JP2018033120A - 頭部装着型画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、頭部が比較的大きい利用者が当該画像鑑賞用眼鏡を利用する場合には、当該頭部とテンプルとの接触面積が大きくなるので、眼鏡フレームを安定して頭部に装着可能である。しかしながら、頭部が比較的小さい利用者が当該画像鑑賞用眼鏡を利用する場合には、当該頭部とテンプルとの接触面積が小さくなるので、眼鏡フレームを安定して頭部に装着できない可能性がある。
同様に、ヨロイ部に設けられたヒンジ部にて互いに接離する方向に回動可能に設けられた一対のテンプルを有する眼鏡のような構成が採用される場合も、頭部が比較的小さい利用者が当該画像鑑賞用眼鏡を利用する際に、当該一対のテンプルにおいて後頭部側の部位のみが頭部に当接する可能性があり、上記と同様の問題がある。
これによれば、上記対象当接部の全体が、第1位置から第2位置の範囲で左右方向に移動可能なことにより、当該対象当接部全体をユーザーの頭部の大きさに応じた位置、すなわち、側頭部に当接する位置に移動させることができる。このため、頭部の大きさによって当該頭部と対象当接部との接触面積が変化することを抑制でき、当該接触面積を略一定に維持できる。従って、左側当接部及び右側当接部のそれぞれを左右の側頭部に確実に当接させることができ、頭部に頭部装着型画像表示装置を安定して装着させることができる。
このような構成によれば、減衰機構によって、減衰対象リンクの回動力が減衰されるので、当該減衰対象リンク、ひいては、上記対象当接部が急激に移動することを抑制できる。従って、対象当接部を緩やかにユーザーの頭部に当接させることができる。
このような構成によれば、それぞれ異なる位置に配置された回動支持部及び減衰機構支持部にて減衰対象リンク及び減衰機構が支持される。そして、減衰対象リンクと減衰機構とは、それぞれが有する噛合部によって噛合される。これによれば、噛合部同士が噛合すれば、減衰対象リンクの回動力を減衰機構に伝達できるので、当該減衰対象リンクが減衰機構に支持される場合に比べて、これら減衰対象リンクと減衰機構とを係合しやすくすることができる。
また、回動支持部と減衰機構支持部とが異なる位置に配置されていることにより、減衰対象リンクの回動に伴う、それぞれの支持部に対する負荷を軽減できる。従って、頭部装着型画像表示装置の長寿命化を図ることができる。
このような構成によれば、上記一方の筐体部に減衰対象リンク及び減衰機構を取り付けた後に、当該一方の筐体部に他方の筐体部を取り付けることによって対象当接部を構成できる。従って、対象当接部の組立を簡略化できる。
このような構成によれば、対象当接部は、付勢部によって、上記寸法が小さくなる方向に付勢される。これによれば、対象当接部が頭部に当接した状態を維持でき、左右の当接部によって頭部を挟持できる。従って、頭部装着型画像表示装置を頭部に一層安定して装着させることができる。
一方、付勢対象リンクにおいて引張ばねの一端の取付位置に当該引張ばねの付勢力の作用方向(第2方向に沿う方向)と同方向に力を作用させて、当該付勢対象リンクを回動させようとした場合、上記交差角が大きくなるに従って、当該付勢対象リンクを回動させるのに必要な力(換言すると抵抗)は大きくなる。
そして、上記引張ばねの付勢力によって付勢対象リンクを回動させる力は、引張ばねによって付勢対象リンクに作用する付勢力と、上記付勢対象リンクを回動させるのに必要な力とを合成した値となる。すなわち、当該付勢対象リンクを回動させる力は、前者の付勢力から、後者の力(抵抗)を減算した力となる。そして、この付勢対象リンクを回動させる力は、当接部がユーザーの頭部を押圧する押圧力となる。
これによれば、付勢対象リンクの回動状態に依らずに、上記押圧力を一定の範囲内の値とすることができる。すなわち、頭部装着型画像表示装置を装着するユーザーの頭部の大きさに依らずに、略一定の押圧力を当該頭部に付与できる。従って、頭部の大きさによって受けるユーザーの負荷を軽減できる。
このような構成によれば、第1リンク及び第2リンクの少なくともいずれかは、これらリンクの支持構造に軸受を介して支持される。これによれば、当該リンク及び支持構造の摩耗を抑制できる他、当該リンクの回動を円滑に行うことができる。
このような構成によれば、ユーザーの頭部に接触するカバーを、必要に応じて交換することによって、当該頭部装着型画像表示装置を清浄な状態に保つことができる。
なお、このようなカバーは、頭部に接触することから劣化が比較的進行しやすいと考えられる。このようにカバーが劣化すると、頭部装着型画像表示装置の装着感が損なわれる可能性がある。これに対し、必要に応じてカバーを交換することにより、当該装着感が損なわれることを抑制できる。
これらの効果は、1つの頭部装着型画像表示装置を複数のユーザーが使用する場合に、特に有効である。
このような構成によれば、フレーム部が可撓性を有することによって、頭部の形状に合わせて当接部を変形させることができる。このため、当該頭部に沿うように対象当接部を配置できる他、頭部装着型画像表示装置の装着感を向上させることができる。
ここで、湾曲部がない構成を想定すると、フレーム部が撓む場合、当該フレーム部において接続部との固定位置に負荷が加わりやすい。このため、当該固定位置や、接続部とフレーム部とを固定する固定構造が変形したり劣化したりする場合を考慮して、当該固定位置又は固定構造を強化する必要がある。
これに対し、上記構成によれば、フレーム部が撓む際に、当該フレーム部が撓む位置を湾曲部に規定できるので、上記固定位置及び固定構造を強化する必要がない。そして、当該湾曲部が湾曲していることから、フレーム部の撓む位置の強度を高めることができる。更に、フレーム部が撓みやすくなることから、フレーム部、ひいては、対象当接部を頭部の形状に沿うように変形させやすくすることができる。
このような構成によれば、フレーム部とカバーとの間に隙間が生じることを抑制できる。従って、カバーが変形する等して、頭部装着型画像表示装置の装着感が損なわれることを抑制できる。
このような構成によれば、フレーム部、ひいては、対象当接部の強度を高めることができる。この他、当該対象当接部における後方側の部位が重くなるので、フレーム部にカウンターウェイトとしての機能を持たせることができる。従って、頭部装着型画像表示装置の装着感を向上させることができるだけでなく、当該頭部装着型画像表示装置を使用するユーザーの疲労感を軽減できる。
このような構成によれば、カバーは、挿通口をフレーム部が挿通するように装着されるので、カバーを当該フレーム部に容易に装着できる。また、規制部材によってカバーの脱落が規制されるので、意図せずにカバーが脱落することを抑制できる。
このような構成によれば、被取付部から規制部材が脱落することを抑制でき、ひいては、フレーム部からカバーが脱落することを確実に抑制できる。
このような構成によれば、上記規制部材の脱落を抑制できる被取付部を簡易に構成できる。
このような構成によれば、上記少なくとも一方の支持部は、上記外装部を有するので、当該支持部を画像表示部の外側に取り付けることによって、上記効果を奏することができる頭部装着型画像表示装置を構成できる。従って、当該頭部装着型画像表示装置の製造工程を簡略化できる。
このような構成によれば、画像表示部を側方或いは上方から覆うように支持部を取り付けることによって、上記効果を奏する頭部装着型画像表示装置を簡易に構成できる。また、外装部が画像表示部の側方及び上方を覆うことによって、当該頭部装着型画像表示装置の強度を高めることができる。
ここで、頭部装着型画像表示装置を頭部に装着する際に、ユーザーは、比較的細い部位を掴んで装着することが多い。
このため、上記構成によれば、ユーザーに掴むべき位置を把握させやすくすることができる。従って、頭部装着型画像表示装置を装着させやすくすることができる。
なお、重心調整部としては、例えば、対象当接部において他の部位より太い部位として構成できる他、比較的重い部材が内部に設けられた部位として構成できる。
ここで、頭部装着型画像表示装置においては、ユーザーの眼に画像光を入射させる構成を当該ユーザーの眼前に配置することが多いため、重心位置が前側に偏りやすい。このような場合、頭部装着型画像表示装置がずれやすくなるだけでなく、装着感が損なわれる。
これに対し、上記構成によれば、重心調整部がカウンターウェイトとなって、頭部装着型画像表示装置の重心位置を調整できる。従って、頭部装着型画像表示装置の前後のバランスを保ちやすくすることができるので、装着感が損なわれることを抑制できる他、ユーザーの疲労感を軽減できる。更に、対象当接部における後側の部位に位置する重心調整部が、当該対象当接部において太い部位として構成されている場合には、当該対象当接部がユーザーの耳に懸架される構成である場合に、当該対象当接部がずれて、耳から外れることを抑制できる。
ここで、子供(頭部装着型画像表示装置の対象年齢の子供)の頭部における左右方向の寸法は、略128mmであり、頭部が比較的大きな大人の頭部における左右方向の寸法は、略170mmである。このため、上記構成によれば、子供から大人まで、幅広いユーザーに上記頭部装着型画像表示装置を安定して装着させることができる。従って、頭部装着型画像表示装置の汎用性を一層向上させることができる。
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[HMDの概略構成]
図1及び図2は、本実施形態に係るHMD1の外観を示す斜視図である。詳述すると、図1は、HMD1を正面側上方から見た斜視図であり、図2は、HMD1を背面側下方から見た斜視図である。
本実施形態に係るHMD1は、ユーザーの頭部に装着されて使用され、当該ユーザーによって視認可能に画像を表示するとともに、外光を透過させて外界を観察可能とするシースルー型の頭部装着型画像表示装置であり、虚像表示装置である。このHMD1は、図1及び図2に示すように、画像表示部2及び一対のテンプル6L,6Rを備える。
このHMD1では、図3及び図4に示すように、一対のテンプル6L,6Rの当接部67L,67Rが互いに離間する方向に移動可能に構成されている。そして、HMD1は、当接部67L全体と当接部67R全体との間の寸法L1がユーザーUSの頭部HEに大きさに応じて調整されることによって、当該頭部HEの大きさに依らずにHMD1を装着可能に構成されている点を特徴の1つとしている。この寸法L1は、左右の当接部67L,67Rにおける特定部位間の寸法ではなく、或る位置に移動された当接部67L,67Rにおいて左右方向に互いに最も離間した部位間の寸法である。このため、当接部67L,67Rにおいて、寸法L1が設定される部位は、図3及び図4に示すように、当接部67L,67Rの位置に応じて変化する。
図5及び図6は、画像表示部2を正面側上方及び背面側下方のそれぞれから見た斜視図である。換言すると、図5及び図6は、それぞれ図1及び図2からテンプル6L,6Rを取り外したHMD1を正面側上方及び背面側下方のそれぞれから見た斜視図である。
画像表示部2は、ユーザーに視認可能に画像を表示する。この画像表示部2は、図5及び図6に示すように、フレーム3、光学装置4L,4R及び撮像装置5を備える。
フレーム3は、眼鏡のフレーム様の構成を有し、光学装置4L,4R及び撮像装置5を支持する他、ノーズパッドNPや、レンズホルダー及び遮蔽部材(それぞれ図示省略)を支持する。このようなフレーム3は、上方から見て略U字状を有するフレーム本体31と、当該フレーム本体31に取り付けられるケース部材32L,32Rと、を有する。
フロント部311は、HMD1が頭部に装着された際に、当該頭部における額に沿うように配置される。このフロント部311は、光学装置4L,4Rにおいてユーザーの左右の眼前に配置される導光部材47L,47Rを支持する。この他、フロント部311は、後述する導光部材47L,47Rの間に位置する装着部3111にて、ノーズパッドNP、レンズホルダー及び遮蔽部材(それぞれ図示省略)を支持可能に構成されている。なお、フロント部311における左側端部311L及び右側端部311Rは、上方から見て後方側に円弧状に湾曲しており、右側端部311Rには、撮像装置5が配置されている。そして、右側端部311Rから側面部312Rが後方に延出しており、左側端部311Lから側面部312Lが後方に延出している。
レンズホルダーは、図示を省略するが、テンプルのない眼鏡様の構成を有する。このレンズホルダーは、視力矯正用の左右のレンズを保持して、上記装着部3111に後側から着脱可能に取り付けられる。
遮蔽部材は、図示を省略するが、後述する導光部材47R,47Lに対する前側に配置され、当該導光部材47R,47Lに入射される外光の少なくとも一部を遮蔽して外界を見づらくし、これにより、表示される画像の視認性を向上させる。この遮蔽部材は、上記装着部3111に下方側から着脱可能に取り付けられる。
これらのうち、側面部312Rは、ケース部材32Rと組み合わされて、光学装置4Rの画像投射部41及び制御部46を内部に収容する収容空間を形成する。
同様に、側面部312Lは、ケース部材32Lと組み合わされて、光学装置4Lの画像投射部41及び制御部46を内部に収容する収容空間を形成する。
これら側面部312L,312Rは、図6に示すように、後方側の端部から更に後方側に突出して、後述するテンプル6L,6Rの内側カバー62L,62Rが固定される固定部3121をそれぞれ有する。これら固定部3121は、当該テンプル6L,6Rとは異なるテンプルが利用される際に、当該異なるテンプルを回動可能に支持する支持部としても機能する。
また、側面部312Rは、図7及び図8に示すように、固定部3121より前側の部位に固定部3122を有し、当該固定部3122は、上下に並列された2つの孔部3123,3124を有する。これらのうち、上側の孔部3123には、ケース部材32Rの上部ケース321を固定するねじが取り付けられ、下側の孔部3124には、同じくケース部材32Rの下部ケース323を固定するねじが取り付けられる。なお、図示を省略するが、側面部312Lも、同様の固定部3121,3122を有する。
ここで、光学装置4L,4Rについて先に説明する。
光学装置4Lは、フレーム3において左側に位置し、光学装置4Rは、右側に位置する。これら光学装置4L,4Rは、外部から入力される画像信号に応じた画像を形成し、当該画像をユーザーの眼に入射させる。これらのうち、光学装置4Rは、側面部312Rとケース部材32Rとが組み合わされて形成される上記収容空間内にそれぞれ配置される画像投射部41及び制御部46と、上記フロント部311に支持される導光部材47Rと、を有する。
以下、光学装置4Rの画像投射部41、制御部46及び導光部材47Rについて主に説明する。なお、光学装置4Lも、光学装置4Rの各構成と鏡面対称となる画像投射部41、制御部46及び導光部材47Lを有するが、これらは光学装置4Rの各構成と同様であるので、一部の説明を省略する。
図9は、画像投射部41を画像光の投射側とは反対側(背面側)における上方から見た斜視図である。なお、図9では、画像形成装置42の枠体を図示し、表示パネルの図示を省略している。
画像投射部41は、導光部材47R,47Lのうち対応する導光部材に画像光(画像を形成する光)を投射する。この画像投射部41は、図9に示すように、画像形成装置42及び投射光学装置43を備え、これらが組み合わされてユニットとして構成されている。
このような画像形成装置42は、図示を省略するが、フレーム本体31(例えば側面部312R,312L)と熱伝導部材によって接続されており、当該画像形成装置42にて生じた熱の少なくとも一部は、当該フレーム本体31にて外部に放熱される。一方、このような熱伝導部材はなくてもよい。
鏡筒45は、略四角筒状に形成されており、フレーム本体31に固定される。この鏡筒45には、図7及び図8に示すように、後述する基板ホルダー322が取り付けられる。すなわち、鏡筒45を含む画像投射部41は、基板ホルダー322によって下方側から覆われる。なお、図示を省略するが、光学装置4Lの画像投射部41も、同様の基板ホルダーによって下方側から覆われる。
なお、光学装置4Rの制御部には、上記撮像装置5を制御する制御回路が実装されている。
具体的に、導光部材47Rは、光学装置4Rの画像投射部41(投射光学装置43)から入射された右眼用の画像光を、界面にて内面反射させて中央側に進行させ、ユーザーの右眼に応じた位置に設けられた半透過層によって右眼に導く。光学装置4Lの画像投射部41(投射光学装置43)から入射された左眼用の画像光を左眼に導く導光部材47Lも同様である。これら導光部材47L,47Rは、それぞれ可視光領域で高い光透過性を示す樹脂(例えばシクロオレフィンポリマー)により形成されている。このため、左右の眼前に配置された導光部材47R,47Lを介して、ユーザーは、外界を観察可能である。
ケース部材32Rは、側面部312Rと組み合わされて上記収容空間を形成し、ケース部材32Lは、側面部312Lと組み合わされて上記収容空間を形成する。これらのうち、ケース部材32Rは、図7及び図8に示すように、上部ケース321、基板ホルダー322及び下部ケース323を有する。
なお、ケース部材32Lも、上部ケース321、基板ホルダー322(図示省略)及び下部ケース323を有するが、ケース部材32Rとケース部材32Lとは、鏡面対称となっている。
以下では、ケース部材32Rの各構成について説明し、ケース部材32Lの各構成については、ケース部材32Rの各構成と同様であるため、説明を省略する。
上部ケース321は、画像投射部41を上方から覆う部材である。この上部ケース321は、上面部321Aと、当該上面部321Aにおけるユーザー側(左側)の端部から垂下して側面部312Rと対向する側面部321Bと、これら上面部321A及び側面部321Bに交差する背面部321Cと、を有する。
これらのうち、背面部321Cは、略中央に凹部3211を有する他、当該凹部3211を上下に挟む位置に、2つの孔部3212,3213を有する。
凹部3211は、側面部312Rの固定部3121を外部に露出させる凹部である。
孔部3212,3213のうち、上方に位置する孔部3212は、後述するテンプル6Rの外側カバー61R及び内側カバー62Rを挿通したねじが固定されるねじ孔であり、これにより、ケース部材32Rに外側カバー61R及び内側カバー62Rが固定される。この他、これら孔部3212,3213は、テンプル6Rとは異なる形状及び構成を有する他のテンプルをケース部材32Rに固定するねじが螺合するねじ孔でもある。
基板ホルダー322は、上記鏡筒45を下方から覆うように当該鏡筒45に固定される部材である。この基板ホルダー322は、上面(鏡筒45と対向する面)における周縁から上方に向けて起立する起立部3221、及び、下面(鏡筒45とは反対側の面)における周縁より僅かに内側の部位から下方に向けて起立する起立部3222を有する。これらのうち、起立部3222によって囲まれる位置に、上記制御部46が配置される。
下部ケース323は、基板ホルダー322を下方から覆うとともに、上部ケース321、基板ホルダー322及び側面部312Rと組み合わされて上記収容空間を構成する。この下部ケース323は、基板ホルダー322の外形形状と同様に、右側の端縁が側面部312Rに沿い、左側及び背面側の端縁が上部ケース321における左側及び背面側の端縁に沿う形状に形成されている。この他、下部ケース323における背面側の端部は、上方に向かって傾斜している。このような下部ケース323は、起立部3231及び固定部3232を有する。
また、下部ケース323と基板ホルダー322とが組み合わされた際に、起立部3231の内側に当該基板ホルダー322の上記起立部3222が配置される。これにより、上記制御部46が配置された空間は閉ざされることとなり、当該空間内への液体の浸入が抑制される。
撮像装置5は、上記のように、右側端部311Rに設けられている。この撮像装置5は、光学装置4Rの制御部46による制御の下で動作して、撮像画像を当該制御部46に出力する。なお、当該制御部46は、図示を省略するが、フロント部311に沿って配置される信号線を介して光学装置4Lの制御部46と接続されており、当該光学装置4Lの制御部46は、ケース部材32Lから外部に延出するケーブルCBを介して外部機器と接続されている。そして、撮像装置5による撮像画像は、当該外部機器に出力される。
図10及び図11は、テンプル6L,6Rのうち、テンプル6Rを分解したHMD1を示す斜視図である。これらのうち、図10は、当該HMD1を正面側上方から見た斜視図であり、図11は、当該HMD1を背面側下方から見た斜視図である。
テンプル6L,6Rは、HMD1を当該ユーザーの頭部に装着させる装着部材であり、画像表示部2を構成するケース部材32L,32Rにそれぞれ取り付けられる。これらテンプル6L,6Rは、ユーザーの耳に懸架される当接部67L,67R(左側当接部及び右側当接部に相当)が、頭部に対して接離する方向に移動可能に構成されている点に特徴の1つを有する。
このようなテンプル6L,6Rのうち、テンプル6Rは、図10及び図11に示すように、外側カバー61R、内側カバー62R、リンク機構63R、当接部67R及び減衰機構68を有する。なお、テンプル6Lも、外側カバー61L、内側カバー62L、リンク機構63L、当接部67L及び減衰機構68(図示省略)を有し、これら構成は、テンプル6Rと鏡面対称となっている。
以下、テンプル6Rが有する各構成について説明し、テンプル6Lの各構成については、テンプル6Rが有する各構成と同様であるので説明を省略する。
図12は、外側カバー61Rを背面側上方から見た斜視図であり、図13は、当該外側カバー61Rを背面側下方から見た斜視図である。
外側カバー61Rは、内側カバー62Rと組み合わされて上記ケース部材32R及び側面部312Rを覆う他、リンク機構63R及び減衰機構68を支持するカバー部材であり、本発明の支持部に相当する。この外側カバー61Rは、図12及び図13に示すように、それぞれHMD1の外装の一部を構成する外装部としての上面部61A、底面部61B、前面部61C、側面部61D及び背面部61Eを有する箱型形状に形成されている。
このような外側カバー61Rは、開口部611、突起部612、凹部613、軸部614及び孔部615を有する。
突起部612は、図12に示すように、底面部61Bの内面における前側の部位に突設されている。この突起部612は、内側カバー62Rが上記開口部611内に挿入される際に、当該内側カバー62Rに形成された凹部629(図16参照)に嵌合される。
凹部613は、同じく底面部61Bの内面における後側の部位に、それぞれ中心が一致する円形及び長方形を組み合わせたような形状に形成されている。この凹部613には、後述する減衰機構68が取り付けられた内側カバー62Rが外側カバー61R内に収容された際に、当該減衰機構68が配置される。
孔部615は、背面部61Eに形成されており、当該孔部615には、外側カバー61Rをケース部材32Rに固定するねじ(図示省略)が挿通する。このねじは、上記上部ケース321の孔部3212を挿通して、側面部312Rの孔部3123に螺合する。すなわち、背面部61Eは、外側カバー61Rをケース部材32Rに固定する固定部として機能する。
図14〜図16は、内側カバー62Rを示す斜視図である。詳述すると、図14は、内側カバー62Rを右側で、かつ、背面側上方から見た斜視図であり、図15は、内側カバー62Rを左側で、かつ、背面側上方から見た斜視図である。また、図16は、内側カバー62Rを右側で、かつ、正面側下方から見た図である。
内側カバー62Rは、上記のように、外側カバー61Rと組み合わされて支持部として機能する。この他、内側カバー62Rは、リンク機構63Rを構成する第2リンク65Rと、減衰機構68とを支持する。この内側カバー62Rは、図14〜図16に示すように、上面部62A、底面部62B、側面部62C及び背面部62Dを有する箱型形状に形成されている。これらのうち、側面部62Cは、外側カバー61RとともにHMD1の外装の一部を構成する外装部に相当する。
このような内側カバー62Rは、開口部621〜623、ガイド孔624、支持部625、固定部626、開口部627、固定部628、凹部629及び配置部620を有する。
開口部622は、図14〜図16に示すように、上面部62Aに位置する。この開口部622は、リンク機構63Rにおいて上記外側カバー61Rの軸部614に上端が嵌め込まれた第1リンク64Rの回動可能範囲に応じて形成されている。
開口部623は、図14及び図16に示すように、底面部62Bに位置する。この開口部623は、第1リンク64Rの下端が挿通される開口部である。
ガイド孔624は、図14〜図16に示すように、側面部62Cに位置し、第1リンク64Rの延出部644と第2リンク65Rの本体部651とが挿通するスリット状の孔部である。このガイド孔624は、第1リンク64R及び第2リンク65Rのそれぞれの回動可能範囲に応じて前後に長く形成されている。換言すると、第1リンク64R及び第2リンク65Rの回動可能範囲は、当該ガイド孔624又は開口部622の端縁によって規定される。
これらのうち、孔部6253,6254は、第2リンク65Rの上端及び下端がそれぞれ挿入される孔部である。これら孔部6253,6254により、第2リンク65Rが上下方向に沿う回動軸(後述する回動軸AX2)を中心として回動可能に支持される。
傾斜部6255,6256は、孔部6253,6254に対する第2リンク65Rの軸部652の挿入しやすさを考慮した傾斜部であり、それぞれ孔部6253,6254に対して右側、すなわち、開口部621の開口側に形成されている。これら傾斜部6255,6256は、各孔部6253,6254に近接するに従って傾斜部6255,6256間の上下方向の寸法が小さくなるように傾斜している。これにより、ロッドスプリングによって構成された第2リンク65Rの軸部652の上下端を当該各孔部6253,6254に挿入しやすくしている。
開口部627は、固定部626に対応して上面部62Aに形成されている。この開口部627は、ケース部材32Rを覆う内側カバー62Rの固定部626が固定部3121に対して位置合わせされた状態で、当該固定部626,3121にねじS1を上方から挿入するための開口部である。
孔部6281は、背面部62Dを前後方向に沿って貫通する孔部であり、ケース部材32R(上部ケース321)と組み合わされた内側カバー62Rに外側カバー61Rが組み合わされた場合に、孔部3212(図7参照),615に応じた位置に形成されている。この孔部6281には、孔部615を挿通したねじ(図示省略)が挿通し、当該ねじは、孔部3212を挿通して孔部3123(図7参照)に螺合する。これにより、外側カバー61R及び内側カバー62Rが、ケース部材32Rに固定される。
凹部6282は、背面部62Dにおいて孔部6281の周囲に略矩形状に形成されている。この凹部6282には、内側カバー62Rに外側カバー61Rが組み合わされる際に、当該外側カバー61Rの背面部61E(図12参照)が嵌め合わされる。
凹部629は、底面部62Bにおいて前側の部位に略矩形状に位置する。この凹部629には、内側カバー62Rと外側カバー61Rとが組み合わされる際に、上記突起部612が挿入される。これにより、内側カバー62Rに外側カバー61Rを仮固定できる。
配置部620は、底面部62Bの外面において後側の部位に位置する凹部である。具体的に、配置部620は、上記開口部623に応じた位置に形成されている。この配置部620内には、開口部623を介して底面部62Bの外面側に突出する第1リンク64Rと係合する減衰機構68が配置される。この配置部620の底部には、円筒状の突部6201が設けられている。
図17及び図18は、テンプル6Rのうち、リンク機構63R、当接部67R及び減衰機構68を示す斜視図である。これらのうち、図18は、当接部67Rを分解した斜視図である。
リンク機構63Rは、外側カバー61R及び内側カバー62Rに一端側が回動可能に支持されて、他端に取り付けられた当接部67Rと、支持部として機能する外側カバー61R及び内側カバー62Rとを接続する接続部として機能する他、当該当接部67R全体を左右に移動させて、テンプル6Lの当接部67L(換言すると右側頭部)に対して近接及び離間させるものである。このリンク機構63Rは、図17及び図18に示すように、第1リンク64R、第2リンク65R及び付勢部66Rを備える。
第1リンク64Rは、外側カバー61R及び内側カバー62Rにおける略中央に位置し、上下方向に沿う回動軸AX1(図19及び図20参照)を中心として、当該外側カバー61Rの軸部614及び内側カバー62Rに固定される減衰機構68に回動可能に取り付けられる。この第1リンク64Rは、対向部641,642、接続部643及び延出部644を有する。
上側に位置する対向部641は、接続部643とは反対側の端部に、上方から見て略円形状の孔部6411を有する。この孔部6411には、上記軸部614が挿入される。
下側に位置する対向部642は、同じく接続部643とは反対側の端部に、上方から見て孔部6411に対応する位置に長円形状の孔部6421を有する。この孔部6421には、後述する減衰機構68の軸部682が挿入される。
このように、孔部6411,6421に軸部614,682が挿入されることにより、第1リンク64Rが、回動軸AX1(図19及び図20参照)を中心として回動可能に支持され、ひいては、第1リンク64Rの前方及び後方(後述する−D1方向及び+D1方向)への回動が可能となる。
延出部644は、接続部643において対向部641,642の接続側の面とは反対側の面から突出するように、対向部641,642と略平行に延出している。この延出部644の先端部には、図18に示すように、突出部6441が上下に突出している。これら突出部6441は、当接部67R内に形成された孔部6721,6731に挿入され、これにより、第1リンク64Rと当接部67Rとが一体化される。
第2リンク65Rは、側方から見て横向きの略T字状に形成されている。この第2リンク65Rは、一端が上記支持部625によって回動可能に支持され、他端が当接部67Rと接続されている。このような第2リンク65Rは、棒状に構成された本体部651と、当該本体部651の一端に位置する軸部652と、他端に位置する突出部653と、を有する。
これらのうち、軸部652は、上下方向に突出するように設けられている。この軸部652は、上記のように上下に伸縮可能なロッドスプリングによって構成され、上端が上記支持部625の孔部6253に挿入され、下端が孔部6254に挿入される。これにより、第2リンク65Rが、当該軸部652により形成される回動軸AX2(図19及び図20参照)を中心として回動可能に支持部625に支持され、ひいては、第2リンク65Rの前方及び後方(後述する−D2方向及び+D2方向)への回動が可能となる。
突出部653は、上下方向に突出するようにそれぞれ形成されている。これら突出部653は、当接部67R内に形成された孔部6722,6732に挿入され、これにより、第2リンク65Rと当接部67Rとが一体化される。
付勢部66Rは、第2リンク65Rの回動可能範囲において当該第2リンク65Rの突出部653側の端部(当接部67R側の端部)が前方側(−D2方向側)に位置するように、ひいては、当接部67R全体が前方側で、かつ、他方のテンプル7L側及び頭部側に位置するように、第2リンク65Rを付勢する。この付勢部66Rは、本実施形態では、巻回部661,662、接続部663及びアーム664,665を有するねじりコイルばねによって構成されている。
巻回部661,662は、それぞれ、線材をコイル状に巻回した部位である。これらのうち、巻回部661は、軸部652において上方に突出する部位を巻回するように配置され、巻回部662は、軸部652において下方に突出する部位を巻回するように配置されている。
接続部663は、巻回部661,662を接続する部位であり、横向きの略U字状に形成されている。この接続部663は、上記本体部651の側面のうち、後側の側面に当接される。
アーム664,665は、巻回部661,662における接続部663側とは反対側の端部から前方に延出している。これらアーム664,665が、内側カバー62Rに固定されることによって、本体部651に当接される接続部663が、当該本体部651に対して前方(−D2方向)への付勢力を作用させる。
当接部67Rは、ユーザーの頭部(側頭部及び後頭部)に当接され、当該ユーザーの耳に懸架される。この当接部67Rは、リンク機構63Rの第1リンク64R及び第2リンク65Rと接続されている。そして、当接部67R全体は、各リンク64R,65Rの前方への回動とともに、前側で、かつ、テンプル6L(換言すると右側頭部)に近い位置に移動され、当該各リンク64R,65Rの後方への回動とともに、後側で、かつ、テンプル6Lから離れた位置に移動される。このような当接部67Rは、挟持部材671と、当該挟持部材671によって挟持される当接片674と、を有する。
また、詳しい図示を省略するが、上側に位置する挟持片672にも、第1リンク64Rにおける上側の突出部6441が挿入される孔部6721と、第2リンク65Rにおける下側の突出部653が挿入される孔部6722と、が形成されている。
なお、挟持部材671は、外側(テンプル6Lから離間する側)に円弧状に湾曲した湾曲部6714を略中央に有する。この湾曲部6714は、ユーザーがHMD1を頭部に装着する際に、人差し指等の指を掛ける指掛け部であり、当接部67R,67Lを互いに離間する方向に移動させて、上記寸法L1を広げやすくする部位である。
また、当接片674だけでなく、挟持部材671の一部も頭部に当接されてもよい。
テンプル6Rを構成する減衰機構68は、図17及び図18に示すように、第1リンク64Rの対向部642と係合する。この減衰機構68は、第2リンク65Rに作用する付勢部66Rの付勢力によって当接片674が頭部側に近接する方向に移動する際に、当該第2リンク65Rに挟持部材671を介して接続された第1リンク64Rの回動力(当接部67Rの移動力)を減衰させて、当該当接片674の急激な移動を抑制する。
このような減衰機構68は、本体部681と、当該本体部681から突出する軸部682と、一対の孔部683と、を有する。
一対の孔部683は、本体部681において、上方から見て軸部682を挟む位置に形成されている。これらのうち、一方の孔部683は、上記内側カバー62Rの配置部620に突設された突部6201が挿入され、これにより、軸部682の回動に伴う本体部681(減衰機構68)の回動が防止される他、配置部620に減衰機構68が位置決めされる。
図19及び図20は、テンプル6Rの当接部67Rの移動状態を示す平面図である。具体的に、図19は、当接部67R全体がテンプル6Lに対して最も近接する第1位置に位置する状態を上方から見た図であり、図3に示した状態から外側カバー61Rの図示を省略したテンプル6Rを拡大して示す図である。また、図20は、当接部67R全体がテンプル6Lに対して最も離間する第2位置に位置する状態を上方から見た図であり、図4に示した状態から外側カバー61Rの図示を省略したテンプル6Rを拡大して示す図である。
上記構成のテンプル6Rでは、当接部67Rは、以下のように移動される。
各当接部67L,67R全体が第1位置に位置する状態は、上記寸法L1(図3及び図4参照)が最も短い状態であり、当該状態での寸法L1は、本実施形態では、子供の頭部に合わせて128mmに設定されている。
なお、このような第1リンク64R及び第2リンク65Rの回動可能範囲は、内側カバー62において扇状に形成されて内側に第1リンク64Rの一部が配置される開口部622の端縁、又は、ガイド孔624の端縁によって設定される。第1リンク64L及び第2リンク65Lも同様である。
このようにして、当接部67L,67R全体を最も後方で、かつ、他方のテンプルから最も離間させた際の当該当接部67L,67Rの位置が第2位置であり、これら当接部67L,67R全体を第2位置に位置させた状態が、上記寸法L1が最も長くなる状態となる。この状態での寸法L1は、本実施形態では、頭部が比較的大きな大人に合わせて170mmに設定されている。
このように、テンプル6L,6Rは、各当接部67L,67Rが上記第1位置から上記第2位置までの範囲で移動可能に構成されている。
これら当接部67L,67Rには、付勢部(当接部67Rにおいては付勢部66R)による付勢力が作用されるので、当該各当接部67L,67Rによって頭部が挟持される。なお、上記のように、当該付勢力による各当接部67L,67Rの移動の際には、上記減衰機構68によって移動力が減衰されるので、各当接部67L,67Rの急激な移動が抑制される。
以上説明した本実施形態に係るHMD1によれば、以下の効果を奏することができる。
右側支持部として機能する外側カバー61R及び内側カバー62Rは、第1リンク64R及び第2リンク65Rを支持し、ひいては、当該リンク64R,65Rに接続された当接部67R(対象当接部)を支持する。これらリンク64R,65Rによって、当該当接部67Rの全体が、それぞれ上記した第1位置及び第2位置の間で移動可能となる。同様に、左側支持部として機能する外側カバー61L及び内側カバー62Lは、第1リンク64L及び第2リンク65Lを支持し、ひいては、これらリンク64L,65Lに接続された当接部67L(対象当接部)を支持する。これらリンク64R,65Rによって、当該当接部67Rの全体が、それぞれ上記した第1位置及び第2位置の間で移動可能となる。
これら当接部67L,67R全体がそれぞれ第1位置に位置する場合の当接部67L,67R間の左右方向における寸法L1より、第2位置に位置する場合の当該寸法L1は、大きくなる。これによれば、当接部67L,67R間にユーザーの頭部が位置することによって、これら当接部67L,67Rを、左右方向の大きさが異なる頭部の大きさに応じた位置(側頭部)に確実に当接させることができる。従って、頭部の大きさによって当該頭部と各当接部67L,67Rとの接触面積が変化することを抑制でき、当該接触面積を略一定に維持できるので、HMD1を頭部に安定して装着させることができる。
なお、当接部67L,67Rのうち、一方の当接部が固定され、他方の当接部全体が上記構成によって移動可能に構成されている場合でも、当該他方の当接部全体が頭部に対して近接及び離間する方向に移動可能であることにより、上記効果を奏することができる。
なお、当接部67L,67Rのうち、一方の当接部が固定され、他方の当接部全体が上記構成によって移動可能に構成されている場合でも、当該他方の当接部全体が左右だけでなく前後にも移動可能となるので、上記効果を奏することができる。
なお、当接部67L,67Rのうち、一方の当接部が固定され、他方の当接部全体が上記構成によって移動可能に構成されている場合でも、当該他方の当接部全体が頭部側に付勢されるので、上記効果を奏することができる。
これに対し、外側カバー61L及び内側カバー62L、並びに、外側カバー61R及び内側カバー62Rは、第1リンク64L,64R及び第2リンク65L,65Rによって、各当接部67L,67R間の左右方向における寸法L1を、128mm以上、170mm以下の範囲となるように、各当接部67L,67R全体を移動可能に支持する。これによれば、子供から大人まで、幅広いユーザーの頭部にHMD1を安定して装着させることができる。従って、HMD1の汎用性を一層向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るHMDは、上記HMD1と同様の構成及び機能を有するが、テンプルの構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るHMD1Aは、図21〜図24に示すように、テンプル6L,6Rに代えてテンプル7を有する他は、上記HMD1と同様の構成及び機能を有する。そして、HMD1Aは、図23及び図24に示すように、テンプル7を構成する右側テンプル72R及び左側テンプル72Lの各当接部726全体が互いに離間する方向に移動可能に構成され、各当接部726全体間の寸法L2がユーザーの頭部に大きさに応じて調整されることによって、当該頭部の大きさに依らずに装着可能に構成されている点を特徴の1つとしている。この寸法L2は、上記寸法L1と同様に、左右の当接部726における特定部位間の寸法ではなく、或る位置に移動された各当接部726において左右方向に互いに最も離間した部位間の寸法である。
以下、テンプル7の構成について説明する。
図25は、テンプル7を構成するカバー部材71を分離したHMD1Aを示す斜視図である。
テンプル7は、上記テンプル6L,6Rと同様に、ユーザーの頭部にHMD1A(画像表示部2)を装着させる装着部材であり、画像表示部2(フレーム本体31及びケース部材32L,32R)を上方から覆うように、当該画像表示部2に取り付けられる。このテンプル7は、図25に示すように、カバー部材71と、当該カバー部材71によって支持される左側テンプル72L及び右側テンプル72Rと、を有する。
そして、このようなテンプル7は、左側テンプル72L及び右側テンプル72Rにおいて、ユーザーの左右の側頭部に当接される各当接部74全体が、前後方向、並びに、テンプル72L,72Rのうち反対側のテンプル及び頭部に対して接離する方向に移動可能に構成されている。
図26は、カバー部材71を正面側下方から見た斜視図である。
カバー部材71は、略U字状に形成されており、フロント部311及びケース部材32L,32Rを上方から覆うとともに側面部312L,312Rを外側から覆うように、当該ケース部材32L,32Rに固定される。
このようなカバー部材71は、図25及び図26に示すように、フロント部711、延出部712L,712R、側面部713L,713R、固定部714L,714R、凹部715、開口部716、第1軸部717L,717R及び第2軸部718L,718Rを有し、これらが一体的に形成されている。
延出部712L,712Rは、フロント部711における左側端部及び右側端部から後方に延出している。これら延出部712L,712Rは、ケース部材32L,32Rの上面部(各上部ケース321の上面部321A)を上方から覆う。
側面部713L,713Rは、それぞれ、側面部312L,312Rを外側(ユーザーの頭部側とは反対側)から覆う。
すなわち、これらフロント部711、延出部712L,712R及び側面部713L,713Rは、HMD1Aの外装の一部を構成する外装部に相当する。
開口部716は、上記撮像装置5を露出させる。
すなわち、カバー部材71は、右側テンプル72Rを支持する右側支持部、及び、左側テンプル72Lを支持する左側支持部を構成するものである。
図27は、右側テンプル72Rを示す分解斜視図である。また、図28は、リンク機構721を構成する第1リンク731及び第2リンク732から当接部74を分離させた右側テンプル72Rを上方から見た平面図である。
右側テンプル72Rは、ユーザーの右側頭部及び後頭部(詳しくは後頭部の右側の部位)に当接され、左側頭部及び後頭部(詳しくは後頭部における左側の部位)に当接される左側テンプル72Lとともに、当該ユーザーの頭部を挟持する。この右側テンプル72Rは、図25、図27及び図28に示すように、リンク機構73、当接部74及び減衰機構68を有する。
リンク機構73は、上記カバー部材71における延出部712Rの下面に取り付けられ、当接部74を支持するとともに、当該当接部74全体を移動させる。このリンク機構73は、第1リンク731、第2リンク732、ベース部材733及び付勢部734を有する。
第1リンク731及び第2リンク732は、それぞれ平板状に形成され、第1リンク731は前側に、第2リンク732は後側に、それぞれの延出方向が略平行となるように配置される。これら第1リンク731及び第2リンク732は、上記延出部712Rの下面に取り付けられるベース部材733に一端が回動可能に支持され、他端が当接部74と接続される。
このような第1リンク731は、両端に略円形状の孔部7311,7312を有し、第2リンク732も、両端に略円形状の孔部7321,7322を有する。
これらのうち、各リンク731,732において同じ側に位置する孔部7311,7321には、ベース部材733の円筒部7331,7332が挿入され、これにより、第1リンク731及び第2リンク732は、当該ベース部材733に回動可能に支持される。
第2リンク732において孔部7322には、減衰機構68の軸部682が挿入される。そして、第2リンク732において孔部7322が位置する端部、及び、当該減衰機構68は、当接部74内に挿入される。そして、減衰機構68が当接部74内に固定されることにより、第2リンク732と当接部74とが、減衰機構68を介して組み合わされる。
なお、第1リンク731は、上記孔部7311,7312の他、当該孔部7311が位置する側の端部に、外側に突出する取付部7313を有する。この取付部7313には、付勢部734の一端が取り付けられる。
ベース部材733は、第1リンク731、第2リンク732及び付勢部734を支持し、上記カバー部材71の延出部712Rにおける下面に取り付けられる。このベース部材733は、図27及び図28に示すように、ボス様の円筒部7331,7332、挿通孔7333,7334、取付部7335及び起立部7336,7337を有する。
挿通孔7333は、円筒部7331の軸方向に沿って当該円筒部7331を貫通する孔部であり、挿通孔7334は、円筒部7332の軸方向に沿って当該円筒部7332を貫通する孔部である。そして、挿通孔7333を下方から挿通したねじ(図示省略)が、第1軸部717Rのねじ孔7171に螺合し、挿通孔7334を下方から挿通したねじ(図示省略)が、第2軸部718Rのねじ孔7181に螺合することによって、ベース部材733は、上記延出部712Rの下面に取り付けられる。これにより、当該延出部712Rは、右側テンプル72Rの第1リンク731及び第2リンク732を、上下方向に沿う回動軸を中心として回動可能に支持する。
起立部7336,7337のうち、起立部7336は、ベース部材733の前側の端部に位置し、起立部7337は、左側の端部に位置する。この起立部7336に、前側に回動された第1リンク731が当接されることにより、当該第1リンク731の前方への回動可能範囲が規定される。同様に、起立部7337に、後側に回動された第1リンク731が当接されることにより、当該第1リンク731の後方への回動可能範囲が規定される。
付勢部734は、本実施形態では、引張ばね(引張コイルばね)によって構成され、上記のように、一端が第1リンク731の取付部7313に取り付けられ、他端がベース部材733の取付部7335に取り付けられる。このような付勢部734によって、第1リンク731は、当該第1リンク731の回動可能範囲において、孔部7312側の端部が前方に移動する方向(後述する−D3方向)に付勢される。
当接部74は、上記当接部67Rと同様に、ユーザーの頭部(側頭部及び後頭部)に当接され、当該ユーザーの耳に懸架される部材である。この当接部74は、第1リンク731及び第2リンク732と接続されている。そして、当接部74全体は、各リンク731,732の前方への回動とともに、前側で、かつ、左側テンプル72L及び頭部に近い位置に移動され、当該各リンク731,732の後方への回動とともに、後側で、かつ、左側テンプル72L及び頭部から離れた位置に移動される。このような当接部74は、本体部741と、当該本体部741によって支持される当接片745と、を有する。
本体部741の上面741Aには、孔部743,744が形成されている。これら孔部743,744には、本体部741内に挿入された各リンク731,732の孔部7312,7322に嵌合される嵌合部材(図示省略)が挿入される。これにより、第1リンク731及び第2リンク732と、当接部74(本体部741)とが組み合わされる。
重心調整部746は、本実施形態では、略四角柱状に形成されている。この重心調整部746が、HMD1Aのカウンターウェイトとして機能することによって、前方に重心が偏りがちなHMD1Aの重心位置を当該重心調整部746が無い場合に比べて後側にずらすことができ、装着感の向上及び疲労感の低減を図っている。この他、重心調整部746は、当接片745において太く形成されていることから、耳に懸架された当接片745のずれを抑制する。
左側テンプル72Lは、ユーザーの左側頭部及び後頭部に当接され、上記右側テンプル72Rとともに、当該ユーザーの頭部を挟持する。この左側テンプル72Lも、右側テンプル72Rと同様に、図25に示すように、第1リンク731、第2リンク732、ベース部材733及び付勢部734を有するリンク機構73と、当接部74と、減衰機構68(図25では図示省略)と、を有する。そして、左側テンプル72Lと右側テンプル72Rとは、鏡面対称に構成されている。
図29及び図30は、右側テンプル72Rの当接部74の移動状態を示す平面図である。具体的に、図29は、当該当接部74全体が左側テンプル72Lや頭部に対して最も近接した状態を上方から見た平面図であり、図23に示した状態からカバー部材71の図示を省略して右側テンプル72Rを拡大した図である。また、図30は、当該当接部74全体が左側テンプル72L及び頭部に対して最も離間した状態を上方から見た平面図であり、図24に示した状態からカバー部材71の図示を省略して右側テンプル72Rを拡大した図である。なお、図30では、図示の都合上、付勢部734と取付部7313との係合を解除している。
上記構成の右側テンプル72Rでは、当接部74は、以下のように移動される。
各当接部74全体が第1位置に位置する状態は、上記寸法L2(図23及び図24参照)が最も短い状態であり、当該状態での寸法L2は、本実施形態では128mmに設定されている。
このようにして、右側テンプル72Rのリンク731,732をそれぞれ+D3,+D4方向にそれぞれ最も回動させ、同様に、左側テンプル72Lのリンク731,732を後方に最も回動させた際の各当接部74全体の位置が第2位置であり、これら当接部74全体のそれぞれを第2位置に位置させた状態が、上記寸法L2が最も長くなる状態となる。この状態では、第1リンク731は、上記起立部7337に当接しており、当該寸法L2は、本実施形態では170mmに設定されている。
このように、テンプル7は、各当接部74全体がそれぞれの上記第1位置からそれぞれの上記第2位置までの範囲で移動可能に構成されている。
これら当接部74には、付勢部734による付勢力が作用されるので、当該各当接部74(当接片745)によって頭部が挟持される。本実施形態においても、付勢部734による各当接部74全体の移動の際には、上記減衰機構68によって移動力が減衰され、当該各当接部74の急激な移動が抑制される。
以上説明した本実施形態に係るHMD1Aによれば、上記HMD1と同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
左側支持部及び右側支持部として機能するカバー部材71は、右側テンプル72Rを構成する第1リンク731及び第2リンク732を支持し、ひいては、これらリンク731,732に接続された当接部74(対象当接部)を支持する。また、当該カバー部材71は、左側テンプル72Lを構成する第1リンク731及び第2リンク732を支持し、ひいては、これらリンク731,732に接続された当接部74(対象当接部)を支持する。そして、それぞれ対応するリンク731,732によって、各当接部74の全体が、上記した第1位置及び第2位置の間で移動となる。これら当接部74がそれぞれ第1位置に位置する場合の各当接部74間の左右方向における寸法L2より、第2位置に位置する場合の当該寸法L2は、大きくなる。これによれば、各当接部74間にユーザーの頭部が位置することによって、これら当接部74全体を、左右方向の大きさが異なる頭部の大きさに応じた位置(側頭部)に確実に当接させることができる。従って、頭部の大きさによって当該頭部と各当接部74との接触面積が変化することを抑制でき、当該接触面積を略一定に維持できるので、HMD1Aを頭部に安定して装着させることができる。
なお、左右の当接部74のうち、一方の当接部が固定され、他方の当接部全体が上記構成によって移動可能に構成されている場合でも、当該他方の当接部全体が頭部に対して近接及び離間する方向に移動可能であることにより、上記効果を奏することができる。
なお、左右の当接部74のうち、一方の当接部が固定され、他方の当接部全体が上記構成によって移動可能に構成されている場合でも、当該他方の当接部全体が左右だけでなく前後にも移動可能となるので、上記効果を奏することができる。
なお、左右の当接部74のうち、一方の当接部が固定され、他方の当接部全体が上記構成によって移動可能に構成されている場合でも、当該他方の当接部全体が頭部側に付勢されるので、上記効果を奏することができる。
なお、左側テンプル72L及び右側テンプル72Rの一方のみがカバー部材71に設けられる場合でも、同様の効果を奏することができる。
これに対し、当接片745においてユーザーにとっての観察方向とは反対方向側、すなわち、後側に位置する重心調整部746が、カウンターウェイトとして機能するので、HMD1Aの前後のバランスを保ちやすくすることができる。従って、装着感が損なわれることを抑制できる他、ユーザーの疲労感を軽減できる。また、当該重心調整部746が、当接部74における後側の部位に太く形成されているので、当該当接部74(当接片745)がユーザーの耳から外れることを抑制できる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るHMDは、上記HMD1Aと同様の構成を有するが、フレーム及びテンプルの構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るHMD1Bは、図31及び図32に示すように、遮蔽部材SD(図31)を有し、テンプル7に代えてテンプル8を有する他は、上記HMD1Aと同様の構成及び機能を有する。このテンプル8は、カバー部材81と、左側テンプル82L及び右側テンプル82Rと、を有する。なお、遮蔽部材SDの構成については、後に詳述する。
なお、本実施形態においても、各当接部84全体が第1位置に位置する状態での当接部84間の寸法は、128mmに設定され、上記第2位置に位置する状態での当接部84間の寸法は、170mmに設定されている。
以下、テンプル8の各構成について説明する。
図33は、カバー部材81を正面側下方から見た斜視図である。
カバー部材81は、カバー本体811及び取付部材812を備えて構成されている。
カバー本体811は、上方から見て略U字状に形成されている。このカバー本体811は、上記カバー部材71と同様に、左側テンプル82L及び右側テンプル82Rを支持して、フレーム本体31及びケース部材32L,32Rの上方、及び、当該ケース部材32L,32Rの側面(ユーザーの頭部側とは反対側の側面)を覆うように、フレーム3に取り付けられる。
このようなカバー本体811は、図33に示すように、フロント部711、延出部712L,712R、側面部713L,713R、固定部714L,714R、凹部715、開口部716、ねじ孔7171を有する第1軸部717L,717R、及び、ねじ孔7181を有する第2軸部718L,718Rを有し、これらが一体的に形成されている。
なお、カバー本体811においては、後述する第1リンク831にそれぞれ挿入される第1軸部717L,717Rの位置は、上記カバー部材71における第1軸部717L,717Rの位置に比べて、ユーザーの頭部側に位置する。
挟持部8123は、取付部材812がカバー本体811に取り付けられた際に、上記装着部3111に応じた位置に配置され、当該カバー本体811とともに装着部3111を上下に挟持する。なお、図示を省略するが、この挟持部8123における正面側の端面には、カバー本体811の突出部(図示省略)が挿入される凹部が形成されており、これらにより、カバー本体811に対する取付部材812の位置合わせが行われる。
また、挟持部8123における背面側の端面には、装着部3111に挿入されるノーズパッドNPの一部が挿通する開口部が形成されている。
取付部8124は、挟持部8123を挟むように一対設けられている。これら取付部8124は、延出部8121の延出方向に中心軸を有する略円筒状に形成されている。この取付部8124には、遮蔽部材SD(図34及び図35参照)が回動可能に取り付けられる。
遮蔽部材SDは、上記遮蔽部材と同様に、導光部材47R,47Lを介してユーザーの両眼に入射される外光の少なくとも一部を遮蔽して外界を見づらくし、これにより、表示される画像の視認性を向上させるものである。この遮蔽部材SDは、図31に示すように、遮光部SD1及び支持部SD2を有する。本実施形態では、これら遮光部SD1及び支持部SD2は、それぞれ別の部材として構成され、これら部材が組み合わされて遮蔽部材SDが構成されている。しかしながら、これに限らず、遮蔽部材SDは、一体的に形成されていてもよい。
アームSD4は、図34及び図35に示すように、取付部8124に回動可能に取り付けられ、把持部SD3、ひいては、遮光部SD1を移動させる部位である。このアームSD4は、把持部SD3から背面側に延出する第1延出部SD5と、当該第1延出部SD5における背面側の端部にて当該第1延出部SD5に対して略直交する第2延出部SD6と、当該第2延出部SD6に設けられた一対の取付部SD7と、を有する。
これらのうち、一対の取付部SD7のそれぞれは、断面視略U字状に形成されており、それぞれ対応する取付部8124を挟持する。これにより、遮蔽部材SDは、取付部8124を中心として上下に回動可能である。
一方、上記一対の取付部SD7のそれぞれは、対応する取付部8124に対向する面に、上記凹部8125,8126の一方に嵌合可能な突起SD8を有する。
そして、遮蔽部材SDが+E1方向に回動して、導光部材47L,47Rが上記遮蔽状態となったときに、突起SD8は、凹部8125に嵌合する。これにより、遮蔽部材SDは、導光部材47L,47Rを正面側にて覆う位置に位置決めされる。
また、遮蔽部材SDが−E1方向に回動して、導光部材47L,47Rが上記非遮蔽状態となったときに、突起SD8は、凹部8126に嵌合する。これにより、遮蔽部材SDは、導光部材47L,47Rを覆わない位置に位置決めされる。
更に、+X方向に沿う回動軸(遮蔽部材SDの回動軸)となる取付部8124の位置は、適宜変更可能であり、遮蔽部材SDがカバー部材81に回動可能に支持される支持構造も適宜変更可能である。例えば、遮蔽部材SDは、カバー部材81に着脱可能でなくてもよく、回動可能に連結されていてもよい。また、遮蔽部材SDにおける右側領域と左側領域とが、それぞれ独立して回動してもよく、この場合の回動軸は、左右方向(+X方向)に沿っていてもよく、上下方向(+Y方向)に沿っていてもよい。
図36は、右側テンプル82Rを上方から見た平面図である。なお、図36では、当接部84を構成する上側筐体部861を外した右側テンプル82Rを示している他、図示の都合上、第1リンク831と付勢部826との係合を解除している。
右側テンプル82Rは、図31及び図32に示したように、ユーザーの頭部に対して右側に位置し、当該ユーザーの右側頭部と後頭部の右側部分とに当接されて、左側テンプル82Lとともに当該頭部を挟持する。この右側テンプル82Rは、図36に示すように、右側テンプル72Rと同様に、リンク機構83、当接部84及び減衰機構68を備えて構成されている。
リンク機構83は、上記カバー部材81における延出部712Rの下面に取り付けられ、当接部84全体を左側テンプル82L及び頭部に対して接離する方向に移動させる。このリンク機構83は、第1リンク831、第2リンク832、ベース部材833及び付勢部834を有する。
第1リンク831及び第2リンク832は、第1リンク731及び第2リンク732と略同じ形状に形成されている。すなわち、第1リンク831は、ベース部材833に対する回動中心となる第1リンク側第1回動部としての孔部7311と、当接部84に対する回動中心となる第1リンク側第2回動部としての孔部7312と、を有する。この第1リンク831は、孔部7311にベース部材833の円筒部7331が挿入されることによって、当該円筒部7331を中心として左側テンプル82L及びユーザーの頭部から離間する方向である+D5方向と、当該+D5方向とは反対方向(左側テンプル82L及び頭部に近接する方向)である−D5方向とに、上下方向に沿う回動軸AX5を中心として回動可能に、ベース部材833に支持される。
更に、第2リンク832は、当接部84側の端部に、複数の歯により構成された噛合部8323を有する。この噛合部8323は、減衰機構68の軸部682に設けられて、当該軸部682とともに回動するギアである噛合部684と噛合する(図36においては、図示の都合上、噛合部8323,684が互いに噛合していないように見えるが、実際は互いに噛合している)。
これら第1リンク831及び第2リンク832では、各孔部7311,7312及び孔部7321の内側に、軸受BRが設けられており、これらリンク831,832の回動が円滑に行われるように構成されている。
ベース部材833は、上記ベース部材733と同様に、第1リンク831、第2リンク832及び付勢部834を支持し、上記カバー部材81の延出部712Rにおける下面に取り付けられる。このベース部材833は、円筒部7331,7332、挿通孔7333,7334、取付部7335及び起立部8336を有する。
これらのうち、起立部8336は、ベース部材833によってそれぞれ支持された第1リンク831側から第2リンク832側に向かって直線状に延出した後、円筒部7332の一部を囲む円弧状に形成されている。この起立部8336は、起立部7336,7337と同様に、回動された各リンク831,832の一部(例えば、上記凹部8312)と当接して、当該各リンク831,832の回動範囲を規定する。
付勢部834は、上記付勢部725と同様に、引張ばね(引張コイルばね)によって構成され、一端が上記取付部8313(取付孔8314)に取り付けられ、他端が上記取付部7335に取り付けられる。これにより、付勢部834は、第1リンク831が+D5方向に回動された場合(当接部84全体がユーザーの頭部から離間する方向に第1リンク831が回動された場合)に、当該第1リンク831の回動方向とは反対方向(−D5方向)に回動させる付勢力を当該第1リンク831に作用させる。なお、付勢部834の付勢力に伴う頭部への当接部84の押圧力については、後に詳述する。
当接部84は、上記当接部67R,74と同様に、ユーザーの頭部(側頭部及び後頭部)に当接され、当該ユーザーの耳に懸架される部材である。この当接部84全体は、接続された各リンク831,832の前方への回動とともに、前側で、かつ、左側テンプル82L及び頭部に近い位置に移動され、当該各リンク831,832の後方への回動とともに、後側で、かつ、左側テンプル82L及び頭部から離れた位置に移動される。このような当接部84は、本体部85、カバー88及び規制部材89を有する。
図37は、リンク機構83及び本体部85を示す斜視図である。また、図38及び図39は、それぞれ背面側上方及び正面側下方から見た本体部85を示す分解斜視図である。
本体部85は、当接部84の主要部を構成する。この本体部85は、図37〜図39に示すように、接続部86及びテンプルフレーム87を有する。
接続部86は、当接部84において第1リンク831及び第2リンク832と接続される部位である。この接続部86は、各リンク831,832の一部を上下から挟む一対の筐体部である上側筐体部861及び下側筐体部862が組み合わされて構成されており、これら筐体部861,862は、それぞれ合成樹脂により形成されている。そして、接続部86は、当該筐体部861,862に形成された凹部によって構成される開口部860を有し、当該開口部860内には、各リンク831,832の一部が挿入される。
ボス8611は、下方に向かって突設されている。このボス8611は、第1リンク831の孔部7312内の軸受BRに挿入される。これにより、第1リンク831が当接部84(接続部86)に回動可能に支持される。
ボス8613,8614には、上記減衰機構68が有する一対の孔部683を挿通するねじ(図示省略)がそれぞれ固定される。これらボス8613,8614は、上記ボス8611,8612から離間した位置に配置されている。すなわち、ボス8613,8614は、回動支持部に相当するボス8611,8612とは異なるボスであり、減衰機構支持部に相当する。
ボス8615には、下側筐体部862を挿通したねじが固定される。同様に、上記ボス8611,8612にも、下側筐体部862を挿通したねじが固定される。これにより、上側筐体部861と下側筐体部862とが組み合わされる。
溝部8616は、上側筐体部861においてリンク機構83側とは反対側の側面に位置し、当該溝部8616には、後述するカバー88の一部が挿入される。
ボス8621は、上記ボス8611とともに、第1リンク831の孔部7312内の軸受BRに挿入される。また、ボス8622は、上記ボス8612とともに、第2リンク832の孔部7322に挿入される。
ボス8623は、ボス8615に固定されるねじが下方から挿通する孔部を有する。なお、ボス8621,8622も、上記ボス8611,8612に固定されるねじが下方から挿通する孔部を有する。
被覆部8625は、カバー88によって覆われる部位である。この被覆部8625は、テンプルフレーム87が固定される部位であり、当該被覆部8625は、テンプルフレーム87を挿通したねじ(図示省略)が固定される2つのねじ孔8626を有する。
テンプルフレーム87は、本発明のフレーム部に相当し、図37に示すように、被覆部8625から背面側に延出するように、当該被覆部8625に固定される。このテンプルフレーム87は、可撓性を有する材料により円弧状に形成され、本実施形態では、金属により形成されている。このようなテンプルフレーム87は、固定部871、湾曲部873、延出部874及び被取付部875を有する。
なお、このような湾曲部873は、テンプルフレーム87に1つだけでなく、複数設けられていてもよい。すなわち、テンプルフレーム87は、複数の湾曲部873を有する波状に形成されていてもよい。この場合、テンプルフレーム87(延出部874)を一層撓みやすく構成できる。
第2係止部877は、第1係止部876と延出部874の折返部分との間に位置する。この第2係止部877は、被取付部875に取り付けられた規制部材89を係止する突出部である。
図40及び図41は、当接部84をリンク機構83とは反対側から見た斜視図及び分解斜視図である。
カバー88は、テンプルフレーム87を覆うように本体部85に取り付けられ、ユーザーの頭部(側頭部から後頭部に掛けた部位)に接触する部材である。このカバー88は、図40及び図41に示すように、カバー本体880と、挿通口881、延出部882及び拡張部883と、を有する。
カバー本体880は、接続部86側から後方に向かうに従って外径が細くなる筒状に形成されている。
延出部882は、カバー本体880から正面側に延出した部位である。この延出部882は、接続部86の溝部8616,8624内に挿入されて係止される。
拡張部883は、カバー本体880から下方に垂下した部位である。この拡張部883は、ユーザーの側頭部と耳との間に配置されて、当該耳(例えば耳の付け根の上部)に載せられる部位であり、カバー88においてユーザーの頭部に接触する接触面積を拡大する部位でもある。すなわち、拡張部883は、当接部84の位置を安定させる位置安定部として機能する部位である。
この拡張部883は、図42に示すように、カバー本体880においてユーザーの側頭部側の部位に、下方に向かうに従って幅寸法(左右方向である+X方向に沿う寸法)が小さくなるように形成されている。このため、ユーザーの頭部のサイズに依らずに、拡張部883を側頭部に当接しやすい構成となっている他、ユーザーによって形状が異なる耳の付け根の上部に載せやすくなっている。更に、このような構成により、当接部84における後部(テンプルフレーム87及びカバー88が位置する部位)を曲げる場合であっても、拡張部883の存在によって曲げにくくなることが抑制されている。
なお、拡張部883は、下方に向かうに従って幅寸法が小さくなる略錐形状(略錐台形状)に形成されているが、当該幅寸法が略変化しない板状であってもよい。
このような拡張部883は、図43に示すように、正面側から順に、傾斜部8831〜8834を下側外縁に有する。
傾斜部8832は、傾斜部8831における背面側端部から後方に向かうに従ってカバー本体880に近接するように傾斜した部位である。
傾斜部8833は、傾斜部8832における背面側端部から後方に向かうに従ってカバー本体880から離間するように傾斜した部位である。
傾斜部8834は、拡張部883において最も背面側に位置し、傾斜部8833における背面側端部から後方に向かうに従ってカバー本体880に近接するように傾斜した部位である。
なお、本実施形態では、傾斜部8832,8833は、一体の円弧状に形成されているが、それぞれ直線状であってもよい。
このような拡張部883においては、傾斜部8831における背面側端部が、カバー本体880からの下方への突出量が最も大きい部位であり、次いで、傾斜部8833における背面側端部が、カバー本体880からの下方への突出量が大きい部位である。すなわち、傾斜部8832における背面側端部は、傾斜部8831,8833のそれぞれにおける背面側端部より、カバー本体880からの突出量は小さい。
また、HMD1Bが、成人女性より頭部が小さい子供に装着される場合には、図43において点線で示す耳EA2の付け根の上部に、傾斜部8832における正面側の部位が当接する。
一方、HMD1Bが、成人女性より頭部が大きい平均的な成人男性に装着される場合には、図43において二点鎖線で示す耳EA3の付け根の上部に、傾斜部8833が当接する。
すなわち、ユーザーの頭部の大きさに依らずに、傾斜部8832,8833のいずれかの部位に、当該ユーザーの耳が当接するように、拡張部883は構成されている。
更に、当接部84がユーザーの視方向と略平行となるように配置できることから、テンプルフレーム87や後述する規制部材89によってHMD1Bの重心位置を、後方側に位置させやすくすることができる。このような効果は、当該視方向及び当接部84のそれぞれが略水平方向に沿う場合に、特に有効である。従って、ユーザーの頭部の形状や大きさに依らずに、ノーズパッドNPを介してユーザーの鼻に加わる荷重を低減できる。
加えて、上記のように、傾斜部8832,8833が一体の円弧状に形成されていることにより、耳との接触面積を拡大しやすくすることができる。
また、拡張部883は、上記傾斜部8831〜8834を有し、傾斜部8832,8833が一体の円弧状に形成されていた。しかしながら、これに限らず、傾斜部8831〜8834のそれぞれは、直線状でもよく円弧状でもよい。更に、拡張部883は、頭部(例えば耳)に当接可能な円弧状部位を複数有する構成でもよい。加えて、拡張部883は、後方に向かうに従ってカバー本体880からの突出量が小さくなる(細くなる)側面視略三角形状に形成されていてもよい。
規制部材89は、被取付部875に着脱可能に取り付けられる。この規制部材89は、被取付部875に取り付けられることによって、本体部85からのカバー88の脱落を規制し、また、被取付部875から取り外されることによって、本体部85からのカバー88の取り外しを可能とする。このような規制部材89は、被取付部875が挿入される開口部891を有し、当該開口部891の内面が上記第2係止部877によって係止されることによって、被取付部875からの意図しない脱落が抑制される。
図44は、リンク機構83と当接部84とを拡大して示す平面図である。
右側テンプル82Rでは、付勢部834による−D5方向への付勢力によって、当該付勢部834と接続される第1リンク831を介して、当接部84は、左側テンプル82L及びユーザーの頭部に近接する方向に付勢される。この当接部84が頭部に当接した際に作用する押圧力は、第1リンク831の回動状態(換言すると、当接部84の位置)によって大きく変化せずに、所定の範囲内の値となるように、右側テンプル82Rは構成されている。
具体的に、図44に示すように、第1リンク831の回動中心(孔部7311の中心)から、取付部8313において付勢部834の一端が取り付けられる取付位置(取付孔8314)に向かう方向を、D7方向(第1方向)とすると、当該D7方向は、当接部84が上記第1位置と第2位置との間の範囲内に位置する際に、引張コイルばねである付勢部834の軸方向と交差する(略直交)する。換言すると、D7方向は、当該付勢部834の軸方向に沿い、かつ、上記取付孔8314からベース部材833の取付部7335に向かう方向であるD8方向(第2方向)に対して交差(略直交)する。
一方、取付部8313に上記D8方向に沿って作用して、第1リンク831を−D5方向に回動させるのに必要な力(必要回動力)は、上記D7方向とD8方向との交差角が大きくなるほど大きくなる。すなわち、当該必要回動力は、第1リンク831が+D5方向に回動するに従って大きくなる。
そして、第1リンク831の−D5方向への回動に伴って当接部84がユーザーの頭部を押圧する押圧力は、付勢部834による付勢力と、上記必要回動力とを合成した力である。すなわち、当該押圧力は、付勢部834による付勢力から当該必要回動力を減算した値である。
これによれば、第1リンク831の回動状態、すなわち、当接部84の位置に依らずに、当該当接部84による頭部への押圧力を一定の範囲内の値に設定できる。従って、当接部84の位置によって、当該当接部84が当接する頭部の大きさによって押圧力が変化することを抑制できる。
左側テンプル82Lは、図31及び図32に示したように、ユーザーの頭部に対して左側に位置し、当該ユーザーの左側頭部及び後頭部に当接されて、右側テンプル82Rとともにユーザーの頭部を挟持する。この左側テンプル82Lは、右側テンプル82Rと鏡面対称に構成されており、詳しい図示を省略するが、第1リンク831、第2リンク832、ベース部材833及び付勢部834を有するリンク機構83と、本体部85、カバー88及び規制部材89を有する当接部84と、減衰機構68と、を有する。
そして、左側テンプル82Lは、右側テンプル82Rと同様に動作する。そして、テンプル8は、上記テンプル7と同様に機能し、右側テンプル82R及び左側テンプル82Lが、頭部を挟持する。
以上説明した本実施形態に係るHMD1Bによれば、上記HMD1,1Aと同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
右側テンプル82Rにおいて、当接部84は、減衰対象リンクである第2リンク832を回動可能に支持する回動支持部としてのボス8612と、減衰機構68を支持する減衰機構支持部としてのボス8613,8614と、を有する。これらボス8612〜8614は、それぞれ異なる位置に配置され、減衰機構68及び第2リンク832は、互いに噛み合う噛合部684,8323を有する。これによれば、噛合部684,8323同士が噛合すれば、第2リンク832の回動力を減衰機構68に伝達できるので、当該第2リンク832が減衰機構68によって支持される場合に比べて、これらを係合しやすくすることができる。また、ボス8612〜8614が、上側筐体部861において互いに異なる位置に配置されていることにより、減衰機構68が第2リンク832を支持する場合に比べて、当該第2リンク832の回動に伴う減衰機構68の負荷を軽減できる。従って、HMD1Bの長寿命化を図ることができる。
なお、右側テンプル82Rと同様の構成を有する左側テンプル82Lも、上記と同様の効果を奏することができる。
なお、このようなカバー88は、頭部に接触することから劣化が比較的進行しやすいと考えられる。このようにカバー88が劣化すると、HMD1Bの装着感が損なわれる可能性がある。これに対し、必要に応じてカバー88が交換されることにより、当該装着感が損なわれることを抑制できる。
これらの効果は、1つのHMD1Bを複数のユーザーが使用する場合に特に有効である。
これに対し、テンプルフレーム87は、接続部86と固定される固定部871に対して、当該接続部86からのテンプルフレーム87の延出方向の先端側に位置する湾曲部873を有する。これによれば、テンプルフレーム87(延出部874)が撓む際に、当該テンプルフレーム87が撓む位置を湾曲部873に規定できるので、固定部871や上記固定構造を強化する必要がない。そして、当該湾曲部873が湾曲していることから、テンプルフレーム87の撓む位置の強度を高めることができる。更に、テンプルフレーム87が撓みやすくなることから、テンプルフレーム87、ひいては、当接部84を頭部の形状に沿うように変形させやすくすることができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るHMDは、上記HMD1と同様の構成を有するが、テンプルの構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るHMD1Cは、図45に示すように、テンプル7に代えてテンプル9を備える他は、上記HMD1Aと同様の構成及び機能を有する。
テンプル9は、上記テンプル7と同様に、カバー部材91と、右側テンプル92R及び左側テンプル(図示省略)と、を有する。なお、左側テンプルは、図示を省略するが、右側テンプル92Rと鏡面対称に構成されていることから、当該左側テンプルについては、説明を省略する。
カバー部材91は、上記カバー部材71と同様に、略U字状に形成されており、画像表示部2(ケース部材32L,32R)に取り付けられる。そして、カバー部材91は、フロント部311及びケース部材32L,32Rを上方から覆う他、側面部312L,312Rを外側から覆う。
配置部911,912は、延出部712Rの下面に位置し、内部に伸縮部材921,922の一端がそれぞれ配置される孔部である。これら配置部911,912は、ユーザーの頭部側、すなわち、右側テンプル92Rを構成する当接部923側に開口している。
なお、図示を省略するが、延出部712Lの下面にも、左側テンプルを構成する当接部側に開口し、内部に伸縮部材921,922と同様の伸縮部材が配置される2つの配置部が位置する。
このように、カバー部材91は、右側テンプル92Rを支持する右側支持部、及び、左側テンプルを支持する左側支持部であるとともに、フレーム3(フレーム本体31及びケース部材32L,32R)の上方及び側方を覆ってHMD1Cの外装を構成する外装部を構成する。
右側テンプル92Rは、上記右側テンプル72R,82Rと同様に、ユーザーの右側頭部及び後頭部(詳しくは後頭部における右側の部位)に当接され、左側頭部及び後頭部(詳しくは後頭部における左側の部位)に当接される左側テンプルとともに、当該ユーザーの頭部を挟持する。この右側テンプル92Rは、上記配置部911,912内に一端が配置される伸縮部材921,922と、これら伸縮部材921,922に接続される当接部923と、を有する。
なお、上記のように、左側テンプルは、右側テンプル92Rと鏡面対称に構成され、当該右側テンプル92Rと同様に、伸縮部材921,922及び当接部923を有する。
本体部9231は、上記本体部741と同様に、ケース部材32R(上部ケース321の側面部321B)に対向配置される。この本体部9231は、上記伸縮部材921,922の他端が配置される孔部である配置部9232,9233を有する。
なお、伸縮部材921と伸縮部材922とは、それぞれ略平行に配置されるが、一端側(配置部911,912に配置される端部側であり、カバー部材91との係合位置側)から他端側(配置部9232,9233に配置される端部側であり、当接部923との係合位置側)に向かうに従って前方に位置するように、前後方向及び左右方向に対して傾斜して配置されている。なお、伸縮部材921,922は、更に、一端側から他端側に向かうに従って上方又は下方に位置するように、上下方向に対して傾斜して配置されてもよい。
なお、本実施形態では、各当接部923の移動は、上記第1位置から上記第2位置の間での平行移動である。しかしながら、これに限らず、各当接部923は、第1位置側から第2位置側に移動するに従って各当接部923の後端間の間隔が一層広がるように、伸縮部材921,922の一方との係合位置を中心として回動してもよい。
以上説明した本実施形態に係るHMD1Cによれば、上記HMD1,HMD1A,HMD1Bと同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
すなわち、右側支持部として機能するカバー部材91は、右側テンプル92Rを構成する伸縮部材921,922を支持し、ひいては、これら伸縮部材921,922に接続された当接部923(対象当接部)を支持する。また、左側支持部としても機能する当該カバー部材91は、図示を省略したが、右側テンプル92Rと鏡面対称に構成された左側テンプルを構成する伸縮部材921,922を支持し、ひいては、これら伸縮部材921,922に接続された当接部923(対象当接部)を支持する。そして、それぞれ対応する伸縮部材921,922によって、各当接部923全体が、上記した第1位置及び第2位置の間で移動可能となる。これら当接部923がそれぞれ第1位置に位置する場合の各当接部923間の左右方向における寸法より、第2位置に位置する場合の当該寸法は、大きくなる。これによれば、各当接部923間にユーザーUSの頭部が位置することによって、これら当接部923全体を、左右方向の大きさが異なる頭部の大きさに応じた位置(側頭部)に確実に当接させることができる。従って、頭部の大きさによって当該頭部と各当接部923との接触面積が変化することを抑制でき、当該接触面積を略一定に維持できるので、HMD1Cを頭部に安定して装着させることができる。
なお、左右の当接部923のうち、一方の当接部が固定され、他方の当接部全体が上記構成によって移動可能である場合でも、当該他方の当接部全体が頭部に対して近接及び離間する方向に移動可能であることにより、上記効果を奏することができる。
これに対し、伸縮部材921,922は、上記一端側から上記他端側に向かうに従って前方に位置するように、前後方向及び左右方向に対して傾斜して配置されている。これによれば、ユーザーの頭部が当接部923を押し返す力の向きを後向きにすることができる。従って、HMD1Cが頭部から脱落することを抑制でき、当該HMD1Cを頭部に安定して装着させることができる。
また、当接部923が第1位置に位置する場合、当該当接部923は、他方の当接部926及びユーザーの頭部に近接する側で、かつ、前側に位置することとなる。そして、当接部923が第2位置に位置する場合、当該当接部923は、他方の当接部923及びユーザーから離間する側で、かつ、後側に位置することとなる。これにより、頭部の大きさに依らずに、各当接部923を側頭部及び後頭部に適切に当接させることができる。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記第1実施形態では、画像表示部2に、左右のテンプル6L,6Rが設けられ、上記第2及び第3実施形態では、画像表示部2に取り付けられるカバー部材71,81に、左側テンプル72L,82L及び右側テンプル72R,82Rが設けられた。また、上記第4実施形態では、画像表示部2に取り付けられるカバー部材91に、左側テンプル及び右側テンプル92Rが設けられた。すなわち、画像表示部2の左右に、当接部が移動可能に設けられていた。しかしながら、これに限らず、ユーザーの頭部(側頭部)にそれぞれ当接される左右の当接部のうち、一方の当接部は固定され、他方の当接部が移動可能に設けられていてもよい。また、頭部における当接部の当接部位も、側頭部に当接すればよく、必ずしも側頭部から後頭部にかけた範囲でなくてもよい。更に、当接部は、耳に懸架されなくてもよい。
更に、当接部に接続される伸縮部材は、2つに限らず、1つでも3つ以上でもよい。
また、カバー部材71,81,91は、左側支持部及び右側支持部を一体化した構成を有していなくてもよく、これら左側支持部及び右側支持部は、分離されていてもよい。例えば、カバー部材71,81,91における左右の部位を、右側カバー部材及び左側カバー部材として独立させてもよい。これらのうち、延出部712Rを有する右側カバー部材を右側支持部として利用でき、延出部712Lを有する左側カバー部材を左側支持部として利用できる。なお、これら右側カバー部材及び左側カバー部材にフロント部はなくてもよい。
また、付勢部66Rは、ねじりコイルばねによって構成され、付勢部734,834は、引張ばね(引張コイルばね)によって構成されるとした。しかしながら、これに限らず、上記付勢力を作用させる付勢部の構成は、他の構成でもよい。
一方、ケース部材32L,32Rは無くてもよい。この場合、例えば外側カバー61L,61R及び内側カバー62L,62R内に上記画像投射部41が設けられていてもよく、カバー部材71,81,91に当該画像投射部41が取り付けられていてもよい。
更に、第1リンク831、第2リンク832及び減衰機構68を支持する構造を、上側筐体部861及び下側筐体部862のいずれかが有していればよい。
更に、テンプルフレーム87は、金属製でなくてもよく、合成樹脂等の他の材料により形成されていてもよい。また、テンプルフレーム87とカバー88との間にシール部材SMはなくてもよく、隙間が形成されていてもよい。
更に、被取付部875は、延出部874の一部を外側(頭部に近接する側とは反対側)に折り返した構成でなくてもよく、上記重心調整部746のように、予め太く形成された部位であってもよい。
また、上記収容空間内に収容される部材は、画像投射部41及び制御部46でなくてもよく、これらのうち一方のみでもよい。更に、例えば、画像表示部2の動作に必要な制御回路や電源等、他の部材が当該収容空間内に配置されていてもよい。
更に、制御部46は、プリント基板に限らず、フレキシブルプリント基板であってもよく、演算処理回路等の回路素子を有する制御ユニットであってもよい。すなわち、所定の制御を実行するものであれば、制御部46の構成は問わない。
Claims (21)
- ユーザーの頭部に装着され、前記ユーザーに観察可能に画像を表示する頭部装着型画像表示装置であって、
前記画像を表示する画像表示部と、
前記頭部における左側の側頭部に当接される左側当接部と、
前記頭部における右側の側頭部に当接される右側当接部と、
前記画像表示部に設けられ、前記左側当接部を支持する左側支持部と、
前記画像表示部に設けられ、前記右側当接部を支持する右側支持部と、を備え、
前記左側支持部及び前記右側支持部のうち少なくとも一方の支持部は、前記左側当接部及び前記右側当接部のうち前記少なくとも一方の支持部が支持する当接部である対象当接部の全体を、第1位置から、前記第1位置より前記頭部に対して左右方向において離間した第2位置に移動可能に支持し、
前記対象当接部の全体が前記第1位置に位置する場合と、前記対象当接部の全体が前記第2位置に位置する場合とで、前記左側当接部と前記右側当接部との間の前記左右方向における寸法は、異なることを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項1に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記少なくとも一方の支持部に、上下方向に沿う第1回動軸を中心として回動可能に支持され、前記対象当接部と接続される第1リンクと、
前記少なくとも一方の支持部において前記第1リンクとは前後方向において異なる位置に、上下方向に沿う第2回動軸を中心として回動可能に支持されて、前記対象当接部と接続される第2リンクと、を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項2に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記第1リンク及び前記第2リンクのうち一方のリンクである減衰対象リンクと係合し、前記減衰対象リンクの回動力を減衰させる減衰機構を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項3に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記対象当接部は、
前記減衰対象リンクを回動可能に支持する回動支持部と、
前記減衰機構を支持する減衰機構支持部と、を有し、
前記回動支持部及び前記減衰機構支持部は、それぞれ異なる位置に配置され、
前記減衰機構及び前記減衰対象リンクは、互いに噛み合う噛合部を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項4に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記対象当接部は、前記第1リンク及び前記第2リンクのそれぞれの一部を上下方向に沿って挟む一対の筐体部を有し、
前記回動支持部及び前記減衰機構支持部は、前記一対の筐体部のうち、一方の筐体部に位置することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記対象当接部の全体が前記第1位置に位置する回動方向に、前記第1リンク及び前記第2リンクのうち少なくとも一方のリンクである付勢対象リンクを付勢する付勢部を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項6に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記付勢部は、一端が前記付勢対象リンクと係合し、他端が所定の位置と係合する引張ばねであり、
前記付勢対象リンクは、前記引張ばねの一端が取り付けられる取付部を有し、
前記対象当接部が前記第1位置と前記第2位置との間の範囲内に位置する際に、前記付勢対象リンクにおける前記対象当接部とは反対側の回動中心から前記取付部における前記引張ばねの一端の取付位置に向かう方向である第1方向と、前記引張ばねの軸方向に沿う第2方向とは、交差することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項2から請求項7のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記第1リンクは、
前記第1回動軸を中心として回動可能に支持される第1リンク側第1回動部と、
前記対象当接部に回動可能に支持される第1リンク側第2回動部と、を有し、
前記第2リンクは、
前記第2回動軸を中心として回動可能に支持される第2リンク側第1回動部と、
前記対象当接部に回動可能に支持される第2リンク側第2回動部と、を有し、
前記第1リンク側第1回動部、前記第1リンク側第2回動部、前記第2リンク側第1回動部、及び、前記第2リンク側第2回動部の少なくともいずれかは、軸受を介して支持されることを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記対象当接部は、
本体部と、
前記本体部に対して着脱可能に設けられ、前記本体部の少なくとも一部を覆うカバーと、を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項9に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記本体部は、
前記第1リンク及び前記第2リンクと接続される接続部と、
一端が前記接続部に固定されて、前記接続部から前記ユーザーの後方に延出するフレーム部と、を有し、
前記フレーム部は、可撓性を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項10に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記フレーム部は、前記接続部からの前記フレーム部の延出方向において前記接続部との固定位置に対して前記延出方向の先端側に位置する湾曲部を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項10又は請求項11に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記対象当接部は、前記フレーム部と前記カバーとの間に位置するシール部材を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記フレーム部は、金属により形成されていることを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記カバーは、前記フレーム部が挿通される挿通口を有し、
前記対象当接部は、前記挿通口に前記フレーム部が挿通された前記カバーの脱落を規制する規制部材を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項14に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記フレーム部は、前記接続部からの前記フレーム部の延出方向先端部に、前記規制部材が取り付けられる被取付部を有し、
前記被取付部は、前記フレーム部の他の部位より厚さ寸法が大きいことを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項15に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記被取付部は、前記フレーム部の一部を、前記頭部に近接する側とは反対側に折り返した構成であることを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記少なくとも一方の支持部は、当該頭部装着型画像表示装置の外装の一部を構成する外装部を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項17に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記外装部は、前記画像表示部の側方及び上方の少なくともいずれかを覆うことを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記対象当接部は、少なくとも一部が他の部位より細いことを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記対象当接部は、前記画像表示部によって表示される前記画像を前記ユーザーが観察する方向である観察方向とは反対方向側の部位に、当該頭部装着型画像表示装置の重心位置を調整する重心調整部を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。 - 請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記少なくとも一方の支持部は、前記左側当接部と前記右側当接部との間の前記左右方向における寸法を128mm以上、170mm以下の範囲となるように、前記対象当接部を移動可能に支持することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
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