である<4>〜<40>のいずれか1に記載の方法。
<42>炭素数4のジカルボン酸結晶がフマル酸結晶であって、マレイン酸又は無水マレイン酸を含有する水溶液中に触媒を添加しフマル酸を生成させる反応により結晶の析出を行う<25>に記載の方法。
<43>マレイン酸又は無水マレイン酸を含有する水溶液中のマレイン酸又は無水マレイン酸の含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり、また、好ましくは5質量%以上、70質量%以下、より好ましくは10質量%以上、50質量%以下、更に好ましくは10質量%以上、40質量%以下、更に好ましくは20質量%以上、30質量%以下である<42>に記載の方法。
<44>触媒が、好ましくはチオ尿素、臭素酸塩、又は過ホウ素酸塩である<42>又は<43>に記載の方法。
<45>結晶の析出を、好ましくは周速0.2m/s以上、より好ましくは周速0.3m/s以上、更に好ましくは周速0.5m/s以上、また、好ましくは周速10m/s以下、より好ましくは周速5m/s以下、更に好ましくは周速3m/s以下、また、好ましくは周速0.2m/s以上、10m/s以下、より好ましくは周速0.3m/s以上、5m/s以下、更に好ましくは周速0.5m/s以上、3m/s以下、で撹拌しながら行う<4>〜<44>のいずれか1に記載の方法。
<46>炭素数4のジカルボン酸結晶のJIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定される吸油量が、好ましくは40mL/100g〜200mL/100g、より好ましくは50mL/100g〜200mL/100g、更に好ましくは60mL/100g〜200mL/100g、更に好ましくは70mL/100g〜200mL/100gである<4>〜<45>のいずれか1に記載の方法。
[C4ジカルボン酸]
・フマル酸:(株)日本触媒製
・フマル酸:川崎化成社工業(株)製
・コハク酸:和光純薬工業(株)製
・DL−リンゴ酸:和光純薬工業(株)製
・マレイン酸:和光純薬工業(株)製
[界面活性剤]
(非イオン性界面活性剤)
・ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル:エマルゲン(登録商標)102、HLB6.8、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル:エマルゲン104、HLB8.6、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル:エマルゲン306P、HLB8.3、花王(株)製
・ソルビタンモノラウレート:エマゾール(登録商標)L−10V、HLB10.8、花王(株)製
・ソルビタンモノステアレート:エマゾールS−10V、HLB8.1、花王(株)製・ラウリルグリコシド:マイドール(登録商標)12(有効成分40%)、HLB12.5、花王(株)製
・テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット:レオドール440V、HLB9.9、花王(株)製
・テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット:レオドール430V、HLB8.6、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート:レオドールTW−O320V、HLB8.0、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル:エマルゲン108、HLB10.3、花王(株)製(比較例)
・ポリオキシエチレン(47)ラウリルエーテル:エマルゲン150、HLB16.8、花王(株)製(比較例)
・ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、エマゾールL−120V、HLB14.9、花王(株)製(比較例)
(アニオン界面活性剤)
・ラウリル硫酸ナトリウム(エマール(登録商標)0、花王(株)製)(比較例)
(カチオン界面活性剤)
・臭化セチルトリメチルアンモニウム(和光純薬工業(株)製)(比較例)
上記に記載のHLBは、前記記載の小田・寺村らによる無機性値、有機性値から算出される数値である。
[高分子]
(非イオン性高分子)
・ポリビニルピロリドンK30(和光純薬工業(株)製)
・ポリビニルアルコール(重量平均分子量100,000、MP Biomedical社製)
・ヒドロキシエチルセルロース(200−300mPa・s 2% in Water at 20℃、東京化成工業株式会社製)
(カチオン性高分子)
・ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル:ポイズ(登録商標)C−60H、花王(株)製
(両性高分子)
・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−メタクリル酸ステアリル共重合体:Lipidure(登録商標)NR(高分子濃度5%)、日油(株)製
(アニオン性高分子)
・ポリアクリル酸(重量平均分子量250000)(和光純薬工業(株)製)(比較例)
[吸油量の測定]
吸油量は、JIS K 5101−13−2に準拠し、試料1〜5gを測定板(300×400mmより大きい平滑なガラス板)上の中央部にとり、煮あまに油をビュレットから1回に4、5滴ずつ、徐々に試料の中央に滴下し、その都度全体をパレットナイフで十分に練り合わせた。煮あまに油の滴下及び練合せを繰り返し、全体が硬いパテ状の塊となったら1滴ごとに練り合わせて、最後の1滴でパレットナイフを用いてらせん形に巻くことができる状態になったときを終点とした。但し、らせん状に巻くことができない場合は、煮あまに油の1滴で急激に柔らかくなる直前を終点とした。終点に達するまでの操作時間が7〜15分の間になるように操作を調節した。
終点に達したときのビュレット内の煮あまに油滴下量を読み取り、吸油量(単位:試料100g当たりのmL)とした。
[比較例1]
川崎化成工業(株)製のフマル酸の吸油量を測定したところ、29.5mL/100gであった。
[比較例2]
(株)日本触媒製のフマル酸の吸油量を測定したところ、29.4mL/100gであった。
[比較例3]
和光純薬工業(株)製のコハク酸の吸油量を測定したところ、27.3mL/100gであった。
[比較例4]
和光純薬工業(株)製のDL−リンゴ酸の吸油量を測定したところ、28.0mL/100gであった。
[比較例5]
和光純薬工業(株)製のマレイン酸の吸油量を測定したところ、25.2mL/100gであった。
[比較例6]
(株)日本触媒製のフマル酸をスーパーミキサーピッコロSMP2((株)カワタ製)を用いて、翼径140mm、3000r/minの速度にて20min撹拌を行うことにより粉砕した。粉砕したフマル酸の吸油量を測定したところ、36.6mL/100gであった。
比較例1〜6の結果を表1に示す。
Figure 2018043972
(冷却による析出)
[実施例1]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸((株)日本触媒製、以下比較例13まで同じ)817g、ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル(エマルゲン102)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から23℃まで平均冷却速度0.79℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙(ADVANTEC社製、以下同じ)を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WT(東京硝子器械(株)製、以下同じ)にて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、61.9mL/100gであった。
[実施例2]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(エマルゲン104)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から23℃まで平均冷却速度0.63℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。晶析後の操作については実施例1と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、69.4mL/100gであった。
[実施例3]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット(レオドール440V)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から24℃まで平均冷却速度0.86℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。晶析後の操作については実施例1と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、50.1mL/100gであった。
[実施例4]
3Lの反応槽(直径130mm)にイオン交換水2.14kg、フマル酸105gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル(エマルゲン306P)を2.25g混合した後、平均冷却速度0.45℃/minにて85℃から25℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、250r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、500gのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WT(東京硝子器械社製)にて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、75.1mL/100gであった。
[実施例5]
3Lの反応槽(直径130mm)にイオン交換水2.14kg、フマル酸105gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル(エマルゲン306P)を2.25g混合した後、平均冷却速度0.094℃/minにて85℃から26℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、250r/minの条件にて行った。晶析後の操作については実施例4と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、85.6mL/100gであった。
[実施例6]
3Lの反応槽(直径130mm)にイオン交換水2.57kg、フマル酸105g、47%硫酸(和光純薬工業(株)製)を50g、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(レオドールTW−O320V)を27.5g混合した後、80℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.64℃/minにて80℃から28℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、100r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、500gのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは0.99であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、75.8mL/100gであった。
[実施例7]
3Lの反応槽(直径130mm)にイオン交換水2.52kg、フマル酸158g、フマル酸ナトリウム(東京化成工業(株)製)を72.5g、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット(レオドール430V)を2.75g混合した後、80℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.39℃/minにて80℃から27℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、150r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、500gのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは3.6であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、59.2mL/100gであった。
[実施例8]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ソルビタンモノラウレート(エマゾールL−10V)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から22℃まで平均冷却速度1.06℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。晶析後の操作については実施例1と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、79.5mL/100gであった。
[実施例9]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ソルビタンモノステアレート(エマゾールS−10V)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から24℃まで平均冷却速度0.89℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。晶析後の操作については実施例1と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、49.6mL/100gであった。
[実施例10]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ソルビタンモノラウレート(エマゾールL−10V)1.75gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から25℃まで平均冷却速度0.70℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.0であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、51.7mL/100gであった。
[実施例11]
100Lの反応槽(直径450mm)にイオン交換水80.0kg、フマル酸6.31kg、ラウリルグルコシド(マイドール12)を86.4g混合した後、92℃に昇温し、溶解した。続いて、92℃から21℃まで平均冷却速度0.34℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、24.6kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.3であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、51.5mL/100gであった。
[実施例12]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドンK30)を17.5g混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度1.0℃/minにて85℃から22℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.3であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、54.9mL/100gであった。
[実施例13]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドンK30)を175g混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.72℃/minにて85℃から23℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、40.3mL/100gであった。
[実施例14]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリビニルアルコール(分子量100000)を1.75g混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.68℃/minにて85℃から23℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.1であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、62.9mL/100gであった。
[実施例15]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリビニルアルコール(分子量100000)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.39℃/minにて85℃から25℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、158.6mL/100gであった。
[実施例16]
3Lの反応槽(直径130mm)にイオン交換水2.64kg、フマル酸105g、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル(ポイズC−60H)を2.75g混合した後、80℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.55℃/minにて80℃から28℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、150r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、50.1mL/100gであった。
[実施例17]
3Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水2.59kg、フマル酸105g、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−メタクリル酸ステアリル共重合体(Lipidure NR)を55g混合した後、80℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.68℃/minにて80℃から30℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、150r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、51.9mL/100gであった。
実施例1〜17の条件及び結果を表2及び表3に示す。
[実施例18]
3Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水2.59kg、フマル酸105g、ヒドロキシエチルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース 200−300mPa・s)を1.13g混合した後、80℃に昇温し、溶解した。続いて、平均冷却速度0.60℃/minにて80℃から25℃まで冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、250r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、115.0mL/100gであった。
Figure 2018043972
Figure 2018043972
[比較例7]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817gを混合した後、85℃に昇温しフマル酸を溶解させた。続いて、85℃から23℃まで平均冷却速度0.98℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.3であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、25.4mL/100gであった。
[比較例8]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリオキシエチレン(47)ラウリルエーテル(エマルゲン150)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から23℃まで平均冷却速度0.56℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.2であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WT(東京硝子器械社製)にて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、24.4mL/100gであった。
[比較例9]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル(エマルゲン108)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から25℃まで平均冷却速度0.63℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。晶析後の操作については比較例8と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、38.7mL/100gであった。
[比較例10]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(エマゾールL−120V)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から25℃まで平均冷却速度0.87℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。晶析後の操作については比較例8と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、33.7mL/100gであった。
[比較例11]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、ラウリル硫酸ナトリウム(エマール0)17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から25℃まで平均冷却速度0.94℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。晶析後の操作については比較例8と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、22.8mL/100gであった。
[比較例12]
35Lの反応槽(直径360mm)にイオン交換水16.7kg、フマル酸817g、臭化セチルトリメチルアンモニウム17.5gを混合した後、85℃に昇温し、溶解した。続いて、85℃から23℃まで平均冷却速度0.46℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。晶析後の操作については比較例8と同様の操作で実施した。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、39.1mL/100gであった。
[比較例13]
3Lの反応槽(直径130mm)にイオン交換水2.09kg、フマル酸105g、ポリアクリル酸(分子量250000)を0.034gを混合した後、80℃に昇温し、溶解した。続いて、80℃から24℃まで平均冷却速度0.23℃/minにて冷却することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、150r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、500gのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.1であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、26.8mL/100gであった。
比較例7〜13の結果を表4に示す。
Figure 2018043972
上記表1〜表4のとおり、本発明の方法により晶析されたフマル酸結晶は、高い吸油量を示すことが確認された。
(pH調整による析出方法)
[実施例19]
80Lの反応槽にイオン交換水33.7kg、フマル酸(川崎化成工業(株)製)1.87kg、48%水酸化ナトリウム1.89kg、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット(レオドール440V)を37.5gを混合し、フマル酸を溶解した。この溶液はpH4.0であった。続いて、47%硫酸(和光純薬工業(株)製)を平均酸添加速度1.82mmol−H2SO4/L/minにてpH2.1まで添加することでフマル酸を析出させた。撹拌は翼径150mmの撹拌翼を用い、300r/minの条件にて行った。
次に析出したフマル酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過した後、5.0kgのイオン交換水を添加してろ過洗浄を行った。ろ液のpHは2.1であった。ろ過後のフマル酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、フマル酸結晶を得た。
得られたフマル酸結晶の吸油量を測定したところ、72.5mL/100gであった。
実施例19の結果を表5に示す。
Figure 2018043972
上記表5のとおり、pH調整により晶析しても、高い吸油量のフマル酸結晶が得られることが確認された。
(冷却による析出方法)
[実施例20]
3Lの反応槽にイオン交換水1.81kg、コハク酸(和光純薬工業(株)製、以下同じ)450gを混合した後、80℃に昇温した。続いて、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル(エマルゲン306P)を9.64g混合した後、平均冷却速度0.27℃/minにて80℃から26℃まで冷却することでコハク酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、150r/minの条件にて行った。
次に析出したコハク酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過を行った。ろ液のpHは2.1であった。ろ過後のコハク酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き710μmの篩を通すことにより、コハク酸結晶を得た。
得られたコハク酸結晶の吸油量を測定したところ、58.6mL/100gであった。
[実施例21]
3Lの反応槽にイオン交換水1.80kg、コハク酸450gを混合した後、80℃に昇温した。続いて、ポリビニルアルコール(分子量100000)を2.25g混合した後、平均冷却速度0.42℃/minにて80℃から26℃まで冷却することでコハク酸を析出させた。撹拌は翼径121mmの撹拌翼を用い、150r/minの条件にて行った。
次に析出したコハク酸懸濁液をNo.2のろ紙を使用して吸引ろ過を行った。ろ液のpHは2.0であった。ろ過後のコハク酸ケークは熱風循環乾燥器FS−60WTにて105℃で乾燥を行った。乾燥後、目開き500μmの篩を通すことにより、コハク酸結晶を得た。
得られたコハク酸結晶の吸油量を測定したところ、115.7mL/100gであった。
実施例20及び21の結果を表6に示す。
Figure 2018043972
上記表6のとおり、本発明の方法により晶析されたコハク酸結晶は、高い吸油量を示すことが確認された。

Claims (23)

  1. JIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定される吸油量が40mL/100g〜200mL/100gである炭素数4のジカルボン酸結晶。
  2. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、及び(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出させる工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の製造方法。
  3. (a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の製造方法。
  4. (a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステル及びアルキルグルコシドから選ばれる少なくとも1種である請求項2又は3記載の製造方法。
  5. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の非イオン性界面活性剤の含有量が0.001〜5質量%である請求項2〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の炭素数4のジカルボン酸の含有量に対する非イオン性界面活性剤の含有量の質量比が0.001〜0.5である請求項2〜5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩が、石化原料由来の化学合成により得られた炭素数4のジカルボン酸又はその塩である請求項2〜6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(b1)非イオン性高分子、(b2)カチオン性高分子、及び(b3)両性高分子から選ばれる少なくとも1種の高分子の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出させる工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の製造方法。
  9. (b1)非イオン性高分子がデンプン系高分子、セルロース系高分子及びビニル系高分子から選ばれる少なくとも1種である請求項8記載の製造方法。
  10. (b1)非イオン性高分子がビニル基を有するモノマーを重合させたもの、及び/又は、ヒドロキシアルキルセルロースである請求項8又は9記載の製造方法。
  11. (b1)非イオン性高分子がポリビニルアルコール及び/又はヒドロキシエチルセルロースである請求項8〜10いずれか1項記載の製造方法。
  12. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の高分子の濃度が0.001〜5質量%である請求項8〜11のいずれか1項記載の製造方法。
  13. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液中の炭素数4のジカルボン酸の含有量対する高分子の含有量濃度の質量比が0.001〜0.5である請求項8〜12のいずれか1項記載の製造方法。
  14. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩が、石化原料由来の化学合成により得られた炭素数4のジカルボン酸又はその塩である請求項8〜13のいずれか1項記載の製造方法。
  15. 結晶を析出する方法が、pH調整による析出、冷却による析出、濃縮による析出及び反応による析出から選ばれる1以上の方法である請求項2〜14のいずれか1項記載の製造方法。
  16. pH調整による結晶の析出を行う時のpHが0.5以上9以下である請求項15記載の製造方法。
  17. pH調整による結晶の析出に用いられる酸の添加速度が0.1mmol−酸/L/min〜10mmol−酸/L/minである請求項15又は16記載の製造方法。
  18. 冷却による結晶の析出が炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液を昇温してから行われ、昇温温度から冷却温度に至るまでに要した時間から算出される平均冷却速度が0.05℃/min〜20℃/minである請求項15のいずれか1項記載の製造方法。
  19. 結晶の析出を周速0.2m/s〜10m/sで撹拌しながら行う請求項2〜18のいずれか1項記載の製造方法。
  20. 炭素数4のジカルボン酸結晶がフマル酸又はコハク酸の結晶である請求項2〜19のいずれか1項記載の製造方法。
  21. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(a1)HLBが10以下のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤、及び(a2)HLBが15未満のポリオキシエチレン鎖を有さない非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出させる工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の吸油量向上方法。
  22. 炭素数4のジカルボン酸又はその塩を含む水溶液から、(b1)非イオン性高分子、(b2)カチオン性高分子、及び(b3)両性高分子から選ばれる少なくとも1種の高分子の存在下において炭素数4のジカルボン酸の結晶を析出させる工程を含む、炭素数4のジカルボン酸結晶の吸油量向上方法。
  23. 炭素数4のジカルボン酸結晶のJIS K 5101−13−2(2004)に準拠して測定される吸油量が40mL/100g〜200mL/100gである請求21又は22記載の方法。
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