以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、断面視においては、基板の一主面に対して画素領域、タッチセンサが配置される側を「上方」に該当するとして説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100を示す斜視図である。表示装置100は、絶縁表面を有する基板102の一主面に画素領域104、タッチセンサ108が配置されている。画素領域104は、複数の画素106が配置される。複数の画素106は、画素領域104において、例えば、行方向及び列方向に配列される。タッチセンサ108は、画素領域104に重ねて配置される。別言すれば、タッチセンサ108は、複数の画素106と重なるように配置される。タッチセンサ108は、複数の検出電極107がマトリクス状に配置され、それぞれが行方向あるいは列方向に接続される。なお、ここでは画素106およびタッチセンサ108は模式的に表現されており、その大小関係は図1記載の限りではない。
表示装置100は、映像信号等が入力される第1端子領域112a、タッチセンサ108の信号が入出力される第2端子領域112bを有する。第1端子領域112a及び第2端子領域112bは、絶縁表面を有する基板102の一主面における一端部に配置される。第1端子領域112a及び第2端子領域112bは、絶縁表面を有する基板102の端部に沿って複数の端子電極が配列している。第1端子領域112a及び第2端子領域112bの複数の端子電極は、フレキシブルプリント配線基板114と接続される。駆動回路110は、映像信号を画素106に出力する。駆動回路110は、基板102の一主面、又はフレキシブルプリント配線基板114に付設される。
絶縁表面を有する基板102は、ガラス、プラスチック(ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアクリレート等)等の部材で構成される。基板102の材質がプラスチックである場合、基板の薄板化により表示装置100に可撓性を付与することが可能となる。すなわち、基板102としてプラスチック基板を用いることにより、フレキシブルディスプレイを提供することができる。
画素領域104及びタッチセンサ108の上には、偏光子を含む偏光板116が設けられていてもよい。例えば、偏光板116は、円偏光性を示す偏光子により構成される。偏光板116は、偏光子を含むフィルム基材により形成される。画素領域104に重ねて偏光板116を設けることにより、表示画面の映り込み(鏡面化)を防止することができる。
なお、図1では省略されているが、画素106は表示素子及び回路素子を含んで構成される。タッチセンサ108は静電容量式であることが好ましく、第1検出電極(Tx配線)と第2検出電極(Rx配線)により構成される。画素領域104とタッチセンサ108との間には層間絶縁層が設けられ、電気的に相互に短絡しないように配置される。
図2は、画素領域104と、その上に配置されるタッチセンサ108の構成を示す斜視図である。図2に示すように、画素領域104は、基板102上に回路素子が設けられる回路素子層122、表示素子が設けられる表示素子層124を含む。表示素子層124の上には、タッチセンサ用の検出電極を含む封止層126が設けられる。封止層126は、観察者側の主面を上としたとき画素領域の上側の面を覆うように設けられる。
回路素子層122は、層間絶縁層を含む。層間絶縁層は、異なる層に設けられる配線を絶縁する。層間絶縁層は、少なくとも一層の無機層間絶縁層と、少なくとも一層の有機層間絶縁層を含む。無機層間絶縁層は、酸化シリコン、窒化しりコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料によって形成される。有機層間絶縁層は、アクリル、ポリイミドなどの有機絶縁材料によって形成される。回路素子層122は、トランジスタ等の能動素子、キャパシタ、抵抗等の受動素子、これらの素子を繋ぐ配線を含み、これらが層間絶縁層に埋設するように設けられる。
表示素子層124は、表示素子として、発光素子又は電圧の印加により電気光学効果を発現する素子等が用いられる。発光素子として有機EL素子が用いられる場合、表示素子層124は、アノード及びカソードとして区別される電極、有機EL材料を含む有機層、平面視で隣接する有機EL素子間を分離する絶縁性の隔壁層を含んで構成される。有機EL素子は、回路素子層122のトランジスタと電気的に接続される。
封止層126は、複数の絶縁膜が積層された構造を有する。図2は、封止層126として、第1無機絶縁層128、有機絶縁層130及び第2無機絶縁層132が積層された構造を有する。封止層126は、異なる素材を組み合わせた積層構造により、封止性能を高めている。例えば、第1無機絶縁層128に欠陥が含まれても、有機絶縁層130がその欠陥部分を埋め込み、さらに第2無機絶縁層132を設けることで当該欠陥による封止性能の劣化を補うことのできる構造を有している。このとき第2無機絶縁層132は画素領域104の全面と、画素領域104の外側の領域の少なくとも一部を覆うように設けられてもよく、第1無機絶縁層128と第2無機絶縁層132は第2無機絶縁層132のさらに外側の領域を覆うように形成されてもよい。また第1無機絶縁層128と第2無機絶縁層132の外周端部は必ずしも一致して無くてもよい。
封止層126は、タッチセンサ108を構成する第1検出電極134及び第2検出電極140の少なくとも一方又は双方を内包する。第1検出電極134は第1方向に延伸するように配置され、第2検出電極140は第1方向と交差する第2方向に延伸するように配置される。第1方向は任意の方向とすることができるが、例えば、画素の配列に対応して列方向に沿った方向とすることができる。この場合第2方向としては、画素の行方向の配列に沿った方向とすることができる。第1検出電極134と第2検出電極140は、それぞれ複数配置される。本実施形態では、複数の第1検出電極134による一群を第1検出電極パターンとも呼び、複数の第2検出電極140による一群を第2検出電極パターンとも呼ぶ。なお、図2では、第1検出電極134及び第2検出電極140の一部が示されているにすぎず、これらの検出電極は、画素領域104の略全体に亘って、複数並んで配置される。
このような第1検出電極134と第2検出電極140とは、少なくとも封止層126を構成する有機絶縁層130を挟んで配置される。第1検出電極134と第2検出電極140とは、有機絶縁層130により絶縁されている。すなわち、有機絶縁層130の一方の面側に第1検出電極134が配置され、一方の面に対向する他方の面側に第2検出電極140が配置される。第1検出電極134と第2検出電極140とは、有機絶縁層130を挟んで配置されることにより絶縁され、両検出電極の間に静電容量が発生する。タッチセンサ108は、第1検出電極134と第2検出電極140との間に生ずる静電容量の変化を検知することで、タッチの有無を判別する。
図3は、表示装置100の平面図を示す。図3は、第1検出電極134及び第2検出電極140の配置を模式的に示す。図3は、説明の便宜上、紙面に対して上下方向をY方向、左右方向をX方向として示す。
図3において、複数の第1検出電極134はY方向に延伸し、複数の第2検出電極140がX方向に延伸している。ここで、複数の第1検出電極134の一群を第1検出電極パターン138とし、複数の第2検出電極140の一群を第2検出電極パターン144とする。
なお、第1検出電極134及び第2検出電極140の形状は任意である。第1検出電極134及び第2検出電極140は、長方形(ストライプ)型であってもよいし、図3に示されるように菱(ダイヤモンド)型の電極を連接した形状を有していてもよい。このような長方形(ストライプ)型ないし菱(ダイヤモンド)型を連続して配置した形状の検出電極を採用することにより、タッチセンサ108の検出感度の向上が図られる。
第1検出電極パターン138及び第2検出電極パターン144は画素領域104と重なる領域に配置される。別言すれば、第1検出電極と第2検出電極は、少なくとも画素106の一部(画素に設けられた発光素子の一部分)と重なるように配置される。このように配置されることで、画素領域104にアイコン等の画像を表示させつつ、タッチセンサ108によりタッチの有無をセンシングすることができる。
第1検出電極134は、画素領域104の外側に設けられる第1接続配線136と電気的に接続される。第1接続配線136は、第2端子領域112bの端子電極に対応して設けられた配線119と電気的に接続される。第1接続配線136は、基板102の端子領域112が設けられる端部に向けて延び、さらに屈曲して接続部115に延びている。配線119は、第2端子領域112bに配列する端子電極113のそれぞれに対応して複数本配設される。複数の配線119は、第1接続配線136との接続部から、第2端子領域112bに向けて延びている。すなわち、第1接続配線136と配線119により、第1検出電極134と第2端子領域112bの端子電極とは電気的に接続される。
第2検出電極140は、画素領域104の外側に設けられる第2接続配線142と電気的に接続される。第2接続配線142は、画素領域104から基板102の一側辺に向かって延び、さらに屈曲して、当該一側辺に沿って第2端子領域112bに延びている。そして、第2接続配線142は、第2端子領域112bの端子電極に対応して設けられ、第2接続配線142との接続部から第2端子領域112bに向けて延びている複数の配線119と電気的に接続される。すなわち、第2接続配線142と配線119により、第2検出電極140と第2端子領域112bの端子電極とは電気的に接続される。第2接続配線142は、基板102において、駆動回路110bが配置される領域と重なる領域に配設されてもよい。第2接続配線142と駆動回路110bを重畳して配置することで、表示パネルの狭額縁化が図られる。
なお、第2端子領域112bの端子電極113は、基板102の端部に沿って複数個配列する。各端子電極113に対応して配線119が設けられる。配線119は、端子電極113から基板102の内側領域へ延びている。第1接続配線136及び第2接続配線142に対して、第2端子領域112bの端子電極113と接続する配線119は少なくとも一層の層間絶縁層を挟んで下層側に配置される。第1接続配線136及び第2接続配線142と配線119とは、接続部115において接続される。接続部115では、接続部115において、絶縁層に設けられたコンタクトホール186によって、第1接続配線136及び第2接続配線142と、下層側の配線119とが電気的に接続される。
基板102には、画素領域104を囲む開口領域120が設けられている。別言すれば、基板102上の層間絶縁層は、少なくとも一層の無機層間絶縁層及び有機層間絶縁層を含み、無機層間絶縁層と有機層間絶縁層が積層される積層領域と、有機層間絶縁層が除去され無機層間絶縁層が残存する開口領域とを有する。開口領域120の詳細は、後述される画素領域104の断面構造によって説明される。第1接続配線136及び第2接続配線142は、画素領域104から、この開口領域120の上を通って基板102の周縁部に引き出されている。
第2端子領域112bは、フレキシブルプリント配線基板114を介してタッチセンサ制御部109と接続される。すなわち、第1検出電極134及び第2検出電極140により得られる検知信号は、第1接続配線136及び第2接続配線142、並びに配線119により第2端子領域112bに伝達され、フレキシブルプリント配線基板114を介してタッチセンサ制御部109に出力される。
図3は、第1接続配線136及び第2接続配線142と配線119との接続部が第2端子領域112bの近傍に配置される例を示す。一方、図4は、接続部115の他の形態を示す。第1接続配線136a〜136eは、基板102の端子領域112が設けられる端部に向けて延びている。複数の配線119の一部が、端子領域112が設けられる基板102の端部に沿って、第1接続配線136a〜136eまで延びている。そして、複数の配線119aと第1接続配線136a〜136eの交差部においてコンタクトホール186a〜186eを介して接続されている。接続部115aは、基板102の側辺に沿ってコンタクトホール186a〜186eが設けられている。第2接続配線142a〜142hは、基板102の一側端部に向けて延びている。複数の配線119の一部は、この一側端部に沿って第2接続配線142a〜142hまで延びている。そして、複数の配線119bと第2接続配線142a〜142hの交差部においてコンタクトホール186f〜186mを介して接続されている。接続部115bは、基板102の一側端部に沿ってコンタクトホール186f〜186mが設けられている。接続部115a、115bにおいて、層間絶縁層に設けられるコンタクトホール186a〜186mは、いずれも開口領域120の外側に配置されている。複数の配線119は、層間絶縁層に埋設される下層側の配線なので、第1接続配線136及び第2接続配線142と比べて微細化が可能である。そのため、第2端子領域112bまで引き回す配線領域の幅を狭くすることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る表示装置100は、タッチセンサ108を構成する第1検出電極パターン138と第2検出電極パターン144とが、基板102上に設けられる。このような構成により、別部品として提供されるタッチセンサを外付けする必要がないので、表示装置100の薄型化を図ることができる。図2で示すように、第1検出電極134と第2検出電極140とは、封止層126に埋設されるように、あるいは封止層126に接するように設けられる。この構成により、第1検出電極134と第2検出電極140との間で静電容量を形成するため誘電体層が、封止層126の一部で代替されるため、表示装置100はより薄型化が図られる。
図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の断面構造を示す。図5は、画素領域104及び画素領域104の外側に位置する周辺領域118の断面構造を模式的に示す。この断面構造は、図3で示すX1−X2線に沿った構造に対応する。
図5で示すように、基板102上に画素領域104、周辺領域118が設けられる。周辺領域118は開口領域120及び駆動回路110bを含む。画素領域104は、トランジスタ146、有機EL素子150、第1容量素子152、第2容量素子154を含む。これらの素子の詳細を図6に示す。
図6で示すように、有機EL素子150はトランジスタ146と電気的に接続される。トランジスタ146はゲートに印加される映像信号によってソース・ドレイン間を流れる電流が制御され、この電流によって有機EL素子150の発光輝度が制御される。第1容量素子152はトランジスタ146のゲート電圧を保持し、第2容量素子154は有機EL素子150に流れる電流量を調整するために設けられる。なお、第2容量素子154は必須の構成ではなく省略可能である。
基板102の第1面には下地絶縁層156が設けられる。トランジスタ146は、下地絶縁層156上に設けられる。トランジスタ146は、半導体層158、ゲート絶縁層160、ゲート電極162が積層された構造を含む。半導体層158は、非晶質又は多結晶のシリコン、若しくは酸化物半導体等で形成される。ソース・ドレイン配線164は、第1絶縁層166を介して、ゲート電極162の上層に設けられる。ソース・ドレイン配線164の上層には平坦化層としての第2絶縁層168が設けられる。
第1絶縁層166、第2絶縁層168は層間絶縁層である。第1絶縁層166は、無機層間絶縁層の一種であり、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料で形成される。第2絶縁層168は、有機層間絶縁層の一種であり、ポリイミド、アクリル等の有機絶縁材料で形成される。層間絶縁層は、基板102側から第1絶縁層166、第2絶縁層168の順に積層される。有機絶縁材料で形成される第2絶縁層168を第1絶縁層166の上層に設けることで、トランジスタ146等に起因する凹凸を埋め込み、表面が平坦化される。
第2絶縁層168の上面に有機EL素子150が設けられる。有機EL素子150は、トランジスタ146と電気的に接続される画素電極170と、有機層172及び対向電極174とが積層された構造を有する。有機EL素子150は2端子素子であり、画素電極170と対向電極174との間の電圧を制御することで発光が制御される。第2絶縁層168上には、画素電極170の周縁部を覆い内側領域を露出するように、隔壁層176が設けられる。対向電極174は、有機層172の上面に設けられる。有機層172は、画素電極170と重なる領域から隔壁層176の上面部にかけて設けられる。隔壁層176は、画素電極170の周縁部を覆うと共に、画素電極170の端部で滑らかな段差を形成するために、有機樹脂材料で形成される。有機樹脂材料としては、アクリルやポリイミドなどが用いられる。
有機層172は、有機EL材料を含む単層又は複数の層で形成される。有機層172は、低分子系又は高分子系の有機材料を用いて形成される。低分子系の有機材料を用いる場合、有機層172は有機EL材料を含む発光層に加え、当該発光層を挟むように正孔注入層や電子注入層、さらに正孔輸送層や電子輸送層等含んで構成される。例えば、有機層172は、発光層をホール注入層と電子注入層とで挟んだ構造とすることができる。また、有機層172は、ホール注入層と電子注入層に加え、ホール輸送層、電子輸送層、ホールブロック層、電子ブロック層などを適宜付加されてもよい。
なお、本実施形態において、有機EL素子150は、有機層172で発光した光を対向電極174側に放射する、いわゆるトップエミッション型の構造を有する。そのため、画素電極170は光反射性を有することが好ましい。画素電極170は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)等の光反射性の金属材料によって形成されることの他、正孔注入性に優れるITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム・スズ)やIZO(Indium Zinc Oxide:酸化インジウム・亜鉛)による透明導電層と、光反射性の金属層とが積層された構造を有する。
対向電極174は、有機層172で発光した光を透過させるため、透光性を有しかつ導電性を有するITOやIZO等の透明導電膜で形成されている。対向電極174と有機層172との界面には、キャリア注入性を高めるために、リチウム等のアルカリ金属又はマグネシウム等のアルカリ土類金属を含む層が設けられていてもよい。
第1容量素子152は、ゲート絶縁層160を誘電体膜として用い、半導体層158と第1容量電極178とが重畳する領域に形成される。また、第2容量素子154は、画素電極170と第2容量電極180との間に設けられる第3絶縁層182を誘電体膜として用い、画素電極170と画素電極に重畳して設けられる第2容量電極180とにより形成される。第3絶縁層182は、窒化シリコン等の無機絶縁材料で形成される。
有機EL素子150の上層には封止層126が設けられる。封止層126は、有機EL素子150に水分等が浸入することを防ぐために設けられる。封止層126は、有機EL素子150の側から、第1無機絶縁層128、有機絶縁層130及び第2無機絶縁層132が積層された構造を有する。第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料により形成される。第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、これらの無機絶縁材料の被膜を、スパッタリング法、プラズマCVD法等により形成される。第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、0.1μm〜10μm、好ましくは0.5μm〜5μmの厚さで形成される。
なお、後述される図8で示すように、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、第2端子領域112bの領域を露出させるため、基板102の全面に成膜した後にフォトリソグラフィーによりパターニングするか、成膜時にマスク(成膜面に開口部が設けられたメタルマスク等)を用い、少なくとも第2端子領域12bに絶縁膜が成膜されないようにすることが好ましい。
有機絶縁層130は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等により形成されることが好ましい。有機絶縁層130は、1μm〜20μm、好ましくは2μm〜10μmの厚さで設けられる。有機絶縁層130は、スピンコーティング等の塗布法や、有機材料ソースを用いた蒸着法によって成膜される。有機絶縁層130は、画素領域104を覆うと共に、端部が第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132で封止されるように、画素領域104を含む所定の領域内に形成されることが好ましい。例えば、有機絶縁層130の端部(輪郭部)は、画素領域104と開口領域120との間、又は開口領域120と重なる位置に設けられることが好ましい。このため、有機絶縁層130は、塗布法により基板102へ全面成膜した後、エッチングにより外周領域を除去するか、被蒸着面を開口するマスクを用いた蒸着法(マスク蒸着)、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷により、予め所定のパターンに形成することが好ましい。
なお、図6では省略されているが、封止層126の上面には、図1で示すように偏光板116が設けられる。偏光板116には、偏光子の他、カラーフィルタ層、遮光層が適宜含まれていてもよい。
タッチセンサ108の第1検出電極134は、第1無機絶縁層128と有機絶縁層130との間に設けられ、第2検出電極140は、有機絶縁層130と第2無機絶縁層132との間に設けられる。第1検出電極134及び第2検出電極140は、有機EL素子150から出射される光を透過するために透明導電膜で形成されることが好ましい。透明導電膜の一種であるITOやIZOの被膜はスパッタリング法で作製される。また、第1検出電極134及び第2検出電極140は、銀ナノワイヤーを用いて印刷法で作製されてもよい。
本実施形態においては、第1検出電極134の上層に有機絶縁層130が形成されるので、第1検出電極134を形成する透明導電膜を成膜した後に異物が付着していても、当該異物を有機絶縁層130で被覆することができる。それにより、有機絶縁層130上に形成される第2検出電極140と、第1検出電極134とが短絡するのを防ぐことができる。さらに、有機絶縁層130の上層(第2検出電極140の上層)には第2無機絶縁層132が設けられるので、封止層126としての機能を維持することができる。
図5において、画素領域104の外側にある周辺領域118に含まれる駆動回路110bは、トランジスタ148a、148bが設けられる。例えば、トランジスタ148aはnチャネル型トランジスタであり、トランジスタ148bはpチャネル型トランジスタである。このようなトランジスタによって駆動回路が形成される。
開口領域120は、画素領域104と駆動回路110bとの間に設けられる。開口領域120は、第2絶縁層168を貫通する開口部184を含む。開口部184は、画素領域104の少なくとも一辺に沿って設けられる。好ましくは、開口部184は、画素領域104を囲むように設けられる。第2絶縁層168は、開口部184によって画素領域104側と駆動回路110b側とに分断されている。また、隔壁層176も開口部184において分断されている。別言すれば、開口部184において、有機材料によって形成される第2絶縁層168及び隔壁層176が除去されている。第3絶縁層182と、隔壁層176の上面に設けられる対向電極174は開口部184の側面及び底面に沿って設けられる。
封止層126を構成する有機絶縁層130は、開口部184に端部が配置される。第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、有機絶縁層130の端部の外側まで延設される。これにより有機絶縁層130の外側領域では、第1無機絶縁層128と第2無機絶縁層132とが接する構造が形成される。別言すれば、有機絶縁層130は、第1無機絶縁層128と第2無機絶縁層132により挟み込まれ、端部が露出しない構造を有している。この構造により、有機絶縁層130の端部から水分等が浸入することを防止することができる。なお、有機絶縁層130の端部は、画素領域104の外側であれば良いが、当該端部を開口部184に重ねることで、開口領域120において、無機絶縁材料で形成される第1絶縁層166、第3絶縁層182、対向電極174、第1無機絶縁層128、第2接続配線142、第2無機絶縁層132が積層された領域を設けることができる。このような積層構造により、封止性能を高めることができる。
このように、周辺領域118において有機絶縁材料で形成される第2絶縁層168及び隔壁層176を開口部184によって分断し、開口部184の側面及び底面を被覆するように無機材料で形成される第3絶縁層182及び対向電極174が配設されることで、封止構造が形成される。第3絶縁層182は、開口部184の底部において、無機材料で形成される第1絶縁層166と密接するように設けられる。有機絶縁材料で形成される第2絶縁層168及び隔壁層176を、無機材料の層により挟み込むことで、基板102の端部から画素領域104へ水分が浸入することを防ぐことができる。第2絶縁層168及び隔壁層176を分離する開口部184が設けられた領域は水分遮断領域として機能させることができ、その構造を「水分遮断構造」ということができる。
第2検出電極140に接続される第2接続配線142は、開口領域120を通り、駆動回路110b上に配設される。図3で示すように、第2接続配線142は、第2端子領域112bと接続されるように、画素領域104から基板102の一側辺に向かって延び、当該一側辺に沿って延びている。
第2接続配線142が第2端子領域112bに向かって延びる延設部には、絶縁層が設けられている。第2接続配線142の下層側には基板102側から、下地絶縁層156、ゲート絶縁層160、第1絶縁層166、第2絶縁層168、第3絶縁層182が設けられている。これらの絶縁層のうち、下地絶縁層156のように省略され得る絶縁層もあるが、少なくとも、平坦化層として設けられる第2絶縁層168が第2接続配線142の下層側に設けられることで、駆動回路110bの配線と絶縁されている。第2絶縁層168上において、第2接続配線142は、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132に挟まれて配設される。これにより、第2接続配線142は、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132によって保護される。
図7は、図3で示すY1−Y2線に対応する断面構造を示す。図7においても、画素領域104及び周辺領域118が示される。周辺領域118には開口領域120が含まれる。開口領域120では、開口部184において、無機絶縁材料で形成される第1絶縁層166、第3絶縁層182、対向電極174、第1無機絶縁層128、第2検出電極140、第2無機絶縁層132が積層された領域を有する。第1検出電極134に接続される第1接続配線136は、第1無機絶縁層128の上面に沿って配設され、開口領域120を越え、基板102の端部側に延設される。
第1接続配線136が第2端子領域112bに向かって延びる延設部には、絶縁層が設けられている。第1接続配線136の下層側には、第2接続配線142と同様に基板102側から、下地絶縁層156、ゲート絶縁層160、第1絶縁層166、第2絶縁層168、第3絶縁層182が設けられている。第2絶縁層168上において、第1接続配線136は、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132に挟まれて配設される。これにより、第1接続配線136は、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132によって保護される。第1接続配線136は、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132に挟まれて配設される。これにより第1接続配線136は、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132によって保護される。
図3で示す端子領域112及び接続部115の詳細を、図8及び図9(A)、(B)に示す。図8は、端子電極113及び接続部115の平面図を示し、図中に示されるA1−A2線に対応する断面構造を図9(A)に示し、B1−B2線に対応する断面構造を図9(B)に示す。以下の説明においては、図8、図9(A)、(B)を適宜参照しながら説明する。
第2端子領域112bにおいて、端子電極113a〜113dが基板102の端部に沿って配列し、各端子電極に対応して配線119a〜119dが設けられている。端子電極113a〜113dは、配線119a〜119dと電気的に接続されている。配線119a〜119dは、端子電極113a〜113dから、接続部115まで延びている。配線119a〜119dの配列に対応して第2接続配線142a、142b、第1接続配線136a、136bが配設されている。
端子電極113a〜113dは、例えば、ソース・ドレイン配線164と同じ導電層によって形成される。端子電極113a〜113dは、ソース・ドレイン配線164と同様に上層の絶縁層で覆われる。例えば、端子電極113a〜113dは、上層の絶縁層として第2絶縁層168と第3絶縁層182とで覆われる。第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、端子電極113a〜113dを覆わないように設けられている。すなわち、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132の端部は、基板102の端より内側に配置されている。第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、端子電極113a〜113dを覆わないように設けられている。すなわち、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132の端部は、基板102の端部より内側に配置されている。
端子電極113a〜113dは、フレキシブルプリント配線基板114との接続部において、上層の絶縁層が除去された開口部188a〜188dによって、上面部が露出している。開口部188a〜188dは、第2絶縁層168に設けられる開口部と、第3絶縁層182に設けられた開口部が重なる領域である。第2絶縁層168の開口部の開口端と、第3絶縁層182の開口部の開口端とは一致していてもよいし、図9(B)で示すように、第3絶縁層182の開口部の開口端が、第2絶縁層168における開口部の開口端より内側に配置されていてもよい。図9(B)で示すように、無機絶縁材料で形成される第3絶縁層182により、有機絶縁材料で形成される第2絶縁層168の開口部の側端部が覆われることにより、第2絶縁層168の開口部の側端部から水分等が浸入するのを防ぐことができる。
第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、開口領域120を含み、基板102の一部を除く略全面に設けられる。第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132の端部は、第2端子領域112bの領域においては、開口部188a〜188dが埋設されないように、基板102の端部に至らない内側領域であって、端子電極113a〜113dよりも内側の領域に位置している。これは第1端子領域112aにおいても同様である。端子電極113a〜113dが、開口部188a〜188dによって露出される部分には、酸化物導電膜171a〜171dが設けられている。酸化物導電膜171a〜171dは、例えば、画素電極170を形成する導電層と同じ層で形成される。酸化物導電膜171a〜171dは必須の構成ではないが、端子電極113a〜113dの表面を保護し、酸化による接触抵抗の増加を防ぐために設けておくことが好ましい。
図9(A)で示すように、配線119a〜119dと、第1接続配線136a、136b、第2接続配線142a、142bとは、それぞれコンタクトホール186a〜186dを介して接続される。コンタクトホール186a〜186dは、第2絶縁層167に設けられる貫通孔、第3絶縁層182に設けられる貫通孔、第1無機絶縁層128に設けられる貫通孔による開口部が重なる領域に形成される。端子電極113a〜113dの下層には、下地絶縁層156、ゲート絶縁層160、第1絶縁層166が積層されている。第1接続配線136a、136b、及び第2接続配線142a、142bは、接続部115において、下層側に第1無機絶縁層128が設けられ、上層側に第2無機絶縁層132が設けられている。第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132は、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化アルミニウム等の、水分に対してバリア性の高い絶縁膜である。第1接続配線136a、136b、及び第2接続配線142a、142bは、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132に挟まれることにより、周辺領域118において絶縁され、水分等の影響による腐食から防止される。さらに、コンタクトホール186a〜186dは、図3で示すように開口領域120の外側に配置されているため、第1無機絶縁層128に貫通孔が設けられたとしても、封止層126の内側にまで水分が浸入しない構造となる。
封止層126において、有機絶縁層130の端部は、図5及び図7で示されるように、開口領域120よりも外側には配置されていない。すなわち、有機絶縁層130の端部は、第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132の端部より内側にあって、かつ、コンタクトホール186の内側に配置されている。これにより、封止層126を構成する有機絶縁層130の端部は、コンタクトホール186が形成される領域によっても、外部に露出しない構造となり、水分等の浸入を防止することができる。これによって、封止層126は、封止性能が劣化するのを防止することができる。
図9(A)で示すように、第1検出電極134と接続する第1接続配線136と、第2検出電極140と接続する第2接続配線142とを、封止層126を構成する有機絶縁層130の外側に引き出して、下層側の配線(例えば、ソース・ドレイン電極と同じ層で形成される配線)と接続する構造とすることで、電気的な接続を確実にすることができる。別言すれば、第1検出電極134と接続する第1接続配線136と、第2検出電極140と接続する第2接続配線142とは、開口領域120の外側で、接続部115に至る領域まで第1無機絶縁層128と第2無機絶縁層132とで封止されることにより、タッチセンサの信頼性を向上させることができる。
図5及び図7で示すように、第1検出電極134と第2検出電極140とは有機絶縁層130を介して設けられることにより、異物が残存する場合であっても短絡が防止される。また、第1検出電極134に接続される第1接続配線136と、第2検出電極140に接続される第2接続配線142とは、それぞれが第1無機絶縁層128及び第2無機絶縁層132に挟まれて設けられ、基板102において異なる方向に引き出されることにより、両配線は絶縁される。このような構造により、タッチパネルを構成する検出電極及び配線の短絡が確実に防止される。
さらに、本実施形態によれば、第1検出電極134と第2検出電極140とが、有機絶縁層130を挟んで封止層126に内設されるので、表示装置100の薄型化を図ることができる。このような構造は、基板102が有機樹脂材料で形成されるシート状に基板においても適用可能であり、タッチパネルが内蔵されたフレキシブルディスプレイを実現することができる。