JP2018030150A - ヒートシンクの製造システム - Google Patents
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Abstract
【課題】多大な熱エネルギを不要としながら、塗料の塗布に適した温度状態に粗材を保持して塗料を塗布しながらヒートシンクを製造することのできる、ヒートシンクの製造システムを提供する。【解決手段】粗材Wと、熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造システム400であって、成形型10と、成形型10に提供される溶湯を保持する溶湯保持炉20と、から構成された鋳造装置100と、鋳造装置100にて成形された粗材Wに対し、熱放射性塗料を噴出するスプレーノズル50を備えた塗布装置200と、成形型10から粗材Wを取り出し、塗布領域に粗材Wを搬送する搬送装置300と、を備え、搬送装置300は、粗材Wを把持するとともに通電加熱用の電極を形成する一対のロボットハンド60A,60Bと、粗材Wの温度を計測する熱センサ70と、から構成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、粗材と、粗材の表面に形成された熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造システムに関するものである。
昨今の電気回路は小型化が進み、この小型化に伴って発熱密度が上昇していることから、電気回路の放熱性能の向上が重要な開発要素の一つとなっている。
発熱量の大きな電気回路は当該電気回路を収容する筐体をアルミダイカストで製作するのが一般的であるが、金属は熱伝導率が高い一方で空気への熱伝達率が低い傾向にある。
そこで、金属製の筐体の表面に対し、空気への熱伝達率の高い物質である、カーボンや窒化物、樹脂等からなる皮膜を形成する試みがおこなわれている。
ここで、特許文献1には、平均粒径が0.1〜50μmで、酸化亜鉛粉末あるいは酸化チタン粉末又はその両方を含むセラミックス粉末と、バインダーと、を含み、バインダー成分100質量部に対してセラミックス粉末成分を25〜100質量部含む熱放射性塗料が平均膜厚1〜50μmで塗布されたヒートシンクが開示されている。
特許文献1に記載のヒートシンクによれば、熱放射性塗料からなる皮膜を有することで赤外領域の放射率が高められ、効率よく放熱できるとしている。
ところで、ヒートシンクの製造は、成形型にて粗材を鋳造した後、成形型から粗材を取り出し、粗材を所定の塗布領域に搬送し、粗材の表面にたとえば上記する熱放射性塗料を塗布し、焼付けや溶剤の揮発をおこなって熱放射性塗料皮膜を形成することにより、その製造がおこなわれる。
ところが、成形型から取り出され、搬送される過程で粗材の温度が低下してしまい、塗料を塗布するのに適した温度未満の温度まで低下してしまうことが問題となっている。また、たとえば粗材に塗料をスプレー塗布している最中に、粗材の温度が塗料を塗布するのに適した温度未満の温度まで低下してしまうことも問題となる。
温度低下した粗材を焼成炉に収容して熱放射性塗料の焼付けや溶剤の揮発をおこなうに当たり、塗料を塗布するのに適した温度まで粗材を昇温させ、さらに塗料の焼付けや溶剤の揮発をおこなう必要があることから、多大な熱エネルギを要することになる。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、成形型にて粗材を成形し、粗材の表面に熱放射性塗料皮膜を形成してヒートシンクを製造するシステムに関し、多大な熱エネルギを不要としながら、塗料の塗布に適した温度状態に粗材を保持して塗料を塗布しながらヒートシンクを製造することのできる、ヒートシンクの製造システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるヒートシンクの製造システムは、粗材と、該粗材の表面に形成された熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造システムであって、前記ヒートシンクの製造システムは、成形型と、該成形型に提供される溶湯を保持する溶湯保持炉と、から構成された鋳造装置と、前記鋳造装置にて成形された前記粗材に対し、熱放射性塗料を噴出するスプレーノズルを備えた塗布装置と、前記成形型から前記粗材を取り出し、塗布領域に該粗材を搬送する搬送装置と、を備え、前記搬送装置は、前記粗材を把持するとともに通電加熱用の電極を形成する一対のロボットハンドと、該粗材の温度を計測する熱センサと、から構成されているものである。
本発明のヒートシンクの製造システムは、粗材を把持するとともに通電加熱用の電極を形成する一対のロボットハンドと、該粗材の温度を計測する熱センサと、から構成されている搬送装置を備え、ロボットハンドにて粗材を通電加熱しながら搬送し、通電加熱された粗材に対して熱放射性塗料が塗布されることで、温度が大きく低下した粗材を昇温する際に要する多大な熱エネルギを不要としながら、粗材を塗料の塗布に適した温度状態に保持できるものである。
成形型から取り出された粗材の温度が低下し過ぎる前に、通電加熱用の電極を形成する一対のロボットハンドにて粗材を加温し、粗材を塗料塗布に適した温度状態に保持することで、粗材を昇温させる際に要する多大な熱エネルギは不要となる。
搬送装置が備える熱センサとしては熱電対などを挙げることができ、たとえばロボットハンドにバネを介して熱電対を取り付けておくことで、バネの付勢力により、粗材の移動に伴って該粗材に当接している熱電対も移動させることができ、常に粗材の温度をセンシングすることが可能になる。
ロボットハンドの把持制御や移動制御は制御機器にておこなわれるが、熱センサによるセンシングデータもこの制御機器に送信されるようになっており、受信したセンシングデータに基づいて、制御機器では、通電加熱のON制御やOFF制御をおこなう。
たとえば、成形型から取り出された直後の粗材の温度は塗料塗布時の適正温度よりも高い傾向にあることから、この段階での通電加熱はOFF制御されているが、所定時間が経過し、粗材の温度が塗料塗布時の適正温度程度まで低下した段階で通電加熱がON制御され、粗材の温度を塗料塗布時の適正温度に保持することができる。
また、ロボットハンドにて加温された粗材に対して熱放射性塗料が塗布されることから、粗材の有する熱で熱放射性塗料の焼付けや溶剤の揮発もおこなうことができ、焼付け工程や溶剤の揮発工程にて必要となっていた焼成炉を不要にでき、焼付け工程や溶剤の揮発工程も不要にできて製造効率性が高まる。
以上の説明から理解できるように、本発明のヒートシンクの製造システムによれば、粗材を把持するとともに通電加熱用の電極を形成する一対のロボットハンドと、該粗材の温度を計測する熱センサと、から構成されている搬送装置を備え、ロボットハンドにて粗材を加温しながら搬送し、加温された粗材に対して熱放射性塗料が塗布されることで、多大な熱エネルギを不要としながら、粗材の表面に熱放射性塗料皮膜を形成することができる。
以下、図面を参照して本発明のヒートシンクの製造システムの実施の形態を説明する。
(ヒートシンクの製造システムの実施の形態)
図1は本発明のヒートシンクの製造システムの実施の形態を示した模式図である。図示する製造システム400は、鋳造装置100、塗布装置200、および搬送装置300から構成されている。
図1は本発明のヒートシンクの製造システムの実施の形態を示した模式図である。図示する製造システム400は、鋳造装置100、塗布装置200、および搬送装置300から構成されている。
鋳造装置100は、成形型10と、成形型10に提供される溶湯を保持する溶湯保持炉20と、溶湯保持炉20から成形型10に溶湯を提供する溶湯供給管30とから構成されている。
成形型10は、第一型1と第二型2から構成され、図示する型閉め状態においてその内部に鋳造用のキャビティCが画成される。
溶湯保持炉20には溶融したアルミニウム等の溶融金属が収容されており、アルミ溶湯の場合にはその内部温度が700℃程度になっている。
一方、塗布装置200は、熱放射性塗料を収容する塗料収容容器40と、スプレーノズル50と、塗料収容容器40からスプレーノズル50へ熱放射性塗料を提供する塗料供給管40Aと、から構成されている。
ここで、熱放射性塗料としては、ポリアミドイミド(PAI)や、エポキシ系塗料もしくはフェノール系樹脂などを挙げることができる。
また、搬送装置300は、粗材を把持するとともに通電加熱用の電極を形成する一対のロボットハンド60A,60Bと、粗材の温度を計測する熱電対からなる熱センサ70と、ロボットハンド60A,60Bの把持制御や移動制御を実行する制御機器80と、から構成されている。なお、ロボットハンドは図示例に何ら限定されるものでなく、共通のボディに二本のロボットハンドが取り付けられた形態や、自走ローラを脚部に備えた形態など、多様な形態がある。
ロボットハンド60A,60Bには、それぞれの先端にスライド自在な(Y方向)一対のチャック60aが装着されている。
また、一方のロボットハンド60Aには不図示の電源が内蔵されており、一対のロボットハンド60A,60Bが粗材を把持した状態で、制御機器80が粗材に対して通電加熱を要すると判断した際に電源がON制御され、粗材を通電加熱できるように構成されている。
熱センサ70は一方のロボットハンド60Aに取り付けられ、バネ70aにて付勢自在となっている。
制御機器80は熱センサ70によるセンシングデータを受信し、この受信したセンシングデータに基づいて電源のON制御の要否を判断するようになっている。図示を省略するが、この制御機器80では、CPU、ROM、RAM、データ受信部、通電加熱を必要とする設定温度値を格納する格納部、受信した温度データが格納部内の設定温度値に達したか否かを判定する判定部、などがバスを介して相互に接続されている。
次に、製造システム400を用いたヒートシンクの製造方法を概説する。
成形型10のキャビティCの壁面に離形剤を塗布した後、図1で示すように型閉めされた成形型10のキャビティCに対し、溶湯保持炉20から金属溶湯を供給し(X方向)、キャビティC内で粗材を鋳造する。
次に、図2で示すように、金属溶湯が凝固して粗材Wが成形されたら、成形型10を型開きしてロボットハンド60A,60Bにて粗材Wを把持して取り出し、塗布領域に搬送する。
この脱型から粗材Wの搬送過程で粗材Wの温度は低下するが、バネ70aで粗材W側に付勢された(Z方向)熱センサ70が粗材Wの温度を随時計測しており、センシングデータを制御機器80に送信している。なお、脱型直後の粗材Wの温度は塗料を塗布するのに適した温度よりも高いことから、ロボットハンド60A,60Bによる通電加熱はOFF制御されている。
粗材Wの温度が塗料を塗布するのに適した温度程度に低下した段階で、制御機器80より通電加熱のON制御指令が電源に送信され、電源がON制御されてロボットハンド60A,60Bと粗材Wの間で通電加熱が実行される。
この通電加熱により、粗材Wの温度は塗料を塗布するのに適した温度程度に保持される。すなわち、粗材Wの温度が塗料塗布に適した温度に対して大きく低下し、この塗料塗布に適した温度まで昇温する際に要する多大な熱エネルギは不要となる。
ロボットハンド60A,60Bによる通電加熱にて塗料塗布に適した温度に保持された粗材Wに対し、スプレーノズル50から熱放射性塗料が噴出され、粗材Wの表面に塗布される。
このように、ロボットハンド60A,60Bによる通電加熱にて粗材Wを塗料塗布に適した温度に保持することで、多大な熱エネルギを不要としながら、粗材Wに対する塗料塗布を実現することができる。
さらに、ロボットハンド60A,60Bによる通電加熱にて加温された粗材Wの有する熱により、粗材Wの表面に塗布された熱放射性塗料の焼付けや溶剤の揮発もおこなうことが可能になる。この場合、従来の焼付け工程や溶剤の揮発工程にて必要となっていた焼成炉が不要になるとともに、焼付け工程や溶剤の揮発工程も不要になることから、製造システムの製作コストを削減でき、かつヒートシンクの製造効率を格段に向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…第一型、2…第二型、10…成形型、20…溶湯保持炉、30…溶湯供給管、40…塗料収容容器、50…スプレーノズル、60A,60B…ロボットハンド、60a…チャック、70…熱センサ(熱電対)、80…制御機器、100…鋳造装置、200…塗布装置、300…搬送装置、400…(ヒートシンクの)製造システム、W…粗材
Claims (1)
- 粗材と、該粗材の表面に形成された熱放射性塗料皮膜とからなるヒートシンクを製造するヒートシンクの製造システムであって、
前記ヒートシンクの製造システムは、
成形型と、該成形型に提供される溶湯を保持する溶湯保持炉と、から構成された鋳造装置と、
前記鋳造装置にて成形された前記粗材に対し、熱放射性塗料を噴出するスプレーノズルを備えた塗布装置と、
前記成形型から前記粗材を取り出し、塗布領域に該粗材を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記粗材を把持するとともに通電加熱用の電極を形成する一対のロボットハンドと、該粗材の温度を計測する熱センサと、から構成されているヒートシンクの製造システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016163752A JP2018030150A (ja) | 2016-08-24 | 2016-08-24 | ヒートシンクの製造システム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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- 2016-08-24 JP JP2016163752A patent/JP2018030150A/ja active Pending
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