JP2018033830A - 調理器具及び調理方法 - Google Patents

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【課題】調理用油脂の劣化防止を図ることができる調理器具及び調理方法を提供する。【解決手段】調理器具1は、調理用の油脂が入れられた油槽内に配置され油脂に浸漬させるアンテナ2と、交流電源を1次側入力とし、2次側に交流電源の基本周波数の周波数成分と、その高調波成分とが重畳した交流出力が得られるトランス31と、を備える。油脂を加熱して油脂に食材を浸漬して調理を行う際に、アンテナ2を油脂に浸漬し、トランス31の2次側出力をアンテナ2に供給して、アンテナ2により放射される交流電界を油脂に付与する。これにより、油脂の酸化が抑えられ、グリセリン脂肪酸エステルの化学反応による種々の物質の生成が抑えられ、油脂の寿命を3倍以上に飛躍的に延長することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、加温した調理用の油脂に食材を浸漬して調理する際の油脂の劣化を防止する調理器具及び調理方法に関する。
従来から、調理用の油脂を利用した調理方法は、油脂を120℃から180℃程度に加熱し、食材を油脂に浸漬して、調理を行う。例えばサラダ油などの調理用の油脂は、不飽和脂肪酸を中心としたグリセリン脂肪酸エステルの混合物である。これを加熱して食材を浸漬して調理することにより、てんぷらやフライなどの食品を提供することができる。調理を継続するにつれ、油脂が徐々に酸化して劣化して風味を損なうようになり、最終的には、劣化した油脂を交換して廃棄することになる。具体的には、食材から出た酸素や水などにより、活性酸素が発生し、グリセリン脂肪酸エステルが化学反応により、種々の物質が生成する。例えば、2-ヘプチン-1-オール、trans,trans-2,4-ヘプタジエナール、9-デシン−1−オール、trans,trans-2,4-ノナジエナール、trans,trans-2,4-デカジエナール、10-ウンデセナール、ペンタデカン酸メチル、脂肪酸エステルなどが発生する。これらは意図していない物質であり、食品の風味などの品質を低下させる。これらが蓄積すると油脂を交換する必要があり、経済的でない。そこで、油脂を交換する頻度を少なくするために、上記の反応を抑制し、油脂の寿命を長くする種々の工夫が行われている。例えば、油脂を入れた油槽内に電極を挿入して、油脂に高周波(4kHz〜25kHz)の交流電界を付与する試みや(例えば特許文献1参照)、油脂に静電界を付与する試み(例えば特許文献2参照)が知られている。
WO2010/073572A1 特開2000−116535号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の方法では、実験をした結果、油脂の寿命を僅かに延ばすことができるものの、3倍以上に延ばすことはできないことが分かった。
本発明は、上記課題を解決するものであり、調理用の油脂の寿命を大きく延ばすことができる調理器具及び調理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の調理器具は、加温した調理用の油脂に食材を浸漬して加熱することにより調理する調理器具において、油脂中に浸漬させるアンテナと、交流電源を1次側入力とし、2次側に交流電源の基本周波数の周波数成分と、その高調波成分とが重畳した交流出力が得られるトランスと、を備え、トランスの2次側出力をアンテナに供給し、アンテナにより放射される交流電界を油脂に付与する、ものである。
上記調理器具において、トランスは、その2次側の交流出力について、高調波成分の強度が、より高次になるに連れ、その強度は減少していき、1kHzを超える周波数成分の強度は第2高調波の1/100以下となる、ことが好ましい。
また、上記調理器具において、トランスは、1次側と2次側とが抵抗を介して接続されている、ことが好ましい。
また、上記調理器具において、アンテナは、導電金属プレートで成り、該プレートの全表面を絶縁コーティングして成る、ことが好ましい。アンテナの形状に特に限定はないが、長方形または正方形の板状が考えられる。また、金属製の調理容器そのものをアンテナとしてもよい。アンテナを設置する配置に特に限定はないが、アンテナから放射される電磁波の方向は金属表面の法線方向であるため、その方向に油脂が存在している配置が好ましい。
また、本発明の調理方法は、加温した調理用の油脂に食材を浸漬して加熱することにより調理する調理方法において、油脂中にアンテナを浸漬させ、交流電源の基本周波数の周波数成分と、その高調波成分とが重畳した交流出力が得られるトランスの出力をアンテナに供給し、アンテナにより放射される交流電界を油脂に付与して食材を調理する、ものである。
本発明によれば、調理用の油脂を加熱して油脂に食材を浸漬して調理する際に、油脂に、100Hz以下の基本周波数の高調波が重畳し、1kHz以下の周波数を持つ交流電界が付与される。これにより、油脂の酸化が抑えられ、グリセリン脂肪酸エステルの化学反応による種々の物質の生成が抑えられ、油脂の寿命を飛躍的に(実験によれば、3倍以上に)延長することができる。
(a)は本発明の一実施形態に係る調理器具の概観構成を示す斜視図、(b)は同調理器具のアンテナの斜視図、(c)は(a)のA−A線断面図。 同調理器具の電気回路図。 同調理器具の変形例を示す電気回路図。 同調理器具のトランスの2次側出力の周波数特性を示す図。 同調理器具を利用して調理した実施例と油脂に交流電界を付与しない調理器具を利用して調理した比較例における油脂中に生成された各劣化物質の生成量の比較結果を示す図。 同調理器具を利用して調理した実施例の油脂中の2,4-デカジエナールの生成量の経時変化を示す図。 油脂に交流電界を付与しない調理器具を利用して調理した比較例の油脂中の2,4-デカジエナールの生成量の経時変化を示す図。
以下、本発明を具体化した実施形態による調理器具及び調理方法について図面を参照して説明する。図1は、調理器具1の外観構成を示し、図2は、調理器具1の電気回路構成を示す。調理器具1は、加温した調理用の油脂10に食材を浸漬して加熱することにより調理するものであって、調理用の油脂10に交流電界を付与することにより、油脂10の劣化を防止するものである。この調理器具1は、基本周波数の周波数成分と、その高調波成分とが重畳した交流電界を油脂10に付与することで、油脂10の劣化を防止するものである。
調理器具1は、交流電界を誘起するための電極であるアンテナ2と、アンテナ2に交流電界を誘起させるための交流出力を発生させる駆動源3と、を備える。駆動源3は、交流電源32を1次側入力とし、2次側に交流電源の基本周波数の周波数成分と、その高調波成分とが重畳したトランス31を備える。アンテナ2は、油脂10中に浸漬させる。調理器具1は、駆動源3の出力すなわちトランス31の2次側出力をアンテナ2に供給し、油脂10に交流電界を付与する。トランス31は、2次側に主な成分として、100Hz以下の基本周波数成分と、その高調波成分とが重畳した交流出力であって、その多くが1kHz以下の周波数である交流出力が得られるのが好ましいが、1kHzを超える高調波成分が含まれていても構わない。
本実施形態による調理器具1は、調理用の油脂10が入れられた油槽12を有したフライヤー11を備える。アンテナ2は、導電金属プレートで成り、このプレートの全表面を絶縁コーティングして成る。アンテナ2は、コ字状に屈曲された引っ掛け部21を有しており、例えば引っ掛け部21をフライヤー11の側壁11aの上縁に引っ掛けて、アンテナ2を油槽12内の油脂10に浸漬させる。アンテナ2は、引っ掛け部21の背面に接合された電気配線ケーブル4を介して、駆動源3に電気的に接続され、トランス31の2次側に接続されている。
トランス31は、交流電源32を1次側入力とし、2次側の両端が抵抗33を介して互いに接続されており、2次側がコイル34を介して電気配線ケーブル4及びアンテナ2に接続されている。また、トランス31は、1次側と2次側とが抵抗35を介して互いに接続されている。交流電源32は、100Hz以下の周波数の交流電源である。トランス31の1次側入力の周波数は、交流電源32の100Hz以下の周波数であり、従って、2次側の交流出力の周波数は、交流電源32と同じ100Hz以下の周波数である。2次側の出力電圧は、1次側と2次側のコイル巻数比に応じて昇圧されたものとなる。
トランス31の1次側と2次側とが抵抗35を介して互いに接続されていることにより、両極間で非対称構成となり、2次側の出力波形に歪みが生じ、これにより、2次側の交流出力は、100Hz以下の基本周波数(交流電源の基本周波数)にその基本周波数の高調波が重畳した交流出力が得られる。高調波は、基本周波数の整数倍の周波数の波であり、基本周波数に近いものから順に、1次の高調波(第1高調波)、2次の高調波(第2高調波)、3次の高調波(第3高調波)、・・・と呼ばれる。このようなトランス31の2次側出力がアンテナ2に供給され、アンテナ2によってトランス31の2次側出力による交流電界が誘起され、油脂10にトランス31の2次側出力による交流電界が付与される。すなわち、アンテナ2は、100Hz以下の周波数(交流電源の基本周波数)を基本周波数とする電界であって、その基本周波数の高調波が重畳した交流電界を誘起して、その交流電界を油脂10に付与する。
図3は、駆動源3の変形例を示す。この駆動源3では、図2に示した駆動源3に加え、トランス31の1次側にトランス39をさらに備えている。トランス39は、交流電源32を1次側入力とし、2次側がトランス31の1次側に接続されている。トランス31は、トランス39の2次側出力を1次側入力としている。トランス39の2次側出力の周波数すなわちトランス31の1次側入力の周波数は、交流電源32と同じ周波数であり、従って、トランス31の2次側の交流出力の周波数は、交流電源32と同じ100Hz以下の周波数である。トランス31の2次側の出力電圧は、トランス39の1次側と2次側のコイル巻数比、及びトランス31の1次側と2次側のコイル巻数比に応じて昇圧されたものとなる。このような構成によれば、トランス39としてコイル巻数比の異なるものを採用することにより、トランス31の1次側の入力電圧を調整して、アンテナ2の誘起する交流電界の強さを調整することができる。
図4は、交流電源32の周波数が60Hzである場合のトランス31の2次側の交流出力の周波数特性を示す。交流電源32の周波数が60Hzの場合、トランス31の2次側の交流出力は、基本周波数である60Hzの周波数成分と、60Hzの高調波である120Hz、180Hz、240Hz、などの周波数成分とを含んでいる。より高次の高調波になるにつれその強度は減少していき、1kHzを超える周波数成分の強度は第2高調波(180Hz)の100分の1以下である。場合によっては、第2高調波(180Hz)が第1高調波(120Hz)よりも強度が大きい場合もあり、第2高調波の強度が第1高調波の強度の2倍以上である場合もある。また、偶数次の高調波が奇数次の高調波よりも強度が大きい場合もある。このような場合も、技術的範囲に属するものである。交流電源32の周波数が60Hzの場合、アンテナ2の誘起する交流電界は、60Hzの周波数を基本周波数とする電界であって、60Hzの高調波である120Hz、180Hz、240Hz、・・・が重畳し、1kHzを超える周波数成分の強度は第2高調波(180Hz)の100分の1以下である。
なお、交流電源32の周波数は、60Hzに限られず、100Hz以下の任意の周波数であればよい。例えば、交流電源32の周波数が50Hzの場合には、トランス31の2次側の交流出力は、基本周波数である50Hzの周波数成分と、50Hzの高調波である100Hz、150Hz、200Hz、などの周波数成分とを含んでいる。より高次の高調波になるにつれその強度は減少していき、1kHzを超える周波数成分の強度は第2高調波(150Hz)の100分の1以下である。場合によっては、第2高調波(150Hz)が第1高調波(100Hz)よりも強度が大きい場合もあり、第2高調波の強度が第1高調波の強度の2倍以上である場合もある。また、偶数次の高調波が奇数次の高調波よりも強度が大きい場合もある。このような場合も、技術的範囲に属するものである。交流電源32の周波数が50Hzの場合、アンテナ2の誘起する交流電界は、50Hzの周波数を基本周波数とする電界であって、50Hzの高調波である100Hz、150Hz、200Hz、・・・が重畳し、1kHzを超える周波数成分の強度は第2高調波(150Hz)の100分の1以下である。
本実施形態の調理器具1を利用して調理した実施例と、油脂10に交流電界を付与しない調理器具を利用して調理した比較例とについて、油脂10の劣化を調べた。その結果を以下に示す。
調理用の油脂10を4L(リットル)投入可能なフライヤー11の油槽12に図2に示す調理器具1のアンテナ2を図1に示すように設置し、交流電源32に60Hzの交流電力を投入し、アンテナ2から交流電界を放射する状況にした。アンテナの主たる部分は15cm×20cmの大きさであり、厚さは1mmである。アンテナ2から放射される交流電界によって誘起される磁場は、1kHz以下では15マイクロテスラであり、1kHz以上では0.3マイクロテスラであった。油槽12に油脂10(本実施例ではサラダ油)を3.5L投入し、油脂10を180℃に熱した。アンテナ2は油脂10に浸漬しており、アンテナ2から放射される交流電界が油脂10に付与されている。つまり、油脂10には、60Hzの基本周波数にその基本周波数の高調波が重畳し、1kHzを超える周波数成分の強度が第2高調波の1/100以下となる交流電界が付与されている。180℃に熱した油脂10に、以下の通り、冷凍食品を順次投入して調理を行った。春巻(1kg)、豚一口かつ(500g)、梅しそチキン(1kg)、ポテトフレンチフライ(1kg)、オニオンリング(500g)、クリスピーチキン(1kg)、エビフライ(300g)、イワシフライ(600g)を揚げる調理を行った。調理後の油脂10中に生成された物質及びその生成量をガスクロマトグラフ分析装置およびガスクロマトグラフ質量分析装置で測定した。この測定結果を表1(交流電界を印加して調理を行った油脂に生成された物質とその量)に示す。
測定の結果、2-ヘプチン-1-オール、trans,trans-2,4-ヘプタジエナール、9-デシン−1−オール、trans,trans-2,4-ノナジエナール、trans,trans-2,4-デカジエナール、10-ウンデセナール、ペンタデカン酸メチル、2種の脂肪酸エステルが検出され、これらの物質の生成量が表1に示す通りであった。これらの物質は、元々の油脂10に含まれていない物質であり、油脂10の劣化のために生成した劣化物質である。
比較例1
実施例1と同様に、油槽12に図2に示す調理器具1のアンテナ2を設置した。交流電源32に電力を投入せず、アンテナ2から交流電界を放射しない状況にした。また、実施例1と同様に、油槽12に油脂10を3.5L投入し、油脂10を180℃に熱した。交流電源32に電力を投入していないので、油脂10には電界が付与されていない。実施例1と同様に、180℃に熱した油脂10に、冷凍食品を順次投入して調理を行い、調理後の油脂10中に生成された物質及びその生成量を測定した。この測定結果を表2(交流電界を印加せずに調理を行った油脂に生成された物質とその量)に示す。
測定の結果、2-ヘプチン-1-オール、trans,trans-2,4-ヘプタジエナール、9-デシン−1−オール、trans,trans-2,4-ノナジエナール、trans,trans-2,4-デカジエナール、10-ウンデセナール、ペンタデカン酸メチル、2種の脂肪酸エステルが検出され、これらの物質の生成量が表2に示す通りであった。
図5は、実施例1(表1、交流電界on)と比較例1(表2、交流電界off)における油脂10中に生成された各劣化物質の生成量の比較結果を示す。実施例1と比較例1とを比較すると、全ての劣化物質において、実施例1における生成量は、比較例1における生成量の3分の1に満たない。このことから、実施例1によれば、調理用の油脂10の劣化が抑制されており、油脂10の寿命を3倍以上に延ばすことができる。
調理用の油脂10を4L投入可能なフライヤー11の油槽12に図3に示す調理器具1のアンテナ2を図1に示すように設置し、交流電源32に50Hzの交流電力を投入し、アンテナ2から交流電界を放射する状況にした。アンテナの主たる部分は15cm×20cmの大きさであり、厚さは1mmである。アンテナ2から放射される交流電界によって誘起される磁場は、1kHz以下では13マイクロテスラであり、1kHz以上では0.2マイクロテスラであった。油槽12に油脂10(本実施例ではサラダ油)を3L投入し、油脂10を170℃に熱した。アンテナ2は油脂10に浸漬しており、アンテナ2から放射される交流電界が油脂10に付与されている。つまり、油脂10には、50Hzの基本周波数にその基本周波数の高調波が重畳し、1kHzを超える周波数成分の強度が第2高調波の1/100以下となる交流電界が付与されている。170℃に熱した油脂10に、食品を投入せず、0.8L/分の割合で空気によるバブリングを行った。30分毎に油脂10を微量採取して、油脂10中の劣化物質である2,4-デカジエナールの生成量をガスクロマトグラフ分析装置で測定した。この測定結果を図6(交流電界を印加してサラダ油を加熱及び空気をバブリングしたときの2,4-デカジエナールの生成量)に示す。測定の結果、2,4-デカジエナールの生成量は、時間の経過とともに上昇し、12時間後に最大濃度に達した。
比較例2
実施例2と同様に、油槽12に図3に示す調理器具1のアンテナ2を設置した。交流電源32に電力を投入せず、アンテナ2から交流電界を放射しない状況にした。また、実施例2と同様に、油槽12に油脂10を3L投入し、油脂10を170℃に熱した。交流電源32に電力を投入していないので、油脂10には電界が付与されていない。実施例2と同様に、170℃に熱した油脂10に、食品を投入せず、0.8L/分の割合で空気によるバブリングを行い、30分毎に油脂10を微量採取して、油脂10中の2,4-デカジエナールの生成量をガスクロマトグラフ分析装置で測定した。この測定結果を図7(交流電界を印加せずにサラダ油を加熱及び空気をバブリングしたときの2,4-デカジエナールの生成量)に示す。測定の結果、2,4-デカジエナールの生成量は、時間の経過とともに上昇し、4時間後に最大濃度に達した。
実施例2(図6、交流電界on)と比較例2(図7、交流電界off)とを比較すると、油脂10中の2,4-デカジエナールの生成量が最大濃度に達するまでの時間は、実施例2では12時間後であるのに対し、比較例2では4時間後であり、実施例2の方が比較例2よりも3倍遅い。このことから、実施例2によれば、調理用の油脂10の劣化が抑制されており、油脂10の寿命を3倍以上に延ばすことができる。
実施例1及び実施例2において、油脂10の劣化が抑制される作用機序は不明であるが、実験の結果、その効果は再現性があることが判明した。これは、油脂10に、100Hz以下の基本周波数にその基本周波数の高調波が重畳し、1kHzを超える周波数成分の強度は第2高調波の1/100以下となる持つ交流電界を付与することにより、高温の油脂10中で酸素ラジカルの生成およびその反応を抑制する効果があるためと考えられる。
本実施形態によれば、油脂10を加熱して油脂10に食材を浸漬して調理を行う際に、油脂10に、100Hz以下の基本周波数の高調波が重畳し、1kHzを超える周波数成分の強度は第2高調波の1/100以下となる交流電界が付与される。これにより、油脂10の劣化が抑制される。具体的には、油脂10の酸化が抑えられ、グリセリン脂肪酸エステルの化学反応による種々の物質(例えば、2-ヘプチン-1-オール、trans,trans-2,4-ヘプタジエナール、9-デシン−1−オール、trans,trans-2,4-ノナジエナール、trans,trans-2,4-デカジエナール、10-ウンデセナール、ペンタデカン酸メチル、脂肪酸エステルなど)の生成が抑えられる。これにより、油脂10の寿命を3倍以上に飛躍的に大きく延長することができる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、アンテナ2は、全体が油脂10に浸漬されてもよく、例えば油槽12の底面に水平に配置されてもよい。また、油脂10は、サラダ油に限られず、他の調理用の油脂にも適用可能である。
1 調理器具
2 アンテナ
3 駆動源
4 電気配線ケーブル
10 油脂
12 油槽
31 トランス

Claims (5)

  1. 加温した調理用の油脂に食材を浸漬して加熱することにより調理する調理器具において、
    油脂中に浸漬させるアンテナと、
    交流電源を1次側入力とし、2次側に交流電源の基本周波数の周波数成分と、その高調波成分とが重畳した交流出力が得られるトランスと、を備え、
    前記トランスの2次側出力を前記アンテナに供給し、前記アンテナにより放射される交流電界を前記油脂に付与する、調理器具。
  2. 前記トランスは、その2次側の交流出力について、高調波成分の強度が、より高次になるに連れ、その強度は減少していき、1kHzを超える周波数成分の強度は第2高調波の1/100以下となる、請求項1に記載の調理器具。
  3. 前記トランスは、1次側と2次側とが抵抗を介して接続されている、請求項1又は請求項2に記載の調理器具。
  4. 前記アンテナは、導電金属プレートで成り、該プレートの全表面を絶縁コーティングして成る、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の調理器具。
  5. 加温した調理用の油脂に食材を浸漬して加熱することにより調理する調理方法において、
    油脂中にアンテナを浸漬させ、
    交流電源の基本周波数の周波数成分と、その高調波成分とが重畳した交流出力が得られるトランスの出力を前記アンテナに供給し、
    前記アンテナにより放射される交流電界を前記油脂に付与して食材を調理する、調理方法。
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