JP2018034723A - 乗物用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】エアバッグの飛出し箇所となるバーストラインを、シートカバーに取付けられている玉縁部に重複して性能よく設けることにある。【解決手段】バーストラインBLが、玉縁部10Aに重複して玉縁部10Aと同方向に延長する乗物用シートにおいて、玉縁部10Aが、一対の表皮ピースSP5,SP6の間に配置されてシート外に露出する意匠部位12と、第一のステッチ部ST1で第一縫い代端部E5に縫着されている第一帯状部位14と、第二のステッチ部ST2で第二縫い代端部E6に縫着されている第二帯状部位16とを有し、バーストラインBLが、第一のステッチ部ST1と第二のステッチ部ST2の少なくとも一方で構成されているとともに、第一帯状部位14と第二帯状部位16の少なくとも一方が、対応する縫い代端部E5,E6のアウトステッチ部OST1,OST2に非縫着状態で配置されている。【選択図】図2

Description

本発明は、意匠面を構成しているシートカバーと、エアバッグのシート外への飛出し箇所となるシートカバーのバーストラインとを備え、このバーストラインが、シートカバーに取付けられている玉縁部に重複して設けられる乗物用シートに関する。
この種の乗物用シートでは、意匠面を構成するシートカバーが、複数の表皮ピースを縫い合わせることで形成されている。このシートカバーには、意匠性向上の観点などから、帯状の玉縁部と、この玉縁部に沿って形成されるアウトステッチ部とを設けることがある。玉縁部は、隣り合う表皮ピースの間に橋渡された帯材であり、両表皮ピースの間からシート外に露出している。またアウトステッチ部は、意匠面に露出している縫目であり、隣り合う表皮ピースの端部を内折り状として、この内折りされた端部を対応する表皮ピースに縫着することで形成される。例えば特許文献1に開示の座席シート用表皮材では、隣り合う一対の布帛の間に、本発明の玉縁部に相当する帯状の細幅織物を配置する。そして一方の布帛の端部を内折りしたのち、この内折りされた端部を、アウトステッチ部によって細幅織物の一側に縫着する。また他方の布帛の端部を内折りしたのち、この内折りされた端部を、アウトステッチ部によって細幅織物の他側に縫着する。こうして一対の布帛の間から細幅織物が部分的に露出するとともに、この細幅織物の両側にそれぞれアウトステッチ部が形成されることとなる。
ここで乗物用シートの分野においては、エアの流入により膨張するエアバッグがシート内に配置されていることがある。そして乗物衝突時において、エアバッグを、シートカバーに設けられたバーストラインからシート外に飛出させて乗員を保護する。例えば複数の表皮ピースを縫合してなるシートカバーでは、バーストラインとして、隣り合う一対の表皮ピースの端部同士を直接縫合しているインステッチ部が用いられる。そして乗物衝突時においては、隣り合う表皮ピースを互いに離れる向きに引張してインステッチ部を破断させることにより、隣り合う表皮ピースの間から膨張するエアバッグをシート外に飛出させることとなる。そしてエアバッグを備えた乗物用シートにおいても、公知技術の構成を適用することでシートの意匠性を向上させることができる。
特開2015−217877号公報
ところでエアバッグを備えた乗物用シートに公知技術の構成を適用した場合、バーストラインを形成すべき部分に、本発明の玉縁部に相当する細幅織物が重複して配置されることがある。しかし公知技術の構成では、バーストラインとなるべきインステッチ部を素直に設けることができず、エアバッグを備えた乗物用シートにはやや不向きの構成であった。そこで表皮ピースと細幅織物を、アウトステッチ部とは別のステッチ部で縫着し、この別のステッチ部をバーストラインとして用いることが考えられる。しかし公知技術では、細幅織物の両側が、それぞれアウトステッチ部で対応する表皮ピースに縫着されている。このため隣り合う表皮ピース同士を互いに離れる方向に引張しても、両表皮ピースの間の細幅織物が引っ張られるだけで、別のステッチ部をスムーズに破断させることができない。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、エアバッグの飛出し箇所となるバーストラインを、シートカバーに取付けられている玉縁部に重複して性能よく設けることにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、意匠面を構成しているシートカバーと、シートカバーに取付けられている帯状の玉縁部と、エアバッグのシート外への飛出し箇所となるシートカバーの線状のバーストラインとを備えている。そしてシートカバーが、隣り合って配置されている一対の表皮ピースを有し、一方の表皮ピースの内折りされている第一縫い代端部と、一方とは異なる他方の表皮ピースの内折りされている第二縫い代端部とが玉縁部を介してつながっている。また第一縫い代端部と第二縫い代端部が、各々、シートの意匠面に露出するアウトステッチ部で対応する表皮ピースに縫着されている。そしてバーストラインが、玉縁部に重複して玉縁部と同方向に延長するのであるが、この種の構成では、バーストラインを、玉縁部に重複して性能よく設けることが望ましい。
そこで本発明では、玉縁部が、一対の表皮ピースの間に配置されてシート外に露出する意匠部位と、第一のステッチ部で第一縫い代端部に縫着されている第一帯状部位と、第二のステッチ部で第二縫い代端部に縫着されている第二帯状部位とを有している。そしてバーストラインが、第一のステッチ部と第二のステッチ部の少なくとも一方で構成されているとともに、第一帯状部位と第二帯状部位の少なくとも一方が、対応する縫い代端部のアウトステッチ部に非縫着状態で配置されている。本発明では、玉縁部の各帯状部位に設けられたステッチ部をバーストラインとして用いることにより、バーストラインを、玉縁部に重複して設ける構成である。そしてアウトステッチ部による両表皮ピースと玉縁部の縫着を止めたことにより、各表皮ピースにかかる引張力を、玉縁部ではなくバーストラインとしてのステッチ部に直接的に伝えることができる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、第一帯状部位が、第一縫い代端部のアウトステッチ部に非縫着状態で配置されているとともに、第一のステッチ部を基点に第二帯状部位側に内折りされた状態とされて、第二帯状部位とともに他方の表皮ピース側に固定されている。本発明においては、玉縁部の第一帯状部位を、アウトステッチ部に縫着することなく、第二帯状部位とともに他方の表皮ピース側に固定している。こうして各帯状部位が、他方の表皮ピース側に位置決めして配置されているため、玉縁部の各帯状部位がシート内に向けて起立するなどして、シートカバーが部分的に過度に凹凸化することを極力回避することができる。さらに本発明では、一方の表皮ピースと玉縁部の縫着力を、アウトステッチ部による縫着を止めて相対的に弱くしたことで、第一のステッチ部をバーストラインとして使用しやすい構成とされている。
第3発明の乗物用シートは、第2発明の乗物用シートにおいて、第一帯状部位が、バーストラインとしての第一のステッチ部を基点に第二帯状部位側に内折りされた状態とされて、第三のステッチ部によって、第二帯状部位とともに他方の表皮ピースの端部に縫着されて固定されている。本発明では、第一帯状部位と第二帯状部位を、第三のステッチ部によって他方の表皮ピース側により確実且つ強固に固定することができる。そしてバーストラインが第一のステッチ部であることを明確としたことにより、エアバッグの飛出し経路をより正確に規定することができる。
第4発明の乗物用シートは、第1発明〜第3発明のいずれかの乗物用シートにおいて、第一のステッチ部が、第二のステッチ部に比して引張にて破断しやすい。本発明では、第一のステッチ部が、両表皮ピースにかかる張引力で相対的に破断しやすくされているため、バーストラインとしてより好適に用いることができる。
第5発明の乗物用シートは、第2発明〜第4発明のいずれかの乗物用シートにおいて、乗物用シートが、シート着座部と、シート側面部をなすカマチ部とを有し、一方の表皮ピースがシート着座部を覆っているとともに、他方の表皮ピースがカマチ部を覆っている。本発明では、バーストラインの破断の際に、玉縁部を、他方の表皮ピースとともにカマチ部側により確実に配置しておくことができる。
本発明に係る第1発明によれば、エアバッグの飛出し箇所となるバーストラインを、シートカバーに取付けられている玉縁部に重複して性能よく設けることができる。また第2発明によれば、バーストラインを、シートカバーに取付けられている玉縁部に重複してより性能よく設けることができる。また第3発明によれば、バーストラインを、スムーズに破断可能としつつ、シートカバーに取付けられている玉縁部に重複して設けることができる。また第4発明によれば、バーストラインを、よりスムーズに破断可能としつつ、シートカバーに取付けられている玉縁部に重複して設けることができる。そして第5発明によれば、バーストラインを、シートカバーに取付けられている玉縁部に重複して更に性能よく設けることができる。
乗物用シートの斜視図である。 シートバック一部の断面図である。 シートカバー一部の拡大断面図である。 バーストライン閉鎖時のシートカバーを破断して示す斜視図である。 バーストライン開口時のシートカバーを破断して示す斜視図である。 変形例1に係るシートカバー一部の断面図である。 変形例2に係るシートカバー一部の断面図である。 変形例3に係るシートカバー一部の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図8を参照して説明する。各図には、便宜上、乗物用シートの前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を図示することがある。図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材(4,6,8)は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4の後部にシートバック6(詳細後述)の下部が起倒可能に連結されているとともに、起立状態のシートバック6の上部にヘッドレスト8が配設されている。
[シートバック]
シートバック6は、図1及び図2を参照して、基本構成6F,6P,6Sとともに、玉縁部10A,10Bと、エアバッグ20と、バーストラインBLを有している(各部等の詳細は適宜後述)。ここでシートバック6の意匠面となる前面側は、図1を参照して、シート着座部となる天板メイン部6a及び左右の天板サイド部6bと、左右のカマチ部6cに区分けできる。天板メイン部6aは、シート幅方向における中央に形成されている相対的に凹み状とされた部位であり、通常走行時等の乗員の背もたれが可能な部位である。また天板サイド部6bは、天板メイン部6aの左方と右方において相対的に着座側に突出している部位であり、コーナリング走行時等に乗員の側方を支持することができる。そしてカマチ部6cは、シート幅方向におけるシートバック6の左右のシート側面部をなす部位であり、対応する天板サイド部6bに隣接している。
またシートバック6では、シートカバー6Sの適所に、意匠性向上の観点から玉縁部10A,10B(詳細後述)が露出している。例えば左側の天板サイド部6bとカマチ部6cの間から玉縁部10Aが露出している。また右側の天板サイド部6bとカマチ部6cの間からも別の玉縁部10Bが露出している。さらにシートバック6では、エアバッグ20(詳細後述)が、シートフレーム6Fに固定されてシートカバー6Sの裏側に配設されている。そして乗物衝突時において、エアバッグ20を、図5に示すようにシートカバー6SのバーストラインBL(詳細後述)からシート外に飛出させて乗員側部を保護する。このバーストラインBLは、後述するように玉縁部10Aに重複しつつ、左側の天板サイド部6bとカマチ部6cの間で上下方向に延長している。この種の構成においては、玉縁部10Aに重複して設けられているバーストラインBLを、スムーズに開口させたり意匠性良く設けたりできることが望まれる。そこで本実施例においては、後述する構成によって、バーストラインBLを、シートカバー6Sに取付けられている玉縁部10Aに重複して性能よく設けることとした。以下、各構成について詳述する。
[エアバッグ・シートフレーム]
ここでエアバッグ20は、図2を参照して、エアの流入により膨張可能な袋体であり、略立方体状のエアバッグ装置22内に配設されている。このエアバッグ装置22には、エアバッグ20とともにエアバッグモジュール24が内蔵されており、このエアバッグモジュール24にはガス供給装置が配置されている。ガス供給装置(インフレータ)にはガス発生剤又は高圧ガスが封入されている。そしてエアバッグ装置22を、シートフレーム6Fの左側にボルト止めして、後述するシートカバー6Sの裏側に配置する。ここでシートフレーム6Fは、典型的に略アーチ状の枠体であり、剛性に優れる金属や硬質樹脂などの素材にて形成できる。そして後述するようにエアバッグ20が、乗物衝突による信号によってエアが流入されることで膨張しつつシート外に展開することにより、乗員胸部から乗員腰部にかけての身体範囲を保護することとなる。
[シートパッド]
シートパッド6Pは、シート外形をなす正面視で略矩形状の部材であり、図2を参照して、溝部6eと、孔部6fを有している。このシートパッド6Pの材質として、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂を例示できる。溝部6eは、左側の天板サイド部6bと天板メイン部6aの間に形成された凹部であり、シート上下に線状に延長している。この溝部6e内には、例えばクリップ(図示省略)が埋設されており、このクリップを介して、シートカバー6Sの一部を溝部6e内に引込み状に取付けることができる。また左側のカマチ部6cには、シートパッド6Pを厚み方向に貫通する孔部6fが設けられている。この孔部6fを通じて、後述する一対の力布31,32をシート内に引き込むことができる。またエアバッグ装置22を、孔部6fを通じてシート内のシートフレーム6Fに固定することができ、固定された状態のエアバッグ装置22の左面が、孔部6fから露出し且つ左側のカマチ部6cと略面一となるように配置されている。
[シートカバー]
シートカバー6Sは、シートの意匠面を構成する面材であり、図1及び図2を参照して、玉縁部10A,10Bと、バーストラインBLと、複数のアウトステッチ部OST1,OST2等と、各種のステッチ部ST1〜ST3と、一対の力布31,32を有している(図1では、便宜上、特定のアウトステッチ部にのみ符号OST1,OST2を付し、その他のアウトステッチ部には共通の符号OSTを付す)。このシートカバー6Sは、複数の表皮ピースSP1〜SP9等を縫合することで形成されており、各表皮ピースの素材として、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。例えば第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3は、それぞれ天板メイン部6aを覆う表皮ピースであり、シート中央で上下に並列配置されている。
また第四表皮ピースSP4〜第六表皮ピースSP6は、図1を参照して、左側の天板サイド部6bとカマチ部6cを覆う表皮ピースである。第四表皮ピースSP4は、左側の天板サイド部6b上部を覆う表皮ピースであり、第五表皮ピースSP5は、左側の天板サイド部6b下部を覆う表皮ピースであり、第六表皮ピースSP6は、左側のカマチ部6cを覆う表皮ピースである。ここで本実施例においては、第五表皮ピースSP5が、本発明の一方の表皮ピースに相当し、第六表皮ピースSP6が、本発明の他方の表皮ピースに相当する。また第七表皮ピースSP7〜第九表皮ピースSP9は、右側の天板サイド部6bとカマチ部6cを覆う表皮ピースであり、左側の対応する表皮ピースSP4〜SP6と左右対称となるように配置されている。第七表皮ピースSP7は、右側の天板サイド部6b上部を覆う表皮ピースであり、第八表皮ピースSP8は、右側の天板サイド部6b下部を覆う表皮ピースであり、第九表皮ピースSP9は、右側のカマチ部6cを覆う表皮ピースである。
[表皮ピースの縫合手法]
図1を参照して、天板メイン部6aでは、隣り合う表皮ピース同士(SP1とSP2,SP2とSP3)の端部が、図示しないインステッチ部にて直接縫合されている。このインステッチ部は、隣り合う表皮ピース同士の端部が閉じ合わされることでシート外に露出しないように隠されている。また左側に配置されている各表皮ピースSP4〜SP6と、右側に配置されている各表皮ピースSP7〜SP9の縫合手法は略同一であるため、専ら左側に配置されている各表皮ピースSP4〜SP6を一例にその詳細を説明する。これら左側に配置されている各表皮ピースSP4〜SP6の右端は、図示しないインステッチ部によって、対応する天板メイン部6aを覆う各表皮ピースSP1〜SP3の左端に縫合されている。また第四表皮ピースSP4の下端と左端は、隣り合う第五表皮ピースSP5及び第六表皮ピースSP6等に、図示しないインステッチ部にて縫合されている。そして第四表皮ピースSP4の上端と左端に沿ってアウトステッチ部OSTが設けられている。
[玉縁部]
そして一方の表皮ピースとしての第五表皮ピースSP5と、他方の表皮ピースとしての第六表皮ピースSP6は玉縁部10Aを介してつながっている。ここで玉縁部10Aは、シート上下方向に長尺な略矩形の帯体であり、図3〜図5を参照して、意匠部位12と、第一帯状部位14と、第二帯状部位16を有している。意匠部位12は、隣り合う表皮ピースSP5,SP6の間に配置してシート外に露出する部分である。この意匠部位12は、玉縁部10Aの短尺方向における中央で断面略円形状をなす凸部位であり、玉縁部10Aの長尺方向に向けて連続的に設けられている。また第一帯状部位14は、玉縁部10Aの短尺方向における意匠部位12の一側に配置する面状部分であり、第五表皮ピースSP5に縫着可能である。そして第二帯状部位16は、一側とは反対の意匠部位12の他側に配置する面状部分であり、第六表皮ピースSP6に縫着可能である。ここで玉縁部10Aの素材は、隣り合う表皮ピースSP5,SP6をつなぐ必要上、適度な剛性と可撓性を備えることが好ましく、各表皮ピースで例示の素材を好適に使用できる。また意匠部位12の形成手法も特に限定しないが、例えば織物としての玉縁部10Aの製織に際して、極太の挿入糸を挿入することで形成できる。
[縫い代端部]
そして第五表皮ピースSP5と玉縁部10Aと第六表皮ピースSP6には、図3〜図5を参照して、第一のステッチ部ST1と、第二のステッチ部ST2と、第三のステッチ部ST3と、第一アウトステッチ部OST1と、第二アウトステッチ部OST2が設けられている。本実施例では、第五表皮ピースSP5の左端部に第一縫い代端部E5が形成されており、この第一縫い代端部E5が、右側に内折りされた状態とされて第五表皮ピースSP5の裏側に対面状に配置される。また第六表皮ピースSP6の右端部に第二縫い代端部E6が形成されており、この第二縫い代端部E6が、左側に内折りされた状態とされて第六表皮ピースSP6の裏側に対面状に配置される。そして第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6の間に玉縁部10Aを配置しつつ、両表皮ピースSP5、SP6の間から意匠部位12を露出させる。
[第一のステッチ部〜第三のステッチ部]
つぎに玉縁部10Aの第一帯状部位14を、第五表皮ピースSP5の第一縫い代端部E5に第一のステッチ部ST1を介して縫着する。この第一のステッチ部ST1は、後述する第一アウトステッチ部OST1よりも意匠部位12側に配置されている。また玉縁部10Aの第二帯状部位16を、第六表皮ピースSP6の第二縫い代端部E6に第二のステッチ部ST2を介して縫着する。この第二のステッチ部ST2も、後述する第二アウトステッチ部OST2よりも意匠部位12側に配置されている。そして第一のステッチ部ST1と第二のステッチ部ST2は、それぞれ玉縁部10Aに重複して玉縁部10Aの延長方向である上下方向に延長している。つぎに第一帯状部位14を、第一のステッチ部ST1を基点として内折りしつつ、この第一帯状部位14の内折りされた末端側を第二帯状部位16に重ねる。そして第一帯状部位14の内折りされた末端側を、第二帯状部位16とともに第三のステッチ部ST3を介して第六表皮ピースSP6に縫着する。この第三のステッチ部ST3は、第二のステッチ部ST2と第二アウトステッチ部OST2の間に配置されているとともに、玉縁部10Aに重複して玉縁部10Aの延長方向である上下方向に延長している。
[アウトステッチ部]
そして第五表皮ピースSP5の第一縫い代端部E5のみを、内折り状態としながら第一アウトステッチ部OST1によって第五表皮ピースSP5に縫着する。こうして玉縁部10Aの第一帯状部位14は、第一アウトステッチ部OST1に非縫着状態で配置される。また第六表皮ピースSP6の第二縫い代端部E6を、第二帯状部位16とともに内折り状態としながら第二アウトステッチ部OST2によって第六表皮ピースSP6に縫着する。こうして玉縁部10Aの第二帯状部位16は、第二アウトステッチ部OST2に縫着された状態とされ、さらに第一帯状部位14と第二帯状部位16が、第三のステッチ部ST3にて第六表皮ピースSP6に対面状に位置決めされて配置される。そしてこれら両アウトステッチ部OST1,OST2は、対応する表皮ピースSP5,SP6の意匠面となる前面に露出して設けられている。こうして第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6が玉縁部10Aを介してつなげられるとともに、両表皮ピースSP5,SP6の間から意匠部位12を露出させることができる。
さらに本実施例では、第六表皮ピースSP6の第二縫い代端部E6は、第二のステッチ部ST2と第三のステッチ部ST3と第二アウトステッチ部OST2によって玉縁部10Aの第二帯状部位16に縫着されている。そして第五表皮ピースSP5の第一縫い代端部E5は、第一のステッチ部ST1だけで玉縁部10Aの第一帯状部位14に縫着されており、第六表皮ピースSP6に比して玉縁部10Aとの縫着力が低くされている。このため後述するように第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6が互いに離れる方向に張引された際には、相対的に縫着力に劣る第五表皮ピースSP5側が分断されやすい構成とされている。
ここで第一のステッチ部ST1〜第三のステッチ部ST3を構成している糸材として、天然繊維又は合成繊維製の糸材を使用することができる。各ステッチ部を構成している糸材はすべて同一でもよいが、第一のステッチ部ST1を構成している糸材は、他のステッチ部ST2,ST3に比して引張にて破断されやすい脆弱な糸材であることが好ましい。この第一のステッチ部ST1の糸材として、他のステッチ部ST2,ST3を構成する糸材よりも細い糸材を例示でき、さらに脆弱な材質からなる糸材や、毛羽立ち加工などの傷をつけられて脆弱化した糸材を例示できる。例えば各ステッチ部に同材質の糸材を用いる際には、他のステッチ部ST2,ST3に8番手(♯8)以下の糸材を用いるとともに、第一のステッチ部ST1に20番手(♯20)以上の糸材を用いることができる。なお各アウトステッチ部OSTを構成している糸材は、シート外に露出することから高剛性の糸材であることが好ましく、例えば5番手(♯5)以下の糸材を用いることができる。なお各ステッチ部の縫目ピッチを変えるなどして、第一のステッチ部ST1の引張強度を相対的に低くすることもできる。
[バーストライン]
バーストラインBLは、乗物衝突時においてエアバッグ20がシート外に飛出すシートカバー部分であり、図1を参照して、左側の天板サイド部6bとカマチ部6cの間で上下方向に延長している。このバーストラインBLは、図2〜図5を参照して、第五表皮ピースSP5と第一帯状部位14を縫着している第一のステッチ部ST1で構成されており、玉縁部10Aと重複して玉縁部10Aの延長方向と同方向に延長している。そして乗物衝突時において、エアバッグ20の膨張により図2に示す後述の各力布31,32が緊張して、第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6を互いに離れる方向に張引する。このときの張引力によって、バーストラインBLをなす第一のステッチ部ST1が破断して、図5に示すように第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6の間が開口することとなる。
[力布]
そして図2を参照して、一対の帯状の力布31,32がエアバッグ20を囲むように設けられている。一方の力布31の前端は、第五表皮ピースSP5に第一アウトステッチ部OST1等を介して縫着されている。そして一方の力布31は、左側のカマチ部6cに設けられている孔部6fの前縁側からシート内に引き込まれた状態でエアバッグ20の右側に配置されているとともに、一方の力布31の後端がシートフレーム6Fなどに固定されている。また他方の力布32の前端は、第六表皮ピースSP6に第二アウトステッチ部OST2等を介して縫着されている。そして他方の力布32は、孔部6fから露出しているエアバッグ装置22の左面に沿って後方に延長したのち孔部6fの後縁からシート内に引き込まれ、さらに他方の力布32の後端側がシートフレーム6Fなどに固定されている。
なお本実施例では、図1を参照して、右側の天板サイド部6bを覆う第八表皮ピースSP8と、右側のカマチ部6cを覆う第九表皮ピースSP9の間にも別の玉縁部10Bが設けられている。この右側に配置する別の玉縁部10Bは、左側に配置する玉縁部10Aと略同一構成を有している。そして第八表皮ピースSP8と玉縁部10Bと第九表皮ピースSP9の縫着手法は、上述の左側の縫着手法と同一とすることができ、こうすることで右側の天板サイド部6bとカマチ部6cの間にもバーストラインを形成できる。このようにバーストラインを左右に形成することで、左側にエアバッグを有する乗物用シート2と右側にエアバッグを有する他の乗物用シート(図示省略)に、シートカバー6Sを大幅な改変を要することなく兼用して用いることができる。なお第八表皮ピースSP8と玉縁部10Bと第九表皮ピースSP9は、第一のステッチ部と第二のステッチ部だけで縫着することができ、第一アウトステッチ部と第二アウトステッチ部だけで縫着することもできる。
[シートカバーの被覆作業]
図2を参照して、シートパッド6Pを、シートフレーム6F上に配置しつつシートカバー6Sで被覆する。このとき左側の天板サイド部6bの下部側を第五表皮ピースSP5で覆うとともに、左側のカマチ部6cを第六表皮ピースSP6で覆う。そして図1を参照して、玉縁部10Aの意匠部位12が、左側の天板メイン部6aとカマチ部6cの境で対応する表皮ピースSP5,SP6の間からシート外に露出している。また同様に別の玉縁部10Bの意匠部位(符号省略)が、右側の天板メイン部6aとカマチ部6cの境で対応する表皮ピースSP8,SP9の間からシート外に露出している。このためシートバック6においては、左右の玉縁部10A,10Bによって、左右の天板メイン部6aとカマチ部6cの境が縁どられているような外観を呈するなどして、シートの意匠性が好適に向上することとなる。また第一アウトステッチ部OST1と第二アウトステッチ部OST2が、玉縁部10A等の左右に配置されているため、シートの意匠性が更に向上している。さらに本実施例においては、図2を参照して、左側に配置されている玉縁部10Aの第一帯状部位14が、第一アウトステッチ部OST1に縫着されることなく、第二帯状部位16とともに第六表皮ピースSP6側に位置決めして固定されている。このためシートカバー6Sがシートパッド6Pに押し付けられた際に、各帯状部位14,16がシート内に向けて起立するなどして、シートカバー6Sが部分的に過度に凹凸化することを極力回避することができる。
[エアバッグの作動]
図2を参照して、乗物衝突時において、膨張するエアバッグ20が、孔部6fから露出しているエアバッグ装置22部分から装置外に現れ、さらに左側に配置されている玉縁部10Aに重複しているバーストラインBLからシート外に飛出す。このとき左側の天板サイド部6bを覆う第五表皮ピースSP5とカマチ部6cを覆う第六表皮ピースSP6が、エアバッグ20の膨張に伴う各力布31,32の緊張によって互いに離れる方向に張引される。そして図4及び図5を参照して、第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6の張引によって、バーストラインBLを破断させることにより、エアバッグ20のシート外への飛出しが可能となる。この種の構成においては、玉縁部10Aに重複して設けられているバーストラインBLを、各表皮ピースSP5,SP6の張引によってスムーズに開口させることが望まれる。
そこで本実施例では、図3〜図5を参照して、玉縁部10Aの第一帯状部位14に設けられた第一のステッチ部ST1をバーストラインBLとして用いることにより、バーストラインBLが玉縁部10Aに重複して設けられている。そして第一アウトステッチ部OST1による第五表皮ピースSP5と玉縁部10Aの縫着を止めたことにより、第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6にかかる引張力を、玉縁部10AではなくバーストラインBLとしての第一のステッチ部ST1に直接的に伝達することができる。このとき第五表皮ピースSP5と玉縁部10Aが第一のステッチ部ST1だけで縫着されて相対的に縫着力が弱められており、さらに第一のステッチ部ST1の糸材が相対的に脆弱とされている。このため第五表皮ピースSP5と第六表皮ピースSP6が離れる方向に張引された際に、バーストラインBLとしての第一のステッチ部ST1をより確実に破断させることができる。そしてバーストラインBLとしての第一のステッチ部ST1が破断されることで、膨張するエアバッグ20が、第五表皮ピースSP5と玉縁部10Aの間を通ってシート外に飛出す。こうしてバーストラインBLが第一のステッチ部ST1であることを明確としたことにより、エアバッグ20の飛出し経路をより正確に規定することができる。そしてエアバッグ20の飛出しの際には、図5を参照して、第五表皮ピースSP5との縫着が解除された玉縁部10Aが、第六表皮ピースSP6に縫着された状態でカマチ部6c側に配置される。このため玉縁部10Aが、シート着座部側の乗員に当たるなどの不具合を好適に回避することができる。
以上説明したとおり本実施例では、玉縁部10Aの第一帯状部位14に設けられた第一のステッチ部ST1をバーストラインBLとして用いることにより、バーストラインBLを、玉縁部10Aに重複して設ける構成である。そして第一アウトステッチ部OST1による一方の表皮ピース(SP5)と玉縁部10Aの縫着を止めている。このため各表皮ピースSP5,SP6にかかる引張力を、玉縁部10AではなくバーストラインBLとしての第一のステッチ部ST1に直接的に伝えることができる。また玉縁部10Aの第一帯状部位14を、第一アウトステッチ部OST1に縫着することなく、第二帯状部位16とともに他方の表皮ピース(SP6)側に固定している。こうして各帯状部位14,16が、他方の表皮ピース(SP6)側に位置決めして配置されているため、各帯状部位14,16がシート内に向けて起立するなどして、シートカバー6Sが部分的に過度に凹凸化することを極力回避できる。また第一帯状部位14と第二帯状部位16を、第三のステッチ部ST3によって他方の表皮ピース(SP6)側により確実且つ強固に固定することができる。そしてバーストラインBLが第一のステッチ部ST1であることを明確としたことにより、エアバッグ20の飛出し経路をより正確に規定することができる。特に第一のステッチ部ST1を構成する糸材を、両表皮ピースSP5,SP6にかかる張引力で相対的に破断しやすくすることで、バーストラインBLとしてより好適に用いることができる。そしてバーストラインBLの破断の際に、玉縁部10Aを、他方の表皮ピース(SP6)とともにカマチ部6c側により確実に配置しておくことができる。このため本実施例によれば、エアバッグ20の飛出し箇所となるバーストラインBLを、シートカバー6Sに取付けられている玉縁部10Aに重複して性能よく設けることができる。
[変形例1]
ここで各表皮ピースと玉縁部の縫着手法は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば変形例1では、図6を参照して、第二アウトステッチ部OST2を、第三のステッチ部の代わりに用いた点が実施例と異なっている。すなわち第五表皮ピースSP5と玉縁部10Aと第六表皮ピースSP6には、第一アウトステッチ部OST1と、第二アウトステッチ部OST2と、第一のステッチ部ST1と、第二のステッチ部ST2が設けられている。ここで第一アウトステッチ部OST1と第一のステッチ部ST1と第二のステッチ部ST2は、実施例1と同様に対応する部位を縫着している。そして第一帯状部位14を、第一のステッチ部ST1を基点として内折りしつつ、この第一帯状部位14の内折りされた末端側を第二帯状部位16に重ねる。そして第一帯状部位14の内折りされた末端側を、第二帯状部位16とともに第二アウトステッチ部OST2を介して第六表皮ピースSP6に縫着する。本変形例では、第三のステッチ部の機能を第二アウトステッチ部OST2に持たせたことで、縫製距離の短縮化によって作業性を向上させることができ、さらにシートカバー6Sの製造コスト低減に資する構成となる。
[変形例2]
また変形例2では、図7を参照して、第二のステッチ部ST2を、第三のステッチ部の代わりに用いた点が実施例と異なっている。すなわち第五表皮ピースSP5と玉縁部10Aと第六表皮ピースSP6には、第一アウトステッチ部OST1と、第二アウトステッチ部OST2と、第一のステッチ部ST1と、第二のステッチ部ST2が設けられている。ここで第一アウトステッチ部OST1と第二アウトステッチ部OST2と第一のステッチ部ST1は、変形例1と同様に対応する部位を縫着している。そして第一帯状部位14を、第一のステッチ部ST1を基点として内折りしつつ、この第一帯状部位14の内折りされた末端側を第二帯状部位16に重ねる。そして第一帯状部位14の内折りされた末端側を、第二帯状部位16とともに第二のステッチ部ST2を介して第六表皮ピースSP6に縫着する。本変形例においても、第三のステッチ部の機能を第二のステッチ部ST2に持たせたことで、縫製距離の短縮化によって作業性を向上させることができ、さらにシートカバー6Sの製造コスト低減に資する構成となる。
[変形例3]
また変形例3では、図8を参照して、第一アウトステッチ部OST1と第二アウトステッチ部OST2の双方を玉縁部10Aに非縫着状態で配置した点が実施例1と異なっている。すなわち第五表皮ピースSP5と玉縁部10Aと第六表皮ピースSP6には、第一アウトステッチ部OST1と、第二アウトステッチ部OST2と、第一のステッチ部ST1と、第二のステッチ部ST2が設けられている。ここで第一のステッチ部ST1と第二のステッチ部ST2は、実施例1と同様に対応する部位を縫着している。そして第一アウトステッチ部OST1と第二アウトステッチ部OST2の双方を玉縁部10Aに非縫着状態としたため、第一のステッチ部ST1と第二のステッチ部ST2の少なくとも一方をバーストラインBLとして使用できる。このとき第一のステッチ部ST1と第二のステッチ部ST2の糸材を適宜選択することにより、第一のステッチ部ST1と第二のステッチ部ST2のいずれかをバーストラインBLとして用いることもできる(バーストラインの選択の幅が広がる)。そして本変形例においては、各ステッチOST1,OST2,ST1,ST2が対応する部位のみを縫着しているため、シートカバー6Sの縫製作業を極力簡略化することができる。
本実施形態の乗物用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、各表皮ピースと玉縁部の構成(形状,寸法,配置位置,配置数,縫着手法など)を例示したが、これら各部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば各表皮ピースと玉縁部は、シート着座部やカマチ部の適宜の位置に設けることができ、例えば天板メイン部や天板サイド部を横断又は縦断するように配置されていてもよい。また本実施例では、一方の表皮ピース(SP5)がシート着座部としての天板サイド部6bを覆っているとともに、他方の表皮ピース(SP6)がカマチ部6cを覆っている例を説明した。これとは異なり一方の表皮ピースがカマチ部を覆っているとともに、他方の表皮ピースがシート着座部を覆っている構成としてもよい。また第一帯状部位の内折りされた末端側を他方の表皮ピース側に固定する手法として、第三のステッチ部による縫着のほか、接着や融着や貼着、ステープルなどの固定具を用いた物理的な固定手法などの各種手法を例示できる。またバーストラインの配置位置なども適宜変更可能であり、バーストラインの少なくとも一部が玉縁部に重複している場合には、本発明の構成を適用することができる。
また本実施形態では、シートの意匠性を向上させるために、玉縁部10A,10Bとアウトステッチ部OST1,OST2等の構成(形状,寸法,配置位置,配置数,構成部位など)を例示したが、これら各部の構成を限定する趣旨ではない。例えば玉縁部の意匠部位は、連続的または断続的に凹凸状とされていてもよく、各帯状部位に倣って平坦とされていてもよい。またアウトステッチ部は、玉縁部に沿って直線状に形成されている場合のほか、曲線状やジグザグ状などの各種形状で形成することができる。また複数の玉縁部を設ける場合には、同一構成の複数の玉縁部を用いることができ、異なる構成の複数の玉縁部を用いることもできる。また複数のアウトステッチ部を設ける場合にも、同一構成の複数のアウトステッチ部を用いることができ、異なる構成の複数のアウトステッチ部を用いることもできる。
また本実施形態では、乗物用シート2の構成(形状,寸法,構成部材など)を例示したが、乗物用シートの構成を限定する趣旨ではない。例えばシート着座部を天板メイン部のみで構成することができ、この場合には、天板メイン部とカマチ部の間にバーストラインと玉縁部を配置することができる。またエアバッグは、シートパッドに設けられた薄肉部位などの脆弱な箇所を破断させてシートカバーに向けて展開させることもできる。また本実施形態の構成は、シートバック6のほか、シートクッション4やヘッドレスト8等の各種シート構成部材に適用できる。また本実施例の構成と変形例の構成は適宜組み合わせることができる。そして本実施形態の構成は、乗物用や航空機や電車などの乗物用シート全般に適用できる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6F シートフレーム
6P シートパッド
6S シートカバー
6a 天板メイン部(本発明のシート着座部)
6b 天板サイド部(本発明のシート着座部)
6c カマチ部
6e 溝部
6f 孔部
10A,10B 玉縁部
12 意匠部位
14 第一帯状部位
16 第二帯状部位
20 エアバッグ
22 エアバッグ装置
24 エアバッグモジュール
31,32 力布
BL バーストライン
OST1 第一アウトステッチ部
OST2 第二アウトステッチ部
SP1 第一表皮ピース
SP2 第二表皮ピース
SP3 第三表皮ピース
SP4 第四表皮ピース
SP5 第五表皮ピース(本発明の一方の表皮ピース)
SP6 第六表皮ピース(本発明の他方の表皮ピース)
SP7 第七表皮ピース
SP8 第八表皮ピース
SP9 第九表皮ピース
E5 第一縫い代端部
E6 第二縫い代端部
ST1 第一のステッチ部
ST2 第二のステッチ部
ST3 第三のステッチ部

Claims (5)

  1. 意匠面を構成しているシートカバーと、前記シートカバーに取付けられている帯状の玉縁部と、エアバッグのシート外への飛出し箇所となるシートカバーの線状のバーストラインとを備え、
    前記シートカバーが、隣り合って配置されている一対の表皮ピースを有し、一方の表皮ピースの内折りされている第一縫い代端部と、前記一方とは異なる他方の表皮ピースの内折りされている第二縫い代端部とが前記玉縁部を介してつながっているとともに、前記第一縫い代端部と前記第二縫い代端部が、各々、シートの意匠面に露出するアウトステッチ部で対応する表皮ピースに縫着されており、
    前記バーストラインが、前記玉縁部に重複して前記玉縁部と同方向に延長する乗物用シートにおいて、
    前記玉縁部が、前記一対の表皮ピースの間に配置されてシート外に露出する意匠部位と、第一のステッチ部で前記第一縫い代端部に縫着されている第一帯状部位と、第二のステッチ部で前記第二縫い代端部に縫着されている第二帯状部位とを有し、
    前記バーストラインが、前記第一のステッチ部と前記第二のステッチ部の少なくとも一方で構成されているとともに、前記第一帯状部位と前記第二帯状部位の少なくとも一方が、対応する縫い代端部のアウトステッチ部に非縫着状態で配置されている乗物用シート。
  2. 前記第一帯状部位が、前記第一縫い代端部のアウトステッチ部に非縫着状態で配置されているとともに、前記第一のステッチ部を基点に前記第二帯状部位側に内折りされた状態とされて、前記第二帯状部位とともに前記他方の表皮ピース側に固定されている請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記第一帯状部位が、前記バーストラインとしての前記第一のステッチ部を基点に前記第二帯状部位側に内折りされた状態とされて、第三のステッチ部によって、前記第二帯状部位とともに前記他方の表皮ピースの端部に縫着されて固定されている請求項2に記載の乗物用シート。
  4. 前記第一のステッチ部が、前記第二のステッチ部に比して引張にて破断しやすい請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  5. 前記乗物用シートが、シート着座部と、シート側面部をなすカマチ部とを有し、前記一方の表皮ピースが前記シート着座部を覆っているとともに、前記他方の表皮ピースが前記カマチ部を覆っている請求項2〜4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022270394A1 (ja) * 2021-06-23 2022-12-29 デルタ工業株式会社 車両用シート、および車両用シートの製造方法

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