[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機Pは、図1(A),(B)に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤C、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤Cは、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤Cの透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されている。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
遊技盤Cは、図1(A)に示す様に、障害釘11や風車12が植設された遊技領域10の中央にセンター役物30が取り付けられ、センター役物30の中央直下に始動入賞装置7が備えられる。また、この始動入賞装置7の右斜め下方に大入賞口15が設置され、センター役物30の右側には大入賞口15の開放時に右側から遊技球を入賞させるための右打ち通路20が備えられた構成となっている。遊技盤Cには、この他、誘導レール17、普通入賞口18、アウト口19等も設置されている。
センター役物30は、大型装飾体31、ステージ32、ワープ通路33を備えるリング状を呈し、左上部分には障害釘に代わる障害ブロック34が設けられている。また、センター役物30には、右打ち通路20に侵入した遊技球を受け入れる入口35aを備えた右側トンネル35も組み付けられている。この右側トンネル35の出口35bの真下に位置する様にゲート37が設けられている。また、センター役物30の右側下方には、第2始動入賞装置27も設置されている。この第2始動入賞装置27は、ゲート37を遊技球が通過したことを契機に実行される普通図柄抽選結果に基づいて開閉動作される電動式チューリップを供えている。
本実施例のパチンコ機Pは、前枠Dの前面上部右側、前面上部左側、及び、中枠Bの前面下部にスピーカーSPupr,SPupl,SPbtmを備えている。これら三つのスピーカーは、いずれも低周波帯域から高周波帯域まで対応可能なフルレンジ特性を備えたものとしている。
実施例のパチンコ機Pは、図1(C)に示す様に、中枠Bには機構板Kが取り付けられ、この機構板Kに嵌め込む様に裏ユニットJが取り付けられている。液晶表示装置LCDは、裏ユニットJに形成された開口窓に取り付けられる。
そして、機構板K、裏ユニットJ、及び液晶表示装置LCDの裏面には、主制御基板310、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370、電源中継基板380、信号中継基板410、ランプ制御基板420、及び音声制御基板430に加えて、音声信号加工基板450が取り付けられ、それぞれ基板ケースで背面側を覆われると共に、基板ケースに形成したソケット開口を介して、基板同士の間をハーネスで接続されている。主制御基板310から配線されるハーネスは基板ケース背面に装着されたハーネスダクトの中に配線されている。また、演出制御基板320、払出制御基板330、及び発射制御基板340の基板ケースにも、主制御基板310から配線されたハーネスを収納する様にハーネスダクトが取り付けられる。この他、インタフェース基板350にもハーネスを収納するハーネスダクトが取り付けられている。
[2 制御装置全体]
次に、本実施例のパチンコ機Pのゲーム性等について説明する。まず、制御系統について図2に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置7に備えられている特図1スイッチSW1、第2始動入賞装置27に備えられている特図2スイッチSW2、ゲート37に備えられている普図スイッチSW3、大入賞口15に備えられた入賞検知スイッチSW7、普通入賞装置18,18,…に備えられた入賞検知スイッチSW11,SW12からの検知信号、及び裏ユニットJの所定位置に設けられた球排出通路に備えられた排出球検知スイッチSW41〜43からの検知信号が入力される様になっている。
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器TKZ、大入賞口15の開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置27の普通電動役物開閉用ソレノイドSOL27へとコマンドが出力される様になっている。インタフェース基板350は、払出制御基板330との間でコマンドのやり取りを行う構成となっている。なお、電源基板360は、電源中継基板380を介して主制御基板310への電源供給を行う構成となっている。そして、演出制御基板320は、表示制御基板370へとコマンドを出力する構成となっている。また、貸し玉ボタンQ、カード取り出しボタンRからの押下信号は、球貸し操作基板390へと入力され、この球貸し操作基板390からインタフェース基板350を経由して払出制御基板330へと入力される構成となっている。インタフェース基板350はまた、カードユニット500との間でもコマンドをやり取りする構成となっている。また、払出制御基板330を介してホールコンピュータ400へと賞球払出数等のホール管理用のデータやエラー報知等も行うことができる様に構成されている。
演出制御基板320は、主制御基板310からの指令信号に基づいて、表示制御基板370へと表示演出のための指令信号を出力行する。また、演出制御基板320は、主制御基板310からの指令信号に基づいて、音声演出、発光演出、可動体演出を実行させるための指令信号を信号中継基板410へと出力する。信号中継基板410は、演出制御基板320からの指令信号を発光演出を実行するためのランプ制御基板420、音声演出を実行するための音声制御基板430、及び可動体演出を実行するためのモータ制御IC510、ソレノイド制御IC520へと出力する。可動体は、遊技盤Cと裏ユニットJとの間の空間において、液晶表示装置LCDの前面側で出没動作や回動動作等を実行する様に設置される。
演出制御基板320には、さらに、プッシュボタンPB及びカーソルボタンCBからの操作信号も入力される様に構成されている。プッシュボタンPBは、メニュー表示をしたり、演出中の指令に対応してプッシュ・連打・長押しなどの遊技参加型の操作をしたりするための操作ボタンである。カーソルボタンCBは、メニュー表示によって音量調節モードや光量調節モードが選択されているときに、音量や光量の増減による調節をカーソル送りによって実施するための操作ボタンである。カーソルボタンCBは、この他、背景モードの切り換えや、BGMの切り換えなどにも用いられる。
本実施例では、音声制御基板430と、3つのスピーカーSPupr,SPupl,SPbtmとの間に、音声信号加工基板450が追加されている。
[3 制御基板の構成]
主制御基板310は、図3(A)に示す様に、主制御用CPU310a、主制御用ROM310b、及び主制御用RAM310cを組み込んだワンチップマイコンと、入出力回路310dと、その他図示省略した水晶発振回路等を備えている。入出力回路310dは、電源中継基板380を介して電源を入力すると共に、特図スイッチSW1,SW2、普図スイッチSW3、大入賞口の入賞検知スイッチSW7,普通入賞口の入賞検知スイッチSW11,12、球排出球検知スイッチSW41〜43からの信号を主制御CPU310aに対して信号を入力し、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器TKZ、大入賞口開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置開閉用ソレノイドSOL27に対して、主制御CPU310aから信号を出力する様に、ワンチップマイコンに接続されている。なお、主制御基板310は、払出制御基板330、発射制御基板340との間では、信号入力もなされる様に接続されている。主制御用CPU310aは、前述の各種スイッチからの入力を受けて主制御用ROM310b及び主制御用RAM310cとの間で情報をやり取りしながら、賞球払出、特別図柄抽選等のパチンコ機の中枢となる各種の処理を実行する。
このため、主制御用ROM310bには、主制御用CPU310aが遊技に関する処理を実行するためのプログラムを記憶するプログラム記憶部310e、このプログラムに基づいた演算処理の際に用いる「当たり判定値」などのデータ等を記憶するデータ等記憶部310fが備えられている。主制御用ROM310bには、さらに、特別図柄抽選によって選択され得る複数種類の変動パターンを記憶した変動パターン記憶部310gも備えられている。変動パターンは、特別図柄の変動表示が開始されてから特別図柄が確定停止表示されるまでの間の遊技演出(表示演出等)のベースとなるパターンを示すものである。本実施例における変動パターンは、特別図柄の変動表示が開始されてから特別図柄が確定停止表示されるまでの変動時間(演出時間)、及び当該変動時間中の飾り図柄変動ゲームの変動内容(演出内容)を特定できるものとなっている。
また、主制御用RAM310cには、主制御用CPU310aが各種処理を実行する際のワークメモリとなる一時記憶部310hと共に、特に、特別図柄抽選の結果、普通図柄抽選の結果を所定個数を限度として保留記憶しておく保留記憶部310iが備えられている。
演出制御基板320は、図3(B)に示す様に、演出制御用CPU320a、演出制御用ROM320b、及び演出制御用RAM320cを組み込んだワンチップマイコンと、入出力回路320dと、その他図示省略した水晶発振回路等を備えている。入出力回路320dは、主制御基板310、プッシュボタンPB、及びカーソルボタンCBから演出制御CPU320aに対して信号を入力し、表示制御基板370、信号中継基板410に対して信号を出力する様に、ワンチップマイコンに接続されている。演出制御CPU320aは、主制御基板310から入力される信号に基づいて、遊技演出を実行するための処理を行う。また、プッシュボタンPB、カーソルボタンCBからの入力信号に基づいて、遊技演出に変化を与える処理を行う。
このため、演出制御用ROM320bには、演出制御用CPU320aが遊技演出に関する処理を実行するためのプログラムを記憶するプログラム記憶部320e、このプログラムを用いた演算処理において用いる「演出内容選択のための判定値」などのデータ等を記憶するデータ等記憶部320fが備えられている。主制御用ROM320bには、さらに、主制御基板310から入力された変動パターンに対応して選択される各種演出のための複数種類の演出データを記憶した演出データ記憶部320gも備えられている。また、演出制御用RAM320cには、演出制御用CPU320aが各種処理を実行する際のワークメモリとなる一時記憶部320hと共に、特に、特別図柄抽選の結果を先読みによって記憶しておく先読み記憶部320iが備えられている。
本実施例においては、払出制御基板330、発射制御基板340、演出表示制御基板370、信号中継基板410、ランプ制御基板420、音声制御基板430、音声信号加工基板450、MT制御IC510、ソレノイド制御IC520等も、主制御基板310や演出制御基板320と同様にワンチップマイコンで構成する。
本実施例のパチンコ機Pにおいては、主制御基板310において、主制御用CPU310aが、入出力回路310dを介して信号が入力されることを契機として、主制御用ROM310bに予め記憶しておいたプログラムやデータ等を用いて、主制御用RAM310cに一時記憶や保留記憶を行い、入出力回路310dを介して演出制御基板320等に対して信号を出力する処理を実行する。
本実施例のパチンコ機Pにおいては、演出制御基板320において、演出制御用CPU320aが、入出力回路320dを介して信号が入力されることを契機として、演出制御用ROM320bに予め記憶しておいたプログラムやデータ等を用いて、演出制御用RAM320cに一時記憶や保留記憶を行い、入出力回路320dを介して、演出表示制御基板370や信号中継基板410に対して信号を出力する処理を実行することにより、表示演出、音声演出、発光演出、及び可動体演出を統括的に制御する役割を担い、表示制御基板370、信号中継基板410、ランプ制御基板420、音声制御基板430、音声信号加工基板450、モータ制御IC510、及びソレノイド制御IC520が、具体的な演出を実行する関係にある。本発明との関係においては、演出制御基板320だけではなく、表示制御基板370、信号中継基板410、ランプ制御基板420、音声制御基板430、モータ制御IC510、及びソレノイド制御IC520も、演出制御手段に相当し、特に、本実施例では、演出制御基板320、信号中継基板410、音声制御基板430、及び音声信号加工基板450により、「スピーカーを用いた音声演出を実行する音声演出実行手段」を構成している。
[4 主制御基板の記憶部(特別図柄抽選)]
主制御基板310は、図4(A)に示す様に、特図1用スイッチSW1からの検知信号の入力を契機として取得した特図1判定用乱数に対応する情報(乱数値そのもの、乱数値に対応するフラグ情報やコード情報など)を最大4個、特図2用スイッチSW2の検知信号入力を契機として取得した特図2判定用乱数に対応する情報(乱数値そのもの、乱数値に対応するフラグ情報やコード情報など)を最大4個、それぞれ保留記憶しておくために、主制御用RAMの保留記憶部310i内の所定の記憶領域に、特図1保留記憶部311、及び特図2保留記憶部312を備えている。これら特図1保留記憶部311,特図2保留記憶部312には、それぞれ乱数取得順に従って始動保留情報が記憶される。
特図1判定用乱数及び特図2判定用乱数は、それぞれ、「大当たり判定用乱数(乱数1)」、「特図振分判定用乱数(乱数2)」、「演出実行判定用乱数(乱数3)」、及び「変動パターン振分判定用乱数(乱数4)」から構成される。大当たり判定用乱数(乱数1)は、大当たりかはずれかを決定するための乱数である。特図振分判定用乱数(乱数2)は、特別遊技のラウンド数など、大当たり種別を振り分けるための乱数である。演出実行判定用乱数(乱数3)は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数である。リーチ演出は、「当たり」の場合だけでなく、「はずれ」においても所定の割合で実行する構成となっている。変動パターン振分判定用乱数(乱数4)は、変動パターンを振り分けるための乱数である。
乱数1と比較する「大当たり判定値」は、主制御基板310のROMに記憶されている。本実施例においては、大当り判定値は、非確変(低確率)の状態と、確変(高確率)の状態とで、異なる確率となる様に設定されている。この大当たり確率は、特図1,特図2に対して共通である。
乱数1で「大当たり」となった場合、乱数2による大当たり種別振り分けにより、特別遊技中の大入賞口開放ラウンド数が「2ラウンド(2R)」、「7ラウンド(7R)」、「15ラウンド(15R)」等に振り分けられる。
この他、乱数2による振り分けでは、「大当たり」のラウンド数が15回であっても、(1)30秒間に渡って大入賞口15を開放する「長時間開放動作」を1ラウンドとして15回実行する特別遊技の態様、(2)途中のラウンド(例えば、7ラウンド)までを「長時間開放動作」のラウンドで構成し、残りラウンドは大入賞口15を短時間(例えば、数秒あるいは1秒以下)だけ開閉する「短時間開放動作」で構成した特別遊技の態様、(3)15ラウンドの全てを上述の「短時間開放動作」で構成した特別遊技の態様、のいずれかへと振り分ける構成とすることもできる。
あるいは、規定回数の確変を付与する「STタイプ」としたり、全ての当たり図柄に確変を付与する一方で転落条件に当選した場合に「高確率」から「低確率(通常確率)」へと切り替わる「転落抽選タイプ」とすることもできる。この種の特別遊技において、さらに、特別遊技終了後の「時短ゲーム」における普通電動役物のサポート回数を20回、40回、60回、80回、100回と複数種類設定し、これらの中のいずれかへ振り分けるための「当たり種別判定」を行う構成にすることもできる。
この様な乱数2によって振り分けられ得る大当たり種別(時短回数を含む)は、特図1と特図2とで異なる設定とすることができ、さらに、どの種類の大当たりへ振り分けられるかを定める「当たり種別の振り分け確率」を、特図1と特図2とで異ならせておくこともできる。
本実施例においては、乱数1について、特図2で「大当たり」となった場合の方が、特図1で「大当たり」となった場合よりも、確変突入確率、時短の付与回数、ラウンド中の開放態様などがより有利となる様に振り分け確率が乱数2について設定されている。なお、乱数2は、乱数1が「はずれ」の場合には、実質的には意味のないものとなる。
乱数3は、乱数1が「はずれ」の場合に、後述の特図開始処理において「はずれリーチ」の有無を決定するのに用いられる。乱数1が「当たり」の場合は、リーチ演出が実行されることとなっているので、この乱数3は、実質的には意味のないものとなる。
乱数4によって振り分けられる「変動パターン」は、「変動時間の長さ」を決定するものとなる。本実施例においては、この変動パターンを決定するための変動パターンテーブルとして、図4(B)に示す様に、通常遊技状態用の変動パターンテーブル313aと、時短状態(確変状態を含む)用の変動パターンテーブル313bが、主制用ROMの変動パターン記憶部310g内の所定の記憶領域に予め記憶されている。なお、図4(A)においては、乱数1〜乱数4をそれぞれ記憶している様に記載しているが、乱数1〜乱数4によって定まる特別図柄抽選の結果を表すフラグ情報やコード情報が記憶されるものであっても構わない。
[5 演出制御基板の記憶部(演出データ)]
演出制御基板320には、音声演出、表示演出、発光演出、及び可動体演出のための演出データが、演出用制御ROMの演出データ記憶部320gの所定領域に予め記憶されている。この演出データ記憶部320gには、図5(A)に示す様に、演出データとして、特別図柄変動ゲーム中に実行する変動ゲーム中演出データDH、大当たり遊技中に実行する大当たり中演出データDVと、デモ中に実行するデモ中演出データDMとが記憶されている。また、特図変動ゲームにおいて実行される変動パターンに応じた飾り図柄変動ゲームを表示するための飾り図柄変動演出データDKZも記憶されている。
変動ゲーム中演出データDHnは、図5(B)に示す様に、背景表示用データ(DHn1)、キャラクタ表示用データ(DHn2)、発光演出用データ(DHn3)、音声演出用データ(DHn4)、及び可動体演出用データ(DHn5)の組み合わせとなっている。なお、変動ゲーム中演出データDHnにおいてDHn1〜DHn5の内、例えば、可動体演出を行わない場合はDHn5がブランクデータとなる。
大当たり中演出データDVは、大当たり種別に応じてDV1,DV2,…が備えられている。同様に、デモ中演出データDMは、デモ1用(DM1)、デモ2用(DM2)、…と複数パターンを備えている。
飾り図柄変動演出データDKZは、ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど、主制御基板310による抽選の結果に基づいて指令される変動パターンに対応したデータとして記憶されている。このため、本実施例においては、主制御基板310の通常状態用変動パターンテーブル313aに対応する飾り図柄変動時間となる通常状態用飾り図柄変動演出データDKZaと、主制御基板310の時短状態用変動パターンテーブル313bに対応する飾り図柄変動時間となる時短状態用飾り図柄変動演出データDKZbとが、演出制御基板320の演出データ記憶部320gに記憶されている。
表示制御基板370は、演出制御基板320から指令される背景表示用データDHn1に従って液晶表示装置LCDに表示した背景画像に対して重ね合わせる様にして、変動パターンに対応する飾り図柄変動演出データDKZを表示する。また、この表示演出においては、キャラクタ表示データDHn2が存在する場合はキャラクタ画像を重ねて表示する演出も実行される。
ここで、本実施例においては、変動ゲーム中演出データDHは、変動パターンに対して1対1対応となっている訳ではなく、例えば、変動パターン1に対して演出1,演出2,…などと複数の中から振り分けによって演出制御基板側で決定する構成となっている。同じく、飾り図柄変動演出データDKZも、例えば、変動パターン1に対しては変動時間1と1対1の対応であるが、飾り図柄変動パターンについては、変動パターン1に対して飾図1a,飾図1b,…の様に、複数の中から振り分けによって演出制御基板側で決定する構成となっている。これら振り分け可能な演出データDHや飾り図柄変動パターンは、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定している。
[5 音声信号加工基板と信号に変化を与えた音声演出]
音声信号加工基板450は、図6に示す様に、音声制御基板430において増幅器AMP1で増幅して音声出力端子SWNDoutから出力される音声信号SWNDを入力する音声信号入力端子SWNDinと、音声信号入力端子SWNDinを介して入力された音声信号を三つのスピーカSPupr,SPupl,SPbtmに対して出力する第1〜第3の音声出力端子SWNDout1〜SWNDout3とを備えている。また、音声信号加工基板450は、音声制御基板430のコマンド出力端子CMNDoutから出力される処理選択コマンドCMNDを入力するコマンド入力端子CMNDinも備えている。
音声制御基板430から音声信号加工基板450へと入力される音声信号SWNDは、モノラル音源となっている。音声信号加工基板450は、このモノラル音源の音声信号SWNDに対して、その周波数特性FRQに処理を加える周波数特性処理部451、その位相特性PHSに処理を加える位相特性処理部452、その音量特性VOLに処理を加える音量特性処理部453として機能するためのワンチップマイコン455を備えている。
ワンチップマイコン455は、周波数特性処理部451により、図7に示す様に、音声信号SWNDが持っている全周波数帯域をカバーする周波数特性信号FRQに対して、ハイパスフィルタ処理、ローパスフィルタ処理、バンドパスフィルタ処理を行うことにより、低周波数帯域をカットした高音特性信号FRQ01、高周波数帯域をカットした低音特性信号FRQ02、高周波数帯域及び低周波数帯域をカットした中音特性信号FRQ03を生成する。ワンチップマイコン455は、こうして生成した周波数特性の異なる信号FRQ01〜FRQ03を、音声信号出力端子SWNDout1〜SWNDout3のいずれかへと分岐させて出力する。この結果、三つのスピーカーSPupr,SPupl,SPbtmから、それぞれ周波数特性の異なる音声を出力することができる。なお、ワンチップマイコン455は、三つの音声信号出力端子SWNDout1〜SWNDout3の全てに対して、高音特性信号FRQ01、低音特性信号FRQ02、又は中音特性信号FRQ03を出力することもできる。
この周波数特性処理部451によって高音域を減衰させた低周波数特性信号FRQ03を用いて音声演出を行う場合は音が遠くに聞こえ、逆に、低音域を減衰させた高周波数特性信号FRQ01を用いて音声演出を行う場合は音が近くに聞こえる。こうした周波数特性と遊技者に対する音の聞こえ方との関係を、三つのスピーカーSPupr,SPupl,SPbtmのそれぞれにおいて異ならせた場合には、例えば、右方向からの音が近く、左方向からの音が遠く聞こえたり、その逆であったり、あるいは上方からの音が近く、下方からの音が遠く聞こえたり、その逆であったりといった具合に、さらなる変化を与えることができる。この様に、周波数特性処理部451を作動させることにより、モノラル音源のままで、立体的な音の聞こえ方を実現することができる。
なお、本実施例においては、周波数特性処理部451をどのタイミングで作動させ、周波数特性にどの様な変化を与え、周波数特性に変化を与えた信号をどのスピーカーから出力するかは、音声制御基板420からワンチップマイコン455へと入力される処理選択コマンドCMNDによって選択的に実行される構成としている。
ワンチップマイコン455は、位相特性処理部452により、図8に示す様に、音声信号SWNDが持っている位相特性PHSに対して、スルー処理、反転処理、ディレイ処理を行うことにより、正位相の特性を有する正位相信号PHS01、逆位相の特性を有する逆位相信号PHS02、位相のずれを有する位相ずれ信号PHS03を生成する。ワンチップマイコン455は、こうして生成した位相特性の異なる信号PHS01〜PHS03を、音声信号出力端子SWNDout1〜SWNDout3のいずれかへと分岐させて出力する。この結果、三つのスピーカーSPupr,SPupl,SPbtmから、それぞれ位相特性の異なる音声を出力することができる。
この位相特性処理部452によって生成した正位相特性信号PHS01と逆位相特性信号PHS02を、左右のスピーカーSPupr,SPuplにそれぞれ分岐させて出力する。一つのスピーカーから正位相特性信号PHS01と逆位相特性信号PHS02を出力した場合には、信号同士が互いに打ち消し合って無音となるが、別々のスピーカーから出力することにより、理論上は、これら左右のスピーカーからの距離が同一となる左右中心線上では音声同士が打ち消し合うものの、人の耳は左右に離れている結果、右から聞こえてくる音声と左から聞こえてくる音声は、それぞれ遊技者に聞き取られる。この結果、左右のスピーカーの間にいる遊技者には左右で位相がずれた音声が聞こえ、人間の聴覚特性から音像が乱れて立体的に聞こえることになる。これは、上下方向で正位相と逆位相になる様に音声出力した場合も同様で、この場合は、遊技者の耳と上下のスピーカーとの位置関係は、体格によって異なる。特に、本実施例の場合、下部のスピーカーSPbtmは中央ではなく左下に位置しているから、仮に、遊技者の左耳の高さが上下のスピーカーの高さ方向中央付近になっていたとしても、右耳から聞こえる音声と左耳から聞こえる音声には差が生じるから、やはり、音像の乱れによる立体的な音声演出を実行することができる。
また、音声演出による楽曲の途中で「正位相と逆位相の状態」←→「正位相のみの状態」と、ワンチップマイコン455が出力先と出力する信号との組み合わせを切り換えることにより、「籠もった音声」←→「向かって来る音声」といった遠近間の変動を、遊技者に感じさせることもできる。
この位相特性処理部452によって生成した位相ずれ信号PHS03と正位相特性信号PHS01とを別々のスピーカーから出力させる場合、即ち、位相のずれが逆転していない場合は、エコーを効かせた音声となったり、音の伝わってくる方向が正面とずれた音声となるなど、遊技者に正位相音声演出とは異なる感覚を抱かせる。
位相ずれが極めて大きくなる様に処理をした場合は、合唱団による輪唱の様な印象を遊技者に与えることも可能であるる。一方、位相ずれが僅かである様に処理した場合は、ユニゾン(合唱団による斉唱、楽団による斉奏)の様なイメージの音声演出を実現することも可能である。
さらに、周波数特性処理部451による周波数特性に対する変化と位相特性処理部452による位相特性のずれとを併用すれば、斉唱や斉奏ではなく、合唱や合奏の様な、いわゆる「ハモリ」を遊技者に感じさせることも可能となる。「ハモリ」を遊技者に感じさせる様なディレイ処理を施すには、まず、周波数特性処理部451によって周波数特性に変化を与えた信号FRQ01等を複数の周波数帯域毎に生成し、それぞれの周波数帯域の信号に対して、各周波数帯域に見合ったディレイ処理を位相特性処理部452によって施す様にするとよい。この様に、位相特性処理部452による位相特性の変化を与えた信号を音声演出に用いることにより、モノラル音源であっても、広がりや臨場感を表現した音声演出を実行することができる。
なお、本実施例においては、位相特性処理部452をどのタイミングで作動させ、位相特性にどの様な変化を与え、位相特性に変化を与えた信号をどのスピーカーから出力するか、周波数特性処理部451による処理と併用するか等は、音声制御基板420からワンチップマイコン455へと入力される処理選択コマンドCMNDによって選択的に実行される構成としている。
ワンチップマイコン455は、音量特性処理部453により、図9に示す様に、音声信号SWNDが持っている音量特性VOLに対して、レベル変更処理WP行うことにより、音量=大とする大音量特性信号VOL01、音量=中とする中音量特性信号VOL02、音量=小とする小音量特性信号VOL03を生成することができる。ワンチップマイコン455は、こうして生成した音量特性の異なる信号VOL01〜VOL03を、音声信号出力端子SWNDout1〜SWNDout3のいずれかへと分岐させて出力させて三つのスピーカーSPupr,SPupl,SPbtmから、それぞれ音量特性の異なる音声を出力することができる。
また、音量特性処理部453は、レベル変更処理の極端なものとして無音化処理も実行可能となっている。ワンチップマイコン455は、無音化処理により、音量=0の無音信号VOL00を生成し、音声信号出力端子SWNDout1〜SWNDout3のいずれかに対して無音信号VOL00を出力して一部無音演出を実行することができる。例えば、三つのスピーカーの内の二つを無音信号VOL00による音声演出とすると、遊技者には、残りの一つのスピーカーの方からだけ音声が伝わって来る様に感じさせることができる。この無音信号VOL00で音声演出を実行させるスピーカーを音声演出の途中で切り換えるなら、遊技者は、音声が伝わってくる方向が様々に変化する様に感じることとなる。なお、スピーカーをOFFにするのではなく無音信号出力とすることにより、ON/OFF切替による雑音の発生を防止することができる。
さらに、音量特性処理部453は、こうしたレベル変更処理や無音化処理だけでなく、時間軸に沿って音量が変化する変動型音量特性信号VOL11を生成するイメージ変更処理も実行可能となっている。ワンチップマイコン455は、このイメージ変更処理により生成された変動型音量信号VOL11を、音声信号出力端子SWNDout1〜SWNDout3の全てから出力させて楽曲の強弱イメージを変化させたり、三つの音声信号出力端子SWNDout1〜SWNDout3の内の一部についてだけ変動型音量特性信号VOL11を出力させ、その他は、レベル変更処理によって生成した音量特性信号VOL01等を出力させるといった制御を行うこともできる。
この様に、音量特性処理部453により、元の音声データから音量を変化させた信号VOL01等を用いて、音量が大きいほどスピーカーから鳴った音が顔に近い距離で音をはっきりと聞こえさせ、逆に、音量が小さいほど顔から遠い距離で音を濁って聞こえさせる様に、音声演出に対する変化を与えることができる。これにより、元の音声データが距離感を意識したものでなくても、遊技者に距離感を意識させる音声演出を実行することができる。
特に、複数のスピーカーの一部に関してのみ音量変化演出を実行すると、音の伝わってくる方向が変化した印象を与えることができ、無音化処理を作動させて生成した無音信号VOL00をも用いることにより、この音の伝わる方向の変化をより一層際立たせることができる。
なお、本実施例においては、音量特性処理部453をどのタイミングで作動させ、音量特性にどの様な変化を与え、音量特性に変化を与えた信号をどのスピーカーから出力するかについても、音声制御基板420からワンチップマイコン455へと入力される処理選択コマンドCMNDによって選択的に実行される構成としている。
また、ワンチップマイコン455は、周波数特性処理部451、位相特性処理部452、及び音量特性処理部453を全て作動させ、周波数特性を変化させた上で位相特性を変化させた信号に対してさらに音量特性をも変化させた信号を用いて、各スピーカーによる音声演出を実行することもできる。本実施例においては、こうした処理の組み合わせについても、音声制御基板420からワンチップマイコン455へと入力される処理選択コマンドCMNDによって選択的に実行される構成としている。
[6 主制御基板における特図開始処理]
主制御基板310は、図10(A)に示す制御系統により、RAM内に記憶された始動保留情報を読み出し、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動を特図表示器TKZに実行させると共に、演出制御基板320を介して表示演出(背景、キャラクタ等)、音声演出、発光演出、及び可動体演出を実行させる。
主制御基板310は、図10(B)のフローチャートに示す様な特図開始処理を、所定の周期(実施例では4ms)毎に実行している。この処理においては、まず、遊技演出(図柄変動または特別遊技)の実行中であるか否かを判定し(S210)、遊技演出実行中であるときは(S210:YES)、今回の処理を終了する。一方、遊技演出実行中でないときは(S210:NO)、RAM内の所定の記憶領域に始動保留情報が記憶されているか否かを判定する(S220)。始動保留情報が記憶されていない場合は(S220:NO)、デモ演出実行中か否かを判定し(S230)、デモ演出実行中であるならば処理を終了し(S230:YES)、デモ演出実行中でない場合は(S230:NO)、デモ演出開始を演出制御基板320に対して指令する(S240)。
始動保留情報の記憶がある場合は(S220:YES)、記憶順の一番早い始動保留情報が特図1始動保留情報であるか否かを判定する(S250)。特図1始動保留情報である場合は(S250:YES)、特図1記憶数N1をデクリメントし(S260)、記憶順の一番早い始動保留情報(乱数1〜乱数4)を読み出す(S270)。これにより、RAM内の記憶領域における始動保留情報の記憶順が更新され、特図表示器TKZや液晶表示装置LCDを介して実施されている保留表示も更新される。
こうして読み出した特図1始動保留情報中の乱数1が、主制御基板310のROMに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定する(S310)。この大当たり判定値は、非確変の時(低確率の時)の大当り確率と、確変状態の時(高確率の時)の大当り確率とが、予め設定されている。
大当り判定の判定結果が肯定の場合には(S310:YES)、大当りの変動であることを示す大当りフラグに「1」が設定される(S320)。そして、主制御基板310は、乱数2の値に基づき、特図表示器TKZに確定停止表示させる「大当り図柄」を決定する(S330)。ここで、乱数2の値には、特図1始動保留情報に対する当たり種別の振り分け率に対応して大当り図柄が対応付けられている。従って、主制御基板310は、S330の処理においては、読み出した乱数2の値に対応付けられた大当り図柄を決定することになる。大当り図柄(特図)が決定されると、乱数4の値に基づいて複数個の「大当り演出用の変動パターン(変動時間)」の中から1つの変動パターン(変動時間)を決定する(S340)。
一方、S310の大当り判定の判定結果が否定の場合には(大当りでない場合には)、主制御基板310は、S270で読み出した特図1始動保留情報中の乱数3に基づいてリーチ演出を実行させるか否かを判定する(S315)。本実施例では、主制御基板310は、乱数3の値が、ROMに記憶してあるリーチ演出実行判定値と一致するか否かによりS315の判定を行う。S315の判定結果が肯定の場合には(リーチ演出を行う場合には)、主制御基板310は、特図表示器TKZに確定停止表示させる「はずれ図柄」を決定し(S335)、乱数4の値に基づいて複数個の「はずれリーチ演出用の変動パターン(変動時間)」の中から1つの変動パターン(変動時間)を決定する(S345)。
また、S315におけるリーチ判定の判定結果が否定の場合には(リーチ演出を行わない場合には)、主制御基板310は、特図表示器TKZに確定停止表示させる「はずれ図柄」を決定する(S338)。次に、主制御基板310は、乱数4の値に基づいて複数個の「はずれ演出用の変動パターン(変動時間)」の中から1つの変動パターン(変動時間)を決定する(S348)。
こうして変動パターン(変動時間)および最終停止図柄を決定した主制御基板310は、演出制御基板320に対し、所定の信号を所定のタイミングで出力する(S360)。具体的には、主制御基板310は、変動パターン及び飾り図柄変動開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特図表示器TKZを制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている変動時間に対応する図柄変動を行った後に、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示器TKZの表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている変動時間に基づいて、演出制御基板320に対して飾図の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。
これに対し、記憶順の一番早い始動保留情報が特図1始動保留情報でない場合は(S250:NO)、特図2始動保留情報であるか否かを判定する(S255)。特図2始動保留情報である場合は(S255:YES)、特図2記憶数N2をデクリメントし(S265)、記憶順の一番早い始動保留情報を読み出す(S275)。その後は、特図2変動表示用処理(S400)を実行する。S400の特図2変動表示用処理は、S310〜S360と同様に構成されている。なお、S330に対応するステップでの乱数2に基づく大当たり種別の振り分け確率は、特図1始動保留情報よりも遊技者に有利な設定となっている。
この特図開始処理においては、記憶順の早いものから順番に記憶を消化していく。ここで、本実施例のパチンコ機Pは、通常遊技状態においては「普通図柄当選確率≒0%」と設定され、大当たりとなったときの大当たり図柄の振り分けにより、特別遊技終了後に確変や時短が付与された場合には「普通図柄当選確率≒100%」へと変更される。
この結果、通常遊技状態において右打ちをしても特図2始動保留情報を取得することが困難であることから、遊技者は左打ちで遊技を行い、特図1始動保留情報を蓄積しながら遊技を実行する。この結果、通常遊技状態においては、特図1始動保留情報が記憶順に従って読み出されて判定等が実行される態様で特図開始処理が進行する。
一方、特図判定が大当たりとなり、大当たりに伴う特別遊技終了後の遊技状態について確変や時短が付与された場合は、いわゆる電チューサポートを利用して特図2始動保留情報を蓄積し易い状態となる。本実施例のパチンコ機Pは、大当たり中の特別遊技は右打ちすることによって大入賞口15に入賞させ易い状態となり、液晶表示装置LCD等に右打ち示唆のナビゲーション表示を実行する。この右打ちナビゲーション表示に従って、特別遊技の実行中は、遊技者は右打ちで遊技する。そして、確変や時短が付与された場合は、特別遊技終了後も右打ちを示唆するナビゲーション表示に従って、遊技者は右打ちを続行することにより特図2始動保留情報を蓄積しながら有利に遊技を実行することができる。この結果、確変や時短が付与された遊技状態においては、特別遊技の実行直前に保留されていた特図1始動保留情報が最初に消化された後、特図2始動保留情報が記憶順に従って読み出されて判定等が実行される態様で特図開始処理が進行することとなる。
なお、確変や時短が付与された遊技状態を開始したときは、特図2始動保留情報を優先して消化する様に構成することもできる。この場合は、通常遊技状態に戻ったとき、特図2始動保留情報が存在しなくなってから特図1始動保留情報が消化される態様で特図開始処理が進行することとなる。
[7 演出制御基板による変動演出]
演出制御基板320による変動演出は、図11(A)に示す制御系統により、主制御基板310からの変動コマンドを受信することによって実行される。
変動演出処理は、図11(B)のフローチャートに示す様に、特別遊技中でなく、デモ表示状態でもない状態ときに実行される(S410:NO,S420:NO)。
変動コマンドを受信したら(S430:YES)、今回の表示演出に用いる飾り図柄変動演出データDKZと変動ゲーム中演出データDHとを決定する(S440)。
ここで、本実施例においては、演出制御用ROMの演出データ記憶部320gには、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の飾り図柄変動演出データDKZが記憶されている。S440の処理では、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDKZの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDKZを抽選によって決定する。
また、演出制御用ROMの演出データ記憶部320gには、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の変動ゲーム中演出データDHが記憶されている。S440の処理では、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDHの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDHを抽選によって決定する。
こうして決定したDH,DKZに対応するデータを演出データ記憶部320gから読み出し(S450)、変動演出を開始する(S490)。
変動ゲーム中演出データDHによる演出(S500)は、主制御基板310から全図柄停止コマンドを受信したときに(S510:YES)、飾り図柄変動演出における確定図柄の停止を行って終了する(S520)。この飾り図柄変動表示における確定図柄停止のタイミングは、主制御基板310による特図表示器TKZへの特別図柄確定のタイミングと同期している。
なお、特別遊技中であるときは(S410:YES)、変動ゲーム中演出データDHではなく、大当たり中演出データDVを読み出して(S550)、大当たり中演出ルーチンを実行する(S560)。また、デモ表示タイミングであるときは(S420:YES)、デモ中演出データDMを読み出し(S570)、デモ中演出ルーチンを実行する(S580)。
[8 特別遊技中制御]
次に、特別遊技中の制御処理として、主制御基板310が実行する大入賞口開閉制御、及び演出制御基板320が実行する大当たり中演出制御について説明する。
この大当たりラウンド制御は、図12(A)に示す制御系統により、主制御基板310による図12(B)に示す大入賞口開閉制御と、演出制御基板320による図12(C)に示す大当たり中演出制御とを実行する構成となっている。
主制御基板310においては、図12(B)に示す様に、特別図柄抽選結果が大当たりとなって特別遊技の1ラウンド目を開始する際に(S610:YES)、ラウンド数Rを「1」に設定すると共に(S620)、大入賞口開閉用ソレノイドSOL7を「ON」にする(S630)。これによって、大入賞口15を閉じていた扉又は羽根が開き、遊技球が入賞可能な状態となる。
続いて、主制御基板310は、所定時間が経過したか否か(S640)及び所定個数の入賞があったか否か(S650)が判定される。「所定時間経過」又は「所定個数入賞」の内のいずれかが成立したら(S640:YES、又はS650:YES)、大入賞口開閉用ソレノイドSOL7を「OFF」にすると共にラウンド数をインクリメントする(S660)。
主制御基板310は、続いて、最終ラウンドが終了したか否かを判定し(S670)、最終ラウンドが終了するまではS630以下の制御処理を繰り返し(S670:NO)、最終ラウンドが終了したら本処理を終了する(S670:YES)。
演出制御基板320においては、図12(C)に示す様に、大当たり種別に対応する特別遊技中演出データDVを決定し(S710)、オープニング演出を開始する(S720)。このオープニング演出は特別遊技の1ラウンド目の開始タイミングとなるまで続行される(S730:NO)。1ラウンド目の開始タイミングになると(S730:YES)、オープニング演出を終了すると共に、S710で読み出したDVに基づく特別遊技中演出を開始する(S740)。この特別遊技中演出は特別遊技の最終ラウンドの終了タイミングとなるまで続行される(S750:NO)。最終ラウンドの終了タイミングになると(S750:YES)、エンディング演出を開始する(S760)。このエンディング演出は時間によって実行期間が定められている。このため、所定時間が経過したとき(S770:YES)、エンディング演出を終了する(S780)。
[9 加工音声演出]
次に、音声信号加工基板450における音声信号の周波数特性、位相特性、音量特性を変化させた信号を用いた加工音声演出について説明する。サブ制御基板320は、、図13(A)に示す制御系統により、音声演出を実行するに当たって、音声信号加工基板450における音声信号の加工を実行させる場合には、信号中継基板410→音声制御基板430→音声信号加工基板450へと処理選択コマンドCMNDを送信する。音声信号加工基板450は、この処理選択コマンドCMNDが入力されたとき、音声制御基板430から入力されたモノラル音源の音声信号SWNDに対し、周波数特性処理部451、位相特性処理部452、音量特性処理部453のいずれか又は複数を作動させると共に、三つのスピーカーSPupr,SPupl,SPbtmを用いて広がりや臨場感を持たせた加工音声演出を実行している。本実施例では、この加工音声演出を信頼度報知にも利用している。
演出制御基板320は、図13(B)のフローチャートに示す様に、信頼度報知を実行する条件が成立しているか否かを判定する(S810)。本実施例では、信頼度報知は、大当たり確定時変動パターン、特定はずれ変動パターン(はずれの場合に選択された激アツリーチ)に対しては常に、スーパーリーチはずれに対しては所定の割合で実行する様に設定している。その実行タイミングは、信頼度報知対象となっている変動演出を実行する際、及び、保留先読み予告において信頼度報知対象となる保留記憶がある場合の先読み予告演出の際、等において実行する設定としている。
信頼度報知の対象であると判定された場合は(S810:YES)、信頼度報知対象の変動パターンが大当たり変動に該当するか否かを判定する(S820)。大当たり変動に該当する場合は(S820:YES)、大当たり変動に対する信頼度報知のための加工音声演出を指令するための処理選択コマンドCMNDを抽選処理によって決定する(S830)。一方、信頼度報知対象の変動パターンが大当たり変動に該当していない場合は(S820:NO)、当該変動パターンが特定はずれ変動に該当するか否かを判定する(S825)。特定はずれ変動パターンに該当するときは(S825:YES)、特定はずれ変動に対する信頼度報知のための加工音声演出を指令するための処理選択コマンドCMNDを抽選処理によって決定する(S832)。また、大当たり変動でもなく、特定はずれ変動でもない場合は(S825:NO)、スーパーリーチはずれ変動に対する信頼度報知のための加工音声演出を指令するための処理選択コマンドCMNDを抽選処理によって決定する(S834)。
ここで、信頼度報知のための加工音声演出を指令するための処理選択コマンドCMNDは、CMND01=信頼度が極めて高い、CMND02=信頼度が高い、CMND03=信頼度は中くらい、CMND=信頼度は低い、といった具合に設定されている。そしてて、[S830の振り分け率]=[CMND01>>CMND02>>CMND03>>CMND04]、[S832の振り分け率]=[CMND02>>CMND01>CMND03>>CMND04]、[S834の振り分け率]=[CMND04>CMND03>>CMND02]、を満足する様な抽選処理を実行する。
こうして加工音声演出を指令するための処理選択コマンドCMNDが決定したら(S830.、S832,S834)、これを信号中継基板410へと出力する(S840)。演出制御基板320から出力された処理選択コマンドCMNDは、信号中継基板410から音声制御基板430へと入力される。このとき、演出制御基板320からは、音声演出のための指令も信号中継基板410へと送信され、音声制御基板430へと入力される。図6に示した様に、音声制御基板430は、信号中継基板410から入力された音声演出のための指令に基づいて音声信号SWNDを、増幅器AMP1で増幅して音声出力端子SWNDoutから出力すると共に、加工音声演出を指令するための処理選択コマンドCMNDをコマンド出力端子CMNDoutから出力する。音声信号加工基板450は、音声信号入力端子SWNDinから入力された音声信号SWNDに対して、コマンド入力端子CMNDinから入力された処理選択コマンドCMNDに従って、周波数特性、位相特性、音量特性のいずれか又は複数を変化させる加工を行い、その結果生成した信号の出力先を、処理選択コマンドCMNDに従って選択した上で、第1〜第3の音声出力端子SWNDout1〜SWNDout3から出力する。これにより、[5 音声信号加工基板と信号に変化を与えた音声演出]で説明した様に、三つのスピーカSPupr,SPupl,SPbtmを用いた広がりや臨場感、音の移動、音の接近・離間などを遊技者に感じさせ得る加工音声演出を実行する。
一方、信頼度報知ではないと判定された場合は(S810:NO)、信頼度報知以外の通常時用の音声加工演出を実行する所定条件を満たしているか否かを判定する(S850)。所定条件としては、例えば、リアルタイムクロックによる時刻情報、当日の変動回数・大当たり回数・連チャン回数等の履歴情報、大当たりにおけるオープニングラウンドやエンディングラウンドの開始時、デモ演出実行中の所定タイミング、などを因子として、周波数特性処理部451、位相特性処理部452、音量特性処理部453のいずれを作動させるか、加工した音声信号を三つのスピーカーSPupr,SPupl,SPbtmのいずれから出力させるか、などを指令するための通常時用の処理選択コマンドCMNDを予め設定してある。
信頼度報知ではないが、所定条件を満足していると判定された場合は(S850:YES)、上述した様に、YESの判定原因となった因子に対応して予め設定してある通常時用の処理選択コマンドCMNDを選択する(S860)。そして、S840へ進んで出力する。なお、S850の判定が「NO」の場合は、加工音声演出を指令することなく本ルーチンを抜け、通常の音声演出が実行される。
[10 実施例1の構成・作用・効果]
実施例1のパチンコ機Pは、[A]図柄の変動表示が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典が得られる様に構成されると共に[主制御基板による特図開始処理、大入賞口開閉処理]、複数のスピーカー[SPupr,SPupl,SPbtm]を用いた音声演出を実行する音声演出実行手段[演出制御基板320,信号中継基板410,音声制御基板430,音声信号加工基板450]を備え、さらに、以下の構成をも備えている。
[A1]前記音声演出実行手段は、前記複数のスピーカーの内の一部のスピーカーについて、他のスピーカーとは位相をずらした音声による位相ずれ音声演出を実行し得る手段[音声信号加工基板450,位相特性処理部452]として構成されていること。
[A1]の構成を備えた実施例1のパチンコ機Pによれば、音声演出実行手段により、複数のスピーカーの内の一部のスピーカーからは、他のスピーカーとは位相をずらした音声を出力させる。例えば、遊技機の左右にスピーカーを備えている場合、左側のスピーカーと右側のスピーカーで位相をずらした音声[PHS01とPHS02,PHS01とPHS03等]を出力させる。この結果、左右のスピーカーの間にいる遊技者には左右で位相がずれた音声が聞こえ、人間の聴覚特性から音像が乱れて立体的に聞こえることになる。
実施例1のパチンコ機Pは、[A1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[A2]前記音声演出実行手段は、前記位相ずれ音声演出として逆位相の音声を用い得る手段として構成されていること。
実施例1のパチンコ機Pは、かかる構成をも備えているから、音声演出実行手段により、複数のスピーカーの内の一部のスピーカーからは、他のスピーカーとは逆位相となる音声[PHS02]を出力させる。例えば、遊技機の左右にスピーカーを備えている場合、左側のスピーカーと右側のスピーカーで位相が逆転した音声[PHS01とPHS02]を出力させる。単純に正位相と逆位相の音声同士を重ね合わせて一つのスピーカーから出力させるなら、重ね合わせた音声同士が互いに打ち消し合って無音となる。しかし、実施例1のパチンコ機Pは、互いに逆位相となる音声[PHS01とPHS02]を別々のスピーカーから出力するから無音にはなる訳ではない。理論上は、これら左右のスピーカーからの距離が同一となる左右中心線上では音声同士が打ち消し合うことになる。しかし、人の耳は左右に離れている。この結果、右から聞こえてくる音声と左から聞こえてくる音声は、それぞれ遊技者に聞き取られる。
実施例1のパチンコ機Pは、少なくとも[A1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[A3]前記音声演出実行手段は、前記複数のスピーカーを用いて位相ずれのない音声[PHS01]を出力する正位相音声演出をも実行可能に構成され、該正位相音声演出と前記位相ずれ音声演出のいずれにより前記複数のスピーカーを用いた音声演出を実行するかを、遊技状況に応じて切り換える音声演出切換手段[演出制御基板320の加工音声演出指令ルーチンにより出力される処理選択コマンドCMNDを受信するワンチップマイコン455]を備えていること。
実施例1のパチンコ機Pは、かかる構成をも備えているから、音声演出切換手段が、正位相音声演出を行うか、それとも位相ずれ音声演出を行うかを、遊技状況に応じて切り換える[加工音声演出指令ルーチンのS860]。正位相音声演出に切り換えた状態では、複数のスピーカーから位相のずれがない音声が出力され、音声が遊技者に向かって集まって来る様に聞こえる。これに対し、位相ずれ音声演出に切り換えた状態、特に、逆位相の音声出力を実行する場合は、遊技者にとっては音声が遠ざかっていく様な印象を与える。また、位相のずれが逆転していない場合は、エコーを効かせた音声となったり、音の伝わってくる方向が正面とずれた音声となるなど、遊技者に正位相音声演出とは異なる感覚を抱かせる。
実施例1のパチンコ機Pは、少なくとも[A1][A3]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[A4]前記音声演出切換手段は、前記抽選の結果に基づいた大当たり信頼度、もしくは、前記変動表示の変動パターンに基づいて、前記切り換えを実行する手段[演出制御基板320の加工音声演出指令ルーチンのS810〜S840]を備えていること。
として構成されていること。
実施例1のパチンコ機Pは、かかる構成をも備えているから、複数のスピーカーから位相のずれがない音声を出力する状態と、位相のずれがある音声を出力する状態とを切り換えることにより、遊技者に対して、音声が、近付いてくる様な印象、遠ざかっていく様な印象、エコーが付与された印象などを切り換えることができ、音声演出により、遊技者に与える印象を種々に変化させることができる。この結果、大当たり信頼度に応じて音声演出切換手段による切り換えを実行することで、音声演出による大当たり信頼度の報知を行うことができる。また、変動パターンに応じて音声演出切換手段による切り換えを実行することで、変動表示に応じた広がりや臨場感を有する音声演出を実行することができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[A1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[A5]前記音声演出実行手段は、モノラル音源の音声データ[音声信号SWND]に対して位相をずらす処理を実行する位相ずらし手段[位相特性処理部452]を備えていること。
実施例1のパチンコ機Pは、かかる構成をも備えているから、音声信号[SWND]の位相特性[PHS]に変化を与えることにより、モノラル音源であっても、広がりや臨場感を表現した音声演出を実行することができる。
実施例1のパチンコ機Pは、また、[B]図柄の変動表示が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典が得られる様に構成されると共に[主制御基板による特図開始処理、大入賞口開閉処理]、スピーカーを用いた音声演出を実行する音声演出実行手段[演出制御基板320,信号中継基板410,音声制御基板430,音声信号加工基板450]を備え、さらに、以下の構成をも備えている。
[B1]前記音声演出実行手段は、前記音声演出において、元の音声データから音量を変化させた音声データに基づいた音量変化演出を実行し得る手段[音声信号加工基板450,音量特性処理部453]として構成されていること。
[B1]の構成を備えた実施例1のパチンコ機Pによれば、元の音声データから音量を変化させた音声データ[VOL00,VOL01〜VOL03,VOL11]に基づいた音声演出を実行することができる。例えば、音量が大きいほどスピーカーから鳴った音が顔に近い距離で音がはっきりと聞こえる。逆に、音量が小さいと顔から遠い距離で音が濁って聞こえる。これにより、元の音声データが距離感を意識したものでなくても、遊技者に距離感を意識させる音声演出を実行することができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[B1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[B2]前記スピーカーを複数備え[SPupr,SPupl,SPbtm]、前記音声演出実行手段は、前記複数のスピーカーの内の一部のスピーカーに関してのみ前記音量変化演出を実行する手段として構成されていること。
複数のスピーカーの一部に関してのみ音量変化演出を実行することにより、音の伝わってくる方向が変化した印象を与えることができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[B1][B2]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[B3]前記音声演出実行手段は、前記複数のスピーカーの内の一部のスピーカーに関しては所定の音量とし、他のスピーカーに関しては無音[VOL00]とした一部無音演出を実行し得る手段として構成されていること。
例えば、左右にスピーカーを備えている遊技機において、左側のスピーカーに関して一部無音演出を実行すれば、遊技者は、音声が右側から伝わって来る様に感じる。逆に右側のスピーカーにに関して一部無音演出を実行すれば、遊技者は、音声が左側から伝わって来る様に感じる。上下にスピーカーを備えている遊技機であれば、一部無音演出を実行することによって、音が上から降りてくる様な印象や、音が下からせり上がってくる様な印象を遊技者に与えることができる。実施例1のパチンコ機Pは、「[B3B]前記音声演出実行手段は、前記一部無音演出を実行させるスピーカーを切り換えるスピーカー切換手段[処理選択コマンドCMNDに基づくワンチップマイコン455の出力先切り換え]を備えている」ので、遊技者に対して、音が上下左右に動いている様に感じさせることもできる。
実施例1のパチンコ機Pは、少なくとも[B1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[B4]前記音声演出実行手段は、前記元の音声データに基づいて前記音声演出を実行する元データ音声演出をも実行可能に構成され、該元データ音声演出と前記音量変化演出のいずれにより前記音声演出を実行するかを、遊技状況に応じて切り換える音声演出切換手段[加工音声演出指令ルーチンのS850の判定結果による音声演出の実行]を備えていること。
実施例1のパチンコ機Pは、かかる構成をも備えたので、音声演出切換手段が、元データ音声演出を行うか、それとも音量変化演出を行うかを、遊技状況に応じて切り換える。例えば、音量調節を遊技者が実行可能な場合、元データ音声演出が実行されるときは、遊技者の好み通りの音量となる。一方、音量変化演出を実行する遊技状況になったときは、音声演出切換手段が、音量変化演出を実行する。これにより、遊技者が音量を抑えすぎている場合であっても、盛り上がりを持たせる様に音量を大きくしたり、あるいは、音量が大きくなったり小さくなったりすることで奥行き方向の音の変化や、一部無音演出による音の移動を感じさせて遊技を盛り上げることができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[B4]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[B5]前記音声演出切換手段は、前記抽選の結果に基づいた大当たり信頼度、もしくは、前記変動表示の変動パターンに基づいて、前記切り換えを実行する手段として構成されていること。
実施例1のパチンコ機Pは、かかる構成をも備えたので、上述の様な遊技状況に応じた音声演出の切り換えを大当たり信頼度に応じて実行することで、音声演出による大当たり信頼度の報知を行うことができる。また、変動パターンに応じて音声演出切換手段による切り換えを実行することで、変動表示に応じた広がりや臨場感を有する音声演出を実行することができる。
実施例1のパチンコ機Pは、少なくとも[B1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[B6]前記音声演出実行手段は、モノラル音源の音声データに対して音量を変化させる処理を実行する音量変化手段を備えていること。
実施例1のパチンコ機Pは、かかる構成をも備えているから、モノラル音源であっても、音声信号[SWND]の音量特性[VOL]に変化を与えることにより、広がりや臨場感を表現した音声演出を実行することができる。
実施例1のパチンコ機Pは、また、[C]図柄の変動表示が可能であって所定の抽選に当選したことを契機に特典が得られる様に構成されると共に[主制御基板による特図開始処理、大入賞口開閉処理]、スピーカーを用いた音声演出を実行する音声演出実行手段[演出制御基板320,信号中継基板410,音声制御基板430,音声信号加工基板450]を備え、さらに、以下の構成をも備えている。
「C1]前記音声演出実行手段は、前記音声演出において、遊技状況に応じて、元の音声データから周波数特性を変化させた音声データに基づいた周波数特性変化演出を実行し得る手段[音声信号加工基板450,周波数特性処理部451]として構成されていること。
[C1]を備えた実施例1の本発明の遊技機によれば、音声演出実行手段により、周波数特性変化演出を実行することにより、例えば、高音域を減衰させた周波数特性[FRQ02]に変化させることにより音は遠くに聞こえ、逆に、低音域を減衰させた周波数特性[FRQ01]に変化させることにより、音は近くになっている様に聞こえる。そして、この様な遠近間を遊技状況に応じて感じさせることにより、遊技の盛り上がりを感じさせることができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[C1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[C1A]前記音声演出実行手段は、前記周波数特性変化演出を、前記抽選の結果に基づいた大当たり信頼度、もしくは、前記変動表示の変動パターンに応じて実行するする手段として構成されていること。
[C1]を備えた実施例1のパチンコ機Pは、[C1A]をも備えることにより、周波数特性の変化により、音声演出による大当たり信頼度の報知や、変動表示に応じた広がりや臨場感を有する音声演出を実行することができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[C1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[C1B]前記音声演出実行手段は、モノラル音源の音声データに対して周波数特性を変化させる処理を実行する周波数特性変化手段を備えていること。
実施例1のパチンコ機Pは、かかる構成をも備えているから、モノラル音源であっても、音声信号[SWND]の周波数特性[FRQ]に変化を与えることにより、広がりや臨場感を表現した音声演出を実行することができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[C1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
「C2]前記スピーカーを複数備え[SPupr,SPupl,SPbtm]、前記音声演出実行手段は、前記複数のスピーカーの内の一部のスピーカーについて、他のスピーカーとは位相をずらした音声による位相ずれ音声演出を実行し得る手段として構成されていること。
実施例1のパチンコ機Pは、[C1][C2]を備えることにより、複数のスピーカーの内の一部のスピーカーからは、他のスピーカーとは位相をずらした音声を出力させる。これにより、周波数特性の変化による遠近間に加えて、位相のずれによる立体的な音声演出を実行することができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[C1][C2]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
「C3]前記音声演出実行手段は、前記複数のスピーカーを用いて位相ずれのない音声を出力する正位相音声演出をも実行可能に構成され、該正位相音声演出と前記位相ずれ音声演出のいずれにより前記複数のスピーカーを用いた音声演出を実行するかを、遊技状況に応じて切り換える音声演出切換手段[加工音声演出指令ルーチンのS850の判定結果による音声演出の実行]を備えていること。
[C3]をも備えた実施例1のパチンコ機Pによれば、音声演出切換手段が、正位相音声演出を行うか、それとも位相ずれ音声演出を行うかを、遊技状況に応じて切り換える。正位相音声演出[FRQ01のみ]に切り換えた状態では、複数のスピーカーから位相のずれがない音声が出力され、音声が遊技者に向かって集まって来る様に聞こえる。これに対し、位相ずれ音声演出に切り換えた状態、特に、逆位相の音声出力を実行する場合は[FRQ01とFRQ02]、遊技者にとっては音声が遠ざかっていく様な印象を与える。また、位相のずれが逆転していない場合は[GRQ01とFRQ03]、エコーを効かせた音声となったり、音の伝わってくる方向が正面とずれた音声となるなど、遊技者に正位相音声演出とは異なる感覚を抱かせる。
実施例1のパチンコ機Pは、少なくとも[C1]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[C4]前記音声演出実行手段は、前記音声演出において、元の音声データから音量を変化させた音声データに基づいた音量変化演出を実行し得る手段[周波数処理部451と音量特性処理部453の併用も可能]として構成されていること。
[C4]を備えた実施例1のパチンコ機Pによれば、元の音声データから音量を変化させた音声データに基づいた音声演出を実行することができる。例えば、音量が大きいほどスピーカーから鳴った音が顔に近い距離で音がはっきりと聞こえる。逆に、音量が小さいと顔から遠い距離で音が濁って聞こえる。これにより、元の音声データが距離感を意識したものでなくても、遊技者に距離感を意識させる音声演出を実行することができる。そして、周波数特性の変化による遠近間と相俟って、さらに奥行きの深さを感じさせることができる。
実施例1のパチンコ機Pは、[C4]に加えて、さらに、以下の構成をも備えている。
[C5]前記音声演出実行手段は、前記元の音声データに基づいて前記音声演出を実行する元データ音声演出をも実行可能に構成され、該元データ音声演出と前記音量変化演出のいずれにより前記音声演出を実行するかを、遊技状況に応じて切り換える音声演出切換手段を備えていること。
[C4][C5]を備えた実施例1のパチンコ機Pによれば、音声演出切換手段が、元データ音声演出を行うか、それとも音量変化演出を行うかを、遊技状況に応じて切り換える。例えば、音量調節を遊技者が実行可能な場合、元データ音声演出が実行されるときは、遊技者の好み通りの音量となる。一方、音量変化演出を実行する遊技状況になったときは、音声演出切換手段が、音量変化演出を実行する。これにより、遊技者が音量を抑えすぎている場合であっても、盛り上がりを持たせる様に音量を大きくしたり、あるいは、音量が大きくなったり小さくなったりすることで奥行き方向の音の変化や、一部無音演出による音の移動を感じさせて遊技を盛り上げることができる。
この様に、実施例1のパチンコ機Pによれば、機器構成を複雑化することなく、広がりや臨場感を表現することができる。
以上、発明を実施するための最良の形態としてのいくつかの実施例及び変形例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
例えば、スロットマシンに本発明を適用することもできる。また、音声信号加工基板450を音声制御基板430と別に備える必要はなく、音声制御基板430に周波数特性処理部451,位相特性処理部452,音量特性処理部453の機能や処理選択コマンドCMNDに応じて出力先を切り換えるといった処理をも実行させる様に構成しても構わない。さらに、周波数特性処理部451,位相特性処理部452,音量特性処理部453は、ハードウェアロジックで構成してもよい。加えて、音声信号加工基板450において処理選択コマンドCMNDに基づいて出力先スピーカーを切り換えるのではなく、周波数特性処理部451,位相特性処理部452,音量特性処理部453をスピーカー毎に独立に備えさせ、各スピーカーへの音声信号出力時にどの処理部をどの様に作動させるかを処理選択コマンドCMNDで指令する構成としても構わない。加えて、実施例では、周波数特性処理部451,位相特性処理部452,音量特性処理部453を全て備えているが、これらの一部だけを備えて加工音声演出を実行する様に構成してもよい。