JP2018037491A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2018037491A
JP2018037491A JP2016168294A JP2016168294A JP2018037491A JP 2018037491 A JP2018037491 A JP 2018037491A JP 2016168294 A JP2016168294 A JP 2016168294A JP 2016168294 A JP2016168294 A JP 2016168294A JP 2018037491 A JP2018037491 A JP 2018037491A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
side end
face
semiconductor laser
mode
reflectance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016168294A
Other languages
English (en)
Inventor
瀧川 信一
Shinichi Takigawa
信一 瀧川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2016168294A priority Critical patent/JP2018037491A/ja
Publication of JP2018037491A publication Critical patent/JP2018037491A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)

Abstract

【課題】ワイドストライプ構造であっても高いBPPで基本横モード発振させることができ、高ビーム品質かつ高出力の半導体レーザ素子を提供する。【解決手段】半導体レーザ素子100は、光出射側端面100aと光反射側端面100bとの間に光導波路が形成された半導体層110と、光出射側端面100aに形成された出射側端面コート膜120と、光反射側端面100bに形成された反射側端面コート膜130と、を備え、出射側端面コート膜120及びと反射側端面コート膜130の少なくとも一方は、光導波路の端面領域内で、半導体層110の積層方向と直交する方向に反射率が変化している。【選択図】図1

Description

本開示は、半導体レーザ素子に関し、特に、レーザ加工に用いられる半導体レーザ素子に関する。
レーザ加工は、レーザ光を極めて小さな領域に集めることで得られる高エネルギーを利用するものであり、レーザ光によって材料を加熱、溶融、蒸発させることで材料を切断したり溶接したりする。
レーザ加工装置としては、これまでに、COレーザ等の10μm帯のガスレーザ、YAGレーザ等の1μm帯の固体レーザ、又は、ファイバレーザを用いたものが実用化されている。近年、直接加工用半導体レーザ(DDL:Direct Diode Laser)を用いたレーザ加工装置が注目されている。
YAGレーザ及びファイバレーザは、励起源として半導体レーザを用いるが、レーザ加工装置に用いられた場合、レーザ加工に用いられるレーザ光は、固体結晶材料(Nd:YAG)又はファイバー増幅器から出射された光となる。一方、DDLを用いたレーザ加工装置では、半導体レーザ自体から出射するレーザ光をレーザ加工に用いる。
DDLは、他の加工用レーザと比べて、光学系の煩雑さが少ないことなどにより小型化及び低コスト化が図れるのみならず、半導体レーザが紫外から赤外までの発振波長を有することから、各種レーザ加工に最適な波長を選択することができる。
一般に材料の光吸収率は、短波長になるに従って高くなる。例えば、アルミニウムは、0.8μm帯に光吸収ピークを有しており、0.8μm帯の光吸収率が1μm帯の光吸収率に比べて2倍ほど大きい。また、銅及び金は、光吸収率が0.6μm付近から増加し、0.4μm帯になると1μm帯に比べて光吸収率が10倍近くも大きくなる。これらは、短波長のレーザ光を用いることで、より少ないレーザエネルギーで加工できることを示しており、省エネルギーの観点から望ましい。このため、アルミニウム加工用のレーザ加工装置には、砒化ガリウム(GaAs)系半導体レーザを用いたDDLが注目されており、また、銅及び金を加工するためのレーザ加工装置には、窒化ガリウム(GaN)系半導体レーザを用いたDDLが注目されている。
一方、DDLでは、半導体レーザのレーザ光を直接加工に用いるため、そのレーザ光のビーム品質が加工品質を左右する。半導体レーザのビーム品質は、BPP(Beam Parameter Product)で数値化される。BPPは、ビームウエストにおける拡がり角半値(ビーム強度が1/eとなる半角。eは自然対数の底。)とビームスポット半径の積で定義される。BPPは、値が小さいほどレーザ光のビーム品質が高くなる。したがって、BPPの値が小さい半導体レーザほど、レーザ加工で扱いやすい。
また、半導体レーザのBPPは、ガウスビームからの乖離度合いを示すパラメータMを用いて、以下の(式1)で表される。(式1)において、λは、半導体レーザの発振波長である。
BPP=M×λ/π・・・(式1)
半導体レーザでは、横モードが基本モードの場合、Mは最小値(およそ1)を取り、横モードが高次モードの場合、Mは大きな値(5〜10程度)を取る。したがって、BPPを向上させる(BPPを小さくさせる)ためには、半導体レーザは、基本横モードで発振することが望ましい。
一般に半導体レーザの横モードは、エピタキシャル層に垂直なfast軸の成分とエピタキシャル層に平行なslow軸の成分とに分解できる。BPPは、fast軸方向のBPP成分とslow軸方向のBPP成分との自乗和の平方根で求められる。
ほとんど全ての半導体レーザは、所謂、ダブルへテロ構造を用いて、電子/正孔と光を活性層に集中させて誘導放出を行わせることで光利得を得ている。その活性層の厚さは、高次モードカットオフ厚以下となるため、fast軸方向は基本横モード発振となり、Mはほぼ1である。一方、slow軸方向はリッジ導波路等の構造を作りこむことで光閉じ込めを行う。
ここで、光ディスク用の半導体レーザは、光出力が比較的小さく(例えば1W未満)、また、シングルスポットが要求されるため、基本横モード発振が不可欠である。このため、光ディスク用の半導体レーザでは、リッジストライプのリッジ幅は数μm程度である。
例えば、特許文献1には、リッジストライプ構造を有する光ディスク用の半導体レーザ装置が開示されている。特許文献1に開示された半導体レーザ装置では、リッジストライプのリッジ幅が変化する変化領域を形成することで、安定した基本横モード発振を実現している。
特開2009−033009号公報
しかしながら、レーザ加工用の半導体レーザは、光出力がワット級(例えば1W以上)と高いため、レーザ光の出射端面に端面破壊(COD:Catastrophic Optical Damage)が発生するおそれがある。
このため、レーザ加工用等の高出力の半導体レーザでは、CODの発生を防ぐために、リッジストライプのリッジ幅(エミッタ幅)を例えば10μm以上に大きくしたワイドストライプ構造となっている。
ワイドストライプ構造の半導体レーザでは、slow軸の横モードが基本モードだけではなく高次モードでも発振するため、slow軸のMが大きくなってBPPが悪化するという課題がある。
本開示は、ワイドストライプ構造であっても高いBPPで基本横モード発振させることができ、高ビーム品質かつ高出力の半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様は、光出射側端面と光反射側端面との間に光導波路が形成された半導体層と、前記光出射側端面に形成された出射側端面コート膜と、前記光反射側端面に形成された反射側端面コート膜と、を備え、前記出射側端面コート膜及び前記反射側端面コート膜の少なくとも一方は、前記光導波路の端面領域内で、前記半導体層の積層方向と直交する方向に反射率が変化している。
この構成により、横モードにおける高次モード(高次横モード)に対する基本モード(基本横モード)との閾値利得差を大きくすることができるので、基本横モードが選択されて、基本横モード発振させることができる。したがって、ワイドストライプ構造であっても高いBPPで基本横モード発振させることができ、高ビーム品質かつ高出力の半導体レーザ素子を実現できる。
また、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様において、前記反射率が変化しているコート膜は、前記反射側端面コート膜であるとよい。
この構成により、光出射側端面に形成される出射側端面コート膜を低反射化して高出力時の端面破壊(COD)を抑制しつつ、光反射側端面に形成される反射側端面コート膜で反射率を変化させて基本横モード発振させやすくできる。したがって、高出力動作と基本横モード動作との両立を図ることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様において、前記反射率は、基本横モードの光強度が最大となる位置で最大であるとよい。
この構成により、基本モードにおける実効的な反射率を大きくし、かつ、高次モードにおける実効的な反射率を小さくできるので、高次横モードにおける基本横モードとの閾値利得差を容易に大きくすることができる。これにより、基本横モードがさらに選択されやすくなるので、容易に基本横モード発振させることが可能となる。
また、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様において、前記反射率が変化しているコート膜は、第1の反射膜と第2の反射膜とを有し、前記第2の反射膜は、前記第1の反射膜よりも反射率が高く、かつ、前記第1の反射膜の一部に積層されているとよい。
この構成により、光導波路の端面領域内で半導体層の積層方向と直交する方向に反射率が変化するコート膜を容易に作成することができる。
また、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様において、前記第2の反射膜は、前記半導体層の積層方向に延在するとよい。
この構成により、ビームスポットの全領域にわたって、反射率が変化するコート膜の反射率の変化を感受させることができる。これにより、より基本横モード発振しやすくなる。
ワイドストライプ構造であっても高いBPPで基本横モード発振させることができ、高ビーム品質かつ高出力の半導体レーザ素子を実現できる。
実施の形態1に係る半導体レーザ素子の斜視図である。 実施の形態1に係る半導体レーザ素子における基本モード(横モード)の光分布と光反射側端面の反射率との位置関係を示す図である。 実施の形態1に係る半導体レーザ素子における1次モード(横モード)の光分布と光反射側端面の反射率との位置関係を示す図である。 実施の形態1に係る半導体レーザ素子における2次モード(横モード)の光分布と光反射側端面の反射率との位置関係を示す図である。 実施の形態1に係る半導体レーザ素子における光反射側端面の反射率のモード次数依存性を示す図である。 実施の形態1に係る半導体レーザ素子における閾値利得差のモード次数依存性を示す図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子の斜視図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子における基本モード(横モード)の光分布と反射率との位置関係を示す図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子における1次モード(横モード)の光分布と反射率との位置関係を示す図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子における2次モード(横モード)の光分布と反射率との位置関係を示す図である。 実施の形態1、2に係る半導体レーザ素子における光反射側端面の反射率のモード次数依存性を示す図である。 実施の形態1、2に係る半導体レーザ素子における閾値利得差のモード次数依存性を示す図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子の製造方法におけるリッジ部形成工程を示す部分平面図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子の製造方法における第1の反射膜形成工程を示す部分平面図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子の製造方法におけるレジスト膜形成工程を示す部分平面図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子の製造方法における第2の反射膜形成工程を示す部分平面図である。 実施の形態2に係る半導体レーザ素子の製造方法におけるフォトレジスト除去工程を示す部分平面図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態、並びに、工程(ステップ)及び工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100の斜視図である。
図1に示すように、半導体レーザ素子100は、前端面である光出射側端面100aと後端面(反射面)である光反射側端面100bとの間に光導波路が形成された半導体層110を有する。
具体的には、半導体レーザ素子100は、GaN基板からなる基板1の上に、n−AlGaNからなる第1導電型の第1クラッド層(第1の半導体層)2、アンドープGaNからなる第1ガイド層3(n側ガイド層)、アンドープInGaNからなる多重量子井戸構造の活性層4(発光層)、アンドープGaNからなる第2ガイド層5(p側ガイド層)、p−AlGaNからなる第2導電型の電子オーバーフロー抑制層6、p−AlGaNからなる第2導電型の第2クラッド層7、及び、p−GaNからなる第2導電型のコンタクト層8が順次形成された積層構造の半導体層110を有する。なお、本実施の形態において、第1導電型はn型であり、第2導電型はp型である。
半導体レーザ素子100の中央部には、レーザ共振器長方向に延在する突条のリッジ部(リッジストライプ)9が形成されている。つまり、リッジ部9のストライプ方向(長手方向)は、レーザ共振器長方向である。リッジ部9は、第2クラッド層7に形成されており、半導体層110の主たる光導波路を構成する。リッジ部9の幅(リッジ幅)は、例えば15μmであるが、これに限るものではない。コンタクト層8は、第2クラッド層7のリッジ部9の上面に形成されている。
図示しないが、コンタクト層8の上にはp側電極及びパッド電極が形成され、基板1の裏面にはn側電極が形成される。p側電極及びn側電極に電圧を印加することで、活性層4に電流が注入されて、半導体レーザ素子100の光出射側端面100aからレーザ光が出射する。
半導体レーザ素子100のレーザ光の発振波長は、例えば405nmである。また、半導体レーザ素子100を導波する光が感受する有効屈折率は、各層の厚み及び材料組成などによって決まる。本実施の形態において、リッジ部9内の有効屈折率は2.53で、リッジ部9外の有効屈折率は2.525である。
また、半導体レーザ素子100の光出射側端面100a(前端面)には、端面コート膜として出射側端面コート膜120が形成されている。出射側端面コート膜120は、半導体層110の前端面側の面に接するように形成されている。出射側端面コート膜120は、例えば、屈折率1.47のSiOを光学長λ/4(=405nm/4/1.47=68.9nm)で形成することにより構成されており、その反射率は約0.6%である。このように、出射側端面コート膜120は、反射率が低い低反射膜である。このような出射側端面コート膜120を光出射側端面100aに形成することによって、前端面側が低反射率となり、高出力のレーザ光が得られる。
一方、半導体レーザ素子100の光反射側端面100b(後端面)には、端面コート膜として反射側端面コート膜130が形成されている。反射側端面コート膜130は、半導体層110の光導波路の端面領域内で、半導体層110の積層方向に直交する方向に反射率が変化している。本実施の形態において、反射側端面コート膜130は、第1の反射膜131と第2の反射膜132とを有している。
第1の反射膜131は、半導体層110の後端面側の面に接するように形成されている。第1の反射膜131は、出射側端面コート膜120と同様に、屈折率1.47のSiOを光学長λ/4(=405nm/4/1.47=68.9nm)で形成することにより構成されており、その反射率は約0.6%である。つまり、第1の反射膜131は、低反射膜である。
第2の反射膜132は、第1の反射膜131に接するように形成されている。第2の反射膜132は、第1の反射膜131よりも反射率が高い高反射膜である。また、第2の反射膜132は、第1の反射膜131の一部に積層されている。つまり、反射側端面コート膜130は、低反射率の第1の反射膜131の一部に、更に高反射率の第2の反射膜132が追加された構造である。
本実施の形態において、第2の反射膜132は、半導体層110のリッジ幅方向の中央部に形成されている。また、第2の反射膜132は、リッジ部9の中央に対して対称に形成されている。
第2の反射膜132は、一定の幅Wで半導体層110の積層方向に延在するように形成されている。具体的には、第2の反射膜132は、リッジ部9のリッジ幅よりも狭い幅Wで、基板1の下面からコンタクト層8の上面にわたって長尺矩形状に形成されている。第2の反射膜132の幅Wは、例えば6μmである。
本実施の形態において、第2の反射膜132は、ZrO層→SiO層→ZrO層→・・・→SiO層→ZrO層のようにZrO層及びSiO層が交互に7層積層された構造である。ここで、ZrO層及びSiO層の各層の光学長はλ/4である。例えば、ZrOの屈折率は2.27であるので、ZrO層の厚みは405nm/4/2.27=44.6nmとなる。これにより、第2の反射膜132の反射率は約95.3%となる。この結果、反射側端面コート膜130には、反射率が0.6%の低反射領域と反射率が95.3%の高反射領域が存在することになる。つまり、反射側端面コート膜130は、反射率が異なる2つの領域を有する。
このように、本実施の形態における反射側端面コート膜130は、リッジ部9のリッジ幅方向に沿って反射率が0.6%→95.3%→0.6%と変化している。なお、第2の反射膜132は、少なくとも基板1と半導体層110(エピタキシャル層)との界面からリッジ部9の上面又はその近傍にまで形成されているとよい。このようにすることで、ビームスポットの全領域にわたって第2の反射膜132の反射率変化を感受させることが可能になる。
本実施の形態における半導体レーザ素子100の構造では、slow軸の横モードは、基本モード(0次モード)から11次モードまで存在しうる。
ここで、半導体レーザ素子100における横モードの光分布(電力分布)と光反射側端面100bの反射率(つまり、反射側端面コート膜130の反射率)との関係を図2A〜図2Cに示す。図2A〜図2Cにおいて、横軸の座標(位置)は、リッジ部9の中央を原点(ゼロ)としている。また、第1縦軸のE^2は、電界(Electric Field(E))を自乗していることを示している。また、反射側端面コート膜130は上述のものであり、反射側端面コート膜130には、低反射領域(反射率0.6%)と高反射領域(反射率95.3%)が存在する。なお、反射側端面コート膜130の第2の反射膜132の幅Wは6μmとしている。
図2Aは、半導体レーザ素子100における横モードの基本モード(基本横モード)についての光分布と光反射側端面100bの反射率との位置関係を示している。図2Aに示すように、反射側端面コート膜130の反射率は、基本横モードの光強度が最大となる位置で最大となっている。具体的には、光分布のピーク位置に、反射側端面コート膜130の高反射領域が対応している。これにより、基本横モードにおいては、反射側端面コート膜130の高反射領域と光分布領域との重なり領域を大きくすることができる。したがって、基本モードの光の反射を強くすることができる。
図2Bは、半導体レーザ素子100における横モードの1次モードについての光分布と光反射側端面100bの反射率との位置関係を示している。図2Bに示すように、1次モードでは、反射側端面コート膜130の反射率は、光強度が最小となる位置で最大となっており、また、光強度が最大となる位置で最小となっている。具体的には、光分布の2つのピーク位置に、反射側端面コート膜130の低反射領域が対応している。これにより、1次モードにおいては、反射側端面コート膜130の高反射領域と光分布領域との重なり領域を小さくできる。したがって、1次モードの光の反射を弱くすることができる。
図2Cは、半導体レーザ素子100における横モードの2次モードについての光分布と光反射側端面100bの反射率との位置関係を示している。2次モードでは、光分布の3つのピークのうちの1つのピーク位置には、反射側端面コート膜130の高反射領域が対応しているが、残りの2つのピーク位置には、反射側端面コート膜130の低反射領域が対応している。これにより、2次モードにおいては、反射側端面コート膜130の高反射領域と光分布領域との重なり領域を相対的に小さくできる。したがって、2次モードの光の反射を弱くすることができる。
このように、図2A〜図2Cから分かるように、反射率が変化するコート膜として反射側端面コート膜130を光反射側端面100b(後端面)に形成することで、基本横モードを選択することができる。つまり、基本横モードでレーザ発振させることができる。
なお、本実施の形態では、反射率が変化するコート膜を光反射側端面100b(後端面)に形成したが、反射率が変化するコート膜を光出射側端面100a(前端面)に形成してもよい。また、反射率が変化するコート膜は、光出射側端面100a及び光反射側端面100bの少なくとも一方に形成されていればよい。
次に、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100の作用効果について、本開示に至った経緯を含めて説明する。
レーザ加工用等の高出力の半導体レーザ素子では、CODの発生を防ぐためにリッジ幅が広いワイドストライプ構造が採用される。ワイドストライプ構造の半導体レーザ素子では、slow軸の横モードが基本モード(0次モード)だけではなく1次モード以上の高次モードでも発振するため、BPPの悪化によりビーム品質が低下する。そこで、slow軸を基本横モード発振させる構造を半導体にレーザ素子に作り込むことが重要となる。
リッジ幅が広いワイドストライプ構造の半導体レーザ素子であるにもかかわらず、slow軸を基本横モード発振させるには、高次の各モードに対して基本モードとの閾値利得差を付与すればよい。
一般に、m次横モードにおける、光損失、前端面の反射率(前面反射率)、後端面の反射率(後面反射率)を、α、Rfm、Rrmとすると、閾値利得gは、以下の(式2)で表すことができる。
=α+(1/2L)ln(1/Rfmrm)・・・(式2)
ここで、Lは、半導体レーザ素子の共振器長であり、モード次数に依存しない。したがって、高次のm次モードと基本モード(0次モード)との閾値利得差Δgmは、以下の(式3)で表すことができる。
Δg=(α−α)+(1/2L)ln(Rf0r0/Rfmrm)・・・(式3)
この閾値利得差Δgが大きいほど、基本横モード発振しやすくなる。特に、α=αの場合、上記の(式3)は、以下の(式4)となる。
Δg=(1/2L)ln(Rf0r0/Rfmrm)・・・(式4)
したがって、各横モードの前端面又は/及び後端面の反射率を変えることで、閾値利得差Δgを調整することができ、横モードの制御を行うことができる。
従来、各横モードの前端面又は後端面の反射率を変える方法の一つとして、半導体レーザ素子の端面を凹面にすることが提案されている(例えば、特開平2−110988号公報)。この方法によれば、0次モードである基本横モードでは、光の拡がりが小さく、凹面の中央付近に入射して反射されるため、反射損失が小さい。一方、高次横モードでは、光の拡がりが大きく、凹面の外側部分に入射して反射されるため、反射損失が大きい。この結果、基本横モードが選択されて、基本横モード発振させることが可能となる。
しかしながら、このような方法では、半導体レーザ素子の端面を凹面に加工しなければならない。この場合、上記文献に記載されているように、リアクティブイオンビームエッチングによって端面を凹面に加工できるが、このような方法は、一般には、劈開で端面を形成する方法と比べて、反射面となる端面(凹面)に光学的な影響を受ける微小な凹凸が存在してしまうため、散乱損失が発生し、閾値の増加やスロープ効率の低下を招くことになる。
本開示の技術は、このような知見に基づいてなされたものであり、本願発明者らは、鋭意検討した結果、端面を凹面にすることなく各横モードの端面の反射率を変える手段を見出した。
具体的には、光導波路の端面領域内で半導体層110の積層方向と直交する方向に反射率が変化するコート膜を、光出射側端面100a及び光反射側端面100bの少なくとも一方に形成することで、各横モードの端面の反射率を変えることができることを見出した。
ここで、反射面における、あるm次横モードの近視野像の光分布をI(x)とし、反射率の変化をR(x)とすると、このm次横モードが感受する実効的な反射率Reffmは、以下の(式5)で表すことができる。
Reffm=∫R(x)I(x)dx/∫I(x)・・・(式5)
(式5)において、xは、slow軸方向(=半導体層110の積層方向及びリッジ部9のストライプ方向の両方と直交する方向)における位置を示しており、また、積分範囲は−∞〜+∞である。
(式5)から分かるように、反射率の変化R(x)を適切に設定することにより、基本横モードに比べて高次横モードの反射率を大きくすることができる。つまり、光出射側端面100a及び光反射側端面100bの少なくとも一方に形成するコート膜の反射率の変化を適切に設定することで、基本横モードに比べて高次横モードの反射率を大きくすることができる。
これにより、基本横モードと高次横モードとの反射率の差を大きくすることができるので、基本横モードの閾値利得を下げることができる。この結果、上記の(式4)にしたがって、閾値利得差Δgを大きくすることができる。したがって、基本横モードが選択されて、基本横モードでレーザ発振させることが可能となる。
以上、本実施の形態における半導体レーザ素子100によれば、slow軸方向の横モードの各高次モードに閾値利得差を付与することで基本横モードが選択され、基本横モード発振させることができる。したがって、ワイドストライプ構造であっても高いBPPで基本横モード発振させることができ、高ビーム品質かつ高出力の半導体レーザ素子を実現できる。これにより、高性能レーザ加工装置を実現することができる。
さらに、本開示の技術によれば、上記文献のように、半導体レーザ素子の端面を凹面に加工する必要がなく、半導体レーザ素子の端面は、劈開面のままでよい。したがって、散乱損失が発生せず、閾値の増加やスロープ効率の低下を招くこともない。
また、本実施の形態における半導体レーザ素子100では、反射率が変化しているコート膜を反射側端面コート膜130とし、光反射側端面100bに形成している。この構成による作用効果について、以下説明する。
上述のとおり、反射率を変化させることで横モードのモード次数の選択を与えるコート膜は、半導体レーザ素子の光出射側端面及び光反射側端面のどちらに形成してもよい。つまり、反射率が変化するコート膜は、出射側端面コート膜及び反射側端面コート膜のどちらに適用してもよい。
しかしながら、一般には、光出射側端面に形成される出射側端面コート膜は高出力時の端面破壊(COD)を防ぐため、低反射率化される。このため、反射率が変化するコート膜を光出射側端面に形成された出射側端面コート膜に適用すると、基本横モードの光出射側端面での反射率が高くなってしまい、高出力時の端面破壊(COD)が発生しやすくなる。
そこで、本実施の形態における半導体レーザ素子100のように、反射率が変化するコート膜を光反射側端面100bに形成された反射側端面コート膜130に適用し、反射側端面コート膜130に反射率の変化を持たせることによって、高出力動作と基本横モード動作との両立を図ることが可能になる。
この場合、Rf0=Rfmになるので、上記の(式4)は、以下の(式6)となる。
Δg=(1/2L)ln(Rr0/Rrm)・・・(式6)
具体的には、本実施の形態における半導体レーザ素子100では、反射側端面コート膜130として、反射率が約0.6%の第1の反射膜131と反射率が約95.3%の第2の反射膜132との積層膜を用いている。これにより、横モードにおける基本モードから2次モードまで光分布と光反射側端面100bの反射率とは、上述のように、図2A〜図2Cに示されるような関係になる。
図2Aに示される基本モードでは、光分布のピーク位置に反射側端面コート膜130の高反射領域が対応しているので、基本モードの光が光反射側端面100bで受ける実効的な反射率は67%である。この場合、光反射側端面100bにおける共振器損失は、(1/2L)ln(1/Rr0)=1.98cm−1となる。
また、図2Bに示される1次モードでは、光分布の2つのピーク位置付近に反射側端面コート膜130の低反射領域が対応しているので、1次モードの光の反射が弱くなり、実効的な反射率は26.3%にまで低下する。この場合、光反射側端面100bにおける共振器損失は、(1/2L)ln(1/Rr1)=6.68cm−1となる。
また、図2Cに示される2次モードでは、光分布の3つのピークのうち、1つは反射側端面コート膜130の高反射領域に対応しているが、残りの二つは、低反射領域に対応しているので、実効的な反射率は32.5%にまで低下する。この場合、光反射側端面100bにおける共振器損失は、(1/2L)ln(1/Rr2)=5.61cm−1となる。
したがって、1次モード及び2次モードにおける基本モード(0次モード)との閾値利得差Δg、Δgは、上記の(式6)から、以下の値となる。
Δg=6.68−1.98=4.7cm−1
Δg=5.61−1.98=3.6cm−1
これらの閾値利得差Δg、Δgから、本実施の形態における半導体レーザ素子100では、基本横モードが選択されて、基本横モードでレーザ発振することが分かる。
なお、本実施の形態における半導体レーザ素子100において、モード次数ごとの光反射側端面100bにおける実効的な反射率及び高次モードにおける基本モードとの閾値利得差は、反射側端面コート膜130の第2の反射膜132の幅Wによって変化する。
図3は、第2の反射膜132の幅Wを2μm〜14μmまで2μmごとに変化させたときの横モードのモード次数と光反射側端面100bの反射率(後面反射率)との関係を示している。図3に示すように、概ねモード次数が大きくなるに従って、第2の反射膜132が形成された光反射側端面100bの反射率が低下することが分かる。この結果、モード次数が大きくなるに従って、高次モードにおける基本モードとの閾値利得差が増加する。また、第2の反射膜132の幅Wが極端に小さくなると(例えばW=2μm)、基本モードの光反射側端面100bの反射率が小さくなるため、閾値電流が増えて望ましくないことも分かる。
また、図4は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子100における閾値利得差のモード次数依存性を示す。図4に示すように、第2の反射膜132の幅Wが広くなるに従って高次モードでも光反射側端面100bの反射率が高くなり、高次モードにおける基本モードとの閾値利得差が小さくなることが分かる。
さらに、図3及び図4から、第2の反射膜132の幅Wには最適値が存在することも分かる。例えば第2の反射膜132の幅Wが8μm(W=8μm)であれば、基本モードでの反射率が約80%と高くなり、かつ、高次モードにおける基本モードとの閾値利得差が2cm−1以上あるので、良好なモード次数の選択性と優れた基本横モードによるレーザ発振との両立を図ることができる。
また、本実施の形態における半導体レーザ素子100では、図2Aに示すように、反射側端面コート膜130の反射率は、基本横モードの光強度が最大となる位置で最大となっている。
この構成にすることにより、(式5)から分かるように、Reff0を大きく、かつ、Reffmを小さくすることができる。これにより、例えば、(式6)における閾値利得差Δgを大きくすることができるので、基本横モードがさらに選択されやすくなり、より容易に基本横モード発振しやすくなる。
また、本実施の形態における半導体レーザ素子100では、反射率が変化している反射側端面コート膜130は、低反射率の第1の反射膜131の一部に高反射率の第2の反射膜132が積層された構成である。
一般に、半導体レーザ素子の屈折率は2.5〜3.3程度であるため、端面の反射率は18〜29%程度もある。このため、反射率の変化R(x)の振幅を大きくするためには、低反射率の低反射膜と高反射率の高反射膜とを併用するのがよい。一般的に、低反射膜は単層のコート膜で形成されるのに対し、高反射膜は多層のコート膜で形成される。そこで、低反射膜の一部に高反射膜が積層された構成にすることにより、より構成が簡易になり反射率が変化するコート膜の作製が容易になる。
具体的には、例えば、半導体レーザ素子の端面に接する第1コート膜(第1の反射膜)の屈折率を半導体レーザ素子内の光導波路の屈折率よりも低く、かつ、その光学長をλ/4にし、その第1コート膜の上に部分的に第1コート膜よりも高い屈折率の材料を用いて光学長がλ/4の第2コート膜(第2の反射膜)を形成する構成が挙げられる。
この構成により、第1コート膜の上の部分的に形成した第2コート膜の領域にのみ、第1コート膜と第2コート膜とで達成可能な最大の反射率を有する高反射領域を形成することができる。なお、この部分的な高反射領域に、更に第1コート膜と第2コート膜(各光学長はλ/4)とを周期的に形成することで、この高反射領域の反射率をより高めることが可能である。
また、本実施の形態における半導体レーザ素子100では、第1の反射膜131の上に部分的に形成した第2の反射膜132は、半導体層110の積層方向に延在している。
半導体レーザ素子100の光出射側端面100aにおけるビームスポットは、半導体層110の積層方向に直交する方向だけでなく、平行な方向にも拡がっている。したがって、高反射膜である第2の反射膜132を、半導体層110の積層方向に沿って延びるように形成することにより、ビームスポットの全領域にわたって、反射率の変化を感受させることができる。その結果、例えば、第2の反射膜132がビームスポットの一部にしかない場合と比べて、より基本横モード発振しやすくなる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る半導体レーザ素子100Aについて、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態2に係る半導体レーザ素子100Aの斜視図である。
本実施の形態における半導体レーザ素子100Aは、上記実施の形態1における半導体レーザ素子100において、反射側端面コート膜130の第2の反射膜132が、リッジ部9の範囲内で複数に分割された構成となっている。
具体的には、図5に示すように、半導体レーザ素子100Aにおける反射側端面コート膜130Aの第2の反射膜132Aは、リッジ部9の範囲内で半導体層110の積層方向と直交する方向に分けられた複数の領域を有する。第2の反射膜132Aは、実施の形態1と同様に、少なくとも基板1と半導体層110(エピタキシャル層)との界面からリッジ部9の上面又はその近傍にまで形成されているとよい。なお、図5では、簡単にするため、第2の反射膜132Aの複数の領域は概念的に図示している。
このように、第2の反射膜132を複数の領域に分けることにより、高反射領域を変調することができ、slow軸の各次数の横モードが受ける実効的な反射率を微調整することができる。これにより、基本横モードでより安定したレーザ発振を得ることができる。以下、この点について具体的に説明する。
図1に示す半導体レーザ素子100では、第2の反射膜132が分割されておらず第2の反射膜132は一領域しかなかったので、高次モードにおいて光分布のピーク位置近傍にも高反射領域(例えば図2C)が存在する場合があり、モード次数によって基本モードとの閾値利得差に大小が生じ、閾値利得差がばらついていた。このようにモード次数によって閾値利得差に大小が生じると、温度変化や変調時に、閾値利得差が小さいモードにジャンプする場合があり、基本横モードの選択性を低下させてしまう。
これに対して、図5に示す本実施の形態における半導体レーザ素子100Aでは、第2の反射膜132Aはリッジ部9内で複数の領域に分割されているので、高次モードであっても光分布のピーク位置付近の反射率を下げることが可能となり。これにより、モード次数による閾値利得差の大小を改善することができ、閾値利得差のばらつきを抑えることができる。
具体的には、低反射膜(反射率0.6%)である第1の反射膜131に積層する高反射膜(反射率95.3%)である第2の反射膜132Aの複数の領域(高反射領域)を、|x|≦3μm、3.2μm≦|x|≦3.8μm、4.1μm≦|x|≦4.2μm、4.5μm≦|x|≦4.7μmの範囲に形成した場合、基本モード、1次モード及び2次モードの光分布(電力分布)と反射率との関係は、それぞれ、図6A、図6B及び図6Cに示す結果となる。図6A〜図6Cにおいて、横軸の座標(位置)は、図2A〜図2Cと同様に、リッジ部9の中央を原点(ゼロ)としている。また、第1縦軸のE^2は、電界(Electric Field(E))を自乗していることを示している。
図6B及び図6Cに示すように、高次モード(1次モード、2次モード)では、光分布のピーク位置の近傍に低反射領域がスリット状に複数存在する。これにより、基本モードの実効的な反射率を大きく下げることなく、高次モードの実効的な反射率を低減させることができる。
ここで、本実施の形態における半導体レーザ素子100Aのように、第2の反射膜132Aを複数の領域に分割して高反射領域を変調させた場合(実施の形態2)と、図1に示す実施の形態1における半導体レーザ素子100のように、第2の反射膜132を複数の領域に分割せずに単一の矩形領域(|x|<4μmで反射率95.3%)とした場合(実施の形態1)とについて、横モードのモード次数と光反射側端面100bの反射率(後面反射率)との関係を図7に示す。図7において、実線が実施の形態2の場合の後面反射率のモード次数依存性を示しており、破線が実施の形態1の場合を後面反射率のモード次数依存性を示している。
図7に示すように、基本モード(0次モード)の反射率については、実施の形態1、2はいずれも約80%となっている。一方、1次から11次までの高次モードの反射率については、実施の形態1の場合は、モードごとに、42%〜52%の範囲で反射率の大小があるのに対し、実施の形態2の場合は、44%〜48%の範囲に反射率が収まっていることが分かる。
また、図8は、実施の形態1、2に係る半導体レーザ素子100、100Aにおける閾値利得差のモード次数依存性を示す。
図8に示すように、高次モードにおける基本モードとの閾値利得差については、実施の形態2の場合は、実施の形態1の場合と比べてモード次数依存性が小さくなることが分かる。このように、高次モードにおける基本モードとの閾値利得差のモード次数依存性が小さくなることで、基本モードから高次モードにジャンプすることを抑制できるので、より安定したレーザ発振を得ることができる。
(半導体レーザ素子の製造方法)
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子100Aの製造方法について、図9A〜図9Eを用いて説明する。なお、以下では、反射側端面コート膜130Aの形成方法を中心に説明する。図9A〜図9Eは、実施の形態に係る半導体レーザ素子100Aにおける反射側端面コート膜130Aの形成方法を説明するための図であり、半導体レーザ素子100Aの光反射側端面100b部分を、リッジ部9の上方から見たときの部分平面図を示している。
まず、有機金属気層成長法(Metalorganic Chemical Vapor Deposition;MOCVD)を用いて、GaN基板からなる基板1(半導体基板)上に、第1クラッド層2、第1ガイド層3、活性層4、第2ガイド層5、電子オーバーフロー抑制層6、第2クラッド層7、及び、コンタクト層8の各エピタキシャル層を順次成長させて半導体層110を形成し、半導体プロセスによりリッジ部9及び電極を形成したのち、劈開を行うことで共振器端面を形成する。その後、スパッタ装置を用いて、前端面(光出射側端面100a)に、SiO(膜厚λ/4)からなる出射側端面コート膜120を形成する。
次に、図9Aに示すように、前端面と同様に、スパッタ装置を用いて、後端面(光反射側端面100b)の全体にSiO膜(膜厚λ/4)からなる第1の反射膜131を形成する。これにより、図9Bに示すように、光反射側端面100bに第1の反射膜131が形成される。
次に、図9Cに示すように、フォトリソグラフィ又はナノインプリントを用いて、第2の反射膜132の形成領域以外の第1の反射膜131の領域上に、フォトレジスト200を形成する。この際、リッジ部9をアライメントマークとして使用してフォトレジスト200を所定の領域に形成してもよいし、事前に劈開面に溝を形成し、その溝をアライメントとして使用してフォトレジスト200を所定の領域に形成してもよい。
次に、図9Dに示すように、スパッタ装置を用いて、ZrO膜→SiO膜→ZrO膜→SiO膜→ZrO膜→SiO膜→ZrO膜を順次形成することで、多層膜からなる第2の反射膜132Aを形成する。なお、第2の反射膜132Aの各膜厚は各λ/4としている。
次に、図9Eに示すように、リフトオフによって不要な第2の反射膜132Aを除去することで、複数に分割された第2の反射膜132Aを形成する。具体的には、アッシャーを用いて、フォトレジスト200を剥離することで、フォトレジスト200に積層された第2の反射膜132Aが除かれ、第1の反射膜131の所定の複数の領域のみに第2の反射膜132Aが残る。これにより、反射側端面コート膜130Aを形成することができる。
なお、図1に示す実施の形態1に係る半導体レーザ素子100についても、図9A〜図9Eに示す方法で反射側端面コート膜130を形成することができる。
(変形例)
以上、本開示に係る半導体レーザ素子について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、GaNを材料に用いる波長405nm帯のGaN系半導体レーザ素子について説明したが、これに限るものではない。本開示は、他の波長帯域の半導体レーザ素子に適用してもよいし、GaAs又はInP等の他のIII−V族半導体材料からなるIII−V系半導体レーザ素子に適用してもよいし、ZeSe等のII−VI族半導体材料からなるII−VI系半導体レーザ素子等に適用してもよい。
その他に、上記実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示に係る半導体レーザ素子は、高ビーム品質と高出力とを両立させることができるので、DDL用のレーザ加工装置の光源等として有用である。
1 基板
2 第1クラッド層
3 第1ガイド層
4 活性層
5 第2ガイド層
6 電子オーバーフロー抑制層
7 第2クラッド層
8 コンタクト層
9 リッジ部
100、100A 半導体レーザ素子
100a 光出射側端面
100b 光反射側端面
110 半導体層
120 出射側端面コート膜
130、130A 反射側端面コート膜
131 第1の反射膜
132、132A 第2の反射膜
200 フォトレジスト

Claims (5)

  1. 光出射側端面と光反射側端面との間に光導波路が形成された半導体層と、
    前記光出射側端面に形成された出射側端面コート膜と、
    前記光反射側端面に形成された反射側端面コート膜と、を備え、
    前記出射側端面コート膜及び前記反射側端面コート膜の少なくとも一方は、前記光導波路の端面領域内で、前記半導体層の積層方向と直交する方向に反射率が変化している
    半導体レーザ素子。
  2. 前記反射率が変化しているコート膜は、前記反射側端面コート膜である
    請求項1記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記反射率は、基本横モードの光強度が最大となる位置で最大である
    請求項1または2記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記反射率が変化しているコート膜は、第1の反射膜と第2の反射膜とを有し、
    前記第2の反射膜は、前記第1の反射膜よりも反射率が高く、かつ、前記第1の反射膜の一部に積層されている
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記第2の反射膜は、前記半導体層の積層方向に延在する
    請求項4記載の半導体レーザ素子。
JP2016168294A 2016-08-30 2016-08-30 半導体レーザ素子 Pending JP2018037491A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016168294A JP2018037491A (ja) 2016-08-30 2016-08-30 半導体レーザ素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016168294A JP2018037491A (ja) 2016-08-30 2016-08-30 半導体レーザ素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018037491A true JP2018037491A (ja) 2018-03-08

Family

ID=61565920

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016168294A Pending JP2018037491A (ja) 2016-08-30 2016-08-30 半導体レーザ素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018037491A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020017214A1 (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 パナソニック株式会社 発光装置、光学装置及び波長合成方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020017214A1 (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 パナソニック株式会社 発光装置、光学装置及び波長合成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6014396A (en) Flared semiconductor optoelectronic device
JPH0277185A (ja) グレーティング結合型表面発光レーザ素子およびその変調方法
JPWO2009116140A1 (ja) 光半導体素子及びその製造方法
JPH1075011A (ja) 半導体レーザ
JP2008021705A (ja) 自励発振型半導体レーザとその製造方法
JP2008047692A (ja) 自励発振型半導体レーザおよびその製造方法
JP2018085468A (ja) 半導体レーザ、光源ユニット及びレーザ光照射装置
JP2010123630A (ja) 半導体レーザ及びその製造方法
JP4656398B2 (ja) ブロードエリア型半導体レーザ素子
US11322909B2 (en) Semiconductor laser device
JPH0823133A (ja) フレア構造半導体レーザ
US7095769B2 (en) Semiconductor laser diode with higher-order mode absorption layers
JP2018037491A (ja) 半導体レーザ素子
JP3932466B2 (ja) 半導体レーザ
JP2004165383A (ja) 半導体レーザ装置、第2高調波発生装置及び光ピックアップ装置
JP2004165481A (ja) 自励発振型半導体レーザ
JP2005183821A (ja) 半導体発光素子
JP2007201390A (ja) 半導体レーザ装置及びその製造方法
JP2021073725A (ja) 半導体レーザ、光源ユニット及びレーザ光照射装置
JP2011151238A (ja) 多重横モードレーザ
JP3540508B2 (ja) リッジ導波路型半導体レーザダイオード
JP2006186090A (ja) 半導体レーザ装置およびそれを用いた光ピックアップ装置
JP2004140142A (ja) 半導体レーザおよび光通信用素子
JP3710313B2 (ja) 半導体レーザ素子
WO2022172680A1 (ja) 半導体レーザ素子