JP2018039419A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】上位制御装置により生成される指令値が信頼性要求水準を満たさない場合であれ、異常なアシスト制御量をより適切に制限することができる操舵制御装置を提供する。【解決手段】EPSのECUは、アシスト制御量の演算に使用する各状態量に応じてアシスト制御量の変化範囲を制限する制限値を前記状態量ごとに個別に設定し、これら制限値(IUL1*〜IUL5*,ILL1*〜ILL5*)を合算することによりアシスト制御量に対する最終的な制限値(IUL*,ILL*)を生成する。ECUは上位ECUによって演算される目標操舵角に基づきアシスト制御量に付加される補正制御量を演算する。ECUは、補正制御量がアシスト制御量に付加されるとき、操舵角θsに応じた個別の制限値(IUL3*,ILL3*)を補正制御量の最小値である零に固定するとともに、操舵速度ωsに応じた個別の制限値を補正制御量の許容最大値(±Imax)に固定する。【選択図】図4

Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
従来、車両の操舵機構にモータのトルクをアシスト力として付与するEPS(電動パワーステアリング装置)が存在する。たとえば特許文献1に記載のEPSの制御装置は、操舵トルクおよび操舵角などの操舵状態を示す複数種の状態量に基づきアシスト制御量を演算し、当該アシスト制御量に基づきモータへの給電を制御する。制御装置は、各状態量に応じてアシスト制御量の変化範囲を制限する制限値(上限値および下限値)を状態量ごとに個別に設定する。制御装置は、これら個別に設定した制限値を合算した値をアシスト制御量に対する最終的な制限値として設定する。異常値を示す過大なアシスト制御量が演算された場合、当該異常なアシスト制御量の値は最終的な制限値によって各状態量に応じた適切な値に制限される。
また、当該EPSの制御装置は他の車載システムとの協調制御を実行する。協調制御とは、複数種の車載システムの制御装置が互いに連携して車両の動きを制御する技術をいう。車両に搭載される上位制御装置は、その時々の車両の状態などに基づき最適な制御方法を求め、その求められる制御方法に応じて各システムの制御装置に対して個別の制御を指令する。上位制御装置は、たとえば必要とされるステアリング操作を補助するために、EPSの制御装置に対する指令値を演算する。この指令値は、たとえば操舵角などの特定の状態量に対するものである。EPSの制御装置は、上位制御装置により演算される指令値を加味してアシスト制御量、および特定の状態量に応じた個別の制限値を演算する。このため、最終的な制限値は、上位制御装置により演算される指令値を加味して演算されるアシスト制御量に対して、より適切な値となる。したがって、EPSの制御装置は、上位制御装置により演算される指令値に応じて、より適切な制限処理を実行することが可能となる。
特開2016−088274号公報
ところが、特許文献1のEPSにおいては、つぎのようなことが懸念される。すなわち、アシスト制御量に対する制限機能の信頼性を確保する観点から、アシスト制御量の演算に使用される複数種の状態量には一定以上の信頼性水準が要求される。これは、上位制御装置により演算される指令値についても同様である。しかし、車両製造業者の仕様などによって、上位制御装置により演算される指令値が信頼性要求水準を満たさないことがある。この場合、EPSの制御装置は、信頼性要求水準を満たしていない指令値を使用して制限値を演算することになる。信頼性要求水準を満たしていない指令値を使用して演算される制限値の信頼性は当然に担保されないため、異常値を示す過大なアシスト制御量を狙い通りの適切な値に制限できないおそれがある。
本発明の目的は、上位制御装置により生成される指令値が信頼性要求水準を満たさない場合であれ、異常なアシスト制御量をより適切に制限することができる操舵制御装置を提供することにある。
上記目的を達成し得る操舵制御装置は、操舵状態を示す複数種の状態量のうち信頼性要求水準を満たす状態量に基づき、車両の操舵機構に付与する動力の発生源であるモータを制御するためのアシスト制御量を演算するアシスト制御部と、前記複数種の状態量に応じて前記アシスト制御量の変化範囲を制限する制限値を前記状態量ごとに個別に設定し、これら制限値を合算して得られる前記アシスト制御量に対する最終的な制限値に基づき前記アシスト制御量の変化範囲を制限する制限処理部と、上位制御装置によって自車両の周辺環境に応じて演算される、操舵角の目標値となる角度指令値に基づき前記アシスト制御量に付加される補正制御量を演算する演算部と、を備えている。前記補正制御量は、前記角度指令値に実際の操舵角を追従させる角度フィードバック制御の実行を通じて演算されるものである。前記制限処理部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵角に応じた個別の制限値および操舵角に基づき演算される状態量に応じた個別の制限値に代えて、前記補正制御量が加味された前記アシスト制御量を許容しつつも前記モータへ過大な電流が流れ込まないように設定される固定値を使用して前記最終的な制限値を演算する。
この構成によれば、上位制御装置によって角度指令値が演算されていないとき(アシスト制御量に補正制御量が付加されないとき)、アシスト制御量に対する制限値が、アシスト制御量の演算に使用される状態量ごとに個別に設定されるとともに、これら個別の制限値を合算した値がアシスト制御量に対する最終的な制限値として設定される。このため、何らかの原因によって異常値を示す過大なアシスト制御量が演算された場合であれ、当該異常なアシスト制御量は最終的な制限値によって各状態量に応じた適切な値に制限される。適切な値に制限されたアシスト制御量に基づき動力の発生源であるモータが制御されることにより、意図しない動力が操舵機構に付与されることが抑制される。
これに対し、上位制御装置によって角度指令値が演算されるとき(アシスト制御量に補正制御量が付加されるとき)、操舵角に応じた個別の制限値および操舵角に基づき演算される状態量に応じた個別の制限値に代えて、固定値を使用してアシスト制御量に対する最終的な制限値が演算される。この固定値は、補正制御量が加味された前記アシスト制御量を許容しつつもモータへ過大な電流が流れ込まないように設定されるものであって、上位制御装置により演算される角度指令値が信頼性要求水準を満たしているかどうかに影響されない。このため、補正制御量が加味されたアシスト制御量に基づくモータの制御を許容しつつも、当該固定値を加味して演算される最終的な制限値を超える異常なアシスト制御量は、当該最終的な制限値に制限される。このように、上位制御装置により演算される角度指令値が信頼性要求水準を満たさない場合であれ、異常なアシスト制御量をより適切に制限することができる。
上記の操舵制御装置において、前記制限処理部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵角に応じた個別の制限値および操舵角に基づき演算される状態量に応じた個別の制限値のいずれか一を第1の固定値として定められた前記補正制御量の許容最大値に固定するとともに、残りの個別の制限値を第2の固定値として定められた前記補正制御量の最小値である零に固定することが好ましい。
この構成によれば、上位制御装置によって角度指令値が演算されるとき(アシスト制御量に補正制御量が付加されるとき)、操舵角に応じて設定される個別の制限値、および操舵角に基づき演算される状態量に応じて設定される個別の制限値に代えて、前記補正制御量の許容最大値(固定値)が使用されてアシスト制御量に対する最終的な制限値が演算される。
ここで、角度指令値に基づく補正制御量が反映されることによりアシスト制御量は当初に演算される値とは異なる値に変化する。このため、アシスト制御量に対する制限値についても補正制御量を加味して設定することが好ましい。上記の構成によれば、補正制御量として許容される最大値を加味して最終的な制限値が演算されることにより、補正制御量が反映されたアシスト制御量に対してより適した最終的な制限値が設定される。したがって、補正制御量が反映されたアシスト制御量が誤って制限されることが抑制される。また、補正制御量の許容最大値が反映された最終的な制限値を超える異常なアシスト制御量は適切に制限される。
上記の操舵制御装置において、前記操舵角に基づき演算される状態量に操舵速度が含まれるとき、前記制限処理部は、第1の制限値切替部および第2の制限値切替部を有することが好ましい。第1の制限値切替部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵角に応じた個別の制限値を前記補正制御量の最小値である零に切り替える。第2の制限値切替部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵速度に応じた制限値を前記補正制御量の許容最大値に切り替える。
この構成によれば、上位制御装置によって指令値が演算されるとき(アシスト制御量に補正制御量が付加されるとき)、操舵角に応じて設定される個別の制限値および操舵速度に応じて設定される個別の制限値に代えて、前記補正制御量の許容最大値が使用されてアシスト制御量に対する最終的な制限値が演算される。
上記の操舵制御装置において、バックアップ制御部および切替部を有していることが好ましい。バックアップ制御部は、前記アシスト制御量が制限される異常が発生したときに使用されるバックアップ用のアシスト制御量を演算する。切替部は、前記異常が発生するとき、前記モータの制御に使用するアシスト制御量を、前記アシスト制御部により演算されるアシスト制御量から前記バックアップ用のアシスト制御量へ切り替える。
この構成によれば、上位制御装置により指令値が演算されるかどうかに関わらず、アシスト制御量が制限される異常が発生したとき、バックアップ用の制御量に基づきモータの制御が継続して実行される。このため、操舵機構に対してバックアップ用のアシスト制御量に基づく動力を継続して付与することができる。安全性をより高いレベルで確保する観点から、最終的な制限値により制限された状態のアシスト制御量を継続して使用するよりも、バックアップ用のアシスト制御量を使用することが好ましいという考え方もある。
上記の操舵制御装置において、前記アシスト制御部は、前記複数種の状態量の一である操舵トルクに基づき前記アシスト制御量の基礎成分を演算するとともに、操舵角および操舵角に基づき演算される状態量である操舵速度の少なくとも一に基づき前記基礎成分に対する一または複数の補償量を演算し、前記基礎成分および前記一または複数の補償量を合算することにより前記アシスト制御量を演算するものであってもよい。この場合、前記アシスト制御部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵角および操舵速度の少なくとも一に基づき演算される前記一または複数の補償量の値を強制的に零とすることが好ましい。
上位制御装置により演算される指令値が操舵角に対するものであるとき、当該指令値を加味して実行されるモータに対する制御と、操舵角および操舵速度の少なくとも一方に基づき実行されるモータに対する補償制御とが干渉するおそれがある。この点、上記の構成によれば、上位制御装置により操舵角に対する指令値が演算されるとき(アシスト制御量に補正制御量が付加されるとき)、操舵角および操舵速度の少なくとも一に基づく補償量の値が強制的に零とされることにより、当該補償量がモータの制御に反映されることはない。このため、上位制御装置により演算される指令値に基づくモータに対する制御と、操舵角および操舵速度の少なくとも一方に基づくモータに対する補償制御とが互いに干渉することを抑制することができる。
ここで、上位制御装置により指令値が演算される場合、操舵角および操舵速度の少なくとも一に基づく補償量の値が強制的に零とされるとき、アシスト制御量に対する最終的な制限値による制限幅が無駄に拡がるおそれがある。これは、アシスト制御量には操舵角および操舵速度の少なくとも一に基づく補償量が加味されないにもかかわらず、操舵角および操舵速度の少なくとも一に応じて個別の制限値が演算されるからである。
この点、上記の構成によれば、上位制御装置によって指令値が演算されるとき(アシスト制御量に補正制御量が付加されるとき)、操舵角に応じた個別の制限値および操舵角に基づき演算される状態量に応じた個別の制限値に代えて、固定値が使用されてアシスト制御量に対する最終的な制限値が演算される。当該固定値は操舵角および操舵速度に応じて増減することがない。このため、最終的な制限値による制限幅が無駄に拡がることを抑制することができる。
上記の操舵制御装置において、前記アシスト制御部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されてからの経過時間に応じて、操舵角および操舵速度の少なくとも一に基づき演算される前記一または複数の補償量の値を零へ向けて漸減させることが好ましい。
この構成によれば、上位制御装置により指令値が演算されるとき(アシスト制御量に補正制御量が付加されるとき)、前記一または複数の補償量は零に向けて徐々に減少される。このため、アシスト制御量の急激な変化が抑制される。
本発明の操舵制御装置によれば、上位制御装置により生成される指令値が信頼性要求水準を満たさない場合であれ、異常なアシスト制御量をより適切に制限することができる。
電子制御装置を有する電動パワーステアリング装置の一例を示す構成図。 電子制御装置の一例を示す制御ブロック図。 アシスト制御部の一例を示す制御ブロック図。 上下限リミット演算部の一例を示す制御ブロック図。 操舵トルクと制限値との関係の一例を示すマップ。 操舵トルクの微分値と制限値との関係の一例を示すマップ。 操舵角と制限値との関係の一例を示すマップ。 操舵速度と制限値との関係の一例を示すマップ。 アシスト制御量(電流指令値)の変化の一例を示すグラフ。
<第1の実施の形態>
以下、操舵制御装置を電動パワーステアリング装置のECU(電子制御装置)に具体化した一実施の形態を説明する。
<EPSの概要>
図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、運転者のステアリング操作に基づいて転舵輪を転舵させる操舵機構20、運転者のステアリング操作を補助する操舵補助機構30、および操舵補助機構30の作動を制御するECU40を備えている。
操舵機構20は、運転者により操作されるステアリングホイール21、およびステアリングホイール21と一体回転するステアリングシャフト22を備えている。ステアリングシャフト22は、ステアリングホイール21の中心に連結されたコラムシャフト22a、コラムシャフト22aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト22b、およびインターミディエイトシャフト22bの下端部に連結されたピニオンシャフト22cからなる。ピニオンシャフト22cの下端部は、ピニオンシャフト22cに交わる方向へ延びるラック軸23(正確にはラック歯が形成された部分23a)に噛合されている。したがって、ステアリングシャフト22の回転運動は、ピニオンシャフト22cおよびラック軸23からなるラックアンドピニオン機構24によりラック軸23の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラック軸23の両端にそれぞれ連結されたタイロッド25を介して左右の転舵輪26,26にそれぞれ伝達されることにより、これら転舵輪26,26の転舵角θtaが変更される。
操舵補助機構30は、操舵補助力の発生源であるモータ31を備えている。モータ31としては、たとえば三相のブラシレスモータが採用される。モータ31は、減速機構32を介してコラムシャフト22aに連結されている。減速機構32はモータ31の回転を減速し、当該減速した回転力をコラムシャフト22aに伝達する。すなわち、ステアリングシャフト22にモータのトルクが操舵補助力(アシスト力)として付与されることにより、運転者のステアリング操作が補助される。
ECU40は、車両に設けられる各種のセンサの検出結果を運転者の要求あるいは走行状態を示す情報として取得し、これら取得される各種の情報に応じてモータ31を制御する。
各種のセンサとしては、たとえば車速センサ51、ステアリングセンサ52、トルクセンサ53および回転角センサ54がある。車速センサ51は車速(車両の走行速度)Vを検出する。ステアリングセンサ52はコラムシャフト22aに設けられて操舵角θsを検出する。トルクセンサ53はコラムシャフト22aに設けられて操舵トルクτを検出する。回転角センサ54はモータ31に設けられてモータ31の回転角θmを検出する。
ECU40は車速V、操舵角θs、操舵トルクτおよび回転角θmに基づき目標アシスト力を演算し、当該目標アシスト力を操舵補助機構30に発生させるための駆動電力をモータ31に供給する。
ここで、車両においては、ECU40と他の車載システムのECU56との協調制御が行われることもある。協調制御とは、複数種の車載システムのECUが互いに連携して車両の動きを制御する技術をいう。車両には、たとえば各種の車載システムのECUを統括制御する上位ECU55が搭載される。上位ECU55は、その時々の車両の状態に基づき最適な制御方法を求め、その求められる制御方法に応じて各ECUに対して個別の制御を指令する。上位ECU55は、たとえば緊急時の回避操作を促す操舵補助を行ったり、車両に働く異常な回転モーメントを打ち消したりするための指令値を生成する。また上位ECU55は、たとえばレーンキープアシスト制御あるいはパーキングアシスト制御などの操舵支援制御を実行するための指令値を生成する。レーンキープアシスト制御とは、走行中の車両が車線を逸脱しそうなとき、運転者の操舵を補助することにより車両の車線に沿った走行を支援するための制御をいう。パーキングアシスト制御とは、車庫入れなどの駐車の際、運転者の操舵を補助するための制御をいう。ECU40は、上位ECU55からの指令を加味してモータ31を制御する。
ここでは、上位ECU55がレーンキープ制御を実行するための指令値を生成する場合を例に挙げて説明する。上位ECU55は、定められた実行判定条件が成立するとき、レーンキープ制御を実行する。実行判定条件としては、たとえばつぎの条件(A)〜(C)がある。
(A)運転席などに設けられる図示しないスイッチの操作を通じてレーンキープ制御機能がオンされていること。スイッチはそのオンオフ状態を示す電気信号Sswを生成する。
(B)車速Vがレーンキープ制御機能の作動下限速度以上であること。たとえばレーンキープ制御機能が高速道路および自動車専用道路を対象としている場合、作動下限速度は一般道の法定速度よりも大きな値に設定される。
(C)操舵トルクτの値がしきい値未満(ただし、零ではない。)であること。しきい値は、運転者の積極的なステアリング操作を判定する観点に基づき設定される。レーンキープ制御が実行されている場合、操舵トルクτの値がしきい値以上であるとき、レーンキープ制御の実行は停止される。これは、運転者の意思によるステアリング操作を優先させるためである。
<ECUのハードウェア構成>
図2に示すように、ECU40は駆動回路(インバータ回路)41およびマイクロコンピュータ42を備えている。
駆動回路41は、マイクロコンピュータ42により生成されるモータ制御信号Sc(PWM駆動信号)に基づいて、バッテリなどの直流電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。当該変換された三相交流電力は各相の給電経路43を介してモータ31に供給される。各相の給電経路43には電流センサ44が設けられている。これら電流センサ44は各相の給電経路43に生ずる実際の電流値Imを検出する。なお、図2では、説明の便宜上、各相の給電経路43および各相の電流センサ44をそれぞれ1つにまとめて図示する。
マイクロコンピュータ42は、車速センサ51、ステアリングセンサ52、トルクセンサ53、回転角センサ54および電流センサ44の検出結果をそれぞれ定められたサンプリング周期で取り込む。マイクロコンピュータ42はこれら取り込まれる検出結果、すなわち車速V、操舵角θs、操舵トルクτ、回転角θmおよび実際の電流値Imに基づきモータ制御信号Scを生成する。マイクロコンピュータ42は、上位ECU55において何らかの指令値が生成されるとき、当該指令値を加味してモータ制御信号Scを生成する。本例では、上位ECU55はレーンキープアシスト制御を実行するための指令値として目標操舵角θ(角度指令値)を生成する。目標操舵角θは、その時々の車両の走行状態に応じて、車両を車線に沿って走行させるために必要とされる操舵角θsの目標値である。上位ECU55は、たとえば図示しないカメラを通じて自車両の周辺環境(具体的には、道路の白線あるいは黄線)を認識し、この認識される周辺環境に応じて目標操舵角θを演算する。
<マイクロコンピュータ>
つぎに、マイクロコンピュータの機能的な構成を説明する。
マイクロコンピュータ42は、図示しない記憶装置に格納された制御プログラムを実行することによって実現される各種の演算処理部を有している。
図2に示すように、マイクロコンピュータ42は、これら演算処理部として電流指令値演算部61およびモータ制御信号生成部62を備えている。電流指令値演算部61は、操舵トルクτ、車速Vおよび操舵角θsに基づき電流指令値Iを演算する。上位ECU55において目標操舵角θが生成されるとき、電流指令値演算部61は当該目標操舵角θを加味して電流指令値Iを演算する。電流指令値Iはモータ31に供給するべき電流を示す指令値である。正確には、電流指令値Iは、d/q座標系におけるq軸電流指令値およびd軸電流指令値を含む。本実施形態においてd軸電流指令値は零に設定されている。d/q座標系は、モータ31の回転角θmに従う回転座標である。モータ制御信号生成部62は、回転角θmを使用してモータ31の三相の電流値Imを二相のベクトル成分、すなわちd/q座標系におけるd軸電流値およびq軸電流値に変換する。そして、モータ制御信号生成部62は、d軸電流値とd軸電流指令値との偏差、およびq軸電流値とq軸電流指令値との偏差をそれぞれ求め、これら偏差を解消するようにモータ制御信号Scを生成する。
<電流指令値演算部>
つぎに、電流指令値演算部61について詳細に説明する。
図2に示すように、電流指令値演算部61は2つの微分器70a,70bを有している。微分器70aは操舵トルクτを時間で微分することにより操舵トルク微分値dτを演算する。微分器70bは、操舵角θsを微分することにより操舵速度(操舵角速度)ωsを演算する。なお、モータ31の回転角θmを時間で微分することにより操舵速度ωsを演算することも可能である。
また、電流指令値演算部61は、アシスト制御部71、上下限リミット演算部72、上下限ガード処理部73、バックアップ制御部74、および切替部75を有している。また、電流指令値演算部61は、フィードバック制御部76、加算器77および判定部78を有している。
判定部78は、運転者がレーンキープ制御機能をオンオフするためのスイッチの状態を示す電気信号Ssw、車速Vおよび操舵トルクτに基づき、前述したレーンキープ制御の実行判定条件(A)〜(C)の成否を判定する。判定部78は、実行判定条件の成否の判定結果に基づきフラグFの値をセットする。判定部78は、実行判定条件が成立している旨判定されるとき、フラグFを「1」にセットする。また、判定部78は、実行判定条件が成立していない旨判定されるとき、フラグFを「0」にセットする。
アシスト制御部71は、操舵トルクτ、車速V、操舵角θs、操舵速度ωs、および操舵トルク微分値dτに基づきアシスト制御量Ias を演算する。アシスト制御量Ias は、これら各種の状態量に応じた適切な大きさの目標アシスト力を発生させるためにモータ31へ供給すべき電流量の値(電流値)を示すものである。また、アシスト制御部71は、判定部78によりセットされるフラグFの値を取り込む。
フィードバック制御部76は、上位ECU55により生成される目標操舵角θ、およびステアリングセンサ52を通じて検出される実際の操舵角θsを取り込む。フィードバック制御部76は、目標操舵角θに実際の操舵角θsを追従させる角度フィードバック制御を実行する。フィードバック制御部76は、目標操舵角θと実際の操舵角θsとの偏差を求め、この偏差を解消するように、アシスト制御部71により演算されるアシスト制御量Ias に対する補正制御量Icor (電流値)を演算する。加算器77は、アシスト制御部71により演算されるアシスト制御量Ias に、フィードバック制御部76により演算される補正制御量Icor を加算することにより、最終的なアシスト制御量Ias を演算する。
上下限リミット演算部72は、アシスト制御部71において使用される各種の信号、ここでは操舵トルクτ、操舵角θs、操舵トルク微分値dτおよび操舵速度ωsを取り込む。上下限リミット演算部72は、これら取り込まれる信号(τ,θs,dτ,ωs)に基づきアシスト制御量Ias に対する制限値として上限値IUL および下限値ILL を演算する。上限値IUL および下限値ILL はアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値となる。また、上下限リミット演算部72は、判定部78によりセットされるフラグFの値を取り込む。
上下限ガード処理部73は、上下限リミット演算部72により演算される上限値IUL および下限値ILL に基づきアシスト制御量Ias の制限処理を実行する。すなわち、上下限ガード処理部73はアシスト制御量Ias の値ならびに上限値IUL および下限値ILL を比較する。上下限ガード処理部73は、アシスト制御量Ias が上限値IUL を超える場合にはアシスト制御量Ias を上限値IUL に制限し、下限値ILL を下回る場合にはアシスト制御量Ias を下限値ILL に制限する。当該制限処理が施されたアシスト制御量Ias が最終的な電流指令値Iの演算基礎となる。なお、アシスト制御量Ias が上限値IUL と下限値ILL との範囲内であるときには、アシスト制御部71により演算されるアシスト制御量Ias がそのまま最終的な電流指令値Iの演算基礎となる。また、上下限ガード処理部73は、アシスト制御量Ias が制限されているかどうかを示す制限状態信号Sgrdを生成する。
バックアップ制御部74は、バックアップ用のアシスト制御量Iasbk を演算する。バックアップ制御部74は、たとえば操舵トルクτおよび操舵速度ωsに基づきバックアップ用のアシスト制御量Iasbk を演算する。このバックアップ用のアシスト制御量Iasbk は、アシスト制御部71により演算されるアシスト制御量Ias と比べて簡易的に演算されるものであって、アシスト制御量Ias が制限される異常な状態が発生した場合に実行されるアシストバックアップ制御に使用される。なお、バックアップ用のアシスト制御量Iasbk は、簡易的に演算されるものでなくてもよく、アシスト制御量Ias と同様にして演算されるものであってもよい。
切替部75は、上下限ガード処理部73を経た最終的なアシスト制御量Ias 、バックアップ制御部74により演算されるバックアップ用のアシスト制御量Iasbk および上下限ガード処理部73により生成される制限状態信号Sgrdを取り込む。切替部75は、これら最終的なアシスト制御量Ias およびバックアップ用のアシスト制御量Iasbk のいずれか一を電流指令値Iの演算基礎として使用する。
すなわち、切替部75は上下限ガード処理部73により生成される制限状態信号Sgrdに基づきアシスト制御量Ias が制限されているかどうかを判定する。切替部75は、アシスト制御量Ias の制限状態が一定期間だけ継続したかどうかに基づき、最終的なアシスト制御量Ias およびバックアップ用のアシスト制御量Iasbk のどちらを使用するのかを決定する。切替部75は、アシスト制御量Ias の制限状態が一定期間だけ継続している旨判定されるとき、アシスト制御量Ias に代えて、バックアップ用のアシスト制御量Iasbk を使用する。これに対し、切替部75は、アシスト制御量Ias の制限状態が一定期間だけ継続していない旨判定されるとき、アシスト制御量Ias を継続して使用する。
<アシスト制御部>
つぎに、アシスト制御部71について詳細に説明する。
図3に示すように、アシスト制御部71は基本アシスト制御部81、補償制御部82および加算器83を備えている。
基本アシスト制御部81は操舵トルクτおよび車速Vに基づき基本アシスト制御量I を演算する。基本アシスト制御量I は、操舵トルクτおよび車速Vに応じた適切な大きさの目標アシスト力を発生させるための基礎成分(電流値)である。基本アシスト制御部81はたとえばマイクロコンピュータ42の図示しない記憶装置に格納されるアシスト特性マップを使用して基本アシスト制御量I を演算する。アシスト特性マップは操舵トルクτおよび車速Vに基づき基本アシスト制御量I を演算するための車速感応型の三次元マップであって、操舵トルクτ(絶対値)が大きいほど、また車速Vが小さいほど大きな値(絶対値)の基本アシスト制御量I が算出されるように設定されている。
補償制御部82は、より優れた操舵感を実現するために、基本アシスト制御量I に対する各種の補償制御を実行する。
補償制御部82は、たとえばステアリング戻し制御部84、トルク微分制御部85、ダンピング制御部86、および調停制御機能部87を備えている。
ステアリング戻し制御部84は、操舵トルクτ、車速V、操舵角θsおよび操舵速度ωsに基づきステアリングホイール21の戻り特性を補償するための補償量I (電流値)を演算する。補償量I を使用して基本アシスト制御量I を補正することにより、路面反力によるセルフアライニングトルクの過不足が補償される。補償量I に応じてステアリングホイール21を中立位置に戻す方向へ向けたアシスト力が発生されるからである。
トルク微分制御部85は、逆入力振動成分を操舵トルク微分値dτとして検出し、当該検出される操舵トルク微分値dτに基づき逆入力振動などの外乱を補償するための補償量I (電流値)を演算する。補償量I を使用して基本アシスト制御量I を補正することにより、ブレーキ操作に伴い発生するブレーキ振動などの外乱が抑制される。補償量I に応じて逆入力振動を打ち消す方向へ向けたアシスト力が発生されるからである。
ダンピング制御部86は、操舵速度ωsおよび車速Vに基づき操舵機構20が有する粘性を補償するための補償量I (電流値)を演算する。補償量I を使用して基本アシスト制御量I を補正することにより、たとえばステアリングホイール21に伝わる小刻みな振動などが低減される。
加算器83は基本アシスト制御量I に対する補正処理として補償量I 、補償量I 、および補償量I を加算することによりアシスト制御量Ias を生成する。
調停制御機能部87は、レーンキープ制御が実行されるとき、操舵角θsを使用するステアリング戻し制御およびダンピング制御などの補償制御を無効とする調停制御機能を有している。この調停制御機能は、レーンキープ制御と操舵角θsを使用する補償制御との干渉を回避するためのものである。ここで干渉とは、たとえばつぎのような事象をいう。すなわち本例では、レーンキープ制御が実行されている場合、上位ECU55により生成される目標操舵角θに従って操舵が支援される。この操舵支援が行われているときに、たとえばダンピング制御を通じて操舵機構20にダンピングトルクが付与されるとき、操舵速度を抑制する方向へ向けて作用するダンピングトルクがレーンキープ制御を通じた操舵支援によるステアリングホイール21の動きを邪魔することになりかねない。このため、レーンキープ制御が実行されているとき、操舵角θsを使用する補償制御を無効とする調停制御を実行することが好ましい。
調停制御機能部87は、カウンタ88、ゲインマップMおよび2つの乗算器89a,89bを有している。
カウンタ88は、判定部78によりセットされるフラグFの値を所定のサンプリング周期で取り込み、このフラグFの値が「0」から「1」に切り替わってから、すなわちレーンキープ制御が実行開始(目標操舵角θの演算が開始されて、アシスト制御量Ias に対する補正制御量Icor の付加が開始)されてからの経過時間を計測する。具体的には、カウンタ88は、フラグFの値が「0」から「1」に切り替わった以降、フラグFの値(=1)を取り込む度にカウント値Nを一定値(たとえば「1」)ずつ増加させる。なお、カウンタ88は、フラグFの値が「1」から「0」へ切り替わったとき、カウント値Nをリセットする。
ゲインマップMは、横軸をカウント値Nf、縦軸をゲインGとするマップであって、カウント値NfとゲインGとの関係を規定する。ゲインマップMは、カウンタ88のカウント値Nfを取り込み、このカウント値Nfに応じたゲインGを演算する。ゲインGは「0」以上「1」以下の値となる。ゲインマップMは、つぎのような特性を有する。すなわち、カウント値が「0(零)」から設定値Nthに達するまでの間、カウント値Nfの増大に伴いゲインGは直線的に減少する。カウント値Nfが設定値Nthに達した以降、ゲインGの値は「0」に維持される。
乗算器89aは、ゲインマップMにより演算されるゲインGと、ステアリング戻し制御部84により演算される補償量I とを乗算することにより、最終的な補償量I を演算する。たとえばゲインGの値が「0」であるとき、最終的な補償量I の値は「0」となる。ゲインGの値が「0.5」であるとき、最終的な補償量I の値はステアリング戻し制御部84により演算される補償量I の半分の値となる。ゲインGの値が「1」であるとき、ステアリング戻し制御部84により演算される補償量I がそのまま最終的な補償量I となる。
乗算器89bは、ゲインマップMにより演算されるゲインGと、ダンピング制御部86により演算される補償量I とを乗算することにより、最終的な補償量I を演算する。
したがって、レーンキープ制御が実行開始された以降、最終的な補償量I ,I の値は時間の経過と共に徐々に減少し、やがて「0」に至る。すなわち、レーンキープ制御が実行開始されてから一定時間だけ経過したとき、操舵角θsを使用する補償量I ,I の値は「0」となる。
<上下限リミット演算部>
つぎに、上下限リミット演算部72について詳細に説明する。
図4に示すように、上下限リミット演算部72は上限値演算部90および下限値演算部100を備えている。上限値演算部90および下限値演算部100はそれぞれ判定部78によりセットされるフラグFの値を取り込む。
<上限値演算部>
上限値演算部90は、操舵トルク感応リミッタ91、操舵トルク微分値感応リミッタ92、操舵角感応リミッタ93、操舵角速度感応リミッタ94、および加算器95を有している。
操舵トルク感応リミッタ91は、操舵トルクτに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL1 を演算する。操舵トルク微分値感応リミッタ92は、操舵トルク微分値dτに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL2 を演算する。操舵角感応リミッタ93は、操舵角θsに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL3 を演算する。操舵角速度感応リミッタ94は、操舵速度ωsに応じてアシスト制御量Ias に対する上限値IUL4 を演算する。加算器95は4つの上限値IUL1 〜IUL4 を足し算することによりアシスト制御量Ias に対する上限値IUL を生成する。
また、上限値演算部90は、第1の上限値切替部96および第2の上限値切替部97を有している。
第1の上限値切替部96は、操舵角感応リミッタ93と加算器95との間の演算経路に設けられている。第1の上限値切替部96は、データ入力として、図示しない記憶装置に記憶された第1の上限固定値IU1、および操舵角感応リミッタ93により演算される上限値IUL3 を取り込む。第1の上限固定値IU1は、上位ECU55により演算される目標操舵角θの最小値に基づく補正制御量Icor の最小値である「0」に設定される。
また、第1の上限値切替部96は、制御入力として、判定部78によりセットされるフラグFの値を取り込む。第1の上限値切替部96は、フラグFの値に基づき、加算器95へ供給する値を、第1の上限固定値IU1と、操舵角感応リミッタ93により演算される上限値IUL3 との間で切り替える。第1の上限値切替部96は、フラグFの値が「0」であるとき、操舵角感応リミッタ93により演算される上限値IUL3 を加算器95へ供給する。第1の上限値切替部96は、フラグFの値が「1」であるとき(より正確には、フラグFの値が「0」ではないとき)、第1の上限固定値IU1を加算器95へ供給する。
第2の上限値切替部97は、操舵角速度感応リミッタ94と加算器95との間の演算経路に設けられている。第2の上限値切替部97は、データ入力として、図示しない記憶装置に記憶された第2の上限固定値IU2、および操舵角速度感応リミッタ94により演算される上限値IUL4 を取り込む。第2の上限固定値IU2は、上位ECU55により演算される目標操舵角θの正の最大値に基づく補正制御量Icor の許容される正の最大値Imax(正の許容最大値)に設定される。目標操舵角θの正の最大値は、たとえば車両製造業者の仕様によって規定される。正の最大値Imaxの絶対値は、製品仕様などに基づき定められる正方向(右操舵方向)へ向けたアシスト力が最大となるときのモータ31の許容最大電流の絶対値よりも小さな値であって、当該許容最大電流の数十%程度の値(たとえば50%〜60%)に設定される。
また、第2の上限値切替部97は、制御入力として、判定部78によりセットされるフラグFの値を取り込む。第2の上限値切替部97は、フラグFの値に基づき、加算器95へ供給する値を、第2の上限固定値IU2と、操舵角速度感応リミッタ94により演算される上限値IUL4 との間で切り替える。第2の上限値切替部97は、フラグFの値が「0」であるとき、操舵角速度感応リミッタ94により演算される上限値IUL4 を加算器95へ供給する。第2の上限値切替部97は、フラグFの値が「1」であるとき(より正確には、フラグFの値が「0」ではないとき)、第2の上限固定値IU2を加算器95へ供給する。
ちなみに、第1の上限固定値IU1および第2の上限固定値IU2は、補正制御量Icor が加味されたアシスト制御量Ias を許容する観点に基づき設定される。より具体的には、第1の上限固定値IU1および第2の上限固定値IU2は、レーンキープ制御の実行に伴いモータ31へ供給される電流は許容しつつも、定められたアシスト力の正の最大値に対応するモータ31の許容最大電流を正方向へ超えるような過大な電流は適切に制限する観点に基づき設定される。
<下限値演算部>
下限値演算部100は、操舵トルク感応リミッタ101、操舵トルク微分値感応リミッタ102、操舵角感応リミッタ103、操舵角速度感応リミッタ104および加算器105を有している。
操舵トルク感応リミッタ101は、操舵トルクτに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL1 を演算する。操舵トルク微分値感応リミッタ102は、操舵トルク微分値dτに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL2 を演算する。操舵角感応リミッタ103は、操舵角θsに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL3 を演算する。操舵角速度感応リミッタ104は、操舵速度ωsに応じてアシスト制御量Ias に対する下限値ILL4 を演算する。加算器105は4つの下限値ILL1 〜ILL4 を足し算することによりアシスト制御量Ias に対する下限値ILL を生成する。
また、下限値演算部100は、第1の下限値切替部106および第2の下限値切替部107を有している。
第1の下限値切替部106は、操舵角感応リミッタ103と加算器105との間の演算経路に設けられている。第1の下限値切替部106は、データ入力として、図示しない記憶装置に記憶された第1の下限固定値IL1、および操舵角感応リミッタ103により演算される下限値ILL3 を取り込む。第1の下限固定値IL1は、上位ECU55により演算されるレーンキープ制御量である目標操舵角θの最小値に基づく補正制御量Icor の最小値である「0」に設定される。
また、第1の下限値切替部106は、制御入力として、判定部78によりセットされるフラグFの値を取り込む。第1の下限値切替部106は、フラグFの値に基づき、加算器105へ供給する値を、第1の下限固定値IL1と、操舵角感応リミッタ103により演算される下限値ILL3 との間で切り替える。第1の下限値切替部106は、フラグFの値が「0」であるとき、操舵角感応リミッタ103により演算される下限値ILL3 を加算器105へ供給する。第1の下限値切替部106は、フラグFの値が「1」であるとき(より正確には、フラグFの値が「0」ではないとき)、第1の下限固定値IL1を加算器105へ供給する。
第2の下限値切替部107は、操舵角速度感応リミッタ104と加算器105との間の演算経路に設けられている。第2の下限値切替部107は、データ入力として、図示しない記憶装置に記憶された第2の下限固定値IL2、および操舵角速度感応リミッタ104により演算される下限値ILL4 を取り込む。第2の下限固定値IL2は、上位ECU55により演算される目標操舵角θの負の最大値に基づく補正制御量Icor の許容される最大値−Imax(負の許容最大値)に設定される。目標操舵角θの負の最大値は、たとえば車両製造業者の仕様によって規定される。負の最大値−Imaxの絶対値は、製品仕様などに基づき定められる負方向(左操舵方向)へ向けたアシスト力が最大となるときのモータ31の許容最大電流の絶対値よりも小さな値であって、当該許容最大電流の数十%程度の値(たとえば50%〜60%)に設定される。
また、第2の下限値切替部107は、制御入力として、判定部78によりセットされるフラグFの値を取り込む。第2の下限値切替部107は、フラグFの値に基づき、加算器105へ供給する下限値ILL4 を第2の下限固定値IL2と、操舵角速度感応リミッタ104により演算される下限値ILL4 との間で切り替える。第2の下限値切替部107は、フラグFの値が「0」であるとき、操舵角速度感応リミッタ104により演算される下限値ILL4 を加算器105へ供給する。第2の下限値切替部107は、フラグFの値が「1」であるとき(より正確には、フラグFの値が「0」ではないとき)、第2の下限固定値IL2を加算器105へ供給する。
ちなみに、第1の下限固定値IL1および第2の下限固定値IL2も、補正制御量Icor が加味されたアシスト制御量Ias を許容する観点に基づき設定される。より具体的には、第1の下限固定値IL1および第2の下限固定値IL2は、レーンキープ制御の実行に伴いモータ31へ供給される電流は許容しつつも、定められたアシスト力の負の最大値に対応するモータ31の許容最大電流を負方向へ超えるような過大な電流は適切に制限する観点に基づき設定される。
なお、第1の上限値切替部96および第1の下限値切替部106は第1の制限値切替部を構成する。第2の上限値切替部97および第2の下限値切替部107は第2の制限値切替部を構成する。
<上下限リミットマップ>
上限値演算部90および下限値演算部100は、それぞれ第1〜第4のリミットマップM1〜M4を使用して各上限値IUL1 〜IUL4 および各下限値ILL1 〜ILL4 を演算する。第1〜第4のリミットマップM1〜M4はマイクロコンピュータ42の図示しない記憶装置に格納されている。第1〜第4のリミットマップM1〜M4は、それぞれ運転者のステアリング操作に応じて演算されるアシスト制御量Ias は許容し、それ以外の何らかの原因による異常なアシスト制御量Ias は許容しないという観点に基づき設定される。
図5に示すように、第1のリミットマップM1は、横軸を操舵トルクτ、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵トルクτとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL1 との関係、および操舵トルクτとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL1 との関係をそれぞれ規定する。操舵トルク感応リミッタ91,101はそれぞれ第1のリミットマップM1を使用して操舵トルクτに応じた上限値IUL1 および下限値ILL1 を演算する。
第1のリミットマップM1は、操舵トルクτと同じ方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵トルクτと異なる方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵トルクτが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL1 は操舵トルクτの増大に伴い正の方向へ増加し、所定値を境として正の一定値に維持される。また、操舵トルクτが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL1 は「0」に維持される。一方、操舵トルクτが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL1 は「0」に維持される。また、操舵トルクτが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL1 は操舵トルクτの絶対値が増大するほど負の方向へ増加し、所定値を境として負の一定値に維持される。
図6に示すように、第2のリミットマップM2は、横軸を操舵トルク微分値dτ、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵トルク微分値dτとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL2 との関係、および操舵トルク微分値dτとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL2 との関係をそれぞれ規定する。操舵トルク微分値感応リミッタ92,102はそれぞれ第2のリミットマップM2を使用して操舵トルク微分値dτに応じた上限値IUL2 および下限値ILL2 を演算する。
第2のリミットマップM2は、操舵トルク微分値dτと同じ方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵トルク微分値dτと異なる方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵トルク微分値dτが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL2 は操舵トルク微分値dτの増大に伴い正の方向へ増加し、所定値を境として正の一定値に維持される。また、操舵トルク微分値dτが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL2 は「0」に維持される。一方、操舵トルク微分値dτが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL2 は「0」に維持される。また、操舵トルク微分値dτが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL2 は操舵トルク微分値dτの絶対値が増大するほど負の方向へ増加し、所定値を境として負の一定値に維持される。
図7に示すように、第3のリミットマップM3は、横軸を操舵角θs、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵角θsとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL3 との関係、および操舵角θsとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL3 との関係をそれぞれ規定する。操舵角感応リミッタ93,103はそれぞれ第3のリミットマップM3を使用して操舵角θsに応じた上限値IUL3 および下限値ILL3 を演算する。
第3のリミットマップM3は、操舵角θsと反対方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵角θsと同じ方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵角θsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL3 は「0」に維持される。また、操舵角θsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL3 は操舵角θsの増大に伴い負の方向へ増加する。一方、操舵角θsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL3 は操舵角θsの絶対値が増大するほど正の方向へ増加する。また、操舵角θsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL3 は「0」に維持される。
図8に示すように、第4のリミットマップM4は、横軸を操舵速度ωs、縦軸をアシスト制御量Ias とするマップであって、操舵速度ωsとアシスト制御量Ias に対する上限値IUL4 との関係、および操舵速度ωsとアシスト制御量Ias に対する下限値ILL4 との関係をそれぞれ規定する。操舵角速度感応リミッタ94,104はそれぞれ第4のリミットマップM4を使用して操舵速度ωsに応じた上限値IUL4 および下限値ILL4 を演算する。
第4のリミットマップM4は、操舵速度ωsと反対方向(正負の符号)のアシスト制御量Ias は許容し、操舵速度ωsと同じ方向のアシスト制御量Ias は許容しない観点に基づき設定されることにより、つぎのような特性を有する。すなわち、操舵速度ωsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL4 は「0」に維持される。また、操舵速度ωsが正の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL4 は操舵速度ωsの増大に伴い負の方向へ増加し、所定値を境として負の一定値に維持される。一方、操舵速度ωsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の上限値IUL4 は操舵速度ωsの絶対値が増大するほど正の方向へ増加し、所定値を境として正の一定値に維持される。また、操舵速度ωsが負の値である場合、アシスト制御量Ias の下限値ILL4 は「0」に維持される。
<制限機能の信頼性について>
つぎに、ECU40における異常値を示す各種の制御量に対する制限機能の信頼性について説明する。
自動車向けの機能安全性規格としてISO26262が存在する。ISO26262の対象には、車載電子システムのみならず、その構成要素である電子機器、電子制御装置およびソフトウェアなども含まれる。ISO26262では、電子制御されるシステムの機能に異常が発生したときの危険事象(ハザード)の評価結果から得られる3つの指標(過酷度、ハザードの発生頻度、回避可能性)に基づき、ハザードを評価する指標であるASIL(Automotive Safety Integrity Level:安全性要求レベル)を決定する。ASILには、危険度の低い方から順に「QM(Quality Management)、A、B、C、D」の5つのランクが定められている。「QM」とは、機能安全(許容できないリスクから免れるための安全機能や安全対策)を適用しなくてもよい通常の品質管理をいう。システムを設計する際には、システムがどのASILに相当するかを決定し、その決定したASILに応じた安全対策を施す必要がある。「QM<A<B<C<D」の順に高いレベルの安全対策が求められる。
したがって、電動パワーステアリング装置10についてもASILに応じた安全対策が必要とされることがある。電動パワーステアリング装置10は、車両の操舵という重要な役割を担うため、車両の構成要素のなかでも特に安全性あるいは信頼性が要求される。ECU40、ひいてはECU40による電子制御機能についてもASILに応じた安全対策の対象となる。もちろん、この電子制御機能には、アシスト制御量Ias に対する制限機能なども含まれる。
ECU40による制限機能の信頼性を確保するためには、当該制限機能を実行する際に使用される各種の状態量(τ,dτ,θs,ωs,V)の信頼性が確保されている必要がある。これは、ECU40として要求される信頼性水準(信頼性要求水準)が確保されていない状態量に基づき、最終的なアシスト制御量Ias に対する制限値が演算される場合、当該演算される制限値は当然に信頼性要求水準を満たさないからである。ここでは、説明の便宜上、制限機能を実行する際に使用される状態量(τ,dτ,θs,ωs,V)については、たとえばセンサ回路の冗長化(二重化)などを通じて、信頼性要求水準(たとえば、ASIL−A〜D)を満たしていることを前提とする。
また、目標操舵角θに基づく補正制御量Icor が、アシスト制御部71により演算されるアシスト制御量Ias に付加されることにより最終的なアシスト制御量Ias が求められる。このため、補正制御量Icor を加味してアシスト制御量Ias に対する制限処理が実行されることが好ましい。たとえば、補正制御量Icor に応じた個別の制限値を設定し、当該個別の制限値を加味してアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )を演算することが考えられる。また、目標操舵角θを加味して、操舵角θsに基づく個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )、および操舵速度ωsに基づく個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )を演算することも考えられる。
しかし、上位ECU55により演算される目標操舵角θは、車両製造業者の仕様などによって、信頼性要求水準を満たさないことがある(たとえば、ASIL−QM)。この場合、補正制御量Icor に応じた個別の制限値を加味して最終的な制限値(IUL ,ILL )を演算することは困難である。これは、信頼性要求水準が確保されていない目標操舵角θに基づき演算される補正制御量Icor 、ひいては当該補正制御量Icor 応じた個別の制限値は、当然に信頼性要求水準を満たさないからである。また、目標操舵角θを加味して、操舵角θsに基づく個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )、および操舵速度ωsに基づく個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )を演算することも困難である。これは、信頼性要求水準が確保されていない目標操舵角θを加味して演算される個別の制限値は、当然に信頼性要求水準を満たさないからである。
そこで本例では、ECU40は、レーンキープ制御が実行される場合、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )を演算するとき、操舵角θsに基づく個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )、および操舵速度ωsに基づく個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )を使用しない。ECU40は、操舵角θsに基づく個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )、および操舵速度ωsに基づく個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )に代えて、定められた固定値(IU1,IL1,IU2,IL2)を使用する。
<ECUの作用および効果:レーンキープ制御の実行無し>
つぎに、レーンキープ制御が実行されていないとき(アシスト制御量Ias に補正制御量Icor が付加されないとき)のECU40の作用および効果を説明する。
レーンキープ制御が実行されていないとき、ステアリング戻し制御部84により演算される補償量I 、およびダンピング制御部86により演算される補償量I は、そのままアシスト制御量Ias の演算に使用される。また、レーンキープ制御が実行されていないとき、操舵角感応リミッタ93により演算される個別の上限値IUL3 、および操舵角速度感応リミッタ94により演算される個別の上限値IUL3 は、そのまま最終的な上限値IUL の演算に使用される。また、レーンキープ制御が実行されていないとき、操舵角感応リミッタ103により演算される個別の下限値ILL3 、および操舵角速度感応リミッタ104により演算される個別の下限値ILL4 は、そのまま最終的な下限値ILL の演算に使用される。
マイクロコンピュータ42は、アシスト制御量Ias に基づき最終的な電流指令値Iを演算するに際して、アシスト制御量Ias を演算する際に使用する各信号(τ,dτ,θs,ωs)の値に応じてアシスト制御量Ias の変化範囲を制限するための制限値を信号毎に設定する。マイクロコンピュータ42は、これら信号毎に設定される制限値(IUL1 〜IUL4 ,ILL1 〜ILL4 )を合算した値をアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )として設定する。
ちなみに、信号毎の制限値、ひいては最終的な制限値は運転者のステアリング操作に応じて演算される通常のアシスト制御量Ias は許容し、何らかの原因に起因する異常なアシスト制御量Ias は制限する観点に基づき設定される。マイクロコンピュータ42は、たとえば運転者の操舵入力に対するトルク微分制御およびステアリング戻し制御などの各種補償制御による補償量は許容する一方、各補償量の値を超える異常出力あるいは誤出力などは制限する。
マイクロコンピュータ42は、アシスト制御量Ias が最終的な上限値IUL および下限値ILL により定められる制限範囲を超えるとき、上限値IUL を超えるアシスト制御量Ias あるいは下限値ILL を下回るアシスト制御量Ias が最終的な電流指令値Iとしてモータ制御信号生成部62に供給されないように制限する。最終的な上限値IUL および下限値ILL には信号毎に設定された個別の制限値(上限値および下限値)が反映されている。すなわち、異常な値を示すアシスト制御量Ias が演算される場合であれ、当該異常なアシスト制御量Ias の値は最終的な制限値によって各信号値に応じた適切な値に制限される。そして、当該適切なアシスト制御量Ias が最終的な電流指令値Iとしてモータ制御信号生成部62に供給されることにより適切なアシスト力が操舵機構20に付与される。何らかの原因によって異常値を示す過大なアシスト制御量Ias が演算された場合であれ、この異常なアシスト制御量Ias に基づく最終的な電流指令値Iがモータ制御信号生成部62に供給されることが抑制される。このため、操舵機構20に対して意図しないアシスト力が付与されることが抑制される。たとえばいわゆるセルフステアなどの発生も抑制される。
ここで、アシスト制御量Ias の異常が続く限り継続してアシスト制御量Ias を制限することも可能ではあるものの、本例ではより安全性を高める観点から、一定条件下において、制限されているアシスト制御量Ias を漸減させる漸減処理を実行する。
図9のグラフに示すように、アシスト制御量Ias の値がたとえば下限値ILL を下回るとき(時刻TL0)、アシスト制御量Ias の値は下限値ILL で制限される。マイクロコンピュータ42は当該制限される状態が一定期間ΔTだけ継続したとき(時刻TL1)、下限値ILL を「0」に向けて漸減させる(以下、「漸減処理」という。)。そして下限値ILL が「0」に至るタイミング(時刻TL2)でアシスト制御量Ias の値は「0」になる。その結果、操舵機構20に対するアシスト力の付与が停止される。当該漸減処理は、異常な状態が一定期間ΔTだけ継続したときにはアシスト力の付与を停止することが好ましいという観点に基づき行われる。アシスト制御量Ias の値は徐々に小さくなるので、これに伴いアシスト力も徐々に小さくなる。このため、操舵機構20に対するアシスト力の付与を停止させる際、操舵感に急激な変化が発生することはない。安全性も、より高められる。
なお、アシスト制御量Ias の値が上限値IUL を超える場合についても同様である。すなわち、マイクロコンピュータ42はアシスト制御量Ias の制限状態が一定期間ΔTだけ継続したとき、上限値IUL を「0」に向けて漸減させる。
当該漸減処理は上限値IUL および下限値ILL の演算処理とは無関係に強制的に行われるものである。マイクロコンピュータ42は、当該漸減処理の実行中において、アシスト制御量Ias の値が上限値IUL と下限値ILL との間の正常範囲内の値に復帰したとき、漸減処理の実行を停止するようにしてもよい。これにより、強制的に「0」に向けて漸減させた上限値IUL または下限値ILL は本来の値に復帰する。
このように、アシスト制御量Ias の値が上限値IUL または下限値ILL で制限される状態が一定期間ΔTだけ継続したとき、操舵機構20に対するアシスト力を徐々に減少させて最終的には「0」にすることにより、異常なアシスト制御量Ias が演算される場合の意図しないステアリング挙動が抑制される。しかし、操舵機構20にアシスト力が付与されない、いわゆるマニュアルステアの状態になることにより操舵感が低下することが懸念される。
この点、本例では、アシスト制御量Ias に対する制限処理が一定期間ΔTだけ継続して行われる異常が発生したとき、アシスト制御部71により演算されるアシスト制御量Ias に代えて、バックアップ制御部74により演算されるバックアップ用のアシスト制御量Iasbk が使用される。このバックアップ用のアシスト制御量Iasbk に基づくアシスト力が操舵機構20に対して継続して付与される。
<ECUの作用および効果:レーンキープ制御の実行有り>
つぎに、レーンキープ制御が実行されているとき(アシスト制御量Ias に補正制御量Icor が付加されるとき)のECU40の作用および効果を説明する。
レーンキープ制御が実行されているとき、上位ECU55により演算される目標操舵角θに従って操舵が支援される。このとき、調停制御機能の実行を通じて、ステアリング戻し制御部84により演算される補償量I 、およびダンピング制御部86により演算される補償量I がそれぞれ強制的に「0」とされる。このため、レーンキープ制御が実行されているとき、ステアリング戻し制御およびダンピング制御を通じて操舵機構20に操舵速度を抑制する方向へ向けたトルクが付与されることがない。したがって、ダンピング制御などの操舵角θsを使用する補償制御の実行に基づくトルクが、レーンキープ制御を通じた操舵支援によるステアリングホイール21の動きを邪魔することが抑制される。なお、補償量I ,I は、レーンキープ制御の実行開始からの経過時間に応じて「0」へ向けて漸減される。このため、アシスト制御量Ias の急激な変化が抑制される。
ここで、操舵角θsおよび操舵速度ωsに基づく補償制御が無効とされることにより、当該補償制御とレーンキープ制御とが干渉することは抑制されるものの、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )による制限幅が無駄に拡がるおそれがある。これは、アシスト制御量Ias には操舵角θsに基づく補償量I および操舵速度ωsに基づく補償量I が加味されないにもかかわらず、操舵角θsに応じた個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )および操舵速度ωsに応じた個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )が演算されるからである。そしてこの場合、最終的な制限値(IUL ,ILL )による制限幅が無駄に拡がる分だけ、本来制限すべき過大なアシスト制御量Ias が許容されることが懸念される。
この点、本例では調停制御機能の実行に対応するために、レーンキープ制御が実行開始されるとき、操舵角θsおよび操舵速度ωsに応じた個別の制限値(IUL3 ,ILL3 ,IUL4 ,ILL4 )について、つぎのような切り替え処理が実行される。
すなわち、レーンキープ制御が実行されるとき、最終的な上限値IUL の演算には、操舵角感応リミッタ93により演算される個別の上限値IUL3 に代えて、第1の上限固定値IU1である「0」が使用される。また、レーンキープ制御が実行されるとき、最終的な上限値IUL の演算には、操舵角速度感応リミッタ94により演算される個別の上限値IUL4 に代えて、第2の上限固定値IU2である「Imax」が使用される。同様に、レーンキープ制御が実行されるとき、最終的な下限値ILL の演算には、操舵角感応リミッタ103により演算される個別の下限値ILL3 に代えて、第1の下限固定値IL1である「0」が使用される。また、レーンキープ制御が実行されるとき、最終的な下限値ILL の演算には、操舵角速度感応リミッタ104により演算される個別の下限値ILL4 に代えて、第2の下限固定値IL2である「−Imax」が使用される。
これら固定値(IU1,IU2,IL1,L2)は、操舵角θsに応じた個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )および操舵速度ωsに応じた個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )と異なり、操舵角θsおよび操舵速度ωsに応じて増減することがない。このため、レーンキープ制御の実行開始に伴い調停制御が実行されるとき、最終的な制限値(IUL ,ILL )による制限幅が無駄に拡がることが抑制される。
また、当該固定値(IU1,IU2,IL1,L2)は、補正制御量Icor が加味されたアシスト制御量Ias を許容する観点に基づき設定される一定の値であって、上位ECU55により演算される目標操舵角θが信頼性要求水準を満たしているかどうかに影響されない。このため、当該固定値を使用することにより、目標操舵角θを加味して演算されるアシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )、ひいては当該最終的な制限値を使用する制限処理の信頼性水準が、目標操舵角θの信頼性水準の影響を受けることはない。
したがって、目標操舵角θが信頼性要求水準を満たさない場合であれ、レーンキープ制御が実行開始される場合であれ、アシスト制御量Ias を適切に制限することができる。たとえば、本来制限されるべきではない正しいアシスト制御量Ias が最終的な制限値(IUL ,ILL )により誤って制限される誤検出(誤制限)が発生すること、あるいは本来制限すべきである異常なアシスト制御量Ias が制限されない検出漏れが発生することが抑制される。
さらに、操舵角θsに応じた個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )に代わる第1の上限固定値IU1および第1の下限固定値IL1は、目標操舵角θの最小値に基づく補正制御量Icor の最小値である「0」に設定されている。また、操舵速度ωsに応じた個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )に代わる第2の上限固定値IU2および第2の下限固定値IL2は、目標操舵角θの正負の最大値に基づく補正制御量Icor の許容される正負の最大値±Imax(正負の許容最大値)に設定されている。これら固定値(IU1,IU2,IL1,L2)は、レーンキープ制御の実行に伴いモータ31へ供給される電流は許容しつつも、定められたアシスト力の正負の最大値に対応するモータ31の許容最大電流を正方向または負方向へ超えるような過大な電流は適切に制限する観点に基づき設定されている。そして、レーンキープ制御が実行されているとき、各固定値(IU1,IU2,IL1,L2)は、補正制御量Icor の取り得る最小値および最大値(許容最大値)に応じた個別の制限値として、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )に反映される。したがって、レーンキープ制御が実行されているとき、補正制御量Icor が付加されるアシスト制御量Ias は最大限に許容されつつも、各固定値(IU1,IU2,IL1,L2)が反映された最終的な制限値(IUL ,ILL )を超えるような異常なアシスト制御量Ias については、これを適切に制限することができる。また、アシスト制御量Ias に対する制限機能によってレーンキープ制御の実行を通じた運転支援が阻害されることが抑制される。
ここで、レーンキープ制御が実行されている場合、セルフステアなどが発生するような異常値を示す過大なアシスト制御量Ias が演算されるとき、この異常なアシスト制御量Ias の値は最終的な制限値(IUL ,ILL )により制限される。このアシスト制御量Ias が制限される状態が一定期間ΔTだけ継続する異常時には、アシスト制御量Ias に代えて、バックアップ用のアシスト制御量Iasbk が使用される。このとき、目標操舵角θに基づき演算される補正制御量Icor が付加されるアシスト制御量Ias は使用されないので、レーンキープ制御の実行を通じた運転支援は行われない。このため、より安全性が高められる。
ちなみに、レーンキープ制御が実行されている場合、運転者によるステアリング操作を通じて操舵トルクτの値がしきい値以上に達するとき、レーンキープ制御の実行は停止される。すなわち、運転者の意思によるステアリング操作がレーンキープ制御に優先される。これは、先のレーンキープ制御の実行判定条件(A)〜(C)のうち、条件(C)を満たさなくなるからである。
このとき、判定部78によりセットされるフラグFの値は「1」から「0」へ切り替わる。これにより、カウンタ88のカウント値Nfがリセットされて「0」となる。このため、ステアリング戻し制御部84により演算される補償量I 、およびダンピング制御部86により演算される補償量I は、そのままの値でアシスト制御量Ias の演算に使用される。また、操舵角感応リミッタ93,103により演算される個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )、および操舵角速度感応リミッタ94,104により演算される個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )が、それぞれ最終的な制限値(IUL ,ILL )の演算に使用される。
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・レーンキープ制御が実行されるとき、ステアリング戻し制御部84により演算される補償量I 、およびダンピング制御部86により演算される補償量I を「0」に向けて漸減させなくてもよい。たとえば、レーンキープ制御が実行されるとき、補償量I ,I の値を即時に「0」に固定する。この場合、ゲインGとして「0」を補償量I ,I に乗算してもよい。また、ステアリング戻し制御部84と加算器83との間の演算経路、およびダンピング制御部86と加算器83との間にそれぞれ図示しないスイッチを設け、このスイッチを閉状態から開状態へ切り替えてもよい。このようにしても、レーンキープ制御が実行されるとき、調停制御として、補償量I ,I をアシスト制御量Ias の演算に反映させないようにすることができる。
・アシスト制御部71として、調停制御機能を割愛した構成を採用してもよい。このようにしても、レーンキープ制御が実行されるとき、操舵角θsに応じた個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )、および操舵速度ωsに応じた個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )に代えて、それぞれ固定値(IU1,IU2,IL1,L2)が使用される。このため、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )の信頼性水準が、目標操舵角θの信頼性水準の影響を受けることはない。したがって、少なくともアシスト制御量Ias に対する制限機能の信頼性水準を確保することができる。
・電流指令値演算部61として、バックアップ制御部74を割愛した構成を採用してもよい。ここで、マイクロコンピュータ42がアシスト制御量Ias に対する漸減処理機能を有さない場合、異常値を示す過大なアシスト制御量Ias が演算されるとき、この異常なアシスト制御量Ias は最終的な制限値(IUL ,ILL )に制限される状態に維持される。そしてこの制限されたアシスト制御量Ias に基づくアシスト力が継続して操舵機構20に付与される。これに対し、マイクロコンピュータ42がアシスト制御量Ias に対する漸減処理機能を有する場合、アシスト制御量Ias に対する制限処理が一定期間ΔTだけ継続して行われる異常が発生したとき、漸減処理の実行を通じてアシスト制御量Ias は「0」に至る。このとき、操舵機構20にアシスト力が付与されない、いわゆるマニュアルステアの状態になる。
・本例では、第1の上限固定値IU1および第1の下限固定値IL1をそれぞれ「0」に設定するとともに、第2の上限固定値IU2を「Imax」、第2の下限固定値IL2を「−Imax」に設定したが、つぎのように設定してもよい。すなわち、第1の上限固定値IU1を「Imax」、第1の下限固定値IL1を「−Imax」に設定するとともに、第2の上限固定値IU2および第2の下限固定値IL2をそれぞれ「0」に設定する。このようにしても、レーンキープ制御が実行されるとき、アシスト制御量Ias に対する最終的な制限値(IUL ,ILL )には、補正制御量Icor に応じた個別の制限値として、各固定値(IU1,IU2,IL1,L2)、より正確には正負の最大値(±Imax)が反映される。
・本例では、操舵角θsに基づき演算される状態量として操舵速度ωsを挙げているところ、これ以外にも操舵角θsに基づき演算される状態量として操舵角加速度が使用されることもある。この場合、アシスト制御量Ias に対する補償量として、操舵角加速度に応じた補償量が演算されるとともに、操舵角加速度に応じた個別の制限値が演算される。またこの場合、レーンキープ制御が実行されるとき、操舵角θsに基づく個別の制限値、操舵速度ωsに基づく個別の制限値、および操舵角加速度に基づく個別の制限値のいずれか一が補正制御量Icor に許容される正負の最大値「±Imax」に、残る個別の制限値が補正制御量Icor の最小値「0」に固定される。また、レーンキープ制御が実行されるとき、操舵角θsに基づく補償量I および操舵速度ωsに基づく補償量I に加え、操舵角加速度に基づく補償量も「0」へ向けて漸減される。
・本例では、アシスト制御量Ias に対する補償量として、操舵角θsに基づく補償量I 、操舵トルク微分値dτに基づく補償量I 、および操舵速度ωsに基づく補償量I を一例として挙げたが、製品仕様などによっては、操舵角θsに基づく補償量I を使用しない構成も考えられる。この場合、アシスト制御部71として、たとえばステアリング戻し制御部84および乗算器89aを割愛した構成を採用することができる。また、上下限リミット演算部72として、操舵角感応リミッタ93,103、ならびに第1の上限値切替部96および第1の下限値切替部106を割愛した構成を採用することができる。この場合、レーンキープ制御が実行されるとき、操舵角感応リミッタ93,103により演算される個別の制限値(IUL3 ,ILL3 )を、第1の上限固定値IU1および第1の下限固定値IL1をそれぞれ「0」に切り替える処理も不要である。単に、操舵角速度感応リミッタ94,104により演算される個別の制限値(IUL4 ,ILL4 )を第2の上限固定値IU2および第2の下限固定値IL2である「±Imax」に切り替えるだけでよい。
・本例のECU40は、レーンキープ制御およびパーキングアシスト制御に限らず、障害物回避制御など、上位ECU55により生成される目標操舵角θに基づく種々の操舵支援制御(運転支援制御)を実行する制御装置として好適である。
・本例では、操舵機構20の構成要素であるステアリングシャフト22にアシスト力を付与するタイプの電動パワーステアリング装置にECU40を適用した例を挙げたが、操舵機構20の他の構成要素であるラック軸23にアシスト力を付与するタイプの電動パワーステアリング装置にECU40を適用してもよい。
・また、ECU40は、ステアリングホイール21と転舵輪26,26とが機械的に分離されたステアバイワイヤシステム(自動運転システムへの展開を含む。)の制御装置として適用することも可能である。ECU40は、転舵輪26,26を転舵させるための動力、または転舵輪26,26の転舵をアシストするための動力を発生する転舵モータなどのアクチュエータの制御装置としても好適である。
20…操舵機構、31…モータ、71…アシスト制御部、40…ECU(操舵制御装置)、55…上位ECU(上位制御装置)、72…制限処理部を構成する上下限リミット演算部、73…制限処理部を構成する上下限ガード処理部、74…バックアップ制御部、75…切替部、
76…フィードバック制御部(演算部)、96…第1の制限値切替部を構成する第1の上限値切替部、97…第2の制限値切替部を構成する第2の上限値切替部、106…第1の制限値切替部を構成する第1の下限値切替部、107…第2の制限値切替部を構成する第2の下限値切替部、I …基本アシスト制御量(アシスト制御量の基礎成分)、I …補償量(操舵角に基づくもの)、I …補償量(操舵速度に基づくもの)、Icor …補正制御量、Imax…第2の上限固定値(補正制御量の許容最大値)、−Imax…第2の下限固定値(補正制御量の許容最大値)、Iasbk …バックアップ用のアシスト制御量、IUL1 〜IUL4 …個別の上限値、ILL1 〜ILL4 …個別の下限値、IUL …最終的な上限値、ILL …最終的な下限値、IU1…第1の上限固定値、IL1…第1の下限固定値、IU2…第2の上限固定値、IL2…第2の下限固定値、τ…操舵トルク、θ…目標操舵角(角度指令値)、θs…操舵角、ωs…操舵速度(操舵角に基づき演算される状態量)。

Claims (6)

  1. 操舵状態を示す複数種の状態量のうち信頼性要求水準を満たす状態量に基づき、車両の操舵機構に付与する動力の発生源であるモータを制御するためのアシスト制御量を演算するアシスト制御部と、
    前記複数種の状態量に応じて前記アシスト制御量の変化範囲を制限する制限値を前記状態量ごとに個別に設定し、これら制限値を合算して得られる前記アシスト制御量に対する最終的な制限値に基づき前記アシスト制御量の変化範囲を制限する制限処理部と、
    上位制御装置によって自車両の周辺環境に応じて演算される、操舵角の目標値となる角度指令値に基づき前記アシスト制御量に付加される補正制御量を演算する演算部と、を備え、
    前記補正制御量は、前記角度指令値に実際の操舵角を追従させる角度フィードバック制御の実行を通じて演算されるものであって、
    前記制限処理部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵角に応じた個別の制限値および操舵角に基づき演算される状態量に応じた個別の制限値に代えて、前記補正制御量が加味された前記アシスト制御量を許容しつつも前記モータへ過大な電流が流れ込まないように設定される固定値を使用して前記最終的な制限値を演算する操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の操舵制御装置において、
    前記制限処理部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵角に応じた個別の制限値および操舵角に基づき演算される状態量に応じた個別の制限値のいずれか一を第1の固定値として定められた前記補正制御量の許容最大値に固定するとともに、残りの個別の制限値を第2の固定値として定められた前記補正制御量の最小値である零に固定する操舵制御装置。
  3. 請求項2に記載の操舵制御装置において、
    前記操舵角に基づき演算される状態量は操舵速度を含み、
    前記制限処理部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵角に応じた個別の制限値を前記補正制御量の最小値である零に切り替える第1の制限値切替部と、
    前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵速度に応じた制限値を前記補正制御量の許容最大値に切り替える第2の制限値切替部と、を有している操舵制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の操舵制御装置において、
    前記アシスト制御量が制限される異常が発生したときに使用されるバックアップ用のアシスト制御量を演算するバックアップ制御部と、
    前記異常が発生するとき、前記モータの制御に使用するアシスト制御量を前記アシスト制御部により演算されるアシスト制御量から前記バックアップ用のアシスト制御量へ切り替える切替部と、を有している操舵制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の操舵制御装置において、
    前記アシスト制御部は、前記複数種の状態量の一である操舵トルクに基づき前記アシスト制御量の基礎成分を演算するとともに、操舵角および操舵角に基づき演算される状態量である操舵速度の少なくとも一に基づき前記基礎成分に対する一または複数の補償量を演算し、前記基礎成分および前記一または複数の補償量を合算することにより前記アシスト制御量を演算するものであって、
    前記アシスト制御部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されるとき、操舵角および操舵速度の少なくとも一に基づき演算される前記一または複数の補償量の値を強制的に零とする操舵制御装置。
  6. 請求項5に記載の操舵制御装置において、
    前記アシスト制御部は、前記補正制御量が前記アシスト制御量に付加されてからの経過時間に応じて、操舵角および操舵速度の少なくとも一に基づき演算される前記一または複数の補償量の値を零へ向けて漸減させる操舵制御装置。
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