JP2018031206A - 杭頭接合部 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1が開示する杭頭接合部では、基礎コンクリート部が上板部を上方へ押し上げ力にて押すことにより、補強筋に螺子部が螺子加工によって形成されていても、杭頭部と基礎コンクリート部の接合を効果的に補強することができる。
杭頭接合部の設計にあたり、許容曲げモーメントの算定が必須であるが、許容曲げモーメントを場合分けして算定することは、設計者にとって煩雑である。
また、本発明者等の検討により、場合によっては、許容曲げモーメントの算定にあたって、補強筋の軸部の引っ張り降伏強さではなく、補強筋の螺子部の引っ張り降伏強さを考慮する必要があることがわかった。補強筋の螺子部の引っ張り降伏強さは軸部の引っ張り降伏強さよりも小さい。このため、杭頭接合部は、ひび割れの有無等によらず、補強筋の軸部の引っ張り降伏強さを考慮して許容曲げモーメントを算定可能な構造を有することが望ましい。
杭頭部と、
前記杭頭部の外周面に固定された複数の接合部材と、
前記杭頭部に対し前記接合部材を介してそれぞれ取り付けられた複数の補強筋と、
前記杭頭部、前記複数の接合部材、及び、前記複数の補強筋を囲む、コンクリートによって構成された基礎コンクリート部と、を備える杭頭接合部において、
前記補強筋は、
表面に凹凸を有する軸部と、
前記軸部の一端側に連なり前記軸部よりも小さい断面積を有する螺子部と、を有し、
前記接合部材は、
前記杭頭部の外周面に固定された下側突起部と、
前記杭頭部の外周面に固定された上側突起部であって、前記杭頭部の軸線方向にて前記下側突起部の上方に配置された上側突起部と、を有し、
前記補強筋の螺子部は前記下側突起部に結合され、
前記補強筋の軸部は、前記杭頭部の軸線方向にて前記下側突起部と前記上側突起部との間を延びる第1部分と、前記杭頭部の端面から上方に突出して延在する第2部分とを有しており、
前記杭頭接合部は、前記基礎コンクリート部の内部に配置された少なくとも1つの仕切部材を更に備え、
前記少なくとも1つの仕切部材は、前記補強筋の軸部の第1部分の側方に配置された仕切壁を有する。
前記少なくとも1つの仕切部材は、前記接合部材に対応して設けられた複数の前記仕切部材によって構成され、
前記複数の仕切部材の各々の前記仕切壁は樋形状を有し、前記補強筋の軸部の第1部分を前記杭頭部の外周面とともに囲んでいる。
前記仕切壁は、前記杭頭部を囲むように配置された周壁によって構成されている。
前記仕切部材は、前記周壁の上端に連なり、前記杭頭部の端面に沿って配置される環状板を更に有し、
前記環状板は、前記補強筋が挿通される複数の開口を有する。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
以下、本発明の第1実施形態に係る杭頭接合部10aについて説明する。
図1は、構造体1の概略的な構成を示す図である。構造体1は、複数の杭2と、複数の杭2の杭頭部の各々に接合されたパイルキャップ4aと、パイルキャップ4a同士を連結する梁5と、パイルキャップ4aを介して杭2によって支持された上部構造6と有する。杭2、パイルキャップ4a及び梁5は、上部構造6を支持するための杭基礎8を構成している。
なお、杭基礎8は、パイルキャップ4aに代えて、フーチングを有していてもよい。以下では、パイルキャップ4aやフーチングを基礎コンクリート部4とも称する。
杭2は、場所打ち杭であっても既製杭であってもよい。ただし、円筒形状の杭頭部12の外周面には、接合部材14が溶接によって固定される。このため、場所打ち杭の場合には、杭2は鋼管コンクリート杭である。また、既製杭の場合には、杭2は、鋼管杭(SPP杭)若しくは外殻鋼管付きコンクリート杭(SC杭)であるか、又は、上端部に鋼製の補強バンドが取り付けられているコンクリート杭、例えば、鉄筋コンクリート杭(RC杭)、プレストレストコンクリート杭(PC杭,PRC杭)、若しくは、高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)等である。
本実施形態では、杭2は、SC杭であり、コンクリートによって構成された円筒形状のコンクリート部17と、コンクリート部17の両端を覆う金属製の端板18と、コンクリート部17の外周面を覆う外殻鋼管19とを有する。端板18は環形状を有し、外殻鋼管19に対して溶接されている。
複数の補強筋15は、金属製であり、杭頭部12に対し接合部材14を介してそれぞれ取り付けられている。
本実施形態では、杭頭接合部10aは、接合部材14に対応して複数の仕切部材16aを有する。仕切部材16aは例えば金属製である。
なお図示しないけれども、基礎コンクリート部4内には、割裂防止筋や、梁5の主筋等が配置されていてもよい。
例えば、補強筋15として、図6に示したような異形鉄筋を用いることができる。
従って、上側突起部24は、補強筋15の通過を許容するような形状を有している。一方で、上側突起部24は、下側突起部23と上側突起部24との間を延びる補強筋15の軸部20の部分に付着した基礎コンクリート部4の部分と、杭頭部12の軸線方向にて係合するように構成されている。
なお以下では、補強筋15の軸部20のうち、上側突起部24の上端面と下側突起部23との間を延びる部分を第1部分20aとも称し、上側突起部24の上端面よりも上方の部分を第2部分20bとも称する。
連結部30は、杭頭部12の軸線方向及び周方向に延びる板形状を有し、下側突起部23と上側突起部24を相互に連結している。連結部30は、杭頭部12側に、杭頭部12の外周面に沿って配置可能な湾曲面35を有する。
補強リブ部34は、補強ビーム部32と下側突起部23との間に形成される隅に一体に形成されている。
なお、接合部材14の形状は上述したものに限定されることはなく、例えば、特開2015−34458号公報に記載された接合部材を用いることができる。
なお、仕切部材16aの内側の空間が狭く、コンクリートが充填され難い場合には、基礎コンクリート部4のコンクリートの打設の前に、モルタルやグラウト等の硬化性材料を仕切部材16aの内側に充填してもよい。この場合、便宜上、仕切部材16aの内側に充填された硬化性材料も、基礎コンクリート部4の一部であると見なす。
なお、便宜上、図10中では、基礎コンクリート部4のハッチングを省略している。
以下、第2実施形態に係る杭頭接合部10bについて説明する。なお、以下の実施形態の説明では、上述した実施形態と異なる点を中心に説明し、同一又は類似の構成については、同一の符号を用いて説明を省略又は簡略化する。
仕切部材16bは、第1側壁40及び第2側壁42と一体の底壁50を有し、底壁50は、下方から接合部材14の下側突起部23に当接可能である。そして、底壁50には、U字形の切欠き52が形成され、切欠き52を通じて、螺子部21が底壁50よりも下方に突出可能である。螺子部21にはナット54が螺合され、ナット54と下側突起部23によって、底壁50が挟まれる。これにより、第1側壁40を杭頭部12の外周面に溶接しなくても、仕切部材16bを固定することができる。
以下、第3実施形態に係る杭頭接合部10cについて説明する。
図13は、第3実施形態に係る杭頭接合部10cの杭頭部12、接合部材14、補強筋15、及び、仕切部材16cを概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。図14は、杭頭部12、接合部材14及び仕切部材16cを概略的に示す上面図である。図15は、仕切部材16cの概略的な構成を示す図であって、(a)は上面図であり、(b)は縦断面図である。
仕切部材16cは、周壁56の上端に連なり、杭頭部12の端面に沿って配置される環状板60を有している。環状板60は、補強筋15が挿通される複数の開口62を有する。
上記構成によれば、環状板60を杭頭部12の端面上に配置することで、仕切壁58を容易に配置することができる。なお、例えば、環状板60をボルト(不図示)によって杭頭部12に固定することによって、仕切部材16cを杭頭部12に対し容易に固定することができる。
上記構成によれば、区画壁64によって、各軸部20の第1部分20aに付着している付着部分46同士の接続が杭頭部12の周方向にて絶たれることで、遠位部分48に対し付着部分46が容易に変位することができる。
なお、周壁56の形状は円筒形状に限定されることはなく、図17に示したように、仕切部材16cは、円錐台形状の周壁66を有していてもよい。
例えば、接合部材14の上側突起部24の形状は特に限定されることはなく、丸棒形状や、複数の突起が杭頭部12の軸線方向に配列されたものであってもよい。
2 杭
4 基礎コンクリート部
4a パイルキャップ
5 梁
6 上部構造
8 杭基礎
10a,10b 杭頭接合部
12 杭頭部
14 接合部材(ジョイントカプラ)
15 補強筋
16a,16b,16c 仕切部材
17 コンクリート部
18 端板
19 外殻鋼管
20 軸部
20a 第1部分
20b 第2部分
21 螺子部
22 定着体
23 下側突起部
24 上側突起部
26 螺子孔
28 切り欠き
29 フォーク部
30 連結部
32 補強ビーム部
34 補強リブ部
35 湾曲面
36 開先面
38 溶接ビード
40 側壁(第1側壁)
42 側壁(第2側壁)
44 仕切壁
46 付着部分(近位部分)
48 遠位部分
50 底壁
52 切欠き
54 ナット
56 周壁
58 仕切壁
60 環状板
62 開口
64 区画壁
66 周壁
Claims (4)
- 杭頭部と、
前記杭頭部の外周面に固定された複数の接合部材と、
前記杭頭部に対し前記接合部材を介してそれぞれ取り付けられた複数の補強筋と、
前記杭頭部、前記複数の接合部材、及び、前記複数の補強筋を囲む、コンクリートによって構成された基礎コンクリート部と、を備える杭頭接合部において、
前記補強筋は、
表面に凹凸を有する軸部と、
前記軸部の一端側に連なり前記軸部よりも小さい断面積を有する螺子部と、を有し、
前記接合部材は、
前記杭頭部の外周面に固定された下側突起部と、
前記杭頭部の外周面に固定された上側突起部であって、前記杭頭部の軸線方向にて前記下側突起部の上方に配置された上側突起部と、を有し、
前記補強筋の螺子部は前記下側突起部に結合され、
前記補強筋の軸部は、前記杭頭部の軸線方向にて前記下側突起部と前記上側突起部との間を延びる第1部分と、前記杭頭部の端面から上方に突出して延在する第2部分とを有しており、
前記杭頭接合部は、前記基礎コンクリート部の内部に配置された少なくとも1つの仕切部材を更に備え、
前記少なくとも1つの仕切部材は、前記補強筋の軸部の第1部分の側方に配置された仕切壁を有する、
ことを特徴とする杭頭接合部。 - 前記少なくとも1つの仕切部材は、前記接合部材に対応して設けられた複数の前記仕切部材によって構成され、
前記複数の仕切部材の各々の前記仕切壁は樋形状を有し、前記補強筋の軸部の第1部分を前記杭頭部の外周面とともに囲んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載の杭頭接合部。 - 前記仕切壁は、前記杭頭部を囲むように配置された周壁によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の杭頭接合部。
- 前記仕切部材は、前記周壁の上端に連なり、前記杭頭部の端面に沿って配置される環状板を更に有し、
前記環状板は、前記補強筋が挿通される複数の開口を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の杭頭接合部。
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