JP3165708U - 大型自動フライヤー及び大型自動フライヤーの食用油酸化抑制装置 - Google Patents

大型自動フライヤー及び大型自動フライヤーの食用油酸化抑制装置 Download PDF

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Abstract

【課題】食用油の酸化抑制効果を向上させ、また揚げ時間の短縮により作業効率を向上させた大型自動フライヤーを提供する。【解決手段】食用油の酸化抑制のためのマイナス直流電位電極板を備えた容量が60リットル以上の大型フライヤーであって、少なくとも1つの食材コンベアにより食材を加熱した食用油に浸漬して揚げながら搬送する搬送手段と、マイナス直流電位を発生させるマイナス直流電位発生手段と、発生したマイナス直流電位を供給する絶縁ケーブルと、食用油に浸漬され、絶縁ケーブルにより供給された前記マイナス直流電位を食用油に印加するマイナス直流電位電極板と、大型フライヤーとマイナス直流電位電極板とを絶縁する絶縁手段と、マイナス直流電位電極板を大型フライヤーに取り付けるための絶縁ケーブルを内包した電極板取付手段と、を有する。【選択図】図1

Description

本考案は、食用油の酸化抑制のためのマイナス直流電位電極板を備えた大型自動フライヤーに係わり、特に容量が60リットル以上の大型自動フライヤー及び大型自動フライヤーの食用油酸化抑制装置に関する。
従来、フライヤーの食用油は、使用しているうちに経時的に酸化劣化し、鮮度が低下するという問題があり、近年、食用油の酸化抑制のために高電位発生装置の端子をフライヤーの食用油に入れ、高電位を通電して油の酸化を抑制する方法が種々提案されている。
例えば特許文献1では、油槽の内壁面に沿って細長の電極を配置すると共に、この電極に商用周波数(50Hz/60Hz)よりも高い周波数の交流高電圧を印加することによって、食品と油槽の底面との密着を回避し、食品裏側も十分な熱対流を起こすことで均一な揚げ状態を得ると同時に、油の劣化も阻止するフライヤー用電界形成装置が開示されている。
また特許文献2では、フライヤーの油槽内に油槽と絶縁状態で配置され、油槽内に電場を形成するための電場形成装置であって、微弱電流高電圧が印加され、セラミック又はホーローで被覆した導電性材料で構成された電極部と、前記電極部と油槽との間に微弱電流高電圧を供給するための、セラミック又はホーローで被覆した導電性材料で構成された電圧印加部を備えた電場形成装置及びフライヤーが開示されている。
特開2006−102447号公報 特開2001−95695号公報
特許文献1に開示されているフライヤー用電界形成装置の電極は、フライヤーの底面に設置するものであり、固定フライヤーであれば問題なく設置可能である。しかし大型の自動フライヤーを対象としたものではなく、コンベアを備えた自動フライヤーの場合は、電極の設置スペースや設置位置が限定されるために、電極を底面に設置できないという問題がある。
また特許文献2に開示されている電場形成装置は、各部品がユニット化され、特に電極部材はユニットを組み合わせることで様々なフライヤーに設置できるものであるが、主にフライヤーの底部に設置するものであり、コンベアを備えた自動フライヤーにはスペース的に設置することができないという問題がある。
このようにコンベアを備えた自動フライヤーは高電位を発生させる電極を設置する設置スペースや設置位置が限定されるために簡易に後付けすることが難しいという問題があった。
また従来の高電位発生装置の電極は小型のフライヤーを対象としたものが主であり、大型フライヤーに適用した場合は、食用油の酸化抑制効果に問題があった。それは大型フライヤーの油量と高電位を発生させる電極の大きさや印加電圧との関係については解明されていないこともあり、酸化抑制効果も充分でなかったからである。
本考案は、上記問題点に鑑みてなされたもので、食用油の酸化抑制のためのマイナス直流電位電極板を備えたコンベア付の大型自動フライヤー及び大型自動フライヤーの食用油酸化抑制装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本考案に係る大型自動フライヤーは、食用油の酸化抑制のためのマイナス直流電位電極板を備えた容量が60リットル以上の大型フライヤーであって、少なくとも1つの食材コンベアにより食材を加熱した食用油に浸漬して揚げながら搬送する搬送手段と、マイナス直流電位を発生させるマイナス直流電位発生手段と、前記発生したマイナス直流電位を供給する絶縁ケーブルと、食用油に浸漬され、前記絶縁ケーブルにより供給された前記マイナス直流電位を前記食用油に印加するマイナス直流電位電極板と、前記大型フライヤーと前記マイナス直流電位電極板とを絶縁する絶縁手段と、前記マイナス直流電位電極板を前記大型フライヤーに取り付けるための前記絶縁ケーブルを内包した電極板取付手段と、を有することを特徴とする。
本考案に係る大型フライヤーの食用油酸化抑制装置は、前記マイナス直流電位発生手段と、前記絶縁ケーブルと、前記マイナス直流電位電極板と、前記絶縁手段と、前記電極板取付手段と、を有することを特徴とする。
本考案によれば、食用油の酸化抑制のためのマイナス直流電位電極板を備えたコンベア付の大型自動フライヤー及び大型自動フライヤーの食用油酸化抑制装置を提供することが可能となる。
本考案の第1の実施形態に係る大型自動フライヤーを示す図である。 本考案の第1の実施形態に係る大型自動フライヤー外側の側面図である。 本考案の第1の実施形態に係るマイナス直流電位電極板と電極取付部材一体型絶縁ケーブルを説明する図である。 本考案の他のマイナス直流電位電極板の構成を説明する図である。 本考案の他のマイナス直流電位電極板の構成を説明する図である。 本考案の他のマイナス直流電位電極板の構成を説明する図である。 本考案の他のマイナス直流電位発生回路の構成を説明する図である。
以下に本考案の第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
<大型自動フライヤーの構成>
図1〜図3を参照して大型自動フライヤー1の構成を説明する。図1は、本考案の第1の実施形態に係る大型自動フライヤー1を示す図である。図1(a)は大型自動フライヤー1の側面図であり、図1(b)は大型自動フライヤー1のA−A断面図である。図2は、本考案の第1の実施形態に係る大型自動フライヤー1外側の側面図である。図3は、本考案の第1の実施形態に係るマイナス直流電位電極板と電極取付部材一体型絶縁ケーブルを説明する図である。図3(a)はマイナス直流電位電極板と電極取付部材一体型絶縁ケーブルを裏側(油増内壁面側)から見た図であり、図3(b)はマイナス直流電位電極板と電極取付部材一体型絶縁ケーブルを下側から見た図であり、図3(c)はB−B断面図である。
大型自動フライヤー1は、油槽2と食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4と加熱ヒータ5とマイナス直流電位発生回路6と電極取付部材一体型絶縁ケーブル7とマイナス直流電位電極板8と絶縁体9と投入口11とを備えて構成される。
油槽2は、食材12を揚げるための食用油を入れるもので、容量は60リットル以上の大型油槽である。図示しないが、底部には食用油を交換する時に使用済み食用油を排出する排出口が設けられている。図2に示すようにマイナス直流電位発生回路6は大型自動フライヤー1の外側の側面に配置されている。
食材搬送コンベア3は、食材12を加熱した食用油に浸漬しながら搬送する。食材搬送コンベア3は無端状のメッシュコンベア等で形成され、回転ローラ3A、3Bに掛け回されている。また図示しない取付アームにより、例えば大型自動フライヤー1を清掃する際に食材搬送コンベア3を容易に油槽2から持ち上げることができるようになっている。
食材押さえコンベア4は、食材搬送コンベア3で食材12を食用油中で揚げながら搬送している時に、食材12が浮上しないように押さえておくためのものである。食材押さえコンベア4は無端状のメッシュコンベア等で形成され、回転ローラ4A、4Bに掛け回されている。食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4とは同期して駆動される。また図示しない取付アームにより、例えば大型自動フライヤー1を清掃する際に食材搬送コンベア3を容易に油槽2から持ち上げることができるようになっている。なお取付アームは食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4とを一体として同時に持ち上げられるようになっている。
加熱ヒータ5は、油槽2の食用油を加熱するためのもので、電気ヒータ式やガスコンロ式など公知の加熱方法が適用可能である。加熱ヒータ5は、食材の揚げ加工に最適な温度、例えば170度〜180度に食用油を加熱する。なお油槽2内の食用油が所定の温度となるように図示しない制御回路によって制御されている。
マイナス直流電位発生回路6は、100V交流電源から食用油に印加するためのマイナス直流電位を発生するものである。本実施形態のマイナス直流電位発生回路6は、−1KV〜−80KVを発生することができるものであり、電流値は、例えば−120KVで248μAである。マイナス直流電位発生回路6は、出力調整用の電圧可変コントロールスイッチが設けられており、最適な電位を設定できるようになっている。なおマイナス直流電位発生器6の電圧を−1KV〜−80KVの範囲で適切に設定することが望ましい。本実施形態において、食用油に印加するマイナス直流電位は、−4000〜−12000Vである。また本実施形態では、マイナス直流電位発生回路6は大型自動フライヤー1の外側の側面に配置されているが、マイナス直流電位発生器6Aとして単独の装置とすることも可能である。
なお、マイナス直流電位発生回路6は公知の方法が適用可能である。例えば、図7に示すような、コッククロフト・ウォルトン回路などがある。コッククロフト・ウォルトン回路とは、高圧電源を得るために使用される整流回路(rectifier)の一種であり、コッククロフト・ウォルトン回路は、コンデンサとダイオードを多段式に組み合わせることによって、直流あるいは交流の電源を高電圧の交流電源へ変換できるものである。トランスの端子電圧を高くすればするほど、より高い電圧を得ることができるが、高電圧を得るためには、トランス内部での耐圧を確保するための構造が複雑になり、また整流ダイオードも耐圧性の高いものを用意する必要がある。
電極取付部材一体型絶縁ケーブル7は、マイナス直流電位発生回路6で発生した高電位を、マイナス直流電位電極板8に供給するためのものである。この絶縁ケーブル7は、例えばテフロン(登録商標)等の耐熱性、耐油性のある材料からなる絶縁層で被覆されているものである。またマイナス直流電位電極板8を、油槽2の側壁面と食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4との隙間の所定の位置に絶縁状態を保つように配置できるようになっている。図3に示すように電極取付部材は油槽2の側壁に引っかけるフックのような形状をしたもので、中央部には絶縁ケーブル7をはめ込める溝が形成してある。電極取付部材は、例えばステンレス材料などにテフロン等の耐熱性、耐油性のある材料からなる絶縁層で被覆されているものである。また公知の絶縁材料などで形成しても良い。
マイナス直流電位電極板8は、食用油の酸化を抑制するために油槽2の食用油にマイナス直流電位を印加するもので、導電性材料の金属板などであり、例えばステンレス鋼板などが好適である。マイナス直流電位電極板8は、油槽2の内壁面と食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4と、の絶縁状態を保つために所定の位置に絶縁体9が設けられている。なお耐油性のある公知の導電性材料も適用可能である。マイナス直流電位電極板8は、絶縁ケーブル7と一体型の電極板取付部材により、油槽2の側壁面と食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4との隙間に絶縁状態を保つように配置されて固定される。本実施形態においては、電極取付部材一体型絶縁ケーブル7としたことにより、例えば大型自動フライヤー1を清掃する際にマイナス直流電位電極板8と絶縁ケーブル7とを容易に取り外すことが可能である。またマイナス直流電位電極板8の面積は大型自動フライヤー1の油槽の食用油量に対応して設定することにより最適効果が得られるようになる。
絶縁体9は、油槽2の内壁面と食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4と、マイナス直流電位電極板8と、の絶縁状態を保つためのものである。図3に示すように、マイナス直流電位電極板8は、電極板のコーナー部、側縁部の必要箇所にセラミック製またはテフロン製の絶縁体9を取り付け、油槽2の内壁面と食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4と、の絶縁状態を保つための構成となっている。絶縁体9を設置する場所はマイナス直流電位電極板8を配置する位置により適宜設計することが可能である。絶縁体9は、耐熱性、耐油性のある絶縁材料からなり、例えばセラミック材料やテフロン材料などが好適である。なお耐熱性、耐油性をもつ公知の絶縁材料であれば適用可能である。
投入口11は、食用油で揚げる食材12を油槽2に投入するための入口である。
<大型自動フライヤーの動作>
次に図1を参照して、大型自動フライヤー1の食材を揚げる動作について説明する。
最初に、揚げるための食材12を投入口11から油槽2に投入する。図1には図示していないが、次工程搬送コンベア13のようなコンベアにて、自動で投入口11から食材12を投入するようになっている。なお手動にて食材12を投入することも可能である。
食材搬送コンベア3は、コンベア上面で食材12を加熱した食用油に浸漬しながら、矢印X1方向へ食材を搬送し、所定の時間食材を揚げたら食用油から取り出して、次工程搬送コンベア13へ食材12を受け渡す。このとき食材押さえコンベア4の下面は油面より少し下(食用油中)になる位置にくるように配置されている。そして食材搬送コンベア3で食材12を食用油中で揚げながら搬送している時に、食材12が食用油中から浮上しないように押さえておく。なお食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4とは同期して駆動されるようになっており、搬送速度は図示しない制御回路にて制御されている。
<マイナス直流電位電極板>
図1に示すように自動フライヤーは油槽の底部にコンベアが設けられているため、固定フライヤーに設置するように油槽の底部に食用油酸化抑制電極板を配置することによって電界を形成することは構造上困難である。
本実施形態においては、マイナス直流電位電極板8を食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4と、油槽2の内壁面との僅かな隙間に設置することで上記の問題を解決した。マイナス直流電位電極板8を隙間に配置するために、絶縁ケーブル7と電極板取付部材とを一体型として、取り付けと取り外しを簡易にできるようにした。
図3に示すように電極取付部材は油槽2の側壁に引っかけるフックのような形状をしたもので、中央部には絶縁ケーブル7をはめ込める溝が形成してある。電極取付部材は、例えばステンレス材料などにテフロン等の耐熱性、耐油性のある材料からなる絶縁層で被覆されているものである。また公知の絶縁材料などで形成しても良い。さらに油槽2側壁と接する部分に絶縁体9を設置して、電極取付部材と大型自動フライヤー1との絶縁状態を保つようにしても良い。このようにすることで大型自動フライヤー本体の絶縁施工工事やアース施工工事を不要とすることが可能となる。
本実施形態のマイナス直流電位電極板8としては導電性金属板が使用され、板厚0.5〜5mmのステンレス鋼板が適しており、このマイナス直流電位電極板8にはセラミック等の絶縁体を必要個所に取りつけ、大型自動フライヤー1に直接接触しないような構成として食用油の中に浸漬設置される。
また本実施形態のマイナス直流電位電極板8の面積は、大型自動フライヤー1の油量に応じて、適切に面積を設定することが望ましい。例えば、大型自動フライヤー1の油量が120リットル以下では単位油量1リットル当たりの電極板8面積(表側の面積)を2.0〜4.0cm2/リットル、油量120リットル以上では16.0〜18.0cm2/リットルとすることが好適である。
上記の面積を算出するための式は、次のようになる。油量が120リットル以下ではフライヤーの油量がYのときに、X(電極板面積)≧1/300×Y(油量)+2.6±0.4に設定し、油量120リットル以上では、X(電極板面積)≧1/300×Y(油量)+16.4±0.4に設定することにより、本実施形態のマイナス直流電位電極板8の面積を決定することができる。電極板8がこの範囲をこえて小さすぎると所望の酸化抑制効果が得られにくくなり、この範囲をこえて著しく大きくなると取り扱いや設置に対して好ましくない。マイナス直流電位電極板8は単一板で用いてもよく、また複数枚に分けて設置しても良い。なお、電極板8面積を算出する上記式は、本出願人が実験を積み重ねた結果、得られた算出式である。
図1(b)に示すように、食用油は加熱ヒータ5により所定の温度に加熱される。本実施形態の場合、大型自動フライヤー1の底部で加熱されるため、食用油はフライヤーの中で対流がおこる。矢印で示すようにフライヤーの中央部から上昇して油面の上面から両側の側壁面で下降して底部へと対流する。この両側の側壁面で食用油が下降する時にマイナス直流電位電極板8近傍を通ることになる。従って、マイナス直流電位電極板8を、油槽2の側壁面と食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4との隙間の所定の位置に配置することでマイナス直流電位を印加する効果が最大限に発揮できるのである。
本実施形態においては、マイナス直流電位電極板8の設置深さは、対流する食用油が側壁面で下降を始める付近にしている。詳しくは、食材搬送コンベア3の食材12の高さの半分より少し底部側にすると好適である。言い換えると、対流する食用油が下降を始める位置である、上部の食材押さえコンベア4と下部の食材搬送コンベア3との間の距離の半分より少し下側(底部側)である。またこの位置にすることは、図1(a)の矢印で示すように、食材搬送コンベア3と食材12の移動により油槽2中の食用油がかき混ぜられるために、さらにマイナス直流電位を印加する効果を向上させることができるのである。
なお本実施形態では、油槽2の片側壁面にマイナス直流電位電極板8を1つ設置した例を示したが、コンベアにより設置場所のスペースが限られている場合には、上述した電極板8の面積条件を満たすように両側の壁面にマイナス直流電位電極板8を2つ設置しても良い。この様にすれば、片側のマイナス直流電位電極板8の設置スペースは半分にすることが可能である。従って、設置スペースや隙間の距離が少ない大型自動フライヤーには、本実施形態の食用油酸化抑制電極板は極めて有効なものとなっている。
食用油の酸化程度を調べる方法として、過酸化物価(POV)および酸価(AV)が良く用いられる。POVは、油脂の酸化の始めに生ずるハイドロパーオキサイドの含量をヨウ素滴定法によって測定するもので、初期段階の酸敗度を判定する指標として広く用いられている。単位はmg当量/kgである。この数値が大きいほど酸化が進んでいる。AVは、油脂の劣化を示し、揚げ油の熱劣化の程度が分かる。数値が大きいほど劣化が進んでいる。一般的な食用油の交換目安としては、POVは30〜50程度で、AVは2.0〜3.0(約2.5)程度である。本実施形態の食用油酸化抑制電極板(マイナス直流電位電極板8)による酸化抑制効果は、大型自動フライヤーにおいて、酸価(AV)は1週間程度の使用で1.0以下であり、1ヶ月程度の長期使用でも2.5以下に抑えることが可能であった。
マイナス直流電位電極板8により食用油中にマイナス直流電位を印加することで、フライ時間の短縮、食用油温度の低下、食用油の汚染防止、食用油の酸化抑制、廃油量の削減等の効果がある。これは、水や油の分子集合体であるクラスターが電場印加によって細分化され、熱電導が良くなり、水分の蒸発速度が高められるためである。また、マイナス直流電位の印加により、不純物(遊離脂肪酸・乳化性物質を含む水分等)は、帯電性質となり、質量を増し、絶縁質の油から分離沈下を促進し、油への水の溶解量を極端に抑制し、油の劣化を防止することになる。
また本実施形態においては、食用油にマイナス高電位を印加することにより、油の分子が細分化され、油は熱伝導率が向上し、通常の油の温度より5℃から10℃程度低い温度で食材が通常の揚げ状態になる。従って、低い油温で食材を揚げることができるため油の熱劣化が抑制されるので食用油の酸化抑制効果が向上する。また揚げ時間が短縮されるため作業効率が向上する。
以上のように自動フライヤーは油槽の底部にコンベアが設けられているため、固定フライヤーに設置するように油槽の底部に食用油酸化抑制電極板を配置することによって電界を形成することは構造上困難であったが、本実施形態により大型自動フライヤー1油層内での最適な電界形成が可能となった。
<他のマイナス直流電位電極板の構成>
図4〜図6は、他の実施形態に係るマイナス直流電位電極板の構成を説明する図である。
図4は、電極板8の面積が比較的広い場合であり、電極板のコーナー部、側縁部の必要箇所にセラミック製またはテフロン製の絶縁体9を取り付け、油槽2の内壁面と食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4と、の絶縁状態を保つための構成となっている。絶縁体9を設置する場所はマイナス直流電位電極板8を配置する位置により適宜設計することが可能である。本実施形態では、設置スペースがある場合は、油槽2の底部および側壁部に設置することが可能である。
図5は、マイナス直流電位電極板8を縦置きとして自立させることができる場合であり、電極板のコーナー部、側縁部の必要箇所にセラミック製またはテフロン製の絶縁体9を取り付け、絶縁自立脚14により自立する。
図6は、マイナス直流電位電極板8の周囲に絶縁体9を設置した場合である。マイナス直流電位電極板8は、電極板8と絶縁フレーム(絶縁体)9とボルト15とから構成される。枠状の絶縁フレーム9は、耐電圧、耐熱、耐腐食性、食品衛生上無害等の点で最も優れたテフロン製である。フッ素樹脂として、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、Polytetrafluoroethylene)から構成される。この絶縁フレーム9は、電極板8が挿入可能な溝が形成されている。このように、枠状の絶縁フレーム9は、マイナス直流電位電極板8の縁部の全周を覆い絶縁保護する。
<食用油酸化抑制装置>
第1の実施形態の大型自動フライヤー1の構成にて説明した、マイナス直流電位発生回路6と電極取付部材一体型絶縁ケーブル7とマイナス直流電位電極板8と絶縁体9との構成において、マイナス直流電位発生回路6を単独のマイナス直流電位発生器6Aとすることにより、大型自動フライヤー1の食用油酸化抑制装置とすることができる。
即ち、本考案における食用油酸化抑制装置は、マイナス直流電位発生器6Aと電極取付部材一体型絶縁ケーブル7とマイナス直流電位電極板8と絶縁体9とを備えて構成される。
各部の詳細な説明は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので省略する。なおマイナス直流電位発生回路6をマイナス直流電位発生器6Aと読み替えるものとする。
本実施形態の食用油酸化抑制装置によれば、既存の大型自動フライヤーをそのまま使用でき、最適な条件で食用油の酸価劣化を抑制することができる。
また本実施形態においては、食用油にマイナス高電位を印加することにより、油の分子が細分化され、油は熱伝導率が向上し、通常の油の温度より5℃から10℃程度低い温度で食材が通常の揚げ状態になる。従って、低い油温で食材を揚げることができるため油の熱劣化が抑制されるため食用油の酸化抑制効果を向上させることができる。また揚げ時間が短縮されるため作業効率を向上させることができる。
<本実施形態の作用効果>
本実施形態においては、食用油の酸化抑制のためのマイナス直流電位電極板を備えたコンベア付の大型自動フライヤー及び大型自動フライヤーの食用油酸化抑制装置を提供することが可能となる
また本実施形態においては、マイナス直流電位電極板8を食材搬送コンベア3と食材押さえコンベア4と、油槽2の内壁面との僅かな隙間に設置するために、絶縁ケーブル7と電極板取付部材とを一体型として、取り付けと取り外しを簡易にできる。そしてコンベアによりマイナス直流電位電極板8の設置スペースが限られていてもマイナス直流電位電極板8を設置することが可能となった。
また本実施形態においては、マイナス直流電位電極板8の設置深さを、対流する食用油が側壁面で下降を始める付近にすることで、マイナス直流電位を印加する効果を最大限に発揮させることができる。そしてマイナス直流電位電極板8を油槽2の両側の側壁面の2箇所に設置する構成とすることで、食用油酸化抑制効果をより向上させると共に、電極板8の面積を半分とすることが可能である。
また本実施形態においては、対流する食用油が側壁面で下降を始める位置に食用油酸化抑制電極板を設けるため大型自動フライヤー1油層内での最適な電界形成が可能となった。
また本実施形態においては、食用油にマイナス高電位を印加することにより、油の分子が細分化され、油は熱伝導率が向上し、通常の油の温度より5℃から10℃程度低い温度で食材が通常の揚げ状態になる。従って、低い油温で食材を揚げることができるため油の熱劣化が抑制されるため食用油の酸化抑制効果を向上させることができる。また揚げ時間が短縮されるため作業効率を向上させることができる。
また本実施形態においては、大型自動フライヤー1の油量が120リットル以下では単位油量1リットル当たりの電極板8面積(表側の面積)を2.0〜4.0cm2/リットル、油量120リットル以上では16.0〜18.0cm2/リットルとすることで、所望の酸化抑制効果を得ることができる。
以上、本考案の好適な実施形態により本考案を説明した。ここでは特定の具体例を示して本考案を説明したが、実用新案登録請求の範囲に定義された本考案の広範囲な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体的に様々な修正及び変更が可能である。
本考案に係る大型自動フライヤーの前記マイナス直流電位電極板は、前記油槽の内壁面と前記搬送手段との隙間の前記食用油中に、前記大型フライヤー及び前記搬送手段との絶縁状態を保持しながら前記電極取付手段により設置されることを特徴とする。
また本考案に係る大型自動フライヤーは、前記食用油に浸漬され、該食用油と接触する前記マイナス直流電位電極板の表面片側の面積は、油量が120リットル以下ではフライヤーの油量がYのときに、X(電極板面積)≧1/300×Y(油量)+2.6±0.4に設定し、油量120リットル以上では、X(電極板面積)≧1/300×Y(油量)+16.4±0.4に設定することを特徴とする。
また本考案に係る大型自動フライヤーは、前記食用油に浸漬され、該食用油と接触する前記マイナス直流電位電極板の表面片側の面積は、油量が120リットル以下では単位油量1リットル当たり2.0〜4.0cm2/リットル、油量120リットル以上では16.0〜18.0cm2/リットルとすることを特徴とする。
また本考案に係る大型自動フライヤーの前記食用油に印加するマイナス直流電位は、−4000〜−12000Vであることを特徴とする。
また本考案に係る大型自動フライヤーの前記絶縁手段は、前記大型フライヤー内壁面及び底面と、前記マイナス直流電位電極板と、の間隔を3〜10mmに保持することを特徴とする。
業務用大型自動フライヤー(油量200リットル、油揚げ用)において、従来通り通常の食材揚げ作業を行い油の酸価を測定したところ、3日稼動で3.0以上となった。この業務用大型自動フライヤーに、16.0〜18.0cm2/リットルの面積のマイナス直流電位電極板8を設置して同様条件の総菜の油揚げ作業を行ったところ、5日稼動後で酸価(AV)が0.92であり、10日稼動でも酸価1.57と低い数値に抑えられており、酸化抑制効果が顕著に優れていた。
大型自動フライヤー1(油量300リットル、総菜用)において、従来通り通常の食材揚げ作業を行い油の酸価値を測定したところ、7日稼働で2.5以上となった。この大型自動フライヤー1に、16.0〜18.0cm2/リットルの面積のマイナス直流電位電極板8を設置して同様条件の総菜の油揚げ作業を行ったところ、30日稼働で酸価値が2.5と低い数値に抑えられており、酸化抑制効果が顕著に優れていた。
1 大型自動フライヤー
2 油槽
3 食材搬送コンベア(ネットコンベア)
3A、3B 回転ローラ
4 食材押さえコンベア(ネットコンベア)
4A、4B 回転ローラ
5 加熱ヒータ
6 マイナス直流電位発生回路
6A マイナス直流電位発生器
7 絶縁ケーブル
8 マイナス直流電位電極板
9 絶縁端子
10 食材投入口
11 食用油面
12 食材
13 次工程搬送コンベア
14 絶縁自立脚

Claims (7)

  1. 食用油の酸化抑制のためのマイナス直流電位電極板を備えた容量が60リットル以上の大型フライヤーであって、
    少なくとも1つの食材コンベアにより食材を加熱した食用油に浸漬して揚げながら搬送する搬送手段と、
    マイナス直流電位を発生させるマイナス直流電位発生手段と、
    前記発生したマイナス直流電位を供給する絶縁ケーブルと、
    食用油に浸漬され、前記絶縁ケーブルにより供給された前記マイナス直流電位を前記食用油に印加するマイナス直流電位電極板と、
    前記大型フライヤーと前記マイナス直流電位電極板とを絶縁する絶縁手段と、
    前記マイナス直流電位電極板を前記大型フライヤーに取り付けるための前記絶縁ケーブルを内包した電極板取付手段と、
    を有することを特徴とする大型自動フライヤー。
  2. 前記マイナス直流電位電極板は、前記油槽の内壁面と前記搬送手段との隙間の前記食用油中に、前記大型フライヤー及び前記搬送手段との絶縁状態を保持しながら前記電極取付手段により設置されることを特徴とする請求項1に記載の大型自動フライヤー。
  3. 前記食用油に浸漬され、該食用油と接触する前記マイナス直流電位電極板の表面片側の面積は、油量が120リットル以下ではフライヤーの油量がYのときに、X(電極板面積)≧1/300×Y(油量)+2.6±0.4に設定し、油量120リットル以上では、X(電極板面積)≧1/300×Y(油量)+16.4±0.4に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の大型自動フライヤー。
  4. 前記食用油に浸漬され、該食用油と接触する前記マイナス直流電位電極板の表面片側の面積は、油量が120リットル以下では単位油量1リットル当たり2.0〜4.0cm2/リットル、油量120リットル以上では16.0〜18.0cm2/リットルとすることを特徴とする請求項1または2に記載の大型自動フライヤー。
  5. 前記食用油に印加するマイナス直流電位は、−4000〜−12000Vであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の大型自動フライヤー。
  6. 前記絶縁手段は、前記大型フライヤー内壁面及び底面と、前記マイナス直流電位電極板と、の間隔を3〜10mmに保持することを特徴とする請求項1に記載の大型自動フライヤー。
  7. 前記マイナス直流電位発生手段と、
    前記絶縁ケーブルと、
    前記マイナス直流電位電極板と、
    前記絶縁手段と、
    前記電極板取付手段と、
    を有することを特徴とする大型自動フライヤーの食用油酸化抑制装置。
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