JP2018031048A - 磁性化合物の製造方法 - Google Patents

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Noritsugu Sakuma
紀次 佐久間
正雄 矢野
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正雄 矢野
和哉 横田
Kazuya Yokota
和哉 横田
秀史 岸本
Hideshi Kishimoto
秀史 岸本
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哲也 庄司
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Toshiharu Suzuki
俊治 鈴木
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Kurima Kobayashi
久理眞 小林
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【課題】高い異方性磁界と高い磁化を備えた磁性化合物の製造方法を提供する。【解決手段】下式Rx(Fe(1-a)Coa)(12-y)My(上式中、Rは、Y、Zr、La、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho及びLuからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、Mは1種類以上の遷移金属元素であり、1≦x≦1.5、0.5≦y≦1、0≦a≦0.7である)で表され、ThMn12型の結晶構造を有する合金を準備する工程と、N含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用いて前記合金を窒化する工程を含む方法。【選択図】なし

Description

本発明は、異方性磁界が高くかつ飽和磁化の高いThMn12型の結晶構造を有する磁性化合物の製造方法に関する。
永久磁石の応用はエレクトロニクス、情報通信、医療、工作機械分野、産業用・自動車用モータなど広範な分野に及んでおり、二酸化炭素排出量の抑制の要求が高まっている中、ハイブリッドカーの普及、産業分野での省エネ、発電効率の向上などで近年さらに高特性の永久磁石開発への期待が高まっている。
現在、高性能磁石として市場を席巻しているNd−Fe−B系磁石は、HV/EHV用の駆動モータ用磁石にも使用されている。そして、昨今、モータのさらなる小型化、高出力化(磁石の残留磁化の増加)が追求されていることに対応して、新しい永久磁石材料の開発が進められている。
Nd−Fe−B系磁石を超える性能を有する材料開発の一つとして、ThMn12型結晶構造を有する希土類−鉄系磁性化合物の研究が進められている。例えば特許文献1には、希土類元素としてNdを含む、ThMn12型の結晶構造を有する窒化磁性組成物が提案されている。
特開2004−265907号公報
従来より知られている、ThMn12型の結晶構造を有するNdFe11TiNxの組成を有する化合物では、Nにより一軸磁気異方性を発現するため、異方性磁界は高い。しかし、600℃以上の高温でNが脱離して異方性磁界が低くなるため、焼結等のフルデンス化による高性能化は困難であった。また、N2ガスを用いて窒化させた場合、粒子の外側のみが窒化され、内部は窒化されにくく、Nの分布が不均一であるため、磁気異方性の低下を招いているという問題がある。
本発明は、上記の先行技術の問題点を解決し得る、Nが均一に分布した、高い異方性磁界と高い磁化を兼ね備えた磁性化合物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明によれば、下式
x(Fe(1-a)Coa)(12-y)My
(上式中、Rは、Y、Zr、La、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho及びLuからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、
Mは1種類以上の遷移金属元素であり、
1≦x≦1.5、
0.5≦y≦1、
0≦a≦0.7である)
で表され、ThMn12型の結晶構造を有する合金を準備する工程と、
N含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用いて前記合金を窒化する工程
を含む、磁性化合物の製造方法が提供される。
さらに本発明によれば、前記窒化後、窒化された合金を、窒素を含まないガスもしくは真空中においてアニールする工程
をさらに含む、磁性化合物の製造方法が提供される。
本発明によれば、N含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用いて窒化することにより、磁性化合物の表面のみならず、内部まで窒化され、全体として均一に窒化された、磁気異方性の向上した磁性化合物を得ることができる。また、窒化後のアニールにより、ユニットセルあたりの窒素の量が1個になり、磁気異方性、飽和磁化が向上する。
比較例3の粒子のEPMA測定結果を示す像である。 実施例4の粒子のEPMA測定結果を示す像である。 図1及び図2の元素マッピング結果のライン分析結果を示すグラフである。 実施例7の粒子のXRD結果を示すグラフである。 実施例7の粒子の結晶構造を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明に係る磁性化合物の製造方法について詳細に説明する。本発明の磁性化合物の製造方法は、まず下式
x(Fe(1-a)Coa)(12-y)My
(上式中、Rは、Y、Zr、La、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho及びLuからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、
Mは1種類以上の遷移金属元素であり、
1≦x≦1.5、
0.5≦y≦1、
0≦a≦0.7である)
で表され、ThMn12型の結晶構造を有する合金を、常法により、例えばストリップキャスト法、鋳造法等により準備する。この合金の各構成成分について以下に説明する。
(R)
Rは、Y、Zr、La、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho及びLuからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、永久磁石特性を発現するために本発明の磁性化合物に必須の成分である。Rの配合量xは1≦x≦1.5とする。xが1未満では、所定のThMn12相以外に軟磁性のα−Feが生成して、磁気特性、特に異方性磁界を低下させるからである。一方、xが1.5を越えると、同様に軟磁性のNd2Fe17相が多く生成して、異方性時間を低下させるからである。好ましくは、Rの配合量xは1≦x≦1.2である。
(M)
Mは1種類以上の遷移金属元素であり、好ましくはTi、V、Cr、Mo、Al、Si、Nb、Wからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、より好ましくはTiもしくはMoである。この元素MはR−Feの2元系合金の添加することにより、ThMn12型の結晶構造を安定化し、優れた磁気特性を与えることに寄与する。Mの配合量yは0.5≦y≦1であり、好ましくは0.5≦y≦0.8である。
(Fe及びCo)
本発明に用いる合金は、上記元素以外をFeとするが、Feの一部をCoで置換してもよい。CoはFeと置換することにより、スレーターポーリング則により、自発磁化の増大を生じ、異方性磁界、飽和磁化の両特性を向上させることができる。ここで、Coの置換量aは0≦a≦0.7であるが、Coの置換量が0.7を超えると、効果を発揮することができない。また、FeをCoで置換することによって化合物のキューリー点が上昇するために、高温度での磁化の低下を抑制する効果がある。好ましくは、Coの置換量aは0≦a≦0.4である。
本発明の方法は、磁性化合物は、上記の式により表され、ThMn12型の結晶構造を有する合金を、N含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用いて窒化する工程を含む。N含有ガスとしては、N2、NH3、ヒドラジンガス、及びヒドラジン誘導体ガスを用いることができる。この混合ガス中のH2ガスの濃度は、20〜80%であることが好ましい。また窒化温度は200℃〜500℃、窒化時間は0.5〜24時間とすることが好ましい。
このようなN含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用いて窒化することにより、得られる磁性化合物において、均質に窒化し、すなわち窒素濃度の分布がなく、H原子が結晶構造の2bサイト以外への不要なサイトへの窒素原子の侵入を抑制し、ユニットセル内にほぼ1個の窒素原子を存在させることができる。その結果、異方性磁界を向上させることができる。
さらに、本発明においては、上記窒化後に、窒化された合金を、窒素を含まないガスもしくは真空中においてアニールする工程をさらに含むことが好ましい。窒素を含まないガスとしては、例えばH2あるいはArを用いることが好ましい。このアニールは、400℃〜600℃において、1〜24時間行うことが好ましい。
このアニールにより、窒化工程において2bサイト以外に窒素原子の侵入があったとしても、再度2bサイトのみに優先的に窒素原子を選択的に導入することができる。
実施例1〜7及び比較例1〜4
以下の表1に示す組成の合金薄片をストリップキャスト法により作製し、Ar雰囲気において1100℃、4時間熱処理を実施した。次いでAr雰囲気においてカッターミルを用いて薄片を粉砕し、粒径30μm以下の粒子を回収した。得られた粒子をN2ガス、N2+H2ガス(H2ガス濃度70%)、NH3+H2ガス(H2ガス濃度70%)フロー中で、225℃〜450℃において24時間窒化を行った。さらにこの窒化後に、300℃〜600℃において、窒素を含まないガス(H2もしくはAr)中でアニールを実施した。こうして得られた粒子の磁気特性評価(振動試料型磁力計、VSM)、組織観察(電子線マイクロアナライザ、EPMA)及び結晶構造解析(X線回折、XRD)を実施した。
比較例3のEPMA結果を図1に、実施例4のEPMA結果を図2に示す。また、図1及び図2中のN元素マッピング結果のライン分析結果を図3に示す。さらに、実施例7のXRD結果を図4に示す。N2ガスを用いて窒化を行った場合(比較例3)、粒子の外側のみが窒化され不均質であったのに対し、N2+H2の混合ガスを用いて窒化を行った場合(実施例4)、粒子の内部まで均質に窒化されていることがわかる。
次に以下の表1に、窒化条件、アニール条件と磁気特性の測定結果を示す。
2+H2の混合ガス及びNH3+H2の混合ガスを用いて窒化を行った場合には、アニール後に窒化量が減少し、図5に示すように、ユニットセルあたりの窒素の量が1個程度となり、異方性磁界、飽和磁化ともに向上した。しかしながらN2ガスを用いて窒化を行った場合には、アニール化後でも窒化量がほとんど変化せず、異方性磁界、飽和磁化も大きな向上は認められなかった。また、実施例4のXRD結果と実施例5のXRD結果を比べると、アニール後に窒素量が1個程度に近づくことで、窒素の占有サイトが2bサイトとなり、結晶性が回復したものと考えられる。
以上の結果より、N2ガスを用いて窒化を行った場合、粒子の外周部の窒化量は1個よりはるかに大きくなっており、2bサイト以外のサイトにも窒素原子が侵入している可能性があり、中心部は反対に窒化が未完了であることがわかった。これが、N2ガスを用いて窒化を行った場合に異方性磁界が低い要因であると考えられる。
このように、安定化元素種をはじめとする組成によらず、N2+H2の混合ガス及びNH3+H2の混合ガスを用いて窒化を行うことにより、2bサイト以外の不要なサイトへの窒素の侵入を抑制することが可能となり、仮に2bサイト以外への侵入があったとしても、アニールにより再度2bサイトへのみに優先的に窒素原子を選択的に導入することができる。

Claims (2)

  1. 磁性化合物の製造方法であって、下式
    x(Fe(1-a)Coa)(12-y)My
    (上式中、Rは、Y、Zr、La、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho及びLuからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、
    Mは1種類以上の遷移金属元素であり、
    1≦x≦1.5、
    0.5≦y≦1、
    0≦a≦0.7である)
    で表され、ThMn12型の結晶構造を有する合金を準備する工程と、
    N含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用いて前記合金を窒化する工程
    を含む方法。
  2. 前記窒化後、窒化された合金を、窒素を含まないガスもしくは真空中においてアニールする工程
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
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