JP2018024042A - 被加工物の放電加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被加工物の良好な放電加工を実現すること。【解決手段】被加工物の放電加工方法は、導電性を備えたワイヤ(4)と、ワイヤが複数回巻き掛けられるガイドローラー群(24、26、28、30)と、被加工物(11)を固定する導電性を備えた基台(42)と、ワイヤと基台とに電気的に接続され高周波パルス電圧を発生する高周波パルス電源ユニット(50)と、を有するワイヤ放電加工装置(2)を用い、基台に対して被加工物を電気的に接合するとともに固定する固定ステップと、固定ステップを実施した後、ワイヤと基台との間に高周波パルス電圧を印加し、基台に接合した被加工物とワイヤとの間で生じる放電によって被加工物を加工する放電加工ステップと、を含み、固定ステップでは、導電性カーボンフィラーを含有した導電性接着剤によって基台に被加工物を接合する。【選択図】図4

Description

本発明は、放電を利用してインゴット等の被加工物を加工する被加工物の放電加工方法に関する。
インゴット等の被加工物からウェーハを切り出す場合には、ワイヤソーと呼ばれる加工装置を用いるのが一般的である。この加工装置を用いて導電性を備えたワイヤと被加工物との間で発生する放電を利用して、ウェーハを非接触で切り出す加工方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この加工方法に使用される放電加工装置は、パルス電圧を発生する高周波電源に接続された導電性のある基台を備え、ワイヤソーと基台との間に電圧を印加する。
被加工物を加工する際には、まず、導電性フィラーを分散させた接着剤(導電性接着剤)を用いて基台に被加工物を固定する(例えば、特許文献2参照)。その後、ワイヤと基台との間にパルス電圧を印加して、ワイヤを所定の方向に送りながら被加工物に切り込ませれば、ワイヤと被加工物との間で放電を発生させてウェーハを切り出すことができる。
特開2000−94221号公報 特開2000−109397号公報
ところで、シリコンカーバイド等の導電性が低い材料からなる被加工物を加工する場合には、基台と被加工物とを電気的に接続する接続部分の重要性が高くなる。一方で、この接続部分を構成する導電性接着剤には、必ずしも導電性フィラーが均等に分散されていないので、基台と被加工物との間の電気的な接続にばらつきが発生し易かった。基台と被加工物との間の電気的な接続がばらつくと、例えば、接続部分の近傍で一様な放電を実現できなくなり、加工不良が発生し易い。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、良好な放電加工を実現できる被加工物の放電加工方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様の被加工物の放電加工方法は、被加工物の放電加工方法であって、導電性を備えたワイヤと、該ワイヤが複数回巻き掛けられるガイドローラー群と、被加工物を固定する導電性を備えた基台と、該基台と該ワイヤとを相対的に移動させ該基台に固定した被加工物に該ワイヤを切り込ませる移動手段と、該ワイヤと該基台とに電気的に接続され高周波パルス電圧を発生する高周波パルス電源ユニットと、を有するワイヤ放電加工装置を用い、該基台に対して被加工物を電気的に接合するとともに固定する固定ステップと、該固定ステップを実施した後、該ワイヤと該基台との間に高周波パルス電圧を印加し、該基台に接合した被加工物と該ワイヤとの間で生じる放電によって被加工物を加工する放電加工ステップと、を含み、該固定ステップでは、導電性カーボンフィラーを含有した導電性接着剤によって該基台に被加工物を接合する。
この構成によれば、接着剤に導電性カーボンフィラーを適切な添加量で添加することで、接着剤に導電性フィラーを均等に分散することができる。導電性カーボンフィラーが均等に分散された接着剤によって基台に被加工物を接合、固定するので、基台と被加工物との間の電気的な接続のばらつきを抑制しながら、基台に被加工物を固定できる。つまり、加工不良の発生を防止して良好な放電加工を実現できる。
本発明の一態様の被加工物の放電加工方法においては、該導電性カーボンフィラーは、10wt%〜30wt%で添加される。
本発明によれば、被加工物の良好な放電加工を実現できる。
本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置の構成例を模式的に示す図である。 本実施の形態に係る固定ステップ及び放電加工ステップを模式的に示す図である。 本実施の形態に係る放電加工ステップを模式的に示す斜視図である。 実験例に係る導電性カーボンフィラーの濃度と引っ張り接着強度の関係を示すグラフである。 実験例に係る導電性カーボンフィラーの濃度と電気抵抗の関係を示すグラフである。
添付図面を参照して、本実施の形態について説明する。本実施の形態に係る被加工物の放電加工方法は、固定ステップ及び放電加工ステップ(図2、図3参照)を含む。
固定ステップでは、基台に対してインゴット等の被加工物を電気的に接合するとともに固定する。具体的には、導電性カーボンフィラーを含有した導電性接着剤によって基台に被加工物を接合する。
放電加工ステップでは、ワイヤと基台との間に高周波パルス電圧を印加し、基台に接合した被加工物とワイヤとの間で生じる放電によって被加工物を加工する。以下、本実施の形態に係る被加工物の放電加工方法について詳述する。
まず、本実施形態に係る被加工物の放電加工方法に使用されるワイヤ放電加工装置について説明する。図1は、本実施の形態に係るワイヤ放電加工装置の構成例を模式的に示す図である。図1に示すように、ワイヤ放電加工装置2は、ワイヤ4が巻回された繰り出しボビン6を支持する円柱状の繰り出しローラー8を備えている。
繰り出しローラー8の上方には、巻き取りボビン10を支持する円柱状の巻き取りローラー12が配置されている。繰り出しボビン6から繰り出されたワイヤ4は、放電加工に使用された後、巻き取りボビン10で巻き取られる。ワイヤ4は、例えば、ピアノ線等をベースに構成されており、被加工物11の放電加工に必要な導電性を備えている。
繰り出しローラー8に隣接する位置には、繰り出しボビン6から繰り出されたワイヤ4を下流側に送る第1供給ローラー14、第2供給ローラー16、第3供給ローラー18及び第4供給ローラー20が配置されている。また、第2供給ローラー16と第3供給ローラー18との間には、ワイヤ4の張力を調整する第1調整ローラー22が設けられている。
繰り出しボビン6から繰り出されたワイヤ4は、第1供給ローラー14、第2供給ローラー16、第1調整ローラー22、第3供給ローラー18、第4供給ローラー20の順に巻き掛けられて、下流側に送られる。
第4供給ローラー20の下方には、第4供給ローラー20から送られたワイヤ4を案内する円柱状の第1ガイドローラー24が配置されている。第4供給ローラー20から送られたワイヤ4は、第1ガイドローラー24に巻き掛けられて下方に案内される。
第1ガイドローラー24の下方には、第1ガイドローラー24で案内されたワイヤ4をさらに案内する円柱状の第2ガイドローラー26が配置されている。第1ガイドローラー24で案内されたワイヤ4は、第2ガイドローラー26に巻き掛けられて水平方向に案内される。
第2ガイドローラー26から水平方向に離れた位置には、第2ガイドローラー26で案内されたワイヤ4をさらに案内する円柱状の第3ガイドローラー28が配置されている。第2ガイドローラー26で案内されたワイヤ4は、第3ガイドローラー28に巻き掛けられて上方に案内される。第3ガイドローラー28によって上方に案内されたワイヤ4の一部は、被加工物11を加工する加工部4aとなる。
第3ガイドローラー28の上方には、第3ガイドローラー28で案内されたワイヤ4をさらに案内する円柱状の第4ガイドローラー30が配置されている。第3ガイドローラー28で案内されたワイヤ4は、第4ガイドローラー30に巻き掛けられて水平方向に案内される。
第4ガイドローラー30で案内されたワイヤ4は、第1ガイドローラー24に再び巻き掛けられて第2ガイドローラー26に案内される。上述のように、第1ガイドローラー24には、既にワイヤ4が巻き掛けられているので、ここでは、第1ガイドローラー24の別の位置にワイヤ4が巻き掛けられる。具体的には、既に巻き掛けられているワイヤ4に対して第1ガイドローラー24の回転軸方向に所定の間隔をあけてワイヤ4が再度巻き掛けられる。
同様に、第1ガイドローラー24で案内されたワイヤ4は、第2ガイドローラー26に再び巻き掛けられて第3ガイドローラー28に案内される。また、第2ガイドローラー26で案内されたワイヤ4は、第3ガイドローラー28に再び巻き掛けられて第4ガイドローラー30に案内される。さらに、第3ガイドローラー28で案内されたワイヤ4は、第4ガイドローラー30に再び巻き掛けられて第1ガイドローラー24に案内される。
第2ガイドローラー26、第3ガイドローラー28及び第4ガイドローラー30にも既にワイヤ4が巻き掛けられているので、ここでも、第2ガイドローラー26、第3ガイドローラー28又は第4ガイドローラー30の回転軸方向に所定の間隔をあけてワイヤ4が再度巻き掛けられる。第4ガイドローラー30で案内されたワイヤ4は、第1ガイドローラー24にさらに巻き掛けられて第2ガイドローラー26に案内される。
このように、第1ガイドローラー24、第2ガイドローラー26、第3ガイドローラー28及び第4ガイドローラー30(以下、ガイドローラー群)には、回転軸方向に所定の間隔をあけてワイヤ4が複数回巻き掛けられる。これにより、第3ガイドローラー28と第4ガイドローラー30との間には複数の加工部4aが並列されてワイヤ列が形成され、被加工物11から複数のウェーハを一度に切り出すことができる。
第3ガイドローラー28及び第4ガイドローラー30に巻き掛けられるワイヤ4の回転軸方向の間隔(すなわち、隣接する加工部4aの間隔)は、切り出されるウェーハの厚みに対応し、例えば、1mmに設定される。ただし、ワイヤ4の回転軸方向の間隔(隣接する加工部4aの間隔)は、ウェーハの仕様等に応じて任意に変更できる。同様に、ワイヤ4を巻き掛ける回数は、被加工物11やウェーハの仕様等に応じて任意に設定される。
巻き取りローラー12に隣接する位置には、放電加工に使用されたワイヤ4を送る第5供給ローラー32、第6供給ローラー34、第7供給ローラー36及び第8供給ローラー38が配置されている。また、第7供給ローラー36と第8供給ローラー38との間には、ワイヤ4の張力を調整する第2調整ローラー40が設けられている。
第4ガイドローラー30(ガイドローラー群)から送られたワイヤ4は、第5供給ローラー32、第6供給ローラー34、第7供給ローラー36、第2調整ローラー40、第8供給ローラー38の順に巻き掛けられて、巻き取りボビン10で巻き取られる。
繰り出しローラー8、巻き取りローラー12、ガイドローラー群、第1調整ローラー22及び第2調整ローラー40には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。この回転駆動源で、繰り出しローラー8、巻き取りローラー12、ガイドローラー群、第1調整ローラー22及び第2調整ローラー40を回転させれば、ワイヤ4は、所定の送り方向に送られる。
加工部4aの側方には、被加工物11を固定する基台42が配置されている。基台42は、アーム44と、アーム44の一端部に装着される被加工物固定部材46とを含む。
被加工物11は、例えば、SiC等の材料で円柱状に形成されたインゴットであり、ワイヤ4(加工部4a)の送り方向に対して被加工物11の高さ方向(厚み方向、結晶成長方向)が垂直になるように被加工物固定部材46に固定される。被加工物11を固定する方法の詳細については後述する。
アーム44の他端部には、基台42を水平方向(加工送り方向)に移動(加工送り)させる移動機構(移動手段)48が連結されている。この移動手段48によって、基台42とワイヤ4とを相対的に移動(加工送り)させることで、ワイヤ4の加工部4aを被加工物11に切り込ませることができる。
アーム44には、放電加工用の高周波パルス電圧を発生する高周波パルス電源ユニット50の第1端子が接続されている。一方、第1ガイドローラー24と第4ガイドローラー30との間には、高周波パルス電源ユニット50の第2端子に接続された給電パッド52が配置されている。この給電パッド52は、第1ガイドローラー24と第4ガイドローラー30との間でワイヤ4に接触している。すなわち、ワイヤ4には、高周波パルス電源ユニット50の第2端子が電気的に接続されている。
高周波パルス電源ユニット50は、例えば、高周波パルス電圧の発生を制御し、パルス幅や繰り返し周波数を調整するパルス調整部50aと、電圧を調整する電圧調整部50bと、を備えている。パルス調整部50a及び電圧調整部50bの制御は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により行われる。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。この高周波パルス電源ユニット50により、放電加工に必要なパルス電圧を発生できる。
第1端子に接続される基台42のアーム44及び被加工物固定部材46は、例えば、カーボン、金属等の導電性材料で構成されている。また、給電パッド52を介して第2端子に接続されるワイヤ4は、導電性を備えている。そのため、高周波パルス電源ユニット50で発生した高周波パルス電圧は、ワイヤ4と基台42との間に印加される。
第2ガイドローラー26及び第3ガイドローラー28を囲む位置には、加工槽54が配置されている。加工槽54の内部には、純水等の加工液56が貯留されており、少なくとも、ワイヤ4の加工部4a及び被加工物11は、加工液56に浸漬している。このように構成されたワイヤ放電加工装置2においては、ワイヤ4と基台42との間に電圧が印加され、加工部4a(ワイヤ列)と被加工物11との間で放電が生じることにより被加工物11から複数のウェーハが切り出される。
ところで、一般にワイヤ放電加工装置においては、被加工物を放電加工する際に、被加工物は基台の被加工物固定部材に接着剤等で固定される。被加工物が放電により加工されるためには、被加工物と基台とを接着する接着剤が導電性を有する必要がある。このため、接着剤に導電性フィラーが添加されるが、導電性フィラーの添加量によっては、電気抵抗が大きくなりすぎる場合がある。これを防ぐために、導電性フィラーの添加量を増すと電気抵抗は小さくなるが、接着性が低下する(引っ張り接着強度が小さくなる)。このため、被加工物が被加工物固定部材から外れたり、振動が誘発して被加工物の加工面が波打って安定しないおそれがある。一方、導電性フィラーの添加量を減らすと電気抵抗にばらつきが生じるため、すべての加工部(ワイヤ列)において安定したウェーハの切り出しができない。そこで、本実施の形態では導電性と引っ張り接着強度とを兼ね備えた導電性カーボンフィラーを使用し、さらに適切な添加量を検討した。
以下、上述したワイヤ放電加工装置2を用いる被加工物の放電加工方法について説明する。本実施の形態に係る被加工物の放電加工方法では、まず、基台42に対して被加工物11を電気的に接合するとともに固定する固定ステップを実施する。図2は、本実施の形態に係る固定ステップ及び放電加工ステップを模式的に示す図である。なお、図2では、ワイヤ放電加工装置2の構成要素の一部を省略している。
固定ステップでは、被加工物11の側面の一部と、基台42のアーム44から取り外された被加工物固定部材46の固定面とに接着剤13を塗布する。被加工物11の側面に塗布した接着剤13と被加工物固定部材46の固定面に塗布した接着剤とを接触させて、被加工物固定部材46と被加工物11とを接着する。そして、接着剤13を乾燥させれば、接着剤13を介して被加工物固定部材46に被加工物11を接合、固定できる。
接着剤13としては、被加工物11を被加工物固定部材46に固定してワイヤ4で加工する際に、被加工物11が振動してワイヤ4を被加工物11に一定方向に加工送りできなくなることを防止するために、乾燥した際に硬度のある樹脂が用いられることが好ましい。すなわち、弾性のあるゴム系以外の樹脂が用いられることが好ましい。また、被加工物11が被加工物固定部材46にずれて固定されることを防止するために、瞬間的に固まるシアノアクリル系以外の樹脂が用いられることが好ましい。
また、接着剤には、導電性カーボンフィラーを均等に分散してワイヤ4と被加工物11との間の放電のばらつきを抑える観点から、10wt%以上の導電性カーボンフィラーが含まれていることが好ましい。また、接着剤の接着性を維持する観点から、30wt%以下の導電性カーボンフィラーが含まれていることが好ましい。導電性カーボンフィラーの粒径は、0.5μm以上、5μm以下であることが好ましい。
このように、固定ステップでは、接着剤13に適切な添加量の導電性カーボンフィラーを添加する。このため、接着剤13に導電性フィラーが均質に混合されて接着剤13における電気抵抗のばらつきを小さくできる。また、十分な引っ張り接着強度を維持することができる。よって、基台42と被加工物11との間に電気的な接続のばらつきが生じることを抑制しながら、基台42に被加工物11を安定的に接合、固定することができる。
被加工物固定部材46に被加工物11を接合、固定した後には、被加工物固定部材46をボルト等でアーム44に装着する。以上により、基台42に対して被加工物11を電気的に接合、固定できる。基台42に対して被加工物11が固定されると、固定ステップは終了する。
次に、放電加工ステップについて説明する。固定ステップの後には、ワイヤ4と基台42との間に高周波パルス電圧を印加し、基台42に接合した被加工物11とワイヤ4との間で生じる放電によって被加工物11を加工する放電加工ステップを実施する。図3は、本実施の形態に係る放電加工ステップを模式的に示す斜視図である。なお、図3では、ワイヤ放電加工装置2の構成要素の一部を省略している。
放電加工ステップでは、まず、高周波パルス電源ユニット50でワイヤ4と基台42との間に高周波パルス電圧を印加する。また、ガイドローラー群等を回転させて、図2及び図3に示すように、ワイヤ4を所定の送り方向に送る。
さらに、被加工物固定部材46に接着剤で固定されている被加工物11にワイヤ4(加工部4a)を切り込ませるように、移動手段48で被加工物11を水平方向に移動(加工送り)させる。加工液56(図1参照)中で絶縁状態にある被加工物11とワイヤ4の加工部4aとが十分に近づくと、絶縁が破壊されて被加工物11と加工部4aとの間で放電が生じる。
その結果、放電に伴う熱で被加工物11の加工部4aに近接する部分が溶融される。また、加工液56の温度が急激に上昇して沸騰し、体積が膨張して被加工物11の溶融した部分を飛散させる。このように、ワイヤ4と基台42との間に高周波パルス電圧を供給しながら被加工物11を水平方向に移動させることで、加工部4aと被加工物11との相対移動の移動経路に対応した溝を被加工物11に形成できる。
被加工物11の水平方向への移動は、ワイヤ4の加工部4aが接着剤13又は被加工物固定部材46に僅かに切り込まれるまで続けられる。これにより、被加工物11から複数のウェーハを切り出すことができる。
放電加工ステップでは、接着剤13を用いて被加工物11が安定的に固定されているため、ワイヤ4と基台42との間に電圧が印加される際、被加工物11の振動が抑えられながらワイヤ4から被加工物11に一様に放電することが可能になる。このため、被加工物11と基台42との固定に接着剤を用いるという簡易な構成でありながら、良好な放電加工を実現できる。すなわち、すべての加工部4a(ワイヤ列)において一様に放電することができるため、被加工物11から複数のウェーハを良好に切り出すことができる。
(実験例)
以下、実験例に基づき詳述するが、これらは説明のために記述されるものであって、下記実験例に限定されるものではない。
(実験例1)
接着剤における導電性カーボンフィラーの濃度を変化させて、引っ張り接着強度を測定した。測定はJIS K6849に準拠して行い、引っ張り試験機(AG−I、島津製作所製)を用いて行った。結果を図4に示す。図4は、実験例に係る導電性カーボンフィラーの濃度と引っ張り接着強度の関係を示すグラフである。図4において横軸は導電性カーボンフィラーの濃度、縦軸は引っ張り接着強度を示している。
接着剤に含まれる導電性カーボンフィラーの濃度が30wt%までは引っ張り接着強度は所定の値で維持されたが、30wt%を超えると引っ張り接着強度は急激に低下した。したがって、接着剤の接着性を維持する観点から、導電性カーボンフィラーは接着剤に対して30wt%以下の濃度となるように添加されることが好ましいことがわかった。
(実験例2)
接着剤における導電性カーボンフィラーの濃度を変化させて、接着剤の電気抵抗を測定した。接着剤に所定の濃度となるように導電性カーボンフィラーを添加し、所定の濃度の接着剤を被加工物固定部材46及び被加工物11に塗布し乾燥して、被加工物固定部材46と被加工物11とを固定した。この状態で、ワイヤ4と基台42との間に電圧を印加し、ワイヤ4と基台42との間の電気抵抗をテスターで5回ずつ測定した。結果を図5に示す。図5は、実験例に係る導電性カーボンフィラーの濃度と電気抵抗の関係を示すグラフである。図5において横軸は導電性カーボンフィラーの濃度、縦軸は電気抵抗を示している。
接着剤に含まれる導電性カーボンフィラーの濃度が小さくなるのに伴って、電気抵抗は大きくなる。導電性カーボンフィラーの濃度が10wt%を下回ると、電気抵抗の測定結果のばらつきが急激に大きくなった。10wt%以上であると、電気抵抗の測定結果のばらつきが小さくなる傾向が見られ、導電性カーボンフィラーの濃度と電気抵抗との間に相関関係が見られるようになった。電気抵抗は所定の値以下となり被加工物固定部材46と被加工物11との接合において接着剤の導電性を良好にできることがわかった。したがって、ワイヤ4と被加工物11との間の放電のばらつきを抑える観点から、導電性カーボンフィラーは接着剤に対して10wt%以上の濃度となるように添加されることが好ましいことがわかった。以上より、導電性カーボンフィラーは接着剤に対して、10wt%以上、30wt%以下の濃度となるように添加されることが好ましいことがわかった。
以上のように、接着剤に導電性カーボンフィラーを適切な添加量で添加することで、接着剤に導電性フィラーを均等に分散することができる。導電性カーボンフィラーが均等に分散された接着剤によって基台42に被加工物11を接合、固定するので、基台42と被加工物11との間の電気的な接続のばらつきを抑制しながら、基台42に被加工物11を固定できる。つまり、加工不良の発生を防止して良好な放電加工を実現できる。
上記実施の形態においては、固定ステップにおいて、接着剤13は被加工物11の側面の一部と、被加工物固定部材46の固定面とに塗布される構成としたが、この構成に限定されない。被加工物11が被加工物固定部材46に固定されれば、接着剤13は被加工物11の側面の一部及び被加工物固定部材46の固定面のいずれか一方に塗布される構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、接着剤として、ゴム系及びシアノアクリル系以外の樹脂を用いる構成としたが、被加工物11を被加工物固定部材46に固定してワイヤ4で加工する際に振動が防止できれば、ゴム系の樹脂が用いられてもよい。また、被加工物11が被加工物固定部材46にずれて固定されることを防止できれば、シアノアクリル系の樹脂が用いられてもよい。
また、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記各実施の形態を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
本実施の形態では、本発明を被加工物を加工するワイヤ放電加工装置に適用した構成について説明したが、被加工物を固定して放電する加工方法に適用することも可能である。
以上説明したように、本発明は、被加工物の良好な放電加工を実現できるという効果を有し、特に、放電を利用して被加工物を加工する被加工物の放電加工方法に有用である。
11 被加工物
2 ワイヤ放電加工装置
4 ワイヤ
4a 加工部
24 第1ガイドローラー(ガイドローラー群)
26 第2ガイドローラー(ガイドローラー群)
28 第3ガイドローラー(ガイドローラー群)
30 第4ガイドローラー(ガイドローラー群)
42 基台
44 アーム
46 被加工物固定部材
50 高周波パルス電源ユニット
50a パルス調整部
50b 電圧調整部
54 加工槽
56 加工液

Claims (2)

  1. 被加工物の放電加工方法であって、
    導電性を備えたワイヤと、該ワイヤが複数回巻き掛けられるガイドローラー群と、被加工物を固定する導電性を備えた基台と、該基台と該ワイヤとを相対的に移動させ該基台に固定した被加工物に該ワイヤを切り込ませる移動手段と、該ワイヤと該基台とに電気的に接続され高周波パルス電圧を発生する高周波パルス電源ユニットと、を有するワイヤ放電加工装置を用い、
    該基台に対して被加工物を電気的に接合するとともに固定する固定ステップと、
    該固定ステップを実施した後、該ワイヤと該基台との間に高周波パルス電圧を印加し、該基台に接合した被加工物と該ワイヤとの間で生じる放電によって被加工物を加工する放電加工ステップと、を含み、
    該固定ステップでは、導電性カーボンフィラーを含有した導電性接着剤によって該基台に被加工物を接合することを特徴とする被加工物の放電加工方法。
  2. 該導電性カーボンフィラーは、10wt%〜30wt%で添加されること、を特徴とする請求項1記載の被加工物の放電加工方法。
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