JP2018033346A - 食肉加工食品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
トランスグルタミナーゼに接触させた食肉片を成形及び圧着する工程B、並びに
成形及び圧着した食肉片を加熱する工程C
を含む、食肉加工食品の製造方法。
[2]工程Bにおける圧着の圧力が、0.05〜1.5kg・f/cm2である、[1]記載の製造方法。
[3]工程Aにおける食肉片とトランスグルタミナーゼとの接触を、トランスグルタミナーゼを含む液に食肉片を浸漬させることによって行う、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]工程Bにおいて、成形前の食肉片に衣材を付着させることを含む、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5]衣材が、溶解度が18重量%以下である加工澱粉を含む、[4]記載の製造方法。
[6]衣材のタンパク質含量が、1〜10%である、[4]又は[5]記載の製造方法。
[7]工程Bにおける成形後の食肉片の形状が、球状又は略球状である、[1]〜[6]のいずれか一つに記載の製造方法。
[8]工程Bにおいて、成形後の食肉片を圧着前に、1〜30分間、1〜15℃の状態にすることを含む、[1]〜[7]のいずれか一つに記載の製造方法。
[9]工程Cにおける加熱が、油ちょう加熱及び/又は過熱水蒸気加熱を含む、[1]〜[8]のいずれか一つに記載の製造方法。
[10]油ちょう加熱の加熱温度が100〜200℃であり、加熱時間が0.5〜3分間である、[9]記載の製造方法。
[11]過熱水蒸気加熱の加熱温度が100〜200℃であり、加熱時間が0.5〜10分間である、[9]又は[10]記載の製造方法。
[12]工程Cにおける加熱回数が、2回以上である、[1]〜[11]のいずれか一つに記載の製造方法。
[13]工程Cにおける最初の加熱後から最後の加熱前までに、食肉片を0.5〜5分間、10〜50℃の状態にすることを含む、[12]記載の製造方法。
[14]食肉加工食品が、から揚げ及び竜田揚げからなる群より選択されるいずれか一つある、[1]〜[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]食肉片にトランスグルタミナーゼを接触させる工程A、
トランスグルタミナーゼに接触させた食肉片を成形及び圧着する工程B、並びに
成形及び圧着した食肉片を加熱する工程C
を含む、食肉加工食品の肉の開きの抑制方法。
[16]食肉片にトランスグルタミナーゼを接触させる工程A、
トランスグルタミナーゼに接触させた食肉片を成形及び圧着する工程B、並びに
成形及び圧着した食肉片を加熱する工程C
を含む、食肉加工食品のジューシー感の低下の抑制方法。
[17]食肉片にトランスグルタミナーゼを接触させる工程A、
トランスグルタミナーゼに接触させた食肉片を成形及び圧着する工程B、並びに
成形及び圧着した食肉片を加熱する工程C
を含む、食肉加工食品の肉の開き及びジューシー感の低下の抑制方法。
また本発明の製造方法によれば、高温で長時間保管してもジューシー感の低下が抑制され、好ましいジューシー感を有する食肉加工食品を得ることができる。
また本発明の製造方法によれば、高温で長時間保管した後も衣の歯切れの良い食肉加工食品を得ることができる。
工程Aは、食肉片にトランスグルタミナーゼを接触させることを含む。食肉片にトランスグルタミナーゼを接触させることにより、食肉片が加熱されても開きにくくなり得、また、食肉片の内部に肉汁が閉じこめられ、高温で長時間保管した場合でも、ジューシー感の低下が抑制され得る。
すなわち、温度37℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミルグリシン及びヒドロキシルアミンを基質とする反応系で、トランスグルタミナーゼを作用せしめ、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525nmにおける吸光度を測定し、ヒドロキサム酸量を検量線により求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成せしめる酵素量を1ユニット(1U)とする(特開昭64−27471号公報参照)。
工程Bは、トランスグルタミナーゼに接触させた食肉片を成形及び圧着することを含む。
(1)乾燥物換算で1.0gの試料(澱粉)を脱イオン水100mlに分散する。
(2)得られた分散液を90℃で30分間加熱した後、30℃まで冷却し、糊化液を得る。
(3)得られた糊化液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、この時の上澄液に含まれる全糖量をフェノール硫酸法で測定する。
(4)下記式より溶解度を算出する。
溶解度(重量%)=[上澄液に含まれる全糖量(g)]/[1.0(g)]×100
食肉片の圧着が手作業によって行われる場合、当該圧着の圧力は、圧着を電磁式はかり(株式会社エー・アンド・デイ製、GX−20K)上で行い、測定した力の強さを、食肉片表面の接触面積で割りかえすことによって算出される。
食肉片の衣付け、成形、圧着等において、食肉片が1〜15℃(好ましくは1〜10℃)の状態である場合、それらの処理中もトランスグルタミナーゼの反応は進行し得るため、それらの時間に応じて、成形後の食肉片を圧着前に1〜15℃(好ましくは1〜10℃)の状態とする時間を適宜調整してよい。食肉片にトランスグルタミナーゼに接触させてから、当該食肉片を加熱するまでの間において、食肉片が1〜15℃(好ましくは1〜10℃)の状態である時間の合計は、5〜60分間が好ましく、5〜30分間が特に好ましい。
工程Cは、成形及び圧着した食肉片を加熱することを含む。
本発明において、食肉加工食品の製造時の肉の開き具合は、専門パネルの目視による官能評価によって評価できる。
また本発明において、食肉加工食品の「ジューシー感」とは、食品を噛んだときに、液状成分(例、水分、脂、肉汁等)が口中に広がる食感をいい、当該ジューシー感は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
本発明において、食肉加工食品の衣の「歯切れ」とは、食品を噛み切ったときの衣の切れやすさをいい、歯切れの良い衣はサクサクとした食感となり得る。食肉加工食品の衣の歯切れは、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
下記の試験例1及び2において使用した食肉片を下表1に示す。
食肉片を浸漬させるTG液は、下表2に示す配合で各原料を混合することにより調製した。原料の一つであるトランスグルタミナーゼには、味の素株式会社製のトランスグルタミナーゼ(商品名:「アクティバ」TG)を用いた。TG液1g当たりのトランスグルタミナーゼの酵素活性は、1Uである。
(実施例1のから揚げの作製)
表1に示す食肉片100重量部に対し、表2に示すTG液を20重量部加え、真空タンブラー(OHMICHI(大道産業)社製、RTN−350B)を用いてタンブリング処理を30分間行った後、食肉片をTG液に浸漬させたまま6時間静置した。次いで、TG液浸漬後の食肉片の外表面を覆うように、下表3に示す原料を混合して作製した衣材(粉末状、タンパク質含量:4.6重量%)をまぶした後、当該食肉片を皮が外側になるように丸めて略球状に成形した。衣材のタンパク質含量は、ケルダール分析装置(フォスジャパン社製、2300 Kjeltec Analyzer Unit)を用い、ケルダール法により粗タンパク質量として分析された窒素量を5.7倍して算出した。
圧着後の食肉片を175℃で3分間、油ちょう加熱することにより、実施例1のから揚げを作製した。
圧着後の食肉片を175℃で3分間、油ちょう加熱することに代えて、スチームオーブン(ホシザキ電機社製、MIC−6SA3−1)を用いて、145℃で10分間、過熱水蒸気加熱したこと以外は実施例1と同様の手順で、実施例2のから揚げを作製した。
圧着後の食肉片を175℃で3分間、油ちょう加熱することに代えて、160℃で1分間、油ちょう加熱した後、スチームオーブン(ホシザキ電機社製、MIC−6SA3−1)を用いて、145℃で8.5分間、過熱水蒸気加熱したこと以外は実施例1と同様の手順で、実施例3のから揚げを作製した。
圧着後の食肉片を175℃で3分間、油ちょう加熱することに代えて、160℃で1分間、油ちょう加熱し、油ちょう加熱後の食肉片を20℃の状態で3分間静置した後、スチームオーブン(ホシザキ電機社製、MIC−6SA3−1)を用いて、145℃で8.5分間、過熱水蒸気加熱したこと以外は実施例1と同様の手順で、実施例4のから揚げを作製した。
成形後の食肉片を、そのまま175℃で3分間、油ちょう加熱したこと以外は実施例1と同様の手順で、比較例1のから揚げを作製した。
成形後の食肉片を20℃の環境下に3分間静置した後、圧着することなく175℃で3分間、油ちょう加熱したこと以外は実施例1と同様の手順で、比較例2のから揚げを作製した。
表2に示すTG液に代えて、下表4に示す配合のトランスグルタミナーゼを含まない漬け込み液を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、比較例3のから揚げを作製した。
実施例1〜4及び比較例1〜3のから揚げの肉の開き具合の評価は、5名の専門パネルが、下記の基準に従って目視で評点付けし、それらの平均点を算出することによって行った。
1点:開く
2点:わずかに開きにくい
3点:やや開きにくい
4点:とても開きにくい
5点:非常に開きにくい
実施例1〜4及び比較例1〜3のから揚げの保管後のジューシー感の評価は、各から揚げを75℃で4時間保管した後、5名の専門パネルが各から揚げを食して、下記の基準に従って評点付けし、それらの平均点を算出することによって行った。
1点:ジューシーでない
2点:わずかにジューシーである
3点:ややジューシーである
4点:とてもジューシーである
5点:非常にジューシーである
また本発明の実施例1〜4のから揚げは、75℃で4時間保管した後もジューシー感の低下が抑制され、好ましいジューシー感を有していた。
一方、比較例1及び2のから揚げは、製造時の肉の開きが抑えられず、また75℃で4時間保管後にジューシー感が低下した。
比較例3のから揚げは、製造時の肉の開きが比較例1及び2と同様に抑えきれず、さらには75℃で4時間保管後のジューシー感がより低下した。
(実施例5〜8のから揚げの作製)
表3に示す衣材に代えて、下表6に示す配合の各衣材を用いたこと以外は、実施例4と同様の手順で、実施例5〜8のから揚げをそれぞれ作製した。
(1)乾燥物換算で1.0gの試料(リン酸架橋澱粉)を脱イオン水100mlに分散する。
(2)得られた分散液を90℃で30分間加熱した後、30℃まで冷却し、糊化液を得る。
(3)得られた糊化液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、この時の上澄液に含まれる全糖量をフェノール硫酸法で測定する。
(4)下記式より溶解度を算出する。
溶解度(重量%)=[上澄液に含まれる全糖量(g)]/[1.0(g)]×100
実施例5〜8のから揚げの肉の開き具合の評価は、5名の専門パネルが、試験例1と同様の基準に従って目視で評点付けし、それらの平均点を算出することによって行った。
実施例5〜8のから揚げの保管後のジューシー感の評価は、各から揚げを75℃で4時間保管した後、5名の専門パネルが各から揚げを食して、試験例1と同様の基準に従って評点付けし、それらの平均点を算出することによって行った。
実施例5〜8のから揚げの保管後の衣の歯切れの評価は、各から揚げを75℃で4時間保管した後、5名の専門パネルが各から揚げを食して、実施例4のから揚げをコントロールとする下記の基準に従って評点付けし、それらの平均点を算出することによって行った。
+:実施例4のから揚げと同様
++:実施例4のから揚げと比べて、やや歯切れが良い
+++:実施例4のから揚げと比べて、とても歯切れが良い
また本発明の実施例5〜8のから揚げは、75℃で4時間保管した後もジューシー感の低下が抑制され、好ましいジューシー感を有していた。
本発明の実施例5、6及び8のから揚げは、高温で長時間保管した後の衣の歯切れが、実施例4に比べて向上した。
また本発明の製造方法によれば、高温で長時間保管した後もジューシー感の低下が抑制された、好ましいジューシー感を有する食肉加工食品を得ることができる。
また本発明の製造方法によれば、高温で長時間保管した後も衣の歯切れの良い食肉加工食品を得ることができる。
Claims (14)
- 食肉片にトランスグルタミナーゼを接触させる工程A、
トランスグルタミナーゼに接触させた食肉片を成形及び圧着する工程B、並びに
成形及び圧着した食肉片を加熱する工程C
を含む、食肉加工食品の製造方法。 - 工程Bにおける圧着の圧力が、0.05〜1.5kg・f/cm2である、請求項1記載の製造方法。
- 工程Aにおける食肉片とトランスグルタミナーゼとの接触を、トランスグルタミナーゼを含む液に食肉片を浸漬させることによって行う、請求項1又は2記載の製造方法。
- 工程Bにおいて、成形前の食肉片に衣材を付着させることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 衣材が、溶解度が18重量%以下である加工澱粉を含む、請求項4記載の製造方法。
- 衣材のタンパク質含量が、1〜10%である、請求項4又は5記載の製造方法。
- 工程Bにおける成形後の食肉片の形状が、球状又は略球状である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 工程Bにおいて、成形後の食肉片を圧着前に、1〜30分間、1〜15℃の状態にすることを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 工程Cにおける加熱が、油ちょう加熱及び/又は過熱水蒸気加熱を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
- 油ちょう加熱の加熱温度が100〜200℃であり、加熱時間が0.5〜3分間である、請求項9記載の製造方法。
- 過熱水蒸気加熱の加熱温度が100〜200℃であり、加熱時間が0.5〜10分間である、請求項9又は10記載の製造方法。
- 工程Cにおける加熱回数が、2回以上である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
- 工程Cにおける最初の加熱後から最後の加熱前までに、食肉片を0.5〜5分間、10〜50℃の状態にすることを含む、請求項12記載の製造方法。
- 食肉加工食品が、から揚げ及び竜田揚げからなる群より選択されるいずれか一つある、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
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