JP2018043361A - エンボス化粧シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化ビニル樹脂を使用することなく様々な特性を持つことが可能なエンボス化粧シートの提供。【解決手段】熱可塑性樹脂基材シート2上に、絵柄模様層3、接着剤層4、透明熱可塑性樹脂層5及び表面保護層6がこの順に積層されており、且つ、少なくとも最表層にエンボス7が形成されており、透明熱可塑性樹脂層5が基材シート2側から第1の樹脂を含んでなる第1の層51と、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなる第2の層53と、がこの順に積層され、第1の層51と第2の層53の間には接着層52が必要に応じて積層された複数層からなるエンボス化粧シート1。【選択図】図1

Description

本発明は、エンボス化粧シート及びその製造方法に関する。
従来、木質系ボード類や、無機系ボード類、鋼鈑等の表面に接着剤で貼り合されて化粧板を形成するエンボス化粧シートがある。このようなエンボス化粧シートとしては、塩化ビニル樹脂を使用したものが一般的であったが、近年、焼却時の塩素発生等が問題とされ、塩化ビニル樹脂を使用しないものが要望されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−058350号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、塩化ビニル樹脂を使用したエンボス化粧シートと異なり、エンボス化粧シートに、柔軟性、エンボス適性、耐摩耗性、表面硬度、耐薬品性、及び耐汚染性等といった、様々な特性を持たせることが困難であった。
本発明は、上記のような点に着目したもので、様々な特性を持つことが可能なエンボス化粧シート及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の一態様のエンボス化粧シートは、熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順に積層されており、且つ、少なくとも最表層にエンボスが形成されており、透明熱可塑性樹脂層は、複数層からなることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、透明熱可塑性樹脂層の層数、各層の材質、厚さ等を選択することで、様々な特性を持つことが可能なエンボス化粧シートを提供することができる。
実施形態に係るエンボス化粧シートの構成を表す断面図である。 変形例に係るエンボス化粧シートの構成を表す断面図である。 実施形態に係るエンボス化粧シートの製造方法を表す説明図である。 変形例に係るエンボス化粧シートの製造方法を表す説明図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(エンボス化粧シート1)
図1に示すように、本実施形態に係るエンボス化粧シート1は、熱可塑性樹脂基材シート2上に、絵柄模様層3、接着剤層4、透明熱可塑性樹脂層5及び表面保護層6がこの順に積層されて形成されている。また、少なくとも最表層、つまり、表面保護層6に、表面の艶の調整と立体感の付与とを行うために、エンボス7が形成されている。エンボス化粧シート1の厚さは、耐候性能、及び折り曲げ加工による白化の抑制等を考慮すると、50μm以上200μm以下が好ましい。
(熱可塑性樹脂基材シート2)
熱可塑性樹脂基材シート2は、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートである。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂以外の種々の樹脂を用いることができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂及びポリイミド樹脂等を用いることができる。特に、無公害性、価格の低さ、性能の高さ及び着色の容易さ等を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。より具体的には、結晶性ポリオレフィンや、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
また、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーによれば、ハードセグメントと言われているオレフィン系樹脂の中に、ソフトセグメントとして水素添加ブタジエン等のゴムが含まれているため、従来のポリオレフィン系樹脂に無い柔軟性を得ることができる。さらに、無公害性、価格性、顔料添加による着色の容易性でも優れたものを得ることができる。
なお、熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系樹脂の他にスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等があるが、スチレン系樹脂は構造からくる着色の困難さ、ウレタン系樹脂は耐候性の悪さ、ポリエステル系樹脂はフィルムの硬さからくる加工性の悪さから、熱可塑性樹脂基材シート2のポリオレフィン系樹脂としては適さない。
上記以外では、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ポリ乳酸、紙等も用いてもよく、また、これらを組み合わせて用いてもよい。
着色方法としては、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を使用するドライカラー法、樹脂と高濃度の顔料とを溶融混連して予備分散したマスターバッチペレットを作製し、押出しホッパー内で着色のされていない通常の樹脂とドライブレンドするマスターバッチ法等を用いることができ、特に限定されるものではない。顔料の種類も、特に限定されるものではないが、耐候性、耐熱性等を考慮すると、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が望ましい。また、有機顔料でも、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等は使用することができる。顔料の色や配合比率は、隠蔽の度合いや意匠性等を鑑みて、任意に決められるものであり、特に限定されるものではない。
また、熱可塑性樹脂基材シート2には、酸化防止剤や耐候性処方を施すようにしてもよい。さらに、木質系ボード類や無機系ボード類、金属板等との接着性の向上を考慮すると、エンボス化粧シート1の裏面にプライマー層を設けるようにしてもよい。プライマー層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、これらの混合物等を使用することができる。また、熱可塑性樹脂基材シート2の厚さは、汎用的に用いられることを考慮すると、10μm以上100μm以下が好ましい。
(絵柄模様層3)
絵柄模様層3は、熱可塑性樹脂基材シート2上に印刷により形成され、意匠性を付与するための絵柄を付加する層である。絵柄としては、例えば、木目模様、コルク模様、石目模様、タイル模様、抽象柄等を用いることができる。印刷インキの顔料としては、例えば、イソインドリノンイエロー、ポリアゾレッド、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタンのいずれか、或いはこれらの混合物を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸nブチル、イソブタノール及びメチルイソブチルケトンを用いることができる。特に、熱可塑性樹脂基材シート2との接着性等を考慮すると、イソシアネート硬化剤と活性水素とを含んでいるバインダーが好ましい。
また、印刷インキには、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を添加するようにしてもよい。さらに、印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、凹版印刷、シルク印刷、静電印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷を用いることができる。
(接着剤層4)
接着剤層4は、絵柄模様層3と透明熱可塑性樹脂層5とを接着する接着剤を含んでなる層である。接着剤としては、絵柄模様層3を構成する印刷インキと透明熱可塑性樹脂層5を構成する樹脂との組み合わせに応じて、ウレタン系、アクリル系、及びポリエステル系等から適宜選択する。
(透明熱可塑性樹脂層5)
透明熱可塑性樹脂層5は、複数層からなるシート状の層である。各層は、絵柄模様層3の絵柄が透けて見える、透明な熱可塑性樹脂から形成される。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂以外の種々の樹脂が可能である。各層の樹脂の組み合わせは、目的とする特性により、様々な組合せが可能である。層の数としては、4層以上も可能だが、押出し機の構造が複雑化し、作業の煩雑さが大きくなるため、3層までが好ましい。
図1の例では、透明熱可塑性樹脂層5は、熱可塑性樹脂基材シート2側から、予め定めた樹脂(以下「第1の樹脂」とも呼ぶ)を含んでなる第1の層51、接着剤を含んでなる接着剤層52、及び第1の樹脂とは異なる樹脂(以下「第2の樹脂」とも呼ぶ)を含んでなる第2の層53がこの順に積層されて形成されている。なお、第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせによっては、図2に示すように、接着剤層52は省略することもできる。
第1の樹脂及び第2の樹脂としては、例えば、マレイン酸に基づく酸基の作用による接着強度の高さ等を考慮すれば、第1の樹脂には、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を用い、第2の樹脂には、透明ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。透明ポリプロピレン樹脂には、紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくともいずれかを添加する。透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ポリプロピレンに無水マレイン酸を反応させ、直鎖状のポリオレフィンにマレイン酸残基を導入した透明な樹脂を用いる。
また、例えば、エンボス化粧シート1の表面の耐傷性、耐候性、耐汚染性、耐光性、透明性、折り曲げ性、熱成形性等を考慮すれば、第1の樹脂には、熱可塑性アクリル樹脂にポリふっ化ビニリデン樹脂を添加した混合物、または熱可塑性アクリル樹脂を用い、第2の樹脂には、ポリふっ化ビニリデン樹脂に熱可塑性アクリル樹脂を添加した混合物、またはポリふっ化ビニリデン樹脂を用いることが好ましい。この場合、接着剤層52としてポリふっ化ビニリデン樹脂と根と可塑性アクリル樹脂との混合物を使用すると、第1の層51と第2の層53との接着力を確保することができる。
また、例えば、エンボス化粧シート1の表面側の独特の風合い、しなやかさ(柔軟性)、及び材料コスト等を考慮すれば、第1の樹脂には、ポリオレフィン系エラストマー樹脂を用い、第2の樹脂には、ポリウレタン系エラストマー樹脂を用いることが好ましい。
また、例えば、エンボス化粧シート1の表面の耐傷性、耐汚染性、耐候性、柔軟性、透明性(深み)、接着剤層52の省略によるコスト低減等を考慮すれば、第1の樹脂には、軟質アクリル樹脂を用い、第2の樹脂には、硬質アクリル樹脂を用いることが好ましい。
また、例えば、エンボス化粧シート1の表面の耐傷性、耐薬品性、耐汚染性、接着剤層4省略によるコスト低減等を考慮すれば、第1の樹脂には、ポリプロピレン樹脂を用い、第2の樹脂には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましい。この場合、接着剤層52としては、第1、第2の樹脂の両者を接着する、特殊な接着剤を使用する。
また、例えば、接着剤層52、及び接着剤層4の省略によるコスト低減等を考慮すれば、第1の樹脂には、ポリプロピレン樹脂を用い、第2の樹脂には、オレフィン系エラストマー樹脂を用いることが好ましい。
(ポリプロピレン樹脂)
本実施形態のポリプロピレン樹脂としては、例えば、自由末端長鎖分岐を付与したポリプロピレン樹脂(a)と、自由末端長鎖分岐を付与していないポリプロピレン樹脂(b)との混合物で、その混合物の質量平均分子量/数平均分子量として定義される分子量分布Mw/Mnが1以上5以下の範囲内にあり、かつ、その(a)と(b)の混合樹脂の、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数が、1%以上90%以下の範囲内にあるものを用いるようにしてもよい。これにより、エンボス化粧シート1を鋼板基材に貼り合わせた後の折り曲げ加工において、白化や割れを抑制することができる。
ここで、分子量分布は、分子量Miの分子がNi個存在する場合に、数平均分子量Mn=Σ(Mi×Ni)/ΣNi、質量平均分子量Mw=Σ(Ni×Mi2)/Σ(Ni×Mi)の比、Mw/Mnとして定義される値である。1に近いほど分子量の分布が狭く、均一性が高くなる。この分子量分布が5以下になるようにすれば、分子量を必要十分な大きさに揃えることができ、白化や割れの抑制に寄与するようになる。一般的には、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。
また、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数は、ポリプロピレン樹脂中の結晶化度を調べる指標として有用である。具体的には、試料を沸騰n−ヘプタンで一定時間抽出を行い、抽出されない部分の質量(%)を求めてアイソタクチックインデックスを算出する。詳しくは、円筒濾紙を110±5℃で2時間乾燥し、恒温恒湿の室内で2時間以上放置してから、円筒濾紙中に試料(粉体またはフレーク状)8g以上10g以下を入れ、秤量カップ、ピンセットを用いて精秤する。これをヘプタン約80ccの入った抽出器の上部にセットし、抽出器と冷却器を組み立てる。これをオイルバスまたは電機ヒーターで加熱し、12時間抽出する。加熱は、冷却器からの滴下数が1分間130滴以上であるように調節する。続いて、抽出残分の入った円筒濾紙を取り出し、真空乾燥器にいれて80℃、100mmHg以下の真空度で5時間乾燥する。乾燥後、恒温恒湿中に2時間放置した後、精秤し、(P/Po)×100によりアイソタクチック指数を算出する。ただし、Poは抽出前の試料質量(g)、Pは抽出後の試料質量(g)である。
アイソタクチック指数を90%以下にすることで、ポリプロピレン結晶起因によるシート剛性を抑制することができる。アイソタクチック指数を下げる方法としては、例えば、非晶質ポリプロピレン成分(シンジオタクチックポリプロピレンやアダクチックポリプロピレン等)を一部に使う方法や、エチレンやα−オレフィン等のオレフィンモノマーを1種類以上ランダム共重合させる方法、各種ゴム成分(例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)等の成分)を添加する方法を用いることができる。
また、ポリプロピレン樹脂(a)と(b)との混合樹脂の溶融張力(2.0mm径のノズルキャピラリーレオメーターを用い、温度条件230℃、60mm/分で押し出し、2mm/分で引き取るときの張力)は、100mN以上500mN以下の範囲内にあることが望ましい。500mNを超えると、溶融粘度が高くなりすぎて、安定した成膜ができなくなる。また100mN以下では、長鎖分岐成分が不十分となり、所望の性能を得難い。
また、ポリプロピレン樹脂(a)と(b)との混合物の、JIS−K6760にて規定される230℃におけるメルトフローレートが5g/10min以上50g/10min以下の範囲内にすることで、分子量をある一定値以上で、かつ安定的な製膜状態を保持することができる。より好適なメルトフローレートの範囲は、10g/10min以上30g/10min以下であり、更に好ましくは10g/10min以上25g/10min以下である。メルトフローレートが50g/10minを超えると、Tダイによる溶融押出時に、Tダイから溶融押出された樹脂が、中央に集まろうとする効果(ネックイン)が大きくなり、Tダイから溶融押出された樹脂の端部厚みが増大してしまう。端部の厚み増大は冷却効率の低下と巾方向の厚み安定性に影響を与えるため、安定した製膜がしづらくなる。また、5g/10minよりも低いと、溶融樹脂のドローレゾナンスが悪くなり、Tダイから出た直後の溶融樹脂の速度(初速)と冷却ロールに触れた直後の樹脂の速度とのギャップに溶融樹脂が対応できなくなってしまい、安定した製膜がしづらくなる。
また、透明熱可塑性樹脂層5には、耐候性の処方を行うため、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等)、ヒンダードアミン系光安定剤等を添加してもよい。添加部数は、所望の耐候性に応じて設定すればよいが、樹脂固形分に対して0.1%以上50%以下、好ましくは1%以上30%以下とする。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール,2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を用いることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を用いることができる。
さらに、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、オクタベンゾンや変性物、重合物、誘導体等を用いることができる。イソシアネート添加による架橋による樹脂成分との結合を望めるため、紫外線吸収剤としては、特に、水酸基を有するものが適している。
また、樹脂自体の光・熱・水等による劣化を防止するため、ヒンダードアミン系光安定剤を適宜添加するようにしてもよい。添加部数は所望の耐候性に応じて添加すればよいが、樹脂固形分に対して0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下とする。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ポペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等を用いることができる。
上記以外では、例えば、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等を添加してもよい。熱安定剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等やこれらの混合物、つまり、1種、または2種以上を組み合わせたものを用いることができる。
また、難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機系化合物や燐酸エステル系の難燃剤等を用いることができる。さらに、ブロッキング防止剤としては、珪酸アルミニウム、酸化珪素、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤、脂肪酸アミド等の有機系ブロッキング防止剤等を用いることができる。また、透明熱可塑性樹脂層5の厚さは、10μm以上100μm以下が好適である。
(表面保護層6)
表面保護層6は、透明熱可塑性樹脂層5上に形成され、透明熱可塑性樹脂層5を被覆する層である。表面保護層6の材料としては、例えば、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂、またはこれらの樹脂の混合物を含むものを用いることができる。熱硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタン結合を有する熱硬化型樹脂を用いることができる。また、電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型樹脂を用いることができる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂を使用できる。これにより、表面保護層6、つまり、エンボス化粧シート1の最表面層の硬度を向上でき、耐摩耗性や、耐擦傷性、耐溶剤性等の表面物性を向上することができる。
また、表面保護層6には、各種機能を賦与するために、抗菌剤、防カビ剤等の機能性添加剤を添加してもよい。また、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定化剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系を用いることができる。また、光安定化剤としては、ヒンダードアミン系を用いることができる。さらに、汚染防止性能やセロテープ(登録商標)離型性が求められる場合には、シリコーン骨格を持つ離型剤を添加することができる。この場合、離型剤の種類は特に限定されないが、樹脂組成物に対して反応性を有する末端官能基を持つシリコーン離型剤を用いることで、汚染防止性能やセロテープ(登録商標)離型性の耐久性を向上することができる。
(エンボス化粧シート1の製造方法)
次に、本実施形態のエンボス化粧シート1の製造方法について説明する。
まず、熱可塑性樹脂基材シート2上に、印刷によって絵柄模様層3を形成する。続いて、この絵柄模様層3上に、接着剤を塗布して接着剤層4を形成する。続いて、図3に示すように、この接着剤層4上に、溶融した透明熱可塑性樹脂を含んでなる複数層を多層押出機11から押し出して積層することで、透明熱可塑性樹脂層5を形成する。同時にエンボスロール8と加圧ロール9とによって、熱可塑性樹脂基材シート2、絵柄模様層3、接着剤層4及び透明熱可塑性樹脂層5の積層体をニップして、エンボス加工とラミネートとを同時に行う。エンボス加工とラミネートとで一体化したシートは、エンボスロール8の外周に沿って移動し、剥離ロール10によって剥離され、エンボス加工による凹凸が透明熱可塑性樹脂層5に形成される。その後、透明熱可塑性樹脂層5上に、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂またはこれらの樹脂の混合物を塗布して表面保護層6を形成することで、表面保護層6、つまり、最表層にエンボス7が形成されたエンボス化粧シート1を得る。
エンボスロール8、加圧ロール9及び剥離ロール10のそれぞれは、内部に冷却機構を備え、溶融した透明熱可塑性樹脂の温度を低下させて固化させる。本実施形態では、エンボスロール8を金属ロール、加圧ロール9及び剥離ロール10をゴムロールとする。そのため、冷却効果の大半はエンボスロール8が担うため、エンボスロール8の直径によって生産速度が決定される。ここで、エンボスロール8の直径が大きいほど生産速度は上がるが、エンボスロール8の製造コストも増大するので、製造原価を最小にするためには、エンボスロール8の直径、生産能率、押出し機の能力を総合的に検討しなければならない。
なお、図3の例では、熱可塑性樹脂基材シート2、絵柄模様層3、及び接着剤層4からなる積層体と、透明熱可塑性樹脂層5とを、エンボスロール8と加圧ロール9との間に一緒に挿入しているが、積層体の挿入位置は、図4に示すように、エンボスロール8と剥離ロール10との間としてもよい。これにより、接着剤等で接着性を確保する必要があるが、熱可塑性樹脂基材シート2の厚さが薄くて、耐熱性に乏しい場合に、有効である。
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る発明は、以下の効果を奏する。
(1)このように、本実施形態に係るエンボス化粧シート1では、透明熱可塑性樹脂層5が、複数層からなる構成としたため、透明熱可塑性樹脂層5の層数、各層の材質、厚さ等を選択することで、様々な特性を持つことが可能なエンボス化粧シート1を提供できる。これにより、塩化ビニル樹脂を使用することで得ていたような柔軟性、耐汚染性、耐薬品性、耐候性、耐傷性及び透明感等を主体とする意匠性等の特性を得ることができる。
(2)また、透明熱可塑性樹脂層5が、熱可塑性樹脂基材シート2側から、第1の樹脂を含んでなる第1の層51と、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなる第2の層53とがこの順に積層されてなる構成とした。そのため、第2の層53にエンボス化粧シート1の表面側の性能を実現させ、第1の層51にエンボス化粧シート1のその他の物性を実現させることができ、エンボス化粧シート1に多彩な特性を持たせることができる。
(3)また、第1の樹脂を、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂とし、第2の樹脂を、紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくともいずれかが添加された透明ポリプロピレン樹脂としてもよい。これにより、マレイン酸による酸基の作用で接着強度を向上できる。
(4)また、第1の樹脂を、熱可塑性アクリル樹脂にポリふっ化ビニリデン樹脂を添加した混合物、または熱可塑性アクリル樹脂とし、第2の樹脂を、ポリふっ化ビニリデン樹脂に熱可塑性アクリル樹脂を添加した混合物、またはポリふっ化ビニリデン樹脂としてもよい。これにより、表面側のポリふっ化ビニリデン樹脂で表面の耐傷性、耐候性、耐汚染性等を持たせるとともに、中間側のアクリル樹脂で耐光性、透明性等を持たせたことができる。また、エンボス化粧シート1の折り曲げ性、熱成形性も良好とすることができる。
特に第1の樹脂を、熱可塑性アクリル樹脂にポリふっ化ビニリデン樹脂を添加した混合物とし、第2の樹脂を、ポリふっ化ビニリデン樹脂に熱可塑性アクリル樹脂を添加した混合物とすることで、第1、第2の樹脂の接着力を確保でき、接着剤層52を省略できる。
(5)また、第1の樹脂を、ポリオレフィン系エラストマー樹脂とし、第2の樹脂を、ポリウレタン系エラストマー樹脂としてもよい。これにより、表面側に独特の風合いとしなやかさを持たせることができ、また、中間側にポリオレフィン系エラストマー樹脂を使用するため、表面側の特徴を活かすとともに、材料コストを低減することができる。
(6)また、第1の樹脂を、軟質アクリル樹脂とし、第2の樹脂を、硬質アクリル樹脂としてもよい。これにより、表面の耐傷性、耐汚染性、耐候性、柔軟性に優れるものとすることとしつつ、表層の透明感を非常に良好とすることができる。また、図2に示すように、接着剤層52を省略することができるため、材料コストを低減することができる。
(7)また、第1の樹脂を、ポリプロピレン樹脂とし、第2の樹脂を、ポリエチレンテレフタレート樹脂としてもよい。これにより、表面の耐傷性、耐薬品性、耐汚染性に優れるものとしつつ、接着剤層4を省略できるため、材料コストを低減することができる。
(8)また、第1の樹脂を、ポリプロピレン樹脂とし、第2の樹脂を、オレフィン系エラストマー樹脂としてもよい。これにより、接着剤層52、及び接着剤層4を不要とすることができるため、材料コスト的を低減することができる。なお、表層の透明性や耐候性は若干劣ったものとなるが、屋内の内装材用途であれば十分使用することができる。
(9)また、表面保護層6は、紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくともいずれかが添加された、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂、またはこれらの樹脂の複合を含むようにしてもよい。これにより、表面保護層6、つまり、エンボス化粧シート1の最表面層の硬度を向上でき、耐摩耗性や、耐擦傷性、耐溶剤性等の表面物性を向上することができる。
(10)本実施形態に係るエンボス化粧シート1の製造方法では、熱可塑性樹脂基材シート2上に、印刷によって絵柄模様層3を形成した後、その絵柄模様層3上に、溶融した透明熱可塑性樹脂を含んでなる複数層を多層押出機11から押し出して積層することで、透明熱可塑性樹脂層5を形成し、同時に透明熱可塑性樹脂層5にエンボス加工を行った後、透明熱可塑性樹脂層5上に表面保護層6を形成するようにした。これにより、塩化ビニル樹脂と同等な柔軟性、耐汚染性、耐薬品性、耐候性、耐傷性、透明感を主体とする意匠性等の特性を得つつ、再現性に優れたエンボス7を形成することができる。
また、透明熱可塑性樹脂を押し出して、直ちにエンボス加工を行うため、エンボス形状の再現性を良好とすることができる。また、押し出した樹脂は必然的に急速に冷却されるため、ポリふっ化ビニリデン等の結晶化により白濁しやすい樹脂も透明性を保持できる。
さらに、溶融した透明熱可塑性樹脂を押し出してシート化するため、例えば、一旦フィルムに成型した複数のシート状の樹脂を再度加熱して貼り合せ、エンボス加工を行う場合に比べ、エネルギーのロスが少なく、コスト的にも有利なものとすることができる。
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
実施例1では、ポリプロピレンフィルム(リケンテクノス(株)製「FZ」)を熱可塑性樹脂基材シート2として用いた。熱可塑性樹脂基材シート2の厚さは、55μmとした。そして、この熱可塑性樹脂基材シート2上に、グラビア印刷機によって木目模様を印刷して絵柄模様層3を形成した。印刷インキとしては、グラビアインキ(東洋インキ(株)製「ラミスター」)を用いた。続いて、熱可塑性樹脂基材シート2の絵柄模様層3とは反対側の面(裏面)に、シリカ粉末含有プライマー層(東洋インキ(株)製)を塗布した。シリカ粉末含有プライマー層の塗布厚は、1μmとした。続いて、絵柄模様層3上に、2液硬化型のポリエステル系アンカーコート剤(三井化学(株)製)を塗布して接着剤層4を形成した。接着剤層4の塗布厚は、1μmとした。
続いて、この接着剤層4上に、溶融した透明熱可塑性樹脂として、透明マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製「AT2102」)を含んでなる第1の層51と、透明ポリプロピレン(プライムポリマー(株)製「E2000」)を含んでなる第2の層53とを多層押出機11から押し出して積層することで、透明熱可塑性樹脂層5を形成した。第1の層51と第2の層53との膜厚比は、1:9とした。また、透明熱可塑性樹脂層5の厚さは、70〜80μmとした。同時にエンボスロール8と加圧ロール9とによって、熱可塑性樹脂基材シート2、絵柄模様層3、接着剤層4及び透明熱可塑性樹脂層5の積層体をニップして、エンボス加工とラミネートとを同時に行った。エンボス加工とラミネートとで一体化したシートは、エンボスロール8の外周に沿って移動し、剥離ロール10によって剥離され、エンボス加工による凹凸が透明熱可塑性樹脂層5に形成された。
その後、透明熱可塑性樹脂層5上に、主に硬化型樹脂からなる表面保護層6として熱硬化型樹脂(DICグラフィックス(株)製ウレタンアクリレート樹脂)を塗工した。紫外線硬化型樹脂の塗布量は、乾燥後に6〜7g/m2になる量とした。続いて、紫外線照射により硬化させることで、表面保護層6を形成して、表面保護層6、つまり、最表層にエンボス7が形成された、実施例1のエンボス化粧シート1を得た。
このようにして得られたエンボス化粧シート1は、マレイン酸による酸基の作用で透明熱可塑性樹脂層5と接着剤層4(絵柄模様層3)との接着強度が高いものであった。
(実施例2)
実施例2では、熱可塑性樹脂基材シート2として、ポリオレフィン系無機充填シート(リケンテクノス(株)製「OW」)を用いた。また、接着剤層4として、ウレタン樹脂系接着剤を用いた。さらに、透明熱可塑性樹脂層5において、第1の層51(第1の樹脂)には、熱可塑性アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製「アクリペット IRS404」)を用い、接着剤層52(接着剤)には、ポリふっ化ビニリデン樹脂(ダイキン(株)製「ネオフロンPVDF」)50質量%と熱可塑性アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製「アクリペット IRS404」)50質量%との混合物を用い、第2の層53(第2の樹脂)には、ポリふっ化ビニリデン樹脂(ダイキン(株)製「ネオフロンPVDF」)を用いた。第2の層53の厚さは10μmとし、接着剤層52の厚さは10μmとし、第1の層51の厚さは40μmとした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。このようにして得られたエンボス化粧シート1は、適度の柔軟性を備え、表面の耐傷性や耐候性に優れ、さらに、汚染性に優れているばかりでなく、エンボス7の再現性が極めて良好であり、商品価値の高いものであった。また、各層間の接着強度の点でも特に問題はなかった。
(実施例3)
実施例3では、透明熱可塑性樹脂層5において、第1の層51(第1の樹脂)には、熱可塑性アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製「アクリペット IRS404」)80質量%とポリふっ化ビニリデン樹脂(ダイキン(株)製「ネオフロンPVDF」)20質量%との混合物を用い、第2の層53(第2の樹脂)には、ポリふっ化ビニリデン樹脂(ダイキン(株)製「ネオフロンPVDF」)80質量%と熱可塑性アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製「アクリペット IRS404」)20質量%との混合物を用いた。図2に示すように、接着剤層52は省略した。また、第2の層53の厚さは10μmとし、第1の層51の厚さは40μmとした。それ以外は実施例2と同様の構成とした。このようにして得られたエンボス化粧シート1は、実施例2のエンボス化粧シート1と比較して、やや表面の耐性が低かったが、塩化ビニル樹脂を使用した化粧シートと比較して、劣る点は見られなかった。
(実施例4)
実施例3では、透明熱可塑性樹脂層5において、第1の層51(第1の樹脂)には、ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井石油化学工業(株)製「ミラストマー」)を用い、接着剤層52(接着剤)には、グラフト重合型特殊接着性樹脂を用い、第2の層53(第2の樹脂)には、ポリウレタン系エラストマー樹脂(日本ミラクトロン(株)製「ミラクトロン」)を用いた。それ以外は実施例2と同様の構成とした。このようにして得られたエンボス化粧シート1は、表面側の独特の風合い、しなやかさ(柔軟性)に富むものであった。また、コスト的にも実施例1〜3のエンボス化粧シート1と比較して安価であった。
(実施例5)
実施例5では、透明熱可塑性樹脂層5において、第1の層51(第1の樹脂)には、軟質アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製「アクリペットSV」)を用い、第2の層53(第2の樹脂)には、硬質アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製「アクリペットIRG304」)を用いた。図2に示すように、接着剤層52は省略した。また、第2の層53の厚さは10μmとし、第1の層51の厚さは40μmとした。それ以外は実施例2と同様の構成とした。このようにして得られたエンボス化粧シート1は、表層の透明性が良好であり、深みを感じさせる意匠的に優れたものであった。また表面の耐傷性と柔軟性とのバランスもよく、コスト的にも実施例1〜4のエンボス化粧シート1と比較して安価であった。ただし、耐溶剤性は、実施例1〜4のエンボス化粧シート1と比較してやや劣るものであった。
(実施例6)
実施例6では、透明熱可塑性樹脂層5において、第1の層51(第1の樹脂)には、ポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製「E2000」、ダイセルポリマー(株)製「ダイセルPP」など)を用い、接着剤層52(接着剤)には、グラフト重合型特殊接着性樹脂を用い、第2の層53(第2の樹脂)には、ポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡(株)製「E5100」、東レ(株)製「T60」など)を用いた。それ以外は実施例2と同様の構成とした。このようにして得られたエンボス化粧シート1は、表面の耐傷性、耐薬品性、耐汚染性に優れるものとしつつ、接着剤層4を省略し、材料コストを安価に抑制できる。
(実施例7)
実施例7では、透明熱可塑性樹脂層5において、第1の層51(第1の樹脂)には、ポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製「E2000」、ダイセルポリマー(株)製「ダイセルPP」など)を用い、第2の層53(第2の樹脂)には、オレフィン系エラストマー樹脂(三井石油化学工業(株)製「ミラストマー」)を用いた。また、第2の層53の厚さは10μmとし、第1の層51の厚さは40μmとした。それ以外は実施例2と同様の構成とした。このようにして得られたエンボス化粧シート1は、表層の透明性や耐候性は若干劣るものの、屋内の内装材であれば十分使用可能であった。また、接着剤層52も基材塗布の接着剤(接着剤層4)も不要のため、最も低コストで生産することができた。
1…エンボス化粧シート、2…熱可塑性樹脂基材シート、3…絵柄模様層、4…接着剤層、5…透明熱可塑性樹脂層、6…表面保護層、7…エンボス、8…エンボスロール、9…加圧ロール、10…剥離ロール、11…多層押出機、51…第1の層、52…接着剤層、53…第2の層

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層及び表面保護層がこの順に積層されており、且つ、少なくとも最表層にエンボスが形成されており、
    前記透明熱可塑性樹脂層は、複数層からなることを特徴とするエンボス化粧シート。
  2. 前記透明熱可塑性樹脂層は、前記熱可塑性樹脂基材シート側から、第1の樹脂を含んでなる第1の層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなる第2の層とがこの順に積層されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエンボス化粧シート。
  3. 前記第1の樹脂は、透明マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であり、
    前記第2の樹脂は、紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくともいずれかが添加された透明ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のエンボス化粧シート。
  4. 前記第1の樹脂は、熱可塑性アクリル樹脂にポリふっ化ビニリデン樹脂を添加した混合物、または熱可塑性アクリル樹脂であり、
    前記第2の樹脂は、ポリふっ化ビニリデン樹脂に熱可塑性アクリル樹脂を添加した混合物、またはポリふっ化ビニリデン樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のエンボス化粧シート。
  5. 前記第1の樹脂は、ポリオレフィン系エラストマー樹脂であり、
    前記第2の樹脂は、ポリウレタン系エラストマー樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のエンボス化粧シート。
  6. 前記第1の樹脂は、軟質アクリル樹脂であり、
    前記第2の樹脂は、硬質アクリル樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のエンボス化粧シート。
  7. 前記第1の樹脂は、ポリプロピレン樹脂であり、
    前記第2の樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のエンボス化粧シート。
  8. 前記第1の樹脂は、ポリプロピレン樹脂であり、
    前記第2の樹脂は、オレフィン系エラストマー樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のエンボス化粧シート。
  9. 前記表面保護層は、紫外線吸収剤及び光安定剤の少なくともいずれかが添加された、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂、またはこれらの樹脂の混合物を含んでなることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のエンボス化粧シート。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載のエンボス化粧シートの製造方法であって、
    熱可塑性樹脂基材シート上に、印刷によって絵柄模様層を形成した後、その絵柄模様層上に、溶融した透明熱可塑性樹脂を含んでなる複数層を多層押出機から押し出して積層することで、透明熱可塑性樹脂層を形成し、同時に前記透明熱可塑性樹脂層にエンボス加工を行った後、前記透明熱可塑性樹脂層上に表面保護層を形成することを特徴とするエンボス化粧シートの製造方法。
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