JP2018037829A - 振動子、圧電アクチュエーター、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置および振動子の製造方法 - Google Patents

振動子、圧電アクチュエーター、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置および振動子の製造方法 Download PDF

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晃雄 小西
Akio Konishi
晃雄 小西
喜一 梶野
Kiichi Kajino
喜一 梶野
幸一郎 露木
Koichiro Tsuyuki
幸一郎 露木
豊 荒川
Yutaka Arakawa
豊 荒川
古谷 昇
Noboru Furuya
昇 古谷
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Abstract

【課題】振動効率の低下を低減することのできる振動子、圧電アクチュエーター、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置および振動子の製造方法を提供する。【解決手段】振動子は、振動板と、前記振動板の第1の面に配置されている配線と、前記振動板の前記第1の面側に配置され、圧電体、および前記圧電体の前記振動板側に配置されていて、前記配線と電気的に接続されている電極を備えている圧電素子と、を有し、前記振動板の前記第1の面に垂直な方向から見た平面視で、前記圧電体の、前記電極とは重ならずかつ前記配線とは重なる領域の少なくとも一部には、凹部が設けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、振動子、圧電アクチュエーター、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置および振動子の製造方法に関するものである。
従来から、圧電アクチュエーターとして、例えば、特許文献1に記載の構成が知られている。特許文献1の圧電アクチュエーターは、振動板と、振動板に配置された圧電素子と、を有し、通電により圧電素子を振動させることで、振動板を振動させるように構成されている。
特開2011−714883号公報
このような特許文献1の圧電アクチュエーターでは、リード線を用いて圧電素子が有する電極の引出しを行っている。これに対して、例えば、振動板に配置された配線を介して圧電素子が有する電極の引出しを行うことも可能である。しかしながら、振動板に配置された配線を介して電極の引出しを行う場合、例えば、圧電素子の非振動領域(圧電体が2つの電極で挟まれていない領域)と重なるように配線が配置されることで、非振動領域と配線との間で電流が流れてしまい、圧電アクチュエーターの振動効率が低下するという問題がある。
本発明の目的は、振動効率の低下を低減することのできる振動子、圧電アクチュエーター、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置および振動子の製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の振動子は、振動板と、
前記振動板の第1の面に配置されている配線と、
前記振動板の前記第1の面側に配置され、圧電体、および前記圧電体の前記振動板側に配置されていて、前記配線と電気的に接続されている電極を備えている圧電素子と、を有し、
前記振動板の前記第1の面に垂直な方向から見た平面視で、前記圧電体の、前記電極とは重ならずかつ前記配線とは重なる領域の少なくとも一部には、凹部が設けられていることを特徴とする。
これにより、圧電体に凹部が形成されているため、圧電体の非振動領域(圧電体が電極と重ならない領域)と配線とが接触し難くなり、これらの間で電流が流れ難くなる。そのため、振動効率の低下を低減することのできる振動子が得られる。
本発明の振動子では、前記凹部は、底面に凹凸を有することが好ましい。
これにより、仮に、圧電体の非振動領域と配線とが接触してしまっても、その接触面積を小さく抑えることができるため、振動効率の低下を低減することができる。
本発明の振動子では、前記圧電体の前記領域には、前記凹部が複数配置されていることが好ましい。
このように、凹部を複数配置しても、振動効率の低下を低減することができる。
本発明の振動子では、前記振動板は、シリコンを含んでいることが好ましい。
これにより、振動板の構成が簡単となる。
本発明の振動子では、前記電極の前記振動板側の面の表面粗さは、前記振動板の前記圧電素子側の面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。
これにより、電極と配線とを接触させ易くなる。
本発明の圧電アクチュエーターは、本発明の振動子と、
前記振動子に配置されている凸部と、を有することを特徴とする。
これにより、駆動効率の高い圧電アクチュエーターが得られる。
本発明の圧電モーターは、本発明の振動子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い圧電モーターが得られる。
本発明のロボットは、本発明の振動子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高いロボットが得られる。
本発明の電子部品搬送装置は、本発明の振動子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子部品搬送装置が得られる。
本発明の振動子の製造方法は、板状の圧電体と、前記圧電体の第1の面に配置されている電極と、を有する圧電素子を準備し、前記圧電素子の前記第1の面に垂直な方向から見た平面視で、前記圧電体の前記電極とは重ならない領域の少なくとも一部に、凹部を形成する工程と、
第2の面に配線が配置されている振動板を準備し、前記振動板の厚さ方向から見た平面視で、前記振動板と前記圧電素子とを、前記圧電体の前記第1の面と前記振動板の前記第2の面とが対向するように、かつ、前記凹部が前記配線の少なくとも一部と重なるように接合する工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、振動効率の低下を低減することのできる振動子が得られる。
本発明の第1実施形態に係る圧電モーターの全体構成を示す概略図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1に示す振動子が有する基板の平面図である。 図1に示す振動子が有する圧電素子の平面図(上面図)である。 図1に示す振動子が有する圧電素子の平面図(透過図)である。 図2の一部を拡大した断面図である。 図1に示す圧電モーターの駆動を説明する概略図である。 図1に示す圧電アクチュエーターの製造方法を示すフローチャートである。 図1に示す圧電アクチュエーターの製造方法を示す断面図である。 図1に示す圧電アクチュエーターの製造方法を示す断面図である。 図1に示す圧電アクチュエーターの製造方法を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエーターの断面図である。 本発明の第3実施形態に係る圧電アクチュエーターの断面図である。 本発明の第4実施形態に係る圧電アクチュエーターの断面図である。 本発明の第5実施形態に係る圧電アクチュエーターの斜視図である。 本発明の第6実施形態に係るロボットの斜視図である。 本発明の第7実施形態に係る電子部品搬送装置の斜視図である。 図17に示す電子部品搬送装置が有する電子部品保持部の斜視図である。
以下、本発明の振動子、圧電アクチュエーター、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置および振動子の製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る圧電モーターについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧電モーターの全体構成を示す概略図である。図2は、図1中のA−A線断面図である。図3は、図1に示す振動子が有する基板の平面図である。図4は、図1に示す振動子が有する圧電素子の平面図(上面図)である。図5は、図1に示す振動子が有する圧電素子の平面図(透過図)である。図6は、図2の一部を拡大した断面図である。図7は、図1に示す圧電モーターの駆動を説明する概略図である。図8は、図1に示す圧電アクチュエーターの製造方法を示すフローチャートである。図9ないし図11は、それぞれ、図1に示す圧電アクチュエーターの製造方法を示す断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の紙面手前側を「上」とも言い、図1中の紙面奥側を「下」とも言う。
図1に示す圧電モーター200(超音波モーター)は、回動軸Oまわりに回転可能な被駆動部(従動部)としてのローター210と、ローター210の外周面211に当接する圧電アクチュエーター100(振動子1)と、を有している。このような圧電モーター200では、圧電アクチュエーター100を駆動(振動)させることで、ローター210を回動軸Oまわりに回転させることができる。なお、圧電モーター200の構成としては図1の構成に限定されない。例えば、本実施形態では、被駆動部として回転移動するローター210を用いているが、被駆動部として直線移動するものを用いてもよい。
また、圧電アクチュエーター100は、振動子1と、振動子1に配置されている凸部110と、を有している。
図2に示すように、振動子1は、振動板21と、振動板21の上面(第1の面)に配置されている配線3と、振動板21の上面(第1の面)側に配置され、圧電体42、および圧電体42の下側(振動板21側)に配置されていて、配線3と電気的に接続されている電極43を備えている圧電素子4と、を有し、振動板21の上面に垂直な方向から見た平面視で、圧電体42の、電極43とは重ならずかつ配線3とは重なる領域の少なくとも一部には、凹部423が設けられている。このような構成によれば、圧電体42の非振動領域422(圧電体42が電極43と重ならない領域)と配線3との間のギャップGを、凹部423が無い場合と比較して大きくすることができ、非振動領域422と配線3とが接触し難くなり、これらの間に電流が流れ難くなる。そのため、振動バランスの低下および振動効率の低下が低減された振動子1となる。以下、このような振動子1を備える圧電アクチュエーター100について詳細に説明する。
図2に示すように、圧電アクチュエーター100は、配線3が配置されている基板2と、基板2に配置されている圧電素子4と、基板2と圧電素子4とを接合している接着剤5と、を有している。基板2は、図3に示すように、振動板21と、固定部22と、振動板21と固定部22とを接続する1対の接続部23と、振動板21に配置され、ローター210に接触する凸部110(接触部)と、を有している。このような構成では、図示していないが、固定部22において、圧電アクチュエーター100が対象物に固定される。また、以下では、説明の便宜上、圧電アクチュエーター100の凸部110側を先端側とし、反対側を基端側とする。
図3に示すように、振動板21は、振動板21の厚さ方向から見た平面視で、略長方形状をなしている。また、固定部22は、振動板21の基端側を囲むようにU字形状となっている。また、接続部23は、振動板21の幅方向両側に位置し、振動板21を両持ち支持するようにして振動板21と固定部22とを接続している。また、接続部23は、振動板21が変形する際の節となる部分に配置されている(図7参照)。また、凸部110は、振動板21の先端部に接続されており、振動板21から先端側へ突出すると共に、その先端面がローター210の外周面211に接触している(図1参照)。このような凸部110を有することで、ローター210に振動板21の振動を効率的に伝達することができる。また、振動板21とローター210の接触を防止でき、振動板21の破損の可能性を低減することができる。なお、振動板21、固定部22、接続部23および凸部110の形状や配置としては、その機能を発揮することができる限り、特に限定されない。
このような基板2は、シリコン基板(半導体基板)から形成されている。すなわち、振動板21は、シリコンを含んでいる。このような構成とすることで、基板2(振動板21)の構成が簡単となる。また、例えば、半導体プロセスを用いて振動板21上に圧電素子4を形成することができるため、圧電アクチュエーター100の製造が容易となる。なお、図示しないが、基板2の表面には絶縁層が設けられている。例えば、基板2としてシリコン基板を用いる場合、絶縁層は、シリコン基板の表面を熱酸化して形成した酸化シリコン層で構成することができる。
図1に示すように、圧電素子4は、5つの圧電素子4a、4b、4c、4d、4eを含んでいる。圧電素子4eは、振動板21の幅方向の中央部において、振動板21の長手方向に沿って配置されている。この圧電素子4eに対して振動板21の幅方向の一方側には圧電素子4a、4bが振動板21の長手方向に沿って配置され、他方側には圧電素子4c、4dが振動板21の長手方向に沿って配置されている。
このように配置された5つの圧電素子4a、4b、4c、4d、4eは、図4および図5に示すように、それぞれ、板状の圧電体42と、圧電体42の下面(基板2側の面)に配置された電極43と、圧電体42の上面(基板2と反対側の面)に配置された電極41と、を有している。なお、図4は、圧電素子4を電極41側から見た平面図であり、図5は、圧電素子4を電極41側から見た透過図である。
電極41は、圧電素子4a、4b、4c、4d、4eに共通して設けられた共通電極である。一方、電極43は、圧電素子4a、4b、4c、4d、4eごとに個別に設けられた個別電極である。また、圧電体42は、圧電素子4a、4b、4c、4d、4eに共通して一体的に設けられている。なお、圧電体42は、圧電素子4a、4b、4c、4d、4eごとに個別に設けられていてもよい。また、本実施形態とは逆に、電極41が圧電素子4a、4b、4c、4d、4eごとに個別に設けられ、電極43が圧電素子4a、4b、4c、4d、4eに共通して設けられていてもよい。
電極41、43の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)等の金属材料や、チタン(Ti)/タングステン(W)、アルミニウム(Al)/銅(Cu)等の合金材料が用いられる。また、電極41、43は、それぞれ、蒸着、スパッタリング、めっき等により形成することができる。
圧電体42は、振動板21の厚さ方向に沿った方向の電界が印加されることにより振動板21の長手方向に沿った方向に伸縮する。圧電体42の構成材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の圧電セラミックスを用いることができる。圧電セラミックスで構成された圧電体42は、例えば、バルク材料から形成してもよいし、ゾル−ゲル法やスパッタリング法を用いて形成してもよい。なお、圧電体42の構成材料としては、上述した圧電セラミックスの他にも、ポリフッ化ビニリデン、水晶等を用いてもよい。
圧電体42では、電極41、43で挟まれた領域が通電により伸縮する振動領域421となる。一方、それ以外の領域、すなわち電極41、43で挟まれていない領域が通電によっても実質的に伸縮しない非振動領域422となる。なお、非振動領域422は、圧電体42の厚さ方向から見た平面視で、電極43と重なっていない領域(言い換えると、電極43からずれている領域)と言う事もできる。
ここで、圧電体42の更なる詳細な説明に先立って、一旦、基板2に配置された配線3について説明する。図3に示すように、配線3は、6本の配線31、32、33、34、35、36を含んでいる。このうち、配線31は、圧電素子4aの電極43と電気的に接続され、配線32は、圧電素子4bの電極43と電気的に接続され、配線33は、圧電素子4cの電極43と電気的に接続され、配線34は、圧電素子4dの電極43と電気的に接続され、配線35は、圧電素子4eの電極43と電気的に接続されている。また、配線36は、電極41と電気的に接続されている。
配線31、32、33、34、35は、それぞれ、接続部23を介して振動板21と固定部22とに跨って配置されており、振動板21上にて電極43と重なり合って接触することで、電極43と電気的に接続されている。また、配線31、32、33、34、35は、例えば、引き回しの都合上、その一部が圧電体42の非振動領域422と重なって配置されている。また、配線36は、固定部22に配置されており、例えば、リード線を介して電極41と電気的に接続されている。ただし、配線36は、接続部23を介して振動板21と固定部22とに跨って配置されていてもよく、この場合は、例えば、圧電体42を貫通して形成されているビア(貫通電極)を介して電極41と電気的に接続されていてもよい。
このような電極41、43の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)等の金属材料や、チタン(Ti)/タングステン(W)、アルミニウム(Al)/銅(Cu)等の合金材料が用いられる。また、電極41、43は、それぞれ、蒸着、スパッタリング、めっき等により形成することができる。
以上、配線3について説明した。次に、圧電体42の説明に戻って、圧電体42の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、振動板21の厚さ方向から見た平面視で、圧電体42の非振動領域422(電極43とは重ならない領域)には、下面(振動板21側の面)に開口する凹部423が形成されている。このような凹部423を形成することで、非振動領域422と配線3との間のギャップGを、凹部423が無い場合と比較して大きくすることができ、非振動領域422が配線3に接触し難くなる。そのため、非振動領域422と配線3との間に電流が流れ難くなり、非振動領域422が意図せずに振動(伸縮)してしまう(振動領域421として振る舞ってしまう)ことを抑制することができる。このように、非振動領域422の意図しない振動を抑制することで、圧電アクチュエーター100(振動子1)の振動バランスの悪化を低減することができる。また、通常、振動効率が良い領域(圧電体42の伸縮が振動板21の屈曲変形に寄与し易い領域)が振動領域421となり、振動効率の悪い領域(圧電体42の伸縮が振動板21の屈曲変形に寄与し難い領域)が非振動領域422となるように、振動領域421の配置を決定する。そのため、非振動領域422に凹部423を形成することで、振動効率の悪い領域が振動してしまうことを抑制することができ、圧電アクチュエーター100(振動子1)の振動効率の低下を低減することができる。
なお、凹部423の配置としては、振動板21の厚さ方向から見た平面視で、非振動領域422の配線3と重なる箇所の少なくとも一部に配置されていれば、特に限定されない。
凹部423の深さとしては、特に限定されないが、例えば、圧電体42の厚さの1/10以上、1/5以下であることが好ましい。これにより、非振動領域422と配線3とのギャップを、非振動領域422と配線3との接触を低減するのに十分な大きさとすることができると共に、圧電体42の非振動領域422の機械的強度の過度な低下を抑制することができる。
また、図6に示すように、凹部423は、その底面に凹凸423aを有している。このように、凹部423の底面に凹凸423aを形成することで、仮に、非振動領域422と配線3とが接触しても、その接触面積を例えば底面が平坦面である場合と比較して小さく抑えることができる。そのため、非振動領域422と配線3とが接触した場合に、非振動領域422と配線3との間に流れる電流を小さくすることができ、非振動領域422の意図しない振動を効果的に抑制することができる。すなわち、振動効率の低下を低減することができる。また、凹凸423aを有することで、圧電体42と接着剤5との接触面積が増えるため、圧電体42と接着剤5との接合強度を高めることができ、圧電アクチュエーター100の機械的強度が向上する。
また、圧電体42の厚さ方向から見た平面視で、凹部423は、その縁部が電極43の端部と重なるように配置されている。これにより、接着剤5が圧電体42と電極43との間に入り込むため、接着剤5と圧電素子4との接着強度をより高めることができる。そのため、圧電アクチュエーター100の機械的強度がより向上する。ここで、例えば、電極43をマスクとして用いて圧電体42をウェットエッチングすると、圧電体42が面方向にもエッチング(サイドエッチング)されるため、このような凹部423を容易に形成することができる。ただし、凹部423の構成としては、特に限定されず、電極43の端部と重ならないように構成されていてもよい。また、凹部423の形成方法としても特に限定されず、例えば、ドライエッチング、ダイシング(研磨、研削等)等の方法で形成してもよい。
以上のような圧電アクチュエーター100の作動の一例を説明する。ただし、圧電アクチュエーター100の作動方法は、以下の方法に限定されない。例えば、所定の周波数の駆動信号(交番電圧)を、圧電素子4a、4dと圧電素子4b、4cとの位相差が180°となり、圧電素子4a、4dと圧電素子4eとの位相差が30°となるように各圧電素子4a、4b、4c、4d、4eに印加すると、図7に示すように、各圧電素子4a、4b、4c、4d、4eがそれぞれ伸縮して振動板21がその面内方向でS字形状に屈曲変形(長手方向へ伸縮変形すると共に幅方向へ屈曲変形)し、凸部110の先端が楕円運動する。その結果、ローター210は、その回動軸Oまわりに矢印方向に回転する。なお、圧電素子4a、4dとの位相差が210°となるように圧電素子4eに駆動信号を印加すれば、ローター210を逆回転させることができる。
以上、振動子1、この振動子1を備える圧電アクチュエーター100および圧電モーター200について詳細に説明した。圧電アクチュエーター100および圧電モーター200は、振動子1を備えており、上述した振動子1の効果を享受することができるため、優れた信頼性および振動効率を発揮することができる。
次に、圧電アクチュエーター100(振動子1)の製造方法について説明する。図8に示すように、圧電アクチュエーター100(振動子1)の製造方法は、板状の圧電体42と、圧電体42の第1の面(一方の主面)に配置されている電極43と、を有する圧電素子4を準備し、圧電素子4の第1の面に垂直な方向から見た平面視で、圧電体42の電極43とは重ならない領域の少なくとも一部に、凹部423を形成する凹部形成工程と、第2の面(一方の主面)に配線3が配置されている振動板21を準備し、振動板21の厚さ方向から見た平面視で、振動板21と圧電素子4とを、圧電体42の前記第1の面と振動板21の前記第2の面とが対向するように、かつ、凹部423が配線3の少なくとも一部と重なるように接合する接合工程と、を含んでいる。以下、これら各工程について順に説明する。
[凹部形成工程]
まず、バルク材料から形成された圧電体42を準備する。次に、図9に示すように、この圧電体42の上面に電極41を形成すると共に、圧電体42の下面に電極43を形成する。電極41、43は、例えば、蒸着、スパッタリング、めっき等の成膜方法を用いて圧電体42の上下面に金属膜を成膜し、この金属膜をフォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いてパターニングすることで形成することができる。次に、図10に示すように、圧電体42の非振動領域422に下面(電極43側の面)に開口する凹部423を形成する。凹部423の形成方法は、特に限定されず、例えば、エッチング(ドライエッチング、ウェットエッチング)、ダイシング(ハーフダイシング)等を用いることができる。なお、本実施形態では、ウェットエッチングによって凹部423を形成し、その際に生じるサイドエッチングを利用して、凹部423を電極43の端部と重なるように形成している。
[接合工程]
次に、上面に配線3が配置されている基板2を準備する。なお、配線3は、例えば、蒸着、スパッタリング等の成膜方法を用いて基板2の表面に金属膜を成膜し、この金属膜をフォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いてパターニングすることで形成することができる。次に、図11に示すように、圧電素子4と基板2とを、圧電素子4の電極41が配置されている側の面と基板2の配線3が配置されている側面とを対向させて、絶縁性の接着剤5を介して接合する。これにより、配線31、32、33、34、35と電極43とが電気的に接続される。次に、例えば、ワイヤーボンディング技術を用いて、電極41と配線36とをボンディングワイヤー(リード線)を介して接続する。以上により、圧電アクチュエーター100(振動子1)が得られる。
このような製造方法によれば、比較的簡単な方法で、振動効率の低下を低減することのできる圧電アクチュエーター100(振動子1)が得られる。なお、上述した製造方法では、圧電体42に電極41、43を配置してから凹部423を形成しているが、凹部423は、電極41、43を配置する前に形成してもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエーターについて説明する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエーターの断面図である。なお、図12は、図6に対応する断面図である。
本実施形態は、圧電素子の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図12に示すように、本実施形態の圧電アクチュエーター100(振動子1)では、圧電素子4の電極43の表面は、微細な凹凸(複数の凸部)を有する粗面で構成されている。そして、電極43の表面(基板2側の面)の表面粗さRaは、振動板21の表面(圧電素子4側の面)の表面粗さRaよりも大きくなっている。これにより、電極43と配線3とを接触させ易くなる。この効果について詳細に説明すると、仮に、電極43の表面が平坦面であった場合、例えば接着剤5の塗布量が過多であった場合等には、接着剤5が配線3と電極43との間に薄膜状に残存してしまうおそれがある。そのため、配線3と電極43との電気的な接続が不十分となり、圧電体42の振動領域421に印加される電界にムラが生じて振動特性が悪化したり、電気抵抗が増大してしまったりする可能性がある。これに対して、電極43の表面が粗く、微小な凹凸が形成されていれば、図12に示すように、凸部が接着剤5の薄膜を突き抜けて配線3に接触するため、電極43と配線3とをより確実に接触させることができる。また、電極43の全域にわたって均一に配線3と接触させることもできる。そのため、電気抵抗の増大を抑制することができると共に、圧電体42の振動領域421に印加される電界をより均一にすることができ、振動特性の悪化を抑制することができる。
なお、電極43の表面を粗面化する方法としては特に限定されず、例えば、表面を粗い研磨盤で研磨する方法や、表面をブラスト(サンドブラスト等)処理する方法を用いることができる。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る圧電アクチュエーターについて説明する。
図13は、本発明の第3実施形態に係る圧電アクチュエーターの断面図である。なお、図13は、図6に対応する断面図である。
本実施形態は、振動板の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図13において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図13に示すように、本実施形態の圧電アクチュエーター100(振動子1)では、圧電体42の非振動領域422には下面(基板2側の面)に開口する凹部423が複数配置されている。これにより、非振動領域422と配線3とが接触し難くなると共に、仮に、非振動領域422と配線3とが接触したとしても、その接触面積を十分に小さくすることができる。そのため、圧電アクチュエーター100の振動効率の低下を低減することができる。また、凹部423を複数配置することで、例えば、前述した第1実施形態と比較して、非振動領域422の機械的強度を高くすることができる。なお、凹部423の形状や配置は、特に限定されない。
また、本実施形態では、配線3の上面であって非振動領域422と重なる領域には微小な凹凸(複数の凹部)が形成されている。そのため、配線3の上面であって非振動領域422と重なる領域の表面粗さRaは、配線3の上面であって振動領域421と重なる領域の表面粗さRaよりも大きくなっている。これにより、非振動領域422と配線3とがさらに接触し難くなると共に、仮に、非振動領域422と配線3とが接触したとしても、その接触面積をさらに小さくすることができる。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る圧電アクチュエーターについて説明する。
図14は、本発明の第4実施形態に係る圧電アクチュエーターの断面図である。なお、図14は、図2に対応する断面図である。
本実施形態は、圧電素子の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図14において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図14に示すように、本実施形態の圧電アクチュエーター100(振動子1)では、振動板21の上面および下面のそれぞれに配線3および圧電素子4が配置されている。なお、振動板21の上面に配置されている配線3および圧電素子4と、振動板21の下面に配置されている配線3および圧電素子4は、振動板21を介して対称に配置されている。このような構成によれば、振動板21を挟むように圧電素子4が配置されているため、振動時の振動板21の厚さ方向への撓みを抑制することができる。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る圧電アクチュエーターについて説明する。
図15は、本発明の第5実施形態に係る圧電アクチュエーターの斜視図である。
本実施形態は、圧電素子の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図15において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図15に示すように、本実施形態の圧電アクチュエーター100(振動子1)は、一対の基板2を有し、一対の基板2の間に圧電素子4が配置されている。また、図示しないが、下側(電極43側)の基板2(2A)には配線31、32、33、34、35が配置されており、これら配線31、32、33、34、35は、振動板21上で電極43と接触することで、電極43と電気的に接続されている。一方、上側(電極41側)の基板2(2B)には配線36が配置されており、配線36は、振動板21上で電極41と接触することで、電極41と電気的に接続されている。
なお、一方の基板2の固定部22と他方の基板2の固定部22との間には、圧電素子4の厚さとほぼ等しい厚さの層間部材6が配置されている。
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、圧電アクチュエーター100は、本実施形態の圧電アクチュエーター100を、その厚さ方向に複数積層させた構成としてもよい。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係るロボットについて説明する。
図16は、本発明の第6実施形態に係るロボットの斜視図である。
図16に示すロボット1000は、精密機器やこれを構成する部品(対象物)の給材、除材、搬送および組立等の作業を行うことができる。ロボット1000は、6軸ロボットであり、床や天井に固定されるベース1010と、ベース1010に回動自在に連結されたアーム1020と、アーム1020に回動自在に連結されたアーム1030と、アーム1030に回動自在に連結されたアーム1040と、アーム1040に回動自在に連結されたアーム1050と、アーム1050に回動自在に連結されたアーム1060と、アーム1060に回動自在に連結されたアーム1070と、これらアーム1020、1030、1040、1050、1060、1070の駆動を制御する制御部1080と、を有している。また、アーム1070にはハンド接続部が設けられており、ハンド接続部にはロボット1000に実行させる作業に応じたエンドエフェクター1090が装着される。また、各関節部のうちの全部または一部には圧電モーター200(振動子1)が搭載されており、この圧電モーター200の駆動によって各アーム1020、1030、1040、1050、1060、1070が回動する。なお、各圧電モーター200の駆動は、制御部1080によって制御される。
このようなロボット1000は、圧電モーター200(振動子1)を備えているため、上述した振動子1の効果を享受することができ、優れた信頼性を発揮することができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る電子部品搬送装置について説明する。
図17は、本発明の第7実施形態に係る電子部品搬送装置の斜視図である。図18は、図17に示す電子部品搬送装置が有する電子部品保持部の斜視図である。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。
図17に示す電子部品搬送装置2000は、電子部品検査装置に適用されており、基台2100と、基台2100の側方に配置された支持台2200と、を有している。また、基台2100には、検査対象の電子部品Qが載置されてY軸方向に搬送される上流側ステージ2110と、検査済みの電子部品Qが載置されてY軸方向に搬送される下流側ステージ2120と、上流側ステージ2110と下流側ステージ2120との間に位置し、電子部品Qの電気的特性を検査する検査台2130と、が設けられている。なお、電子部品Qの例として、例えば、半導体、半導体ウェハー、CLDやOLED等の表示デバイス、水晶デバイス、各種センサー、インクジェットヘッド、各種MEMSデバイス等などが挙げられる。
また、支持台2200には、支持台2200に対してY軸方向に移動可能なYステージ2210が設けられており、Yステージ2210には、Yステージ2210に対してX軸方向に移動可能なXステージ2220が設けられており、Xステージ2220には、Xステージ2220に対してZ軸方向に移動可能な電子部品保持部2230が設けられている。また、図18に示すように、電子部品保持部2230は、X軸方向およびY軸方向に移動可能な微調整プレート2231と、微調整プレート2231に対してZ軸まわりに回動可能な回動部2232と、回動部2232に設けられ、電子部品Qを保持する保持部2233と、を有している。また、電子部品保持部2230には、微調整プレート2231をX軸方向に移動させるための圧電アクチュエーター100(100x)と、微調整プレート2231をY軸方向に移動させるための圧電アクチュエーター100(100y)と、回動部2232をZ軸まわりに回動させるための圧電アクチュエーター100(100θ)と、が内蔵されている。
このような電子部品搬送装置2000は、圧電アクチュエーター100(振動子1)を備えているため、上述した振動子1の効果を享受することができ、優れた信頼性を発揮することができる。
以上、本発明の振動子、圧電アクチュエーター、圧電モーター、ロボット、電子部品搬送装置および振動子の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、圧電アクチュエーターをロボットや電子部品搬送装置に適用した構成について説明したが、圧電アクチュエーターは、これら以外の各種電子デバイスに適用することができる。より具体的には、例えば、圧電アクチュエーターは、プリンターの紙送りローラーの駆動源、プリンターのインクジェットヘッドの駆動源等に適用することができる。
1…振動子、2、2A、2B…基板、21…振動板、22…固定部、23…接続部、3、31、32、33、34、35、36…配線、4、4a、4b、4c、4d、4e…圧電素子、41…電極、42…圧電体、421…振動領域、422…非振動領域、423…凹部、423a…凹凸、43…電極、5…接着剤、6…層間部材、100、100x、100y、100θ…圧電アクチュエーター、110…凸部、200…圧電モーター、210…ローター、211…外周面、1000…ロボット、1010…ベース、1020、1030、1040、1050、1060、1070…アーム、1080…制御部、1090…エンドエフェクター、2000…電子部品搬送装置、2100…基台、2110…上流側ステージ、2120…下流側ステージ、2130…検査台、2200…支持台、2210…Yステージ、2220…Xステージ、2230…電子部品保持部、2231…微調整プレート、2232…回動部、2233…保持部、G…ギャップ、O…回動軸、Q…電子部品

Claims (10)

  1. 振動板と、
    前記振動板の第1の面に配置されている配線と、
    前記振動板の前記第1の面側に配置され、圧電体、および前記圧電体の前記振動板側に配置されていて、前記配線と電気的に接続されている電極を備えている圧電素子と、を有し、
    前記振動板の前記第1の面に垂直な方向から見た平面視で、前記圧電体の、前記電極とは重ならずかつ前記配線とは重なる領域の少なくとも一部には、凹部が設けられていることを特徴とする振動子。
  2. 前記凹部は、底面に凹凸を有する請求項1に記載の振動子。
  3. 前記圧電体の前記領域には、前記凹部が複数配置されている請求項1に記載の振動子。
  4. 前記振動板は、シリコンを含んでいる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動子。
  5. 前記電極の前記振動板側の面の表面粗さは、前記振動板の前記圧電素子側の面の表面粗さよりも大きい請求項1ないし4のいずれか1項に記載の振動子。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の振動子と、
    前記振動子に配置されている凸部と、を有することを特徴とする圧電アクチュエーター。
  7. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の振動子を備えることを特徴とする圧電モーター。
  8. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の振動子を備えることを特徴とするロボット。
  9. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の振動子を備えることを特徴とする電子部品搬送装置。
  10. 板状の圧電体と、前記圧電体の第1の面に配置されている電極と、を有する圧電素子を準備し、前記圧電素子の前記第1の面に垂直な方向から見た平面視で、前記圧電体の前記電極とは重ならない領域の少なくとも一部に、凹部を形成する工程と、
    第2の面に配線が配置されている振動板を準備し、前記振動板の厚さ方向から見た平面視で、前記振動板と前記圧電素子とを、前記圧電体の前記第1の面と前記振動板の前記第2の面とが対向するように、かつ、前記凹部が前記配線の少なくとも一部と重なるように接合する工程と、を含むことを特徴とする振動子の製造方法。
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