JP2018038099A - 電動モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ステータの変形に起因する振動を低減することができ、かつコイルエンドを効率良く冷却することができ、かつコイルエンドの電気的絶縁に優れながら、構成の簡易化、小型化、軽量化が実現可能な電動モータを提供する。【解決手段】電動モータ1は、ステータ9とハウジング8と回転軸6とロータ10とポンプ50と冷却用油路52とを備える。フローティング支持部72,82とコイルエンド絶縁部70,80とを有するカバー部材35,36が設けられる。フローティング支持部72,82は、ステータ9のステータコア30の外径面とハウジング8の内径面との間に介在し、ハウジング8に対しステータコア30をフローティング支持する。コイルエンド絶縁部70,80は、ステータ9のコイルエンド31aとハウジング8とを電気的に絶縁する。【選択図】図1

Description

この発明は、例えばインホイールモータ等の電動モータに関し、特に振動低減、ならびにステータコイルの絶縁および冷却に関連する技術に関する。
電動モータは、車両、産業用機械等に広く利用されており、小型、軽量で、高効率、高出力、低振動(低騒音)であることが求められる。
電動モータの振動は、主に以下の理由で発生する。すなわち、電動モータは、ステータコアに巻回されたコイルに通電し、各相への通電を切り替えることにより、コイルから発生される磁力とロータに固定された永久磁石からの磁力との相互作用により回転トルクが発生する。その際、ステータコアには、径方向の反力が作用するため、ロータの回転速度に応じた周期でステータが径方向に変形する。その結果、ステータの変形に起因する振動が発生する。
このようなステータから発生する振動を抑制する方法として、以下の提案がなされている。
(1)特許文献1
この提案の回転電機は、ステータコアの外周部に、ステータをハウジングに固定するリングを備えている。前記リングは、ステータが変位したときに弾性変形する曲折部を有しており、この曲折部がステータの振動を吸収することにより、振動を低減させる。
(2)特許文献2
この提案のインナロータ型ブラシレスモータは、ステータコアの外周部またはハウジングの内周部に溝を設け、この溝に弾性または粘弾性を有する弾性部材を嵌合させ、ステータをフローティング状態に保持することにより、ステータから発生した振動を低減させる。
(3)特許文献3
この提案のステータの固定構造は、ステータを格納する開口部を有するハウジングを備える。ハウジングは、開口部の内周面とステータコアとの隙間が相対的に小さく、かつ開口部の内径が一定である第1部分と、開口部の内周面とステータコアとの隙間が相対的に大きい第2部分とが、ステータコアの軸方向に並んでいる。これにより、ステータコアとハウジングとの接触面積が減り、その結果、ステータから発生する振動が低減する。
また、電動モータの出力は、電動モータの温度によって制限される。従って、電動モータの出力を向上させるためには、電動モータ、特に発熱源であるステータコイルの温度上昇を抑えることが重要である。そのためには、冷却媒体を確実にステータコイルのコイルエンドに供給することが不可欠である。コイルエンドは、ステータコイルにおけるステータコアに対しモータ軸心方向に外れた部分のことである。
また、高電圧が負荷されるコイルエンドとハウジングとは、電気的に絶縁されていることが不可欠である。そのためには、ステータとハウジングとの距離を大きくとればよいが、距離を大きくすると電動モータが全体に大きくなる。そこで、インホイールモータ駆動装置用の電動モータ等のように、小型化、軽量化が要求される電動モータでは、全体の大きさを大きくすることなく、コイルエンドを電気的に絶縁する必要がある。
コイルエンドの冷却および絶縁に関して、以下の提案がなされている。
(4)特許文献4
この提案の電動機の冷却構造は、ステータコイルのコイルエンドを覆うカバーが設けられ、このカバーによってステータとケーシングとを電気的に絶縁する。また、カバーとコイルエンドとの間、およびカバーとケーシングの内壁との間に、冷却媒体を流す流路が設けられ、流路を流れる冷却媒体によってコイルエンドを冷却する。コイルエンドはケーシングに対して電気的絶縁が必要な部位と不要な部位とに区分されており、電気的絶縁が必要な部位に対向するカバーの部分は絶縁性が良好な材料で形成され、電気的絶縁が不要な部位に対向するカバーの部分は熱伝導性が良好な金属材料で形成される。
特開2010−124661号公報 特開2007−189812号公報 特許第4747880号公報 特許第5240131号公報
特許文献1では、弾性変形する曲折部を設けたリングをステータコアとハウジング間に設置することにより、振動を抑制することが提案されている。しかし、曲折部の形状が複雑であるため、加工が困難であると考えられる。また、コイル部分の絶縁はモールド樹脂により被覆されており、部品点数の削減については言及されていない。
特許文献2では、ステータコアをハウジングに対してフローティングさせながら保持することについて提案されているが、コイルエンドの絶縁、モータの小型化について言及されていない。
特許文献3では、ステータコアとハウジングとの接触面積を減らすことにより、ステータの変形による振動伝達を低減させる構造を提案しているが、ステータコアとハウジングとの接触部は存在することになるから、ステータ起因の振動を完全に無くすことは困難であると考えられる。
特許文献4では、コイルエンドを覆うカバーを設けることによって、コイルエンドとハウジングとの距離を大きくすることなく、コイルエンドとハウジングとを電気的に絶縁することができる。しかし、前記カバーは、ハウジングとコイルエンドとに挟み込まれることにより固定される。このため、冷却媒体用の流路をカバーとコイルエンド間の一部にしか設けることができず、コイルエンドの表面全体が冷却媒体によって冷却されない。
この発明の目的は、ステータの変形に起因する振動を低減することができ、かつコイルエンドを効率良く冷却することができ、かつコイルエンドの電気的絶縁に優れながら、構成の簡易化、小型化、軽量化が実現可能な電動モータを提供することである。
この発明の電動モータは、ステータコアおよびステータコイルを有するステータと、このステータが取り付けられるハウジングと、複数の軸受を介して前記ハウジングに回転自在に支持された回転軸と、この回転軸に一体に設けられたロータと、冷却油を吐出するポンプと、このポンプから吐出される冷却油を前記ステータ、前記回転軸、および前記ロータが収容された前記ハウジングの内部空間に案内する冷却用油路とを備え、
前記ステータコアの外径面と前記ハウジングの内径面との間に介在し、前記ハウジングに対し前記ステータコアをフローティング支持するフローティング支持部と、前記ステータコイルにおける前記ステータコアに対しモータ軸心方向に外れた部分であるコイルエンドと前記ハウジングとを電気的に絶縁するコイルエンド絶縁部とを有するカバー部材が設けられていることを特徴とする。
この構成によると、ステータコアの外径面とハウジングの内径面とを密着させずに、カバー部材のフローティング支持部によりハウジングに対しステータコアがフローティング支持されているので、ステータの径方向の変形に起因する振動がハウジングに伝達することが抑制され、振動が低減する、
また、カバー部材のコイルエンド絶縁部によってコイルエンドとハウジングとが電気的に絶縁されるため、コイルエンドとハウジングとの距離を大きくとることなく、コイルエンドを電気的に絶縁することができる。これにより、全体のモータ軸心方向の長さを短縮することができる。
カバー部材の一部分であるフローティング支持部によってステータコアをフローティング支持し、かつ同じくカバー部材の一部分であるコイルエンド絶縁部によってコイルエンドを電気的に絶縁するため、部品点数を増やすことなく、また構成を複雑にすることなく、ステータの変形に起因する振動の低減と、コイルエンドの電気的絶縁とを図ることができる。
ポンプと冷却用油路とを備えるため、ポンプから吐出される冷却油が、ステータ、回転軸、およびロータが収容されたハウジングの内部空間に案内される。この冷却油により、ステータのコイルエンドが効率良く冷却される。これにより、電動モータの出力を向上させることができる。
電動モータはポンプを有し、このポンプから吐出される冷却油をモータ内部で循環させる。このため、モータ外部に配管を設置する必要がない。したがって、この電動モータは、小型化、軽量化が不可欠な電動モータに適する。
この発明において、前記カバー部材の前記コイルエンド絶縁部と前記コイルエンドとの間に隙間が形成され、前記冷却用油路を通って前記ハウジングの内部空間に案内された冷却油が前記隙間に案内されるとよい。
この場合、冷却用油路によりハウジングの内部空間に案内された冷却油が、コイルエンドとカバー部材のコイルエンド絶縁部との間の隙間に案内され、冷却油が隙間を流れる間に、コイルエンドが効率良く冷却される。
前記カバー部材が、前記ステータコアの軸方向端面に当接するフランジ部を有する場合、前記カバー部材の前記フローティング支持部の内径面に、前記冷却用油路を通って前記ハウジングの内部空間に案内された冷却油を軸方向に案内する軸方向溝が設けられ、かつ前記フランジ部における前記ステータコアの軸方向端面に対向する面に、一端が前記軸方向溝に繋がり他端が前記隙間に繋がる径方向溝が設けられているとよい。
この構成であると、冷却油供給口からハウジングの内径面に供給される冷却油が、軸方向溝を通って軸方向に流れ、さらに径方向に案内されて内径側へ流れて、コイルエンドとカバー部材のコイルエンド絶縁部との間の隙間に案内される。これにより、冷却油を前記隙間に効率良く供給することができる。軸方向溝および径方向溝はカバー部材に設けられているため、ハウジングの内径面に冷却油を案内するための溝等を加工しなくて済む。
前記モータ軸心が水平である状態で、前記軸方向溝はモータ軸心よりも上方に位置しているとよい。
この場合、軸方向溝を通って供給される冷却油が、始めに前記隙間におけるモータ軸心よりも上方の領域に流れ込み、その後、重力によって下方の領域に流れる。軸方向溝がモータ軸心よりも上方に位置していると、冷却油が隙間の全領域に均等に行き渡りやすい。これにより、コイルエンドの全体を均等に冷却することができる。
前記カバー部材における前記コイルエンドと対向する面に環状溝が設けられていてもよい。
この場合、隙間に供給された冷却油が、環状溝を伝って隙間の円周方向にスムーズに流れる。これにより、コイルエンドが円周方向の全域に冷却油がほぼ均一に行き渡る。
この発明において、前記冷却用油路を通って前記ハウジングの内部空間に案内された冷却油は、前記コイルエンドの冷却と前記軸受の潤滑とを兼ねていてもよい。
この場合、コイルエンド冷却用の給油系統と軸受潤滑用の給油系統を統合することができ、給油系統が簡略になる。
この発明において、前記冷却用油路は、前記ポンプからモータ軸心に対する外径方向に延びる径方向油路部と、この径方向油路部に続いてモータ軸心方向に延びる軸方向油路部と、この軸方向油路部と前記ハウジングの内径面に開口する冷却油供給口とを連通する連通油路部とを有していてもよい。
この構成であると、ポンプから吐出される冷却油が、径方向油路部、軸方向油路部、および連通油路部を経由して、冷却油供給口まで案内される。冷却用油路がこの構成であると、ポンプをステータおよびロータに対してモータ軸心方向となる位置に配置することができる。これにより、径方向寸法を大きくすることなく、ポンプ一体型の電動モータを構成することができる。
この発明において、前記カバー部材は、耐熱性および耐油性を有する樹脂材からなっているとよい。
カバー部材は高温で、かつ油と接触する環境下で使用されるため、カバー部材の材料は耐熱性および耐油性を有するのがよい。
この発明において、前記カバー部材の前記フローティング支持部は外径面に環状の弾性部材嵌合溝を有し、この弾性部材嵌合溝に、前記ハウジングの内径面に接触する弾性部材が嵌合してもよい。
フローティング支持部がこの構造であると、簡易な構造でハウジングに対しステータをフローティング支持することができる。
前記弾性部材は、耐熱性および耐油性を有する材料からなっているとよい。
弾性部材は、比較的高温で、かつ油と接触する環境下で使用されるため、弾性部材の材料は耐熱性および耐油性を有するのがよい。
この発明において、前記カバー部材は、前記ステータコアの軸方向端面に当接するフランジ部を有し、このフランジ部に軸方向の貫通孔を有する金属製の筒状部材が設けられ、この筒状部材の前記貫通孔に挿通された取付具により、前記ステータと共に前記ハウジングに取り付けられてもよい。
この構成であると、ステータおよびカバー部材をハウジングに取り付けるための部品点数を減らすことができる。
この発明において、前記カバー部材は、前記ステータコアの軸方向端面に当接するフランジ部を有し、このフランジ部が前記ハウジングと前記ステータコアとに挟まれることにより、前記ステータと共に前記ハウジングに取り付けられてもよい。
この構成であると、ステータおよびカバー部材をハウジングに取り付けるための部品点数を減らすことができる。
この発明の電動モータは、車輪用軸受および減速機と共にインホイールモータ駆動装置を構成してもよい。
この発明の電動モータは、小型化、軽量化が可能であるので、インホイールモータ駆動装置の電動モータとして使用するのに適する。
この発明の電動モータは、ステータコアおよびステータコイルを有するステータと、このステータが取り付けられるハウジングと、複数の軸受を介して前記ハウジングに回転自在に支持された回転軸と、この回転軸に一体に設けられたロータと、冷却油を吐出するポンプと、このポンプから吐出される冷却油を前記ステータ、前記回転軸、および前記ロータが収容された前記ハウジングの内部空間に案内する冷却用油路とを備え、前記ステータコアの外径面と前記ハウジングの内径面との間に介在し、前記ハウジングに対し前記ステータコアをフローティング支持するフローティング支持部と、前記ステータコイルにおける前記ステータコアに対しモータ軸心方向に外れた部分であるコイルエンドと前記ハウジングとを電気的に絶縁するコイルエンド絶縁部とを有するカバー部材が設けられているため、ステータの変形に起因する振動を低減することができ、かつコイルエンドを効率良く冷却することができ、かつコイルエンドの電気的絶縁に優れながら、構成の簡易化、小型化、軽量化が実現可能である。
この発明の一実施形態に係る電動モータを備えたインホイールモータ駆動装置の断面図である。 同インホイールモータ駆動装置を図1とは異なる断面で切断した断面図である。 図1のIII−III断面図である。 図1のIV−IV断面図である。 図4の部分拡大図である。 同インホイールモータ駆動装置のポンプをモータ軸心方向から見た図である。 同インホイールモータ駆動装置のインボード側のカバー部材を斜めアウトボード側から見た図である。 同インボード側のカバー部材をアウトボード側から見た図である。 図8のIX−IX断面図である。 図8のX−X断面図である。 図10のXI部拡大図である。 図1のXII部拡大図である。 同インホイールモータ駆動装置のアウトボード側のカバー部材を斜めインボード側から見た図である。 同アウトボード側のカバー部材をインボード側から見た図である。 図14のXV−XV断面図である。
この発明の一実施形態に係る電動モータを図面と共に説明する。
図示の電動モータは、車輪用軸受および減速機と組み合わされて、全体でインホイールモータ駆動装置として構成されている。以下の説明では、インホイールモータ駆動装置を車両に設けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
図1はこの発明の一実施形態に係る電動モータを備えたインホイールモータ駆動装置の断面図、図2は同インホイールモータ駆動装置を図1とは異なる断面で切断した断面図、図3は図1のIII−III断面図である。なお、図1は図3のI−O−I断面図であり、図2は図3のII−O−II断面図である。
図1、図2に示すように、このインホイールモータ駆動装置は、車輪を駆動する電動モータ1と、この電動モータ1の回転を減速する減速機2と、この減速機2の入力軸3(減速機入力軸3と称す)と同軸の出力部材4によって回転される車輪用軸受5と、油冷却装置Rとを備える。車輪用軸受5と電動モータ1との間に減速機2を介在させ、車輪用軸受5で支持される駆動輪である車輪のハブと、電動モータ1の回転軸6とを同軸心上で連結してある。減速機2を収納する減速機ハウジング7には、車両における図示外のサスペンションが連結される。このインホイールモータ駆動装置は、一部または全体が車輪内に配置される。
電動モータ1は、モータハウジング8に取り付けられたステータ9と、前記回転軸6に固定されたロータ10とを有する。この電動モータ1は、ステータ9とロータ10との間にラジアルギャップを設けたIPMモータ(いわゆる埋込み磁石型同期モータ)である。電動モータ1の回転軸6は、横向きに配置され、一対の転がり軸受11,12によってモータハウジング8に回転自在に支持されている。一対の軸受11,12は、互いにモータ軸心方向に離隔した位置にある。なお、モータ軸心方向は、回転軸6の軸心Oの方向のことである。以下の説明で、モータ軸心方向のことを単に「軸方向」とする場合がある。
ロータ10は、ロータ取付体13によって回転軸6に一体回転するように取り付けられている。ロータ取付体13は、回転軸6のモータ軸心方向中間部から外径方向に延びる基部13aと、この基部13aの外径端からアウトボード側およびインボード側に延びる円筒部13bと、この円筒部13bのアウトボード側端およびインボード側端から外径側に延びる一対の鍔部13cとからなる。ロータ10は、一対の鍔部13c,13c間に固定されている。図示例では、ロータ取付体13は回転軸6と一体に設けられているが、ロータ取付体13は回転軸6と別体であってもよい。
図3に示すように、ステータ9は、ステータコア30とステータコイル31とを有する。ステータコア30は、例えば軟質磁性材料からなる。ステータコア30は、モータハウジング8への取付箇所となる円環状部30aと、この円環状部30aから内径側に突出する複数の歯部30bとからなる。複数の歯部30bは、回転軸6の軸心Oの周りに放射状に並んでいる。
ステータコア30の円環状部30aには、モータ軸心方向に延びる取付具挿通溝33が円周方向に並んで複数設けられている。図2に示すように、これら取付具挿通溝33に挿通される取付具34によって、ステータ9がモータハウジング8に取り付けられる。その際、インボード側およびアウトボード側のカバー部材35,36も、ステータ9と共にモータハウジング8に固定される。前記取付具34は、例えばボルトである。モータハウジング8には、取付具34が螺着されるねじ孔37が設けられている。
前記カバー部材35,36は、ステータコイル31のコイルエンド31aとモータハウジング8とを電気的に絶縁する目的と、油冷却装置Rによるコイルエンド31aの冷却効果を高める目的で設けられる。なお、コイルエンド31aは、ステータコイル31におけるステータコア30に対しモータ軸心方向に外れた部分のことである。カバー部材35,36の詳細な形状については、後で説明する。
図1、図2において、前記回転軸6は、電動モータ1の駆動力を減速機2に伝達する軸である。回転軸6は筒状であり、そのアウトボード側部分に減速機入力軸3のインボード側部分が嵌合している。回転軸6と減速機入力軸3とは、互いにスプライン嵌合(セレーション嵌合も含む。以下、同じ)している。減速機入力軸3は、回転軸6と同軸上に、転がり軸受14a,14bによって回転自在に支持されている。転がり軸受14aは出力部材4のカップ部内に嵌合し、転がり軸受14bは筒状の連結部材4a内に嵌合している。出力部材4のカップ部と連結部材4aとは、内ピン22を介して連結されている。
減速機入力軸3の外周面には、偏心部15,16が設けられる。これら偏心部15,16は偏心運動による遠心力が互いに打ち消されるように180°位相をずらして設けられている。減速機2は、曲線板17,18と、複数の外ピン19と、カウンタウェイト21とを有するサイクロイド減速機である。
図4は、図1のIV−IV断面となる減速機部分の断面図である。減速機2は、外形がなだらかな波状のトロコイド曲線で形成された2枚の曲線板17,18が、それぞれ転がり軸受85を介して、各偏心部15,16に装着してある。これら各曲線板17,18の偏心運動を外周側で案内する複数の外ピン19を、それぞれ減速機ハウジング7の内側に設け、前記複数の内ピン22を、各曲線板17,18の内部に設けられた複数の円形の貫通孔89に挿入状態に係合させてある。
図5に拡大して示すように、各外ピン19と各内ピン22には針状ころ軸受92,93が装着される。各外ピン19は、それぞれ針状ころ軸受92で両端支持され、これら針状ころ軸受92の外輪92aが減速機ハウジング7に固定され外ピン19は回転自在に支持され、各曲線板17,18の外周面と転接し、それぞれ各曲線板17,18の外周との接触抵抗を低減する。また各内ピン22は、針状ころ軸受93の外輪93aが、それぞれ各曲線板17,18の各貫通孔89の内周と各内ピン22との接触抵抗を低減する。
よって、図1、図2に示すように、各曲線板17,18の偏心運動をスムーズに車輪用軸受5の内方部材(回転輪)5aに回転運動として伝達し得る。回転軸6が回転すると、この回転軸6と一体回転する減速機入力軸3に設けられた各曲線板17,18が偏心運動を行う。このとき外ピン19が偏心運動する各曲線板17,18の外周面と転がり接触するように係合すると共に、各曲線板17,18が、内ピン22と貫通孔89(図5)との係合によって、各曲線板17,18の自転運動のみが出力部材4および車輪用軸受5の内方部材5aに回転運動として伝達される。回転軸6の回転に対して内方部材5aの回転は減速されたものとなる。
車輪用軸受5は内方部材5aと外方部材5bの間にボールを組み込んだ複列アンギュラ玉軸受であり、外方部材5bはフランジ5cにより減速機ハウジング7にボルト固定されている。内方部材5aは、出力部材4にスプライン嵌合(セレーション嵌合も含む)している。内方部材5aに伝達された回転運動は、内方部材5aにおけるアウトボード側の外周面に設けられた車輪取付フランジ5dからタイヤに伝達される。
次に、図1と共に油冷却装置Rについて説明する。
油冷却装置Rは、電動モータ1および減速機2の冷却と、電動モータ1の回転軸6および減速機入力軸3をそれぞれ支持する軸受11,12,14a,14bの潤滑とを兼ねている。油冷却装置Rは、減速機ハウジング7とモータハウジング8の境界部に設けられたポンプ50と、減速機ハウジング7の底部に設けられた油溜り51と、電動モータ1および減速機2に設けられた冷却用油路52とで構成される。冷却用油路52は、吸込み油路53とモータ冷却用油路54と減速機冷却用油路55とからなる。モータ冷却用油路54と減速機冷却用油路55はそれぞれの一部が互いに共通である。
図6は、ポンプ50をモータ軸心方向から見た図である。ポンプ50は、例えば、出力部材4の回転により回転するインナーロータ40と、このインナーロータ40の回転に伴って従動回転するアウターロータ41と、ポンプ室42と、吸入口43と、吐出口44とを有するサイクロイドポンプである。インナーロータ40は、連結部材4aに固定された出力部材4(図1)の回転により回転できるように構成されている。
電動モータ1に駆動される出力部材4の回転によりインナーロータ40が回転すると、アウターロータ41が従動回転する。このときインナーロータ40およびアウターロータ41がそれぞれ異なる回転中心c1,c2を中心として回転することで、ポンプ室42の容積が連続的に変化する。これにより、冷却油が吸入口43から流入し、吐出口44から吐出される。
図1において、ポンプ50は、油溜り51の冷却油を、吸込み油路53を介して吸い込み、径方向油路部56に送り出すように設けられている。径方向油路部56は、モータハウジング8内に設けられ、ポンプ50の吐出口44(図6)から外径方向(この実施形態では上方)へ延びている。径方向油路部56の上端は、軸方向油路部57のアウトボード側端に連通している。軸方向油路部57は、モータハウジング8の上部の内部をインボード側に延びている。軸方向油路部57のモータ軸心方向中間部は、連通油路部58を介してモータハウジング8の内部空間と連通している。連通油路部58の内部空間側端は、モータハウジング8の内径面に開口する冷却油供給口59になっている。上記径方向油路部56、軸方向油路部57におけるアウトボード側端から連通油路部58までの部分57a、および連通油路部58で、前記モータ冷却用油路54が構成される。
前記軸方向油路部57のインボード側端は、モータハウジング8のエンドカバー8aに設けられた連絡油路部63の上端に連通している。連絡油路部63の下端はモータ軸心Oの位置まで延び、その下端が、モータ軸心油路部64のインボード側端に連通している。モータ軸心油路部64は、回転軸6の内部をモータ軸心Oに沿ってインボード側からアウトボード側へ延びている。
モータ軸心油路部64は、そのアウトボード側端で減速機入力軸3内の減速機軸心油路部65に連通している。減速機軸心油路部65は、減速機入力軸3内に軸心に沿って設けられ、インボード側からアウトボード側へ延びている。そして、減速機軸心油路部65における前記偏心部15,16が設けられる軸方向位置から、減速機供給油路部66が減速機ハウジング7内へ延びている。減速機ハウジング7の内部と油溜り51とが、排出油路67で連通されている。
前記径方向油路部56、軸方向油路部57、連絡油路部63、モータ軸心油路部64、減速機軸心油路部65、および減速機供給油路部66で、前記減速機冷却用油路55が構成される。つまり、径方向油路部56、および軸方向油路部57におけるアウトボード側端から連通油路部58までの部分57aは、モータ冷却用油路54と減速機冷却用油路55とで共用である。
モータハウジング8の内部空間の下端となる底部には、排油溝68が設けられている。この排油溝68は、前記油溜り51に連通している。
次に、カバー部材35,36について説明する。カバー部材35,36は、いずれも耐熱性および耐油性を有する樹脂材、例えばPPS(Polyphenylene Sulfide)からなっている。カバー部材35,36は高温で、かつ油と接触する環境下で使用されるため、カバー部材35,36の材料は耐熱性および耐油性を有するのがよい。
図7〜図11はインボード側のカバー部材35を示す。図7〜図10に示すように、カバー部材35は、環状の部材であり、コイルエンド絶縁部70と、このコイルエンド絶縁部70の外径端から外径側に延びるフランジ部71と、このフランジ部71の外径端からモータ軸心方向に延びるフローティング支持部72とからなる。
図9、図10の断面図に示すように、コイルエンド絶縁部70は、外径面対向部70aと、端面対向部70bと、内径面対向部70cとからなる。図1のXII部拡大図である図12に示すように、カバー部材35の取付状態において、外径面対向部70aはコイルエンド31aの外径面に対向し、端面対向部70bはコイルエンド31aの端面に対向し、内径面対向部70cは、コイルエンド31aの内径面に対向する。コイルエンド絶縁部70とインボード側のコイルエンド31aとの間には、隙間73が形成される。端面対向部70bにおける取付状態でコイルエンド31aと対向する面には、環状溝74が設けられている。
図8に示すように、フランジ部71には、カバー部材35の取付けに用いられる金属製の筒状部材75が複数設けられている。図10のXI部拡大図である図11に示すように、筒状部材75は、軸方向の貫通孔75aを有する。
フローティング支持部72は、内径寸法がステータコア30の外径寸法とほぼ同じであり、外径寸法はモータハウジング8の内径寸法よりも若干小さい。フローティング支持部72の外径面には、環状の弾性部材嵌合溝76が設けられている。この弾性部材嵌合溝76には、図12に示すように、Oリング等の弾性部材77が嵌め込まれる。比較的高温かつ油と接触する環境下で使用される弾性部材77は、耐熱性および耐油性を有する材料からなっていることが望ましい。弾性部材77としては、弾性または粘弾性を有するものであればよく、Oリング以外のものであってもよい。また、フローティング支持部72の軸方向長さ、フローティング支持部72における弾性部材嵌合溝76が設けられる位置は、特に限定されない。
カバー部材35には、モータハウジング8の内部空間に供給された冷却油を前記隙間73に導く導油路78が複数設けられている。導油路78は、フローティング支持部72の内径面に設けられた軸方向溝78aと、フランジ部71のステータコア30と対向する面に設けられ前記軸方向溝78aのインボード端と前記隙間73とを繋ぐ径方向溝78bとからなる。軸方向溝78aおよび径方向溝78bは溝状であるが、図12に示すカバー部材35の取付状態では、軸方向溝78aおよび径方向溝78bの開口部がステータコア30によって塞がれることによって閉じられた油路となる。図8に示すように、複数の導油路78は、カバー部材35の取付状態において、すべてモータ軸心Oよりも上方に位置する箇所に設けられている。
コイルエンド絶縁部70の下部には、端子台部等の結線を行う箇所に対応して、ステータコイル31の引出し線(図示せず)を通すための開口79が設けられている。この開口79は排油口を兼ねている。
図13〜図15はアウトボード側のカバー部材36を示す。アウトボード側のカバー部材36も、インボード側のカバー部材35と同様に、コイルエンド絶縁部80と、このコイルエンド絶縁部80の外径端から外径側に延びるフランジ部81と、このフランジ部81の外径端からモータ軸心方向に延びるフローティング支持部82とからなる。
また、図15に示すように、コイルエンド絶縁部80は、外径面対向部80aと、端面対向部80bと、内径面対向部80cとからなり、カバー部材36の取付状態において、コイルエンド絶縁部80とアウトボード側のコイルエンド31aとの間に隙間83(図1)が形成される。端面対向部80bにおける取付状態でコイルエンド31aと対向する面に、環状溝84が設けられている。
図14に示すように、フランジ部81には、軸方向に貫通する取付具挿通孔85が複数設けられている。
図15に示すように、フローティング支持部82は、インボード側のカバー部材35と同様に、外径面に、弾性部材77(図1)が嵌め込まれる環状の弾性部材嵌合溝86を有する。フローティング支持部82の内径寸法および外径寸法は、インボード側のカバー部材35のフローティング支持部82の場合と同様である。
アウトボード側のカバー部材36にも、インボード側のカバー部材35と同様に、モータハウジング8の内部空間に供給された冷却油を前記隙間83に導く導油路88が複数設けられている。導油路88は、フローティング支持部82の内径面に設けられた軸方向溝88aと、フランジ部81のステータコア30と対向する面に設けられた径方向溝88bとからなる。複数の導油路88は、カバー部材36の取付状態において、すべてモータ軸心Oよりも上方に位置する箇所に設けられている。
ステータ9およびカバー部材35,36は、次のようにモータハウジング8に取り付けられる。すなわち、図2に示すように、モータハウジング8の内部空間に、アウトボード側からインボード側へ、カバー部材36、ステータ9、カバー部材36を順に配置する。カバー部材35,36のフローティング支持部72,82はステータコア30の外径に嵌合し、モータハウジング8の内径面とステータコア30の外径面との間に、カバー部材35,36のフローティング支持部72,82が介在する。この状態で、カバー部材35の筒状部材75の貫通孔75a、ステータコア30の取付具挿通溝33、カバー部材36の取付具挿通孔85に、取付具34をインボード側から挿通し、その先端をモータハウジング8のねじ孔37に螺着する。
これにより、カバー部材35,36が、ステータ9と共にモータハウジング8に取り付けられる。つまり、インボード側のカバー部材35は、そのフランジ部71をステータコア30とボルトである取付具34の頭部34aとで挟み込むことで取り付けられる。また、アウトボード側のカバー部材36は、そのフランジ部81をモータハウジング8とステータコア30とで挟み込むことで取り付けられる。
先に説明したように、フローティング支持部72,82の外径寸法は、モータハウジング8の内径寸法よりも若干小さい。このため、上記のようにステータ9およびカバー部材35,36をモータハウジング8に取り付けた状態では、カバー部材35,36のフローティング支持部72,82の外径面とモータハウジング8の内径面との間に間隙部100(図12)があり、弾性部材嵌合溝76,86に嵌め込まれた弾性部材77,77がモータハウジング8の内径面に接触する。弾性部材77がモータハウジング8に弾性的に接触することにより、モータハウジング8に対しステータ9がフローティング支持される。フローティング支持は、浮いた状態に支持することを言う。
このように、ステータコア30の外径面とモータハウジング8の内径面とを密着させずに、モータハウジング8に対しステータコア30がフローティング支持されていることにより、ステータ9の径方向の変形に起因する振動がモータハウジング8に伝達することが抑制され、振動が低減する、
また、カバー部材35,36の取付状態では、カバー部材35のコイルエンド絶縁部70によってインボード側のコイルエンド31aが覆われると共に、カバー部材36のコイルエンド絶縁部80によってアウトボード側のコイルエンド31aが覆われる。これにより、インボード側およびアウトボード側のコイルエンド31aとモータハウジング8とが電気的に絶縁される。
このように、カバー部材35,36のコイルエンド絶縁部70,80によってコイルエンド31aとモータハウジング8とが電気的に絶縁されるため、コイルエンド31aとモータハウジング8との距離を大きくとることなく、コイルエンド31aを電気的に絶縁することができる。これにより、全体のモータ軸心方向の長さを短縮することができる。
このインホイールモータ駆動装置は、油冷却装置Rを駆動することにより、以下のように各部の冷却および潤滑が行われる。図1、図12に冷却油の流れを矢印で示している。
ポンプ50から送り出された冷却油は、径方向油路部56、軸方向油路部57を順に流れ、その一部が、連通油路部58を通って冷却油供給口59からモータハウジング8の内部空間に供給される。内部空間に供給された冷却油は、カバー部材35,36に形成された軸方向溝78a,88aおよび径方向溝78b,88bを通って、コイルエンド31aとカバー部材35,36のコイルエンド絶縁部70,80との間の隙間73,83に案内される。冷却油は隙間73,83内を内径側および周方向の下方側に流れ、その間にコイルエンド31aが冷却される。
例えば図12に示す、隙間73におけるモータ軸心Oよりも上方に位置する領域では、冷却油は、コイルエンド31aの外径面とカバー部材35の外径面対向部70aとの間、コイルエンド31aの端面とカバー部材35の端面対向部70bとの間、およびコイルエンド31aの内径面とカバー部材35の内径面対向部70cとの間を順に通って、隙間73の外に流れ出る。アウトボード側のカバー部材36とコイルエンド31aとの隙間83についても同様である。
このように、隙間73,83を冷却油が流れる間に、隙間73,83に面するコイルエンド31aの外径面、端面、および内径面がそれぞれ冷却される。カバー部材35,36のコイルエンド31aと対向する面の略全体にわたって隙間73,83が設けられているので、冷却油によってコイルエンド31aの表面の広い範囲を冷却することができ、冷却効果が高い。
隙間73,83におけるモータ軸心Oよりも下方に位置する領域(拡大図無し)では、上記と逆に、コイルエンド31aの内径面とカバー部材35,36の内径面対向部70c,80cとの間、コイルエンド31aの端面とカバー部材35,36の端面対向部70b,80bとの間、およびコイルエンド31aの外径面とカバー部材35,36の外径面対向部70a,80aとの間を順に通って、隙間73,83の外に流れ出る。
軸方向溝78a,88aおよび径方向溝78b,88bからなる導油路78,88は、モータ軸心Oよりも上方に位置している。このため、隙間73,83内では、上記略径方向の冷却油の流れとは別に、周方向の冷却油の流れが生じる。すなわち、導油路78,88からの冷却油は、始めに隙間73,83におけるモータ軸心Oよりも上方の領域に流れ込み、その後、重力によって隙間73,83の下方の領域に流れる。このように、導油路78,88をモータ軸心Oよりも上方に設けることで、冷却油が隙間73,83の全領域に均等に行き渡りやすい。これにより、コイルエンド31aの全体を均等に冷却することができる。
また、カバー部材35,36の端面対向部70b,80bにおけるコイルエンド31aと対向する面に環状溝74,84が設けられているため、隙間73,83内の冷却油が、環状溝74,84を伝って円周方向にスムーズに流れやすい。これにより、冷却油が、より一層隙間73,83の全領域に均等に行き渡りやすい。
隙間73,83におけるモータ軸心Oよりも上方に位置する領域において、隙間73,83から外に流れ出た冷却油の一部は、回転軸6を回転自在に支持する軸受11,12の潤滑に利用される。その後、隙間73,83におけるモータ軸心Oよりも下方に位置する領域に流れ込むか、または排油溝68に回収される。隙間73,83におけるモータ軸心Oよりも下方に位置する領域において、隙間73,83から外に流れ出た冷却油は、そのまま排油溝68に回収される。排油溝68に回収された冷却油は、油溜り51に戻される。
軸方向油路部57を流れる冷却油のうち、連通油路部58に流れなかった残りの冷却油は、連絡油路部63、モータ軸心油路部64を順に通って、減速機軸心給油路65に流れる。減速機軸心給油路65に流れた冷却油は、ポンプ50の圧力と減速機入力軸3の回転に伴う遠心力とによって、減速機供給油路66を通って減速機ハウジング7の内部へ供給される。この冷却油によって、減速機2内の各部が潤滑および冷却される。潤滑および冷却に供された冷却油は重力によって下方に移動して、排出油路67を介して油溜り51に戻される。
このインホイールモータ駆動装置の電動モータ1は、カバー部材35,36の一部であるフローティング支持部72,82によってステータコア30をフローティング支持し、かつ同じくカバー部材35,36の一部であるコイルエンド絶縁部70,80によってコイルエンド31aを電気的に絶縁する。また、カバー部材35,36のフローティング支持部72,82およびフランジ部71,81に設けられた導油路78,88と、コイルエンド絶縁部70,80とコイルエンド31aとの間の隙間73,83とに冷却油を流すことにより、コイルエンド31aを効率良く冷却する。このように、一つの部材であるカバー部材を設けるだけで、部品点数を増やすことなく、また構成を複雑にすることなく、ステータ9の変形に起因する振動の低減と、コイルエンド31aの電気的絶縁と、コイルエンド31aの冷却とを図ることができる。
このインホイールモータ駆動装置はポンプ50を有し、このポンプ50から吐出される冷却油を電動モータ1の内部および減速機2の内部で循環させる。このため、外部に配管を設置する必要がなく、小型化、軽量化が可能である。また、ポンプ50がステータ9およびロータ10に対してモータ軸心方向となる位置に配置されているため、径方向寸法を大きくすることなく、ポンプ一体型のインホイールモータ駆動装置を構成することができる。
モータ冷却用油路54を通ってモータハウジング8の内部空間に供給される冷却油が、コイルエンド31aの冷却と軸受11,12の潤滑とを兼ねているため、コイルエンド冷却用の給油系統と軸受潤滑用の給油系統を統合することができ、給油系統が簡略である。隙間73,83への導油路78,88となる軸方向溝78a,88aおよび径方向溝78b,88bがカバー部材35,36に設けられているため、モータハウジング8の内径面に冷却油を案内するための溝等の加工をせずに済む。
インボード側のカバー部材35は、フランジ部71に設けられた筒状部材75の貫通孔75aに挿通された取付具34により、ステータコア30と共にモータハウジング8に取り付けられる。また、アウトボード側のカバー部材36は、フランジ部81がモータハウジング8とステータコア30とに挟み込まれることにより、モータハウジング1およびステータコア30に対して取り付けられる。このようにカバー部材35,36を取り付けることにより、カバー部材35,36を取り付けるための部品点数を減らすことができる。
上記実施形態の電動モータ1は、車輪用軸受5および減速機2と共にインホイールモータ駆動装置として構成されているが、この発明は単体の電動モータにも適用できる。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…電動モータ
2…減速機
5…車輪用軸受
6…回転軸
8…モータハウジング
9…ステータ
10…ロータ
11,12…軸受
30…ステータコア
31…ステータコイル
31a…コイルエンド
34…取付具
35…インボード側のカバー部材
36…アウトボード側のカバー部材
50…ポンプ
52…冷却用油路
56…径方向油路部
57…軸方向油路部
58…連通油路部
59…冷却油供給口
70…コイルエンド絶縁部
71…フランジ部
72…フローティング支持部
73…隙間
74…環状溝
75…筒状部材
75a…貫通孔
76…弾性部材嵌合溝
77…弾性部材
78a…軸方向溝
78b…径方向溝
80…コイルエンド絶縁部
81…フランジ部
82…フローティング支持部
83…隙間
84…環状溝
85…取付具挿通孔
86…弾性部材嵌合溝
88a…軸方向溝
88b…径方向溝
O…モータ軸心

Claims (13)

  1. ステータコアおよびステータコイルを有するステータと、このステータが取り付けられるハウジングと、複数の軸受を介して前記ハウジングに回転自在に支持された回転軸と、この回転軸に一体に設けられたロータと、冷却油を吐出するポンプと、このポンプから吐出される冷却油を前記ステータ、前記回転軸、および前記ロータが収容された前記ハウジングの内部空間に案内する冷却用油路とを備えた電動モータにおいて、
    前記ステータコアの外径面と前記ハウジングの内径面との間に介在し、前記ハウジングに対し前記ステータコアをフローティング支持するフローティング支持部と、前記ステータコイルにおける前記ステータコアに対しモータ軸心方向に外れた部分であるコイルエンドと前記ハウジングとを電気的に絶縁するコイルエンド絶縁部とを有するカバー部材が設けられていることを特徴とする電動モータ。
  2. 請求項1に記載の電動モータにおいて、前記カバー部材の前記コイルエンド絶縁部と前記コイルエンドとの間に隙間が形成され、前記冷却用油路を通って前記ハウジングの内部空間に案内された冷却油が前記隙間に案内される電動モータ。
  3. 請求項2に記載の電動モータにおいて、前記カバー部材は、前記ステータコアの軸方向端面に当接するフランジ部を有し、前記カバー部材の前記フローティング支持部の内径面に、前記冷却用油路を通って前記ハウジングの内部空間に案内された冷却油を軸方向に案内する軸方向溝が設けられ、かつ前記フランジ部における前記ステータコアの軸方向端面に対向する面に、一端が前記軸方向溝に繋がり他端が前記隙間に繋がる径方向溝が設けられた電動モータ。
  4. 請求項3に記載の電動モータにおいて、前記モータ軸心が水平である状態で、前記軸方向溝はモータ軸心よりも上方に位置する電動モータ。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記カバー部材における前記コイルエンドと対向する面に環状溝が設けられている電動モータ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記冷却用油路を通って前記ハウジングの内部空間に案内された冷却油は、前記コイルエンドの冷却と前記軸受の潤滑とを兼ねる電動モータ。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記冷却用油路は、前記ポンプからモータ軸心に対する外径方向に延びる径方向油路部と、この径方向油路部に続いてモータ軸心方向に延びる軸方向油路部と、この軸方向油路部と前記ハウジングの内径面に開口する冷却油供給口とを連通する連通油路部とを有する電動モータ。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記カバー部材は、耐熱性および耐油性を有する樹脂材からなる電動モータ。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記カバー部材の前記フローティング支持部は外径面に環状の弾性部材嵌合溝を有し、この弾性部材嵌合溝に、前記ハウジングの内径面に接触する弾性部材が嵌合した電動モータ。
  10. 請求項9に記載の電動モータにおいて、前記弾性部材は、耐熱性および耐油性を有する材料からなる電動モータ。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記カバー部材は、前記ステータコアの軸方向端面に当接するフランジ部を有し、このフランジ部に軸方向の貫通孔を有する金属製の筒状部材が設けられ、この筒状部材の前記貫通孔に挿通された取付具により、前記ステータと共に前記ハウジングに取り付けられる電動モータ。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記カバー部材は、前記ステータコアの軸方向端面に当接するフランジ部を有し、このフランジ部が前記ハウジングと前記ステータコアとに挟まれることにより、前記ステータと共に前記ハウジングに固定される電動モータ。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、車輪用軸受および減速機と共にインホイールモータ駆動装置を構成する電動モータ。
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