JP2018025027A - 排水設備用蓋 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気弁が回転しても排気弁および蓋本体の互いの模様のバランスを保つことができる排水設備用蓋を提供する。
【解決手段】蓋10は蓋本体13および排気弁14を備えている。蓋本体13は、軸孔および排気孔が形成された中央部と、第1の模様13Tが設けられた環状部13Aとを有する。排気弁14は、前記軸孔にスライド可能に挿通された軸部と、前記軸部の上方に位置し、第2の模様14Tが設けられた弁体部14Aとを有する。第1の模様13Tは、平面視において所定角度毎の周期性を有している。前記軸孔の内周面には前記所定角度毎に凹部が形成され、前記軸部の外周面には前記所定角度毎に凸部が形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、排水設備に取り付けられ、排水設備の内部圧力が高くなると開く排気弁を備えた排水設備用蓋に関する。
従来から、例えば、ます、マンホール、雨水貯留槽などの排水設備に、内部圧力が高くなると浮上する排気弁を備えた蓋を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような浮上式の排気弁を備えた蓋によれば、排水設備の内部圧力が高くなったときに、排気弁が浮上し、排気孔が開くことによって圧力を開放することができる。これにより、排水設備の内部圧力が高くなることを防ぐことができ、内部圧力を所定圧力以下に調整することができる。そのため、逆流の発生や排水設備の破損等を未然に防止することができる。
特許文献1には、浮上式の排気弁を備えたマンホールの蓋が記載されている。この蓋は、軸孔および排気孔が形成された蓋本体と、軸孔に摺動可能に挿通された軸部を有する排気弁とを有している。排気弁は排気孔の上方に配置され、排気孔を覆っている。特許文献1に記載された蓋では、マンホールの内部圧力が高くなるとその内部圧力によって排気弁が上方に押し上げられ、排気孔が開放される。
実公昭59−34617号公報
ところで、蓋の表面には、文字、図形、記号、色彩、表面に表れた形状等(以下、特に断らない限り、それらを総称して「模様」と言う)が施されることがある。例えば、図11(a)に示すように、排気弁101を備えたマンホールの蓋において、排気弁101および蓋本体102の表面に、模様が付される場合がある。図11(a)に示す例では、排気弁101および蓋本体102の両方に、凹凸模様が設けられている。排気弁101は、他の凸部よりも周方向の長さが長い凸部101Aを有している。蓋本体102も、他の凸部よりも周方向の長さが長い凸部102Aを有している。なお、周方向の長さが長い凸部101A、102Aには、例えば、注意事項、蓋の製造業者、排水設備の管理団体の名称等を表す文字が付される。
前記蓋では、排気弁101の軸部が蓋本体102の軸孔に摺動可能に挿通されており、外部から排気弁101に回転力が加わったときに、排気弁101が蓋本体102に対して回転してしまう場合がある。しかし、排気弁101が回転すると、例えば図11(b)に示すように、排気弁101の模様と蓋本体102の模様との互いの位置がずれてしまう。図11(a)に示す状態では、排気弁101の凸部101Aは蓋本体102の凸部102Aに対し周方向に揃った位置にあるが、図11(b)に示す状態では、凸部101Aは凸部102Aから約90度ずれた位置に移動している。このように、従来は、排気弁101が回転すると、排気弁101および蓋本体102の互いの模様のバランスが崩れてしまうという課題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気弁が回転しても排気弁および蓋本体の互いの模様のバランスを保つことができる排水設備用蓋を提供することである。
本発明に係る排水設備用蓋は、蓋本体と排気弁とを備える。前記蓋本体は、排気孔が形成された中央部と、平面視において前記中央部の周囲を囲む環状部と、前記中央部または前記環状部に設けられた上下方向に延びる縦壁と、を有する。前記排気弁は、前記中央部に載置されて前記排気孔を覆う弁体部と、前記弁体部から下方に延び、前記縦壁に対し上下方向および周方向に摺動可能な摺動部と、を有する。前記蓋本体の前記環状部の上面には、第1の模様が設けられている。前記排気弁の前記弁体部の上面には、第2の模様が設けられている。前記第1の模様および前記第2の模様のうち少なくとも一方は、平面視において所定角度毎の周期性を有している。前記蓋本体の前記縦壁および前記排気弁の前記摺動部のいずれか一方には、前記所定角度毎に凹部が形成され、他方には前記所定角度毎に凸部が形成されている。
上記排水設備用蓋によれば、蓋本体の縦壁および排気弁の摺動部に形成された凹部と凸部とが係合するので、排気弁が外部から回転力を受けて回転した場合、凸部は凹部から外れるが、他の凹部に係合したところで回転が止まる。ここで、凹部および凸部は所定周期毎に形成されている。そのため、排気弁が回転したとしても、その回転角度は当該所定角度の倍数となる。すなわち、前記所定角度をθ、nを自然数とすると、排気弁の回転角度はn×θとなる。ここで、蓋本体の環状部の上面に設けられた第1の模様と、排気弁の弁体部の上面に設けられた第2の模様とのうち少なくとも一方は、前記所定角度θ毎の周期性を有している。よって、第1の模様および第2の模様の少なくとも一方は、n×θだけ回転しても、回転前後の模様が変わらない。したがって、上記排水設備用蓋によれば、排気弁が回転しても排気弁および蓋本体の互いの模様のバランスを保つことができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記蓋本体の前記中央部には、前記排気孔よりも中心側に位置する軸孔が形成されている。前記縦壁は、前記軸孔の内周面からなっている。前記排気弁の前記摺動部は、前記軸孔に挿通された軸部からなっている。
上記態様によれば、軸孔は排気孔とは別であるので、軸孔および排気孔を、互いの影響を受けずに自由に設計することができる。そのため、軸孔を、排気弁の軸部を上下方向および周方向にガイドしやすい形態に容易に形成することができる。また、排気孔を、排水設備の内部圧力を逃がしやすい形態に容易に形成することができる。排気孔は軸孔よりも径方向の外側に位置しているので、排気孔の開口面積を確保しやすい。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1の模様および前記第2の模様は、いずれも平面視において所定角度毎の周期性を有している。
上記態様によれば、排気弁の回転前後において、第1の模様および第2の模様の双方に変わりがない。よって、見る方向に拘わらず、排気弁および蓋本体の互いの模様のバランスを保つことができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1の模様および前記第2の模様のいずれか一方は、平面視において前記所定角度毎の周期性を有しており、他方は、平面視において前記所定角度毎の周期性を有していない。
上記態様によれば、排気弁が回転したときの互いの模様のバランスを維持しながら、蓋本体の環状部および排気弁の弁体部のいずれか一方に、前記所定角度毎の周期性を有さない模様を設けることができる。よって、蓋本体の環状部および排気弁の弁体部のいずれか一方の模様の設計自由度を高めることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1の模様および前記第2の模様は、凹凸模様である。
凹凸模様は、スリップを防止する機能と、凹部に沿って水を流すことができるという排水機能を有する。上記態様によれば、蓋本体の環状部および排気弁の弁体部のスリップ防止機能および排水性を高めることができる。よって、排水設備用蓋のスリップ防止機能および排水性を高めることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記所定角度は30度である。
上記態様によれば、排気弁に小さな回転力が加わったときに排気弁の回転を好適に抑制することができると共に、排気弁に大きな回転力が加わったときに排気弁を容易に回転させることができる。
本発明によれば、排気弁が回転しても排気弁および蓋本体の互いの模様のバランスを保つことができる排水設備用蓋を提供することができる。
雨水設備の側面図である。 雨水設備の平面図である。 蓋および点検筒の断面図である。 蓋本体の平面図である。 蓋の平面図である。 蓋の斜視図である。 図3のVII−VII線断面図である。 排気弁が開いているときの蓋および点検筒の断面図である。 図5の蓋の排気弁が30度回転したときの平面図である。 他の実施形態に係る蓋の平面図である。 (a)は従来の蓋の平面図であり、(b)は当該蓋の排気弁が回転したときの平面図である。
以下、本発明の実施の一形態について説明する。図1は、排水設備の一例としての雨水設備1の側面図である。図2は雨水設備1の平面図である。本実施形態に係る雨水設備1は、地中に埋設されたものである。ただし、雨水設備1は地中に埋設されたものに限らず、その一部または全部が地上に設置されていてもよい。
雨水設備1は、第1配管21と、第1配管21に接続されたます20と、ます20に接続された第2配管4と、第2配管4に接続された雨水貯留槽3と、雨水貯留槽3に接続された第3配管6とを備えている。第3配管6は側溝60に接続されている。雨水貯留槽3は、槽本体2および点検筒5を有している。第1配管21は、ます20に向けて雨水を導く配管である。第2配管4は、ます20から排出される雨水を雨水貯留槽3に導く配管である。第3配管6は、雨水貯留槽3から側溝60に向けて雨水を導く配管である。
ます20の上部には点検口11が形成されている。雨水貯留槽3の点検筒5の上部にも点検口11が形成されている。点検口11は上向きに開口している。ます20の点検口11および雨水貯留槽3の点検筒5の点検口11には、本実施形態に係る排水設備用蓋(以下、単に蓋という)10が設けられている。なお、蓋10は、ます20の点検口11および雨水貯留槽3の点検筒5の点検口11のいずれか一方のみに設けられ、他方には圧力開放機能を有さない蓋が設けられていてもよい。
次に、蓋10の詳細について説明する。ここでは、雨水貯留槽3の点検筒5の点検口11に設けられた蓋10について説明する。図3に示すように、蓋10は、点検口11に固定された蓋枠12と、シール材17を介して蓋枠12に嵌め込まれた蓋本体13と、蓋本体13に載置された排気弁14とを備えている。
図4は蓋本体13の平面図である。蓋本体13は、軸孔13cおよび排気孔13bが形成された中央部13Dと、平面視において中央部13Dの周囲を囲む環状部13Aとを有している。環状部13Aは、平面視において環状に形成されている。中央部13Dは、平面視において円形状に形成されている。中央部13Dは、環状部13Aよりも径方向の内側に配置された筒状部13Bと、筒状部13Bと環状部13Aとをつなぐ架け渡し部13Cとを有している。架け渡し部13Cは、径方向に延びる棒状に形成されている。架け渡し部13Cの本数は特に限定されないが、複数であることが好ましい。ここでは、架け渡し部13Cは4本設けられている。
排気孔13bは、環状部13Aの径方向の内側に形成されている。ここでは、4つの排気孔13bが形成されている。ただし、排気孔13bの数は4に限定されない。排気孔13bの数は1〜3であってもよく、5以上であってもよい。排気孔13bは、環状部13Aと筒状部13Bと架け渡し部13Cとによって仕切られている。軸孔13cは筒状部13Bに形成されている。筒状部13Bの内周面は、上下方向に延びる縦壁を構成している。
図3に示すように、中央部13Dは環状部13Aから凹んでいる。中央部13Dの上には、排気弁14が載置される。中央部13Dは、排気弁14が嵌め込まれる凹部を形成している。排気弁14が蓋本体13の上に載っているときに、環状部13Aの上面と中央部13Dの上面とは、同じ高さに配置される。排気弁14が蓋本体13の上に載っているときに、環状部13Aの上面と排気弁14の上面とは実質的に面一となる。中央部13Dの周縁には、中心側に行くにつれて下方へ向かうように傾斜した傾斜面13eが形成されている。環状部13Aの外周面には、シール材17が取り付けられている。
蓋枠12は点検筒5に固定されている。蓋枠12は、例えば点検筒5に接着されていてもよい。蓋枠12は、点検筒5に接着された接着部を有していてもよい。蓋枠12を点検筒5に固定する構成は何ら限定されない。蓋枠12は、蓋本体13を支持する支持部12aを有している。ここでは支持部12aは、蓋本体13の外周部の下面を支持する平坦面によって構成されている。
排気弁14は、蓋本体13の軸孔13cにスライド可能に挿通された軸部14Bと、軸部14Bの上方に位置し、中央部13Dに載置されて排気孔13bを覆う弁体部14Aと、軸部14Bの下端部に固定された弁ストッパ14Cとを有している。排気弁14の一部は排気孔13bの上方に位置している。軸部14Bは弁体部14Aから下方に延びている。軸部14Bは、蓋本体13の筒状部13Bの内周面に対し、上下方向および周方向に摺動可能である。
図5は蓋10の平面図であり、図6は蓋10の斜視図である。図5に示すように平面視において、弁体部14Aは円形に形成されている。平面視において、弁体部14Aの周囲は蓋本体13の環状部13Aに囲まれている。図3に示すように、弁体部14Aの側面は、下方に行くほど中心側に向かうように傾斜している。弁体部14Aの側面には、シール材19が設けられている。
弁ストッパ14Cは、軸部14Bにおける筒状部13Bよりも下方の部分に固定されている。弁ストッパ14Cの径方向の外端は、筒状部13Bの軸孔13cの内周面よりも、径方向の外側に位置している。平面視において、筒状部13Bと弁ストッパ14Cとは部分的に重なっている。そのため、排気弁14が蓋本体13に対して上方に移動すると、弁ストッパ14Cと筒状部13Bとが当接し、排気弁14の上方への移動が規制される。
蓋枠12、蓋本体13、および排気弁14の材料は、何ら限定されない。例えば、鉄などの金属であってもよく、塩化ビニルなどの合成樹脂であってもよい。
蓋本体13の環状部13Aの上面には、第1の模様13Tが設けられている。排気弁14の弁体部14Aの上面には、第2の模様14Tが設けられている。なお、前述したように、ここで言う「模様」とは、文字、図形、記号、色彩、表面に表れた形状等の総称である。本実施形態では、第1の模様13Tおよび第2の模様14Tは、いずれも表面の凹部または凸部からなる凹凸模様である。
第1の模様13Tおよび第2の模様14Tは、複数の周方向溝30rと、複数の径方向溝30dとを有している。周方向溝30rは同心状に形成され、それぞれ周方向に延びている。ここでは、周方向溝30rは、平面視において環状に形成されている。径方向溝30dは、それぞれ径方向に延びており、隣り合う周方向溝30r同士をつないでいる。径方向に隣り合う径方向溝30d同士は、周方向の位置が互いにずれている。ここでは、径方向溝30dは、平面視において径方向に沿って直線状に形成されている。ただし、径方向溝30dは、径方向の内側から外側に向かって延びていればよく、必ずしも径方向に沿って延びている必要はない。径方向溝30dは、径方向に対して傾いた方向に延びていてもよい。径方向溝30dは、平面視において曲線状に形成されていてもよい。
第1の模様13Tおよび第2の模様14Tのうち少なくとも一方は、平面視において所定角度毎の周期性を有している。本実施形態では、第1の模様13Tが30度毎の周期性を有しており、第2の模様14Tは30度毎の周期性を有していない。第1の模様13Tが30度毎の周期性を有するとは、nを自然数としたときに、第1の模様13Tをn×30度回転させたとしても、回転前後の模様の見え方に変化がないことをいう。ここでは、第1の模様13Tは、30度ピッチで周方向に配列された複数の凸部によって形成されている。
図7は、図3のVII−VII線断面図である。図7に示すように、軸孔13cの内周面には30度毎に凹部35が形成されている。軸部14Bの外周面には、30度毎に凸部36が形成されている。これら凹部35と凸部36とは係合している。ただし、これら凹部35および凸部36は、軸部14Bが軸孔13c内で摺動可能なように係合している。すなわち、軸部14Bおよび軸孔13cは、軸部14Bに加わる回転力(トルク)が所定値よりも小さい場合には、凹部35および凸部36の係合により、軸部14Bが軸孔13c内で回転しないように構成されている。一方、軸部14Bおよび軸孔13cは、軸部14Bに加わる回転力が所定値以上の場合には、凸部36が凹部35(当該凸部36が係合していた凹部35)から外れ、軸部14Bが軸孔13c内で回転するように構成されている。
以上が蓋10の構成である。説明は省略するが、ます20の点検口11に設けられる蓋10の構成も同様である。蓋10は、雨水設備1の内部圧力が高くなったときにその圧力を開放する機能を有する。次に、蓋10の圧力開放動作について説明する。
雨水貯留槽3の内部圧力(空気の圧力)が高くなると、蓋10に対して、下方から上方へ向けて圧力が加わる。圧力が所定圧力以上になると、図8に示すように、排気弁14が上記圧力によって浮上する。すると、排気弁14によって塞がれていた排気孔13b(図4参照)が開放される。これにより、雨水貯留槽3の内部空気の一部が排気孔13bを通じて外部に逃がされ、雨水貯留槽3の内部圧力が低下する。よって、雨水貯留槽3の内部圧力が高くなることが防止される。なお、排気弁14は弁ストッパ14Cを備えているので、蓋本体13から外れてしまうことが防止される。雨水貯留槽3の内部圧力が所定圧力未満になると、排気弁14は自重によって降下し、蓋本体13の上に載置される。すると、排気弁14によって排気孔13bが塞がれ、雨水貯留槽3は密閉される。なお、雨水貯留槽3の内部圧力が再度高くなると、同様の動作が繰り返される。これにより、雨水貯留槽3の内部圧力が所定圧力未満に調節される。
前述したように、排気弁14に大きな回転力が加わると、軸部14Bが軸孔13c内で摺動し、排気弁14が回転する。しかし、軸孔13cの内周面には凹部35が形成され、軸部14Bの外周面には凸部36が形成されているので、排気弁14が回転することによって凸部36が凹部35から外れたとしても、その凸部36が他の凹部35と係合した状態で排気弁14の回転が止まる。軸部14Bおよび軸孔13cは、回転後も凸部36がいずれかの凹部35内に位置するように係合する。本実施形態では、軸孔13cの凹部35および軸部14Bの凸部36はいずれも30度毎に形成されている。そのため、排気弁14は、30度の倍数の角度だけ回転する。所定角度をθ(=30度)、自然数をnとすると、排気弁14はn×θだけ回転する。
図9は、図5に示す排気弁14が反時計回りの方向に30度回転したときの状態を表している。排気弁14が30度回転したとしても、蓋本体13の第2の模様14Tは30度毎の周期性を有しているので、30度回転後の蓋10(図9参照)をP0の方から見たときの第1の模様13Tおよび第2の模様14Tの見え方は、回転前の蓋10(図5参照)をP1の方から見たときの第1の模様13Tおよび第2の模様14Tの見え方と変わらない。すなわち、第1の模様13Tおよび第2の模様14Tの互いのバランスは保たれる。また、第1の模様13Tの径方向溝30dと第2の模様14Tの径方向溝30dとが、周方向に関して揃った位置に配置されることを防ぐことができる。そのため、蓋10の排水性能は維持される。
以上のように、本実施形態に係る蓋10によれば、雨水設備1の内部圧力が高まると、排気弁14がその内部圧力によって上方に持ち上げられる。これにより、排気孔13bが開かれ、雨水設備1の内部圧力が高くなることを防止することができる。
また、本実施形態に係る蓋10によれば、軸孔13cの内周面および軸部14Bの外周面に形成された凹部35と凸部36とが係合しているので、軸部14Bは軸孔13cにより、回転方向に関して抵抗力を受ける。そのため、排気弁14に加わる回転力が小さいときには、排気弁14の回転は防止される。一方、排気弁14に加わる回転力が大きいときには、排気弁14は回転する。軸部14Bは必ずしも剛性の高い部分ではないため、排気弁14に大きな回転力が加わった場合、軸部14Bが軸孔13c内で回転不能な場合、軸部14Bが破断してしまうおそれがある。しかし、本実施形態に係る蓋10では、排気弁14に大きな回転力が加わった場合には、排気弁14が回転するので、軸部14Bの破断を防ぐことができる。このように排気弁14は回転するが、その回転角度はn×θとなる。ここで、蓋本体13の環状部13Aの上面に設けられた第1の模様13Tは角度θの周期性を備えているので、排気弁14がn×θだけ回転しても、第1の模様13Tに対する第2の模様14Tの相対的な位置関係は変わらない。したがって、本実施形態に係る蓋10によれば、排気弁14が回転しても排気弁14および蓋本体13の互いの模様のバランスを保つことができる。
蓋本体13の軸孔13cは排気孔13bと一体化されていてもよい(すなわち、排気孔13bが軸孔13cを兼用していてもよい)が、本実施形態では、軸孔13cと排気孔13bとは別々に形成されている。そのため、軸孔13cおよび排気孔13bを、互いの影響を受けずに自由に設計することができる。よって、軸孔13cを、排気弁14の軸部14Bを上下方向および周方向にガイドしやすい形態に容易に形成することができる。また、排気孔13bを、雨水設備1の内部圧力を逃がしやすい形態に容易に形成することができる。さらに、排気孔13bは軸孔13cよりも径方向の外側に位置しているので、排気孔13bの開口面積を十分に確保することができる。よって、排気弁14が開いたときに、雨水設備1の内部圧力を短時間のうちに逃がすことができる。
本実施形態に係る蓋10によれば、第1の模様13Tは角度θの周期性を有しているが、第2の模様14Tは角度θの周期性を有していない。そのため、第2の模様14Tの設計自由度を高めることができる。排気弁14に対し、制約の少ない比較的自由な模様を施すことができる。なお、第2の模様14Tが角度θの周期性を有し、第1の模様13Tが角度θの周期性を有していなくてもよい。この場合であっても、同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、第1の模様13Tおよび第2の模様14Tのいずれか一方が角度θの周期性を有し、他方が角度θの周期性を有していないが、例えば図10に示すように、第1の模様13Tおよび第2の模様14Tの両方が角度θの周期性を有していてもよい。第1の模様13Tおよび第2の模様14Tの両方が角度θの周期性を有している場合、排気弁14の回転前後において、第1の模様13Tおよび第2の模様14Tの両方に変わりがない。そのため、見る方向に拘わらず、排気弁14および蓋本体13の互いの模様のバランスを保つことができる。
第1の模様13Tおよび第2の模様14Tの具体的構成は特に限定されないが、本実施形態では、いずれも凹凸模様である。凹凸模様は、スリップを防止する機能と、凹部に沿って水を流すことができるという排水機能を有する。よって、本実施形態によれば、蓋本体13の環状部13Aおよび排気弁14の弁体部14Aのスリップ防止機能と排水性を高めることができる。したがって、降雨時などにおいて、蓋10上で滑りにくくなる。
また、本実施形態では、第1の模様13Tおよび第2の模様14Tは、複数の周方向溝30rと複数の径方向溝30dとを有しており、径方向に隣り合う径方向溝30dの周方向の位置は互いにずれている。よって、蓋10の排水性を更に高めることができる。なお、上述の通り、排気弁14が回転しても、第1の模様13Tおよび第2の模様14Tの互いのバランスは変わらないので、蓋10の排水性は維持される。
ところで、所定角度θが小さいと、小さな回転力でも排気弁14は回転しやすくなる傾向があり、所定角度θが大きいと、大きな回転力を受けても排気弁14は回転しにくくなる傾向がある。所定角度θの値は何ら限定される訳ではないが、本実施形態では30度である。本実施形態によれば、前述の効果を得ながら、外部から加わる回転力が小さいときには排気弁14の回転を抑制することができ、上記回転力が大きいときには排気弁14を容易に回転させることができる。よって、例えば歩行者が排気弁14を踏んだときに滑ってしまうことを好適に防止できると共に、排気弁14に大きな回転力が加わったときに軸部14Bが破断してしまうことを好適に防止することができる。
以上、本発明の実施の一形態について説明したが、本発明の実施の形態が前記形態に限られないことは勿論である。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。
前記実施形態に係る蓋10は、雨水貯留槽3の点検筒5またはます10に設けられたものである。しかし、本発明に係る蓋の適用対象は、雨水貯留槽3およびます10に限定されない。本発明に係る蓋は、任意の排水設備に適用可能である。
前記実施形態では、蓋10は地表面と同じ高さに設置されている。しかし、蓋10の設置高さは何ら限定されない。蓋10は、地上に設置された点検筒等に設けられていてもよく、地下に設置されていてもよい。蓋10は、地表よりも高い位置に配置されていてもよく、地表よりも低い位置に配置されていてもよい。
蓋本体13の架け渡し部13Cの形状は棒状に限られない。架け渡し部13Cの形状として、環状部13Aと筒状部13Bとをつなぐことのできる任意の形状を採用することができる。
本実施形態では、蓋本体13の中央部13Dは筒状部13Bおよび架け渡し部13Cによって構成されているが、中央部13Dの構成は特に限定されない。中央部13Dとして、軸孔13cおよび排気孔13bが形成されかつ蓋本体13の環状部13Aに囲まれる任意の構成を採用することができる。
前述したように、第1の模様13Tおよび第2の模様14Tは凹凸模様に限定されない。第1の模様13Tおよび第2の模様14Tは、一方が凹凸模様であり、他方が非凹凸模様であってもよい。
1 排水設備
10 蓋
11 点検口
12 蓋枠
13 蓋本体
13A 環状部
13B 筒状部
13C 架け渡し部
13D 中央部
13T 第1の模様
13b 排気孔
13c 軸孔
14 排気弁
14A 弁体部
14B 軸部
14C 弁ストッパ
14T 第2の模様
35 凹部
36 凸部
θ 所定角度

Claims (6)

  1. 排気孔が形成された中央部と、平面視において前記中央部の周囲を囲む環状部と、前記中央部または前記環状部に設けられた上下方向に延びる縦壁と、を有する蓋本体と、
    前記中央部に載置されて前記排気孔を覆う弁体部と、前記弁体部から下方に延び、前記縦壁に対し上下方向および周方向に摺動可能な摺動部と、を有する排気弁と、
    を備え、
    前記蓋本体の前記環状部の上面には、第1の模様が設けられ、
    前記排気弁の前記弁体部の上面には、第2の模様が設けられ、
    前記第1の模様および前記第2の模様のうち少なくとも一方は、平面視において所定角度毎の周期性を有しており、
    前記蓋本体の前記縦壁および前記排気弁の前記摺動部のいずれか一方には、前記所定角度毎に凹部が形成され、他方には前記所定角度毎に凸部が形成されている、排水設備用蓋。
  2. 前記蓋本体の前記中央部には、前記排気孔よりも中心側に位置する軸孔が形成され、
    前記縦壁は、前記軸孔の内周面からなり、
    前記排気弁の前記摺動部は、前記軸孔に挿通された軸部からなっている、請求項1に記載の排水設備用蓋。
  3. 前記第1の模様および前記第2の模様は、いずれも平面視において所定角度毎の周期性を有している、請求項1または2に記載の排水設備用蓋。
  4. 前記第1の模様および前記第2の模様のいずれか一方は、平面視において前記所定角度毎の周期性を有しており、他方は、平面視において前記所定角度毎の周期性を有していない、請求項1または2に記載の排水設備用蓋。
  5. 前記第1の模様および前記第2の模様は、凹凸模様である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の排水設備用蓋。
  6. 前記所定角度は30度である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の排水設備用蓋。
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