JP2018027723A - 車両制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者が異常状態に陥っている状況においてブレーキペダルが操作された場合であっても、後続車両に急制動を必要とさせてしまう可能性を低減させる【解決手段】車両の運転者が同車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かの判定を行う異常判定手段(10,11,12,15)と、車両と同車両の後続車両との車間距離(Dfv)を取得する車間距離取得手段(10,17)と、異常判定手段により運転者が異常状態にあると判定された場合、車両の減速度の大きさを車間距離が短いほど小さい第1制限値(|Gijo|)以下に制限するように車両の制動装置を制御する減速度制限制御、及び、減速度の時間変化率の大きさを車間距離(Dfv)が短いほど小さい第2制限値(|ΔGa|)以下に制限するように車両の制動装置を制御する減速度変化率制限制御、の少なくとも一方を実施する減速度制限手段(10,20,21,22)と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態に陥っていると判定される場合に車両の減速度に制限を設ける車両制動制御装置に関する。
従来から、運転者が車両を運転する能力を失っている状態(例えば、居眠り運転状態、意識低下状態及び心身機能停止状態等であり、以下、「異常状態」とも称呼する。)に陥っていることを検出して同車両を緊急退避させる装置が知られている。この従来の装置は、運転者に緊急退避制御の実行の可否を問合せ、その回答を受け付けるまでの間に同運転者の運転操作が誤操作であると判定された場合、同運転者の運転操作を制限する(運転操作の制御量を弱める)(例えば、特許文献1を参照。)。
国際公開第2014/016911号
ところが、車両の運転者が異常状態に陥っていることが検出されている場合にブレーキ操作が制限されたとしても、その車両の後方を走行する後続車両と同車両との車間距離が近いときには後続車両が急制動を必要とする場合が生じる。
本発明は上記問題に対処するために為されたものである。即ち、本発明の目的の一つは、運転者が異常状態に陥っている状況においてブレーキペダルが操作された場合であっても、車両の減速度又は減速度の時間変化率を制限することにより、後続車両に急制動を必要とさせてしまう可能性を低減可能な車両制動制御装置を提供することにある。
そこで、本発明の車両制動制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、車両の運転者が同車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かの判定を行う異常判定手段(10,11,12及び15)と、前記車両と同車両の後続車両との車間距離(Dfv)を取得する車間距離取得手段(10及び17)と、を備える。
更に、本発明装置は、前記異常判定手段により前記運転者が前記異常状態にあると判定された場合、前記車両の減速度の大きさを前記車間距離が短いほど小さい第1制限値(|Gmin|、|Gsta|又は|Gijo|)以下に制限するように前記車両の制動装置(22)を制御する減速度制限制御、及び、前記減速度の時間変化率の大きさを前記車間距離が短いほど小さい第2制限値(|ΔGa|又は|ΔGb|)以下に制限するように前記車両の制動装置を制御する減速度変化率制限制御、の少なくとも一方を実施する減速度制限手段(10,20及び21)と、を備えるように構成される。
本発明装置によれば、運転者が異常状態にあると判定された場合、減速度の大きさ(絶対値)が「減速度の大きさの制限値」を超えないように、或いは、減速度の変化率の大きさが「変化率の大きさの制限値」を超えないように、車両の減速度が制限される。更に、この場合、車両と後続車両との車間距離が短いほど、減速度の大きさの制限値及び変化率の大きさの制限値は小さくなる。従って、異常状態にある運転者がブレーキペダルを万一大きく又は速く踏み込んだ場合であっても急制動が生じないので、後続車両に急制動を必要とさせてしまう可能性を低減することができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る車両制動制御装置の概略構成図である。 図2は、図1に示した車両制動制御装置の運転支援ECUのCPUが実行する「車両制動制御ルーチン」を示したフローチャートである。 図3は、図1に示した車両制動制御装置に作動を説明するためのタイムチャートであり、第1条件が成立し、且つ異常ガード発生時の目標減速度が制限値より大きく、後続車両が自車両に比較的早期に近付く場合のタイムチャートである。 図4は、図1に示した車両制動制御装置に作動を説明するためのタイムチャートであり、第1条件が成立し、且つ異常ガード発生時の目標減速度が制限値より大きく、後続車両が自車両に比較的遅く近付く場合のタイムチャートである。 図5は、図1に示した車両制動制御装置の作動を説明するためのタイムチャートであり、第1条件が成立し、且つ異常ガード発生時の目標減速度が制限値以下であるときのタイムチャートである。 図6は、図1に示した車両制動制御装置の作動を説明するためのタイムチャートであり、第2条件が成立し、且つ異常ガード発生時の目標減速度が制限値より大きいときのタイムチャートである。 図7は、図1に示した車両制動制御装置の作動を説明するためのタイムチャートであり、第2条件が成立し、且つ異常ガード発生時の目標減速度が制限値以下であるときのタイムチャートである。
(構成)
本発明の実施形態に係る車両制動制御装置(以下、「本制御装置」とも称呼される。)は、図1に示したように、車両(以下において、他の車両と区別するために、「自車両」と称呼される場合がある。)に適用される。
本制御装置は、運転支援ECU10、ブレーキECU20、メータECU30及び警報ECU40を備えている。これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電子制御装置(Electronic Control Unit、エレクトロニック・コントロール・ユニット)であり、図示しないCAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送受信可能に接続されている。
本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインタフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プロクラム及びルーチン等)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。
運転支援ECU10は、以下に列挙するセンサ(スイッチを含む。)と接続され、それらのセンサの検出信号又は出力信号を受信するようになっている。なお、各センサは、運転支援ECU10以外のECUに接続されていてもよい。その場合、運転支援ECU10は、各センサが接続されたECUからCANを介してそのセンサの検出信号又は出力信号を受信するように構成される。
アクセルペダル操作量センサ11は、自車両のアクセルペダル11aの操作量(アクセル開度)を検出し、アクセルペダル操作量APを表す信号を出力するようになっている。
ブレーキペダル操作量センサ12は、自車両のブレーキペダル12aの操作量(ストローク量)を検出し、ブレーキペダル操作量BPを表す信号を出力するようになっている。
マスタシリンダ圧センサ13は、油圧ブレーキ装置の図示しないブレーキマスタシリンダに作用する圧力を検出し、マスタシリンダ圧MCを表す信号を出力するようになっている。
ストップランプスイッチ14は、ブレーキペダル12aが踏み込まれていないとき(ブレーキペダル操作量BPが所定値以下のとき)にローレベル信号を出力し、ブレーキペダル12aが踏み込まれたとき(ブレーキペダル操作量BPが所定値を超えたとき)にハイレベル信号を出力するようになっている。
操舵トルクセンサ15は、操舵ハンドルSWの操作により自車両のステアリングシャフトUSに加わる操舵トルクを検出し、操舵トルクTraを表す信号を出力するようになっている。
車速センサ16は、自車両の走行速度(車速)を検出し、車速SPDを表す信号を出力するようになっている。
周囲センサ17は、少なくとも自車両の後方の道路及びその道路に存在する立体物に関する情報を取得するようになっている。立体物は、例えば、自動車、自転車及び歩行者等の移動物、並びに電柱、樹木及びガードレール等の固定物を表す。以下、これらの立体物は「物標」と称呼される場合がある。周囲センサ17は、例えば、レーダセンサ及びカメラセンサを備えている。
レーダセンサは、例えば、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を少なくとも自車両の後方領域を含む自車両の周辺領域に放射し、放射範囲内に存在する物標によって反射されたミリ波(反射波)を受信する。更に、周囲センサ17は、物標の有無及び自車両と物標との相対関係(即ち、自車両と物標との相対距離、及び自車両と物標との相対速度等)を演算して出力するようになっている。
より具体的に述べると、レーダセンサは演算処理部を備える。その演算処理部は、放射したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を放射してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、検出した各物標(n)に対する、車間距離(縦距離)Dfx(n)、相対速度Vfx(n)、横距離Dfy(n)及び相対横速度Vfy(n)等を所定時間の経過毎に取得する。
車間距離Dfx(n)は、自車両と物標(n)(例えば、後続車両)との間の自車両の中心軸に沿った距離である。相対速度Vfx(n)は、物標(n)の速度Vsと自車両VAの速度Vjとの差(=Vs−Vj)である。物標(n)の速度Vsは自車両の進行方向における物標(n)の速度である。横距離Dfy(n)は、「物標(n)の中心位置(例えば、後続車両の車幅中心位置)」の、自車両の中心軸と直交する方向における同中心軸からの距離である。横距離Dfy(n)は「横位置」とも称呼される。相対横速度Vfy(n)は、物標(n)の中心位置(例えば、後続車両の車幅中心位置)の、自車両の中心軸と直交する方向における速度である。
カメラセンサは、ステレオカメラ及び演算処理部を備え、車両後方の左側領域及び右側領域の風景を撮影して左右一対の画像データを取得する。カメラセンサは、その撮影した左右一対の画像データに基づいて、物標の有無及び自車両と物標との相対関係等を演算して出力するようになっている。この場合、運転支援ECU10は、レーダセンサによって取得された自車両と物標との相対関係と、カメラセンサによって得られた自車両と物標との相対関係と、を合成することにより、自車両と物標との相対関係を決定する。
周囲センサ17によって取得された情報は物標情報と称呼される。周囲センサ17は、物標情報を運転支援ECU10に所定の周期にて繰り返し送信する。なお、周囲センサ17は、必ずしもレーダセンサ及びカメラセンサの両方を備える必要はなく、例えば、カメラセンサだけであってもよい。更に、自車両を走行する道路の形状、及び道路と自車両との位置関係を表す情報は、図示しないナビゲーションシステムの情報を利用することもできる。
運転支援ECU10は、後述するように、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かを判定するとともに、運転者がその異常状態にあると判定した場合に適切な処理(例えば、車両を減速して安全に停止させる処理)を行うための各種制御を行うようになっている。
ブレーキECU20は、ブレーキアクチュエータ21に電気的に接続されている。ブレーキECU20は、運転者のブレーキペダル操作量BPを表す信号に基づく電気信号をブレーキアクチュエータ21に送信するようになっている。
摩擦ブレーキ機構22は、車輪WH1、WH2、WH3及びWH4に其々固定されるブレーキディスク221a、222a、223a及び224aと、各ブレーキディスクに対応して車体に固定されるブレーキキャリパ221b、222b、223b及び224bとを備える。ブレーキアクチュエータ21はブレーキECU20からの指示(電気信号)に応じてブレーキキャリパ221b乃至224bに内蔵されたホイールシリンダに付与する油圧を調整する。摩擦ブレーキ機構22は、付与された油圧によりホイールシリンダを作動させることにより、ブレーキパッドを各ブレーキディスク221a乃至224aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。このように本制御装置は、ブレーキペダル12aとブレーキアクチュエータ21とが運転支援ECU10及びブレーキECU20を介して電線(ワイヤ)によって接続される、所謂ブレーキバイワイヤ・システムを構成している。
メータECU30は、図示しないデジタル表示式メータに電気的に接続されるとともに、ハザードランプ31及びストップランプ32にも電気的に接続されている。メータECU30は、運転支援ECU10からの指示に応じて、ハザードランプ31を点滅させることができ、且つ、ストップランプ32を点灯させることができる。
警報ECU40は、ブザー41及び表示器42に電気的に接続されている。警報ECU40は、運転支援ECU10からの指示に応じてブザー41を鳴動させて運転者への注意喚起を行うことができ、且つ、表示器42に注意喚起用のマーク(例えば、ウォーニングランプ)を点灯させたり、運転支援制御の作動状況を表示したりすることができる。
(作動の概要)
次に、本制御装置に係る運転支援ECU10(以下、単に「ECU10」とも称呼する。)の主たる作動について説明する。
<運転不能異常状態検出>
ECU10は運転者が「車両を運転する能力を失っている異常状態(以下、「運転不能異常状態」と称呼する。)」にあるか否かを判定する。例えば、ECU10は、自車両の車速SPDが所定車速SPDth以上である場合に、「アクセルペダル操作量AP、ブレーキペダル操作量BP及び操舵トルクTra」のいずれも変化しない無操作状態(運転操作があると認められない状態)が異常判定閾値時間以上継続するか否かを判定(監視)する。そして、ECU10は、この無操作状態が異常判定閾値時間以上継続したとき、運転者が運転不能異常状態にあると判定する(運転者が運転不能異常状態に陥っているとの判定を確定する。)。換言すると、アクセルペダル操作量センサ11、ブレーキペダル操作量センサ12、操舵トルクセンサ15及び運転支援ECU10は、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かの判定を行う異常判定手段である。アクセルペダル操作量センサ11、ブレーキペダル操作量センサ12及び操舵トルクセンサ15は運転者の運転不能異常状態検出センサとも言うことができる。
<後続車両位置検出>
更に、ECU10は、自車両の後方において自車両を追従する車両(以下、「後続車両」と称呼する。)の有無を判定し、後続車両がある場合、自車両と後続車両との間の相対距離(以下、「車間距離」とも称呼する。)Dfv(即ち、Dfx(n))を算出する。より具体的には、ECU10は後方レーダ及び/又は後方カメラ等の周囲センサ17を用いて自車両の後方に存在する物標を探索する。この探索によって物標が検出された場合、ECU10は検出された物標の相対位置及び相対速度から後続車両であるか否かを推定する。ECU10は、周囲センサ17がカメラセンサである場合、更に、画像認識技術を用いて検出された物標が後続車両であるか否かを推定してもよい。
<運転支援制御>
加えて、ECU10は、運転者が運転不能異常状態にある場合、後続車両との車間距離(相対距離)Dfvが短いほど、減速度の大きさ及び/又は減速度の時間変化率の大きさの制限値を小さくする。以下、この運転支援制御(車両制動制御)を「運転者異常時急制動回避制御」と称呼する。運転者異常時急制動回避制御(即ち、「減速度制限制御」及び/又は「減速度変化率制限制御」)は、より具体的には、運転者が運転不能異常状態にあり、且つ後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下であるとき、減速度の大きさ及び減速度の時間変化率の大きさを制限する。以下、本制御装置に係る運転者異常時急制動回避制御を含む車両制動制御の作動について具体的に説明する。
(具体的作動)
運転支援ECU10のCPUは、所定時間が経過する毎に図2にフローチャートにより示した車両制動制御ルーチンを実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図2のステップ200から処理を開始してステップ205に進み、車速SPDが「0」より大きいか否かを判定する。車速SPDが「0」より大きい(即ち、自車両が走行中である)場合、CPUは205にて「Yes」と判定してステップ210に進み、ブレーキペダル操作量BPに基づいて運転者要求減速度G1を算出する。この場合、運転者要求減速度G1は、ブレーキペダル操作量BPと、運転者要求減速度G1と、の関係を規定するルックアップテーブルMapG1(BP)に実際のブレーキペダル操作量BPを適用することによって算出される。
次いで、CPUはステップ215に進み、運転者異常時急制動回避制御の開始条件が成立するか否かを判定する。運転者異常時急制動回避制御の開始条件は、以下の第1条件又は第2条件の何れかが成立したとき成立する条件である。なお、運転者異常時急制動回避制御は、運転者が運転不能異常状態にあるときに運転者による不適切な(例えば、無意識の又は意図的でない)操作から車両をガードするというその目的から、「異常ガード」とも称呼される。
第1条件は、前回の車両制動制御ルーチン実行時(即ち、所定時間前)には後続車両が接近状態になかったが、現時点において後続車両が接近状態にあり、且つ現時点において運転者が運転不能異常状態にある場合に成立する。
より具体的には、「後続車両が接近状態にない」とは、車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより大きい場合であり、「後続車両が接近状態にある」とは、車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下である場合である。なお、CPUは、図示しない別のルーチンにて運転者が「運転不能異常状態にある」と判定したとき、運転者異常検出フラグXijoの値を「1」に設定する。一方、CPUは、運転者が正常な(運転可能な)状態にあると判定した(例えば、アクセルペダル操作量AP、ブレーキペダル操作量BP及び操舵トルクTraの何れもが所定時間内に変化した)とき、運転者異常検出フラグXijoの値を「0」に設定する。つまり、本制御装置においては、少なくともブレーキペダルの操作のみでは運転不能異常状態は解除されないようになっている。
即ち、上記第1条件は、以下の(1)式の条件がすべて成立したとき成立する。

Dfv>Dth (前回のルーチン)
Dfv≦Dth (今回のルーチン) (1)
Xijo=1
第2条件は、前回の車両制動制御ルーチン実行時(即ち、所定時間前)には運転者が異常状態になかったが、現時点にて運転者が異常状態であり、且つ現時点にて後続車両が接近状態にある場合に成立する。即ち、上記第2条件は、以下の(2)式の条件がすべて成立したとき成立する。

Xijo=0 (前回のルーチン)
Xijo=1 (今回のルーチン) (2)
Dfv≦Dth
上記開始条件が成立する(第1条件又は第2条件が成立する)場合、CPUはステップ215にて「Yes」と判定してステップ220に進み、運転者異常時急制動回避制御(異常ガード)における目標減速度Gstaを運転者要求減速度G1に設定して、ステップ225に進む。以下、運転者異常時急制動回避制御における目標減速度Gstaは「異常ガード発生時の目標減速度」とも称呼される。一方、運転者異常時急制動回避制御(異常ガード)の開始条件が成立しない(即ち、前述の第1条件も第2条件も成立しない)場合、CPUはステップ215にて「No」と判定してステップ225に直接進む。つまり、この場合は異常ガード発生時の目標減速度Gstaは前回の値が維持されることになる。
なお、ステップ215にて「No」と判定される場合としては、例えば、(a)運転者が運転不能異常状態でない(即ち、Xijo=0)場合、(b)運転者の運転不能異常状態である(即ち、Xijo=1)が現時点において後続車両が接近していない(Dfv>Dth)場合及び(c)既に運転者が運転不能異常状態(Xijo=1)且つ既に後続車両が接近している(Dfv≦Dth)場合、等が挙げられる。
次いで、CPUはステップ225にて運転者が運転不能異常状態である(Xijo=1)か否かを判定する。現時点において運転者が運転不能異常状態である(Xijo=1)場合、CPUはステップ225にて「Yes」と判定してステップ230に進み、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下であるか否かを判定する。車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下である場合、CPUはステップ230にて「Yes」と判定してステップ235に進み、制動目標減速度Gtgtを後述の手順により算出してステップ245に進む。
ステップ235において算出される制動目標減速度Gtgtは、以下の(3)乃至(5)式により与えられる。なお、以下の(4)式における「MIN()」は括弧内の各要素の最小値を意味し、(5)式における「MAX()」は括弧内の各要素の最大値を意味する。(5)式において、「k」はk番目(今回)のルーチンを表し、(3)式において「k−1」は(k−1)番目(前回)のルーチンを表している。

G2=MAX(G1,Gtgt(k−1)+ΔGa) (3)
G3=MIN(Gsta,Gijo) (4)
Gtgt(k)=MAX(G2,G3) (5)
上記(3)式及び(5)式において制動目標減速度Gtgtは負の値であり、ブレーキペダル操作量BPが大きいほど小さい(その絶対値が大きい)。(3)式において「ΔGa」は制動目標減速度Gtgtの時間変化率の制限値(即ち、変化勾配の下限)を表しており、以下、第1時間変化率制限値ΔGaと称呼する。第1時間変化率制限値ΔGa(変化勾配)は負の値である。
(3)式において、減速度G2は「運転者要求減速度G1」と「前回のルーチンにて算出された制動目標減速度Gtgt(k−1)に第1時間変化率制限値ΔGaを加えた値:Gtgt(k−1)+ΔGa」の何れか大きい方の値として算出される。Gtgt(k−1)+ΔGaは、このルーチンが繰り返される周期である所定時間毎に第1時間変化率制限値ΔGaだけ変化する(減少する)が、運転者要求減速度G1がGtgt(k−1)+ΔGaより大きいときは運転者要求減速度G1が減速度G2として選択される。以下、現時点において、前回の制動目標減速度Gtgt(k−1)の値は「0」であると仮定して話を進める。
(4)式において、「Gijo」は運転者の運転不能異常状態における減速度制限値を表しており、以下、「運転不能異常状態における制限減速度Gijo」とも称呼される。(4)式において、減速度G3は、「異常ガード発生時の目標減速度Gsta」と「運転者の運転不能異常状態における制限減速度Gijo」の最小値(小さい方の値)として算出される。運転不能異常状態における制限減速度Gijoは、例えば、運転者が運転不能異常状態にあると判定されたとき、後続車両が自車両の比較的近い位置にある場合、後続車両に急制動を必要とさせてしまうことがないように自車両の急激な減速を防止するために設定される。本実施例においては、運転者の運転不能異常状態における制限減速度Gijoの値は一定値に設定されている。
よって、異常ガード発生時の目標減速度Gstaの値が運転不能異常状態における制限減速度Gijoの値(一定値)以上である(その大きさ(絶対値)が小さい)ときは、運転不能異常状態における制限減速度Gijoの値が最小値として(減速度G3として)選択される。これに対し、異常ガード発生時の目標減速度Gstaの値が運転不能異常状態における制限減速度Gijoの値(一定値)より小さい(その大きさ、即ち、絶対値が大きい)ときは、異常ガード発生時の目標減速度Gstaの値が最小値として(減速度G3として)選択される。
つまり、異常ガード発生時の目標減速度Gstaの値が運転不能異常状態における制限減速度Gijoの値より小さい場合、減速度G3は異常ガード発生時の目標減速度Gstaの値を維持する。一方、異常ガード発生時の目標減速度Gstaの値が運転不能異常状態における制限減速度Gijoの値以上である場合、減速度G3は運転不能異常状態における制限減速度Gijoの値を維持する。このように本制御装置は、その値が小さい方の減速度を選択して、本制御装置の油圧を一旦加圧した状態から減圧させないようにする。
このような制御を行うのは、一旦発生させた減速度を弱めてしまい、車両の制動距離がより長くなってしまうこと、及び一旦加圧した状態から急激に減速度を大きく(その大きさを小さく)すると自車両の搭乗者に大きな違和感を与えてしまうことを避けるためである。特に後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下となったばかりの時点においてはまだ後続車両に急制動を必要とさせてしまう可能性が低いので、減速度G3が運転不能異常状態における制限減速度Gijoよりも小さくなる(その大きさが大きくなる)場合を許容している。
(5)式において、制動目標減速度Gtgt(k)は、(3)式において算出された減速度G2と(4)式において算出された減速度G3の何れか大きい方の値として算出される。
一方、車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより長い場合、CPUはステップ230にて「No」と判定してステップ240に進み、制動目標減速度Gtgtを後述の手順にて算出してステップ245に進む。
ステップ240において算出される制動目標減速度Gtgtは、以下の(6)及び(7)式により与えられる。(7)式において、Gminは、予め設定されている制動目標減速度下限値を表している。制動目標減速度下限値Gminは運転不能異常状態における制限減速度Gijoよりも小さい値に設定されている。

G2=MAX(G1,Gtgt(k−1)+ΔGb) (6)
Gtgt(k)=MAX(G2,Gmin) (7)
(Gmin<Gijo)
(6)式において「ΔGb」は制動目標減速度Gtgtの時間変化率の制限値(即ち、変化勾配の下限)を表しており、第2時間変化率制限値ΔGbと称呼される。第2時間変化率制限値ΔGbは負の値であり、前述の第1時間変化率制限値ΔGaよりも小さい(絶対値が大きい)。(6)式において 、減速度G2は「運転者要求減速度G1」と「前回のルーチンにて算出された制動目標減速度Gtgt(k−1)に第2時間変化率制限値ΔGbを加えた値:Gtgt(k−1)+ΔGb」の何れか大きい方の値として算出される。以下、現時点において、前回の制動目標減速度Gtgt(k−1)の値は「0」であると仮定して話を進める。
(7)式において、制動目標減速度Gtgt(k)は、(6)式において算出された減速度G2と制動目標減速度下限値Gminの何れか大きい方の値として算出される。
次いで、CPUはステップ245に進み、最終的な制動目標減速度Gijotgtを以下の(8)式により算出する。最終的な制動目標減速度Gijotgtは、以下、運転者異常時制動目標減速度Gijotgtとも称呼される。ところで、運転者が運転不能異常状態にあるときには、運転者によるブレーキペダルの操作がなかったとしても、車両を安全に停止させるために、減速度を発生させる必要がある。以下の(8)式における「Gijosys」は運転不能異常状態に陥ったときに車両を停止させるのに最低限必要な減速度として設定される減速度である。以下、Gijosysは「運転者異常時のシステム目標減速度Gijosys」と称呼される。

Gijotgt=MIN(Gijosys,Gtgt(k)) (8)
従って、CPUはステップ245にて運転者異常時目標減速度Gijotgtを、運転者異常時のシステム目標減速度Gijosysと、ステップ235又はステップ240にて算出された制限目標減速度Gtgt(k)の何れか小さい方の値として算出し、ステップ250に進む。CPUはステップ250に進むと、ステップ245にて算出した運転者異常時制動目標減速度Gijotgtに基づいて各車輪の摩擦ブレーキ機構22に制動力を発生させ、ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、運転者が運転不能異常状態でない(Xijo=0)場合、CPUはステップ225にて「No」と判定してステップ255に進み、制動目標減速度Gtgt(k)の値を「0」に設定してステップ260に進み、運転者のブレーキペダル操作量BPに基づいて(即ち、運転者要求減速度G1にて)各車輪の摩擦ブレーキ機構22に制動力を発生させ、ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、ステップ205にて「No」と判定されたとき、即ち、自車両の車速SPDが「0」であるとき(自車両が停止しているとき)、CPUはステップ265に進んで制動目標減速度Gtgt(k)の値を「0」に設定した後、ステップ295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
以下、上記車両制動制御ルーチンのステップ235、ステップ240及びステップ245にて算出される運転者異常時目標減速度について、場合分けをして、より具体的に作動を説明する。
(1)第1条件が成立し、GstaがGijoよりも大きく、且つG1がGtgt(k−1)+ΔGaよりも小さい場合
前述の第1条件が成立し、異常ガード発生時の目標減速度Gstaが運転不能異常状態における制限減速度Gijoよりも大きく(絶対値が小さく)、且つ運転者要求減速度G1がGtgt(k−1)+ΔGaよりも小さい場合、(4)式より、減速度G3は運転不能異常状態における制限減速度Gijoとなる。よって、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下であるときの制動目標減速度Gtgt(k)は(5)式より、次式のように表される。

Gtgt(k)=MAX(Gtgt(k−1)+ΔGa,Gijo) (9)

一方、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより大きいときの制動目標減速度Gtgt(k)は(7)式より、次式のように表される。

Gtgt(k)=MAX(Gtgt(k−1)+ΔGb,Gmin) (10)
図3に示したように、時刻T0において後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dthよりも大きい状態において、運転者異常検出フラグXijoの値が「0」から「1」へと変化し、その後、時刻T1において運転者による(意図しない)ブレーキペダル操作があり、時刻T2にて後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dthを下回る場合を考える。なお、運転者によるブレーキペダル操作量BPは極めて大きく、その操作量BPをそのまま減速度に反映させた場合、制動目標減速度下限値Gmin以下となるようなブレーキ操作量BPを想定している。
図3において、時刻T0となるまでCPUは減速度を発生させていない。時刻T0において運転者が運転不能異常状態(Xijo=1)となるので、CPUは自車両を減速停止させるべく、時刻T0以降、運転者異常時のシステム目標減速度Gijosysを発生させる。その後、時刻T1において(異常状態にある)運転者によるブレーキ操作が行われると、CPUは(10)式にしたがって制動目標減速度Gtgt(k)を破線S1に沿って(第2時間変化率制限値ΔGbに相当する傾きにて)減少させる。破線S1が運転者異常時のシステム目標減速度Gijosysを下回ると(時刻T11)、CPUは運転者異常時目標減速度Gijotgtとして制動目標減速度Gtgt(k)を選択する。
その後、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下となる時刻T2において、CPUは(8)式にしたがって制動目標減速度Gtgt(k)を破線S1よりも傾きの緩やかな一点鎖線S2に沿って減少させる。その後、制動目標減速度Gtgt(k)が運転不能異常状態における制限減速度Gijoに達する時刻T3において、CPUは運転者異常時目標減速度Gijotgtの値を運転不能状態における制限減速度Gijoに設定する。
その後、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dthを超える時刻T4において、CPUは運転者異常時目標減速度Gijotgtの値を(10)式にしたがって制動目標減速度下限値Gminに到達するまで減少させ、運転者異常時目標減速度Gijotgtの値が制動目標減速度下限値Gminに到達後は制動目標減速度下限値Gminに維持させる。
言い換えると、時刻T0から時刻T11の期間は運転者異常時システム目標減速度Gijosysが、時刻T11から時刻T2の期間は前回のルーチンにて算出された制動目標減速度Gtgt(k−1)に第2時間変化率制限値ΔGbを加えた値Gtgt(k−1)+ΔGbが、時刻T2から一点鎖線S2が運転不能異常状態における制限減速度Gijoと交わる時刻T3までは前回のルーチンにて算出された制動目標減速度Gtgt(k−1)に第1時間変化率制限値ΔGaを加えた値Gtgt(k−1)+ΔGaが、時刻T3から時刻T4までは運転不能異常状態における制限減速度Gijoが、それぞれ運転者異常時目標減速度Gijotgtとして選択される。即ち、

Gijotgt=Gijosys (T0<T≦T11)
=Gtgt(k−1)+ΔGb (T11<T≦T2)
=Gtgt(k−1)+ΔGa (T2<T≦T3)
=Gijo (T3<T≦T4)
一方、図4に示したように、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより大きい状態から所定閾値距離Dth以下の状態に変化する時刻である時刻T2が、制動目標減速度Gtgt(k)の制動目標減速度下限値Gminへの到達以後に到来する場合、制動目標減速度Gtgt(k)は時刻T3にて制動目標減速度下限値Gminから運転不能異常状態における制限減速度Gijoに向かって増加する。この場合、制動目標減速度Gtgt(k)は運転不能異常状態における制限減速度Gijoに到達すると、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下の状態から所定閾値距離Dthより大きい状態に変化する時刻である時刻T4まで運転者の運転不能異常状態における制限減速度Gijoを維持する。即ち、運転者異常時目標減速度Gijotgtは、

Gijotgt=Gijosys (T0<T≦T11)
=Gtgt(k−1)+ΔGb (T11<T≦T2)
=Gmin (T2<T≦T3)
=Gijo (T3<T≦T4)
(2)第1条件が成立し、且つGstaがGijo以下であり、且つG1がGtgt(k−1)+ΔGaよりも小さい場合
これに対し、第1条件が成立し、異常ガード発生時の目標減速度Gstaが運転不能異常状態における制限減速度Gijo以下であり(絶対値が小さく)、且つ運転者要求減速度G1がGtgt(k−1)+ΔGaよりも小さい場合、(4)式より、減速度G3は異常ガード発生時の目標減速度Gstaとなる。よって、図5に示したように、時刻T0において運転者が運転不能異常状態(Xijo=1)となるので、CPUは時刻T0において運転者異常時のシステム目標減速度Gijosysを発生させる。
その後、時刻T1において運転者によるブレーキ操作が行われると、CPUは(10)式にしたがって制動目標減速度Gtgt(k)を破線S1に沿って(第2時間変化率制限値ΔGbに相当する傾きにて)減少させる。破線S1が運転者異常時のシステム目標減速度Gijosysを下回ると(時刻T11)、CPUは運転者異常時目標減速度Gijotgtとして制動目標減速度Gtgt(k)を選択する。その後、CPUは後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより大きい状態から所定閾値距離Dth以下の状態に変化する時刻である時刻T2から制動目標減速度Gtgt(k)が異常ガード発生時の目標減速度Gsta(即ち、運転者要求減速度G1)に到達する時刻T3まで減速度を一点鎖線S2に沿って(第1時間変化率制限値ΔGaに相当する傾きにて)減少させる。
そして、時刻T3から後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下の状態から所定閾値距離Dthより大きい状態に変化する時刻である時刻T4までCPUは運転者異常時目標減速度Gijotgtを異常ガード発生時の目標減速度Gstaに維持する。即ち、運転者異常時目標減速度Gijotgtは、

Gijotgt=Gijosys (T0<T≦T11)
=Gtgt(k−1)+ΔGb (T11<T≦T2)
=Gtgt(k−1)+ΔGa (T2<T≦T3)
=Gsta (T3<T≦T4)
(3)第2条件が成立し、GstaがGijoよりも大きく、且つG1がGtgt(k−1)+ΔGaよりも小さい場合
次に、前述の第2条件が成立し、異常ガード発生時の目標減速度Gstaが運転不能異常状態における制限減速度Gijoよりも大きく(絶対値が小さく)、且つ運転者要求減速度G1がGtgt(k−1)+ΔGaよりも小さい場合、(4)式より、減速度G3は運転不能異常状態における制限減速度Gijoとなる。よって、制動目標減速度Gtgt(k)は(5)式より、

Gtgt(k)=MAX(Gtgt(k−1)+ΔGa,Gijo)

と表される。従って、図6に示したように、運転者異常検出フラグXijoの値が「0」から「1」に変化した時刻T1において、CPUは運転者異常時のシステム目標減速度Gijosysを発生させる。時刻T1以後の時刻T2にブレーキペダルの操作が行われると、制動目標減速度Gtgt(k)は、時刻T2から運転不能異常状態における制限減速度Gijoに到達する時刻である時刻T3まで一点鎖線S2に沿って減少していく。運転者異常時のシステム目標減速度Gijosysと交わる時刻T21から運転不能異常状態における制限減速度Gijoと交わる時刻T3までCPUはGtgt(k−1)+ΔGaを発生させる。そして、時刻T3から後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下の状態から所定閾値距離Dthより大きい状態に変化する時刻である時刻T4までの間、CPUは制動目標減速度Gtgt(k)を運転不能異常状態における制限減速度Gijoに維持する。即ち、運転者異常時目標減速度Gijotgtは、

Gijotgt=0 (T0<T≦T1)
=Gijosys (T1<T≦T21)
=Gtgt(k−1)+ΔGa (T21<T≦T3)
=Gijo (T3<T≦T4)
(4)第2条件が成立し、且つGstaがGijo以下である場合
これに対し、第2条件が成立し、且つ異常ガード発生時の目標減速度Gstaが運転不能異常状態における制限減速度Gijoよりも小さい(絶対値が大きい)場合、(4)式より、減速度G3は異常ガード発生時の目標減速度Gstaとなる。よって、制動目標減速度Gtgt(k)は(5)式より、

Gtgt(k)=MAX(Gtgt(k−1)+ΔGa,Gsta)

と表される。従って、図7に示したように、運転者異常検出フラグXijoの値が「0」から「1」に変化した時刻T1において、CPUは運転者異常時システム目標減速度Gijosysを発生させる。その後、時刻T2にブレーキペダルの操作が行われると、CPUは制動目標減速度Gtgt(k)を時刻T2から異常ガード発生時の目標減速度Gstaに到達する時刻である時刻T3まで一点鎖線S2に沿って減少させる。CPUは一点鎖線S2が運転者異常時システム目標減速度Gijosysを下回ると(時刻T21)、運転者異常時目標減速度Gijotgtとして制動目標減速度Gtgt(k)を選択する。そして時刻T3から後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下の状態から所定閾値距離Dthより大きい状態に変化する時刻である時刻T4までの間、制動目標減速度Gtgt(k)は異常ガード発生時の目標減速度Gstaに維持される。即ち、

Gijotgt=0 (T0<T≦T1)
=Gijosys (T1<T≦T21)
=Gtgt(k−1)+ΔGa (T21<T≦T3)
=Gsta (T3<T≦T4)
以上、説明したように、本制御装置は、異常判定手段10,11,12及び15により運転者が異常状態にあると判定された場合、車両の減速度の大きさを車間距離Dfvが短いほど小さい第1制限値(車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより大きいときは|Gmin|、車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下であるときは|Gmin|よりも小さい|Gsta|又は|Gijo|)以下に制限するように車両の制動装置22を制御する減速度制限制御、及び、減速度の時間変化率の大きさを車間距離Dfvが短いほど小さい第2制限値(車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより大きいときは|ΔGb|、車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下であるときは|ΔGb|よりも小さい|ΔGa|)以下に制限するように車両の制動装置22を制御する減速度変化率制限制御、の少なくとも一方を実施するように構成される。
従って、運転者がブレーキペダルを大きく踏み込んだ場合であっても急制動が生じないようにすることができ、更に、後続車両との距離が短いときは減速度の大きさ及びその変化率の大きさの制限の度合いを大きくする。従って、運転者がブレーキペダルを大きく踏み込んだ場合であっても急制動が生じないので、後続車両に急制動を必要とさせてしまう可能性を低減することができる。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記実施形態において、本制御装置は、運転者が運転不能異常状態にある場合、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下であるときの減速度の大きさに係る第1制限値を、車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより大きいときの第1制限値よりも小さい値に設定し、且つ後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下であるときの減速度の時間変化率の大きさに係る第2制限値を、車間距離Dfvが所定閾値距離Dthより大きいときの第2制限値よりも小さい値に設定するように構成されていた。しかし、本制御装置は、運転者が運転不能異常状態にある場合、減速度の大きさを後続車両との車間距離Dfvが短いほど小さい第1制限値以下にする減速度制限制御及び減速度の時間変化率の大きさを車間距離Dfvが短いほど小さい第2制限値以下にする減速度変化率制限制御の少なくとも一方を実施するように構成されてもよい。
例えば、本制御装置は、後続車両との車間距離Dfvが短いほど、運転者の運転不能異常状態における制限減速度Gijoの大きさ|Gijo|を小さくするとともに/或いは制限時間変化率ΔGaの大きさ|ΔGa|を小さくするように構成されてもよい。更に、本制御装置は、後続車両との車間距離Dfvが所定閾値距離Dth以下であるときに限り、車間距離Dfvが短いほど、運転者の運転不能異常状態における制限減速度Gijoの大きさ|Gijo|を小さくするとともに/或いは制限時間変化率ΔGaの大きさ|ΔGa|を小さくするように構成されてもよい。
これによれば、運転者が運転不能異常状態にあるときに、後続車両との距離が短いほど自車両の減速度及び/又は減速度の時間変化率の大きさが小さくされるので、後続車両との距離が短いほど自車両の急減速の程度が小さくなる。従って、後続車両に急制動を必要とさせてしまう可能性をより低減することができる。
更に、本制御装置は、減速度制限制御又は減速度変化率制限制御の何れか一方のみを実施するように構成されてもよい。
更に、本制御装置は、ブレーキバイワイヤ方式ではなく、通常の油圧ブレーキ配管によって構成されるブレーキ装置を備えた車両に適用されてもよい。その場合、先の実施形態に係る車両制動制御ルーチン(図2を参照。)において、ステップ245にて運転者異常時目標減速度Gijotgtを算出した後、運転者異常時目標減速度Gijotgtと運転者要求減速度G1との差分である必要減圧量を算出すればよい。
本制御装置は、運転者異常時急制動回避制御中に車速センサ16により検出される車速SPDの値が「0」(即ち、自車両が停止状態)となったとき、制動目標減速度Gtgtの値を「0」に設定するとともに、図示しないパーキングブレーキをオン状態にしてもよい。或いは、本制御装置は、運転者異常時急制動回避制御中に自車両が停止状態となったとき、図示しない内燃機関を停止してもよいし、内燃機関を停止させるための指示信号を送出してもよい。自車両が停止状態となったとき、本制御装置は、更に、ハザードランプ31を点滅させてもよいし、ドアのロックを解除してもよい。
更に、本制御装置は、自車両の位置を算出するための情報を取得するためのGPSセンサ及び他車両と無線通信を行うための車車間通信機又は路側の無線通信機を介して他車両と無線通信を行うための路車間通信機を備え、GPSセンサによって自車両の位置を、車車間通信機等によって後続車両の位置を取得し、これらの情報に基づいて後続車両との距離を算出するように構成されてもよい。
本制御装置は、運転者の運転不能異常状態が検出されているとき(即ち、運転者異常検出フラグXijoの値が「1」となっているとき)には、ハザードランプ31を点滅させることにより、車両の周囲に異常の発生を報知するように構成されてもよい。
車両制動制御ルーチンのステップ240において制動目標減速度Gtgtとして設定される所定の減速度Gpreは、運転者の運転不能異常状態における制限減速度Gijoであってもよい。
10…運転支援ECU、11…アクセルペダル操作量センサ、12…ブレーキペダル操作量センサ、12a…ブレーキペダル、13…マスタシリンダ圧センサ、14…ストップランプスイッチ、15…操舵トルクセンサ、16…車速センサ、17…周囲センサ、20…ブレーキECU、21…ブレーキアクチュエータ、22…摩擦ブレーキ機構、30…メータECU、31…ハザードランプ、32…ストップランプ。

Claims (1)

  1. 車両の運転者が同車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かの判定を行う異常判定手段と、
    前記車両と同車両の後続車両との車間距離を取得する車間距離取得手段と、
    前記異常判定手段により前記運転者が前記異常状態にあると判定された場合、
    前記車両の減速度の大きさを前記車間距離が短いほど小さい第1制限値以下に制限するように前記車両の制動装置を制御する減速度制限制御、及び、
    前記減速度の時間変化率の大きさを前記車間距離が短いほど小さい第2制限値以下に制限するように前記車両の制動装置を制御する減速度変化率制限制御、
    の少なくとも一方を実施する減速度制限手段と、
    を備えた車両制動制御装置。

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