以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。蓄電素子には、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
本実施形態の蓄電素子は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子と組み合わされて蓄電装置に用いられる。蓄電装置では、該蓄電装置に用いられる蓄電素子が電気エネルギーを供給する。
図1に示すように、蓄電素子1は、ケース2と、該ケース2の外側に配置される外部端子3,4とを備える。より具体的には、蓄電素子1は、図2及び図3に示すように、内部空間Sを画定するケース2と、ケース2の外側に配置される外部端子3,4と、内部空間Sに配置される電極体5と、圧力を受ける受圧部60を有し、該受圧部60を含む少なくとも一部が内部空間Sに配置され、受圧部60が所定値以上の圧力を受けたときに外部端子3と電極体5とを繋ぐ電流経路を遮断する電流遮断機構6と、電流遮断機構6における受圧部60を含む少なくとも一部と電極体5との間に位置する介在部70を含む絶縁部材(以下、第一絶縁部材という)7と、を備える。
また、蓄電素子1は、電極体5と外部端子3,4とを導通させる集電体8と、ケース2と外部端子3,4とを絶縁する絶縁部材(以下、第二絶縁部材という)9とを備える。
ケース2は、開口を有するケース本体20と、ケース本体20の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板21と、を有する。ケース2は、電極体5、集電体8、及び電流遮断機構6等を内部空間Sに収容する。ケース2は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。本実施形態のケース2は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成されている。
ケース本体20は、板状の閉塞部200と、閉塞部200の周縁に接続される筒状の胴部201と、を備える。
閉塞部200は、ケース本体20が開口を上に向けた姿勢で配置されたときにケース本体20の下端に位置する(即ち、開口が上を向いたときのケース本体20の底壁となる)部位である。閉塞部200は、該閉塞部200の面直交方向から見て、矩形状である。
以下では、閉塞部200の長辺方向をX軸方向とし、閉塞部200の短辺方向をY軸方向とし、閉塞部200と面直交する方向(X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向)をZ軸方向とする。これに伴い、各図面に、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれに対応する直交座標軸を補助的に図示する。
胴部201は、角筒形状、より詳しくは、偏平な角筒形状を有する。胴部201は、閉塞部200の周縁における長辺から延びる一対の長壁部201aと、閉塞部200の周縁における短辺から延びる一対の短壁部201bと、を有する。即ち、一対の長壁部201aは、Y軸方向に間隔(詳しくは、閉塞部200の周縁における短辺に相当する間隔)を空けて対向し、一対の短壁部201bは、X軸方向に間隔(詳しくは、閉塞部200の周縁における長辺に相当する間隔)を空けて対向する。短壁部201bが一対の長壁部201aの対応する端部同士(詳しくは、Y軸方向に対向する端部同士)をそれぞれ接続することによって、角筒状の胴部201が形成される。
以上のように、ケース本体20は、開口方向(Z軸方向)における一方の端部が塞がれた角筒形状(即ち、有底角筒形状)を有する。
蓋板21は、ケース本体20の開口を塞ぐ板状の部材である。具体的に、蓋板21は、Z軸方向から見て、ケース本体20の開口周縁部に対応した輪郭形状を有する。即ち、蓋板21は、Z軸方向から見て、X軸方向に長い矩形状の板材である。蓋板21は、ケース本体20の開口を塞ぐように該ケース本体20に当接する。
より具体的には、蓋板21が開口を塞ぐように、蓋板21の周縁部がケース本体20の開口周縁部に重ねられる。開口周縁部と蓋板21とが重ねられた状態で、蓋板21とケース本体20との境界部が溶接される。これにより、ケース2が構成される。
蓋板21は、ケース2内のガスを外部に排出可能なガス排出弁210を有する。ガス排出弁210は、ケース2の内部圧力が所定の圧力(ケース2の破裂等が起こらない所定の値:第一の閾値)まで上昇したときに、該ケース2内から外部にガスを排出する。本実施形態のガス排出弁210は、X軸方向における蓋板21の中央部に設けられる。
具体的に、ガス排出弁210は、破断溝211aが形成された薄肉部211を有する(図1及び図2参照)。ガス排出弁210は、ケース2の内部圧力(ガス圧)が第一の閾値以上になったときに薄肉部211が破断溝211aから裂けることによって、ケース2の内部(内部空間S)と外部(外部空間)とを連通させる。これにより、ガス排出弁210は、ケース2の内部のガスを外部へ排出する。このようにして、ガス排出弁210は、上昇したケース2の内部圧力を下げる。
蓋板21には、ケース2の内部と外部とを連通させる一対の貫通穴212が設けられる。一対の貫通穴212のそれぞれは、ケース2の内部に収容された電極体5と、ケース2の外部に配置された外部端子3,4とを導通させるのに用いられる。具体的に、一対の貫通穴212のそれぞれは、蓋板21をZ軸方向(厚さ方向)に貫通する。一対の貫通穴212のそれぞれは、X軸方向における蓋板21の両端部に設けられる。即ち、一対の貫通穴212は、蓋板21においてX軸方向に間隔を空けて設けられる。貫通穴212には、外部端子3,4の軸部31,41が挿通される(図3参照)。
ケース2は、図3に示すように、ケース本体20の開口周縁部と、蓋板21の周縁部とを重ね合わせた状態で接合することによって形成される。また、ケース2では、ケース本体20と蓋板21とによって内部空間Sが画定されている。本実施形態のケース2では、ケース本体20の開口周縁部と蓋板21の周縁部とが溶接によって接合されている。
外部端子3,4は、他の蓄電素子1の外部端子3,4又は外部機器等と電気的に接続される部位である。本実施形態の蓄電素子1は、一対の外部端子3,4を備える。一方の外部端子3は、電極体5の正極と導通される正極外部端子であり、他方の外部端子4は、電極体5の負極と導通される負極外部端子である。外部端子3,4は、導電性を有し且つ溶接性の高い金属材料によって形成される。例えば、正極外部端子3は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成され、負極外部端子4は、銅又は銅合金等の銅系金属材料によって形成される。
具体的に、外部端子3,4は、図2〜図7に示すように、蓋板21の外面に配置される頭部30,40と、頭部30,40から延びる軸部31,41と、を有する。
頭部30,40は、蓋板21に沿って広がる板状の部位である。本実施形態の頭部30,40は、矩形の板状である。
軸部31,41は、頭部30,40の蓋板21側の面から蓋板21の貫通穴212を通じてケース2の内側に向けて延びる。軸部31,41は、蓋板21に組み付けられる前は、軸部31,41の先端から基部(頭部30,40側)に向かって延びる非貫通状態の穴を画定する筒状の部位であり(図2、図6参照)、蓋板21に組み付けられた後は、先端側の部位がかしめによって軸部31,41の径方向の外側に押し広げられて鍔状(大径部31a,41a)になっている(図3〜図5、図7参照)。即ち、組み付け後の軸部31,41は、先端部に大径部31a,41aを含む。
本実施形態の蓄電素子1では、頭部30,40と大径部31a,41aとが、第二絶縁部材9(本実施形態の例では、内部絶縁部材9a及び外部絶縁部材9b)を蓋板21とともにZ軸方向に挟み込むことで、これら各部材が蓋板21に固定される。尚、正極外部端子3では、頭部30と大径部31aとが、第二絶縁部材9(内部絶縁部材9a及び外部絶縁部材9b)に加え電流遮断機構6の一部も蓋板21とともにZ軸方向に挟み込むため、電流遮断機構6も蓋板21に固定されている(図3〜図5参照)。
また、正極外部端子3は、非貫通状態の穴と外部とを連通させる接続穴32も有する(図3〜図5参照)。接続穴32の具体的な配置位置は限定されず、バスバ等が正極外部端子3に溶接等によって接続された状態で非貫通状態の穴と外部とが連通する配置であればよい。
図3及び図8に示すように、電極体5は、巻芯50と、正極51aと負極51bとが互いに絶縁された状態で積層された積層体51であって、巻芯50の周囲に巻回された積層体51と、を備える。電極体5においてリチウムイオンが正極51aと負極51bとの間を移動することにより、蓄電素子1が充放電する。
巻芯50は、通常、絶縁材料によって形成される。本実施形態の巻芯50は、筒状、より詳しくは、偏平な筒状である。巻芯50は、可撓性又は熱可塑性を有するシートを巻回することによって形成される。本実施形態のシートは、合成樹脂によって形成されている。
図8に示すように、正極51aは、帯状の金属箔510aと、金属箔510aに重ねられる正極活物質層511aと、を有する。正極活物質層511aは、金属箔510aにおける幅方向(短手方向)の一方の端縁部(非被覆部)を露出させた状態で、該金属箔510aに重ねられている。本実施形態の金属箔510aは、例えば、アルミニウム箔である。
正極活物質層511aは、正極活物質と、バインダーと、を有する。
正極活物質は、例えば、リチウム金属酸化物である。具体的に、正極活物質は、例えば、LiaMebOc(Meは、1又は2以上の遷移金属を表す)によって表される複合酸化物(LiaCoyO2、LiaNixO2、LiaMnzO4、LiaNixCoyMnzO2等)、LiaMeb(XOc)d(Meは、1又は2以上の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、Vを表す)によって表されるポリアニオン化合物(LiaFebPO4、LiaMnbPO4、LiaMnbSiO4、LiaCobPO4F等)である。本実施形態の正極活物質は、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2である。
正極活物質層511aに用いられるバインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。本実施形態のバインダーは、ポリフッ化ビニリデンである。
正極活物質層511aは、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の正極活物質層511aは、導電助剤としてアセチレンブラックを有する。
負極51bは、帯状の金属箔510bと、金属箔510bに重ねられる負極活物質層511bと、を有する。負極活物質層511bは、金属箔510bにおける幅方向(短手方向)の他方(正極51aの金属箔510aの非被覆部と反対側)の端縁部(非被覆部)を露出させた状態で、該金属箔510bに重ねられている。本実施形態の金属箔510bは、例えば、銅箔である。本実施形態の負極活物質層511bの幅方向の寸法は、正極活物質層511aの幅方向の寸法より大きい。
負極活物質層511bは、負極活物質と、バインダーと、を有する。
負極活物質は、例えば、グラファイト、難黒鉛化炭素、及び易黒鉛化炭素などの炭素材、又は、ケイ素(Si)及び錫(Sn)などのリチウムイオンと合金化反応を生じる材料である。本実施形態の負極活物質は、難黒鉛化炭素である。
負極活物質層511bに用いられるバインダーは、正極活物質層511aに用いられたバインダーと同様のものである。本実施形態のバインダーは、ポリフッ化ビニリデンである。
負極活物質層511bは、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の負極活物質層511bは、導電助剤を有していない。
本実施形態の電極体5では、以上のように構成される正極51aと負極51bとがセパレータ51cによって絶縁された状態で巻回される。即ち、本実施形態の電極体5では、正極51a、負極51b、及びセパレータ51cの積層体51が巻回されている。
セパレータ51cは、絶縁性を有する部材であり、正極51aと負極51bとの間に配置される。これにより、電極体5(詳しくは、積層体51)において、正極51aと負極51bとが互いに絶縁される。また、セパレータ51cは、ケース2内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、セパレータ51cを挟んで交互に積層される正極51aと負極51bとの間を、リチウムイオンが移動可能となる。
セパレータ51cは、帯状であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリアミドなどの多穴質膜によって構成される。本実施形態のセパレータ51cは、SiO2粒子、Al2O3粒子、ベーマイト(アルミナ水和物)等の無機粒子を含んだ無機層を、多穴質膜によって形成された基材の上に設けることで形成されている。本実施形態のセパレータ51cの基材は、例えば、ポリエチレンによって形成される。
セパレータ51cの幅方向(短手方向)の寸法は、負極活物質層511bの幅より大きい。セパレータ51cは、正極活物質層511aと負極活物質層511bとが厚さ方向に重なるように幅方向に位置ずれした状態で重ね合わされた正極51aと負極51bとの間に配置される。このとき、正極51aの非被覆部(金属箔510aが露出した部位)と、負極51bの非被覆部(金属箔510bが露出した部位)とは重なっていない。即ち、正極51aの非被覆部が、正極51aと負極51bとの重なる領域から幅方向(積層方向と直交する方向)に突出し、且つ、負極51bの非被覆部が、正極51aと負極51bとの重なる領域から幅方向(正極51aの非被覆部の突出方向と反対の方向)に突出する。このような状態で積層された正極51a、負極51b、及びセパレータ51c(即ち、積層体51)が巻回されることによって、電極体5が形成される。また、本実施形態の電極体5では、正極51aの非被覆部又は負極51bの非被覆部のみが積層された部位によって、電極体5における非被覆積層部52a,52bが構成される。
非被覆積層部52a,52bは、電極体5における集電体8と導通される部位である。本実施形態の非被覆積層部52a,52bは、巻回された正極51a、負極51b、及びセパレータ51cの巻回中心軸方向から見て、中空部を挟んで二つの部位(二分された非被覆積層部52a,52b)に区分けされる(図2参照)。
以上のように構成される非被覆積層部52a,52bは、電極体5の各極に設けられる。即ち、巻回中心軸方向の一方の端部において積層された正極51aの非被覆部が電極体5における正極51aの非被覆積層部52aを構成し、巻回中心軸方向の一方の端部において積層された負極51bの非被覆部が電極体5における負極51bの非被覆積層部52bを構成する。
電流遮断機構6は、図3〜図6に示すように、受圧部60として、ケース2の内部に配置されるダイアフラムを有する。電流遮断機構6は、ダイアフラム60が所定値以上の圧力を受けたときに外部端子3と電極体5とを繋ぐ電流経路を遮断する。本実施形態の電流遮断機構6は、正極外部端子3と電極体5の正極51aとを繋ぐ電流経路を遮断する。
具体的に、電流遮断機構6は、図4〜図6に示すように、ダイアフラム60と、該ダイアフラム60と正極外部端子3とを導通させる電流遮断機構導通部61と、電流遮断機構導通部61と集電体8との間に配置されて電流遮断機構導通部61と集電体8との間を絶縁する電流遮断機構絶縁部62と、を有する。
電流遮断機構導通部61は、金属等の導電性を有する部材によって形成されている。電流遮断機構導通部61は、蓋板21に沿って広がる板状の第一基部610と、第一基部610の周縁から立ち上がる第一周壁部611と、第一周壁部611における第一基部610と反対側の端部から第一基部610と略平行に延びる第一フランジ部612と、を有する。本実施形態の第一基部610は、矩形板状であり、蓋板21の貫通穴212と重なる位置に貫通穴611aを有する。第一基部610の貫通穴611aの周縁部が、蓋板21と第二絶縁部材9(外部絶縁部材9b)と共に、正極外部端子3の頭部30と大径部31aとによってZ軸方向に挟み込まれることで、電流遮断機構導通部61と正極外部端子3とが導通する。
電流遮断機構絶縁部62は、樹脂等の絶縁性を有する部材によって構成されている。電流遮断機構絶縁部62は、第一基部610と略平行に広がる板状の第二基部620と、第二基部620の周縁から立ち上がる第二周壁部621と、第二周壁部621における第二基部620と反対側の端部から第二基部620と略平行に延びる第二フランジ部622と、を有する。第二基部620は、第一基部610と対応する矩形板状である。第二基部620は、中央に第一貫通穴620aを有すると共に、第一貫通穴620aの周囲に一つ以上(本実施形態の例では複数)の第二貫通穴620bを有する。第二基部620の第一貫通穴620aには、集電体8の一部が挿入されている。また、第二フランジ部622は、第一フランジ部612との間にダイアフラム60の周縁部を挟み込んだ状態で、第一フランジ部612と重なっている。このとき、第一フランジ部612とダイアフラム60の周縁部とは、気密状態で密着(密接)し、且つ、第二フランジ部622とダイアフラム60の周縁部とは、気密状態で密着(密接)している。
ダイアフラム60は、金属製の薄板状の部材である。ダイアフラム60の周縁部は、第一フランジ部612と第二フランジ部622とによって挟み込まれている。これにより、ダイアフラム60は、電流遮断機構導通部61と電流遮断機構62とによって包囲された空間を二つの空間Sa,Sbに隔てている。すなわち、電流遮断機構6は、電流遮断機構導通部61とダイアフラム60とによって囲まれた第一空間Saと、電流遮断機構絶縁部62とダイアフラム60とによって囲まれた第二空間Sbとを有する。
これに伴い、電流遮断機構6は、ダイアフラム(受圧部)60に圧力を作用させるための流体の流通経路であって、電極体6に向けて開放した流通経路を備える。
具体的には、第一空間Saは、正極外部端子3の非貫通状態の穴と接続穴32とを通じて外部(蓄電素子1の外部)と連通している。これにより、接続穴32は、第一空間Saの気体を逃がす逃路を構成している。これに対し、第二空間Sbは、第一貫通穴620a及び第二貫通穴620bを通じてケース2の内部空間Sと連通している。これにより、第一貫通穴620a及び第二貫通穴620bは、ダイアフラム(受圧部)60に圧力を作用させる内部空間Sの気体(ガス)を第二空間Sbに流入させる流通経路を構成している。 ダイアフラム60は、電流遮断機構絶縁部62に向けて膨出しており、最も膨出している中央部は、電流遮断機構絶縁部62の第一貫通穴620aに挿入されている集電体8の部位(一部)と接触している(図4参照)。これにより、ダイアフラム60は、集電体8と電流遮断機構導通部61とを導通させる。即ち、集電体8からダイアフラム60と電流遮断機構導通部61とを経て正極外部端子3に繋がる電流経路が形成されている。
ダイアフラム60は、ケース2の内部圧力を第一貫通穴620a及び第二貫通穴620bを通じて受圧する。そして、ダイアフラム60は、ケース2の内部圧力が第二の閾値(ガス排出弁210の作動圧である第一の閾値より低い値)以上になったときに、図5に示すように、当該ダイアフラム60の中央部が集電体8から離間し、電流遮断機構導通部61に向けて膨出した状態となる。これにより、集電体8と正極外部端子3とを繋ぐ電流経路(即ち、正極外部端子3と電極体5の正極51aとを繋ぐ電流経路)が遮断される。
第一絶縁部材7は、図2〜図5に示すように、ケース2の内部空間Sに位置する電流遮断機構6のダイアフラム60を含む少なくとも一部(本実施形態においては、電流遮断機構6全体)と、電極体5との間に位置する介在部70を有する。第一絶縁部材7は、電極体5のセパレータ51cとは別に、独立した部材としてケース2の内部空間Sに位置する。
本実施形態において、図2及び図9に示すように、第一絶縁部材7は、所定の形状に裁断された絶縁性を有するシート状の部材を折り曲げることによって袋状に形成されている。
これにより、第一絶縁部材7は、図3に示すように、電極体5全体を包囲する。本実施形態において、第一絶縁部材7は、電極体5とともに該電極体5に接続された集電体8の一部を包囲し、集電体8の電極体5の外縁から外方に延出する部分(集電体8の外部端子3,4に繋がる部分)を外側に延出させる。すなわち、第一絶縁部材7は、集電体8の外部端子3,4に繋がる部分を挿通させるスリット部71を有し、該スリット部71から集電体8の一部を外方に延在させつつ、電極体5と該電極体5に接続された集電体8の一部とを包囲する。これにより、本実施形態の第一絶縁部材7は、集電体8を躱した状態で、ケース2(詳しくはケース本体20)と電極体5との間に配置される。
これに伴い、本実施形態において、介在部70は、第一絶縁部材7全体のうちの電極体5と対向し且つ電流遮断機構6におけるダイアフラム60を含む部分と対向する領域である。
第一絶縁部材7は、当該第一絶縁部材7を境にしたケース2内の受圧部60側の領域と該受圧部60側の領域に対する反対側の領域とを通気させる通気部72を含む。本実施形態において、第一絶縁部材7は、介在部70を境にした電流遮断機構6側の領域と電極体5側の領域とを通気可能な通気部72を有する。通気部72は、介在部70又は介在部70の周辺に配置される。本実施形態において、通気部72は、図9及び図10に示すように、介在部70に位置する。通気部72は、介在部70の一部であってもよいが、ここでは介在部70の全部が通気可能とされた通気部72を構成する。すなわち、介在部70は、通気部72と兼用である。これに伴い、介在部70は、絶縁材料によって通気可能に構成される。
具体的に説明すると、本実施形態において、介在部70(通気部72)は、図10に示すように、格子状に配置された複数の線状部771を含み、メッシュ状に構成される。ここでは、介在部70(通気部72)は、第一絶縁部材7を構成するシート状の部材に対して多数の微孔770をマトリックス状に設けることで、微孔770以外の部分で格子状に配置された複数の線状部771を構成し、メッシュ状に形成される。
ここで、介在部70(通気部72)をメッシュ状に形成するための微孔770のサイズは、通気を確保できるサイズであればよく、メッシュを構成する線状部771の太さ(ここでは、シート状の部材の厚み)は、電極体5と電流遮断機構6とを電気的な絶縁を確保できる離隔距離以上に設定される。
集電体8は、ケース2内に配置され、電極体5と導通可能に直接又は間接に接続される。本実施形態の集電体8は、図2及び図3に示すように、クリップ部材80を介して電極体5と導通可能に接続される。即ち、蓄電素子1は、電極体5と集電体8とを導通可能に接続するクリップ部材80を備える。
クリップ部材80は、電極体5の非被覆積層部52a,52b(詳しくは、二分された非被覆積層部52a,52b)において積層された正極51a又は負極51bを束ねるように挟む。これにより、クリップ部材80は、非被覆積層部52a,52bにおいて積層される正極51a同士、又は負極51b同士を導通させる。
本実施形態のクリップ部材80は、板状の金属材料をX−Y面(X軸とY軸とを含む面)に沿った断面がU字状となるように曲げ加工することによって形成される。本実施形態では、電極体5の正極51aの非被覆積層部52aに二つのクリップ部材80が配置されると共に、負極51bの非被覆積層部52aに二つのクリップ部材80が配置される。
集電体8は、導電性を有する部材によって構成され、ケース2の内面に沿って配置される。本実施形態の集電体8は、外部端子3,4とクリップ部材80とを導通させる。
具体的に、集電体8は、外部端子3,4と直接又は電流遮断機構6を介して間接に導通可能に接続される第一接続部81と、電極体5と通電可能に接続される第二接続部82と、第一接続部81と第二接続部82とを接続する屈曲部83と、を有する。
集電体8では、屈曲部83がケース2内の蓋板21と短壁部201bとの境界近傍に配置され、第一接続部81が屈曲部83から蓋板21と略平行に延びると共に、第二接続部82が屈曲部83から短壁部201bと略平行に延びる。即ち、集電体8は、L字状に形成される。
第一接続部81は、ケース2(詳しくは蓋板21)と絶縁された状態でケース2(蓋板21)の内面と略平行に屈曲部83から延びる板状の部位である。図2に示すように、第一接続部81の先端部(屈曲部83と反対側の端部)には、貫通穴810が形成されている。貫通穴810は、蓋板21の貫通穴212とZ軸方向において重なる位置に設けられる。
図2、図4〜図6に示すように、正極側の第一接続部81(電極体5の正極51aと接続される集電体8における第一接続部81)では、貫通穴810の周囲が蓋板21に向けて突出している。この突出している部位(突出部)811は、電流遮断機構絶縁部62の第一貫通穴620aに嵌り込む。即ち、正極側の第一接続部81の先端部には、中心部にZ軸方向に貫通する貫通穴810を有し、且つ第二基部620の第一貫通穴620aに嵌入(挿入)される円筒状の突出部811を有する。
第二空間Sbは、第一接続部81の貫通穴810を通じてケース2の内部空間Sと連通する。第一貫通穴620aに突出部811が嵌り込んだ状態で、突出部811の先端面は、第二基部620の内面(第二空間Sbを向いた面)と面一又は、内面より第二空間Sbの側に僅かに突出している。突出部811の先端面は、ケース2の内部圧力が第二の閾値未満の状態では、ダイアフラム60(詳しくは、中央部)と接している(図4参照)。
また、正極側の第一接続部81は、電流遮断機構絶縁部62の第二貫通穴620bと重なる位置に、貫通穴812を有する。第二貫通穴620bと貫通穴812とがZ軸方向に連なった穴によっても、第二空間Sbとケース2の内部空間Sとが連通している。本実施形態の蓄電素子1では、複数の第二貫通穴620bが電流遮断機構絶縁部62に設けられているため、正極側の第一接続部81も、複数(即ち、第二貫通穴620bの数と対応する数)の貫通穴812が設けられている。
すなわち、正極側の第一接続部81は、電流遮断機構絶縁部62の第二基部620と重なって一体化することで、電流遮断機構絶縁部62と協働してダイアフラム(受圧部)60(第二空間Sb)に対する流体の流通経路を形成する。従って、本実施形態において、正極側の第一接続部81は、電流遮断機構6の一部を構成している。すなわち、電流遮断機構6は、正極側の集電体8の第一接続部81を含んでいる。
図2及び図7に示すように、負極側の第一接続部81(電極体5の負極51bと接続される集電体8における第一接続部81)では、貫通穴810のみが設けられている。そして、図7に示すように、貫通穴810の周縁部が蓋板21及び第二絶縁部材9と共に負極外部端子4の頭部40と大径部41aとの間に挟み込まれることで、負極側の第一接続部81が負極外部端子4と導通する。
図3に戻り、第二接続部82は、電極体5(本実施形態では、クリップ部材80を介して電極体5の非被覆積層部52a,52b)に導通可能に接続される。具体的に、第二接続部82は、ケース2(詳しくは短壁部201b)と絶縁された状態でケース2(短壁部201b)の内面に沿って屈曲部83から延びる。第二接続部82は、短壁部201bの近傍から非被覆積層部52a,52bに向けて延びると共に第二接続部82と同方向に延びる少なくとも一つ(本実施形態の例では二つ)の接合片820を有する。接合片820は、クリップ部材80と接合される。本実施形態の接合片820は、例えば、超音波溶接によってクリップ部材80と接合される。
以上のように構成される集電体8において、電極体5における正極51aの非被覆積層部52aの近傍に配置される正極側の集電体8は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、電極体5における負極51bの非被覆積層部52bの近傍に配置される負極側の集電体8は、例えば、銅又は銅合金によって形成される。
本実施形態において、第二絶縁部材9は、複数種類ある。具体的には、本実施形態の例では、第二絶縁部材9として、ケース2の内部に配置される内部絶縁部材9aと、ケース2の外部に配置される外部絶縁部材9bとがある。
内部絶縁部材9aは、絶縁性を有し、蓋板21と、集電体8又は電流遮断機構6とを絶縁する。内部絶縁部材9aは、正極外部端子3側では、ケース2の内部において蓋板21と電流遮断機構6との間に配置され、負極外部端子4側では、ケース2の内部において蓋板21と集電体8との間に配置される。本実施形態の内部絶縁部材9aは、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。
具体的に、図2、図4〜図7に示すように、内部絶縁部材9aは、板状の部材である。本実施形態の内部絶縁部材9aは、蓋板21の内面に沿って広がり且つX軸方向に長い矩形板状の基部90aと、基部90aの周縁からケース2の内側(蓋板21と反対側)に向けて突出すると共に周縁に沿って延びる周壁部91aと、を有する。内部絶縁部材9aでは、基部90aと周壁部91aとによって、集電体8の一部又は電流遮断機構6の一部が嵌り込む凹部が形成されている。基部90aは、蓋板21の貫通穴212とZ軸方向に重なる位置に、外部端子3,4の軸部31,41が挿通される穴92aを有する。
外部絶縁部材9bは、絶縁性を有し、蓋板21と、外部端子3,4とを絶縁する。外部絶縁部材9bは、蓋板21と外部端子3,4との間に配置される。また、外部絶縁部材9bは、蓋板21と外部端子3,4との間を封止(密閉)する。即ち、外部絶縁部材9bは、絶縁性と封止性とを有する。本実施形態の外部絶縁部材9bは、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。
具体的に、外部絶縁部材9bは、蓋板21の外面に沿って広がる基部90bと、基部90bの周縁からケース2の外側(蓋板21と反対側)に向けて突出すると共に周縁に沿って延びる周壁部91bと、基部90bにおける周壁部91bと反対側に接続される環状凸部92bと、を有する。外部絶縁部材9bでは、基部90aと周壁部91bとによって、外部端子3,4の頭部30,40が嵌り込む凹部が形成されている。
環状凸部92bは、基部90bから蓋板21の貫通穴212内に延びる筒状の部位である。環状凸部92bの内周面と基部90bの穴を画定する内周面とは連接する。環状凸部92bは、蓋板21の貫通穴212に挿通される軸部31,41と、蓋板21の貫通穴212を画定する内周面との間に隙間なく嵌り込む。これにより、環状凸部92bは、軸部31,41と蓋板21の貫通穴212を画定する内周面との間を絶縁する。また、環状凸部92bは、軸部31,41と蓋板21の貫通穴212を画定する内周面との間を封止する。
以上のように、本実施形態の蓄電素子1は、内部空間Sを画定するケース2と、ケース2の外側に配置される外部端子3,4と、内部空間Sに配置される電極体5と、圧力を受ける受圧部60(ダイアフラム60)を有し、該受圧部60を含む少なくとも一部が内部空間Sに配置され、受圧部60が所定値以上の圧力を受けたときに外部端子3,4と電極体5とを繋ぐ電流経路を遮断する電流遮断機構6と、電流遮断機構6における受圧部60を含む少なくとも一部と電極体5との間に位置する介在部70を含む第一絶縁部材(絶縁部材)7と、を備える。
上記構成によれば、第一絶縁部材7の介在部70が電流遮断機構6における受圧部60を含む少なくとも一部と電極体5との間に位置するため、振動等の影響で電極体5がケース2内で揺動しても、第一絶縁部材7の介在部70が電流遮断機構6における受圧部60を含む少なくとも一部に対して電極体5が直接接触(干渉)することを阻止する。
本実施形態において、第一絶縁部材7は、当該第一絶縁部材7を境にしたケース2内の受圧部60側の領域と該受圧部60側の領域に対する反対側の領域とを通気させる通気部72をさらに含んでいる。
これにより、第一絶縁部材7を境にしたケース2内の受圧部60側の領域と該受圧部60側の領域に対する反対側の領域とが通気部72を介して流体的に通じるため、ケース2の内部空間Sが圧力上昇したときに、第一絶縁部材7を境にしたケース2内の受圧部60側の領域と該受圧部60側の領域に対する反対側の領域とが通気部72を介して同圧になる。
従って、第一絶縁部材7が電流遮断機構6における受圧部60を含む少なくとも一部(受圧部60に圧力を作用させるために流体を通過させる流通経路であって、電極体5に向けて開放した流通経路を含む部分)に押し付けられることが防止され、電流遮断機構6の受圧部60が適正に圧力を受けることができる。
本実施形態において、通気部72は、介在部70に位置しているため、電極体5と受圧部60との間に位置する介在部70において、ケース2内の受圧部60側の領域と該受圧部60側の領域に対する反対側の領域(電極体5側の領域)とが流体的に通じる。これにより、ケース2の内部空間Sが圧力上昇したときに、第一絶縁部材7の介在部70を境にしたケース2内の受圧部60側の領域と該受圧部60側の領域に対する反対側の領域(電極体5側の領域)とが通気部72を介して同圧になる。
従って、第一絶縁部材7の介在部70が電流遮断機構6における受圧部60を含む少なくとも一部に押し付けられることが防止され、電流遮断機構6の受圧部60が適正に圧力を受けることができる。
特に、通気部72は、格子状に配置された複数の線状部771によってメッシュ状に構成されるため、第一絶縁部材7(介在部70)を境にしたケース2内の電極体5側と受圧部60側との連通性(通気性)が十分に得られる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記実施形態において、ケース2の外部端子3,4が配置される壁部は、蓋板21であるが、この構成に限定されない。例えば、外部端子3,4は、長壁部201aに配置されてもよく、短壁部201bに配置されてもよく、閉塞部200に配置されてもよい。即ち、外部端子3,4は、ケース2において平面状に広がる部位に配置されていればよい。
上記実施形態において、電極体5は、巻芯50を有していたが、電極体5は、巻芯50を有さなくてもよい。すなわち、電極体5は、巻芯50を有さない状態で正極51a及び負極51bが巻回されてもよい。また、電極体5は、正極51a及び負極51bがセパレータ51cを介して積層された状態で巻回されている、いわゆる巻回型の電極体5であるが、枚葉状の正極51a及び負極51bがセパレータ51cを介して積層された、いわゆる積層型の電極体5であってもよい。
また、上記実施形態において、蓄電素子1が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子1の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態において、蓄電素子1の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子1にも適用可能である。
蓄電素子1(例えば電池)は、蓄電装置(蓄電素子1が電池の場合は電池モジュール)に用いられてもよい。蓄電装置は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子1に適用されていればよい。
電流遮断機構6の具体的な構成は、限定されない。例えば、上記実施形態の電流遮断機構6は、受圧部60にダイアフラム60を用い、ダイアフラム60を電流経路の一部とする構成であるが、この構成に限定されない。電流遮断機構6は、ダイアフラム60を用いない構成でもよい。即ち、電流遮断機構6は、ケース2の内部圧力を受ける受圧部60が第二の閾値以上の圧力を受けたときに、外部端子3,4と電極体5とを繋ぐ電流経路を遮断する構成であればよい。
また、電流遮断機構6は、受圧部60(ダイアフラム60)が電流経路を直接的に遮断するものに限定されない。例えば、電流遮断機構6は、ケース2内で電極体5と対向する位置に配置された受圧部60と、外部端子3,4と集電体8とを繋ぐ電流経路上に配置され、且つ受圧部60が圧力を受けて変位したとき電流経路を遮断するヒューズとを備えたものであってもよい。
また、電流遮断機構6は、全体をケース2内に位置させたものに限定されない。例えば、電流遮断機構6は、受圧部60を含む一部をケース2の内部空間Sの電極体5と直接的又は間接的に対峙する位置に位置させるとともに、受圧部60を含む一部以外の部分を電極体5からずれた位置(ケース2の外側或いは内部空間Sに電極体5に対して直接的又は間接的に対峙しない位置)に位置させたものであってもよい。
上記実施形態において、電極体5全体を覆う第一絶縁部材7の一部が介在部70とされたが、これに限定されない。すなわち、第一絶縁部材7は、電極体5全体を覆うものに限定されない。例えば、第一絶縁部材7は、ケース2の内部空間S内に位置する電流遮断機構6の少なくとも一部であって、電流遮断機構6の一部を構成する受圧部60を含む部分と、電極体5との間にのみ配置されるように構成され、当該第一絶縁部材7そのものが介在部70とされてもよい。
上記実施形態の蓄電素子1では、電流遮断機構6は、正極外部端子3と電極体5の正極51aとを繋ぐ電流経路を遮断するが、この構成に限定されない。電流遮断機構6は、負極外部端子4と電極体5の負極51bとを繋ぐ電流経路を遮断する構成でもよい。この場合、第一絶縁部材7(介在部70)は、負極外部端子4と電極体5の負極51bとを繋ぐ電流経路を遮断する電流遮断機構6と電極体5との間に位置するように配置されることは勿論である。
また、電流遮断機構6は、正極外部端子3と電極体5の正極51aとを繋ぐ電流経路と、負極外部端子4と電極体5の負極51bとを繋ぐ電流経路とのそれぞれの電流経路を遮断する構成でもよい。即ち、電流遮断機構6は、正極外部端子3と電極体5の正極51aとを繋ぐ電流経路と、負極外部端子4と電極体5の負極51bとを繋ぐ電流経路とのそれぞれの電流経路に配置されてもよい。
この場合、負極外部端子4と電極体5の負極51bとを繋ぐ電流経路を遮断する電流遮断機構6と電極体5との間、及び正極外部端子3と電極体5の正極51aとを繋ぐ電流経路を遮断する電流遮断機構6と電極体5との間に位置する二つの介在部70を単一の絶縁部材に設けてもよい。
また、第一絶縁部材7そのものが介在部70を構成する場合、二つの第一絶縁部材7(介在部70)が、負極外部端子4と電極体5の負極51bとを繋ぐ電流経路を遮断する電流遮断機構6と電極体5との間、及び正極外部端子3と電極体5の正極51aとを繋ぐ電流経路を遮断する電流遮断機構6と電極体5との間のそれぞれに配置されてもよい。
上記実施形態において、第一絶縁部材7が通気可能な通気部72を備えたが、これに限定されない。例えば、介在部70を含めて第一絶縁部材7全体が通気性のない素材で構成されてもよい。このようにしても、第一絶縁部材7の介在部70が電流遮断機構6における受圧部60を含む少なくとも一部と電極体5との間に位置するため、振動等の影響で電極体5がケース2内で揺動しても、第一絶縁部材7の介在部70が電流遮断機構6における受圧部60を含む少なくとも一部に対して電極体5が直接接触(干渉)することを阻止する。
上記実施形態において、通気部72は、シート状の部材に複数の微孔770を設けることでメッシュ状に形成されたが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、通気部72は、格子状に配置される複数の線状部771のそれぞれを、絶縁性を有する線材(例えば、樹脂繊維)で構成したメッシュ(繊維を格子状に編み込んだ網)で構成されてもよい。この場合において、メッシュを構成する線材の太さは、電極体5と電流遮断機構6との電気絶縁性を確保できる離隔距離以上の太さにされること好ましいことは言うまでもない。
また、通気部72がメッシュで構成される場合、通気部72は、一層のメッシュで構成されるものに限定されない。例えば、通気部72は、それぞれが格子状に配置された複数の線状部771を含むメッシュであって、互いに重ね合わされた少なくとも二層のメッシュを含み、重ね合わせ方向において隣り合うメッシュの線状部771の交点同士が不一致であってもよい。
このようにすれば、第二絶縁部材7(介在部70)を境にしたケース2内の電極体5側と受圧部60側との連通性が十分に得られる。その上、二層のメッシュの線状部771の交点が不一致にされることで、一方のメッシュ(格子状に配置された複数の線材)の開口に対し、他方のメッシュ(格子状に配置された複数の線材の交点)が重なるため、例えば、電流遮断機構6の作動で発生する可能性のある粉塵(鉄粉等)が通気部72(メッシュの開口)を通過することが他のメッシュの線材によって阻止される。
上記実施形態において、通気部72は、第一絶縁部材7を構成するシート状の部材に複数の微孔770をマトリックス状に設けられたが、これに限定されない。例えば、通気部72は、第一絶縁部材7を構成するシート状の部材に複数の微孔770をランダムに設けたものであってもよい。
上記実施形態において、通気部72が介在部70全体に設けられたが、これに限定されない。例えば、通気部72は、介在部70の一部に設けられてもよい。
上記実施形態において、第一絶縁部材7がシート状の部材を折り曲げて袋状に形成されるに伴い、介在部70の第一面及び第二面が平坦に形成されたが、これに限定されない。例えば、第一絶縁部材7の介在部70の第一面(電流遮断機構6と対向する面)が凹凸面にされてもよい。このようにすれば、ケース2内の内部圧力の上昇に伴って、第一絶縁部材7(介在部70)が電流遮断機構6側に押されたとしても、第一絶縁部材7(介在部70)が電流遮断機構6の受圧部60を含む部分と密接することがない。すなわち、凹凸面を構成する凸部が電流遮断機構6の受圧部60を含む部分と当接し、凹凸面を構成する凹部がガスの流通経路を確保する。従って、受圧部60にケース2内の圧力が作用し易くなる。
上記実施形態において、第一絶縁部材7のうちの介在部70のみを通気部72にしたが、これに限定されない。例えば、図12に示すように、電流遮断機構6の取り付けられるケース2の内面(一面)と対向する全領域を通気部72としてもよい。このようにすれば、通気可能な領域が広くなる上に、通気部72の一部に介在部70が含まれるため、電流遮断機構6と電極体5との干渉を防止しつつ、受圧部60に対してケース2の内部圧力をより確実に作用させることができる。
また、図13に示すように、電流遮断機構6の取り付けられるケース2の内面(一面)と対向する領域のうち、電流遮断機構6と電極体5との間に位置する介在部70と、介在部70に対して離れた領域とのそれぞれに通気部72を設けてもよい。
これらの場合、通気部72を兼用する介在部70と、介在部70以外の通気部72との厚みを異ならせてもよい。すなわち、介在部70は、電流遮断機構6と電極体5との干渉を防止する部分であるため、通気部72を兼用する介在部70の厚みを、介在部70以外の通気部72の厚みよりも厚くしてもよい。
上記実施形態において、第一絶縁部材7がシート状の部材を折り曲げることで袋状に形成されたことに伴い、通気部72に兼用される介在部70とその周辺との厚みが同一とされたが、これに限定されない。例えば、通気部72が介在部70に位置する場合、介在部70(通気部72)の周囲の厚みを、介在部70(通気部72)よりも厚くしてもよい。すなわち、図14及び図15に示すように、第一絶縁部材7は、電流遮断機構6と対向する面上に設けられた立壁73であって、介在部70(通気部72)の少なくとも一部(好ましくは、全部)を取り囲む立壁73を備えてもよい。
このようにすれば、ケース2内において、袋状にされた第一絶縁部材7内で発生するガスが通気部72を介して第一絶縁部材7の外側に出るときに、そのガスが通気部72の周辺に拡散することを防止できる。すなわち、第一絶縁部材7内で発生するガスが通気部72を介して第一絶縁部材7の外側に出るときに、そのガスが立壁73によって電流遮断機構6の受圧部60に誘導される。従って、受圧部60に対して発生したガス圧を適確に作用させることができ、電流遮断機構6を精度よく作動させることができる。
上記実施形態において、通気部72が介在部70に設けられたが、これに限定されない。例えば、図16に示すように、通気部72は、第一絶縁部材7における介在部70以外の部分に設けられてもよい。
すなわち、ケース2内の内部圧力の上昇は、第一絶縁部材7に包囲された領域内にある電極体5の充放電に伴って発生するガス圧によるため、第一絶縁部材7が電極体5全体を包囲する場合、第一絶縁部材7に包囲された領域内で発生するガスを、第一絶縁部材7の外側の領域に流通させることができるように、通気部72は、第一絶縁部材7に包囲された空間と第一絶縁部材7の外側の空間とを連通させれば、その配置は適宜変更可能である。但し、電流遮断機構6の受圧部60に対して上昇する内部圧力を迅速に作用させるには、受圧部60を含む部分と対向する介在部70又は介在部70近傍に通気部72を設けることが好ましいことは言うまでものない。
第一絶縁部材7の介在部70は、図17に示すように、非多孔質であってもよい。すなわち、第一絶縁部材7の介在部70は、全体的に中実にされ、内部空間Sにおける電極体5側と電流遮断機構6側とを通気不能に構成されてもよい。このようにすれば、電流遮断機構6(受圧部60)の作動によって粉塵(鉄粉等)が発生したとしても、介在部70が粉塵(鉄粉等)の電極体側への移動を阻止する。これにより、電流遮断機構6が作動したときに、電流遮断機構6の作動によって発生した粉塵が電極体5内に侵入して該電極体5を短絡させてしまうことを抑制できる。
この場合においても、第一絶縁部材7は、電流遮断機構6と対向する面上に設けられた立壁73であって、介在部70の少なくとも一部(好ましくは、全部)を取り囲む立壁73を備えてもよい。このように、介在部70が非多孔質にされるとともに、介在部70の少なくとも一部を取り囲む立壁73を備える場合、立壁73に通気部72が設けられてもよい。このようにすれば、第一絶縁部材7(立壁73)を境にしたケース2内の受圧部60側の領域と該受圧部60側の領域に対する反対側の領域とが通気部72を介して流体的に通じるため、ケース2の内部空間Sが圧力上昇したときに、第一絶縁部材7(立壁73)を境にしたケース2内の受圧部60側の領域と該受圧部60側の領域に対する反対側の領域とが通気部72を介して同圧になる。従って、粉塵が電極体5側へ移動することを抑制しつつ、受圧部60に対してケース2の内部圧力をより確実に作用させることができる。