JP2014022218A - 蓄電装置 - Google Patents

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貴之 弘瀬
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Abstract

【課題】 蓄電装置の電流遮断装置の作動精度を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】 本明細書は蓄電装置を開示する。その蓄電装置は、ケースと、ケース内に収容された電極組立体と、ケースの壁に固定された電極端子と、を備えている。その蓄電装置は、電極組立体と電極端子との間に形成された通電経路を備えている。その蓄電装置は、ケース内の圧力が電流遮断圧力値未満のときは、通電経路を電流が流れる状態とし、ケース内の圧力が電流遮断圧力値以上のときは、通電経路を電流が流れない状態とする電流遮断装置を備えている。その蓄電装置は、ケースの内側と外側との間でガスを通過させるガス通過部を備えている。その蓄電装置では、ガス通過部は、ケース内に発生するガス量に応じてガスを通過させる。
【選択図】図1

Description

本明細書に開示の技術は、電流遮断装置を備えた蓄電装置に関する。
蓄電装置は、充電によって電気を蓄え、蓄えた電気によって電動機器を駆動する。例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車には、蓄電装置が搭載され、モータの駆動に利用されている。特許文献1には、電流遮断装置を搭載した蓄電装置が開示されている。この蓄電装置は、外装容器と、外装容器に挿入された、正極、セパレータ、負極とからなる電極群を備えている。電極群は電解液に浸漬されている。この蓄電装置は、電流遮断装置を備えている。電流遮断装置は、異常時に電解液からガスが発生して蓄電装置内の圧力が設定値以上になると作動する。電流遮断装置が作動すると電池端子と電極群との通電が遮断される。
特開平7−254401号公報
電極群がケース内に気密に収容された蓄電装置では、異常時のガスが発生し始めてから電流遮断装置が作動するまでの時間は、ガス発生前のケース内の圧力によって変動する。すなわち、ガス発生前のケース内の圧力が高いと電流遮断装置が作動するまでの時間が短く、ガス発生前のケース内の圧力が高いと電流遮断装置が作動するまでの時間が長くなる。従って、電流遮断装置を備えた蓄電装置では、電流遮断装置の作動精度を高めるためには、異常が発生する前の状態で、ケース内の圧力が一定に保たれていることが望ましい。
ところが、蓄電装置では、通常使用時であっても充電・放電によって電極群から微量なガスが発生することがある。特許文献1の蓄電装置では、電極群および電解液が外装容器内に気密に収容されている。このため、通常使用時に発生したガスがケース内に蓄積し、異常が発生する前の状態で、ケース内の圧力が変動することがある。
本明細書は上記課題を解決する技術を提供する。本明細書は蓄電装置に搭載された電流遮断装置の作動精度を向上させることが可能な技術を提供する。
本明細書は蓄電装置を開示する。その蓄電装置は、ケースと、ケース内に収容された電極組立体と、ケースの壁に固定された電極端子と、電極組立体と電極端子との間に形成された通電経路と、を備えている。その蓄電装置は、ケース内の圧力が電流遮断圧力値未満のときは、通電経路を電流が流れる状態とし、ケース内の圧力が電流遮断圧力値以上のときは、通電経路を電流が流れない状態とする電流遮断装置を備えている。その蓄電装置は、ケースの壁に設けられ、ケースの内側と外側との間でガスを通過させるガス通過部と、を備えている。その蓄電装置では、ガス通過部は、ケース内に発生するガス量に応じてガスを通過させる。
上記の蓄電装置では、電極組立体を収容するケースにガス通過部が設けられている。このため、通常使用時にガスが発生しても、発生するガスは微量であるため。そのほとんどをガス通過部からケース外に流出させてケース内の圧力変動を抑制することができる。一方、ガス通過部のガス透過性によって、異常時に発生するガスのケース外への流出が規制され、ケース内の圧力が電流遮断圧力値以上となり、電流遮断装置が作動する。
本明細書が開示する蓄電装置によれば、蓄電装置の通常使用時でのケース内の圧力の上昇を抑制し、電流遮断装置の作動精度を向上することができる。
第1実施例の蓄電装置の全体の構成を示す断面図 ケース内の圧力が低い場合の電流遮断装置の構成を示す部分断面図 ケース内の圧力が高い場合の電流遮断装置の構成を示す部分断面図 第1実施例のガス通過部の構成を示す部分断面図 第2実施例のガス通過部の構成を示す部分断面図 第3実施例のガス通過部の構成を示す部分断面図 第3実施例のガス通過部の構成を示す部分断面図 第4実施例のガス通過部の構成を示す部分断面図 第4実施例のガス通過部の構成を示す部分断面図 第4実施例のガス通過部の構成を示す部分断面図
以下、本明細書で開示する実施例の技術的特徴の幾つかを記す。なお、以下に記す事項は、各々単独で技術的な有用性を有している。
(特徴1)
本明細書で開示する蓄電装置では、ガス通過部は、ケースの壁に設けられてケースの内側と外側とを連通するケース開口部を備えていてもよい。また、ケース開口部を覆うガス透過性樹脂製のフィルターを備えていてもよい。
上記の蓄電装置では、ケース内のガスを、ガス透過性樹脂製のフィルターによって流出量を制限しながら、ケース外に流出させることができる。このため、通常使用時のケース内の圧力の変動を抑制することができる。一方、異常時には、ケース内の圧力を上昇させ、電流遮断装置を作動させることができる。
(特徴2)
本明細書で開示する蓄電装置では、樹脂製のフィルターの表面には、ガスの透過を制限する塗料を塗布された塗装部と、塗料を塗布されていない非塗装部と、が形成されていてもよい。その蓄電装置では、非塗装部の面積は、ケース開口部の面積よりも小さくてもよい。
上記の蓄電装置では、非塗装部の面積を変更することで、ガス通過部のガス透過性を容易に調整することができる。
(特徴3)
本明細書で開示する蓄電装置では、ガス通過部は、ケースの壁に設けられてケースの内側と外側とを連通するケース開口部を備えていてもよい。その蓄電装置では、ガス通過部は、ケース開口部を閉じる第1位置と、ケース開口部を開く第2位置の間を移動可能な弁体を備えていてもよい。その蓄電装置では、ガス通過部は、弁体を第1位置側に付勢する弾性体と、を備えていてもよい。その蓄電装置では、ケース内の圧力が、電流遮断圧力値より低い通常値未満のときは、弾性体の付勢力によって弁体が第1位置に位置し、ケース内の圧力が通常値以上のときは、ケース内のガスから弁体に作用する力によって弁体が第2位置に位置してもよい。
上記の蓄電装置では、ケース内の圧力が通常値以上となると、ケース開口部からケース内のガスをケース外に流出させることができる。このため、通常使用時のケース内の圧力を通常値以下に抑制することができる。これにより、電流遮断装置の作動精度を向上することができる。
(特徴4)
本明細書で開示する蓄電装置では、ケースには、ガス透過部が配置される位置に、第1当接面、及び第2当接面が形成されていてもよい。その蓄電装置では、ガス通過部は、ケースの壁に設けられてケースの内側と外側とを連通するケース開口部を備えていてもよい。その蓄電装置では、ガス通過部は、第1当接面に当接する第1当接位置と、第2当接面に当接する第2当接位置との間を移動可能な弁体を備えていてもよい。その蓄電装置では、ガス通過部は、弁体を第1当接位置側に付勢する弾性体を備えていてもよい。その蓄電装置では、ケース内の圧力について、電流遮断圧力値より低い通常値と、電流遮断圧力値より低く、かつ、通常値より高い作動値と、を設定したとき、ケース内の圧力が通常値未満のときは、弾性体の付勢力によって弁体が第1当接位置に位置して弁体がケース開口部を閉じてもよい。その蓄電装置では、ケース内の圧力が、通常値以上であり、かつ、作動値未満のときは、ケース内のガスから弁体に作用する力によって弁体が第1当接位置と第2当接位置の間に位置して弁体がケース開口部を開いてもよい。その蓄電装置では、ケース内の圧力が作動値以上のときは、ケース内のガスから弁体に作用する力によって弁体が第2当接位置に位置して弁体がケース開口部を閉じてもよい。
上記の蓄電装置では、ケース内の圧力が通常値より大きい作動値以上となるとケース開口部が閉じられ、ケース内のガスのケース外への流出が禁止される。このため、異常時にはケース内の圧力の上昇を促進することができる。これにより、電流遮断装置の作動精度を向上することができる。
第1実施例の蓄電装置10は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池である。蓄電装置10は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載されて、モータに電力を供給する。また、蓄電装置10は、モータが回生発電した電力によって充電される。
図1に示すように、蓄電装置10は、ケース20と、ケース20内に収容された電極組立体30と、ケース20に固定された負極及び正極の電極端子520a、520bとを有する。ケース20は、金属製であり、略直方体形状である。ケース20の内部空間220には、電極組立体30と電流遮断装置400が収容されている。
正極端子520bは、ボルト522bと、内側ナット524bと、外側ナット526bを備えている。正極端子520bが配置される位置において、ケース20の上端面には貫通孔250bが形成されている。貫通孔250bには、絶縁性のガスケット528bが取り付けられている。内側ナット524bは、ガスケット528bに取り付けられている。ボルト522bは、シール座金530bを介して、内側ナット524bに締結されている。内側ナット524bは、導電部材518によって電流遮断装置400と接続されている。なお、正極端子520bの外側ナット526bは、正極端子520bと図示しない配線部材との結線に用いられる。
負極端子520aは、ボルト522aと、内側ナット524aと、外側ナット526aを備えている。負極端子520aが配置される位置において、ケース20の上端面には貫通孔250aが形成されている。貫通孔250aには、絶縁性のガスケット528aが取り付けられている。内側ナット524aは、ガスケット528aに取り付けられている。ボルト522aは、シール座金530aを介して、内側ナット524aに締結されている。なお、負極端子520aの外側ナット526aは、負極端子520aと図示しない配線部材との結線に用いられる。
電極組立体30は、正極シートと、負極シートと、正極シートと負極シートの間に介在しているセパレータを備えている。正極シートと負極シートは、集電体と、集電体上に形成されている活物質層を有する。負極シートの上端部には集電タブ502が、正極シートの上端部には集電タブ504が形成されている。負極側の集電タブ502は、負極端子520aに接続されている。集電タブ502から導電部材512、負極端子520aの順に接続され通電経路を形成している。正極側の集電タブ504は、電流遮断装置400を介して正極端子520bに接続されている。集電タブ504から導電部材514、電流遮断装置400、導電部材518、正極端子520bの順に接続され通電経路を形成している。後に詳述するように、電流遮断装置400はこの通電経路を遮断可能である。
電極組立体30には、液状の電解質が含浸されている。電解質には、芳香族系のモノマー添加剤が含まれている。異常時に電極組立体30に過電圧が加わると、電解質に含まれるモノマー添加剤が重合し、水素ガスが発生する。これによって、ケース20の内部空間220の圧力を上昇させる。また、蓄電装置10を通常の状態で充電・放電する場合でも、微量な炭化水素ガスや二酸化炭素ガスが発生する。
図2に示すように、電流遮断装置400は、ケース20と導電部材516を機械的に固定する絶縁性の支持部材440と、支持部材440に支持される導電性の隔壁420を備えている。隔壁420には導電部材518が接続され、正極端子520bと導通している。導電部材516は隔壁420の下側で支持部材440に支持されている。導電部材516と隔壁420は支持部材440によって絶縁されている。導電部材516には導電部材514が接続され、正極側の集電タブ504と導通している。
隔壁420は、下側をケース20内の内部空間220に面し、上側をケース20内の内部空間220と隔離された空間230に面している。隔壁420は、ケース20の内圧に応じて、図2のように下方に膨出した状態と、図3のように上方に膨出した状態の間で変形可能である。図2のように隔壁420が下方に膨出した状態では、隔壁420の下方に膨出した部分が導電部材516に形成された開口の縁と当接し、隔壁420と導電部材516は導通する。この場合は、正極端子520bと正極側の集電タブ504との間に通電経路が形成される。図3のように隔壁420が上方に膨出した状態では、隔壁420が導電部材516から離間して、導電部材516と導電部材518が電気的に絶縁する。この場合は、正極端子520bと正極側の集電タブ504との間の通電経路は遮断される。
電流遮断装置400は、ケース20内の圧力が電流遮断圧力値未満の場合には、図2に示すように下側に膨出する。この場合、正極端子520bと正極側の集電タブ504との間に通電経路が形成される。一方、ケース20内の圧力が電流遮断圧力値以上の場合には、図3に示すように上側に膨出する。この場合、正極端子520bと正極側の集電タブ504との間の通電経路は遮断される。電流遮断装置400は、内圧検知型の電流遮断装置ということができる。なお、ケース20の上側の壁には、破断式の安全弁210が設けられている。破断式の安全弁210の破断圧力は、電流遮断圧力値よりも高く設定されている。
図1に示すように、ケース20の上端部の壁にはガス通過部70が設けられている。図4に示すように、ガス通過部70が設けられる位置で、ケース20には開口部240が設けられている。ガス通過部70は、樹脂フィルター702を有している。樹脂フィルター702は、ガス透過性を持つ樹脂によって形成された円板状のフィルターであり、開口部240を閉じている。ガス透過性を持つ樹脂としては、例えば、二置換アセチレンポリマーやポリイミド等を用いることができる。これらの材質は電界液や水などの液体は透過しない一方、炭化水素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガス、等の気体は透過する。
樹脂フィルター702は、開口部240の座繰り部242の底面に配置され、ワッシャ780を介してボルト760でケース20に締結されている。樹脂フィルター702と座繰り部242の底面は密着して気密に保たれている。ワッシャ780には開口部240と同径の孔部782が設けられている。
ガス通過部70は、ケース20内の圧力が高くなった場合には、樹脂フィルター702を通じてケース20内のガスを流出させる。樹脂フィルター702の単位時間内のガス透過量は、例えば、フィルターの材質、厚さ、気体に接する面積等によって決まる。なお、樹脂フィルター702が気体に接する面積は、開口部240の面積と等しい(図4)。
蓄電装置10は、通常の使用時の単位時間内でのガス発生量は小さい。一方、異常時の単位時間内でのガス発生量は大きい。本実施例の蓄電装置10では、樹脂フィルター702の単位時間当たりに透過可能なガス透過量(以下、単に単位時間当たりのガス透過量ということがある)が、通常の使用時のガス発生量より大きく、異常時のガス発生量より小さくなるよう設定されている。具体的には、蓄電装置10の仕様に応じて、樹脂フィルター702の材質、厚さ、気体に接する面積が適宜選定されている。また、樹脂フィルター702の単位時間当たりのガス透過量は、異常時のガス発生量より小さく、かつ、異常時に電流遮断装置が所定の目標時間内に作動する値以下に設定されている。
蓄電装置10では、通常の使用時における単位時間当たりのガス発生量は、樹脂フィルター702の単位時間当たりのガス透過量よりも小さい。このため、蓄電装置10は、発生したガス量の大部分をケース20外に流出させることができる。従って、ケース20内の圧力の変動を抑制することができる。一方、異常時における単位時間当たりのガス発生量は、樹脂フィルター702の単位時間当たりのガス透過量よりも大きい。このため、蓄電装置10では、発生したガスがケース20内に蓄積し、ケース20内の圧力を上昇させることができる。これにより、電流遮断装置400の作動が妨げられ難い。以上により、本実施例の蓄電装置10では、電流遮断装置400の作動精度を向上することができる。なお、樹脂フィルター702は、ガスを透過可能な多孔質やメッシュ等であってもよい。
通常使用時や異常時のガス発生量は蓄電装置10の仕様毎に異なる。このため、樹脂フィルター702の単位時間当たりのガス透過量は、蓄電装置10の仕様毎に適切に設定することが望ましい。
図5に示すように、第2実施例の蓄電装置10では、樹脂フィルター702の表面に塗料720が塗布されている。塗料720が塗布されている部分が塗装部721であり、塗布されていない部分が非塗装部722である。非塗装部722の面積は、開口部240の面積よりも小さい。塗料720はガスを透過し難い塗料である。ガスを透過し難い塗料720としては、例えば、エポキシ樹脂系や塩化ビニル樹脂系の塗料を用いることができる。第2実施例の蓄電装置10では、非塗装部722の面積を変更することにより樹脂フィルター702のうちのガスが透過する面積を変更することができる。このため、開口部240の面積や、樹脂フィルター702の厚さ等の変更を必要とせずにガス透過量を調整することができる。従って、ガス透過量の設定を簡単に行うことができる。
図6に示すように、第3実施例の蓄電装置10では、ガス通過部80は、ケース20に設けられた図6の上から見て円形の開口部280と、開口部280が設けられた位置に配置されたガス流量制限機構81とを備えている。ガス流量制限機構81は、筒状の支持部材830を備える。筒状の支持部材830の上端はケース20の内面に固定されている。支持部材830は下端に底板831を有する。支持部材830の底板831には、通気口832が設けられている。
ガス流量制限機構81は、図6の上から見て円形の板状である板状弁体802を備えている。板状弁体802は開口部280と同心に配置されている。板状弁体802の直径は、開口部280の直径より大きい。板状弁体802の下面の外縁部である下面803と、開口部280辺縁のケース20の上側の面281とは当接している。板状弁体802の下側の中央の面806は、ケース20内の空間に面しており、ケース20内の圧力を受けている。面806の受圧面積は開口部280の面積と等しい。
ガス流量制限機構81は、弾性体820を備えている。弾性体820の下端は支持部材830の底板831に固定され、上端は板状弁体802に固定されている。弾性体820は、その下端と上端とを引き伸ばされた状態で支持部材830と板状弁体802に固定されている。このため、弾性体820は、蓄電装置10の通常使用時には、下面803をケース20の上側の面281に押し付けている。下面803と面281とが当接することで、開口部280が密閉される。
ケース20の外面には筒状の部材である支持部材810の下端部が固定されている。支持部材810と支持部材830とは同軸に配置されている。支持部材810は上端部に板状のストッパー813を有する。ストッパーの下面は、板状弁体802の上面と向き合っている。支持部材810の側面には通気口812が設けられている。
ケース20内の圧力が大気圧と略同一の場合、具体的にはケース20内の圧力が通常値としての第1設定値P1未満の場合は、板状弁体802の下面803とケース20の上側の面281とが当接している。このとき、開口部280は密閉されている(図6)。第1設定値P1は、電流遮断圧力値より小さい値である。
通常使用時であり、かつ、ケース20内の圧力が第1設定値P1以上の状態を図7に示す。ケース20内の圧力が第1設定値P1以上になると、面806に受けている圧力による力によって板状弁体802は上方向に移動する。このとき、弾性体820は板状弁体802によって引き伸ばされる。板状弁体802の移動により、下面803とケース20の上側の面281との間には隙間が形成される。板状弁体802がストッパー813の位置まで移動すると、板状弁体802はストッパー813に当接して止まる。このとき、下面803とケース20の上側の面281の間隙が最大になる。ガスがこの間隙から流出することができる最大の量が、ガス通過部80の単位時間当たりのガス透過量である。下面803とケース20の上側の面281の間隙の最大値は、この隙間を単位時間にガスが透過可能な最大の量が、通常時のガス発生量以上で、かつ、異常時のガス発生量より小さくなるように、予め設定されている。ケース20内のガスは、下面803と面281の間隙からケース20外に流出する。詳しくは、ガスは、通気口832、下面803と面281の間隙、通気口812の順に通過する。
通常使用時では、ガス発生量は下面803と面281の間隙から流出可能な最大のガス透過量以下であるため、ケース20内の圧力は上昇し難い。このため、本実施例の蓄電装置10では、通常使用時でのケース20内の圧力を第1設定値P1以下に抑制することができる。これにより、電流遮断装置400の作動精度を向上することができる。なお、第1設定値P1は、電流遮断圧力値より小さい値に予め調整される。第1設定値P1は、例えば、弾性体820のバネ定数と面806の受圧面積によって調整される。
異常時にガスが発生した場合も、通常時と同様に板状弁体802は上方に移動する(図7)。下面803と面281との間に隙間が形成され、ケース20内のガスは流出する。しかし、異常時では、ガス発生量はガス通過部80の単位時間当たりのガス透過量より大きい。このため、ガスがケース20内に蓄積し、ケース20内の圧力は上昇する。ケース20内の圧力が電流遮断装置400の作動圧力を超えると電流遮断装置400が作動する。
下面803とケース20の上側の面281の間隙の最大値は、ストッパー813の上下方向の位置を調整して設定してもよい。また、弾性体820のバネ定数を調整することで、ストッパー813に当接しない状態での板状弁体802の移動量を調節してもよい。本実施例では、板状弁体802が開口部280を閉じている位置が、請求項でいう「第1位置」の一例であり、異常時に下面803と面281の間隙が最大となる位置が、請求項でいう「第2位置」の一例である。
第4実施例のガス通過部90は、ケース20に設けられた開口部280と、開口部280が設けられた位置に配置されたガス流量制限機構91とを備えている(図8)。ガス流量制限機構91は、第3実施例と同様の支持部材830と、弾性体820を備えている。ガス流量制限機構91は、筒状弁体950を備えている。筒状弁体950は、筒状の本体部956を有する。本体部956の上端と下端には、それぞれ円板状の上板部952と下板部954が形成されている。筒状弁体950は、本体部956が開口部280の内側に位置するように配置されている。筒状弁体950が配置された状態で、上板部952の下側の外縁部の面953はケース20の上側の面281と対向し、下板部954の上面955はケース20の下面282と対向している。上板部952の下側の中央部の面957はケース20内の空間に面している。
弾性体820は、引き伸ばされた状態で支持部材830と筒状弁体950との間に配置されている。弾性体820はその下端と上端をそれぞれ支持部材830の底板831と、筒状弁体950の下端とに固定されている。弾性体820は、筒状弁体950を常に下側に押し付けている。筒状弁体950は、上下方向に移動することで第1当接位置と第2当接位置に位置することができる。第1当接位置は、筒状弁体950の面953がケース20の上側の面281に当接して開口部280を封止する位置である。第2当接位置は、筒状弁体950が第1位置より上方向に移動し、筒状弁体950の上面955がケース20の下面282に当接して開口部280を封止する位置である。
ケース20内の圧力が大気圧と略同一である場合、具体的にはケース20内の圧力が第1設定値P1未満の場合は、筒状弁体950は第1当接位置にある。このとき、面953とケース20の上側の面281とが当接し開口部280は密閉される(図8)。通常使用時にガスが発生すると、ケース20内の圧力が上昇する。ケース20内の圧力が第1設定値P1以上のときは、筒状弁体950は弾性体820を引き伸ばしつつ上方向に移動する(図9)。第1設定値P1は、電流遮断圧力値より低い値である。筒状弁体950が第1当接位置から上方に移動して、第1当接位置と第2当接位置の中間にあるとき、面953とケース20の上側の面281との間と、上面955とケースの下面282との間の両方に隙間が形成されている。この場合、ケース20内のガスはケース20外に流出する。このため、ケース20内の圧力は大気圧に近づく。このため、本実施例の蓄電装置10では、通常使用時でのケース20内の圧力を第1設定値P1以下に抑制することができる。これにより、電流遮断装置400の作動精度を向上することができる。
異常時には、通常使用時と比較して非常に大量のガスが発生する。このため、異常時では、ケース内の圧力は、第1設定値P1を超えて上昇する。ケース20内の圧力が作動値としての第2設定値P2を超えると、筒状弁体950は第2当接位置に位置する。第2当接位置では、上面955とケースの下面282とが当接し、開口部280が筒状弁体950により密閉される(図10)。開口部280が密閉されると、異常時のガスがケース20内に充満して、ケース20内の圧力の上昇が促進される。従って、電流遮断装置400が作動し易くなる。これにより、電流遮断装置400の作動感度を向上することができる。なお、面953と面281との間の隙間、及び、上面955と下面282との間の隙間は、通常時にはケース20内の圧力が上昇せず、異常時には上昇するように、予め調整されている。なお、設定値P2は、第1設定値P1より高く、電流遮断圧力値より低い。
第1設定値P1、及び、第2設定値P2は、例えば、弾性体820のバネ定数と、面957の受圧面積を調整することで設定される。なお、本実施例では、ケースの上面281が請求項でいう「第1当接面」の一例であり、ケースの下面282が請求項でいう「第2当接面」の一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、電流遮断装置400が通電経路を遮断するのは、電流遮断圧力値より大きい場合として、電流遮断圧力値以下の場合には遮断しない構成としてもよい。同様に、第1設定値、及び第2設定値についても、「第1設定値未満」を、「設定値以下」に、「設定値以上」を「設定値より大きい」に、変更してもよい。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10 蓄電装置
20 ケース
220 ケースの内部空間
240、280 開口部
281 ケースの上面
282 ケースの下面
30 電極組立体
400 電流遮断装置
520a 負極の電極端子
520b 正極の電極端子
70、80、90 ガス通過部
702 樹脂フィルター
720 塗料
721 塗装部
722 非塗装部
81、91 ガス流量制限機構
802 板状弁体
803 板状弁体802の下面の外縁部
806 板状弁体802の下面の中央部
820 弾性体
950 筒状弁体
952 上板部
953 上板部952の下面の外縁部
954 下板部
955 下板部954の上面
956 本体部
957 上板部952の下面の中央部

Claims (5)

  1. ケースと、
    前記ケース内に収容された電極組立体と、
    前記ケースの壁に固定された電極端子と、
    前記電極組立体と前記電極端子との間に形成された通電経路と、
    前記ケース内の圧力が電流遮断圧力値未満のときは、前記通電経路を電流が流れる状態とし、前記ケース内の圧力が電流遮断圧力値以上のときは、前記通電経路を電流が流れない状態とする電流遮断装置と、
    前記ケースの壁に設けられ、前記ケースの内側と外側との間でガスを通過させるガス通過部と、を備え、
    前記ガス通過部は、前記ケース内に発生するガス量に応じてガスを通過させる蓄電装置。
  2. 前記ガス通過部は、前記ケースの壁に設けられて前記ケースの内側と外側とを連通するケース開口部と、前記ケース開口部を覆う樹脂製のフィルターとを備えている請求項1の蓄電装置。
  3. 前記樹脂製のフィルターの表面には、
    ガスの透過を制限する塗料を塗布された塗装部と、
    前記塗料を塗布されていない非塗装部と、が形成されており、
    前記非塗装部の面積は、前記ケース開口部の面積よりも小さい請求項2の蓄電装置。
  4. 前記ガス通過部は、
    前記ケースの壁に設けられて前記ケースの内側と外側とを連通するケース開口部と、
    前記ケース開口部を閉じる第1位置と、前記ケース開口部を開く第2位置の間を移動可能な弁体と、
    前記弁体を第1位置側に付勢する弾性体と、を備えており、
    前記ケース内の圧力が、電流遮断圧力値より低い通常値未満のときは、前記弾性体の付勢力によって前記弁体が第1位置に位置し、前記ケース内の圧力が通常値以上のときは、前記ケース内のガスから前記弁体に作用する力によって前記弁体が第2位置に位置する請求項1の蓄電装置。
  5. 前記ケースには、前記ガス透過部が設けられる位置に、第1当接面、及び第2当接面が形成されており、
    前記ガス通過部は、
    前記ケースの壁に設けられて前記ケースの内側と外側とを連通するケース開口部と、
    第1当接面に当接する第1当接位置と、第2当接面に当接する第2当接位置との間を移動可能な弁体と、
    前記弁体を第1当接位置側に付勢する弾性体と、を備えており、
    前記ケース内の圧力について、電流遮断圧力値より低い通常値と、電流遮断圧力値より低く、かつ、前記通常値より高い作動値と、を設定したとき、
    前記ケース内の圧力が通常値未満のときは、前記弾性体の付勢力によって前記弁体が第1当接位置に位置して前記弁体が前記ケース開口部を閉じ、
    前記ケース内の圧力が、通常値以上であり、かつ、作動値未満のときは、前記ケース内のガスから前記弁体に作用する力によって前記弁体が第1当接位置と第2当接位置の間に位置して前記弁体が前記ケース開口部を開き、
    前記ケース内の圧力が作動値以上のときは、前記ケース内のガスから前記弁体に作用する力によって前記弁体が第2当接位置に位置して前記弁体が前記ケース開口部を閉じる請求項1の蓄電装置。
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