JP7491165B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。
従来、化粧シートの耐傷性を向上させるために、表面保護層に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、硬化させる方法が用いられている。床用化粧材等に用いられる化粧シートには、更に高い耐傷性や耐衝撃性が要求される。
化粧シートの耐衝撃性を向上させるために、表面保護層に柔らかい樹脂を用いると、耐傷性が低下するという問題がある。一方、耐傷性を更に向上させるために、表面保護層の厚みを厚くして、硬さを向上させる方法が知られている。しかし、表面保護層の層厚を厚くして硬くし過ぎると、落下物等により塗膜が割れ易くなり、耐衝撃性が低下するという問題がある。特に、寒冷地での使用では、冷温下で化粧シートが硬くなり、より耐衝撃性が低下するという問題がある。
また、表面保護層を厚くすることや透明性樹脂層を硬くすることにより耐傷性は向上するが、曲げ加工時に化粧シートが破断(割れ)するという問題があり、特に、冷温環境下での加工時に破断(割れ)し易いという問題がある。
耐傷性及び耐スクラッチ性を改善した化粧シートとして、特定の範囲の厚み及び硬度を示す透明性ポリプロピレン系樹脂、及び、特定の範囲の硬度を示す透明性表面保護層を有する床材用化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上述の床材用化粧シートも優れた化粧シートであるが、曲げ加工時の割れについては検討されておらず、改良の余地がある。従って、化粧シートに求められる、耐傷性及び耐衝撃性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れが抑制されており、特に、冷温下での耐衝撃性に優れ、冷温下であっても曲げ加工時の割れが抑制された化粧シートの開発が望まれている。
特開2006-123512号公報
本発明は、耐傷性及び耐衝撃性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れが抑制されており、冷温下での耐衝撃性に優れ、冷温下であっても曲げ加工時の割れが抑制された化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、少なくとも表面保護層の下に透明性樹脂層を有する化粧シートにおいて、透明性樹脂層が、表面保護層側から順に第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層を有しており、第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層がそれぞれ特定の範囲の層厚及びインデンテーション硬さを示し、第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層がポリプロピレン系樹脂を含有し、第1透明性樹脂層の層厚、及び第2透明性樹脂層の層厚の合計が特定の範囲である化粧シートによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シートに関する。
1.少なくとも表面保護層の下に透明性樹脂層を有する化粧シートであって、
(1)前記透明性樹脂層は、前記表面保護層側から順に第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層を有し、
(2)前記第1透明性樹脂層は、厚みが10μ以上20μm未満であり、且つ、インデンテーション硬さが80MPa以上であり、
(3)前記第2透明性樹脂層は、厚みが35μm以上であり、且つ、インデンテーション硬さが40MPa以上70MPa以下であり、
(4)前記第1透明性樹脂層及び前記第2透明性樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含有し、
(5)前記第1透明性樹脂層の厚み、及び前記第2透明性樹脂層の厚みの合計が60μm以上である、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記透明性樹脂層は、前記第2透明性樹脂層の下に、更に、第3透明性樹脂層を有する、項1に記載の化粧シート。
3.表面保護層側にエンボス形状を有する、項1又は2に記載の化粧シート。
4.前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂、又は、2液硬化型ウレタン系樹脂を含む、項1~3のいずれかに記載の化粧シート。
5.前記表面保護層は、抗ウイルス剤を含有する、項1~4のいずれかに記載の化粧シート。
6.前記透明性樹脂層の下に、更に、透明性接着剤層、絵柄模様層、及び基材シートを有する、項1~5のいずれかに記載の化粧シート。
7.項1~6のいずれかに記載の化粧シートを被着材上に有する化粧材。
本発明の化粧シートは、耐傷性及び耐衝撃性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れが抑制されており、冷温下での耐衝撃性に優れ、冷温下であっても曲げ加工時の割れが抑制されている。
本発明の化粧シート及び化粧材の層構成の例を示す模式図である。図1(a)は合成樹脂製バッカー層を有する本発明の化粧シートの層構成の例を示し、図1(b)は合成樹脂製バッカー層を有しない本発明の化粧シートの層構成の例を示し、図1(c)は本発明の化粧材の層構成の例を示す。 本明細書におけるインデンテーション硬さの測定方法を説明する図である。
以下、本発明の化粧シート及び化粧材について詳細に説明する。なお、本発明の化粧シートにおいて、表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧シートが被着材等に積層して用いられる際に、被着材と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、本発明の化粧シートについて、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。また、以下の記載において、「~」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α~βならば、α以上β以下である)。
1.化粧シート
本発明の化粧シートは、少なくとも表面保護層の下に透明性樹脂層を有する化粧シートであって、(1)前記透明性樹脂層は、前記表面保護層側から順に第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層を有し、(2)前記第1透明性樹脂層は、厚みが10μm以上20μm未満であり、且つ、インデンテーション硬さが80MPa以上であり、(3)前記第2透明性樹脂層は、厚みが35μm以上であり、且つ、インデンテーション硬さが40MPa以上70MPa以下であり、(4)前記第1透明性樹脂層及び前記第2透明性樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含有し、(5)前記第1透明性樹脂層の厚み、及び前記第2透明性樹脂層の厚みの合計が60μm以上であることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、表面保護層を有するので耐傷性に優れている。また、透明性樹脂層が、表面保護層側に第1透明性樹脂層を有しており、当該第1透明性樹脂層のインデンテーション硬さが80MPa以上であるので硬く、厚みが10μm以上20μm未満であり、適度な厚みを有するので、化粧シートの表面での擦れによる変形や衝撃を適度に下方に逃がすことができ、耐傷性及び耐衝撃性に優れている。また、透明性樹脂層が、第1透明性樹脂層の表面保護層とは反対側に第2透明性樹脂層を有しており、当該第2透明性樹脂層のインデンテーション硬さが40MPa以上70MPa以下であるので第1透明性樹脂層よりも柔らかく、厚みが35μm以上であり適度な厚みを有するので、上記第1透明性樹脂層の厚みが10μm以上20μm未満であることとあいまって、化粧シート表面での擦れや衝撃を表面保護層、第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層の全体で分散して吸収することができ、耐傷性及び耐衝撃性に優れ、曲げ加工時の割れを抑制することができる。
また、本発明の化粧シートは、第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層がポリプロピレン系樹脂を含有し、それぞれが特定の厚み及びインデンテーション硬さを示し、且つ、第1透明性樹脂層の厚み、及び第2透明性樹脂層の厚みの合計が60μm以上であることにより、曲げ加工時の割れが抑制される。
更に、本発明の化粧シートは、(2)前記第1透明性樹脂層は、厚みが10μm以上20μm未満であり、且つ、インデンテーション硬さが80MPa以上であり、(3)前記第2透明性樹脂層は、厚みが35μm以上であり、且つ、インデンテーション硬さが40MPa以上70MPa以下であるとの要件を備えることにより、冷温下での耐衝撃性に優れ、冷温下であっても曲げ加工時の割れが抑制される。
すなわち、本発明の化粧シートは、上述の構成を全て備えることにより、耐傷性及び耐衝撃性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れが抑制されており、特に、冷温下での耐衝撃性に優れ、冷温下であっても曲げ加工時の割れが抑制されるとの特性を全て備えることができる。
なお、本明細書において、「冷温」とは一般的な寒冷地での温度であり、例えば、20℃以下、より低くは15℃以下、更に低くは5℃以下が挙げられる。また、上記寒冷地の温度の下限は特に限定されず、氷点下10℃以上程度である。
なお、本明細書において、各層の「インデンテーション硬さ」は、微小領域機械特性評価装置トライボインデンター(登録商標)「TI-950」(Bruker社製)を用いて測定されるナノインデンテーション硬さで示す。
なお、トライボインデンター(登録商標)「TI-950」を用いた各層のインデンテーション硬さ(HIT)の測定方法は次の通りである。
(1)ナノインデンターの圧子として、図2(a)に示される三角錐形状のバーコビッチ(Berkovich)圧子(型番:TI0039)を用いる。図2(b)に示すように測定試料にバーコビッチ圧子を後述の押込み条件にて押込み、押し込み荷重F(μN)に対する押し込み深さh(nm)を連続的に測定し、図2(c)に示すように荷重-変位曲線を作成する。作成された荷重-変位曲線から最大押し込み荷重Fmax(μN)を求める。次いで、最大押し込み荷重Fmax(μN)をその時の圧子と試料の接触投影面積Ap(μm)で除することにより硬さを求める。ここで、Apは標準試料の溶融石英を用いて装置標準の方法で圧子先端曲率を補正した接触投影面積である。
すなわち、HIT=Fmax/Apである。
(2)押込み条件は、室温(23±5℃)において、図2(c)に示される通り、先ず0~50μNまでの負荷を5秒間で加え(すなわち10μN/s)、次に50μN(Fmax)の負荷で5秒間保持し、最後に50~0μNまでの除荷を5秒間で行う。
(3)なお、硬さの測定に際し、測定試料となる層以外の層の硬さの影響を回避するために測定対象である層の断面の硬さを測定する。すなわち、化粧シートを樹脂(常温硬化タイプのエポキシ2液硬化樹脂)で包埋し、室温で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを鋭利な刃物(例えば電子顕微鏡切片作製用のダイヤモンドナイフ)で上記バーコビッチ圧子が押し込めるようにサンプルを削り出して測定対象である層の断面を露出させ、表面保護層の断面(充填剤などの微粒子が層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置)に上記バーコビッチ圧子を押込むことにより断面の硬さを測定する。(4)測定対象である層について、10箇所以上のインデンテーション硬さを測定し、再現良く測定された10箇所の平均値を測定値とする。
本発明においては、以下のことが確認できている。すなわち、インデンテーション硬さは、異なる硬さを有する2種以上の樹脂を混合することや樹脂にエラストマーを混合すること等によって適宜設定することができる。また、インデンテーション硬さは、樹脂を高温で溶融混練した後、冷却する際のチルロール温度等の冷却温度を調節することにより適宜調整することができる。冷却温度を高くすると、冷却速度が遅くなるため樹脂の結晶化度が高くなりインデンテーション硬さが高くなる。また、冷却温度を低くすると、冷却速度が速くなるため樹脂の結晶化度が低くなりインデンテーション硬さが低くなる。
本発明の化粧シートは、少なくとも表面保護層の下に透明性樹脂層を有しており、透明性樹脂層が、上記表面保護層側から順に第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層を有していれば、具体的な層構成については限定されない。例えば、透明性樹脂層の表面保護層とは反対側の面に、更に、接着剤層、絵柄模様層、及び基材シートを有する化粧シートが挙げられる。また、本発明の化粧シートは、基材シートの透明性樹脂層及び表面保護層とは反対側の面に、合成樹脂製バッカー層を有していてもよい。以下、かかる層構成の化粧シートを代表例として、各層について具体的に説明する。
表面保護層
本発明の化粧シートは、表面保護層を有する。表面保護層を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。更に、耐候性をより一層向上させることができる観点から、電子線硬化型樹脂が最も好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂、又は、2液硬化型ウレタン系樹脂を含むことが好ましい。表面保護層がこれらの樹脂を含有する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等をより一層高め易い。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤、硬化剤、重合促進剤等を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5~50μm、好ましくは5~40μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が好ましく、電子線がより好ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190~380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100~1000keV程度が好ましく、100~300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2~15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイド、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル-N,N-ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1~10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。
表面保護層の厚みは、必要な性能を発揮すれば特に限定されないが、3~45μmが好ましく、5~35μmがより好ましく、10~25μmがさらに好ましい。表面保護層の厚みの下限が上記範囲であることにより、本発明の化粧材の耐傷性がより一層向上する。また、表面保護層の厚みの上限が上記範囲であることにより、本発明の化粧材の後加工性(ラッピング加工、Vカット加工)がより一層向上する。
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填剤を配合すればよい。無機充填剤としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填剤の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して1~80質量部程度である。
表面保護層は必要に応じて、上記無機充填剤以外の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消臭剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗アレルゲン剤、防カビ剤等が挙げられる。
表面保護層は、抗ウイルス剤を含有することが好ましい。抗ウイルス剤としては一般的に有機系と無機系とに大別することができる。有機系の抗ウイルス剤としては、第4級アンモニウム塩系、第4級ホスホニウム塩系、ピリジン系、ピリチオン系、ベンゾイミダゾール系、有機ヨード系、イソチアゾリン系、アニオン系等の抗ウイルス剤が挙げられる。無機系の抗ウイルス剤としては、銀、銅、亜鉛等の金属イオンをゼオライト、アパタイト、ジルコニア、ガラス等に担持させた抗ウイルス剤が挙げられる。
上記有機系の抗ウイルス剤のなかでも、特に粒子形状を保つ抗ウイルス剤であるベンゾイミダゾール系抗ウイルス剤またはアニオン系抗ウイルス剤が好適に用いられる。抗ウイルス剤が粒子形状を保つとは、抗ウイルス剤が表面保護層を形成するための組成物(硬化前のインキ)内で溶解することなく、硬化後の表面保護層中に粒子の状態で存在することを意味する。このため、表面保護層を形成する過程において、抗ウイルス剤の粒子が浮かび上がりやすくなり、表面保護層の最表面側に抗ウイルス剤の粒子を偏在させやすくすることができる。そして、表面保護層の最表面側に抗ウイルス剤の粒子を偏在させることにより、所定の抗ウイルス性を得るために必要な抗ウイルス剤の添加量を抑制することができるため、表面保護層の耐擦傷性の低下を抑制しやすくできる。
上記アニオン系抗ウイルス剤としては例えばスチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物を含むものが好ましい。また、上記スチレンポリマー誘導体化合物及び不飽和カルボン酸誘導体化合物はスチレン、スルホン酸ナトリウム、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸の構造の内少なくとも一種の構造を含むことが好ましく、全ての構造を含むことがより好ましい。これは、ウイルスにはエンベロープ有無の2種類が存在し、それぞれに対し効果的に活性阻害しうる抗ウイルス剤の構造が異なると考えられるためである。
上記無機系の抗ウイルス剤としては、生体毒性が無く安全性に優れる観点から銀系の抗ウイルス剤が好ましく、中でもリン酸系ガラス銀担持化合物または銀ゼオライト化合物は少量でも抗ウイルス性能を発現することから添加量を抑制することができるため、より好ましい。
上記抗ウイルス剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
透明性樹脂層
本発明の化粧シートは、表面保護層の下に透明性樹脂層を有する。前記透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。また、透明性樹脂層は、表面保護層側から順に第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層を有する。
(第1透明性樹脂層)
第1透明性樹脂層は、厚みが10μm以上20μm未満である。厚みが10μm未満であると、化粧シートの耐傷性が低下する。また、厚みが20μmを超えると、化粧シートの耐衝撃性及び冷温下での耐衝撃性が低下し、冷温下での曲げ加工時の割れが抑制できない。第1透明性樹脂層の厚みは、耐傷性がより一層向上する点で12μm以上が好ましく、14μm以上がより好ましい。また、第1透明性樹脂層の厚みは、冷温下での耐衝撃性、冷温下での曲げ加工性がより一層向上する点で18μm以下が好ましい。
第1透明性樹脂層は、インデンテーション硬さが80MPa以上である。第1透明性樹脂層のインデンテーション硬さが80MPa未満であると、化粧シートの耐傷性が低下する。第1透明性樹脂層のインデンテーション硬さは、本発明の化粧シートの耐傷性がより一層向上する点で、100MPa以上が好ましい。また、第1透明性樹脂層のインデンテーション硬さの上限は特に限定されず、160MPa以下が好ましい。第1透明性樹脂層のインデンテーション硬さの上限が上記範囲であることにより、本発明の化粧シートがより一層耐傷性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れがより一層抑制される。
第1透明性樹脂層は、後述するポリプロピレン系樹脂を含有する。第1透明性樹脂層中のポリプロピレン系樹脂の含有量は、100質量%以下であってもよいし、95質量%以下であってもよい。また、第1透明性樹脂層中のポリプロピレン系樹脂の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
第1透明性樹脂層は、インデンテーション硬さを調整するために、後述する熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。第1透明性樹脂層中の熱可塑性エラストマーの含有量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。また、第1透明性樹脂層中の熱可塑性エラストマーの含有量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよいし、10質量%以上であってもよい。
第1透明性樹脂層は、インデンテーション硬さを調整するために、結晶核剤を含有していてもよい。結晶核剤としては、リン酸エステル金属塩やソルビトール系結晶核剤等が挙げられる。これらの中でも、インデンテーション硬さ向上の点でリン酸エステル金属塩が好ましい。
第1透明性樹脂層中の結晶核剤の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。
(第2透明性樹脂層)
第2透明性樹脂層は、厚みが35μm以上である。厚みが35μm未満であると、化粧シートの耐傷性、耐衝撃性が低下する。第2透明性樹脂層の厚みは、40μm以上が好ましい。また、第2透明性樹脂層の厚みの上限は特に限定されず、100μm以下が好ましく、90μm以下がより好ましい。第2透明性樹脂層の厚みの上限が上記範囲であることにより、本発明の化粧シートの曲げ加工時の割れがより一層抑制される。
第2透明性樹脂層は、インデンテーション硬さが40MPa以上70MPa以下である。第2透明性樹脂層のインデンテーション硬さが40MPa未満であると、化粧シートの耐傷性が低下する。また、インデンテーション硬さが70MPaを超えると、本発明の化粧シートの耐衝撃性及び冷温下での耐衝撃性が低下し、冷温下での曲げ加工時の割れが抑制されない。第2透明性樹脂層のインデンテーション硬さは、より一層耐傷性が向上する点で50MPa以上が好ましい。また、第2透明性樹脂層のインデンテーション硬さは、本発明の化粧シートの耐衝撃性及び冷温下での耐衝撃性がより一層向上し、冷温下での曲げ加工時の割れがより一層抑制される点で65MPa以下が好ましく、60MPa以下がより好ましい。
第2透明性樹脂層は、後述するポリプロピレン系樹脂を含有する。第2透明性樹脂層中のポリプロピレン系樹脂の含有量は、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。また、第2透明性樹脂層中のポリプロピレン系樹脂の含有量は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
第2透明性樹脂層は、インデンテーション硬さを調整するために、後述する熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。第2透明性樹脂層中の熱可塑性エラストマーの含有量は、60質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。また、第2透明性樹脂層中の熱可塑性エラストマーの含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。
冷温下での耐衝撃性の向上及び曲げ加工時の割れの抑制には、ポリプロピレンのガラス転位温度が低下する方が好ましいと推測されるため、第2透明性樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂と相溶性の高い熱可塑性エラストマーを含有することが好ましい。このような熱可塑性エラストマーとしては、水素添加スチレン-(エチレン-ブチレン)系エラストマー、ポリプロピレン系エラストマー等が挙げられる。
(第3透明性樹脂層)
透明性樹脂層は、第2透明性樹脂層の下に、更に、第3透明性樹脂層を有していてもよい。透明性樹脂層が第3透明性樹脂層を有することにより、本発明の化粧シートの耐傷性及び耐衝撃性がより一層向上する。
第3透明性樹脂層の厚みは、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、第3透明性樹脂層の厚みは90μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。
第3透明性樹脂層のインデンテーション硬さは、60MPa以下が好ましく、50MPa以下が好ましく、40MPa以下がより好ましい。第3透明性樹脂層のインデンテーション硬さを上記範囲とすることにより、本発明の化粧シートの耐傷性、耐衝撃性がより一層向上し、曲げ加工時の割れがより一層抑制される。
第3透明性樹脂層の厚み及びインデンテーション硬さは、第2透明性樹脂層の厚み及びインデンテーション硬さと同等以下とすることが好ましい。当該構成とすることにより、本発明の化粧シートの耐傷性及び耐衝撃性をより一層向上させることができる。
第3透明性樹脂層は、後述するポリプロピレン系樹脂を含有することが好ましい。第3透明性樹脂層中のポリプロピレン系樹脂の含有量は、100質量%以下であってもよいし、インデンテーション硬さを調整するために熱可塑性エラストマーを添加することにより、90質量%以下となっていてもよい。また、第3透明性樹脂層中のポリプロピレン系樹脂の含有量は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
第3透明性樹脂層では、ポリプロピレン系樹脂として、酸変性プロピレン系樹脂を用いてもよい。第3透明性樹脂層が酸変性ポリプロピレン系樹脂を含有することにより、絵柄模様層との接着性がより一層向上する。
第3透明性樹脂層は、インデンテーション硬さを調整するために、熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。第3透明性樹脂層中の熱可塑性エラストマーの含有量は、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。また、第3透明性樹脂層中の熱可塑性エラストマーの含有量の下限は特に限定されず、0質量%以上であってもよいし、10質量%以上であってもよいし、15質量%以上であってもよい。
第1透明性樹脂層の厚み、及び第2透明性樹脂層の厚みの合計は、60μm以上である。厚みの合計が60μm未満であると、本発明の化粧シートの耐傷性及び耐衝撃性が低下する。厚みの合計は、70μm以上が好ましく、80μm以上がより好ましい。また、厚みの合計は、130μm以下が好ましく、120μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。厚みの上限が上記範囲であると、本発明の化粧シートの曲げ加工時の割れがより一層抑制される。
第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層は、上述のようにポリプロピレン系樹脂を含有する。また、必要に応じて形成される第3透明性樹脂層も、上記ポリプロピレン系樹脂を含有することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては単独重合体又は共重合体のいずれも使用することができる。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等が挙げられる。好ましくは、立体規則性を有するポリプロピレン系樹脂である。ポリプロピレン系樹脂を用いる場合は、溶融ポリプロピレン系樹脂を押し出し法により成形して透明性樹脂層を形成することが望ましい。ポリプロピレン系樹脂は市販品(プライムポリマー株式会社製 プライムTPO「J-5900」、プライムポリプロ「F219DA」)等)を使用することができる。
第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層、並びに、必要に応じて形成される第3透明性樹脂層は、上述のように熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。透明性樹脂層が熱可塑性エラストマーを含有することにより、透明性樹脂層のインデンテーション硬さが低下するので、透明性樹脂層のインデンテーション硬さを所望の硬さに適宜調整することができる。また、冷温下での耐衝撃性の向上及び曲げ加工時の割れの抑制には、ポリプロピレンのガラス転位温度が低下する方が好ましいと推測されるため、透明性樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂と相溶性の高い熱可塑性エラストマーを含有することが好ましい。
上述のような熱可塑性エラストマーとしては特に限定されず、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンからなる群から選択される1種以上のジエンとスチレンとのランダム共重合体、これらの水素添加物;ポリイソプレン、水素添加されたポリイソプレン、ポリブタジエン(1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエン)、水素添加されたポリブタジエン(水素添加された、1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエン)、ポリイソブチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリビニルからなる群から選択される1種以上のブロックと、ポリスチレンブロックとの共重合体、これらの水素添加物;これらの共重合体の混合物等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、水素添加スチレンブタジエンランダム共重合体(h-SBR)、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンブロック共重合体(SIS)、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレンブタジエンブロック共重合体[ポリスチレン-水素添加-1,2-ポリブタジエン・水素添加-1,4-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体(SEBS)]、水素添加スチレンイソプレンブロック共重合体[ポリスチレン-水素添加ポリイソプレン-ポリスチレンブロック共重合体(SEPS)]、ポリスチレン-ビニル-ポリイソプレン-ポリスチレンブロック共重合体(SHIVS)、ポリスチレン-水素添加ポリブタジエン-水素添加ポリイソプレンブロック共重合体、ポリスチレン-ポリイソブチレンブロック共重合体、ポリスチレン-ポリイソブチレン-ポリスチレンブロック共重合体(SIBS)、ポリスチレン-水素添加ポリブタジエン-ポリイソプレン-ポリスチレン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、水素添加スチレンブタジエンブロック共重合体を用いることが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記の水素添加物は、共役ジエンの二重結合が80%以上飽和されているものを用いることが好ましい。
スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、セプトン4077、セプトン4055、セプトン8105(いずれも商品名、クラレ社製)、ダイナロン1320P、ダイナロン4600P、6200P、8601P、9901P(いずれも商品名、JSR社製)が挙げられる。
透明性樹脂層には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明性樹脂層には、必要に応じて、隣接する層やプライマー層との密着性を高めるために、コロナ放電処理を施してもよい。
基材シート
基材シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたものが好適である。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル等が挙げられる。上記の中でもポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。
基材シートは、着色されていても良い。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤が含まれていても良い。
充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。充填剤を含むことにより、表面特性が向上する効果等が得られる。充填剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して0~100重量部程度が好ましく、10~50重量部程度がより好ましい。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には50~250μmが好ましい。
基材シートは、必要に応じて、絵柄模様層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施してもよい。
裏面プライマー層
前述の基材シートの裏面には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けても良い。例えば、基材シートと被着材とを接着して床用化粧材を作製する際に有利である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの裏面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマーには、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1~10μm、好ましくは1~5μm程度である。
絵柄模様層形成用プライマー層
また、前述の基材シートの表面(おもて面)には、必要に応じて、絵柄模様層形成用プライマー層を設けても良い。例えば、基材シートと絵柄模様層とを接着して化粧材を作製する際に有利である。
絵柄模様層形成用プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの表面(おもて面)に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、上述の裏面プライマー層に用いるものと同一のものを使用できる。
絵柄模様層形成用プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1~10μm、好ましくは1~5μm程度である。
絵柄模様層
本発明の化粧シートは、所望により、基材シートの表面(おもて面)に、絵柄模様層を設けてもよい。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与するものであり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等がさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン-アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン-無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。
より具体的には、例えば、ポリウレタン-ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN-ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等を使用できる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン-ポリアクリル系樹脂変性又は混合樹脂、その他の樹脂も使用できる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上で使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層(これを着色隠蔽層とも言う)を形成する場合には、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法も挙げられる。
上記以外にも、例えば、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法などを用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1~15μm程度、乾燥後の層厚は0.1~10μm程度である。
着色隠蔽層
基材シート上には、必要に応じて着色隠蔽層を形成してもよい。本発明の化粧シートは、基材シートと、絵柄模様層との間に着色隠蔽層を有することが好ましい。着色隠蔽層は、基材シート上に全面ベタ印刷層として形成される。
着色隠蔽層は、均一に着色が施されていてもよいし、種々の色彩が付与された絵柄層であってもよい。着色隠蔽層を設けることにより、被着材の表面を隠蔽することができ、また、基材シートが着色していたり色ムラがある場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。
着色隠蔽層は、例えば、顔料及び結着材樹脂を含む層とすることができる。この着色隠蔽層は、例えば、着色材、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキを使用し、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の既知の印刷法により形成できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色材、結着剤樹脂及び溶剤は、上述の絵柄模様層に用いられるものを用いることができる。
着色隠蔽層の厚みは、通常0.5~20μm程度であり、1~10μmが好ましく、1~5μmがより好ましい。着色隠蔽層の厚みが上記範囲内にあれば、化粧シートに優れた意匠性を付与することができ、また隠蔽性を付与することができる。
接着剤層
本発明の化粧シートは、所望により、絵柄模様層と透明性樹脂層との間に、接着剤層を設けてもよい。
接着剤層は、絵柄模様層が認識できる限り、透明でも半透明でもよいが、透明性接着剤層であることが好ましい。また、接着剤層で使用する接着剤は、特に限定されず、絵柄模様層又は透明性樹脂層を構成する成分等に応じて適宜選択することができる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
また、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。
接着剤層は、例えば、接着剤を絵柄模様層の上に塗布後、一度乾燥し、それから、透明性樹脂を積層することにより形成できる。接着剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
接着剤層の厚みは、透明性保護層、使用する接着剤の種類等によって異なるが、一般的には0.1~30μm程度とすれば良い。
プライマー層
本発明の化粧シートでは、所望により、透明性樹脂層と表面保護層との間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層は、透明性樹脂層と表面保護層との接着性(密着性)を高める機能を有する。また、例えば曲げ加工時において、表面保護層の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくする効果を有する。また、プライマー層を設けることにより、前記表面保護層の形成が容易となる。前記プライマー層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
プライマー層は、公知の又は市販のプライマー剤を前記透明性樹脂層の上に塗布することにより形成できる。特に、前記プライマー層は、樹脂を架橋させることにより形成された層であることが好ましい。そのような層を形成するためのプライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。これらプライマー剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
プライマー層には、艶消し剤としてシリカを含有させてもよい。プライマー剤中におけるシリカの含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.1~50重量部が好ましく、10~40重量部がより好ましい。更に、必要に応じて、プライマー剤に公知の添加剤を含有させてもよい。例えば、プライマー剤にヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤を含有させることにより、前記透明性樹脂層と前記表面保護層との密着性をより向上させることができる。また、プライマー層には紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の耐候性剤を加えてもよい。
プライマー層は、例えば直接コーティング法によって形成することができ、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる。
プライマー層の厚さは0.1~10μm程度であることが好ましい。0.1μm以上であると、表面保護層の割れ、破断、白化等を防ぐ効果を十分に発揮させることができる。一方、プライマー層の厚さが10μm以下であれば、プライマー層を塗工した際、塗膜の乾燥、硬化が安定であるので成形性が変動することが無く好ましい。以上の点からプライマー層の厚さは0.1~10μmであることがより好ましい。
化粧シートの製造方法
本発明の化粧シートを構成する各層の積層は、例えば、(ア)基材シートの裏面に裏面プライマー層を設け、(イ)基材シートのおもて面に絵柄模様層を印刷により形成し、(ウ)当該絵柄印刷模様層上に接着剤層を形成し、(エ)当該接着剤層の上に、押出しラミネート方式により形成した第2透明性樹脂層及び第1透明性樹脂層を有する透明性樹脂層を積層し、(オ)当該第1透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、プライマー層を形成し、(カ)その表面にグラビアコート方式により表面保護層を形成する電離放射線硬化型樹脂を塗工し、電子線を照射することにより、行うことができる。
エンボス加工
化粧シートは、透明性樹脂層上、及び/又は、表面保護層上からエンボス加工が施されていてもよい。本発明の化粧シートは、当該エンボス加工により、表面保護層側にエンボス形状を有することが好ましい。
エンボス加工は、化粧シートに木目模様等の所望のテクスチャーを付与するために行う。例えば、表面保護層を加熱軟化させた後、所望の形の凹凸模様を有するエンボス版で加圧・賦形し、冷却固定することによりテクスチャーを付与する。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式エンボス機で行える。エンボス加工の凹凸模様としては、例えば、木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が挙げられる。
エンボス加工を施した場合には、必要に応じて、エンボス凹部にワイピング加工によりインキを充填してもよい。例えば、エンボス凹部にドクターブレードで表面をかきながらインキを充填する。充填するインキ(ワイピングインキ)としては、通常は2液硬化型のウレタン樹脂をバインダーとするインキを用いることができる。特に木目導管溝凹凸に対してワイピング加工を行うことによって、より実際の木目に近い意匠を表現することにより商品価値を高めることができる。
バッカー層
化粧シートには、基材シートの裏面にバッカー層を設けてもよい。なお、バッカー層の裏面側である、表出面(バッカー層の、表面保護層及び透明性樹脂層が積層されている側とは反対側の面)に前述した裏面プライマー層を更に設けてもよい。
バッカー層を構成する樹脂としては、限定的ではないが、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A-PET)、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
バッカー層の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には50~800μmが好ましい。
バッカー層には、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。
バッカー層を形成する方法としては、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により前記接着剤層に用いる材料を介してラミネートしてもよく、また既成のフィルムを用いてもよい。
ただし、本発明の化粧シートは、十分な耐衝撃性を確保できるが、バッカー層を形成することでより一層耐衝撃性を確保することができる。
以上説明した本発明の化粧シートは、床用化粧シートとして好適に用いることができる。
化粧材
本発明の化粧シートの基材シート側を被着材を貼り合わせて、接合することにより、化粧材とすることができる。
各種被着材の材質は特に限定されず、例えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等の材質が挙げられる。具体的には、無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(ガラス繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス材料などが挙げられる。金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料(金属鋼板)が挙げられる。木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられる。プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
このような被着材の形状は特に限定されず、通常はフローリング等への設置を考慮して平板とすればよい。
被着材と化粧シートとを貼り合わせるには、例えば接着剤を用いることができる。接着剤としては、例えば、ウレタン、アクリル、ウレタン・アクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする公知の接着剤が使用できる。
被着材と化粧シートとの接合後は、例えば、最終製品の特性に応じて、裁断、テノーナーを用いてサネ加工、V字形状の条溝付与、四辺の面取り等を施してもよい。
以上説明した本発明の化粧材は、床用化粧材として好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
実施例1
(透明性樹脂層の調製)
2種2層押出機を使用し、第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層として表1に記載の配合の樹脂を、加工時の樹脂温度235℃の条件で押出成形し、40℃のチルロールを通過させることにより冷却して、第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層が積層された透明性樹脂層を調製した。第1透明性樹脂層の厚みは18μmであり、インデンテーション硬さは90MPaであった。また、第2透明性樹脂層の厚みは45μmであり、インデンテーション硬さは55MPaであった。
(化粧シートの調製)
60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの両面にコロナ放電処理を施し、裏面に厚さ2μmの裏面プライマー層を形成した。次いで、基材シートのおもて面に、厚さ2μmの絵柄模様層を印刷により形成し、さらに、当該絵柄印刷模様層上に、ウレタン系ドライラミネート用接着剤を用いて透明性接着剤層を形成した。次いで、透明性接着剤層の上に、第2透明性樹脂層側が接するように、上述のようにして調製した透明性樹脂層を積層した。
上記透明性樹脂層にコロナ放電処理を施し、その処理面にアクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により塗工して表面保護層用プライマー層を形成した。表面保護層用プライマー層の厚みは1μmであった。
表面保護層用プライマー層上にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法で塗工し、乾燥した後、未硬化の電子線硬化型樹脂層に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧175KeV、照射量5Mrad)を照射して硬化させ、電子線硬化型樹脂からなる表面保護層を形成した。表面保護層の厚みは15μmであった。
次いで、表面保護層側から版深50μmの木目導管状エンボス版でエンボス加工を施して木目導管状の凹凸模様を形成し、化粧シートを作製した。
なお、実施例及び比較例において、表面保護層及び透明性樹脂層の形成に用いられる樹脂は、以下の通りである。
・電子線硬化型樹脂(EB):ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂
・紫外線硬化型樹脂(UV):ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂
・ホモポリプロピレン樹脂(ホモPP):ポリプロピレンホモポリマー(メソペンタッド分率98%)
・熱可塑性エラストマー(SEBS):水素添加スチレンブタジエンブロック共重合体(ポリスチレン-水素添加-1,2-ポリブタジエン・水素添加-1,4-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体)
・アイオノマー:エチレン-メタクリル酸共重合体の亜鉛イオン架橋高分子
(化粧材の作製)
厚みが3mmの中密度木質繊維板(MDF)上に、ウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を100g/mwetで均一に塗工し、化粧シートを貼り合わせて、室温で3日間養生することにより化粧材を作製した。
実施例2~5、比較例1~6
表面保護層を形成する樹脂、厚み、並びに、第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層を形成する樹脂、厚み、及びインデンテーション硬さを表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~5、及び比較例1~6の化粧シート及び化粧材を作製した。なお、比較例6では透明性樹脂層を単層とした。また、透明性樹脂層のインデンテーション硬さは、樹脂の配合、押出時の冷却温度を変更することにより調整した。
実施例6
ポリプロピレンをTダイ押出機を用いて共押出法により押出成形し、バッカー層を製膜した。バッカー層の厚みは0.25mmであった。実施例1で作製した化粧シートの裏面プライマー層の表面に、更にウレタン系接着剤層を形成し、当該ウレタン系接着剤層の表面にバッカー層をドライラミネート法により積層し、化粧シートを作製した。化粧シートの厚みは0.41mmであった。
(化粧材の作製)
厚みが11.5mmのラワン合板上に、ウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を100g/mwetで均一に塗工し、化粧シートを貼り合わせて、室温で3日間養生することにより化粧材を作製した。
(評価方法)
実施例及び比較例で作製した化粧材を用いて、下記試験を行った。
[1]耐傷性試験(ホフマンスクラッチ試験)
米国BYK-GARDNER社製のホフマンスクラッチ試験機を用いて試験を行った。具体的には、化粧材の化粧シート表面に対して45°の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7mmの円柱形の刃)をセットし、試験機を化粧材上で移動させた。100g荷重ずつ徐々に荷重(錘)を高めていき、化粧シート表面に擦り傷、圧痕等が生じるまで試験を繰り返し行った。以下の評価基準に従って評価した。なお、評価が++であれば実使用において問題ないと評価される。
++:傷付初期荷重が1000g荷重以上である
+:傷付初期荷重が700~900g荷重である
-:傷付初期荷重が600g荷重以下である
[2]耐衝撃試験(デュポン衝撃試験)
JISK5600-5-3(1999)デュポン式の衝撃試験に従って、実施例及び比較例で得られた化粧材の化粧シート表面上に、半径6.3mmの半球形状の先端を有した撃ち型を静置させ、前記撃ち型上に500g荷重のおもりを高さ10cm、20cm、30cm、40cm、及び50cmから落下させた。以下の評価基準に従って評価した。なお、測定は、化粧材の化粧シートの温度が室温(25℃)、及び10℃の温度条件で行った。また、表1では、50cmから落下させてもシート割れが発生しない場合、>50と記載している。評価が+以上であれば寒冷地での実使用において問題はないが、++であれば特に好ましいと評価される。
++:シート割れが発生するおもりの高さが40cmであるか、又は、シート割れが発生しない
+:シート割れが発生するおもりの高さが20cm又は30cmである
-:シート割れが発生するおもりの高さが10cmである
[3]曲げ加工時の割れ評価(Vカット加工適性試験)
化粧材の化粧シートが積層されている面とは反対の面にV字状の溝を入れ、常温で当該溝を起点に化粧材を直角に折り曲げて(即ち、化粧シート面が山折りで木質基材面が谷折りとなるように化粧材を直角に折り曲げて)、化粧材中の化粧シートの折り曲げ部分の割れの状態を目視にて観察した。以下の評価基準に従って評価した。なお、測定は、化粧材の化粧シートの温度が室温(25℃)、及び10℃の温度条件で行った。
++:化粧シートの折り曲げた部分の外観に変化がないか、又は、軽微な変化があるが割れが発生していない
+:化粧シートの折り曲げた部分が白化しているが、割れが発生していない
-:化粧シートの折り曲げた部分に割れが発生している
[4]耐湿熱性試験(JAS湿熱試験)
化粧材を水平に固定して、化粧材の表面に沸騰水を滴下し、その上に0.5Lの沸騰水を入れた1L容量のアルミニウム容器を20分間放置した後、乾燥した布で摩擦し、そのまま24時間放置した。次いで、化粧材のアルミニウム容器を置いた箇所の外観変化の有無を目視により観察した。以下の評価基準に従って評価した。
+:アルミニウムの容器の跡が全くみられなかった
-:アルミニウムの容器の跡がみられた
[5]インデンテーション硬さ
第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層のインデンテーション硬さを、微小領域機械特性評価装置トライボインデンター(登録商標)「TI-950」(HYSITRON社製)を用いて以下の測定方法により測定した。
(1)ナノインデンターの圧子として、図2(a)に示される三角錐形状のバーコビッチ(Berkovich)圧子(型番:TI0039)を用いた。図2(b)に示すように測定試料にバーコビッチ圧子を後述の押込み条件にて押込み、押し込み荷重F(μN)に対する押し込み深さh(nm)を連続的に測定し、図2(c)に示すように荷重-変位曲線を作成した。作成された荷重-変位曲線から最大押し込み荷重Fmax(μN)を求めた。次いで、最大押し込み荷重Fmax(μN)をその時の圧子と試料の接触投影面積Ap(μm)で除することにより硬さを求めた。ここで、Apは標準試料の溶融石英を用いて装置標準の方法で圧子先端曲率を補正した接触投影面積である。
すなわち、HIT=Fmax/Apである。
(2)押込み条件は、室温(23±5℃)において、図2(c)に示される通り、先ず0~50μNまでの負荷を5秒間で加え(すなわち10μN/s)、次に50μN(Fmax)の負荷で5秒間保持し、最後に50~0μNまでの除荷を5秒間で行った。
(3)なお、硬さの測定に際し、測定試料となる層以外の層の硬さの影響を回避するために測定対象である層の断面の硬さを測定した。すなわち、化粧シートを樹脂(常温硬化タイプのエポキシ2液硬化樹脂)で包埋し、室温で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを鋭利な刃物(例えば電子顕微鏡切片作製用のダイヤモンドナイフ)で上記バーコビッチ圧子が押し込めるようにサンプルを削り出して測定対象である層の断面を露出させ、表面保護層の断面(充填剤などの微粒子が層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置)に上記バーコビッチ圧子を押込むことにより断面の硬さを測定した。(4)測定対象である層について、10箇所以上のインデンテーション硬さを測定し、再現良く測定された10箇所の平均値を測定値とした。
結果を表1に示す。
Figure 0007491165000001
1.化粧シート
11.表面保護層
12.透明性樹脂層
121.第1透明性樹脂層
122.第2透明性樹脂層
13.絵柄模様層
14.基材シート
15.バッカー層
2.化粧材
3.被着材
20.測定試料
21.バーコビッチ圧子
22.荷重をかける方向
h.押し込み深さ

Claims (7)

  1. 少なくとも表面保護層の下に透明性樹脂層を有する化粧シートであって、
    (1)前記透明性樹脂層は、前記表面保護層側から順に第1透明性樹脂層及び第2透明性樹脂層を有し、
    (2)前記第1透明性樹脂層は、厚みが10μm以上20μm未満であり、且つ、インデンテーション硬さが80MPa以上であり、
    (3)前記第2透明性樹脂層は、厚みが35μm以上であり、且つ、インデンテーション硬さが40MPa以上70MPa以下であり、
    (4)前記第1透明性樹脂層及び前記第2透明性樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含有し、
    (5)前記第1透明性樹脂層の厚み、及び前記第2透明性樹脂層の厚みの合計が60μm以上である、
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記透明性樹脂層は、前記第2透明性樹脂層の下に、更に、第3透明性樹脂層を有する、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記表面保護層側にエンボス形状を有する、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂、又は、2液硬化型ウレタン系樹脂を含む、請求項1~3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記表面保護層は、抗ウイルス剤を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記透明性樹脂層の下に、更に、透明性接着剤層、絵柄模様層、及び基材シートを有する、請求項1~5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の化粧シートを被着材上に有する化粧材。
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