JP2018032705A - ヒートシンクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多大な熱エネルギを不要としながら、粗材の表面に熱放射性塗料皮膜を形成することのできるヒートシンクの製造方法を提供する。
【解決手段】粗材Wと、粗材Wの表面に形成された熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造方法であって、第一型1と第二型2から構成される成形型10のキャビティC内に金属溶湯を注入して粗材Wを鋳造する第一のステップ、第一型1のみ粗材Wから取り外し、粗材Wが第二型2に保持された状態で粗材Wの表面に熱放射性塗料を塗布して熱放射性塗料皮膜を形成し、ヒートシンクを製造する第二のステップからなる。
【選択図】図3
【解決手段】粗材Wと、粗材Wの表面に形成された熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造方法であって、第一型1と第二型2から構成される成形型10のキャビティC内に金属溶湯を注入して粗材Wを鋳造する第一のステップ、第一型1のみ粗材Wから取り外し、粗材Wが第二型2に保持された状態で粗材Wの表面に熱放射性塗料を塗布して熱放射性塗料皮膜を形成し、ヒートシンクを製造する第二のステップからなる。
【選択図】図3
Description
本発明は、粗材と、粗材の表面に形成された熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造方法に関するものである。
昨今の電気回路は小型化が進み、この小型化に伴って発熱密度が上昇していることから、電気回路の放熱性能の向上が重要な開発要素の一つとなっている。
発熱量の大きな電気回路は当該電気回路を収容する筐体をアルミダイカストで製作するのが一般的であるが、金属は熱伝導率が高い一方で空気への熱伝達率が低い傾向にある。たとえば、アルミニウムの熱伝導率は100W/mKである一方、その空気への熱伝達率(放射率)は0.1〜0.3程度と低い。
そこで、金属製の筐体の表面に対し、空気への熱伝達率の高い物質である、カーボンや窒化物、樹脂等からなる皮膜を形成する試みがおこなわれている。
ここで、特許文献1には、平均粒径が0.1〜50μmで、酸化亜鉛粉末あるいは酸化チタン粉末又はその両方を含むセラミックス粉末と、バインダーと、を含み、バインダー成分100質量部に対してセラミックス粉末成分を25〜100質量部含む熱放射性塗料が平均膜厚1〜50μmで塗布されたヒートシンクが開示されている。
特許文献1に記載のヒートシンクによれば、熱放射性塗料からなる皮膜を有することで赤外領域の放射率が高められ、効率よく放熱できるとしている。
ところで、ヒートシンクの製造は、成形型にて粗材を鋳造した後、成形型から粗材を取り出し、粗材を所定の塗布領域に搬送し、粗材の表面にたとえば上記する熱放射性塗料を塗布し、焼付けや溶剤の揮発をおこなって熱放射性塗料皮膜を形成することにより、その製造がおこなわれる。
ところが、成形型から取り出され、搬送される過程で粗材の温度が低下してしまい、塗料を塗布するのに適した温度未満の温度まで低下してしまうことが問題となっている。また、たとえば粗材に塗料をスプレー塗布している最中に、粗材の温度が塗料を塗布するのに適した温度未満の温度まで低下してしまうことも問題となる。
温度低下した粗材を焼成炉に収容して熱放射性塗料の焼付けや溶剤の揮発をおこなうに当たり、塗料を塗布するのに適した温度まで粗材を昇温させ、さらに塗料の焼付けや溶剤の揮発をおこなう必要があることから、多大な熱エネルギを要することになる。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、成形型にて粗材を成形し、粗材の表面に熱放射性塗料皮膜を形成してヒートシンクを製造する方法に関し、多大な熱エネルギを不要としながら、粗材の表面に熱放射性塗料皮膜を形成することのできるヒートシンクの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるヒートシンクの製造方法は、粗材と、該粗材の表面に形成された熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造方法であって、第一型と第二型から構成される成形型のキャビティ内に金属溶湯を注入して粗材を鋳造する第一のステップ、前記第一型のみ前記粗材から取り外し、該粗材が前記第二型に保持された状態で該粗材の表面に熱放射性塗料を塗布して熱放射性塗料皮膜を形成し、ヒートシンクを製造する第二のステップからなるものである。
本発明のヒートシンクの製造方法は、第一型と第二型から構成される成形型のキャビティ内で粗材が鋳造(成形)された後、第一型のみ粗材から取り外し、粗材が第二型に保持された状態で粗材の表面に熱放射性塗料を塗布することにより、第二型の有する熱容量にて蓄熱された熱が粗材に伝熱されて該粗材の温度低下を抑制でき、もって、多大な熱エネルギを不要としながら、塗料塗布に適した温度にて粗材に熱放射性塗料を塗布することを可能としたものである。
たとえば溶融したアルミニウムの溶湯の熱は700℃程度もあることから、キャビティに注入された溶湯温度にて第一型と第二型が加熱され、蓄熱される。
ここで、「粗材が前記第二型に保持された状態」とは、たとえば第二型のキャビティ面に形成された凹部に粗材の一部が嵌り込んで保持されている状態の他、第二型のキャビティ面とは異なる側面に凹部を設けておき、第二型のキャビティ面から粗材を取り外して凹部に移動させて嵌め込むことで粗材が保持される状態などを含む意味である。
従来の製造方法で粗材の表面に熱放射性塗料を塗布する場合、粗材が成形された後、成形型から粗材を完全に脱型し、塗布領域まで搬送する過程で温度低下した粗材をたとえばヒータ内蔵の治具上に載置して加熱し、塗料塗布に適した温度まで粗材を昇温させる必要があった。しかしながら、ヒータを内蔵する治具は製作コストが高くなり、既述するようにこの方法では多大な熱エネルギを必要とする。
これに対し、本発明の製造方法では、成形型を構成する第二型の有する熱容量にて蓄熱された熱が粗材に伝熱されて粗材の温度低下を抑制できることから、製作コストの高いヒータ内蔵治具等を不要にでき、粗材の昇温のための多大な熱エネルギも不要にできる。
また、第二型で加温された粗材に対して熱放射性塗料が塗布されることから、粗材の有する熱で熱放射性塗料の焼付けや溶剤の揮発もおこなうことができ、焼付け工程や溶剤の揮発工程にて必要となっていた焼成炉を不要にでき、焼付け工程や溶剤の揮発工程も不要にできて製造効率性が高まる。
以上の説明から理解できるように、本発明のヒートシンクの製造方法によれば、第一型と第二型から構成される成形型のキャビティ内で粗材が鋳造された後、第一型のみ粗材から取り外し、粗材が第二型に保持された状態で粗材の表面に熱放射性塗料を塗布することにより、第二型の有する熱容量にて蓄熱された熱が粗材に伝熱されて該粗材の温度低下を抑制でき、もって、多大な熱エネルギを不要としながら、粗材の表面に熱放射性塗料皮膜を形成することができる。
以下、図面を参照して本発明のヒートシンクの製造方法の実施の形態を製造システムとともに説明する。なお、図示例は、第二型のキャビティ面に形成された凹部に粗材の一部が嵌り込んで保持されている状態で塗料塗布をおこなう形態であるが、それ以外にも、第二型のキャビティ面とは異なる側面に凹部を設けておき、第二型のキャビティ面から粗材を取り外して凹部に移動させて嵌め込んで粗材を保持した状態で塗料塗布をおこなう形態であってもよい。
(ヒートシンクの製造システム)
図1は本発明のヒートシンクの製造システムの実施の形態を示した模式図である。図示する製造システム300は、鋳造装置100と塗布装置200から構成されている。
図1は本発明のヒートシンクの製造システムの実施の形態を示した模式図である。図示する製造システム300は、鋳造装置100と塗布装置200から構成されている。
鋳造装置100は、成形型10と、成形型10に提供される溶湯を保持する溶湯保持炉20と、溶湯保持炉20から成形型10に溶湯を提供する溶湯供給管30とから構成されている。
成形型10は、第一型1と第二型2から構成され、第一型1には凹部1aが形成され、第二型2には凹部2aが形成され、図示する型閉め状態においてこれらの凹部1a、2aにてキャビティCが形成されている。
溶湯保持炉20には溶融したアルミニウム等の溶融金属が収容されており、アルミ溶湯の場合にはその内部温度が700℃程度になっている。
一方、塗布装置200は、熱放射性塗料を収容する塗料収容容器40と、スプレーノズル50と、塗料収容容器40からスプレーノズル50へ熱放射性塗料を提供する塗料供給管40Aと、から構成されている。
ここで、熱放射性塗料としては、ポリアミドイミド(PAI)やエポキシ系塗料、フェノール系塗料などを挙げることができる。
次に、以下、図1で示す製造システム300を用いたヒートシンクの製造方法を説明する。
(ヒートシンクの製造方法)
図1は既述するヒートシンクの製造システムを説明するとともに本発明のヒートシンクの製造方法の第一のステップを説明した模式図であり、図2,3は順にヒートシンクの製造方法の第二のステップを説明した模式図である。
図1は既述するヒートシンクの製造システムを説明するとともに本発明のヒートシンクの製造方法の第一のステップを説明した模式図であり、図2,3は順にヒートシンクの製造方法の第二のステップを説明した模式図である。
まず、成形型10のキャビティCの壁面に離形剤を塗布した後、図1で示すように型閉めされた成形型10のキャビティCに対し、溶湯保持炉20から金属溶湯を供給し(X方向)、キャビティC内で粗材を鋳造する。
次に、図2で示すように、金属溶湯が凝固して粗材Wが成形されたら、成形型10を型開きし、粗材Wを第二型2の凹部2aに嵌め込んだ状態で粗材Wを第一型1から取り外す。
次に、粗材Wが第二型2の凹部2aに嵌め込まれた状態でこれら粗材Wと第二型2を塗布領域まで搬送する。
成形型10から粗材Wを取り出し、塗布領域に搬送する過程で、通常であれば粗材Wの温度は低下し、場合によっては塗料塗布に適した温度未満の温度に低下する。
しかしながら、図3で示すように、塗布領域に搬送された粗材Wには、金属溶湯の熱で加熱された第二型2からの伝熱により(Z方向)、この搬送過程で温度が大きく低下するのが抑制される。
粗材Wが塗料塗布に適した温度になった段階で、粗材Wに対してスプレーノズル50から熱放射性塗料が噴出され(Y方向)、粗材Wの表面に塗布される(第二のステップ)。
このように、第二型2からの熱で粗材Wの温度が塗料塗布に適した温度未満の温度に低下するのが抑制されることから、塗料塗布に適した温度未満の温度に低下した粗材を昇温するのに要する多大な熱エネルギを不要としながら、粗材Wに対する塗料塗布を実現することができる。
また、粗材Wの有する熱により、粗材Wの表面に塗布された熱放射性塗料の焼付けや溶剤の揮発もおこなうことが可能になる。この場合、従来の焼付け工程や溶剤の揮発工程にて必要となっていた焼成炉が不要になるとともに、焼付け工程や溶剤の揮発工程も不要になることから、製造システムの製作コストを削減でき、かつヒートシンクの製造効率を格段に向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…第一型、2…第二型、1a、2a…凹部、10…成形型、20…溶湯保持炉、30…溶湯供給管、40…塗料収容容器、50…スプレーノズル、100…鋳造装置、200…塗布装置、300…(ヒートシンクの)製造システム、C…キャビティ、W…粗材
Claims (1)
- 粗材と、該粗材の表面に形成された熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造方法であって、
第一型と第二型から構成される成形型のキャビティ内に金属溶湯を注入して粗材を鋳造する第一のステップ、
前記第一型のみ前記粗材から取り外し、該粗材が前記第二型に保持された状態で該粗材の表面に熱放射性塗料を塗布して熱放射性塗料皮膜を形成し、ヒートシンクを製造する第二のステップからなるヒートシンクの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2016163482A JP2018032705A (ja) | 2016-08-24 | 2016-08-24 | ヒートシンクの製造方法 |
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