JP2018040253A - 内燃機関 - Google Patents

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Yusuke Wada
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Abstract

【課題】ピストンの重量を増大させることなく、且つ簡単な構造によってノッキングの発生を効果的に抑制する。【解決手段】シリンダボア2が形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3のシリンダ軸線方向の一端面に結合されるシリンダヘッド4と、シリンダボア2に往復動可能に設けられ、シリンダヘッド4との間に燃焼室6を画成するピストン20とを備えるエンジン1において、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4の少なくとも一方に、燃焼室6を径方向外側に拡張する燃焼室拡張部50を形成する。【選択図】図1

Description

本開示は、内燃機関に関する。
シリンダブロックに形成されたシリンダ内にピストンが往復動し、シリンダブロックの上面に配設されたシリンダヘッドとピストンとの間に燃焼室が画成された火花点火式内燃機関では、燃焼室内で圧縮された混合気が点火プラグの火花放電により点火されると火炎核が生じ、その火炎核から火炎が燃焼室内を伝わっていく。
一方、圧縮行程における圧縮や燃焼ガスの膨脹による圧縮によって混合気の温度は上昇するため、点火プラグから遠い場所にある未燃焼の混合気(エンドガス)の火炎到達前の自己着火(ノッキング)が発生する場合がある。ノッキングの発生を抑制するためには、エンドガスが自己着火する前に、できるだけ早期に火炎伝播を完了させる必要がある。現状では、自己着火を抑制するために、熱効率低下を伴う、点火時期の遅角制御等の対策が採られている。
また、簡単な構造によってノッキングの発生を抑制できる内燃機関として、燃焼室が、シリンダヘッドに形成された2つの傾斜面と、傾斜面のそれぞれの下縁からピストンの頂面と平行に形成される2つのスキッシュ部とを有し、ピストン頂面の周縁部の1又は2箇所に、ピストンの周方向に円弧状に延在する細長の凹部を設けた内燃機関を本出願人は提案している。この内燃機関では、ピストンが上死点に達する時に燃焼室の周縁部から中央側に向けた流れであるスキッシュが生じることで、燃焼室内の混合気を撹拌して乱れを発生させ、火炎伝播速度を高めるように作用することでノッキングの発生が抑制される。また、火炎に暴露されるピストン表面の面積が凹部の深さ分だけ増大することで冷却性が向上することによってもノッキングの発生が抑制される。
特開2016−89651号公報
しかしながら、特許文献1に記載の内燃機関は、ピストンの頂面からトップリングよりも上側のトップランドに凹部を設けた構造というよりも、むしろピストンの頂部に凹部の深さに相当する肉部を上乗せした構造に近い。そのため、ピストンの重量が増大するうえ、ピストンの重心が高くなることによってピストンの首振り運動が激しくなる。首振りが激しくなると、フリクションの増大による燃費の悪化や振動の発生が問題になる。また、ピストンの表面積が増大する一方、面積を増大させた部分が吸収した熱は、シリンダブロックに形成されるウォータージャケットから冷却水に放出されることになり、伝熱経路が長い。そのため、冷却性の向上は限定的であり、ノッキングの抑制には更なる改善の余地がある。
更に、ノッキングの発生を抑制するために設けられるスキッシュが、凹部が設けられた部分ではスキッシュを発生させる機能を果たさなくなる。加えて、特許文献1に記載の内燃機関には、炭化水素等の有害排気ガス成分の低減にも改善の余地がある。即ち、通常、トップランドとシリンダとの間のリングクレビスには、圧縮行程において燃料や潤滑油が入り込む。ピストンが上死点付近にある時に点火される火炎はリングクレビスに入り込めず、リングクレビスには燃焼完了後に未燃燃料等が残る。リングクレビスに残った未燃燃料に含まれる炭化水素等の有害物質は、燃焼完了後にピストンが下降を続けることで蒸発し、既燃ガスに混ざって排ガスとして外部に排出される。特許文献1に記載の内燃機関では、トップリングがピストン頂面から凹部の深さ分だけ下方に設けられ、トップランドの位置が下方にずれるため、未燃燃料の排出を改善することはできない。
本発明は、このような背景に鑑み、ピストンの重量を増大させることなく、且つ簡単な構造によってノッキングの発生を効果的に抑制できる内燃機関を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために、本発明のある実施形態に係る内燃機関(1)は、シリンダボア(2)が形成されたシリンダブロック(3)と、前記シリンダブロックのシリンダ軸線(A)方向の一端面に結合されるシリンダヘッド(4)と、前記シリンダボアに往復動可能に設けられ、前記シリンダヘッドとの間に燃焼室(6)を画成するピストン(20)とを備え、前記シリンダブロック及び前記シリンダヘッドの少なくとも一方に、前記ピストンが上死点にある時に前記燃焼室を径方向外側に拡張する燃焼室拡張部(50)が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、シリンダブロック及びシリンダヘッドの少なくとも一方に燃焼室拡張部を形成する構成であるため、ピストン重量を増大させる必要がない。また、凹部、即ち火炎に暴露される燃焼室表面の面積増大部分が、ピストンではなく、シリンダブロック及びシリンダヘッドの少なくとも一方に形成されるため、当該部分からの伝熱経路が短い。そのため、冷却性が向上し、燃焼室周縁部での自己着火が抑制される。これらのことから、ノッキングの発生が効果的に抑制される。
更に、燃焼初期に燃焼室内には圧力勾配が生じ、燃焼室の中央側部分から周縁部の燃焼室拡張部に向けて混合気の急速な移動が発生する。この混合気は、上死点付近にあるピストンの周縁部とシリンダヘッドの燃焼室周縁部との隙間を通過して燃焼室拡張部に流入することで燃焼室拡張部に強い乱流を発生させる。この乱流によって燃焼室拡張部周辺が冷却されることで燃焼室の周縁部での自己着火が抑制されることによってもノッキングの発生が抑制される。
本発明の他の実施形態は、上記構成において、前記燃焼室拡張部が、少なくとも前記シリンダブロックの前記一端面に開口するように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、シリンダブロックに燃焼室拡張部を形成するための加工が容易である。
本発明の他の実施形態は、上記構成において、前記燃焼室拡張部(50)が、前記ピストン(20)が上死点にある時に、前記シリンダブロックの前記一端面から前記ピストンのトップリング(35)に至らない深さ(D)をもって前記シリンダブロック(3)に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ピストンのトップランドとシリンダブロックとの間のリングクレビスに入り込んだ燃料が、燃焼室拡張部に発生した乱流によって混合気に混ざり、燃焼室の中央側部分から伝播する火炎によって燃焼する。そのため、排ガスに含まれる炭化水素等の有害物質が低減する。
本発明の他の実施形態は、上記構成において、前記燃焼室(6)は、前記ピストンが上死点に達する時にスキッシュを生じさせる隙間であるスキッシュ部(45)を有し、当該スキッシュ部は、互いに平行に延在する前記シリンダヘッド(4)の下面と前記ピストン(20)の頂面(27)とにより形成され、前記燃焼室拡張部(50)が前記スキッシュ部の径方向外側に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、スキッシュ部の全体がスキッシュを発生させて混合気を撹拌する機能を果たし、火炎伝播速度が高くなる。また、燃焼初期に燃焼室の中央側部分から周縁部に向けて急速に移動する混合気は、スキッシュ部を通過して燃焼室拡張部に流入することで燃焼室拡張部により強い乱流を発生させる。これにより、燃焼室拡張部の周辺部が効果的に冷却され、燃焼室周縁部での自己着火が一層抑制される。これらのことにより、ノッキングの発生が一層抑制される。
本発明の他の実施形態は、上記構成において、前記燃焼室拡張部(50)が、前記燃焼室(6)の少なくとも吸気側に形成されていることを特徴とする。ここで、吸気側とは、吸気ポートが形成された側を意味する。
燃焼室の排気側(排気ポートが形成された側)は、高温になった既燃ガスの通過経路になるために吸気側に比べて高温になる。シリンダブロックやシリンダヘッドの肉部はこの熱を吸収するため、排気側に燃焼室拡張部が形成されると、内燃機関の仕様に応じて異なる熱条件によってはノッキングが発生し易くなることがある。この構成によれば、熱条件によるノッキング発生問題がない吸気側に少なくとも燃焼室拡張部が設けられるため、確実にノッキングが抑制される。
本発明の他の実施形態は、上記構成において、前記燃焼室拡張部(50)が、前記燃焼室(6)の吸気側のみに、或いは前記燃焼室の吸気側及び排気側の2箇所のみに形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ノッキングが発生し難い燃焼室のピストンピン軸方向側に燃焼室拡張部を形成する必要がなく、燃焼室拡張部を形成するための加工量及び加工時間を削減することができる。また、燃焼室拡張部形成のために内燃機関のピストンピン軸方向(クランク軸方向)の寸法が増大することを抑制できる。
本発明の他の実施形態は、上記構成において、前記燃焼室拡張部(50)が、前記シリンダボア(2)の周方向に延在し、前記ピストン(20)のピストンピン軸方向側ほど断面積が小さくなるように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ノッキングが発生し難い燃焼室のピストンピン軸方向に近い部分における燃焼室拡張部形成のための加工量を削減することができる。燃焼室拡張部形成のために内燃機関のピストンピン軸方向(クランク軸方向)の寸法が増大することを抑制できる。
本発明の他の実施形態は、上記構成において、前記燃焼室拡張部(50)が、前記シリンダボア(2)の径方向に沿う断面において、前記シリンダブロック(3)の前記一端面から他端に向けて径方向の幅が小さくなる形状を有していることを特徴とする。
この構成によれば、燃焼室拡張部が矩形断面形状を有する場合に比べ、強い乱流が燃焼室拡張部に発生するため、ノッキングの発生がより効果的に抑制される。
本発明の他の実施形態は、上記構成において、シリンダ軸線(A)方向視において、前記燃焼室拡張部(50)の径方向外側の輪郭が波形を有していることを特徴とする。
この構成によれば、燃焼室拡張部の混合気にはピストンの径方向に沿う流れとピストンの周方向に沿う流れが生じるだけでなく、各波形状部における旋回流も生じる。これにより、燃焼室拡張部における未燃燃料の混合や燃焼室拡張部周辺の冷却が促進され、ノッキングの発生が抑制される。
このように本発明によれば、ピストン重量を増大させることなく、且つ簡単な構造によってノッキングの発生を効果的に抑制できる内燃機関を提供することができる。
実施形態に係るエンジンの要部を示す側断面図 図1に示されるピストンの側断面図 図1のIII−III線に沿って内燃機関の要部を透視して示す概略平面図 図1に示されるエンジンの動作説明図 燃焼室拡張部の変形例を示すエンジンの要部概略平面図 燃焼室拡張部の変形例を示すエンジンの要部側断面図
以下、図面を参照して、本発明を4バルブのガソリン直噴エンジンに適用した実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るエンジン1の要部を示す側断面図である。図1に示されるように、エンジン1は、シリンダボア2(気筒)が形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3のシリンダ軸方向の一端面である上面に結合されたシリンダヘッド4とを有している。本実施形態では、複数のシリンダボア2がシリンダブロック3に列設されている。シリンダボア2を基準として、シリンダ軸線A方向を上下方向、シリンダ列方向を左右方向として定める。シリンダブロック3には、冷却のためのウォータージャケット5がシリンダボア2を取り囲むように形成されている。
シリンダヘッド4の下端面には、シリンダボア2と連続するペントルーフ型の燃焼室6の上部を画成する2つの傾斜面4a、4bが形成されている。2つの傾斜面4a、4bはシリンダ列方向に延在しており、一方の傾斜面4aには2つの吸気ポート7が開口し、他方の傾斜面4bには2つの排気ポート8が開口している。吸気ポート7及び排気ポート8は、ポペットバルブからなる吸気バルブ及び排気バルブによりそれぞれ開閉される。燃焼室6において、上下方向及び左右方向に直交する2つの吸気ポート7が配置された側を吸気側、2つの排気ポート8が配置された側を排気側とする。2つの傾斜面4a、4bの外側には、それぞれの下縁からシリンダブロック3の上面と平行に吸気側及び排気側に延びる2つの平行面4c、4dが形成されている。
シリンダヘッド4の燃焼室6を画成する部分の中央部には、シリンダヘッド4の上面へと貫通する点火プラグ孔11が形成され、点火プラグ孔11には、点火プラグ12が挿入されている。点火プラグ12は、その先端に設けられた接地電極13が点火プラグ孔11から燃焼室6に突出するように配置されている。燃焼室6の吸気側部分であって、2つの吸気ポート7の間の部分には、シリンダヘッド4の側面へと貫通する噴射ノズル孔14が形成されている。噴射ノズル孔14には、燃料噴射ノズル15が挿入されている。シリンダヘッド4にも、冷却のためのウォータージャケット16が燃焼室6を覆い、排気ポート8等を取り囲むように形成されている。
シリンダボア2内には、ピストン20が上下に往復動可能に配置されている。ピストン20は、シリンダヘッド4(傾斜面4a、4bや平行面4c、4d等)との間に燃焼室6を画成する。ピストン20は、左右対称形をなし、円板状のピストン頭頂部21(クラウン部)と、ピストン頭頂部21の周縁部の吸気側部分及び排気側部分から下方へと突設された一対のスカート部22と、各スカート部22の対応する側縁同士を互いに連結する一対のサイドウォール23とを有している。ピストン頭頂部21及び一対のスカート部22の外径は、シリンダボア2の内径よりも若干小さくされている。
図2は、図1に示されるピストン20の側断面図である。図1及び図2に示されるように、ピストン頭頂部21は、円板状の天板25と、天板25の周縁部から下方へと突出すると共に、周縁部に沿って延設された円筒壁26とを有している。天板25の上方を向く面を頂面27とし、ピストン頭頂部21の下方又は内方を向く面を裏面28とする。天板25及び円筒壁26の外周面には、周方向に延在する第1環状溝31、第2環状溝32及び第3環状溝33が上から順に形成されている。第3環状溝33の吸気側部分及び排気側部分のそれぞれには、第3環状溝33の底面と円筒壁26の裏面28とを連通する複数のオイル孔34が形成されている。
第1環状溝31及び第2環状溝32にはコンプレッションリングからなるトップリング35及びセカンドリング36(図1参照)が、第3環状溝33にはオイルリング37(図1)が、それぞれピストン頭頂部21の外周面から突出するように嵌め付けられる。ピストン頭頂部21の外周面におけるトップリング35の上側部分がトップランド38(図2)となり、トップランド38とシリンダブロック3(シリンダボア2を形成する内周面)との間には、隙間であるリングクレビス39(図1)が形成される。
各スカート部22は、円筒壁26の吸気側部分及び排気側部分から下方へと突設されている。各スカート部22は、円筒壁26の下端に沿って周方向に延在し、その外面は円筒壁26の外周面に連続した円弧面となっている。
各サイドウォール23は、円筒壁26の裏面28から下方に向けて突設されている。各サイドウォール23には、互いに同軸となるピストンピンボス40が形成されている。各ピストンピンボス40には、ピストン20をピストンロッド(図示しない)に回動可能に連結するピストンピン(図示しない)が挿入される。
ピストン20の頂面27の周縁部には、シリンダ軸線Aと直交する平面からなる環状平面部41が形成されている。環状平面部41の内側には、中央部(シリンダ軸線A側)から排気側に亘る部分において環状平面部41に対して上方へ突出する突出部42と、吸気側部分において環状平面部41に対して凹陥した凹陥部43とが形成されている。凹陥部43の左側及び右側には、吸気バルブとの干渉を避けるための吸気バルブリセス(図示しない)がそれぞれ凹設される。突出部42の左側及び右側には、排気バルブとの干渉を避けるための排気バルブリセス(図示しない)がそれぞれ凹設される。突出部42における2つの排気バルブリセス間の外周側部分には、シリンダヘッド4の排気側の傾斜面4bと平行に対向するように突出する排気側凸部44が形成されている。
図1は、ピストン20が上死点にある状態のエンジン1を示している。この状態では、ピストン20の環状平面部41は、シリンダブロック3の上面と略一致し、シリンダヘッド4の2つの平行面4c、4dの僅かに下方に位置している。シリンダヘッド4の平行面4c、4dとピストン20の頂面27との間には、このように隙間が小さいことにより、ピストン20が上死点に達する時に、シリンダ軸線Aに直交する方向の混合気の流れであるスキッシュを生じさせるスキッシュ部45が形成される。
図3は、図1のIII−III線に沿ってエンジン1の要部を透視して示す概略平面図である。図1〜図3に示されるように、排気側凸部44は、シリンダヘッド4の傾斜面4bと平行に延在することにより、シリンダヘッド4の排気側の平行面4dとピストン20の頂面27との間に形成されるスキッシュ部45を燃焼室6の中央部側に拡大させている。
図1に示されるように、シリンダブロック3のシリンダボア2を画成する内周面には、シリンダボア2の上端においてシリンダボア2の周方向に延在するように凹設され、燃焼室6を径方向外側に拡張する燃焼室拡張部50が形成されている。燃焼室拡張部50は、シリンダブロック3の内周面と上面とに開口する扇形の断面形状とされている。即ち、燃焼室拡張部50は、シリンダブロック3の上端から下端に向けて、シリンダボア2の径方向における幅が小さくなる円弧状の断面形状を有する凹部によって形成されている。
図3に示されるように、本実施形態では、燃焼室拡張部50は、シリンダボア2の吸気側と排気側との2箇所に円弧状に形成されている。燃焼室拡張部50のそれぞれは、左右方向の両端部に向けて断面積が徐々に小さくなるように、言い換えればピストン20のピストンピン軸方向側ほど断面積が小さくなるように形成されている。燃焼室拡張部50の断面は、シリンダ軸線Aを通ってシリンダ列方向に直交する図1の断面において最も大きくなっている。この断面において、燃焼室拡張部50は、シリンダブロック3の上面からの深さDが、図1に示されるピストン20が上死点にある時にピストン20のトップリング35に至らないように形成されている。
図3に示されるように、燃焼室拡張部50は、吸気側及び排気側の両方において、隣接するスキッシュ部45の周方向長さよりも長く形成されており、スキッシュ部45の径方向外側にスキッシュ部45の全体を囲むような所定の角度範囲に亘って設けられている。
次に、このように構成されたエンジン1の作用及び効果について説明する。
図4(A)は、図1と同様にピストン20が上死点にある時のエンジン1の要部側断面図であり、図4(B)は、下降行程において混合気の燃焼が完了した時のエンジン1の要部側断面図である。圧縮行程においてピストン20が上昇する際には、シリンダブロック3の内周面に付着した潤滑油や燃料噴射ノズル15から噴射された燃料等がトップリング35によって掻き揚げられてリングクレビス39(図4(B)参照)に入り込む。図4(A)に示されるように、圧縮行程を経てピストン20が上死点に達する時には、スキッシュ部45がスキッシュを発生させる。この時、燃焼室拡張部50は燃焼室6のスキッシュ部45よりも中央側の部分に比べて容積が極めて小さいため、スキッシュは燃焼室6の周縁部から中央側に向けた流れが主となり、混合気を撹拌して乱れを発生させる。
そのような状態で点火プラグ12により混合気が点火されると、火炎が比較的高い伝播速度で燃焼室6の中央側から周縁部に向けて広がる。火炎伝播による混合気の燃焼は、ピストン20が図4(B)に示される位置まで下降するまでに完了する。この際、燃焼初期に燃焼室6内には圧力勾配が生じ、燃焼室6の中央側部分から周縁部の燃焼室拡張部50に向けて混合気の急速な移動が発生する。この混合気は、図4(A)に示される上死点の付近にあるピストン20の周縁部に形成されたスキッシュ部45の隙間や、スキッシュ部45がない部分ではピストン20の周縁部とシリンダヘッド4との隙間を通過して燃焼室拡張部50に流入することで、燃焼室拡張部50に強い乱流を発生させる。これによって燃焼室拡張部50の周辺が冷却され、燃焼室6の周縁部における自己着火が抑制される。
このように、燃焼室6を径方向外側に拡張する燃焼室拡張部50がシリンダブロック3に形成されることにより、燃焼室6の周縁部での自己着火が抑制され、ノッキングの発生が抑制される。また、燃焼室拡張部50がピストン20ではなくシリンダブロック3に形成されるため、ピストン20のピストン頭頂部21に肉部を上乗せする必要がなく、ピストン重量を増大させる必要がない。更に、火炎に暴露される燃焼室6の表面積増大部分となる燃焼室拡張部50が、ピストン20ではなくシリンダブロック3に形成される。そのため、図1に示されるように、燃焼室拡張部50を画成する部分からウォータージャケット5までの伝熱経路が短くなって冷却性が向上することからも、燃焼室6の周縁部での自己着火が抑制される。
また、燃焼室拡張部50がシリンダブロック3の上面に開口するように形成されているため、燃焼室拡張部50を形成するための加工が容易である。
更に、燃焼室拡張部50は、ピストン20が上死点にある時に、シリンダブロック3の上面からピストン20のトップリング35に至らない深さDをもってシリンダブロック3に形成されている。そのため、ピストン20のトップランド38とシリンダブロック3との間のリングクレビス39に入り込んだ燃料が、燃焼室拡張部50に発生した乱流によって混合気に混ざり、燃焼室6の中央側部分から伝播する火炎によって燃焼する。そのため、排ガスに含まれる炭化水素等の有害物質が低減する。
本実施形態では、燃焼室6が、ピストン20が上死点に達する時にスキッシュを生じさせる隙間であるスキッシュ部45を有し、スキッシュ部45が、互いに平行に延在するシリンダヘッド4の下面とピストン20の頂面27とにより形成され、燃焼室拡張部50がスキッシュ部45の径方向外側に設けられている。そのため、図4(A)を参照して説明したように、スキッシュ部45の全体がスキッシュを発生させて混合気を撹拌する機能を果たし、火炎伝播速度が高くなる。また、燃焼初期に燃焼室6の中央側部分から周縁部に向けて急速に移動する混合気は、スキッシュ部45を通過して燃焼室拡張部50に流入することで燃焼室拡張部50により強い乱流を発生させる。これにより、燃焼室拡張部50の周辺部が効果的に冷却され、燃焼室6の拡張部周辺での自己着火が一層抑制される。これらのことにより、ノッキングの発生が一層抑制される。
図3に示されるように、本実施形態では、燃焼室拡張部50が、燃焼室6の吸気側及び排気側の2箇所のみに形成されている。そのため、ノッキングが発生し難い燃焼室6のシリンダ列方向側に燃焼室拡張部50を形成する必要がなく、燃焼室拡張部50を形成するための加工量及び加工時間を削減することができる。また、燃焼室拡張部50の形成のためにエンジン1のシリンダ列方向の寸法が増大することを抑制できる。
なお、本実施形態では、図3に示されるように、燃焼室拡張部50が燃焼室6の吸気側及び排気側の両方に形成されているが、吸気側のみに形成されてもよい。燃焼室6の排気側は、高温になった既燃ガスの通過経路になるために吸気側に比べて高温になり易いが、吸気側のみに燃焼室拡張部50が形成されると、シリンダブロック3やシリンダヘッド4の肉部(燃焼室拡張部50が形成されなかった部分)が熱を吸収する。つまり、排気側に燃焼室拡張部50が形成されると、エンジン1の仕様に応じて異なる熱条件によってはノッキングが発生し易くなることがあるが、熱条件によるノッキング発生問題がない吸気側のみに燃焼室拡張部50を設けることで、確実にノッキングを抑制できる。
燃焼室拡張部50は、シリンダボア2の周方向に延在し、ピストン20のシリンダ列方向側ほど断面積が小さくなるように形成されている。そのため、ノッキングが発生し難い燃焼室6のピストンピン軸方向に近い部分における燃焼室拡張部50形成のための加工量を削減することができる。また、燃焼室拡張部50形成のためにエンジン1のシリンダ列方向の寸法が増大することを抑制できる。
図1に示されるように、燃焼室拡張部50は、シリンダボア2の径方向に沿う断面において、シリンダブロック3の上端から下端に向けて径方向の幅が小さくなる形状を有している。そのため、燃焼室拡張部50が矩形断面形状を有する場合(図5(A)参照)に比べ、強い乱流が燃焼室拡張部50に発生し、ノッキングの発生がより効果的に抑制される。
なお、燃焼室拡張部50の断面形状は上記のような円弧形状に限定されるものではない。図5(A)〜(C)は、それぞれ燃焼室拡張部50の変形例を示すエンジン1の要部側断面図である。例えば、図5(A)に示されるように、燃焼室拡張部50が矩形断面形状とされてもよい。或いは、図5(B)に示されるように、シリンダブロック3に断面扇形に形成だけでなく、シリンダヘッド4にも断面扇形に連続するように形成されてもよい。更に、図5(C)に示されるように、燃焼室拡張部50がシリンダブロック3には断面矩形に形成され、シリンダヘッド4には断面扇形に形成されてもよい。
更に、図示省略するが、燃焼室拡張部50がシリンダヘッド4のみに形成されてもよい。但し、この場合には、リングクレビス39に入り込んだ燃料を、燃焼室拡張部50に発生した乱流によって混合気に混合させることが難しい。そのため、燃焼室拡張部50は、好ましくはシリンダブロック3に形成される。
図6(A)、(B)は、それぞれ燃焼室拡張部50の変形例を示す、図3に相当するエンジン1の要部概略平面図である。燃焼室拡張部50は、図6(A)に示されるように、燃焼室6の全周に環状に形成されてもよい。この場合、燃焼室拡張部50の断面形状が一定であってもよく、シリンダ列方向側ほど小さくなるように変化していてもよい。
或いは、図6(B)に示されるように、燃焼室拡張部50の径方向外側の輪郭が波形を有していてもよい。図示の例では、燃焼室拡張部50の径方向外側の輪郭が燃焼室6の吸気側のみにおいて波形となっている。他の例では、燃焼室6の排気側のみ、或いは吸気側及び排気側の両方において波形となっていてもよい。このように燃焼室拡張部50の径方向外側の輪郭が波形とされることにより、燃焼室拡張部50の混合気にはピストン20の径方向に沿う流れとピストン20の周方向に沿う流れが生じるだけでなく、各波形状部における旋回流も生じる。これにより、燃焼室拡張部50における未燃燃料の混合や燃焼室拡張部50周辺の冷却が促進され、ノッキングの発生が抑制される。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、エンジン1にペントルーフ型の燃焼室6が形成されているが、燃焼室6は他の形状であってもよい。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、角度など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。例えば、ピストン20が上死点にある時にピストン20の外側に径方向外側に向けて広がるように燃焼室拡張部50が形成されることにより、燃焼室拡張部50には乱流が発生するため、スキッシュ部45は必須ではない。
1 エンジン
2 シリンダボア
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
6 燃焼室
20 ピストン
27 頂面
35 トップリング
45 スキッシュ部
50 燃焼室拡張部
A シリンダ軸線
D 燃焼室拡張部50の深さ

Claims (9)

  1. シリンダボアが形成されたシリンダブロックと、
    前記シリンダブロックのシリンダ軸線方向の一端面に結合されるシリンダヘッドと、
    前記シリンダボアに往復動可能に設けられ、前記シリンダヘッドとの間に燃焼室を画成するピストンとを備え、
    前記シリンダブロック及び前記シリンダヘッドの少なくとも一方に、前記ピストンが上死点にある時に前記燃焼室を径方向外側に拡張する燃焼室拡張部が形成されていることを特徴とする内燃機関。
  2. 前記燃焼室拡張部が、少なくとも前記シリンダブロックの前記一端面に開口するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記燃焼室拡張部が、前記ピストンが上死点にある時に、前記シリンダブロックの前記一端面から前記ピストンのトップリングに至らない深さをもって前記シリンダブロックに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記燃焼室は、前記ピストンが上死点に達する時にスキッシュを生じさせる隙間であるスキッシュ部を有し、当該スキッシュ部は、互いに平行に延在する前記シリンダヘッドの下面と前記ピストンの頂面とにより形成され、
    前記燃焼室拡張部が前記スキッシュ部の径方向外側に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の内燃機関。
  5. 前記燃焼室拡張部が、前記燃焼室の少なくとも吸気側に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の内燃機関。
  6. 前記燃焼室拡張部が、前記燃焼室の吸気側のみに、或いは前記燃焼室の吸気側及び排気側の2箇所のみに形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の内燃機関。
  7. 前記燃焼室拡張部が、前記シリンダボアの周方向に延在し、前記ピストンのピストンピン軸方向側ほど断面積が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の内燃機関。
  8. 前記燃焼室拡張部が、前記シリンダボアの径方向に沿う断面において、前記シリンダブロックの前記一端面から他端に向けて径方向の幅が小さくなる形状を有していることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の内燃機関。
  9. シリンダ軸線方向視において、前記燃焼室拡張部の径方向外側の輪郭が波形を有していることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の内燃機関。
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