JP2018031590A - 半導体装置、半導体装置を含むシステム、および、半導体装置の劣化検出方法 - Google Patents

半導体装置、半導体装置を含むシステム、および、半導体装置の劣化検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】劣化に伴う局所的な温度上昇を検出可能な半導体装置、および、その半導体装置を含むシステムを提供することである。別の目的は、劣化に伴う局所的な温度上昇を検出する方法が提供される。【解決手段】半導体装置は、基板と、前記基板上に配置された半導体チップと、前記半導体チップ表面の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂材とを含む。前記樹脂材は、予め定められた温度しきい値を超えると特定のガスを発生するように構成されている。半導体装置は、前記特定のガスの発生を検知するための検知部をさらに含む。【選択図】図6

Description

本発明は、局所的な温度上昇を検出可能な半導体装置、局所的な温度上昇を検出可能な半導体装置を含むシステム、および、半導体装置の劣化検出方法に関する。
半導体素子の一つであるパワー半導体チップ(以下、単に「半導体チップ」とも略称する。)をパッケージ化した半導体装置(以下、「パワーモジュール」とも称する。)は、スイッチング素子として、広範囲な分野で利用されている。例えば、家庭用製品の他、電気自動車、電車、エレベータなどの汎用装置、および、産業用装置などで、電源システムやモータ駆動システムの主要コンポーネントとして用いられる。パワーモジュールとしては、典型的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュール、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)モジュール、サイリスタモジュールなどの電力用半導体装置が知られている。
パワーモジュールおよびパワーモジュールが組み込まれたシステムでは、半導体チップおよびその周辺部に以下のような熱的ストレスが生じ得る。
その一つとして、スイッチング動作に起因する発熱がある。半導体チップのスイッチング動作時には比較的大きな電流が流れるので、電流経路内の抵抗成分による熱が生じるとともに、PN接合部での電子−ホール結合による熱も生じる。このような内部で発生する熱により、パワーモジュール内の温度が上昇し得る。一般的に、半導体チップと金属配線およびハンダなどを含む構成部分との間では、熱膨張係数が異なっており、温度上昇に伴う熱的ストレスが生じ得る。
また、スイッチング動作に起因する発熱に加えて、パワーモジュールが組み込まれたシステムが過酷な環境下で使用されることで生じる熱的ストレスもある。例えば、屋外に設置されるシステムでは、冬の冷え込みおよび夏の日射などによる一年を通じてのヒートサイクル、および、昼と夜との間の一日を通じてのヒートサイクルなどに起因する熱的ストレスも生じ得る。
このような熱的ストレスの繰り返し(すなわち、ストレスサイクル)により、パワーモジュール内の部品同士の接合部分または境界部分に機械的疲労が蓄積し、その結果、接合部分または境界部分に、亀裂および接合剥離といった劣化が生じ得る。このような劣化が生じると、配線と半導体チップとの間の抵抗値、および、半導体チップと基板との間の抵抗値が上昇する。
また、接合部分、特に半導体チップと電極パターンとを接続するチップ下ハンダに亀裂が生じると、電気抵抗だけでなく熱抵抗も増大する。パワーモジュール内の温度は、半導体チップなどからの発熱と、基板、ベース板、ヒートシンクという冷却部への熱伝導による放熱とのバランスで定まるため、ある部分で熱抵抗が増大すると、そこから先への熱伝導の効率が低下し、発熱部の温度が下がらなくなる。
このように、熱的ストレスによる疲労劣化は、電気抵抗の増大および熱抵抗の増大という二重の原因により、モジュール内の温度上昇を招くことになる。さらに、このようなモジュール内の温度上昇に伴って発熱量がさらに増大し、劣化がさらに進行するという、劣化進行を加速する正のフィードバックが生じ得る。
この結果、ある温度しきい値を超えた部分では、発熱が急激に発生して断線などの破壊が生じる可能性があり、パワーモジュールとして正常に動作できなくなる突然の故障に至る可能性が生じ得る。
パワーモジュールが突然故障すると、使用者にさまざまな不都合を生じさせ、経済的損失を招く可能性もある。したがって、パワーモジュールが機能停止を伴う故障に至る前に、パワーモジュール内部に生じている劣化を診断して評価しておくことは、不意のシステムトラブルを未然に防ぐとともに、信頼性向上および運用コストの低減を図る上で非常に重要である。
このような劣化を診断する技術として、例えば、特開平03−261877号公報(特許文献1)は、インバータ主回路の平滑コンデンサの劣化程度を推定する構成を開示する。特許文献1に開示される構成においては、スイッチング素子に電流を流して電流計および温度計で接合温度を推定し、設定した基準を超えたところで故障と判断する。
また、特開2011−200033号公報(特許文献2)は、運転中に温度上昇により劣化する特性を有する回路素子の寿命判定を行なうエレベータの制御装置を開示する。特許文献2に開示される構成においては、標準状態での稼働時の規定電流における動作電圧を測定しておき、使用期間経過後に同様の測定を行ない動作電圧の変動が一定基準を超えれば故障と判断する。
特開2001−301334号公報(特許文献3)は、所定の温度以上に加熱することにより破壊する熱応答性マイクロカプセルを開示する。
特開平03−261877号公報 特開2011−200033号公報 特開2001−301334号公報
しかしながら、上述の先行技術文献では、素子の平均的な温度上昇に基づいて劣化の程度を推定することになるが、多数のスイッチング素子を並列に配線してモジュール化して大電流を扱うようなスイッチでは、劣化に伴って発生する局所的な温度上昇を検出することができない。局所的な温度上昇は、疲労破壊による断線などの機械的な破壊が生じる前に、溶融などにより素子が壊れてしまうため、このような局所的な温度上昇を検出することは、大電流を扱うシステムでの故障を事前に防ぐ上で非常に重要である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、劣化に伴う局所的な温度上昇を検出可能な半導体装置、および、その半導体装置を含むシステムを提供することである。別の目的は、劣化に伴う局所的な温度上昇を検出する方法を提供することである。
本発明のある局面に従う半導体装置は、基板と、前記基板上に配置された半導体チップと、前記半導体チップ表面の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂材とを含む。前記樹脂材は、予め定められた温度しきい値を超えると特定のガスを発生するように構成されている。半導体装置は、前記特定のガスの発生を検知するための検知部をさらに含む。
本発明の別の局面に従う半導体装置を含むシステムは、基板と、前記基板上に配置された1または複数の半導体チップと、前記半導体チップ表面の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂材とを含む。前記樹脂材は、予め定められた温度しきい値を超えると特定のガスを発生するように構成されている。システムは、前記特定のガスの発生を検知するための検知部と、前記1または複数の半導体チップ、前記樹脂材、および前記検知部を覆うパッケージ部材と、前記検知部からの検知信号に基づいて前記半導体装置での局所的な温度上昇の発生有無を判断する判断部とをさらに含む。
本発明のさらに別の局面に従えば、基板上に配置された半導体チップをパッケージ化した半導体装置の劣化検出方法が提供される。劣化検出方法は、前記半導体チップ表面の少なくとも一部を覆うように樹脂材を配置するステップを含む。前記樹脂材は、予め定められた温度しきい値を超えると特定のガスを発生するように構成されている。劣化検出方法は、前記特定のガスが発生したか否かを判断するステップと、前記特定のガスが発生したことで、前記半導体装置に局所的な温度上昇が発生していると判断するステップとを含む。
本発明のある実施形態に従えば、劣化に伴う局所的な温度上昇を正しく検出できる。
第1の実施形態に従うパワーモジュールのレイアウトを示す模式図である。 図1に示すパワーモジュールのII−II断面を示す模式図である。 第1の実施形態に従うパワーモジュールに採用されるガス放出のメカニズムを説明する模式図である。 第1の実施形態に従うパワーモジュールが組み込まれたアプリケーションシステムの一例を示す模式図である。 第1の実施形態に従うパワーモジュールにおける熱的振る舞いおよび劣化モードについて説明するための図である。 第1の実施形態に従うパワーモジュールで局所的な温度上昇が発生したときの内部状態の一例を示す模式図である。 パワーモジュールの劣化とチップ表面温度との関係の一例を示す図である。 パワーモジュールの劣化と信号強度との関係の一例を模式的に示す図である。 図4に示す制御回路の制御構造の一例を示す模式図である。 第1の実施形態に従うパワーモジュールにおける局所的な温度上昇の検出方法の処理手順を示すフローチャートである。 第1の実施形態に従うパワーモジュールに対する判断結果を提示するユーザインターフェイスの一例を示す図である。 第2の実施形態に従うパワーモジュールの断面構造を示す模式図である。 第3の実施形態に従うパワーモジュールの断面構造を示す模式図である。 第5の実施形態に従うパワーモジュールの断面構造を示す模式図である。 第6の実施形態に従うパワーモジュールの断面構造を示す模式図である。 第7の実施形態に従う監視方法を説明するための模式図である。 第9の実施形態に従う局所的な温度上昇の検出システムの構成を示す模式図である。 第9の実施形態に従う情報処理装置の使用例を示す模式図である。 第10の実施形態に従うIPMの機能構成を示す模式図である。
本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下の説明においては、一例として、スイッチング動作を行なう半導体チップの典型例としてIGBTを採用した構成について例示するが、半導体チップの種類については、これに限定されることはない。例えば、半導体チップとして、MOS−FET、バイポーラトランジスタ、または、GTO(Gate Turn-Off Thyristor)およびGCT(Gate Commutated Turn-off)などのサイリスタを用いてもよい。
[A.第1の実施形態]
まず、第1の実施形態に従う半導体装置であるパワーモジュールについて説明する。
<a1:半導体装置の構造>
図1は、第1の実施形態に従うパワーモジュール1のレイアウトを示す模式図である。図2は、図1に示すパワーモジュール1のII−II断面を示す模式図である。図1および図2を参照して、IGBTモジュールの一例であるパワーモジュール1は、ケース型のモジュールであり、方形状のベースプレート104と、ベースプレート104の外周に沿って配置されたケース部材106とを含む。ベースプレート104とケース部材106とに囲まれた空間に主要な部材が配置される(すなわち、パッケージ化される)。主要な部材として、システム基板130と、システム基板130上に配置された半導体チップとを含む。
説明の便宜上、ベースプレート104が延在する平面をX軸方向およびY軸方向で定義されるX−Y平面とし、ベースプレート104の厚み方向をZ軸方向と定義する。他の実施形態においても同様である。
ベースプレート104は、放熱および部材保持するためのものであり、典型的には、Cuで構成される。ベースプレート104の外面側(図2において紙面下側)には、ヒートシンク100が接続される。ベースプレート104とヒートシンク100との間には、両者の間の熱伝導率を向上(すなわち、熱抵抗を低下)させるためにサーマルグリース102が設けられる。サーマルグリース102は、ベースプレート104にヒートシンク100を固定する機能も果たす。
ベースプレート104上には、システム基板130が配置される。ベースプレート104とシステム基板130とは、ベースプレートハンダ116により接合される。
第1の実施形態では、システム基板130として、3層のセラミック複合基板が採用される。より具体的には、システム基板130は、Alで構成される絶縁層134と、いずれもCuで構成される下側電極層132および上側電極層136,138,139とを含む。すなわち、システム基板130は、絶縁層134の上側および下側に電極を有する。
上側電極層138上には、半導体チップとして、Si−IGBT(以下、「IGBT」とも略称する。)140、および、アノード電極150Aおよびカソード電極150Kを有するSi−PN接合ダイオード(以下、「ダイオード」とも略称する。)150が配置されている。IGBT140は、ゲート電極140G、エミッタ電極140E、コレクタ電極140C(裏面側)を有する。ダイオード150は、アノード電極150A(裏面側)およびカソード電極150Kを有する。
IGBT140は、スイッチング用の半導体チップであり、ダイオード150は、IGBT140をスイッチオフしたときの逆方向電流経路を形成するフリーホイールダイオードである。IGBT140は、チップハンダ142により上側電極層138に接合され、ダイオード150は、チップハンダ152により上側電極層138に接合される。
パワーモジュール1の両端には、一対の主端子112,114が設けられており、主端子112,114は、それぞれケース部材106の一部を貫通して、パワーモジュール1から突出している。主端子112は、ボンディングワイヤ120、上側電極層136、ボンディングワイヤ122により、IGBT140のエミッタ電極140Eおよびダイオード150のカソード電極150Kと電気的に接続される。主端子114は、ボンディングワイヤ128、上側電極層139、上側電極層136により、IGBT140のコレクタ電極140Cおよびダイオード150のアノード電極150Aと電気的に接続される。
ボンディングワイヤ120,122,124,126,128は、典型的には、Alワイヤ配線が用いられる。
パワーモジュール1には、IGBT140のゲート電極140Gと電気的に接続され、パワーモジュール1の外部に露出するゲート端子146が設けられる。IGBT140のエミッタ電極140Eと電気的に接続され、パワーモジュール1の外部に露出するエミッタセンス端子154、および、主端子114と電気的に接続され、パワーモジュール1の外部に露出するエミッタセンス端子156が設けられる。
上述した各部材は、ベースプレート104とケース部材106とに囲まれた空間に配置された上で、樹脂材により封止される。この樹脂材は、半導体チップの表面の少なくとも一部を覆うように配置される。樹脂材は、ベースプレート104とケース部材106とに囲まれた空間に充填され、各部材を固定するとともに、外気との接触などを防止する。このような充填剤としての樹脂材は、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを採用できる。以下では、シリコーン樹脂の一態様である、シリコーンゲル110を樹脂材として用いる構成について例示する。後述するように、樹脂材は、充填されるのではなく、半導体チップの表面に絶縁用の薄い樹脂をコーティングするようにしてもよい(後述の図13参照)。
シリコーンゲル110の表面からある程度の空隙部109を設けてキャップ部108により封止されている。このように、主として、ケース部材106およびキャップ部108が、パワーモジュール1のパッケージ部材に相当する。このパッケージ部材により、半導体チップ(IGBT140およびダイオード150)、シリコーンゲル110、ボンディングワイヤ120,122,124,126,128、電極部材、および、ガス検知部200(詳細については後述する)などが封入される。
説明の便宜上、図1および図2には、1アーム分(1つのスイッチング用の半導体チップと、フリーホイールダイオードとの組み合わせ)を例示するが、単一のパワーモジュール1内に複数のスイッチング用の半導体チップを配置した構成であってもよい。さらに、後述するような、ゲート制御機能および回路保護機能を組み込んで高機能化したパワーモジュール1を採用してもよい。
図1には、半導体チップとして、IGBT140およびダイオード150がシステム基板130上に接合された構造の一例を示すが、MOS−FET、バイポーラトランジスタ、サイリスタが用いられる構造を採用してもよい。電極、ワイヤといった配線材料が半導体チップの表面に接合されている構造であれば、どのような構造のパワーモジュールにも適用可能である。
図1には、チップハンダにより、半導体チップがシステム基板130に接続される例を示すが、これに限られず、例えば、銀による拡散接合を用いる方法、銀の微粒子を焼成して接合する方法などを採用してもよい。
図1には、Alワイヤ配線によるワイヤボンディングにより、半導体チップの表面電極と接合する構造の一例を示すが、他の配線材料を用いてもよい。ボンディングワイヤのような細いワイヤ配線に代えて、板状の電極(例えば、リードフレーム)を用いて接合するような方法を採用してもよい。
図1には、システム基板130として、Cu/Al/Cuの構造例を示すが、他の種類の金属と絶縁体セラミックスとの組み合わせを採用してもよい。
図1には、システム基板130、ベースプレート104、ヒートシンク100が積層された構造例を示すが、すべての層が必要ではなく、一部の層を省略した構造、または、2つの層を融合して1つの層とした構造を採用してもよい。
図1には、ケース型のパワーモジュールの構造例を示すが、ケース部材を省略した、トランスファーモールド型の構造を採用してもよい。
<a2:局所的な温度上昇の検出機能>
第1の実施形態に従うパワーモジュール1には、実使用状態での劣化に伴う局所的な温度上昇を検出するための構成が採用される。具体的には、半導体チップ(IGBT140およびダイオード150)と直接接触するシリコーンゲル110には、特定の温度しきい値で異常検出用のガスを発生させる機能が付加される。つまり、樹脂材(シリコーンゲル110)は、予め定められた温度しきい値を超えると特定のガスを発生するように構成されている。
ベースプレート104とケース部材106とに囲まれた空間(空隙部109)には、特定のガスの発生を検知するためのガス検知部200が配置される。第1の実施形態に従うパワーモジュール1において、ガス検知部200は、発生したガスそのものを検知する。ガス検知部200と電気的に接続される、ガス発生に伴って検知される信号を取り出すためのリード端子202が、パワーモジュール1のパッケージ部材から露出して設けられる。
ガス検知部200は、パワーモジュール1と一体型に組み込まれていてもよいが、経時劣化などにより製品寿命が到来した場合や故障した場合などに、容易に交換できるように、ガス検知部200を着脱可能な構造を採用してもよい。
特定の温度しきい値でガスを発生させる機能を実現する方法の一例として、シリコーンゲル110に特定のマイクロカプセルを混入させてもよい。すなわち、マイクロカプセル内にガス発生材料を詰め込んだ上で、熱によりマイクロカプセルが破れることでガスを放出させるようにしてもよい。樹脂材(シリコーンゲル110)は、特定のガスを発生させるためのガス発生材料が詰め込まれた熱応答性マイクロカプセルを含む。この熱応答性マイクロカプセルは、温度しきい値において熱破壊されるように構成される。例えば、特開2001−301334号公報(特許文献3)には、150℃〜155℃においてマイクロカプセル内部で発破が生じ、マイクロカプセルが破壊される例が開示されている。このような特定の温度しきい値または温度範囲で破れるマイクロカプセルを採用することで、局所的な温度上昇を検出できる。
特定の温度しきい値でガスを発生させる機能を実現する方法の別の一例として、融解温度が設定できる隔壁で隔てられた複数種類の薬剤を熱応答性マイクロカプセルの中に配置するとともに、温度しきい値(融解温度)を超えると、隔壁が溶融して、これらの薬剤が混合して反応することによりガスが発生するような構成を採用してもよい。
図3は、第1の実施形態に従うパワーモジュール1に採用されるガス放出のメカニズムを説明する模式図である。図3(A)には、マイクロカプセル210内にガス発生材料212を詰め込んである例を示す。マイクロカプセル210が加熱されて破れることで、そのガス発生材料212が揮発して異常検出用のガス204が発生する。
図3(B)には、マイクロカプセル211内に隔壁213が設けられており、隔壁213で区画されたそれぞれの区域に第1薬剤214および第2薬剤215が封入されている例を示す。マイクロカプセル211が加熱されることで、隔壁213が溶融し、第1薬剤214と第2薬剤215とが混合することで、両者の間に化学反応が生じ、ガス204が発生する。
このような異常検出用に放出される特定のガスとしては、COやNOといった、検知が容易で、かつ、安定した物質を用いることが好ましい。
シリコーンゲル110内に混入されたマイクロカプセルは、温度しきい値をもった多数のカプセルの集合であるため、ある温度しきい値以上で急にガスの発生が増加する。したがって、何らかの局所的な温度上昇が生じた場合には、その局所的な温度上昇が生じた領域と持続時間とに応じてマイクロカプセルからのガス放出量が決まることになる。
<a3:アプリケーションシステムの構成>
次に、第1の実施形態に従うパワーモジュール1が組み込まれたアプリケーションシステムの一例について説明する。
図4は、第1の実施形態に従うパワーモジュール1が組み込まれたアプリケーションシステムの一例を示す模式図である。図4には、アプリケーションシステムの一例として、モータ駆動システム2を例示する。モータ駆動システム2は、三相交流モータを駆動するシステムであり、商用電源12から供給される三相交流電力を、運転状態に応じた周波数および電圧をもつ三相交流電力に変換し、モータ4へ供給する。
モータ駆動システム2は、直流母線6と直流母線8との間に電気的に接続された、コンバータ部20と、平滑コンデンサ30と、インバータ部40とを含む。
コンバータ部20は、6つのダイオード22−1〜22−6から構成され、商用電源12から供給される三相交流電力を直流電力に変換する。直流母線6と直流母線8との間に、1相あたり直列接続された2つのダイオードが3相分並列に接続される。各相ダイオード間の接続ノード24,26,28と商用電源12のそれぞれの相とが電気的に接続される。
平滑コンデンサ30は、コンバータ部20による交直変換後の電力に含まれる電圧リップルを低減する。
インバータ部40は、6つのパワーモジュール1−1〜1−6から構成され、直流母線6,8を介して供給される直流電力を三相交流電力に変換する。直流母線6と直流母線8との間に、1相あたり直列接続された2つのパワーモジュール1が3相分並列に接続される。パワーモジュール1間の接続ノード44,46,48とモータ4のそれぞれの相とが電気的に接続される。
P側アームのパワーモジュール1−1,1−3,1−5の各々では、IGBT140の主端子112(コレクタ電極)が正側の直流母線6と電気的に接続され、N側アームのパワーモジュール1−2,1−4,1−6の各々では、IGBT140の主端子114(エミッタ電極)が負側の直流母線8と電気的に接続される。
インバータ部40において、スイッチング素子であるパワーモジュール1−1〜1−6の各々がオン/オフするタイミング(周期および位相など)を制御することで、運転状態に応じた周波数および電圧を有する三相交流電力をモータ4へ供給することができる。パワーモジュール1−1〜1−6のオン/オフ制御は、パワーモジュール1−1〜1−6のゲート端子146と電気的に接続されたゲート駆動回路42−1〜42−6と、制御回路10とによって実現される。
ゲート駆動回路42−1〜42−6(以下、「ゲート駆動回路42」とも総称する。)は、パワーモジュール1−1〜1−6のスイッチング動作をそれぞれ制御する。具体的には、ゲート駆動回路42は、一種の電圧源であり、制御回路10からの指令に応答して、スイッチング素子として機能するパワーモジュール1のゲート端子146に対して、正のゲート制御電圧を印加する。この正のゲート制御電圧の印加により、IGBT140は活性化されて、オン状態になる。オン状態において、IGBT140のエミッタ−コレクタ間は導通状態(低抵抗状態)となり電流が流れる。一方、ゲート駆動回路42は、制御回路10からの指令に応答して、パワーモジュール1のゲート端子146に対して、印加するゲート制御電圧の大きさを予め定められた電圧しきい値以下にすることもでき、あるいは、負のゲート制御電圧を印加することもできる。ゲート制御電圧の制御により、IGBT140は非活性化されて、オフ状態になる。オフ状態において、IGBT140のエミッタ−コレクタ間は非導通状態(高抵抗状態)となり電流は遮断される。
制御回路10は、正側の直流母線6に配置された電流センサ32によって検出される電流値などに基づいて、ゲート駆動回路42を制御する。
第1の実施形態に従うパワーモジュール1が組み込まれたモータ駆動システム2では、制御回路10は、さらにリード端子202によって、ガス検知部200(図2参照)と電気的に接続される。制御回路10は、実使用状態において、パワーモジュール1の内部に生じる局所的な温度上昇を検出できる。制御回路10の構成については、後述する。
<a4:熱的振る舞いおよび劣化モード>
次に、パワーモジュール1における熱的振る舞いおよび劣化モードについて説明する。図5は、第1の実施形態に従うパワーモジュール1における熱的振る舞いおよび劣化モードについて説明するための図である。
第1の実施形態に従うパワーモジュール1は、スイッチング素子として用いられる。スイッチング動作に起因して、半導体チップであるIGBT140に電流が流れることによりエネルギー損失が発生する。エネルギー損失としては、内部抵抗によるオン損失、および、スイッチング時の電流と電圧との積に比例するスイッチング損失が存在する。
図5に示すように、IGBT140の内部で発生した熱は、主として、IGBT140からシステム基板130、ベースプレート104の順に伝わって、パッケージ外部のヒートシンク100へ移動する。なお、図5において、システム基板130の構成については簡略化して描いている。
以下の説明においては、半導体チップの内部温度を接合温度と称し、パッケージ外側の温度をケース温度とも称す。スイッチング動作の状況(典型的には、オン状態とオフ状態との繰り返し回数)に応じて、接合温度およびケース温度は、上昇と下降とを繰り返すことになる。このようなヒートサイクルが生じることで、パワーモジュール1の内部には、以下のような劣化が生じる。
すなわち、半導体チップ内部が高温になることにより半導体チップ自体(例えば、ゲート酸化膜)が劣化し、リーク電流の増大などが生じる。また、部材毎に熱膨脹係数が異なるため、ヒートサイクルによって部材間に応力による変形が繰り返され、この結果、機械的な疲労が生じる。機械的な疲労によって、(1)半導体チップとボンディングワイヤ122,124との接合部のコンタクト剥がれ、(2)ボンディングワイヤ122,124の付け根部の亀裂・断裂、(3)半導体チップとシステム基板130との接合部のハンダ剥がれ、(4)半導体チップとシステム基板130との接合部内での空隙(ボイド)の形成、といった各種の劣化が生じ得る。
このような劣化によって、熱伝導および電気伝導の部分的な不良を招き得る。特に、熱伝導の劣化は放熱特性を劣化させ、発熱が一定であれば放熱特性が部分的に劣化することにより、その直下の部位での局所的な温度上昇を生じ得る。
このような局所的な温度上昇によって、劣化がさらに進行することになる。このような劣化進行の結果、最終的には、電流集中による局所的な高温化、および、それに伴う溶融による断線あるいは短絡などの形で半導体チップの破壊に至る。
<a5:ガス検知部を用いた局所的な温度上昇の検出>
上述したように、第1の実施形態に従うパワーモジュール1においては、特定の温度しきい値でガスを発生させる機能が付加されたシリコーンゲル110が半導体チップに接触するように配置されている。この発生したガスを検知することで、半導体チップに生じる局所的な温度上昇を検出することができる。
図6は、第1の実施形態に従うパワーモジュール1で局所的な温度上昇が発生したときの内部状態の一例を示す模式図である。図6を参照して、例えば、チップ表面温度が局所的に特定の温度しきい値(例えば、180℃)を超えると、その局所的に加熱した部分に接しているシリコーンゲル110内のマイクロカプセルが破れてガス204が発生する。パワーモジュール1の内部で発生したガス204は、拡散によりガス検知部200まで到達し(参照符号206)、ガス検知部200を構成するセンサ表面に触れる。すると、ガス検知部200からは、そのセンサ表面に触れたガスの量または濃度に応じた検知信号が出力される。
ガス検知部200としては、任意の方式および構造のものを採用することができるが、例えば、発生したガスがセンサ表面に触れたことで生じる電気伝導度の変化を検知する方式を採用してもよい。すなわち、ガス検知部200は、特定のガスが触れることで電気伝導度を変化させるセンサを含むようにしてもよい。
この場合、検知信号としては、電気伝導度の変化に応じて変化する電圧信号が出力される。より具体的には、正常時に一定電流を流すのに必要な電圧を監視するタイプのセンサを採用し、そのセンサが異常検出用のガス204にさらされると、電気伝導度が低くなることにより、当該一定電流を流すのに必要な電圧は、正常時に比較してより低くなる。つまり、ガス204が発生すると、検知信号として出力される電圧が正常時の値に比較して低くなる。
検知信号と比較される電圧しきい値として、例えば、正常時電圧を20%減少させた値(すなわち、正常時電圧の0.8倍)を採用し、検出信号の値がこの電圧しきい値以下になった場合に、ガス204が発生したと判断する。
電気伝導度の変化を検知する方式のガス検知部200を採用する場合には、電圧しきい値は、正常時電圧に対して15〜25%の範囲で減少させた値に設定することが好ましい。このような減少範囲より小さい設定にすると、ガス204が発生したと誤って判断する可能性が高まり、逆に、このような減少範囲より大きい設定にすると、ガス204が発生したことを見過ごす可能性が高まる。
ガス検知部200からの検知信号は、リード端子202を介して、パワーモジュール1に近接配置された計測部へ入力される。
このように、ガス検知部200からの検知信号により、パワーモジュール1の内部でのガスの発生有無または発生したガスの量(あるいは、濃度)を取得できる。このようなガスの発生有無または発生したガスの量(あるいは、濃度)に基づいて、パワーモジュール1内部での局所的な温度上昇の発生を検出でき、また、劣化度合いなどを評価することもできる。
パワーモジュール1の劣化に伴って局所的な温度上昇が生じると、その局所的に温度上昇した部分に接しているシリコーンゲル110内のマイクロカプセルからガス204が発生する。ガス検知部200によりガス204をとらえることにより、パワーモジュール1内部の劣化を評価することができる。なお、この劣化の評価は、パワーモジュール1の運転中であっても可能である。
以下、パワーモジュール1の劣化とガス検知部200を用いた測定により得られる情報との関係について説明する。
(i:チップ表面温度の変化)
図7は、パワーモジュールの劣化とチップ表面温度との関係の一例を示す図である。図7には、パワーモジュールに対して、ストレスサイクルを与える加速寿命試験(パワーサイクル試験)中に測定されたチップ表面の温度分布の変化を示す。図7には、赤外放射温度測定によって取得された結果を示す。
図7(A)には、劣化のない初期状態でのチップ表面の温度分布およびA−A’断面での温度分布を示し、図7(B)には、加速寿命試験により劣化した状態でのチップ表面の温度分布およびA−A’断面での温度分布を示す。加速寿命試験においては、一定の電流をオン/オフする動作を繰り返し行なうことで、パワーモジュールでの発熱により温度を上昇させ、その後、冷却により温度を下降するというサイクルを繰り返した。
図7(A)と図7(B)とを比較すると分かるように、加速寿命試験によって与えられたストレスサイクル数が平均寿命サイクル数に近付いて劣化が起こると、特定位置の表面温度が増加していることが分かる。図7(B)に示す測定例では、チップ表面左側端付近の中央部の温度が局所的に上昇していることが分かる。
この局所的な温度上昇は、半導体チップとシステム基板との接合部内にボイドと呼ばれる空隙が生じて、接合部の接触面積が減っていく結果、熱抵抗が増大して温度上昇が生じるものと考えられる。この測定結果によれば、チップ表面に温度に敏感なガス発生源を接触させておくことで、全体の平均温度監視やチップ横に設置したサーミスタ等では検出できない局所的な温度上昇を検出できることが分かる。
(ii:信号強度の変化)
図8は、パワーモジュールの劣化と信号強度との関係の一例を模式的に示す図である。図8には、加速寿命試験中に想定される局所最高温度、エミッタ−コレクタ間電圧Vce(オン状態)の大きさ、熱抵抗の大きさ、および検知信号をプロットした結果を示す。いずれの値も、加速寿命試験の開始前に測定されたそれぞれの初期値で規格化している。
図8に示すように、ストレスサイクル数(使用年数に相当)がある値に到達すると、熱抵抗(すなわち、熱伝導率)の大きさに変化が現れ、その後、エミッタ−コレクタ間電圧Vceの大きさにも変化が現れる。
図8に示す測定結果によれば、第1の実施形態に従うガス発生を利用した検知方法を採用することで、平均的特性を反映した電気的特性および熱抵抗特性に何らかの変化が現れる前に故障の前兆をとらえることができる。
図7および図8を参照して説明したように、ガスが発生する温度しきい値を適切な値に設定することで、チップ全体を見渡した上で最も温度上昇の大きな位置の局所的な温度の振る舞いを監視することができ、パワーモジュールの継続使用が不可能となる手前で劣化状況をとらえることができる。さらに、後述するような手法を用いることで、評価対象のパワーモジュールの残り寿命などを推定することもできる。
<a6:ガス発生の温度しきい値の設定>
次に、ガスを発生させる温度しきい値の設定方法の一例を説明する。
基本的には、ガスを発生させる温度しきい値は、局所的な高温領域が発生して加速度的な劣化が局所的に生じ始める温度に設定するのが好ましい。図5を参照して説明したように、接合部分での劣化により局所的な温度上昇が発生し得るので、温度しきい値としては、半導体チップの接合に関する定格温度を基準として設定されることが好ましい。
一例として、定格温度を基準として20%〜80%で上回る温度範囲(すなわち、半導体チップの接合に関する定格温度の1.2倍〜1.8倍の範囲)内に温度しきい値を設定することができる。
経験的には、定格最高温度を約20%上回る値に局所温度が到達してから、パワーモジュール全体が機能停止に至るまでの時間は、局所温度が定格最高温度を20%上回るまでに要した時間の約1/20程度と考えられる。例えば、製品寿命が10年の場合、温度しきい値を適した温度範囲の下限値である20%に設定すると、パワーモジュール全体が機能停止に至る約半年前(すなわち6ヶ月)には、ガス放出が生じることになる。
温度しきい値を上述の温度範囲より低い値に設定した場合には、ガス発生を検知してから、実際にパワーモジュール全体が機能停止に至るまでの期間がさらに長くなってしまい、まだ使える状態であるにもかかわらず部品交換などの処置が行なわれることになり、無駄を生じ得る。
一方、温度しきい値を上述の温度範囲より高い値に設定した場合には、ガス発生を検知してから、実際にパワーモジュール全体が機能停止に至るまでの残り寿命は3ヶ月よりもさらに短くなり得る。バラツキおよび部品交換のためのメンテナンス期間の確保などを考慮すると、この残り寿命については、適度に余裕をもたせておくことが好ましい。
上述したように、例えば、劣化による局所的な温度上昇によってガスを発生させることで異常を検出する方法を採用した場合に、そのガスが放出されるタイミングを製品寿命の95%〜97.5%の期間とするためには、定格最高温度を基準として20%〜80%で上回る温度範囲内に温度しきい値を設定することが好ましい。
但し、温度しきい値を設定する温度範囲は、パワーモジュールを適用するシステムに依存して異なるため、安全重視であれば20%よりも低い値に設定して余裕をもたせてもよいし、システムに尤度があり、任意のタイミングでメンテナンス期間を確保できるのであれば80%よりもさらに高い値に設定してもよい。
温度しきい値は、実際にガスの発生が開始する温度であり、ガス発生材料を詰め込んだマイクロカプセルを用いる場合には、当該マイクロカプセルの溶融温度を適切に設定することで実現できる。
例えば、対象のパワーモジュールの定格最大温度が150℃である場合には、この定格最大温度より20%高い値、すなわち180℃にマイクロカプセルの溶融温度が設定される。
パワーモジュール1において、チップ表面を覆うように樹脂材(シリコーンゲル110)が配置される。このシリコーンゲル110を形成する際のプロセス温度(樹脂形成プロセス温度)についても、マイクロカプセルの溶融温度、すなわちガス発生の温度しきい値を考慮して決定する必要がある。つまり、樹脂形成プロセス温度は、ガス発生の温度しきい値よりも低くしておく必要がある。
樹脂形成プロセス温度としては、樹脂材を充填する際の温度と、樹脂材を硬化させるための温度とがある。樹脂材を充填する際の温度については、対象のパワーモジュールの定格最大温度より低い温度を利用することができ、樹脂材を硬化させるための温度については、例えば、対象のパワーモジュールの定格最大温度が150℃である場合には、樹脂硬化温度についても同じ150℃に設定し、その硬化プロセスの時間を2時間程度に設定すればよい。
<a7:局所的な温度上昇の検出を実現する構造/制御回路>
次に、第1の実施形態に従うパワーモジュール1における局所的な温度上昇の検出を実現するための制御構造について説明する。
図9は、図4に示す制御回路10の制御構造の一例を示す模式図である。制御回路10は、パワーモジュール1を駆動させるために必要な信号発生系および制御系の構成に加えて、ガス検知を行なうための信号処理系および評価系などの構成を含む。
図9を参照して、制御回路10は、その制御構造として、パワーモジュール1を駆動するためのコンポーネントとして、ゲート制御部196および回路保護部198を含む。さらに、制御回路10は、局所的な温度上昇を検出するためのコンポーネントとして、判断部180、信号受信部186、信号処理部188、記録部190、入力部192、および、出力表示部194を含む。制御回路10を構成する各部は、その全部または一部を集積回路で作成してもよいし、一部をソフトウエアで実現してもよい。説明の便宜上、図9には、機能別に部材を描いているが、これらの部材の一部を一体化し、あるいは、一部の部材をさらに細分化して実装してもよい。
ゲート制御部196および回路保護部198は、複数のパワーモジュール1の駆動を制御する。より具体的には、ゲート制御部196は、予め定められた制御指令、または、図示しない制御装置から与えられる制御指令に従って、ゲート駆動回路42−1〜42−6(図4参照)を制御する。すなわち、ゲート制御部196は、パワーモジュール1−1〜1−6(図4参照)の各々がオン/オフするタイミングを制御する。
ゲート制御部196は、PID(Proportional Integral Derivative Controller)制御などの制御ロジックを実装しており、電流センサ32(図4参照)によって検出される電流値などの状態値に基づいて、ゲート駆動回路42を制御する。
回路保護部198は、パワーモジュール1およびパワーモジュール1が組み込まれたシステムを保護する。例えば、パワーモジュール1内の短絡、過電流、制御電源電圧低下、過熱などを監視する。一例として、回路保護部198は、電流センサ32(図4参照)によって検出される電流値などの状態値が予め定められた制限値を超過していると判断すると、ゲート駆動回路42に対して遮断指令を与えて、パワーモジュール1のスイッチング動作を停止する。
判断部180は、ガス検知部200からの検知信号に基づいてパワーモジュール1での局所的な温度上昇の発生有無を判断する。この判断部180による局所的な温度上昇の発生有無の判断については、後述する。
信号受信部186は、増幅器を有するとともに、リード端子202を通じてガス検知部200(図2参照)と電気的に接続されている。信号受信部186は、ガス検知部200からの検知信号を増幅して、信号処理部188へ出力する。
信号処理部188は、A/D(Analog to Digital)変換回路やノイズ除去回路などを含む。具体的には、信号受信部186から出力される電気信号に含まれるノイズ成分を除去するとともに、電気信号を量子化して判断部180へ出力する。
記録部190は、検出に必要な各種データ(初期データおよび基準データなど)を保持する。記録部190に格納される各種データは、判断部180にて動的に生成されることもあるし、外部装置などから与えられることもある。
入力部192は、ユーザ操作または外部装置からの指令を受付け、その受付けた指令を判断部180へ出力する。典型的には、入力部192は、各種の操作ボタン、キーボード、マウスなどの入力インターフェイス装置であってもよいし、USB(Universal Serial Bus)、LAN(Local Area Network)などの通信インターフェイスであってもよい。
出力表示部194は、判断部180にて出力される評価結果などを外部装置へ出力し、あるいは、ユーザへ通知する。典型的には、出力表示部194は、USB(Universal Serial Bus)、LAN(Local Area Network)などの通信インターフェイスであってもよいし、各種のインジケータ、ディスプレイ、音声デバイスなどの出力インターフェイス装置であってもよい。
<a8:局所的な温度上昇の検出方法>
次に、第1の実施形態に従うパワーモジュール1における局所的な温度上昇の検出方法の手順について説明する。第1の実施形態に従う検出方法は、基板上に配置された半導体チップをパッケージ化したパワーモジュール1(半導体装置)に生じ得る、局所的な温度上昇を検出する。
第1の実施形態においては、パワーモジュール1内部にガスが発生しているか否かを検知することで、局所的な温度上昇の発生の有無を判断することになる。ガスが発生しているか否かの監視は、常時実施する形態(常時監視)と、特定の期間毎に実施する形態(イベント監視)とが想定される。
常時監視においては、ガス検知部200により特定のガスの濃度を監視する。ガス検知部200は、センサ表面に触れるガスの濃度に応じた大きさの検知信号(電圧信号)を出力する。この電圧出力を常に監視しておき、予め設定された基準濃度に相当する電圧になると、ガスが発生していると判断する。
イベント監視においても、ガス検知部200により特定のガスの濃度を監視する。ガスは、パワーモジュール1内部で発生するので、一旦発生したガスは密閉された空間に留まることになり、ガスが発生してからある程度の時間が経過した後であっても、その発生を検知することができる。したがって、イベント監視においては、毎日の起動時または終了時に監視処理を実行する、あるいは、予めタイマーで設定した時間毎に監視処理を実行するようにしてもよい。ガス検知部200からの検知信号(電圧信号)が予め設定された基準濃度に相当する電圧になると、ガスが発生していると判断する。
但し、監視処理を実行するタイミングまたは周期が異なるだけで、監視処理の内容については実質的に同一である。
なお、パワーモジュール1の使用期間の長さなどに応じて、いずれの形態を利用するのかを選択するようにしてもよい。すなわち、パワーモジュール1の使用初期においては、イベント監視で劣化の有無を監視するとともに、パワーモジュール1の使用期間が想定される製品寿命の60%〜70%を過ぎると、常時監視で劣化の有無を監視するようにしてもよい。
図10は、第1の実施形態に従うパワーモジュール1における局所的な温度上昇の検出方法の処理手順を示すフローチャートである。図10に示す各ステップは、図9に示される関連する部位によって実行される。
図10を参照して、判断部180は、監視処理の実行条件が成立したか否かを判断する(ステップS100)。例えば、常時監視が選択されている場合には、監視処理の実行条件は、相対的に短い演算周期(例えば、10秒〜60秒)が到来することを含む。一方で、イベント監視が選択されている場合には、対象のパワーモジュール1を含む装置の電源の投入、電源の遮断、予め設定されたタイマー値の到来などを含む。
監視処理の実行条件が成立していれば(ステップS100においてYESの場合)、ステップS102以下の処理が継続される。これに対して、監視処理の実行条件が成立していなければ(ステップS100においてNOの場合)、処理は終了する。
判断部180は、信号受信部186および信号処理部188を活性化して、ガス検知部200からの検知信号を取得する(ステップS102)。取得した検知信号の電圧が予め定められた基準値(正常時の値)より低いか否かを判断する(ステップS104)。すなわち、特定のガスが発生したか否かが判断される。
取得した検知信号の電圧が予め定められた基準値(正常時の値)より低い場合(ステップS104においてYESの場合)には、信号受信部186および信号処理部188を活性化し続けて、ガス検知部200からの検知信号の電圧が予め定められた基準値(正常時の値)より低い状態が所定期間にわたって継続するか否かを判断する(ステップS106)。
ステップS106は、ガス検知部200からの検知信号に混入するノイズ除去のための処理である。ガスが発生していた場合、ガス検知部200からの検知信号の電圧は、安定して低い値を維持すると考えられるため、混入し得るノイズとの区別は、検知信号の継続時間を用いて行なう。例えば、検知信号が予め定められた基準値より低い状態が10秒以上継続した場合に限って、ガスが発生したと判断する。すなわち、ガス検知部200からの検知信号の電圧が予め定められた基準値より低い状態が所定期間にわたって継続した場合(ステップS106においてYESの場合)には、対象のパワーモジュール1の内部においてガスが発生していると決定する(ステップS108)。そして、判断部180は、特定のガスが発生したことで、パワーモジュール1に局所的な温度上昇が発生していると判断する(ステップS110)。
一方、取得した検知信号の電圧が予め定められた基準値(正常時の値)より高い場合(ステップS104においてNOの場合)、または、ガス検知部200からの検知信号の電圧が予め定められた基準値より低い状態が所定期間にわたって継続しなかった場合(ステップS106においてNOの場合)には、対象のパワーモジュール1の内部においてガスは発生していないと決定する(ステップS112)。そして、判断部180は、特定のガスが発生していないことで、パワーモジュール1に局所的な温度上昇が発生してないと判断する(ステップS114)。
そして、局所的な温度上昇の検出処理は終了する。
<a9:評価結果の出力例>
次に、評価結果をユーザへ通知するユーザインターフェイスの一例について説明する。
図11は、第1の実施形態に従うパワーモジュール1に対する判断結果を提示するユーザインターフェイスの一例を示す図である。典型的には、図11に示すユーザインターフェイス画面は、出力表示部194(図9)によって提供される。
図11(A)に示すように、ユーザインターフェイス画面300Aは、対象のパワーモジュール1の状態を示す評価結果302と、決定された残り寿命304と、アドバイス項目306とを含む。
一例として、評価結果302としては、ガスの発生が検知されたか否かに応じて、「正常」または「異常」が表示するようにしてもよい。残り寿命304としては、予め設計されている温度しきい値に対応した残り寿命が表示される。アドバイス項目306としては、対象のパワーモジュール1を保守するためのアドバイスが表示される。図11(A)に示す例では、ガスの発生が検知されなかったので、「正常」と判断され、「半年後に再測定して下さい。」といった、定期的な測定を促すメッセージが表示される。
一方、図11(B)には、ガスの発生が検知されたので、「異常」と判断され、「半年以内に交換して下さい。」といった、対象のパワーモジュール1の交換を促すメッセージが表示される。
パワーモジュール1(および、パワーモジュール1が組み込まれたシステム)の用途に応じて、運転時間あるいは走行距離の単位で寿命を表示するようにしてもよい。
<a10:利点>
第1の実施形態に従うパワーモジュール1においては、所定の温度しきい値になるとガスを発生させる機構を採用することで、パワーモジュール1の劣化に伴って生じる局所的な温度上昇を検出できる。このような局所的な温度上昇の発生は、パワーモジュール1の劣化が進行し、寿命が近いことを意味する。
第1の実施形態に従うパワーモジュール1においては、このような局所的な温度上昇をパワーモジュール1の運転中に検出できるので、実使用中に、パワーモジュール1の残り寿命の減少をユーザなどに対して通知できる。このような通知を受けて、適時にパワーモジュール1の交換や補修を行なうことができる。
以上のように、第1の実施形態によれば、パワーモジュール1の運用中に発生する恐れのある、不意の故障によるシステムトラブルを未然に防止できる。さらに、パワーモジュール1が組み込まれたシステム全体の信頼性を向上させるとともに、運用コストを低減することもできる。
[B.第2の実施形態]
上述の第1の実施形態に従うパワーモジュール1において、発生したガスは、樹脂材の内部に気泡として留まり徐々に拡散して移動することになる。この拡散による移動に要する時間を短縮化するために、樹脂内にマイクロパイプを配置して、発生したガスの伝搬経路を構成してもよい。つまり、放出されたガスがガス検知部200まで容易に到達するように、予め樹脂材内にガスの導通経路を入れておいてもよい。
図12は、第2の実施形態に従うパワーモジュール1Aの断面構造を示す模式図である。図12を参照して、第2の実施形態に従うパワーモジュール1Aは、図2に示す第1の実施形態に従うパワーモジュール1において、マイクロパイプ230をさらに配置したものに相当する。
マイクロパイプ230は、チップ表面から樹脂材(シリコーンゲル110)の層を突き抜ける細いパイプ状の構造を有する。つまり、シリコーンゲル110と空隙部109との間を貫通する複数のルートが形成される。樹脂材であるシリコーンゲル110の内部で発生したガスは、マイクロパイプ230に形成された伝搬経路を通過して、空隙部109を経て、ガス検知部200に到達する。このように、マイクロパイプ230は、樹脂材の内部に配置され、チップ表面から鉛直上方に向けて延びる、特定のガスの導通経路として機能する複数のパイプ部材に相当する。
マイクロパイプ230を採用することで、発生したガスが速やかにガス検知部200まで到達できるようになり、ガスの拡散に要する時間を短縮化して、局所的な温度上昇に対する検出遅れを抑制できる。
第2の実施形態におけるその他の構成および処理などについては、上述の第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
第2の実施形態に従うパワーモジュール1Aによれば、発生したガスが樹脂材の内部を拡散する必要なしに、直ちにガス検知部200まで到達して異常を検出することができる。これにより、温度上昇の迅速に検出を実現できる。
[C.第3の実施形態]
上述の第1および第2の実施形態に従うパワーモジュール1においては、チップ表面を覆うように、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの樹脂材で封止する構成について例示したが、チップ表面を薄い樹脂でコーティングするようにしてもよい。
図13は、第3の実施形態に従うパワーモジュール1Bの断面構造を示す模式図である。図13を参照して、第3の実施形態に従うパワーモジュール1Bにおいては、シリコーンゲル110を充填する代わりに、チップ表面に絶縁用の薄い樹脂がコーティング(コーティング樹脂層111)されている。コーティング樹脂層111についても、第1の実施形態に従うパワーモジュール1のシリコーンゲル110と同様に、ガスを発生させる機能が実現される。すなわち、コーティング樹脂層111は、ガス発生材料を詰め込んだマイクロカプセルを含む。
パワーモジュール1Bの空隙部109には、絶縁用のガスを充填するか、あるいは、準真空状態にする。空隙部109を絶縁用のガスで充填または準真空状態にすることで、発生したガスは、コーティング樹脂層111の内部を拡散することなく、直ちにガス検知部200まで到達することができる。このため、局所的な温度上昇を検出するために要する遅れ時間を短くできる。すなわち、温度上昇の迅速な検出を実現できる。
第3の実施形態におけるその他の構成および処理などについては、上述の第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
第3の実施形態に従うパワーモジュール1Bによれば、チップ表面に形成された比較的薄いコーティング樹脂層111を用いてガスを発生させるので、局所的な温度上昇の開始から実際にガスが発生するための時間を短くできる。また、チップ表面に設けられた樹脂による熱抵抗を低減できるので、パワーモジュール1B自体の放熱性能を妨げることがない。
[D.第4の実施形態]
上述の第1〜第3の実施形態においては、ガス発生材料を詰め込んだマイクロカプセルを用いる構成について例示したが、第4の実施形態においては、チップ表面を覆うように配置された樹脂材をガス発生源として利用する構成について例示する。
具体的には、樹脂材が熱分解することで発生するガスを用いることで、樹脂材自体をガス発生機構として機能させる。すなわち、温度しきい値以上で熱分解が顕著になる物質からなる樹脂材を採用してもよい。例えば、樹脂材としてのシリコーンゲル110は、熱分解によりホルムアルデヒドを発生させるため、これを異常検出用のガスとして監視することで、局所的な温度上昇を検出できる。つまり、樹脂材の熱分解により放出されるガスが特定のガスとして用いられてもよい。この例では、特定のガスは、ホルムアルデヒドからなる。また、樹脂材の熱分解が顕著になる温度を温度しきい値と合せるために、樹脂材の成分比などが適宜調整される。
ホルムアルデヒドを異常検出用のガスとして用いる場合には、ガス検知部200として、ホルムアルデヒドを感知する半導体センサを用いることが好ましい。このような半導体センサを採用することで、ホルムアルデヒドを高い感度で検出できる。
第4の実施形態におけるその他の構成および処理などについては、上述の第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
第4の実施形態に従うパワーモジュールによれば、チップ表面を覆う樹脂材として、特殊な材料を採用する必要がないため、上述した局所的な温度上昇の検出方法を低コストで実現できる。
[E.第5の実施形態]
上述の第1〜第4の実施形態に従うパワーモジュールにおいては、チップ表面を樹脂材で一様に覆う構成について例示したが、チップ表面の部位に応じて、異なる種類の樹脂材を用いてもよい。
図14は、第5の実施形態に従うパワーモジュール1Cの断面構造を示す模式図である。図14を参照して、第5の実施形態に従うパワーモジュール1Cにおいては、チップ表面の領域毎に異なる樹脂材(シリコーンゲル110A,110B,110C)が配置されている。シリコーンゲル110A,110B,110Cの各々は、互いに異なる種類のガスを発生させるためのガス発生材料を詰め込んだマイクロカプセルを含む。すなわち、チップ表面の領域毎に局所的な温度上昇により発生するガスの種類を異ならせることができる。
このような複数種類のシリコーンゲル110A,110B,110Cを配置するとともに、各発生するガスに応じたガス検知部200A,200B,200Cが配置される。このような構成を採用することで、発生したガスの種類に応じて、チップ表面のいずれの領域において局所的な温度上昇が発生したのかを推定することができる。
第5の実施形態におけるその他の構成および処理などについては、上述の第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
第5の実施形態に従うパワーモジュール1Cによれば、チップ表面に局所的な温度上昇が発生したことだけではなく、いずれの領域において局所的な温度上昇が発生したのかを推定することができる。
[F.第6の実施形態]
上述の第1〜第5の実施形態においては、発生したガスの検知機構として、ガスが触れることで特性を変化させる(すなわち、発生したガスそのものを検知する)ガス検知部200を用いる構成について例示したが、別の検知手段を採用してもよい。第6の実施形態においては、ガスの発生に伴う樹脂材の膨脹の有無に基づいて、ガスの発生を検知する機構を採用した構成について説明する。つまり、ガスの発生により樹脂材中に生じた気泡による体積の変化に基づいて、ガスの発生を検知することができる。
図15は、第6の実施形態に従うパワーモジュール1Dの断面構造を示す模式図である。図15を参照して、第6の実施形態に従うパワーモジュール1Dは、シリコーンゲル110内に埋込まれた、または、シリコーンゲル110の表面に配置された、導電体240を含む。導電体240には、導通状態を監視する機構が接続される。一例として、図15に示す構成例においては、電圧源244および電圧計測部246が導電体240に対して直列に接続されている。
シリコーンゲル110内で発生したガス204によるシリコーンゲル110の膨脹によって、導電体240の一部または全部が断線すると、導電体240の電気抵抗が増大し、電圧計測部246によりされる電圧が高くなり、あるいは、電流が流れなくなることにより、計測される電圧がゼロになる。このような電圧計測部246により計測される電圧の大きさに基づいて、ガスの発生の有無を検知できる。
上述したように、第6の実施形態に従うパワーモジュール1Dにおいては、樹脂材の内部で発生したガスによって生じる樹脂の膨張を検知することで、ガスの発生を検知する。すなわち、特定のガスの発生を検知するためのガス検知手段として、ガスの発生により変形する樹脂材の部分に、少なくとも一部が接触するように配置された導電体240と、導電体240の電気抵抗についての大きさの変化を検知する検知回路(電圧源244および電圧計測部246)とを含む。樹脂材の膨脹により導電体240での電気抵抗の変化を生じさせる方法としては、樹脂内に導電体240を埋め込んでその変位を受けるように構成することで実現してもよいし、樹脂表面に生じる突起による変位を受けるように構成することで実現してもよい。
第6の実施形態におけるその他の構成および処理などについては、上述の第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
第6の実施形態に従うパワーモジュール1Dによれば、樹脂内で発生したガスが樹脂内を拡散して検知されるのではなく、ガスの発生による樹脂の変形により、そのガスの発生を検知できるので、局所的な温度上昇を検出するために要する遅れ時間を短くできる。すなわち、温度上昇の迅速な検出を実現できる。
[G.第7の実施形態]
上述の第1〜第5の実施形態に従うパワーモジュールにおいては、表面に触れたガスに応じて検知信号を出力するガス検知部200を採用した構成について例示したが、ガス検知部200を動作させるための電力や寿命などを考慮すると、実際にガスが発生する可能性が高い状態で有効化することが好ましい。
このような点を考慮すると、使用開始から製品寿命の最終段階に入るまでの間は、例えば、エミッタ−コレクタ間電圧Vce(オン状態)やチップ内温度の監視といった既存の監視指標を用いて状態を監視するとともに、その既存の監視指標が示す値が、当初の値から一定値(例えば、5%程度)上昇した時点で、本実施形態に従う監視手法を有効化してもよい。
図16は、第7の実施形態に従う監視方法を説明するための模式図である。図16を参照して、例えば、使用開始後は、エミッタ−コレクタ間電圧Vce(オン状態)やチップ内温度による監視を継続する。そして、監視指標が示す値に劣化前兆が発現すると、本実施形態に従うガス発生の有無を検知する監視方法に切り替える。
このように、使用開始後においては、パワーモジュール1の内部状態を示す平均値または代表値である監視指標を取得することで、パワーモジュール1の劣化状態を予備的に判断する工程を実施する。そして、取得した監視指標が予め定められた条件を満たすと、特定のガスの発生を検知するためのガス検知部200(センサ)を有効化する。
つまり、パワーモジュール1の劣化を評価する手法として、本実施の形態に従う局所的な温度上昇の検出方法と、パワーモジュール1全体の平均値または代表値を監視する方法とを組み合わせる。寿命の初期(例えば、使用開始から予め設定した一定期間の間)は、パワーモジュール1全体の状態を示す監視指標をモニタしておき、製品寿命の最終時期に近付くと、本実施の形態に従うパワーモジュール1内部の局所的な温度上昇を検出する方法を有効化する。
このような方法を採用することで、ガス検知部200を無駄に作動させる必要がないので、ガス検知部200を動作させ続けることによる電力消費を抑制できるとともに、ガス検知部200自体の劣化を抑制できる。その結果、本実施形態に従う劣化監視に要する運用コストを低減できる。
なお、第7の実施形態におけるその他の構成および処理などについては、上述の第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
[H.第8の実施形態]
本実施形態に従う局所的な温度上昇の検出方法は、基本的には、パワーモジュール1の運転中(オンライン)に監視することを想定している。但し、運転休止中や検査中に、パワーモジュール1の劣化の有無を診断することも可能である。
例えば、パワーモジュール1に対して、短い電流パルスを印加するとともに、局所的な温度上昇によるガスの発生の有無を判断する。なお、短い電流パルスを印加するのは、パワーモジュール1に対して、破壊に至らしめる電気エネルギーを有していないが、局所的な温度上昇を生じさせることができるからである。
このように、パワーモジュール1の非運転中に、パワーモジュール1に対して短い電流パルスを印加する工程を実施するとともに、当該短い電流パルスの印加によって、特定のガスが発生したか否かが判断される。このような短い電流パルスにより、ガスが発生するか否かを検知する検査を定期的に行なうことで、パワーモジュール1の劣化を事前に検出することができる。つまり、短い電流パルスを印加して局所的な温度上昇に伴う前兆を検出する検査を定期的に行なうことで、より信頼性を高めることができる。
このような局所的な温度上昇の事前検出によって、パワーモジュール1が運転中に突然停止するといった事態が生じる可能性を低減できる。
[I.第9の実施形態]
上述の第1の実施形態においては、システムを制御する制御回路10内に、パワーモジュール1での局所的な温度上昇の発生を検出する機能を実装した構成について例示した。これに対して、第9の実施形態においては、本実施形態に従うパワーモジュールに対して情報処理装置を外部接続し、当該情報処理装置で局所的な温度上昇の発生を検出する構成について例示する。
図17は、第9の実施形態に従う局所的な温度上昇の検出システム250の構成を示す模式図である。図18は、第9の実施形態に従う情報処理装置の使用例を示す模式図である。
図17を参照して、第9の実施形態に従う検出システム250は、パワーモジュール1(半導体装置)を含むシステムユニット50と、測定補助回路60と、情報処理装置70とを含む。
システムユニット50は、例えば、第1の実施形態に従うパワーモジュール1を6つ配置したインバータとして機能する。システムユニット50の入力端子51,52を通じて、所定の電圧を有する直流電力が供給され、直流母線6と直流母線8との間に電気的に接続されたパワーモジュール1−1〜1−6によって、三相交流電力に変換される。この変換後の三相交流電力は、出力端子群54を通じて、駆動対象の外部装置(例えば、モータ)へ供給される。
パワーモジュール1−1〜1−6の各々には、上述したような、ガス発生機構およびガスを検知するためのガス検知部200が実装されている。システムユニット50は、ガス検知部200と外部装置とを電気的に接続されるための測定用インターフェイス56を含む。測定用インターフェイス56は、ガス検知部200の各々とリード端子202を通じて電気的に接続された測定用端子群58を含む。
測定補助回路60は、その先端に接続プラグ64が設けられた測定用コードを有している。パワーモジュール1−1〜1−6のいずれかについて劣化を評価する際には、測定用インターフェイス56に含まれる測定用端子群58のうち対応する測定用端子に接続プラグ64を接続する。すると、ガス検知部200からの検知信号を取得できる。
測定補助回路60は、信号受信部186と、信号処理部188とを含む。信号受信部186および信号処理部188の機能については、図9に示す対応する部材と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。インターフェイス回路62は、信号処理部188と情報処理装置70との間で信号を遣り取りするための回路である。
情報処理装置70は、パワーモジュール1での局所的な温度上昇の発生を検出する処理を実行する処理主体である。情報処理装置70は、典型的には、汎用のパーソナルコンピュータに処理プログラム78をインストールすることで実現される。
より具体的には、情報処理装置70は、プロセッサ72と、メモリ74と、処理プログラム78およびOS(Operating System)などを格納するハードディスク76と、表示部80と、入力部82と、通信インターフェイス84と、光学ドライブ86とを含む。
プロセッサ72は、CPU(Central Processing Unit)などからなる。メモリ74は、プロセッサ72でのプログラムの実行に必要なワークデータなどを一時的に格納する。表示部80は、典型的には、ディスプレイなどからなり、検出結果などをユーザなどへ出力する。入力部82は、典型的には、キーボード、マウス、タッチパネルなどからなり、ユーザなどからの指示を受付ける。通信インターフェイス84は、測定補助回路60との間で信号を遣り取りするための回路を含む。光学ドライブ86は、光学ディスク88などの記録媒体に格納された各種プログラム(処理プログラム78を含み得る)などのデータを読み取って、ハードディスク76に格納する。
但し、局所的な温度上昇の検出処理を実行する専用装置として実現してもよい。さらに、情報処理装置70が有する機能の一部または全部をハードウェア(典型的には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)など)により実現してもよい。
典型的な使用態様を想定すると、例えば、測定補助回路60および情報処理装置70をパワーモジュールが組み込まれたシステム(図17のシステムユニット50に対応)の近傍に配置するとともに、評価対象のパワーモジュール1内のガス検知部200と電気的に接続する。この状態で劣化診断を開始する。
例えば、図18に示すように、電車の床下機器500の保守ハッチを開けて、測定補助回路60および情報処理装置70を接続し、劣化診断をすることが可能である。
図17および図18には、測定補助回路60および情報処理装置70を別体の構成として説明したが、測定補助回路60および情報処理装置70を一体的に構成してもよい。
図17には、説明の便宜上、複数のパワーモジュール1で構成されたシステムユニット50について例示したが、システムユニット50に含まれる半導体チップ(IGBT140およびダイオード150など)のすべてを単一のシステム基板上に実装し、全体を単一のパワーモジュールとして構成してもよい。この場合には、一部の半導体チップのみを交換等することができないので、すべての半導体チップの劣化を診断するのではなく、特定の半導体チップ(例えば、レイアウト的に最も熱負荷の高い半導体チップなど)についてのみ、局所的な温度上昇により発生するガスを用いた劣化評価を行なうようにしてもよい。
第9の実施形態におけるその他の構成および処理などについては、上述の第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
第9の実施形態に従う検出システム250によれば、パワーモジュール1を取り外すことができないようなシステムユニット50に対しても、内部の劣化を容易に評価することができる。可搬式の測定補助回路60および情報処理装置70を採用することで、1つの測定システムを用いて、複数のシステムユニット50に対して、劣化の評価を行なうことができ、保守費用を低減することができる。
[J.第10の実施形態]
上述の第1の実施形態においては、システムを制御する制御回路10内に、パワーモジュール1での局所的な温度上昇の発生を検出する機能を実装した構成について例示した。これに対して、スイッチング動作を実現するための半導体チップに加えて、各種の制御機能を単一のモジュールに組み込んで高機能化したパワーモジュールとして実装してもよい。第10の実施形態においては、このような高機能化したパワーモジュール(以下、「IPM(Intelligent Power Module)」とも称す。)として実装した構成について例示する。
図19は、第10の実施形態に従うIPM400の機能構成を示す模式図である。図19を参照して、IPM400は、半導体装置を含むシステムの一例であり、主回路部402と、主制御部404と、検出回路部406とを含む。主回路部402については、上述の図1および図2に示すのと同様の構造でパッケージ化される。主制御部404および検出回路部406については、1つまたは複数のIC(Integrated Circuit)を用いて実装される。
図19には、説明の便宜上、機能別のブロックで模式的に表現しているが、IPM400を構成する1または複数のICの内部では、これらの機能が必ずしも明示的に区別されているわけではない。このような実装形態であっても、本願発明の技術的範囲に含まれ得る。
主回路部402は、直流電力を三相交流電力に変換するインバータ動作を行なう。より具体的には、主回路部402は、3相の正側および負側のそれぞれに対応付けられた6つのIGBT140−1〜140−6、およびそれぞれのIGBT140に対応するダイオード150−1〜150−6を含む。これらの半導体チップは、典型的には、システム基板(図1および図2など参照)上に配置される。主回路部402は、さらに、IGBT140−1〜140−6のゲートにゲート制御電圧を印加するためのゲート駆動回路42−1〜42−6を含む。
主回路部402に含まれる複数の半導体チップのうち、一部の半導体チップについてのみ、ガス発生を利用した局所的な温度上昇の検出が可能になっている。すなわち、IGBT140−1およびダイオード150−1に近接して、ガス発生機構およびガスを検知するためのガス検知部200が実装されている。
IPM400においては、3相分の半導体チップが単一のパワーモジュールとして構成されており、一部の半導体チップのみを交換等することができないので、すべての半導体チップの劣化を診断するのではなく、特定の半導体チップ(例えば、レイアウト的に最も熱負荷の高い半導体チップなど)についてのみ、ガス発生を利用した局所的な温度上昇の検出を行なうようになっている。但し、信頼性を高めるために、すべてのパワーモジュールについて、局所的な温度上昇を検出できるようにしてもよい。
主制御部404は、ゲート制御部196および回路保護部198を含む。ゲート制御部196および回路保護部198の機能については、図9に示すゲート制御部196および回路保護部198の機能とそれぞれ同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
検出回路部406は、判断部180と、信号受信部186と、信号処理部188と、記録部190と、入力部192と、出力表示部194とを含む。信号受信部186は、ガス検知部200と電気的に接続されている。これらの各部の機能については、図9に示す対応する部材の機能とそれぞれ同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
パワーモジュール1には、外部機器または外部装置が、主回路部402、主制御部404、検出回路部406のいずれかと、電力または電気信号などを遣り取りできるように、端子が設けられている。例えば、検出回路部406は、汎用のパーソナルコンピュータなどと接続され、ユーザ(保守担当者など)は、汎用のパーソナルコンピュータを用いて検出回路部406で算出される評価結果を確認することができる。
例えば、検出回路部406の内部または外部に通信モジュールを配置することで、保守担当者などが保持する携帯端末に評価結果を適宜送信するようにしてもよい。
図19に示すIPM400では、典型的には、主回路部402と、主制御部404と、検出回路部406がパッケージ部材によりパッケージ化されている。その上で、検出回路部406との間で情報を遣り取りするための端子がパッケージ部材から露出するように設けられている。但し、主回路部402と検出回路部406とをパッケージ化して、主制御部404に相当する機能を集中管理するようにしてもよい。この場合には、主回路部402のゲート駆動回路42−1〜42−6についても、外部に配置してもよい。
いずれの部位を単一のパワーモジュールとしてパッケージ化するかについては、用途や設置環境などに応じて、適宜設計される事項である。すなわち、図19に示すIPM400の構成例はあくまでも一例であり、図19に示す制御機能の一部をIPM400の外部に設けるような変形も可能である。逆に、より高機能化するための制御ロジックなどをIPM400に組み込むような変形を行なってもよい。
第10の実施形態におけるその他の構成および処理などについては、上述の第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
第10の実施形態に従うIPM400によれば、上述したガス発生を利用した検知方法を実現するための機能を含む単一のパワーモジュールが提供される。そのため、測定対象についての検出結果を定期的または何らかのイベント発生時に自動的に実行させることができる。その上で、その評価結果を自動的に出力することも可能である。この出力としては、推定された残り寿命などが短くなった場合などに、警告メッセージを出力し、故障が発生する前に交換時期などを通知することができる。
第10の実施形態に従うIPM400によれば、検出方法をソフトウエア化して、予めインストールしておくこともできる。そのため、IPM400の使用先(用途)に応じて、診断ロジックおよび各種設定値を最適化することができる。このような高機能化されたIPM400を用いることで、信頼性を向上させることができるとともに、保守費用などの運用コストを低減できる。
[K.まとめ]
本実施の形態によれば、半導体チップやワイヤで劣化が進行すると、抵抗値の上昇や電流の集中によって局所的な温度上昇が発生し得る。このような局所的な温度上昇が生じると特定のガスを発生する仕組みが実装される。そして、このガスの発生を検知することで、局所的な温度上昇の検出、および、その原因となった半導体チップやワイヤでの劣化を推定することができる。
本実施の形態に従う手法を採用することで、パワーモジュール1内において一様ではなく、局所的な温度上昇であっても、検出することができる。既存の技術にあるように、パワーモジュール内に作り込まれた温度センサとは異なり、センサが配置された特定の箇所ではなく、ワイヤボンドや電極等の不特定な箇所に生じる局所的な温度上昇を、パワーモジュール内の全体にわたって監視できる。
本実施の形態によれば、半導体チップを含むパワーモジュール内部で生じる劣化、特に、熱的疲労によって生じる半導体チップ下ボンディングでの剥離などに伴う、破壊に至る直前の急激な局所的な温度上昇を素子が破壊される前に検出できる。このため、実使用状態(すなわち、オンライン)においても、素子の劣化状況を監視することができ、かつ、必要に応じて残り寿命を定量的に推定することもできるので、より信頼性を高めた半導体装置を実現できる。
このような信頼性を高めた構成を採用することで、パワーモジュールの運用中に生じ得る、不意の故障によるシステムトラブルを未然に防止できる。さらに、パワーモジュールを組み込まれたシステム全体の信頼性を向上させるとともに、運用コストも低減できる。
このようなパワーモジュールが組み込まれた電車では運行中にトラブルが発生する可能性を低減でき、これによって、トラブルによって生じるダイヤ乱れのような社会的な影響を減らして経済的損失を低減することも可能になる。
本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、複数の実施形態の任意の組み合わせ、いずれかの実施形態に含まれる任意の構成要素の変形、あるいは、いずれかの実施形態に含まれる任意の構成要素の省略が可能である。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B,1C,1D パワーモジュール、2 モータ駆動システム、4 モータ、6,8 直流母線、10 制御回路、12 商用電源、20 コンバータ部、22−1〜22−6 ダイオード、24,26,28,44,46,48 接続ノード、30 平滑コンデンサ、32 電流センサ、40 インバータ部、42 ゲート駆動回路、50 システムユニット、51,52 入力端子、54 出力端子群、56 測定用インターフェイス、58 測定用端子群、60 測定補助回路、62 インターフェイス回路、64 接続プラグ、70 情報処理装置、72 プロセッサ、74 メモリ、76 ハードディスク、78 処理プログラム、80 表示部、82,192 入力部、84 通信インターフェイス、86 光学ドライブ、88 光学ディスク、100 ヒートシンク、102 サーマルグリース、104 ベースプレート、106 ケース部材、108 キャップ部、109 空隙部、110,110A,110B,110C シリコーンゲル、111 コーティング樹脂層、112,114 主端子、116 ベースプレートハンダ、120,122,124,126,128 ボンディングワイヤ、130 システム基板、132 下側電極層、134 絶縁層、136,138,139 上側電極層、140 Si−IGBT(IGBT)、140C コレクタ電極、140E エミッタ電極、140G ゲート電極、142,152 チップハンダ、146 ゲート端子、150 Si−PN接合ダイオード(ダイオード)、150A アノード電極、150K カソード電極、154,156 エミッタセンス端子、180 判断部、186 信号受信部、188 信号処理部、190 記録部、194 出力表示部、196 ゲート制御部、198 回路保護部、200,200A,200B,200C ガス検知部、202 リード端子、204 ガス、210,211 マイクロカプセル、212 ガス発生材料、213 隔壁、214 第1薬剤、215 第2薬剤、230 マイクロパイプ、240 導電体、244 電圧源、246 電圧計測部、250 検出システム、300A ユーザインターフェイス画面、302 評価結果、304 残り寿命、306 アドバイス項目、400 IPM、402 主回路部、404 主制御部、406 検出回路部、500 床下機器。

Claims (15)

  1. 基板と、
    前記基板上に配置された半導体チップと、
    前記半導体チップ表面の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂材とを備え、前記樹脂材は、予め定められた温度しきい値を超えると特定のガスを発生するように構成されており、
    前記特定のガスの発生を検知するための検知部を備える、半導体装置。
  2. 前記温度しきい値は、前記半導体チップの接合に関する定格温度を基準として設定される、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記温度しきい値は、前記半導体チップの接合に関する定格温度の1.2倍〜1.8倍の範囲内に設定される、請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記樹脂材は、前記特定のガスを発生させるためのガス発生材料が詰め込まれた熱応答性マイクロカプセルを含み、前記熱応答性マイクロカプセルは、前記温度しきい値において熱破壊されるように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. 前記特定のガスは、COおよびNOのいずれかからなる、請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記検知部は、前記特定のガスが触れることで電気伝導度を変化させるセンサを含む、請求項4または5に記載の半導体装置。
  7. 前記樹脂材は、前記温度しきい値以上で熱分解が顕著になる物質からなり、当該熱分解により放出されるガスが前記特定のガスとして用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  8. 前記特定のガスは、ホルムアルデヒドからなる、請求項7に記載の半導体装置。
  9. 前記検知部は、ホルムアルデヒドを感知する半導体センサを含む、請求項7または8に記載の半導体装置。
  10. 前記樹脂材の内部に配置され、前記半導体チップ表面から鉛直上方に向けて延びる、前記特定のガスの導通経路として機能する複数のパイプ部材をさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
  11. 前記検知部は、前記特定のガスの発生により変形する前記樹脂材の部分に、少なくとも一部が接触するように配置された導電体と、当該導電体の電気抵抗の大きさの変化を検知する検知回路とを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
  12. 半導体装置を含むシステムであって、
    基板と、
    前記基板上に配置された1または複数の半導体チップと、
    前記半導体チップ表面の少なくとも一部を覆うように配置された樹脂材とを備え、前記樹脂材は、予め定められた温度しきい値を超えると特定のガスを発生するように構成されており、
    前記特定のガスの発生を検知するための検知部と、
    前記1または複数の半導体チップ、前記樹脂材、および前記検知部を覆うパッケージ部材と、
    前記検知部からの検知信号に基づいて前記半導体装置での局所的な温度上昇の発生有無を判断する判断部とを備える、システム。
  13. 基板上に配置された半導体チップをパッケージ化した半導体装置の劣化検出方法であって、
    前記半導体チップ表面の少なくとも一部を覆うように樹脂材を配置するステップを備え、前記樹脂材は、予め定められた温度しきい値を超えると特定のガスを発生するように構成されており、
    前記特定のガスが発生したか否かを判断するステップと、
    前記特定のガスが発生したことで、前記半導体装置に局所的な温度上昇が発生していると判断するステップとを備える、劣化検出方法。
  14. 前記半導体装置の内部状態を示す平均値または代表値である監視指標を取得することで、前記半導体装置の劣化状態を判断するステップと、
    前記取得した監視指標が予め定められた条件を満たすと、前記特定のガスの発生を検知するためのセンサを有効化するステップとをさらに備える、請求項13に記載の劣化検出方法。
  15. 前記半導体装置の非運転中に、前記半導体装置に対して短い電流パルスを印加するステップと、
    前記短い電流パルスの印加によって、前記特定のガスが発生したか否かを判断するステップとをさらに備える、請求項13または14に記載の劣化検出方法。
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